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特開2025-12674心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012674
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/302 20210101AFI20250117BHJP
   A61B 5/282 20210101ALI20250117BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20250117BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
A61B5/302
A61B5/282
A61B5/308
A61B5/346
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115690
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田端 正史
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127CC01
4C127EE01
4C127FF03
(57)【要約】
【課題】複数の差分信号の中から心電図の検出に適した差分信号を選択可能な心電データ検出装置及び検出方法を提供する。
【解決手段】心電データ検出装置(100)は、人体に対向して配置される複数の電極110と、前記複数の電極のうちの2つの電極の信号の差分信号を生成する差分信号生成部であって、複数組の前記2つの電極の信号から複数の前記差分信号を生成する差分信号生成部(131A)と、前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から、心拍の計測に適した差分信号を複数選択する差分信号選択部(133A)とを含み、前記差分信号選択部は、前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な第1差分信号と、前記複数の電極から前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極を除いた残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号のうち、心拍の計測に最適な第2差分信号とを選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に対向して配置される複数の電極と、
前記複数の電極のうちの2つの電極の信号の差分信号を生成する差分信号生成部であって、複数組の前記2つの電極の信号から複数の前記差分信号を生成する差分信号生成部と、
前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から、心拍の計測に適した差分信号を複数選択する差分信号選択部と
を含み、
前記差分信号選択部は、
前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な第1差分信号と、
前記複数の電極から前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極を除いた残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号のうち、心拍の計測に最適な第2差分信号と
を選択する、心電データ検出装置。
【請求項2】
前記差分信号選択部は、前記複数の電極から、前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極と、前記第2差分信号の元の信号を出力する一対の第2電極とを除いた残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号のうち、心拍の計測に最適な第3差分信号を選択する、請求項1に記載の心電データ検出装置。
【請求項3】
前記差分信号選択部は、前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号から、前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極と、前記第2差分信号の元の信号を出力する一対の第2電極との4つの電極のうちの2つの電極から得られる差分信号を除いた残りの複数の前記差分信号のうち、心拍の計測に最適な第3差分信号を選択する、請求項1に記載の心電データ検出装置。
【請求項4】
前記心拍の計測に適した差分信号は、SN比で評価される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の心電データ検出装置。
【請求項5】
前記心拍の計測に最適な第1差分信号は、前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の心電データ検出装置。
【請求項6】
前記心拍の計測に最適な第2差分信号は、前記複数の電極から前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極を除いた残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号の中でSN比が最大の差分信号である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の心電データ検出装置。
【請求項7】
前記心拍の計測に最適な第3差分信号は、前記残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号の中でSN比が最大の差分信号である、請求項2に記載の心電データ検出装置。
【請求項8】
前記心拍の計測に最適な第3差分信号は、前記残りの複数の前記差分信号の中でSN比が最大の差分信号である、請求項3に記載の心電データ検出装置。
【請求項9】
前記複数の電極の数は、少なくとも5つ以上である、請求項1に記載の心電データ検出装置。
【請求項10】
前記複数の電極の数は、少なくとも7つ以上である、請求項2又は3に記載の心電データ検出装置。
【請求項11】
人体に対向して配置される複数の電極と、
前記複数の電極のうちの2つの電極の信号の差分信号を生成する差分信号生成部であって、複数組の前記2つの電極の信号から複数の前記差分信号を生成する差分信号生成部と、
前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から、心拍の計測に適した差分信号を複数選択する差分信号選択部と
を含む心電データ検出装置において、
前記差分信号選択部が、
前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な第1差分信号を選択し、
前記複数の電極から前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極を除いた残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号のうち、心拍の計測に最適な第2差分信号を選択する、心電データ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体に電気的絶縁状態で対向配備されるべき一対の計測用絶縁電極と、各計測用絶縁電極と人体の間の静電容量結合に伴って生じる電圧の変化を検出して、両計測用絶縁電極により検出される2つの電圧の差を増幅し、心電図波形信号として出力する計測回路とを具えた心電図計測装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-082938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の心電図計測装置は2つの計測用絶縁電極を含み、2つの計測用絶縁電極の電圧の差(差分信号)に基づいて心電図を計測するものであるが、より多くの電極を用いて複数の差分信号を取得し、複数の差分信号の中から心電図の計測に適した差分信号を選択することは行っていない。
【0005】
そこで、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した差分信号を選択可能な心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の心電データ検出装置は、人体に対向して配置される複数の電極と、前記複数の電極のうちの2つの電極の信号の差分信号を生成する差分信号生成部であって、複数組の前記2つの電極の信号から複数の前記差分信号を生成する差分信号生成部と、前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から、心拍の計測に適した差分信号を複数選択する差分信号選択部とを含み、前記差分信号選択部は、前記差分信号生成部によって生成された前記複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な第1差分信号と、前記複数の電極から前記第1差分信号の元の信号を出力する一対の第1電極を除いた残りの複数の電極の信号から生成される複数の前記差分信号のうち、心拍の計測に最適な第2差分信号とを選択する。
【発明の効果】
【0007】
複数の差分信号の中から心電データの検出に適した差分信号を選択可能な心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の心電データ検出装置の構成の一例を示す図である。
図2】8つの電極から得られる28個の差分信号のSN比の一例を示す図である。
図3】8つの電極から得られる28個の差分信号のSN比の一例を示す図である。
図4】実施形態の心電データ検出装置のMCUが実行する処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の心電データ検出装置100の構成の一例を示す図である。心電データ検出装置100は、電極110、バッファ回路115、ADC(Analog to Digital Convertor)120、MCU(Micro Controller Unit)130、及び、I/F(Interface)ドライバ140を含む。ADC120、MCU130、及び、I/Fドライバ140は、ECU(Electronic Control Unit)150を構成する。ECU150は、一例として車両に搭載されており、一例として車載ネットワークを介して上位装置に接続されている。
【0011】
心電データ検出装置100が検出する心電データは心臓の電気的な活動を示すデータであり、心電波形等を含むデータ、或いは、心電データを元にして得られる心拍(心拍間隔、或いは心拍間隔によって得られる心拍数)を表す心拍データも心電データに含まれる。本実施形態においては、心拍間隔を求めた例について説明する。
【0012】
心電データ検出装置100は、一例として、車両の運転席のシート10に着座する運転者の心電データを検出する装置である。図1には、車両の運転席のシート10を示す。ただし、心電データ検出装置100は、車両の運転席のシート10に着座する運転者以外の同乗者の心電データを検出する装置であってもよく、車両以外、例えば会議室に設置される椅子、映画館に設置される椅子等に適用されてもよい。
【0013】
電極110は、車両の運転席のシート10の内部に複数設けられている。より具体的には、複数の電極110は、シート10の座面や背もたれの表皮の裏側に設けられており、シート10に着座する運転者の臀部や背中に対向する。一例として、8つの電極110がシート10に設けられている形態について説明する。ただし、電極110の数は8つに限られるものではない。電極110の数は、4つ以上あることが好ましく、6つ以上であることがさらに好ましい。
【0014】
電極110は、シート10の表皮や衣類を介して対向する運転者の体と容量結合し、心臓の活動時に人体に生ずる電気信号を電極110に生ずる誘導信号として測定するためのものである。このため、8つの電極110のうちの2つの電極110の電圧差を検出すれば、体の2箇所の電位差を検出することができる。電極110は、ボルテージフォロワ回路等のバッファ回路115を介してECU150に接続されている。バッファ回路115からECU150に入力される電圧信号は、各電極110の電圧を表す。
【0015】
ADC120は、バッファ回路115とMCU130との間に設けられている。ADC120は、バッファ回路115から入力される電圧信号を数msec等、十分に短い時間間隔でサンプリングすることによりデジタル変換してMCU130に出力する。
【0016】
本実施態様においては、ADC120は、常時、動作して、心電データ検出装置100に出力しているが、5秒間以上の変換を行う動作を、間歇的に行うようにしても良い。
【0017】
MCU130は、演算部130A、制御部130B、及び通信I/F130Cを有する。MCU130は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0018】
演算部130Aは、差分信号生成部131A、信号判定部132A、差分信号選択部133A、心拍検出部134A、心拍判定部135A、及び出力選択部136Aを有する。信号判定部132A、差分信号選択部133A、心拍検出部134A、及び出力選択部136Aは、メモリ132A1、133A1、134A1、及び136A1をそれぞれ有する。
【0019】
演算部130A、制御部130B、及び通信I/F130Cと、演算部130Aの内部の差分信号生成部131A、信号判定部132A、差分信号選択部133A、心拍検出部134A、心拍判定部135A、及び出力選択部136Aとは、MCU130が実行するプログラムの機能を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ132A1、133A1、134A1、及び136A1は、MCU130のメモリを機能的に表したものである。なお、MCU130は、ここに示す以外にもメモリを有していてよいが、図1では省略する。
【0020】
<演算部130A>
演算部130Aは、ADC120から出力される電圧値に基づいて、心拍間隔等の心拍データを生成し、通信I/F130Cに出力する。
【0021】
ここでは、差分信号選択部133Aが心拍の計測に適した複数の差分信号を選択する際に、3つの差分信号を選択する形態について説明する。しかしながら、心拍の計測に適した複数の差分信号の数は、3つに限られず、電極の個数の半数以下が好ましく、例えば、2個、或いは4個であってもよい。
【0022】
また、ここでは、差分信号選択部133Aが複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な差分信号を選択する際には、一例として、複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号を選択する形態について説明する。しかしながら、差分信号選択部133Aは、SN比以外の指標を用いて、複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な差分信号を選択してもよい。
【0023】
差分信号生成部131Aは、ADC120から出力される所定の時間内、例えば5秒の間の8つの電圧値から、異なる2つの電圧値を選択して差分信号を演算する。なお、引く側が8つの電圧値、引かれる側も8つの電圧値があるため単純に、すべての差分信号を演算すると、8×8=64個の差分信号を得ることができる。しかし、同じ電極の差分値はゼロであり差分信号を演算する意味は無い。また、引く側と引かれる側を入れ替えた場合、演算して求められる差分値は入れ替える前と符号が逆になるだけであり心電データとしては同等として見なせるので、入れ替え前後の両方で差分信号を演算する意味は無い。この為、本実施形態においては8つの電圧値から、異なる2つの電圧を選択して差分信号を生成して=(8*7)/2=28の差分信号を生成する。各差分信号は、8つの電極110の組合せで識別される。差分信号は、ノイズレベルに対する信号レベルの比(SN比)で評価される。差分信号生成部131Aは、差分信号を差分信号選択部133A及び信号判定部132Aに出力する。
【0024】
なお、差分信号として演算するADC120から出力される5秒間のデータと、次に差分信号として演算する5秒間のデータは、連続的或いは所定の時間間隔をあけたデータでも良い。また、1回目の差分信号のデータはADC120から時刻0秒~5秒の間に出力される信号を演算して求め、2回目の差分信号のデータはADC120から時刻2.5秒~7.5秒の間に出力される信号を演算して求める等、一部時間が重なる(時刻2.5秒~5.0秒の2.5秒)データでも良い。
【0025】
信号判定部132Aは、差分信号生成部131Aから入力される28個の差分信号のSN比を求めることで心電データを検出するのに好適かを判定し、判定結果を差分信号選択部133A及び出力選択部136Aに出力する。信号判定部132Aの判定結果は、一例として、28個の差分信号をSN比が高い方から順番に並べたデータとSN比に対応する電極の番号を表す。なお、信号判定部132AでSN比を求める為の計算ロジックはメモリ132A1に保管されていて、また、該メモリ132A1には信号判定部132Aの判定結果が保管される。
【0026】
差分信号選択部133Aは、信号判定部132Aから入力される判定結果と、差分信号生成部131Aから入力される28個の差分信号とをメモリ133A1に格納する。差分信号選択部133Aは、信号判定部132Aから入力される判定結果に基づいて、差分信号生成部131Aから入力される28個の差分信号から、心拍の計測に適した3つの差分信号を選択し、心拍検出部134Aに出力する。なお、3つの差分信号の選択方法はメモリ133A1に保管されているが、選択方法については、後述で詳細に説明する。
【0027】
心拍検出部134Aは、差分信号選択部133Aから入力される3つの差分信号をメモリ134A1に格納する。心拍検出部134Aは、差分信号選択部133Aから入力される各差分信号に基づいて、心拍(心臓の拍動)の発生する時刻を記録し、1回前の心拍の発生する時刻が記録されている場合は、それとの時間間隔を記録する。
【0028】
ところで、心電データは、心臓の心房の収縮、心室の収縮等に伴って生ずる電気信号によって生ずるものであり、P波、QRS波、T波などで構成され、それぞれの差分信号において心拍の発生する時刻として特定されるのは、主に最も大きな信号であるQRS波のピーク位置となる。しかし実際には、電極の心臓に対する取付位置によって測定される心電データの波形は異なる為、メモリ134A1に保管した所定の演算ロジックに基づいて心拍の発生する時刻は特定される。
【0029】
心拍検出部134Aは、心拍の発生する時刻、或いは時間間隔を表す3つの差分信号に対応する心拍データを心拍判定部135A及び出力選択部136Aに出力する。なお、1つの差分信号に対応する心拍データは5秒間での心拍回数に応じた複数個のデータで構成される。
【0030】
心拍判定部135Aは、心拍検出部134Aから入力される心拍データが心拍の発生する時刻の場合には心拍の発生する時間間隔を求め、心拍検出部134Aから入力される心拍データが心拍の発生する時間間隔の場合は、この時間間隔が、心拍データとして見なすべき範囲かを判定し、判定結果を出力選択部136Aに出力する。心拍データとして見なすべき範囲かの具体的な判定方法の例としては、時間間隔に、閾値以上の不連続な変化がある場合には心拍データとしては見なさない等である。
【0031】
出力選択部136Aは、心拍検出部134Aから入力される3つの心拍データと、心拍判定部135Aから入力される判定結果と、信号判定部132Aで求めたSN比に基づいて、心拍と見なせるデータのうち最も心拍の計測に適した心拍データを通信I/F130Cに出力する。
【0032】
制御部130Bは、上述のような演算部130Aの差分信号生成部131A、差分信号選択部133A、心拍検出部134A、及び出力選択部136Aの動作と、通信I/F130Cの動作とを統括し、次の差分信号を生成するタイミングでは、差分信号生成部131Aは28個の差分信号は生成しない。信号判定部132Aのメモリ132A1に保管されている電極の番号に対応する、心拍の計測に適した3つの差分信号のみを生成する。これは、心拍判定部135Aで、心拍数と見なせるデータが取得できる限りは行われ、心拍数と見なせるデータ取得できなくなった場合は、再度、28個の差分信号を生成し、心電データ検出装置100が起動している間は、以下この動作を繰り返す。
【0033】
この為、毎回28個の差分信号を生成するのに比べて、演算速度を速めることが可能であり又演算器やメモリへの負担も抑えることが可能となる。
【0034】
通信I/F130Cは、出力選択部136Aから入力される心拍データをECU150の上位装置にI/Fドライバ140によって駆動される車載ネットワークを介して伝送する。
【0035】
そして、心拍データは、例えば、運転者の緊張やストレス度合い、或いは眠気の評価等に用いられる。
【0036】
<比較用の心電データ検出方法と実施形態の心電データ検出方法>
次に、差分信号選択部133Aで行う差分信号の選択方法について説明する。なお、ここでは3つの差分信号を選択する事を前提として、比較用の心電データ検出装置における心電データ検出方法と、本実施形態における心電データ検出方法について説明する。
【0037】
図2及び図3は、8つの電極110から得られる28個の差分信号のSN比の一例を示す図である。
【0038】
ここでは、まず図2及び図3を用いて、心電データ検出装置における心電データ検出方法について説明する。
【0039】
図2には、8つの電極110の任意の2つの電極110の電圧値の差分値の大きさを示す信号、すなわち心電波形に相当する信号をSN比によって心電波形として妥当であるかを評価した値を示す。差分信号は前述したように=(8*7)/2=全部で28個の差分信号を生成する。図2では、その求めた値を右上の領域に記載した。
【0040】
図2において、横方向及び縦方向に示す1~8の数字は、8つの電極110の番号を示す。以下では、差分信号を差分信号(1-7)のように示す。差分信号(1-7)は、1番の電極110の信号と、7番の電極110の信号との差分信号の大きさである。他の番号の電極についても同様である。また、最初の数字は図2,3の横方向の電極番号に対応し、後の数字は縦方向の電極番号に対応して表記する。なお、SN比は、一例として、所定時間にわたって測定した電圧値の平均値を分母(ノイズレベル)として、ピークの値を分子(信号レベル)にして求めた比である。
【0041】
8個の電極110の信号を5秒間取得し、28個の5秒間の差分信号を求め、差分信号から心電信号を検出することで、心拍データを得る。そして、比較用の心電データ検出方法においては一例としてSN比が高い上位3つの差分信号(7-1、7-2、7-4)を選択し、選択した3つの差分信号を用いて心電信号を検出する。そして、3つの差分信号を用いて心電信号を検出できない場合には、再度選択を行う。
【0042】
ところで、衣服やシートの表皮を介して電極110と人体が加圧された状態で接近している方が良好な検出結果が得られる。このため、比較用の心電データ検出装置においては、信号の品質が良い上位3つの差分信号の元の信号を出力する電極対(2つの電極110)のうちのいずれか1つは、上位3つの差分信号において共通する電極110である場合が多い。図2では、7番の電極110が共通する電極110である。
【0043】
このため、人体が動いた場合に、共通の電極110と人体との接近状態が変化して、良好な測定状態が損なわれると、上位3つの差分信号で心拍を測定できなくなってしまう。この結果、心拍を測定できなくなかった間の心拍データが取得できない、及び、再度、28個の差分信号を取得し直し、さらに上位3つの差分信号を選択する必要が生じ、測定全体の時間が長くなるという問題がある。
【0044】
図3には、図2に示す28個の差分信号が得られた場合に比べて、電極7と人体との間隔が広くなった状態における28個の差分信号の一例を示す。電極7を含む電極対の差分信号(7-1、7-2、7-3、7-4、7-5、7-6、8-7)のSN比は低く、特に、図2における上位3つの差分信号(7-1、7-2、7-4)のSN比は、図2に比べて大きく低下している。
【0045】
このように、比較用の心電データ検出方法では、人体が動いて共通の電極110を含む電極対での良好な測定状態が損なわれると、3つの差分信号で心拍を測定できなくなる。
【0046】
実施形態の心電データ検出装置100は、このような問題を解決し、複数の差分信号の中から心電図の検出に適した差分信号を選択可能な心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法を提供する。
【0047】
<実施形態の心電データ検出方法>
差分信号選択部133Aは、以下で説明する方法に従って、差分信号生成部131Aによって生成された28個の差分信号の中から、心拍の計測に適した3つの差分信号を選択する。28個の差分信号は、複数の差分信号の一例であり、例えば図2に示すSN比を有する。
【0048】
<1番目の差分信号の選択方法>
差分信号選択部133Aは、差分信号生成部131Aによって生成された28個の差分信号の中からSN比が最大の差分信号(7-1)を選択する。差分信号選択部133Aは、このようにして、1番目の差分信号として、28個の差分信号の中からSN比が最大の差分信号(7-1)を選択する。SN比が最大の差分信号(7-1)は、心拍の計測に最適な第1差分信号の一例である。差分信号(7-1)の元の2つの信号を出力する1番及び7番の電極110は、一対の第1電極の一例である。
【0049】
<2番目の差分信号の選択方法>
差分信号選択部133Aは、28個の電極110から差分信号(7-1)の元の2つの信号を出力する一対の電極110(1番及び7番)を除いた残りの複数の電極110(2番~6番及び8番の6個の電極)の信号から生成される15個の差分信号の中からSN比が最大の差分信号(5-2)を選択する。差分信号選択部133Aは、このようにして、2番目の差分信号として、差分信号(5-2)を選択する。差分信号(5-2)は、心拍の計測に最適な第2差分信号の一例である。差分信号(5-2)の元の2つの信号を出力する2番及び5番の電極110は、一対の第2電極の一例である。
【0050】
実施形態の心電データ検出方法で2番目に選択される差分信号(5-2)は、1番目に選択された差分信号(7-1)に関する1番及び7番の電極110を除いた2番~6番及び8番の電極110から得られるため、1番又は7番の電極110と人体との接近状態が変化しても、影響を受けない差分信号である。
【0051】
なお、1番目の差分信号の選択方法と、2番目の差分信号の選択方法とを実現するためには、複数の電極110の数は、少なくとも4つ以上であればよいことになる。
【0052】
<3番目の差分信号の選択方法>
差分信号選択部133Aは、28個の電極110から、差分信号(7-1)の元の2つの信号を出力する1番及び7番の電極110と、差分信号(5-2)の元の信号を出力する2番及び5番の電極110とを除いた残りの複数の電極110(3番、4番、6番、8番の4つの電極)の信号から生成される複数、具体的には6つの差分信号(=(4*3)/2=6)の中からSN比が最大の差分信号(4-3)を選択する。差分信号選択部133Aは、このようにして、3番目の差分信号として、差分信号(4-3)を選択する。差分信号(4-3)は、心拍の計測に最適な第3差分信号の一例である。
【0053】
実施形態の心電データ検出方法で3番目に選択される差分信号(4-3)は、1番目に選択した差分信号(1-7)に関する1番及び7番の電極110と、2番目に選択した差分信号(2-5)の元の信号を出力する2番及び5番の電極110とを除いた3番、4番、6番及び8番の4つの電極110から得られるため、1番、2番、5番、又は7番の電極110と人体との接近状態が変化しても、影響を受けない差分信号である。
【0054】
以上のようにして、実施形態の心電データ検出方法では、28個の差分信号の中から、心拍の計測に適した3つの差分信号を選択する。比較用の心電データ検出方法のように、SN比が高い上位3つの差分信号を選択する方法に比べて、8つの電極110と人体との接近状態が変化しても、影響を受けにくい差分信号を選択することができる。
【0055】
なお、1番目の差分信号の選択方法と、2番目の差分信号の選択方法と、3番目の差分信号の選択方法とを実現するためには、複数の電極110の数は、少なくとも6つ以上であればよいことになる。
【0056】
この本実施形態の方法で、図3に示すような状態となった場合に選択される差分信号のSN比は、1番目に選択される差分信号(7-1)は2.4と大きく低下するが、2番目に選択される差分信号(5-2)は4.7、3番目に選択される差分信号(4-3)は4.0と大きく低下していないので、心拍の検出が可能であり、比較用の心電データ検出方法のように再度、すべての電極の差分信号を求める必要が無い。
【0057】
<3番目の差分信号の選択方法の変形例>
また、第3差分信号としての差分信号を選択する際には、上述の方法の代わりに、次のような方法を用いてもよい。
【0058】
差分信号選択部133Aは、1番目に選択した差分信号(7-1)の元の信号を出力する1番及び7番の電極110と、2番目に選択された差分信号(5-2)の元の信号を出力する2番及び5番の電極110との4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110を特定する。そして、差分信号選択部133Aは、特定した4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110のうちの2つの電極110の組合せから得られる差分信号(1-2、1-5、1-7、2-5、2-7、5-7)を特定する。さらに、差分信号選択部133Aは、差分信号生成部131Aによって生成された28個の差分信号から、特定した4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110のうちの2つの電極110の組合せから得られる差分信号(2-1、5-1、5-2、7-1、7-2、7-5)を除いた残りの複数の差分信号の中からSN比が最大の差分信号(7-4)を選択する。差分信号(7-4)は、心拍の計測に最適な第3差分信号の一例である。
【0059】
この方法では、3番目の差分信号を選択する際に、1番目に選択した差分信号(7-1)の元の信号を出力する1番及び7番の電極110と、2番目に選択された差分信号(5-2)の元の信号を出力する2番及び5番の電極110との4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110のうちのいずれか1つのみを含む電極対の差分を選択において除外したが復活させることができる。ここでは、4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110のうちのいずれか1つのみを含む電極対の一例は、差分信号(7-4)であり、1番目に選択した差分信号(7-1)の元の信号を出力する1番及び7番の電極110のうちの一方を含んでいる。
【0060】
該変形例において、図3に示すような状態となった場合に3番目に選択される差分信号(7-4)のSN比は、2.4であり、心拍の検出には適していないが4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110と人体との接近状態の変化が少ない場合には有効である。
【0061】
すなわち、3番目の差分信号の選択方法の変形例では、3番目の差分信号を選択する際に、1番目及び2番目に選択した差分信号(7-1)及び差分信号(5-2)の元の信号を出力する4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110のうちのいずれか1つのみを含む電極対を復活させるので、4つ(1番、2番、5番、7番)の電極110と人体との接近状態の変化が少ない場合には、よりSN比が高い差分信号を選択できる。
【0062】
なお、1番目の差分信号の選択方法と、2番目の差分信号の選択方法と、3番目の差分信号の選択方法の変形例とを実現するためには、複数の電極110の数は、少なくとも5つ以上であればよいことになる。
【0063】
<フローチャート>
図4は、心電データ検出装置100のMCU130が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
【0064】
処理がスタートすると、差分信号生成部131Aは、ADC120から出力される8つの電圧値の差分を表す差分信号を生成する(ステップS1)。差分信号は、差分信号選択部133A及び信号判定部132Aに伝送される。なお、一例として、8つの電極110で所定時間(例えば5秒間)にわたって測定を行えばよく、良好な測定結果が得られない場合には、測定を繰り返し行えばよい。
【0065】
信号判定部132Aは、差分信号生成部131Aから入力される28個の差分信号のSN比が高い方から順番に並べたデータを表す判定結果を生成する(ステップS2)。判定結果は、28個の差分信号の良否を表し、SN比が高い方が心拍の計測に良好な差分信号となる。
【0066】
差分信号選択部133Aは、信号判定部132Aの判定結果に基づいて、28個の差分信号から、心拍の計測に適した3つの差分信号を選択する(ステップS3)。心拍の計測に適した3つの差分信号は、図2を用いて説明した通りに選択される。選択された差分信号は、心拍検出部134Aに出力される。
【0067】
心拍検出部134Aは、差分信号選択部133Aから入力される各差分信号に基づいて心拍を検出する(ステップS4)。検出された心拍を表す心拍データは、心拍判定部135A及び出力選択部136Aに出力される。
【0068】
心拍判定部135Aは、心拍検出部134Aから入力される心拍データに基づいて、心拍データとして見なすべきかどうかの良否を判定し、判定結果を出力選択部136Aに出力する(ステップS5)。
【0069】
出力選択部136Aは、心拍検出部134Aから入力される3つの心拍データと、心拍判定部135Aから入力される判定結果とに基づいて、心拍データと見なされるデータのうち最も心拍の計測に適した心拍データを通信I/F130Cに出力する(ステップS6)。心拍判定部135の判定において、心拍データと認められるデータが取得できた場合には、次の心拍の測定タイミングにおいては、差分信号選択部133Aで選択した電極についてのみステップS1の差分信号の生成を行い、ステップS2とステップS3のステップを省略してステップS4に飛ぶ。なお、ステップS1の差分信号の生成を行う電極は差分信号選択部133AおよびステップS5で心拍のデータと判断した電極についてのみ行うようにしても良い。
【0070】
また更には、本実施態様では、差分信号選択部133Aで選択した電極についてのみステップS1の差分信号の生成を行ったが、差分信号選択部133Aで選択した電極のみ、次の心拍の測定タイミングにおいてADC120でAD変換を行うようにしても良い。
【0071】
心拍判定部135の判定において、心拍データと認められるデータが取得できなかった場合には、次の心拍の測定タイミングにおいては、ステップS1からの動作を行う。
【0072】
通信I/F130Cへの心拍データの出力は、例えば所定の時間間隔で行えばよい。なお、所定の時間間隔は、複数の時間間隔の中から選択可能に構成されていてもよい。
【0073】
<効果>
心電データ検出装置100は、人体に対向して配置される複数の電極110と、複数の電極110のうちの2つの電極110の信号の差分信号を生成する差分信号生成部131Aであって、複数組の2つの電極110の信号から複数の差分信号を生成する差分信号生成部131Aと、差分信号生成部131Aによって生成された複数の差分信号の中から、心拍の計測に適した差分信号を複数選択する差分信号選択部133Aとを含み、差分信号選択部133Aは、差分信号生成部131Aによって生成された複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な第1差分信号と、複数の電極110から第1差分信号の元の信号を出力する一対の電極110を除いた残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号のうち、心拍の計測に最適な第2差分信号とを選択する。第2差分信号は、第1差分信号に関する電極110を除いた残りの電極110から得られるため、第1差分信号に関する電極110と人体との接近状態が変化しても、影響を受けにくい。
【0074】
したがって、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した差分信号を選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0075】
また、差分信号選択部133Aは、複数の電極110から、第1差分信号の元の信号を出力する一対の電極110と、第2差分信号の元の信号を出力する一対の電極110とを除いた残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号のうち、心拍の計測に最適な第3差分信号を選択してもよい。第3差分信号は、第1差分信号及び第2差分信号の元の信号を出力する4つの電極110を除いた残りの電極110から得られるため、第1差分信号及び第2差分信号の元の信号を出力する4つの電極110と人体との接近状態が変化しても、影響を受けない差分信号である。したがって、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した3つの差分信号を選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0076】
また、差分信号選択部133Aは、差分信号生成部131Aによって生成された複数の差分信号から、第1差分信号の元の信号を出力する一対の電極110と、第2差分信号の元の信号を出力する一対の電極110との4つの電極110のうちの2つの電極110から得られる差分信号を除いた残りの複数の差分信号のうち、心拍の計測に最適な第3差分信号を選択してもよい。第1差分信号及び第2差分信号の元の信号を出力する4つの電極110のうちのいずれか1つのみを含む電極対を復活させるので、4つの電極110と人体との接近状態の変化が少ない場合には、よりSN比が高い差分信号を選択できる。したがって、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した3つの差分信号を選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0077】
また、心拍の計測に適した差分信号は、SN比で評価されてもよい。差分信号の良否をSN比に基づいて容易に評価可能である。
【0078】
また、心拍の計測に最適な第1差分信号は、差分信号生成部131Aによって生成された複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号であってもよい。すべての複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号を第1差分信号として選択することで、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した第1差分信号を容易に選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0079】
また、心拍の計測に最適な第2差分信号は、複数の電極110から第1差分信号の元の信号を出力する一対の電極110を除いた残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号であってもよい。すべての複数の電極110から第1差分信号の元の信号を出力する一対の電極110を除いた残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号を第2差分信号として選択することで、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した第1差分信号及び第2差分信号を容易に選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0080】
また、心拍の計測に最適な第3差分信号は、残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号であってもよい。残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号のSN比に基づいて、心電データの検出に適した第3差分信号を容易に選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0081】
また、心拍の計測に最適な第3差分信号は、残りの複数の差分信号の中でSN比が最大の差分信号であってもよい。残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号のSN比に基づいて、心電データの検出に適した第3差分信号を容易に選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0082】
また、複数の電極110の数は、少なくとも5つ以上であってもよい。少なくとも5つ以上の電極110の信号から得られる複数の差分信号の中から心電データの検出に適した第1差分信号及び第2差分信号を選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0083】
また、複数の電極110の数は、少なくとも7つ以上であってもよい。少なくとも5つ以上の電極110の信号から得られる複数の差分信号の中から心電データの検出に適した第1差分信号、第2差分信号、及び第3差分信号を選択可能な心電データ検出装置100を提供することができる。
【0084】
心電データ検出方法は、人体に対向して配置される複数の電極110と、複数の電極110のうちの2つの電極110の信号の差分信号を生成する差分信号生成部131Aであって、複数組の2つの電極110の信号から複数の差分信号を生成する差分信号生成部131Aと、差分信号生成部131Aによって生成された複数の差分信号の中から、心拍の計測に適した差分信号を複数選択する差分信号選択部133Aとを含む心電データ検出装置100において、差分信号選択部133Aが、差分信号生成部131Aによって生成された複数の差分信号の中から心拍の計測に最適な第1差分信号を選択し、複数の電極110から第1差分信号の元の信号を出力する一対の電極110を除いた残りの複数の電極110の信号から生成される複数の差分信号のうち、心拍の計測に最適な第2差分信号を選択する。第2差分信号は、第1差分信号に関する電極110を除いた残りの電極110から得られるため、第1差分信号に関する電極110と人体との接近状態が変化しても、影響を受けない。
【0085】
したがって、複数の差分信号の中から心電データの検出に適した差分信号を選択可能な心電データ検出方法を提供することができる。
【0086】
以上、本開示の例示的な実施形態の心電データ検出装置、及び、心電データ検出方法について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
100 心電データ検出装置
110 電極
115 バッファ回路
120 ADC
130 MCU
130A 演算部
131A 差分信号生成部
132A 信号判定部
133A 差分信号選択部
134A 心拍検出部
135A 心拍判定部
136A 出力選択部
132A1、133A1、134A1、136A1 メモリ
130B 制御部
130C 通信I/F
140 I/Fドライバ
図1
図2
図3
図4