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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012700
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】補助開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/08 20060101AFI20250117BHJP
   H01H 19/10 20060101ALI20250117BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20250117BHJP
   H01H 31/02 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
H01H19/08 T
H01H19/10 A
H01H19/08 A
H01H9/02 B
H01H31/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115743
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】須田 裕文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲知
【テーマコード(参考)】
5G052
5G219
【Fターム(参考)】
5G052AA12
5G052BB02
5G052HA02
5G219HT02
(57)【要約】
【課題】補助開閉器において、電線接続の作業性を向上させる。
【解決手段】補助開閉器11は、シャフト14と、ケース15と、固定接触子16と、板ばね17と、可動接触子18と、を備えている。シャフト14は、主回路の開閉に連動して回動する。ケース15は、取り付け面に固定され、シャフト14が回動可能な状態で挿通され、電線差込穴62が形成されている。固定接触子16は、ケース15に保持され、固定接点71が形成されている。板ばね17は、ケース15に保持され、電線差込穴62に差し込まれた電線96を固定接触子16に押し付ける。可動接触子18は、可動接点83が形成され、ケース15の内側でシャフト14に嵌まり合い、シャフト14と共に回動することで可動接点83を固定接点71に接触及び離間させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主回路の開閉に連動して回動するシャフトと、
取り付け面に固定され、前記シャフトが回動可能な状態で挿通され、電線差込穴が形成されたケースと、
前記ケースに保持され、固定接点が形成された固定接触子と、
前記ケースに保持され、前記電線差込穴に差し込まれた電線を前記固定接触子に押し付ける板ばねと、
可動接点が形成され、前記ケースの内側で前記シャフトに嵌まり合い、前記シャフトと共に回動することで前記可動接点を前記固定接点に接触及び離間させる可動接触子と、を備えることを特徴とする補助開閉器。
【請求項2】
前記可動接触子は、前記シャフトに嵌まり合う円環状に形成され、周方向に沿って180度ごとに径方向外側に向かって突出した先端に前記可動接点が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補助開閉器。
【請求項3】
前記固定接触子は、周方向に沿って90度ごとに又は180度ごとに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の補助開閉器。
【請求項4】
前記シャフトは、前記主回路の開閉に連動して90度の範囲で回動することを特徴とする請求項2に記載の補助開閉器。
【請求項5】
前記固定接点は、前記シャフトの軸直角方向に沿った平板状に形成され、
前記可動接点は、前記シャフトの軸方向に沿って対向し、前記固定接点を挟むように一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の補助開閉器。
【請求項6】
前記シャフトは、二つの板材を重ね合わせて四角柱状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補助開閉器。
【請求項7】
筒状に形成され、内周が前記シャフトに嵌まり合い、外周が前記可動接触子に嵌まり合う絶縁性のシャフトガイドを備えることを特徴とする請求項1に記載の補助開閉器。
【請求項8】
前記ケースは、
前記取り付け面に固定され、前記シャフトが回動可能な状態で挿通され、前記シャフトに嵌まり合う前記可動接触子が収容されたホルダと、
前記ホルダの径方向外側に連結され、前記電線差込穴が形成され、前記固定接触子及び前記板ばねが収容されたベースと、を備え、
前記固定接触子は、径方向内側に突出した前記固定接点が前記ホルダの内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の補助開閉器。
【請求項9】
前記ベース、前記固定接触子、及び前記板ばねにより、一つのスプリング端子ユニットが構成され、一つの前記ホルダにつき二つの又は四つの前記スプリング端子ユニットが連結されることを特徴とする請求項8に記載の補助開閉器。
【請求項10】
前記ホルダは、周方向に沿って90度ごとに前記スプリング端子ユニットを連結可能な開口部が形成され、前記スプリング端子ユニットが連結されない前記開口部には、前記開口部を閉塞するブラインドプレートが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の補助開閉器。
【請求項11】
一つの前記ベースには、軸方向から見て接線方向の両側に一つずつ前記電線差込穴が形成され、各前記電線差込穴に対応する二つの前記板ばねが収容されていることを特徴とする請求項9に記載の補助開閉器。
【請求項12】
前記ホルダ、前記可動接触子、及び前記スプリング端子ユニットにより、a接点及びb接点の何れか一方又は双方を備えた一つの補助接点ユニットが構成され、前記シャフトの軸方向に沿って複数の前記補助接点ユニットが連結されていることを特徴とする請求項9に記載の補助開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助開閉器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シャフトの回転によって接点を開閉させる補助開閉器の構造が示されており、電線を接続するためのねじ端子が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2593242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ねじ端子では、電線を接続するためにねじを緩めたり締め付けたりしなければならず、作業性に改善の余地があった。
本発明の目的は、補助開閉器において、電線接続の作業性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る補助開閉器は、シャフトと、ケースと、固定接触子と、可動接触子と、板ばねと、を備えている。シャフトは、主回路の開閉に連動して回動する。ケースは、取り付け面に固定され、シャフトが回動可能な状態で挿通され、電線差込穴が形成されている。固定接触子は、ケースに保持され、固定接点が形成されている。可動接触子は、可動接点が形成され、ケースの内側でシャフトに嵌まり合い、シャフトと共に回動することで可動接点を固定接点に接触及び離間させる。板ばねは、ケースに保持され、電線差込穴に差し込まれた電線を固定接触子に押し付ける。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電線を差し込むだけで電気的に接続することができるので、電線接続の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】補助開閉器を示す図である。
図2】ブラケットを示す図である。
図3】シャフトを示す図である。
図4】シャフトガイドを示す図である。
図5】留め具を示す図である。
図6】カバーを示す図である。
図7】ホルダを示す図である。
図8】押さえ板を示す図である。
図9】ベースを示す図である。
図10】ベースを示す図である。
図11】固定接触子を示す図である。
図12】板ばねを示す図である。
図13】スプリング端子ユニットを示す図である。
図14】端子カバーを示す図である。
図15】一枚の可動接触子を示す図である。
図16】二枚の可動接触子を示す図である。
図17】補助接点ユニットの一例を示す図である。
図18】補助接点ユニットの一例を示す図である。
図19】補助接点ユニットの一例を示す図である。
図20】補助開閉器の組立を示す図である。
図21】主回路が遮断されているときの状態を示す。
図22】主回路が遮断されているときの状態を示す。
図23】主回路が投入されているときの状態を示す。
図24】主回路が投入されているときの状態を示す。
図25】電線の差し込みを示す図である。
図26】工具の差し込みを示す図である。
図27】比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、軸方向、奥行方向、及び縦方向とする。軸方向のうち、取り付け面側を内側とし、反対側を外側とする。軸直角方向のうち、互いに直交する二方向を、x方向、及びy方向とする。
図1は、補助開閉器11を示す図である。
図中の(a)は、補助開閉器11を軸方向の外側、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、補助開閉器11を軸方向の内側、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。補助開閉器11は、主回路の開閉に連動して動作する補助回路用の開閉器であり、ブラケット12に固定される。ブラケット12は、縦方向に沿った軸線に沿って直角に曲げられ、縦方向から見てL字状となるアングルブラケットであり、縦方向及び奥行方向に沿い、軸方向の外側を向いた平面が補助開閉器11の取り付け面となる。軸方向のブラケット12を挟んで補助開閉器11の反対側には、主回路の開閉に連動して回動するレバー13が配置されている。
【0010】
補助開閉器11は、シャフト14と、ケース15と、固定接触子16と、板ばね17と、可動接触子18と、を備えている。シャフト14は、軸方向に延び、レバー13に固定されることで、主回路の開閉に連動して回動する。ケース15は、ブラケット12に固定され、シャフト14が回動可能な状態で挿通されている。固定接触子16、板ばね17、及び可動接触子18は、ケース15に収容されているため、図には表れていない。
図2は、ブラケット12を示す図である。
ここでは、ブラケット12を軸方向の外側、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。ブラケット12には、軸方向に貫通した丸穴21が形成されている。
【0011】
図3は、シャフト14を示す図である。
図中の(a)は、シャフト14を軸方向の外側、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、シャフト14をy方向から見た状態を示している。シャフト14は、金属製となる二つの板材26を重ね合わせて接合し、四角柱状に形成されている。シャフト14は、断面形状がy方向を長手方向とする長方形である。板材26には、軸方向における内側の端部にフランジが形成されており、ねじによってレバー13に締結される。板材26には、軸方向における外側の端部に一対のくびれ部27が形成されている。くびれ部27は、y方向の内側に向かって凹となり、y方向の両側に一つずつ形成されている。
【0012】
図4は、シャフトガイド31を示す図である。
図中の(a)は、シャフトガイド31を軸方向の外側、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、シャフトガイド31をx方向から見た状態を示している。図中の(c)は、シャフトガイド31を軸方向の外側から見た状態を示している。シャフトガイド31は、絶縁性を有する樹脂製で、軸方向に延びる筒状に形成され、内周の断面形状は、軸方向の全体にわたってシャフト14に嵌まり合う四角形である。シャフトガイド31の外周には、軸方向の外側に四角柱部32が形成され、軸方向の内側に円柱部33が形成されている。四角柱部32は、外周の断面形状が正方形である。円柱部33は、ブラケット12の丸穴21に摺動可能に嵌まり合う。
【0013】
図5は、留め具36を示す図である。
図中の(a)は、留め具36を軸方向の外側、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、留め具36をx方向から見た状態を示している。留め具36は、絶縁性を有する樹脂製で、軸方向に沿った筒状に形成されている。留め具36は、軸方向の内側がシャフトガイド31の四角柱部32に嵌まり合うように凹状に形成されている。留め具36の外周には、軸方向の外側に円柱部37が形成されている。留め具36の内周には、シャフト14が挿通可能であり、軸方向の外側に突出する一対の爪部38が形成されている。爪部38は、y方向の内側に向かって凸となり、y方向の両側に一つずつ形成されており、スナップフィットによってシャフト14のくびれ部27に嵌まり合う。
【0014】
図6は、カバー41を示す図である。
図中の(a)は、カバー41を軸方向の一方、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、カバー41を軸方向の他方、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。カバー41は、絶縁性を有する樹脂製で、x方向及びy方向に沿った平板状であり、軸方向から見て略正方形状にされている。カバー41には、軸方向に貫通しシャフトガイド31の四角柱部32が挿通可能な丸穴42が形成されている。カバー41は、軸方向の内側と外側が定められておらず、どちらの向きにも使用される。
【0015】
図7は、ホルダ51を示す図である。
図中の(a)は、ホルダ51を軸方向の外側、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、ホルダ51を軸方向の内側、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。ホルダ51は、絶縁性を有する樹脂製で、x方向及びy方向に沿った平板状であり、軸方向から見て略正方形状にされている。ホルダ51には、軸方向に貫通しシャフトガイド31の四角柱部32が挿通可能な丸穴52が形成されている。ホルダ51のうち軸方向の外側を向いた端面には、四隅にスペーサ部53が形成されている。スペーサ部53は、軸方向から見て略扇状又は略直角三角形であり、x方向及びy方向に離れたスペーサ部53同士の間は、開口部54となる。ホルダ51には、軸方向の向きを揃えた他のホルダ51を嵌め合わせ可能であり、且つカバー41をどちらの向きからでも嵌め合わせ可能である。複数のホルダ51を軸方向に連結する場合、カバー41は、軸方向の最も内側に配置されたホルダ51の軸方向内側と、軸方向の最も外側に配置されたホルダ51の軸方向外側と、に取り付けられる。
【0016】
図8は、押さえ板46を示す図である。
ここでは、押さえ板46を軸方向の一方、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。押さえ板46は、絶縁性を有する樹脂製で、奥行方向及び縦方向に沿った平板であり、軸方向から見て略正方形を45度傾けて、奥行方向の両側を縦方向に沿って切断した略六角形状にされている。押さえ板46には、軸方向に貫通し、留め具36の円柱部37と摺動可能に嵌まり合う丸穴47が形成されている。押さえ板46は、軸方向の内側と外側が定められておらず、どちらの向きにも使用できる。
【0017】
図9は、ベース61を示す図である。
図中の(a)は、ベース61を軸方向の外側、接線方向の一方、及び径方向の外側から見た状態を示している。図中の(b)は、ベース61を軸方向の内側、接線方向の他方、及び径方向の外側から見た状態を示している。ベース61は、絶縁性を有する樹脂製であり、軸方向の内側、接線方向の両側、及び径方向の両側が閉塞され、軸方向の外側が開放された箱状に形成されている。ベース61における径方向外側の壁体には、接線方向の両側に、電線差込穴62と、工具差込穴63と、が一対ずつ形成されている。電線差込穴62は、径方向に沿って貫通し、カラー付きのフェルール端子を差し込める形状にされている。工具差込穴63は、略径方向に沿って貫通し、例えばマイナスドライバのような工具を差し込める形状にされている。ベース61は、軸方向の向きを揃えた他のベース61を軸方向に嵌め合わせ可能である。
【0018】
ベース61における径方向の内側には、一対の係合爪64が形成されている。係合爪64は、径方向の内側に向かうほど接線方向の両側に向かって突出し、ホルダ51の開口部54に嵌まり合う。ベース61の内側には、接線方向の一方側に内部隔壁65が形成されている。内部隔壁65は、軸方向の外側に突出するように形成され、軸方向から見て、接線方向に沿った辺、径方向に沿った辺、及び接線方向の一方へ向かうほど径方向の内側へ向かう斜辺によって構成されている。
図10は、ベース61を示す図である。
図中の(a)は、ベース61を軸方向の外側から見た状態を示している。図中の(b)は、ベース61において、内部隔壁65を通り接線方向及び軸方向に沿った断面を、径方向の外側から見た状態を示している。ベース61には、軸方向内側の壁体、及び内部隔壁65を軸方向に貫通した開口が形成されている。
上記のカバー41、ホルダ51、及びベース61が、ケース15を構成している。
【0019】
図11は、固定接触子16を示す図である。
図中の(a)は、固定接触子16を軸方向の外側、接線方向の一方、及び径方向の外側から見た状態を示している。図中の(b)は、固定接触子16を軸方向の外側から見た状態を示している。固定接触子16は、導電性を有する金属製であり、一枚の板材をプレス加工して成形されている。固定接触子16は、固定接点71と、二つの受け板72と、中間板73と、傾斜板74と、を備えている。固定接点71は、軸方向の外側から径方向の内側に向かって突出し、周方向に沿って延び、接線方向及び径方向に沿った平板状に形成されている。二つの受け板72は、接線方向の両側に配置され、略径方向及び軸方向に沿った平板状に形成されている。中間板73は、接線方向の中央に配置され、径方向及び軸方向に沿った平板状に形成されている。傾斜板74は、接線方向の他方側に配置され、接線方向の他方に向かうほど径方向の内側に向かう平板状に形成されている。
【0020】
図12は、板ばね17を示す図である。
ここでは、板ばね17を軸方向の外側、接線方向の一方、及び径方向の外側から見た状態を示している。板ばね17は、導電性を有する金属製で、プレス加工によって成形されており、径方向の外側に向かって凸となるようにR曲げされ、軸方向から見て径方向の略内側に向かって開いたV字状に形成されている。板ばね17の基端側は、径方向に延び、径方向及び軸方向に沿った平板状であり、板ばね17の先端側は、接線方向の外側へ向かうほど径方向の内側へ向かう平板状である。
【0021】
図13は、スプリング端子ユニット76を示す図である。
図中の(a)は、スプリング端子ユニット76を軸方向の外側、接線方向の一方、及び径方向の外側から見た状態を示している。図中の(b)は、スプリング端子ユニット76を軸方向の外側から見た状態を示している。スプリング端子ユニット76は、ベース61に、固定接触子16と二つの板ばね17を嵌め込んで構成されている。二つの板ばね17は、中間板73を挟んで背中合わせに配置されている。板ばね17は、開き角度を小さくする方向に撓ませて中間板73と受け板72との間に嵌め込まれており、基端側が中間板73に面接触し、先端が受け板72に押し付けられている。板ばね17は、開き角度を小さくする方向に撓ませることができ、ベース61の内部隔壁65、及び固定接触子16の傾斜板74は、弾性限度で板ばね17の弾性変形を停止させるストッパとなる。
【0022】
図14は、端子カバー77を示す図である。
図中の(a)は、端子カバー77を軸方向の内側、接線方向の他方、及び径方向の外側から見た状態を示している。図中の(b)は、端子カバー77を径方向の外側から見た状態を示している。端子カバー77は、絶縁性を有する樹脂製であり、軸方向の外側、及び接線方向の両側が閉塞され、径方向から見て軸方向の内側に開いた略コ字状に形成されている。端子カバー77のうち接線方向における両側の壁体は、スナップフィットによってベース61の側面に嵌まり合う。端子カバー77のうち軸方向における外側の壁体には、軸方向の内側に向かって突出する突出片78が形成されており、突出片78は、スナップフィットによって内部隔壁65の開口部に嵌まり合う。複数のスプリング端子ユニット76を軸方向に連結する場合、端子カバー77は、軸方向の外側にスプリング端子ユニット76が嵌め合わされないことで内部が露出するスプリング端子ユニット76にだけ取り付けられる。
【0023】
図15は、一枚の可動接触子18を示す図である。
図中の(a)は、可動接触子18を軸方向の一方、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。図中の(b)は、可動接触子18を軸方向の他方、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。可動接触子18は、導電性を有する金属製で、x方向及びy方向に沿った平板状であり、軸方向から見て略円環形状にされている。可動接触子18は、内周縁82と、一対の可動接点83と、一対の係合片84と、一対のU字片85と、を備えている。
【0024】
内周縁82は、軸方向に貫通した多角形状の穴であり、軸方向から見て、正八角形の各辺を延長し、得られた交点を結んだ二複合四角形型の八芒星形状にされており、シャフトガイド31の四角柱部32に対して45度ごとに嵌まり合う。
可動接点83は、y方向の両側に向かって突出したアームの先端に形成され、軸方向の一方に向かって凸状にされている。
係合片84は、x方向の両側に設けられ、周方向の一方に沿って突出し、厚さ方向に略一枚分ほど段曲げしたばね片として形成されている。
U字片85は、y方向の両側に向かって突出したアームに形成され、y方向から見て接線方向の他方に突出し、可動接点83が形成された側へのU字曲げによって接線方向の一方に折り返されている。
【0025】
図16は、二枚の可動接触子18を示す図である。
図中の(a)は、軸方向に重ね合わせた二枚の可動接触子18を、軸方向の一方、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。二枚の可動接触子18は、互いのU字片85が干渉しないように角度差をつけた状態で、可動接点83が向き合う面同士を接触させている。図中の(b)は、互いに係合させた二枚の可動接触子18を、軸方向の一方、x方向の一方、及びy方向の一方から見た状態を示している。二枚の可動接触子18は、互いを接触させたまま回転させて、係合片84同士が係合されることで一体化され、可動接点83が対向した可動接触子86が構成される。アームは、対向する可動接点83の間に固定接点71が入り込むときに、互いに離間する方向に撓ませることができ、U字片85は、弾性限度でアームの弾性変形を相互に停止させるストッパとなる。
【0026】
図17は、補助接点ユニット91の一例を示す図である。
ここでは、a接点及びb接点の双方を備えた補助接点ユニット91を、軸方向の外側から見た状態を示している。補助接点ユニット91は、ホルダ51に、四つのスプリング端子ユニット76と、一体化した可動接触子86と、を組み付けて構成されている。スプリング端子ユニット76は、ベース61の係合爪64がホルダ51の開口部54に嵌め合わされることで固定されている。可動接触子86に接触しているスプリング端子ユニット76がa接点を構成し、可動接触子86に接触していないスプリング端子ユニット76がb接点を構成する。
【0027】
図18は、補助接点ユニット91の一例を示す図である。
ここでは、b接点を備えた補助接点ユニット91を、軸方向の外側から見た状態を示している。補助接点ユニット91は、ホルダ51に、二つのスプリング端子ユニット76と、一体化した可動接触子86と、二枚のブラインドプレート55と、を組み付けて構成されている。スプリング端子ユニット76は、ベース61の係合爪64がホルダ51の開口部54に嵌め合わされることで固定されている。ブラインドプレート55は、スプリング端子ユニット76が連結されない開口部54を閉塞する。可動接触子86に接触していないスプリング端子ユニット76がb接点を構成する。
【0028】
図19は、補助接点ユニット91の一例を示す図である。
ここでは、a接点を備えた補助接点ユニット91を、軸方向の外側から見た状態を示している。補助接点ユニット91は、ホルダ51に、二つのスプリング端子ユニット76と、一体化した可動接触子86と、二枚のブラインドプレート55と、を組み付けて構成されている。スプリング端子ユニット76は、ベース61の係合爪64がホルダ51の開口部54に嵌め合わされることで固定されている。ブラインドプレート55は、スプリング端子ユニット76が連結されない開口部54を閉塞する。可動接触子86に接触しているスプリング端子ユニット76がa接点を構成する。
【0029】
図20は、補助開閉器11の組立を示す図である。
ここでは、補助開閉器11の構成部品を軸方向の一方、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。まず、シャフトガイド31に対して軸方向の内側から順に、カバー41、複数の補助接点ユニット91、及びカバー41を順に嵌め合わせ、ボルトナットによって締結し、補助接点ユニット群92を構成する。可動接触子86は、シャフトガイド31に嵌まり合った状態で、ホルダ51の軸方向外側を向いた端面と、隣接するホルダ51の軸方向内側を向いた端面、又は隣接するケース41の軸方向内側を向いた端面の何れか一方と、によって保持される。また、レバー13にシャフト14をねじによって固定する。次に、ブラケット12の丸穴21に、シャフトガイド31の円柱部33を嵌め合わせ、シャフトガイド31にシャフト14を挿通し、シャフト14に留め具36を嵌め合わせる。そして、留め具36の円柱部37に、押さえ板46の丸穴47を嵌め合わせ、ブラケット12に対して補助接点ユニット群92及び押さえ板46をボルトナットによって締結し、補助開閉器11が完成する。ブラケット12の丸穴21と押さえ板46の丸穴47は、軸受けとして機能する。
【0030】
次に、補助開閉器11の動作について説明する。
図21は、主回路が遮断されているときの状態を示す。
図中の(a)は、補助開閉器11を軸方向の内側から見た状態を示している。図中の(b)は、シャフトガイド31に嵌まり合った可動接触子86を、軸方向の一方、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。主回路が遮断されている場合、レバー13は、奥行方向の手前が縦方向の他方に下げられている。このとき、可動接触子86の可動接点83は、一方が奥行方向の奥で縦方向の一方に配置され、他方が奥行方向の手前で縦方向の他方に配置される。
図22は、主回路が遮断されているときの状態を示す。
ここでは、可動接触子86及びスプリング端子ユニット76を、軸方向の外側から見た状態を示している。主回路が遮断されている場合、太い実線で示すように、奥行方向の奥で縦方向の一方に配置されたスプリング端子ユニット76と、奥行方向の手前で縦方向の他方に配置されたスプリング端子ユニット76と、が可動接触子86によって導通する(b接点)。
【0031】
図23は、主回路が投入されているときの状態を示す。
図中の(a)は、補助開閉器11を軸方向の内側から見た状態を示している。図中の(b)は、シャフトガイド31に嵌まり合った可動接触子86を、軸方向の一方、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。主回路が投入されている場合、レバー13は、奥行方向の手前が縦方向の一方に上げられる。このとき、可動接触子86の可動接点83は、一方が奥行方向の奥で縦方向の他方に配置され、他方が奥行方向の手前で縦方向の一方に配置される。
図24は、主回路が投入されているときの状態を示す。
ここでは、可動接触子86及びスプリング端子ユニット76を、軸方向の外側から見た状態を示している。主回路が投入された場合、太い実線で示すように、奥行方向の奥で縦方向の他方に配置されたスプリング端子ユニット76と、奥行方向の手前で縦方向の一方に配置されたスプリング端子ユニット76と、が可動接触子86によって導通する(a接点)。
【0032】
図25は、電線96の差し込みを示す図である。
ここでは、スプリング端子ユニット76において、軸方向の中心を通り接線方向及び径方向に沿った断面を、軸方向の外側から見た状態を示している。電線96の先端には、カラーの付いたフェルール端子97が圧着されている。電線差込穴62にフェルール端子97が差し込まれると、フェルール端子97に押されて板ばね17が弾性変形し、先端と受け板72との間にフェルール端子97が差し込まれる。フェルール端子97は、板ばね17の弾性力によって受け板72に押し付けられ、引き抜き方向の変位が抑制された状態で補助回路に電気的に接続される。
図26は、工具98の差し込みを示す図である。
ここでは、スプリング端子ユニット76において、軸方向の中心を通り接線方向及び径方向に沿った断面を、軸方向の外側から見た状態を示している。工具98には、例えばマイナスドライバを使用する。工具差込穴63に工具98が差し込まれると、工具98に押されて板ばね17が弾性変形し、フェルール端子97の引き抜きが許容される。
【0033】
《作用効果》
次に、実施形態の主要な作用効果について説明する。
補助開閉器11は、シャフト14と、ケース15と、固定接触子16と、板ばね17と、可動接触子18と、を備えている。シャフト14は、主回路の開閉に連動して回動する。ケース15は、取り付け面に固定され、シャフト14が回動可能な状態で挿通され、電線差込穴62が形成されている。固定接触子16は、ケース15に保持され、固定接点71が形成されている。板ばね17は、ケース15に保持され、電線差込穴62に差し込まれた電線96を固定接触子16に押し付ける。可動接触子18は、可動接点83が形成され、ケース15の内側でシャフト14に嵌まり合い、シャフト14と共に回動することで可動接点83を固定接点71に接触及び離間させる。これにより、電線差込穴62に電線96を差し込むだけで電気的に接続することができるので、電線接続の作業性を向上させることができる。
【0034】
可動接触子18は、シャフト14に嵌まり合う円環状に形成され、周方向に沿って180度ごとに径方向外側に向かって突出した先端に可動接点83が形成されている。これにより、軸方向から見て一対の可動接点83が直線状に並び、構造をシンプルにすることができる。
固定接触子16は、周方向に沿って90度ごとに又は180度ごとに設けられている。これにより、a接点やb接点を容易に構成することができる。
シャフト14は、主回路の開閉に連動して90度の範囲で回動する。これにより、a接点の開閉やb接点の開閉を容易に切り替えることができる。
【0035】
固定接点71は、シャフト14の軸直角方向に沿った平板状に形成されている。可動接点83は、シャフト14の軸方向に沿って対向し、固定接点71を挟むように一対設けられている。これにより、固定接点71に対して可動接点83を確実に接触させることができる。
シャフト14は、二つの板材を重ね合わせて四角柱状に形成されている。これにより、削り出しや鋳造よりもシャフト14を容易に形成でき、コストの増大を抑制できる。
補助開閉器11は、シャフトガイド31を備えている。シャフトガイド31は、絶縁性で、筒状に形成され、内周がシャフト14に嵌まり合い、外周が可動接触子18に嵌まり合う。これにより、シャフトガイド31の外周側を先に組み付けておき、後から内周にシャフト14を嵌め合わせることができるため、組立性が向上する。
【0036】
ケース15は、ホルダ51と、ベース61と、を備えている。ホルダ51は、取り付け面に固定され、シャフト14が回動可能な状態で挿通され、シャフト14に嵌まり合う可動接触子18が収容されている。ベース61は、ホルダ51の径方向外側に連結され、電線差込穴62が形成され、固定接触子16及び板ばね17が収容されている。固定接触子16は、径方向内側に突出した固定接点71がホルダ51の内側に配置されている。これにより、必要な個所にだけベース61及び固定接触子16を追加することができる。
ベース61、固定接触子16、及び板ばね17により、一つのスプリング端子ユニット76が構成される。一つのホルダ51につき二つの又は四つのスプリング端子ユニット76が連結される。これにより、a接点及びb接点の何れか一方又は双方を容易に構成することができる。
【0037】
ホルダ51は、周方向に沿って90度ごとにスプリング端子ユニット76を連結可能な開口部54が形成されている。スプリング端子ユニット76が連結されない開口部54には、開口部54を閉塞するブラインドプレート55が設けられている。これにより、ホルダ51の内部に塵埃が侵入することを抑制できる。
一つのベース61には、軸方向から見て接線方向の両側に一つずつ電線差込穴62が形成され、各電線差込穴62に対応する二つの板ばね17が収容されている。これにより、渡り配線ができる。
ホルダ51、可動接触子18、及びスプリング端子ユニット76により、a接点及びb接点の何れか一方又は双方を備えた一つの補助接点ユニット91が構成される。シャフト14の軸方向に沿って複数の補助接点ユニット91が連結されている。これにより、必要な分だけ補助回路を追加することができる。
【0038】
次に、比較例について説明する。
比較例では、ねじ端子によって電線を接続する構成について説明する。
図27は、比較例を示す図である。
ここでは、補助開閉器111を、軸方向の一方、奥行方向の手前、及び縦方向の一方から見た状態を示している。補助開閉器111は、ねじ端子112によって電線を接続することになる。ねじ端子112では、電線を接続するためにねじを緩めたり締め付けたりしなければならず、作業性に改善の余地があった。
【0039】
《変形例》
実施形態では、三段のホルダ51を軸方向に連結する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、四段以上のホルダ51を軸方向に連結してもよい。軸方向に連結できるホルダ51の段数は、シャフト14及びシャフトガイド31の長さによって決まる。したがって、例えば三段用、五段用、八段用のように、規定の段数に対応した長さのシャフト14及びシャフトガイド31を予め設定しておくことが望ましい。これにより、ユーザの要望に応じて補助回路を追加することができる。
【0040】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0041】
11…補助開閉器、12…ブラケット、13…レバー、14…シャフト、15…ケース、16…固定接触子、17…板ばね、18…可動接触子、21…丸穴、26…板材、27…くびれ部、31…シャフトガイド、32…四角柱部、33…円柱部、36…留め具、37…円柱部、38…爪部、41…カバー、42…丸穴、46…押さえ板、47…丸穴、51…ホルダ、52…丸穴、53…スペーサ部、54…開口部、55…ブラインドプレート、61…ベース、62…電線差込穴、63…工具差込穴、64…係合爪、65…内部隔壁、71…固定接点、72…受け板、73…中間板、74…傾斜板、76…スプリング端子ユニット、77…端子カバー、78…突出片、82…内周縁、83…可動接点、84…係合片、85…U字片、86…可動接触子、91…補助接点ユニット、92…補助接点ユニット群、96…電線、97…フェルール端子、98…工具、111…補助開閉器、112…ねじ端子
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