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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025127208
(43)【公開日】2025-09-01
(54)【発明の名称】付加加工用ヘッドおよび加工機械
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20250825BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20250825BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20250825BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20250825BHJP
   H01S 5/02253 20210101ALI20250825BHJP
   H01S 5/11 20210101ALI20250825BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20250825BHJP
   H01S 5/42 20060101ALI20250825BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K26/70
B33Y30/00
H01S5/02253
H01S5/11
H01S5/183
H01S5/42
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023798
(22)【出願日】2024-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 進
(72)【発明者】
【氏名】デ ゾイサ メーナカ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】深田 豊
【テーマコード(参考)】
4E168
5F173
【Fターム(参考)】
4E168BA33
4E168BA34
4E168BA35
4E168BA81
4E168CB03
4E168CB08
4E168DA13
4E168DA26
4E168DA32
4E168DA33
4E168EA08
4E168FC07
4E168KB01
4E168KB05
5F173AC03
5F173AC52
5F173AC70
5F173AD02
5F173MA08
5F173MC12
5F173MD07
5F173MD59
5F173MD65
5F173ME54
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】簡易な構成を備える付加加工用ヘッドおよび加工機械、を提供する。
【解決手段】付加加工用ヘッド(200)は、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なう。付加加工用ヘッド(200)は、ワークに対して相対的に移動可能なヘッド部(211)と、ヘッド部(211)に搭載され、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子を含む表面発光部(300)と、表面発光部(300)からのレーザ光をワークの表面に集光するためにレーザ光の出射方向である直線(210)上に配される集光レンズ(221)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なう付加加工用ヘッドであって、
ワークに対して相対的に移動可能なヘッド部と、
前記ヘッド部に搭載され、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子を含む表面発光部と、
前記表面発光部からのレーザ光を前記ワークの表面に集光するために前記レーザ光の出射方向である直線上に配される集光レンズと、を備える、付加加工用ヘッド。
【請求項2】
前記集光レンズは、前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向において、前記表面発光部と対向して配置される、請求項1に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項3】
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向における、前記表面発光部と、前記集光レンズとの間の距離は、前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向における、前記集光レンズと、前記レーザ光の焦点位置との間の距離よりも小さい、請求項2に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項4】
前記PCSEL素子は、前記レーザ光を出射する出射面を有する素子本体を含み、
前記表面発光部は、
前記出射面を平面視した場合に前記PCSEL素子の周りに配置され、前記PCSEL素子と電気的に接続されるp側電極と、
前記出射面を平面視した場合に前記PCSEL素子の周りに配置され、絶縁層を介して前記p側電極と積層され、前記PCSEL素子と電気的に接続されるn側電極とをさらに有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項5】
前記PCSEL素子は、前記出射面の周縁に沿って設けられる表面電極をさらに含み、
前記表面発光部は、前記n側電極上において互いに間隔を開けて設けられ、各々が前記n側電極および前記表面電極の間で延びる複数のワイヤーをさらに有する、請求項4に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項6】
前記素子本体は、前記出射面の裏側に配置される裏面をさらに有し、
前記PCSEL素子は、前記裏面に設けられる裏面電極をさらに含み、
前記表面発光部は、前記裏面電極および前記p側電極が接合される導電層をさらに有する、請求項4に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の前記付加加工用ヘッドと、
加工エリアにおいて移動可能であり、工具を回転させるための工具主軸とを備え、
前記工具主軸には、前記工具、および、前記付加加工用ヘッドのいずれか一方が選択的に装着され、
前記付加加工用ヘッドは、前記ヘッド部に設けられ、前記工具主軸によりクランプされるシャンク部を有する、加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、付加加工用ヘッドおよび加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2018-24006号公報(特許文献1)には、ワークに対して材料粉末を供給するとともにレーザ光を照射しながら相対移動可能な付加加工用ヘッドを備える加工機械が開示されている。付加加工用ヘッドには、光ファイバーを通じてレーザ光が導かれる。
【0003】
また、特許第6132995号公報(特許文献2)、特許第7384349号公報(特許文献3)および特許第7086501号公報(特許文献4)には、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子を備えた各種のレーザ加工機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-24006号公報
【特許文献2】特許第6132995号公報
【特許文献3】特許第7384349号公報
【特許文献4】特許第7086501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される加工機械においては、金属溶融に必要なエネルギーを得るために、ファイバーレーザ、ファイバーカップリング半導体レーザまたはCOレーザ等の大型のレーザ発振器を機外に設置し、光ファイバを用いてレーザ光を加工エリア内の付加加工用ヘッドに伝送している。また、ビーム品質に劣る(ビームの広がりが大きい)レーザ光が用いられるため、付加加工用ヘッドに、コリメートレンズ等のレーザ光を適切に成形するための光学部品が設けられている。これらの場合に、付加加工用ヘッドの構造が複雑になるという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、簡易な構成を備える付加加工用ヘッドおよび加工機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った付加加工用ヘッドは、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なう。付加加工用ヘッドは、ワークに対して相対的に移動可能なヘッド部と、ヘッド部に搭載され、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子を含む表面発光部と、表面発光部からのレーザ光をワークの表面に集光するためにレーザ光の出射方向である直線上に配される集光レンズとを備える。
【0008】
この発明に従った加工機械は、上記の付加加工用ヘッドと、加工エリアにおいて移動可能であり、工具を回転させるための工具主軸とを備える。工具主軸には、工具、および、付加加工用ヘッドのいずれか一方が選択的に装着される。付加加工用ヘッドは、ヘッド部に設けられ、工具主軸によりクランプされるシャンク部を有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に従えば、簡易な構成を備える付加加工用ヘッドおよび加工機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】加工機械を示す正面図である。
図2図1中の工具主軸により保持された付加加工用ヘッドを示す正面図である。
図3図2中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲の工具主軸および付加加工用ヘッドを示す断面図である。
図4図2中の付加加工用ヘッドからワークに向けたレーザ光の照射を示す図である。
図5図2中の表面発光部を発光面側から見た平面図である。
図6図2中の表面発光部を示す回路図である。
図7】PCSEL素子を示す断面図である。
図8】表面発光部、集光レンズおよびワークの相互の位置関係を示す図である。
図9図8中の2点鎖線IXで囲まれた焦点付近におけるレーザ光を示す図である。
図10図2中の付加加工用ヘッドの変形例を示す正面図である。
図11図2中の付加加工ヘッドにおける、シャンク部、表面発光部、集光レンズおよびレーザ光のスポットの関係を示す上面図である。
図12図10中の付加加工ヘッドにおける、シャンク部、表面発光部、集光レンズおよびレーザ光のスポットの関係を示す上面図である。
図13図5中の表面発光部の変形例を示す平面図である。
図14図13中の表面発光部を示す回路図である。
図15】参考例における付加加工用ヘッドを示す正面図である。
図16図15中のXVI-XVI線上の矢視方向に見た参考例における付加加工用ヘッドを示す上面図である。
図17】表面発光部を発光面側から見た図である。
図18図17中のXVIII-XVIII線上の矢視方向に見た表面発光部を示す断面図である。
図19図17中の電極積層体を示す斜視図である。
図20】この発明の実施の形態2における表面発光装置を示す斜視図である。
図21図20中の表面発光装置を示す回路図である。
図22図21中の表面発光装置における発光の一態様を示す平面図である。
図23】表面発光装置における発光の別の態様を示す平面図である。
図24】表面発光装置における発光のさらに別の態様を示す平面図である。
図25図20中の2点鎖線XXVで囲まれた範囲の表面発光装置を示す平面図である。
図26図25中の矢印XXVIに示される方向に見た表面発光装置を示す側面図である。
図27図26中のXXVII-XXVII線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。
図28図26中のXXVIII-XXVIII線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。
図29図26中のXXIX-XXIX線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。
図30図25中のXXX-XXX線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。
図31図30中の電極積層体およびスイッチング素子の間の配線を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、加工機械を示す正面図である。図1中には、加工機械の外観をなすカバー体を透視することにより、加工機械の内部が示されている。
【0013】
図1を参照して、加工機械100は、ワークの付加加工(AM(Additive Manufacturing)加工)と、ワークの除去加工(SM(Subtractive Manufacturing)加工)とが可能なAM/SMハイブリッド加工機である。加工機械100は、SM加工の機能として、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いたミーリング機能とを有する。
【0014】
加工機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Controlled)加工機械である。
【0015】
なお、本明細書においては、加工機械100の左右方向(幅方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Z軸」といい、加工機械100の前後方向(奥行き方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、鉛直方向に延びる軸を「X軸」という。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する3軸である。
【0016】
まず、加工機械100の全体構造について説明する。加工機械100は、カバー体161を有する。カバー体161は、加工エリア150を形成するとともに、加工機械100の外観をなしている。
【0017】
加工エリア150は、ワークの加工が行なわれる空間である。加工エリア150は、ワークの除去加工に伴う切屑およびクーラント(ミスト)、ならびに、ワークの付加加工に伴うヒュームが加工エリア150の外側に漏出しないように、カバー体161によって密閉されている。
【0018】
加工機械100は、ベッド141と、第1ワーク主軸111と、第2ワーク主軸116と、工具主軸121と、刃物台131とを有する。
【0019】
ベッド141は、第1ワーク主軸111、第2ワーク主軸116、工具主軸121および刃物台131等を支持するためのベース部材であり、工場などの床面に設置されている。
【0020】
第1ワーク主軸111および第2ワーク主軸116は、Z軸方向において、互いに対向して配置されている。第1ワーク主軸111および第2ワーク主軸116の各ワーク主軸は、ワークを保持可能である。第1ワーク主軸111および第2ワーク主軸116の各ワーク主軸には、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構が設けられている。第1ワーク主軸111は、保持したワークをZ軸に平行な回転中心軸101を中心に回転させる。第2ワーク主軸116は、保持したワークをZ軸に平行な回転中心軸102を中心に回転させる。
【0021】
第1ワーク主軸111は、ベッド141に固定されている。第2ワーク主軸116は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、Z軸方向に移動可能である。第2ワーク主軸116は、ベッド141に固定される構成であってもよい。
【0022】
なお、第2ワーク主軸116に替わって、第1ワーク主軸111に保持されたワークの回転中心を支持するための心押し台が設けられてもよいし、第1ワーク主軸111に保持されたワークをその外周上から支持し、ワークの振れを防ぐためのワーク振れ止め装置が設けられてもよい。
【0023】
工具主軸121は、加工エリア150に設けられている。工具主軸121は、ワークの除去加工のための工具を保持可能である。工具主軸121は、ワークのミーリング加工のための回転工具を保持可能である。工具主軸121には、工具を着脱可能に保持するためのクランプ機構126(後出の図3を参照)が設けられている。工具主軸121は、回転工具を用いたワークのミーリング加工時に、保持した回転工具をX軸-Z軸平面に平行な回転中心軸105を中心に回転させる。
【0024】
工具主軸121は、さらに、所定軸104を中心に旋回可能である(B軸旋回)。所定軸104は、Y軸と平行である。一例として、工具主軸121の旋回範囲は、工具主軸121の主軸端面123が下方を向く基準姿勢(図1中に示す姿勢)に対して±120°の範囲である。
【0025】
工具主軸121は、図示しないコラム等によりベッド141上に支持されている。工具主軸121は、加工エリア150において移動可能である。工具主軸121は、コラム等に設けられた各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能である。工具主軸121に装着された回転工具による加工位置は、3次元的に移動する。
【0026】
なお、図1中には示されていないが、第1ワーク主軸111の周辺には、工具主軸121に保持される工具を自動交換するための自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)と、工具主軸121に保持する交換用の工具を収容する工具マガジンとが設けられている。
【0027】
刃物台131は、旋削加工のための複数の固定工具を装着する。刃物台131は、いわゆるタレット形であり、複数の固定工具が放射状に取り付けられ、旋回割り出しを行なう。
【0028】
刃物台131は、旋回部132を有する。旋回部132は、Z軸に平行な旋回中心軸106を中心に旋回可能である。旋回中心軸106を中心にその周方向に間隔を隔てた位置には、固定工具を保持するための工具ホルダが取り付けられている。旋回部132が旋回中心軸106を中心に旋回することによって、工具ホルダに保持された固定工具が周方向に移動し、旋削加工に用いられる固定工具が割り出される。
【0029】
刃物台131は、図示しないサドル等によりベッド141上に支持されている。刃物台131は、サドル等に設けられた各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、X軸方向およびZ軸方向に移動可能である。刃物台131は、回転工具を回転させるミーリング機能を備えてもよい。
【0030】
続いて、付加加工用ヘッド200の構造について説明する。図2は、図1中の工具主軸により保持された付加加工用ヘッドを示す正面図である。図1および図2を参照して、加工機械100は、付加加工用ヘッド200をさらに有する。
【0031】
付加加工用ヘッド200は、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なう(指向性エネルギー堆積法(Directed Energy Deposition))。付加加工用ヘッド200は、ワークに対して材料粉末を供給するとともにレーザ光を照射することにより付加加工を行なう。材料粉末としては、ステンレス、ニッケル基合金、コバルト基合金またはチタン等の金属粉末が用いられる。なお、付加加工用ヘッド200からワークに向けて供給される材料は、金属であればよく、たとえば、線状の金属製ワイヤーであってもよい。
【0032】
付加加工用ヘッド200は、ヘッド部211を有する。ヘッド部211は、ワークと相対的に移動可能である。ヘッド部211は、付加加工用ヘッド200の外観をなす筐体からなる。ヘッド部211は、金属製である。
【0033】
工具主軸121には、工具および付加加工用ヘッド200のいずれか一方が選択的に装着される。図1および図2中には、付加加工用ヘッド200が装着された工具主軸121が示されている。ワークの付加加工時、付加加工用ヘッド200は、工具主軸121に保持されることにより、工具主軸121と一体となって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動したり、所定軸104を中心に旋回したりする。ワークの除去加工時、付加加工用ヘッド200は、工具主軸121から離脱される。
【0034】
なお、図1中には示されていないが、第2ワーク主軸116の周辺には、工具主軸121から離脱された付加加工用ヘッド200を収容するためのヘッドストッカが設けられている。
【0035】
図3は、図2中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲の工具主軸および付加加工用ヘッドを示す断面図である。図3を参照して、工具主軸121は、主軸本体122を有する。主軸本体122は、回転中心軸105を中心とする筒体からなる。主軸本体122は、回転中心軸105を中心に回転可能なように支持されている。主軸本体122は、前述の主軸端面123を有する。主軸端面123は、回転中心軸105と直交する平面からなる。
【0036】
工具主軸121(主軸本体122)には、工具挿入孔125が設けられている。工具挿入孔125は、回転中心軸105の軸方向に延び、主軸端面123に開口する孔形状をなしている。ワークの除去加工時、工具主軸121に工具が装着される場合に、工具挿入孔125に工具(のシャンク部)が挿入される。
【0037】
工具主軸121は、クランプ機構126をさらに有する。クランプ機構126は、主軸本体122に設けられている。クランプ機構126は、ワークの除去加工時に、工具を工具主軸121に保持するための機構である。クランプ機構126は、工具をクランプするクランプ状態と、工具をアンクランプするアンクランプ状態との間で動作が可能である。本実施の形態では、クランプ機構126により保持可能な工具のシャック仕様が、ポリゴンテーパシャンクである。
【0038】
付加加工用ヘッド200は、シャンク部231をさらに有する。シャンク部231は、クランプ機構126により保持可能な工具のシャンク仕様(ポリゴンテーパシャンク)に対応するシャック形状を有する。ワークの付加加工時に、工具主軸121に付加加工用ヘッド200が装着される場合に、工具挿入孔125にシャンク部231が挿入される。
【0039】
クランプ機構126は、ドローバ128と、コレット127と、バネ部材129と、アンクランプシリンダ(不図示)とを有する。
【0040】
ドローバ128は、回転中心軸105の軸上に設けられている。ドローバ128は、回転中心軸105の軸方向にスライド移動が可能なように設けられている(回転中心軸105の軸方向において、主軸端面123が位置する側を「前方側」といい、その反対側を「後方側」という)。
【0041】
コレット127は、ドローバ128の前端部に取り付けられている。コレット127は、円筒形状を有するシャンク部231の内側に配置されている。コレット127は、回転中心軸105の軸方向におけるドローバ128のスライド移動に伴って、回転中心軸105を中心に縮径したり、拡径したりするように変形する。バネ部材129は、ドローバ128の外周上に設けられている。バネ部材129は、ドローバ128に対して回転中心軸105の軸方向の後方側に向けた弾性力を作用させている。アンクランプシリンダは、ドローバ128の後端部に設けられている。アンクランプシリンダは、油圧が供給されることによって、ドローバ128を回転中心軸105の軸方向の前方側にスライド移動させるように動作する。
【0042】
このような構成において、工具主軸121に対する付加加工用ヘッド200の装着時、バネ部材129の弾性力によって、ドローバ128を回転中心軸105の軸方向の後方側に向けてスライド移動させる。コレット127は、回転中心軸105を中心に拡径するように変形しつつ、シャンク部231を回転中心軸105の軸方向の後方側に引き込む。これにより、クランプ機構126によるシャンク部231のクランプ状態が得られる。
【0043】
一方、工具主軸121からの付加加工用ヘッド200の離脱時、アンクランプシリンダに油圧を供給することによって、ドローバ128を回転中心軸105の軸方向の前方側に向けてスライド移動させる。コレット127が回転中心軸105を中心に縮径するように変形しつつ、ドローバ128がシャンク部231を回転中心軸105の軸方向の前方側に押し出す。これにより、クランプ機構126によるシャンク部231のアンクランプ状態が得られる。
【0044】
なお、工具主軸においてクランプ機構により保持可能な工具のシャック仕様は、ポリゴンテーパシャンクに限定されず、たとえば、中空テーパシャンクであってもよい。
【0045】
図2に示されるように、付加加工用ヘッド200は、材料粉末吐出部217をさらに有する。材料粉末吐出部217は、ヘッド部211に設けられている。材料粉末吐出部217は、材料粉末が流通可能な管部材からなる。材料粉末吐出部217は、後述する中心軸201からその半径方向外側に離れた位置で開口している。材料粉末吐出部217は、材料粉末をワークに向けて吐出する。
【0046】
図4は、図2中の付加加工用ヘッドからワークに向けたレーザ光の照射を示す図である。図5は、図2中の表面発光部を発光面側から見た平面図である。図6は、図2中の表面発光部を示す回路図である。図6、ならびに、後出の図14および図21中では、レーザ光を発するPCSEL素子331に対して2本の矢印が付されている。図7は、PCSEL素子を示す断面図である。
【0047】
図2から図7を参照して、付加加工用ヘッド200は、表面発光部300(300A)をさらに有する。表面発光部300は、ヘッド部211に搭載されている。表面発光部300は、ヘッド部211の内部に固定されている。
【0048】
表面発光部300は、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子331(331-1~331-36)を有する。
【0049】
図7に示されるように、PCSEL素子331は、素子本体310と、表面電極321と、裏面電極326と、AR(Anti Reflection)コート(無反射コート)層322とを有する。
【0050】
素子本体310は、たとえば、GaAs(ガリウムヒ素)から形成されている。素子本体310は、基板311と、n型クラッド層312と、活性層313と、p型ドープ層であるキャリアブロック層314と、フォトニック結晶層315と、p型クラッド層317と、裏面反射鏡(分布ブラッグ反射鏡)319と、p型コンタクト層318とを有する。基板311、n型クラッド層312、活性層313、キャリアブロック層314、フォトニック結晶層315、p型クラッド層317、裏面反射鏡319およびp型コンタクト層318は、挙げた順に、素子本体310の厚み方向に積層されている。フォトニック結晶層315には、発振波長程度の周期的な構造として、複数の空孔316が設けられている。
【0051】
なお、活性層313、キャリアブロック層314およびフォトニック結晶層315が積層される順番は、逆転してもよい。
【0052】
素子本体310は、出射面310aと、裏面310bとを有する。出射面310aは、基板311側の素子本体310の表面である。裏面310bは、p型コンタクト層318側の素子本体310の表面であり、出射面310aの反対側に配置されている。
【0053】
表面電極321は、出射面310aの周縁に沿って設けられている。表面電極321は、円形に開口する額縁形状を有する。ARコート層322は、表面電極321の開口部に設けられている。裏面電極326は、裏面310bに設けられている。表面電極321および裏面電極326の間に電圧が印加されると、活性層313で発光が生じる。その光は、フォトニック結晶層315により共振を生じ、出射面310aを通じて表面電極321の開口部からレーザ光として放出される。
【0054】
PCSEL素子331からのレーザ光の出射方向は、素子本体310(フォトニック結晶層315)と直交する方向である。PCSEL素子331において生じたレーザ光は、出射面310aおよび裏面310bに向かって進行し、後者の裏面310bに向かったレーザ光は、裏面反射鏡319で逆向きに反射されて、前者の出射面310aに向かったレーザ光とともに、出射面310aを通じて表面電極321の開口部から放出される。
【0055】
フォトニック結晶層315の格子形状(複数の空孔316の配列)は、正方格子、三角格子または直交格子など任意である。空孔316の開口形状は、特に限定されず、たとえば、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、三角形であってもよい。また、円形と孔と、楕円形の孔とが、対になって、各空孔316を構成してもよい(二重格子フォトニック結晶)。
【0056】
レーザ光の発光面をなす表面電極321の開口寸法は、特に限定されず、たとえば、直径1mmであってもよいし、直径3mmであってもよいし、直径10mmであってもよい。表面電極321の開口寸法は、直径3mm以上10mm以下の範囲であってもよい。表面電極321の開口寸法は、直径10mmを越える範囲であってもよい。
【0057】
たとえば、PCSEL素子331(表面電極321の開口寸法が直径1mm)からのレーザ光を集光することによって、出力10Wおよびスポット径約10μmのレーザ照射が可能であり、PCSEL素子331(表面電極321の開口寸法が直径3mm)からのレーザ光を集光することによって、出力50Wおよびスポット径約50μmのレーザ照射が可能である。
【0058】
図5に示されるように、複数のPCSEL素子331は、面状に配列されている。複数のPCSEL素子331は、平面状に配列されている。複数のPCSEL素子331は、互いに間隔を開けて配列されている。複数のPCSEL素子331は、等間隔に配列されている。複数のPCSEL素子331は、マトリクス状に配列されている。複数のPCSEL素子331は、正方形の平面視を有するエリアに配列されている。
【0059】
複数のPCSEL素子331(331-1~331-36)は、6×6のマトリクス状に配列されている。PCSEL素子331-1~331-6が、図5を示す紙面の縦方向に一列に並び、PCSEL素子331-12~331~7が、縦方向に一列に並び、PCSEL素子331-13~331~18が、縦方向に一列に並び、PCSEL素子331-24~331~19が、縦方向に一列に並び、PCSEL素子331-25~331~30が、縦方向に一列に並び、PCSEL素子331-36~331~31が、縦方向に一列に並んでいる。
【0060】
各PCSEL素子331には、p側電極372およびn側電極373からなる電極積層体371が電気的に接続されている。
【0061】
PCSEL素子331-1は、複数のワイヤー366を介して、p側総端子351と電気的に接続されている。PCSEL素子331-36は、複数のワイヤー367を介して、n側総端子352と電気的に接続されている。縦方向に隣り合うPCSEL素子331同士は、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続されている。図5を示す紙面の横方向に隣り合うPCSEL素子331-6およびPCSEL素子331-7が、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続され、横方向に隣り合うPCSEL素子331-12およびPCSEL素子331-13が、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続され、横方向に隣り合うPCSEL素子331-18およびPCSEL素子331-19が、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続され、横方向に隣り合うPCSEL素子331-24およびPCSEL素子331-25が、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続され、横方向に隣り合うPCSEL素子331-30およびPCSEL素子331-31が、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続されている。
【0062】
p側総端子351は、電源341のプラス側と電気的に接続され、n側総端子352は、電源341のマイナス側と電気的に接続されている。このような構成により、複数のPCSEL素子331は、電気的に直列に接続されている。PCSEL素子331-1~331-36は、挙げた順に、直列の電気回路上に並んでいる。
【0063】
なお、隣り合うPCSEL素子331同士を接続するための電極構造については、後で詳細に説明する。
【0064】
複数のPCSEL素子331からのレーザ光の出射方向は、互いに平行である。PCSEL素子331からのレーザ光の出射方向は、複数のPCSEL素子331が配列される仮想上の平面と直交する方向である。
【0065】
PCSEL素子331単体では、理論上、50~100Wの出力が可能である。PCSEL素子331単体の出力が80Wである場合を想定した場合、上記の6×6のPCSEL素子アレイでは、約3kWの出力が可能である。この出力値は、指向性エネルギー堆積法(DED)による付加加工で求められるレーザ出力性能を満たすものである。
【0066】
図2および図4に示されるように、付加加工用ヘッド200は、集光レンズ221をさらに有する。集光レンズ221は、ヘッド部211に搭載されている。集光レンズ221は、ヘッド部211の内部に固定されている。
【0067】
集光レンズ221は、表面発光部300からのレーザ光をワークWの表面に集光するためにレーザ光の出射方向である直線210上に配されている。直線210は、各PCSEL素子331からのレーザ光の光軸である。直線210は、各PCSEL素子331における表面電極321の開口中心を通り、各PCSEL素子331からのレーザ光の出射方向(直線210で示される矢印の方向)に延びる仮想上の直線である。集光レンズ221は、直線210と交わる位置に設けられている。集光レンズ221は、複数のPCSEL素子331からそれぞれ延びる複数の直線210と交わる位置に設けられている。
【0068】
集光レンズ221は、表面発光部300(複数のPCSEL素子331)からのレーザ光をワークWの表面に集光する。集光レンズ221からワークWに向かうレーザ光は、中心軸201を中心に進行する。中心軸201は、集光レンズ221からワークWに向かうレーザ光の光軸である。中心軸201は、直線210と平行である。
【0069】
集光レンズ221は、凸面223と、平面222とを有する凸レンズである。集光レンズ221は、平面222が直線210と直交するように配置されている。集光レンズ221は、中心軸201を中心に配置されている。凸面223は、表面発光部300からワークWに向かうレーザ光の経路上において、表面発光部300の側に配置され、平面222は、表面発光部300からワークWに向かうレーザ光の経路上において、ワークWの側に配置されている。
【0070】
集光レンズ221は、表面発光部300からのレーザ光の出射方向において、表面発光部300と対向している。集光レンズ221は、表面発光部300からのレーザ光の出射方向において、表面発光部300と直接、対向している。表面発光部300からのレーザ光の出射方向は、中心軸201の軸方向と平行である。表面発光部300から出射されたレーザ光は、反射鏡またはコリメートレンズ等の光学部品を介することなく、集光レンズ221に入射する。
【0071】
なお、本実施の形態では、複数のPCSEL素子331に対して1つの集光レンズ221が設けられる構成を説明したが、これに限られず、複数のPCSEL素子331の各々に対して集光レンズが設けられる構成であってもよい。たとえば、PCSEL素子331-1~331-36を有する表面発光部300に対して、36個の集光レンズ221が対向配置されてもよい。
【0072】
図1図2および図4に示されるように、付加加工用ヘッド200は、レーザ光出射部216をさらに有する。レーザ光出射部216は、ヘッド部211に設けられている。レーザ光出射部216は、ワークWと向かい合って開口している。集光レンズ221からのレーザ光は、レーザ光出射部216を通ってワークWに向けて進行する。
【0073】
表面発光部300、集光レンズ221およびレーザ光出射部216は、中心軸201の軸上に並んで設けられている。集光レンズ221は、表面発光部300およびレーザ光出射部216の間に配置されている。
【0074】
付加加工用ヘッド200が工具主軸121に装着された状態において、中心軸201が、工具主軸121の回転中心軸105と同一直線上に配置されている。このような構成において、シャンク部231は、中心軸201を中心に配置されている。シャンク部231、表面発光部300、集光レンズ221およびレーザ光出射部216は、中心軸201の軸上に並んで設けられている。表面発光部300は、中心軸201の軸方向において、シャンク部231および集光レンズ221の間に配置されている。
【0075】
シャンク部231は、中心軸201の軸方向において、表面発光部300を挟んで集光レンズ221の反対側に配置されている。
【0076】
図8は、表面発光部、集光レンズおよびワークの相互の位置関係を示す図である。図9は、図8中の2点鎖線IXで囲まれた焦点付近におけるレーザ光を示す図である。
【0077】
続いて、表面発光部300のサイズ、表面発光部300、集光レンズ221およびワークWの相互の距離、ならびに、ワークWの表面上に形成されるレーザ光のスポット径の具体例について説明する。
【0078】
図5に示されるように、レーザ光の発光面をなす表面電極321の開口寸法Dが、直径3mmである場合を想定する。
【0079】
この場合に、各PCSEL素子331は、正方形の平面視を有し、その一辺の長さEは4.5mmである。各PCSEL素子331に対応して設けられた電極積層体371は、正方形の平面視を有し、その一辺の長さBは8mmである。複数のPCSEL素子331は、縦方向および横方向に隣り合う電極積層体371間の間隔Cが1mmとなるように配列されている。このような構成において、表面発光部300は、正方形の平面視を有し、その一辺の長さLは53mmとなる。
【0080】
図8に示されるように、表面発光部300からのレーザ光の出射方向(中心軸201の軸方向)における、表面発光部300と、集光レンズ221(凸面223)との間の距離Saは、50mmである。表面発光部300からのレーザ光の出射方向(中心軸201の軸方向)における、集光レンズ221(平面222)と、レーザ光の焦点位置Fとの間の距離Sbは、200mmである。
【0081】
図8および図9に示されるように、集光レンズ221からのレーザ光の、中心軸201を中心とする直径は、集光レンズ221から離れるに従った小さくなり、焦点位置Fで最小となり、さらに焦点位置Fから離れるに従って大きくなる。焦点位置Fにおけるレーザ光のスポット径dは、3mmである。
【0082】
表面電極321の開口寸法Dが直径3mmであるPCSEL素子331を用いた表面発光部300の一辺の長さLは、50mm以上55mm以下の範囲であってもよい。表面電極321の開口寸法Dが直径3mm以上であるPCSEL素子331を用いた表面発光部300の一辺の長さLは、50mm以上100mm以下の範囲であってもよいし、50mm以上75mm以下の範囲であってもよい。
【0083】
表面発光部300および集光レンズ221の間の距離Saは、集光レンズ221およびレーザ光の焦点位置Fの間の距離Sbよりも小さいことが好ましい(Sa<Sb)。表面発光部300および集光レンズ221の間の距離Saは、集光レンズ221およびレーザ光の焦点位置Fの間の距離Sbの1/2倍以下であってもよい(Sa≦1/2Sb)。焦点位置Fにおけるレーザ光のスポット径dは、0.5mm以上5mm以下の範囲であってもよいし、1.5mm以上3mm以下の範囲であってもよい。
【0084】
表面発光部300および集光レンズ221の間の距離Saは、表面発光部300からのレーザ光の出射方向(中心軸201の軸方向)における、シャンク部231および表面発光部300の間の距離以下であってもよいし、表面発光部300からのレーザ光の出射方向(中心軸201の軸方向)における、シャンク部231および表面発光部300の間の距離よりも大きくてもよい。表面発光部300からのレーザ光の出射方向(中心軸201の軸方向)における、シャンク部231および表面発光部300の間の距離は、集光レンズ221およびレーザ光の焦点位置Fの間の距離Sb以下であってもよいし、集光レンズ221およびレーザ光の焦点位置Fの間の距離Sbよりも大きくてもよい。
【0085】
図10は、図2中の付加加工用ヘッドの変形例を示す正面図である。図10を参照して、本変形例では、付加加工用ヘッド200が工具主軸121に装着された状態において、集光レンズ221からのレーザ光の光軸に対応する中心軸201が、工具主軸121の回転中心軸105からずれて配置されている。中心軸201は、工具主軸121の回転中心軸105と平行である。
【0086】
図11は、図2中の付加加工ヘッドにおける、シャンク部、表面発光部、集光レンズおよびレーザ光のスポットの関係を示す上面図である。図12は、図10中の付加加工ヘッドにおける、シャンク部、表面発光部、集光レンズおよびレーザ光のスポットの関係を示す上面図である。
【0087】
図2および図11を参照して、中心軸201の軸方向に見た場合に、レーザ光のスポットSP、シャンク部231および表面発光部300は、集光レンズ221の外形の内側に配置されている。スポットSPおよびシャンク部231は、表面発光部300の外形の内側に配置されている。スポットSPは、シャンク部231の外形(回転中心軸105を中心とする最大径部分)の内側に配置されている。
【0088】
中心軸201の軸方向に見た場合に、表面発光部300が、シャンク部231の外形の内側に配置される構成であってもよいし、表面発光部300の一部と、シャンク部231の一部とが、互いに重なり合う構成であってもよい。
【0089】
中心軸201を中心とする集光レンズ221の直径は、表面発光部300の対角線の長さ以上である。表面発光部300の対角線の長さは、回転中心軸105を中心とするシャンク部231の最大直径以上である。表面発光部300の対角線の長さは、回転中心軸105を中心とするシャンク部231の最大直径未満であってもよい。
【0090】
図10および図12を参照して、本変形例においては、中心軸201が、工具主軸121の回転中心軸105から、Z軸方向、かつ、Y軸方向にずれている。中心軸201は、工具主軸121の回転中心軸105から、Z軸方向のみにずれる構成であってもよいし、Y軸方向のみにずれる構成であってもよい。
【0091】
図13は、図5中の表面発光部の変形例を示す平面図である。図14は、図13中の表面発光部を示す回路図である。
【0092】
図13および図14を参照して、本変形例における表面発光部300Bでは、PCSEL素子331-1が、複数のワイヤー366を介して、p側総端子351と電気的に接続されている。PCSEL素子331-12は、複数のワイヤー367を介して、n側総端子352と電気的に接続されている。PCSEL素子331-13は、複数のワイヤー366を介して、p側総端子351と電気的に接続されている。PCSEL素子331-24は、複数のワイヤー367を介して、n側総端子352と電気的に接続されている。PCSEL素子331-25は、複数のワイヤー366を介して、p側総端子351と電気的に接続されている。PCSEL素子331-36は、複数のワイヤー367を介して、n側総端子352と電気的に接続されている。
【0093】
縦方向に隣り合うPCSEL素子331同士は、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続されている。横方向に隣り合うPCSEL素子331-6およびPCSEL素子331-7は、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続され、横方向に隣り合うPCSEL素子331-18およびPCSEL素子331-19は、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続され、横方向に隣り合うPCSEL素子331-30およびPCSEL素子331-31は、複数のワイヤー361を介して、電気的に接続されている。
【0094】
3つのp側総端子351は、電源341のプラス側と電気的に接続され、3つのn側総端子352は、電源341のマイナス側と電気的に接続されている。このような構成により、PCSEL素子331-1~331-12が、挙げた順に、電気的に直列に接続され、PCSEL素子331-13~331-24が、挙げた順に、電気的に直列に接続され、PCSEL素子331-25~331-36が、挙げた順に、電気的に直列に接続されている。PCSEL素子331-1~331-12と、PCSEL素子331-1~331-12と、PCSEL素子331-13~331-24とは、互いに電気的に並列に接続されている。
【0095】
図15は、参考例における付加加工用ヘッドを示す正面図である。図16は、図15中のXVI-XVI線上の矢視方向に見た参考例における付加加工用ヘッドを示す上面図である。
【0096】
図15および図16を参照して、本参考例では、加工機械100の機外に設置されたレーザ発振器でレーザ光が発振され、そのレーザ光が、光ファイバ611を通じて、付加加工用ヘッド600に導入される。レーザ光は、コリメートレンズ612を通過することにより平行光とされる。コリメートレンズ612からのレーザ光は、付加加工用ヘッド600の内部で、第1反射鏡613、第2反射鏡614、第3反射鏡615、第4反射鏡616および第5反射鏡617で反射されながら、集光レンズ221に向けて進行する。集光レンズ221で集光されたレーザ光は、レーザ光出射部216を通じてワークに向けて出射される。
【0097】
上記の参考例においては、金属溶融に必要なエネルギーーを得るために、ファイバーレーザ、ファイバーカップリング半導体レーザまたはCOレーザ等の大型のレーザ発振器を加工エリア外に設置し、光ファイバ611を用いてレーザ光を加工エリア内の付加加工用ヘッド600に伝送している。また、付加加工用ヘッド600にコリメートレンズ612を設けることによって、光ファイバ611からのレーザ光を平行光とし、さらに、付加加工用ヘッド600に複数の反射鏡613~617を設けることによって、光ファイバ611により付加加工用ヘッド600に導入されたレーザ光を集光レンズ221まで導いている。
【0098】
図1から図14を参照して、これに対して、本実施の形態における付加加工用ヘッド200では、ワークと相対的に移動可能なヘッド部211に、複数のPCSEL素子331を含む表面発光部300と、表面発光部300からのレーザ光をワークWの表面に集光可能な集光レンズ221とが搭載されている。
【0099】
このような構成において、発光素子としてPCSEL素子331を用いた表面発光部300は、小型で高出力のレーザ照射が可能であるため、表面発光部300を付加加工用ヘッド200に直接搭載することができる。これにより、レーザ光を付加加工用ヘッド200に伝送するための光ファイバを省略して、付加加工用ヘッド200の構成を簡易化することができる。また、PCSEL素子331は、高ビーム品質(ビームの拡がりが小さい)の特性を有する。このため、コリメートレンズ等のレーザ光を成形するための光学部品を省略して、付加加工用ヘッド200の構成をさらに簡易化することができる。
【0100】
また、集光レンズ221は、表面発光部300からのレーザ光の出射方向において、表面発光部300と対向して配置されている。
【0101】
上記のとおり、表面発光部300は小型である。このため、表面発光部300を付加加工用ヘッド200に搭載した場合に、ヘッド部211内のスペースの制約に拘わらず、表面発光部300および集光レンズ221を互いに対向して配置することができる。これにより、反射鏡等のレーザ光を案内するための光学部品を省略して、付加加工用ヘッド200の構成をさらに簡易化することができる。
【0102】
また、表面発光部300および集光レンズ221の間の距離Saが、集光レンズ221およびレーザ光の焦点位置Fの間の距離Sbよりも小さい場合、ヘッド部211内に表面発光部300および集光レンズ221をよりコンパクトな空間に配置することができる。
【0103】
また、本実施の形態における加工機械100では、付加加工用ヘッド200が、工具主軸121によりクランプされるシャンク部231を有する。このような構成において、工具主軸121によりシャンク部231をクランプすることによって、付加加工用ヘッド200を工具主軸121に装着する。これにより、付加加工用ヘッド200を工具主軸121と一体に移動させながら、付加加工用ヘッド200からワークWに対してレーザ光を照射することができる。
【0104】
また、シャンク部231は、中心軸201の軸方向において、表面発光部300を挟んで集光レンズ221の反対側に配置されている。このような構成によれば、表面発光部300から出射されたレーザ光の進行に影響を与えることなく、ヘッド部211にシャンク部231を設けることができる。
【0105】
続いて、複数のPCSEL素子331同士を電気的に接続するための電極構造について説明する。
【0106】
図17は、表面発光部を発光面側から見た図である。図18は、図17中のXVIII-XVIII線上の矢視方向に見た表面発光部を示す断面図である。図17および図18中には、簡略化のため、互いに電気的に直列に接続された2つのPCSEL素子331AおよびPCSEL素子331Bが示されている。図19は、図17中の電極積層体を示す斜視図である。
【0107】
図17から図19を参照して、表面発光部300は、電極積層体371(371A,371B)をさらに有する。電極積層体371Aおよび電極積層体371Bは、それぞれ、PCSEL素子331AおよびPCSEL素子331Bに対応して設けられている。電極積層体371Aおよび電極積層体371Bは、互いに間隔を開けて設けられている。
【0108】
電極積層体371は、p側電極372と、n側電極373とを有する。p側電極372およびn側電極373の各電極は、たとえば、銅枠から構成されている。
【0109】
p側電極372は、素子本体310の出射面310aを平面視した場合に(素子本体310の厚み方向に見た場合に)、PCSEL素子331の周りに配置されている。p側電極372は、素子本体310の出射面310aを平面視した場合に、PCSEL素子331の周りで枠状に延びている。n側電極373は、素子本体310の出射面310aを平面視した場合に(素子本体310の厚み方向に見た場合に)、PCSEL素子331の周りに配置されている。n側電極373は、素子本体310の出射面310aを平面視した場合に、PCSEL素子331の周りで枠状に延びている。p側電極372およびn側電極373は、絶縁層374を介して、素子本体310の厚み方向に積層されている。
【0110】
p側電極372は、素子本体310の厚み方向と直交し、素子本体310が配置される仮想平面と交わる位置に設けられている。p側電極372は、p側電極372およびPCSEL素子331の間に隙間を設けつつ、PCSEL素子331の外周縁に沿って矩形状に延びている。n側電極373は、素子本体310の厚み方向と直交し、素子本体310が配置される仮想平面よりも、PCSEL素子331からのレーザ光の出射方向に突出した位置に設けられている。
【0111】
素子本体310の厚み方向に直交する平面により切断された場合のp側電極372の断面積は、素子本体310の厚み方向に直交する平面により切断された場合のn側電極373の断面積よりも大きい。素子本体310の厚み方向に見た場合に、p側電極372の外周縁は、n側電極373の外周縁よりも、素子本体310から離れる方向に張り出している。素子本体310の厚み方向に見た場合に、p側電極372の内周縁と、n側電極373の内周縁とは、揃っている。
【0112】
表面発光部300は、サブマウント381(381A,381B)と、導電層382(382A,382B)とをさらに有する。
【0113】
サブマウント381Aおよびサブマウント381Bは、それぞれ、PCSEL素子331AおよびPCSEL素子331Bに対応して設けられている。導電層382Aおよび導電層382Bは、それぞれ、PCSEL素子331AおよびPCSEL素子331Bに対応して設けられている。
【0114】
導電層382は、素子本体310からのレーザ光の出射方向が厚み方向となるように層状に設けられている。導電層382は、導電性の材料から形成されている。PCSEL素子331および電極積層体371は、導電層382を介して、サブマウント381に搭載されている。PCSEL素子331の裏面電極326と、電極積層体371のp側電極372とは、メッキ層である導電層382に接合されている。サブマウント381は、高熱伝導性の材料から形成されている。サブマウント381Aおよびサブマウント381Bは、互いに間隔を開けて設けられている。
【0115】
表面発光部300は、ヒートシンク386をさらに有する。ヒートシンク386には、冷却油等の冷媒が循環されている。サブマウント381(381A,381B)は、はんだ層383を介して、ヒートシンク386に接続されている。ヒートシンク386は、PCSEL素子331からの放熱を促進させる機能と、複数のPCSEL素子331を一体に保持する機能とを発揮している。
【0116】
各PCSEL素子331において、p側電極372は、PCSEL素子331と電気的に接続されている。p側電極372は、導電層382を介して、裏面電極326と電気的に接続されている。p側電極372は、PCSEL素子331の周りで枠状に延びる全周において、導電層382と接合している。裏面電極326の全面が、導電層382と接合している。
【0117】
各PCSEL素子331において、n側電極373は、PCSEL素子331と電気的に接続されている。n側電極373は、複数のワイヤー362を介して、表面電極321と電気的に接続されている。ワイヤー362は、n側電極373および表面電極321に接続されている。複数のワイヤー362は、n側電極373上において互いに間隔を開けて設けられている。複数のワイヤー362は、PCSEL素子331の周りで枠状に延びるn側電極373の周方向において、互いに間隔を開けて設けられている。複数のワイヤー362は、PCSEL素子331の周りで枠状に延びるn側電極373の全周に渡って設けられている。複数のワイヤー362は、矩形状に延びるn側電極373の四辺に設けられている。
【0118】
なお、複数のワイヤー362は、n側電極373の周方向における一部区間に設けられてもよい。複数のワイヤー362は、たとえば、矩形状に延びるn側電極373の、互いに対向する二辺に設けられてもよい。
【0119】
互いに隣り合うPCSEL素子331AおよびPCSEL素子331Bは、複数のワイヤー361を介して、互いに電気的に接続されている。ワイヤー361は、電極積層体371Aのn側電極373と、電極積層体371Bのp側電極372とに接続されている。複数のワイヤー361は、PCSEL素子331の周りで枠状に延びるp側電極372およびn側電極373の周方向において、互いに間隔を開けて設けられている。複数のワイヤー361は、n側電極373の一辺と、そのn側電極372の一辺と隣り合って平行に延びるp側電極372の一辺とに設けられている。
【0120】
電極積層体371Aのp側電極372は、複数のワイヤー366を介して、p側総端子351と電気的に接続されている。電極積層体371Bのn側電極373は、複数のワイヤー367を介して、n側総端子352と電気的に接続されている。
【0121】
図18に示されるように、p側総端子351からの電流は、ワイヤー366を通じて、電極積層体371Aのp側電極372に流れる。電流は、電極積層体371Aのp側電極372から、導電層382Aを通じて、PCSEL素子331Aの裏面電極326に流れる。PCSEL素子331Aを流れた電流は、表面電極321から、複数のワイヤー362を通じて、電極積層体371Aのn側電極373に流れる。
【0122】
電極積層体371Aのn側電極373からの電流は、複数のワイヤー361を通じて、電極積層体371Bのp側電極372に流れる。電流は、上記の電極積層体371AおよびPCSEL素子331Aにおける電流流れと同様の順番で、電極積層体371BおよびPCSEL素子331Bを流れる。電極積層体371Bのn側電極373からの電流は、複数のワイヤー367を通じて、n側総端子352に流れる。
【0123】
本実施の形態における表面発光部300においては、金属溶融に必要な高出力を実現するために、出射面310aを平面視した場合に大面積を有するPCSEL素子331が用いられている。この場合に、大面積のPCSEL素子331に対して、平面的に一様に電流を流通させることが必要である。
【0124】
これに対して、本実施の形態では、絶縁層374を介して積層されたp側電極372およびn側電極373からなる電極積層体371を、出射面310aを平面視した場合にPCSEL素子331の周りに配置しつつ、p側電極372およびn側電極373の各電極を、PCSEL素子331と電気的に接続する。このような構成によれば、出射面310aを平面視した場合のPCSEL素子331の周囲から、PCSEL素子に向けて電流を流入させるとともに、PCSEL素子331から、出射面310aを平面視した場合のPCSEL素子331の周囲に向けて電流を流出させることが可能となるため、大面積のPCSEL素子331に対しても、平面的に一様に電流を流通させることができる。
【0125】
また、p側電極372およびn側電極373の積層構造によって、複数のPCSEL素子331同士の間隔をより小さくすることができる。これにより、表面発光部300のさらなる小型化を図ることができる。
【0126】
また、PCSEL素子331は、出射面310aの周縁に沿って設けられる表面電極321を有する。PCSEL素子331およびn側電極373は、n側電極373上において互いに間隔を開けて設けられ、各々がn側電極373および表面電極321の間で延びる複数のワイヤー362によって電気的に接続されている。このような構成によれば、PCSEL素子331から、複数のワイヤー362を通じて、出射面310aを平面視した場合のPCSEL素子331の周囲に向けて電流を流出させることができる。
【0127】
また、PCSEL素子331は、素子本体310の裏面310bに設けられる裏面電極326を有する。PCSEL素子331およびp側電極372は、裏面電極326およびp側電極372が接合される導電層382によって電気的に接続されている。このような構成によれば、出射面310aを平面視した場合のPCSEL素子331の周囲から、導電層382を通じて、PCSEL素子331に向けて電流を流入させることができる。
【0128】
なお、本実施の形態では、p側電極372およびn側電極373の各電極が、PCSEL素子の四方を取り囲む枠構造を有する構成を説明したが、本発明におけるp側電極およびn側電極の各電極は、PCSEL素子の周りの少なくとも一部の範囲に配置されていればよい。たとえば、p側電極およびn側電極の各電極は、PCSEL素子を三方から取り囲む形状を有してもよい。また、p側電極およびn側電極の各電極は、PCSEL素子を挟んで互いに対向する2つの部分からなる分割構造を有してもよいし、PCSEL素子の四隅に配置される4つの部分からなる分割構造を有してもよい。
【0129】
(実施の形態2)
図20は、この発明の実施の形態2における表面発光装置を示す斜視図である。図21は、図20中の表面発光装置を示す回路図である。
【0130】
本実施の形態における表面発光装置300Cは、実施の形態1における表面発光部300Aと比較して、基本的には同様の構成を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0131】
図20および図21を参照して、本実施の形態における表面発光装置300Cは、実施の形態1における表面発光部300(300A,300B)に対応している。表面発光装置300Cは、ワークの付加加工に用いられている。より特定的には、表面発光装置300Cは、指向性エネルギー堆積法によるワークの付加加工に用いられている。表面発光装置300Cは、複数のPCSEL素子331(331-1~331-36)を有する。複数のPCSEL素子331は、互いに電気的に直列に接続されている。PCSEL素子331-1~331-36は、挙げた順に、直列の電気回路上に並んでいる。
【0132】
複数のPCSEL素子331(331-1~331-36)は、6×6のマトリクス状に配列されている。複数のPCSEL素子331は、第1方向510および第2方向520を含む平面内に面状に配列されている。複数のPCSEL素子331は、第1方向510と、第1方向510と直交する第2方向520とに並んでいる。
【0133】
なお、本明細書においては、図21を示す紙面における右方向が、第1方向510におけるプラス方向に対応し、図21を示す紙面における左方向が、第1方向510におけるマイナス方向に対応するものとする。また、図21を示す紙面における上方向が、第2方向520におけるプラス方向に対応し、図21を示す紙面の下方向が、第2方向520におけるマイナス方向に対応するものとする。
【0134】
PCSEL素子331-1、PCSEL素子331-2およびPCSEL素子331-3は、挙げた順に、第1方向510のプラス側からマイナス側に並んでいる。PCSEL素子331-4、PCSEL素子331-5およびPCSEL素子331-6は、挙げた順に、第1方向510のプラス側からマイナス側に並んでいる。PCSEL素子331-1およびPCSEL素子331-4は、挙げた順に、第2方向520のプラス側からマイナス側に並び、PCSEL素子331-2およびPCSEL素子331-5は、挙げた順に、第2方向520のプラス側からマイナス側に並び、PCSEL素子331-3およびPCSEL素子331-6は、挙げた順に、第2方向520のプラス側からマイナス側に並んでいる。
【0135】
上記と同様の順序で、PCSEL素子331-7~331-9、PCSEL素子331-10~331-12、PCSEL素子331-13~331-15、および、PCSEL素子331-16~331-18が、第1方向510および第2方向520に配列されている。
【0136】
PCSEL素子331-19~331-36は、それぞれ、PCSEL素子331-1~18を、表面発光装置300Cの発光面の中心に対して点対称に移動させた位置に設けられている。
【0137】
複数のPCSEL素子331は、PCSEL素子331-1~331-9のグループと、PCSEL素子331-10~331-18のグループと、PCSEL素子331-19~331-27のグループと、PCSEL素子331-28~331-36のグループとのグループ毎にヒートシンク386上に搭載されている。
【0138】
表面発光装置300Cは、複数のスイッチング素子431(431-1~431-36)と、複数のゲートドライバ440とをさらに有する。
【0139】
複数のスイッチング素子431は、それぞれ、複数のPCSEL素子331に対して電気的に並列に接続されている。スイッチング素子431-1~431-36は、それぞれ、PCSEL素子331-1~331-36に対応して設けられている。スイッチング素子431は、大電流に対応可能なトランジスタから構成されている。スイッチング素子431は、たとえば、GaN-FET(Field Effect Transistor)からなる。
【0140】
複数のスイッチング素子431は、マトリクス状に配列された複数のPCSEL素子331と隣り合って配置されている。複数のPCSEL素子331は、第1方向510および第2方向520を含む平面内に面状に配列されている。複数のスイッチング素子431は、マトリクス状に配列された複数のPCSEL素子331の周縁に沿って直線状に配列されている。
【0141】
スイッチング素子431-1~431-36は、それぞれ、PCSEL素子331-1~331-36に対応して設けられている。スイッチング素子431-1~431-18は、挙げた順に、PCSEL素子331-1、PCSEL素子331-4、PCSEL素子331-7、PCSEL素子331-10、PCSEL素子331-13、および、PCSEL素子331-16に沿って第2方向520に並んでいる。スイッチング素子431-1~431-3は、第2方向520において、PCSEL素子331-1と対向し、スイッチング素子431-4~431-6は、第2方向520において、PCSEL素子331-4と対向し、スイッチング素子431-7~431-9は、第2方向520において、PCSEL素子331-7と対向し、スイッチング素子431-10~431-12は、第2方向520において、PCSEL素子331-10と対向し、スイッチング素子431-13~431-15は、第2方向520において、PCSEL素子331-13と対向し、スイッチング素子431-16~431-18は、第2方向520において、PCSEL素子331-16と対向している。
【0142】
スイッチング素子431-19~431-36は、それぞれ、スイッチング素子431-1~431-18を、表面発光装置300Cの発光面の中心に対して点対称に移動させた位置に設けられている。
【0143】
複数のゲートドライバ440は、それぞれ、複数のスイッチング素子431に対応して設けられている。ゲートドライバ440は、スイッチング素子431のゲートに電圧を印加することによって、スイッチング素子431を駆動制御している。
【0144】
複数のゲートドライバ440は、第1方向510において、複数のスイッチング素子431とそれぞれ対向して配置されている。複数のスイッチング素子431および複数のゲートドライバ440は、スイッチング素子431-1~431-18、および、スイッチング素子431-1~431-18に対応する複数のゲートドライバ440のグループと、スイッチング素子431-19~431-36、および、スイッチング素子431-19~431-36に対応する複数のゲートドライバ440のグループとのグループ毎に、プリント基板441上に搭載されている。
【0145】
図22は、図21中の表面発光装置における発光の一態様を示す平面図である。図21において各PCSEL素子331に付された2本の矢印は、図22に示された発光の態様に対応している。また、図21中では、電流流れが矢印により示されている。図20から図22を参照して、スイッチング素子431がオフにされた場合、電流は、そのスイッチング素子431を流れず、そのスイッチング素子431と電気的に並列に接続されたPCSEL素子331が通電される。一方、スイッチング素子431がオンにされた場合、電流は、そのスイッチング素子431を流れて、そのスイッチング素子431と電気的に並列に接続されたPCSEL素子331が非通電とされる。
【0146】
図21および図22に示される表面発光装置300Cにおいては、スイッチング素子431-1、スイッチング素子431-9、スイッチング素子431-12、スイッチング素子431-16、スイッチング素子431-19、スイッチング素子431-27、スイッチング素子431-30およびスイッチング素子431-34が、オンとされ、残る複数のスイッチング素子431が、オフとされている。これにより、PCSEL素子331-1、PCSEL素子331-9、PCSEL素子331-12、PCSEL素子331-16、PCSEL素子331-19、PCSEL素子331-27、PCSEL素子331-30およびPCSEL素子331-34が、非発光とされ、残る複数のPCSEL素子331が、発光している。複数のPCSEL素子331の発光の態様は、表面発光装置300Cの発光面の中心を通り、第1方向510および第2方向520に延びる各直線に対して、対称である。
【0147】
図23および図24は、表面発光装置における発光の別の態様を示す平面図である。図23を参照して、スイッチング素子431-1~431-36の全てがオフとされている。これにより、PCSEL素子331-1~331-36の全てが、発光している。
【0148】
図24を参照して、スイッチング素子431-12、スイッチング素子431-15、スイッチング素子431-17、スイッチング素子431-18、スイッチング素子431-20、スイッチング素子431-21、スイッチング素子431-24およびスイッチング素子431-27が、オンとされ、残る複数のスイッチング素子431が、オフとされている。これにより、PCSEL素子331-12、PCSEL素子331-15、PCSEL素子331-17、PCSEL素子331-18、PCSEL素子331-20、PCSEL素子331-21、PCSEL素子331-24およびPCSEL素子331-27が、非発光とされ、残る複数のPCSEL素子331が、発光している。複数のPCSEL素子331の発光の態様は、表面発光装置300Cの発光面の中心を通り、第1方向510に延びる直線に対して、非対称である一方、表面発光装置300Cの発光面の中心を通り、第2方向52に延びる直線に対して、対称である。
【0149】
以上に説明したように、本実施の形態における表面発光装置300Cでは、複数のスイッチング素子431を選択的にオンオフ制御することによって、複数のPCSEL素子331のうちの任意のPCSEL素子331を発光させることができる。これにより、ワーク表面の形状、ワークを溶融させる範囲、または、ワークに対する付加加工用ヘッド200の走査方向といった付加加工における各種加工条件に合わせて、ワーク表面に形成されるレーザ光のスポット形状を変化させることができる。
【0150】
なお、集光レンズ221から出射されたレーザ光のスポット形状は、焦点位置からの距離に応じて変化する。たとえば、焦点位置から集光レンズ221側に15mm寄った位置では、表面発光装置300Cにおける発光の態様に近いスポット形状が得られ、焦点位置から集光レンズ221側に近づき、レーザ光のスポットが小さくなるに従って、スポット形状のコーナー部が丸みを帯びてゆき、焦点位置においては、単峰型のスポット形状が得られる。
【0151】
図25は、図20中の2点鎖線XXVで囲まれた範囲の表面発光装置を示す平面図である。図26は、図25中の矢印XXVIに示される方向に見た表面発光装置を示す側面図である。図27は、図26中のXXVII-XXVII線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。図28は、図26中のXXVIII-XXVIII線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。図29は、図26中のXXIX-XXIX線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。
【0152】
図30は、図25中のXXX-XXX線上の矢視方向に見た表面発光装置を示す断面図である。図31は、図30中の電極積層体およびスイッチング素子の間の配線を模式的に示す図である。
【0153】
図25から図31を参照して、表面発光装置300Cは、電極積層体461をさらに有する。以下では、代表的に、第1方向510に並ぶPCSEL素子331-1、PCSEL素子331-2およびPCSEL素子331-3に対して設けられる電極積層体461の構造を説明するが、PCSEL素子331-4~331-36に対して設けられる電極積層体461も同様の構造である。
【0154】
電極積層体461は、PCSEL素子331-1に対する電流経路と、PCSEL素子331-2に対する電流経路と、PCSEL素子331-3に対する電流経路とを構成している。電極積層体461は、第1方向510および第2方向520と直交する第3方向530において層構造をなしている。第3方向530は、PCSEL素子331からのレーザ光の出射方向(素子本体310の厚み方向)である。
【0155】
電極積層体461は、第1層471(471A,471B,471C)と、第2層472(472A,472B,472C)とを有する。
【0156】
第1層471は、PCSEL素子331に流入する電流経路を構成している。第2層472は、PCSEL素子331から流出する電流経路を構成している。第1層471および第2層472は、対になって、PCSEL素子331-1、PCSEL素子331-2およびPCSEL素子331-3の各PCSEL331に対応して設けられている。
【0157】
第1層471は、p側電極部471pと、第1延伸部471eとを有する。p側電極部471pは、実施の形態1において説明したp側電極372に対応する構成である。p側電極部471pは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331の周りで枠状に延びている。p側電極部471pは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331の外周縁に沿って矩形状に延びている。
【0158】
p側電極部471pは、PCSEL素子331と電気的に接続されている。p側電極部471pは、導電層456を介して、メッキ層である導電層382に接合されている。PCSEL素子331の裏面電極326は、メッキ層である導電層382に接合されている。p側電極372は、導電層456および導電層382を介して、裏面電極326と電気的に接続されている。
【0159】
第1延伸部471eは、p側電極部471pからスイッチング素子431に向けて第1方向510に延びている。第1延伸部471eは、PCSEL素子331から第2方向520にずれた位置で第1方向510に延びている。第1延伸部471eは、第2方向520におけるPCSEL素子331の両側で第1方向510に延びている。
【0160】
第2層472は、n側電極部472nと、第2延伸部472eとを有する。n側電極部472nは、実施の形態1において説明したn側電極373に対応する構成である。n側電極部472nは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331の周りで枠状に延びている。n側電極部472nは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331の外周縁に沿って矩形状に延びている。n側電極部472nは、第3方向530において、絶縁層481を介してp側電極部471pと層構造をなしている。
【0161】
n側電極部472nは、PCSEL素子331と電気的に接続されている。n側電極部472nは、複数のワイヤー362を介して、表面電極321と電気的に接続されている。ワイヤー362は、n側電極部472nおよび表面電極321に接続されている。複数のワイヤー362は、PCSEL素子331の周りで枠状に延びるn側電極373の周方向において、互いに間隔を開けて設けられている。複数のワイヤー362は、矩形状に延びるn側電極部472nの、第1方向510において互いに対向する二辺に設けられている。
【0162】
第2延伸部472eは、n側電極部472nからスイッチング素子431に向けて第1方向510に延びている。第2延伸部472eは、PCSEL素子331から第2方向520にずれた位置で第1方向510に延びている。第2延伸部472eは、第2方向520におけるPCSEL素子331の両側で第1方向510に延びている。第2延伸部472eは、第3方向530において、絶縁層481を介してn側電極部472nと層構造をなしている。
【0163】
第1層471Aおよび第2層472Aは、PCSEL素子331-1に対応して設けられている。第1層471Bおよび第2層472Bは、PCSEL素子331-2に対応して設けられている。第1層471Cおよび第2層472Cは、PCSEL素子331-3に対応して設けられている。
【0164】
第1層471Aのp側電極部471pは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331-1の周りで枠状に延びている。第1層471Aの第1延伸部471eは、第1層471Aのp側電極部471pからスイッチング素子431-1~431-3に向けて第1方向510に延びている。第1層471Bのp側電極部471pは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331-2の周りで枠状に延びている。第1層471Bの第1延伸部471eは、第1層471Bのp側電極部471pからスイッチング素子431-1~431-3に向けて第1方向510に延びている。第1層471Cのp側電極部471pは、第3方向530に見た場合に、PCSEL素子331-3の周りで枠状に延びている。第1層471Cの第1延伸部471eは、第1層471Cのp側電極部471pからスイッチング素子431-1~431-3に向けて第1方向510に延びている。
【0165】
図27および図30に示されるように、第1方向510におけるPCSEL素子331-1からスイッチング素子431-1~431-3に向けた範囲において、第1層471A、第1層471B、第1層471C、第2層472A、第2層472Bおよび第2層472Cが、絶縁層481を介して、第3方向530において層構造をなしている。図28および図30に示されるように、第1方向510におけるPCSEL素子331-2からPCSEL素子331-1の手前までの範囲において、第1層471B、第1層471C、第2層472Bおよび第2層472Cが、絶縁層481を介して、第3方向530において層構造をなしている。図29および図30に示されるように、第1方向510におけるPCSEL素子331-3からPCSEL素子331-2の手前までの範囲において、第1層471Cおよび第2層472Cが、絶縁層481を介して、第3方向530において層構造をなしている。
【0166】
図31に示されるように、表面発光装置300Cは、第1配線551と、第2配線552と、第3配線553と、第4配線554と、第5配線556と、第6配線557と、第7配線558とをさらに有する。第1配線551、第2配線552、第3配線553、第4配線554、第5配線556、第6配線557および第7配線558は、図20中のプリント基板441に設けられている。
【0167】
第1配線551は、図21中の電源341のプラス側から延び、第1層471Aに接続されている。第2配線552は、第2層472Aおよび第1層471Bに接続されている。第3配線553は、第2層472Bおよび第1層471Cに接続されている。第4配線554は、第2層472Cと、図21中のPCSEL素子331-4に対応して設けられた第1層471Aとに接続されている。
【0168】
第5配線556は、第1配線551および第2配線552に接続されている。第5配線556の経路上には、スイッチング素子431-1が設けられている。第6配線557は、第2配線552および第3配線553に接続されている。第6配線557の経路上には、スイッチング素子431-2が設けられている。第7配線558は、第3配線553および第4配線554に接続されている。第7配線558の経路上には、スイッチング素子431-3が設けられている。
【0169】
このような構成により、PCSEL素子331-1、PCSEL素子331-2およびPCSEL素子331-3は、第1配線551、第2配線552、第3配線553および電極積層体461によって、電気的に直列に接続されている。スイッチング素子431-1は、PCSEL素子331-1に対して電気的に並列に接続され、スイッチング素子431-2は、PCSEL素子331-2に対して電気的に並列に接続され、スイッチング素子431-3は、PCSEL素子331-3に対して電気的に並列に接続されている。
【0170】
本実施の形態では、複数のPCSEL素子331が、第1方向510と、第1方向510と直交する第2方向520とに並ぶようにマトリクス状に配列されている。このような構成において、複数のPCSEL素子331のうちの任意のPCSEL素子331を発光させることによって、ワーク表面に形成されるレーザ光のスポット形状を、ワークの付加加工の条件に合った形状に自在に変化させることができる。
【0171】
また、複数のスイッチング素子431は、第2方向520に延びる複数のPCSEL素子331の周縁に沿って、直線状に配列されている。このような構成によれば、スイッチング素子431を複数のPCSEL素子331が配置されるエリアに設置する場合と比較して、複数のPCSEL素子331同士の間隔を小さく抑えることができる。
【0172】
また、電極積層体461は、p側電極部471pおよび第1延伸部471eを有する第1層471と、n側電極部472nおよび第2延伸部472eを有する第2層472とを有し、p側電極部471pおよびn側電極部472nが、第3方向530において層構造をなし、第1延伸部471eおよび第2延伸部472eが、第3方向530において層構造をなしている。このような構成によれば、複数のPCSEL素子331が配列される平面方向において電極積層体461の設置面積を小さく抑えながら、PCSEL素子331およびスイッチング素子431間の電気的な接続を電極積層体461を通じて可能にできる。
【0173】
また、第1層471および第2層472が、第1方向510に並ぶ複数のPCSEL素子331-1~331-3の各PCSEL素子331に対応して設けられており、これら複数組の第1層471および第2層472が、第3方向530において層構造をなしている。このような構成によれば、複数のPCSEL素子331が配列される平面方向において電極積層体461の設置面積を小さく抑えながら、PCSEL素子331-1~331-3と、スイッチング素子431-1~431-3との間の電気的な接続を電極積層体461を通じて可能にできる。
【0174】
なお、本実施の形態では、複数のスイッチング素子431を第2方向520に延びる複数のPCSEL素子331の周縁に沿って直線状に配置したが、これに限られない。電極積層体の構造を変更することによって、複数のスイッチング素子431を、第1方向510に延びる複数のPCSEL素子331の周縁に沿って直線状に配置してもよいし、複数のスイッチング素子431のうちの一部を第1方向510に沿って直線状に配置し、複数のスイッチング素子431のうちの他の部分を第2方向520に沿って直線状に配置してもよい。
【0175】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0176】
100 加工機械、101,102,105 回転中心軸、104 所定軸、106 旋回中心軸、111 第1ワーク主軸、116 第2ワーク主軸、121 工具主軸、122 主軸本体、123 主軸端面、125 工具挿入孔、126 クランプ機構、127 コレット、128 ドローバ、129 バネ部材、131 刃物台、132 旋回部、141 ベッド、150 加工エリア、161 カバー体、200,600 付加加工用ヘッド、201 中心軸、210 直線、211 ヘッド部、216 レーザ光出射部、217 材料粉末吐出部、221 集光レンズ、222 平面、223 凸面、231 シャンク部、300,300A,300B 表面発光部、300C 表面発光装置、310 素子本体、310a 出射面、310b 裏面、311 基板、312 n型クラッド層、313 活性層、314 キャリアブロック層、315 フォトニック結晶層、316 空孔、317 p型クラッド層、318 p型コンタクト層、319 裏面反射鏡、321 表面電極、322 ARコート層、326 裏面電極、331,331A,331B PCSEL素子、341 電源、351 p側総端子、352 n側総端子、361,362,366,367 ワイヤー、371,371A,371B,461 電極積層体、372 p側電極、373 n側電極、374,481 絶縁層、381,381A,381B サブマウント、382,382A,382B,456 導電層、383 はんだ層、386 ヒートシンク、431 スイッチング素子、440 ゲートドライバ、441 プリント基板、471,471A,471B,471C 第1層、471e 第1延伸部、471p p側電極部、472n n側電極部、472,472A,472B,472C 第2層、472e 第2延伸部、510 第1方向、520 第2方向、530 第3方向、551 第1配線、552 第2配線、553 第3配線、554 第4配線、556 第5配線、557 第6配線、558 第7配線、611 光ファイバ、612 コリメートレンズ、613 第1反射鏡、614 第2反射鏡、615 第3反射鏡、616 第4反射鏡、617 第5反射鏡。
図1
図2
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図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2024-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機械に着脱可能であり、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なうための付加加工用ヘッドであって、
前記加工機械に装着された状態でワークに対して相対的に移動可能なヘッド部と、
前記ヘッド部に搭載され、(i)平面的に配列される複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子と、(ii)複数の前記PCSEL素子を一体に保持するとともに、前記PCSEL素子からの熱を放熱させるヒートシンクと、を有する表面発光部と、
前記表面発光部からのレーザ光を前記ワークの表面に集光するために前記レーザ光の出射方向である直線上に配される集光レンズと、を備える、付加加工用ヘッド。
【請求項2】
加工機械に着脱可能であり、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なうための付加加工用ヘッドであって、
前記加工機械に装着された状態でワークに対して相対的に移動可能なヘッド部と、
前記ヘッド部に搭載され、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子を有する表面発光部と、
前記表面発光部からのレーザ光を前記ワークの表面に集光するために前記レーザ光の出射方向である直線上に配される集光レンズと、
前記ヘッド部に設けられ、前記ヘッド部が前記加工機械に装着された状態で前記加工機械により保持される保持部とを備え、
複数の前記PCSEL素子は、所定領域に平面的に配列され、
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向に沿って見た場合に、前記所定領域の中心と、前記保持部とが、互いに離れている、付加加工用ヘッド。
【請求項3】
前記集光レンズは、前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向において、前記表面発光部と対向して配置される、請求項1または2に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項4】
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向における、前記表面発光部と、前記集光レンズとの間の距離は、前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向における、前記集光レンズと、前記レーザ光の焦点位置との間の距離よりも小さい、請求項に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項5】
前記PCSEL素子は、前記レーザ光を出射する出射面を有する素子本体を含み、
前記表面発光部は、
前記出射面を平面視した場合に前記PCSEL素子の周りに配置され、前記PCSEL素子と電気的に接続されるp側電極と、
前記出射面を平面視した場合に前記PCSEL素子の周りに配置され、絶縁層を介して前記p側電極と積層され、前記PCSEL素子と電気的に接続されるn側電極とをさらに有する、請求項1または2に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項6】
前記PCSEL素子は、前記出射面の周縁に沿って設けられる表面電極をさらに含み、
前記表面発光部は、前記n側電極上において互いに間隔を開けて設けられ、各々が前記n側電極および前記表面電極の間で延びる複数のワイヤーをさらに有する、請求項に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項7】
前記素子本体は、前記出射面の裏側に配置される裏面をさらに有し、
前記PCSEL素子は、前記裏面に設けられる裏面電極をさらに含み、
前記表面発光部は、前記裏面電極および前記p側電極が接合される導電層をさらに有する、請求項に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項8】
複数の前記PCSEL素子に対してそれぞれ電気的に接続される複数のスイッチング素子をさらに備え、
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向に沿って見た場合に、前記ヒートシンクの少なくとも一部が、複数のPCSEL素子が平面的に配列される第1領域と重なり合い、かつ、複数の前記スイッチング素子が、前記第1領域と隣り合う第2領域に配置される、請求項1に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項9】
請求項1に記載の前記付加加工用ヘッドと、
加工エリアにおいて移動可能であり、工具を回転させるための工具主軸とを備え、
前記工具主軸には、前記工具、および、前記付加加工用ヘッドのいずれか一方が選択的に装着され、
前記付加加工用ヘッドは、前記ヘッド部に設けられ、前記工具主軸によりクランプされるシャンク部を有する、加工機械。
【手続補正書】
【提出日】2025-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機械に着脱可能であり、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なうための付加加工用ヘッドであって、
前記加工機械に装着された状態でワークに対して相対的に移動可能なヘッド部と、
前記ヘッド部に搭載され、(i)平面的に配列される複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子と、(ii)複数の前記PCSEL素子を一体に保持するとともに、前記PCSEL素子からの熱を放熱させるヒートシンクと、を有する表面発光部と、
前記表面発光部からのレーザ光を前記ワークの表面に集光するために前記レーザ光の出射方向である直線上に配される集光レンズと
複数の前記PCSEL素子に対してそれぞれ電気的に接続される複数のスイッチング素子と、を備え、
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向に沿って見た場合に、前記ヒートシンクの少なくとも一部が、複数のPCSEL素子が平面的に配列される第1領域と重なり合い、かつ、複数の前記スイッチング素子が、前記第1領域と隣り合う第2領域に配置される、付加加工用ヘッド。
【請求項2】
加工機械に着脱可能であり、金属を供給するとともにレーザ光を照射することにより、金属を溶かして付加加工を行なうための付加加工用ヘッドであって、
前記加工機械に装着された状態でワークに対して相対的に移動可能なヘッド部と、
前記ヘッド部に搭載され、複数のPCSEL(Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)素子を有する表面発光部と、
前記表面発光部からのレーザ光を前記ワークの表面に集光するために前記レーザ光の出射方向である直線上に配される集光レンズと、
前記ヘッド部に設けられ、前記ヘッド部が前記加工機械に装着された状態で前記加工機械により保持される保持部とを備え、
複数の前記PCSEL素子は、所定領域に平面的に配列され、
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向に沿って見た場合に、前記所定領域の中心と、前記保持部とが、互いに離れている、付加加工用ヘッド。
【請求項3】
前記集光レンズは、前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向において、前記表面発光部と対向して配置される、請求項1または2に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項4】
前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向における、前記表面発光部と、前記集光レンズとの間の距離は、前記表面発光部からの前記レーザ光の出射方向における、前記集光レンズと、前記レーザ光の焦点位置との間の距離よりも小さい、請求項3に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項5】
前記PCSEL素子は、前記レーザ光を出射する出射面を有する素子本体を含み、
前記表面発光部は、
前記出射面を平面視した場合に前記PCSEL素子の周りに配置され、前記PCSEL素子と電気的に接続されるp側電極と、
前記出射面を平面視した場合に前記PCSEL素子の周りに配置され、絶縁層を介して前記p側電極と積層され、前記PCSEL素子と電気的に接続されるn側電極とをさらに有する、請求項1または2に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項6】
前記PCSEL素子は、前記出射面の周縁に沿って設けられる表面電極をさらに含み、
前記表面発光部は、前記n側電極上において互いに間隔を開けて設けられ、各々が前記n側電極および前記表面電極の間で延びる複数のワイヤーをさらに有する、請求項5に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項7】
前記素子本体は、前記出射面の裏側に配置される裏面をさらに有し、
前記PCSEL素子は、前記裏面に設けられる裏面電極をさらに含み、
前記表面発光部は、前記裏面電極および前記p側電極が接合される導電層をさらに有する、請求項5に記載の付加加工用ヘッド。
【請求項8】
請求項1に記載の前記付加加工用ヘッドと、
加工エリアにおいて移動可能であり、工具を回転させるための工具主軸とを備え、
前記工具主軸には、前記工具、および、前記付加加工用ヘッドのいずれか一方が選択的に装着され、
前記付加加工用ヘッドは、前記ヘッド部に設けられ、前記工具主軸によりクランプされるシャンク部を有する、加工機械。