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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012731
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】補整下着
(51)【国際特許分類】
   A41C 1/00 20060101AFI20250117BHJP
   A41C 1/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A41C1/00 E
A41C1/00 F
A41C1/00 G
A41C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115798
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】390037291
【氏名又は名称】株式会社Dstyleホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】徳田 充孝
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆之
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA09
3B131AA22
3B131AA29
3B131AB12
3B131AB13
3B131AB15
3B131BA02
3B131BA11
3B131BA12
3B131BA13
3B131BA21
3B131BA41
3B131BB27
3B131DA02
(57)【要約】
【課題】体型のみならず体質の改善につながる補整下着を提供すること。
【解決手段】補整下着は、着用者のアンダーバスト部から腹部、ヒップ部までを被覆し、補整下着の着用者に対して体表面から体内部に向けての圧力である着圧を与える弾性布を備え、アンダーバスト部の被覆部はアンダーバスト部にアンダーバスト部着圧を与え、腹部の被覆部は腹部に腹部着圧を与え、ヒップ部の被覆部はヒップ部にヒップ部着圧を与え、着用者を模した人体模型を被覆した場合に、腹部着圧がアンダーバスト部着圧及びヒップ部着圧に比べて大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補整下着であって、
着用者のアンダーバスト部から腹部、ヒップ部までを被覆し、補整下着の前記着用者に対して体表面から体内部に向けての圧力である着圧を与える弾性布を備え、
前記アンダーバスト部の被覆部は前記アンダーバスト部にアンダーバスト部着圧を与え、
前記腹部の被覆部は前記腹部に腹部着圧を与え、
前記ヒップ部の被覆部は前記ヒップ部にヒップ部着圧を与え、
前記着用者を模した人体模型を被覆した場合に、前記腹部着圧が前記アンダーバスト部着圧及び前記ヒップ部着圧に比べて大きい、
補整下着。
【請求項2】
前記腹部着圧が1.8kPa以上3.6kPa以下である、
請求項1に記載の補整下着。
【請求項3】
前記アンダーバスト部着圧と前記ヒップ部着圧とが、前記腹部着圧の1/3以上である、
請求項1又は請求項2に記載の補整下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補整下着に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体型を整える下着として補整下着が使用されている。補整下着は、当該補整下着が着用された場合に、着用者の体表面から体内部に向けての圧力である着圧を着用者に対して加える。例えば、特許文献1には、着用者の腹部付近の引き締め効果を高めた補整下着が提案されている。提案されている補整下着は、着用者の腰部からアンダーバスト部近傍までを被覆するウエスト部と、該ウエスト部に連なり、着用者の腹部、ヒップ部及び股部を被覆するパンツ部とを、備え、ウエスト部において、着用時に腰部の横方向端部に配置される第1生地と第1生地よりも中央側に隣接配置される第2生地とで着圧の大きさが異なり、第2生地が左右対象のX字形状に配置される。これにより、着用者の腰部付近の引き締め効果が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-119964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着用者の腰部付近の引き締め効果が高まるのみであり、当該補整下着を脱ぐとボディラインは元に戻ってしまい、体型及び体質を改善する機能は有していない。
【0005】
本発明は、体型のみならず体質の改善につながる補整下着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、補整下着において、腹部への着圧をアンダーバスト部への着圧及びヒップ部への着圧に比べて大きくし、特に所定の着圧が着用者にかかるよう調整することにより、体型のみならず体質の改善につながることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
(1)補整下着1は、着用者のアンダーバスト部から腹部、ヒップ部までを被覆し、補整下着1の着用者に対して体表面から体内部に向けての圧力である着圧を与える弾性布を備え、アンダーバスト部の被覆部はアンダーバスト部にアンダーバスト部着圧を与え、腹部の被覆部は腹部に腹部着圧を与え、ヒップ部の被覆部はヒップ部にヒップ部着圧を与え、着用者を模した人体模型を被覆した場合に、腹部着圧がアンダーバスト部着圧及びヒップ部着圧に比べて大きい。
【0008】
(2)(1)の補整下着1において、腹部着圧が1.8kPa以上3.6kPa以下である。
【0009】
(3)(1)又は(2)の補整下着1において、アンダーバスト部着圧とヒップ部着圧とは、腹部着圧の1/3以上である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、体型のみならず体質の改善につながる補整下着を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る補整下着の正面図である。
図2】本発明に係る補整下着の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る補整下着1について図面を適宜参照して詳細に説明する。補整下着1に関する方向の説明として、補整下着1が人体に装着された場合を想定し、人体が直立した場合の上下方向に相当する方向を上下方向、人体に対しての左右方向を左右方向、人体の周方向に相当する方向を周方向と適宜称する。左手の方向を左方向、右手の方向を右方向と称する。人体の胸側を前側、正面側、或いは正面方向、人体の背中を後側、背面側或いは背面方向と称する。補整下着1の着用者の肌が触れる側の面を裏面、裏面と反対側の面を表面と称する。
【0013】
補整下着1は、バスト部の被覆部21、アンダーバスト部の被覆部22、腹部の被覆部23、ヒップ部の被覆部24とを備え、着用者の正面側から背面側に渡り、バスト部からヒップ部までの間を被覆する。バスト部の被覆部21は、バスト部を被覆する部分である。バスト部とはバストを含む身体の周囲である。アンダーバスト部の被覆部22は、バストの下側の所謂アンダーバストから周方向に体の周囲を被覆する部分である。腹部の被覆部23は、ヘソを含み身体の上下方向の中程の正面である腹部から周方向に背中を通り体の周囲を被覆する部分である。ヒップ部の被覆部24は、ヒップから周方向に体正面を通り体の周囲を被覆する部分である。ヒップ部は身体のヘソより下において周囲長さが最大となる部分を含む。ヒップ部の被覆部24は、略円状のくり抜き部であり着用者の足が通る足ぐりを含み、股部の被覆部を含む。
【0014】
補整下着1は、複数の生地を有する。複数の生地は互いに縫い合わされている。上記の生地として、伸縮性を有し、前記補整下着1の着用者に対して体表面から体内部に向けての圧力である着圧を与える弾性布が適宜採用されている。弾性布は、例えば、ニット素材により構成されていることが好ましい。例えば、140デニールのポリアミド系繊維を横糸とし、伸びのあるウレタン糸を縦糸としたニット素材が好適である。なお、伸縮性を有するものであれば、ポリエステル、アクリル、ポリアミド等の合成樹脂製繊維を含む素材を適用することができる。伸縮性素材に加えて、伸縮性のない布吊や、不織布も採用することができる。
【0015】
弾性布においては、布を構成する繊維或いは糸に荷重が加わった場合に伸びが生じ、荷重の除去とともに伸びは元の状態にもどる。繊維或いは糸にゆっくり荷重を加えた場合において、荷重と伸びとの比に基づいて弾性の大きさは定義される。荷重に対して伸びが生じ、同一の伸びで比較して、より大きい荷重の必要な繊維或いは糸は、弾性が強いと表される。上記の生地の有する弾性の強さは、生地を構成する糸の太さ、種類、編み方、メッシュの入り方等に依存する。これらを適宜組み合わせて、所望の弾性の強さが実現される。例えば、弾性を強くする場合には、糸を太くし、メッシュではなく密に編み、例えば、ポリウレタン弾性糸を採用すること等が有効である。弾性を弱くする場合には、糸を細くし、メッシュ状にして更にメッシュを荒くすること等が有効である。
【0016】
弾性のより強い弾性布がより伸ばされた場合に、より強い着圧が実現される。同一の弾性布を用いた場合、より伸ばされている場合により強い着圧が実現される。伸ばす度合が同じ場合、より強い弾性を有する弾性布が使用される場合により強い着圧が実現される。
【0017】
本明細書では、生地の有する弾性について、強い、中程度、弱いの3段階を用いて説明する。弾性の強い生地とは、例えば、550デニールでメッシュを有さない弾性糸が採用されている生地である。中程度の弾性の生地とは、例えば、450デニールで略100メッシュの細かい目のメッシュを有する生地である。弱い弾性の生地とは、例えば、350デニールで略50メッシュ以下の粗い目のメッシュを有する生地である。但し、生地については、上記の例に限られる訳ではなく、適宜選択することが可能である。
【0018】
(補整下着の構成)
図1及び図2は補整下着1の構成、特に、生地の配置の例を説明する図である。図1は補整下着1の正面図である。図2は補整下着1の背面図である。図1図2において図中に矢印で示すように、左手側を左、右手側を右と称する。
【0019】
図1及び図2に示すように、補整下着1は、左側のバスト部111L、右側のバスト部111R、前身頃を構成する第1の左側前身頃部117L、第1の右側前身頃部117R、第2の左側前身頃部112L、第2の右側前身頃部112R、左側の後身頃部113L、右側の後身頃部113R、第3の左側前身頃部114L、第3の右側前身頃部114R、左側のヒップ部115L、右側のヒップ部115R、左側前足ぐり部116L、右側前足ぐり部116R左側の第1の座骨被覆部120L、左側の第2の座骨被覆部121L、右側の第1の座骨被覆部120R、右側の第2の座骨被覆部121R、左側腰部119L、右側腰部119R、左側の座骨下部122L、右側の座骨下部122R、尾底部118を備えている。
【0020】
又、補整下着1は、背面中央の上下方向に、生地とは別に、平ゴムからなる背面平ゴム部123を有する。補整下着1は、背面平ゴム部123を生地の表面側に有する。平ゴムは、横断面が平らな長方形を有するテープ状のゴム紐である。背面平ゴム部123は、ヒップ部の被覆部24を上方向に引き上げる。これにより、ヒップ部が上に持ち上げられ、形の良いヒップ部が実現され得る。
【0021】
更に、補整下着1は、左側肩紐124Lと右側肩紐124Rとを有する。左側肩紐124Lは、左側のバスト部111Lの上端と左側の後身頃部113Lの上端とを接続する。左側肩紐124Lは、左側のバスト部111Lと左側の後身頃部113Lとが、それぞれ下方にずり落ちるのを防止する。右側肩紐124Rは、右側のバスト部111Rの上端と右側の後身頃部113Rの上端とを接続する。右側肩紐124Rは、右側のバスト部111Rと右側の後身頃部113Rとが、それぞれ下方にずり落ちるのを防止する。
【0022】
更に、図1図2を参照して、上記各構成要素の配置及び互いの関係について説明する。
【0023】
本実施形態のバスト部の被覆部21は、左側のバスト部111Lと右側のバスト部111Rと右側の後身頃部113Rと左側の後身頃部113Lとがこの順で縫合されることにより構成されており、上記のように着用者のバスト部を含む身体周囲を被覆する。本実施形態のアンダーバスト部の被覆部22は、第2の右側前身頃部112R、第1の右側前身頃部117R、第1の左側前身頃部117L、第2の左側前身頃部112L、左側の後身頃部113L、右側の後身頃部113Rがこの順で縫合されることにより構成されており、上記のように着用者のアンダーバスト部を含む身体周囲を被覆する。
【0024】
本実施形態の腹部の被覆部23は、第1の右側前身頃部117R、第1の左側前身頃部117L、第3の左側前身頃部114L、左側の後身頃部113L、左側のヒップ部115L、左側腰部119L、右側腰部119R、右側のヒップ部115R、右側の後身頃部113R、第3の右側前身頃部114Rがこの順で縫合されることにより構成されており、上記のように着用者の腹部を含む身体周囲を被覆する。
【0025】
本実施形態のヒップ部の被覆部24は、第1の右側前身頃部117R、第1の左側前身頃部117L、第3の左側前身頃部114L、左側前足ぐり部116L、左側のヒップ部115L、左側の第1の座骨被覆部120L、左側の第2の座骨被覆部121L、左側の座骨下部122L、右側の座骨下部122R、右側の第2の座骨被覆部121R、右側の第1の座骨被覆部120R、右側のヒップ部115R、右側前足ぐり部116R、第3の右側前身頃部114R、がこの順で縫合されることにより構成されており、上記のように着用者のヒップ部を含む身体周囲を被覆する。
【0026】
本実施形態のアンダーバスト部の被覆部22と、腹部の被覆部23と、ヒップ部の被覆部24とは、第1の左側前身頃部117L、第1の右側前身頃部117R、左側の後身頃部113L、右側の後身頃部113R、第3の左側前身頃部114L、第3の右側前身頃部114R、左側のヒップ部115L、右側のヒップ部115R等を共有する。アンダーバスト部の被覆部22と腹部の被覆部23とヒップ部の被覆部24とが上記のように身体周囲を被覆するのに対して、第1の左側前身頃部117L、第1の右側前身頃部117R等が少なくとも二つ以上の被覆部を跨いで上下に長い形状を有するためである。
【0027】
図1に示すように、第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rとは、体の正面中央に上下方向に長く伸び、左右に隣り合って配置される。第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rとは、正面中央で互いに縫合されている。第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rとは、腹部付近にて横幅が広く設定されている。第1の左側前身頃部117Lは、下方にて幅が絞られて、狭い幅を有する。
第1の右側前身頃部117Rは、下方にて幅が絞られて、狭い幅を有する。
【0028】
左側のバスト部111Lは略円形の外形を有する。左側のバスト部111Lの右下と、第1の左側前身頃部117Lの上部とが縫合されている。右側のバスト部111Rは略円形の外形を有する。右側のバスト部111Rの左下と、第1の右側前身頃部117Rの上部とが縫合されている。
【0029】
第2の左側前身頃部112Lは、左側のバスト部111Lの下、且つ、第1の左側前身頃部117Lの左に配置される。第2の左側前身頃部112Lは、左側のバスト部111Lと第1の左側前身頃部117Lとに縫合される。第2の右側前身頃部112Rは、右側のバスト部111Rの下、且つ、第1の右側前身頃部117Rの右に配置される。第2の右側前身頃部112Rは、右側のバスト部111Rと第1の右側前身頃部117Rとに縫合される。
【0030】
図1及び図2に示すように、左側の後身頃部113Lは、第2の左側前身頃部112Lの左に配置され、体の背面中央までを被覆する。左側の後身頃部113Lは、第2の左側前身頃部112Lに縫合されている。右側の後身頃部113Rは第2の右側前身頃部112Rの右に配置され、体の背面中央までを被覆する。右側の後身頃部113Rは第2の右側前身頃部112Rに縫合されている。図2に示すように、左側の後身頃部113Lと右側の後身頃部113Rとは、背後中央で互いに縫合される。
【0031】
第3の左側前身頃部114Lは上下に長い形状を有する。第3の左側前身頃部114Lは第1の左側前身頃部117Lの腹部付近の左側、且つ、第2の左側前身頃部112Lの下に配置される。第3の左側前身頃部114Lは第1の左側前身頃部117Lと第2の左側前身頃部112Lとに縫合される。第3の右側前身頃部114Rは上下に長い形状を有する。第3の右側前身頃部114Rは第1の右側前身頃部117Rの腹部付近の右側、且つ、第2の右側前身頃部112Rの下に配置される。第3の右側前身頃部114Rは第1の右側前身頃部117Rと第2の右側前身頃部112Rとに縫合される。
【0032】
図1に示すように、第3の左側前身頃部114Lは、左上に左側の後身頃部113Lが配置される。又、第3の左側前身頃部114Lは、左下に左側のヒップ部115Lが配置される。第3の左側前身頃部114Lは、左側の後身頃部113Lと左側のヒップ部115Lとのそれぞれと縫い合わされている。第3の右側前身頃部114Rは、右上に右側の後身頃部113Rが配置される。第3の右側前身頃部114Rは、右下に右側のヒップ部115Rが配置される。第3の右側前身頃部114Rは、右側の後身頃部113Rと右側のヒップ部115Rとのそれぞれと縫い合わされている。
【0033】
図2に示すように、左側の後身頃部113Lは、腹部付近の背面で左側腰部119Lと縫い合わされている。右側の後身頃部113Rは、腹部付近の背面で右側腰部119Rと縫い合わされている。左側腰部119Lと右側腰部119Rとは背後中央で互いに縫合されている。左側腰部119Lと右側腰部119Rとは、それぞれ略三角形の形状を有する。それぞれの三角形の底辺で、左側腰部119Lと右側腰部119Rとは、縫合されている。左側腰部119Lと右側腰部119Rとは、縫合された状態で略菱形の形状を有する。
【0034】
図1に示すように、第3の左側前身頃部114Lは、下方において左右方向に狭く絞られて、狭い幅を有する。第3の右側前身頃部114Rは、下方において左右方向に狭く絞られて、狭い幅を有する。
【0035】
左側前足ぐり部116Lは、第3の左側前身頃部114Lの左、且つ、足が通る穴である足ぐりの上側に配置される。左側前足ぐり部116Lは、下側に底辺を有する三角形の形を有する。左側前足ぐり部116Lは、第3の左側前身頃部114Lと左側のヒップ部115Lとに縫合される。
【0036】
右側前足ぐり部116Rは、第3の右側前身頃部114Rの右、且つ、足が通る穴である足ぐりの上側に配置される。右側前足ぐり部116Rは、下側に底辺を有する三角形の形を有する。右側前足ぐり部116Rは、第3の右側前身頃部114Rと右側のヒップ部115Rとに縫合される。
【0037】
図2に示すように、左側のヒップ部115Lは、第3の左側前身頃部114Lの左側に縫合され、後方左側中央付近にまで配置される。左側の第1の座骨被覆部120Lは、左側のヒップ部115Lに縫合される。更に、左側の第2の座骨被覆部121Lは左側の第1の座骨被覆部120Lの右にて縫合される。左側の第1の座骨被覆部120Lと左側の第2の座骨被覆部121Lとはそれぞれ略半月の形状を有する。左側の第1の座骨被覆部120Lと左側の第2の座骨被覆部121Lとは、それぞれの半月の弦に相当する部位で互いに縫合される。左側の第1の座骨被覆部120Lと左側の第2の座骨被覆部121Lとは、縫合されて、合わせて略楕円の形状を有する。左側の第1の座骨被覆部120L及び左側の第2の座骨被覆部121Lとは、左側の座骨を被覆するように配置される。左側の第1の座骨被覆部120L及び左側の第2の座骨被覆部121Lとは、左側の座骨からの圧力を逃がす働きを有する。
【0038】
右側のヒップ部115Rは、第3の右側前身頃部114Rの右側に縫合され、後方右側中央付近にまで配置される。右側の第1の座骨被覆部120Rは、右側のヒップ部115Rに縫合される。更に、右側の第2の座骨被覆部121Rは右側の第1の座骨被覆部120Rの右にて縫合される。右側の第1の座骨被覆部120Rと右側の第2の座骨被覆部121Rとはそれぞれ略半月の形状を有する。右側の第1の座骨被覆部120Rと右側の第2の座骨被覆部121Rとは、それぞれの半月の弦に相当する部位で互いに縫合される。右側の第1の座骨被覆部120Rと右側の第2の座骨被覆部121Rとは、縫合されて、合わせて略楕円の形状を有する。右側の第1の座骨被覆部120R及び右側の第2の座骨被覆部121Rとは、右側の座骨を被覆するように配置される。右側の第1の座骨被覆部120R及び右側の第2の座骨被覆部121Rとは、右側の座骨からの圧力を逃がす働きを有する。
【0039】
左側のヒップ部115Lの右下、及び、左側の第2の座骨被覆部121Lに対して、左側の座骨下部122Lが縫合される。右側のヒップ部115Rの左下、及び、右側の第2の座骨被覆部121Rに対して、右側の座骨下部122Rが縫合される。補整下着1は、尾底部118の上端から、左側の座骨下部122Lと右側の座骨下部122Rとの間、左側腰部119Lと右側腰部119Rとの間、左側の後身頃部113Lと右側の後身頃部113Rとの間、に渡って背面平ゴム部123を有する。背面平ゴム部123は、上記の各部と縫い合わされている。背面平ゴム部123は高い弾性を有し、ヒップを上に持ち上げる働きを有する。
【0040】
尾底部118は、略楕円形状の部材に長方形状の部材を結合させた略団扇状の形状を有する。楕円形状の部位は、左側の座骨下部122Lの下端と右側の座骨下部122Rの下端とに縫合される。長方形状の部位は、第1の左側前身頃部117Lの下端と第1の右側前身頃部117Rの下端とに縫合される。尾底部118はヒップ部の下端に配置される。尾底部118の下端と左側肩紐124L及び右側肩紐124Rとにより補整下着1の上下位置が固定される。
【0041】
(補整下着を構成する生地が有する弾性の例)
本発明に係る補整下着1においては、アンダーバスト部の着圧、腹部の着圧、ピップ部の着圧を制御するように生地の構成が適宜設定される。複数の生地が複数の部位の着圧に影響する。1枚の生地が複数の部位の着圧に影響する場合がある。
【0042】
着圧は、補整下着1を使用者が着用した場合に、体表面が受ける体の内側に向けて生じる圧力である。アンダーバスト部の着圧(以下、アンダーバスト部着圧ともいう)とは、アンダーバスト部を周方向に被覆した補整下着1が体に与える圧力であり、アンダーバスト部の被覆部22によって与えられる。弾性体である輪ゴムを周方向に被覆したのと同様に、周方向に沿って周の全体において体の内側方向に向かって圧力がかかる。
【0043】
腹部の着圧(以下、腰部着圧ともいう)とは、腹部を周方向に被覆した補整下着1が体に与える圧力であり、腹部の被覆部23によって与えられる。弾性体である輪ゴムを周方向に被覆したのと同様に、周方向に沿って周の全体において体の内側方向に向かって圧力がかかる。
【0044】
ヒップ部の着圧(以下、ヒップ部着圧ともいう)とは、ヒップ部を周方向に被覆した補整下着1が体に与える圧力であり、ヒップ部の被覆部24によって与えられる。弾性体である輪ゴムを周方向に被覆したのと同様に、周方向に沿って周の全体において体の内側方向に向かって圧力がかかる。
【0045】
ここで、本実施形態の補整下着1は、腹部の被覆部23による腹部着圧が、アンダーバスト部の被覆部22によるアンダーバスト部着圧と、ヒップ部の被覆部24によるヒップ部着圧に比べて大きいことが望ましい。このように、腹部着圧を、アンダーバスト部着圧及びヒップ部着圧に比べて大きくすることによって、腹囲が減少し、良好な体型が得られるという効果を奏することができる。体型のみならず体質の改善につながる補整下着1が提供される。
【0046】
又、補整下着1の腹部の被覆部23による腹部着圧は、1.8kPa以上3.6kPa以下であることが望ましい。腹部着圧をこの範囲にすることにより、装着時の感覚は締め付け感のみであり赤化も問題にならず、体型の変化のみならず、体質の変化が顕著に見られるという効果を奏することができる。2cm以上の腹囲の改善が、無理のない装着感の元で期待できる。呼吸商、中性脂肪量、コレステロール量の3つの指標の内2つ以上の指標の改善を期待することができる。
【0047】
更に、補整下着1のアンダーバスト部着圧とヒップ部着圧とが、腹部着圧の1/3以上であることが望ましい。アンダーバスト部着圧とヒップ部着圧とが、腹部着圧の1/3以上に設定されることにより、腹部のみが押し付けられることに起因する違和感が生じず、違和感のない装着感が得られるという効果を奏することができる。
【0048】
上記要件を満たした補整下着1を実現するために、補整下着1を構成する各部材(111~122)は、例えば、以下のように作成される。
【0049】
補整下着1のアンダーバスト部の被覆部22の構成について説明する。第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rとに採用される生地は、伸縮性或いは弾性を有さない生地、即ち、布帛を有する。より具体的には、例えば、縦糸と横糸とで織られたポリエステル生地が採用される。伸縮性或いは弾性を有さない生地が体の前中央に配されることにより、補整下着1の中央位置が固定される。
【0050】
第2の左側前身頃部112Lと第2の右側前身頃部112Rとは、例えばバストを持ち上げ形をよくするため、中程度の弾性を有する生地を有する。左側の後身頃部113Lと右側の後身頃部113Rとは、例えば弱い弾性の生地を有する。
【0051】
アンダーバスト部における着圧は、第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rと第2の左側前身頃部112Lと第2の右側前身頃部112Rと左側の後身頃部113Lと右側の後身頃部113Rとにより設定され得る。これらの生地は、伸縮性のない生地と中程度の弾性を有する記事と弱い弾性を有する生地とを有する。このため、アンダーバスト部における着圧は、中程度の着圧を有する。
【0052】
次に、腹部付近における補整下着1の構成について説明する。第3の左側前身頃部114Lと第3の右側前身頃部114Rとは、高い弾性を有する生地を有する。左側腰部119Lと右側腰部119Rとは強い弾性を有する。左側の後身頃部113Lと右側の後身頃部113Rとは、上記したように弱い弾性の生地を有する。左側のヒップ部115Lと右側のヒップ部115Rを構成する生地は、体の上下方向には強い弾性を有し、体の横方向、言いかえると周方向、には弱い弾性を有する。ヒップの形を良く見せるため、上方向にヒップは持ち上げられる。上方向にヒップを持ち上げるため、上方向に強い弾性が求められる。そして、左側のヒップ部115L及び右側のヒップ部115Rは、上方向に強い弾性を有する生地を有する。
【0053】
腹部における着圧は、第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rと、第3の左側前身頃部114Lと、左側の後身頃部113Lと左側のヒップ部115Lと、左側腰部119Lと右側腰部119Rと、第3の右側前身頃部114Rと、右側の後身頃部113Rと右側のヒップ部115Rと、が有する生地の弾性に依存する。これらの生地は、伸縮性のない生地と高い弾性を有する生地と弱い弾性を有する生地とを有する。腹部においては、伸縮性のない第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rとは、左右に広がっている。そして、高い弾性を有する生地が第3の左側前身頃部114Lと第3の右側前身頃部114Rと左側腰部119Lと右側腰部119Rとに採用されている。このため、腹部における着圧は、伸縮性のない広い面積を有する生地と高い弾性を有する生地と弱い弾性を有する生地とに基づいている。腹部における着圧は、伸縮性のない狭い面積を有する生地と中程度弾性を有する生地と弱い弾性を有する生地とを有するアンダーバスト部に比べて、高い着圧を有する。
【0054】
次にヒップ部における補整下着1の構成について説明する。ヒップ部における着圧は、第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rと第3の左側前身頃部114Lと、第3の右側前身頃部114Rと、左側前足ぐり部116Lと右側前足ぐり部116Rと左側のヒップ部115Lと右側のヒップ部115Rと左側の第1の座骨被覆部120Lと左側の第2の座骨被覆部121Lと右側の第1の座骨被覆部120Rと右側の第2の座骨被覆部121Rと左側の座骨下部122Lと右側の座骨下部122Rとに依存する。
【0055】
第1の左側前身頃部117Lと第1の右側前身頃部117Rと第3の左側前身頃部114Lと、第3の右側前身頃部114Rとは、幅が狭く形成されている。このため、これらの弾性は、ヒップ部の着圧に大きくは影響しない。一方、左側前足ぐり部116Lと右側前足ぐり部116Rと左側のヒップ部115Lと右側のヒップ部115Rとは大きな面積を有し、ピップ部の着圧に大きく影響する。左側前足ぐり部116Lと右側前足ぐり部116Rと左側のヒップ部115Lと右側のヒップ部115Rと左側の座骨下部122Lと右側の座骨下部122Rとには弱い弾性を有する生地が用いられる。結果、ヒップ部の着圧は、腹部における着圧に比較して小さい。
【0056】
(補整下着1の着圧の評価)
最初に補整下着1の着圧の評価結果について説明する。
【0057】
まず、同一の着用者が着用した場合に各被覆部の着圧が異なる複数の補整下着1(実施例1~8、比較例1~3)が準備される。着用者に適した補整下着1は、着用者に対する着圧に基づいて最適化される。
【0058】
着用者の体型を3Dスキャンで測定して着用者或いは被験者と同程度の体型の人体模型が作成された。作成された人体模型が補整下着1で被覆される。人体模型を補整下着1で被覆した状態で、着圧が測定される。但し、被験者と同程度の体型の人体模型が用いられるのではなく、着用者と同程度の形の標準人体模型が用いられてもよい。
【0059】
例えば、身長155cmの典型的な中肉中背の女性に合わせた人体模型においては、アンダーバスト部の周囲長は71cm、腹部の周囲長は59cm、ヒップ部の周囲長は85.5cm程度である。
【0060】
着圧の測定には、接触圧測定器AMI3037-10、株式会社エイエムアイテクノ製が用いられた。この接触圧測定器は、直径20mmで厚さは数mmのエアパックセンサが用いられ、エアパック内の空気圧を測定することにより、着圧を測定することができる。本評価において、エアパックセンサは、人体模型と補整下着1との間に設置される。
エアパックセンサによる着圧の測定は、補整下着のアンダーバスト部の被覆部22に対応する位置と、腹部の被覆部23に対応する位置と、ヒップ部の被覆部24に対応する位置との3カ所を測定点として行った。本評価では、3台のセンサを各測定点に設置し、各測定点の着圧を同時に測定した。
【0061】
アンダーバスト部の測定点は、胸周りの長さが最小となる第1の略円周(略円周はほぼ上下方向に垂直)上のわきの下に近い左側面とした。
腹部の測定点は、身体の周囲でヘソを含む第2の略円周上の左脇腹とした。
ヒップの測定点は、ヒップの周囲の長さが最大となる第3の略円周の左腰骨周辺とした。
上記測定方法によって測定された各補整下着のアンダーバスト部の被覆部22、腹部の被覆部23、ヒップ部の被覆部24の各着圧データを表1~表3にまとめる。
【0062】
表1は、腹部の着圧が他の部位における着圧に比べて高くなる条件にて、補整下着1を人体模型に被覆した時の着圧を示す。単位はキロパスカル(kPa)である。実施例1では着圧が全体的に高く、実施例5では着圧が全体的に低く、実施例2から実施例4では、着圧は実施例1と実施例5との間の値である。

【表1】
【0063】
表2は、腹部への着圧を3.6kPaに固定し、アンダーバスト部とヒップ部への着圧(kPa)を変化させた場合を示す。測定の関係を明確にするため、表2には、表1で示した実施例2の条件が再掲されている。実施例6、実施例2、実施例7、8と、他の部位への着圧が低くなっている。実施例8では、アンダーバスト部とヒップ部への着圧が腹部への着圧の1/10以下になっている。

【表2】
【0064】
表3は、腹部への着圧がアンダーバスト部及びヒップ部の着圧に比べて低い場合を示す。比較例1では、腹部の着圧は2.2kPaであり、比較例2、比較例3と腹部の着圧が低い。

【表3】
【0065】
(被験者の試着評価)
次に、各実施例及び比較例に係わる補整下着1を被験者が着用した場合の評価結果について説明する。
【0066】
上記の実施例、比較例の補整下着1の着圧の評価に用いた人体模型と同程度の体型を有する複数の被験者(着用者)に、実施例、比較例の補整下着1を着用させて、被験者の体型の変化、体質の変化、装着感、体表面の表皮への影響等の試着評価を行った。なお、本評価は、各被験者が3か月間、一日平均12時間、補整下着1を着用し、官能評価及び体表面の所見が取得された。被験者の試着評価の結果を表4にまとめる。

【表4】
【0067】
表4は、官能評価及び体表面の所見を示す。比較例4として、補整下着1を着用しない例を加えた。表4において、体型の変化は、「秀逸」、「優れる」、「良好」、「わずかながら見られる」、「見られない」の5段階で評価されている。「秀逸」は、腹囲が例えば、5cm以上短くなった場合、「優れる」は2cm以上短くなった場合、「良好」は、1cm以上短くなった場合、「わずかながら見られる」は0.2cm以上短くなった場合を示す。
体質の変化としては、代謝機能、特に呼吸商が測定された。呼吸商とは、呼吸で放出した二酸化炭素の体積を呼吸で吸収した酸素の体積で割った値である。呼吸商が低めの人のほうが体脂肪をより効率的に燃焼させられている。又、中性脂肪量とコレステロール量とが測定された。これらをもとに体質の変化としては、「秀逸」、「優れる」、「良好」、「見られない」の4段階で評価した。「秀逸」はこれら3つの指標の何れもが改善された結果を示す。「優れる」は、少なくとも二つの指標において改善が見られた結果を示す。「良好」は、少なくとも1つの指標について改善が見られた結果を示す。「見られない」は、何れの指標においても改善が見られない結果を示す。
【0068】
装着感については、「殆ど耐えられない」、「窮屈だが耐えられる」、「締め付け感のみ」、「腹部に際立って違和感がある」の4段階で評価を行った。装着感として、「殆ど耐えられない」場合には、装着が長時間できず、使用が制限される可能性がある。「腹部に際だって違和感がある」場合においても、「殆ど耐えられない」と同様に、使用が制限される可能性があると考えられる。「窮屈だが耐えられる」及び「締め付け感のみ」は、補整下着1を適切に適用可能な装着感である。
【0069】
体表面の変化については、「酷い赤化」、「赤化があり問題」、「視認されるが問題ない」、「赤化がわずかに見られるが問題ない」、「問題ない(赤化なし)」の5段階で評価した。
【0070】
比較例4は、補整下着1を着用しない場合を示す。表4に示すように、体型の変化、及び、体質の変化ともに観察されなかった。
【0071】
実施例1~8の補整下着1のように腹部への着圧がアンダーバスト部への着圧及びヒップ部への着圧に比べて大きい場合について検証する。
【0072】
実施例1においては、腹部への着圧が4.8kPaと大きい。そして、アンダーバスト部及びヒップ部への着圧もそれぞれ3.5kPa、3.6kPaと大きい。この場合には、殆ど着圧に耐えられず、体表面の皮膚に「視認されるが問題ない」であることが分かった。赤化が視認されるため、装着時間が限られることが分かった。一方、体質の変化については「秀逸」である。このため、実施例1に係る着圧条件は、短期間に多少無理をして装着するのには適していると考えられる。総合評価としては、「可能」である。
【0073】
実施例5においては、腹部への着圧が0.5kPaと小さい。そして、アンダーバスト部及びヒップ部への着圧も小さい。この場合には、装着感として、締め付け感もなく、赤化もない。そして、補整の目的である体型の変化と体質の変化は「わずかながら見られる」ことが分かった。総合評価としては、「可能」である。
【0074】
実施例1と実施例5との間の条件にて、実施例2から実施例4が検証された。腹部への着圧が3.6kPa、2.2kPa、1.8kPaの各場合において、体型の変化は「良好」以上であり、体質の変化は「良好」以上であり、装着感も「締め付け感のみ」であり、赤化も「わずかに見られるが問題ない」以上であった。総合評価としては、実施例3が「秀逸」、実施例2及び実施例4は「優れる」となった。以上の検証の結果、腹部への着圧(腹部着圧)がアンダーバスト部への着圧(アンダーバスト部着圧)より高く、且つ、腹部への着圧がヒップ部への着圧(ヒップ部着圧)より高いことが好適であることが確認された。又、腹部への着圧は、1.8以上3.6以下がより好適であることが確認された。
【0075】
表2の条件のもと、着用者の体型及び体質の効果が検証された。腹部への着圧は3.6kPaに固定された。アンダーバスト部とヒップ部への着圧は、腹部への着圧より小さい条件のもと、変化させられた。実施例6、実施例2、実施例7、実施例8と、この順にアンダーバスト部とヒップ部への着圧が小さくなっている。実施例7では、アンダーバスト部への着圧とヒップ部への着圧とは、腹部への着圧の略1/3になっている。実施例8では、アンダーバスト部への着圧とヒップ部への着圧とは、腹部への着圧の1/10以下になっている。
【0076】
実施例6においては、体型の変化は「優れる」であり、体質の変化は「優れる」であり、装着感は「締め付け感のみ」であり、体表面の赤化は「視認されるが問題ない」である。総合評価は「可能」である。一方、実施例8においては、体型の変化と体質の変化とは「良好」であるものの、装着感が「腹部に際だって違和感がある」であり、体表面の変化は「問題ない」である。総合評価は「可能」である。実施例6と実施例8との間の条件である、実施例2は、上記したように総合評価は「優れる」である。実施例6と実施例8との間の条件である実施例7においては、体型の変化は「優れる」であり、体質の変化は「良好」であり装着感は「締め付け感のみ」であり、体表面の変化は「問題ない」である。総合評価は「良好」である。以上の検証の結果、アンダーバスト部への着圧とヒップ部への着圧とは、腹部への着圧の1/3以上で好適であることが確認された。
【0077】
表1、表2に記載の実施例においては、腹部への着圧はアンダーバスト部への着圧より大きく、且つ、腹部への着圧はヒップ部への着圧より大きい。表3に記載の比較例においては、腹部への着圧はアンダーバスト部への着圧より小さく、且つ、腹部への着圧はヒップ部への着圧より小さい。比較例1においては、腹部への着圧は2.2kPaであり、比較例2では1.5kPa、比較例3では1.1kPaと小さい。比較例1においては、アンダーバスト部への着圧が3.5kPa、ヒップ部への着圧が3.6kPaと大きい。比較例1においては体型の変化は見られず、体質の変化がわずかながら見られた。装着感としては、「窮屈だが耐えられる」であった。但し、赤化が問題となるレベルであった。総合評価は「不可」であった。比較例2及び比較例3においては、体型の変化も体質の変化も見られなかった。このため、総合評価は「不可」であった。
【0078】
補整下着1の評価方法であって、補整下着1は、着用者のアンダーバスト部から腹部、ヒップ部までを被覆し、補整下着の着用者に対して体表面から体内部に向けての圧力である着圧を与える弾性布を備え、アンダーバスト部の被覆部22はアンダーバスト部にアンダーバスト部着圧を与え、腹部の被覆部23は腹部に腹部着圧を与え、ヒップ部の被覆部24はヒップ部にヒップ部着圧を与え、着用者を模した人体模型を被覆した場合に、腹部着圧がアンダーバスト部着圧及びヒップ部着圧に比べて大きい場合に合格(又は良)と判断する、補整下着の評価方法を採ることがこのましい。
【0079】
これにより、着用者に的確な補整下着1を選択することができる。そして、腹囲が減少し、良好な体型が得られるという効果を奏することができる。体型のみならず体質の改善につながる補整下着1が提供される。
【0080】
図1及び図2を参照して、生地の配置、生地の材質の例について説明がなされた。この例に限られることはなく、生地の配置を適宜変更することが可能であり、生地として種々の弾性布を採用することができる。パワーネット、トリコット等が好適に用いられ得る。生地の伸びも、上記の例に限定されるわけではなく、縦横の二方向、互いに交差する斜め方向であってもよい。
【0081】
(1)補整下着1は、着用者のアンダーバスト部から腹部、ヒップ部までを被覆し、補整下着1の着用者に対して体表面から体内部に向けての圧力である着圧を与える弾性布を備え、アンダーバスト部の被覆部22はアンダーバスト部にアンダーバスト部着圧を与え、腹部の被覆部23は腹部に腹部着圧を与え、ヒップ部の被覆部24はヒップ部にヒップ部着圧を与え、着用者を模した人体模型を被覆した場合に、腹部着圧がアンダーバスト部着圧及びヒップ部着圧に比べて大きい。
【0082】
これにより、腹囲が減少し、良好な体型が得られるという効果を奏することができる。体型のみならず体質の改善につながる補整下着1が提供される。
【0083】
(2)(1)の補整下着1において、腹部着圧が1.8kPa以上3.6kPa以下である。
【0084】
これにより、装着時の感覚は締め付け感のみであり赤化も問題にならず、体型の変化のみならず、体質の変化が顕著に見られるという効果を奏することができる。2cm以上の腹囲の改善が、無理のない装着感の元で期待できる。呼吸商、中性脂肪量、コレステロール量の3つの指標の内2つ以上の指標の改善を期待することができる。
【0085】
(3)(1)又は(2)の補整下着1において、アンダーバスト部着圧とヒップ部着圧とは、腹部着圧の1/3以上である。
【0086】
これにより、腹部のみが押し付けられることに起因する違和感が生じず、違和感のない装着感が得られるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 補整下着
111L 左側のバスト部
111R 右側のバスト部
112L 第2の左側前身頃部
112R 第2の右側前身頃部
113L 左側の後身頃部
113R 右側の後身頃部
114L 第3の左側前身頃部
114R 第3の右側前身頃部
115L 左側のヒップ部
115R 右側のヒップ部
116L 左側前足ぐり部
116R 右側前足ぐり部
117L 第1の左側前身頃部
117R 第1の右側前身頃部
118 尾底部
119L 左側腰部
119R 右側腰部
120L 第1の座骨被覆部
120R 第1の座骨被覆部
121L 第2の座骨被覆部
121R 第2の座骨被覆部
122L 左側の座骨下部
122R 右側の座骨下部
123 背面平ゴム部
124L 左側肩紐
124R 右側肩紐
21 バスト部の被覆部
22 アンダーバスト部の被覆部
23 腹部の被覆部
24 ヒップ部の被覆部
図1
図2