(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012760
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】入庫支援装置および入庫支援方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115842
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 大貴
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB03
3F522BB24
3F522CC05
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD05
3F522DD22
3F522DD32
3F522FF02
3F522FF03
3F522FF12
3F522FF37
3F522FF38
3F522HH02
3F522HH05
3F522HH37
3F522LL11
3F522LL57
3F522LL58
(57)【要約】
【課題】入庫したリールが一時的に載置される載置部において、リールが適切に載置されているか否かを判断することが可能な入庫支援装置および入庫支援方法を開示する。
【解決手段】入庫支援装置は、認識部と、判断部とを備える。認識部は、基板に装着される部品を収容する部品テープが巻回されているリールが自動倉庫に入庫したときにリールが一時的に載置される載置部において載置すべきリールの中心位置を示すマークを、載置部に載置されたリールの中心穴から認識する。判断部は、認識部によるマークの認識結果に基づいて、リールが所定位置に載置されているか否かを判断する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に装着される部品を収容する部品テープが巻回されているリールが自動倉庫に入庫したときに前記リールが一時的に載置される載置部において載置すべき前記リールの中心位置を示すマークを、前記載置部に載置された前記リールの中心穴から認識する認識部と、
前記認識部による前記マークの認識結果に基づいて、前記リールが所定位置に載置されているか否かを判断する判断部と、
を備える入庫支援装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記認識部によって前記マークを認識できた場合に、前記リールが前記所定位置に載置されていると判断し、前記認識部によって前記マークを認識できなかった場合に、前記リールが前記所定位置に載置されていないと判断する請求項1に記載の入庫支援装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記リールの前記中心穴から認識された前記マークの認識面積の前記マークの実際の面積に対する割合が所定範囲に含まれる場合に、前記認識部によって前記マークを認識できたと判断し、前記マークの前記認識面積の前記割合が前記所定範囲に含まれない場合に、前記認識部によって前記マークを認識できなかったと判断する請求項1または請求項2に記載の入庫支援装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記リールの中心が前記マークからずれて前記リールが載置されている場合に、前記マークの一部が前記リールによって隠れることにより生じる前記マークの認識形状に基づいて、前記リールの前記中心の前記マークに対するずれ方向およびずれ量のうちの少なくとも一つを判断する請求項1に記載の入庫支援装置。
【請求項5】
前記認識部は、前記リールを識別可能な識別情報を前記リールから取得する際に前記マークを認識する請求項1に記載の入庫支援装置。
【請求項6】
前記認識部は、前記識別情報を備える識別コードおよび前記マークの両方を撮像装置によって撮像して、前記識別情報の取得と前記マークの認識を行う請求項5に記載の入庫支援装置。
【請求項7】
前記マークは、外形寸法および載置されるべき位置が異なる複数種類の前記リールの各々の前記中心位置に設けられ、
前記判断部は、前記認識部によって取得された前記リールの前記識別情報から得られる前記リールの種類に基づいて、前記リールが載置されるべき前記所定位置に設けられる前記マークの位置を認識する請求項5または請求項6に記載の入庫支援装置。
【請求項8】
前記マークは、外形寸法および載置されるべき位置が異なる複数種類の前記リールの各々の前記中心位置に設けられ、
前記判断部は、前記認識部によって取得された前記リールの前記識別情報から得られる前記リールの種類と、前記認識部によって認識された前記マークから取得した載置すべき前記リールの種類の相違に基づいて、前記リールの種類に合致する前記所定位置に前記リールが載置されているか否かを判断する請求項5または請求項6に記載の入庫支援装置。
【請求項9】
前記判断部によって前記リールが前記所定位置に載置されていないと判断された場合に、前記載置部に載置された前記リールを収納部に移動して収納する移載装置による前記リールの移動を規制する規制部を備える請求項1に記載の入庫支援装置。
【請求項10】
前記判断部によって前記リールが前記所定位置に載置されていないと判断された場合に、前記リールを前記所定位置に載置するように作業者に案内する案内部を備える請求項1に記載の入庫支援装置。
【請求項11】
基板に装着される部品を収容する部品テープが巻回されているリールが自動倉庫に入庫したときに前記リールが一時的に載置される載置部において載置すべき前記リールの中心位置を示すマークを、前記載置部に載置された前記リールの中心穴から認識する認識工程と、
前記認識工程による前記マークの認識結果に基づいて、前記リールが所定位置に載置されているか否かを判断する判断工程と、
を備える入庫支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、入庫支援装置および入庫支援方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の保管庫は、取得部と認識部を備えている。取得部は、作業者が物品を載置部に載置する前に案内部の少なくとも一部分を含む撮像領域を撮像した第一画像、および、作業者が物品を載置部に載置した後に同一の撮像領域を撮像した第二画像を、撮像装置を用いて取得する。認識部は、取得部によって取得された第一画像と第二画像の差分情報に基づいて、載置部に載置された物品の載置位置および外形寸法のうちの少なくとも一方を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫は、入庫したリールを移載装置を用いて収納部に移動して収納することができる。入庫したリールが一時的に載置される載置部において、リールが適切な位置に載置されていない場合、移載装置は、リールを適切に把持することができず、リールの移動や収納に支障をきたす可能性がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、入庫したリールが一時的に載置される載置部において、リールが適切に載置されているか否かを判断することが可能な入庫支援装置および入庫支援方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、認識部と、判断部とを備える入庫支援装置を開示する。前記認識部は、基板に装着される部品を収容する部品テープが巻回されているリールが自動倉庫に入庫したときに前記リールが一時的に載置される載置部において載置すべき前記リールの中心位置を示すマークを、前記載置部に載置された前記リールの中心穴から認識する。前記判断部は、前記認識部による前記マークの認識結果に基づいて、前記リールが所定位置に載置されているか否かを判断する。
【0007】
また、本明細書は、認識工程と、判断工程とを備える入庫支援方法を開示する。前記認識工程は、基板に装着される部品を収容する部品テープが巻回されているリールが自動倉庫に入庫したときに前記リールが一時的に載置される載置部において載置すべき前記リールの中心位置を示すマークを、前記載置部に載置された前記リールの中心穴から認識する。前記判断工程は、前記認識工程による前記マークの認識結果に基づいて、前記リールが所定位置に載置されているか否かを判断する。
【0008】
なお、本明細書には、願書に最初に添付した特許請求の範囲(以下、当初特許請求の範囲という。)に記載の請求項4において、「請求項1に記載の入庫支援装置」を「請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の入庫支援装置」に変更した技術的思想が開示されている。また、本明細書には、当初特許請求の範囲に記載の請求項5において、「請求項1に記載の入庫支援装置」を「請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の入庫支援装置」に変更した技術的思想が開示されている。
【0009】
さらに、本明細書には、当初特許請求の範囲に記載の請求項9において、「請求項1に記載の入庫支援装置」を「請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の入庫支援装置」に変更した技術的思想が開示されている。また、本明細書には、当初特許請求の範囲に記載の請求項10において、「請求項1に記載の入庫支援装置」を「請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の入庫支援装置」に変更した技術的思想が開示されている。
【発明の効果】
【0010】
上記の入庫支援装置によれば、入庫したリールが一時的に載置される載置部において、リールが適切に載置されているか否かを判断することができる。入庫支援装置について上述されていることは、入庫支援方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】
図3Cの自動倉庫の矢印IV方向視の側面図である。
【
図5】入庫支援装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図6】入庫支援装置による制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図7】載置部に載置されているリールの一例を示す平面図である。
【
図8】マークと中心穴の位置関係の一例を示す模式図である。
【
図9】マークと中心穴の位置関係の他の一例を示す模式図である。
【
図10】マークと中心穴の位置関係の他の一例を示す模式図である。
【
図11】中心穴においてマークが現れる位置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
図1に示すように、実施形態の基板生産設備80は、対基板作業ライン10Lと、着荷部20と、搬送車30と、自動倉庫40とを備えている。
【0013】
1-1.対基板作業ライン10L
対基板作業ライン10Lでは、基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業ライン10Lを構成する対基板作業機10の種類および数は、限定されない。
図1に示すように、実施形態の対基板作業ライン10Lは、印刷機10a、印刷検査機10b、部品装着機10c、リフロー炉10dおよび外観検査機10eの複数(5つ)の対基板作業機10を備えており、基板90は、基板搬送装置によって、この順に搬送される。
【0014】
印刷機10aは、基板90の部品の装着位置に、はんだを印刷する。印刷検査機10bは、印刷機10aによって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。部品装着機10cは、はんだが印刷された基板90に複数の部品を装着する。部品装着機10cは、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機10cが複数設けられる場合は、複数の部品装着機10cが分担して、基板90に複数の部品を装着することができる。
【0015】
部品装着機10cは、基板90に装着される部品を供給する部品供給装置を備えている。部品供給装置は、例えば、
図2Aおよび
図2Bに示すリール21aを備えるフィーダ、部品が配列されているトレイなどを用いて部品を供給することができる。
図2Bに示すように、リール21aは、基板90に装着される部品を収容する部品テープ21a2がリール本体部21a1に巻回されている。リール21aは、フィーダに回転可能かつ着脱可能に設けられる。
【0016】
部品テープ21a2の先端部が、フィーダに設けられる部品取出し部まで引き出されて、部品が順次供給される。リール21aは、例えば、チップ部品などの比較的小型の部品を供給することができる。トレイには、部品が配列されている。トレイは、例えば、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)などの比較的大型の部品を供給することができる。リフロー炉10dは、部品装着機10cによって部品が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させてはんだ付けを行う。外観検査機10eは、部品装着機10cによって装着された部品の装着状態などを検査する。
【0017】
このように、対基板作業ライン10Lは、複数(5つ)の対基板作業機10を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品を生産することができる。なお、対基板作業ライン10Lは、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機10を必要に応じて備えることもできる。
【0018】
対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10および管理装置19は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。管理装置19は、対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10の制御を行い、対基板作業ライン10Lの動作状況を監視する。管理装置19には、複数(5つ)の対基板作業機10を制御する種々の制御データが記憶されている。管理装置19は、複数(5つ)の対基板作業機10の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機10の各々は、管理装置19に動作状況および生産状況を送信する。
【0019】
1-2.着荷部20および搬送車30
対基板作業機10に用いられる物品21が着荷部20に到着すると、所定の着荷作業が行われる。そして、物品21は、例えば、搬送車30に搭載されて、自動倉庫40に搬送される。物品21は、自動倉庫40に保管された後、必要に応じて対基板作業ライン10Lに供給される。
【0020】
物品21は、対基板作業機10に用いられるものであれば良く、限定されないが、リール21aが含まれる。例えば、物品21は、リール21aの他に、部品が配列されているトレイ、はんだを収容する収容器などを含むことができる。また、物品21には、物品21を識別可能な物品識別部材22が付される。物品識別部材22は、物品21を識別可能な物品識別情報を有すれば良く、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。
【0021】
具体的には、着荷部20に物品21が到着すると、作業者は、例えば、物品管理装置を用いて、物品識別部材22を発行する。また、作業者は、読み取り装置(例えば、バーコードリーダ)などを用いて、供給元(ベンダ)によって物品21に付されている識別部材23などを読み取ることもできる。作業者は、物品21に関する物品情報が登録されているデータベースから、物品情報を取得することもできる。
【0022】
例えば、作業者は、物品識別部材22を物品21の表面などに貼り付けて、物品21を収容ケースに収容する。作業者は、物品21が収容された収容ケースを搬送車30に搭載する。例えば、搬送車30は、作業者が牽引することができる。搬送車30は、自動走行可能な無人搬送車などを用いることもできる。なお、搬送車30は、収容ケースを用いることなく、物品21を自動倉庫40に搬送することもできる。
【0023】
また、搬送車30を用いることなく、作業者が物品21を自動倉庫40に搬送することもできる。さらに、上述されている作業者が行う作業の少なくとも一部は、搬送装置(例えば、ベルトコンベアなど)、アクチュエータ(例えば、ロボットアームなど)、物品管理装置などを用いて自動化することもできる。
【0024】
1-3.自動倉庫40
自動倉庫40は、リール21aを含む物品21の入出庫が自動化されていれば良く、種々の形態をとり得る。
図3A~
図3Cに示すように、実施形態の自動倉庫40は、例えば、八角柱形状に形成されている。なお、
図3Cでは、説明の便宜上、自動倉庫40の上部が開放されており、自動倉庫40の内部の様子が示されている。また、
図4は、
図3Cに示す矢印IV方向から視た自動倉庫40の内部の模式図であり、入出庫部41および収納部42が主に図示されている。
【0025】
実施形態の自動倉庫40は、入出庫部41と、収納部42と、制御装置40aと、移載装置40bと、読み取り装置40dと、表示装置40eとを備えている。入出庫部41は、開口部41aと、載置部40cとを備えており、物品21が入出庫する。
図3Aに示すように、自動倉庫40の正面には、開口部41aが設けられている。開口部41aは、物品21が入庫可能および出庫可能に、物品21より大形に形成されている。なお、自動倉庫40は、物品21が入庫する開口部41aと異なる開口部に、出庫口を設けることもできる。
【0026】
図3Bおよび
図4に示すように、載置部40cは、開口部41aの近傍の作業スペースに設けられている。載置部40cは、物品21の入庫時若しくは出庫時に物品21が一時的に載置される。例えば、物品21を搬入し載置部40cに載置する物品21の入庫作業は、作業者によって行うことができる。また、載置部40cには、開口部41aを介して出庫する物品21が載置される。載置部40cに載置されている物品21を搬出する物品21の出庫作業は、入庫作業と同様に作業者によって行うことができる。なお、物品21の入庫作業および出庫作業は、アクチュエータ(例えば、ロボットアームなど)などを用いて自動化することもできる。
【0027】
図4に示すように、載置部40cの上方には、読み取り装置40dが設けられている。読み取り装置40dは、物品21に付されている物品識別部材22を読み取って、当該物品21の物品識別情報を取得する。読み取り装置40dは、公知の読み取り装置(例えば、一次元コード、二次元コードを読み取るコードリーダ、無線タグと無線通信可能な無線機など)を用いることができる。読み取り装置40dは、開口部41aを介して物品21が入庫したときに、物品21に付されている物品識別部材22を読み取って、物品識別情報を取得する。
【0028】
収納部42は、物品21を収納する。収納部42は、物品21を収納することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、物品21がリール21aの場合、
図3Cおよび
図4に示すように、収納部42は、収納本体42aと、支持部材42bとを備えると良い。収納本体42aは、鉛直方向(Z軸方向)視においてU字形状に形成されている。支持部材42bは、収納本体42aに対して所定の角度で上方に突出するように設けられており、リール21aを収納することができる。支持部材42bの角度は、リール21aの脱落を抑制可能に設定される。
【0029】
また、各収納ユニットの支持部材42bは、複数対(
図4では、15対30個)設けられており、複数(15個)のリール21aを収納することができる。複数対(15対)の支持部材42bの各々は、移載装置40bと干渉しないように、2つの支持部材42bが離間して設けられている。なお、
図3Cおよび
図4では、図示の便宜上、一部の部材に符号番号が付されており、すべての部材に符号番号が付されていない。
【0030】
図3Bおよび
図3Cに示すように、実施形態の収納部42は、鉛直方向(Z軸方向)視において楕円状に配置されている。また、実施形態の収納部42は、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の二種類の収納ユニットを備えており、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の各々は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って複数設けられている。第一収納ユニット42t1は、第二収納ユニット42t2と比べて幅広に形成されており、第二収納ユニット42t2が収納可能なリール21aと比べて大型のリール21aを収納することができる。
【0031】
図3Cおよび
図4に示すように、第一収納ユニット42t1は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。また、第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。さらに、隣接する第一収納ユニット42t1同士は、連結部42jによって連結され、隣接する第二収納ユニット42t2同士は、連結部42jによって連結されている。また、隣接する第一収納ユニット42t1と第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって連結されている。
【0032】
なお、収納ユニットの種類、数および配置は、適宜変更することができる。また、収納ユニットは、収納する物品21に合わせて形状およびサイズ(幅、奥行き、および、高さ)を設定することができ、収納部42は、トレイなどのリール21a以外の物品21を収納することもできる。さらに、物品21は、適合するいずれの収納ユニットに収納しても良く、基板生産設備80が複数の自動倉庫40を備える場合、適合する収納ユニットを備える自動倉庫40であれば、いずれの自動倉庫40に保管しても良い。
【0033】
制御装置40aは、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置40aは、移載装置40b、読み取り装置40dおよび表示装置40eと通信可能に設けられており、これらを制御することができる。なお、制御装置40aは、物品21に関する物品情報を記憶する記憶装置を備え、当該物品情報を管理装置19に通知することもできる。例えば、物品21がリール21aの場合、物品情報は、リール21aに収容されている部品の部品種、部品数(残数)、リール径、リール厚み、型式および供給元(ベンダ)、湿度管理レベル、使用期限などを含むことができる。
【0034】
移載装置40bは、自動倉庫40に入庫した物品21を収納部42に搬入して収納し、出庫時に収納部42に収納されている物品21を収納部42から搬出する。具体的には、移載装置40bは、物品21の入庫作業において載置部40cに載置された物品21を収納部42に移動して収納する。また、移載装置40bは、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を載置部40cに移動して、物品21の出庫作業を可能にする。
【0035】
図3Bおよび
図3Cに示すように、実施形態の移載装置40bは、鉛直方向(Z軸方向)視において、収納ユニット(第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2)より内側に設けられている。移載装置40bは、物品21を移動することができれば良く、種々の形態をとり得る。移載装置40bは、例えば、ロボットアーム(多関節ロボット)、昇降スライド機構などを用いることができる。
図3Cに示すように、実施形態の移載装置40bは、昇降機構40b1と、把持機構40b2とを備えている。
【0036】
昇降機構40b1は、鉛直方向(Z軸方向)に沿った軸線回りに旋回することができ、鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持機構40b2を昇降することができる。把持機構40b2は、物品21を把持可能であり、
図4に示す載置部40cの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。また、把持機構40b2は、収納部42の支持部材42bの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することもできる。
【0037】
このように、実施形態の自動倉庫40は、載置部40cの傾斜角度θ1と、収納部42の支持部材42bの傾斜角度θ1とが一致している。よって、実施形態の自動倉庫40は、載置部40cから物品21を取り出す入庫時取り出し作業と、取り出した物品21を収納部42に収納する入庫時収納作業とを、移載装置40bの昇降動作、旋回動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。また、実施形態の自動倉庫40は、収納ユニットから物品21を取り出す出庫時取り出し作業と、取り出した物品21を載置部40cに送出する出庫時送出作業とを、移載装置40bの昇降動作、旋回動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。
【0038】
表示装置40eは、公知の表示装置を用いることができ、作業者が種々の情報を視認可能に表示する。表示装置40eは、例えば、収納部42に収納されている物品21に関する物品情報などを作業者の操作に応じて表示する。なお、実施形態の表示装置40eは、タッチパネルによって構成されており、表示装置40eは、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。
【0039】
また、制御装置40aは、収納部42における物品21の位置情報、入出庫情報および保管情報を記憶装置に記憶することができ、表示装置40eは、これらの情報を表示することもできる。位置情報は、物品21の収納場所を示す。入出庫情報は、物品21の入庫日時および出庫日時を示す。保管情報には、例えば、収納部42の雰囲気温度、湿度などの情報が含まれる。制御装置40aは、物品21の収納時に物品21の位置情報および入庫日時を記憶する。制御装置40aは、物品21の保管中に保管情報を記憶する。制御装置40aは、物品21の出庫時に物品21の出庫日時を記憶する。
【0040】
1-4.入庫支援装置50
既述されているように、自動倉庫40は、入庫したリール21aを移載装置40bを用いて収納部42に移動して収納することができる。入庫したリール21aが一時的に載置される載置部40cにおいて、リール21aが適切な位置に載置されていない場合、移載装置40bは、リール21aを適切に把持することができず、リール21aの移動や収納に支障をきたす可能性がある。そこで、実施形態の基板生産設備80には、入庫支援装置50が設けられている。入庫支援装置50によれば、入庫したリール21aが一時的に載置される載置部40cにおいて、リール21aが適切に載置されているか否かを判断することができる。
【0041】
具体的には、入庫支援装置50は、認識部51と、判断部52とを備える。入庫支援装置50は、規制部53を備えることもできる。入庫支援装置50は、案内部54を備えることもできる。
図5に示すように、実施形態の入庫支援装置50は、認識部51と、判断部52と、規制部53と、案内部54とを備えている。また、認識部51、判断部52、規制部53および案内部54は、種々の制御装置、管理装置などに設けることができる。例えば、認識部51、判断部52、規制部53および案内部54のうちの少なくとも一つは、自動倉庫40の制御装置40aに設けることができる。
【0042】
認識部51、判断部52、規制部53および案内部54のうちの少なくとも一つは、管理装置19に設けることもできる。認識部51、判断部52、規制部53および案内部54のうちの少なくとも一つは、管理装置19よりも上位の制御システムに設けることもできる。認識部51、判断部52、規制部53および案内部54のうちの少なくとも一つは、クラウド上に形成することもできる。
図5に示すように、実施形態の入庫支援装置50では、認識部51、判断部52、規制部53および案内部54は、自動倉庫40の制御装置40aに設けられている。
【0043】
また、入庫支援装置50は、例えば、
図6に示すフローチャートに従って、制御を実行することができる。具体的には、認識部51は、ステップS12に示す処理を行う。判断部52は、ステップS13に示す処理を行う。規制部53は、ステップS14およびステップS19に示す判断および処理を行う。案内部54は、ステップS14およびステップS20に示す判断および処理を行う。作業者または自動倉庫40は、他の処理を行うことができる。なお、本明細書において記載されている事項は、適宜、取捨選択して適用することができる。また、本明細書において記載されている事項は、適宜、組み合わせることができる。
【0044】
1-4-1.認識部51および判断部52
既述されているように、載置部40cは、基板90に装着される部品を収容する部品テープ21a2が巻回されているリール21aが自動倉庫40に入庫したときに、リール21aが一時的に載置される。リール21aの入庫作業は、作業者またはアクチュエータ(例えば、ロボットアーム)などによって行うことができる(
図6に示すステップS11)。認識部51は、載置部40cにおいて載置すべきリール21aの中心位置を示すマーク43を、載置部40cに載置されたリール21aの中心穴21hから認識する(ステップS12)。
【0045】
認識部51は、載置部40cに載置されたリール21aの中心穴21hからマーク43を認識することができれば良く、種々の形態をとり得る。同様に、マーク43は、載置部40cにおいて載置すべきリール21aの中心位置を示すものであれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、
図7に示すように、載置部40cは、少なくとも一つ(同図では、3つ)のマーク43を備えることができる。3つのマーク43の各々は、例えば、円形状のシール部材が載置部40cに貼り付けられて形成されている。3つのマーク43の各々は、例えば、塗料が円形状に塗布されて形成することもできる。
【0046】
マーク43は、円形以外にも、三角形、四角形、五角形以上の多角形状などに形成することもできる。また、マーク43には、模様、色彩などが付されていても良い。実施形態の載置部40cは、白色系(例えば、金属色、白色など)で形成されている。この場合、載置部40cとマーク43との間のコントラストをつけてマーク43を認識し易くするために、マーク43は、黒色系(例えば、黒色など)で形成されていると良い。逆に、載置部40cが黒色系(例えば、黒色など)で形成されている場合、マーク43は、白色系(例えば、白色など)で形成することもできる。これらにより、認識部51は、マーク43を認識し易くなる。なお、
図7に示すように、マーク43が複数設けられる場合、マーク43ごとに、形状、模様および色彩のうちの少なくとも一つを変更することもできる。
【0047】
認識部51は、リール21aが載置部40cに載置された後の任意のタイミングで、マーク43を認識することができる。例えば、認識部51は、リール21aを識別可能な識別情報をリール21aから取得する際にマーク43を認識することができる。これにより、認識部51は、識別情報の取得とマーク43の認識を個別に実施する場合と比べて、処理時間を低減することができる。例えば、認識部51は、識別情報を備える識別コード22cおよびマーク43の両方を撮像装置44によって撮像して、識別情報の取得とマーク43の認識を行うことができる。
【0048】
既述されているように、自動倉庫40は、読み取り装置40dを備えている。読み取り装置40dは、開口部41aを介して物品21が入庫したときに、物品21に付されている物品識別部材22を読み取って、当該物品21の物品識別情報を取得する。識別コード22cは、例えば、二次元コードであり、物品識別部材22に含まれる。撮像装置44に含まれる読み取り装置40dは、リール21aの識別コード22cおよびマーク43の両方を同時に撮像することができる。認識部51は、物品識別情報に含まれるリール21aを識別可能な識別情報の取得と、マーク43の認識を一回の撮像によって実行することができる。
【0049】
認識部51は、公知の種々の手法によって、マーク43を認識することができる。認識部51は、例えば、撮像装置44によって撮像されたマーク43の画像を画像処理して、マーク43を認識することができる。また、認識部51は、公知の種々の手法によって、撮像装置44によって撮像されたマーク43の画像を画像処理することができ、画像処理の方法も限定されない。認識部51は、例えば、二値化処理により、撮像装置44によって撮像されたマーク43の画像を画像処理することができる。
【0050】
この場合、既述されているように、マーク43は、白色系(例えば、金属色、白色など)で形成されている載置部40cにおいて、黒色系(例えば、黒色など)で形成されていると良い。また、マーク43は、黒色系(例えば、黒色など)で形成されている載置部40cにおいて、白色系(例えば、白色など)で形成されていると良い。これらにより、載置部40cに載置されたリール21aの中心穴21hから確認可能なマーク43の少なくとも一部と、載置部40cのマーク43以外の領域とが識別し易くなる。
【0051】
図7および
図8に示すように、円形状のマーク43の外径は、リール21aの円形状の中心穴21hの内径と同等、若しくは、円形状の中心穴21hの内径よりも若干、小さく形成されている。マーク43は、載置部40cにおいて載置すべきリール21aの中心位置を示しているので、リール21aの中心穴21hからマーク43を認識できた場合に、リール21aは、載置部40cにおいて載置すべき所定位置P0に載置されていると言える。換言すれば、リール21aの中心穴21hからマーク43を認識できなかった場合に、リール21aは、載置部40cにおいて載置すべき所定位置P0に載置されていないと言える。
【0052】
そこで、判断部52は、認識部51によるマーク43の認識結果に基づいて、リール21aが所定位置P0に載置されているか否かを判断する(
図6に示すステップS13)。具体的には、判断部52は、認識部51によってマーク43を認識できた場合に、リール21aが所定位置P0に載置されていると判断し、認識部51によってマーク43を認識できなかった場合に、リール21aが所定位置P0に載置されていないと判断することができる。
図8~
図10は、撮像装置44によって撮像されたマーク43の画像の一例を示している。
【0053】
図8は、マーク43と中心穴21hの位置関係の一例を示しており、中心穴21hにマーク43の全体が含まれている場合を示している。この場合、認識部51によってマーク43の全体を認識することができ、判断部52は、リール21aが所定位置P0に載置されていると判断することができる。これに対して、中心穴21hにマーク43が全く含まれていない場合、認識部51によってマーク43を認識することができないので、判断部52は、リール21aが所定位置P0に載置されていないと判断することができる。
【0054】
なお、リール21aの入庫作業において、マーク43の全体がリール21aの中心穴21hに含まれるように、載置部40cにおいてリール21aを載置しなければならないとすると、リール21aの入庫作業に要する所要時間が増大する可能性がある。また、リール21aの中心穴21hにマーク43の少なくとも一部が含まれていれば、移載装置40bによってリール21aを適切に把持することが可能な場合がある。そこで、例えば、判断部52は、リール21aの中心穴21hから認識されたマーク43の認識面積S0に基づいて、認識部51によってマーク43を認識できたか否かを判断することができる。
【0055】
具体的には、判断部52は、リール21aの中心穴21hから認識されたマーク43の認識面積S0のマーク43の実際の面積T0に対する割合が所定範囲に含まれる場合に、認識部51によってマーク43を認識できたと判断することができる。換言すれば、判断部52は、リール21aの中心穴21hから認識されたマーク43の認識面積S0のマーク43の実際の面積T0に対する割合が所定範囲に含まれない場合に、認識部51によってマーク43を認識できなかったと判断することができる。
【0056】
既述されている
図8に示す例では、マーク43の認識面積S0と、マーク43の実際の面積T0とが一致しており、マーク43の認識面積S0の実際の面積T0に対する割合(マーク43の認識面積S0を実際の面積T0で除算して、100を乗じた算出値)は、100%である。
図9および
図10は、マーク43と中心穴21hの位置関係の他の一例を示しており、中心穴21hにマーク43の一部が含まれている場合を示している。これらの場合、マーク43の認識面積S0は、実際の面積T0と比べて小さくなる。判断部52は、マーク43の認識面積S0の実際の面積T0に対する割合が所定範囲に含まれるか否かによって、認識部51によってマーク43を認識できたか否かを判断する。
【0057】
マーク43の認識面積S0の実際の面積T0に対する割合が小さくなるほど、移載装置40bは、リール21aの中心穴21hから離間した場所を把持することになる。この場合、例えば、移載装置40bによってリール21aを把持して収納部42に移動する際に、リール21aが落下し易くなる。また、移載装置40bによってリール21aを把持して収納部42に移動する際に、リール21aが他の部材と干渉して、リール21aを収納部42に収納することが困難になり易い。
【0058】
そこで、上記の所定範囲は、移載装置40bによってリール21aを適切に把持することが可能な範囲に設定することができる。具体的には、上記の所定範囲は、移載装置40bによってリール21aを把持して収納部42に移動する際に、リール21aが落下せず、且つ、他の部材と干渉しないでリール21aを収納部42に収納することが可能な範囲に設定することができる。上記の所定範囲は、シミュレーション、実機による検証などによって、事前に取得しておくことができる。このようにして、判断部52は、認識部51によってマーク43の少なくとも一部を認識できた場合に、リール21aが所定位置P0に載置されていると判断することができる。換言すれば、判断部52は、認識部51によってマーク43の少なくとも一部を認識できなかった場合に、リール21aが所定位置P0に載置されていないと判断することができる。
【0059】
判断部52は、リール21aの中心のマーク43に対するずれ方向L0およびずれ量K0のうちの少なくとも一つを判断することもできる。
図9に示す例では、リール21aの中心穴21hは、マーク43に対して紙面左方向にずれている。この場合、マーク43の認識形状は、略楕円形状であり、楕円の長軸が同図の紙面上下方向に沿って配置されている。これに対して、
図10に示す例では、リール21aの中心穴21hは、マーク43に対して紙面上方向にずれている。この場合も、マーク43の認識形状は、略楕円形状であるが、楕円の長軸は、同図の紙面左右方向に沿って配置されている。
【0060】
図9および
図10に示すように、マーク43の認識形状(黒色で塗りつぶされた部分)は、リール21aの中心がマーク43からずれてリール21aが載置されている場合に、マーク43の一部がリール21aによって隠れることにより生じる。判断部52は、マーク43の認識形状に基づいて、リール21aの中心のマーク43に対するずれ方向L0およびずれ量K0のうちの少なくとも一つを判断することができる。具体的には、
図9に示すように、判断部52は、マーク43の認識形状が、楕円の長軸が同図の紙面上下方向に沿って配置されている略楕円形状の場合に、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面左右方向にずれていると判断することができる。
【0061】
また、
図11は、リール21aの中心穴21hにおいてマーク43が現れる位置を説明するための説明図である。同図では、紙面左右方向にX0軸をとり、紙面上下方向にY0軸をとった座標軸が図示されている。リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面左方向にずれるほど、マーク43の認識形状は、第一象限AR1および第四象限AR4に現れ易くなる。逆に、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面右方向にずれるほど、マーク43の認識形状は、第二象限AR2および第三象限AR3に現れ易くなる。
【0062】
図9に示す例では、マーク43の認識形状は、第二象限AR2および第三象限AR3と比べて、第一象限AR1および第四象限AR4に多く現れている。よって、判断部52は、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面左方向にずれていると判断することができる。判断部52は、
図10に示す場合についても、同様に判断することができる。具体的には、
図10に示すように、判断部52は、マーク43の認識形状が、楕円の長軸が同図の紙面左右方向に沿って配置されている略楕円形状の場合に、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面上下方向にずれていると判断することができる。
【0063】
また、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面上方向にずれるほど、マーク43の認識形状は、第三象限AR3および第四象限AR4に現れ易くなる。逆に、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面下方向にずれるほど、マーク43の認識形状は、第一象限AR1および第二象限AR2に現れ易くなる。
図10に示す例では、マーク43の認識形状は、第一象限AR1および第二象限AR2と比べて、第三象限AR3および第四象限AR4に多く現れている。よって、判断部52は、リール21aの中心がマーク43から、同図の紙面上方向にずれていると判断することができる。
【0064】
判断部52は、リール21aの中心がマーク43に対して、紙面左右方向(X0軸に沿った方向)および紙面上下方向(Y0軸に沿った方向)の両方にずれている場合についても、同様に判断することができる。この場合も、マーク43の認識形状は、略楕円形状であるが、楕円の長軸は、X0軸またはY0軸に対して傾斜している。判断部52は、楕円の長軸の傾斜方向およびマーク43の認識形状が現れる領域(第一象限AR1~第四象限AR4)に基づいて、リール21aの中心のマーク43に対するずれ方向L0を判断することができる。
【0065】
また、既述されているいずれの場合も、判断部52は、マーク43の認識面積S0の実際の面積T0に対する割合に基づいて、リール21aの中心のマーク43に対するずれ量K0を算出することができる。具体的には、判断部52は、上記の割合が小さくなるほど、上記のずれ量K0が大きくなるように、上記のずれ量K0を算出する。換言すれば、判断部52は、上記の割合が大きくなるほど、上記のずれ量K0が小さくなるように、上記のずれ量K0を算出する。なお、マーク43の認識面積S0の実際の面積T0に対する割合と、上記のずれ量K0の関係は、シミュレーション、実機による検証などによって、事前に取得しておくことができる。
【0066】
図12は、把持機構40b2の一例を示している。移載装置40bは、リール21aを鉛直方向(Z軸方向)から挟んで把持可能な把持機構40b2を備えることができる。把持機構40b2は、例えば、一対のグリッパGP1,GP2を備えている。一対のグリッパGP1,GP2は、鉛直方向(Z軸方向)に対して所定角度、傾斜した所定方向からリール21aを把持することができる。
【0067】
所定角度は、例えば、既述されている載置部40cの傾斜角度θ1および収納部42の支持部材42bの傾斜角度θ1と同じ角度に設定されている。一対のグリッパGP1,GP2は、上側のグリッパGP1および下側のグリッパGP2が互いに近づく方向に移動することにより、リール21aを把持する。逆に、一対のグリッパGP1,GP2は、上側のグリッパGP1および下側のグリッパGP2が互いに離れる方向に移動することにより、リール21aの把持を解除する。
【0068】
なお、下側のグリッパGP2は、昇降機構40b1に連結されている。そのため、上側のグリッパGP1は、下側のグリッパGP2に対して移動することができる。また、一対のグリッパGP1,GP2は、傾斜角度θ1の傾斜方向に前進または後退することができる。一対のグリッパGP1,GP2は、昇降機構40b1と共に鉛直方向(Z軸方向)に沿って昇降することができる。一対のグリッパGP1,GP2は、昇降機構40b1と共に鉛直方向(Z軸方向)に沿った軸線回りに旋回することもできる。これらにより、移載装置40bは、リール21aを収納部42に搬入して収納し、収納部42からリール21aを搬出することができる。
【0069】
図12に示すように、一対のグリッパGP1,GP2は、リール21aを把持する際に、同図の紙面上下方向(Y0軸に沿った方向)に、前進または後退することができる。しかしながら、一対のグリッパGP1,GP2は、リール21aを把持する際に、同図の紙面左右方向(X0軸に沿った方向)に移動することは、困難である。そのため、リール21aの中心のマーク43に対するずれのうち、紙面左右方向(X0軸に沿った方向)のずれは、紙面上下方向(Y0軸に沿った方向)のずれと比べて、吸収し難い。よって、リール21aの中心のマーク43に対するずれ量K0の許容範囲は、紙面上下方向(Y0軸に沿った方向)のずれ量と比べて、紙面左右方向(X0軸に沿った方向)のずれ量を狭くすると良い。
【0070】
図7に示すように、マーク43は、外形寸法および載置されるべき位置が異なる複数種類のリール21aの各々の中心位置に設けることもできる。同図では、複数種類(3種類)のリール21aの各々の中心位置にマーク43が設けられており、複数(3つ)のマーク43は、同図の紙面上下方向(既述されているY0軸に沿った方向)に配置されている。マーク43aは、複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が小さいリール21aの中心位置に設けられているマーク43を示している。マーク43bは、複数種類(3種類)のリール21aのうちの外形寸法が中間のリール21aの中心位置に設けられているマーク43を示している。マーク43cは、複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が大きいリール21aの中心位置に設けられているマーク43を示している。
【0071】
また、実線で示すリール21aは、複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が小さいリール21aを示しており、所定位置P1は、当該リール21aが載置されるべき所定位置P0を示している。破線で示すリール21aは、複数種類(3種類)のリール21aのうちの外形寸法が中間のリール21aを示しており、所定位置P2は、当該リール21aが載置されるべき所定位置P0を示している。なお、図示の便宜上、記載が省略されているが、複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が大きいリール21aについても、同様に載置部40cに載置することができる。所定位置P3は、当該リール21aが載置されるべき所定位置P0を示している。
【0072】
このように、リール21aが載置されるべき所定位置P0が複数、存在し、載置部40cにおいて、マーク43が複数、設けられている場合、リール21aの種類に応じて、マーク43の位置を認識する必要がある。そこで、例えば、判断部52は、認識部51によって取得されたリール21aの識別情報から得られるリール21aの種類に基づいて、リール21aが載置されるべき所定位置P0に設けられるマーク43の位置を認識することができる。
【0073】
例えば、載置部40cにおけるマーク43の位置座標は、リール21aの種類ごとに記憶装置に記憶されている。記憶装置は、公知の記憶装置、データベースなどを用いることができ、自動倉庫40、管理装置19などに設けることができる。記憶装置は、クラウド上に形成することもできる。判断部52は、認識部51によって取得されたリール21aの識別情報から、リール21aの種類(
図7に示す例では、3種類のうちの1種類)を認識する。そして、判断部52は、記憶装置を参照して、認識したリール21aの種類に対応するマーク43の位置座標を取得することができる。これにより、判断部52は、リール21aの種類に応じて、リール21aが載置されるべき所定位置P0に設けられるマーク43の位置を認識することができる。
【0074】
判断部52は、認識部51によって認識されたマーク43から、載置すべきリール21aの種類を取得することもできる。既述されているように、例えば、マーク43には、模様、色彩などを付すことができる。この場合、マーク43は、リール21aの種類ごとに模様(例えば、文字、記号、図形など)を変更することができる。また、マーク43は、リール21aの種類ごとに色彩を変更することもできる。判断部52は、認識部51によって取得されたリール21aの識別情報から得られるリール21aの種類と、認識部51によって認識されたマーク43から取得した載置すべきリール21aの種類の相違に基づいて、リール21aの種類に合致する所定位置P0にリール21aが載置されているか否かを判断する。
【0075】
例えば、認識部51によって
図7に示すマーク43aが認識されたと仮定する。マーク43aには、複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が小さいリール21aが載置されるべきである情報(リール21aの種類に関する情報)を意味する模様または色彩が付されている。この場合に、判断部52は、認識部51によって識別コード22cから取得されたリール21aの識別情報から得られるリール21aの種類と、認識部51によって認識されたマーク43から取得した載置すべきリール21aの種類の相違を判断する。
【0076】
判断部52は、リール21aの種類が一致する場合に、リール21aの種類に合致する所定位置P0(この場合、所定位置P1)に、リール21a(この場合、複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が小さいリール21a)が載置されていると判断する。換言すれば、判断部52は、リール21aの種類が相違する場合に、リール21aの種類に合致する所定位置P0(所定位置P1)にリール21a(複数種類(3種類)のリール21aのうちの最も外形寸法が小さいリール21a)が載置されていないと判断する。マーク43aについて上述されていることは、マーク43bおよびマーク43cについても、同様に言える。
【0077】
1-4-2.規制部53および案内部54
既述されているように、移載装置40bは、載置部40cに載置されたリール21aを収納部42に移動して収納する。規制部53は、判断部52によってリール21aが所定位置P0に載置されていると判断された場合(
図6に示すステップS14でYesの場合)に、移載装置40bによるリール21aの移動を許可する(ステップS15~ステップS18)。具体的には、判断部52は、載置部40cに載置されているリール21aを把持機構40b2が把持することを許可する。これにより、把持機構40b2は、載置部40cに載置されているリール21aを把持する(ステップS15)。
【0078】
そして、把持機構40b2は、リール21aを収納する収納部42に移動する(ステップS16)。把持機構40b2は、収納部42に移動すると、リール21aの把持を解除する(ステップS17)。これにより、リール21aは、収納部42に収納される。リール21aが収納部42に収納されると、把持機構40b2は、所定の待機位置に移動する(ステップS18)。そして、入庫支援装置50による制御は、一旦、終了する。
【0079】
規制部53は、判断部52によってリール21aが所定位置P0に載置されていないと判断された場合(ステップS14でNoの場合)に、移載装置40bによるリール21aの移動を規制する(ステップS19)。これにより、移載装置40bによるリール21aの不適切な把持を抑制することができ、リール21aの移動や収納に伴う部材の破損を抑制することができる。
【0080】
案内部54は、判断部52によってリール21aが所定位置P0に載置されていないと判断された場合(ステップS14でNoの場合)に、リール21aを所定位置P0に載置するように作業者に案内する(ステップS20)。例えば、案内部54は、載置部40cに載置されたリール21aの中心穴21hからマーク43が認識できるように、載置部40cにリール21aを載置するように案内する。案内部54は、作業者に上記の案内をすることができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、案内部54は、自動倉庫40の表示装置40eにおいて、作業者に上記の案内を表示することができる。また、案内部54は、自動倉庫40の表示装置40eにおいて、作業者に上記の内容を音声案内することもできる。
【0081】
案内部54は、作業者が携帯する携帯端末機において、上記の内容を案内することもできる。案内部54は、認識部51によって、リール21aを識別可能な識別情報をリール21aから取得することができなかった場合に、その旨を作業者に案内することもできる。また、案内部54は、リール21aの中心のマーク43に対するずれ方向L0を作業者に案内することもできる。案内部54は、リール21aの中心のマーク43に対するずれ量K0を作業者に案内することもできる。
【0082】
案内部54による案内が終了すると、入庫支援装置50による制御は、ステップS11に示す処理に戻り、リール21aの入庫作業が行われる。リール21aが所定位置P0に載置されるまで、既述されている処理および判断が繰り返される。なお、載置部40cは、リール21aが所定位置P0に載置されるようにガイドピンを備えることもできる。
図7に示すように、外形寸法が異なる複数種類のリール21aを載置部40cに載置することができる場合、ガイドピンは、リール21aの種類ごとに、リール21aの外縁部に配置することができる。
【0083】
2.入庫支援方法
入庫支援装置50について既述されていることは、入庫支援方法についても同様に言える。具体的には、入庫支援方法は、認識工程と、判断工程とを備える。認識工程は、認識部51が行う制御に相当する。判断工程は、判断部52が行う制御に相当する。入庫支援方法は、規制工程を備えることもできる。規制工程は、規制部53が行う制御に相当する。入庫支援方法は、案内工程を備えることもできる。案内工程は、案内部54が行う制御に相当する。
【0084】
3.実施形態の効果の一例
入庫支援装置50によれば、入庫したリール21aが一時的に載置される載置部40cにおいて、リール21aが適切に載置されているか否かを判断することができる。入庫支援装置50について上述されていることは、入庫支援方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0085】
21a:リール、21a2:部品テープ、21h:中心穴、22c:識別コード、
40:自動倉庫、40b:移載装置、40c:載置部、42:収納部、43:マーク、
44:撮像装置、50:入庫支援装置、51:認識部、52:判断部、53:規制部、
54:案内部、90:基板、P0:所定位置、S0:認識面積、T0:実際の面積、
L0:ずれ方向、K0:ずれ量。