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  • 特開-蓄電装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012764
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/35 20210101AFI20250117BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20250117BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20250117BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M50/35 201
H01M50/30
H01M50/317 201
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115848
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浮田 恵佑
(72)【発明者】
【氏名】來間 雄介
(72)【発明者】
【氏名】右田 翼
(72)【発明者】
【氏名】森川 桂
(72)【発明者】
【氏名】小熊 泰正
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB02
5H040AA33
5H040AT02
5H040AY08
(57)【要約】
【課題】排出部の閉塞を抑制することが可能な蓄電装置を提供すること。
【解決手段】蓄電装置1は、複数の蓄電セルと、ケースと、脱硫ユニットと、を備える。ケースは、天壁222を含み、天壁222は、ケース内のガスを前記ケース外に排出するための排出部224を有する。脱硫ユニットは、脱硫剤310と、脱硫剤310を収容しており、ケース200内と排出部224とを連通させる連通経路320と、を有する。連通経路320は、排出部から下方に延びる排出側上下経路321と、排出側上下経路の下端部から水平に延び、脱硫剤を支持する支持経路322と、支持経路の端部から上方に延び、ケース内に開口する吸引側上下経路323と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルと、
前記複数の蓄電セルを収容するケースと、
前記ケース内に配置された脱硫ユニットと、を備え、
前記ケースは、前記複数の蓄電セルの上方に配置された天壁を含み、
前記天壁は、前記ケース内のガスを前記ケース外に排出するための排出部を有し、
前記脱硫ユニットは、
脱硫剤と、
前記脱硫剤を収容しており、前記ケース内と前記排出部とを連通させる連通経路と、を有し、
前記連通経路は、
前記排出部から下方に延びる排出側上下経路と、
前記排出側上下経路の下端部から水平に延び、前記脱硫剤を支持する支持経路と、
前記支持経路の端部から上方に延び、前記ケース内に開口する吸引側上下経路と、を有する、蓄電装置。
【請求項2】
前記排出部は、前記ケース内の圧力を調整する圧力調整弁で構成されている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記脱硫ユニットは、
前記排出側上下経路の上端部に接続された排出側保持板と、
前記吸引側上下経路の上端部に接続された吸引側保持板と、
前記排出側保持板に保持された排出側フィルターと、
前記吸引側保持板に保持された吸引側フィルターと、をさらに有し、
前記排出側保持板は、前記排出側フィルターが前記圧力調整弁と前記排出側上下経路との間に配置されるように前記排出側フィルターを保持している、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記支持経路は、
前記排出側上下経路の下端部から上下方向と直交する第1方向に延びる第1経路と、
前記吸引側上下経路の下端部から前記第1方向に延びる第2経路と、
前記第1経路と前記第2経路とを連結する第3経路と、を有し、
前記第3経路は、上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向に沿って延びる形状を有する、請求項1から3のいずれかに記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2021-197221号公報には、複数の全固体セルと、複数の全固体セルを収容する筐体と、筐体外から筐体内にガスを送り込む吸気機構と、筐体内のガスを筐体外に排出する排出機構と、を備える全固体電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-197221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2021-197221号公報に記載される全固体電池パックにおいて、筐体内のガスに含まれる硫化水素を除去するために脱硫剤が用いられることがある。この場合において、振動等に起因して脱硫剤が破砕されると、排出部が閉塞される懸念がある。
【0005】
本開示の目的は、排出部の閉塞を抑制することが可能な蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従った蓄電装置は、複数の蓄電セルと、前記複数の蓄電セルを収容するケースと、前記ケース内に配置された脱硫ユニットと、を備え、前記ケースは、前記複数の蓄電セルの上方に配置された天壁を含み、前記天壁は、前記ケース内のガスを前記ケース外に排出するための排出部を有し、前記脱硫ユニットは、脱硫剤と、前記脱硫剤を収容しており、前記ケース内と前記排出部とを連通させる連通経路と、を有し、前記連通経路は、前記排出部から下方に延びる排出側上下経路と、前記排出側上下経路の下端部から水平に延び、前記脱硫剤を支持する支持経路と、前記支持経路の端部から上方に延び、前記ケース内に開口する吸引側上下経路と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、排出部の閉塞を抑制することが可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態における蓄電装置を概略的に示す斜視図である。
図2】脱硫ユニットを概略的に示す平面図である。
図3図2におけるIII-III線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態における蓄電装置を概略的に示す斜視図である。この蓄電装置1は、車両に好ましく搭載される。
【0011】
図1に示されるように、蓄電装置1は、複数の蓄電セル100と、ケース200と、脱硫ユニット300と、を備えている。
【0012】
複数の蓄電セル100は、一方向(例えば車両の幅方向)に並ぶように配置されている。各蓄電セル100として、例えば、リチウムイオン電池が挙げられる。各蓄電セル100は、扁平な直方体に形成されている。
【0013】
ケース200は、複数の蓄電セル100を収容している。ケース200は、上方に開口するロアケース210と、ロアケース210とともに複数の蓄電セル100を収容するアッパーカバー220と、を有している。アッパーカバー220は、複数の蓄電セル100の上方に配置された天壁222を含んでいる。天壁222は、ケース200内のガス(硫化水素ガスを含む)をケース200外に排出するための排出部224を有している。排出部224は、圧力調整弁(いわゆる呼吸膜)で構成されている。
【0014】
脱硫ユニット300は、ケース200内のガスから硫黄系の成分を除去する。脱硫ユニット300は、脱硫剤310と、連通経路320と、排出側保持板331と、吸引側保持板332と、排出側フィルター341と、吸引側フィルター342と、を有している。
【0015】
脱硫剤310は、ペレット状に形成されている。
【0016】
連通経路320は、脱硫剤310を収容しており、ケース200内と排出部224とを連通させている。連通経路320は、排出側上下経路321と、支持経路322と、吸引側上下経路323と、を有している。
【0017】
排出側上下経路321は、排出部224から下方に延びている。
【0018】
支持経路322は、排出側上下経路321の下端部から水平に延びている。支持経路322は、脱硫剤310を支持している。
【0019】
吸引側上下経路323は、支持経路322の端部から上方に延びている。吸引側上下経路323の上端部は、ケース200内に開口している。吸引側上下経路323の上端部は、天壁222から下方に離間している。
【0020】
図2に示されるように、支持経路322は、第1経路322aと、第2経路322bと、第3経路322cと、を有している。
【0021】
第1経路322aは、排出側上下経路321の下端部から上下方向と直交する第1方向(図2における左右方向)に延びている。本実施形態では、第1経路322aは、第1方向において吸引側上下経路323に近づく向きに延びている。
【0022】
第2経路322bは、吸引側上下経路323の下端部から第1方向に延びている。本実施形態では、第2経路322bは、第1方向において排出側上下経路321に近づく向きに延びている。
【0023】
第3経路322cは、第1経路322aと第2経路322bとを連結している。第3経路322cは、上下方向及び第1方向の双方と直交する第2方向(図2における上下方向)に沿って延びる形状を有している。脱硫剤310は、第3経路322cに配置されている。
【0024】
排出側保持板331は、排出側上下経路321の上端部に接続されている。排出側フィルター341は、排出側保持板331に保持されている。図3に示されるように、排出側保持板331は、排出側フィルター341が排出部224と排出側上下経路321との間に配置されるように排出側フィルター341を保持している。
【0025】
吸引側保持板332は、吸引側上下経路323の上端部に接続されている。吸引側フィルター342は、吸引側保持板332に保持されている。吸引側保持板332は、吸引側フィルター342が天壁222から離間した位置に配置されるように吸引側フィルター342を保持している。
【0026】
以上に説明したように、本実施形態における蓄電装置1では、水平に延びる支持経路322に脱硫剤310が支持されているため、振動等に起因して脱硫剤310が破砕された場合においても、支持経路322内の上部の空間を通じてケース200内及び排出部224間の通気性が確保される。よって、排出部224の閉塞が抑制される。
【0027】
また、連通経路320は、天壁222につながっており、ケース200内のうち相対的に硫化水素ガスの濃度が低くなる上部の空間に配置されているため、ケース200内に硫化水素ガスが発生していたとしても、高濃度の硫化水素ガスが脱硫ユニット300に入り込むことや、脱硫ユニット300における脱硫が不十分になることが抑制される。
【0028】
上述した例示的な実施形態は、以下に記載される態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0029】
[態様1]
複数の蓄電セルと、
前記複数の蓄電セルを収容するケースと、
前記ケース内に配置された脱硫ユニットと、を備え、
前記ケースは、前記複数の蓄電セルの上方に配置された天壁を含み、
前記天壁は、前記ケース内のガスを前記ケース外に排出するための排出部を有し、
前記脱硫ユニットは、
脱硫剤と、
前記脱硫剤を収容しており、前記ケース内と前記排出部とを連通させる連通経路と、を有し、
前記連通経路は、
前記排出部から下方に延びる排出側上下経路と、
前記排出側上下経路の下端部から水平に延び、前記脱硫剤を支持する支持経路と、
前記支持経路の端部から上方に延び、前記ケース内に開口する吸引側上下経路と、を有する、蓄電装置。
【0030】
この蓄電装置では、水平に延びる支持経路に脱硫剤が支持されているため、振動等に起因して脱硫剤が破砕された場合においても、支持経路内の上部の空間を通じてケース内及び排出部間の通気性が確保される。よって、排出部の閉塞が抑制される。
【0031】
また、連通経路は、天壁につながっており、ケース内のうち相対的に硫化水素ガスの濃度が低くなる上部の空間に配置されているため、ケース内に硫化水素ガスが発生していたとしても、高濃度の硫化水素ガスが脱硫ユニットに入り込むことや、脱硫ユニットにおける脱硫が不十分になることが抑制される。
【0032】
[態様2]
前記排出部は、前記ケース内の圧力を調整する圧力調整弁で構成されている、態様1に記載の蓄電装置。
【0033】
[態様3]
前記脱硫ユニットは、
前記排出側上下経路の上端部に接続された排出側保持板と、
前記吸引側上下経路の上端部に接続された吸引側保持板と、
前記排出側保持板に保持された排出側フィルターと、
前記吸引側保持板に保持された吸引側フィルターと、をさらに有し、
前記排出側保持板は、前記排出側フィルターが前記圧力調整弁と前記排出側上下経路との間に配置されるように前記排出側フィルターを保持している、態様2に記載の蓄電装置。
【0034】
[態様4]
前記支持経路は、
前記排出側上下経路の下端部から上下方向と直交する第1方向に延びる第1経路と、
前記吸引側上下経路の下端部から前記第1方向に延びる第2経路と、
前記第1経路と前記第2経路とを連結する第3経路と、を有し、
前記第3経路は、上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向に沿って延びる形状を有する、態様1から3のいずれかに記載の蓄電装置。
【0035】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 蓄電装置、100 蓄電セル、200 ケース、210 ロアケース、220 アッパーカバー、222 天壁、224 排出部、300 脱硫ユニット、310 脱硫剤、320 連通経路、321 排出側上下経路、322 支持経路、322a 第1経路、322b 第2経路、322c 第3経路、323 吸引側上下経路、331 排出側保持板、332 吸引側保持板、341 排出側フィルター、342 吸引側フィルター。
図1
図2
図3