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  • 特開-取り出し治具 図1
  • 特開-取り出し治具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012775
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】取り出し治具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/14 20060101AFI20250117BHJP
   F16J 15/00 20060101ALI20250117BHJP
   F16J 15/3204 20160101ALI20250117BHJP
【FI】
B25B27/14 A
F16J15/00 D
F16J15/3204
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115868
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 龍
【テーマコード(参考)】
3C031
3J006
【Fターム(参考)】
3C031EE34
3J006AE37
(57)【要約】
【課題】 配管部品の端面に形成された溝内に配置されたガスケットを簡易に取り出すための技術を提供する。
【解決手段】 取り出し治具は、配管部品に対して固定されるホルダと、ホルダに支持されたブロックと、ブロックに支持されたピックと、ホルダに対するブロックの摺動をロックするロック機構と、ブロックに支持された操作レバーと、を備え、操作レバーの基端部には、操作レバーの回転に応じてピック及びロック機構を連動させるカム機構が設けられており、初期位置にある第1状態では、ロック機構がホルダに対するブロックの摺動をロックするとともに、ピックの先端が溝に対向するように配置され、第1状態から操作レバーが特定の方向へ操作された第2状態では、カム機構によって、ピックが押し出されるとともにロック機構によるロックが解除され、第2状態から操作レバーが特定の方向へさらに操作された第3状態では、ブロックがホルダに対して摺動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管部品の端面に形成された溝内に配置されたガスケットを取り出すための取り出し治具であって、
前記配管部品に対して固定されるホルダと、
前記ホルダによって摺動可能に支持されたブロックと、
前記ブロックによって摺動可能に支持されたピックと、
前記ホルダに対する前記ブロックの摺動をロック及びアンロックするロック機構と、
前記ブロックによって回転可能に支持された操作レバーと、
を備え、
前記操作レバーの基端部には、前記操作レバーの回転に応じて前記ピック及び前記ロック機構を連動させるカム機構が設けられており、
前記ホルダが前記配管部品に対して取り付けられ、かつ、前記ブロック、前記ピック、及び前記操作レバーが初期位置にある第1状態では、前記ロック機構が前記ホルダに対する前記ブロックの摺動をロックするとともに、前記ピックの先端が前記溝に対向するように配置され、
前記第1状態から前記操作レバーが特定の方向へ操作された第2状態では、前記カム機構によって、前記ピックが押し出されて前記溝内へ挿入されるとともに前記ロック機構によるロックが解除され、
前記第2状態から前記操作レバーが前記特定の方向へさらに操作された第3状態では、前記ブロックが前記ホルダに対して摺動することで、前記ブロックに支持された前記ピックが前記ガスケットを前記溝内から取り出す、
取り出し治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、配管部品の端面に形成された溝内に配置されたガスケットを取り出すための取り出し治具を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、冷却水が流れる一対の管フランジの間を僅かに広げて、管フランジの間のゴムパッキンを取り出す工具を記載する。当該工具は、舌片とハンドルを備える。ハンドルの回転により舌片が一対の管フランジの間に進入し、舌片によりゴムパッキンが一対の管フランジの間から外側へ押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全平03-077895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ガスケットが、配管部材の端面に形成された溝内に配置される場合がある。ガスケットが溝に固く嵌まっていると、ガスケットの取り出しが困難となる。本明細書では、配管部品の端面に形成された溝内に配置されたガスケットを簡易に取り出すための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、配管部品の端面に形成された溝内に配置されたガスケットを取り出すための取り出し治具を開示する。前記取り出し治具は、前記配管部品に対して固定されるホルダと、前記ホルダによって摺動可能に支持されたブロックと、前記ブロックによって摺動可能に支持されたピックと、前記ホルダに対する前記ブロックの摺動をロック及びアンロックするロック機構と、前記ブロックによって回転可能に支持された操作レバーと、を備え、前記操作レバーの基端部には、前記操作レバーの回転に応じて前記ピック及び前記ロック機構を連動させるカム機構が設けられており、前記ホルダが前記配管部品に対して取り付けられ、かつ、前記ブロック、前記ピック、及び前記操作レバーが初期位置にある第1状態では、前記ロック機構が前記ホルダに対する前記ブロックの摺動をロックするとともに、前記ピックの先端が前記溝に対向するように配置され、前記第1状態から前記操作レバーが特定の方向へ操作された第2状態では、前記カム機構によって、前記ピックが押し出されて前記溝内へ挿入されるとともに前記ロック機構によるロックが解除され、前記第2状態から前記操作レバーが前記特定の方向へさらに操作された第3状態では、前記ブロックが前記ホルダに対して摺動することで、前記ブロックに支持された前記ピックが前記ガスケットを前記溝内から取り出す。
【0006】
上記の構成によれば、取り出し治具のホルダを配管部品に取り付けた後に、操作レバーを初期位置から特定の方向へと操作するだけで、ガスケットを溝内から取り出すことができる。配管部品の端面に形成された溝内に配置されたガスケットを簡易に取り出すことができる。
【0007】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】取り出し治具の概念図である。
図2】取り出し治具の動作を示す図である。
図3】取り出し治具の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(取り出し治具2の構成;図1
取り出し治具2は、配管部品100の端面102に形成された溝104内に配置されたガスケット110を取り出すための治具である。配管部品100は、例えば、自動車のターボチャージャーである。端面102には、三元触媒へ連通する触媒配管が接続される。三元触媒を交換する作業において、端面102と触媒配管との接続が解除される。このときに、ガスケット110も交換される。しかし、ガスケット110は、配管部品100を流れる排気ガスの熱により膨張し、溝104の内面に固着し得る。固着したガスケット110を溝104から取り出すことは困難である。取り出し治具2は、この問題に対処するために開発された。
【0010】
取り出し治具2は、ホルダ10と、ブロック20と、ピック30と、ロック機構40と、操作レバー50と、を備える。ホルダ10は、クランプ12を有する。クランプ12で配管部品100の端面102から配管部品100を挟むことにより、ホルダ10が配管部品100に対して固定される。
【0011】
ブロック20は、ホルダ10によって摺動可能に支持されている。具体的には、ブロック20の端部22が、ホルダ10内に収容される。そして、端部22の両側面から突き出ているピン24が、ホルダ10に形成されているスロット穴14に挿入されている。スロット穴14は、円弧状である。ピン24がスロット穴14内を摺動することにより、ブロック20がホルダ10に対して摺動する。
【0012】
ピック30は、ブロック20によって摺動可能に支持されている。具体的には、ピック30は、ブロック20に収容されている。ピック30の先端32は、ブロック20の端部22から外側へ突き出ている。ピック30は、その長手方向に沿って摺動可能である。
【0013】
ロック機構40は、ホルダ10に対するブロック20の摺動をロック及びアンロックする。ロック機構40は、ブロック20の下面に固定されている。ロック機構40は、ホルダ10の側へと突き出るロックピン42を有する。ロックピン42が、ホルダ10の側面に形成されているロック穴16に挿入される。これにより、ホルダ10に対するブロック20の摺動がロックされる。また、ロック機構40は、ボタン44を有する。ボタン44が押し下げられると、ロックピン42が、ロック機構40の内側へ引っ込む。これにより、ロックピン42がロック穴16から抜けて、ホルダ10に対するブロック20の摺動がアンロックされる。例えば、ロックピン42は、ばね等の弾性部材の復元力を利用して動作する。
【0014】
操作レバー50は、作業者が操作する長尺なレバーである。作業者は、操作レバー50の一端を握る。一方、操作レバー50の他端である基端部52は、ブロック20に回転可能に支持されている。基端部52には、所定の曲線を描くカム機構54が設けられている。カム機構54には、ピック30の先端32とは反対側の端部が当接している。カム機構54は、基端部52の回転運動をピック30の直線運動に変換する。また、カム機構54は、ロック機構40のボタン44と対向している。基端部52が回転することにより、カム機構54は、ロック機構40のボタン44を押し下げる。
【0015】
(取り出し治具2の動作;図2図3
図2図3を参照して、取り出し治具2の動作について説明する。図2の状態(1)は、ホルダ10が配管部品100に対して取り付けられ、かつ、ブロック20、ピック30、及び操作レバー50が初期位置にある初期状態を表す。初期状態では、ロック機構40がホルダ10に対するブロック20の摺動をロックしている。そして、ピック30の先端32が配管部品100のガスケット110と溝104との境目に対向している。
【0016】
図2の状態(2)は、状態(1)から操作レバー50が特定の方向へ操作された状態を表す。状態(2)の位置まで操作レバー50が特定の方向へ操作されると、カム機構54によって、ピック30がガスケット110に近づくように押し出される。
【0017】
図2の状態(3)は、状態(2)から操作レバー50が特定の方向へさらに操作された状態を表す。状態(3)の位置まで操作レバー50が操作されると、ピック30の先端32がガスケット110と溝104の境目へ挿入される。さらに、状態(3)では、カム機構54が、ロック機構40のボタン44を押し下げる。これにより、ロック機構40によるロックが解除される(即ち、ブロック20の摺動がアンロックされる)。
【0018】
図3の状態(4)は、状態(3)から操作レバー50が特定の方向へさらに操作された状態を表す。ブロック20がホルダ10に対して摺動することで、ガスケット110と溝104の境目に挿入された先端32が、ガスケット110を溝104から剥がす。そして、図3の状態(5)に示すように、状態(4)から操作レバー50が特定の方向へさらに操作されると、先端32がガスケット110を溝104内から取り出す。このような構成によれば、取り出し治具2のホルダ10を配管部品100に取り付けた後に、操作レバー50を図2の状態(1)の初期位置から特定の方向へと操作するだけで、ガスケット110を溝104内から取り出すことができる。配管部品100の端面102に形成された溝104内に配置されたガスケット110を簡易に取り出すことができる。
【0019】
(対応関係)
配管部品100、取り出し治具2が、それぞれ、「配管部品」、「取り出し治具」の一例である。端面102、溝104、ガスケット110が、それぞれ、「端面」、「溝」、「ガスケット」の一例である。ホルダ10、ブロック20が、それぞれ、「ホルダ」、「ブロック」の一例である。ピック30、先端32が、それぞれ、「ピック」、「先端」の一例である。ロック機構40が、「ロック機構」の一例である。操作レバー50、基端部52、カム機構54が、それぞれ、「操作レバー」、「基端部」、「カム機構」の一例である。図2の状態(1)、図2の状態(3)、図3の状態(5)が、それぞれ、「第1状態」、「第2状態」、「第3状態」の一例である。
【符号の説明】
【0020】
2:取り出し治具、10:ホルダ、12:クランプ、14:スロット穴、16:ロック穴、20:ブロック、22:端部、24:ピン、30:ピック、32:先端、40:ロック機構、42:ロックピン、44:ボタン、50:操作レバー、52:基端部、54:カム機構、100:配管部品、102:端面、104:溝、110:ガスケット
図1
図2
図3