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特開2025-12782クライオポンプシステム、クライオポンプモニタリング方法およびクライオポンプモニタリングプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012782
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】クライオポンプシステム、クライオポンプモニタリング方法およびクライオポンプモニタリングプログラム
(51)【国際特許分類】
   F04B 37/08 20060101AFI20250117BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F04B37/08
F04B49/06 331C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115879
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 走
【テーマコード(参考)】
3H076
3H145
【Fターム(参考)】
3H076AA27
3H076AA39
3H076BB45
3H076CC51
3H076CC98
3H145AA03
3H145AA25
3H145AA38
3H145AA42
3H145BA31
3H145EA31
3H145EA48
(57)【要約】
【課題】クライオポンプシステムの状態を容易に把握することに役立つクライオポンプモニタリング技術を提供する。
【解決手段】クライオポンプシステム100は、クライオポンプシステム100に関する測定パラメータを測定するセンサと、測定パラメータをセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるようにクライオポンプシステム100の運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータでクライオポンプシステム100を運転するように構成されるクライオポンプコントローラ110と、測定パラメータの時系列データおよび運転パラメータの時系列データを取得し、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されるクライオポンプモニタ130と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオポンプシステムに関する測定パラメータを測定するセンサと、
前記測定パラメータを前記センサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように前記クライオポンプシステムの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで前記クライオポンプシステムを運転するように構成されるクライオポンプコントローラと、
前記測定パラメータの時系列データおよび前記運転パラメータの時系列データを取得し、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されるクライオポンプモニタと、を備えることを特徴とするクライオポンプシステム。
【請求項2】
前記クライオポンプモニタは、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを、前記測定パラメータの前記目標値と前記運転パラメータの限界値とを近接させるように並べて表示するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプシステム。
【請求項3】
前記クライオポンプモニタは、前記測定パラメータの時系列グラフを表示する第1表示エリアの縁部に前記測定パラメータの前記目標値の表示位置を定め、前記運転パラメータの時系列グラフを表示する第2表示エリアの縁部のうち前記第1表示エリアの前記縁部に近接する縁部に前記運転パラメータの前記限界値の表示位置を定めるように構成されることを特徴とする請求項2に記載のクライオポンプシステム。
【請求項4】
前記クライオポンプモニタは、前記クライオポンプシステムの診断が行われたことを示すマークを前記時間軸上での診断時刻の位置に表示するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【請求項5】
前記クライオポンプモニタは、オペレータによる前記マークの指定に応答して、前記マークに紐付けられた前記クライオポンプシステムの診断情報を表示するように構成されることを特徴とする請求項4に記載のクライオポンプシステム。
【請求項6】
前記測定パラメータとは異なる前記クライオポンプシステムに関する第2の測定パラメータを測定する第2のセンサをさらに備え、
前記クライオポンプモニタは、前記第2の測定パラメータの時系列データを取得し、前記第2の測定パラメータの時系列グラフも前記測定パラメータおよび前記運転パラメータの時系列グラフと前記時間軸をそろえて表示するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【請求項7】
前記クライオポンプシステムは、
複数のクライオポンプと、
各々が、前記複数のクライオポンプのうち対応するクライオポンプに関する測定パラメータを測定する複数のセンサと、を備え、
前記クライオポンプコントローラは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータを前記複数のセンサのうち対応するセンサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように前記クライオポンプの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで前記クライオポンプを運転するように構成され、
前記クライオポンプモニタは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータの時系列データおよび前記運転パラメータの時系列データを取得し、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【請求項8】
前記クライオポンプモニタは、前記複数のクライオポンプについての前記測定パラメータの複数の時系列グラフをまとめて表示し、前記複数のクライオポンプについての前記運転パラメータの複数の時系列グラフをまとめて表示するように構成されることを特徴とする請求項7に記載のクライオポンプシステム。
【請求項9】
前記クライオポンプシステムは、
複数のクライオポンプと、
各々が、前記複数のクライオポンプのうち対応するクライオポンプに関する測定パラメータを測定する複数のセンサと、
前記クライオポンプコントローラに代えて、前記複数のクライオポンプを個別に制御する複数のコントローラと、を備え、
各コントローラは、前記複数のクライオポンプのうち対応するクライオポンプについて、前記測定パラメータを前記複数のセンサのうち対応するセンサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように前記クライオポンプの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで前記対応するクライオポンプを運転するように構成され、
前記クライオポンプモニタは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータの時系列データおよび前記運転パラメータの時系列データを取得し、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【請求項10】
クライオポンプシステムに関する測定パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータを目標値に追従させるように制御される前記クライオポンプシステムの運転パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することと、を備えることを特徴とするクライオポンプモニタリング方法。
【請求項11】
前記表示することは、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを、前記測定パラメータの前記目標値と前記運転パラメータの限界値とを近接させるように並べて表示することを備えることを特徴とする請求項10に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【請求項12】
前記表示することは、前記測定パラメータの時系列グラフを表示する第1表示エリアの縁部に前記測定パラメータの前記目標値の表示位置を定め、前記運転パラメータの時系列グラフを表示する第2表示エリアの縁部のうち前記第1表示エリアの前記縁部に近接する縁部に前記運転パラメータの前記限界値の表示位置を定めることを備えることを特徴とする請求項11に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【請求項13】
前記表示することは、前記クライオポンプシステムの診断が行われたことを示すマークを前記時間軸上での診断時刻の位置に表示することを備えることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のクライオポンプモニタリング方法。
【請求項14】
前記表示することは、オペレータによる前記マークの指定に応答して、前記マークに紐付けられた前記クライオポンプシステムの診断情報を表示することを備えることを特徴とする請求項13に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【請求項15】
前記測定パラメータとは異なる前記クライオポンプシステムに関する第2の測定パラメータの時系列データを取得することをさらに備え、
前記表示することは、前記第2の測定パラメータの時系列グラフも前記測定パラメータおよび前記運転パラメータの時系列グラフと前記時間軸をそろえて表示することを備えることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のクライオポンプモニタリング方法。
【請求項16】
クライオポンプシステムに関する測定パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータを目標値に追従させるように制御される前記クライオポンプシステムの運転パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することと、をコンピュータに実行させることを特徴とするクライオポンプモニタリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライオポンプシステム、クライオポンプモニタリング方法およびクライオポンプモニタリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クライオポンプは、極低温に冷却されたクライオパネルに気体分子を凝縮または吸着により捕捉して排気する真空ポンプである。クライオポンプは半導体回路製造プロセス等に要求される清浄な真空環境を実現するために真空プロセス装置に搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-293438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クライオポンプの運転中には、クライオポンプから様々なデータが継続的に取得される。取得されるデータには例えば、クライオポンプ内のクライオパネルおよびこれを囲む放射シールドそれぞれの冷却温度、クライオポンプを冷却する冷凍機の内部圧力、冷凍機を駆動するためのモータの運転周波数などが含まれうる。ひとつの真空プロセス装置には、複数台のクライオポンプが搭載されることもしばしばあり、クライオポンプごとにこうしたデータが取得される。クライオポンプに関するこうした多種、多量のデータは、クライオポンプの監視や診断に利用されうる。
【0005】
クライオポンプの設計エンジニアには、診断結果が正確であることを検証するために、さらには、必要に応じてそうした検証をクライオポンプのユーザーに報告するために、取得された大量のデータをクライオポンプの状態を把握できるように整理し分析することが求められることがある。こうした作業は、エンジニアが自身のノウハウを用いて行っているのが実情であるが、手間がかかる。また、そうしたノウハウを持たないユーザー自身がそれを行うことは、実際上困難である。
【0006】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、クライオポンプシステムの状態を容易に把握することに役立つクライオポンプモニタリング技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によると、クライオポンプシステムは、クライオポンプシステムに関する測定パラメータを測定するセンサと、測定パラメータをセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるようにクライオポンプシステムの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータでクライオポンプシステムを運転するように構成されるクライオポンプコントローラと、測定パラメータの時系列データおよび運転パラメータの時系列データを取得し、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されるクライオポンプモニタと、を備える。
【0008】
本発明のある態様によると、クライオポンプモニタリング方法は、クライオポンプシステムに関する測定パラメータの時系列データを取得することと、測定パラメータを目標値に追従させるように制御されるクライオポンプシステムの運転パラメータの時系列データを取得することと、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クライオポンプシステムの状態を容易に把握することに役立つクライオポンプモニタリング技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係るクライオポンプシステムを示す模式図である。
図2】実施の形態に係るクライオポンプシステムに使用されうるクライオポンプの一例を示す模式図である。
図3】実施の形態に係るクライオポンプシステムに使用されうる圧縮機の一例を示す模式図である。
図4】実施の形態に係るクライオポンプモニタリング方法を示すフローチャートである。
図5】実施の形態に係るクライオポンプシステムに使用されうるクライオポンプモニタの一例を示す模式図である。
図6】実施の形態に係るクライオポンプモニタにおける時系列グラフ表示の一例を示す模式図である。
図7】実施の形態に係るクライオポンプモニタにおける時系列グラフ表示の他の一例を示す模式図である。
図8】実施の形態に係るクライオポンプモニタにおける時系列グラフ表示の他の一例を示す模式図である。
図9】実施の形態に係るクライオポンプシステムの他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
図1は、実施の形態に係るクライオポンプシステム100を示す模式図である。クライオポンプシステム100は、真空プロセス装置200に搭載され、真空プロセス装置200の真空容器202を所望の真空度に真空排気するために使用される。真空プロセス装置200は、真空容器202内の真空環境で例えばウェハなどの被処理物を所望の真空プロセスで処理するように構成される。真空プロセス装置200は、例えばイオン注入装置、スパッタリング装置、蒸着装置、またはその他の真空プロセス装置であってもよい。
【0014】
真空プロセス装置200は、真空容器202に加えて、ホストコントローラ204と、筐体206とを備える。ホストコントローラ204は、真空プロセス装置200とクライオポンプシステム100との通信を制御するように構成される。ホストコントローラ204は、真空プロセス装置200を制御する制御装置として構成され、またはそうした制御装置の一部を構成してもよい。筐体206は、真空プロセス装置200の外装を形成し、真空プロセス装置200の様々な構成要素を収納する。真空容器202とホストコントローラ204は、筐体206内に配置される。
【0015】
筐体206は、真空プロセス装置200の全面を覆うエンクロージャーであってもよい。筐体206は、真空プロセス装置200の構成要素が配設されこれらを支持するフレーム構造と、真空プロセス装置200の内部を外から仕切るパネル部材と、真空プロセス装置200の内部に外からアクセスするための開閉可能な扉とを備えてもよい。パネル部材と扉はフレーム構造に装着されていてもよい。筐体206は、真空プロセス装置200で発生しうる放射線が外に漏れるのを防ぐために、例えば鉛などの放射線遮蔽材を有してもよい。
【0016】
あるいは、筐体206は、真空プロセス装置200の全面を覆うものでなくてもよい。例えば、筐体206の一部が開放され、真空プロセス装置200の一部が外から見えてもよい。
【0017】
クライオポンプシステム100は、少なくとも1つのクライオポンプ10と、少なくとも1つの圧縮機12と、クライオポンプコントローラ110と、ネットワーク120と、クライオポンプモニタ130とを備える。
【0018】
クライオポンプ10は、真空プロセス装置200の真空容器202を真空排気するために真空容器202に取り付けられる。よって、クライオポンプ10は、真空容器202とともに真空プロセス装置200の筐体206内に配置される。実施の形態に係るクライオポンプシステム100に使用されうるクライオポンプ10の例示的な構成については、図2を参照して後述する。
【0019】
圧縮機12は、クライオポンプ10に設けられた膨張機(後述)に冷媒ガスを給排するために設けられている。圧縮機12は、ガスライン13によりクライオポンプ10の膨張機と接続され、真空プロセス装置200の筐体206外に配置される。ガスライン13は、圧縮機12から膨張機に冷媒ガスを供給するように圧縮機12を膨張機に接続する高圧ライン13aと、膨張機から圧縮機12に冷媒ガスを回収するように圧縮機12を膨張機に接続する低圧ライン13bとを備える。実施の形態に係るクライオポンプシステム100に使用されうる圧縮機12の例示的な構成については、図3を参照して後述する。
【0020】
なお、クライオポンプシステム100には、複数のクライオポンプ10、例えば数台から十数台、またはそれより多数のクライオポンプ10が設けられてもよい。また、これらクライオポンプ10に冷媒ガスを給排するために複数の圧縮機12がクライオポンプシステム100に設けられてもよい。
【0021】
クライオポンプコントローラ110は、ホストコントローラ204から受信する指令に基づいてクライオポンプシステム100を統括的に制御するように構成される。また、クライオポンプコントローラ110は、クライオポンプシステム100に関する情報をホストコントローラ204に送信するように構成される。よって、クライオポンプコントローラ110は、ホストコントローラ204からの指令に基づいてクライオポンプ10と圧縮機12を制御することができ、クライオポンプ10に関する情報と圧縮機12に関する情報をホストコントローラ204に送信することができる。
【0022】
クライオポンプコントローラ110は、第1通信線208によりホストコントローラ204に通信可能に接続される。第1通信線208は、例えばRS-232Cなどの通信ケーブルであってもよい。一例として、クライオポンプコントローラ110は、ホストコントローラ204と同様に、真空プロセス装置200の筐体206内に配置される。他の例として、クライオポンプコントローラ110は、真空プロセス装置200の筐体206内に配置されてもよい。
【0023】
詳細は後述するが、クライオポンプシステム100は、クライオポンプシステム100に関する測定パラメータを測定するセンサを備える。クライオポンプシステム100には、それぞれが異なる測定パラメータを測定する複数のセンサ(例えば、クライオポンプ10に設けられた第1温度センサ22および第2温度センサ23、圧縮機12に設けられた第1圧力センサ54および第2圧力センサ55など)が設けられてもよい。クライオポンプシステム100が複数のクライオポンプ10を備える場合、こうした複数のセンサがクライオポンプ10ごとに設けられてもよい。
【0024】
クライオポンプコントローラ110は、測定パラメータをセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるようにクライオポンプシステム100の運転パラメータ(例えば、膨張機モータ30の運転周波数)を決定し、決定された運転パラメータでクライオポンプ10を運転するように構成されてもよい。クライオポンプシステム100が複数のクライオポンプ10を備える場合、クライオポンプコントローラ110は、複数のクライオポンプ10の各々について、測定パラメータを当該クライオポンプ10のセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるように当該クライオポンプ10の運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで当該クライオポンプ10を運転するように構成されてもよい。
【0025】
ネットワーク120は、クライオポンプ10とクライオポンプコントローラ110を通信可能に接続する。クライオポンプシステム100は、ネットワーク120を介して、クライオポンプ10に関する情報をクライオポンプ10とクライオポンプコントローラ110との間で伝送する。クライオポンプ10は、第2通信線122によりクライオポンプコントローラ110に接続される。第2通信線122は、例えばRS-485などの通信ケーブルであってもよい。
【0026】
ネットワーク120は、さらに、圧縮機12とクライオポンプコントローラ110を通信可能に接続する。クライオポンプシステム100は、ネットワーク120を介して、圧縮機12に関する情報を圧縮機12とクライオポンプコントローラ110との間で伝送する。圧縮機12は、第3通信線123によりクライオポンプコントローラ110に接続される。第3通信線123は、例えばRS-485などの通信ケーブルであってもよい。
【0027】
クライオポンプモニタ130は、ネットワーク120に接続され、ネットワーク120を介して伝送されるクライオポンプ10に関する情報を表示するように構成される。これに加えて、またはこれに代えて、クライオポンプモニタ130は、ネットワーク120を介して伝送される圧縮機12に関する情報を表示するように構成されてもよい。
【0028】
図示されるように、クライオポンプモニタ130は、ホストコントローラ204を介することなくネットワーク120に接続されてもよい。つまり、クライオポンプモニタ130は、真空プロセス装置200のホストコントローラ204とは通信しないように構成されてもよい。図示の例では、クライオポンプモニタ130は、第4通信線124によりクライオポンプコントローラ110に接続される。第4通信線124は、例えばRS-485などの通信ケーブルであってもよい。
【0029】
クライオポンプモニタ130は、真空プロセス装置200の筐体206外に配置される。クライオポンプモニタ130は、筐体206から離れた場所に配置されてもよい。図示されるように、クライオポンプモニタ130は、圧縮機12またはその近傍に設置されてもよい。クライオポンプモニタ130は、圧縮機12の近傍に設けられたモニタ設置面に設置されてもよい。モニタ設置面は、例えば、圧縮機12の近傍の壁面、または圧縮機12の近傍にある機器の表面であってもよい。
【0030】
クライオポンプモニタ130は、クライオポンプシステム100に取り外し可能に設置されてもよく、クライオポンプシステム100のモニタリングを行うべきタイミングで必要に応じてネットワーク120に接続されてもよい。クライオポンプモニタ130は、クライオポンプシステム100に常時設置されることは必須ではない。例えば、クライオポンプモニタ130は、圧縮機12に取り外し可能に装着されてもよい。
【0031】
この実施の形態では、クライオポンプモニタ130は、測定パラメータの時系列データおよび運転パラメータの時系列データを取得し、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成される。実施の形態に係るクライオポンプシステム100に使用されうるクライオポンプモニタ130の例示的な構成については、図5を参照して後述する。
【0032】
クライオポンプコントローラ110およびクライオポンプモニタ130の内部構成は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図では適宜、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。たとえば、クライオポンプモニタ130は、CPU(Central Processing Unit)、マイコンなどのプロセッサ132と、プロセッサ132が実行するソフトウェアプログラムの組み合わせで実装することができる。ソフトウェアプログラムは、実施の形態に係るクライオポンプモニタリング方法をプロセッサ132に実行させるためのコンピュータプログラム(例えば、クライオポンプモニタリングプログラム)であってもよい。
【0033】
図2は、実施の形態に係るクライオポンプシステム100に使用されうるクライオポンプ10の一例を示す模式図である。クライオポンプ10は、膨張機14と、クライオポンプ容器16と、放射シールド18と、クライオパネル20とを備える。また、クライオポンプ10は、圧力センサ21と、ラフバルブ24と、パージバルブ26と、ベントバルブ28とを備え、これらはクライオポンプ容器16に設置されている。
【0034】
圧縮機12は、冷媒ガスを膨張機14から回収し、回収した冷媒ガスを昇圧して、再び冷媒ガスを膨張機14に供給するよう構成されている。膨張機14は、コールドヘッドとも称され、圧縮機12とともに極低温冷凍機を構成する。膨張機14を指して「冷凍機」と称する場合もある。圧縮機12と膨張機14との間の冷媒ガスの循環が膨張機14内での冷媒ガスの適切な圧力変動と容積変動の組み合わせをもって行われることにより、寒冷を発生する熱力学的サイクルが構成され、膨張機14は極低温冷却を提供することができる。冷媒ガスは、通例はヘリウムガスであるが、適切な他のガスが用いられてもよい。理解のために、冷媒ガスの流れる方向を図1に矢印で示す。極低温冷凍機は、一例として、二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機であるが、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機、またはそのほかのタイプの極低温冷凍機であってもよい。
【0035】
クライオポンプ容器16は、クライオポンプ10の真空排気運転中に真空を保持し、周囲環境の圧力(例えば大気圧)に耐えるように設計された真空容器である。クライオポンプ容器16は、吸気口17を有するクライオパネル収容部16aと、冷凍機収容部16bとを有する。クライオパネル収容部16aは、吸気口17が開放され、その反対側が閉塞されたドーム状の形状を有し、この内部に放射シールド18とクライオパネル20が収容される。冷凍機収容部16bは、円筒状の形状を有し、その一端が膨張機14の室温部に固定され、他端がクライオパネル収容部16aに接続され、内部に膨張機14が挿入されている。また、圧力センサ21は、クライオポンプ容器16内の圧力を測定する。
【0036】
放射シールド18は、膨張機14の第1冷却ステージに熱的に結合され、第1冷却温度(例えば80K~120K)に冷却される。クライオパネル20は、膨張機14の第2冷却ステージに熱的に結合され、第1冷却温度より低い第2冷却温度(例えば10K~20K)に冷却される。放射シールド18は、クライオパネル20を囲むようにしてクライオポンプ容器16内に配置され、クライオポンプ容器16および周囲環境からクライオパネル20への入熱を遮蔽する。クライオポンプ10の吸気口17から進入する気体はクライオパネル20に凝縮または吸着により捕捉される。放射シールド18とクライオパネル20の配置や形状などクライオポンプ10の構成は、種々の公知の構成を適宜採用することができるので、ここでは詳述しない。
【0037】
また、クライオポンプ容器16内には、放射シールド18の温度を測定する第1温度センサ22と、クライオパネル20の温度を測定する第2温度センサ23とが設けられている。クライオポンプコントローラ110は、第1温度センサ22によって測定された第1冷却温度を表す第1測定温度信号を受信するよう第1温度センサ22と接続され、第2温度センサ23によって測定された第2冷却温度を表す第2測定温度信号を受信するよう第2温度センサ23と接続されていてもよい。
【0038】
ラフバルブ24は、クライオポンプ容器16、例えば冷凍機収容部16bに取り付けられている。ラフバルブ24は、クライオポンプ10の外部に設置されたラフポンプ(図示せず)に接続される。ラフポンプは、クライオポンプ10をその動作開始圧力まで真空引きをするための真空ポンプである。クライオポンプコントローラ110の制御によりラフバルブ24が開放されるときクライオポンプ容器16がラフポンプに連通され、ラフバルブ24が閉鎖されるときクライオポンプ容器16がラフポンプから遮断される。ラフバルブ24を開きかつラフポンプを動作させることにより、クライオポンプ10を減圧することができる。
【0039】
パージバルブ26は、クライオポンプ容器16、例えばクライオパネル収容部16aに取り付けられている。パージバルブ26は、クライオポンプ10の外部に設置されたパージガス供給装置(図示せず)に接続される。クライオポンプコントローラ110の制御によりパージバルブ26が開放されるときパージガスがクライオポンプ容器16に供給され、パージバルブ26が閉鎖されるときクライオポンプ容器16へのパージガス供給が遮断される。パージガスは例えば窒素ガス、またはその他の乾燥したガスであってもよく、パージガスの温度は、たとえば室温に調整され、または室温より高温に加熱されていてもよい。パージバルブ26を開きパージガスをクライオポンプ容器16に導入することにより、クライオポンプ10を昇圧することができる。また、クライオポンプ10を極低温から室温またはそれより高い温度に昇温することができる。
【0040】
ベントバルブ28は、クライオポンプ容器16、例えば冷凍機収容部16bに取り付けられている。ベントバルブ28は、クライオポンプ10の内部から外部に流体を排出するために設けられている。ベントバルブ28から排出される流体は基本的にはガスであるが、液体または気液の混合物であってもよい。ベントバルブ28は、クライオポンプコントローラ110の制御により開閉可能である。それとともに、ベントバルブ28は、クライオポンプ容器16の内外の差圧によって機械的に開きうる。ベントバルブ28は、クライオポンプ容器16内に過剰な圧力が発生したときこの圧力を外部に解放するための安全弁としても機能するよう構成されている。
【0041】
また、膨張機14には、膨張機14を駆動する可変速の膨張機モータ30が設けられている。膨張機モータ30はインバータを有し、クライオポンプコントローラ110の制御により膨張機モータ30の運転周波数(すなわち回転数)を変化させることができる。膨張機モータ30の運転周波数は、膨張機14において行われる熱サイクル(GM冷凍機の場合、GMサイクル)の単位時間あたりの回数、つまり熱サイクルの周波数を定める。
【0042】
クライオポンプ10は、クライオポンプ10とクライオポンプコントローラ110との送受信を集約する入出力回路32を備えてもよい。入出力回路32は、例えばI/Oモジュール、またはリモートI/Oユニットであってもよい。入出力回路32は、クライオポンプ10の各機器、例えば、圧力センサ21、第1温度センサ22、第2温度センサ23、ラフバルブ24、パージバルブ26、ベントバルブ28、膨張機モータ30と信号を送受信するようにこれら各機器と電気的に接続される。また、入出力回路32は、第2通信線122によりクライオポンプコントローラ110と通信可能に接続される。
【0043】
したがって、クライオポンプ10は、圧力センサ21によるクライオポンプ容器16内の測定圧力を示す測定圧力信号を入出力回路32(および第2通信線122)を介してクライオポンプコントローラ110に送信する。クライオポンプ10は、第1温度センサ22および第2温度センサ23それぞれの測定温度を示す測定温度信号を入出力回路32を介してクライオポンプコントローラ110に送信する。また、クライオポンプ10は、各バルブ(すなわち、ラフバルブ24、パージバルブ26、ベントバルブ28)の開閉状態を示すバルブ状態信号を入出力回路32を介してクライオポンプコントローラ110に送信する。クライオポンプ10は、膨張機モータ30のオンオフ状態と運転周波数を示すモータ状態信号を入出力回路32を介してクライオポンプコントローラ110に送信する。
【0044】
また、クライオポンプ10は、各バルブへの動作指令を示すクライオポンプコントローラ110からのバルブ制御信号を入出力回路32で受信し、入出力回路32はこのバルブ制御信号を対応するバルブに送信する。バルブ制御信号を受信したバルブは、バルブ制御信号に従って、開閉される。同様に、クライオポンプ10は、膨張機モータ30への動作指令を示すクライオポンプコントローラ110からのモータ制御信号を入出力回路32で受信し、入出力回路32はこのモータ制御信号を膨張機モータ30に送信する。膨張機モータ30は、モータ制御信号に従って、オンオフされ、または運転周波数が制御される。
【0045】
上述のように、クライオポンプコントローラ110は、測定パラメータをセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるようにクライオポンプ10の運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータでクライオポンプ10を運転するように構成されてもよい。
【0046】
例えば、クライオポンプコントローラ110は、クライオポンプ10による真空容器202の真空排気運転中、第1温度センサ22によって測定された第1冷却温度に基づいて、膨張機14を制御するように構成されてもよい。例えば、クライオポンプコントローラ110は、この第1測定温度と第1目標温度との偏差を最小化するようにフィードバック制御により膨張機モータ30の運転周波数を制御してもよい。クライオポンプコントローラ110は、測定温度と目標温度との偏差の関数として(例えばPID制御により)膨張機モータ30の運転周波数を決定してもよい。クライオポンプコントローラ110は、決定された運転周波数を膨張機モータ30に出力し、膨張機モータ30は、決定された運転周波数で運転されることになる。
【0047】
第1目標温度は通常、一定値に設定される。第1目標温度は例えば、クライオポンプ10が取り付けられる真空プロセス装置200で行われるプロセスに応じて仕様として定められる。なお、クライオポンプ10の運転中に、目標温度は必要に応じて変更されてもよい。
【0048】
クライオポンプ10への熱負荷が増加したとき放射シールド18の温度が高まりうる。第1温度センサ22による測定温度が目標温度よりも高温である場合には、クライオポンプコントローラ110は、膨張機モータ30の運転周波数を増加させる。その結果、膨張機14における熱サイクルの周波数も増加され、放射シールド18は目標温度に向けて冷却される。逆に第1温度センサ22による測定温度が目標温度よりも低温である場合には、膨張機モータ30の運転周波数は減少されて放射シールド18は目標温度に向けて昇温される。こうして、第1冷却温度を第1目標温度の近傍の温度範囲に留めることができる。熱負荷に応じて膨張機モータ30の運転周波数を適切に調整することができるので、こうした制御はクライオポンプ10の消費電力の低減に役立つ。
【0049】
膨張機14の冷却能力を調整するために、膨張機モータ30の運転周波数を制御することに代えて、またはそれに加えて、膨張機14は、放射シールド18を加熱することができるように放射シールド18に熱的に結合された例えば電気ヒータなどの加熱装置34を備えてもよい。クライオポンプコントローラ110は、加熱装置34のオンオフを切り替え、及び/または、加熱装置34に入力される電力を制御するように構成されてもよい。この場合、クライオポンプコントローラ110は、第1測定温度と第1目標温度との偏差を最小化するようにフィードバック制御により加熱装置34への入力を制御してもよい。クライオポンプコントローラ110は、測定温度と目標温度との偏差の関数として(例えばPID制御により)加熱装置34への入力を決定してもよい。第1温度センサ22による測定温度が目標温度よりも高温である場合には、クライオポンプコントローラ110は、加熱装置34への入力を低下させる(または加熱装置34をオフにする)。それにより、放射シールド18は目標温度に向けて冷却される。逆に第1温度センサ22による測定温度が目標温度よりも低温である場合には、加熱装置34への入力は増加され(または加熱装置34がオンとされ)、放射シールド18は目標温度に向けて昇温される。
【0050】
このように第1目標温度に従ってクライオポンプ10を制御することを、「1段温度制御」と呼ぶことがある。1段温度制御では、クライオパネル20の温度は直接制御されない。つまり、1段温度制御の結果として、クライオパネル20は、膨張機14の2段の冷凍能力と外部からの熱負荷とによって定まる温度に冷却される。
【0051】
同様にして、クライオポンプコントローラ110は、クライオパネル20の温度を目標温度に従って膨張機14を制御する、いわば「2段温度制御」を実行することもできる。この場合、クライオポンプコントローラ110は、第2温度センサ23によって測定された第2冷却温度に基づいて、膨張機14を制御するように構成されてもよい。例えば、クライオポンプコントローラ110は、この第2測定温度と第2目標温度との偏差を最小化するようにフィードバック制御により膨張機モータ30の運転周波数(またはクライオパネル20を加熱する加熱装置への入力)を制御してもよい。これにより、クライオパネル20の温度を目標温度に追従させることができる。2段温度制御において1段冷却温度(つまり放射シールド18の温度)は直接制御されない。2段温度制御において1段冷却温度は、膨張機14の1段の冷凍能力と外部からの熱負荷とによって定まる。
【0052】
また、クライオポンプコントローラ110は、クライオポンプ10の再生運転においては、クライオポンプ容器16内の圧力に基づいて(または、必要に応じて、クライオパネル20の温度およびクライオポンプ容器16内の圧力に基づいて)、ラフバルブ24、パージバルブ26、ベントバルブ28、膨張機モータ30を制御してもよい。
【0053】
図3は、実施の形態に係るクライオポンプシステム100に使用されうる圧縮機12の一例を示す模式図である。圧縮機12は、高圧ガス出口50、低圧ガス入口51、高圧流路52、低圧流路53、第1圧力センサ54、第2圧力センサ55、バイパスライン56、圧縮機本体57、および圧縮機筐体58を備える。
【0054】
高圧ガス出口50は、圧縮機12の作動ガス吐出ポートとして圧縮機筐体58に設置され、低圧ガス入口51は、圧縮機12の作動ガス吸入ポートとして圧縮機筐体58に設置されている。高圧ガス出口50には高圧ライン13aが接続され、低圧ガス入口51には低圧ライン13bが接続される。高圧流路52は、圧縮機本体57の吐出口を高圧ガス出口50に接続し、低圧流路53は、低圧ガス入口51を圧縮機本体57の吸入口に接続する。圧縮機筐体58は、高圧流路52、低圧流路53、第1圧力センサ54、第2圧力センサ55、バイパスライン56、および圧縮機本体57を収容する。圧縮機12は、圧縮機ユニットとも称される。
【0055】
圧縮機本体57は、その吸入口から吸入される作動ガスを内部で圧縮して吐出口から吐出するよう構成されている。圧縮機本体57は、例えば、スクロール方式、ロータリ式、または作動ガスを昇圧するそのほかのポンプであってもよい。圧縮機本体57は、可変速の圧縮機モータ57aを備えてもよい。圧縮機モータ57aはインバータを有し、クライオポンプコントローラ110の制御によりモータ運転周波数を変化させることができる。このようにして、圧縮機本体57は、吐出する作動ガス流量を可変とするよう構成されていてもよい。あるいは、圧縮機本体57は、固定された一定の作動ガス流量を吐出するよう構成されていてもよい。圧縮機本体57は、圧縮カプセルと称されることもある。
【0056】
第1圧力センサ54は、高圧流路52を流れる作動ガスの圧力を測定するよう高圧流路52に配置されている。第2圧力センサ55は、低圧流路53を流れる作動ガスの圧力を測定するよう低圧流路53に配置されている。よって第1圧力センサ54、第2圧力センサ55はそれぞれ、高圧センサ、低圧センサと呼ぶこともできる。
【0057】
バイパスライン56は、膨張機14を迂回して高圧流路52から低圧流路53に作動ガスを還流させるように高圧流路52を低圧流路53に接続する。バイパスライン56には、バイパスライン56を開閉し、またはバイパスライン56を流れる作動ガスの流量を制御するためのリリーフバルブ60が設けられている。リリーフバルブ60は、その出入口間に設定圧以上の差圧が作用するとき開くように構成されている。リリーフバルブ60は、オンオフ弁または流量制御弁であってもよく、例えば電磁弁でもよい。設定圧は、設計者の経験的知見または設計者による実験やシミュレーション等に基づき適宜設定することが可能である。これにより、高圧ライン13aと低圧ライン13bの差圧がこの設定圧を超えて過大となることを防ぐことができる。
【0058】
一例として、リリーフバルブ60は、クライオポンプコントローラ110による制御によって開閉されてもよい。クライオポンプコントローラ110は、測定される高圧ライン13aと低圧ライン13bの差圧を設定圧と比較し、測定差圧が設定圧以上の場合にリリーフバルブ60を開き、測定差圧が設定差圧未満の場合にリリーフバルブ60を閉じるようにリリーフバルブ60を制御してもよい。クライオポンプコントローラ110は、高圧ライン13aと低圧ライン13bの測定差圧を、第1圧力センサ54と第2圧力センサ55の測定圧力から取得してもよい。別の例として、リリーフバルブ60は、いわゆる安全弁として作動するように構成されていてもよく、すなわち、出入口間に設定圧以上の差圧が作用するとき機械的に開放されてもよい。
【0059】
クライオポンプコントローラ110は、測定パラメータをセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるように圧縮機12の運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで圧縮機12を運転するように構成されてもよい。例えば、クライオポンプコントローラ110は、測定された圧力(例えば、第1圧力センサ54によって測定された第1圧力、または第2圧力センサ55によって測定された第2圧力、または第1圧力と第2圧力との差圧)に基づいて、圧縮機モータ57aの運転周波数を制御するように構成されてもよい。クライオポンプコントローラ110は、測定圧力と目標圧力との偏差を最小化するようにフィードバック制御により圧縮機モータ57aの運転周波数を制御してもよい。クライオポンプコントローラ110は、測定圧力と目標圧力との偏差の関数として(例えばPID制御により)圧縮機モータ57aの運転周波数を決定してもよい。クライオポンプコントローラ110は、決定された運転周波数を圧縮機モータ57aに出力し、圧縮機モータ57aは、決定された運転周波数で運転されることになる。
【0060】
なお、圧縮機12は、そのほか種々の構成要素を有しうる。例えば、高圧流路52には、オイルセパレータ、アドゾーバなどが設けられていてもよい。低圧流路53には、ストレージタンクそのほかの構成要素が設けられていてもよい。また、圧縮機12には、圧縮機本体57をオイルで冷却するオイル循環系や、オイルを冷却水で冷却する冷却系などが設けられていてもよい。
【0061】
上記の構成のクライオポンプ10の動作を以下に説明する。クライオポンプ10の作動に際しては、まずその作動前に他の適当な粗引きポンプで真空容器202を所定圧力(例えば100Pa程度または10Pa程度)にまで粗引きする。真空容器202とクライオポンプ10の吸気口17との間にはゲートバルブが通例設置されており、真空容器202の粗引き中、このゲートバルブは閉鎖される。その後(または真空容器202の粗引きと並行して)、クライオポンプ10を作動させる。膨張機14の駆動により放射シールド18及びクライオパネル20がそれぞれ第1冷却温度及び第2冷却温度に冷却される。吸気口17には放射シールド18と熱的に結合されたバッフルが設けられていてもよく、このバッフルも放射シールド18とともに第1冷却温度に冷却される。その後、ゲートバルブが開かれ、クライオポンプ10による真空容器202の真空排気が開始される。
【0062】
第1冷却温度に冷却されたバッフルおよび放射シールド18は、真空容器202からクライオポンプ10に向かって飛来するガスを冷却する。これらの表面には、第1冷却温度で蒸気圧が充分に低い(例えば10-8Pa以下の)ガスが凝縮する。このガスは、第1種ガスと称されてもよい。第1種ガスは例えば水蒸気である。こうして、クライオポンプ10は、第1種ガスを排気することができる。第1冷却温度で蒸気圧が充分に低くないガスの一部は、吸気口17からクライオポンプ10内に進入する。あるいは、ガスの他の一部は、バッフルで反射され、クライオポンプ10内に進入せず真空容器202に戻る。
【0063】
クライオポンプ10内に進入したガスは、クライオパネル20によって冷却される。クライオパネル20の表面には、第2冷却温度で蒸気圧が充分に低い(例えば10-8Pa以下の)ガスが凝縮する。このガスは、第2種ガスと称されてもよい。第2種ガスは例えばアルゴンである。こうして、クライオポンプ10は、第2種ガスを排気することができる。
【0064】
第2冷却温度で蒸気圧が充分に低くないガスは、クライオパネル20の表面に設けられた活性炭などの吸着材に吸着される。このガスは、第3種ガスと称されてもよい。第3種ガスは例えば水素である。こうして、クライオポンプ10は、第3種ガスを排気することができる。したがって、クライオポンプ10は、種々のガスを凝縮または吸着により排気し、真空容器202の真空度を所望のレベルに到達させることができる。
【0065】
図4は、実施の形態に係るクライオポンプモニタリング方法を示すフローチャートである。本方法は、クライオポンプシステム100に関する測定パラメータの時系列データを取得することと(S10)、測定パラメータを目標値に追従させるように制御されるクライオポンプシステム100の運転パラメータの時系列データを取得することと(S20)、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することと(S30)、を備える。
【0066】
クライオポンプシステム100には上述のように、第1温度センサ22、第2温度センサ23、第1圧力センサ54、第2圧力センサ55など、クライオポンプシステム100に関する測定パラメータを測定する各種のセンサが設けられている。クライオポンプシステム100の運転中に継続的にこうしたセンサによって測定された測定パラメータは、クライオポンプシステム100の制御のためにクライオポンプコントローラ110に入力される。クライオポンプコントローラ110は、取得した測定パラメータに基づいてクライオポンプシステム100の運転パラメータを決定する。
【0067】
このようにして取得された測定パラメータと運転パラメータの時系列データは、クライオポンプコントローラ110に設けられた記憶部に格納されてもよい。または、測定パラメータの時系列データおよび運転パラメータの時系列データは、クライオポンプコントローラ110に接続可能な外部記憶装置に格納されてもよい。これらの時系列データは、比較的長期にわたるものであってもよく、例えば、少なくとも1ヶ月、または少なくとも半年、または少なくとも1年の運転期間にわたる時系列データであってもよい。
【0068】
S10では、クライオポンプモニタ130のプロセッサ132(図1参照)は、クライオポンプコントローラ110から測定パラメータの時系列データを取得する。プロセッサ132は、測定パラメータの時系列データが格納された外部記憶装置からそれを取得してもよい。
【0069】
プロセッサ132は、複数の測定パラメータについて時系列データを取得してもよい。例えば、プロセッサ132は、第1から第4の測定パラメータのそれぞれについて時系列データを取得してもよい。第1の測定パラメータは、第1温度センサ22によって測定された第1冷却温度であってもよい。第2の測定パラメータは、第2温度センサ23によって測定された第2冷却温度であってもよい。第3の測定パラメータは、第1圧力センサ54によって測定された第1圧力であってもよい。第4の測定パラメータは、第2圧力センサ55によって測定された第2圧力であってもよい。
【0070】
S20では、プロセッサ132は、クライオポンプコントローラ110(または外部記憶装置)から運転パラメータの時系列データを取得する。プロセッサ132は、複数の運転パラメータについて時系列データを取得してもよく、例えば、膨張機モータ30の運転周波数と圧縮機モータ57aの運転周波数について時系列データを取得してもよい。膨張機14に加熱装置34が設けられている場合には、プロセッサ132は、膨張機モータ30の運転周波数に代えて、またはそれに加えて、加熱装置34への入力の時系列データを取得してもよい。
【0071】
S30では、プロセッサ132は、取得した測定パラメータの時系列データに基づいて、測定パラメータの時系列グラフを生成する。複数の測定パラメータの時系列データが取得されている場合には、プロセッサ132は、各測定パラメータについてその時系列グラフを生成する。また、プロセッサ132は、取得した運転パラメータの時系列データに基づいて、運転パラメータの時系列グラフを生成する。複数の運転パラメータの時系列データが取得されている場合には、プロセッサ132は、各運転パラメータについてその時系列グラフを生成する。時系列グラフは、縦軸と横軸のうち一方(例えば横軸)により時間を表し、他方(例えば縦軸)により測定パラメータ(または運転パラメータ)を表すグラフである。
【0072】
クライオポンプモニタ130は、図5に示されるように、クライオポンプシステム100に関する情報を表示するディスプレイ134を備える。プロセッサ132は、生成した少なくとも1つの測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列グラフをディスプレイ134に表示するようにディスプレイ134を制御するように構成されている。
【0073】
例えば、プロセッサ132は、ある特定の時系列グラフを表示する表示エリアをディスプレイ134上に設定するように構成されていてもよい。単一の表示エリアがディスプレイ134上に設定され、この表示エリアに1つの測定パラメータ(または運転パラメータ)の時系列グラフが表示されてもよい。あるいは、それぞれが対応する時系列グラフを表示する複数の表示エリアがディスプレイ134上に設定され、各表示エリアに対応する時系列グラフが表示されてもよい。例えば、第1表示エリアと第2表示エリアがディスプレイ134上に設定され、測定パラメータの時系列グラフが第1表示エリアに表示され、運転パラメータの時系列グラフが第2表示エリアに表示されてもよい。
【0074】
プロセッサ132は、ディスプレイ134上で複数のグラフ表示画面を切り替えるように構成されていてもよい。この場合、例えば、第1グラフ表示画面に少なくとも1つの表示エリアが設定され、第2グラフ表示画面に少なくとも1つの表示エリアが設定されてもよい。第1グラフ表示画面の表示エリアと第2グラフ表示画面の表示エリアとで、互いに異なる測定パラメータ(または運転パラメータ)の時系列グラフが表示されてもよい。例えば、第1グラフ表示画面には、クライオポンプ10に関する測定パラメータと運転パラメータの時系列グラフが表示され、第2グラフ表示画面には、圧縮機12に関する測定パラメータと運転パラメータの時系列グラフが表示されてもよい。
【0075】
また、プロセッサ132は、複数の時系列グラフをある特定の表示エリアにまとめて表示するように構成されていてもよい。例えば、複数のクライオポンプ10についての同じ測定パラメータ(例えば、第1冷却温度)が、特定の表示エリアにまとめて表示されてもよい。また、複数のクライオポンプ10についての同じ運転パラメータ(例えば、膨張機モータ30の運転周波数)が、特定の表示エリアにまとめて表示されてもよい。
【0076】
この実施の形態では、プロセッサ132は、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて、ディスプレイ134に表示するように構成されている。そのようなグラフ表示の例は後述される。
【0077】
図5は、実施の形態に係るクライオポンプシステム100に使用されうるクライオポンプモニタ130の一例を示す模式図である。図示されるように、クライオポンプモニタ130のディスプレイ134上には、一例として、第1表示エリア136a、第2表示エリア136b、および第3表示エリア136cが設定されている。
【0078】
この例では、第1表示エリア136aには、第1の測定パラメータとして、第1温度センサ22によって測定された第1冷却温度T1の時系列グラフが表示される。この第1の時系列グラフは、縦軸が第1冷却温度T1を表し、横軸が時間を表す。第2表示エリア136bには、第1の運転パラメータとして、膨張機モータ30の運転周波数が表示される。第2の時系列グラフは、縦軸が膨張機モータ30の運転周波数を表し、横軸が時間を表す。第3表示エリア136cには、第2の測定パラメータとして、第2温度センサ23によって測定された第2冷却温度T2の時系列グラフが表示される。第3の時系列グラフは、縦軸が第2冷却温度T2を表し、横軸が時間を表す。
【0079】
これらの表示エリア、具体的には、第1表示エリア136a、第2表示エリア136b、および第3表示エリア136cは、ディスプレイ134上で縦方向に並ぶように設定されている。そのため、これら表示エリアに表示される時系列グラフの横軸、すなわち時間軸がそろっている。言い換えれば、各表示エリアに表示される時系列グラフの横軸における同一の位置は、同一の時点を表す。
【0080】
第1表示エリア136a、第2表示エリア136b、および第3表示エリア136cはそれぞれ、ディスプレイ134上で上部、中部、下部に設定されている。第2表示エリア136bが第1表示エリア136aの下側に隣接し、第3表示エリア136cが第2表示エリア136bの下側に隣接している。したがって、第1冷却温度T1の時系列グラフの下側に隣接して、膨張機モータ30の運転周波数の時系列グラフが表示されることになる。さらに、これら2つの時系列グラフの下側に隣接して、第2冷却温度T2の時系列グラフが表示されることになる。
【0081】
複数の表示エリアは、各表示エリアに表示される時系列グラフを互いに識別できるように設定される。図5では、一例として、第1表示エリア136a、第2表示エリア136b、および第3表示エリア136cが、互いに若干の隙間をあけて縦方向に並ぶようにディスプレイ134上に設定されている。別の例として、隣接する2つの表示エリア(例えば、第1表示エリア136aと第2表示エリア136)が隙間無く並ぶように設定されてもよい。あるいは、2つの表示エリアが少なくとも部分的に重なるように設定されてもよい。要するに、異なるパラメータの時系列グラフをディスプレイ134上で識別できる限り、それら時系列グラフのための表示エリアは、ディスプレイ134上で、互いに分離されていてもよいし、あるいは重なり合っていてもよい。
【0082】
後述のように、第1の測定パラメータの時系列グラフと第1の運転パラメータの時系列グラフとが、第1の測定パラメータの目標値と第1の運転パラメータの限界値とを近接させるように並べて表示されてもよい。これを実現するために、第1表示エリア136aの縁部(例えば下縁部)に第1の測定パラメータの目標値の表示位置が定められ、第2表示エリア136bの縁部のうち第1表示エリア136aの縁部に近接する縁部(例えば、第2表示エリア136bの上縁部)に第1の運転パラメータの限界値の表示位置が定められてもよい。
【0083】
図6は、実施の形態に係るクライオポンプモニタ130における時系列グラフ表示の一例を示す模式図である。このグラフ表示では、図5を参照して述べたように、第1表示エリア136aに第1冷却温度T1が表示され、第2表示エリア136bに膨張機モータ30の運転周波数が表示され、第3表示エリア136cに第2冷却温度T2が表示される。
【0084】
この例では、第1表示エリア136aの縦軸はこのエリアの右側に設定されており、その右側に第1冷却温度T1を示す数値(80K、90K、100K)が表示されている。また、第2表示エリア136bの縦軸はこのエリアの左側に設定されており、その左側に膨張機モータ30の運転周波数を示す数値(50Hzから100Hz)が表示されている。同様に、第3表示エリア136cの縦軸はこのエリアの左側に設定されており、その左側に第2冷却温度T2を示す数値(10Kから20K)が表示されている。
【0085】
また、図6の例では、第1表示エリア136aの下縁部と第2表示エリア136bの上縁部とが接しているため、第1表示エリア136aで80Kを示す横線と第2表示エリア136bで100Hzを示す横線とが一致している。一方、第2表示エリア136bの下縁部と第3表示エリア136cの上縁部とは離れており、第2表示エリア136bで50Hzを示す横線と第3表示エリア136cで20Kを示す横線が別々に描かれている。
【0086】
この実施の形態では、図6に見られるように、クライオポンプモニタ130は、第1冷却温度T1、膨張機モータ30の運転周波数、および第2冷却温度T2の時系列グラフを時間軸をそろえて表示することができる。
【0087】
したがって、第1冷却温度T1と膨張機モータ30の運転周波数のように、測定パラメータとこれに基づいて決定される運転パラメータとを視覚的に一体的に読み取ることができる。クライオポンプシステムの状態、例えば、ある時点での、またはある時間的範囲にわたる測定パラメータと運転パラメータの挙動を容易に把握することができる。
【0088】
また、第1冷却温度T1と第2冷却温度T2のように、異なる測定パラメータについても、それらの挙動を同じ時間軸で把握することができる。
【0089】
この例では、クライオポンプシステム100は、4台のクライオポンプ(Pump 1, Pump 2, Pump 3, Pump 4)を有する。よって、図6では、4台のクライオポンプに対応して、第1冷却温度T1、膨張機モータ30の運転周波数、および第2冷却温度T2についてそれぞれ4本ずつ時系列グラフが表示されている(つまり合計12本のグラフが表示されている)。第1冷却温度T1の4本のグラフは第1表示エリア136aにまとめて表示され、膨張機モータ30の運転周波数の4本のグラフは第2表示エリア136bにまとめて表示され、第2冷却温度T2の4本のグラフは第3表示エリア136cにまとめて表示されている。したがって、測定パラメータ(または運転パラメータ)について、異なるクライオポンプ10間での比較を容易に行うことができる。
【0090】
ただし、第1冷却温度T1については、グラフの大半の部分で4本のグラフが重なり合っている。これは、上述の1段温調制御が行われているためである。4台のクライオポンプの各々で第1冷却温度T1は、目標温度(この例では80K)に所定温度範囲(例えば±0.1℃の範囲)以内で一致するように制御されている。
【0091】
しかしながら、図6上で破線の四角138a、138b、138cで囲んだ部位に見られるように、あるクライオポンプ10の第1冷却温度T1が目標温度から乖離し、目標温度を上回る状況が発生することがある。こうした状況は、真空容器202など外部からクライオポンプ10への熱負荷が過剰に大きい場合や、クライオポンプ10の長期にわたる運転に伴う経時劣化などに起因して起こりうる。このとき、第1冷却温度T1を目標温度に復帰させるべく、膨張機モータ30の運転周波数は、増加されて、最終的には、予め定められた上限値(この例では95Hz)に到達しこの上限値に維持される。それでも第1冷却温度T1は上昇を続けていることが図6から見て取れる。
【0092】
この例では、図6に示されるように、第1冷却温度T1の時系列グラフと膨張機モータ30の運転周波数の時系列グラフとが、第1冷却温度T1の目標値(例えば80K)と膨張機モータ30の運転周波数の限界値(例えば上限値であり、例えば95Hz)とを近接させるように並べて表示される。具体的には、第1表示エリア136aの下縁部に第1冷却温度T1の目標値の表示位置が定められ、第2表示エリア136bの上縁部に膨張機モータ30の運転周波数の上限値の表示位置が定められている。これにより、膨張機モータ30の運転周波数が上限値に達すると第1冷却温度T1が目標温度を超えて上昇するという、クライオポンプシステム100の挙動を看者に連続的かつ一体的に認識させることができる。
【0093】
クライオポンプモニタ130のプロセッサ132は、ディスプレイ134上で、クライオポンプ10の診断が行われたことを示すマーク140を時系列グラフの時間軸上での診断時刻の位置142に表示するように構成されてもよい。このようにすれば、関連する診断結果があることを測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列グラフ上で容易に把握することができる。
【0094】
診断は、取得された測定パラメータ及び/または運転パラメータに基づいて、クライオポンプコントローラ110によって行われてもよい。診断は、取得されたパラメータと診断用のしきい値との比較に基づく診断方法、または既に提案されている公知のクライオポンプ診断方法、またはその他適宜の診断方法を適用するものであってもよく、ここでは詳述しない。
【0095】
図示される例では、マーク140として、「!」の記号が診断時刻に相当する時間軸上の位置142を指し示すように表示されている。なお、マーク140は、例えば、「故障」、「異常発生」、「正常」など、診断結果を表す文字を含んでもよい。
【0096】
また、マーク140は、診断結果のなかで注目すべきパラメータを指し示すように表示されてもよい。図示の例では、マーク140で示される診断時点で、膨張機モータ30の運転周波数が上限値に到達し、その結果として第1冷却温度T1が目標温度から乖離し始めていることから、マーク140は、第1冷却温度T1の時系列グラフ上でその診断時点の位置を指し示す矢印を含んでいる。
【0097】
また、プロセッサ132は、オペレータによるマーク140の指定に応答して、マーク140に紐付けられたクライオポンプ10の診断情報をディスプレイ134上に表示するように構成されてもよい。クライオポンプ10の診断情報は、診断結果を説明する文書、図表、写真などを含む診断レポートであってもよい。診断時にそのクライオポンプ10の分解調査が行われた場合には、その分解調査の写真や説明文書が、診断情報に含まれてもよい。クライオポンプ10の診断情報は、例えばハイパーテキスト形式またはそのほか適宜の形式でマーク140に紐付けられてもよい。マーク140は、例えばディスプレイ134上に表示されるポインターを操作する等、オペレータによる適宜の入力操作によって指定可能である。このようにすれば、詳細な診断結果を容易に把握することができ、便利である。
【0098】
図7は、実施の形態に係るクライオポンプモニタ130における時系列グラフ表示の他の一例を示す模式図である。膨張機モータ30の運転周波数の制御に代えて、加熱装置34が制御される場合には、加熱装置34への入力が第2表示エリア136bに表示されてもよい。上述の例と同様に、第1表示エリア136aと第3表示エリア136cにはそれぞれ、第1冷却温度T1と第2冷却温度T2が表示される。第1冷却温度T1、加熱装置34への入力、および第2冷却温度T2の3つの時系列グラフが、時間軸をそろえてディスプレイ134に表示される。
【0099】
図6を参照して説明したように、クライオポンプ10の第1冷却温度T1が目標温度から乖離し、目標温度を上回る状況が発生することがある(図6における破線の四角138a、138b、138c)。このとき、第1冷却温度T1を目標温度に復帰させるべく、加熱装置34への入力は、減少されて、最終的には、予め定められた下限値(この例では0W)に到達しこの下限値に維持される。要するに、加熱装置34はオフとされる。しかし、加熱装置34がオフであっても第1冷却温度T1は上昇を続けていることが図7から見て取れる。
【0100】
第1冷却温度T1の時系列グラフと加熱装置34への入力の時系列グラフとが、第1冷却温度T1の目標値(例えば80K)と加熱装置34への入力の限界値(例えば下限値であり、例えば0W)とを近接させるように並べて表示される。具体的には、第1表示エリア136aの下縁部に第1冷却温度T1の目標値の表示位置が定められ、第2表示エリア136bの上縁部に加熱装置34への入力の下限値の表示位置が定められている。加熱装置34への入力を表す第2表示エリア136bの縦軸は、上に行くほど値が小さくなっている。これにより、加熱装置34への入力が下限値に達すると第1冷却温度T1が目標温度を超えて上昇するという、クライオポンプシステム100の挙動を看者に連続的かつ一体的に認識させることができる。
【0101】
なお、第1冷却温度T1を目標温度に制御するために、膨張機モータ30の運転周波数と加熱装置34への入力の両方が制御される場合には、膨張機モータ30の運転周波数と加熱装置34への入力の両方の時系列グラフが第1冷却温度T1の時系列グラフとともに表示されてもよい。
【0102】
図8は、実施の形態に係るクライオポンプモニタ130における時系列グラフ表示の他の一例を示す模式図である。クライオポンプモニタ130は、圧縮機12に関する測定パラメータおよび運転パラメータを時間軸をそろえて表示してもよい。そこで、クライオポンプモニタ130は、ディスプレイ134上に第4表示エリア136dと第5表示エリア136eを設定してもよい。第4表示エリア136dには、第1圧力センサ54によって測定された第1圧力PHと第2圧力センサ55によって測定された第2圧力PLの時系列グラフがまとめて表示されている。第5表示エリア136eには、第1圧力PHと第2圧力PLの差圧DPの時系列グラフと、圧縮機モータ57aの運転周波数Fの時系列グラフとがまとめて表示されている。別の言い方をすると、差圧DPが表示される第5表示エリア136eと、運転周波数Fが表示される第6表示エリアとが、重なり合うようにディスプレイ134上に設定されている。圧縮機12に関する測定パラメータおよび運転パラメータについても、マーク140が表示されてもよい。
【0103】
なお、図8に示されるこれら2つの表示エリアは、クライオポンプ10に関する第1から第3の表示エリア(136a~136c)と同じ画面に設定されてもよいし、または、切替可能な別画面に設定されてもよい。
【0104】
図8でマーク140により示されるように、圧縮機12の運転中に、圧縮機モータ57aの運転周波数Fが予め定められた上限値(この例では78Hz)に達しているにもかかわらず、第1圧力PHと第2圧力PLの差圧DPが目標差圧(例えば1.5MPa)から乖離し、この目標差圧を下回ることがある(なお第5表示エリア136eで差圧DPを示す右側の縦軸は、上に行くほど小さい値を示している。)。
【0105】
この例では、図8に示されるように、差圧DPの時系列グラフと圧縮機モータ57aの運転周波数の時系列グラフとが、差圧DPの目標値(例えば1.5MPa)と圧縮機モータ57aの運転周波数の限界値(例えば上限値であり、例えば78Hz)とを近接させるように並べて表示される。これにより、圧縮機モータ57aの運転周波数が上限値に達すると差圧DPが目標値から乖離し低下していくという、クライオポンプシステム100の挙動を看者に連続的かつ一体的に認識させることができる。
【0106】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0107】
上述の実施の形態では、クライオポンプモニタ130が時系列グラフの表示をディスプレイ134で画像により行う場合を例として説明しているが、クライオポンプモニタ130は、他の形式による表示を行うように構成されてもよい。例えば、クライオポンプモニタ130は、時系列グラフの表示を印刷により紙面に行うように構成されてもよい。
【0108】
また、クライオポンプモニタ130は、クライオポンプ10や真空プロセス装置200から遠隔に配置され、例えばインターネットまたはその他適宜の通信ネットワークを介してクライオポンプコントローラ110と通信可能に接続されてもよい。クライオポンプコントローラ110は、測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列データを通信ネットワークに出力し、クライオポンプモニタ130は、クライオポンプコントローラ110から出力されるデータを通信ネットワークから受信してもよい。
【0109】
クライオポンプモニタ130は、スタンドアロン型の装置であってもよい。言い換えれば、クライオポンプモニタ130は、クライオポンプコントローラ110と通信しないように構成されていてもよい。この場合、クライオポンプモニタ130は、測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列データが格納されたコンピュータ可読媒体から、こうした時系列データを取得してもよい。コンピュータ可読媒体には、クライオポンプコントローラ110(または他のコントローラ、または記憶装置)から時系列データがあらかじめ出力され格納されていてもよい。このようなコンピュータ可読媒体がクライオポンプモニタ130に接続され、時系列データがクライオポンプモニタ130に読み込まれてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、ハードディスク、USBメモリなど、公知のさまざまな形態のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0110】
クライオポンプモニタ130は、実施の形態に係るクライオポンプモニタリングプログラムが実装されたコンピュータ(例えば、パソコンなどの汎用のコンピュータ)であってもよい。あるいは、クライオポンプモニタ130は、例えばスマートフォンなど作業者が携帯可能な電子機器に実装されてもよい。あるいは、クライオポンプモニタ130は、真空プロセス装置200に搭載されたモニタ装置に実装されてもよい。
【0111】
上述の実施の形態では、複数のクライオポンプ10が共通のクライオポンプコントローラ110によって制御される場合を例として説明しているが、本発明はこれに限られない。図9に示されるように、クライオポンプシステム100は、クライオポンプコントローラ110に代えて、複数のクライオポンプ10を個別に制御する複数のコントローラ110aを備えてもよい。各クライオポンプ10には上述のように、当該クライオポンプ10に関する測定パラメータを測定するセンサ(例えば、図2および図3に示されるように、クライオポンプ10に設けられた第1温度センサ22および第2温度センサ23、圧縮機12に設けられた第1圧力センサ54および第2圧力センサ55など)が設けられてもよい。各コントローラ110aは、対応するクライオポンプ10について、測定パラメータを当該クライオポンプ10のセンサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように当該クライオポンプ10の運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで当該クライオポンプ10を運転するように構成されていてもよい。
【0112】
クライオポンプモニタ130は、複数のクライオポンプ10の各々について、測定パラメータの時系列データおよび運転パラメータの時系列データを取得し、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されていてもよい。この場合、クライオポンプモニタ130は、各コントローラ110aから通信ネットワークを介して測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列データを取得してもよい。あるいは、クライオポンプモニタ130は、測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列データが格納されたコンピュータ可読媒体から、こうした時系列データを取得してもよい。このようにして、図6に例示されるように、クライオポンプモニタ130は、第1冷却温度T1、膨張機モータ30の運転周波数、第2冷却温度T2の時系列グラフを表示してもよい。
【0113】
上述の実施の形態では、圧縮機12がクライオポンプコントローラ110によって制御される場合を例として説明しているが、本発明はこれに限られない。クライオポンプシステム100は、図9に示されるように、圧縮機12を制御する圧縮機コントローラ12aを備えてもよい。圧縮機コントローラ12aは、自律的に(つまりクライオポンプ10の制御から独立して)圧縮機12を制御するように構成されていてもよい。したがって、圧縮機コントローラ12aは、圧縮機12に関する測定パラメータをセンサから受け、測定パラメータを目標値に追従させるように圧縮機12の運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで圧縮機12を運転するように構成されてもよい。例えば、圧縮機コントローラ12aは、測定された圧力(例えば、第1圧力センサ54によって測定された第1圧力、または第2圧力センサ55によって測定された第2圧力、または第1圧力と第2圧力との差圧)に基づいて、圧縮機モータ57aの運転周波数を制御するように構成されてもよい。圧縮機コントローラ12aは、クライオポンプコントローラ110とは別個に設けられ、圧縮機12に搭載されていてもよい。図1から図3を参照して例示したクライオポンプシステム100においても、このように圧縮機12を制御する圧縮機コントローラ12aが設けられてもよい。
【0114】
クライオポンプモニタ130は、圧縮機12に関する測定パラメータの時系列データおよび運転パラメータの時系列データを取得し、測定パラメータの時系列グラフと運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されてもよい。この場合、クライオポンプモニタ130は、圧縮機コントローラ12aから通信ネットワークを介して測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列データを取得してもよい。あるいは、クライオポンプモニタ130は、測定パラメータ及び/または運転パラメータの時系列データが格納されたコンピュータ可読媒体から、こうした時系列データを取得してもよい。このようにして、図8に例示されるように、クライオポンプモニタ130は、第1圧力センサ54によって測定された第1圧力PH、第2圧力センサ55によって測定された第2圧力PL、第1圧力PHと第2圧力PLの差圧DP、圧縮機モータ57aの運転周波数Fの時系列グラフを表示してもよい。
【0115】
本発明の実施の形態は、番号を付した以下の各項のように表現することもできる。
【0116】
1.クライオポンプシステムに関する測定パラメータを測定するセンサと、
前記測定パラメータを前記センサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように前記クライオポンプシステムの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで前記クライオポンプシステムを運転するように構成されるクライオポンプコントローラと、
前記測定パラメータの時系列データおよび前記運転パラメータの時系列データを取得し、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されるクライオポンプモニタと、を備えることを特徴とするクライオポンプシステム。
【0117】
2.前記クライオポンプモニタは、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを、前記測定パラメータの前記目標値と前記運転パラメータの限界値とを近接させるように並べて表示するように構成されることを特徴とする項1に記載のクライオポンプシステム。
【0118】
3.前記クライオポンプモニタは、前記測定パラメータの時系列グラフを表示する第1表示エリアの縁部に前記測定パラメータの前記目標値の表示位置を定め、前記運転パラメータの時系列グラフを表示する第2表示エリアの縁部のうち前記第1表示エリアの前記縁部に近接する縁部に前記運転パラメータの前記限界値の表示位置を定めるように構成されることを特徴とする項2に記載のクライオポンプシステム。
【0119】
4.前記クライオポンプモニタは、前記クライオポンプシステムの診断が行われたことを示すマークを前記時間軸上での診断時刻の位置に表示するように構成されることを特徴とする項1から3のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【0120】
5.前記クライオポンプモニタは、オペレータによる前記マークの指定に応答して、前記マークに紐付けられた前記クライオポンプシステムの診断情報を表示するように構成されることを特徴とする請求項4に記載のクライオポンプシステム。
【0121】
6.前記測定パラメータとは異なる前記クライオポンプシステムに関する第2の測定パラメータを測定する第2のセンサをさらに備え、
前記クライオポンプモニタは、前記第2の測定パラメータの時系列データを取得し、前記第2の測定パラメータの時系列グラフも前記測定パラメータおよび前記運転パラメータの時系列グラフと前記時間軸をそろえて表示するように構成されることを特徴とする項1から5のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【0122】
7.前記クライオポンプシステムは、
複数のクライオポンプと、
各々が、前記複数のクライオポンプのうち対応するクライオポンプに関する測定パラメータを測定する複数のセンサと、を備え、
前記クライオポンプコントローラは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータを前記複数のセンサのうち対応するセンサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように前記クライオポンプの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで前記クライオポンプを運転するように構成され、
前記クライオポンプモニタは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータの時系列データおよび前記運転パラメータの時系列データを取得し、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されることを特徴とする項1から6のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【0123】
8.前記クライオポンプモニタは、前記複数のクライオポンプについての前記測定パラメータの複数の時系列グラフをまとめて表示し、前記複数のクライオポンプについての前記運転パラメータの複数の時系列グラフをまとめて表示するように構成されることを特徴とする項7に記載のクライオポンプシステム。
【0124】
9.前記クライオポンプシステムは、
複数のクライオポンプと、
各々が、前記複数のクライオポンプのうち対応するクライオポンプに関する測定パラメータを測定する複数のセンサと、
前記クライオポンプコントローラに代えて、前記複数のクライオポンプを個別に制御する複数のコントローラと、を備え、
各コントローラは、前記複数のクライオポンプのうち対応するクライオポンプについて、前記測定パラメータを前記複数のセンサのうち対応するセンサから受け、前記測定パラメータを目標値に追従させるように前記クライオポンプの運転パラメータを決定し、決定された運転パラメータで前記対応するクライオポンプを運転するように構成され、
前記クライオポンプモニタは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータの時系列データおよび前記運転パラメータの時系列データを取得し、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示するように構成されることを特徴とする項1から6のいずれかに記載のクライオポンプシステム。
【0125】
10.クライオポンプシステムに関する測定パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータを目標値に追従させるように制御される前記クライオポンプシステムの運転パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することと、を備えることを特徴とするクライオポンプモニタリング方法。
【0126】
11.前記表示することは、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを、前記測定パラメータの前記目標値と前記運転パラメータの限界値とを近接させるように並べて表示することを備えることを特徴とする項10に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0127】
12.前記表示することは、前記測定パラメータの時系列グラフを表示する第1表示エリアの縁部に前記測定パラメータの前記目標値の表示位置を定め、前記運転パラメータの時系列グラフを表示する第2表示エリアの縁部のうち前記第1表示エリアの前記縁部に近接する縁部に前記運転パラメータの前記限界値の表示位置を定めることを備えることを特徴とする項11に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0128】
13.前記表示することは、前記クライオポンプシステムの診断が行われたことを示すマークを前記時間軸上での診断時刻の位置に表示することを備えることを特徴とする項10から12のいずれかに記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0129】
14.前記表示することは、オペレータによる前記マークの指定に応答して、前記マークに紐付けられた前記クライオポンプシステムの診断情報を表示することを備えることを特徴とする項13に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0130】
15.前記測定パラメータとは異なる前記クライオポンプシステムに関する第2の測定パラメータの時系列データを取得することをさらに備え、
前記表示することは、前記第2の測定パラメータの時系列グラフも前記測定パラメータおよび前記運転パラメータの時系列グラフと前記時間軸をそろえて表示することを備えることを特徴とする項10から12のいずれかに記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0131】
16.前記クライオポンプシステムは、複数のクライオポンプを備え、
前記測定パラメータの時系列データを取得することは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータの時系列データを取得することを備え、
前記運転パラメータの時系列データを取得することは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータを目標値に追従させるように制御される当該クライオポンプの運転パラメータの時系列データを取得することを備え、
前記表示することは、前記複数のクライオポンプの各々について、前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することを備えることを特徴とする項10から15のいずれかに記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0132】
17.前記表示することは、前記複数のクライオポンプについての前記測定パラメータの複数の時系列グラフをまとめて表示し、前記複数のクライオポンプについての前記運転パラメータの複数の時系列グラフをまとめて表示することを備えることを特徴とする項16に記載のクライオポンプモニタリング方法。
【0133】
18.クライオポンプシステムに関する測定パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータを目標値に追従させるように制御される前記クライオポンプシステムの運転パラメータの時系列データを取得することと、
前記測定パラメータの時系列グラフと前記運転パラメータの時系列グラフを時間軸をそろえて表示することと、をコンピュータに実行させることを特徴とするクライオポンプモニタリングプログラム。
【0134】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0135】
10 クライオポンプ、 100 クライオポンプシステム、 110 クライオポンプコントローラ、 130 クライオポンプモニタ、 136a 第1表示エリア、 136b 第2表示エリア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9