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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012797
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20250117BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20250117BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115908
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】森木 朋大
(72)【発明者】
【氏名】梶木屋 翔磨
(72)【発明者】
【氏名】内山 良太
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA11
5E070CB02
5E070CB12
(57)【要約】
【課題】表裏から電気的にアクセス可能な平面状のコイルパターンを有するコイル部品において、端子部における強度を高める。
【解決手段】コイル部品100は、平面状のコイルパターン10と、コイルパターン10の第1主面11を覆う第1樹脂層21と、コイルパターン10の第2主面12を覆う磁性体30とを備える。コイルパターン10は、端部に位置する端子部10Aを含み、第1樹脂層21は、端子部10Aの第1主面11と重なる部分に第1開口部V1を有し、磁性体30は、端子部10Aの第2主面12と重なる部分に第2開口部V2を有する。端子部10Aの第1主面11は、第1開口部V1と重なる第1部分A1と、第1樹脂層21で覆われる第2部分A2を有する。端子部10Aの第2主面12は、第2開口部V2と重なる第3部分A3と、磁性体30で覆われる第4部分A4を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面を有する平面状のコイルパターンと、
前記コイルパターンの前記第1主面を覆う第1樹脂層と、
前記コイルパターンの前記第2主面を覆う磁性体と、
を備え、
前記コイルパターンは、端部に位置する端子部を含み、
前記第1樹脂層は、前記端子部の前記第1主面と重なる部分に第1開口部を有し、
前記磁性体は、前記端子部の前記第2主面と重なる部分に第2開口部を有し、
前記端子部の前記第1主面は、前記第1開口部と重なる第1部分と、前記第1樹脂層で覆われる第2部分を有し、
前記端子部の前記第2主面は、前記第2開口部と重なる第3部分と、前記磁性体で覆われる第4部分を有する、
コイル部品。
【請求項2】
前記コイルパターンは、前記第1主面と前記第2主面を繋ぐ側面をさらに有し、
前記磁性体は、前記コイルパターンの前記側面の少なくとも一部を覆う、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記磁性体は、前記コイルパターンと重なる第1領域と、前記コイルパターン間に位置するスペース領域と重なる第2領域とを含み、
前記第1領域の表面と前記第2領域の表面の高さの差は、前記コイルパターンの厚みより小さい、
請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記コイルパターンの前記第2主面と前記磁性体との間に位置する第2樹脂層をさらに備え、
前記第2樹脂層は、前記第2開口部と重なる第3開口部を有する、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1及び第2樹脂層は、いずれも両面が粘着性を有する、
請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1開口部の内周エッジは、全周に亘って前記端子部の前記第1主面と重なり、
前記第2開口部の内周エッジは、全周に亘って前記端子部の前記第2主面と重なる、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記コイルパターンの前記第1主面と前記第1樹脂層との間に位置し、前記第1開口部の内周エッジを覆う第3樹脂層をさらに備え、
前記第3樹脂層は、前記第1部分を露出させる第4開口部を有する、
請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1部分は、前記第4開口部から露出する第1領域と、前記第3樹脂層に覆われる第2領域を有し、
前記端子部の中心から径方向に延在する仮想線に沿った前記第1領域の幅は、前記仮想線に沿った前記第2領域の幅よりも大きい、
請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記コイルパターンは、平面スパイラル状に複数回周回し、
前記コイルパターンのパターン幅は、前記端子部に沿って周回する部分において局所的に縮小する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表裏から電気的にアクセス可能な平面状のコイルパターンを有するコイル部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-068841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたコイル部品は、コイルパターンの端部に位置する端子部における強度が不足するおそれがあった。
【0005】
したがって、本開示は、表裏から電気的にアクセス可能な平面状のコイルパターンを有するコイル部品において、端子部における強度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施態様によるコイル部品は、第1主面と第1主面の反対側に位置する第2主面を有する平面状のコイルパターンと、コイルパターンの第1主面を覆う第1樹脂層と、コイルパターンの第2主面を覆う磁性体とを備え、コイルパターンは、端部に位置する端子部を含み、第1樹脂層は、端子部の第1主面と重なる部分に第1開口部を有し、磁性体は、端子部の第2主面と重なる部分に第2開口部を有し、端子部の第1主面は、第1開口部と重なる第1部分と、第1樹脂層で覆われる第2部分を有し、端子部の第2主面は、第2開口部と重なる第3部分と、磁性体で覆われる第4部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、両面側から電気的にアクセス可能な平面状のコイルパターンを有するコイル部品において、端子部における強度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態によるコイル部品100の外観を示す略平面図である。
図2図2は、図1とは反対側から見たコイル部品100の外観を示す略平面図である。
図3図3は、コイル部品100から磁性体30を削除した状態を示す略平面図である。
図4図4は、図3に示す領域Cの拡大図である。
図5図5は、図4に示すD-D線に沿った模式的な断面図である。
図6図6は、コイル部品100を構成する各部材の構造をより詳細に説明するための略断面図である。
図7図7は、図6に示す構造の変形例である。
図8図8は、コイルパターン10の端子部10Aを第1主面11側から見た拡大図である。
図9図9は、コイルパターン10の端子部10Aを第2主面12側から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2は、本開示の一実施形態によるコイル部品100の外観を示す略平面図であり、互いに反対側から見た状態を示している。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態によるコイル部品100は、Z方向から見た平面形状が略円形であり、一方の表面に磁性体30が位置し、他方の表面に第1樹脂層21が位置している。コイル部品100から磁性体30を削除した状態である図3に示すように、磁性体30と第1樹脂層21の間には、平面状のコイルパターン10が設けられている。図3に示す例では、コイルパターン10が平面スパイラル状に約4回周回しており、コイルパターン10の一方の端部(内周端)である端子部10Aの一部と、コイルパターン10の他方の端部(外周端)である端子部10Bの一部が、いずれもコイル部品100の両面に露出している。これにより、本実施形態によるコイル部品100は、表裏からの電気的なアクセスが可能であることから、実装自由度が高く、利便性に優れる。なお、コイル部品100のZ方向から見た平面形状は略円形に限られず、略多角形状であっても構わない。
【0012】
端子部10A,10Bの平面形状は略円形であり、その径は、コイルパターン10の端子部10A,10B以外の領域におけるパターン幅よりも大きい。また、コイルパターン10の端子部10A,10B以外の領域におけるパターン幅は、端子部10A,10Bから離れた位置においてはほぼ一定であるものの、端子部10A,10Bに沿って周回する部分においては、局所的に縮小されている。これにより、コイル部品100全体の平面サイズを抑えつつ、コイルパターン10に囲まれた開口領域の面積を十分に確保することが可能となる。つまり、内周端である端子部10Aは、最内周ターンに食い込むように配置されていることから、端子部10Aによる開口領域の面積の減少が抑えられる。また、外周端である端子部10Bは、最外周ターンに食い込むように配置されていることから、端子部10Bによるコイル部品100全体の平面サイズの拡大が抑えられる。そして、端子部10A,10Bが食い込む部分において、コイルパターン10のパターン幅が縮小されている。
【0013】
図4は、図3に示す領域Cの拡大図である。また、図5は、図4に示すD-D線に沿った模式的な断面図である。
【0014】
図4に示すように、コイルパターン10のうち端子部10Aに沿って周回する部分は、より内周に近いターンほど、食い込んで配置される端子部10Aを避けるよう、大きく屈曲するのに対し、より外周に近いターンほど屈曲量が少なくなる。そして、最外周ターンにおいては、ほとんど屈曲することなく、パターン幅だけが他の部分よりも縮小されている。
【0015】
図5に示すように、コイルパターン10は、XY面を構成し、-Z方向側に位置する第1主面11と、第1主面11とは反対側のXY面を構成し、+Z方向側に位置する第2主面12とを有している。コイルパターン10の第1主面11は、端子部10A,10Bの一部を除き、第3樹脂層40を介して第1樹脂層21で覆われている。コイルパターン10の第2主面12は、端子部10A,10Bの一部を除き、第2樹脂層22を介して磁性体30で覆われている。第1樹脂層21及び第2樹脂層22は、いずれも両面が粘着性を有していても構わない。第1樹脂層21の材料については特に限定されず、例えば、アクリル系両面テープが挙げられる。第2樹脂層22の材料については特に限定されず、例えば、アクリル系両面テープ、アクリル系バインダー樹脂などが挙げられる。第2樹脂層22は、アクリル系バインダー樹脂にセラミック材料などを含有した材料を用いても構わない。第2樹脂層22の両面が粘着性を有していている場合、第2樹脂層22を介して、コイルパターン10と磁性体30を強固に接着することが可能となる。また、第1樹脂層21の両面が粘着性を有していている場合、別途接着剤などを用いることなく、本実施形態によるコイル部品100を回路基板などの搭載対象物に接着することが可能となる。第3樹脂層40の材料については特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリ(N-ビニルカルバゾール)系樹脂、炭化水素系樹脂、ケトン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチルセルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂などのバインダー樹脂が挙げられる。第3樹脂層40は、バインダー樹脂に導電性樹脂材料などを含有した材料を用いても構わない。
【0016】
図5に示す例では、磁性体30が磁性シートからなり、第1樹脂層21及び第2樹脂層22がいずれもアクリル系両面テープからなる。これに対し、図6は、磁性体30が磁性シートからなり、第1樹脂層21がアクリル系両面テープからなり、第2樹脂層22がアクリル系バインダー樹脂からなる例を示している。図6に示す例の場合、アクリル系バインダー樹脂からなる第2樹脂層22が、コイルパターン10間に位置するスペース領域Sの充填層として機能する。この場合、第2樹脂層22の厚みは、コイルパターン10と重なる部分の厚みT3よりも、コイルパターン10間に位置するスペース領域Sと重なる部分の厚みT4の方が厚くなる。スペース領域Sに位置する第2樹脂層22の厚みT4は、コイルパターン10の厚みT0より小さくても構わない。これによれば、コイルパターン10は、第1主面11と第2主面12を繋ぐ側面13の少なくとも一部が磁性体30で覆われるため、より高い磁気特性を得ることが可能となる。ここで、コイルパターン10の厚みT0は、第3樹脂層40とコイルパターン10の合計厚みであっても構わない。
【0017】
図6に示すように、磁性体30は、コイルパターン10と重なる第1領域31と、コイルパターン10間に位置するスペース領域Sと重なる第2領域32とを含んでいる。第1領域31の厚みT1は、第2領域32の厚みT2とほぼ同じであっても構わない。第1領域31の厚みT1が第2領域32の厚みT2とほぼ同じである場合、第1領域31の表面31aと第2領域32の表面32aの高さの差T5は、T4-T3となり、コイルパターン10の厚みT0より小さくなる。これによれば、磁性体30の表面の平坦性を高めることが可能となる。磁性体30の厚みT1,T2は、コイルパターン10の厚みT0よりも大きくても構わない。これによれば、高い磁気特性を得ることが可能となる。なお、第1領域31の表面31aの高さ及び第2領域32の表面32aの高さとは、第1樹脂層21を基準とした高さである。
【0018】
さらに別の形態として、図7に示すように、第2樹脂層22を省略しても構わない。その他の構成は図6に示す例と同じであり、磁性体30は磁性シートからなり、第1樹脂層21はアクリル系両面テープからなる。この場合、コイルパターン10が磁性体30によって直接覆われることになる。また、コイルパターン10の側面13の全体が磁性体30で覆われることから、よりいっそう高い磁気特性を得ることが可能となる。図7に示す例では、第2領域32の厚みT2が第1領域31の厚みT1よりも厚くても構わない。
【0019】
図5に示すように、第1樹脂層21及び第3樹脂層40は、端子部10Aの第1主面11と重なる部分にそれぞれ第1開口部V1及び第4開口部V4を有している。また、磁性体30及び第2樹脂層22は、端子部10Aの第2主面12と重なる部分にそれぞれ第2開口部V2及び第3開口部V3を有している。これにより、端子部10Aの第1主面11の一部は、第1開口部V1及び第4開口部V4を介して露出する。同様に、端子部10Aの第2主面12の一部は、第2開口部V2及び第3開口部V3を介して露出する。端子部10Aの露出部分には、Ni/Auメッキなどからなる表面処理層が設けられていても構わない。
【0020】
図8は、コイルパターン10の端子部10Aを第1主面11側から見た拡大図である。
【0021】
図8に示すように、端子部10Aの第1主面11は、第1樹脂層21の第1開口部V1と重なる第1部分A1と、第1開口部V1と重なることなく第1樹脂層21で覆われる第2部分A2を有している。第1開口部V1の内周エッジは、全周に亘って端子部10Aの第1主面11と重なっている。言い換えれば、第1主面11側における端子部10Aの外周エッジは、全周に亘って第1樹脂層21で覆われている。これにより、第1主面11側における端子部10Aの外周エッジが第1開口部V1から露出することなく、第1樹脂層21で覆われることから、端子部10Aの剥離が抑制されるとともに、端子部10Aの機械的強度が確保される。
【0022】
さらに、第3樹脂層40の第4開口部V4の内周エッジは、全周に亘って端子部10Aの第1部分A1と重なっている。つまり、第3樹脂層40は、第1開口部V1の内周エッジを全周に亘って覆っている。これにより、端子部10Aの第1部分A1は、第4開口部V4から露出する第1領域A11と、第3樹脂層40に覆われる第2領域A12に区画される。第1領域A11は端子部10Aが露出する部分であり、第2領域A12は第3樹脂層40が露出する部分である。端子部10AにNiAuメッキなどからなる表面処理層を設ける場合、表面処理層は、第2領域A12に形成されることなく、第1領域A11に形成される。この場合、実装時にハンダが第2領域A12に広がらないことから、接続信頼性が高められる。
【0023】
ここで、略円形である端子部10Aの中心Pから径方向に延在する仮想線Lを想定した場合、仮想線Lに沿った第1領域A11の幅W11は、仮想線Lに沿った第2領域A12の幅W12や、仮想線Lに沿った第2部分A2の幅W2よりも大きくても構わない。これによれば、第1主面11側における端子部10Aの露出面積を十分に確保することが可能となる。また、端子部10Aが露出する第1領域A11の面積は、第2領域A12の面積よりも大きくても構わないし、第2部分A2の面積よりも大きくても構わないし、第2領域A12と第2部分A2の合計面積よりも大きくても構わない。
【0024】
図9は、コイルパターン10の端子部10Aを第2主面12側から見た拡大図である。
【0025】
図9に示すように、端子部10Aの第2主面12は、磁性体30の第2開口部V2及び第2樹脂層22の第3開口部V3と重なる第3部分A3と、第2開口部V2及び第3開口部V3と重なることなく、第2樹脂層22及び磁性体30で覆われる第4部分A4を有している。第2開口部V2の内周エッジと第3開口部V3の内周エッジの平面位置は一致していても構わない。第2開口部V2及び第3開口部V3の内周エッジは、全周に亘って端子部10Aの第2主面12と重なっている。言い換えれば、第2主面12側における端子部10Aの外周エッジは、全周に亘って第2樹脂層22及び磁性体30で覆われている。これにより、第2主面12側における端子部10Aの外周エッジが第2開口部V2及び第3開口部V3から露出することなく、第2樹脂層22及び磁性体30で覆われることから、端子部10Aの剥離が抑制されるとともに、端子部10Aの機械的強度が確保される。
【0026】
ここで、略円形である端子部10Aの中心Pから径方向に延在する仮想線Lを想定した場合、仮想線Lに沿った第3部分A3の幅W3は、仮想線Lに沿った第4部分A4の幅W4よりも大きくても構わない。これによれば、第2主面12側における端子部10Aの露出面積を十分に確保することが可能となる。また、端子部10Aが露出する第3部分A3の面積は、第4部分A4の面積よりも大きくても構わない。
【0027】
以上、コイルパターン10の端子部10A及びその周辺の構造について詳細に説明したが、コイルパターン10の端子部10B及びその周辺についても同様の構造を有している。
【0028】
このように、本実施形態によるコイル部品100は、XY面を主面とする円板形状を有するとともに、Z方向における両側からコイルパターン10に接続可能であることから、実装自由度が高められる。しかも、コイルパターン10の両端に位置する端子部10A,10Bは、外周エッジが露出することなく、第1樹脂層21と磁性体30によってZ方向から挟まれていることから、コイル部品100のZ方向における厚みが薄い場合であっても、端子部10A,10Bの機械的強度を十分に確保することが可能となる。
【0029】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0030】
例えば、第1樹脂層32とコイルパターン10が直接接している必要はなく、両者間にPETフィルムなどからなる基材が存在していても構わない。この場合、端子部10Aを覆う部分において、PETフィルムなどからなる基材が除去される。
【0031】
また、図6及び図7に示す例においては、磁性体30を設ける際に、磁性体30の表面の段差をなくす処理を行い、磁性体30の表面の平坦性をより高めても構わない。
【0032】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本開示の一実施態様によるコイル部品は、第1主面と第1主面の反対側に位置する第2主面を有する平面状のコイルパターンと、コイルパターンの第1主面を覆う第1樹脂層と、コイルパターンの第2主面を覆う磁性体とを備え、コイルパターンは、端部に位置する端子部を含み、第1樹脂層は、端子部の第1主面と重なる部分に第1開口部を有し、磁性体は、端子部の第2主面と重なる部分に第2開口部を有し、端子部の第1主面は、第1開口部と重なる第1部分と、第1樹脂層で覆われる第2部分を有し、端子部の第2主面は、第2開口部と重なる第3部分と、磁性体で覆われる第4部分を有する。これによれば、端子部の機械的強度を確保しつつ、表裏からの電気的なアクセスが可能となる。
【0034】
上記のコイル部品において、コイルパターンは、第1主面と第2主面を繋ぐ側面をさらに有し、磁性体は、コイルパターンの側面の少なくとも一部を覆っても構わない。これによれば、高い磁気特性を得ることが可能となる。
【0035】
上記のコイル部品において、磁性体は、コイルパターンと重なる第1領域と、コイルパターン間に位置するスペース領域と重なる第2領域とを含み、第1領域の表面と第2領域の表面の高さの差は、コイルパターンの厚みより小さくても構わない。これによれば、磁性体の表面の平坦性を高めることが可能となる。
【0036】
上記のコイル部品は、コイルパターンの第2主面と磁性体との間に位置する第2樹脂層をさらに備え、第2樹脂層は、第2開口部と重なる第3開口部を有していても構わない。これによれば、第2及び第3開口部を介して、端子部の第2主面への電気的な接続が可能となる。
【0037】
上記のコイル部品において、第1及び第2樹脂層は、いずれも両面が粘着性を有していても構わない。これによれば、コイル部品を回路基板などの搭載対象物に接着することが可能となる。
【0038】
上記のコイル部品において、第1開口部の内周エッジは、全周に亘って端子部の第1主面と重なり、第2開口部の内周エッジは、全周に亘って端子部の第2主面と重なっても構わない。これによれば、端子部の機械的強度をより高めることが可能となる。
【0039】
上記のコイル部品は、コイルパターンの第1主面と第1樹脂層との間に位置し、第1開口部の内周エッジを覆う第3樹脂層をさらに備え、第3樹脂層は、第1部分を露出させる第4開口部を有していても構わない。これによれば、第1及び第4開口部を介して、端子部の第1主面への電気的な接続が可能となる。
【0040】
上記のコイル部品において、第1部分は、第4開口部から露出する第1領域と、第3樹脂層に覆われる第2領域を有し、端子部の中心から径方向に延在する仮想線に沿った第1領域の幅は、仮想線に沿った第2領域の幅よりも大きくても構わない。これによれば、端子部の第1主面側における露出面積を十分に確保することが可能となる。
【0041】
上記のコイル部品において、コイルパターンは、平面スパイラル状に複数回周回し、コイルパターンのパターン幅は、端子部に沿って周回する部分において局所的に縮小しても構わない。これによれば、高いインダクタンスを得ることができるとともに、コイル部品全体の平面サイズを抑えつつ、コイルパターンに囲まれた開口領域の面積を十分に確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
10 コイルパターン
10A,10B 端子部
11 第1主面
12 第2主面
13 側面
21 第1樹脂層
22 第2樹脂層
30 磁性体
31 第1領域
32 第2領域
40 第3樹脂層
100 コイル部品
A1 第1部分
A2 第2部分
A3 第3部分
A4 第4部分
A11 第1領域
A12 第2領域
C 領域
L 仮想線
P 中心
S スペース領域
V1 第1開口部
V2 第2開口部
V3 第3開口部
V4 第4開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9