(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012802
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/31 20180101AFI20250117BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20250117BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20250117BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20250117BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20250117BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20250117BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250117BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/237
F21S43/27
F21S43/14
F21W103:35
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115916
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】草深 敏匡
(72)【発明者】
【氏名】片岡 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆寛
(57)【要約】
【課題】点灯時の見栄えが向上可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10は、光源と、光源からの光を導光する長尺の導光体20と、導光体から出射された光の一部を反射するリフレクタ40と、導光体20から出射された光およびリフレクタ40により反射された光を拡散して灯具前方に出射する第一インナーレンズ50と、を備えている。第一インナーレンズ50は、導光体20の出射面22aを覆う第一拡散領域51aと、第一拡散領域51aと連続して導光体20から離れる方向に向かうように延在している第二拡散領域51bとを有している。リフレクタ40は、第一インナーレンズ50の第二拡散領域51b側とは反対側に位置する第一反射領域43と、第二拡散領域51b側に位置する第二反射領域44とを有し、第一反射領域43の前端部43aは、第二反射領域44の前端部44aよりも第一インナーレンズ50側に突出している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を導光する長尺の導光体と、
前記導光体から出射された光の一部を反射するリフレクタと、
前記導光体から出射された光および前記リフレクタにより反射された光を拡散して灯具前方に出射する第一インナーレンズと、
を備えた車両用灯具であって、
前記第一インナーレンズは、前記導光体の出射面を覆う第一拡散領域と、前記第一拡散領域と連続して前記導光体から離れる方向に向かうように延在している第二拡散領域とを有し、
前記リフレクタは、前記第一インナーレンズの前記第二拡散領域側とは反対側に位置する第一反射領域と、前記第二拡散領域側に位置する第二反射領域とを有し、
前記第一反射領域の前端部は、前記第二反射領域の前端部よりも前記第一インナーレンズ側に突出している、車両用灯具。
【請求項2】
前記第一反射領域の前端部は、前記導光体の出射面よりも前記第一インナーレンズ側に突出している、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第二反射領域の前記前端部は、灯具前後方向において、前記導光体の中央部よりも後方側に位置している、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体を前記リフレクタに固定するための固定部が前記導光体の一部領域に設けられ、
前記導光体が前記リフレクタに固定された状態で前記固定部を覆うように設けられたシェードをさらに備え、
前記シェードの前端部は、灯具前後方向において、前記導光体の中央部と同じ位置または前記中央部よりも後方側に位置している、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第一インナーレンズの出射面を覆うように配置された第二インナーレンズをさらに備え、
前記第二インナーレンズの出射面または入射面の少なくとも一方は、前記第二インナーレンズから出射される光を拡散する光拡散面として形成されている、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、テールランプとして使用されうる車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のような車両用灯具において、点灯時の見栄えをさらに向上させることが望まれている。
【0005】
本開示は、点灯時の見栄えを向上させることが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る車両用灯具は、
光源と、
前記光源から出射された光を導光する長尺の導光体と、
前記導光体から出射された光の一部を反射するリフレクタと、
前記導光体から出射された光および前記リフレクタにより反射された光を拡散して灯具前方に出射する第一インナーレンズと、
を備え、
前記第一インナーレンズは、前記導光体の出射面を覆う第一拡散領域と、前記第一拡散領域と連続して前記導光体から離れる方向に向かうように延在している第二拡散領域とを有し、
前記リフレクタは、前記第一インナーレンズの前記第二拡散領域側とは反対側に位置する第一反射領域と、前記第二拡散領域側に位置する第二反射領域とを有し、
前記第一反射領域の前端部は、前記第二反射領域の前端部よりも前記第一インナーレンズ側に突出している。
【0007】
この構成によれば、第一インナーレンズにおいて、導光体に面していない領域である第二拡散領域にも十分な光量の光を拡散させることができるため、第一拡散領域から第二拡散領域に向けてグラデーション状の発光が可能となる。そのため、点灯時の見栄えが向上可能な車両用灯具を提供できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、点灯時の見栄えが向上した車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る車両用灯具の全体構成を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る車両用灯具の一部構成を示す模式図である。
【
図4】
図2の車両用灯具が備える導光体の一部拡大正面図である。
【
図8】
図4のC-C線で車両用灯具を切断した状態の断面図である。
【
図9】
図2の車両用灯具が備えるリフレクタの一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本開示の実施形態について詳細に説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1及び
図2に示すリアコンビネーションランプ1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0012】
図1は、本実施形態に係るリアコンビネーションランプ1の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、リアコンビネーションランプ1は、車両100の後部に設けられている。リアコンビネーションランプ1は、異なる機能を発揮する複数のランプを有している。具体的には、リアコンビネーションランプ1は、テールランプ10、ターンシグナルランプ2、ストップランプ3、その他のランプを含む。その他のランプとしては、例えば、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ等が挙げられる。以下では、本実施形態の主要部であるテールランプ10について説明し、他のランプについては説明を省略する。なお、リアコンビネーションランプ1は、車両100の後部において、例えば、リアバンパVBに搭載され得る。ハッチバック式の車両である場合には、リアコンビネーションランプ1は、開閉可能なバックドアに搭載されてもよい。
【0013】
図2は、本実施形態に係るテールランプ10(車両用灯具の一例)の全体構成を示す正面図である。
図2に示すように、テールランプ10は、左右の外側領域11A,11Aと、外側領域11A,11Aに挟まれた中央領域11Bとから構成されている。左右の外側領域11A,11Aは、中央領域11Bよりも上下方向の長さが長くなるように形成されている。
【0014】
図3は、
図2の右側の外側領域11Aの切断面を示すA-A線断面図である。
図3に示すように、テールランプ10は、箱状に構成されて前面が開口されたランプボディ5と、ランプボディ5の前面に溶着されるアウターカバー6とをリアコンビネーションランプ1の筐体として備えている。アウターカバー6は、例えば、赤色の透光性樹脂部材で構成されている。
【0015】
ランプボディ5とアウターカバー6との間に画成される灯室7内には、テールランプ10が配置されている。テールランプ10は、水平方向に長く形成されている。リアコンビネーションランプ1は、このテールランプ10を構成するランプユニット11により車幅方向に長く構成され、車両100の車体の左方端部から右方端部まで占有して配設される。ランプユニット11は、左右対称に構成されている。
【0016】
図3に示すように、ランプユニット11は、導光体20と、発光素子30(
図6参照)と、リフレクタ40と、第一インナーレンズ50と、第二インナーレンズ60と、を備えている。
【0017】
図4は、導光体20の右側領域を示す一部拡大正面図である。
図5は、導光体20の一部拡大平面図である。上述の通り、ランプユニット11は、左右対称に構成されており、導光体20の不図示の左側領域は、右側領域と左右対称の構成となっている。
図4および
図5に示すように、導光体20は、棒状の光学部材であり、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂部材を射出成形することにより形成される。導光体20は、長手方向を灯室7の延伸方向である左右方向に合わせて配置されている。導光体20は、灯室7の右側端部から左側端部まで伸びて配置される。導光体20は、左右にそれぞれ配置された側端領域20A,20Aと、側端領域20A,20Aに挟まれた中央領域20Bと、を含む。左右の側端領域20Aにおいては、導光体20は、略円柱状の2本のライトパイプ部21が一体成形されて構成されている。また、中央領域20Bにおいては、導光体20は、略円柱状の1本のライトパイプ部21により構成されている。
【0018】
図6は、導光体の一部拡大図である。
図6に示すように、導光体20の左右両側の端面21aが光入射部として構成されている。発光素子30は、光照射方向を導光体20の光入射部である端面21aに向けて配置されている。発光素子30が、その光出射面を導光体20の右側端面21aに向けた状態で灯室7内の右端領域に取付けられている。なお、上述の通り、側端領域20A,20Aにおいて導光体20は2本のライトパイプ部21により構成されているため、この2本のライトパイプ部21のそれぞれの端面21aに対して1つずつ発光素子30が搭載されている。また、図示は省略するが、他の一組の発光素子30が、光出射面を導光体20の左側の側端領域の端面に向けた状態で灯室7内の左端領域に取付けられている。各発光素子30は、例えば白色のLED光源である。
【0019】
図3に戻り、導光体20の長手方向に沿った前面側は、光を出射する出射面22aとして構成されている。
図3に示す側端領域20Aにおける導光体20は2本のライトパイプ部21により構成されているため、出射面22aは、第一インナーレンズ50側に凸となるように湾曲した2つの湾曲面から形成されている。導光体20の後面側には、導光体20内を進む光を出射面22aに向けて反射する複数のステップ(不図示)を有する反射面22bが形成されている。各発光素子30から出射した光は、導光体20の右側端面および左側端面から導光体20内に入射し、導光体20内を、全反射を繰り返しながら進む。そして、反射面22bに入射した光はステップで出射面22aへ向けて反射され、出射面22aから前方へ出射される。
【0020】
図7は、
図2のB-B線断面図である。
図3、
図6および
図7に示すように、導光体20は、出射面22aと反射面22bとの間から上方に向けて突出するフランジ部23を備えている。フランジ部23は、鉛直断面が台形状となるように形成され、導光体20の長手方向に沿って延びている。
【0021】
図5および
図7に示すように、導光体20の中央領域20Bに形成されたフランジ部23の前面にはシボ加工等の粗化処理が施されている。すなわち、発光素子30から離れた中央領域20Bのフランジ部23の前面はシボ面23a(光拡散面の一例)として形成されている。なお、2本のライトパイプ部21から構成された導光体20の側端領域20A,20Aにはシボ面23aは形成されておらず、1本のライトパイプ部21から構成された導光体20の中央領域20Bにのみシボ面23aが形成されている。
【0022】
リフレクタ40は、導光体20と略同一の長さで水平方向に長く形成されている。リフレクタ40は、長手方向の鉛直断面が湾曲状に構成され、中央の湾曲部に導光体20が保持される。リフレクタ40の内面(灯具前面)は、光を反射する反射面41であり、導光体20から出射された光を前方に導くように構成されている。リフレクタ40は、半透明樹脂材料や透明樹脂材料で構成され、反射面41に金属膜を有する。金属膜は、アルミニウム等の金属の蒸着処理によって形成することができる。また、リフレクタ40が不透明樹脂で構成されて、この不透明樹脂の内面がそのまま反射面41を構成してもよい。なお、不透明樹脂で構成されるリフレクタ40に、反射面41を構成する金属膜を設けてもよい。
【0023】
導光体20内に入射した光は、導光体20内を、乱反射を繰り返して進む。そのため、導光体20の反射面22bで反射されて出射面22aから出射した光には、水平方向に出射される光だけなく、水平から上方や下方へ角度をもって出射される光も含まれている。水平方向から所定角度以上を持って上方や下方へ出射した光は、リフレクタ40に到達し、その内側の反射面41により反射され、反射光として前方へ照射される。このように、リフレクタ40を用いることで、光の利用効率を高めている。
【0024】
第一インナーレンズ50は、その少なくとも一部が導光体20の出射面22aを覆うようにして灯室7内に配置されている。第一インナーレンズ50は、所要の上下方向の幅寸法を有する横長の板状に形成されている。第一インナーレンズ50は、例えば、光透過性を有する乳白色または無色の樹脂材料によって構成されている。第一インナーレンズ50を構成する樹脂材料には光を拡散する光拡散材が含有されている。これにより、第一インナーレンズ50は、入射された光を拡散して出射する機能を有している。光拡散材としては、金属酸化物粒子、例えば二酸化チタン粒子を挙げることができる。
【0025】
図3に示すように、第一インナーレンズ50は、第一拡散領域51aと、第二拡散領域51bと、を含む。第一拡散領域51aは、第一インナーレンズ50の下側領域であって、導光体20の出射面22aを覆っている領域である。第二拡散領域51bは、第一インナーレンズ50の上側領域であって、第一拡散領域51aと連続して導光体20よりも上方に向かうように延在している領域である。すなわち、第二拡散領域51bは、灯具正面視において、導光体20の出射面22aに面していない領域である。導光体20の出射面22aから出射された光およびリフレクタ40の反射面41により反射された光は、第一インナーレンズ50の入射面52から入射されて第一拡散領域51aおよび第二拡散領域51b内を透過しながら光拡散材により拡散される。そして、出射面53の略全域から光が出射される。
【0026】
第二インナーレンズ60は、第一インナーレンズ50の出射面53を覆うようにして灯室7内に配置されている。第二インナーレンズ60も、第一インナーレンズ50と同様に、所要の上下方向の幅寸法を有する横長の板状に形成されている。第二インナーレンズ60は、例えば、光透過性を有する無色の樹脂材料によって形成されている。第二インナーレンズ60の出射面61はシボ面として形成されており、入射面62から入射された光を拡散して出射する機能を有している。なお、出射面61を粗面にしたシボ面として形成する代わりに、第二インナーレンズ60に光を拡散する光拡散材を含有あるいは被膜させる構成や、魚眼ステップ、三角ステップ、シリンドリカルステップ、点刻などの任意の拡散ステップを形成する構成を採用してもよい。
【0027】
上述の通り、アウターカバー6は、赤色の透光性部材で構成されている。そのため、白色の発光素子30から出射して導光体20の内部を導光されて出射面22aから前方に照射された白色光は、第一インナーレンズ50、第二インナーレンズ60、アウターカバー6を透過して灯具前方に照射され、全体として水平方向に伸びる赤色光として視認される。
【0028】
次に、リフレクタ40の反射面41の具体的な構造について説明する。リフレクタ40の反射面41は、導光体20の下側に配置された第一反射領域43と、導光体20の上側に配置された第二反射領域44とを有している。
【0029】
第一反射領域43は、第一インナーレンズ50の第一拡散領域51a側、すなわち第二拡散領域51b側とは反対側に位置している。第一反射領域43は、導光体20の出射面22aから水平方向に対して所定角度以上を持って下方へ出射した光を反射する領域である。また、第二反射領域44は、第一インナーレンズ50の第二拡散領域51b側に位置している。第二反射領域44は、導光体20の出射面22aから水平方向に対して所定角度以上を持って上方へ出射した光を反射する領域である。
【0030】
図3に示すように、ランプユニット11の外側領域11A,11Aにおいて、リフレクタ40の下側領域である第一反射領域43の前端部43aは、導光体20の出射面22aよりも前方、すなわち、第一インナーレンズ50側に突出している。また、
図7に示すように、ランプユニット11の中央領域11Bにおいて、第一反射領域43の前端部43aは、導光体20の出射面22aよりも後方に位置しているものの、灯具前後における導光体20の中央部、すなわち、仮想線LCで示した領域と略同じ位置となるように配置されている。
【0031】
これに対して、
図3および
図7に示すように、リフレクタ40の上側領域である第二反射領域44の前端部44aは、ランプユニット11の外側領域11A,11Aおよび中央領域11Bのいずれの領域においても、導光体20の出射面22aよりも後方、すなわち、第一インナーレンズ50とは反対側に位置している。本例では、前端部44aは、導光体20の灯具前後方向における中央部(仮想線LCで示した領域)よりも後方側に位置している。このように、リフレクタ40の下側領域である第一反射領域43の前端部43aは、リフレクタ40の上側領域である第二反射領域44の前端部44aよりも第一インナーレンズ50側に突出するように構成されている。
【0032】
次に、導光体20の固定構造について、
図4~
図6、
図8、
図9を参照して説明する。
図8は、
図4のC-C線でテールランプ10を切断した状態の断面図である。
図9は、リフレクタ40の一部拡大図である。
図4~
図6、
図8に示すように、導光体20のフランジ部23には、導光体20をリフレクタ40に固定するための複数の固定部24が設けられている。各固定部24は、フランジ部23から斜め後方に突出するように形成されている。固定部24には開口25が形成されている。
【0033】
図9に示すように、リフレクタ40には複数の切り欠き部45が設けられている。各切り欠き部45の中央には開口部46が設けられ、その開口部46内に突出するように突起部47が形成されている。
図8に示すように、導光体20の各固定部24の先端が、リフレクタ40の各切り欠き部45の開口部46に挿入された状態で、固定部24の開口25に切り欠き部45の突起部47が係合することで、導光体20がリフレクタ40に固定される。
【0034】
また、
図8に示すように、導光体20の固定部24がリフレクタ40の切り欠き部45に挿入された状態で、切り欠き部45および固定部24を覆うようにして、遮光機能を有するシェード70が設けられている。シェード70は、例えば不透明樹脂で構成されている。これにより、切り欠き部45および固定部24が外部から視認されないように隠すことができるとともに、導光体20に一体成形されている固定部24から漏れる光を遮光することができる。なお、シェード70の外面は、光を反射する反射面として形成され、リフレクタ40の反射面41と同様に、導光体20から出射された光を前方に導くように構成されていてもよい。
【0035】
シェード70の前端部71は、灯具前後方向において、導光体20の中央部(仮想線LCで示した領域)と略同じ位置となるように配置されている。また、
図8の切断位置において、第一反射領域43の前端部43aは、導光体20の出射面22aよりも前方に突出している。なお、シェード70の前端部71は、導光体20の中央部よりも後方側に位置していてもよい。すなわち、前端部71は、灯具前後方向において、導光体20の中央部と同じ位置または当該中央部よりも後方側に位置していることが好ましい。
【0036】
図示は省略するが、フランジ部23のシボ面23aが形成された中央領域20Bには、射出成型用のゲート痕が形成されている。ゲート痕は、例えば、フランジ部23の長手方向における中央部において、一の固定部24と他の固定部24との間に形成されていることが好ましい。
【0037】
このように構成されたテールランプ10のランプユニット11において、発光素子30を点灯させると、導光体20の光入射部である端面21aから入射された光が導光体20内を反射して、導光体20の出射面22aから出射される。出射面22aから出射された光は、第一インナーレンズ50および第二インナーレンズ60、さらにアウターカバー6を透過して灯具前方へ出射される。このとき、第一インナーレンズ50の第一拡散領域51aは、導光体20の出射面22aの正面に配置されているため、出射面22aからの出射光として、主に平行光が第一拡散領域51aの入射面52に入射する。また、導光体20の下側であって導光体20の出射面22aよりも前方に突出するように配置されたリフレクタ40の第一反射領域43が反射した光も第一拡散領域51aの入射面52に入射する。そして、導光体20の出射面22aからの出射光およびリフレクタ40の第一反射領域43からの反射光が第一拡散領域51a内を拡散しながら透過して、第一拡散領域51aの出射面53から出射する。これにより、第一拡散領域51aは明るく発光する。
【0038】
これに対して、導光体20の出射面22aに面していない領域である第二拡散領域51bにおいては、導光体20の出射面22aから出射されて第一拡散領域51aに入射した光が全反射を繰り返しながら第二拡散領域51bへと進む。そして、第二拡散領域51b内で拡散されて第二拡散領域51bの出射面53から前方へ出射される。そのため、第二拡散領域51bは、第一拡散領域51aから離れるにつれて徐々に暗くなるように発光する。このように、発光素子30を点灯させると、第一インナーレンズ50は下側から上側に向かうにつれてその照度が徐々に低くなるようなグラデーション状の発光を形成する。そして、第二インナーレンズ60およびアウターカバー6により透過された光もこのグラデーション状の発光を維持した状態でテールランプ10が赤く点灯する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るテールランプ10は、発光素子30(光源の一例)と、発光素子30から出射された光を導光する長尺の導光体20と、導光体20から出射された光の一部を反射するリフレクタ40と、導光体20から出射された光およびリフレクタ40により反射された光を拡散して灯具前方に出射する第一インナーレンズ50と、を備えている。第一インナーレンズ50は、導光体20の出射面22aを覆う第一拡散領域51aと、第一拡散領域51aと連続して導光体20から離れる方向(本例では、灯具上方)に向かうように延在している第二拡散領域51bとを有している。リフレクタ40は第一インナーレンズ50の第二拡散領域51b側とは反対側に位置する第一反射領域43と、第二拡散領域51b側に位置する第二反射領域44とを有している。そして、第一反射領域43の前端部43aは、第二反射領域44の前端部44aよりも第一インナーレンズ50側に突出している。
【0040】
この構成によれば、第一拡散領域51aが導光体20の出射面22aを覆うように配置されているとともに、リフレクタ40の第一反射領域43の前端部43aが第二反射領域44の前端部44aよりも第一インナーレンズ50側に突出している。そのため、第一拡散領域51aには、導光体20の出射面22aから出射された光と、リフレクタ40の第一反射領域43により反射された光がそれぞれ入射して、第一拡散領域51aは明るく発光する。これに対して、第一インナーレンズ50の第一拡散領域51aと第二拡散領域51bとの境界付近に配置された第二反射領域44の前端部44aは、第一反射領域43の前端部43aよりも第一インナーレンズ50側に突出していない。これにより、導光体20の出射面22aから第二拡散領域51b側に出射された光が第二反射領域44の前端部44aによって不必要に遮られることを抑制できる。そのため、第一インナーレンズ50の第一拡散領域51aと第二拡散領域51bとの境界において急に暗くなることがなく、テールランプ10の点灯時に、違和感の少ないグラデーション状の発光を得ることができ見栄えの向上が可能となる。
【0041】
また、第一反射領域43の前端部43aは、導光体20の出射面22aよりも第一インナーレンズ50側に突出していてもよい。この構成によれば、第一反射領域43による光の利用効率が高められるため、第一インナーレンズ50の第一拡散領域51aに入射する光の光量を多くすることができる。これにより、第一拡散領域51aをさらに明るく発光させることができる。
【0042】
また、第二反射領域44の前端部44aは、導光体20の灯具前後方向における中央部(仮想線LCで示した領域)よりも後方側に位置していてもよい。この構成によれば、第二拡散領域51b側に設けられた第二反射領域44の前端部44aが導光体20の出射面22aよりも突出することがないため、導光体20の出射面22aから出射した光が第二反射領域44に遮られることなく第一インナーレンズ50に入射する。そのため、さらに十分な光量の光を第一インナーレンズ50の特に第二拡散領域51b側に入射させることができ、テールランプ10の点灯時の見栄えをより向上させることができる。
【0043】
また、導光体20をリフレクタ40に固定するための固定部24が導光体20の一部領域に設けられ、この固定部24を覆うようにシェード70が設けられていてもよい。そして、シェード70の前端部71は、導光体20の灯具前後方向における中央部と同じ位置、または中央部よりも後方側に位置していてもよい。この構成によれば、導光体20の固定部24が灯具外部側から視認されることや固定部24に導光されて固定部24から漏れ出る光をシェード70により防ぐことができるとともに、導光体20の出射面22aからの光をシェード70の前端部71が不必要に遮ることを防ぐことができる。
【0044】
また、テールランプ10は、第一インナーレンズ50の出射面53を覆うように配置された第二インナーレンズ60をさらに備え、第二インナーレンズ60の出射面61は、第二インナーレンズ60から出射される光を拡散する光拡散面として形成されている。この構成によれば、第二インナーレンズ60の光拡散面により第二インナーレンズ60よりも内部の構造がリアコンビネーションランプ1の外部から視認されることを防ぐことができ、意匠性向上に寄与する。なお、出射面61の代わりに、または出射面61に加えて、第二インナーレンズ60の入射面62が光拡散面として形成されていてもよい。
【0045】
また、本実施形態に係るテールランプ10によれば、水平方向に長く形成された長尺の導光体20の長手方向の両側端面に発光素子30が配置され、導光体20の出射面22a以外の領域には、長手方向に沿って突出するフランジ部23が設けられている。そして、導光体20の長手方向において発光素子30から離れた領域である中央領域20B(第一領域の一例)に配置されたフランジ部23の出射面22aと連続する面が、シボ加工が施されたシボ面23aとして形成されている。この構成によれば、長尺の導光体20の両側端面に発光素子30が配置されるため、発光素子30から離れた領域の出射面22aから出射される光の光量が少なくなるものの、この発光素子30から離れた中央領域20Bに設けられたフランジ部23にはシボ面23aが形成されている。そのため、発光素子30から離れた中央領域20Bからも十分な光量の光を出射することができ、テールランプ10の点灯時の見栄えを向上できる。なお、中央領域20Bのフランジ部23には、このフランジ部23から出射される光を拡散する光拡散面が形成されていればよく、粗化処理によるシボ面23aを形成する代わりに、魚眼ステップ、三角ステップ、シリンドリカルステップ、点刻などの任意の拡散ステップを光拡散面に形成する構成を採用してもよい。
【0046】
また、第一インナーレンズ50は、導光体20から出射された光を拡散する光拡散材を含んだ材料から構成されている。そして、第一インナーレンズ50の第一拡散領域51aは、導光体20の出射面22aおよびシボ面23aを覆っており、第二拡散領域51bは、導光体20からフランジ部23が突出する方向に向けて第一拡散領域51aと連続して延在している。この構成によれば、シボ面23aが形成されたフランジ部23が第一インナーレンズ50の第一拡散領域51aにおける第二拡散領域51bとの境界部分に対応して設けられることになる。これにより、第二拡散領域51bにも第一拡散領域51a側から十分な光を拡散させることができる。そのため、第一拡散領域51aから第二拡散領域51bに向けてグラデーション状の発光が可能となり見栄えをさらに向上できる。
【0047】
また、導光体20は、2本のライトパイプ部21が並列して設けられた側端領域20A,20A(第二領域の一例)と、側端領域20A,20Aの一端に連続する領域であって1本のライトパイプ部21を有する中央領域20Bとを有している。そして、側端領域20A,20Aの他端側であって2本のライトパイプ部21のそれぞれの端部に発光素子30が配置され、中央領域20Bにおける1本のライトパイプ部21のフランジ部23に光拡散面であるシボ面23aが形成されている。この構成によれば、側端領域20A,20Aよりもライトパイプの本数が少なくなる中央領域20Bのフランジ部23にシボ面23aが形成されているため、ランプユニット11の外側領域11A,11Aだけでなく中央領域11Bにおいても十分な光量を確保することができる。
【0048】
また、導光体20は、透光性樹脂部材から構成され、フランジ部23のシボ面23aが形成された中央領域20Bの一部に、ゲート痕が形成されている。すなわち、フランジ部23の中央領域20Bにゲートを設けることができる。これにより、例えばフランジ部23の長く延びた中央領域20Bにおいてゲートを好適な配置や好適な数で設けることができるため、樹脂部材を均等に射出することができ、成形不良の発生を抑制できる。
【0049】
また、導光体20をリフレクタ40に固定するための複数の固定部24は、フランジ部23から突出するように設けられている。この構成によれば、簡便な構成で導光体20をリフレクタ40に固定することができる。また、特に、中央領域20Bのフランジ部23から突出するように形成された固定部24については、フランジ部23にシボ面23aが設けられているため、固定部24に導光された光が他の部分に比べて過剰に明るく見えてしまう光溜まり現象を抑制できる。
【0050】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本開示を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0051】
上記の実施形態では、導光体20の側端領域20A,20Aに2本のライトパイプ部21が並列して設けられ、中央領域20Bに1本のライトパイプ部21が設けられているが、ライトパイプ部21の本数はこの例に限られない。中央領域20Bのライトパイプ部21の本数が側端領域20A,20Aのライトパイプ部21の本数よりも少なければよく、例えば、側端領域20A,20Aに3本のライトパイプ部21が並列して設けられ、中央領域20Bに2本または1本のライトパイプ部21が設けられる構成としてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、テールランプ10のランプユニット11は左右対称に構成されているが、この例に限られない。例えば、導光体20の左右の側端領域20A,20Aのうち一方の領域の端部に対してのみ発光素子30が設けられ、この一方の端部のみから導光体20に発光素子30からの出射光が入射される構成としてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、ランプユニット11を構成する導光体20、第一インナーレンズ50、第二インナーレンズ60が水平方向に長く延びた形状となっているが、これらランプユニット11を構成する部材の長手方向は水平方向に限られるものではない。また、導光体20のフランジ部23は、導光体20の出射面22aの上部に突出する形状となっているが、この突出方向も上方に限られるものではない。
【0054】
上記の実施形態では、ランプユニット11がテールランプである場合について説明したが、これに限られない。本実施形態の技術的思想は、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ、ターンランプ、ストップランプ、その他のランプにも適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 リアコンビネーションランプ
5 ランプボディ
6 アウターカバー
7 灯室
10 テールランプ
11 ランプユニット
20 導光体
20A 側端領域
20B 中央領域
21 ライトパイプ部
22a,53,61 出射面
22b,41 反射面
23 フランジ部
23a シボ面
24 固定部
30 発光素子
40 リフレクタ
43 第一反射領域
43a,44a,71 前端部
44 第二反射領域
45 切り欠き部
50 第一インナーレンズ
51a 第一拡散領域
51b 第二拡散領域
52,62 入射面
60 第二インナーレンズ
70 シェード
100 車両