(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001282
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】端末装置、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20241225BHJP
G06Q 30/0251 20230101ALI20241225BHJP
【FI】
G06Q30/0201
G06Q30/0251
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100783
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 大智
(72)【発明者】
【氏名】萱畑 洋平
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB01
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】ユーザの行動を適切に捕捉する。
【解決手段】端末装置100は、予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する。端末装置100は、ジオフェンスへのユーザの出入りを検知する。そして、端末装置100は、検知の結果をサーバ装置200に送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する設定部と、
前記ジオフェンスへの前記ユーザの出入りを検知する検知部と、
前記検知部による検知の結果をサーバ装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記ユーザのユーザコンテキストに含まれる、日時、天候、前記端末装置の利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴のうち少なくともいずれか1つを用いて前記ユーザの行動を予測し、
予測された前記ユーザの行動に基づいて、前記ユーザが移動すると予想される位置に、所定の形状の前記ジオフェンスを設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記ユーザのユーザコンテキストに含まれる、日時、天候、前記端末装置の利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴のうち少なくともいずれか1つを用いて前記ユーザの行動を予測し、
予測された前記ユーザの行動に応じた形状の前記ジオフェンスを設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記設定部は、
前記ユーザのユーザコンテキストに含まれる、日時、天候、前記端末装置の利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴のうち少なくともいずれか1つを用いて前記ユーザの行動を予測し、
予測された前記行動をユーザが実施した場合に、前記ユーザが所在すると想定される領域を含む形状の前記ジオフェンスを設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記設定部は、
前記ユーザのユーザコンテキストに含まれる、日時、天候、前記端末装置の利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴のうち少なくともいずれか1つを用いて前記ユーザの行動を予測し、
予測された前記ユーザの行動に基づいて、前記ユーザが移動すると予想される所定の施設を含むように、所定の形状の前記ジオフェンスを設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記設定部により設定される前記ジオフェンスに含まれる前記所定の施設の店舗ポリゴンを、前記ジオフェンスが設定されるごとに前記サーバ装置から取得する取得部を更に有し、
前記検知部は、
前記店舗ポリゴンに基づいて前記ユーザの来店を検知する、
ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記取得部は、
前記店舗ポリゴンに対応付く店舗情報を前記サーバ装置から取得し、
前記店舗情報を前記ユーザに対して出力する出力部を更に有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
設定された前記ジオフェンスに含まれる前記所定の施設の店舗エリアを、前記サーバ装置から取得する取得部を更に有し、
前記検知部は、
前記店舗エリアへの前記ユーザの出入りを検知し、
前記検知部により前記ユーザの前記店舗エリアへの進入が検知された場合、前記ユーザに対して所定の店舗に関する広告を出力する出力部を更に有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項9】
前記送信部は、
前記ユーザが前記ジオフェンスに進入した場合に、前記検知部により検知された前記ユーザの位置情報と前記ジオフェンスへの進入情報とを前記サーバ装置に送信し、
前記ユーザが前記ジオフェンスから退出した場合に、前記検知部により検知された前記ユーザの位置情報と前記ジオフェンスからの退出フラグを前記サーバ装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項10】
端末装置に実行させる制御方法であって、
予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する設定手順と、
前記ジオフェンスへの前記ユーザの出入りを検知する検知手順と、
前記検知手順による検知の結果をサーバ装置に送信する送信手順と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
ユーザの位置情報を取得する制御プログラムであって、
予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する設定工程と、
前記ジオフェンスへの前記ユーザの出入りを検知する検知工程と、
前記検知工程による検知の結果をサーバ装置に送信する送信工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、混雑予測や広告効果計測、来訪者分析等へのデータ活用のため、ユーザから取得したGPS(Global Positioning System)等の情報を使用して、店舗への来店や滞在を検知する技術が知られている。例えば、従来技術として、ユーザの行動を捕捉するために、店舗ポリゴンに基づきユーザの店舗への入店を検出する技術が提供されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、ユーザの行動を捕捉するために改善の余地がある。例えば、従来技術は、ユーザの位置の範囲を示す領域と店舗が占める範囲を示す領域(店舗ポリゴン)とに基づき、当該店舗がユーザと地理的な関連性を有するか否かを推定する。しかしながら、当該店舗がショッピングモール等の複合的商業施設内に含まれる場合には、ユーザと店舗との位置関係を適切に捕捉することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し目的を達成するために、本発明の端末装置は、予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する設定部と、前記ジオフェンスへの前記ユーザの出入りを検知する検知部と、前記検知部による検知の結果をサーバ装置に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの行動を適切に捕捉する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るユーザの位置情報取得を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る位置情報取得システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るユーザコンテキストの一例を示すテーブル図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るジオフェンスに関する情報の一例を示すテーブル図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る店舗情報の一例を示すテーブル図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る検知情報の一例を示すテーブル図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る実施例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る実施例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る端末装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る来店検知手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る広告情報出力手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る店舗情報出力手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る端末装置が実現する効果の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本実施形態に係る端末装置が実現する効果の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本実施形態に係る端末装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以降の説明は、本実施形態に係る端末装置、制御方法、および制御プログラムを限定するものではない。また、以下の本実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
〔1.端末装置の説明〕
図1は、本実施形態に係るユーザの位置情報取得を示す図である。
図1に示す端末装置100は、ユーザコンテキストに基づき予測されたユーザの行動に応じて設定されたジオフェンスへの進入または退出(以降、単に「出入り」)を検知し、検知した情報をサーバ装置200に送信する技術を提供するコンピュータの一例である。
【0010】
近年、ユーザの行動に基づく混雑予測や広告効果計測、来訪者分析等を行うために、店舗ポリゴンに基づきユーザの店舗への入店を検出する参考技術や、Wi-Fi(登録商標)の電波強度とGPSに基づきユーザの来店を検知する参考技術が知られている。
【0011】
しかしながら、参考技術では、ユーザの行動を適切に捕捉することが難しい場合がある。ここで、
図2を用いて、参考技術の問題点について説明する。
図2は、参考技術の問題点を示す図である。
【0012】
図2の一例では、位置情報取得システム10は、ジオフェンスや店舗ポリゴン、店舗エリアへのユーザの出入りを検知して位置情報を取得する。なお、本実施形態における「ジオフェンス」とは、GPS等の位置情報を利用する端末装置の進入や退出を検知する仮想的なエリアである。
【0013】
例えば、
図2に示すように、位置情報取得システム10は、ユーザのジオフェンス11やジオフェンス12への出入りを検知して、ユーザの端末装置により取得された位置情報を収集する(
図2の(1-1)、(1-2))。
【0014】
上述したジオフェンスに基づく位置情報取得は、あらかじめ設定されたジオフェンスへの進入または退出の際に行われる。そのため、位置情報取得システム10は、ユーザがジオフェンスとジオフェンスとの間に滞在する際にはユーザの現在位置を把握ができない場合がある(
図2の(2))。このような事態を防ぐため、多くのジオフェンスを設定した場合、ユーザの出入りを判定するジオフェンスの数が増大し、計算コストが増大してしまう。また、端末装置側でジオフェンスへの出入りを検知する場合、端末装置側がジオフェンスの領域を認識する必要があるが、一般的なスマートフォン等の端末装置においては、計算コストの無制限な増大を防ぐため、設定可能なジオフェンスの上限が設定されており、多くのジオフェンスを設定するのは現実的ではない。したがって、参考技術に係るジオフェンスに基づいた位置情報取得の場合は、本来要求される位置情報取得頻度よりも低頻度となる場合がある。
【0015】
また、位置情報取得システム10は、ユーザが店舗ポリゴン13に出入りする際にも、ユーザと当該店舗とが地理的な関連性を有するか否かを推定して検知する(
図2の(3))。しかしながら、
図2の(4)に示すように、対象の店舗がショッピングモール等の複合型商業施設等に含まれるテナントや個人店舗等の場合には、上述したジオフェンスや店舗ポリゴンへの出入りを検知では、ユーザの位置情報の取得が難しい場合がある。
【0016】
そこで、本実施形態に係る端末装置100は、予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する。次に、端末装置100は、ジオフェンスへの出入りを検知する。そして、端末装置100は、検知の結果をサーバ装置200に送信する。
【0017】
ここで、
図1に戻り説明を続ける。
図1には、端末装置100とサーバ装置200を含む、位置情報取得システム1が示されている。
【0018】
まず、端末装置100は、ユーザの中心から半径○○mの円形状等の対象のユーザを含むジオフェンスを設定する(
図1の(1))。
【0019】
次に、端末装置100は、ジオフェンス設定対象のユーザの行動を予測するためにサーバ装置200からユーザコンテキストを取得する(
図1の(2-1))。続けて、端末装置100は、取得したユーザコンテキストに基づいてユーザの行動を予測する。そして、端末装置100は、予測されたユーザの移動先の位置、移動が予測される施設対して、ジオフェンスを設定する(
図1の(2-2))。
【0020】
端末装置100は、
図1の(3-1)に示すように、設定したジオフェンスへのユーザの出入りを検知する。そして、端末装置100は、検知された検知情報をサーバ装置200に送信する(
図1の(3-2))。
【0021】
このようにして、本実施形態に係る端末装置100は、ユーザテキストを用いて予測されるユーザの行動に応じてジオフェンスの設定を繰り返し行い、当該ジオフェンスへの出入りに関する検知情報をサーバ装置200に送信することで、ユーザの行動を把握する。
【0022】
〔2.位置情報取得システムの構成〕
次に、本実施形態に係る位置情報取得システム1の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る位置情報取得システム1の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、位置情報取得システム1は、端末装置100とサーバ装置200とを有し、それぞれは無線または有線のネットワークNWにて相互に接続される。
【0023】
〔2-1.端末装置の構成〕
端末装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、を有する。なお、
図3に図示していないが、端末装置100は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。また、
図3に図示していないが、端末装置100は、サーバ装置200から取得した店舗情報や広告情報を表示するための表示部(例えば、ディスプレイ等)を備えてもよい。
【0024】
(通信部110)
通信部110は、端末装置100がサーバ装置200からユーザコンテキストや店舗情報を取得する際にデータの送受信を行う。また、通信部110は、ユーザのジオフェンス、店舗ポリゴン、店舗エリア等への出入りに対応付く検知情報をサーバ装置200へと送信する際にデータの送受信を行う。
【0025】
通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、端末装置100と外部の装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、ネットワークアダプタ(Network Adapter)やネットワークインタフェースカード(Network Interface Card)等によって実現される。
【0026】
(記憶部120)
記憶部120は、端末装置100が機能するためのプログラムや、制御部130の各機能部が処理を行うための各種情報等を記憶し、保持する。そして、記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。具体的には、記憶部120は、ユーザコンテキストDB121と、ジオフェンスDB122と、店舗情報DB123と、検知情報DB124とを有する。
【0027】
(ユーザコンテキストDB121)
ユーザコンテキストDB121は、後述の設定部132によるユーザの行動予測に用いるユーザコンテキストを記憶するデータベースである。ここでいうユーザコンテキストとは、時間帯、場所、天候、通信環境、ユーザの前後の行動、心理状態等のユーザの行動に影響する様々な情報が含まれる。
【0028】
ここで、ユーザコンテキストDB121が記憶するユーザコンテキストの一例を説明する。
図4は、本実施形態に係るユーザコンテキストの一例を示すテーブル図である。
図4に示すように、ユーザコンテキストDB121は、ユーザ識別情報と、ユーザ属性情報と、日時と、天候と、利用環境と、移動速度と、移動方向と、行動履歴と、購買履歴と、行動予定と、心理状態とをそれぞれ対応付けて記憶する。
【0029】
上述した、ユーザ識別情報は、ユーザ名や固有の文字列等のユーザごと固有の識別情報である。ユーザ属性情報は、ユーザの年齢、性別、家族構成、職業、学歴、年収、ライフステージ等のデモグラフィックデータや、ユーザの価値観、趣味、嗜好、志向、趣向、習慣等のサイコグラフィックデータ等を含む情報である。日時は、ユーザの行動予測を行う日時の情報である。天候は、快晴、晴れ、曇り、雨等のユーザの所在地における天候の情報である。利用環境は、4G/5G等のモバイル回線への接続、無線LANへの接続等のユーザの端末装置100の接続状況に関する情報である。移動速度は、時速等の単位時間当たりの移動距離で表すユーザの移動する速度の指標である。移動方向は、ユーザが移動する方向を、方位や移動方向を用いて表す情報である。行動履歴は、過去の時間軸においてユーザが訪れた地点等のユーザの行動履歴に関する情報である。購買履歴は、過去の時間軸においてユーザが訪れた店舗や、購入した商品、価格、購入個数等のユーザの購買履歴に関する情報である。行動予定は、未来の時間軸においてユーザがどの地点を訪れるか、どのような行動を行うか等のユーザの行動予定に関する情報である。心理状態は、ユーザの驚き、喜び、怒り、恐怖、悲しみ、嫌悪等のユーザの心理状態に関する情報である。
【0030】
例えば、
図4に示すように、ユーザコンテキストDB121は、ユーザ識別情報「ユーザA」、ユーザ属性情報「AAA」、日時「2023/6/5 12:00」、天候「快晴」、利用環境「モバイル回線」、移動速度「4km/h」、移動方向「南に直進」、行動履歴「BBB」、購買履歴「CCC」、行動予定「DDD」、心理状態「EEE」等の情報を記憶する。
【0031】
例えば、ユーザ属性情報「AAA」は、「年齢:35、性別:男性、家族構成:独身、職業:会社員、学歴:大学卒、年収:500万円、趣味:映画」等の情報が含まれてよい。行動履歴「BBB」は、「●●店に訪問した」等の情報が含まれてよい。購買履歴「CCC」は、「●●店で、Aという商品を、Bという価格で、C個購入した」等の情報が含まれてよい。行動予定「DDD」は、「○○点に訪問予定」等の情報が含まれてよい。心理状態「EEE」は、「楽しい気持ちである」等の情報が含まれてよい。
【0032】
さらに、ユーザコンテキストDB121は、上記の他に検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴を記憶できる。例えば、検索履歴は、ユーザにより検索された「〇〇地区 居酒屋 やきとり ●●屋 〇〇店」等のマップの目的地検索の履歴、「〇〇地区 居酒屋 やきとり」等のマップ検索の履歴、「〇〇地区 居酒屋 やきとり」や「〇〇地区 居酒屋 やきとり ●●屋 〇〇店」で検索したインターネット検索の履歴が含まれる。また、検索履歴は、ユーザがチャット型の生成AIに対して入力した「このあたりで美味しいやきとり屋は?」に対する回答として、「●●屋 〇〇店」をお勧めされた履歴等が含まれる。
【0033】
また、閲覧履歴は、ユーザがマップやカーナビゲーションのアプリケーションにおいて「〇〇地区 居酒屋 やきとり ●●屋 〇〇店」をお気に入り登録した履歴、インターネットブラウザにおいて「〇〇地区 居酒屋 やきとり ●●屋 〇〇店」を閲覧やお気に入り登録した履歴等が含まれる。
【0034】
また、コミュニケーション履歴は、ユーザがメールやチャットのアプリケーションにおいて送信した「●●屋 〇〇店」等の集合場所の情報や、店舗情報等が含まれる。
【0035】
(ジオフェンスDB122)
ジオフェンスDB122は、対象のユーザや施設に対して設定されるジオフェンスに関する情報を記憶するデータベースである。具体的には、ジオフェンスDB122は、対象のユーザや施設を含むように設定されたジオフェンス、当該ユーザの行動予測に基づいて設定されたジオフェンス等に関する情報を記憶する。
【0036】
ここで、ジオフェンスDB122が記憶するジオフェンスに関する情報について説明する。
図5は、本実施形態に係るジオフェンスに関する情報の一例を示すテーブル図である。
図5に示すように、ジオフェンスDB122は、ユーザ識別情報と、ジオフェンス番号と、分類と、経度緯度と、ジオフェンスサイズ(X,Y)と、有効期限とを、それぞれ対応付けて記憶する。
【0037】
上述した、ユーザ識別情報は、ユーザ名や固有の文字列等のユーザごと固有の識別情報である。ジオフェンス番号は、設定されたジオフェンスに付与される通し番号である。分類は、ユーザや店舗等のジオフェンスの設定対象ごとに付される分類情報である。経度緯度は、ジオフェンスの中心部分の経度および緯度であり、ジオフェンスの設定位置を示す情報である。ジオフェンスサイズ(X,Y)は、ジオフェンスの大きさと、円形、楕円形等の形状を表す情報である。有効期限は、設定されたジオフェンスの削除タイミングを示す日時の情報である。なお、上記のジオフェンスサイズについてXとYの二つの半径で示される一例を説明したが、これに限定されず、円や楕円等を表現する数式や、フーリエ級数に基づく図形描写等で表現されてもよい。
【0038】
例えば、
図5に示すように、ジオフェンスDB122は、ユーザ識別情報「ユーザA」、ジオフェンス番号「1」、分類「ユーザ」、経度緯度「x1,y1」、ジオフェンスサイズ(X,Y)「150m,50m」と、有効期限「2023/6/5 13:00」等の情報を記憶する。すなわち、ジオフェンスDB122は、「ユーザAに対して、ジオディフェンス番号1で識別される、ジオフェンスサイズ150m,50mのジオフェンスを、経度緯度がx1,y1の位置に2023/6/5 13:00までの有効期限で設定」等と記憶する。
【0039】
(店舗情報DB123)
店舗情報DB123は、後述の取得部131によりサーバ装置200から取得される店舗情報を記憶するデータベースである。具体的には、店舗情報DB123は、ユーザの予測された行動に応じて設定されるジオフェンスに含まれる店舗に対応付く店舗ポリゴン、店舗エリア、店舗情報等を記憶する。
【0040】
ここで、店舗情報DB123が記憶する店舗情報について説明する。
図6は、本実施形態に係る店舗情報の一例を示すテーブル図である。
図6に示すように、店舗情報DB123は、店舗識別情報と、所在地と、店舗ポリゴンと、店舗エリアと、店舗詳細と、来店履歴と、購入履歴と、広告情報とを対応付けて記憶する。
【0041】
上述した、店舗識別情報は、店舗名や固有の文字列等の店舗ごと固有の識別情報である。所在地は、当該店舗の所在地の住所である。店舗ポリゴンは、当該店舗への来店を検知するために用いる店舗ポリゴンの構成情報、店舗ポリゴンを識別する情報等の店舗ポリゴンに関する情報である。店舗エリアは、当該店舗への進入または退出を検知するために用いられる店舗エリアの構成情報、店舗エリアを識別する情報等の店舗エリアに関する情報である。店舗詳細は、当該店舗の取扱商品やサービス、特徴、PRポイント等の情報である。来店履歴は、単位期間あたりの来店者数、来店者の属性等のユーザの履歴情報である。購入履歴は、単位期間あたりの販売数、販売金額、販売商品やサービスの情報等の当該店舗で購入された商品やサービスの履歴情報である。広告情報は、当該店舗において実施される広告に関する方法である。
【0042】
例えば、
図6に示すように、店舗情報DB123は、店舗識別情報「店舗a」、所在地「東京都○○区」、店舗ポリゴン「○○○」、店舗エリア「●●●」、店舗詳細「FFF」、来店履歴「GGG」、購入履歴「HHH」と、広告情報「III」等の情報を記憶する。
【0043】
例えば、店舗ポリゴン「○○○」は、当該店舗に関する店舗ポリゴンに関する情報として、店舗ポリゴンを機能させるためのプログラムやデータ、または他の装置に記憶される店舗ポリゴンを識別する情報が含まれてよい。店舗エリア「●●●」は、当該店舗に関する店舗エリアに関する情報として、店舗エリアを機能させるためのプログラムやデータ、または他の装置に記憶される店舗エリアを識別する情報が含まれてよい。店舗詳細「FFF」は、「販売商品は商品A」、「提供サービスはサービスB」等の当該店舗の取扱商品やサービス等の情報が含まれてよい。来店履歴「GGG」は、「2023年5月の、男性の来店者数は100人」等の情報が含まれてよい。購入履歴「HHH」は、「2023年5月の、商品Aの販売金額は10万円」等の情報が含まれてよい。広告情報「III」は、「商品Aについて、30%引きセールを実施中」等の情報が含まれてよい。
【0044】
(検知情報DB124)
検知情報DB124は、ユーザのジオフェンスへの出入りの際に、後述の検知部133により検知される情報を検知情報として記憶する。
【0045】
ここで、検知情報DB124が記憶する検知情報について説明する。
図7は、本実施形態に係る検知情報の一例を示すテーブル図である。
図7に示すように、検知情報DB124は、ユーザ識別情報と、ジオフェンス番号と、進入退出フラグと、日時と、経度緯度とを対応付けて記憶する。
【0046】
上述した、ユーザ識別情報は、ユーザ名や固有の文字列等のユーザごと固有の識別情報等の当該ジオフェンスへの出入りが検知されたユーザを識別する情報である。ジオフェンス番号は、設定されたジオフェンスを識別する通し番号である。進入退出フラグは、設定されたジオフェンスへのユーザの出入りについて、進入または退出を表す情報である。日時は、ユーザが当該ジオフェンスに出入りした日時を表す情報である。経度緯度は、ユーザが当該ジオフェンスに出入りした際に取得されるユーザまたはジオフェンス等の経度緯度等の位置情報である。
【0047】
例えば、検知情報DB124は、ユーザ識別情報「ユーザA」、ジオフェンス番号「1」、進入退出フラグ「進入」、日時「2023/6/5 13:00」、経度緯度「x11,y11」等の情報を記憶できる。前述した情報は、「ユーザAが、ジオフェンス番号1に、2023/6/5 13:00に進入し、経度緯度がx11,y11という位置情報が取得された」という内容を含む。
【0048】
(制御部130)
制御部130は、端末装置100が、ユーザコンテキストに基づいてユーザの行動を予測して、ユーザの予測行動に関連する所定の位置、施設等にジオフェンスを設定する処理を行う。具体的には、制御部130は、取得部131と、設定部132と、検知部133と、送信部134と、出力部135とを有し、上記した処理を実現する。
【0049】
制御部130は、プロセッサ(Processor)や、MPU(Micro Processing Unit)や、CPU(Central Processing Unit)等が、端末装置100の記憶部120に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のIC(Integrated Circuit)により実現される。
【0050】
(取得部131)
取得部131は、ユーザの行動を把握するための処理に用いる情報をサーバ装置200から取得する。
【0051】
具体的には、取得部131は、サーバ装置200からユーザコンテキストを取得する。例えば、取得部131は、後述の設定部132がユーザの行動を予測するために用いる、ユーザ識別情報、ユーザ属性情報、日時、天候、利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定と、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴等を取得する。そして、取得部131は、取得したユーザコンテキストを、ユーザコンテキストDB121に格納する。
【0052】
具体的には、取得部131は、後述の設定部132により設定されるジオフェンスに含まれる所定の施設の店舗ポリゴンを、ジオフェンスが設定されるごとにサーバ装置200から取得する。例えば、取得部131は、後述の設定部132により予測されたユーザの行動に基づいてジオフェンスが「店舗a」を含むように設定された場合に、「店舗a」に係る店舗ポリゴンを、ジオフェンスが設定される都度サーバ装置200から取得する。そして、取得部131は、取得した店舗ポリゴンを、店舗情報DB123に格納する。
【0053】
また、取得部131は、当該店舗ポリゴンに対応付く店舗情報をサーバ装置200から取得する。例えば、取得部131は、「店舗a」に係る店舗ポリゴンに対応付く店舗識別情報、所在地、店舗詳細、来店履歴、購入履歴、広告情報等を取得する。なお、取得部131は、店舗ポリゴンの取得と連動または独立して、店舗情報をサーバ装置200から取得することができる。そして、取得部131は、取得した店舗情報を、店舗情報DB123に格納する。
【0054】
他方、取得部131は、設定されたジオフェンスに含まれる所定の施設の店舗エリアを、サーバ装置200から取得する。例えば、取得部131は、後述の設定部132により予測されたユーザの行動に基づいてジオフェンスが「店舗a」を含むように設定された場合に、サーバ装置200から「店舗a」に対応付く店舗エリアを取得する。なお、取得部131は、店舗エリアの取得と連動または独立して、店舗情報を取得することができる。そして、取得部131は、取得した店舗エリアを、店舗情報DB123に格納する。
【0055】
(設定部132)
設定部132は、予測されるユーザの行動に基づく対象の位置にジオフェンスを設定する。
【0056】
具体的には、設定部132は、ユーザのユーザコンテキストに含まれる、日時、天候、端末装置100の利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴のうち少なくともいずれか1つを用いてユーザの行動を予測する。そして、設定部132は、予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する。
【0057】
例えば、設定部132は、上述した処理により予測されたユーザの行動に基づいて、ユーザが移動すると予想される位置に、所定の形状のジオフェンスを設定する。一例として、設定部132は、日時に基づき「日曜日はユーザの行動量が増加する」等と予測して、サイズが「100m,100m」等のデフォルトのジオフェンスよりも大きい、「150m,150m」等のサイズのジオフェンスを設定する。また、設定部132は、天候に基づき「雨が降っているため、ユーザは近辺の施設内で行動する」等と予測し、ユーザの所在地近辺の施設を含むジオフェンスを設定する。また、設定部132は、端末装置100の利用環境に基づき「モバイル回線の電波強度が弱いため、ユーザは屋外に移動する」等と予測し、ユーザの所在地近辺の屋外を含むようにジオフェンスを設定する。
【0058】
また、設定部132は、予測されたユーザの行動に応じた形状のジオフェンスを設定する。一例として、設定部132は、ユーザのスケジュールツール等から抽出された行動予定等に基づいて、「店舗aへの訪問予定あり」等と予測し、当該店舗aを含むようなジオフェンスや、当該店舗aへのルートに沿ったジオフェンスを設定する。また、設定部132は、サーバ装置200に蓄積されたユーザの行動履歴や購買履歴に基づいて、「店舗aの来店履歴があるため再度訪問する可能性あり」等と予測し、当該店舗aを含むようなジオフェンスの設定や、当該店舗aへのルートに沿ったジオフェンスを設定する。
【0059】
また、設定部132は、心理状態に基づいて、「ユーザの感情に焦りが含まれており、想定外の行動を取る可能性がある」等と予測し、想定外の行動においてもユーザの行動を捕捉できるようにユーザを取り囲むように複数のジオフェンスを設定する。
【0060】
また、設定部132は、「〇〇地区 居酒屋 やきとり ●●屋 〇〇店」等のマップの目的地検索の履歴、マップ検索の履歴、インターネット検索の履歴に基づいて、ユーザが「●●屋 〇〇店を来訪する可能性あり」等と予測する。そして、設定部132は、当該店舗を含むようなジオフェンスの設定や、当該店舗へのルートに沿ったジオフェンスを設定する。
【0061】
また、設定部132は、ユーザがチャット型の生成AIに対して入力した「このあたりで美味しいやきとり屋は?」に対する「●●屋 〇〇店」というお勧めされた履歴等に基づいて、ユーザが「●●屋 〇〇店を来訪する可能性あり」等と予測する。そして、設定部132は、当該店舗を含むようなジオフェンスの設定や、当該店舗へのルートに沿ったジオフェンスを設定する。
【0062】
また、設定部132は、閲覧履歴に基づいて、「〇〇地区 居酒屋 やきとり ●●屋 〇〇店」等のマップやカーナビゲーション、インターネットブラウザ等のアプリケーションの閲覧やお気に入り登録情報に基づいて、ユーザが「●●屋 〇〇店を来訪する可能性あり」等と予測する。そして、設定部132は、当該店舗を含むようなジオフェンスの設定や、当該店舗へのルートに沿ったジオフェンスを設定する。
【0063】
また、設定部132は、コミュニケーション履歴に基づいて、メールやチャットのアプリケーションにおける「●●屋 〇〇店」の集合場所の情報や店舗情報等の送信履歴に基づいて、ユーザが「●●屋 〇〇店を来訪する可能性あり」等と予測する。そして、設定部132は、当該店舗を含むようなジオフェンスの設定や、当該店舗へのルートに沿ったジオフェンスを設定する。
【0064】
また、設定部132は、それぞれ重み付けされたユーザの予約情報等の顕在的な行動予知データや検索やコミュニケーション過程などの潜在的な行動予知データを用いて訓練された学習モデルに基づいて、来店候補データ等のユーザの行動を予測する。
【0065】
また、設定部132は、予測された行動をユーザが実施した場合に、ユーザが所在すると想定される領域を含む形状のジオフェンスを設定する。一例として、設定部132は、「ユーザが南方向に直進しており、進路を変更せずそのまま移動する」等と予測して、複数のジオフェンスをユーザの移動方向に応じて並べて設定する、ユーザの移動方向に合わせた楕円形等のジオフェンスを設定する等を行うことができる。
【0066】
設定部132は、予測されたユーザの行動に基づいて、ユーザが移動すると予想される所定の施設を含むように、所定の形状のジオフェンスを設定する。一例として、設定部132は、ユーザの移動速度に基づいて、「ユーザは徒歩で移動している」や「ユーザは車で移動している」等と予測し、ユーザの移動速度に応じたサイズのジオフェンスを設定できる。具体的には、設定部132は、ユーザが徒歩で移動する等の移動速度が遅い場合には、例えば、サイズが「100m,100m」等のデフォルトのジオフェンスを設定する。他方、ユーザが車で移動する等の移動速度が速い場合には、移動方向に向かって細長いサイズ「100m,200m」等のジオフェンスを設定する。
【0067】
また、設定部132は、所定の条件を満たす場合に設定したジオフェンスを削除する。具体的には、設定部132は、ユーザがジオフェンスから退出後予め設定された時間の経過や、
図5に示したようなジオフェンスに設定された有効期限の経過をトリガーとして、設定したジオフェンスを削除する。
【0068】
(検知部133)
検知部133は、ジオフェンスへのユーザの出入りを検知する。具体的には、検知部133は、設定部132により設定されたジオフェンスへの進入、またはジオフェンスからの退出を検知して、進入退出フラグ、日時、緯度経度等の検知情報を検知情報DB124に格納する。
【0069】
また、検知部133は、店舗ポリゴンに基づいてユーザの来店を検知する。具体的には、端末装置100は、ユーザに対して設定されたジオフェンスに含まれる店舗に対応付く店舗ポリゴンをサーバ装置200から取得して設定する。そして、検知部133は、当該店舗ポリゴンの所定の領域と、ユーザの現在地を含むように設定される所定の領域とが干渉した場合にユーザが当該店舗を来店したと検知することができる。なお、ここでいう店舗ポリゴンに基づくユーザの来店検知の方法は、公知の方法が用いられてよく特に限定されない。
【0070】
また、検知部133は、ユーザへの広告情報の出力のため、店舗エリアへのユーザの出入りを検知する。具体的には、端末装置100は、ユーザに対して設定されたジオフェンスに含まれる店舗に対応付く店舗エリアを設定できる。そして、検知部133は、当該店舗エリアの所定の領域と、ユーザの現在地を含むように設定される所定の領域とが干渉した場合にユーザが当該店舗エリアに進入したことを検知できる。なお、ここでいう店舗エリアに基づくユーザの進入検知の方法は、公知の方法が用いられてよく特に限定されない。
【0071】
(送信部134)
送信部134は、検知部133による検知の結果をサーバ装置200に送信する。具体的には、送信部134は、検知部133によりユーザによるジオフェンス、店舗ポリゴン、店舗エリアへの出入りが検知された場合に、都度検知情報をサーバ装置200へ送信する。例えば、送信部134は、ユーザがジオフェンス、店舗ポリゴン、店舗エリアに進入した場合に、検知部133により検知されたユーザの位置情報とジオフェンスへの進入情報とをサーバ装置に送信する。他方、送信部134は、ユーザがジオフェンス、店舗ポリゴン、店舗エリアから退出した場合に、検知部133により検知されたユーザの位置情報とジオフェンスからの退出フラグをサーバ装置200に送信する。
【0072】
(出力部135)
出力部135は、設定部132により予測されたユーザの行動に基づいて、当該ユーザが来店すると予測される店舗についての店舗情報をユーザに対して出力する。例えば、出力部135は、「過去店舗aを訪れたことがあり、再度訪問する可能性がある」等と予測された場合、予測された店舗aに対応付く店舗情報をユーザに対して表示する。
【0073】
また、出力部135は、検知部133によりユーザの店舗エリアへの進入が検知された場合、ユーザに対して所定の店舗に関する広告を出力する。例えば、出力部135は、店舗aの店舗エリアへのユーザの進入が検知された場合には、ユーザに対して店舗aに係る広告情報「商品Aについて、30%引きセールを実施中」を表示する。また、出力部135は、店舗aの店舗エリアからのユーザの退出が検知された場合には、当該広告の表示を停止する。
【0074】
〔2-2.サーバ装置の構成〕
サーバ装置200は、ジオフェンス、店舗ポリゴン、店舗エリアの設定のために用いるユーザコンテキストや店舗情報、または端末装置100から送信される検知情報を記憶するコンピュータの一例である。
図3に示すように、サーバ装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、を有する。なお、
図3に図示していないが、サーバ装置200は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)や、情報処理の結果を表示する表示部(例えば、ディスプレイ等)を備えてもよい。
【0075】
(通信部210)
通信部210は、ネットワークと有線または無線で接続され、サーバ装置200と外部の装置との間で情報の送受信を行う。なお、通信部210は、ネットワークアダプタやネットワークインタフェースカード等によって実現される。また、以降、端末装置100とサーバ装置200との通信は、通信部210を介して実施されるものとして説明する。
【0076】
(記憶部220)
記憶部220は、サーバ装置200が機能するためのプログラムや、制御部230の各機能部が処理を行うための各種情報等を記憶し、保持する。具体的には、記憶部220は、サーバ装置200が端末装置100に送信するためのユーザコンテキストや店舗情報、また端末装置100から送信される検知情報を記憶する。
【0077】
記憶部220は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部220は、ユーザコンテキストDB221と、店舗情報DB222と、検知情報DB223とを有する。以下の項目において、上記した記憶部220が有する各機能部について説明する。
【0078】
(ユーザコンテキストDB221)
ユーザコンテキストDB221は、端末装置100によるジオフェンスの設定のためのユーザの行動予測に用いるユーザコンテキストを記憶するデータベースである。なお、ユーザコンテキストDB221により記憶されるユーザコンテキストの内容は、端末装置100の項目で記載したユーザコンテキストと同様であるため本項目での詳細な説明は省略する。
【0079】
(店舗情報DB222)
店舗情報DB222は、端末装置100に用いられる店舗情報を記憶するデータベースである。具体的には、店舗情報DB123は、ユーザに対して設定されたジオフェンスに含まれる店舗に対応付く店舗ポリゴン、店舗エリア、および店舗情報を記憶する。なお、店舗情報DB222により記憶される店舗情報は、端末装置100の項目で記載した店舗情報と同様であるため本項目での詳細な説明は省略する。
【0080】
(検知情報DB223)
検知情報DB223は、端末装置100により検知され送信された検知情報を記憶する。なお、検知情報DB223により記憶される店舗情報は、端末装置100の項目で記載した検知情報と同様であるため本項目での詳細な説明は省略する。
【0081】
(制御部230)
制御部230は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、サーバ装置200の記憶部220に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。具体的には、制御部230は、受付部231と、送信部232とを有する。
【0082】
(受付部231)
受付部231は、端末装置100により送信される検知情報を受け付ける。具体的には、受付部231は、送信されるユーザ識別情報と、ジオフェンス番号と、進入退出フラグと、日時と、経度緯度等の検知情報を受け付ける。そして、受付部231は、受け付けた検知情報を検知情報DB223に格納する。
【0083】
(送信部232)
送信部232は、端末装置100からの要求に応じて、ユーザ識別情報と、ユーザ属性情報と、日時と、天候と、利用環境と、移動速度と、移動方向と、行動履歴と、購買履歴と、行動予定と、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴等のユーザコンテキストを送信する。また、送信部232は、端末装置100からの要求に応じて、店舗識別情報と、所在地と、店舗ポリゴンと、店舗エリアと、店舗詳細と、来店履歴と、購入履歴と、広告情報等の店舗情報を送信する。
【0084】
〔2-3.実施例〕
ここから、本実施形態に係る端末装置100が実現するジオフェンスに係る制御の一例を説明する。
図8から
図10は、本実施形態に係る実施例を示す図である。
【0085】
(移動速度や移動方向に応じたジオフェンスの設定)
まず、端末装置100がユーザの移動速度や移動方向等に基づいて、ジオフェンスの半径サイズや形状を動的に変化させて、ジオフェンスを設定する一例を、
図8を用いて説明する。
【0086】
例えば、端末装置100は、ユーザが時速4km/h等の徒歩で一定の方向に移動する場合には、ユーザが移動していくと予測される方向に、複数のジオフェンスを設定する(
図8の(1))。また、端末装置100は、複数のジオフェンスの代わりに、ユーザが移動していくと予測される移動方向に沿って、細長い楕円状のジオフェンスを設定する(
図8の(2))。他方で、端末装置100は、ユーザがどの方向に向かって移動していくか予測できない場合等の場合には、現在のユーザの移動方向とは異なるがユーザが移動する可能性のある方向に対して、ジオフェンスを設定する(
図8の(3))。
【0087】
また、端末装置100は、ユーザが乗車して高速で移動する場合、ユーザが高速で移動していくと予測される方向に対して、低速移動するユーザに対して設定するジオフェンスよりも大きいサイズ(「半径500m~」等)のジオフェンスを設定する(
図8の(4))。この時、端末装置100は、大きいサイズのジオフェンスを複数設定する、ユーザの移動方向に沿った楕円状のジオフェンスを設定する等を行い、高速で移動するユーザを捕捉する。
【0088】
これにより、端末装置100は、ジオフェンスの設定個数に上限がある場合等に、無駄なジオフェンスの設定を抑制して、適切にユーザの行動を捕捉できる。また、端末装置100は、無駄な位置情報の取得を抑制し、より精度の高いユーザの位置情報を取得できる。
【0089】
(ユーザ所在地エリア内に含まれる施設へのジオフェンスの設定)
次に、端末装置100がユーザの行動履歴、行動予定、検索情報等のユーザコンテキストを用いて予測したジオフェンスに含まれる所定の施設のうち、今後ユーザが訪問する可能性のある施設に対してジオフェンスを設定する一例を、
図9を用いて説明する。
【0090】
例えば、端末装置100は、「過去店舗aを来店した」、「店舗aで商品Aを購入した」、「ユーザのスケジューに店舗aへの来訪予定あり」等の情報を用いて、ユーザが店舗aを訪れると予測する(
図9の(1))。そして、端末装置100は、予測された店舗aに対してジオフェンスや店舗ポリゴン、店舗エリアを設定する。また、端末装置100は、店舗a(
図9の(1))の他にも同一エリア内に複数の店舗(
図9の(2))の来訪予定を予測し、ジオフェンスを設定する。
【0091】
また、端末装置100は、上述したように所定の施設にジオフェンスを設定する際に、ジオフェンスに有効期限を設定し、有効期限が経過したジオフェンスを削除する。例えば、端末装置100は、スケジュール情報から抽出されたユーザの店舗aへの滞在予定が「2023年6月8日10時から12時」の場合、店舗aに対して設定されるジオフェンスの有効期限を「2023年6月8日13時」等と設定できる。なお、端末装置100は、設定された有効期限を経過してもユーザが当該ジオフェンス内に滞在する場合には、有効期限を自動で更新できる。
【0092】
これにより、端末装置100は、予測されたユーザの行動に係る所定の施設に対してジオフェンスを設定し、かつ有効期限が経過した場合には当該ジオフェンスを削除することができる。これにより、端末装置100は、ジオフェンスの無駄な設定を抑制しつつ、ジオフェンスによるユーザの検知の制度維持を可能とする。
【0093】
(生成AIを活用したジオフェンスの設定および店舗情報の出力)
次に、端末装置100がユーザの音声チャットやユーザが生成したコンテンツを生成AIに入力して、出力された情報を用いて、ユーザや店舗へのジオフェンスの設定、店舗情報のユーザへの表示を行う一例を、
図10を用いて説明する。
【0094】
例えば、
図10に示すように、端末装置100は、音声チャットの「今から行きたいのだけれど、東京駅の近くに美味しい焼肉屋ある?」、「100m圏内に、焼肉a店という人気の焼肉屋があります。」というやり取りの情報を取得する。また、端末装置100は、任意のユーザが生成した「店舗aは美味しかったのでまた行きたい」という感想および画像や動画等のユーザ生成コンテンツを取得する。
【0095】
そして、端末装置100は、音声チャットやユーザ生成コンテンツを生成AIに入力して、「5/9~24:00」、「東京都千代田区丸の内周辺」、「焼肉a店」、「焼肉」、「美味しい」等の単語を抽出する。なお、上述した「5/9~24:00」とは、音声チャットの「今から行きたい」という情報に基づき、音声チャットでのやり取り時点からその日が終わるまでの「5/9~24:00」を生成AIが推測した情報である。
【0096】
次に、端末装置100は、抽出された単語と店舗情報とを突合して、「焼肉a店の店舗識別情報」を特定する。そして、端末装置100、特定された「焼肉a店の店舗識別情報」と、サーバ装置200に記憶された店舗情報とを突合して、当該焼肉a店の所在地、店舗ポリゴン、店舗エリア等を特定する。そして、端末装置100は、特定された情報をサーバ装置200から取得して、焼肉a店を含むようにジオフェンス店舗ポリゴン、店舗エリアを設定する。
【0097】
また、端末装置100は、特定された「焼肉a店の店舗識別情報」とサーバ装置200に記憶された店舗情報とを突合して特定された情報をサーバ装置200から取得して、ユーザに対して焼肉a店の所在地、営業時間、価格帯等の店舗情報や広告情報を出力する。
【0098】
このように、端末装置100は、生成AIに基づいた自然言語処理等により、ユーザの音声入力情報やユーザの生成したコンテンツの情報、その他ユーザコンテキストに基づいてジオフェンスを設定する候補の選定や適切な情報出力を実現する。
【0099】
なお、上述した一例の処理は、端末装置100により実施されてもよいし、サーバ装置200により実施されてもよい。サーバ装置200により実施される場合には、端末装置100は、サーバ装置200による処理結果を取得する。
【0100】
また、生成AIは、端末装置100に搭載されたエッジAIであってもよいし、サーバ装置200等のクラウド環境で稼働するLLM(Large Language Models)等であってもよい。なお、上述した生成AIは、新たな回答として利用されないような学習を行うことで、入力された個人情報等の情報を秘匿するものが望ましい。
【0101】
〔3.処理手順〕
次に、
図11から
図14を用いて、本実施形態に係る端末装置100による制御手順について説明する。なお、以下に示す各制御手順は、矛盾の無い範囲で組み合わせて実施することができる。
【0102】
(ジオフェンスの設定および出入りの検知)
まず、ジオフェンスの設定および出入りの検知に関する制御手順について説明する。
図11は、本実施形態に係る端末装置100の制御手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0103】
まず、ユーザがジオフェンス処理の対象でない場合は(S101のNo)、端末装置100は処理を待機する。他方、ユーザがジオフェンス処理の対象の場合には(S101のYes)、取得部131は、サーバ装置200からユーザコンテキストを取得する(S102)。
【0104】
設定部132は、取得されたユーザコンテキストを用いて予測されたユーザの行動に基づき、ユーザに対してジオフェンスを設定する(S103)。ここで、ユーザが設定されたジオフェンスに進入しない場合は(S104のNo)、端末装置100は、処理を待機する。他方、ユーザが設定されたジオフェンスに進入する場合は(S104のYes)、検知部133は、ジオフェンスへの進入を検知し、ユーザの進入の有無、日時、位置情報を検知情報DB124に格納する(S105)。そして、送信部134は、検知情報をサーバ装置200に送信する(S106)。
【0105】
ここで、ユーザが設定されたジオフェンスから退出しない場合は(S107のNo)、端末装置100は、処理を待機する。他方、ユーザが設定されたジオフェンスから退出する場合は(S107のYes)、検知部133は、ジオフェンスからの退出を検知し、ユーザの退出の有無、日時、位置情報を検知情報DB124に格納する(S108)。そして、送信部134は、検知情報をサーバ装置200に送信する(S109)。
【0106】
設定部132は、ユーザが退出したジオフェンスを削除する(S110)。ここで、次のジオフェンスを設定する場合は(S111のYes)、端末装置100は、工程を戻って処理を継続する。他方、次のジオフェンスを設定しない場合は(S111のNo)、端末装置100は、工程を終了する。
【0107】
(店舗ポリゴンに基づく来店検知)
次に、店舗ポリゴンに基づく来店検知に関する制御手順について説明する。
図12は、本実施形態に係る来店検知手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0108】
まず、所定の店舗にジオフェンスが設定されない場合は(S201のNo)、端末装置100は処理を待機する。他方、所定の店舗にジオフェンスが設定される場合は(S201のYes)、取得部131は、サーバ装置200から店舗情報を取得する(S202)。
【0109】
設定部132は、取得されたユーザコンテキストを用いて予測されたユーザの行動に基づき、該当の所定の施設に店舗ポリゴンを設定する(S203)。ここで、ユーザが設定された店舗ポリゴンに進入しない場合は(S204のNo)、端末装置100は、処理を待機する。他方、ユーザが設定された店舗ポリゴンに進入する場合は(S204のYes)、検知部133は、店舗ポリゴンへの進入を検知し、ユーザの進入の有無、日時、位置情報を検知情報DB124に格納する(S205)。そして、送信部134は、検知情報をサーバ装置200に送信する(S206)。
【0110】
ここで、ユーザが設定された店舗ポリゴンから退出しない場合は(S207のNo)、端末装置100は、処理を待機する。他方、ユーザが設定された店舗ポリゴンから退出する場合は(S207のYes)、検知部133は、店舗ポリゴンからの退出を検知し、ユーザの退出の有無、日時、位置情報を検知情報DB124に格納する(S208)。そして、送信部134は、検知情報をサーバ装置200に送信する(S209)。
【0111】
設定部132は、ユーザが退出した店舗ポリゴンを削除する(S210)。ここで、次の店舗ポリゴンを設定する場合は(S211のYes)、端末装置100は、工程を戻って処理を継続する。他方、次の店舗ポリゴンを設定しない場合は(S211のNo)、端末装置100は、工程を終了する。
【0112】
(店舗エリアに基づく来店検知および広告情報の出力)
次に、店舗エリアに基づく来店検知および広告情報の出力に関する制御手順について説明する。
図13は、本実施形態に係る広告情報出力手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0113】
まず、所定の店舗にジオフェンスが設定されない場合は(S301のNo)、端末装置100は処理を待機する。他方、所定の店舗にジオフェンスが設定される場合は(S301のYes)、取得部131は、サーバ装置200から店舗情報を取得する(S302)。
【0114】
設定部132は、取得されたユーザコンテキストを用いて予測されたユーザの行動に基づき、該当の所定の施設に店舗エリアを設定する(S303)。ここで、ユーザが設定された店舗エリアに進入しない場合は(S304のNo)、端末装置100は、処理を待機する。他方、ユーザが設定された店舗エリアに進入する場合は(S304のYes)、検知部133は、店舗エリアへの進入を検知し、ユーザの進入の有無、日時、位置情報を検知情報DB124に格納する(S305)。そして、出力部135は、ユーザに広告情報を出力する(S306)。
【0115】
ここで、ユーザが設定された店舗エリアから退出しない場合は(S307のNo)、端末装置100は、処理を待機する。他方、ユーザが設定された店舗エリアから退出する場合は(S207のYes)、検知部133は、店舗ポリゴンからの退出を検知し、ユーザの進入の有無、日時、位置情報を検知情報DB124に格納する(S308)。
【0116】
設定部132は、ユーザが退出した店舗エリアを削除する(S309)。ここで、次の店舗エリアを設定する場合は(S310のYes)、端末装置100は、工程を戻って処理を継続する。他方、次の店舗エリアを設定しない場合は(S310のNo)、端末装置100は、工程を終了する。
【0117】
(店舗ポリゴンに対応付く店舗の店舗情報の出力)
次に、店舗ポリゴンに対応付く店舗情報の出力に関する制御手順について説明する。
図14は、本実施形態に係る店舗情報出力手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0118】
まず、所定の店舗にジオフェンスが設定されない場合は(S401のNo)、端末装置100は処理を待機する。他方、所定の店舗にジオフェンスが設定される場合は(S401のYes)、取得部131は、サーバ装置200から店舗情報を取得する(S402)。
【0119】
設定部132は、取得されたユーザコンテキストを用いて予測されたユーザの行動に基づき、該当の所定の施設に店舗ポリゴンを設定する(S403)。次に、出力部135は、ユーザコンテキストに基づきジオフェンスに重なる店舗ポリゴンを特定する(S404)。そして、出力部135は、ユーザに店舗情報を出力する(S405)。
【0120】
ここで、次の店舗ポリゴンを設定する場合は(S407のYes)、端末装置100は、工程を戻って処理を継続する。他方、次の店舗ポリゴンを設定しない場合は(S407のNo)、端末装置100は、工程を終了する。
【0121】
〔4.効果〕
ここから、本実施形態に係る端末装置100の奏する効果について、適宜
図15および
図16を用いて説明する。
図15および
図16は、本実施形態に係る端末装置100が実現する効果の一例を示す図である。
【0122】
従来、ユーザを含むようにジオフェンスを設定する技術が知られているが、ユーザの行動を予測して、ユーザが移動する可能性がある地点に対してジオディフェンスを設定し位置情報を取得することは難しい。また、店舗ポリゴンを用いて来店検知を行う場合があるが、当該店舗ポリゴンがショッピングモール等の複合的商業施設等に設定されている場合、施設内部出店するテナント等への来店を検知することは難しい場合がある。また、店舗ごとに設定される店舗ポリゴンを、端末装置100が事前に全て取得して記憶しておくことは、記憶媒体の容量や費用対効果の観点から現実的ではない。
【0123】
そこで、本実施形態の端末装置100の設定部132は、予測されるユーザの行動に基づいて、所定の領域にジオフェンスを設定する。次に、端末装置100の検知部133は、ジオフェンスへのユーザの出入りを検知する。次に、端末装置100の送信部134は、検知部133による検知の結果をサーバ装置200に送信する。そのため、本実施形態に係る端末装置100は、ユーザの行動を適切に捕捉する効果を提供する。
【0124】
具体的には、端末装置100の設定部132は、ユーザに対してユーザコンテキストとして、日時、天候、端末装置100の利用環境、移動速度、移動方向、行動履歴、購買履歴、行動予定、心理状態、検索履歴、閲覧履歴、コミュニケーション履歴のうち少なくともいずれか1つを用いてユーザの行動を予測する。また、設定部132は、それぞれ重み付けされたユーザの予約情報等の顕在的な行動予知データや検索やコミュニケーション過程などの潜在的な行動予知データを用いて訓練された学習モデルに基づいて、来店候補データ等のユーザの行動を予測する。このように、端末装置100は、ユーザコンテキストに基づいてユーザの行動を精度高く予測することで、より適切にジオフェンスを設定することを可能とする。
【0125】
また、端末装置100の設定部132は、予測されたユーザの行動に基づいて、ユーザが移動すると予想される位置に、所定の形状のジオフェンスを設定する。これにより端末装置100は、ユーザの行動に応じた地点にジオフェンスを設定することで無駄なジオフェンス設定を抑制しつつ、ユーザの行動の適切に捕捉することを可能とする。
【0126】
また、端末装置100の設定部132は、予測されたユーザの行動に応じた形状のジオフェンスを設定する。これにより、端末装置100は、ユーザが移動していく方向等に応じてジオフェンスの形状を変更することで、無駄なジオフェンス設定を抑制したより効率なジオフェンス設定を実現し、ユーザの行動の適切に捕捉することを可能とする。
【0127】
また、端末装置100の設定部132は、予測された行動をユーザが実施した場合に、ユーザが所在すると想定される領域を含む形状のジオフェンスを設定する。これにより、端末装置100は、ユーザの未来の行動を捕捉するようにジオフェンスを設定することで無駄なジオフェンス設定を抑制したより効率的なジオフェンスの設定を実現し、ユーザの行動の適切に捕捉することを可能とする。
【0128】
このように、端末装置100が実現する制御処理により、端末装置100は、
図15の(1)に示すようなユーザに対して適切にジオフェンスを設定および出入りの検知により、ユーザの位置情報を高頻度かつ高精度に取得することを実現する。
【0129】
また、端末装置100の設定部132は、予測されたユーザの行動に基づいて、ユーザが移動すると予想される所定の施設を含むように、所定の形状のジオフェンスを設定する。これにより、端末装置100は、ユーザが高速移動する場合には、ジオフェンスのサイズを変更し、かつユーザが高速で移動していく方向等に応じてジオフェンスの形状を変更することで、効率よくユーザの位置情報を取得することができる。したがって、端末装置100は、ユーザの行動の適切に捕捉することを可能とする。
【0130】
このように、端末装置100は、
図15の(2)に示すように、ユーザコンテキストに基づいてユーザ行動を予測して、ユーザがその後移動する可能性がある地点や施設に対してジオフェンスを設定することで、ユーザの行動を可視化できる。
【0131】
端末装置100の取得部131は、設定部132により設定されるジオフェンスに含まれる所定の施設の店舗ポリゴンを、ジオフェンスが設定されるごとにサーバ装置200から取得する。そして、検知部133は、店舗ポリゴンに基づいてユーザの来店を検知する。このように、端末装置100は、ユーザの行動予測に基づいて、対象となる店舗に対しジオフェンスを設定し、その上で当該店舗の店舗ポリゴンを設定する。したがって、端末装置100は、複合的商業施設等のテナントにおける来店検知を可能とする。
【0132】
このように、端末装置100は、
図15の(3)に示すように、ユーザの移動が予測される施設にジオフェンス、店舗ポリゴン、店舗エリアを設定できる。このため、端末装置100は、設定可能な数に上限があるジオフェンスを効率的に設定することで、総合的に計測可能施設を拡充できる。
【0133】
端末装置100の送信部134は、ユーザがジオフェンスに進入した場合に、検知部133により検知されたユーザの位置情報とジオフェンスへの進入情報とをサーバ装置200に送信する。また、送信部134は、ユーザがジオフェンスから退出した場合に、検知部133により検知されたユーザの位置情報とジオフェンスからの退出フラグをサーバ装置に送信する。端末装置100は、設定されたジオフェンスにユーザが出入りするごとに、ユーザの位置情報を取得してサーバ装置200に送信することで、ユーザの行動を高精度、かつ高頻度に取得することを実現する。
【0134】
このようにして、端末装置100は、予測されたユーザの行動に基づいて、適切にジオフェンスを設定し、かつユーザがジオフェンスに出入りするたびに検知された検知情報を都度サーバ装置200に送信する。これにより、端末装置100は、
図15の(4)に示すようにユーザの行動をリアルタイムに通知することを実現する。
【0135】
また、端末装置100の取得部131は、店舗ポリゴンに対応付く店舗情報をサーバ装置200から取得する。そして、出力部135は、店舗情報をユーザに対して出力する。このように、端末装置100は、対象の店舗にジオフェンスを設定する際に都度店舗ポリゴンをサーバ装置200から取得することにより、適切な店舗ポリゴンの設定を実現する。そして、端末装置100は、当該店舗に対応付く店舗情報をユーザに提供することで、店舗のマーケティング支援等を可能とする。
【0136】
また、端末装置100の取得部131は、設定されたジオフェンスに含まれる所定の施設の店舗エリアを、サーバ装置200から取得する。検知部133は、店舗エリアへのユーザの出入りを検知する。そして、出力部135は、検知部133によりユーザの店舗エリアへの進入が検知された場合、ユーザに対して所定の店舗に関する広告を出力する。端末装置100は、店舗ポリゴンと一緒にまたは別々に店舗エリアを対象の店舗に設定することで、予測されたユーザの行動に応じて、ユーザが来訪する予定のある、または来訪した店舗の広告情報を、適切、適時にユーザに対して表示することができる。そのため、端末装置100は、ユーザに親和性の高い広告の表示を実現する。
【0137】
さらに、
図16に示すように、本実施形態に係る位置情報取得システム1の管理者等は、収集されたユーザの行動情報を整備統合して予測を行うことで、更なるユーザの行動予測、データ分析、広告配信、ユーザアシスト等に活用をすることができる。
【0138】
具体的には、端末装置100は、ユーザの行動を適切に把握し、ユーザの位置情報等の行動情報を収集し、収集したデータをサーバ装置200等に格納する。サーバ装置200は、端末装置100により収集されたユーザの位置情報や行動履歴等の検知情報、予約情報、ユーザの検索情報、または広告主店舗等を含む店舗情報等をそれぞれ対応付けてユーザコンテキストとして統合する。そして、サーバ装置200は、統合されたユーザコンテキスト、イベント、スケジュール、気候、購買情報等の情報に基づいて、ユーザの行動予測モデルを生成する。
【0139】
したがって、端末装置100およびサーバ装置200は、ユーザの行動をより適切に予測、マーケティング等のデータ分析、広告配信、ユーザアシスト等に活用することで、ユーザにとってより利便性の高いサービスを実現する。加えて、端末装置100およびサーバ装置200は、上述したように予約データのような顕在的な行動予知データや、検索やコミュニケーション過程などの潜在的な行動予知データを用いて学習モデルに基づき、来店候補の店舗等のユーザの行動を予測する。このように、端末装置100およびサーバ装置200によりよそくされたユーザの行動予測データは、販促通知等にも用いることができる。
【0140】
〔5.ハードウェア構成〕
前述した、実施形態に係る端末装置100は、例えば
図17に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図17は、端末装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0141】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが記憶される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。
【0142】
出力I/F1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0143】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0144】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNWを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNWを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0145】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0146】
例えば、コンピュータ1000が端末装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、端末装置100の制御部130の機能を実現する。
【0147】
〔6.その他〕
以上、本実施形態の詳細を説明したが、前述してきた内容により本実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0148】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0149】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0150】
また、前述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能であり、「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0151】
1 位置情報取得システム
100 端末装置
110,210 通信部
120,220 記憶部
121,221 ユーザコンテキストDB
122 ジオフェンスDB
123,222 店舗情報DB
124,223 検知情報DB
130,230 制御部
131 取得部
132 設定部
133 検知部
134,232 送信部
135 出力部
200 サーバ装置
231 受付部
1000 コンピュータ
1010 出力装置
1020 入力装置
1030 演算装置
1040 一次記憶装置
1050 二次記憶装置
1060 出力I/F
1070 入力I/F
1080 ネットワークI/F
1090 バス
NW ネットワーク