(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012822
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】テラゾー構造物及びテラゾー構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20250117BHJP
B28B 11/08 20060101ALI20250117BHJP
C04B 20/00 20060101ALI20250117BHJP
C04B 14/06 20060101ALI20250117BHJP
C04B 18/165 20230101ALI20250117BHJP
E04F 15/08 20060101ALI20250117BHJP
E01C 5/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C04B28/02
B28B11/08
C04B20/00 B
C04B14/06 Z
C04B18/165
E04F15/08 A
E01C5/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115949
(22)【出願日】2023-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】314004233
【氏名又は名称】翔飛工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利郎
【テーマコード(参考)】
2D051
2E220
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
2D051AF07
2D051DA01
2D051DC09
2E220AA26
2E220AA45
2E220AB10
2E220BB14
2E220EA02
2E220EA03
2E220FA01
2E220GA01X
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2E220GA35X
2E220GB13X
2E220GB14X
2E220GB22X
2E220GB25X
2E220GB26X
2E220GB28X
4G055AA01
4G055AC03
4G055BA87
4G112PA04
4G112PA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】十分な機械的強度と保水性とを有し、重量車が往来する床面や駐車場に適用することが可能なテラゾー構造物及びテラゾー構造物製造方法を提供する。
【解決手段】全テラゾー構造物に対して10重量%-30重量%のセメントと、砂又は瓦の粉砕物であって、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して25重量%-55重量%のつなぎ材と、瓦又はレンガの破砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、小石又は陶器の粉砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、を備えるテラゾー構造物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全テラゾー構造物に対して10重量%-30重量%のセメントと、
砂又は瓦の粉砕物であって、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して25重量%-55重量%のつなぎ材と、
瓦又はレンガの破砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、
小石又は陶器の粉砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、
を備えるテラゾー構造物。
【請求項2】
前記第一の骨材と前記第二の骨材との混合比率は、重量比で、1:0.0-4.0の範囲内である、
請求項1に記載のテラゾー構造物。
【請求項3】
前記つなぎ材と、前記第一の骨材と前記第二の骨材の合計の総骨材との混合比率は、重量比で、1:0.2-3.0の範囲内である、
請求項1又は2に記載のテラゾー構造物。
【請求項4】
全添加物に対して10重量%-30重量%のセメントと、
砂又は瓦の粉砕物であって、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内であり、全添加物に対して25重量%-55重量%のつなぎ材と、
瓦又はレンガの破砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全添加物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、
小石又は陶器の粉砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全添加物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、
を添加した添加物に水を添加して、混合した混合物を、所定の場所に充填して、養生して、混合物を硬化させた後に、混合物の表面を研磨して、テラゾー構造物とする、
テラゾー構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラゾー構造物及びテラゾー構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テラゾーは、大理石,花崗岩等の砕石よりなる骨材をセメントペーストと練り混ぜて硬化させ、表面を研磨し、骨材を研ぎ出して作られる人工石の一種である。表面が美しいため、建造物のロビー、ホール、廊下、学校の床、商店街、地下街の買い物フロアー、駅構内のコンコース等に使用されている。
【0003】
テラゾーには、施工現場で作業者が、テラゾーの原材料の骨材とセメントペーストの混合物を施工箇所に塗り込み、研ぎ出しをする現場テラゾーと、工場で製造される工場テラゾー(いわゆるテラゾータイル)とが存在する。
【0004】
現場テラゾーでは、砕石とセメントペーストとを練り混ぜた混合物を床や壁などの施工箇所に打ち込み、硬化させた後に、表面を研磨し、骨材を研ぎ出して、テラゾー構造物に仕上げる。
【0005】
一方、工場テラゾーでは、上述の混合物を、所定の型枠に入れて、圧縮して形を整えて、硬化させた後、型枠から取り出して、裏面を研磨し、砕石を研ぎ出して、テラゾータイルに仕上げる。
【0006】
現場テラゾーでも工場テラゾーでも、路面に敷設して使用すると、雨等で路面が濡れた場合に、歩行時に滑り易くなるという課題があった。そのため、テラゾーは、室内、屋内の床面、又は屋根で覆われた場所の路面等に敷設されることはあっても、雨天時に雨で濡れる屋外の路面には、敷設されていないのが現状であった。
【0007】
このような課題を解決するために、特開2005-139822号公報(特許文献1)には、吸水性を有する骨材を含有するテラゾータイルが開示されている。骨材は、例えば、瓦の廃材である。このようなテラゾータイルを路面等に敷設して使用した場合には、雨の日等においても、テラゾータイルに含有される骨材に水分が吸収されるため、テラゾータイルの表面に残存する水分量が減少し、その結果、テラゾータイル表面の歩行時等における滑りが好適に防止されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、テラゾーは、機械的強度が不足という課題があり、自動車や大型車などの重量車が往来する床面や駐車場に敷設した場合、テラゾーが、重量車の重量に耐えることが出来ず、ひび割れたり、破損したりするという課題がある。そのため、現状のテラゾーは、重量車が往来する床面や駐車場に敷設されていないか、敷設されても、破損する状態である。更に、テラゾーには、所定の保水性(吸水性、透水性等)が必要とされており、テラゾーが保水性を有することで、上述のように、テラゾーが雨水を吸収して、重量車の滑りを防止することが出来る。
【0010】
ここで、特許文献1に記載の技術では、テラゾータイルに含有される骨材の吸収性に着目しているものの、テラゾータイルの機械的強度について不明である。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、十分な機械的強度と保水性とを有し、重量車が往来する床面や駐車場に適用することが可能なテラゾー構造物及びテラゾー構造物製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るテラゾー構造物は、全テラゾー構造物に対して10重量%-30重量%のセメントと、砂又は瓦の粉砕物であって、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して25重量%-55重量%のつなぎ材と、瓦又はレンガの破砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、小石又は陶器の粉砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全テラゾー構造物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、を備える。
【0013】
本発明に係るテラゾー構造物製造方法は、全添加物に対して10重量%-30重量%のセメントと、砂又は瓦の粉砕物であって、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内であり、全添加物に対して25重量%-55重量%のつなぎ材と、瓦又はレンガの破砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全添加物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、小石又は陶器の粉砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全添加物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、を添加した添加物に水を添加して、混合した混合物を、所定の場所に充填して、養生して、混合物を硬化させた後に、混合物の表面を研磨して、テラゾー構造物とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、十分な機械的強度と保水性とを有し、重量車が往来する床面や駐車場に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るテラゾー構造物の各成分と製造後のテラゾー構造物の概念図である。
【
図2】実施例1-3と比較例1-3の成分と濃度と性能評価の結果である。
【
図3】実施例4-10の成分と濃度と性能評価の結果である。
【
図4】つなぎ材を含有しない従来のテラゾー構造物をタイル状に敷設した場合の破損部分を示す写真である。
【
図5】本発明のテラゾー構造物をタイル状に敷設した場合の破損部分が無い状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0017】
本発明者は、長年、テラゾー構造物について鋭意研究しており、下記の成分を構成することで、驚くべきことに、セメントと、つなぎ材と、吸水性の良い第一の骨材と、吸水性の無い第二の骨材との微妙なバランスにより、機械的強度を引き出し、保水性を向上させることを発見し、後述する実施例に基づいて、本発明を完成させたのである。
【0018】
即ち、本発明に係るテラゾー構造物は、
図1に示すように、全テラゾー構造物に対して10重量%-25重量%の範囲内のセメントと、平均粒子径が0.1mm-3mmの範囲内であって、砂又は瓦の粉砕物であり、全テラゾー構造物に対して25重量%-55重量%の範囲内のつなぎ材と、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であって、瓦又は煉瓦の粉砕物であり、全テラゾー構造物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であって、小石又は陶器の粉砕物であり、全テラゾー構造物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、を備える。これにより、十分な機械的強度と保水性とを有し、重量車が往来する床面や駐車場に適用することが可能となる。
【0019】
即ち、従来のテラゾー構造物やテラゾータイルでは、セメントと、吸水性の有無に関係の無い骨材の2種類が主な構成要素となっていたが、このような構成要素では、相互の材質もサイズも異なるため、機械的強度が劣るという課題がある。又、骨材の種類によっては、保水性が無かったり、保水性が不十分であったりする課題がある。
【0020】
本発明では、セメントと骨材に加えて、セメントと骨材のサイズの中間的なサイズのつなぎ材を添加することで、セメントと骨材を適切に相溶させ、機械的強度が向上させることが出来る。
【0021】
更に、本発明では、第一の骨材として、吸水性の良い材質の瓦の破砕物や煉瓦の破砕物を採用し、第二の骨材として、吸水性の悪い材質の小石や陶器の破砕物を採用している。吸水性の良い第一の骨材を採用することで、テラゾー構造物の保水性を向上させ、床面や駐車場の補装に採用した際に、雨などの水たまりを出来にくくし、重量車のスリップ等を防止することが可能となる。吸水性の悪い第二の骨材を採用することで、テラゾー構造物の機械的強度を向上させ、重量物に対する抵抗を強化することが可能となる。
【0022】
又、骨材の種類を変えることで、テラゾー構造物の美的なデザインを多種多様に変更することが出来るため、テラゾー構造物の美的価値を向上させることが出来る。
【0023】
ここで、セメントに特に限定は無いが、例えば、普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、高炉スラグやフライアッシュ等の混合物を含有する混合セメント等を挙げることが出来る。
【0024】
又、セメントの濃度は、全テラゾー構造物に対して10重量%-30重量%の範囲内であると好ましく、全テラゾー構造物に対して16重量%-25重量%の範囲内であると更に好ましい。
【0025】
又、つなぎ材は、砂又は瓦の粉砕物であれば、特に限定は無いが、つなぎ材が砂の場合は、例えば、山砂、川砂、珪砂等を挙げることが出来る。又、つなぎ材が瓦の粉砕物の場合は、例えば、廃材として回収した瓦を粉砕した粉砕物等を挙げることが出来る。つなぎ材は、吸水性に関係無く、セメントと骨材のサイズの中間的なサイズであれば、セメントと骨材を強固に密着させることが出来る。
【0026】
又、つなぎ材の平均粒子径は、0.1mm-3.0mmの範囲内であると好ましく、1.0mm-3.0mmの範囲内であると更に好ましい。
【0027】
又、つなぎ材の濃度は、全テラゾー構造物に対して25重量%-55重量%の範囲内であると好ましく、全テラゾー構造物に対して30重量%-45重量%の範囲内であると更に好ましい。
【0028】
又、第一の骨材は、吸水性を有する材質であって、瓦又は煉瓦であれば、特に限定は無いが、第一の骨材が瓦の場合は、例えば、つなぎ材と同様に、廃材として回収した瓦を破砕した破砕物等を挙げることが出来る。又、第一の骨材が煉瓦の場合は、例えば、廃材として回収した煉瓦を破砕した破砕物等を挙げることが出来る。第一の骨材は、吸水性を有する貝殻等であっても構わない。
【0029】
又、第一の骨材の平均粒子径は、3.0mm-50.0mmの範囲内であると好ましく、3.0mm-30.0mmの範囲内であると更に好ましい。
【0030】
又、第一の骨材の濃度は、全テラゾー構造物に対して5重量%-45重量%の範囲内であると好ましく、全テラゾー構造物に対して10重量%-40重量%の範囲内であると更に好ましい。
【0031】
又、第二の骨材は、吸水性を有さない材質であって、小石又は陶器の破砕物であれば、特に限定は無いが、第二の骨材が小石の場合は、例えば、山小石、川小石、人造大理石を破砕した破砕物等を挙げることが出来る。又、第二の骨材が陶器の破砕物であれば、例えば、廃材として回収した陶器を破砕した破砕物等を挙げることが出来る。第二の骨材は、吸水性を有さないガラス等であっても構わない。
【0032】
又、第二の骨材の平均粒子径は、3.0mm-50.0mmの範囲内であると好ましく、3.0mm-30.0mmの範囲内であると更に好ましい。
【0033】
又、第二の骨材の濃度は、全テラゾー構造物に対して0重量%-20重量%の範囲内であると好ましく、全テラゾー構造物に対して0重量%-10重量%の範囲内であると更に好ましい。
【0034】
又、第一の骨材と第二の骨材との混合比率は、重量比(重量の濃度比)で、1:0.0-4.0の範囲内であると好ましく、1:0.0-3.0の範囲内であると更に好ましく、1:0.0-2.0の範囲内であると更に好ましい。特に、第一の骨材の混合比率が高いと、テラゾー構造物全体の保水性が向上する。
【0035】
又、つなぎ材と、第一の骨材と第二の骨材の合計の総骨材(重量の総濃度)との混合比率は、重量比(重量の濃度比)で、1:0.2-3.0の範囲内であると好ましく、1:0.6-2.5の範囲内であると更に好ましく、1:0.6-2.0の範囲内であると更に好ましい。
【0036】
又、セメントと、第一の骨材と第二の骨材の合計の総骨材(重量の総濃度)との混合比率は、重量比(重量の濃度比)で、1:0.5-3.0の範囲内であると好ましく、1:1.0-2.5の範囲内であると更に好ましく、1:1.6-2.0の範囲内であると更に好ましい。
【0037】
又、テラゾー構造物に所定の色合いを付与するために、適宜、色粉を添加しても良い。又、セメントを効率的に硬化させるために、適宜、減水剤を添加しても良い。又、セメントとの混和性を向上させるために、適宜、混和剤を添加しても構わない。
【0038】
又、本発明に係るテラゾー構造物の製造方法に、特に限定は無く、例えば、上述のテラゾー構造物の各成分を各濃度で混合して養生させる方法を挙げることが出来る。
【0039】
具体的には、本発明に係るテラゾー構造物の製造方法は、全添加物に対して10重量%-30重量%のセメントと、砂又は瓦の粉砕物であって、平均粒子径が0.1mm-3mmの範囲内であり、全添加物に対して25重量%-55重量%のつなぎ材と、瓦又はレンガの破砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全添加物に対して5重量%-45重量%の第一の骨材と、小石又は陶器の粉砕物であって、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内であり、全添加物に対して0重量%-20重量%の第二の骨材と、を添加した添加物に水を添加して、混合した混合物を、テラゾー構造物を敷設したい所定の場所に充填して、養生して、混合物を硬化させた後に、混合物の表面を研磨して、テラゾー構造物とする。
【0040】
ここで、研磨後のテラゾー構造物の表面に、ショットブラスト処理等を施すことで、テラゾー構造物の表面に凹凸を設け、滑り止め機能を付与しても良い。
【0041】
本発明に係るテラゾー構造物は、現場施工による現場テラゾーでも、タイル製造による工場テラゾーでも適用することが出来る。
【実施例0042】
以下に、本発明における実施例、比較例等を具体的に説明するが、本発明の適用が本実施例などに限定されるものではない。
(テラゾー構造物の製造)
【0043】
図2-
図3に示すように、各成分を配合して、実施例1-11と比較例1-3のテラゾー構造物を製造した。表中の数値は、重量の濃度(重量%)を示す。
(実施例1)
【0044】
図1に示すように、セメントの濃度を18.9重量%とし、つなぎ材として、平均粒子径が0.1mm-3mmの範囲内の砂を用いて、その濃度を38.8重量%とし、第一の骨材として、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の瓦の破砕物を用いて、その濃度を26.9重量%とし、第二の骨材として、平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の小石を用いて、その濃度を15.4重量%とし、所定の容器に入れ、水を適度に添加し、混合して、混合物を作り、所定の型枠に充填して、養生して、水を除去し、テラゾー構造物を実施例1として製造した。
(実施例2)
【0045】
実施例1において、つなぎ材を砂から、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内の瓦の粉砕物に代え、第一の骨材を瓦の破砕物から平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の煉瓦の破砕物に代え、第二の骨材を小石から平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の陶器の破砕物に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例2とした。
(実施例3)
【0046】
実施例1において、つなぎ材を砂から、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内の瓦の粉砕物に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例3とした。
(比較例1)
【0047】
実施例1において、つなぎ材を無くし、第一の骨材の濃度を26.9重量%から46.9重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から34.2重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを比較例1とした。
(比較例2)
【0048】
実施例1において、つなぎ材を無くし、セメントの濃度を18.9重量%から40.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から50.0重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から10.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを比較例2とした。
(比較例3)
【0049】
実施例1において、つなぎ材を無くし、セメントの濃度を18.9重量%から30.0重量%に代え、第一の骨材を瓦の破砕物から平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の煉瓦の破砕物に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から30.0重量%に代え、第二の骨材を小石から平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の陶器の破砕物に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から40.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを比較例3とした。
(実施例4)
【0050】
図3に示すように、実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から24.0重量%に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から45.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から25.0重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から6.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例4とした。
(実施例5)
【0051】
実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から25.0重量%に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から25.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から30.0重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から20.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例5とした。
(実施例6)
【0052】
実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から15.0重量%に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から55.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から20.0重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から10.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例6とした。
(実施例7)
【0053】
実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から29.0重量%に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から45.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から6.0重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から20.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例7とした。
(実施例8)
【0054】
実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から20.0重量%に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から35.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から45.0重量%に代え、第二の骨材を無くしたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例8とした。
(実施例9)
【0055】
実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から20.0重量%に代え、つなぎ材を砂から、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内の瓦の粉砕物に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から40.0重量%に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から30.0重量%に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から10.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例9とした。
(実施例10)
【0056】
実施例1において、セメントの濃度を18.9重量%から20.0重量%に代え、つなぎ材を砂から、平均粒子径が0.1mm-3.0mmの範囲内の瓦の粉砕物に代え、つなぎ材の濃度を38.8重量%から40.0重量%に代え、第一の骨材を瓦の破砕物から平均粒子径が3.0mm-50.0mmの範囲内の煉瓦の破砕物に代え、第一の骨材の濃度を26.9重量%から30.0重量%に代え、第二の骨材を小石から陶器の破砕物に代え、第二の骨材の濃度を15.4重量%から10.0重量%に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でテラゾー構造物を製造し、それを実施例10とした。
(評価方法)
【0057】
次に、製造後のテラゾー構造物の性能評価を行った。性能評価の項目は、(1)機械的強度と、(2)保水性とである。
(1)機械的強度
【0058】
機械的強度は、硬化前のテラゾー構造物を円柱状の枠体に充填し、円柱状のテラゾー構造物の供試体とし、供試体が破損するまで供試体を圧縮して、破損時の強度(N/mm2)を測定することで、機械的強度を測定した。
【0059】
評価条件は、スランプを15.5cmとし、スランプフローを29.0cm×28.0cmとし、空気量を6.0%とした。テラゾー構造物の機械的強度が十分か否かを、下記の評価基準に従って評価した。「〇」の評価が製品として合格である。
(基準)
【0060】
○:機械的強度が18N/mm2以上であれば、重量車にも耐える機械的強度である。
×:機械的強度が18N/mm2未満であれば、重量車に耐えることが出来ない機械的強度である。
(2)保水性
【0061】
保水性は、下記の手順で測定した。先ず、製造したテラゾー構造物を乾燥させて、乾燥後のテラゾー構造物の重量(kg)を乾燥重量として測定した。次に、乾燥後のテラゾー構造物を水に24時間浸漬した。その後、テラゾー構造物を水から取り出して、密閉した空間に30分間放置し、放置後のテラゾー構造物の重量(kg)を保水重量として測定した。そして、保水率(%)は、{保水重量(kg)-乾燥重量(kg)}/乾燥重量(kg)*100から算出した。
【0062】
評価条件は、テラゾー構造物の保水率が十分か否かを、下記の評価基準に従って評価した。「〇」の評価が製品としての合格である。
(基準)
【0063】
〇:保水率が10%以上であれば、重量車が滑らない保水性である。
×:保水率が10%未満であれば、重量車が滑る保水性である。
(評価結果)
【0064】
図2に示すように、つなぎ材が無い比較例1-3では、機械的強度の評価結果も保水性の評価結果も「×」であった。このように、比較例1-3の評価結果では、機械的強度も保水性も担保されておらず、「×」が存在するため、製品として不合格であった。
【0065】
一方、つなぎ材を含有した実施例1-3では、機械的強度の評価結果が「〇」であり、且つ、保水性の評価結果が「〇」であり、製品として合格であった。
【0066】
又、
図3に示すように、セメントの濃度を変更したり、つなぎ材の濃度を変更したり、第一の骨材の濃度を変更したり、第二の骨材の濃度を変更したりした実施例4-10では、機械的強度の評価結果が「〇」であり、製品として合格であった。
【0067】
尚、つなぎ材が無い従来のテラゾー構造物について、
図4に示すように、重量車が往来する駐車場にテラゾー構造物をタイル状に敷設した場合、重量車の重さに耐えられず、タイルの端部が破損していることが分かる。
【0068】
一方、本発明(実施例1)のテラゾー構造物について、
図5に示すように、重量車が往来する駐車場にテラゾー構造物をタイル状に敷設した場合、重量車の重さに十分に耐えることが可能であった。
図5では、バスのような重量車が往来しているが、テラゾー構造物が破損することなく維持されている。又、テラゾー構造物に保水性があるため、雨天の日であっても、重量車が問題なく往来することが出来た。
以上のように、本発明に係るテラゾー構造物及びテラゾー構造物の製造方法は、重量車が往来する床面や駐車場はもちろん、機械的強度を必要とするあらゆる建築物に有用であり、十分な機械的強度と保水性とを有し、重量車が往来する床面や駐車場に適用することが可能なテラゾー構造物及びテラゾー構造物の製造方法として有効である。