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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012824
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20250117BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20250117BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B60H1/34 611Z
B60H1/34 611B
F24F13/15 A
F24F13/14 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115951
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】榎園 貴史
(72)【発明者】
【氏名】西原 重臣
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081HB02
3L211BA01
3L211BA51
3L211BA57
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、風向性能と外観性とを両立できる風向調整装置を提供する。
【解決手段】風向調整装置1は、断面が長手方向と短手方向とを有する通気路5を内部に備えるケース体3と、長手方向に沿って回動軸線を有して回動可能に通気路5に配置される、外側面が円筒面状の回動体20と、長手方向に沿って回動軸線を有し、回動体20の回動と連動して回動体20の回動方向と反対方向に回動可能に通気路5に配置されるフィン21と、を備え、通気路5において、回動体20とフィン21との外側面に沿って配風する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が長手方向と短手方向とを有する通気路を内部に備えるケース体と、
前記長手方向に沿って回動軸線を有して回動可能に前記通気路に配置される、外側面が円筒面状の回動体と、
前記長手方向に沿って回動軸線を有し、前記回動体の回動と連動して前記回動体の回動方向と反対方向に回動可能に前記通気路に配置されるフィンと、を備え、
前記通気路において、前記回動体と前記フィンとの外側面に沿って配風する
ことを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
フィンは、通気路において回動体に対し通気方向の上流側に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項3】
ケース体は、
通気路を通気方向の上流側から下流側へと断面の短手方向に拡大させる拡張部と、
この拡張部よりも前記通気路の通気方向の下流側に位置して前記通気路を通気方向の上流側から下流側へと断面の短手方向に縮小させる縮小部と、を有し、
回動体は、前記通気路の通気方向において、前記拡張部と前記縮小部との間に位置して配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項4】
回動体とフィンとを連結する連結部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面が長手方向と短手方向とを有する通気路を備える風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に用いられる空調装置において、吹き出す風向を調整する風向調整装置がある。風向調整装置は、空調風吹出装置、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、例えばインストルメントパネルやセンタコンソール部などの車両の各部に設置されて、冷暖房による快適性能の向上に寄与している。
【0003】
このような風向調整装置において、小型で限られたスペースでも風向調整を行えるように、横長の吹出口に四角形枠状のバレルを回動可能に配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-70399号公報 (第5-8頁、図1-2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成では、バレルが四角形枠状であることから、造形的にシャープな外観の印象が得られにくい。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、風向性能と外観性とを両立できる風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の風向調整装置は、断面が長手方向と短手方向とを有する通気路を内部に備えるケース体と、前記長手方向に沿って回動軸線を有して回動可能に前記通気路に配置される、外側面が円筒面状の回動体と、前記長手方向に沿って回動軸線を有し、前記回動体の回動と連動して前記回動体の回動方向と反対方向に回動可能に前記通気路に配置されるフィンと、を備え、前記通気路において、前記回動体と前記フィンとの外側面に沿って配風するものである。
【0008】
請求項2記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、フィンは、通気路において回動体に対し通気方向の上流側に位置するものである。
【0009】
請求項3記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、ケース体は、通気路を通気方向の上流側から下流側へと断面の短手方向に拡大させる拡張部と、この拡張部よりも前記通気路の通気方向の下流側に位置して前記通気路を通気方向の上流側から下流側へと断面の短手方向に縮小させる縮小部と、を有し、回動体は、前記通気路の通気方向において、前記拡張部と前記縮小部との間に位置して配置されているものである。
【0010】
請求項4記載の風向調整装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の風向調整装置において、回動体とフィンとを連結する連結部を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の風向調整装置によれば、回動体とフィンとを用いる、限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、回動体とフィンとが互いに反対方向へ回動するように連動することによって風向性能を確保できるとともに、目立ちにくい構成であり、外観性を確保できるので、これら風向性能と外観性とを両立できる。
【0012】
請求項2記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、使用者側から見える回動体の外側面が円筒面状であることから、回動体の回動により空調風をいずれの方向に配風したとしても外観が変化したように見えないので、使用者からの見え方を変えることなく風向を制御できる。
【0013】
請求項3記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、拡張部によって通気路を断面の短手方向に拡大して回動体を配置するスペースを確保できるとともに、縮小部によって見栄えをスリムにすることができ、かつ、回動体の外側面に沿って流れる空調風が縮小部による傾斜に沿って吹き出すので、配風性能を高めることができる。
【0014】
請求項4記載の風向調整装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の風向調整装置の効果に加えて、回動体の回動とフィンの回動とを連結部によって容易に反対方向に連動させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態の風向調整装置を示す断面図であり、(a)は中立状態を示し、(b)は風向を一方に振った状態を示す。
図2】同上風向調整装置の分解斜視図である。
図3】同上風向調整装置の斜視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態の風向調整装置の風向を一方に振った状態を示す断面図である。
図5】同上風向調整装置の分解斜視図である。
図6】本発明の第3の実施の形態の風向調整装置の一部を示す分解斜視図である。
図7】本発明の第4の実施の形態の風向調整装置の一部を示す分解斜視図である。
図8】本発明の第5の実施の形態の風向調整装置の一部を示す分解斜視図である。
図9】本発明の第6の実施の形態の風向調整装置の風向を一方に振った状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図2及び図3において、1は風向調整装置である。風向調整装置1は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、空調装置などからの風の吹き出し方向を調整するものである。以下、説明をより明確にするために、風向調整装置1は、風が吹き出す側である風下側を前側、正面側または手前側とし、その反対側、つまり風を受け入れる側である風上側を後側、背後側または奥側として、前側から見て左右方向である両側方向または幅方向、及び、上下方向を規定する。本実施の形態において、風向調整装置1は、自動車などの車両用の空調装置に適用される。風向調整装置1は、任意の位置に配置されていてよいが、図面においては、矢印FR側を前側、矢印RR側を後側、矢印L側を左側、矢印R側を右側、矢印U側を上側、矢印D側を下側とするように配置されているものとする。これらの方向は、あくまで一例として図示されるものであって、風向調整装置1の設置位置や設置向きによって適宜変更されるものとする。
【0018】
風向調整装置1は、ケース体3を備える。ケース体3は、ダクトとも呼ばれる。ケース体3は、筒状に形成されている。本実施の形態において、ケース体3は、前後方向に筒状に形成されている。図示される例では、ケース体3は、角筒状に形成されている。ケース体3により、内部に通気路5が囲まれている。ケース体3の中心軸に平行な方向が通気路5の通気方向である。本実施の形態において、通気路5の通気方向は、前後方向であり、後方から前方に向かって通気される。すなわち、通気路5において、後側は通気方向の上流側、前側は通気方向の下流側である。なお、以下、通気路5における通気方向の上流側を単に上流側、通気方向の下流側を単に下流側と称する。
【0019】
ケース体3は、通気路5の通気方向に所定長を有する。本実施の形態において、ケース体3は、上下方向に扁平であり、左右方向に長手状、つまり横長に形成されている。したがって、風向調整装置1は、横型の薄型に形成されている。すなわち、通気路5の断面は、左右方向に長手方向、上下方向に短手方向を有する、略四角形状である。ケース体3の後端部に、通気路5に空気すなわち空調風を受け入れる受入口6が形成され、ケース体3の前端部に、通気路5から空調風を排出する吹出口7が形成されている。受入口と吹出口7との間にこれらを連通する通気路5が形成されている。受入口6から吹出口7へと空調風が通過する。受入口6及び吹出口7は、それぞれ横長となっている。
【0020】
好ましくは、ケース体3には、通気路5を一定または略一定の形状に区画する筒状部10と、この筒状部10に連なり通気路5を上流側から下流側へと断面の短手方向に拡大させる拡張部11と、この拡張部11に連なり通気路5を一定または略一定の形状に区画する筒状部12と、この筒状部12に連なり通気路5を上流側から下流側へと断面の短手方向に縮小させる縮小部13と、が形成されている。
【0021】
筒状部10は、角筒状に形成されている。筒状部10の上流端が受入口6となっている。筒状部10は、通気路5の通気方向に所定の長さを有する範囲である。
【0022】
拡張部11は、角筒状に形成され、通気路5の通気方向において、筒状部10から筒状部12へと、通気路5の断面の短手方向、本実施の形態では上下方向に拡大するように傾斜されている。
【0023】
筒状部12は、角筒状に形成されている。筒状部12は、通気路5の通気方向に所定の長さを有する範囲である。
【0024】
縮小部13は、角筒状に形成され、筒状部12から通気路5の下流側へと、通気路5の断面の短手方向、本実施の形態では上下方向に縮小するように傾斜されている。つまり、縮小部13は、拡張部11よりも通気路5の下流側に位置する。縮小部13の下流端が吹出口7となっている。
【0025】
ケース体3は、一体的に形成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせて形成されていてもよい。例えば、本実施の形態において、ケース体3は、通気路5の通気方向に分割されており、通気路5の上流側の過半を構成するケース体本体部15と、通気路5の下流端すなわち吹出口7周辺を構成するフィニッシャ16と、を有する。図示される例では、ケース体本体部15が、筒状部10、拡張部11、及び、筒状部12を構成し、フィニッシャ16が縮小部13を構成している。また、図示される例では、ケース体本体部15は、筒状部12の前側を構成する第一本体部15aと、筒状部12の後側、拡張部11、及び、筒状部10の上側を構成する第二本体部15bと、筒状部12の後側、拡張部11、及び、筒状部10の下側を構成する第三本体部15cと、からなる。フィニッシャ16は、風向調整装置1の意匠部分をなしている。フィニッシャ16は、例えば被設置部(インストルメントパネルやセンタコンソールなど)と一体的に形成されていてもよい。
【0026】
図1(a)、図1(b)及び図2に示すように、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、回動体20と、フィン21と、がそれぞれ配置されている。そして、回動体20とフィン21とが、互いに連動してケース体3(通気路5)に対して回動することでその回動に応じて吹出口7から吹き出される空調風の風向を調整する。
【0027】
回動体20は、ドラムなどとも呼ばれる。回動体20は、外側面が円筒面状の外周面である整流面となっている。回動体20は、円柱状でも円筒状でもよい。回動体20は、軸方向に長手状となっており、その中心軸を回動軸線として回動可能に通気路5に配置される。つまり、回動体20は、中心軸に沿って、両端部に回動部23を有する。回動部23は、回動受け部24に回動可能に保持される。回動部23と回動受け部24とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、回動部23が軸部、回動受け部24が丸穴状の穴部または凹部である。
【0028】
また、回動体20は、回動軸線を、通気路5の断面の長手方向、本実施の形態では左右方向に沿わせて配置され、断面の短手方向、つまり上下方向に回動可能となっている。すなわち、回動体20は、回動部23を左右方向に位置させて通気路5内に配置されている。回動体20は、吹出口7に近接して位置し、前側が吹出口7から見える位置にある。回動体20の直径は、吹出口7の短手寸法、本実施の形態では上下寸法よりも大きく設定されている。回動体20は、通気路5において、断面の短手方向、本実施の形態では上下方向の中央部に位置する。本実施の形態では、回動体20は、通気路5の通気方向である前後方向において、ケース体3の拡張部11と縮小部13との間に位置する。図示される例では、回動体20は、吹出口7に対して通気路5の上流側に僅かに離れ、筒状部12内に位置する。
【0029】
フィン21は、風向制御板、プレート、あるいはルーバなどとも呼ばれる。フィン21は、一主面及び他主面が整流面となる板状に形成されている。フィン21は、長手状に形成され、長手方向に回動軸線を有して回動可能に通気路5に配置される。つまり、フィン21は、回動体20と並んで配置され、長手方向の両端部に回動部26を有する。本実施の形態において、フィン21は、一枚設定されている。図示される例では、回動部26は、フィン21の短手方向の中央部に位置する。回動部26は、回動受け部27に回動可能かつスライド可能に保持される。回動部26と回動受け部27とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、回動部26が軸部、回動受け部27が通気路5の通気方向に沿って長穴状の穴部または凹部である。
【0030】
また、フィン21は、回動軸線を、通気路5の断面の長手方向、本実施の形態では左右方向に沿わせて配置され、断面の短手方向、つまり上下方向に回動可能となっている。すなわち、フィン21は、回動部26を左右方向に位置させて通気路5内に配置され、回動部26が回動受け部27において前後方向にスライド可能となっている。フィン21は、回動体20に対して通気路5の上流側に隣接して位置する。本実施の形態では、フィン21は、下流側端が回動体20の外周面に略隙間なく近接している。フィン21は、通気路5の通気方向において、下流側が拡張部11と縮小部13との間に位置し、上流端が筒状部10まで延びている。
【0031】
回動受け部24,27は、それぞれケース体3に形成されていてもよいが、本実施の形態では、ケース体3とは別体の軸受け部29に形成されている。軸受け部29は、スペーサなどとも呼ばれる。軸受け部29は、ケース体3の左右の側壁部と一体でもよいし、ケース体3と別体でもよい。本実施の形態において、軸受け部29は、ケース体3とは別体であり、通気路5内においてケース体3の左右の側壁部に近接してそれぞれ配置されている。そして、軸受け部29は、フィン21及び回動体20の長手方向の両端部にそれぞれ設定されている。なお、回動受け部24と回動受け部27とは、必ずしも同一の軸受け部29に形成されている必要はなく、互いに異なる部材に形成されていてもよい。
【0032】
そして、フィン21と回動体20とは、連結部31を介して、互いの回転方向が逆となるように連結されている。連結部31は、フィン21と回動体20とのいずれかと一体的に形成されていてもよいし、フィン21及び回動体20とは別体のリンク体でもよい。本実施の形態では、連結部31は回動体20に形成され、連結部31を受ける連結受け部32がフィン21に形成されている。
【0033】
連結部31は、回動体20からフィン21へと延びて形成されている。本実施の形態では、連結部31は、回動体20の径方向に延びている。連結部31は、回動体20の長手方向の両端部にそれぞれ形成されている。連結部31には、連結受け部32と回動可能に連結される回動部33が形成されている。なお、回動体20は、単数または複数の部材により形成されており、本実施の形態では、例えば中心軸を含む仮想平面により、連結部31を有する部材20aと連結部31を有さない部材20bとに二分割されている。
【0034】
連結受け部32は、フィン21の回動体20に近接するフィン21の下流端側の長手方向の両端部に形成されている。
【0035】
回動部33と連結受け部32とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、回動部33が丸穴状の穴部または凹部、連結受け部32が軸部である。
【0036】
回動体20とフィン21とのいずれか一方は、図示しない操作部を介して乗員などの使用者により操作可能となっている。操作部は、ダイヤルなどの手動操作可能なものでもよいし、モータなどのアクチュエータを用いて電動などにより操作可能なものでもよい。
【0037】
なお、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、単数または複数の他のフィン35が配置されていてもよい。本実施の形態では、他のフィン35は、フィン21よりも通気路5の上流側に位置する上流側フィンである。例えば、他のフィン35は、筒状部10内に位置する。他のフィン35は、一主面及び他主面が整流面となる板状に形成されている。他のフィン35は、前後方向に長手状に形成され、短手方向に回動軸線を有して回動可能に通気路5に配置される。他のフィン35は、フィン21の回動方向に対して交差または直交する方向、本実施の形態では通気路5の断面の長手方向である左右方向に回動可能に配置されている。つまり、他のフィン35は、上下方向に回動軸線を有して左右方向に回動可能なものが用いられる。
【0038】
図示される例では、他のフィン35は、複数設定されている。他のフィン35は、それぞれ回動部36とリンク部37とを備え、回動部36が回動受け部に回動可能に保持されているとともに、リンク部37がリンク受け部38に回動可能に保持されている。そして、リンク受け部38がリンク39に形成され、リンク39によって他のフィン35がそれぞれ連結されて、互いに同方向に連動して回動するようになっている。回動部36と回動受け部とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、回動部36が軸部、回動受け部が穴部または凹部である。同様に、リンク部37とリンク受け部38とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、リンク部37が軸部、リンク受け部38が穴部または凹部である。
【0039】
他のフィン35は、図示しない操作部を介して乗員などの使用者により操作可能となっている。操作部は、ダイヤルなどの手動操作可能なものでもよいし、モータなどのアクチュエータを用いて電動などにより操作可能なものでもよい。
【0040】
さらに、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、ケース体3に対して回動することでその回動に応じて通気路5を開閉するシャットバルブが設けられていてもよい。
【0041】
そして、風向調整装置1は、図1(a)に示す中立(ニュートラル)状態では、空調風が水平状のフィン21の上下の主面から、このフィン21の下流端に近接する回動体20の上下の外周面に沿って流れ、回動体20の外周面と縮小部13の傾斜とにより吹出口7から正面方向に吹き出す。
【0042】
図1(a)に示す中立状態から、操作部により回動体20とフィン21とのいずれか一方、例えば回動体20を上下方向に回動させると、回動体20に形成された連結部31が回動部23を中心として上下に回動する。この連結部31及び連結受け部32を介して回動部26よりも下流側の位置で回動可能に連結されているフィン21は、下流側が連結部31の回動方向へと移動する。そのため、フィン21は、回動受け部27に沿って吹出口7に接近する方向である前側へとスライドする回動部26を中心として、回動体20とは反対方向に回動する。例えば、図1(b)に示す例では、回動体20を時計回り方向に回動させることに連動して、フィン21が反時計回り方向に回動する。この回動により、フィン21の上流端は、ケース体3の内壁に近接し、図示される例では、ケース体3の下側の内壁に近接し、通気路5において、筒状部10から拡張部11の下側に連なる部分を狭く(閉塞)する。そこで、空調風が、フィン21の上側の主面から、このフィン21の下流端に近接する回動体20の上側の外周面に沿って流れ、回動体20の上側の外周面と縮小部13の傾斜とに沿って吹出口7から下方向に吹き出す。このとき、回動体20の外周面の湾曲によるコアンダ効果によって風向の指向性が向上する。
【0043】
なお、回動体20を反時計回り方向に回動させたときの動作は、図1(b)に示す動作と基本的に上下方向が逆になるのみであるから、説明を省略する。
【0044】
また、通気路5の断面の長手方向である左右方向の風向については、操作部により他のフィン35を回動させることで調整される。
【0045】
よって、これらの組み合わせにより、上下左右の任意方向への風向調整が可能となる。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、通気路5に外側面が円筒面状の回動体20とフィン21とを回動可能に配置するとともに、回動体20の回動と連動して回動体20の回動方向と反対方向にフィン21を回動可能とし、通気路5において、回動体20とフィン21との外側面に沿って配風することにより、回動体20とフィン21とを用いる、限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、回動体20とフィン21とが互いに反対方向へ回動するように連動することによって風向性能を確保できるとともに、吹出口7を介して使用者側から目立ちにくい構成であり、外観性を確保できるので、これら風向性能と外観性とを両立できる。
【0047】
また、フィン21を通気路5において回動体20に対し通気方向の上流側に配置することで、吹出口7を介して使用者側からはフィン21が基本的に見えず、使用者側からは回動体20の円筒面状の外周面のみが見えることとなる。回動体20は外周面が円筒面状であることから、回動体20の回動により空調風をいずれの方向に配風したとしても吹出口7からは外観が変化したように見えないので、使用者からの風向調整装置1の見え方を変えることなく風向を制御できる。
【0048】
ケース体3において、通気路5を通気方向の上流側から下流側へと断面の短手方向に拡大させる拡張部11と、拡張部11よりも通気路5の下流側に位置して通気路5を通気方向の上流側から下流側へと断面の短手方向に縮小させる縮小部13と、を形成し、回動体20を、通気路5の通気方向において、拡張部11と縮小部13との間に配置することで、拡張部11によって通気路5を断面の短手方向に拡大して回動体20を配置するスペースを確保できるとともに、縮小部13によって吹出口7側つまり使用者側からの見栄えをスリムにすることができる。また、回動体20の外周面に沿って流れる空調風が縮小部13による傾斜に沿って吹出口7から吹き出すので、配風性能を高めることができる。
【0049】
回動体20とフィン21とを連結部31により連結することで、回動体20の回動とフィン21の回動とを連結部31によって容易に反対方向に連動させることが可能になる。
【0050】
次に、第2の実施の形態について、図4及び図5を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
本実施の形態の風向調整装置1は、他のフィン35が、フィン21よりも通気路5の下流側に位置し、フィン21と回動体20との間にある。
【0052】
他のフィン35は、回動部36が上流端に位置する。また、他のフィン35は、回動体20が挿通される切欠部41を下流端に有する。切欠部41は、他のフィン35の回動範囲において、他のフィン35と回動体20との干渉を避けるためのものである。この切欠部41により、図4に示すように、他のフィン35の下流端が吹出口7近傍にて縮小部13に対向して位置する。
【0053】
さらに、図5に示すように、フィン21の回動体20及び他のフィン35に対向する下流端には、他のフィン35の回動範囲において、他のフィン35とフィン21との干渉を避けるための切欠部43が形成されている。本実施の形態では、他のフィン35が複数あるため、フィン21には、他のフィン35の数に応じて、長手方向に複数の切欠部43が間欠的に並んで形成されている。切欠部43は、通気路5の下流側に向かい通気路5の断面の長手方向である左右方向に徐々に拡大されるように形成されている。
【0054】
そこで、第1の実施の形態と同様に、操作部により回動体20とフィン21とのいずれか一方、例えば回動体20を上下方向に回動させる(図4に示す例では回動体20を反時計回り方向に回動させる)と、回動体20に形成された連結部31が回動部23を中心として上下に回動する。この連結部31及び連結受け部32を介して回動部26よりも下流側の位置で回動可能に連結されているフィン21は、下流側が連結部31の回動方向へと移動する。そのため、フィン21は、回動受け部27に沿って吹出口7に接近する方向である前側へとスライドする回動部26を中心として、回動体20とは反対方向(図4に示す例では時計回り方向)に回動する。この回動により、フィン21の上流端は、ケース体3の内壁に近接し、通気路5の一部を狭く(閉塞)する。そこで、空調風が、フィン21の上側または下側の主面から、このフィン21の下流端に近接する回動体20の上側または下側の外周面に沿って流れ、回動体20の外周面と縮小部13の傾斜とに沿って吹出口7から上方向または下方向に吹き出す。
【0055】
また、通気路5の断面の長手方向である左右方向の風向については、操作部により他のフィン35を回動させるとことで調整される。他のフィン35は、切欠部41,43によって、回動範囲全体において回動体20及びフィン21と干渉しない。
【0056】
このように、第2の実施の形態によれば、通気路5に外側面が円筒面状の回動体20とフィン21とを回動可能に配置するとともに、回動体20の回動と連動して回動体20の回動方向と反対方向にフィン21を回動可能とし、通気路5において、回動体20とフィン21との外側面に沿って配風するなど、第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、風向性能と外観性とを両立できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、他のフィン35に切欠部41を形成し、フィン21に切欠部43を形成して、他のフィン35をフィン21と回動体20との間に配置することにより、回動体2とフィン21と他のフィン35との配置を密集させて、ケース体3を通気路5の通気方向に短くすることができ、風向調整装置1をコンパクトに構成できて、より省スペースで配置可能となる。
【0058】
なお、各実施の形態において、連結部31は、回動体20から延出されるものに限らず、フィン21から延出されるものでもよい。例えば、図6に示す第3の実施の形態のように、連結部31がフィン21の長手方向の端部から回動体20側に延出され、その先端部寄りに回動部33が形成され、かつ、連結受け部32が回動体20の長手方向の端部に形成された凹部45に配置されている構成としてもよい。また、図7に示す第4の実施の形態のように、連結部31の回動部33を軸部、連結受け部32を凹部としてもよい。さらに、連結部31は、回動体20またはフィン21の長手方向の端部に形成されているものに限らず、例えば図8に示す第5の実施の形態のように、中央部付近に形成されていてもよい。この例では、回動体20のフィン21と対向する側に、連結部31との干渉を避けるための凹部47が左右に離れて形成され、これら凹部47の側面に連結受け部32が形成されている。これらの実施の形態においても、通気路5に外側面が円筒面状の回動体20とフィン21とを回動可能に配置するとともに、回動体20の回動と連動して回動体20の回動方向と反対方向にフィン21を回動可能とし、通気路5において、回動体20とフィン21との外側面に沿って配風するなど、第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、風向性能と外観性とを両立できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
さらに、フィン21は、回動体20に対して、通気路5の上流側に位置していてもよいし、下流側に位置していてもよい。例えば、図9に示す第6の実施の形態のように、フィン21が、回動体20に対して通気路5の下流側に位置し、回動体20と吹出口7との間にあってもよい。この構成では、吹出口7を介して使用者側からフィン21の少なくとも下流端が見える位置にある。また、ケース体3の縮小部13は、フィン21が回動体20よりも通気路5の上流側にある構成と比較して、通気路5の通気方向に長く、傾斜が緩やかとなっている。回動体20とフィン21とが、通気路5の通気方向において、ケース体3の拡張部11と縮小部13との間に位置する。
【0060】
そして、中立状態から、操作部により回動体20とフィン21とのいずれか一方、例えば回動体20を上下方向に回動させると、回動体20に形成された連結部31が回動部23を中心として上下に回動する。この連結部31及び連結受け部32を介して回動部26よりも上流側の位置で回動可能に連結されているフィン21は、上流側が連結部31の回動方向へと移動する。そのため、フィン21は、回動受け部27に沿って吹出口7から離れる方向である後側へとスライドする回動部26を中心として、回動体20とは反対方向に回動する。図9に示す例では、回動体20を時計回り方向に回動させることに連動して、フィン21が反時計回り方向に回動する。この回動により、フィン21の下流端は、ケース体3の内壁に近接し、図示される例では、ケース体3の上側の内壁に近接し、通気路5において、筒状部12から縮小部13の上側に連なる部分を狭く(閉塞)する。そこで、空調風が、回動体20の下側の外周面から、フィン21の下側の主面に沿って流れ、フィン21の下側の主面と縮小部13の傾斜とに沿って吹出口7から上方向に吹き出す。
【0061】
このように、第6の実施の形態でも、通気路5に外側面が円筒面状の回動体20とフィン21とを回動可能に配置するとともに、回動体20の回動と連動して回動体20の回動方向と反対方向にフィン21を回動可能とし、通気路5において、回動体20とフィン21との外側面に沿って配風するなど、各実施の形態と同様の構成を有することにより、限られたスペースへの設置が可能な構成としつつ、風向性能と外観性とを両立できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
また、回動体20に対してフィン21を通気路5の下流側に配置することで、風向調整機能をより向上させることができる。
【0063】
さらに、各実施の形態において、風向調整装置1は、自動車用のものに限らず、その他の任意の用途に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば自動車の空調用の風向調整装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 風向調整装置
3 ケース体
5 通気路
11 拡張部
13 縮小部
20 回動体
21 フィン
31 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9