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特開2025-128423車載装置、制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025128423
(43)【公開日】2025-09-03
(54)【発明の名称】車載装置、制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20250827BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20250827BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250827BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250827BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20250827BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0968
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118601
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀典
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD39
2F129EE02
2F129EE65
2F129EE67
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF17
2F129FF20
2F129FF57
2F129FF66
2F129FF71
2F129FF73
2F129FF75
2F129GG03
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129GG17
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181LL09
5H181MB01
5H181MB11
5H181MC19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車載装置の外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、サーバからのサービス提供を可能とする車載装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車載装置は、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置であって、外部装置に所定データを送信する通信部と、車載装置の外的環境の状態を評価する評価部202と、評価部202による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定部204と、判定部204により、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理部206とを含み、外的環境は、車載装置と外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果が車載装置に送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置であって、
前記外部装置に所定データを送信する通信部と、
前記車載装置の外的環境の状態を評価する評価部と、
前記評価部による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記第1処理を実行すると判定されたことを受けて、前記所定データに対して前記第1処理を実行する処理部とを含み、
前記外的環境は、前記車載装置と前記外部装置との間の無線通信速度を含み、
前記サービスは、前記外部装置が前記所定データに対して第2処理を実行した結果が前記車載装置に送信されることにより提供され、
前記第1処理は、前記第2処理の少なくとも一部を構成する、車載装置。
【請求項2】
前記第1処理は、前記第2処理と同じ処理である、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記所定データは、前記車両に搭載されたセンサにより検出された画像データ又は動画像データであり、
前記第2処理は、認証処理である、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記第1処理は、前記第2処理の一部を構成し、
前記通信部はさらに、前記処理部により前記所定データに対して前記第1処理が実行された結果を前記外部装置に送信する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記所定データは、前記車両に搭載されたセンサにより検出された画像データ又は動画像データであり、
前記第2処理は、認証処理であり、
前記認証処理は、
前記画像データ又は前記動画像データを加工する画像加工処理と、
前記画像加工処理により得られた画像から対象物の特徴量を抽出する特徴抽出処理と、
前記特徴抽出処理により抽出された特徴量を基準の特徴量と照合する照合処理とを含み、
前記第1処理は、前記画像加工処理、又は、前記画像加工処理及び前記特徴抽出処理である、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記通信部はさらに、前記外部装置から前記第1処理の実行プログラムを受信する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記通信部が前記所定データを前記外部装置に送信し、且つ前記処理部が前記第1処理を実行した後に、前記通信部が前記第2処理の結果を受信したことを受けて、前記処理部は、前記第1処理を終了する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記車両の走行予定経路を特定する経路特定部をさらに含み、
前記評価部は、前記経路特定部により特定された前記走行予定経路における無線通信速度を評価することにより、前記車載装置と前記外部装置との間の前記無線通信速度を評価し、
前記予定経路において前記無線通信速度が所定値以下である経路部分に前記車両が位置していることを受けて、前記判定部は、前記第1処理を実行すると判定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項9】
前記評価部は、道路と、当該道路上における無線通信速度の実績値とを対応させた地図に基づいて、前記走行予定経路における前記無線通信速度を評価する、請求項8に記載の車載装置。
【請求項10】
車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置の制御方法であって、
前記外部装置に所定データを送信する通信ステップと、
前記車載装置の外的環境の状態を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、前記第1処理を実行すると判定されたことを受けて、前記所定データに対して前記第1処理を実行する処理ステップとを含み、
前記外的環境は、前記車載装置と前記外部装置との間の無線通信速度を含み、
前記サービスは、前記外部装置が前記所定データに対して第2処理を実行した結果が前記車載装置に送信されることにより提供され、
前記第1処理は、前記第2処理の少なくとも一部を構成する、制御方法。
【請求項11】
車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受けるコンピュータに、
前記外部装置に所定データを送信する通信機能と、
前記コンピュータの外的環境の状態を評価する評価機能と、
前記評価機能による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能により、前記第1処理を実行すると判定されたことを受けて、前記所定データに対して前記第1処理を実行する処理機能とを実現させ、
前記外的環境は、前記コンピュータと前記外部装置との間の無線通信速度を含み、
前記サービスは、前記外部装置が前記所定データに対して第2処理を実行した結果が前記コンピュータに送信されることにより提供され、
前記第1処理は、前記第2処理の少なくとも一部を構成する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のセンサからのセンサデータをサーバコンピュータ(以下、サーバという)に集約し解析して、運転支援に利用するシステムが普及しつつある。センサデータは、車両に搭載されたセンサ、及び、路側に設けられたインフラストラクチャ設備が備えるセンサ(以下、インフラセンサという)から送信されてくる。そうしたシステムにおいては、車両は無線通信を使って近傍の無線基地局に接続し、その無線基地局を介してサーバと通信を行う。また車両間での直接通信(いわゆる車々間通信)により、ある車両のセンサデータを他の車両に送信したり、ある車両が持つ情報を他の車両に送信したりすることもできる。
【0003】
様々なサービスを無線通信により車両に提供する、いわゆるクラウドサーバも普及しつつある。例えば、いわゆる交通情報の配信、輸送用車両等に関する配車スケジュールの管理、道路近辺の観光及びイベント情報の配信、車両故障診断、並びに、ルート案内等である。クラウドサーバを利用することにより、車両がより安全に交通できるようになる上に車両を活用して有意義な生活ができる。
【0004】
下記特許文献1には、車両に搭載された複数のECU(Electronic Control Unit)により構成される分散処理システムが開示されている。この分散処理システムは、処理負荷の大きいECUが実行中のタスクを、処理負荷の小さいECUに移送して実行させることにより、負荷分散制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-70135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クラウドサーバから車両に提供される様々なサービス(以下、クラウド連携サービスという)は、変動する無線通信を媒介として実現される。クラウド連携サービスが増加すると、各サービスを提供するためのアプリケーション(即ちコンピュータプログラム)も増加し、クラウド連携サービスを提供するためのリソース(例えば、)が逼迫する。そのため、クラウド連携サービスが中断する等の支障が生じ問題がある。クラウド連携サービスを提供するためのリソースには、例えば、無線通信リソース、及び、各サービスを提供するクラウドサーバのリソースがある。これらは、車載装置の外的環境といえる。
【0007】
特許文献1に開示された分散処理システムは、車両内の複数のECUにおいて負荷を分散させるためのものであり、車両外の状況(例えば無線通信の状態)が考慮されていない。即ち、特許文献1に開示された技術によっては、クラウド連携サービスにおける上記の問題を解決できない。
【0008】
したがって、本開示は、車載装置の外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、サーバからのサービス提供を可能とする車載装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に係る車載装置は、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置であって、外部装置に所定データを送信する通信部と、車載装置の外的環境の状態を評価する評価部と、評価部による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定部と、判定部により、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理部とを含み、外的環境は、車載装置と外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果が車載装置に送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。
【0010】
本開示の別の局面に係る制御方法は、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置の制御方法であって、外部装置に所定データを送信する通信ステップと、車載装置の外的環境の状態を評価する評価ステップと、評価ステップによる評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにより、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理ステップとを含み、外的環境は、車載装置と外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果が車載装置に送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。
【0011】
本開示のさらに別の局面に係るコンピュータプログラムは、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受けるコンピュータに、外部装置に所定データを送信する通信機能と、コンピュータの外的環境の状態を評価する評価機能と、評価機能による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定機能と、判定機能により、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理機能とを実現させ、外的環境は、コンピュータと外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果がコンピュータに送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。
【0012】
本発明は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする制御方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、車載装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、車載装置を含むサービス提供システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、車載装置の外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、サーバからのサービス提供を可能とする車載装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の実施形態に係る車載装置の利用形態を示す模式図である。
図2図2は、図1に示した車載装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示した車載ゲートウェイのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、図2に示した機能拡張ECUのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示したサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、車載装置の機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、機能拡張ECUにより実行される処理を示すフローチャートである。
図8図8は、車載ゲートウェイにより実行される処理を示すフローチャートである。
図9図9は、サーバにより実行される処理を示すフローチャートである。
図10図10は、第3変形例に係る車載装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組合せてもよい。
【0016】
(1)本開示の第1の局面に係る車載装置は、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置であって、外部装置に所定データを送信する通信部と、車載装置の外的環境の状態を評価する評価部と、評価部による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定部と、判定部により、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理部とを含み、外的環境は、車載装置と外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果が車載装置に送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。これにより、車載装置の外的環境の状態が悪化した場合には、車載装置が、外部装置(例えばサーバ)がサービスを提供するための処理の少なくとも一部の処理を実行する冗長化システムを実現できる。したがって、車載装置の外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、外部装置からのサービス提供が可能となる。
【0017】
(2)上記(1)において、第1処理は、第2処理と同じ処理であることができる。これにより、車載装置は、第1処理の結果を外部装置に送信する必要がなく、不要な通信を回避できる。
【0018】
(3)上記(2)において、所定データは、車両に搭載されたセンサにより検出された画像データ又は動画像データであり、第2処理は、認証処理であってもよい。これにより、顔認証等により、車両に対する指示(例えばドアの開錠)を実行できる。
【0019】
(4)上記(1)において、第1処理は、第2処理の一部を構成してもよく、通信部はさらに、処理部により所定データに対して第1処理が実行された結果を外部装置に送信してもよい。これにより、車載装置の外的環境の状態が悪化した場合であっても、外部装置は効率的にサービスを提供できる。また、短期的な通信速度の低下に対応できる。即ち、車載装置は、外部装置が行う全ての処理を実行する場合よりも短時間に処理を完了できるので、短時間の間に通信速度の低下が解消するような場合にも、車載装置の処理結果を有効に利用できる。一方、通信速度の低下時に車載装置が、外部装置が行う全ての処理を開始した後、短時間の内に通信速度が良好な状態に戻ると、外部装置から処理結果が車載装置に送信され、車載装置による処理が無駄になる。
【0020】
(5)上記(4)において、所定データは、車両に搭載されたセンサにより検出された画像データ又は動画像データであってもよく、第2処理は、認証処理であり、認証処理は、画像データ又は動画像データを加工する画像加工処理と、画像加工処理により得られた画像から対象物の特徴量を抽出する特徴抽出処理と、特徴抽出処理により抽出された特徴量を基準の特徴量と照合する照合処理とを含んでいてもよく、第1処理は、画像加工処理、又は、画像加工処理及び特徴抽出処理であってもよい。これにより、外部装置は、車載装置から第1処理の結果を受信すれば、照合処理だけを実行すれば、車載装置にサービスを提供でき、車載装置の外的環境の状態が悪化した場合であっても、効率的にサービスを提供できる。特に、外的装置のリソースが逼迫する等により外部装置の顔認証処理の実行速度が低いことが、外的環境の状態が悪い原因である場合にも、外部装置はサービスを提供できる。
【0021】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、通信部はさらに、外部装置から第1処理の実行プログラムを受信してもよい。これにより、車載装置は、外的環境の状態の悪化維持に実行する第1処理を、最新のプログラムを用いて、最適な処理を実行できる。
【0022】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、通信部が所定データを外部装置に送信し、且つ処理部が第1処理を実行した後に、通信部が第2処理の結果を受信したことを受けて、処理部は、第1処理を終了してもよい。これにより、車載装置において、無駄に第1処理が継続されることを回避できる。
【0023】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つにおいて、車両の走行予定経路を特定する経路特定部をさらに含み、評価部は、経路特定部により特定された走行予定経路における無線通信速度を評価することにより、車載装置と外部装置との間の無線通信速度を評価し、予定経路において無線通信速度が所定値以下である経路部分に車両が位置していることを受けて、判定部は、第1処理を実行すると判定してもよい。これにより、車載装置は、車両が予め無線通信速度が低い経路を走行することが分かるので、その経路を走行する前に、第1処理を実行するための準備が可能となり、第1処理をより速やかに実行できる。
【0024】
(9)上記(8)において、評価部は、道路と、当該道路上における無線通信速度の実績値とを対応させた地図に基づいて、走行予定経路における無線通信速度を評価してもよい。これにより、車載装置は、無線通信速度が低い経路を車両が走行する予定であるか否かを容易に判定できる。
【0025】
(10)本開示の第2の局面に係る制御方法は、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受ける車載装置の制御方法であって、外部装置に所定データを送信する通信ステップと、車載装置の外的環境の状態を評価する評価ステップと、評価ステップによる評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにより、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理ステップとを含み、外的環境は、車載装置と外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果が車載装置に送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。これにより、車載装置の外的環境の状態が悪化した場合には、車載装置が、外部装置(例えばサーバ)がサービスを提供するための処理の少なくとも一部の処理を実行する冗長化システムを実現できる。したがって、車載装置の外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、外部装置からのサービス提供が可能となる。
【0026】
(11)本開示の第3の局面に係るコンピュータプログラムは、車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受けるコンピュータに、外部装置に所定データを送信する通信機能と、コンピュータの外的環境の状態を評価する評価機能と、評価機能による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定機能と、判定機能により、第1処理を実行すると判定されたことを受けて、所定データに対して第1処理を実行する処理機能とを実現させ、外的環境は、コンピュータと外部装置との間の無線通信速度を含み、サービスは、外部装置が所定データに対して第2処理を実行した結果がコンピュータに送信されることにより提供され、第1処理は、第2処理の少なくとも一部を構成する。これにより、コンピュータの外的環境の状態が悪化した場合には、コンピュータが、外部装置(例えばサーバ)がサービスを提供するための処理の少なくとも一部の処理を実行する冗長化システムを実現できる。したがって、コンピュータの外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、外部装置からのサービス提供が可能となる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0028】
(全体構成)
図1を参照して、本開示の実施形態に係る車載装置100は、車両102に搭載される。車載装置100は、クラウドサーバであるサーバ104からクラウド連携サービス(以下、単にサービスともいう)の提供を受ける。ここでは、クラウド連携サービスは運転支援サービスであるとする。
【0029】
車載装置100及びサーバ104間の通信は、基地局106を介して行われる。基地局106は、例えば、4G回線及び5G回線等による移動通信サービスを提供している。基地局106はネットワーク108に接続されている。車両102に搭載されている車載装置100は、基地局106がサービスしている通信仕様(4G回線、5G回線等)による通信機能を有している。
【0030】
なお、サーバ104は、路側(即ち、道路(交差点を含む)及びその周辺)に固定して設置されたインフラセンサ(図示せず)からもセンサデータを受信する。インフラセンサは、例えば、イメージセンサ(デジタルの監視カメラ等)、レーダ(ミリ波レーダ等)、又はレーザセンサ(LiDAR(Light Detection and Ranging)等)等である。インフラセンサは、基地局106との通信機能を有しており、取得したセンサデータを基地局106及びネットワーク108を介してサーバ104に送信する。
【0031】
車両102及び歩行者(図示せず)等は、インフラセンサの検出対象である。車両102は後述するようにセンサを搭載している。歩行者は、車両102に搭載されたセンサの検出対象でもある。
【0032】
車両102が搭載しているセンサにより取得されたセンサデータは、基地局106及びネットワーク108を介してサーバ104に送信される。サーバ104は、車両102及びインフラセンサから受信したセンサデータを解析し、例えば動的情報を運転支援情報として車両に搭載された車載装置に送信する。
【0033】
動的情報は、センサ(即ち、インフラセンサ及び車載センサ)により検出された動的物体に関する情報である。動的物体は、移動している物体(例えば、人及び車両等)に限らず、移動機能を有しているが停止している物体をも含む。動的情報は、動的物体自体の情報と、動的物体の変位に関する情報(即ち、位置、移動速度、移動方向及び時間等)とを含み得る。
【0034】
図1には、例示的に1つの基地局106、車載装置100が搭載された1つの車両102を示している。しかしこれは例示に過ぎない。通常、複数の基地局が設けられ、車載装置を搭載した複数台の車両が走行している。車載装置を搭載していない車両が存在してもよい。車載装置を搭載していない車両は、動的物体として検出される。
【0035】
(車載装置のハードウェア構成)
図2を参照して、車両102に搭載されている車載装置100のハードウェア構成の一例を示す。車載装置100は、通信部120、車載ゲートウェイ122、センサ124、自動運転ECU126、ECU128、機能拡張ECU130及びバス132を含む。なお、車載装置100は、自動運転ECU126及び機能拡張ECU130以外に複数のECUを含み、図2にはそれらの代表としてECU128を示している。
【0036】
通信部120は、車両102の外部装置と無線通信(例えば、基地局106を介したサーバ104等との通信)を行う。通信部120は、無線通信において採用されている変調及び多重化を行うためのIC(Integrated Circuit)、所定周波数の電波を送信及び受信するためのアンテナ、並びにRF(Radio Frequency)回路等を含む。通信部120は、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System、全地球衛星測位システム)との通信機能をも有する。通信部120は、Wi-Fi等の通信機能も有していてもよい。
【0037】
車載装置である車載ゲートウェイ122は、車外との通信機能(具体的には通信仕様)と車内における通信機能(通信仕様)とを接合する役割(例えば通信プロトコル変換等)を担う。自動運転ECU126及び機能拡張ECU130の各々は、車載ゲートウェイ122及び通信部120を介して、外部装置と通信できる。運転支援サービスを受ける場合、機能拡張ECU130は、例えば、通信部120を介して外部から受信する情報のうち動的情報等を取得し、運転支援情報を生成し、更新する。運転支援情報は、自動運転ECU126に伝送される。バス132は、車内における通信機能を担い、車載ゲートウェイ122、センサ124、自動運転ECU126、ECU128及び機能拡張ECU130に関して、相互間の通信(即ちデータ交換)は、バス132を介して行われる。バス132には、例えば、CAN(Controller Area Network)が使用される。
【0038】
センサ124は、車両102に搭載され、車両102外部の情報を取得するためのセンサ(ビデオ映像の撮像装置(例えば、デジタルカメラ(CCD(Charge-Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラ))、レーザセンサ(LiDAR)等)、及び、車両自体の情報を取得するためのセンサ(例えば加速度センサ、荷重センサ等)を含む。センサ124は、検知範囲(カメラの場合であれば撮像範囲)内の情報を取得してセンサデータとして出力する。デジタルカメラであれば、デジタルの画像データを出力する。センサ124の検出信号(即ちアナログ又はデジタル信号)は、I/F部(図示せず)を介して、デジタルデータとしてバス132に出力され、自動運転ECU126及び機能拡張ECU130等に送信される。
【0039】
自動運転ECU126は、車両102の走行を制御する。例えば、自動運転ECU126は、センサデータを取得し、それを解析して車両102の周囲の状況を把握し、自動運転に関連する機構(即ち、エンジン、変速機、ステアリング及びブレーキ等の機構)を制御する。自動運転ECU126は、機能拡張ECU130から取得した運転支援情報を自動運転に利用する。
【0040】
機能拡張ECU130は、後述するように、サーバ104から提供されるサービスに関して、車載装置100の外的環境の状態が悪い状況(例えば、無線通信速度が低い状況)においても、サービスが途切れることなく、正常に維持されることを実現するためのものである。即ち、機能拡張ECU130は、車載装置100及びサーバ104により構成される、クラウド連携サービスを提供するためのシステムに冗長性を持たせることにより、車載装置100の外的環境の状態が悪い状況においても、サービスの維持を可能とする。
【0041】
(車載ゲートウェイのハードウェア構成)
図3を参照して、車載ゲートウェイ122は、制御部140及びメモリ142を含む。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されており、メモリ142を制御する。メモリ142は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリであり、制御部140が実行するコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を記憶している。メモリ142は、制御部140が実行するプログラムのワーク領域を提供する。制御部140は処理対象のデータを、通信部120からは直接取得し、通信部120以外からはバス132を介して取得する。制御部140は、通信部120から受信したデータ及びバス132を介して受信したデータを適宜メモリ142に記憶する。制御部140は、処理結果をメモリ142に記憶し、バス132に出力する。
【0042】
(機能拡張ECUのハードウェア構成)
機能拡張ECU130も車載ゲートウェイ122と同様に構成されている。即ち、図4を参照して、機能拡張ECU130は、制御部150及びメモリ152を含む。制御部150は、CPUを含んで構成されており、メモリ152を制御する。メモリ152は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリであり、制御部150が実行するプログラムを記憶している。メモリ152は、制御部150が実行するプログラムのワーク領域を提供する。制御部150は処理対象のデータを、バス132を介して取得する。制御部150は、バス132を介して受信したデータを適宜メモリ152に記憶する。制御部150は、処理結果をメモリ152に記憶し、バス132に出力する。
【0043】
(サーバのハードウェア構成)
図5を参照して、サーバ104は、各部を制御する制御部160と、データを記憶するメモリ162と、通信を行う通信部164と、各部の間でデータを交換するためのバス166とを含む。制御部160は、CPUを含んで構成されており、各部を制御することにより、後述する機能を実現する。メモリ162は、書換可能な半導体の不揮発性メモリ及びハードディスクドライブ等の大容量記憶装置を含む。通信部164は、車載装置100、及び、路上に配置されたインフラセンサ等からアップロードされるセンサデータを、基地局106を介して受信する。通信部164により受信されたデータは、メモリ162に送信されて記憶される。これにより、サーバ104は、交通情報(例えば、事故、渋滞、道路規制及び統計情報等)及び動的情報等を生成し、運転支援情報として車両102の車載装置100に送信できる。
【0044】
(車載装置の機能的構成)
本開示に関する車両102の機能に関して説明する。車載装置100は、サーバ104から所定のサービス(即ち、運転支援サービス)として動的情報等の運転支援情報を取得する。
【0045】
図6を参照して、車載装置100は、記憶部200、評価部202、判定部204、処理部206及び出力部208を含む。記憶部200は、車載ゲートウェイ122(図3参照)のメモリ142及び機能拡張ECU130(図4参照)のメモリ152により実現される。それ以外の後述する機能は、車載ゲートウェイ122の制御部140又は機能拡張ECU130の制御部150により実現される。記憶部200は、評価結果、処理結果、センサデータ、処理プログラム及びサービスデータを記憶している。評価結果は、後述する評価部202により、車載装置100の外的環境の状態が評価された結果である。処理結果は、後述する処理部206により処理プログラムが実行されることにより得られた結果である。センサデータは、車両102に搭載されたセンサ124から出力され、バス132を介して送信されるデータである。サービスデータは、サーバ104から受信した所定サービスに関するデータであり、例えば、動的情報等の運転支援情報である。
【0046】
評価部202は、所定のタイミング(例えば一定周期、又は、予め設定された時間)において、車載装置100の外的環境の状態を評価する。評価部202は、車載ゲートウェイ122の制御部140により実現される。外的環境とは、車載装置100の外部におけるハードウェア及びソフトウェアのリソースであって、車載装置100がサーバ104から受ける所定のサービスに影響するリソースを意味する。例えば、外的環境は、無線通信のリソース(ネットワークのリソースを含む)及びサーバ104のリソースを含む。評価部202は、例えば、通信部120による無線通信の通信速度を測定する。また、評価部202は、後述するようにサーバ104の応答速度を測定してもよい。評価部202は、評価結果(例えば、無線通信速度及びサーバ104の応答速度)を記憶部200に記憶する。
【0047】
判定部204は、所定のタイミング(例えば一定周期、又は、予め設定された時間)において、記憶部200から評価結果を読出し、車載装置100の外的環境の状態が悪いか否かを判定する。判定部204は、機能拡張ECU130の制御部150により実現される。例えば、判定部204は、記憶部200から読出した無線通信速度が所定のしきい値以下であるか否かを判定することにより、車載装置100の外的環境の状態が悪いか否かを判定する。記憶部200から読出した無線通信速度が所定のしきい値(以下、第1しきい値という)以下であれば、判定部204は、車載装置100の外的環境の状態が悪いと判定する。判定部204は、車載装置100の外的環境の状態が悪いと判定した場合、処理部206に所定の処理を実行することを指示する。
【0048】
なお、無線通信速度が低下していなくても、車載装置100の外的環境の状態が悪いことがある。即ち、サーバ104のリソースの逼迫等、サーバ104によるサービス提供に関する処理速度が低下することにより、サービス提供に支障が生じる。そのような場合にも、車載装置100の外的環境の状態が悪いと判定されるべきである。したがって、記憶部200から読出す評価結果にサーバ104の応答速度が含まれていれば、サーバ104の応答速度を所定のしきい値(以下、第2しきい値という)と比較して車載装置100の外的環境の状態を判定してもよい。例えば、判定部204は、無線通信速度が第1しきい値より大きくても、サーバ104の応答速度が第2しきい値以下であれば、車載装置100の外的環境の状態が悪いと判定する。
【0049】
処理部206は、判定部204からの指示を受けて、所定の処理を実行する。処理部206は、機能拡張ECU130の制御部150により実現される。具体的には、処理部206は、記憶部200から、所定の処理を実行するための処理プログラムを読出し、記憶部200から読出したセンサデータを対象として処理プログラムを実行する。処理対象のセンサデータは、車載装置100からサーバ104に送信されたセンサデータである。また、処理部206は、処理プログラムを実行中に、サービスデータが通信部120により受信されて記憶部200に記憶されたか否かを判定する。サービスデータは、サーバ104から車載装置100に提供されるサービスを実現するためのデータである。サービスデータは、例えば、車載装置100からサーバ104に送信したセンサデータに対する解析処理がサーバ104により実行されて生成された運転支援情報である。処理部206が処理プログラムを実行中に、サービスデータが記憶されると、処理部206は実行中の処理プログラムを終了する。サービスデータが記憶される前に、処理部206が処理プログラムの実行を完了すると、処理部206は処理結果を出力部208に出力する。
【0050】
処理部206が実行する処理プログラムは、例えば、サーバ104から通信部120により受信されたプログラムである。車載装置100(具体的には機能拡張ECU130)は、車載装置100の外的環境の状態が良好なときに、サーバ104から提供されるサービスに必要な処理を実行するためのプログラム(例えば、センサデータの解析処理プログラム)を、通信部120により受信し、記憶部200に記憶しておく。
【0051】
出力部208は、処理部206からデータが入力されたか否か、及び、記憶部200にサービスデータが記憶されたか否かを判定する。出力部208は、処理部206からデータ(例えば運転支援情報)が入力された場合、入力されたデータを目的のECU(以下、エンドECUという)に送信する。出力部208は、記憶部200にサービスデータ(例えば運転支援情報)が記憶されると、記憶部200からサービスデータを読出してエンドECUに送信する。エンドECUは、入力されるデータを利用する。例えば、エンドECUが自動運転ECU126であれば、自動運転ECU126は、入力される運転支援情報を、車両102の走行の制御に利用する。
【0052】
以上により、車載装置100は、外的環境の状態が良好である場合、サーバ104から提供されるサービスデータ(例えば、運転支援情報)を受信して、該当するエンドECUに送信できる。また、車載装置100は、外的環境の状態が悪く、サーバ104から提供されるサービスデータの受信に長時間を要する場合、当該サービスデータに相当するデータを処理部206により生成し、該当するエンドECUに送信できる。したがって、車載装置100の外的環境の状態が悪い状態においても、サーバ104から車載装置100に提供されるクラウド連携サービスが中断することを回避できる。即ち、サーバ104から車載装置100に提供されるクラウド連携サービスを維持できる。
【0053】
このように、外的環境の状態が悪い場合、車載装置100及びサーバ104により同じ処理が並行して実行される。即ち、車載装置100及びサーバ104は冗長化システムを構成する。車載装置100がサーバ104からサービスの提供を受ける理由の1つとして、サーバ104の処理性能が車載装置100よりも高いことがある。したがって、外的環境の状態が悪い場合であっても、処理部206による処理が完了する前に、サーバ104からサービスデータを受信できることもある。その場合には、処理部206は処理を終了する。これにより、車載装置100において、無駄に処理が継続されることを回避できる。
【0054】
例えば、処理部206が実行する処理プログラムは、車載装置100に提供されるサービスデータを生成するためにサーバ104により実行されるプログラムと同じ処理を実行するプログラムである。即ち、プログラム自体が同じでなくても、処理内容が同じであればよい。これにより、車載装置100は、処理部206による処理結果を、サーバ104に送信する必要がなく、不要な通信を回避できる。
【0055】
上記したように、処理部206が実行する処理プログラムをサーバ104から予め受信して記憶部200に記憶しておくことにより、サーバ104から最新のプログラムを受信でき、処理部206は最適な処理を実行できる。
【0056】
また、後述するように、処理部206が実行する処理プログラムは、車載装置100に提供されるサービスデータを生成するためにサーバ104により実行されるプログラムの一部であってもよい。処理部206が実行した結果を、サーバ104に送信すれば、サーバ104は受信したデータを用いてその後の処理を実行できるので、車載装置の外的環境の状態が悪化した場合であっても、サーバ104は効率的にサービスを提供できる。
【0057】
(機能拡張ECUの動作)
図7を参照して、機能拡張ECU130の動作に関して、図6に示した機能を参照しつつ説明する。図7に示した処理は、制御部150(図4参照)が所定のプログラムをメモリ152から読出して実行することにより実現される。
【0058】
図7を参照して、ステップ300において、制御部150は、サーバ104にサービス提供依頼を送信する。サービス提供依頼は、例えば、センサデータと、そのデータの解析及び運転支援情報の送信の要求とを含むデータである。センサデータは、センサ124から出力され、メモリ152に記憶されたセンサデータである。その後、制御はステップ302に移行する。
【0059】
ステップ302において、制御部150は、車載装置100の外的環境の状態を表すデータを取得する。具体的には、制御部150は、メモリ152(図6の記憶部200参照)から上記した評価結果を読出す。評価結果は、図6の評価部202の評価結果であり、後述するように、車載ゲートウェイ122により測定された無線通信速度及びサーバ104の応答速度である。その後、制御はステップ304に移行する。
【0060】
ステップ304において、制御部150は、外的環境の状態が悪化しているか否かを判定する。具体的には、制御部150は、ステップ302により取得したデータ(即ち、無線通信速度及びサーバ104の応答速度)が、所定のしきい値以下であるか否かを判定する。例えば、無線通信速度と第1しきい値とを比較し、且つ、サーバ104の応答速度を第2しきい値と比較し、いずれか一方が対応するしきい値以下であるか否かを判定する。無線通信速度が低下していれば、サーバ104から提供されるサービスが影響を受け、サービスの遅延、サービスの中断等が発生し得る。また、無線通信速度が高くても、サーバ104の応答速度が低下していれば、サーバ104に送信したセンサデータの解析及び運転支援情報の生成が速やかに実行されていなので、その場合にも、サービスの中断が発生し得る。外的環境の状態が悪いと判定された場合、制御はステップ306に移行する。そうでなければ、制御は320に移行する。ステップ302及びステップ304の処理は、図6に示した判定部204の機能に対応する。
【0061】
ステップ306において、制御部150は、所定の処理を実行する。ステップ306の処理は、図6の処理部206の機能に対応する。即ち、制御部150は、メモリ152から処理プログラムと、その処理対象であるセンサデータとを読出し、処理プログラムを実行する。
【0062】
ステップ308において、制御部150は、サービスデータを受信したか否かを判定する。ステップ308の処理は、図6の処理部206の機能に対応する。即ち、制御部150は、メモリ152(図6の記憶部200参照)にサービスデータが記憶されたか否かを判定する。サービスデータは、上記したように、通信部120によりサーバ104から受信されるデータである。サービスデータが記憶されていると判定された場合、制御はステップ312に移行する。そうでなければ、制御はステップ310に移行する。
【0063】
ステップ310において、制御部150は、ステップ306の処理(即ち処理プログラム)が完了したか否かを判定する。ステップ308の処理は、図6の処理部206の機能に対応する。完了したと判定された場合、制御はステップ314に移行する。そうでなければ、制御はステップ306に戻り、処理を継続する。
【0064】
ステップ312において、制御部150は、処理プログラムを終了する。その後、制御はステップ314に移行する。ステップ312の処理は、図6の処理部206の機能に対応する。
【0065】
ステップ314において、制御部150は、処理プログラムによる処理結果のデータ、又は、サーバ104から受信したサービスデータが利用可能か否かを判定する。利用可能と判定された場合、制御はステップ316に移行する。そうでなければ、制御はステップ318に移行する。例えば、制御部150は、遅延時間(例えば、処理遅延時間及び通信遅延時間を含む)を考慮して、処理結果のデータ又はサービスデータが、ターゲットECUにより有効に利用可能か否かを判定する。例えば、ターゲットECUが自動運転ECU126であり、運転支援情報の元データ(例えばセンサデータ)が古いデータ(即ち、現在よりも所定時間以上過去に取得されたデータ)であれば、自動運転ECU126はその運転支援情報を有効に利用できない。
【0066】
ステップ316において、制御部150は、処理プログラムによる処理結果のデータ、又は、サーバ104から受信したサービスデータを、ターゲットECUに送信する。ステップ316の処理は、図6の出力部208の機能に対応する。
【0067】
ステップ318において、制御部150は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、車両102のスタートボタン等がオフされることにより成される。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、上記の処理が繰返される。
【0068】
ステップ304による判定結果がNOの場合、ステップ320において、制御部150は、所定の処理を実行するプログラム、即ちステップ306により実行される処理プログラムが、メモリ152に記憶されているか否かを判定する。記憶されていれば、制御はステップ324に移行する。そうでなければ、制御はステップ322に移行する。
【0069】
ステップ322において、制御部150は、通信部120を制御して、所定の処理を実行するプログラムをサーバ104に要求し(例えば、サーバ104にプログラムの送信要求を送信し)、受信したプログラムをメモリ152に記憶する。プログラムの送信要求は、例えば、サーバ104が車載装置100にサービスを提供するためにサーバ104により実行されるプログラムの送信を要求するデータ(例えば、所定コード)である。サーバ104から送信されるプログラムは、例えば、サーバ104が車載装置100にサービスを提供するために実行するプログラムと同じ処理を実行するプログラムである。
【0070】
ステップ324において、制御部150は、ステップ308と同様に、サービスデータを受信したか否かを判定する。即ち、制御部150は、メモリ152(図6の記憶部200参照)にサービスデータが記憶されているか否かを判定する。サービスデータが記憶されていると判定された場合、制御はステップ314に移行する。そうでなければ、ステップ324が繰返される。
【0071】
以上により、車載装置100の機能拡張ECU130は、車載装置100の外的環境の状態が悪い場合、サービスの提供を依頼したサーバ104により実行される処理と同じ処理を実行する。機能拡張ECU130は、サーバ104からサービスデータを受信する前に処理結果が得られると、処理結果をターゲットECUに出力して利用させることができる。機能拡張ECU130の処理が完了する前に、サーバ104からサービスデータを受信できれば、受信したサービスデータをターゲットECUに出力して利用させることができる。したがって、車載装置100の外的環境の状態が悪い場合にも、サービスが中断する等の支障が生じることを回避できる。また、機能拡張ECU130は、サービスを実現するためにサーバ104が実行するプログラムを、車載装置100の外的環境の状態が良好なときにサーバ104から受信し、記憶しておくことができる。
【0072】
(車載ゲートウェイの動作)
図8を参照して、図6に示した評価部202の機能に対応する車載ゲートウェイ122の動作に関して説明する。図8に示した処理は、制御部140(図3参照)が所定のプログラムをメモリ142から読出して実行することにより実現される。
【0073】
図8を参照して、ステップ400において、制御部140は、無線通信速度を測定する。具体的には、制御部140は、通信部120により実行される、車載装置100の外部とのデータ通信速度を測定する。その後、制御はステップ402に移行する。車載装置100の外部とのデータ通信速度が低下すれば、サーバ104から安定したサービスの提供を受けることができなくなる。
【0074】
ステップ402において、制御部140は、サーバ104の応答速度を測定する。具体的には、制御部140は、通信部120を制御して所定データをサーバ104に送信してから、それに対する応答を受信するまでの時間を測定し、その逆数を応答速度とする。例えば、制御部140は、機能拡張ECU130によるサービス提供依頼からそれに対するサービスデータの受信までの時間を測定する。その後、制御はステップ402に移行する。車載装置100とサーバ104との通信状態が良好であっても、サーバ104が何らの理由により車載装置100に提供するサービスを実行する処理の速度が低下していることがある。例えば、車載装置100へのサービス提供よりも優先すべき処理があり、サーバ104のリソースの多くが優先すべき処理に割当てられていれば、サーバ104の車載装置100に対する応答時間は長くなり、応答速度は低下する。そのような場合、サーバ104から車載装置100へのサービス提供に支障を生じ得る状況になる。
【0075】
ステップ404において、制御部140は、ステップ400及びステップ404による測定結果(即ち、無線通信速度及び応答速度)を、評価結果(図6参照)としてメモリ142に記憶する。その後、制御はステップ406に移行する。
【0076】
ステップ406において、制御部140は、機能拡張ECU130から、ステップ404によりメモリ142に記憶した評価結果の要求を受けたか否かを判定する。要求を受けたと判定された場合、制御はステップ408に移行する。そうでなければ、制御はステップ410に移行する。
【0077】
ステップ408において、制御部140は、要求されたデータ(即ち評価結果)をメモリ142から読出して、バス132を介して機能拡張ECU130に送信する。例えば、メモリ142に時系列の評価結果が記憶されていれば、最も新しい評価結果を送信する。また、直近の所定期間における複数の評価結果から得られる統計値(例えば、無線通信速度の平均値及び応答速度の平均値)を送信してもよい。
【0078】
ステップ410において、制御部140は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、車両102のスタートボタン等がオフされることにより成される。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻り、上記の処理が繰返される。
【0079】
以上により、車載装置100の車載ゲートウェイ122は、車載装置100の外的環境の状態を監視し、機能拡張ECU130からの要求を受けて、車載装置100の外的環境の状態を表す情報(即ち評価結果)を機能拡張ECU130に送信できる。したがって、機能拡張ECU130は、上記したように車載装置100の外的環境の状態に応じた処理を実行できる。
【0080】
(サーバの動作)
図9を参照して、サーバ104による動作、即ち車載装置100へのサービス提供に関して説明する。図9に示した処理は、図5に示したサーバ104の制御部160が、所定のプログラムをメモリ162から読出して実行することにより実現される。
【0081】
ステップ500において、制御部160は、サービス提供依頼を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ502に移行する。そうでなければ、制御はステップ510に移行する。サービス提供依頼は、車載装置100から、図7に示したステップ300により送信される。
【0082】
ステップ502において、制御部160は、ステップ500により受信したサービス提供依頼により特定される処理を実行するためのプログラムをメモリ162から読出して実行する。その後、制御はステップ504に移行する。
【0083】
ステップ504において、制御部160は、ステップ502による処理が完了したか否かを判定する。完了したと判定された場合、制御はステップ506に移行する。そうでなければ、制御はステップ502に戻る。
【0084】
ステップ506において、制御部160は、ステップ502による処理の結果を、サービス提供依頼の送信元(例えば車載装置100)に送信する。制御部160は、送信先を、ステップ500により受信されデータの送信元アドレス(例えばIPアドレス)により特定できる。その後、制御はステップ508に移行する。
【0085】
ステップ508において、制御部160は終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、サーバ104に備えられたキーボード又はマウス等の操作部(図示せず)が操作されることにより成される。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ500に戻り、上記の処理が繰返される。
【0086】
ステップ500による判定結果がNOであれば、ステップ510において、制御部160は、プログラムの送信要求を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ512に移行する。そうでなければ、制御はステップ508に移行する。プログラムの送信要求は、車載装置100から、図7に示したステップ322により送信される。
【0087】
ステップ512において、制御部160は、ステップ510により受信したプログラムの送信要求に対応するプログラムを特定し、メモリ162から読出して、プログラムの送信要求の送信元(例えば車載装置100)に送信する。制御部160は、送信先を、ステップ510により受信されたプログラムの送信要求の送信元アドレスにより特定できる。その後、制御はステップ508に移行する。
【0088】
以上により、サーバ104は、車載装置からサービス提供依頼を受けて、所定の処理を実行し、処理結果を依頼元の車載装置に送信できる。また、サーバ104は、サービスを実行するためのプログラムの送信要求を受けて、該当するプログラムを要求元に送信できる。
【0089】
以上により、上記したように、車載装置100の外的環境の状態が悪い状態においても、サーバ104から車載装置100に提供されるサービスが中断することを回避でき、サービスを維持できる。
【0090】
上記においては、車載ゲートウェイ122が車載装置100の外的環境の状態を監視し、機能拡張ECU130が、外的環境の状態に応じて、サーバ104と同じプログラムを実行する場合を説明したが、これに限定されない。機能拡張ECU130が、上記の処理に加えて、車載装置100の外的環境の状態を監視してもよい。また、車載ゲートウェイ122が、車載装置100の外的環境の状態を監視する処理に加えて、機能拡張ECU130による上記の処理を実行してもよい。その場合、車載装置100は機能拡張ECU130を備えていなくてもよい。
【0091】
(第1変形例)
上記においては、車載装置が、当該車載装置が搭載されている車両の走行中にサーバからサービスの提供を受ける場合を説明したが、これに限定されない。第1変形例に係る車載装置は、当該車載装置が搭載された車両が停止している状態において、サーバからサービスを受ける。第1変形例に係る車載装置は、図2に示した車載装置100と同じ構成及び同じ機能を有する。以下においては、便宜上、第1変形例に係る車載装置を車載装置100として説明する。
【0092】
図2を参照して、車載装置100は、顔認証により、車載装置100が搭載された車両102のドアを開錠するサービス(以下、顔認証開錠サービスという)の提供をサーバ104から受ける。この場合、センサ124としてカメラを用い、ECU128として、ドアロックを制御するECUを用いる。センサ124は、車両102に接近する人(即ち、顔認証処理の対象者)を撮像する。得られた画像データは、サービス提供依頼に包含されて、通信部120からサーバ104に送信される(図7のステップ300参照)。サービス提供依頼には、例えば、画像データに対する顔認証処理を依頼するコード(以下、顔認証依頼コードという)が含まれる。
【0093】
サービス提供依頼を受信したサーバ104は、顔認証依頼コードに対応する処理として、受信した画像データに対して顔認証処理を実行する(図9のステップ502参照)。例えば、サーバ104は、受信した画像データから顔の部分を切出し、エッジ検出等の処理により顔の特徴量を抽出し、予め車両102に記憶されている車両102の所有者の顔の特徴量との一致度を判定する照合処理を実行する。一致度が所定値以上であれば、サーバ104は認証をパスした旨の情報を車載装置100に送信する(図9のステップ506参照)。機能拡張ECU130は、通信部120を介して当該情報を受信し、ECU128に送信し、ドアを開錠させる(図7のステップ316参照)。車載装置100の外的環境の状態が良好であれば、このようにして、サーバ104から顔認証開錠サービスが提供される。
【0094】
一方、車載装置100の外部環境の状態が悪い場合(図7のステップ304による判定結果がYESの場合)、機能拡張ECU130は、予めサーバ104から受信して記憶していた顔認証処理を実行するプログラムを実行する(図7のステップ306参照)。実行されるプログラムは、サーバ104により実行されるプログラムと同じプログラムである。機能拡張ECU130は、処理結果として得られた一致度が所定値以上であれば、サーバ104は認証をパスした旨の情報を、ECU128に送信し、ドアを開錠させる(図7のステップ316参照)。したがって、車載装置100の外部環境の状態が悪い場合であっても、顔認証開錠サービスを実現できる。
【0095】
(第2変形例)
上記においては、機能拡張ECU130が、サーバ104がサービス提供のために実行するプログラムと同じプログラムを実行する場合を説明したが、これに限定されない。第2変形例に係る車載装置は、サーバ104がサービス提供のために実行するプログラムの一部を実行する。
【0096】
サーバ104から提供されるサービスは、第1変形例と同様に顔認証開錠サービスであるとする。また、サービス提供のためにサーバ104が実行する顔認証処理は、例えば、対象画像の前処理としての画像加工処理、加工後の画像から顔部分を抽出する特徴抽出処理、及び、抽出された特徴量の一致度を判定する照合処理から構成されているとする。機能拡張ECU130は、予めサーバ104から画像加工処理及び特徴抽出処理を実行するためのプログラムを受信し、記憶している。
【0097】
車載装置100の外的環境の状態が良好であれば、第1変形例と同様に、サーバ104により顔認証開錠サービスが提供される。一方、車載装置100の外的環境の状態が悪い状態においては、機能拡張ECU130は、画像加工処理及び特徴抽出処理を実行するためのプログラムを読出して実行する。機能拡張ECU130は、抽出された特徴量をサービス提供依頼に包含して、通信部120からサーバ104に送信する。このとき、サービス提供依頼には、上記の顔認証処理コードとは、異なるコード(以下、照合依頼コードという)が含まれる。
【0098】
サービス提供依頼を受信したサーバ104は、照合依頼コードに対応する処理として、受信した特徴量に対して照合処理を実行し、一致度が所定値以上であれば、サーバ104は認証をパスした旨の情報を車載装置100に送信する。機能拡張ECU130は、通信部120を介して当該情報を受信し、ECU128に送信し、ドアを開錠させる。このようにして、車載装置100の外的環境の状態が悪い状態であっても、サーバ104から顔認証開錠サービスが提供される。サーバ104は、顔認証処理全体を実行するのではなく、その一部である照合処理を実行すればよいので、高速に実行できる。特に、例えば車載装置100の外的環境の状態が悪い原因が、無線通信速度の低下ではなく、サーバ104のリソースの逼迫等によりサーバ104による顔認証処理の実行速度の低下である場合に有効である。サーバ104は、顔認証処理を実行するためのリソースよりも格段に少ないリソースによって照合処理を実行できる。したがって、サーバ104のリソースが逼迫していても、サーバ104は速やかに照合処理を完了し、照合結果を車載装置100に送信できる。
【0099】
例えば、車載装置100の外的環境の状態が良好な状態において、車載装置100からサーバ104に顔認証開錠サービスを依頼してサーバ104が顔認証処理を開始した後に、車載装置100の外的環境の状態が悪くなることがある。その場合、サーバ104においては顔認証処理が実行されているので、照合依頼コードを含むサービス提供依頼を受信したサーバ104は、顔認証処理を終了し、照合処理を実行すればよい。サーバ104は速やかに照合処理を完了し、照合結果を車載装置100に送信できる。
【0100】
(第3変形例)
上記においては、車載装置の外的環境の状態を、当該車載装置自体が観測する場合を説明したが、これに限定されない。第3変形例に係る車載装置は、当該車載装置の外的環境の状態を判定するための情報を外部から取得する。
【0101】
図10を参照して、第3変形例に係る車載装置の機能構成に関して説明する。第3変形例に係る車載装置のハードウェア構成は図2に示した車載装置100と同じである。以下においては、便宜上、第3変形例に係る車載装置を車載装置100として説明する。車載装置100は、記憶部200、評価部202、判定部204、処理部206、出力部208及び経路特定部210を含む。図9に示した構成は、図6に示した構成において、経路特定部210を追加し、記憶部200に通信速度実績地図212を追加したものである。経路特定部210及び通信速度実績地図212以外の構成は、図2と同じであり、同じ機能を実現する。したがって、重複説明を繰返さず、異なる点に関して説明する。
【0102】
経路特定部210は、車載装置100が搭載された車両102の走行予定経路を特定する。車両102の走行予定経路は、例えば、車両102に搭載されているカーナビゲーションシステムに対して、目的地が設定されたことを受けて、カーナビゲーションシステムにより特定される。カーナビゲーションシステムは、設定された目的地と、GPSから取得できる車両102の現在位置とを用いて、道路地図を参照し、走行予定経路を特定できる。経路特定部210は、カーナビゲーションシステムにより特定された走行予定経路をカーナビゲーションシステムから取得する。経路特定部210は独自に、カーナビゲーションシステムと同様に、車両102の走行予定経路を特定してもよい。経路特定部210は、特定した走行予定経路の情報を、判定部204に入力する。
【0103】
通信速度実績地図212は、道路上の位置と、当該位置における実際の通信速度とを対応させた地図である。通信速度実績地図212は、例えば、サーバ(例えば、サーバ104以外のサーバ)により、各道路を走行している車両に搭載されている車載装置との通信速度を収集することにより生成される。サーバは、各車両の位置情報から道路上の位置を特定し、特定された位置に、当該車両の車載装置との通信速度を対応させる。また、サーバは、各道路の路側に設置されているインフラセンサとの通信速度(即ち、センサデータのアップロード速度)を収集してもよい。また、各車載装置が、走行中の車両の位置と、その位置における通信速度と、通信速度を観測した時刻を表す情報とを対応させて記憶し、定期的にサーバにアップロードしてもよい。サーバは、受信した情報から通信速度実績地図212を生成できる。
【0104】
判定部204は、記憶部200から通信速度実績地図212を読出し、経路特定部210から入力される走行予定経路の情報を用いて通信速度実績地図212を参照し、走行予定経路上の無線通信速度を特定する。判定部204は、車両102の走行予定経路上における無線通信速度と所定のしきい値とを比較することにより、車載装置100の外部環境の状態を判定する。判定部204は、例えば、無線通信速度がしきい値以下である走行予定経路上においては、車載装置100の外部環境の状態が悪いと判定する。したがって、車載装置100は、走行予定経路上に車載装置100の外部環境の状態が悪い経路があれば、車両102が実際にその経路を走行する少し前に、図7に示したステップ306において実行するプログラムを予め準備しておく(例えば、起動して待機させておく)ことができる。したがって、車載装置100は、車両102が実際にその経路を走行するときに、該当プログラムをより速やかに実行できる。
【0105】
なお、判定部204は、記憶部200から読出した通信速度実績地図212により得られる無線通信速度のみにより、車載装置100の外部環境の状態を判定せず、評価部202による評価結果に含まれるサーバ104の応答速度と共に用いて、車載装置100の外部環境の状態を判定してもよい。その場合、判定部204は、評価部202による評価結果に含まれる無線通信速度を、記憶部200から読出した通信速度実績地図212により得られる無線通信速度により代替し、上記したように車載装置100の外部環境の状態を判定すればよい。
【0106】
なお、上述の実施形態の各処理(各機能)は、1又は複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現されてもよい。上記処理回路は、上記1又は複数のプロセッサに加え、1又は複数のメモリ、各種アナログ回路及び各種デジタル回路のいずれかが組み合わされた集積回路等により構成されてもよい。上記1又は複数のメモリは、上記各処理を上記1又は複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1又は複数のプロセッサは、上記1又は複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。例えば物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。
【0107】
また、車載装置100(具体的には、機能拡張ECU130及び車載ゲートウェイ122が実行する処理(例えば、図7及び図8に示した処理)をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体を提供できる。記録媒体は、例えば光ディスク(DVD(Digital Versatile Disc)等)、着脱可能な半導体メモリ(USB(Universal Serial Bus)メモリ等)である。コンピュータプログラムは通信回線により伝送され得るが、記録媒体は非一時的な記録媒体を意味する。記録媒体に記憶されたプログラムをコンピュータに読込ませることにより、コンピュータは、上記したように、車載装置の外的環境の状態の悪化時にも、クラウド連携サービスを維持でき、サーバからのサービス提供を可能とする。
【0108】
(付記)
即ち、コンピュータ読取り可能な非一時的な記録媒体は、
車両に搭載され、外部装置からサービスの提供を受けるコンピュータに、
前記外部装置に所定データを送信する通信機能と、
前記コンピュータの外的環境の状態を評価する評価機能と、
前記評価機能による評価結果に応じて、第1処理を実行するか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能により、前記第1処理を実行すると判定されたことを受けて、前記所定データに対して前記第1処理を実行する処理機能とを実現させ、
前記外的環境は、前記コンピュータと前記外部装置との間の無線通信速度を含み、
前記サービスは、前記外部装置が前記所定データに対して第2処理を実行した結果が前記コンピュータに送信されることにより提供され、
前記第1処理は、前記第2処理の少なくとも一部を構成する、コンピュータプログラムを記憶している。
【0109】
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0110】
100 車載装置
102 車両
104 サーバ
106 基地局
108 ネットワーク
120、164 通信部
122 車載ゲートウェイ
124 センサ
126 自動運転ECU
128 ECU
130 機能拡張ECU
132、166 バス
140、150、160 制御部
142、152、162 メモリ
200 記憶部
202 評価部
204 判定部
206 処理部
208 出力部
210 経路特定部
212 通信速度実績地図
300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、400、402、404、406、408、410、500、502、504、506、508、510、512 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10