(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012843
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】免振試験装置の制御装置及び免振試験装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01M 7/02 20060101AFI20250117BHJP
G01M 7/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G01M7/02 B
G01M7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115977
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 將之
(72)【発明者】
【氏名】末次 正幸
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕二
(57)【要約】
【課題】加振対象物に鉛直荷重を加えた状態でテーブルを振動させる場合に、鉛直荷重の変動を低減する。
【解決手段】免振試験装置の制御装置は、加振対象物が載置されるテーブルと、テーブル部に接続される鉛直加振装置と、テーブル部を水平方向に振動させる水平加振装置とを備える免振試験装置の制御装置であって、加振対象物に鉛直荷重を加えてテーブル部に載置した状態で、水平加振装置によりテーブル部を水平方向に振動させる場合、水平加振装置によるテーブル部の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を低減するように、鉛直加振装置の鉛直荷重指令に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振対象物が載置されるテーブル部と、
前記テーブル部に接続される鉛直加振装置と、
前記テーブル部を水平方向に振動させる水平加振装置と
を備える免振試験装置の制御装置であって、
前記加振対象物に鉛直荷重を加えて前記テーブル部に載置した状態で、前記水平加振装置により前記テーブル部を水平方向に振動させる場合、前記水平加振装置による前記テーブル部の水平方向の振動によって生じる前記鉛直荷重の変動を低減するように、前記鉛直加振装置の鉛直荷重指令に対して、前記鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算する
免振試験装置の制御装置。
【請求項2】
前記鉛直加振装置は、複数設けられ、
複数の前記鉛直加振装置は、互いに独立して制御可能である
請求項1に記載の免振試験装置の制御装置。
【請求項3】
前記水平加振装置による前記テーブル部の水平方向の振動によって生じる前記鉛直荷重の変動を検出し、検出結果に基づいて、前記鉛直加振装置の前記鉛直荷重指令に対して、フィードバック補償値を減算する
請求項1に記載の免振試験装置の制御装置。
【請求項4】
前記鉛直加振装置は、前記テーブル部の下側に配置されて前記テーブル部を支持する
請求項1に記載の免振試験装置の制御装置。
【請求項5】
前記鉛直荷重補償値は、前記水平加振装置による前記テーブル部の水平方向の振動の周波数を2倍した周波数であり、前記鉛直荷重指令に所定数を乗じた値を振幅とした正弦波である
請求項1に記載の免振試験装置の制御装置。
【請求項6】
平面視における複数の前記鉛直加振装置の位置関係に基づいて、前記鉛直荷重補償値を加算する対象となる前記鉛直加振装置を選択する
請求項2に記載の免振試験装置の制御装置。
【請求項7】
加振対象物が載置されるテーブル部と、
前記テーブル部に接続される鉛直加振装置と、
前記テーブル部を水平方向に振動させる水平加振装置と
を備える免振試験装置の制御方法であって、
前記加振対象物に鉛直荷重を加えて前記テーブル部に載置した状態で、前記水平加振装置により前記テーブル部を水平方向に振動させる場合、前記水平加振装置による前記テーブル部の水平方向の振動によって生じる前記鉛直荷重の変動を低減するように、前記鉛直加振装置の鉛直荷重指令に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算する
免振試験装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、免振試験装置の制御装置及び免振試験装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加振対象物を載置したテーブルを水平加振装置により振動させる免振試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような免振試験装置において、加振対象物に鉛直荷重を加えた状態でテーブルを振動させる場合、例えば加振対象物に変形等が生じると、加振対象物の荷重を受ける面積が増減し、鉛直荷重が変動する場合がある。このため、鉛直荷重の変動を低減することが求められる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、加振対象物に鉛直荷重を加えた状態でテーブルを振動させる場合に、鉛直荷重の変動を低減することが可能な免振試験装置の制御装置及び免振試験装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る免振試験装置の制御装置は、加振対象物が載置されるテーブルと、前記テーブル部に接続される鉛直加振装置と、前記テーブル部を水平方向に振動させる水平加振装置とを備える免振試験装置の制御装置であって、前記加振対象物に鉛直荷重を加えて前記テーブル部に載置した状態で、前記水平加振装置により前記テーブル部を水平方向に振動させる場合、前記水平加振装置による前記テーブル部の水平方向の振動によって生じる前記鉛直荷重の変動を低減するように、前記鉛直加振装置の鉛直荷重指令に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、加振対象物に鉛直荷重を加えた状態でテーブルを振動させる場合に、鉛直荷重の変動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る免振試験装置の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、制御装置による鉛直加振装置の制御の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、鉛直荷重補償値を算出する際の演算の流れを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る免振試験装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る免振試験装置の制御装置及び免振試験装置の制御方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る免振試験装置100の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、免振試験装置100は、ベース部10と、テーブル部20と、水平加振装置50と、鉛直加振装置60と、制御装置70とを備える。
【0011】
ベース部10は、水平な床面等に載置される。ベース部10は、直方体状の凹部11を有している。凹部11の内部には、上記のテーブル部20、水平加振装置50、鉛直加振装置60が収容される。
【0012】
テーブル部20は、加振対象物80が載置される。テーブル部20は、下テーブル30と、上テーブル40とを有する。下テーブル30は、鉛直加振装置60を介して凹部11の底部に載置される。下テーブル30は、例えば直方体状であるが、この構成に限定されない。
【0013】
上テーブル40は、ベアリング等を介して下テーブル30に載置される。上テーブル40は、例えば直方体状であるが、この構成に限定されない。上テーブル40は、上面41に加振対象物80が載置される。加振対象物80は、上テーブル40に載置される際、反力梁90等により鉛直荷重を加えることが可能である。加振対象物80としては、例えば積層ゴム支承、球面転がり支承等が挙げられる。
【0014】
水平加振装置50は、ベース部10の凹部11の側面等に支持される。水平加振装置50は、上テーブル40に接続され、上テーブル40に水平方向の振動を付与する。水平加振装置50としては、例えば水平動的ジャッキ等が用いられる。加振対象物80に水平変位を与える場合、水平方向に発生する荷重は、例えば水平加振装置50に設けられる検出器(不図示)で検出することができる。
【0015】
鉛直加振装置60は、ベース部10の凹部11の底面等に支持される。鉛直加振装置60は、下テーブル30を支持し、下テーブル30に鉛直方向の振動を付与する。鉛直加振装置60は、複数設けられる。複数の鉛直加振装置60は、互いに独立して制御可能である。鉛直加振装置60としては、例えば鉛直動的ジャッキ等が用いられる。鉛直加振装置60には、例えば鉛直荷重の大きさを検出するロードセル等の検出部61が設けられる。検出部61の検出結果は、制御装置70に送信される。
【0016】
制御装置70は、免振試験装置100を統括的に制御する。制御装置70は、水平加振装置50及び複数の鉛直加振装置60の動作を制御する。制御装置70は、複数の鉛直加振装置60の動作を互いに独立して制御可能である。制御装置70は、処理部71及び記憶部72を有する。
【0017】
処理部71は、各種の情報処理を行う。処理部71は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。
【0018】
記憶部72は、各種プログラム、データ等の情報を記憶する。記憶部72は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のストレージを含む。
【0019】
制御装置70では、処理部71においてプロセッサが各種プログラムを読み出してメモリに展開することで、上記各部の機能に対応した情報処理を実行する。各種プログラムとしては、例えば記憶部72に記憶されたプログラム、外部の記録媒体に記録されたプログラム等が挙げられる。制御装置70は、各種の情報処理を実行する情報処理装置(コンピュータ)として機能する。なお、制御装置70とは異なる他の情報処理装置が各種プログラムを実行してもよいし、制御装置70と他の情報処理装置とが協働して各種プログラムを実行してもよい。
【0020】
上記のように構成された免振試験装置100により加振対象物80の振動試験を行う場合、加振対象物80を上テーブル40に載置し、加振対象物80に対して鉛直荷重を作用させた状態とする。この状態で、制御装置70は、水平加振装置50を制御して上テーブル40に水平方向の振動を加える。
【0021】
このように、加振対象物80に鉛直荷重を加えて上テーブル40に載置した状態で、水平加振装置50により上テーブル40を水平方向に振動させる場合、例えば加振対象物80に変形等が生じると、加振対象物80の荷重を受ける面積が増減し、鉛直荷重が変動する場合がある。このため、制御装置70は、加振対象物80の鉛直荷重の変動を低減するように複数の鉛直加振装置60を制御する。
【0022】
図2は、制御装置70による鉛直加振装置60の制御の一例を示すブロック図である。
図2に示すブロック図は、1つの鉛直加振装置60についての制御を示している。本実施形態では、それぞれの鉛直加振装置60が独立して制御可能であるため、それぞれの鉛直加振装置60について、
図2に示すブロック図に沿って制御が行われる。
【0023】
図2に示すように、制御装置70は、演算部73と、伝達要素74、75、76、77とを有する。演算部73は、鉛直加振装置60に対する指令値である鉛直荷重指令と、伝達要素74の出力結果と、伝達要素77の出力結果とが入力される。演算部73は、鉛直荷重指令と伝達要素74の出力結果とを加算し、伝達要素77の出力結果を減算して、応答偏差である出力鉛直荷重指令を算出する。演算部73は、算出した出力鉛直荷重指令を出力する。
【0024】
伝達要素74は、制御装置70による水平加振装置50に対する指令値である水平変位指令が入力される。伝達要素74は、水平変位指令に基づいて、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を算出し、算出結果を出力する。
【0025】
図3は、鉛直荷重補償値の算出を含む演算の流れを模式的に示す図である。
図3に示すグラフは、縦軸が値の大きさ、横軸が時間を示している。
図3に示すように、制御装置70は、水平変位指令に基づいて、水平加振装置50による上テーブル40の水平方向の振動の周波数を算出する。制御装置70は、算出した水平方向の振動の2倍の周波数であり、加振対象物80に対して作用する鉛直荷重指令に所定数を乗じた値を振幅とした正弦波を鉛直荷重補償値として算出する。なお、所定数については、加振対象物80に応じて予め計測又はシミュレーションにより求めておくことができる。なお、鉛直荷重補償値は、水平変位指令に正弦波以外の波、例えば地震波等を用いて、算出しても良い。制御装置70は、例えば水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を記憶部72に記憶することができる。制御装置70は、目標となる鉛直荷重指令との差に基づき算出した鉛直荷重補償値を加算することで、加振対象物80の鉛直方向荷重の変動を低減することができる。
【0026】
伝達要素75は、演算部73の出力結果である出力鉛直荷重指令が入力される。伝達要素75は、演算部73で算出された出力鉛直荷重指令に対してPID制御等の各種制御を行い、結果を出力する。
【0027】
伝達要素76は、伝達要素75の出力結果が入力される。伝達要素76は、伝達要素75の出力結果に基づいて、鉛直加振装置60のサーボ指令値を算出し、算出結果を出力する。
【0028】
鉛直加振装置60は、伝達要素76から出力されたサーボ指令値に基づいて下テーブル30に対して鉛直方向の振動を加える。伝達要素77は、鉛直加振装置60に設けられる検出部61の検出結果である。伝達要素77の検出結果は、上記した演算部73に入力される。
【0029】
なお、制御装置70は、平面視における複数の鉛直加振装置60の位置関係に基づいて、鉛直荷重補償値を加算する対象となる鉛直加振装置60を選択してもよい。つまり、制御装置70は、複数の鉛直加振装置60のうち一部の鉛直加振装置60については、演算部73に対して伝達要素74の出力結果を加算しないようにすることができる。この場合、平面視における鉛直加振装置60の位置関係と、鉛直荷重補償値を加算する対象となる鉛直加振装置60との関係については、例えば予め実験又はシミュレーションにより求めておくことができる。また、平面視における鉛直加振装置60の位置関係と、鉛直荷重補償値を加算する対象となる鉛直加振装置60との最適な組み合わせを学習モデルに学習させておき、当該学習モデルに平面視における鉛直加振装置60の位置関係を入力し、学習モデルからの出力結果に基づいて鉛直荷重補償値を加算する対象となる鉛直加振装置60を選択してもよい。
【0030】
図4は、免振試験装置100の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、補償値算出ステップS10と、演算ステップS20と、制御ステップS30とを含む。
【0031】
補償値算出ステップS10では、加振対象物80に鉛直荷重を加えてテーブル部20に載置した状態で、水平加振装置50によりテーブル部20を水平方向に振動させる場合の、鉛直荷重補償値を算出する。補償値算出ステップS10では、例えば水平加振装置50への水平変位指令に基づいて、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を算出することができる。
【0032】
演算ステップS20では、算出された鉛直荷重補償値を、鉛直加振装置60の鉛直荷重指令に対して加算する。
【0033】
制御ステップS30では、演算ステップS20での算出結果に基づいて、鉛直加振装置60を制御する。
【0034】
以上のように、本開示の第1態様に係る免振試験装置100の制御装置70は、加振対象物80が載置されるテーブル部20と、テーブル部20に接続される鉛直加振装置60と、テーブル部20を水平方向に振動させる水平加振装置50とを備える免振試験装置100の制御装置70であって、加振対象物80に鉛直荷重を加えてテーブル部20に載置した状態で、水平加振装置50によりテーブル部20を水平方向に振動させる場合、水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を低減するように、鉛直加振装置60の鉛直荷重指令に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算する。
【0035】
この構成によれば、加振対象物80に鉛直荷重を加えてテーブル部20に載置した状態で、水平加振装置50によりテーブル部20を水平方向に振動させる場合において、水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を低減するように、鉛直加振装置60に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算することにより、加振対象物80の固有振動数、免振試験装置100の固有振動数等による共振の影響を抑制しつつ、フィードフォワード制御(前向き補償制御)により鉛直荷重の変動を低減することができる。なお、本実施形態における上記フィードフォワード制御(前向き補償制御)は、時間領域のみで波形を持ち上げる制御を例に挙げている。
【0036】
本開示の第2態様に従えば、第1態様に係る免振試験装置100の制御装置70において、鉛直加振装置60は、複数設けられ、複数の鉛直加振装置60は、互いに独立して制御可能である。
【0037】
この構成によれば、複数の鉛直加振装置60を互いに独立して制御することで、より適切に鉛直荷重の変動を抑制できる。
【0038】
本開示の第3態様に従えば、第1態様又は第2態様に係る免振試験装置100の制御装置70において、水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を検出し、検出結果に基づいて、鉛直加振装置60に対して、フィードバック補償値を減算する。
【0039】
この構成によれば、フィードフォワード制御とフィードバック制御とで鉛直荷重の変動を抑制するため、より適切に鉛直荷重の変動を抑制できる。
【0040】
本開示の第4態様に従えば、第1態様から第3態様のいずれかに係る免振試験装置100の制御装置70において、鉛直加振装置60は、テーブル部20の下側に配置されてテーブル部20を支持する。
【0041】
この構成によれば、テーブル部20と鉛直加振装置60とを効率的に配置することができる。
【0042】
本開示の第5態様に従えば、第1態様から第4態様のいずれかに係る免振試験装置100の制御装置70において、鉛直荷重補償値は、水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動の周波数を2倍した周波数であり、鉛直荷重指令に所定数を乗じた値を振幅とした正弦波である。
【0043】
この構成によれば、テーブル部20の水平方向の振動に応じた鉛直荷重補償値を算出することができるため、鉛直荷重の変動を適切に低減することができる。
【0044】
本開示の第6態様に従えば、第2に係る免振試験装置100の制御装置70において、平面視における複数の鉛直加振装置60の位置関係に基づいて、鉛直荷重補償値を加算する対象となる鉛直加振装置60を選択する。
【0045】
この構成によれば、平面視における複数の鉛直加振装置60の位置関係に基づいて、鉛直荷重補償値を加算する対象となる鉛直加振装置60を選択するため、鉛直荷重の変動を抑制するためのより細やかな制御が可能となる。
【0046】
本開示の第7態様に係る免振試験装置100の制御方法は、加振対象物80が載置されるテーブル部20と、テーブル部20に接続される鉛直加振装置60と、テーブル部20を水平方向に振動させる水平加振装置50とを備える免振試験装置100の制御方法であって、加振対象物80に鉛直荷重を加えてテーブル部20に載置した状態で、水平加振装置50によりテーブル部20を水平方向に振動させる場合、水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を低減するように、鉛直加振装置60に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算する。
【0047】
この構成によれば、加振対象物80に鉛直荷重を加えてテーブル部20に載置した状態で、水平加振装置50によりテーブル部20を水平方向に振動させる場合において、水平加振装置50によるテーブル部20の水平方向の振動によって生じる鉛直荷重の変動を低減するように、鉛直加振装置60に対して、鉛直荷重指令の補償値である鉛直荷重補償値を加算することにより、加振対象物80の固有振動数、免振試験装置100の固有振動数等による共振の影響を抑制しつつ、フィードフォワード制御により鉛直荷重の変動を低減することができる。
【0048】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、鉛直加振装置60がテーブル部20の下側から上方に向けて振動を作用させる構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。鉛直加振装置60がテーブル部20の上側から下方に向けて振動を作用させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 ベース部
11 凹部
20 テーブル部
30 下テーブル
40 上テーブル
41 上面
50 水平加振装置
60 鉛直加振装置
61 検出部
70 制御装置
71 処理部
72 記憶部
73 演算部
74,75,76,77 伝達要素
80 加振対象物
90 反力梁
100 免振試験装置