(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012851
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20250117BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K3/46 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116000
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 秀人
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC39
5E316CC40
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD32
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5E316FF03
5E316FF07
5E316FF09
5E316FF10
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG15
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5E316GG23
5E316GG28
5E316HH32
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5E316JJ01
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB14
5E338BB75
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】外部要素との接続信頼性が高い配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板1は、第1絶縁層11と、第1絶縁層11上に形成される第1導体層12と、第1導体層12上及び第1絶縁層11上に形成される第2絶縁層13と、第2絶縁層13を厚さ方向に貫通する第1開口131及び第2開口132と、
を有している。第1開口131の底面には第1導体層12が露出しており、第2開口132の底面には第1導体層12が露出しておらず、第1開口131における側壁面と底面とが第1開口131の外側においてなす第1角度θ1の値と、第2開口における側壁面と底面とが第2開口132の外側においてなす第2角度θ2の値とは異なっており、第2開口132における底面と反対側のトップ径の寸法は、第2開口132における底面側のボトム径の寸法よりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成される第1導体層と、
前記第1導体層上及び前記第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通する第1開口及び第2開口と、
を有する配線基板であって、
前記第1開口の底面には前記第1導体層が露出しており、
前記第2開口の底面には前記第1導体層が露出しておらず、
前記第1開口における側壁面と底面とが前記第1開口の外側においてなす第1角度の値と、前記第2開口における側壁面と底面とが前記第2開口の外側においてなす第2角度の値とは異なっており、
前記第2開口における底面と反対側のトップ径の寸法は、前記第2開口における底面側のボトム径の寸法よりも大きい。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2絶縁層の上面、前記第1開口の内面、及び、前記第2開口の内面は、外部の部品が搭載されるべき部品搭載領域を有する部品搭載面を構成しており、前記第1開口及び前記第2開口は前記部品搭載領域内に形成されている。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2角度の値は45度以上、74度以下であり、前記第1角度の値は75度以上、105度以下である。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1開口における底面側のボトム径の寸法は、前記第1開口における底面と反対側のトップ径の寸法より大きい。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2開口におけるトップ径の寸法は、前記第1開口におけるトップ径の寸法の5倍以上である。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2開口の深さは、15μm以上、40μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、絶縁層、絶縁層上に形成された接続パッド、及び、絶縁層ならびに接続パッド上に形成されるソルダーレジスト、を有する配線基板が開示されている。ソルダーレジストは接続パッドを露出させる開口を備えている。ソルダーレジストに形成された開口の壁面は、ソルダーレジストの厚さ方向における中間の部分で開口の内側に向かって突出する凸部を有しており、接続パッド付近の部分においては開口の外側に向かって凹む凹部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配線基板では、ソルダーレジストに形成された開口内へ外部の要素が挿入される際、外部の要素と開口壁面とが干渉することにより、挿入が困難になる場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成される第1導体層と、前記第1導体層上及び前記第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通する第1開口及び第2開口と、を有している。前記第1開口の底面には前記第1導体層が露出しており、前記第2開口の底面には前記第1導体層が露出しておらず、前記第1開口における側壁面と底面とが前記第1開口の外側においてなす第1角度の値と、前記第2開口における側壁面と底面とが前記第2開口の外側においてなす第2角度の値とは異なっており、前記第2開口における底面と反対側のトップ径の寸法は、前記第2開口における底面側のボトム径の寸法よりも大きい。
【0006】
本発明の実施形態によれば、トップ径の寸法がボトム径の寸法よりも大きい第2開口を備え、従って、外部の要素の配線基板に対する搭載が比較的容易に実現可能な配線基板が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図4A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1は、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の断面図を示しており、
図2は、
図1に示される配線基板1の一点鎖線で囲われる部分IIを拡大図で示している。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、実施形態の特徴が理解され易いように描かれている。図示される配線基板1は、本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層及び絶縁層それぞれの数は、図示される配線基板1の積層構造、並びに配線基板1に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
【0009】
図1に示されるように、配線基板1は、第1主面1F、及び第1主面1Fと反対側の第2主面1Sを有している。配線基板1は、第1主面1F及び第2主面1Sのうちの少なくとも一方側(
図1の例では、第1主面1F側)に、絶縁層11、絶縁層11上に形成され導体パッドP1含む導体層12、及び、導体層12上に形成されて開口131、132を備える絶縁層13を備えている。絶縁層13はソルダーレジスト層であり得る。詳しくは後述されるように、実施形態の配線基板では、ソルダーレジスト層であり得る絶縁層13が備える開口131、132が所定の形状を有する。開口131の底面には導体パッドP1が露出し、開口132の底面には絶縁層11が露出している。
図1の例では、配線基板1は、所謂、多層配線基板である。しかし、実施形態の配線基板は、所謂、両面配線基板であってもよい。
【0010】
図1の例では、配線基板1は、コア基板100と、コア基板100の一方の主面(第1面100F)上に形成されている第1配線構造10と、コア基板100の他方の主面(第2面100S)上に形成されている第2配線構造20と、を含んでいる。
【0011】
なお、本実施形態の配線基板の説明においては、コア基板100から遠い側を、「上」、「上側」、「外側」、又は「外」と称し、コア基板100に近い側を、「下」、「下側」、「内側」、又は「内」と称する。また、各構成要素において、コア基板100と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板100側を向く表面は「下面」とも称される。
【0012】
図1の例では、コア基板100は、絶縁層(コア絶縁層)101と、コア絶縁層101の両面に形成された導体層(コア導体層)102と、を含んでいる。コア導体層102は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。コア基板100のコア絶縁層101には、コア基板100における第1面100Fを構成する導体層102の導体パターンと、第2面100Sを構成する導体層102の導体パターンと、を接続するスルーホール導体103が形成されている。筒状のスルーホール導体103の内部は、例えば、エポキシ樹脂などの任意の樹脂を含む樹脂体104で充填されている。
【0013】
図1の例では、第1配線構造10は、コア基板100の第1面100F上に交互に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。具体的には、第1配線構造10は、コア基板100の第1面100F上に複数の絶縁層11及び導体層12、並びに絶縁層13が積層された多層配線構造を有している。絶縁層11はそれぞれビア導体14を含んでいる。第1配線構造10の導体層12のそれぞれは、ビア導体14に接続されている。第1配線構造10における絶縁層13の上面及び開口131、132の側壁面、最外の導体層12の露出面(開口131の底面)、及び、最外の絶縁層11の露出面(開口132の底面)によって、配線基板1の第1主面1Fが構成されている。
【0014】
第1主面1Fを構成する最も外側の絶縁層11は第1絶縁層11とも称される。第1絶縁層11上に形成される最も外側の導体層12は第1導体層12とも称される。第1導体層12上に形成される絶縁層13は第2絶縁層13とも称される。また、第2絶縁層13に形成される開口131は第1開口131とも称され、開口132は第2開口132とも称される。
【0015】
図1の例では、第2配線構造20は、コア基板100の第2面100S上に交互に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。具体的には、第2配線構造20は、コア基板100の第2面100S側に、複数の絶縁層21及び導体層22、並びに絶縁層23が積層された多層配線構造を有している。絶縁層21はそれぞれビア導体24を含んでいる。第2配線構造20の導体層22のそれぞれはビア導体24に接続されている。図示の例では、絶縁層23には開口231が形成されており、開口231の底面には、最外の導体層22が露出している。第2配線構造20の最外の絶縁層23の上面、開口231の側壁面、及び、導体層22の露出面によって、配線基板1の第2主面1Sが構成されている。
【0016】
配線基板1を構成する絶縁層101、11、21、はそれぞれ、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。各絶縁層101、11、21は、ガラス繊維などの補強材(芯材)、及び/又は、シリカ、アルミナなどの無機フィラーを含み得る。ソルダーレジスト層であり得る絶縁層13、23は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成され得る。
【0017】
導体層102、12、22、ビア導体14、24、スルーホール導体103は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され、例えば、銅箔などの金属箔、及び/又は、めっきもしくはスパッタリングなどで形成される金属膜によって構成され得る。導体層102、12、22、ビア導体14、24、スルーホール導体103は、
図1では単層構造で示されているが、2つ以上の金属層を有する多層構造を有し得る。例えば、絶縁層101の表面上に形成されている導体層102は、金属箔(好ましくは銅箔)、無電解めっき膜(好ましくは無電解銅めっき膜)、及び電解めっき膜(好ましくは電解銅めっき膜)を含む5層構造を有し得る。また、導体層12、22、ビア導体14、24、スルーホール導体103は、例えば、無電解めっき膜及び電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。
【0018】
第1配線構造10が有する導体層12、及び、第2配線構造20が有する導体層22は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。第1配線構造10を構成する複数の導体層12のうち最外の第1導体層12は、導体パッドP1を含んでいる。
図1の例では、第2配線構造20を構成する複数の導体層22のうち最外の導体層22は導体パッドP2を有している。導体パッドP1は、配線基板1の使用時において、配線基板1と接続される電子部品であり得る外部要素E1の接続パッドE1pと電気的に接続され得る。すなわち、配線基板1の第1主面1Fは外部の電子部品が搭載され得る部品搭載面として構成されている。部品搭載面として構成される第1主面1Fは、外部要素E1が搭載される領域として部品搭載領域EAを備えている。なお、第2主面1Sに露出する導体パッドP2は、配線基板1と、例えば、電子機器のマザーボードや積層構造を有する半導体装置のパッケージ基板などとの接続に用いられ得る。
【0019】
図1においては図示を省略されているが、導体パッドP1及び導体パッドP2は、その表面に表面処理層を含み得る。導体パッドP1、P2の表面に形成され得る表面処理層は、それぞれ、例えば、導体パッドP1、P2の露出部分の防食処理及び/又は防錆処理によって形成される被膜である。表面処理層によって、導体パッドP1、P2の腐食や酸化などが防がれ得る。導体パッドP1、P2の表面に形成され得る表面処理層は、例えば、導体パッドP1、P2のコア部分とは異なる金属を含む金属被膜や、イミダゾール化合物などの有機物を含む有機被膜である。導体パッドP1、P2のコア部分が銅で形成されている場合、表面処理層は、ニッケル、パラジウム、銀、金、もしくはこれらの合金、又ははんだなどによって形成され得る。
【0020】
底面に第1導体層12(具体的には、導体パッドP1)の上面を露出させる第1開口131、及び、底面に絶縁層11の上面を露出させ第1導体層12を露出させていない第2開口132は、部品搭載領域EA内に位置するように形成されている。外部要素E1が配線基板1に接続される際に、第1開口131の底面を構成する導体パッドP1は、外部要素E1の接続パッドE1pと、例えば、はんだボールなどの接続要素を介して接続され得る。一方、外部要素E1が配線基板1に接続される際、第2開口132の内部には外部要素E1を構成する突出部EPが収容され得る。突出部EPは、例えば、図示されるように、外部要素E1における接続パッドE1pが形成されている側に位置する部分であって、接続パッドE1pよりも配線基板1側に突出した部分である。突出部EPは、例えば、外部要素E1の主要部分に電気的に接続された受動部品であり得る。このような突出部EPを備える外部要素が配線基板に接続される際には、配線基板の表面と突出部とが干渉(接触)して、外部要素と配線基板との接続が実現され得ない場合がある。実施形態の配線基板では、第2開口132が形成されていることで、突出部EPと配線基板1との干渉が回避され、外部要素E1の配線基板1への搭載が良好に実現され得る。
【0021】
具体的には、外部要素E1と配線基板1との良好な接続を実現するために、第2開口132は、外側から内側に向かって縮径するテーパ形状を有している。すなわち、第2開口132の最も外側の部分における(第2絶縁層13の上面における)径(トップ径)の寸法は第2開口132の底面における径(ボトム径)の寸法よりも大きい。第2開口132がこのような形状を有することにより、外部要素E1の配線基板1への接続において、突出部EPと第2開口132の側壁面との干渉が効果的に抑制され得る。突出部EPを有する外部要素E1が比較的容易に搭載される配線基板が実現され得る。
【0022】
なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、第2開口132の平面視における開口形状は必ずしも円形に限定されない。例えば、平面視において、円形、楕円形、矩形、など、任意の形状を有し得る。「径」は、開口の水平断面における外周上の最長の2点間の距離を意味し、「縮径」は、単に、開口の水平断面における外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。なお「平面視」は、配線基板1をその厚さ方向に沿う視線に沿って見ることを意味している。
【0023】
また、突出部EPが収容され得る第2開口132内には導体層12は露出しておらず、第2開口132の底面は第1絶縁層11で構成されている。これにより、第2開口132は配線基板1の厚さ方向において比較的寸法の大きい(比較的深い)開口として構成され得る。従って、配線基板1の厚さ方向における寸法が比較的大きい突出部EPを有する外部要素E1あっても、その配線基板1への搭載において突出部EPは第2開口132内に比較的容易に収容され得る場合がある。比較的大きい突出部EPを有する外部要素E1と配線基板1との良好な接続が実現され得る場合がある。
【0024】
配線基板1の第1主面1F側に形成される第1開口131及び第2開口132の形状について、以下、
図2を参照してさらに詳しく説明される。
図2に示される断面図は、
図1において符号IIで示される一点鎖線で囲まれた第1主面1Fの近傍の領域の拡大図である。図示されるように、第1開口131の側壁面と底面とが第1開口131の外側において角度θ1をなしており、第2開口132の側壁面と底面とは第2開口132の外側において角度θ2をなしている。角度θ1は第1角度θ1とも称され、角度θ2は第2角度θ2とも称される。
【0025】
導体パッドP1を底面に露出させる第1開口131は、例えば、外部要素E1の接続パッドE1pとの接続に用いられる接続要素をその中に収容して第2絶縁層13上面における濡れ拡がりを抑制するために、所定の範囲の第1角度θ1を有するように形成され得る。これに比して、第2開口132は、外部要素E1が配線基板1に搭載される際の、突出部EPの第2開口132内への収容の容易性などを考慮して、所定の範囲の第2角度θ2を有するように形成される。実施形態の配線基板においては、第2角度θ2の値と第1角度θ1の値とは異なっている。上述されたように、第2開口132は外側から内側に向かって縮径しており、第2角度θ2は90度より小さい。
【0026】
第2開口132の第2角度θ2が比較的小さい場合には、外部要素E1が配線基板1に搭載される際(具体的には、突出部EPが第2開口132内に収容される際)、突出部EPと第2開口132の側壁面とが干渉する虞が低減され得る。従って、突出部EPの第2開口132内における収容されるべき位置への配置が、比較的容易に実現され得る。配線基板1に対しての外部要素E1の搭載が比較的容易に実現され得る。また、第2角度θ2が比較的大きい場合は、平面方向(第1主面1Fの延在方向)における、開口132が占める範囲が比較的小さい範囲に限定され得る。従って、接続パッドE1pと突出部EPが比較的近接して配置されている場合であっても、外部要素E1の配線基板1への搭載が比較的良好に実現される場合がある。これらの観点から、第2角度θ2は、45度以上、且つ、74度以下、の範囲内の値を有し得る。
【0027】
図示されるように、第1開口131の底面には第1導体層12の上面が露出し、第2開口132の底面には第1絶縁層11の上面が露出する。すなわち、第1開口131及び第2開口132の深さ(配線基板1の厚さ方向の寸法)について、第2開口132の深さは第1開口131の深さよりも大きい。また、第2開口132の深さは、第2絶縁層13の厚さと略等しい。第2絶縁層13は、例えば、15μm以上、40μm以下の厚さを有し、従って、第2開口132は第2絶縁層13の厚さと略等しく、15μm以上、40μm以下の深さを有し得る。なお、第2開口132の深さtは、第2絶縁層13の厚さよりも大きい値を有する場合がある。第2開口132の底面は、第1絶縁層11の上面からさらに内側の第1絶縁層11の内部で構成される場合がある。この場合、第2開口132の底面近傍における側壁面も第1絶縁層11によって構成される。より深さの大きい第2開口132が形成され得る。この構成により、配線基板の厚さ方向における寸法がより大きい突出部EPを収容し得る、より深さtの大きい第2開口132が実現され得る。
【0028】
また、第1開口131及び第2開口132の平面方向における(即ち、第1主面1Fの延在方向における)寸法について、第2開口132の径は第1開口131の径よりも大きい。具体的には、第2開口132のトップ径の寸法は第1開口131のトップ径の寸法の5倍以上であり得る。さらに具体的には、第1開口131のトップ径が30μm以上、50μm以下の値を有し得るのに対して、第2開口132のトップ径は220μm以上、450μm以下の値を有し得る。このように、第2開口132の平面方向の寸法が、第1開口131の平面方向の寸法に比して比較的大きく形成されていることによって、平面方向において比較的大きい寸法の突出部EPを有する外部要素E1の、配線基板1に対する接続が比較的容易に実現され得る場合がある。
【0029】
図2には、第1開口131及び第2開口132が、配線基板1の外側から内側に向かって縮径する形状を有する例(すなわち、第1角度θ1及び第2角度θ2が90度以下である例)が示されたが、第1開口131の第1角度θ1は
図2に示される例に限定されない。第1角度θ1は90度以上の値を有しても良い。例えば、第1角度θ1は、75度以上、且つ、105度以下の範囲内の値を有し得る。
図3には、第1角度θ1が90度より大きい例が示されている。すなわち、図示されるように、第1開口131は内側から(第1絶縁層11側から)、外側へ(第2絶縁層13の上面側へ)向かって縮径している。
【0030】
第1開口131がこのように内側から外側に向かって縮径するテーパ形状を有する場合、外部要素E1の接続パッドE1pと導体パッドP1との間に介在し開口131内に収容され得る接続要素の絶縁層13の上面における濡れ広がりが、より効果的に抑制される場合がある。従って、外部要素E1が配線基板1に接続される際の、隣接する導体パッドP1同士の短絡がより効果的に抑制される場合がある。外部要素E1と配線基板1との接続信頼性が向上し得る。
【0031】
図1、
図2、及び、
図3を参照して説明された第1開口131並びに第2開口132の形状は、詳しくは配線基板の製造方法の説明において後述されるように、ソルダーレジスト層であり得る第2絶縁層13の形成時に調整され得る。具体的には、例えば、第2絶縁層13に開口131、132を形成するフォトリソグラフィ工程における露光及び現像の条件によって調整され得る。
【0032】
実施形態の配線基板は、任意の一般的な配線基板の製造方法によって製造され得る。
図4A~
図4Dを参照して、
図1に示される配線基板1が製造される場合を例に、配線基板の製造方法が説明される。先ず、
図4Aに示されるように、コア基板100が用意される。コア基板100の用意では、例えば、コア絶縁層101の表面に金属箔が設けられた両面銅張積層板が用意される。両面銅張積層板に貫通孔103oが例えばドリル加工によって形成され、貫通孔103oの内壁及び金属箔の上面に、例えば無電解めっき膜が形成され、この無電解めっき膜の上に、この無電解めっき膜を給電層として用いて電解めっき膜が形成される。
【0033】
貫通孔103oの内壁に形成されるスルーホール導体103の内側には、例えばエポキシ樹脂を注入することによって、スルーホール導体103の内部が樹脂体104で充填される。充填された樹脂体104が固化された後、樹脂体104及び電解めっき膜の上面に、さらに無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成される。この結果、図では単層で示されているが、金属箔、無電解めっき膜、電解めっき膜、無電解めっき膜、及び電解めっき膜の5層構造を有する導体層102が、絶縁層101の両面に形成される。そしてサブトラクティブ法によって導体層102をパターニングすることによって所定の導体パターンを備えるコア基板100が得られる。
【0034】
次いで、
図4Bに示されるように、コア基板100の第1面100F上に、複数の絶縁層11及び導体層12が交互に積層され、第2面100S上には、複数の絶縁層21及び導体層22が交互に積層される。例えば、コア基板100に接する各絶縁層11、21は、フィルム状の絶縁性樹脂を、コア基板100上に熱圧着することによって形成され得る。導体層12、22は、絶縁層11、21に例えばレーザー光によって形成され得る開口を充填するビア導体14、24と同時に、セミアディティブ法などの任意の導体パターンの形成方法を用いて形成される。絶縁層11、21及び導体層12、22の形成が繰り返され、図示されるように、第1面100F側の最外の導体層(第1導体層)12、及び、第2面100S側の最外の導体層22が積層された状態となる。最外の第1導体層12は、第1導体パッドP1を含むパターンに形成される。最外の導体層21は導体パッドP2を含むパターンに形成される。
【0035】
次いで、
図4Cに示されるように、第1絶縁層11及び第1導体層12の表面上に、感光性膜により第2絶縁層13が形成される。絶縁層21及び導体層22の表面上には、感光性膜により絶縁層23が形成される。絶縁層13、23は、例えば感光性の樹脂(例えばエポキシ樹脂)から構成され、スプレーコーティング、カーテンコーティング、又はラミネーションなどによって形成され得る。
【0036】
次いで、
図4Dに示されるように、開口131、132が第2絶縁層13に形成され、開口231が絶縁層23に形成される。開口131、132の形成においては、フォトマスクを使用した光照射による第2絶縁層13の露光、及び、薬液を使用する現像によって、開口131、132が形成される。露光には、形成されるべき開口131、132のパターンに対応した透光部が形成されているフォトマスクが使用され得る。フォトマスクの外側に位置する光源から照射された光がフォトマスクの透光部を通過して絶縁層13に照射される。絶縁層13を構成する感光性の樹脂の属性(ポジ/ネガ)に応じて、絶縁層13の露光された部分が変質する。その後、レジストフィルムのうちの露光された部分(ポジの場合)、又は、露光されなかった部分(ネガの場合)が現像によって除去されることで、第1開口131、及び、第2開口132が形成される。
【0037】
具体的には、例えば、第2絶縁層13にネガ型の感光性樹脂が用いられる場合、第2絶縁層13における第1開口131及び第2開口132の形成においては、開口131、132が形成されるべき領域を照射光から遮蔽するパターンを有するフォトマスクが使用され得る。フォトマスクの透光部を通過した照射光は、フォトマスクから離れるにしたがって(第1絶縁層11に近づくにしたがって)回折により平面方向に拡がり得る。すなわち、絶縁層13において露光の影響により変質する部分が、絶縁層11に近づくにしたがって平面方向に拡大する。従って、続く現像工程で露光されずに変質していない部分が除去されることにより、外側から内側に向かって縮径する開口131、132が形成され得る。
【0038】
第1開口131の第1角度θ1、及び、第2開口132の第2角度θ2(
図2参照)は、露光の条件、並びに、現像処理の条件などによって調整され得る。例えば、上述のように第2絶縁層13にネガ型の感光性樹脂が用いられる場合には、露光に使用されるフォトマスクの、遮蔽部分(開口131、132が形成されるべき位置)周縁に位置する透光部における光透過率が調整され得る。遮蔽部分周縁に位置する透光部における光透過率を異ならせることによって、テーパ角の異なる第1開口131、第2開口132が形成され得る。また、例えば、第1開口131における第1角度θ1と第2開口132における第2角度θ2(
図2参照)とを、それぞれ好ましい大きさの角度に形成するために、第1開口131の形成と第2開口132の形成とで異なるフォトマスクが使用される場合がある。この場合、第1開口131形成用マスクを使用する露光と、第2開口132形成用マスクを使用する露光とでは、異なる条件で露光が実施される場合がある。
【0039】
図3に示されるような、内側から外側へ向かって縮径する形状の第1開口131を形成する場合にも、その形状は、露光処理の条件、並びに、現像処理の条件の調整によって形成され得る。例えば、フォトマスクの第1開口131が形成されるべき位置に対応する遮蔽部分周縁に位置する透光部における光透過率が比較的低くなるように調整されることで、絶縁層13の露光によって変質しない部分は絶縁層13の内側に向かうに従って(導体パッドP1に近づくにしたがって)広がり得る。従って、現像によって、内側から外側に向かって縮径する第1開口131が形成され得る。なお、第2主面1S側の絶縁層23にも、絶縁層23の露光及び現像の工程によって、開口が形成される。第1主面1F側では、底面に導体パッドP1を露出させる第1開口131、及び、底面に第1絶縁層11の上面を露出させる第2開口132が形成され、第2主面1S側では、導体パッドP2を底面に露出させる開口231が形成された状態となる。配線基板1の形成が完了する。
【0040】
なお、フォトリソグラフィによる開口の形成方法が説明されたが、開口131、132、231の形成方法はこれに限定されない。開口131、132、231は、例えば、硬化された絶縁層13、23に対するレーザー光の照射によって形成されてもよい。この場合、特に、形成される開口131、132の形状は、レーザー光の照射条件(例えば、レーザー径、レーザー強度、等)、並びに、続いて実施され得る薬液を使用するスミア除去処理(デスミア処理)の条件(例えば、薬液濃度、処理温度、処理時間、等)によって調整され得る。
【0041】
開口131、132、231の形成によって露出する導体パッドP1、P2の表面には表面処理層が形成され得る。例えば、スプレーイングによって耐熱性の有機物を塗布することにより、イミダゾール化合物などの有機物を含む有機被膜が形成され得る。又は、例えば、無電解めっきなどによって、ニッケル、パラジウム、金などの金属を析出させることにより金属被膜が形成され得る。開口131、132、231から露出する導体パッドP1、P2には、無電解めっき、半田レベラ、又はスプレーコーティングなどによって、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Au、はんだ、又は耐熱性プリフラックスなどからなる表面保護膜(図示せず)が形成されてもよい。
【0042】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。例えば、実施形態の配線基板における第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20は任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。配線基板は、コア基板を有する態様に限定されず、コアレス基板であってよい。
【符号の説明】
【0043】
1 配線基板
100 コア基板
101 コア絶縁層
102 コア導体層
103 スルーホール導体
11 絶縁層(第1絶縁層)
12 導体層(第1導体層)
13 絶縁層(第2絶縁層)
131 開口(第1開口)
132 開口(第2開口)
231 開口
P1、P2 導体パッド
E1 外部要素
EP 突出部
E1p 接続パッド
θ1 第1角度
θ2 第2角度