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特開2025-12874運転者監視装置、運転者監視方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012874
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】運転者監視装置、運転者監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250117BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116039
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】大見 拓寛
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF04
5H181LL06
5H181LL20
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA03
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】運転者がドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話する行動を抑制する。
【解決手段】運転者監視装置20は、ドライバモニタカメラ3によって撮影された車両1の運転者の顔を含むドライバモニタカメラ画像を取得する取得部231と、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像に基づいて運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話しているか否かを推定する推定部233とを備え、推定部233は携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出され次いで携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態が検出されかつ通話の継続を示す運転者の特徴的な行為が検出された場合に運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話していると推定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバモニタカメラによって撮影された車両の運転者の顔を含むドライバモニタカメラ画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記ドライバモニタカメラ画像に基づいて、運転者が、前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話しているか否かを推定する推定部とを備え、
前記推定部は、
携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出され、次いで、携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態が検出されかつ通話の継続を示す運転者の特徴的な行為が検出された場合に、
運転者が前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話していると推定する、運転者監視装置。
【請求項2】
前記通話の継続を示す運転者の特徴的な行為には、通話の継続を示す運転者の口の動き、携帯電話を持つ運転者の手を、ステアリングを把持する位置以外の位置まで移動させる行為及び運転者が手に持っている携帯電話をチラチラ見る行為の少なくともいずれかが含まれ、
前記推定部は、前記ドライバモニタカメラ画像と骨格検知とを用いることによって、携帯電話を持つ運転者の手を、前記ステアリングを把持する位置以外の位置まで移動させる行為が検出されたか否かを推定する機能を有する、請求項1に記載の運転者監視装置。
【請求項3】
携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出されたときと、携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態及び前記通話の継続を示す運転者の特徴的な行為が検出されたときとで異なる態様で警報を発報する警報部を備える、請求項1又は2に記載の運転者監視装置。
【請求項4】
運転者監視装置が、ドライバモニタカメラによって撮影された車両の運転者の顔を含むドライバモニタカメラ画像を取得する取得ステップと、
前記運転者監視装置が、前記取得ステップにおいて取得された前記ドライバモニタカメラ画像に基づいて、運転者が、前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話しているか否かを推定する推定ステップとを備え、
前記推定ステップでは、
携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出され、次いで、携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態が検出されかつ通話の継続を示す運転者の特徴的な行為が検出された場合に、
運転者が前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話していると推定される、運転者監視方法。
【請求項5】
プロセッサに、
ドライバモニタカメラによって撮影された車両の運転者の顔を含むドライバモニタカメラ画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記ドライバモニタカメラ画像に基づいて、運転者が、前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話しているか否かを推定する推定ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記推定ステップでは、
携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出され、次いで、携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態が検出されかつ通話の継続を示す運転者の特徴的な行為が検出された場合に、
運転者が前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話していると推定される、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転者監視装置、運転者監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転席の真正面に位置するカメラが運転者画像を撮影する旨、運転者画像から頭部姿勢情報、目部状態情報、口部状態情報等を得て、それらに基づいて運転者の注意散漫状態を検出して注意散漫動作(電話通話動作等)が発生したか否かを決定する(顔の局所領域(口部領域、目部領域等)、手部領域、動作関連物(携帯電話等)を含む動作目標枠を決定すること等を含む)旨等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-527900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された技術では、運転者がカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話(つまり、運転者画像に含まれない携帯電話)を手に持って通話しているか否かを判定することができず、そのため、運転者がカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話する行動を抑制することができない。
【0005】
上述した点に鑑み、本開示は、運転者がドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話する行動を抑制することができる運転者監視装置、運転者監視方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ドライバモニタカメラによって撮影された車両の運転者の顔を含むドライバモニタカメラ画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記ドライバモニタカメラ画像に基づいて、運転者が、前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話しているか否かを推定する推定部とを備え、前記推定部は、携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出され、次いで、携帯電話及び携帯電話を持つ運転者の手が前記ドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態が検出されかつ通話の継続を示す運転者の特徴的な行為が検出された場合に、運転者が前記ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話していると推定する、運転者監視装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、運転者がドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話する行動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の運転者監視装置20が適用された車両1の一例を示す図である。
図2図1に示す運転者監視装置20の具体的な構成の一例を示す図である。
図3図1に示すドライバモニタカメラ3の配置の一例を示す図である。
図4】第1実施形態の運転者監視装置20における骨格検知の用い方を概念的に説明するための図である。
図5】第1実施形態の運転者監視装置20によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本開示の運転者監視装置、運転者監視方法及びプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の運転者監視装置20が適用された車両1の一例を示す図である。図2図1に示す運転者監視装置20の具体的な構成の一例を示す図である。図3図1に示すドライバモニタカメラ3の配置の一例を示す図である。
図1図3に示す例では、車両1が、車速センサ2と、ドライバモニタカメラ3と、HMI(Human Machine Interface)4と、GPS(Global Positioning System)ユニット5と、地図情報ユニット6と、車両制御装置10と、操舵アクチュエータ11と、制動アクチュエータ12と、駆動アクチュエータ13と、車内ネットワーク14と、運転者監視装置20とを備えている。図3に示すように、ドライバモニタカメラ3は、車両1の運転者の顔及び上半身の一部を撮像することができるように、車両1のステアリングコラム(図示せず)の上部に配置されている。他の例では、ドライバモニタカメラ3が車両1のセンタークラスタに配置されたり、ドライバモニタカメラ3が車両1のルームミラー、メータパネル、メータフード等に配置されたりしてもよい。
【0011】
図1図3に示す例では、運転者監視装置20が、通信インターフェース(I/F)21と、メモリ22と、プロセッサ23と、信号線24とを備えている。プロセッサ23は、取得部231としての機能と、検出部232としての機能と、推定部233としての機能と、判定部234としての機能と、警報部235としての機能とを有する。
取得部231は、ドライバモニタカメラ3によって撮影された車両1の運転者の顔を含むドライバモニタカメラ画像を取得する。
検出部232は、例えば顔認識AI(人工知能)等のような公知の顔認識技術を用いることにより、ドライバモニタカメラ画像に含まれる車両1の運転者の顔の位置を検出する機能を有する。また、検出部232は、公知の顔部品検出技術と同様の技術を用いることにより、ドライバモニタカメラ画像に含まれる車両1の運転者の手を検出する機能を有する。更に、検出部232は、公知の物体検出(物体検知)技術を用いることにより、ドライバモニタカメラ画像に含まれる物体(例えば携帯電話等)を検出する機能を有する。
つまり、検出部232は、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれる状態(つまり、携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にある状態)を検出する機能を有する。また、検出部232は、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態(つまり、携帯電話又は車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近になくなった状態)を検出する機能を有する。
【0012】
例えば、中華人民共和国国家標準GB/T 41797-2022では、手に持ったスマホを顔から5cmのところに3秒以上保持したら運転者に警報することが求められている。しかしながら運転者に警報されても運転者がすぐに通話を止めることはあまり期待できず、スピーカーホンにして通話を継続することなどが考えられる。例えば、中華人民共和国国家標準GB/T 41797-2022に準拠した検知をするためには、ドライバモニタリングによって運転者の顔、顔付近の手、スマホ本体等を検出することになるが、スピーカーホンでスマホをホーンパット付近等に持たれると、運転者の手及びスマホがドライバモニタカメラの画角から外れる(ドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する)ため、運転者の手及びスマホを検出することが困難になる。ドライバモニタリングの弱点を悪用されてスマホによる通話が継続されることは不安全行動をさらに助長されることになるため、この状態を検出することが必要となる。
【0013】
上述した点に鑑み、図1図3に示す例では、検出部232が、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為(「通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為」については後で詳細に説明する。)を検出する機能を有する。
具体的には、検出部232は、例えば、ドライバモニタカメラ画像及び骨格検知(例えば下記のURLが示すWEBサイトに記載された技術を用いた骨格検知)の結果(例えばドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する骨格検知の対象の運転者の上腕、前腕等の方向)と、ドライバモニタカメラ画像に含まれ骨格検知の対象の運転者がドライバモニタカメラの撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す特徴的な行為をしたか否かを示すラベルとのデータセットである教師データを用いた学習を行うことによって得られたモデルを用いることにより、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像と骨格検知の結果(例えばドライバモニタカメラ画像からはみ出している車両1の運転者の上腕、前腕等の方向)とに基づいて、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為を検出する。
https://www.autoconnectedcar.com/2019/03/eyesight-tech-knows-whos-in-the-car/
【0014】
上記のURLが示すWEBサイトに記載された技術では、そのWEBサイトのトップページの画像中の運転者の上腕(一部のみが画像に含まれている)の方向を検知することができる。また、この骨格検知では、その画像中の助手席の搭乗者の前腕(肘までが画像に含まれている)の方向を検知することができる。
【0015】
他の例では、検出部232が、上述した学習済みのモデルを用いることなく、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像と骨格検知の結果(例えばドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する車両1の運転者の上腕、前腕等の位置、角度等)とに基づいて、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為を検出してもよい。
【0016】
図1図3に示す例では、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為に、通話の継続を示す車両1の運転者の口の動きが含まれる。
つまり、検出部232は、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の口の動きを検出する機能を有する。具体的には、検出部232は、例えば、ドライバモニタカメラ画像と、ドライバモニタカメラ画像に含まれる運転者がドライバモニタカメラの撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す口の動きをしたか否かを示すラベルとのデータセットである教師データを用いた学習を行うことによって得られたモデルを用いることにより、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像に基づいて、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の口の動きを検出する。
【0017】
また、図1図3に示す例では、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為に、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置(ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外の位置)まで移動させる車両1の運転者の行為が含まれる。
つまり、検出部232は、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為を検出する機能を有する。具体的には、検出部232は、上述した骨格検知を用いることによって、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為を検出する。
【0018】
図4は第1実施形態の運転者監視装置20における骨格検知の用い方を概念的に説明するための図である。詳細には、図4(A)は車両1の運転者が携帯電話を手に持つ前(携帯電話を手に持って通話を開始する前)に両手でステアリングSTを把持している状態を示している。図4(B)は車両1の運転者が運転中に手に持った携帯電話を耳に当てて通話している状態を示している。図4(C)は車両1の運転者が携帯電話を持つ手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させて通話を継続している状態を示している。
第1実施形態の運転者監視装置20の一例では、図4(A)に示すような車両1の運転者が携帯電話を手に持つ前(携帯電話を手に持って通話を開始する前)に両手でステアリングSTを把持している状態におけるドライバモニタカメラ画像が予めメモリ22に記憶される。
また、第1実施形態の運転者監視装置20の一例では、車両1の運転者が運転中に手に持った携帯電話を耳に当てて通話している状態(図4(B)に示す状態)から、車両1の運転者が携帯電話を持つ手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させて通話を継続している状態(図4(C)に示す状態)に遷移すると、車両1の運転者が手に持っている携帯電話が、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する。検出部232は、骨格検知を用いることによって例えば車両1の運転者の上腕及び前腕の方向を検知し(つまり、車両1の運転者の上腕及び前腕の位置、角度が変化したことを検知し、車両1の運転者が、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させたこと(車両1の運転者の特徴的な行為)を検出する。
【0019】
図1図3に示す例では、推定部233が、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像に基づき、例えば図4(A)に示す状態における骨格検知の結果等と図4(C)に示す状態における骨格検知の結果等とを比較することによって、車両1の運転者が、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)か否かを推定する。
また、図1図3に示す例では、推定部233が、骨格検知技術を用いるだけではなく、図4(A)に示す状態におけるドライバモニタカメラ画像及び図4(C)に示す状態におけるドライバモニタカメラ画像と、図4(A)に示す状態から図4(C)に示す状態に遷移したときに運転者がドライバモニタカメラの撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話を継続しているか否かを示すラベルとのデータセットである教師データを用いた学習を行うことによって得られたモデルを用いることにより、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像に基づいて、車両1の運転者が、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)か否かを推定する。
他の例では、推定部233が、上述した学習済みのモデルを用いることなく、例えば図4(A)に示す状態における骨格検知の結果等と図4(C)に示す状態における骨格検知の結果等とを比較することによって、車両1の運転者が、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)か否かを推定してもよい。
【0020】
更に、図1図3に示す例では、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為に、車両1の運転者が手に持っている携帯電話をチラチラ見る行為が含まれる。
つまり、検出部232は、ドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に移動させられた携帯電話を用いた通話の継続を示す、手に持っている携帯電話をチラチラ見る車両1の運転者の行為を検出する機能を有する。具体的には、検出部232は、例えば、ドライバモニタカメラ画像と、ドライバモニタカメラ画像に含まれる運転者の視線及び/又は顔向きが短い周期で車両の前方と車両の前方以外の特定の位置とに交互に向いた否かを示すラベルとのデータセットである教師データを用いた学習を行うことによって得られたモデルを用いることにより、取得部231によって取得されたドライバモニタカメラ画像に基づいて、車両1の運転者が手に持っている携帯電話をチラチラ見る行為を検出する。
【0021】
また、図1図3に示す例では、推定部233は、車両1の運転者が通話状態であるか否かを推定する機能を有する。詳細には、推定部233は、携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にある状態で車両1の運転者が通話しているか否かを推定する機能を有する。
具体的には、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれる状態(つまり、携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にある状態)を検出部232が検出した場合に、推定部233は、携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にある状態で車両1の運転者が通話していると推定する。
例えば車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれない状態(例えば携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にない状態)を検出部232が検出した場合であって、警報部235が後述する第1警報を発報した後一定時間が経過していない場合に、推定部233は、車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している可能性(通話を継続している可能性)があると推定する。
例えば後述するカウンタt=0かつカウンタn=0の時に車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれない状態を検出部232が検出した場合に、車両1の運転者が携帯電話を持って通話していないと推定する。
【0022】
更に、推定部233は、車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話しているか否かを推定する機能を有する。
具体的には、推定部233は、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれる状態を検出部232が検出し、次いで、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態を検出部232が検出しかつ通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為(詳細には、通話の継続を示す車両1の運転者の口の動き、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為及び手に持っている携帯電話を車両1の運転者がチラチラ見る行為のすべて)を検出部232が検出した場合に、車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)と推定する。
また、推定部233は、ドライバモニタカメラ画像と骨格検知とを用いることによって、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為が検出部232によって検出されたか否かを推定する機能を有する。携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為を検出部232が検出した場合に、推定部233は、車両1の運転者が携帯電話を持つ手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させたと推定(判定)する。
【0023】
更に、図1図3に示す例では、判定部234が種々の判定を実行する。警報部235は、第1警報を発報する機能と、第1警報とは態様が異なる(例えば第1警報よりも警告度合いが強い)第2警報を発報する機能とを有する。つまり、警報部235は、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれる状態が検出部232によって検出された時と、携帯電話及び携帯電話を持つ車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれなくなった状態及び通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為が検出部232によって検出された時とで異なる態様で警報を発報する。
【0024】
図5は第1実施形態の運転者監視装置20によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。図5に示す処理は、例えば車速センサ2が車両1の走行状態(例えば10km/h以上の車速)を検出した時に実行される。
図5に示す例では、ステップS10において、取得部231がドライバモニタカメラ画像を取得する。
ステップS11では、検出部232が車両1の運転者の顔の位置を検出する。
ステップS12では、検出部232が車両1の運転者の手及び物体(携帯電話)を検出する。
ステップS13において、推定部233は、車両1の運転者が通話状態であるか否かを推定する。車両1の運転者が通話状態(携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にある状態)である場合にはステップS14に進む。車両1の運転者が携帯電話を持って通話していない場合(例えばカウンタn=0の時に車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれない場合)にはステップS19に進む。車両1の運転者の手がドライバモニタカメラ画像に含まれずかつ警報部235が第1警報を発報した後一定時間が経過していない場合には、S17に進む。
【0025】
ステップS14では、例えば警報部235がカウンタtのインクリメントを実行する。
ステップS15において、判定部234は、カウンタtが閾値Th1より大きいか否かを判定する。t>Th1の場合にはステップS16に進む。t≦Th1の場合にはステップS10に戻る。
ステップS16において、警報部235は、車両1の運転者が通話状態(携帯電話を持つ車両1の運転者の手が車両1の運転者の顔付近にある状態)であると判定し、例えば数秒の長さの第1警報を発報する(第1警報をHMI4に出力させる)。次いで、ステップS17に進む。
ステップS17において、推定部233は、車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)か否かを推定する。車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話を継続していると推定部233が推定した場合にはステップS18に進む。車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話を継続していると推定部233が推定しなかった場合にはステップS20に進む。
ステップS18において、警報部235は、例えば第1警報よりも警告度合いが強い第2警報を発報する(第2警報をHMI4に出力させる)。
【0026】
ステップS19では、例えば警報部235がカウンタtをリセットする。
ステップS20では、例えば警報部235がカウンタnのインクリメントを実行する。
ステップS21において、判定部234は、カウンタnが閾値Th2より大きいか否かを判定する。n>Th2の場合にはステップS22に進む。n≦Th2の場合にはステップS10に戻る。
ステップS22では例えば警報部235がカウンタt及びカウンタnをリセットする。
【0027】
上述したように第1実施形態の運転者監視装置20では、車両1の運転者が手に持った携帯電話で通話していることに対して第1警報が発報された後に、車両1の運転者が第1警報に従って通話を断念することなく、通話をやめたカモフラージュをして通話を継続することが、第2警報の発報によって抑制される。
【0028】
<第2実施形態>
第2実施形態の運転者監視装置20が適用された車両1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の運転者監視装置20が適用された車両1と同様に構成されている。上述したように第1実施形態の運転者監視装置20では、通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為として、通話の継続を示す車両1の運転者の口の動き、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為及び手に持っている携帯電話を車両1の運転者がチラチラ見る行為のすべてを検出部232が検出した場合に、車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)と推定する。一方、第2実施形態の運転者監視装置20では、通話の継続を示す車両1の運転者の特徴的な行為として、通話の継続を示す車両1の運転者の口の動き、携帯電話を持つ車両1の運転者の手を、ステアリングSTを把持する位置以外の位置まで移動させる車両1の運転者の行為及び手に持っている携帯電話を車両1の運転者がチラチラ見る行為のうちのいずれか1つ又は2つを検出部232が検出した場合に、車両1の運転者がドライバモニタカメラ3の撮影範囲外に位置する携帯電話を手に持って通話している(通話を継続している)と推定する。
【0029】
以上のように、本開示の運転者監視装置、運転者監視方法及びプログラムの実施形態について図面を参照して説明したが、本開示のあおり運転兆候推定装置、自車両、あおり運転兆候推定方法及びプログラムは上述した実施形態に限られるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した実施形態の各例の構成を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…車両、2…車速センサ、3…ドライバモニタカメラ、20…運転者監視装置、23…プロセッサ、231…取得部、232…検出部、233…推定部、234…判定部、235…警報部
図1
図2
図3
図4
図5