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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012892
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】面部処理装置及び面部処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   B64U 60/60 20230101AFI20250117BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20250117BHJP
   B64C 25/66 20060101ALI20250117BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20250117BHJP
   B64U 101/29 20230101ALN20250117BHJP
【FI】
B64U60/60
B64U10/13
B64C25/66
H02K7/14 C
B64U101:29
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116064
(22)【出願日】2023-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】522170788
【氏名又は名称】株式会社Flight PILOT
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴之
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB17
5H607DD02
5H607FF12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動飛行体を用いて、より確実により効果的に面部または面部から延びた物体の処理を行う面部処理ユニットを提供する。
【解決手段】面部Gと接する回転体14と、回転体14を駆動する駆動部12とを備えた処理部10と、一端に処理部10が取り付けられ、飛行移動体50と接続されるフレーム20と、を備え、駆動部12により回転体14が面部Gに接する状態で回転したとき、処理部10に面部Gに対して第1の方向D1へ進む力Fが加わり、フレーム20に接続された飛行中の飛行移動体50により、フレーム20を介して、処理部10に第1の方向D1と反対の第2の方向D2の力成分Thが加わり、第2の方向D2の力成分Thが第1の方向D1へ進む力Fより大きく、面部Gまたは物体に接する状態で回転体14が回転しながら、面部Gに対して第2の方向D2に進んで面部Gまたは物体を処理する面部処理装置ユニット100。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面部または面部から延びた物体と接する回転体と、前記回転体を駆動する駆動部とを備えた処理部と、
一端に前記処理部が取り付けられ、飛行移動体と接続されるフレームと、
を備え、
前記駆動部により前記回転体が前記面部または前記物体に接する状態で第1の回転方向に回転したとき、前記処理部に前記面部に対して第1の方向に進む力が加わり、前記フレームに接続された飛行中の前記飛行移動体により、前記フレームを介して、前記処理部に前記第1の方向と反対の第2の方向の力成分が加わり、
前記第2の方向の力成分が前記第1の方向に進む力より大きく、
前記面部または前記物体に接する状態で前記回転体が前記第1の回転方向に回転しながら、前記面部に対して前記第2の方向に進んで前記面部または前記物体を処理することを特徴とする面部処理装置。
【請求項2】
前記フレームが伸縮機構を有し、
前記飛行移動体により前記フレームを介して前記処理部が引かれている状態で、前記飛行移動体が前記処理部に近づく方向に移動したとき、前記フレームが縮まることを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項3】
前記駆動部がアウターロータ型モータであって、
前記回転体が前記アウターロータ型モータのロータ外面を覆うように配置された中空部材であり、
前記ロータ外面と前記回転体の内面との間に、内面が前記ロータ外面と接触し、外面が前記回転体の内面に接触するカラーが配置され、
前記ロータ外面が、回転軸方向で中央側の外径が大きく外側の外径が小さいテーパを有し、
前記面部または前記物体との干渉により前記回転体の回転が拘束されたとき、前記カラーが前記テーパに沿って回転軸方向の外側に移動して、前記ロータ外面から前記回転体の内面に伝達する駆動力が減少することを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項4】
前記カラーの内面に斜めに延びた複数の溝が形成されており、
前記駆動部が前記第1の回転方向に回転するとき、前記ロータ外面から前記カラーに前記溝の延在方向に沿った外側に向いたが加わり、
前記ロータ外面から前記カラーの内面に伝達される力が所定の値を超えると、前記カラーが前記溝の延在方向に沿って回転軸方向の外側に移動することを特徴とする請求項3に記載の面部処理装置。
【請求項5】
前記カラーが前記テーパに沿って外方向に移動した後、前記駆動部が前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転するとき、前記ロータ外面から前記カラーに前記溝の延在方向に沿った内側に向いた力が加わり、
前記カラーが前記溝の延在方向に沿って回転軸方向の内側に移動し、前記ロータ外面から前記回転体の内面に伝達する駆動力が増加することをすることを特徴とする請求項4に記載の面部処理装置。
【請求項6】
前記回転体が回転ブラシであることを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項7】
前記回転ブラシの回転軸方向における両側に、前記面部の上を転がる前記駆動部と繋がっていないホイールが取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の面部処理装置。
【請求項8】
前記ホイールの外径が前記回転ブラシの外径より小さく形成されていることを特徴とする請求項7に記載の面部処理装置。
【請求項9】
前記回転体が回転刃であることを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項10】
前記回転刃の一部を覆い、前記面部の上を転がる、前記駆動部と繋がっていないカバーホイールを備えることを特徴とする請求項9に記載の面部処理装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の面部処理装置と、
飛行移動体と、を備えたことを特徴とする面部処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行移動体を用いて、面部または面部から延びた物体を処理する面部処理装置、及びこの面部処理装置を備えた面部処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行移動体を用いて、面部または面部から延びた物体を処理する面部処理ユニットとして、飛行移動体に組み込まれた清掃装置で種々の表面を清掃する清掃ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の清掃ユニットでは、飛行移動体の下側に水平回転するブラシが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-209801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、気流によって飛行移動体の飛行に変動が生じるので、特許文献1に記載の清掃ユニットのように、水平回転するブラシを飛行移動体に取り付けた場合には、ブラシの先端が被清掃面に適切に接触できなくなる虞がある。特許文献1では、ブラシ軸の伸縮、ブラシ軸の角度変更のための機構が提案されているが、これで飛行移動体の飛行の変動を吸収するのは困難である。よって、確実に効果的に被清掃面を清掃するといった処理は困難である。
【0005】
また、被清掃面の清掃だけでなく、地面から伸びた雑草を刈るといった処理においても、飛行移動体を用いて、確実に効果的に被清掃面を処理することが望まれている。
【0006】
よって、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、移動飛行体を用いて、より確実により効果的に面部または面部から延びた物体の処理を行う面部処理装置、及びこの面部処理装置を備えた面部処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の1つの態様は、
面部または面部から延びた物体と接する回転体と、前記回転体を駆動する駆動部とを備えた処理部と、
一端に前記処理部が取り付けられ、飛行移動体と接続されるフレームと、
を備え、
前記駆動部により前記回転体が前記面部または前記物体に接する状態で第1の回転方向に回転したとき、前記処理部に前記面部に対して第1の方向に進む力が加わり、前記フレームに接続された飛行中の前記飛行移動体により、前記フレームを介して、前記処理部に前記第1の方向と反対の第2の方向の力成分が加わり、
前記第2の方向の力成分が前記第1の方向に進む力より大きく、
前記面部または前記物体に接する状態で前記回転体が前記第1の回転方向に回転しながら、前記面部に対して前記第2の方向に進んで前記面部または前記物体を処理する面部処理装置である。
【0008】
本発明のその他の態様は、
上記の面部処理装置と、
飛行移動体と、を備えた面部処理ユニットである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本態様では、移動飛行体を用いて、より確実により効果的に面部または面部から延びた物体の処理を行う面部処理装置、及びこの面部処理装置を備えた面部処理ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の1つの実施形態に係る面部処理ユニットと飛行移動体とを備えた面部処理ユニットにより略水平な面部の処理を行うところを模式的に示す側面図である。
図2図1の矢視A-Aを示す側面図である。
図3A】フレームの伸縮機構を模式的に示す断面図であって、フレームが伸びている状態を示す図である。
図3B】フレームの伸縮機構を模式的に示す断面図であって、フレームが縮んだ状態を示す図である。
図4A図2に示す回転体を拡大して示す図であって、回転体が回転ブラシである場合の実施例を示す側面図である。
図4B図4Aの回転ブラシの端部を拡大して示す図である。
図5】回転体が回転刃である場合の実施例を示す斜視図である。
図6】駆動部、回転体及びカラーを備えた処理部と、内面に斜めに延びた複数の溝が形成されカラーを示す断面図であって、処理部が第1の回転方向R1に回転したところを示す図である。
図7】処理部の第1の回転方向R1の回転で、回転体を構成する個別回転体が外側に広がるところを示す図である。
図8】駆動部、回転体及びカラーを備えた処理部と、内面に斜めに延びた複数の溝が形成されたカラーを示す断面図であって、処理部が第2の回転方向R2に回転したところを示す図である。
図9】処理部の第2の回転方向R2の回転で、回転体を構成する個別回転体が外側に広がった状態から内側に戻るところを示す図である。
図10】本発明のその他の実施形態に係る面部処理ユニットと飛行移動体とを備えた面部処理ユニットにより略垂直な面部の処理を行うところを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施態様、実施形態及び実施例を説明する。なお、以下に説明する飛行移動体は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態または実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態、実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態、実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態、実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0012】
本明細書における「左右方向」、「前後方向」、及び「上下方向」はそれぞれ、水平飛行時の飛行移動体における「左右方向」、「前後方向」、及び「上下方向」を意味する。
【0013】
(本発明の1つの実施形態に係る面部処理装置及び面部処理ユニット)
はじめに図1図2図3A及び図3Bを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る面部処理ユニットと飛行移動体とを備えた面部処理ユニットの説明を行う。図1は、本発明の1つの実施形態に係る面部処理ユニットと飛行移動体とを備えた面部処理ユニットにより略水平な面部の処理を行うところを模式的に示す側面図である。図2は、図1の矢視A-Aを示す側面図である。図3Aは、フレームの伸縮機構を模式的に示す断面図であって、フレームが伸びている状態を示す図である。図3Bは、フレームの伸縮機構を模式的に示す断面図であって、フレームが縮んだ状態を示す図である。
【0014】
本実施形態に係る面部処理装置2は、面部Gまたは面部Gから延びた物体を処理する処理部10と、一端に処理部10が取り付けられ、飛行移動体50と接続されるフレーム20とを備える。この面部処理装置2と飛行移動体50とを備えたユニットが、本実施形態に係る面部処理ユニット100である。
【0015】
(飛行移動体)
本実施形態で用いる飛行移動体50として、ドローン、ボロコプター、マルチコプターをはじめとする既知の任意の飛行移動体を採用することができる。図1及び2に例示する飛行移動体50は、本体52と、本体52に取り付けられた複数の回転翼ユニット54と、を備える。回転翼ユニット54に備えられた電動モータが、本体52に収納されたバッテリから給電されて、回転翼が回転する。回転翼の回転により下方に推進力が生じ、これにより飛行移動体50は上昇して飛行を行うことができきる。図1及び2では、4つの回転翼ユニット54を備えた所謂クワッドコプターの場合を例示している。
【0016】
本体52の下側には、飛行移動体50が接地する際に、飛行移動体50を支える脚56が取り付けられている。更に、面部処理装置2のフレーム20を取り付ける取付部58が、本体52の中心領域の下面から下側に延びている。
【0017】
(面部処理装置)
本実施形態に係る面部処理装置2は、上記のように面部Gまたは面部Gから延びた物体を処理する処理部10と、一端に処理部10が取り付けられ、飛行移動体50と接続されるフレーム20とを備える。処理部10は、面部Gまたは面部Gから延びた物体と接する回転体14と、回転体14を駆動する駆動部12とを備える。
【0018】
図1及び図2では、面部G等と接する回転体14が、駆動部12により回転方向R1に回転しながら、フレーム20に取り付けられた飛行移動体50に引かれて、略水平な方向D2に進み(図1の破線の矢印参照)、回転体14による面部G等の処理が行われる。
【0019】
フレーム20は、第1部材22A及び第2部材22Bで構成されるフレーム本体22を備える。第1部材22A及び第2部材22Bは、後述するように互いにスライド可能な状態で取り付けられている。
【0020】
第1部材22Aは、主にパイプ状に形成され、上端部に、飛行移動体50の取付部58の下端部と連結される繋げられる飛行体接続部26が形成されている。第2部材22Bは、図2に示すように、上側が主にパイプ状に形成され、下側は左右両側に延びて、その両端に処理部10の駆動部12の両端を支持する駆動部支持部24が設けられている。
【0021】
本実施形態に係る駆動部12は、アウターロータ型モータであって、フレーム20の駆動部支持部24は、アウターロータ型モータの中心側の駆動固定部を支持しており、ロータ外面とは接触していない。後述するように、カラー16を介して中空の回転体14がロータ外面を覆うように取り付けられており、ロータ外面を回転駆動することにより、カラー16を介して、回転体14に駆動力が伝わり、回転体14が回転する(例えば、図6参照)。
【0022】
<伸縮機構>
図3A及び3Bに示すように、パイプ状に形成され第1部材22Aの内径は、パイプ状に形成され第2部材22Bの上側部分の外径より若干大きく形成されている。そして、第2部材22Bの上側の先端領域が第1部材22Aの内部に挿入されている。これにより、第1部材22A及び第2部材22Bはスライド可能な状態で取り付けられている。
【0023】
第1部材22A及び第2部材22Bの先端部には、それぞれは当接面22A1及び当接面22B1が形成されている。飛行移動体50により面部処理装置2が引かれる場合には、図3Aに示すように、当接面22A1及び当接面22B1が当接した状態となる。このときフレーム20(フレーム本体22)が最も伸びた状態となる。この状態から、例えば、飛行移動体50の飛行高度が急に下がった場合、飛行移動体50が処理部10に近づくことになる。仮に、フレームが伸縮しない場合には、飛行移動体50により面部処理装置2を押し戻すようになり、処理部10の面部Gに対する進み方が変わって処理に問題が生じる。しかし、本実施形態では、図3Bに示すように、フレーム20(フレーム本体22)が縮まるので、飛行移動体50により面部処理装置2を押し戻すような事態は生じない。よって、飛行移動体50の飛行変動により、処理部10による面部G等の処理に悪影響が出るのを抑制することができる。
【0024】
(処理の方法)
処理部10により面部Gを処理する具体的な態様として、アスファルト、コンクリート等で覆われた地面、建築物の床や壁、ソーラパネル等の面部を回転ブラシで清掃、研磨をする処理が挙がられる。面部Gから延びた物体を処理する具体的な態様として、地面から延びた草等の植物を回転刃で刈る処理が挙げられる。このような処理の具体例については、後述する。
【0025】
面部Gまたは面部Gから延びた物体の処理のため、面部処理装置2の処理部10では、駆動部12により、回転体14が面部Gまたは面部Gから延びた物体に接する状態で第1の回転方向R1に回転する。図1では、略水平な面部(地面)Gまたは面部Gから延びた物体と接する状態で、回転体14が第1の回転方向R1に回転したところを示す、回転体14の回転により、処理部10は、図1で右方向の第1の方向D1へ進む力Fが加わる。面部G側から見れば、面部Gは処理部10から力Fを受ける。
【0026】
一方、面部処理装置2のフレーム20では、処理部10が取り付けられた端部と反対側の端部に設けられた飛行体接続部26で飛行移動体50に接続されている。この状態で、飛行移動体50は、図1で左側に向けて飛行する。これにより、フレーム20には、図1で斜め左上側に向いた方向の力で引かれる。この力は、フレーム20を介して、駆動部支持部24で接続された処理部10へ伝達される。
【0027】
飛行移動体50に引かれて生じる斜め左上を向いた力Tは、垂直力成分Tv及び水平力成分Thで構成される。水平分力Thは、回転体14の回転方向R1の回転で進む第1の方向D1と反対方向の第2の方向D2に向いた力である。
【0028】
処理部10の重量は垂直力成分Tvより大きいので、回転体14は面部G等に接したまま回転方向R1で回転して、面部Gに対して力Fを加え続ける。一方、第2の方向D2を向いた水平力成分Thは、回転体14の回転による力Fより大きい。
つまり、Th > F の関係を有する。
【0029】
これにより、面部Gに接する状態で回転体14が回転方向R1に回転しながら、面部Gに対して第2の方向D2に進んで面部G処理する。つまり、回転体14が回転しながら、回転により進む第1の方向D1と反対の第2の方向に進む。面部Gに接する回転体14の外周部分の面部Gに対する相対速度は、駆動部12による回転体14の回転による速度に加えて、飛行移動体50に引かれて水平移動する速度が加わるので、より高速に回転体14を回転させて処理した場合と同様な効果が得られる。仮に、回転体14が回転ブラシの場合、より高速に回転体(回転ブラシ)14を回転させたブラッシング効果、研磨効果が得られる。
【0030】
面部から延びた物体を処理する場合でも、同様な効果が得られる。仮に、回転体14が回転刃の場合、より高速に回転体(回転刃)14を回転させて、草等の物体の切断効果を高めることができる。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る面部処理装置2は、面部Gまたは面部Gから延びた物体と接する回転体14と、回転体14を駆動する駆動部12とを備えた処理部10と、一端に処理部10が取り付けられ、飛行移動体50と接続されるフレーム20と、を備え、駆動部12により回転体14が面部Gまたは物体に接する状態で第1の回転方向R1に回転したとき、処理部10に面部Gに対して第1の方向D1へ進む力Fが加わり、フレーム20に接続された飛行中の飛行移動体50により、フレーム20を介して、処理部10に第1の方向D1と反対の第2の方向D2の力成分Thが加わり、第2の方向D2の力成分Thが第1の方向D1へ進む力Fより大きく、面部Gまたは物体に接する状態で回転体14が第1の回転方R1に回転しながら、面部Gに対して第2の方向D2に進んで面部Gまたは物体を処理する。
【0032】
また、本実施形態に係る面部処理装置ユニット100は、面部処理装置2と、飛行移動体50と、を備えたユニットである。
【0033】
本実施形態により、移動飛行体50を用いて、より確実により効果的に面部Gまたは面部Gから延びた物体の処理を行う面部処理装置2、及びこの面部処理装置2を備えた面部処理ユニット100を提供することができる。
【0034】
なお、面部処理装置2及び面部処理装置ユニット100で処理する面は、図示された面部Gのような略水平な面だけでなく、傾斜面や、後述するように、略垂直な面の場合もあり得る。また、図示された面部Gのような平面だけでなく、曲面も含まれるし、不規則に変化する面の場合もあり得る。
【0035】
上記のように、飛行移動体50が概ね水平方向に飛行して処理部10を引いている間に、気流の変動により飛行高度等が変動する。飛行高度が上昇する場合には、面部処理装置2を引く速度が少し増加して、面部処理装置2は第2の方向D2に少し速く移動するようになる可能性がある。この場合には、処理部10による処理の効果が若干高まる。
【0036】
一方、飛行移動体50の飛行高度が下降する場合、飛行移動体50が処理部10に近づく方向に移動する。このとき、仮に、フレーム20が伸縮機能を有さない場合には、面部処理装置2に、処理部10を第1の方向D1に押し戻すような力を加える虞がある。この場合には、処理部10による処理に悪影響が出る虞がある。
【0037】
このため、上記のように、本実施形態に係る面部処理装置2では、フレーム20が伸縮機構を有し、飛行移動体50によりフレーム20を介して処理部10が引かれている状態で、飛行移動体50が処理部10に近づく方向に移動したとき、フレーム20が縮まるようになっている。
【0038】
飛行移動体50は、気流の変動により飛行高度が変動するが、飛行移動体50の高度が降下した場合であっても、フレーム20が縮んで、処理部10を第1の方向D1に押し戻すことを防ぐことができる。このようなフレーム20の伸縮による緩衝機能により、処理部10による効果的な処理を継続させることができる。
なお、フレーム20の伸縮機構において、更にダンパのような緩衝機能部材を備えて、よりフレーム20をよりスムーズに伸縮させることもできる。
【0039】
(回転ブラシ)
次に、図4A及び図4Bを参照しながら、回転体14が回転ブラシである場合の実施例の説明を行う。図4Aは、図2に示す回転体を拡大して示す図であって、回転体が回転ブラシである場合の実施例を示す側面図である。図4Bは、図4Aの回転ブラシの端部を拡大して示す図である。
【0040】
本実施例に係る回転体が、円筒形状の外形を有する回転ブラシ14Bであり、回転ブラシ14Bの回転軸方向における両側に、ホイール18が取り付けられている。図4Aでは、左側のホール18では断面を示し、右側のホイール18では外面を示す。図5Bでは、左側の断面の状態のホイール18及びその近傍の回転ブラシ14Bを示す。
【0041】
図4Bから明らかなように、ホイール18は、駆動部12と繋がっていないフリーホイールとなっており、処理部10で処理を行うとき、回転ブラシ14Bの両側のホイール18が面部Gと接して、面部G上を転がるようになっている。つまり、回転ブラシ14Bの回転軸方向における両側に、面部G上を転がる駆動部12と繋がっていないホイール18が取り付けられている。
【0042】
面部G上を転がるホイール18により、飛行移動体50で引かれて進む処理部10の移動方向が安定する。特に、ホイール18がフリーホイールなので、回転ブラシ14Bの回転によらず、処理部10の進行方向を安定してガイドすることができる。
【0043】
更に、フリーホイールの外径をDw、回転ブラシ14Bの外径をDbとすると、ホイールの外径Dwが回転ブラシ14Bの外径Dbより小さく形成されている。つまり、Dw < Db の関係を有する。ホイールの外径Dwが、回転ブラシ14Bの外径Dbより、2~10mm程度小さい場合を例示できる。
【0044】
図4Bに示すように、回転ブラシ14Bのブラシ部14B1は弾性を有するので、処理部10の重量により撓んで、剛体であるホイール18が面部Gに接する。このように、ホイール18の外径Dwが回転ブラシ14Bの外径をDbより小さく形成されているので、弾性を有する回転ブラシ14Bのブラシ部14B1が撓んで、ブラシ部14B1の先端が面部Gに強く当たり、効率的に洗浄、研磨等の処理を行うことができる。
【0045】
(回転刃)
次に、図5を参照しながら、回転体14が回転刃である場合の実施例の説明を行う。図5は、回転体が回転刃である場合の実施例を示す斜視図である。
【0046】
図5に示す実施例では、回転体である回転刃14Cが、点線で示すカバーホイール18Cで覆われている。カバーホイール18Cは、上記のホイール18と同様に、駆動部12と繋がっていないフリーホイールであり、面部G上を転がるようになっている。カバーホイール18Cは開口部18C1を有する。つまり、カバーホイール18Cにより、回転刃18Cの一部が覆われている。開口部18C1から露出した回転刃14Cにより、雑草等の面部Gから延びた物体を切削することができる。
【0047】
以上のように、本実施例では、回転刃14Cの一部を覆い、面部G上を転がる、駆動部12と繋がっていないカバーホイール18Cを備える。このような、面部G上を転がるカバーホイール18Cにより、飛行移動体50で引かれて進む処理部10の移動方向を安定させることができる。それとともに、回転刃14Cの処理に関与していない領域を覆って、安全性を向上させることもできる。
【0048】
(駆動力伝達部材の移動)
回転体14として、回転ブラシ14Bや回転刃14Cを用いた場合、面部Gまたは面部Gから延びた物体との干渉により、回転体14の回転が拘束される虞がある。例えば、面部Gの形状や性状によっては、回転ブラシ14Bのブラシ部14B1の先端と面部Gとの間の摩擦力が増大して、回転ブラシ14Bの回転が拘束される虞がある。また、例えば、回転刃14Cが、面部Gから延びた植物と絡み合って、回転刃14Cの回転が拘束される虞もある。
【0049】
このような状態で、駆動力を駆動部12から回転体14に伝達し続けると、駆動部12の伝達トルクが過大になって、電動モータである駆動部12がトリップする虞がある、また、回転体14が損傷する虞もある。更に、駆動力を駆動部12から回転体14に伝達する駆動力伝達部材が存在する場合には、駆動力伝達部材が損傷する虞もある。
【0050】
次に、図6から図9を参照しながら、上記の問題に対処する機構である、駆動力伝達部材が移動して、駆動部12から回転体14へ伝達する駆動力を弱める機構の1つの実施形態を詳細に説明する。図6は、駆動部、回転体及びカラーを備えた処理部と、内面に斜めに延びた複数の溝が形成されカラーを示す断面図であって、処理部が第1の回転方向R1に回転したところを示す図である。図7は、処理部の第1の回転方向R1の回転で、回転体を構成する個別回転体が外側に広がるところを示す図である。図8は、駆動部、回転体及びカラーを備えた処理部と、内面に斜めに延びた複数の溝が形成されたカラーを示す断面図であって、処理部が第2の回転方向R2に回転したところを示す図である。図9は、処理部の第2の回転方向R2の回転で、回転体を構成する個別回転体が外側に広がった状態から内側に戻るところを示す図である。
【0051】
本実施形態に係る駆動部12は、アウターロータ型モータであって、駆動力伝達面12aがロータ外面である。回転体14がロータ外面12aを覆うように配置された中空部材である。ロータ外面12aと回転体14の内面14aの間に、トルク伝達部材として、内面16bがロータ外面12aと接触し、外面16aが回転体14の内面14aと接触するカラー16が配置されている。
【0052】
ロータ外面12aの外径としては、20mm~80mmを例示できる。ロータ外面12aの全長としては、100mm~2000mmを例示できる。ロータ外面12aは、回転軸方向で中央側(内側)の外径が大きく外側の外径が小さいテーパを有している。テーパの勾配としては、回転軸方向に100mm移動すると外径が0.1mm~1.5mm変化する程度の勾配を例示できる。何れの数値範囲も一例であり、これに限られるものではない。
カラー16の内面16bとロータ外面12aとの間は、摩擦力で拘束されている。カラー16の外面16aと回転体14の内面14aとの間は、摩擦力で拘束されている場合もあり得るし、接着等により互いに固定されている場合もあり得る。
【0053】
駆動部12により回転体14が通常の状態で回転している場合には、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとの間は静摩擦力で拘束されている。一方、回転体14の回転が何らかの理由で拘束されたときには、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとの間に静摩擦力より大きい力が加わり、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとが相対的に動くことになる。仮に、ロータ外面12aがテーパを有さない場合には、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとの間の力が静摩擦力より大きくなると、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとが互いに滑りながら(摩擦しながら)回転する。よって、動摩擦によりかかる力や摩擦熱により、ロータ外面12Aやカラー16の内面16bが損傷する虞がある。
【0054】
一方、本実施形態では、ロータ外面12aがテーパを有するので、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとの間の力が静摩擦力より大きくなって、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとが相対的に動くとき、カラー16がテーパに沿って外径が小さくなる回転軸方向の外側へ移動する。これにより、ロータ外面12aからカラー16の内面16bに伝わる駆動力が減少する、または駆動力が伝達されなくなる。このため、確実にロータ外面12aから回転体14の内面14aに伝達する駆動力を減少させて、部材の損傷を防ぐことができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る面部処理装置2は、駆動部12がアウターロータ型モータであって、回転体14がアウターロータ型モータのロータ外面を覆うように配置された中空部材であり、ロータ外面12aと回転体14の内面14aとの間に、内面16bがロータ外面12aと接触し、外面16aが回転体14の内面14aに接触するカラー16が配置され、ロータ外面12aが、回転軸方向で中央側(内側)の外径が大きく外側の外径が小さいテーパを有し、面部Gまたは面部Gから延びた物体との干渉により回転体14の回転が拘束されたとき、カラー16がテーパに沿って回転軸方向の外側に移動して、ロータ外面12aから回転体14の内面14aに伝達する駆動力が減少するようになっている。
【0056】
本実施形態では、面部Gまたは面部Gから延びた物体との干渉により回転体14の回転が拘束されたとき、ロータ外面12aのテーパに沿ってカラー16が移動するので、確実にロータ外面12aから回転体14の内面14aに伝達する駆動力が減少させて、部材の損傷を防ぐことができる。
なお、カラー16と回転体14とが摩擦で拘束されている場合には、カラー16が回転体14に対して回転軸方向内側へ相対的移動する(滑る)場合もあり得るし、回転体14が弾性変形する場合もあり得る。カラー16と回転体14とが接着等で拘束されている場合には、回転体14が弾性変形するようになる。
【0057】
更に、本実施形態では、カラー16の内面16bに斜めに延びた複数の溝16Gが形成されている。また、回転体14は、複数(図では6個)の個別回転体14’で構成されている。個別回転体14’は、回転軸方向に並んで配置され、図7に示すように、隣接する個別回転体14’は、凹凸形状で互いに嵌合している。これにより、個別回転体14’は、回転方向には互いに拘束されるが、回転軸方向には互いに移動可能になっている。各々の個別回転体14’の内側にカラー16が配置されている。
【0058】
カラー16の内面16bに設けられた溝16Gは、回転方向R1に回転する場合、回転軸方向で外側の端部が、回転軸方向で内側の端部よりも進行方向で前側の位置するように傾いて形成されている。
【0059】
カラー16の内面16bに溝16Gが設けられている場合、カラー16は溝16Gが延在する方向に沿って移動し易くなる。また、ロータ外面12aが、回転軸方向にテーパ形状を有するので、カラー16は、溝16Gの延在方向に沿って、ロータ外面12aの外径の小さい回転軸方向で外側へ移動し易くなっている。なお、回転体14が通常の状態で回転している場合には、カラー16の内面16bの溝16Gと溝16Gとの間の接触内面とロータ外面12aとの間は、静摩擦力で互いに拘束されている。
【0060】
次に、駆動部12により駆動された回転体14が回転方向R1に回転する場合に、カラー16の内面16bの接触内面が、ロータ外面12aから受ける力を考える。図6に示すように、内面16bの接触内面は、ロータ外面12aから回転軸に対して直交する方向の力FR1を受ける。この力の溝16Gの延在方向に沿った方向の力成分及びそれに直交する方向の力成分を考えると、力FR1は、溝16Gに沿った方向の力成分FR1xと、それに直交する力成分FR1yで構成されている。
【0061】
つまり、カラー16は、溝16Gの延在方向に沿った回転軸外側に向いた力成分TR1xを受ける。溝16Gの延在方向と回転軸方向との間に角度をαとすれば、
力成分TR1x =TR1 × sinα
となる。
【0062】
以上のように、ロータ外面12aとカラー16の内面16bとの間の力が静摩擦力より大きくなると、ロータ外面12aのテーパ、カラー16の内面16bの溝16G、及び溝16Gの傾きによる力成分TR1xにより、カラー16が回転軸方向の外側に移動し易くなる。
【0063】
よって、駆動部12により回転体14が、回転方向R1に回転して処理をしているときに、回転が拘束されたとき、図7に示すように、個別回転体14’が互いに接触していた初期状態(上の図参照)から、個別回転体14’が、カラー16とともに、回転軸方向外側に移動して互いに離間した状態になる(下の図参照)。カラー16と個別回転体14’とが摩擦で拘束されている場合も、接着等で拘束されている場合も同様である。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る面部処理装置2では、カラー16の内面16bに斜めに延びた複数の溝16Gが形成されており、駆動部12が第1の回転方向R1に回転するとき、ロータ外面12aからカラー16に溝16Gの延在方向に沿った外側に向いたFR1xが加わり、ロータ外面12aからカラー16の内面16bに伝達される力が所定の値を超えると、カラー16が溝16Gの延在方向に沿って回転軸方向の外側に移動する。
【0065】
カラー16の内面16bに設けられた溝16Gにより、カラー16は、よりスムーズにテーパに沿って回転軸方向の外側に移動するので、より確実にロータ外面12Aからカラー16の内面16bに伝達する駆動力を減少させて、部材の損傷を防ぐことができる。
【0066】
個別回転体14’が、カラー16とともに、回転軸方向外側に移動して互いに離間した状態になった後、使用者は、駆動部12を停止させて、回転体14の回転を拘束していた事象を解消し、手で個別回転体14’を回転軸方向の内側に移動させて、初期状態に戻すことができる。更に、本実施形態では、カラー16の内面16bに設けられた溝16Gを利用して、駆動部12を逆転させて、回転方向R2に回転させることにより、カラー16とともに、回転軸方向外側に移動して互いに離間した個別回転体14’を、互いに接する初期状態に戻すこともできる。
【0067】
駆動部12を回転方向R2に回転させた場合、図8に示すように、カラー16の内面16bは、ロータ外面12Aから回転軸に対して直交する方向の力FR2を受ける。なお、力FR2の方向は、上記の力FR1の方向と180度逆向きである。この力FR2の溝16Gに沿った方向の力成分及びそれに直交する方向の力成分を考えると、力FR2は、溝16Gに沿った方向の力成分FR2xと、それに直交する力成分FRyで構成されている。
【0068】
つまり、カラー16は、溝16Gの延在方向に沿った回転軸内側の方向の力成分TR2xを受ける。溝16の延在方向と回転軸方向との間に角度をαとすれば、
力成分TR2x =TR2 × sinα
となる。
【0069】
カラー16は、ロータ外面12aの外径が小さくなった領域に位置しているので、ロータ外面12aが第2の回転方向に回転すると、カラー16は滑りながらも第2の回転方向に回転する。これにより、カラー16は、溝16Gに沿った回転軸内側に向いた力を受ける。テーパの勾配は非常に小さいので、これにより、カラー16は、溝16Gの延在方向に沿って、外径が大きくなる回転軸方向内側へ移動する。以上により、図9に示すように、互いに離間した状態の個別回転体14’が(上の図参照)、カラー16とともに、回転軸方向内側へ移動して、互いに接触していた初期状態に戻る(下の図参照)。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る面部処理装置2では、カラー16がテーパ16Gに沿って外方向に移動した後、駆動部12が第1の回転方向R1と反対の第2の回転方向R2に回転するとき、ロータ外面12aからカラー16に溝16Gの延在方向に沿った内側に向いた力が加わり、カラー16が溝16Gの延在方向に沿って回転軸方向の内側に移動し、ロータ外面12aから回転体14の内面14aに伝達する駆動力が増加する。
【0071】
カラー16がテーパに沿って外側方向に移動し、回転体14の回転を拘束していた事象を解消した後、駆動部12を第2の回転方向に回転させることにより、使用者は、容易にロータ外面12aから回転体14の内面14aに駆動力を伝達できる初期状態に戻すことができる。
(本発明のその他の実施形態に係る面部処理装置及び面部処理ユニット)
次に、図10を参照しながら、本発明のその他の実施形態に係る面部処理装置及び面部処理ユニットの説明を行う。図10は、本発明のその他の実施形態に係る面部処理ユニットと飛行移動体とを備えた面部処理ユニットにより略垂直な面部の処理を行うところを模式的に示す側面図である。
【0072】
本実施形態では、面部処理装置2で処理を行う面部Gが、建物の壁のような略垂直な面となっている。なお、面部Gは、平面だけでなく、曲面の場合も、不規則に変化する面の場合もあり得る。面部Gが略水水平な面またはある程度の傾斜面の場合には、重力で回転体14が面部Gに接する状態になる。本実施形態では、回転体14を略垂直な面部Gに押し付けるため、カウンタウエイト30が備えられている。
【0073】
飛行体接続部26で飛行移動体50に取り付けられフレーム20の上部は、略垂直に吊り下げられた状態となっている。フレーム20の下部には、アームJ1及びアームJ2がV字形に一体的に接続された部材が配置されている。アームJ1の先端に処理部10が取り付けられ、アームJ2の先端にカウンタウエイト30が取り付けられている。そして、アームJ1及びアームJ2の接続領域が、Qで示す位置で、フレーム20の上部に回転自在に取り付けられている。
【0074】
このようなカウンタウエイト30による回転モーメントMにより、処理部10が矢印Pで示す力で略垂直な面部Gに押し付けられる。この様態で処理部10の回転体14を面部Gに対して下側に移動するような第1の回転方向R1で回転させながら、飛行移動体50により面部処理装置2を上方に移動させることにより、図1に示す場合と同様に、面部Gを効率的に処理することができる。
【0075】
なお、カウンタウエイト30を用いるのはあくまで一例であり、その他、例えば、アクチュエータやダンパ等により、処理部10の回転体14を略垂直な面部Gに押しつけるようにすることもできる。
【0076】
(全般)
本発明の第1の態様は、
面部または面部から延びた物体と接する回転体と、前記回転体を駆動する駆動部とを備えた処理部と、
一端に前記処理部が取り付けられ、飛行移動体と接続されるフレームと、
を備え、
前記駆動部により前記回転体が前記面部または前記物体に接する状態で第1の回転方向に回転したとき、前記処理部に前記面部に対して第1の方向に進む力が加わり、前記フレームに接続された飛行中の前記飛行移動体により、前記フレームを介して、前記処理部に前記第1の方向と反対の第2の方向の力成分が加わり、
前記第2の方向の力成分が前記第1の方向に進む力より大きく、
前記面部または前記物体に接する状態で前記回転体が前記第1の回転方向に回転しながら、前記面部に対して前記第2の方向に進んで前記面部または前記物体を処理する面部処理装置である。
【0077】
本発明の第2の態様は、第2の態様において、
前記フレームが伸縮機構を有し、
前記飛行移動体により前記フレームを介して前記処理部が引かれている状態で、前記飛行移動体が前記処理部に近づく方向に移動したとき、前記フレームが縮まる面部処理装置である。
【0078】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記駆動部がアウターロータ型モータであって、
前記回転体が前記アウターロータ型モータのロータ外面を覆うように配置された中空部材であり、
前記ロータ外面と前記回転体の内面との間に、内面が前記ロータ外面と接触し、外面が前記回転体の内面に接触するカラーが配置され、
前記ロータ外面が、回転軸方向で中央側の外径が大きく外側の外径が小さいテーパを有し、
前記面部または前記物体との干渉により前記回転体の回転が拘束されたとき、前記カラーが前記テーパに沿って回転軸方向の外側に移動して、前記ロータ外面から前記回転体の内面に伝達する駆動力が減少する面部処理装置である。
【0079】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、
前記カラーの内面に斜めに延びた複数の溝が形成されており、
前記駆動部が前記第1の回転方向に回転するとき、前記ロータ外面から前記カラーに前記溝の延在方向に沿った外側に向いたが加わり、
前記ロータ外面から前記カラーの内面に伝達される力が所定の値を超えると、前記カラーが前記溝の延在方向に沿って回転軸方向の外側に移動する面部処理装置である。
【0080】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、
前記カラーが前記テーパに沿って外方向に移動した後、前記駆動部が前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転するとき、前記ロータ外面から前記カラーに前記溝の延在方向に沿った内側に向いた力が加わり、
前記カラーが前記溝の延在方向に沿って回転軸方向の内側に移動し、前記ロータ外面から前記回転体の内面に伝達する駆動力が増加する面部処理装置である。
【0081】
本発明の第6の態様は、第1からだ5の何れかの態様において、
前記回転体が回転ブラシである面部処理装置である。
【0082】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、
前記回転ブラシの回転軸方向における両側に、前記面部の上を転がる前記駆動部と繋がっていないホイールが取り付けられている面部処理装置である。
【0083】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、
前記ホイールの外径が前記回転ブラシの外径より小さく形成されている面部処理装置である。
【0084】
本発明の第9の態様は、第1からだ5の何れかの態様において、
前記回転体が回転刃である面部処理装置である。
【0085】
本発明の第10の態様は、第9の態様において、
前記回転刃の一部を覆い、前記面部の上を転がる、前記駆動部と繋がっていないカバーホイールを備える面部処理装置である。
【0086】
本発明の第11の態様は、
第1から第10の何れかの態様の面部処理装置と、
飛行移動体と、を備えた面部処理ユニットである。
【0087】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0088】
2 面部処理装置
10 処理部
12 駆動部
12a ロータ外面
14 回転体
14’ 個別回転体
14a 内面
14B 回転ブラシ
14B1 ブラシ部
14C 回転刃
16 カラー
16a 外面
16b 内面
16G 溝
18 ホイール
18C カバーホイール
18C1 開口部
20 フレーム
22 フレーム本体
22A 第1部材
22A1 当接面
22B 第2部材
22B1 当接面
24 駆動部支持部
26 飛行体接続部
30 カウンタウエイト
50 飛行移動体
52 本体
54 回転翼ユニット
56 脚
58 取付部
100 面部処理ユニット
G 面部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面部または面部から延びた物体と接する回転体と、前記回転体を駆動する駆動部とを備えた処理部と、
一端に前記処理部が取り付けられ、飛行移動体と接続されるフレームと、
を備え、
前記駆動部により前記回転体が前記面部または前記物体に接する状態で第1の回転方向に回転したとき、前記処理部に前記面部に対して第1の方向に進む力が加わり、前記フレームに接続された飛行中の前記飛行移動体により、前記フレームを介して、前記処理部に前記第1の方向と反対の第2の方向の力成分が加わり、
前記第2の方向の力成分が前記第1の方向に進む力より大きく、
前記面部または前記物体に接する状態で前記回転体が前記第1の回転方向に回転しながら、前記面部に対して前記第2の方向に進んで前記面部または前記物体を処理し、
前記駆動部がアウターロータ型モータであって、
前記回転体が前記アウターロータ型モータのロータ外面を覆うように配置された中空部材であり、
前記ロータ外面と前記回転体の内面との間に、内面が前記ロータ外面と接触し、外面が前記回転体の内面に接触するカラーが配置され、
前記ロータ外面が、回転軸方向で中央側の外径が大きく外側の外径が小さいテーパを有し、
前記面部または前記物体との干渉により前記回転体の回転が拘束されたとき、前記カラーが前記テーパに沿って回転軸方向の外側に移動して、前記ロータ外面から前記回転体の内面に伝達する駆動力が減少することを特徴とする面部処理装置。
【請求項2】
前記カラーの内面に斜めに延びた複数の溝が形成されており、
前記駆動部が前記第1の回転方向に回転するとき、前記ロータ外面から前記カラーに前記溝の延在方向に沿った外側に向いたが加わり、
前記ロータ外面から前記カラーの内面に伝達される力が所定の値を超えると、前記カラーが前記溝の延在方向に沿って回転軸方向の外側に移動することを特徴とする請求項に記載の面部処理装置。
【請求項3】
前記カラーが前記テーパに沿って外方向に移動した後、前記駆動部が前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転するとき、前記ロータ外面から前記カラーに前記溝の延在方向に沿った内側に向いた力が加わり、
前記カラーが前記溝の延在方向に沿って回転軸方向の内側に移動し、前記ロータ外面から前記回転体の内面に伝達する駆動力が増加することをすることを特徴とする請求項に記載の面部処理装置。
【請求項4】
前記フレームが伸縮機構を有し、
前記飛行移動体により前記フレームを介して前記処理部が引かれている状態で、前記飛行移動体が前記処理部に近づく方向に移動したとき、前記フレームが縮まることを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項5】
前記回転体が回転ブラシであることを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項6】
前記回転ブラシの回転軸方向における両側に、前記面部の上を転がる前記駆動部と繋がっていないホイールが取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の面部処理装置。
【請求項7】
前記ホイールの外径が前記回転ブラシの外径より小さく形成されていることを特徴とする請求項に記載の面部処理装置。
【請求項8】
前記回転体が回転刃であることを特徴とする請求項1に記載の面部処理装置。
【請求項9】
前記回転刃の一部を覆い、前記面部の上を転がる、前記駆動部と繋がっていないカバーホイールを備えることを特徴とする請求項に記載の面部処理装置。
【請求項10】
請求項1からの何れか1項に記載の面部処理装置と、
飛行移動体と、を備えたことを特徴とする面部処理ユニット。