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特開2025-12927水素ガスが封じ込められた氷の製造方法および製造装置
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  • 特開-水素ガスが封じ込められた氷の製造方法および製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012927
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】水素ガスが封じ込められた氷の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/18 20060101AFI20250117BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20250117BHJP
【FI】
F25C1/18 Z
F25C1/18
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116123
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】510281874
【氏名又は名称】株式会社環境技研
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】藤原 昭信
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD01
4B018ME03
4B018ME04
4B018ME08
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF05
(57)【要約】
【課題】本発明は、水素ガスを閉じ込めた氷を製造する方法および製造装置、さらには水素ガスを閉じ込めた氷を提供する。
【解決手段】一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに(または注入し、次いで)、気体逃し通路を有するピストンによりシリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形する。製造装置は、ストッパー部材に水素ガス導入路が形成され、ピストンに気体逃し通路が形成されるとともに気体逃し通路の気体流入口を覆うフィルターが取り付けられている。粉粒状の氷を圧縮して立体形状に成形した氷の空隙には水素ガスが封じ込められている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、
一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに、気体逃し通路を有するピストンによりシリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
【請求項2】
水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、
一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入し、次いで、気体逃し通路を有するピストンにより、シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
【請求項3】
水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置であって、
粉粒状の氷が収納されるシリンダとシリンダの一方の端部に挿入され該端部を塞ぐストッパー部材とシリンダの他方の端部から挿入され、シリンダの一方の端部に向かって駆動されるピストンと水素ガス供給源とを有し、
ストッパー部材には水素ガス供給源からの水素ガスが導入される水素ガス導入路が形成され、
ピストンには、気体逃し通路が形成されるとともに、気体逃し通路の気体流入口を覆うフィルターが取り付けられている、
粉粒状の氷を圧縮してして、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置。
【請求項4】
粉粒状の氷を立体形状に圧縮成形して多数の空隙を形成した氷であって、該氷の空隙に水素ガスが封じ込められていることを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷。
【請求項5】
前記粉粒状の氷を立体形状に圧縮成形して多数の空隙を形成した氷に、該多数の空隙を形成した氷100mLに対して少なくとも10mLの水素ガスの割合で、水素ガスが封じ込められていることを特徴とする請求項4に記載の氷。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素ガスが封じ込められた氷の製造方法、製造装置および水素ガスが封じ込められた氷に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素ガスを体内に取り込むことにより、健康の維持向上を図ることが注目されている。水素ガスの体内への吸引は、老化やがん、糖尿病、高血圧などの数多くの疾患に深く関わっているヒドロキシルラジカルなどの活性酸素を除去するといわれており、先進医療にも取り入れられている。
【0003】
水素ガスを体内に取り込むために、水素ガスを水に溶解させた水素水を飲料として体内に取り込むことにより、老化抑制作用や美容作用や疲労回復等に効能が期待され、健康水として市販されてきた。また水素水は、半導体素子の洗浄水などの用途も知られている。
【0004】
水素水の製造方法としては、加圧水素ガスを水に供給して溶解させる方法や水を電気分解する方法、CaやMg等の金属や金属水素化物を水と反応させる方法などを上げることができる。
しかし、水に溶解する水素ガスは、常温常圧(20℃、1気圧)においては、せいぜい高く見積もっても、水100mlに対して水素ガスが約1.8ml程度である。しかも水素ガスは逃げ足が速く、水素ガスは時間が経過するにしたがって大気中に消散し、水に溶存している水素ガスの量は急激に減少する。
【0005】
そこで、水素ガスを保持する方法として、水素ガスを含有する水を凍結させて水素ガスガスを封入する発明が提示された(特許文献1)。
水素ガスは、上述したように水に対する溶解度が低く、さらに水素ガスの拡散性は、非常に大きく、冷却して氷にする間にも水から水素ガスが得られる氷に残存する水素ガスの量が著しく減少するため、特許文献1に記載される発明では、ファインバブル状の水素ガスを過飽和に含有する原料水素水を液体窒素と接触させて急速冷凍して製氷している。
【0006】
ここで、ファインバブル状の水素ガスとは、マイクロオーダー(1~100μm)、ナノオーダー(1μm以下)の直径の水素ガスの微細気泡を意味する。また、過飽和とは、気体の液体への理論的な溶解度より多くの気体が液体中に存在している状態を指している。そして、原料水に含まれる水素以外のガス種、とりわけ溶存酸素を除去することが水素ガスを多く含有させるために好ましいとされている。
【0007】
特許文献1に記載された発明の実施例によれば、容積200~400mLのアルミパウチに供給されて凍結した原料水素水を解凍した水における残存水素量は1.2ppmである(特許文献1の[0059])。
老化抑制作用や美容作用や疲労回復等に効能を得るためには、1日当たり40mL程度の水素ガスを体に取り入れることが望ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6982869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような事情に鑑みて、本発明は、従来よりも多量の水素ガスを閉じ込めた氷を製造する方法および製造装置、さらには従来よりも多量の水素ガスを閉じ込めた氷を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに、気体逃し通路を有するピストンによりシリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
[2]水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入し、次いで、気体逃し通路を有するピストンにより、シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
[3]水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置であって、粉粒状の氷が収納されるシリンダとシリンダの一方の端部に挿入され該端部を塞ぐストッパー部材とシリンダの他方の端部から挿入され、シリンダの一方の端部に向かって駆動されるピストンと水素ガス供給源とを有し、ストッパー部材には水素ガス供給源からの水素ガスが導入される水素ガス導入路が形成され、ピストンには、気体逃し通路が形成されるとともに、気体逃し通路の気体流入口を覆うフィルターが取り付けられている、粉粒状の氷を圧縮してして、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置。
[4]粉粒状の氷を立体形状に圧縮成形して多数の空隙を形成した氷であって、該氷の空隙に水素ガスが封じ込められていることを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷。
[5]前記粉粒状の氷を立体形状に圧縮成形して多数の空隙を形成した氷に、該多数の空隙を形成した氷100mLに対して少なくとも10mLの水素ガスの割合で、水素ガスが封じ込められていることを特徴とする[4]に記載の氷。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水素ガスを封じ込めた氷の製造方法および製造装置では、シリンダに収容された粉粒状の氷を気体逃し通路が形成されたピストンにより圧縮して立体形状の氷に成形するから、水素ガスを封じ込めた立体形状の氷を容易に製造することができ、また、該立体形状の氷には比較的多量の水素ガスを封じ込めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】粉粒状の氷が収容されたシリンダの断面図を示す。
図2】収容された粉粒状の氷がピストンに圧縮成形されつつある状態のシリンダの断面図を示す。
図3】収容された粉粒状の氷へのピストンによる圧縮成形が完了した状態のシリンダの断面図を示す。
図4】圧縮成形が完了した氷が下端部からピストンにより押し出された状態のシリンダの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の水素ガスが封じ込められた氷は、シリンダ内に収容した粉粒状の氷に水素ガスを供給し、次いで収容した粉粒状の氷を圧縮して立体形状に成形して、その際に立体形状に成形された氷の内部に形成される空隙に水素ガス(分子状の水素)を封じ込めることにより製造することを基本としている。
【0014】
粉粒状の氷とは、直径1mm以下の粒子状の氷や粉状の氷を指しており、シロップ等をかけた氷菓であるかき氷に使用されるような、ブロックの氷を細かく削るか砕いて綿状あるいは粉雪状にした氷をも含むものである。
また、粉粒状の氷の氷としては、水から生成される氷だけでなく、水を主成分とする冷凍した果実のジュース、牛乳、コーヒー、お茶、紅茶などの飲料液体を凍結したものや冷凍フルーツ、冷凍プリンなどが含まれる。
【0015】
以下、水素ガスが封じ込められた氷の製造方法および装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図4に水素ガスが封じ込められた立体形状の氷ができあがるまでの工程を製造装置とともに示した。図1図4に示す実施形態では、シリンダが設置面に対して垂直に(すなわちシリンダの軸が垂直になるように)設置されているが、横に寝かした状態に(すなわちシリンダの軸が水平になるように)設置してもよいし、斜めにした状態に設置してもよい。
【0016】
図1には製造装置の本体部が示されており、本体部は、シリンダ1およびシリンダ1の一方の端部である底部に装着され、シリンダ1の底部を塞ぐストッパー部材2を備えている。ストッパー部材2は、ストッパー(止め栓)として機能するものであり、ベース部3とストッパー部4とからなる。ベース部3はシリンダ1の一方の端部であるシリンダ底部の端面を支持し、ストッパー部4はシリンダ1の底部内に嵌入する部位である。ベース部3とストッパー部4は一体的にストッパー部材2を形成しているが、ベース部3にストッパー部4を固定したものでもよい。
シリンダ1の他方の端部である上端部から粉粒状の氷が投入され、シリンダ1内には粉粒状の氷100が収容される。
シリンダ1を横に寝かした状態や斜めにした状態に設置する場合は、プッシャーやスクリューコンベアなどの手段を使用して、シリンダ1の他方の端部から投入される粉粒状の氷をシリンダ1内の一方の端部側に寄せ集めて収容することができる。
【0017】
ストッパー部材2の内部には水素ガス導入路5が形成されており、シリンダ1内に水素ガスが導入できるようになっている。
水素ガス導入路5の一方の端部が水素ガス導入口6であり、この実施形態ではストッパー部材のベース部3の側面に位置しているが側面に限るものではない。水素ガス導入口6には短いパイプ(図面番号なし)が取り付けられ、このパイプを介して、水素ガスボンベなどの水素ガス供給源(不図示)とつながっており、水素ガス供給源から水素ガスが水素ガス導入口6を経て水素ガス導入路5に送られるようになっている。水素ガス導入路5の他方の端部が水素ガス噴出口7であり、この噴出口7からシリンダ1内に水素ガスが供給される。供給された水素ガスはシリンダ1内に収納された粉粒状の氷100の間隙に浸透する。
水素ガスをシリンダ1内に収納された粉粒状の氷に十分に供給するには、水素ガスは高圧にするのが望ましく、2気圧~10気圧程度とすることが好ましい。
【0018】
シリンダ1内に収容された粉粒状の氷100は、図2に示すように、シリンダ1の他方の端部である上端部から挿入され、シリンダ1の一方の端部である底部に向かって駆動されるピストン8で圧縮される。ピストン8の上面の中央部には上下に駆動することができる押し棒9が結合されており、押し棒9を下に押し込むことにより粉粒状の氷100がピストン8により圧縮され立体形状に成形される。
シリンダ1を横に寝かした状態あるいは斜めにした状態に設置する場合は、縦壁あるいは斜め壁などの設置面に当接するストッパー部材2にシリンダ1の一方の端部を支持させ、かつシリンダ1を横あるいは斜めに固定した状態でピストン8をシリンダ1の他方の端部から挿入し、押し棒9を水平あるいは斜めの方向に押込み、シリンダ1の一方の端部に向かって水平あるいは斜めに駆動されるピストン8により粉粒状の氷100を圧縮して立体形状に成形すればよい。
【0019】
シリンダ1内に収容された粉粒状の氷をピストン8で圧縮するタイミングは、水素ガスをシリンダ1内に注入するとともにピストン8の圧縮、すなわち水素ガスをシリンダ1内に注入しつつある段階でピストン8の圧縮を開始してもよいし、水素ガスをシリンダ1内に注入し、次いでピストン8の圧縮、すなわち、水素ガスをシリンダ1内に注入した後にピストン8の圧縮を開始してもよい。
【0020】
シリンダ1内に収容された粉粒状の氷100は、ピストン8の圧縮により、体積が1/10~3/10程度(図では3/20程度)にまで圧縮されるが、このときに粉粒状の氷100の間隙に含まれる空気や水素ガスなどの気体を一部逃してやらないかぎり圧縮できない。このために、圧縮成形時にこの気体の逃すための気体逃し通路10が必要である。なお、気体逃し通路10の途中には逃がす気体の圧力もしくは量を調節するための調節弁を設けてもよい。
【0021】
図1~4で示される実施形態では、図2に示すように、ピストン8の中央部を上下に貫通する孔を形成し、さらに、この孔と連通する孔を押し棒9の下端部に形成して気体逃し通路10を形成して、気体逃し通路10の一部を押し棒9に設けている。この気体逃し通路10の気体流入口11は、ピストン8の下面の中央部に設けられている。そして、気体逃し通路10の押し棒9に形成される部位は、押し棒9の下端部の軸中心に形成されているが、気体逃し通路10の上端部近傍で横に曲げられ、押し棒9の側部にこの気体流出口12が設けられている。押し棒9に形成された気体逃し通路10は、横に曲げないで、押し棒9の軸中心に沿って形成し、気体流出口12を押し棒の上端部に設けてもよい。
また、気体逃し通路10をピストン8内にのみ設けて、気体流出口12も押し棒9ではなく、ピストン8上面の押し棒9がない個所に設けてもよい。
【0022】
ピストン8の気体逃し通路10の気体流入口11はフィルター13で覆われている。こうすることで、ピストン8の圧縮時に粉粒状の氷が気体の流入口11に浸入して気体逃し通路10を塞ぐことを防ぐことができる。したがって、フィルター13は、気体は通過するが粉粒状の氷は通過できないものでなければならない。濾過グレードとしては、数ミクロンの濾過精度を有するフィルター13が好ましい。図1図4に示す実施形態では、図2に示すように、フィルター13は、ピストン8の下面全面をカバーしているが、下面全面でなくともよい。フィルター13をピストン8の下面にはネジ止めや接着により取り付けることができる。
このようなフィルター13として、金属焼結フィルターを使用することができる。金属焼結フィルターは、濾過グレードが0.1μm~200μmの広範囲に渡る濾過精度のものがそろっており、市販されているものである。
【0023】
シリンダ1に収容された粉粒状の氷100に水素ガスを供給し、図2に示すように、ピストン8で圧縮すると、粉粒状の氷100は圧縮されて、嵩体積が減少し圧縮されつつある粉粒状の氷150となる。そして、さらに圧縮すると、嵩体積がさらに減少して圧縮されつつある粉粒状の氷150は圧縮され立体形状に成形された氷200となる。
この過程で、圧縮して成形された立体形状の氷200の内部には多数の(複数の)空隙が形成され、この空隙に水素ガスが閉じ込められる。この立体形状の氷200の内部に形成される空隙は周囲を氷の壁で包囲されていると考えられ、氷が溶けない限り立体形状の氷に閉じ込められた水素ガスがすぐに消散することはない。
【0024】
ピストン8による圧縮が完了した後に、図4に示すように、シリンダ1およびピストン8を引き上げると、圧縮して成形された立体形状の氷14がストッパー部材2のストッパー部3から離れ、フィルター13にこびりついた状態でピストン8とともに引き上げられる。次いでストッパー部材2をシリンダ1の端部から取り外してから、ピストン8を下降させシリンダ1の一方の端部である底部から少し露出させて、フィルター13から成形された立体形状の氷200を分離すれば、水素ガスが封じ込められた氷が得られる。
【0025】
圧縮して成形された立体形状の氷200は、温度-16℃~-20℃程度の冷凍温度に設定できる家庭用冷凍庫で保存が可能であり、この程度の温度範囲に設定した冷凍庫で約半年間冷凍保存しても、圧縮して成形された立体形状の氷200から放出される水素ガスの量は、圧縮して成形された直後の立体形状の氷200と比べても、ほとんど減少しないことを確認している。
【0026】
ピストン8による圧縮により、圧縮して成形された立体形状の氷200に水素ガスが閉じ込められるメカニズムは定かではないが、シリンダ1内に収容された粉粒状の氷の間隙に水素ガスが浸透した状態でピストン8の圧力がかかることにより、氷の壁に囲まれた空隙が多数形成される同時に水素ガスがこれらの多数の空隙に閉じ込められるものと考えられる。
【0027】
上述した水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置のシリンダ1の寸法は、押し棒9の駆動力が十分に大きく、ピストンによりシリンダ1内に収容された粉粒状の氷を圧縮できる限り特段の制限はなく、シリンダ1の内径やピストン8の径をスケールアップすることが可能である。シリンダ1やピストン8の断面形状は円形に限らず正方形や長方形でもよい。また、比較的大きな、圧縮して成形された立体形状の氷200を製造し、この氷200を複数のより小さな立体形状の氷に細断することもできる。この際に一部の水素ガスが逃げるが、細断された氷がある程度の体積を有するものであれば、比較的小さな割合の減少に抑えることができる。
【0028】
健康によいとされている水素を水素水などの方法で摂取する場合の水素ガス濃度は微量であり1~1.6ppm程度の少量であり、効果も期待できないが、本発明の立体形状に成形された氷では、100mLの氷に10~20mLの水素ガスの割合で水素ガスを封じ込めることが確認でき、100mLの氷に少なくとも10mLの水素ガスの割合で、水素ガスを封じ込めることができる。
氷の比重を0.92、水素の密度を0.0899g/Lとすると、100mLの氷を解凍すると92gの水になるから、100mLの氷に対して10mLの水素ガスは、9.7ppmに相当する(10×10-3×0.0899/92=9.7×10-6=9.7ppm)。このように、従来の水素ガスを含有する水を凍結させて水素ガスを封入する場合に比べて、少なくとも10倍近くの水素ガスを封じ込めることができる。
高濃度の水素ガスは危険物であり、一般的に空気中で4体積%の濃度を超えると爆発や発火が起こりやすく、吸引することは現実的でないが、本発明の立体形状に成形された氷はゆっくりと溶解しながら水素ガスが少量ずつ発生するため、そのような危険性がない。
【0029】
本発明の立体形状に成形された氷は、家庭用の冷蔵庫に付属している冷凍室でも長期の保存が可能であり、適当な大きさにカットして砕いて、直接口に含んだり、飲料水や牛乳、ジュース、コーヒー、お茶、紅茶、ウイスキーや焼酎、リキュールなどに入れたりして利用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1:シリンダ
2:ストッパー部材
3:(ストッパー部材の)ベース部
4:(ストッパー部材の)ストッパー部
5:水素ガス導入路
6:水素ガス導入口
7:水素ガス噴出口
8:ピストン
9:押し棒
10:気体逃し通路
11:(気体逃し通路の)気体流入口
12:(気体逃し通路の)気体流出口
13:フィルター
・・・
100:粉粒状の氷
150:圧縮されつつある粉粒状の氷
200:圧縮して成形された立体形状の氷
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、
一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに、気体逃し通路を有するピストンによりシリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
【請求項2】
水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、
一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入し、次いで、気体逃し通路を有するピストンにより、シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
【請求項3】
水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置であって、
粉粒状の氷が収納されるシリンダとシリンダの一方の端部に挿入され該端部を塞ぐストッパー部材とシリンダの他方の端部から挿入され、シリンダの一方の端部に向かって駆動されるピストンと水素ガス供給源とを有し、
ストッパー部材には水素ガス供給源からの水素ガスが導入される水素ガス導入路が形成され、
ピストンには、気体逃し通路が形成されるとともに、気体逃し通路の気体流入口を覆うフィルターが取り付けられている、
粉粒状の氷を圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、一方の端部がストッパー部材で塞が
れたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入
路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに、気体逃し通路を有するピストンにより
シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形すること
を特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
[2]水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、一方の端部がストッパー部材で塞が
れたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入
路から水素ガスをシリンダ内に注入し、次いで、気体逃し通路を有するピストンにより、
シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状に成形することを特
徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
[3]水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置であって、粉粒状の氷が収納されるシリン
ダとシリンダの一方の端部に挿入され該端部を塞ぐストッパー部材とシリンダの他方の端
部から挿入され、シリンダの一方の端部に向かって駆動されるピストンと水素ガス供給源
とを有し、ストッパー部材には水素ガス供給源からの水素ガスが導入される水素ガス導入
路が形成され、ピストンには、気体逃し通路が形成されるとともに、気体逃し通路の気体
流入口を覆うフィルターが取り付けられている、粉粒状の氷を圧縮して、立体形状に
成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、
一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに、中央部を上下に貫通する気体逃し通路を有するピストンによりシリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
【請求項2】
水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、
一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入し、次いで、中央部を上下に貫通する気体逃し通路を有するピストンにより、シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
【請求項3】
水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置であって、
粉粒状の氷が収納されるシリンダとシリンダの一方の端部に挿入され該端部を塞ぐストッパー部材とシリンダの他方の端部から挿入され、シリンダの一方の端部に向かって駆動されるピストンと水素ガス供給源とを有し、
ストッパー部材には水素ガス供給源からの水素ガスが導入される水素ガス導入路が形成され、
ピストンには、中央部を上下に貫通する気体逃し通路が形成されるとともに、気体逃し通路の気体流入口を覆うフィルターが取り付けられている、
粉粒状の氷を圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入するとともに、中央部を上下に貫通する気体逃し通路を有するピストンによりシリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状の氷に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
[2]水素ガスを封じ込めた氷の製造方法であって、一方の端部がストッパー部材で塞がれたシリンダ内に収容された粉粒状の氷を、該ストッパー部材に形成された水素ガス導入路から水素ガスをシリンダ内に注入し、次いで、中央部を上下に貫通する気体逃し通路を有するピストンにより、シリンダの他方の端部から一方の端部に向かって圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷の製造方法。
[3]水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置であって、粉粒状の氷が収納されるシリンダとシリンダの一方の端部に挿入され該端部を塞ぐストッパー部材とシリンダの他方の端部から挿入され、シリンダの一方の端部に向かって駆動されるピストンと水素ガス供給源とを有し、ストッパー部材には水素ガス供給源からの水素ガスが導入される水素ガス導入路が形成され、ピストンには、中央部を上下に貫通する気体逃し通路が形成されるとともに、気体逃し通路の気体流入口を覆うフィルターが取り付けられている、粉粒状の氷を圧縮して、立体形状に成形することを特徴とする水素ガスを封じ込めた氷を製造する装置。