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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012931
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116134
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 真也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC12
5E353CC23
5E353CC25
5E353DD02
5E353EE36
5E353EE37
5E353EE89
5E353HH23
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】部品実装システム全体で生産効率を向上させるための技術を提供する。
【解決手段】部品実装システムは、電子部品を収容する部品供給装置を複数設置可能であり、当該部品供給装置から供給される電子部品を基板に実装する複数の部品実装機を備える。部品実装システムは、電子部品ごとに部品供給装置を部品実装機に設置するのに必要な作業時間を、当該電子部品の準備状況と当該電子部品を供給する部品供給装置の種類の少なくとも一方に基づいて演算する作業時間演算部と、電子部品が必要となる時刻と演算された作業時間とに基づき、部品供給装置を部品実装機に設置する作業の優先順位を決定する作業順決定部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容する部品供給装置を複数設置可能であり、当該部品供給装置から供給される前記電子部品を基板に実装する複数の部品実装機を備える部品実装システムであって、
前記電子部品ごとに前記部品供給装置を前記部品実装機に設置するのに必要な作業時間を、当該電子部品の準備状況と当該電子部品を供給する前記部品供給装置の種類の少なくとも一方に基づいて演算する作業時間演算部と、
前記電子部品が必要となる時刻と演算された前記作業時間とに基づき、前記部品供給装置を前記部品実装機に設置する作業の優先順位を決定する作業順決定部と、
を備える、部品実装システム。
【請求項2】
前記電子部品が収容されている収容済部品供給装置の有無に関する供給装置在庫情報を記憶する記憶部をさらに備えており
前記供給装置在庫情報は、前記電子部品の種類と、当該電子部品の種類毎に紐付けられる前記収容済部品供給装置の有無と、を含んでおり、
前記作業時間演算部は、前記供給装置在庫情報から特定した前記電子部品の準備状況に基づいて、前記作業時間を演算可能である、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記部品供給装置を前記部品実装機に設置するために要する設置時間に関する設置時間情報を記憶する記憶部をさらに備えており、
前記設置時間は、前記部品供給装置に収容される前記電子部品の種類毎に異なっており、
前記設置時間情報は、前記電子部品の種類と、当該電子部品の種類毎に紐付けられる前記設置時間と、を含んでおり、
前記作業時間演算部は、前記部品供給装置の種類から特定される前記設置時間情報を用いて、前記作業時間を演算可能である、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記供給装置に前記電子部品を収容する作業に要する収容時間に関する収容時間情報をさらに記憶しており、
前記収容時間情報は、前記電子部品の種類と、当該電子部品の種類毎に紐付けられる前記収容時間と、を含んでおり、
前記作業時間演算部は、前記供給装置在庫情報及び前記収容時間情報と、に基づいて、前記作業時間を演算可能である、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項5】
各部品実装機は、
第1の基板を搬送する第1基板搬送装置と、
第2の基板を搬送する第2基板搬送装置と、
前記部品供給装置から供給される前記電子部品を、前記第1基板搬送装置で搬送された前記第1の基板及び前記第2基板搬送装置で搬送された前記第2の基板へそれぞれ実装する実装部と、をさらに備えており、
前記部品実装システムは、前記電子部品の種類毎に、当該電子部品が前記第1の基板と前記第2の基板のいずれに実装されるのかを認識する認識部をさらに備えており、
前記作業順決定部は、前記部品供給装置に収容される前記電子部品が所定数以下でであるときに、少なくとも前記認識部による認識結果に基づいて、前記部品供給装置を前記部品実装機に設置する作業の優先順位を決定する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記作業順決定部は、前記認識部によって前記第1の基板と前記第2の基板のうちの一方のみに実装されると認識された前記電子部品が、前記認識部によって前記第1の基板と前記第2の基板のうち両方に実装されると認定された前記電子部品より先に前記部品実装機に供給されるように、前記優先順位を決定する、請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記作業順決定部で決定した前記順番を報知する報知部をさらに備えている、請求項1~6のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
第1の基板を搬送する第1基板搬送装置と、
第2の基板を搬送する第2基板搬送装置と、
電子部品を収容する部品供給装置を複数設置可能な部品供給部と、
前記部品供給装置から供給される前記電子部品を、前記第1基板搬送装置で搬送された前記第1の基板及び前記第2基板搬送装置で搬送された前記第2の基板へそれぞれ実装する実装部と、
前記電子部品の種類毎に、当該電子部品が前記第1の基板と前記第2の基板のいずれに実装されるのかを認識する認識部と、
前記部品供給装置に収容される前記電子部品が所定数以下でであるときに、少なくとも前記認識部による認識結果に基づいて、前記部品供給装置を前記部品供給部に設置する作業の優先順位を決定する作業順決定部と、
を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機には、電子部品を供給する部品供給装置が設置される。部品実装機によって基板へ電子部品を実装する実装処理を実行すると、部品供給装置から電子部品が基板に供給される。実装処理が続けられると、部品供給装置内の電子部品が部品切れとなるため、部品切れとなる電子部品と同じ種類の電子部品を部品実装機に補充する必要がある。複数の部品実装機を備える部品実装システムでは、複数の部品実装機毎に複数の部品供給装置が設置されている。このため、複数の部品実装機がそれぞれ停止しないか、停止したとしても停止時間が短くなるように、各部品実装機に電子部品を補充する必要がある。例えば、特許文献1には、複数の部品実装機を備える部品システムにおいて、各部品実装機に電子部品を補充する順番を決定するための技術が開示されている。特許文献1の部品実装システムでは、複数の部品実装機に設置されている全ての供給装置について、部品切れまでの時間をそれぞれ予測し、予測した部品切れの時間が短い順番に従って、電子部品を補充する順番を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-41732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の部品実装システムは、各部品供給装置の部品切れのタイミングに基づいて、電子部品を補充する順番を決定している。しかしながら、部品実装システムでは、多くの種類の電子部品が基板に実装され、部品供給装置は1種類の電子部品を収容するため、部品実装機には電子部品の種類毎に多くの部品供給装置が設置される。電子部品は、種類毎に部品実装機に補充するために要する作業時間が異なることがある。また、電子部品の種類によって、部品切れで実装作業が停止することによる部品実装システム全体への影響度は異なり、特定の部品実装機の特定の種類の電子部品の交換作業が部品実装システム全体の生産性の低下を招くボトルネックとなることがある。このため、部品切れまでの時間に従い順番に電子部品を補充すると、部品実装システム全体における実装処理に要する時間が長くなることがあった。
【0005】
本明細書は、部品実装システム全体で生産効率を向上させるための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する第1の部品実装システムは、電子部品を収容する部品供給装置を複数設置可能であり、当該部品供給装置から供給される電子部品を基板に実装する複数の部品実装機を備える。部品実装システムは、電子部品ごとに部品供給装置を部品実装機に設置するのに必要な作業時間を、当該電子部品の準備状況と当該電子部品を供給する部品供給装置の種類の少なくとも一方に基づいて演算する作業時間演算部と、電子部品が必要となる時刻と演算された作業時間とに基づき、部品供給装置を部品実装機に設置する作業の優先順位を決定する作業順決定部と、を備える。
【0007】
例えば、寸法の大きな電子部品を収容する供給装置は、寸法の小さな電子部品を収容する供給装置より、供給装置を設置する際に作業時間が長くなることがある。また、電子部品を収容した状態の部品供給装置(部品供給装置の在庫)がない場合、部品供給装置に電子部品を収容するための作業時間をさらに要する。上記の部品実装システムでは、電子部品ごとに部品供給装置を部品実装機に設置するのに必要な作業時間を、当該電子部品の準備状況と当該電子部品を供給する部品供給装置の種類の少なくとも一方に基づいて演算し、電子部品が必要となる時刻と演算された作業時間とに基づき、部品供給装置を部品実装機に設置する作業の優先順位を決定する。これにより、電子部品の種類に応じて、部品実装機へ部品供給装置を設置完了するまでに時間を要するものを優先して設置することが可能となる。このため、複数の部品実装機全体において、実装処理が停止する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0008】
本明細書に開示する第2の部品実装システムは、第1の基板を搬送する第1基板搬送装置と、第2の基板を搬送する第2基板搬送装置と、電子部品を収容する部品供給装置を複数設置可能な部品供給部と、部品供給装置から供給される電子部品を、第1基板搬送装置で搬送された第1の基板及び第2基板搬送装置で搬送された第2の基板へそれぞれ実装する実装部と、電子部品の種類毎に、当該電子部品が第1の基板と第2の基板のいずれに実装されるのかを認識する認識部と、部品供給装置に収容される電子部品が所定数以下であるときに、少なくとも認識部による認識結果に基づいて、部品供給装置を部品供給部に設置する作業の優先順位を決定する作業順決定部と、を備える。
【0009】
第1の基板を搬送する第1基板搬送装置と、第2の基板を搬送する第2基板搬送装置を備える部品実装システムでは、電子部品が、第1の基板と第2の基板のいずれに実装されるのか(例えば、第1の基板と第2の基板のいずれか一方のみに実装されるのか、第1の基板と第2の基板の両方に実装されるのか)に応じて、その電子部品が部品切れになることがボトルネックになることがある。上記の部品実装システムでは、電子部品が所定数以下となったときに、認識部の認識結果(すなわち、第1の基板と第2の基板のいずれに実装されるのか)に基づいて、部品供給装置を部品供給部に設置する作業の優先順位を決定する。このため、ボトルネックになる電子部品を優先して補充することが可能となり、部品実装システム全体において、実装処理が停止する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る部品実装システムが備える部品実装ラインの概略構成を示す図。
図2】実施例1の部品実装機の概略構成を示す図。
図3図2のIII-III線における断面図。
図4】管理装置の概略構成を示すブロック図。
図5】実施例1のサイクルタイム情報の一例を示す図。
図6】フィーダ情報の一例を示す図。
図7】実施例1において、演算部が各部品実装機に部品フィーダを設置する作業の優先順位を決定する処理の一例を示すフローチャート。
図8】部品フィーダに関する情報の一例を示す図であり、タイムリミットが短い順番で部品フィーダに関する情報が表示されている。
図9】実施例2に係る部品実装システムが備える部品実装ラインの概略構成を示す図。
図10】実施例2の部品実装機の概略構成を示す図。
図11図10のXI-XI線における断面図。
図12】実施例2のサイクルタイム情報の一例を示す図。
図13】実施例2において、演算部が各部品実装機に部品フィーダを設置する作業の優先順位を決定する処理の一例を示すフローチャート。
図14】演算部が選択した部品フィーダの優先順位を決定する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
本明細書に開示する部品実装システムは、電子部品が収容されている収容済部品供給装置の有無に関する供給装置在庫情報を記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。供給装置在庫情報は、電子部品の種類と、当該電子部品の種類毎に紐付けられる収容済部品供給装置の有無と、を含んでいてもよい。作業時間演算部は、供給装置在庫情報から特定した電子部品の準備状況に基づいて、作業時間を演算可能であってもよい。このような構成によると、記憶部に記憶される供給装置在庫情報から、電子部品の準備状況(すなわち、収容済部品供給装置の有無)を特定でき、作業時間を適切に演算することできる。
【0013】
本明細書に開示する部品実装システムは、部品供給装置を部品実装機に設置するために要する設置時間に関する設置時間情報を記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。設置時間は、部品供給装置に収容される電子部品の種類毎に異なっていてもよい。設置時間情報は、電子部品の種類と、当該電子部品の種類毎に紐付けられる前記設置時間と、を含んでいてもよい。作業時間演算部は、部品供給装置の種類から特定される設置時間情報を用いて、作業時間を演算可能であってもよい。このような構成によると、電子部品の種類から当該電子部品を部品実装機に設置するために要する設置時間を特定することができ、作業時間を適切に演算することができる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装システムでは、記憶部は、供給装置に電子部品を収容する作業に要する収容時間に関する収容時間情報をさらに記憶していてもよい。収容時間情報は、電子部品の種類と、当該電子部品の種類毎に紐付けられる収容時間と、を含んでいてもよい。作業時間演算部は、供給装置在庫情報及び収容時間情報と、に基づいて、作業時間を演算可能であってもよい。このような構成によると、供給装置在庫情報に加えて、収容時間情報を用いて、作業時間を演算することができる。これにより、収容済部品供給装置が無いときでも、作業時間を適切に演算することができる。
【0015】
本明細書に開示する部品実装システムでは、各部品実装機は、第1の基板を搬送する第1基板搬送装置と、第2の基板を搬送する第2基板搬送装置と、部品供給装置から供給される電子部品を、第1基板搬送装置で搬送された第1の基板及び第2基板搬送装置で搬送された第2の基板へそれぞれ実装する実装部と、をさらに備えていてもよい。部品実装システムは、電子部品の種類毎に、当該電子部品が第1の基板と前記第2の基板のいずれに実装されるのかを認識する認識部をさらに備えていてもよい。作業順決定部は、部品供給装置に収容される電子部品が所定数以下であるときに、少なくとも認識部による認識結果に基づいて、部品供給装置を部品実装機に設置する作業の優先順位を決定してもよい。
【0016】
本明細書に開示する部品実装システムでは、作業順決定部は、認識部によって第1の基板と第2の基板のうちの一方のみに実装されると認識された電子部品が、認識部によって第1の基板と第2の基板の両方に実装されると認識された電子部品より先に部品実装機に供給されるように、優先順位を決定してもよい。このような構成によると、第1の基板と第2の基板のうちの一方のみに実装されると認識された電子部品が、優先して補充される。第1の基板と第2の基板に電子部品を実装する部品実装システムでは、第1の基板と第2の基板のいずれか一方のみに実装される電子部品が部品切れになることがボトルネックになることが多い。このため、第1の基板と第2の基板のいずれか一方のみに実装される電子部品が優先して補充されることによって、部品実装システム全体において、実装処理が停止する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0017】
本明細書に開示する部品実装システムは、作業順決定部で決定した順番を報知する報知部をさらに備えていてもよい。このような構成によると、部品供給装置を前記部品実装機に設置する作業を行う順番を作業者に報知することができ、作業者は、報知された順番に従って、部品供給装置を前記部品実装機に設置する作業を実行することができる。
【実施例0018】
(実施例1)
図面を参照して、実施例1に係る部品実装システム1について説明する。図1に示すように、部品実装システム1は、複数の部品実装機10a~10fと、管理装置30を備えている。各部品実装機10a~10fは、管理装置30に通信可能に接続されている。管理装置30と、複数の部品実装機10a~10fによって部品実装ライン100が構成されている。
【0019】
各部品実装機10a~10fは、電子部品4を回路基板2に実装する。回路基板2は、部品実装ライン100の一端から他端に向かって送られる。回路基板2には、各部品実装機10において、予め定められた電子部品4が実装される。本実施例では、複数の部品実装機10a~10fを、上流(図1の左側)から下流(図1の右側)に向かって順番に、部品実装機10a、10b、・・・、10fと称する。また、複数の部品実装機10a~10fを区別する必要がないときには、添え字のアルファベットを省略して、単に「部品実装機10」と称することがある。部品実装ライン100の他端まで送られた回路基板2は、最終製品として出荷、又は半製品として後工程に送られる。部品実装機10には、複数の部品フィーダ12が設置可能となっている。部品実装機10に部品フィーダ12を設置することで、部品フィーダ12から部品実装機10に電子部品4が供給される。なお、部品フィーダ12は、部品実装ライン100において、複数の部品実装機10のいずれに対しても設置可能となっている。部品実装機10にどの種類の部品フィーダ12が設置されるかは、管理装置30において決定される。
【0020】
図2及び図3に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、基板コンベア20と、実装部22と、タッチパネル24と、制御装置26を備える。実装部22は、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18を備える。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0021】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。装着ヘッド16は、一又は複数の吸着ノズル6を着脱可能に保持し、吸着ノズル6を用いて部品フィーダ12が供給する電子部品4を取り上げ、当該電子部品4を回路基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置18が、部品フィーダ12及び回路基板2に対して、装着ヘッド16を移動させる。これによって、複数の部品フィーダ12のうち特定の部品フィーダ12から電子部品4が取り上げられ、回路基板2の予め定められた位置に電子部品4が装着される。基板コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。
【0022】
タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。制御装置26は、CPU及びメモリを備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置30と通信可能に接続されている。制御装置26は、管理装置30から送信される生産プログラム(実装データ)に基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。
【0023】
図1に示すように、管理装置30は、複数の部品実装機10と通信可能に接続されており、複数の部品実装機10を管理している。管理装置30は、各部品実装機10の動作を制御することで、部品実装ライン100の全体を制御している。すなわち、管理装置30は、複数の部品実装機10のそれぞれに対して、その部品実装機10で回路基板2に実装する電子部品4の種類等を決定し、それらを部品実装機10に指示する。部品実装機10が管理装置30の指示に基づいて動作することで、回路基板2に必要な電子部品4が実装される。また、管理装置30は、各部品実装機10の各スロットに設置されている部品フィーダ12の種類及び収容する電子部品4の残数を管理している。
【0024】
図4に示すように、管理装置30は、演算部32と、入力部40と、表示部42を備えている。入力部40は、部品実装システム1による実装処理に関する各種情報の入力を受け付ける。表示部42は、複数の部品実装機10a~10fに設置される全ての部品フィーダ12のうち、電子部品4を補充するための作業が必要となる1又は複数の部品フィーダ12を表示すると共に、それら部品フィーダ12の作業優先順位を表示する。
【0025】
演算部32は、CPU及び記憶部34を備えるコンピュータを用いて構成されている。演算部32は、作業時間演算部36と、作業順決定部38を備えている。演算部32は、記憶部34に記憶されたプログラムを実行することで、図4に示す作業時間演算部36及び作業順決定部38として機能する。作業時間演算部36及び作業順決定部38の処理については、後に詳述する。
【0026】
また、記憶部34は、サイクルタイム情報と、フィーダ情報を記憶している。サイクルタイム情報は、部品実装システム1を構成する複数の部品実装機10a~10fのそれぞれのサイクルタイムに関する情報である。サイクルタイムは、各部品実装機10が回路基板2に電子部品4を実装するために要する時間である。複数の部品実装機10a~10fにおいて回路基板2に実装する電子部品4の種類及び数量が異なるため、サイクルタイム情報には、複数の部品実装機10a~10fのそれぞれのサイクルタイムを含んでいる。図5は、サイクルタイム情報の一例を示している。図5に示す例では、サイクルタイム情報は、各部品実装機10a~10fを識別する識別情報(すなわち、名称10a~10f)と、各部品実装機10a~10fのそれぞれのサイクルタイムを含んでいる。なお、図5に示す例では、複数の部品実装機10a~10fのうち、部品実装機10bのサイクルタイムが、28秒と最も長い。
【0027】
フィーダ情報は、部品実装機10に設置可能な部品フィーダ12に関する情報である。各部品フィーダ12には、同じ種類の電子部品4が収容されている。電子部品4の種類に応じて、収容される部品フィーダ12の種類が異なる。フィーダ情報は、部品フィーダ12の種類と、部品フィーダ12の種類に紐付けられる部品準備時間、フィーダ交換時間、スプライシング時間及び代替フィーダの数を含んでいる。
【0028】
部品準備時間は、部品フィーダ12に電子部品4を収容するために要する時間である。例えば、テープ式フィーダの場合、部品準備時間は、電子部品4を収容するリールを部品フィーダ12に収容(装着)するために要する時間である。フィーダ交換時間は、電子部品4が収容されている状態の部品フィーダ12を部品実装機10に設置するために要する時間である。スプライシング時間は、部品フィーダ12に電子部品4をスプライシングするために要する時間である。なお、スプライシングは、テープ式フィーダにおいて、部品フィーダ12内に収容されているリール(すなわち、電子部品4を収容するテープ)に、新たなリール(テープ)を追加する作業である。スプライシングは、部品実装機10に設置されている部品フィーダ12に行うことができ、また、当該部品実装機10が動作している間であっても行うことができる。なお、部品実装機10に設置されている部品フィーダ12にスプライシングする場合には、部品フィーダ12を部品実装機10に対して着脱しないが、部品フィーダ12内に新たな電子部品4(詳細には、電子部品4を収容するリール)が追加されるため、部品フィーダ12を交換する場合と同様の効果が生じる。このため、本実施例では、スプライシングする場合も、「部品フィーダ12を設置する」と称することがある。代替フィーダは、電子部品4が収容されている状態の部品フィーダ12を示す。このため、代替フィーダがある場合、部品フィーダ12を部品実装機10に設置する際に、部品フィーダ12に電子部品4を収容する必要がないため、部品準備時間を要することなく、フィーダ交換時間のみが必要となる。一方、代替フィーダがない場合(さらに詳細には、スプライシングもできない場合)、部品フィーダ12を部品実装機10に設置するためには、部品フィーダ12に電子部品4を収容し、その後、部品フィーダ12を部品実装機10に設置する必要がある。このため、部品準備時間とフィーダ交換時間とを足し合わせた合計時間が必要となる。
【0029】
図6は、フィーダ情報の一例を示している。ただし、図6に示す例では代替フィーダの有無については表示されていない。部品フィーダ12の種類は、「8mm」、「12mm~16mm」、「24mm~32mm」及び「44mm~72mm」の4種類を含み、これらはテープ式フィーダのテープの幅を示している。また、「スティック」は、スティック式フィーダを示し、「トレイ」は、トレイ式フィーダを示している。部品準備時間に記載される数値は、各フィーダタイプ(種類)の部品フィーダ12に電子部品4を収容するために一般的に要する時間を示す。フィーダ交換時間に記載される数値は、各フィーダタイプの部品フィーダ12を部品実装機10に設置するために一般的に要する時間を示す。スプライシング時間に記載される数値は、部品フィーダ12に電子部品4をスプライシングするために一般的に要する時間を示し、「NA」と記載されている場合、その部品フィーダ12は、スプライシングできないことを示す。図6に示す例では、8mmのテープ式フィーダのみ、スプライシング可能であり、その他の種類の部品フィーダ12は、スプライシングできない。
【0030】
なお、演算部32は、記憶部34に記憶されるサイクルタイム情報及びフィーダ情報の内容を、部品実装システム1による実装処理に応じてフィードバックしてもよい。具体的には、部品実装システム1による実装処理を実行し、各部品実装機10のサイクルタイムが変化した場合には、演算部32は、各部品実装機10のサイクルタイムを変化後の時間に変更(更新)して、サイクルタイム情報を記憶部34に記憶させてもよい。また、部品準備時間、フィーダ交換時間及びスプライシング時間についても、部品実装システム1による実装処理を実行した結果、各時間が変化した場合には、演算部32は、部品準備時間、フィーダ交換時間及びスプライシング時間のそれぞれを変化後の時間に変更(更新)して、フィーダ情報を記憶部34に記憶させてもよい。
【0031】
次に、本実施例において、演算部32が各部品実装機10に部品フィーダ12を設置する作業の優先順位を決定する処理について説明する。部品実装システム1は、複数の部品実装機10a~10fを備えており、各部品実装機10a~10fには、複数の部品フィーダ12が設置されている。部品フィーダ12内に収容される電子部品4が不足すると、実装処理が停止する。このため、部品実装機10a~10fに実装処理が停止しないか、停止したとしても停止時間が短くなるように、適切なタイミングで部品フィーダ12を部品実装機10a~10fに設置する必要がある。しかしながら、部品実装システム1全体では、多くの部品フィーダ12が部品実装機10a~10fに設置されているため、部品フィーダ12内に収容される電子部品4が不足するタイミングが重なることがある。以下では、部品実装システム1全体で実装処理が停止する時間が短くなるように、部品フィーダ12を部品実装機10に設置する順番を決定する方法を説明する。
【0032】
図7に示すように、まず、演算部32は、複数の部品実装機10a~10fの各スロットに設置されている部品フィーダ12について、その部品フィーダ12に収容される電子部品4が不足するまでの時間(タイムリミット)を算出する(S12)。上述したように、管理装置30(具体的には、演算部32)は、部品実装機10a~10fに設置されている各部品フィーダ12の種類及び電子部品4の残数を管理している。演算部32は、管理している情報を用いて、部品実装機10a~10fに設置されている各部品フィーダ12のタイムリミットを算出する。
【0033】
次いで、作業時間演算部36は、記憶部34に記憶されているフィーダ情報を取得する(S14)。
【0034】
次いで、作業時間演算部36は、ステップS12で算出したタイムリミットと、ステップS14で取得したフィーダ情報を用いて、部品実装機10a~10fに設置されている各部品フィーダ12について、その部品フィーダ12に収容される電子部品4の補充が完了するまでの時間(以下、余裕時間ともいう)を算出する。
【0035】
余裕時間は、部品フィーダ12の種類に応じて算出方法が異なる。図8を参照して、余裕時間の算出方法について説明する。図8に示す表では、ステップS12で算出されたタイムリミットが短い順番で、部品実装機10a~10fに設置されている各部品フィーダ12に関する情報が表示されている。例えば、No.1の部品フィーダ12は、部品実装機10eの15番目のスロットに設置されている「8mm」のテープ式フィーダである。この部品フィーダ12は、電子部品4が不足するまでのタイムリミットが2分であり、代替フィーダがあると共に、スプライシングが可能である。このため、部品フィーダ12を部品実装機10に設置するためには、フィーダ交換時間である0.5分、又は、図6に示す8mmの部品フィーダ12のスプライシング時間である0.5分を要する。このように、代替フィーダがある部品フィーダ12の余裕時間は、「タイムリミット-フィーダ交換時間」によって算出でき、スプライシング可能な部品フィーダ12の余裕時間は、「タイムリミット-スプライシング時間」によって算出できる。このため、No.1の部品フィーダ12の余裕時間は、2-0.5=1.5分となる。代替フィーダがある部品フィーダ12や、スプライシング可能な部品フィーダ12は、上記と同様の方法で余裕時間を算出できる。このため、No.3、No.5、No.7及びNo.8の部品フィーダ12の余裕時間も、同様の方法で算出できる。
【0036】
一方で、No.2の部品フィーダ12は、「24mm」のテープ式フィーダであり、代替フィーダがなく、また、スプライシングできない。このため、No.2の部品フィーダ12に収容されている電子部品4が不足する前に、同じ種類の部品フィーダ12を部品実装機10cに設置することができない。このような種類の部品フィーダ12の余裕時間は、電子部品4が不足するまでのタイムリミットに関わらず、「-(部品準備時間+フィーダ交換時間)」によって算出できる。このため、No.2の部品フィーダ12の余裕時間は、-(3+1)=-4分となる。代替フィーダがなく、スプライシングできない部品フィーダ12は、上記と同様の方法で余裕時間を算出できる。このため、No.4及びNo.6の部品フィーダ12の余裕時間も、同様の方法で算出できる。
【0037】
次いで、作業時間演算部36は、記憶部34に記憶されているサイクルタイム情報を取得する(S18)。そして、作業時間演算部36は、ステップS18で取得したサイクルタイム情報から、ボトルネックとなる部品実装機10を特定する(S20)。本実施例において、ボトルネックとなる部品実装機10は、複数の部品実装機10a~10fのうち、サイクルタイムが最も長い部品実装機10である。図5に示す例では、部品実装機10bである。
【0038】
次いで、作業順決定部38は、ステップS20で特定したボトルネックとなる部品実装機10に設置される部品フィーダ12において、タイムリミットが所定時間以下のものがあるか否かを判断する(S22)。なお、所定時間は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、図8に示す例では、所定時間は15分であり、部品実装機10bに設置されている部品フィーダ12のうちタイムリミットが15分以下の部品フィーダ12は、No.3及びNo.7の部品フィーダ12である。サイクルタイムが長い部品実装機10(本実施例では、部品実装機10b)において実装処理が停止される時間が長くなると、部品実装システム1全体で実装処理が停止する時間が長くなることが経験的に知られている。そこで、本実施例においては、ボトルネックとなる部品実装機10bに設置される部品フィーダ12(以下、「ボトルネックとなる部品フィーダ12」ともいう)の中に、タイムリミットが所定時間以下のものがある場合(ステップS22でYES)、作業順決定部38は、タイムリミットが所定時間以下のボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を上位に決定する(S24)。ここで、タイムリミットが所定時間以下のボトルネックとなる部品フィーダ12が複数ある場合には、作業順決定部38は、これらの部品フィーダ12の優先順位を、余裕時間が短い順番となるように決定する。一方、ボトルネックとなる部品フィーダ12の中に、タイムリミットが所定時間以下のものがない場合(ステップS22でNO)、作業順決定部38は、ステップS24の処理をスキップして、ステップS26に処理に進む。
【0039】
例えば、図8に示す例では、No.3及びNo.7の部品フィーダ12は、タイムリミットが所定時間(図8では、15分)以下であり、ボトルネックとなる部品実装機10bに設置されている。このため、作業順決定部38は、No.3及びNo.7の部品フィーダ12の優先順位を最上位の1~2位と決定する。また、No.3の部品フィーダ12の余裕時間は、4.5分であり、No.7の部品フィーダ12の余裕時間は、10.5分である。そこで、作業順決定部38は、余裕時間が短いNo.3の部品フィーダ12の優先順位を1位と決定し、No.7の部品フィーダ12の優先順位を2位と決定する。
【0040】
本実施例では、ボトルネックとなる部品実装機10bに設置される部品フィーダ12の優先順位を上位に決定する。これによって、ボトルネックとなる部品実装機10bの実装処理が停止される時間を短くすることができ、部品実装システム1全体で実装処理が停止する時間を短くすることができる。
【0041】
次いで、作業順決定部38は、優先順位が決定していない部品フィーダ12の中で、余裕時間が最も短いものを選択する(S26)。次いで、作業順決定部38は、ステップS26で選択した部品フィーダ12が複数あるか否かを判断する(S28)。ステップS26で選択した部品フィーダ12が1つの場合(ステップS28でNO)、作業順決定部38は、ステップS26で選択した部品フィーダ12が、ステップS24で優先順位が決定された部品フィーダ12に続いて設置されるように、優先順位を決定する。例えば、図8の例では、No.1、No.2、No.4~No.6及びNo.8の部品フィーダ12は、優先順位が決定していない。No.1、No.2、No.4~No.6及びNo.8の部品フィーダ12の中で、最も余裕時間が最も短いものは、余裕時間が-13であるNo.4の部品フィーダ12であり、同じ余裕時間のものはない。このため、作業順決定部38は、No.4の部品フィーダ12の優先順位を3位と決定する。
【0042】
次いで、作業順決定部38は、優先順位が決定していない部品フィーダ12が残っているか否かを判断する(S34)。優先順位が決定していない部品フィーダ12が残っている場合(ステップS34でYES)、ステップS26に戻り、ステップS26~ステップS34の処理を繰り返す。
【0043】
一方、ステップS26で選択した部品フィーダ12(すなわち、余裕時間が同じ部品フィーダ12)が複数ある場合(ステップS28でYES)、作業順決定部38は、ステップS26で選択した複数の部品フィーダ12の優先順位を、タイムリミットが短い順番に従い決定する。例えば、図8の例では、No.1、No.2、No.5、No.6及びNo.8の部品フィーダ12は、優先順位が決定していない。No.1、No.2、No.4~No.6及びNo.8の部品フィーダ12の中で、最も余裕時間が最も短いものは、余裕時間が-4であるNo.2及びNo.6の部品フィーダ12である。作業順決定部38は、No.2及びNo.6の部品フィーダ12の優先順位を、タイムリミットが短い順番に従い決定する。No.2の部品フィーダ12のタイムリミットは、3分であり、No.6の部品フィーダ12のタイムリミットは、10分である。このため、作業順決定部38は、No.2及びNo.6の部品フィーダ12のうちで、タイムリミットが短いNo.2の部品フィーダ12の優先順位を4位と決定し、タイムリミットが長いNo.6の部品フィーダ12の優先順位を5位と決定する。その後、作業順決定部38は、ステップS34の処理に進む。
【0044】
本実施例では、部品フィーダ12の種類や、部品フィーダ12の準備状況(代替フィーダの有無や、スプライシングの可否)に基づいて、各部品フィーダ12の余裕時間を算出している。電子部品4の種類に応じて、部品フィーダ12の種類は異なる。すなわち、電子部品4の種類に応じて、部品フィーダ12の種類が特定され、部品フィーダ12の種類に応じて、余裕時間が算出される。また、余裕時間が短い部品フィーダ12から設置するように優先順位を決定している。このため、電子部品4の種類に応じて、電子部品4の補充が完了するまでの余裕時間を適切に算出することができ、部品フィーダ12を部品実装機10に設置する優先順位を適切に決定することができる。
【0045】
全ての部品フィーダ12の優先順位が決定されると(ステップS34でNO)、演算部32は、決定した優先順位に従い、部品フィーダ12の情報を表示部42に表示する(S36)。表示部42に表示する部品フィーダ12の情報は、例えば、優先順位と、部品フィーダ12の種類と、部品フィーダ12を設置する部品実装機10及びそのスロット番号と、作業内容(例えば、代替フィーダの設置、スプライシング、部品フィーダ12への電子部品4の収容作業の有無等)等の、部品フィーダ12を設置するために必要な情報である。表示部42に優先順位に従って部品フィーダ12の情報を表示することにより、作業者は、部品フィーダ12を設置する優先順位を知得することができ、部品実装システム1全体において効率良い順番で部品フィーダ12を設置することができる。
【0046】
(実施例2)
上記の実施例1では、部品実装システム1が備える部品実装機10は、回路基板2を搬送する基板コンベア20を1つ備えていたが、このような構成に限定されない。例えば、図9図11に示すように、部品実装システム2が備える部品実装機110は、複数の基板コンベア20a、20bを備えていてもよい。
【0047】
図9に示すように、本実施例の部品実装システム2は、複数の部品実装機110a~110fと、管理装置30を備えている。各部品実装機110a~110fは、管理装置30に通信可能に接続されている。管理装置30と、複数の部品実装機110a~110fによって部品実装ライン200が構成されている。本実施例においても、複数の部品実装機110a~110fを、上流(図9の左側)から下流(図9の右側)に向かって順番に、部品実装機110a、110b、・・・、110fと称する。また、複数の部品実装機110a~110fを区別する必要がないときには、単に「部品実装機110」と称することがある。
【0048】
図10及び図11に示すように、部品実装機110は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、基板コンベア20と、実装部22と、タッチパネル24と、制御装置26を備える。実装部22は、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18を備える。なお、部品フィーダ12、フィーダ保持部14、装着ヘッド16、タッチパネル24及び制御装置26は、上記の実施例1の部品フィーダ12、フィーダ保持部14、装着ヘッド16、タッチパネル24及び制御装置26と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
基板コンベア20a、20bは、回路基板2a、2bをX方向へ搬送する。2つの基板コンベア20a、20bは、Y方向に並んで設置されている。基板コンベア20a(以下、第1基板コンベアaともいう)は、部品フィーダ12側(-Y方向側)に設置される。基板コンベア20b(以下、第2基板コンベアbともいう)は、第1基板コンベア20aより部品フィーダ12から離れた位置(+Y方向側)に設置される。基板コンベア20a、20bは、Y方向に間隔を空けて配置され、X方向に平行に伸びる一対のコンベアで構成される。以下では、第1基板コンベア20aにより搬送される回路基板2aを「第1回路基板2a」と称することがあり、第2基板コンベア20bにより搬送される回路基板2bを「第2回路基板2b」と称することがある。第1基板コンベア20aは、第1回路基板2aの搬入、支持及び搬出を行う。また、第2基板コンベア20bは、第2回路基板2aの搬入、支持及び搬出を行う。また、第1基板コンベア20aが第1回路基板2aを搬送する搬送経路を「第1レーン」と称することがあり、第2基板コンベア20bが第1回路基板2bを搬送する搬送経路を「第2レーン」と称することがある。
【0050】
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と第2基板コンベア20bとの間で装着ヘッド16を移動させる。すなわち、ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と第1基板コンベア20aに搬送された回路基板2aとの間で装着ヘッド16を移動させると共に、部品フィーダ12と第2基板コンベア20bに搬送された回路基板2bとの間で装着ヘッド16を移動させる。部品フィーダ12から第2基板コンベア20bで搬送された回路基板2bとの間で装着ヘッド16を移動させる際には、装着ヘッド16は、第1基板コンベア20aで搬送された回路基板2aの上方を通過する。
【0051】
本実施例では、管理装置30の記憶部34は、サイクルタイム情報と、残数情報を記憶している。サイクルタイム情報は、複数の部品実装機110a~110fのサイクルタイムに関する情報である。図12に示すように、サイクルタイム情報は、各部品実装機110a~110fについて、第1レーンのサイクルタイムと、第2レーンのサイクルタイムと、第1レーンのサイクルタイムと第2レーンのサイクルタイムとの合計を含んでいる。残数情報は、各部品実装機110a~110fの各スロットに設置されている部品フィーダ12に収容される電子部品4の残数である。
【0052】
次に、本実施例において、管理装置30が各部品実装機110に部品フィーダ12を設置する作業の優先順位を決定する処理について説明する。図13に示すように、まず、演算部32は、記憶部34に記憶されているサイクルタイム情報と残数情報を取得する(S100)。
【0053】
次いで、演算部32は、ステップS100で取得した残数情報を用いて、各部品実装機110a~110fの各スロットに設置されている部品フィーダ12において、電子部品4の残数が所定数以下の部品フィーダ12があるか否かを判断する(S110)。なお、所定数は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。残数が所定数以下の部品フィーダ12がない場合(ステップS110でNO)、ステップS100の処理に戻り、ステップS100の処理を繰り返す。なお、ステップS100の処理を繰り返す場合には、演算部32は、残数情報のみを取得してもよい。
【0054】
残数が所定数以下の部品フィーダ12がある場合(ステップS110でYES)、演算部32は、ステップS100で取得したサイクルタイム情報から、ボトルネックとなる部品実装機110を特定する(S120)。ボトルネックとなる部品実装機110は、複数の部品実装機110a~110fのうち、第1レーンのサイクルタイムと第2レーンのサイクルタイムとの合計が最も長い部品実装機110である。図12に示す例では、部品実装機110bである。
【0055】
次いで、演算部32は、残数が所定数以下の部品フィーダ12(ステップS110でYESのもの)の中に、ステップS120で特定したボトルネックとなる部品実装機110に設置されているものがあるか否か(すなわち、ボトルネックとなる部品フィーダ12があるか否か)を判断する(S130)。ボトルネックとなる部品フィーダ12がある場合(ステップS130でYES)、演算部32は、残数が所定数以下の部品フィーダ12の中から、ボトルネックとなる部品フィーダ12を選択する(S140)。ボトルネックとなる部品実装機110において、実装処理が停止される時間が長くなると、部品実装システム2全体で実装処理が停止する時間が長くなることが多い。このため、演算部32は、ステップ150の処理に進み、ステップS140で選択したボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を先に決定する。すなわち、演算部32は、ボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を上位に決定する。
【0056】
図14を参照して、ボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を決定する処理について説明する。図14は、選択した部品フィーダ12の優先順位を決定する処理を示すフローチャートの一例である。ステップS140の処理では、ボトルネックとなる部品フィーダ12を選択したため、図14の処理によって、ボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を決定する。
【0057】
図14に示すように、ボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を決定する処理では、まず、演算部32は、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうちのいずれか一方のみに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12があるか否かを判断する(S210)。2つのレーンを備える部品実装機110では、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうちのいずれか一方のみに実装される電子部品4が不足すると、電子部品4が不足した一方の回路基板2a又は2bに対する実装処理のみ停止し、他方の回路基板2b又は2aに対する実装処理は継続する。この場合、一方の回路基板2a又は2bの生産数と、他方の回路基板2b又は2aの生産との間で生産数に差が生じ、部品実装システム2全体の生産性が低くなる。そこで、一方の回路基板2a又は2bに対する実装処理のみが停止する時間を短くするために、作業順決定部38は、一方の回路基板2a又は2bのみに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位を、回路基板2a及び2bの両方に実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位より、上位に決定する。
【0058】
そこで、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうちのいずれか一方のみに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12がある場合(ステップS210でYES)、演算部32は、まず、第1レーンと第2レーンのうち、サイクルタイムが長いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12があるか否かを判断する(S220)。同一の部品実装機110で比較すると、第1レーンと第2レーンのうち、サイクルタイムが長いレーンのほうがボトルネックになり易い。このため、作業順決定部38は、サイクルタイムが長いレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位を、サイクルタイムが短いレーンに搬送される回路基板2a又は2bに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位より、上位に決定する。
【0059】
ここで、サイクルタイムが長いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12は、複数存在する場合がある。このため、サイクルタイムが長いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12が複数ある場合(ステップS220でYES)、作業順決定部38は、サイクルタイムが長いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位を、電子部品4の残数が少ない順番で決定する(S230)。
【0060】
次いで、作業順決定部38は、第1レーンと第2レーンのうち、サイクルタイムが短いほうのレーンで搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12があるか否かを判断する(S240)。サイクルタイムが短いほうのレーンで搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12がある場合(ステップS240でYES)、作業順決定部38は、サイクルタイムが短いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位を、電子部品4の残数が少ない順番で決定する(S250)。
【0061】
また、サイクルタイムが長いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12がない場合(ステップS220でNO)、部品フィーダ12は、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうちのいずれか一方のみに実装される電子部品4を収容しているため(ステップS210でYESだったため)、部品フィーダ12は、サイクルタイムが短いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収していることになる。このため、ステップS250の処理に進む。
【0062】
次いで、演算部32は、第1回路基板2aと第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12があるか否かを判断する(S260)。第1回路基板2aと第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12がある場合(ステップS260でYES)、作業順決定部38は、第1回路基板2aと第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位を、電子部品4の残数が少ない順番で決定する(S270)。一方、第1回路基板2aと第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12がない場合(ステップS260でNO)、ステップS270をスキップして、ボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を決定する処理を終了する。
【0063】
また、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうちのいずれか一方のみに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12がない場合(ステップS210でNO)、部品フィーダ12は、第1回路基板2aと第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4を収容していることになる。このため、ステップS270の処理に進む。そして、ボトルネックとなる部品フィーダ12の優先順位を決定する処理を終了する。
【0064】
ステップS150の処理を終了すると、演算部32は、残数が所定数以下の部品フィーダ12(ステップS110でYESのもの)の中に、優先順位を決定していないものがあるか否かを判断する(S160)。優先順位を決定していないものがない場合(ステップS160でNO)、ステップS190の処理に進む。
【0065】
一方、優先順位を決定していないものがある場合(ステップS160でYES)、演算部32は、優先順位を決定していない残りの部品フィーダ12を全て選択する(S170)。次いで、作業順決定部38は、ステップ180の処理に進み、ステップS170で選択した部品フィーダ12の優先順位を決定する。なお、ステップ180の処理は、ステップS150の処理(すなわち、図14に示す処理)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
次いで、演算部32は、決定した優先順位に従い、部品フィーダ12の情報を表示部42に表示する(S190)。なお、ステップS190の処理は、実施例1のステップS36の処理と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施例では、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうちのいずれか一方のみに実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位が、第1回路基板2aと第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位より上位となるように、優先順位を決定する。また、サイクルタイムが長いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位が、サイクルタイムが短いほうのレーンに搬送される回路基板2a又は2bのみに実装する電子部品4を収容する部品フィーダ12の優先順位より上位となるように、優先順位を決定する。このため、ボトルネックとなる部品フィーダ12を優先して部品実装機110に設置することができ、部品実装システム2全体の生産性を向上させることができる。
【0068】
実施例で説明した部品実装システム1に関する留意点を述べる。実施例の回路基板2は、「基板」の一例であり、部品フィーダ12は、「部品供給装置」の一例であり、フィーダ保持部14は、「部品供給部」の一例であり、第1基板コンベア20aは、「第1基板搬送装置」の一例であり、第2基板コンベア20bは、「第2基板搬送装置」の一例であり、演算部32は、「認識部」の一例であり、表示部42は、「報知部」の一例である。
【0069】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0070】
本明細書では、請求項3において「請求項1に記載の部品実装システム」を「請求項1又は2に記載の部品実装システム」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0071】
1、2:部品実装システム
2:回路基板
4:電子部品
10、110:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
20:基板コンベア
20a:第1基板コンベア
20b:第2基板コンベア
24:タッチパネル
26:制御装置
30:管理装置
32:演算部
34:記憶部
36:作業時間演算部
38:作業順決定部
42:表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14