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  • 特開-エンジンルーム搭載構造 図1
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  • 特開-エンジンルーム搭載構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012934
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】エンジンルーム搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20250117BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20250117BHJP
【FI】
B60K1/00 ZHV
B60K6/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116139
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃象
【テーマコード(参考)】
3D202
3D235
【Fターム(参考)】
3D202AA10
3D202EE00
3D202EE23
3D202EE28
3D235AA01
3D235BB17
3D235CC32
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH08
(57)【要約】
【課題】エンジンルーム内において、充電ケーブルを配索するスペースを効率よく確保できるエンジンルーム搭載構造を得る。
【解決手段】車両12のエンジンルーム14に搭載されたエンジン20と、エンジンルーム14に搭載されたトランスアクスル22の車両上方側で、かつ平面視でエンジン20と車幅方向に並んで搭載された充電器26と、充電器26から車両12の外板に設けられた外部電源接続用の充電口28へ配索された充電ケーブル30と、を備えたエンジンルーム搭載構造10であって、エンジン20と充電器26との間のスペースSを通して充電ケーブル30を配索する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームに搭載されたエンジンと、
前記エンジンルームに搭載されたトランスアクスルの車両上方側で、かつ平面視で前記エンジンと車幅方向に並んで搭載された充電器と、
前記充電器から前記車両の外板に設けられた外部電源接続用の充電口へ配索された充電ケーブルと、
を備え、
前記充電ケーブルは、前記エンジンと前記充電器との間のスペースを通って配索されているエンジンルーム搭載構造。
【請求項2】
前記充電ケーブルは、前記充電器の前記エンジンと車幅方向で対向する側から出て車両後方側へ配索されている請求項1に記載のエンジンルーム搭載構造。
【請求項3】
前記充電器の前記エンジンと車幅方向で対向する側から出て車両後方側へ配索されている前記充電ケーブルは、撓まされた状態でダッシュパネルに固定されている請求項2に記載のエンジンルーム搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部のエンジンが搭載されているエンジンルーム内に、車両の後部に設けられたバッテリ(充電器)へ外部電源からの電力を供給するための充電ケーブルが搭載されたハイブリッド自動車は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-241291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV車)の場合、エンジンやトランスアクスルなど、エンジンルーム内に搭載する部品が多いため、そのエンジンルーム内に充電ケーブルを配索するスペースを効率よく確保することが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、エンジンルーム内において、充電ケーブルを配索するスペースを効率よく確保できるエンジンルーム搭載構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の態様のエンジンルーム搭載構造は、車両のエンジンルームに搭載されたエンジンと、前記エンジンルームに搭載されたトランスアクスルの車両上方側で、かつ平面視で前記エンジンと車幅方向に並んで搭載された充電器と、前記充電器から前記車両の外板に設けられた外部電源接続用の充電口へ配索された充電ケーブルと、を備え、前記充電ケーブルは、前記エンジンと前記充電器との間のスペースを通って配索されている。
【0007】
第1の態様の発明によれば、エンジンルームに充電器が搭載され、その充電器と外部電源接続用の充電口とを繋ぐ充電ケーブルが、エンジンと充電器との間のスペースを通って配索されている。このように、エンジンルームに充電器が搭載されても、エンジンルーム内において、充電ケーブルを配索するスペースが効率よく確保される。
【0008】
また、本発明に係る第2の態様のエンジンルーム搭載構造は、第1の態様のエンジンルーム搭載構造であって、前記充電ケーブルは、前記充電器の前記エンジンと車幅方向で対向する側から出て車両後方側へ配索されている。
【0009】
第2の態様の発明によれば、充電ケーブルが、充電器のエンジンと車幅方向で対向する側から出て車両後方側へ配索されている。したがって、充電器の車両前方側、車両後方側、車両上方側にスペースが無くても、その充電器をエンジンルーム内に搭載可能となる。
【0010】
また、本発明に係る第3の態様のエンジンルーム搭載構造は、第2の態様のエンジンルーム搭載構造であって、前記充電器の前記エンジンと車幅方向で対向する側から出て車両後方側へ配索されている前記充電ケーブルは、撓まされた状態でダッシュパネルに固定されている。
【0011】
第3の態様の発明によれば、充電器のエンジンと車幅方向で対向する側から出て車両後方側へ配索されている充電ケーブルは、撓まされた状態でダッシュパネルに固定されている。したがって、その充電ケーブルが撓まされずにダッシュパネルに固定されている場合に比べて、エンジンの振動による影響を充電ケーブルが受けなくて済む。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、エンジンルーム内において、充電ケーブルを配索するスペースを効率よく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造を模式的に示す概略平面図である。
図2】本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造を拡大して示す概略平面図である。
図3】本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造を拡大して示す概略斜視図である。
図4】本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造を拡大して示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両上方向、矢印FRを車両前方向、矢印RHを車両右方向とする。したがって、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両における上下、前後、左右を示すものとする。また、左右方向は、車幅方向と同義である。
【0015】
図1図4に示されるように、本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造10は、車両12の前部のエンジンルーム14に搭載されたエンジン20と、エンジンルーム14に平面視でエンジン20と車幅方向に並んで搭載されたトランスアクスル22と、トランスアクスル22の上方側で、かつ平面視でエンジン20と車幅方向に並んで搭載された充電器26と、充電器26から車両12の外板に設けられた外部電源接続用の充電口28へ配索される充電ケーブル30と、を備えている。
【0016】
充電口28は、例えば右ハンドルの車両12の場合、その外板としての左側のフロントフェンダー(図示省略)の上部に設けられている。そして、車両12の前後方向略中央部には、充電器26を介して充電される電池32(図1参照)が搭載されている。つまり、本実施形態に係る車両12は、充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV車)である。
【0017】
なお、充電器26は、所定の厚みの(高さの低い)略矩形箱状に形成されている(図3参照)。そして、この充電器26は、その長手方向が前後方向に沿う姿勢とされて、トランスアクスル22の上面に支持部材(図示省略)を介して配置されている。また、本実施形態におけるトランスアクスル22は、エンジンルーム14内において、エンジン20の左方側に配置されている。
【0018】
また、エンジンルーム14内において、エンジン20及びトランスアクスル22(充電器26)の前方側(エンジンルーム14内の前端)には、ラジエータ24(図2図4参照)と、充電器26を冷却するための冷却装置(図示省略)と、が配置されている。この冷却装置と充電器26とは、冷媒が通る配管(図示省略)で繋がれている。
【0019】
また、エンジンルーム14内において、平面視でエンジン20及び充電器26の後方側(エンジンルーム14内の後端)には、車幅方向に延在するカウル16(図4参照、図2では省略)が配置されている。また、エンジンルーム14は、略平板状のエンジンフード13(図4参照)によって上方側から覆われるようになっている。つまり、エンジン20及び充電器26の上方側には、前後方向及び車幅方向に延在するエンジンフード13が配置されるようになっている。
【0020】
図1図3に示されるように、平面視でエンジン20の上部と充電器26との間(車幅方向で対向する部分)には、前後方向に長く、かつ充電ケーブル30の外径よりも幅(車幅方向に沿った長さ)の広いスペースS(デッドスペースである空隙)が形成されている。本実施形態における充電ケーブル30は、このスペースSを通って配索されている。
【0021】
具体的に説明すると、他端部が充電口28に接続されている充電ケーブル30の一端部には、コネクタ27が設けられており、そのコネクタ27は、例えば充電器26の上面における前後方向略中央部で、かつエンジン20から離れた部位に接続されている。そして、この充電ケーブル30は、充電器26のエンジン20と車幅方向で対向する側から出て後方側へ配索されている。
【0022】
すなわち、この充電ケーブル30は、コネクタ27から車幅方向に沿ってエンジン20側へ引き出された後、スペースSを通るように後方側へ曲げられて配索されている。そして、その後方側へスペースSを通って配索された充電ケーブル30は、カウル16の前方側で下方側へ曲げられて配索されている。
【0023】
なお、その下方側へ曲げられている充電ケーブル30の一部が、ある程度の余裕を有するように撓まされた状態とされている。そして、充電ケーブル30の撓まされた部位(以下「余長部30A」という場合がある)よりも下方側における中途部が、ダッシュパネル18にクリップ等の固定具19(図2参照)によって固定されている。
【0024】
ここで、エンジン20及びトランスアクスル22は、左右一対で設けられたフロントサイドメンバ(図示省略)等にマウント(図示省略)を介して支持されており、トランスアクスル22には、エンジン20からの振動が伝達される。そのため、トランスアクスル22の上方側に配置されている充電器26にも、エンジン20からの振動が伝達される。
【0025】
しかしながら、上記したように、充電器26から引き出されている充電ケーブル30は、その一部が撓まされた状態とされている(余長部30Aを有している)。したがって、エンジン20の振動が、トランスアクスル22を介して充電器26に伝達されても、その振動を充電ケーブル30の一部で吸収可能になっている。
【0026】
つまり、エンジン20が振動しても(充電器26が充電ケーブル30に対して相対的に動いても)、充電ケーブル30には、その影響が及ばない構成になっている。なお、本実施形態における充電ケーブル30の撓み(余長部30A)とは、例えば略円弧状のループ形状が形成されていることを言う(図4参照)。
【0027】
以上のような構成とされた本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造10において、次にその作用について説明する。
【0028】
本実施形態における車両12では、トランスアクスル22が小型化されて、その高さが低減されたため、その上方側に充電器26が配置されている。したがって、充電器26が車両の後部に配置されているPHEV車(図示省略)に比べて、充電器26と充電口28とを繋ぐ充電ケーブル30の長さを短くすることができ、かつ充電器26と冷却装置とを繋ぐ配管の長さを短くすることができる。
【0029】
また、図4に示されるように、本実施形態におけるエンジンルーム14内では、充電器26の前方側にラジエータ24が配置され、充電器26の後方側にカウル16が配置され、充電器26の上方側にエンジンフード13が配置されている。そのため、充電ケーブル30を、充電器26から前方側又は後方側、或いは上方側へ引き出して配索することが難しい。
【0030】
そこで、本実施形態における充電ケーブル30は、充電器26のエンジン20と車幅方向で対向する側から引き出されて後方側へ配索されている。つまり、本実施形態における充電ケーブル30は、エンジン20と充電器26との間のスペースS(デッドスペース)を通って配索されている。
【0031】
このように、エンジンルーム14内に充電器26を搭載する構成を採っても、エンジンルーム14内において、充電ケーブル30を配索するスペースSを効率よく確保することができる。換言すれば、充電器26の前方側、後方側、上方側に充電ケーブル30を引き出すためのスペースが無くても、その充電器26をエンジンルーム14内に搭載することができる。
【0032】
そして、充電器26から前方側又は後方側、或いは上方側へ充電ケーブル30を引き出して配索する場合に比べて、エンジンルーム14の前後方向の長さを長く形成しなくて済むとともにエンジンルーム14の上下方向の高さも高く形成しなくて済むため、車両12の前部の前後方向に沿った長さ及び上下方向に沿った高さを低減することができる。つまり、本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造10によれば、車両12の前部の小型化も図ることができる。
【0033】
また、充電器26のエンジン20と車幅方向で対向する側から引き出されて後方側へ配索されている充電ケーブル30は、その一部が撓まされた状態で、かつ、その撓まされ部位(余長部30A)よりも下方側がダッシュパネル18に固定されている。したがって、充電ケーブル30が撓まされずに(張力が付与されて)ダッシュパネル18に固定されている場合に比べて、エンジン20の振動を充電ケーブル30の一部で吸収することができ、エンジン20の振動の影響を充電ケーブル30が受けるのを(例えば充電ケーブル30が破断するのを)防止することができる。
【0034】
以上、本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係るエンジンルーム搭載構造10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0035】
例えば、充電口28は、車両12の外板としての右側のフロントフェンダー(図示省略)の上部に設けられていてもよい。この場合でも、充電ケーブル30は、上記と同様に配索される。また、スペースSは、前後方向に長いため、例えば充電器26の上面における前端部にコネクタ27が接続される構成とされている場合でも、その充電ケーブル30を配索することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 エンジンルーム搭載構造
12 車両
14 エンジンルーム
18 ダッシュパネル
20 エンジン
22 トランスアクスル
26 充電器
28 充電口
30 充電ケーブル
S スペース
図1
図2
図3
図4