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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025129515
(43)【公開日】2025-09-05
(54)【発明の名称】コアユニット
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/09 20060101AFI20250829BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20250829BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20250829BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20250829BHJP
【FI】
H03H7/09 A
H01F27/26 130Q
H01F17/04 F
H01G4/40 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026198
(22)【出願日】2024-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
(72)【発明者】
【氏名】木佛寺 宣博
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸伯
(72)【発明者】
【氏名】廣田 将義
【テーマコード(参考)】
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AA19
5E070BA14
5E082DD07
5J024AA01
5J024CA06
5J024DA01
5J024DA26
5J024DA35
5J024EA08
(57)【要約】
【課題】通電用の導体における大電流の通電を許容しつつノイズの抑制が可能な、コアユニットを開示する。
【解決手段】コアユニット10が、貫通孔18を有するコア20と、コア20に巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第1導体部22を含んで構成された通電路16と、第1導体部22に接続されたコンデンサ24とを備え、第1導体部22は、コア20の貫通孔18を貫通して、コア20の軸方向一方側から軸方向他方側へ突出する第1部材36と、コア20の軸方向他方側で第1部材36に接続されて、コア20の外周側を回って軸方向一方側に突出する第2部材38と、コア20の軸方向一方側で第2部材38に接続されて、第1部材36と非接触でコア20の貫通孔18を貫通してコア20の軸方向他方側に突出する第3部材40とを有し、少なくとも1つのコンデンサ24が、接地または通電路16の+ライン17aと-ライン17b間に並列接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有するコアと、
前記コアに巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第1導体部を含んで構成された通電路と、
前記第1導体部に接続された少なくとも1つのコンデンサと、を備え、
前記第1導体部は、前記コアの前記貫通孔を貫通して、前記コアの軸方向一方側から軸方向他方側へ突出する第1部材と、前記コアの前記軸方向他方側で前記第1部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第2部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第2部材に接続されて、前記第1部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第3部材と、を有し、
前記少なくとも1つのコンデンサが、接地または前記通電路の+ラインと-ライン間に並列接続されている、コアユニット。
【請求項2】
前記通電路は、前記コアに巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第2導体部を含み、
前記第1導体部が、前記通電路の前記+ラインを構成し、
前記第2導体部が、前記通電路の前記-ラインを構成し、
前記第2導体部は、前記コアの前記貫通孔を貫通して、前記コアの前記軸方向一方側から前記軸方向他方側へ突出する第4部材と、前記コアの前記軸方向他方側で前記第4部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第5部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第5部材に接続されて、前記第4部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第6部材と、を有している、請求項1に記載のコアユニット。
【請求項3】
前記貫通孔を貫通して延びる絶縁性のスペーサをさらに備え、
前記スペーサは、前記第1導体部と前記第2導体部との間に配置されている、請求項2に記載のコアユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンデンサが、複数のコンデンサを含み、
前記複数のコンデンサが、いずれも前記コアの前記軸方向一方側に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコアユニット。
【請求項5】
前記複数のコンデンサが、第1ラインバイパスコンデンサと第2ラインバイパスコンデンサを含み、
前記第1ラインバイパスコンデンサが、前記第1部材と、前記第4部材と、グランドラインに接続されており、
前記第2ラインバイパスコンデンサが、前記第2部材又は前記第3部材と、前記第5部材又は前記第6部材と、前記グランドラインに接続されている、請求項2を引用する場合の請求項4に記載のコアユニット。
【請求項6】
前記第1ラインバイパスコンデンサと前記第2ラインバイパスコンデンサが、1つのプリント基板に実装されており、
前記第1ラインバイパスコンデンサを構成する一対の第1端子と、前記第2ラインバイパスコンデンサを構成する一対の第2端子が前記プリント基板に突設されており、
前記一対の第1端子の突出端部が、それぞれ前記第1部材と前記第4部材に接続され、
前記一対の第2端子の突出端部が、それぞれ前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、請求項5に記載のコアユニット。
【請求項7】
前記第2部材と前記第3部材の接続部と、前記第5部材と前記第6部材の接続部が、それぞれボルト締結部を含んで構成されており、
前記一対の第2端子の突出端部が、前記ボルト締結部においてそれぞれの前記接続部にボルト締結されている、請求項6に記載のコアユニット。
【請求項8】
前記第1ラインバイパスコンデンサと前記第2ラインバイパスコンデンサが、1つの絶縁性の保持ケースに保持されており、
前記第1ラインバイパスコンデンサが、一対の第1コンデンサ部品と、一対の第1端子と、グランドバスバーと、を含んで構成され、
前記第2ラインバイパスコンデンサが、一対の第2コンデンサ部品と、一対の第2端子と、前記グランドバスバーと、を含んで構成され、
前記保持ケースは、一対の第1コンデンサ部品収容部と、一対の第1端子収容部と、一対の第2コンデンサ部品収容部と、一対の第2端子収容部と、グランドバスバー収容部と、を有し、
各第1端子収容部に収容された各前記第1端子の一端部が、各前記第1コンデンサ部品収容部の底面に露出しており、
各第2端子収容部に収容された各前記第2端子の一端部が、各前記第2コンデンサ部品収容部の底面に露出しており、
前記グランドバスバー収容部に収容された前記グランドバスバーの4か所が、前記一対の第1コンデンサ部品収容部と前記一対の第2コンデンサ部品収容部の前記底面にそれぞれ露出しており、
各前記第1コンデンサ部品収容部に収容された各前記第1コンデンサ部品が、各前記第1端子と前記グランドバスバーとの間に直列接続され、
各前記第2コンデンサ部品収容部に収容された各前記第2コンデンサ部品が、各前記第2端子と前記グランドバスバーとの間に直列接続され、
前記一対の第1端子の突出端部が、それぞれ前記第1部材と前記第4部材に接続され、
前記一対の第2端子の突出端部が、それぞれ前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、請求項5に記載のコアユニット。
【請求項9】
前記第2部材と前記第3部材の接続部と、前記第5部材と前記第6部材の接続部が、それぞれボルト締結部を含んで構成されており、
前記一対の第2端子の突出端部が、前記ボルト締結部においてそれぞれの前記接続部にボルト締結されている、請求項8に記載のコアユニット。
【請求項10】
前記複数のコンデンサが、第1アクロスザラインコンデンサと第2アクロスザラインコンデンサを含み、
前記第1アクロスザラインコンデンサが、前記第1部材と前記第4部材に接続されており、
前記第2アクロスザラインコンデンサが、前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、請求項2を引用する場合の請求項4に記載のコアユニット。
【請求項11】
前記第1アクロスザラインコンデンサと前記第2アクロスザラインコンデンサが、1つのプリント基板に実装されており、
前記第1アクロスザラインコンデンサを構成する一対の第1端子と、前記第2アクロスザラインコンデンサを構成する一対の第2端子が前記プリント基板に突設されており、
前記一対の第1端子の突出端部が、それぞれ前記第1部材と前記第4部材に接続され、
前記一対の第2端子の突出端部が、それぞれ前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、請求項10に記載のコアユニット。
【請求項12】
前記第1導体部は、前記コアの前記軸方向他方側で前記第3部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第7部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第7部材に接続されて、前記第1部材および前記第3部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第8部材と、をさらに有し、
前記第2導体部は、前記コアの前記軸方向他方側で前記第6部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第9部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第9部材に接続されて、前記第4部材および前記第6部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第10部材と、をさらに有し、
前記コアの前記軸方向一方側において、前記第1導体部の前記第1部材と、前記第7部材又は前記第8部材に対して、それぞれ前記コンデンサが接続され、前記第2導体部の前記第4部材と、前記第9部材又は前記第10部材に対して、それぞれ前記コンデンサが接続されている、請求項2を引用する場合の請求項4に記載のコアユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コアユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車載機器間をつなぐ電源ラインを構成するワイヤハーネス等の導体においては、これらの導体が、機器の金属筐体や内部基板から発生する比較的高周波のコモンモードノイズや、電気機器のスイッチング動作により発生する比較的低周波のノーマルモードノイズを受ける。その結果、導体自体がアンテナのような役割を果たして輻射ノイズを放射したり、ノイズを受信して周辺機器の制御に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
このようなノイズへの対策として、特許文献1には、環状のフェライトコアにケーブルを挿通し、更に1又は数ターン巻き付けて、輻射ノイズを抑制する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-343620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の如き環状のコアにケーブルを巻き付ける構造では、大電流の通電が難しく、近年の車載機器の大電流化に対応が可能なコアユニットの提案が望まれていた。
【0006】
そこで、通電用の導体における大電流の通電を許容しつつノイズの抑制が可能な、コアユニットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコアユニットは、貫通孔を有するコアと、前記コアに巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第1導体部を含んで構成された通電路と、前記第1導体部に接続された少なくとも1つのコンデンサと、を備え、前記第1導体部は、前記コアの前記貫通孔を貫通して、前記コアの軸方向一方側から軸方向他方側へ突出する第1部材と、前記コアの前記軸方向他方側で前記第1部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第2部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第2部材に接続されて、前記第1部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第3部材と、を有し、前記少なくとも1つのコンデンサが、接地または前記通電路の+ラインと-ライン間に並列接続されている、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、通電用の導体における大電流の通電を許容しつつノイズの抑制が可能な、コアユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るコアユニットを示す正面側からの斜視図である。
図2図2は、図1に示されたコアユニットにおける背面側からの斜視図である。
図3図3は、図1に示されたコアユニットにおける平面図である。
図4図4は、図1に示されたコアユニットにおける正面図である。
図5図5は、図4におけるV-V断面を拡大して示す縦断面図である。
図6図6は、図1に示されたコアユニットにおける分解斜視図である。
図7図7は、図1に示されたコアユニットにおける電気的構成を示す回路図である。
図8図8は、実施形態2に係るコアユニットを示す平面側からの斜視図である。
図9図9は、図8に示されたコアユニットにおける底面側からの斜視図である。
図10図10は、図8に示されたコアユニットにおける分解斜視図である。
図11図11は、実施形態3に係るコアユニットを示す正面側からの斜視図である。
図12図12は、図11に示されたコアユニットにおける縦断面図であって、図5に対応する図である。
図13図13は、図11に示されたコアユニットにおける電気的構成を示す回路図である。
図14図14は、実施形態4に係るコアユニットを示す正面側からの斜視図である。
図15図15は、図14に示されたコアユニットにおける背面側からの斜視図である。
図16図16は、図14に示されたコアユニットにおける電気的構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコアユニットは、
(1)貫通孔を有するコアと、前記コアに巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第1導体部を含んで構成された通電路と、前記第1導体部に接続された少なくとも1つのコンデンサと、を備え、前記第1導体部は、前記コアの前記貫通孔を貫通して、前記コアの軸方向一方側から軸方向他方側へ突出する第1部材と、前記コアの前記軸方向他方側で前記第1部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第2部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第2部材に接続されて、前記第1部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第3部材と、を有し、前記少なくとも1つのコンデンサが、接地または前記通電路の+ラインと-ライン間に並列接続されている、ものである。
【0011】
本開示のコアユニットによれば、コアに巻き付けられて配置される第1導体部を含んで通電路が構成されており、第1導体部が、帯状の金属平板によって構成されている。これにより、従来のように導体部がケーブルによって構成される場合に比して、大電流の通電を許容することができる。例えば、想定される電流値に適合するように、第1導体部の板厚や板幅を容易に調整することができ、大電流の通電に確実に対応することができる。
【0012】
加えて、第1導体部が、コアの貫通孔を貫通してコアの軸方向一方側から軸方向他方側に突出する第1部材と、軸方向他方側で第1部材に接続されてコアの外周側を回って軸方向一方側に突出する第2部材と、コアの軸方向一方側で第2部材に接続されて、第1部材と非接触でコアの貫通孔を貫通してコアの軸方向他方側に突出する第3部材と、を有している。これにより、第1導体部が、第1部材と第2部材の接続部と第2部材と第3部材の接続部によってそれぞれ構成される2つのターン部を介して、コアに巻き付けられた状態を形成することができる。インダクタンスの作用は巻数の2乗に比例することから、2つのターン部を介してコアに巻き付けられた第1導体部により高いインダクタンスを確保して、ノイズ減衰特性の向上を図ることができる。
【0013】
さらに、少なくとも1つのコンデンサが、接地または通電路の+ラインと-ライン間に並列接続されている。これにより、想定されるノイズに応じて、ノイズをグランド側や+-ライン間でバイパスすることができ、更なるノイズ減衰特性の向上を図ることができる。
【0014】
(2)上記(1)において、前記通電路は、前記コアに巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第2導体部を含み、前記第1導体部が、前記通電路の前記+ラインを構成し、前記第2導体部が、前記通電路の前記-ラインを構成し、前記第2導体部は、前記コアの前記貫通孔を貫通して、前記コアの前記軸方向一方側から前記軸方向他方側へ突出する第4部材と、前記コアの前記軸方向他方側で前記第4部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第5部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第5部材に接続されて、前記第4部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第6部材と、を有している、ことが好ましい。
【0015】
通電路の+ラインを構成する第1導体部に加えて、-ラインを構成する第2導体部も金属平板によって構成されていることから、大電流を流すことが可能な通電路を一層有利に構成できる。しかも、第1導体部と第2導体部のいずれもが2つのターン部を介してコアに巻き付けられていることから、+ラインと-ラインの両方において、導体部により高いインダクタンスを確保して、ノイズ減衰特性の向上を図ることができる。加えて、通電路の+ラインを構成する第1導体部と-ラインを構成する第2導体部が、1つのコアに逆向きに巻き付けられている。これにより、コモンモードノイズ電流が第1導体部と第2導体部に同方向に流れた場合に磁束が足し合わされることで大きなインピーダンスが発生するインダクタを構成することができる。これにより、通電路に大電流を流すことが可能であり、更なるノイズ減衰特性の向上が可能なコアユニットを提供することができる。
【0016】
(3)上記(2)において、前記貫通孔を貫通して延びる絶縁性のスペーサをさらに備え、前記スペーサは、前記第1導体部と前記第2導体部との間に配置されている、ことが好ましい。第1導体部と第2導体部の接触を回避しつつ1つのコアの貫通孔内を貫通させることができるからである。より好ましくは、スペーサに各導体部を構成する各部材の収容溝等を設けて位置決めすることで、組付性の向上や各部材の確実な位置決めを可能にできる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記少なくとも1つのコンデンサが、複数のコンデンサを含み、前記複数のコンデンサが、いずれも前記コアの前記軸方向一方側に配置されている、ことが好ましい。複数のコンデンサを用いてノイズ低減効果を図る場合に、コアの軸方向一方側に集約して配置させることにより、コアユニットの小型化を図ることができる。加えて、コアの一方側に複数のコンデンサを配置させることで、1つの導体部がコアをターンする前とターンした後の位置で、コンデンサを接続させることができ、一層のノイズ減衰特性の向上を図ることができる。
【0018】
(5)上記(2)を引用する場合の(4)において、前記複数のコンデンサが、第1ラインバイパスコンデンサと第2ラインバイパスコンデンサを含み、前記第1ラインバイパスコンデンサが、前記第1部材と、前記第4部材と、グランドラインに接続されており、前記第2ラインバイパスコンデンサが、前記第2部材又は前記第3部材と、前記第5部材又は前記第6部材と、前記グランドラインに接続されている、ことが好ましい。コアユニットの軸方向一方側に第1・第2ラインバイパスコンデンサを配置することで、コモンモードノイズ対策に一層有効なコアユニットを省スペースで提供することができる。
【0019】
(6)上記(5)において、前記第1ラインバイパスコンデンサと前記第2ラインバイパスコンデンサが、1つのプリント基板に実装されており、前記第1ラインバイパスコンデンサを構成する一対の第1端子と、前記第2ラインバイパスコンデンサを構成する一対の第2端子が前記プリント基板に突設されており、前記一対の第1端子の突出端部が、それぞれ前記第1部材と前記第4部材に接続され、前記一対の第2端子の突出端部が、それぞれ前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、ことが好ましい。コアユニットの軸方向一方側に第1・第2ラインバイパスコンデンサを配置する構成であることから、1つのプリント基板に第1・第2ラインバイパスコンデンサを実装することができ、部品の共通化による省スペース化・小型化を図ることができる。
【0020】
(7)上記(6)において、前記第2部材と前記第3部材の接続部と、前記第5部材と前記第6部材の接続部が、それぞれボルト締結部を含んで構成されており、前記一対の第2端子の突出端部が、前記ボルト締結部においてそれぞれの前記接続部にボルト締結されている、ことが好ましい。第1導体部の第1~第3部材や、第2導体部の第4~第6部材は、ボルト締結により簡便に締結することができる。それゆえ、例えば、第2部材と第3部材の接続部と、第5部材と第6部材の接続部が、ボルト締結部においてボルト締結される場合、当該ボルト締結部にプリント基板に突設された一対の第2端子の突出端部を共締めすることで、更なる部品点数の削減や省スペース化、工程の簡素化を図ることができる。なお、一対の第1端子の突出端部も同様に第1部材と第4部材にボルト締結してもよい。
【0021】
(8)上記(5)において、前記第1ラインバイパスコンデンサと前記第2ラインバイパスコンデンサが、1つの絶縁性の保持ケースに保持されており、前記第1ラインバイパスコンデンサが、一対の第1コンデンサ部品と、一対の第1端子と、グランドバスバーと、を含んで構成され、前記第2ラインバイパスコンデンサが、一対の第2コンデンサ部品と、一対の第2端子と、前記グランドバスバーと、を含んで構成され、前記保持ケースは、一対の第1コンデンサ部品収容部と、一対の第1端子収容部と、一対の第2コンデンサ部品収容部と、一対の第2端子収容部と、グランドバスバー収容部と、を有し、各第1端子収容部に収容された各前記第1端子の一端部が、各前記第1コンデンサ部品収容部の底面に露出しており、各第2端子収容部に収容された各前記第2端子の一端部が、各前記第2コンデンサ部品収容部の底面に露出しており、前記グランドバスバー収容部に収容された前記グランドバスバーの4か所が、前記一対の第1コンデンサ部品収容部と前記一対の第2コンデンサ部品収容部の前記底面にそれぞれ露出しており、各前記第1コンデンサ部品収容部に収容された各前記第1コンデンサ部品が、各前記第1端子と前記グランドバスバーとの間に直列接続され、各前記第2コンデンサ部品収容部に収容された各前記第2コンデンサ部品が、各前記第2端子と前記グランドバスバーとの間に直列接続され、前記一対の第1端子の突出端部が、それぞれ前記第1部材と前記第4部材に接続され、前記一対の第2端子の突出端部が、それぞれ前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、ことが好ましい。
【0022】
コアユニットの軸方向一方側に第1・第2ラインバイパスコンデンサを配置する構成であることから、1つの絶縁性の保持ケースに端子やバスバーとコンデンサ部品を収容することで、第1・第2ラインバイパスコンデンサを構成することができ、部品の共通化による省スペース化・小型化を図ることができる。特に、各コンデンサのグランドラインを、保持ケースに保持された1つのグランドバスバーで構成することができるため、一層の小型化を図ることができる。
【0023】
(9)上記(8)において、前記第2部材と前記第3部材の接続部と、前記第5部材と前記第6部材の接続部が、それぞれボルト締結部を含んで構成されており、前記一対の第2端子の突出端部が、前記ボルト締結部においてそれぞれの前記接続部にボルト締結されている、ことが好ましい。第1導体部の第1~第3部材や、第2導体部の第4~第6部材は、ボルト締結により簡便に締結することができる。それゆえ、例えば、第2部材と第3部材の接続部と、第5部材と第6部材の接続部が、ボルト締結部においてボルト締結される場合、当該ボルト締結部にプリント基板に突設された一対の第2端子の突出端部を共締めすることで、更なる部品点数の削減や省スペース化、工程の簡素化を図ることができる。なお、一対の第1端子の突出端部も同様に第1部材と第4部材にボルト締結してもよい。
【0024】
(10)上記(2)を引用する場合の(4)において、前記複数のコンデンサが、第1アクロスザラインコンデンサと第2アクロスザラインコンデンサを含み、前記第1アクロスザラインコンデンサが、前記第1部材と前記第4部材に接続されており、前記第2アクロスザラインコンデンサが、前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、ことが好ましい。コアユニットの軸方向一方側に第1・第2アクロスザラインコンデンサを配置することで、ノーマルモードノイズ対策に一層有効なコアユニットを省スペースで提供することができる。
【0025】
(11)上記(10)において、前記第1アクロスザラインコンデンサと前記第2アクロスザラインコンデンサが、1つのプリント基板に実装されており、前記第1アクロスザラインコンデンサを構成する一対の第1端子と、前記第2アクロスザラインコンデンサを構成する一対の第2端子が前記プリント基板に突設されており、前記一対の第1端子の突出端部が、それぞれ前記第1部材と前記第4部材に接続され、前記一対の第2端子の突出端部が、それぞれ前記第2部材又は前記第3部材と前記第5部材又は前記第6部材に接続されている、ことが好ましい。コアユニットの軸方向一方側に第1・第2アクロスザラインコンデンサを配置する構成であることから、1つのプリント基板に第1・第2アクロスザラインコンデンサを実装することができ、部品の共通化による省スペース化・小型化を図ることができる。
【0026】
(12)上記(2)を引用する場合の(4)において、前記第1導体部は、前記コアの前記軸方向他方側で前記第3部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向一方側に突出する第7部材と、前記コアの前記軸方向一方側で前記第7部材に接続されて、前記第1部材および前記第3部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向他方側に突出する第8部材と、をさらに有し、前記第2導体部は、前記コアの前記軸方向一方側で前記第6部材に接続されて、前記コアの外周側を回って前記軸方向他方側に突出する第9部材と、前記コアの前記軸方向他方側で前記第9部材に接続されて、前記第4部材および前記第6部材と非接触で前記コアの前記貫通孔を貫通して前記コアの前記軸方向一方側に突出する第10部材と、をさらに有し、前記コアの前記軸方向一方側において、前記第1導体部の前記第1部材と、前記第7部材又は前記第8部材に対して、それぞれ前記コンデンサが接続され、前記第2導体部の前記第4部材と、前記第9部材又は前記第10部材に対して、それぞれ前記コンデンサが接続されている、ことが好ましい。
【0027】
通電路の+ラインを構成する第1導体部と-ラインを構成する第2導体部に対して、それぞれさらに2つのターン部が追加され、より高いインダクタンスを確保して、ノイズ減衰特性の向上を図ることができる。しかも、第1導体部と第2導体部において、ターンする前とターン数が最も多くなる位置で、それぞれコンデンサを接続させることができ、一層のノイズ減衰特性の向上を図ることができる。
【0028】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のコアユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のコアユニット10について、図1から図7を用いて説明する。このコアユニット10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車における電源12(図7参照)とインバータ等の負荷14(図7参照)との間の通電路16を備えており、通電路16を流れる電流のノイズを低減させることができる。なお、車両中においてコアユニット10は任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは図4中の上方、下方とは図4中の下方、左方とは図3中の下方、右方とは図3中の上方、前方とは図3中の右方、後方とは図3中の左方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0030】
<コアユニット10>
コアユニット10は、貫通孔18を有するコア20と、コア20に巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第1導体部22を含んで構成された通電路16と、第1導体部22に接続された少なくとも1つのコンデンサ24と、を備えている。実施形態1のコアユニット10は、第1導体部22に加えて、コア20に巻き付けて配置される帯状の金属平板からなる第2導体部26を含んでおり、これら第1導体部22と第2導体部26により上記通電路16が構成されている。特に、実施形態1では、第1導体部22が通電路16における+ライン17a(図7参照)を構成しているとともに、第2導体部26が通電路16における-ライン17b(図7参照)を構成している。
【0031】
<コア20>
コア20としては、例えば公知の軟磁性コアが採用されて、フェライトやアモルファス等により形成され得る。実施形態1では、コア20が、図5に示される縦断面において左右方向寸法に比して上下方向寸法の方が大きな略角丸矩形状または略長円形状とされた外形状を有しており、所定の前後方向寸法を有している。このコア20の中央部分には、前後方向で貫通する貫通孔18が形成されている。貫通孔18の断面形状は、図5にも示されるように、左右方向寸法に比して上下方向寸法の方が大きな略角丸矩形状とされている。これにより、コア20は、全体として環状の部材とされている。
【0032】
このコア20は、コアケース28に収容されている。コアケース28は、例えば合成樹脂により形成されており、コア20の外側を全面にわたって覆う外側部分30と、貫通孔18の内側に位置してコア20を内側から覆う内側部分32とを備えている。内側部分32の中央には、後述するスペーサ128(およびスペーサ128に保持される第1部材36、第3部材40、第4部材82、第6部材86)が挿通される挿通孔34が、前後方向で貫通して形成されている。実施形態1では、外側部分30と内側部分32とが一体的に形成されており、例えばコアケース28は、コア20を備えた一体成形品として形成され得る。なお、例えばコア20およびコアケース28はそれぞれ複数の部材から構成されてもよく、上記複数の部材を組み付けることで内部にコア20が収容された状態のコアケース28が形成されるようになっていてもよい。
【0033】
<第1導体部22>
第1導体部22は、コア20の貫通孔18を貫通して、コア20の軸方向一方側(前方側)から軸方向他方側(後方側)へ突出する第1部材36を有している。また、第1導体部22は、コア20の軸方向他方側(後方側)で第1部材36に接続されて、コア20の外周側を回って軸方向一方側(前方側)に突出する第2部材38を有している。さらに、第1導体部22は、コア20の軸方向一方側(前方側)で第2部材38に接続されて、第1部材36と非接触でコア20の貫通孔18を貫通してコア20の軸方向他方側(後方側)に突出する第3部材40を有している。
【0034】
これら第1~第3部材36,38,40はいずれも矩形断面を有し、所定の長さ寸法および厚さ寸法を有するバスバーにより構成されており、例えば銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)により形成される。
【0035】
第1部材36は、前後方向に略ストレートに延びる部材であり、第1部材36の前端部には、第1部材36を厚さ方向(左右方向)で貫通する貫通孔42が形成されている。後述するように、この貫通孔42を利用して図示しないボルト等により電源12側における電線やバスバー等の導電部材が第1部材36の前端部に接続されることから、第1部材36の前端部における貫通孔42の周囲の部分により、第1前方接続部44が構成されている。また、第1部材36において貫通孔42よりも後方の部分にはスタッドボルト46が配置されており、このスタッドボルト46が第1部材36から左方に突出している。第1部材36は後方部分がコア20の貫通孔18に挿通されてコア20により覆われる部分であり、第1部材36の後端部はコア20よりも後方まで突出している。この第1部材36の後端部にはスタッドボルト48が配置されており、スタッドボルト48が第1部材36から左方に突出している。第1部材36の後端部においてスタッドボルト48の周囲の部分が、第2部材38に重ね合わされて接続される第1後方接続部50である。
【0036】
第2部材38の後端部には、第2部材38を厚さ方向(左右方向)で貫通する貫通孔52が形成されている。この貫通孔52の周囲の部分は略矩形板状に広がっており、第1部材36の後端部(第1後方接続部50)に接続される第2後方接続部54が構成されている。すなわち、貫通孔52に対してスタッドボルト48が挿通されて第1後方接続部50と第2後方接続部54が重ね合わされた状態でスタッドボルト48にナット56が締結されることで、第1部材36と第2部材38とが相互に接続される。それゆえ、第1部材36と第2部材38とは、スタッドボルト48とナット56とを含んで構成されるボルト締結部58により接続される。そして、第2後方接続部54の前端部には、左方に屈曲する垂直壁部60がつながって形成されている。
【0037】
また、第2部材38の前端部には、第2部材38を厚さ方向で貫通する貫通孔62が形成されている。この貫通孔62の周囲の部分は略矩形板状に広がっており、第3部材40の前端部(後述する第3前方接続部72)に接続される第2前方接続部64が構成されている。第2前方接続部64の後端部には、左方に屈曲する垂直壁部66がつながって形成されている。これら前後の垂直壁部66,60は上下方向位置が相互に異ならされており、後方の垂直壁部60が前方の垂直壁部66よりも上方に位置している。そして、これら各垂直壁部60,66の左方端部が傾斜壁部68によって相互につながっている。すなわち、傾斜壁部68は、前方になるにつれて次第に下方へ向かう方向へ傾斜している。
【0038】
第3部材40は、前後方向に略ストレートに延びる部材であり、第3部材40の前端部にはスタッドボルト70が配置されている。このスタッドボルト70は、第3部材40から左方に突出しており、スタッドボルト70の周囲において略矩形板状に広がる部分により第3前方接続部72が構成されている。すなわち、第2部材38における貫通孔62に対してスタッドボルト70が挿通されて第2前方接続部64と第3前方接続部72が重ね合わされた状態でスタッドボルト70にナット74が締結されることで、第2部材38と第3部材40とが相互に接続される。それゆえ、第2部材38と第3部材40とは、スタッドボルト70とナット74とを含んで構成されるボルト締結部76により接続される。また、第3部材40の後端部には、第3部材40を厚さ方向(左右方向)で貫通する貫通孔78が形成されている。後述するように、この貫通孔78を利用して図示しないボルト等により負荷14側の導電部材が第3部材40の後端部に接続されることから、第3部材40の後端部における貫通孔78の周囲の部分により、第3後方接続部80が構成されている。
【0039】
上述のように第1~第3部材36,38,40が接続されることで第1導体部22が形成される。第1導体部22においては、第1部材36がコア20の内側を貫通して前方から後方へ延びているとともに、ボルト締結部58において第2部材38が接続されてコア20の外側を後方から前方へ延びている。この第2部材38に対して、ボルト締結部76において第3部材40が接続されてコア20の内側を貫通して前方から後方へ延びている。このように、第1導体部22は、コア20に対して2ターンしながら巻き付いて配置されている。実施形態1では、第1導体部22が前方の第1部材36から後方の第3部材40に向かって延びていると想定した場合、図3に示される平面視において、第1導体部22がコア20に対して反時計回りに巻き付いている。
【0040】
<第2導体部26>
第2導体部26は、後述するスペーサ128を挟んで第1導体部22と左右対称な形状であることから、簡単な説明に留める。第2導体部26は、コア20の貫通孔18を貫通して、コア20の軸方向一方側(前方側)から軸方向他方側(後方側)へ突出する第4部材82を有している。また、第2導体部26は、コア20の軸方向他方側(後方側)で第4部材82に接続されて、コア20の外周側を回って軸方向一方側(前方側)に突出する第5部材84を有している。さらに、第2導体部26は、コア20の軸方向一方側(前方側)で第5部材84に接続されて、第4部材82と非接触でコア20の貫通孔18を貫通してコア20の軸方向他方側(後方側)に突出する第6部材86を有している。第4~第6部材82,84,86の材質としては、第1~第3部材36,38,40と同様の材質が採用され得る。
【0041】
第4部材82は前端部に貫通孔88を有しており、貫通孔88の周囲の部分が電源12側の導電部材に接続される第4前方接続部90である。第4部材82における貫通孔88よりも後方の部分からはスタッドボルト92が右方に突出している。第4部材82における後端部からはスタッドボルト94が右方に突出しており、スタッドボルト94の周囲の部分が第4後方接続部96である。
【0042】
第5部材84の後端部には貫通孔98が形成されており、貫通孔98の周囲の部分が第5後方接続部100である。第4後方接続部96と第5後方接続部100とは、貫通孔98にスタッドボルト94が挿通されてスタッドボルト94にナット102が締結されることで重ね合わされて接続される。それゆえ、第4部材82と第5部材84とは、スタッドボルト94とナット102とを含んで構成されるボルト締結部104により接続される。第5後方接続部100の前端部には、右方に屈曲する垂直壁部106がつながって形成されている。
【0043】
第5部材84の前端部には貫通孔108が形成されており、貫通孔108の周囲の部分が第5前方接続部110である。第5前方接続部110の後端部には、右方に屈曲する垂直壁部112がつながって形成されている。そして、これら各垂直壁部106,112の右方端部が傾斜壁部114によって相互につながっている。傾斜壁部114は、前方になるにつれて次第に下方へ向かう方向へ傾斜している。
【0044】
第6部材86の前端部にはスタッドボルト116が配置されており、スタッドボルト116の周囲の部分が第6前方接続部118である。第5前方接続部110と第6前方接続部118とは、貫通孔108にスタッドボルト116が挿通されてスタッドボルト116にナット120が締結されることで重ね合わされて接続される。それゆえ、第5部材84と第6部材86とは、スタッドボルト116とナット120を含んで構成されるボルト締結部122により接続される。また、第6部材86の後端部には貫通孔124が形成されており、貫通孔124の周囲の部分が負荷14側の導電部材に接続される第6後方接続部126である。
【0045】
上述のように第4~第6部材82,84,86が接続されることで、第1導体部22と並列的に設けられる第2導体部26が形成される。第2導体部26においては、第4部材82がコア20の内側を貫通して前方から後方へ延びているとともに、ボルト締結部104において第5部材84が接続されてコア20の外側を後方から前方へ延びている。この第5部材84に対して、ボルト締結部122において第6部材86が接続されてコア20の内側を貫通して前方から後方へ延びている。このように、第2導体部26は、コア20に対して2ターンしながら巻き付いて配置されている。実施形態1では、第2導体部26が前方の第4部材82から後方の第6部材86に向かって延びていると想定した場合、図3に示される平面視において、第2導体部26がコア20に対して時計回りに巻き付いている。すなわち、第1導体部22と第2導体部26とは、コア20に対して相互に反対向きに巻き付いている。
【0046】
<スペーサ128>
実施形態1では、コアユニット10が貫通孔18を貫通して延びる絶縁性のスペーサ128をさらに備えており、スペーサ128は、第1導体部22と第2導体部26との間に配置されている。特に、実施形態1では、コア20がコアケース28に収容されており、スペーサ128はコアケース28における挿通孔34に挿通されるようになっている。具体的には、スペーサ128は、第1導体部22と第2導体部26とを保持し得る大きさで形成されており、例えば合成樹脂により形成されている。
【0047】
より詳細には、スペーサ128における左方部分には、第1導体部22における第1部材36と第3部材40がそれぞれ収容される第1部材収容凹部130と第3部材収容凹部132とが、相互に独立して形成されている。これら第1部材および第3部材収容凹部130,132はそれぞれ前後方向に延びて左方に開口する有底の凹部であり、第1部材収容凹部130が第3部材収容凹部132よりも前方且つ上方に位置している。すなわち、第1部材36は、第3部材40に比して前方且つ上方に位置している。また、第1部材36および第3部材40に形成されていた貫通孔42,78は、それぞれ第1部材および第3部材収容凹部130,132における底部133により覆われて左方に開口する有底の凹部とされる。
【0048】
さらに、スペーサ128において、挿通孔34に挿通されてコア20およびコアケース28によって覆われる部分には、各収容凹部130,132に収容配置される第1および第3部材36,40を外側(左側)から覆う左壁部134が設けられている。この左壁部134は、挿通孔34の内周面における左方部分と略対応した形状で形成されている。
【0049】
同様に、スペーサ128における右方部分には、第2導体部26における第4部材82と第6部材86がそれぞれ収容される第4部材収容凹部136と第6部材収容凹部138とが、相互に独立して形成されている。これら第4部材収容凹部136と第6部材収容凹部138とはそれぞれ前後方向に延びて右方に開口する有底の凹部であり、第4部材収容凹部136が第6部材収容凹部138よりも前方且つ上方に位置している。また、第4部材82および第6部材86に形成されていた貫通孔88,124は、それぞれ第4部材および第6部材収容凹部136,138における底部133により覆われて右方に開口する有底の凹部とされている。すなわち、第1部材収容凹部130と第4部材収容凹部136とは左右方向で対応する位置に形成されており、共通の底部133を隔てて相互に対向している。また、第3部材収容凹部132と第6部材収容凹部138とは左右方向で対応する位置に形成されており、共通の底部133を隔てて相互に対向している。
【0050】
さらに、スペーサ128において、挿通孔34に挿通されてコア20およびコアケース28によって覆われる部分には、各収容凹部136,138に収容配置される第4および第6部材82,86を外側(右側)から覆う右壁部140が設けられている。この右壁部140は、挿通孔34の内周面における右方部分と略対応した形状で形成されている。上記左壁部134および右壁部140がそれぞれ挿通孔34の内周面における左方部分および右方部分と対応する形状とされることで、挿通孔34内でスペーサ128(およびスペーサ128に保持される第1、第3、第4、第6部材36,40,82,86)ががたつくことが防止され得る。
【0051】
スペーサ128の形成方法は限定されるものではないが、実施形態1では、スペーサ128が、第1、第3、第4、第6部材36,40,82,86および各スタッドボルト46,48,70,92,94,116を一体的に備える一体成形品として形成されている。
【0052】
<コンデンサ24>
コンデンサ24は公知のコンデンサが採用されることから、内部構造等の具体的な説明を省略する。実施形態1では複数のコンデンサ24が設けられており、これら各コンデンサ24がいずれもコア20の軸方向一方側(前方側)に配置されている。
【0053】
具体的には、各コンデンサ24が、電源12から負荷14へと至る通電路16における+ラインと-ラインのそれぞれにおいて、電源12側でグランド電位へとバイパスする(例えば、接地(アース接続)する)経路上に設けられる第1ラインバイパスコンデンサ142と、より負荷14側でグランド電位へとバイパスする(例えば、接地(アース接続)する)経路上に設けられる第2ラインバイパスコンデンサ144とを含んでいる。実施形態1では、これら第1ラインバイパスコンデンサ142と第2ラインバイパスコンデンサ144が、1つのプリント基板146に実装されている。プリント基板146は略矩形板状とされており、例えば上面において図示しない電気回路が印刷形成されている。このプリント基板146は、第1導体部22および第2導体部26の下方に配置されている。
【0054】
<第1ラインバイパスコンデンサ142>
また、実施形態1では、電源12が第1前方接続部44および第4前方接続部90に接続されるようになっており、第1部材36および第4部材82に対して、第1ラインバイパスコンデンサ142が接続されている。要するに、第1ラインバイパスコンデンサ142が、第1部材36と第4部材82と、グランド電位へと至るグランドライン148(図7参照)に接続されている。
【0055】
より詳細には、第1ラインバイパスコンデンサ142が、一対の第1端子150,150を含んでいる。各第1端子150は、例えばバスバーにより構成されており、一方の端部がプリント基板146上の電気回路に対して電気的に接続され、プリント基板146から上方に突出している。そして、各第1端子150の他方の端部にはボルト挿通孔152が形成されている。これら各ボルト挿通孔152に対して第1および第4部材36,82から左右方向外方に突出するスタッドボルト46,92を挿通し、ナット154を締結することで、第1および第4部材36,82に対して各第1端子150の突出端部(上方端部)が接続される。なお、各第1端子150は、一方の端部(下端部)においてプリント基板146に対してボルト156により締結されることでプリント基板146に固定されるとともに電気回路に対して電気的に接続される。
【0056】
特に、実施形態1では、第1ラインバイパスコンデンサ142が、一対の第1コンデンサ部品158,158を含んで構成されている。各第1コンデンサ部品158はそれぞれプリント基板146上に配置されており、一方の端子部がプリント基板146上の電気回路を介して各第1端子150に対して電気的に接続されているとともに、他方の端子部が電気回路を介してグランドライン148に電気的に接続されている。これら各第1コンデンサ部品158は、プリント基板146における前方部分において左右方向で相互に離隔して配置されている。すなわち、第1部材36には第1端子150を介して左方の第1コンデンサ部品158が接続されているとともに、第4部材82には第1端子150を介して右方の第1コンデンサ部品158が接続されている。そして、各第1コンデンサ部品158が、共通のグランドライン148に接続されている。
【0057】
<第2ラインバイパスコンデンサ144>
また、第1および第4部材36,82よりも負荷14側に位置する第3および第6部材40,86に対して、第2ラインバイパスコンデンサ144が接続されている。要するに、第2ラインバイパスコンデンサ144が、第3部材40と第6部材86と、グランドライン148に接続されている。
【0058】
より詳細には、第2ラインバイパスコンデンサ144が、一対の第2端子160,160を含んでいる。各第2端子160は、例えばバスバーにより構成されており、一方の端部がプリント基板146上の電気回路に対して電気的に接続され、プリント基板146から上方に突出している。そして、各第2端子160の他方の端部にはボルト挿通孔162が形成されている。これら各ボルト挿通孔162に対して第3および第6部材40,86から左右方向外方に突出するスタッドボルト70,116を挿通し、ナット74,120を締結することで、第3および第6部材40,86に対して各第2端子160の突出端部(上方端部)が接続される。すなわち、実施形態1では、第2部材38(第2前方接続部64)と第3部材40(第3前方接続部72)、および第5部材84(第5前方接続部110)と第6部材86(第6前方接続部118)とを接続する各ボルト締結部76,122によって、各第2端子160の突出端部(上方端部)が各接続部にボルト締結されている。なお、各第2端子160は、一方の端部(下端部)においてプリント基板146に対してボルト164により締結されることでプリント基板146に固定されるとともに電気回路に対して電気的に接続される。
【0059】
特に、実施形態1では、第2ラインバイパスコンデンサ144が、一対の第2コンデンサ部品166,166を含んで構成されている。各第2コンデンサ部品166はそれぞれプリント基板146上に配置されており、一方の端子部がプリント基板146上の電気回路を介して各第2端子160に対して電気的に接続されているとともに、他方の端子部が電気回路を介してグランドライン148に電気的に接続されている。これら各第2コンデンサ部品166は、プリント基板146における後方部分において左右方向で相互に離隔して配置されている。すなわち、第3部材40には第2端子160を介して左方の第2コンデンサ部品166が接続されているとともに、第6部材86には第2端子160を介して右方の第2コンデンサ部品166が接続されている。そして、各第2コンデンサ部品166が、共通のグランドライン148に接続されている。
【0060】
要するに、実施形態1では、スペーサ128により保持される上記第1、第3、第4および第6部材36,40,82,86のそれぞれに対して1つずつ第1コンデンサ部品158または第2コンデンサ部品166が接続されている。そして、これら各第1コンデンサ部品158および各第2コンデンサ部品166がグランドライン148に接続されている。
【0061】
実施形態1では、プリント基板146に対してボルト168が挿通されており、このボルト168が車両のシャーシ等の金属製筐体170におけるボス部172に締結されている。これにより、プリント基板146における電気回路がグランド電位に接続(アース接続)されており、上記ボルト168を含んでグランドライン148が構成されている。
【0062】
<コアユニット10の組立て>
以下、コアユニット10の組立方法の具体的な一例を説明する。なお、コアユニット10の組立方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0063】
先ず、コアケース28の成形用のキャビティ内にコア20をセットした状態で成形用キャビティ内にコアケース28の樹脂材料を充填して、コア20を備えるコアケース28の一体成形品を得る。その後、スペーサ128の成形用のキャビティ内に上記コア20を備えるコアケース28、第1、第3、第4、第6部材36,40,82,86および各スタッドボルト46,48,70,92,94,116をセットした状態で成形用キャビティ内にスペーサ128の樹脂材料を充填して、これらを備えるスペーサ128の一体成形品を得る。これにより、コアケース28の挿通孔34に第1、第3、第4および第6部材36,40,82,86を備えるスペーサ128が挿通される状態とされ、第1、第3、第4および第6部材36,40,82,86がコアケース28から軸方向(前後方向)の両側に突出している。
【0064】
続いて、第1部材36の第1後方接続部50に第2部材38の第2後方接続部54を重ね合わせて貫通孔52にスタッドボルト48を挿通し、スタッドボルト48にナット56を締結する。また、第3部材40の第3前方接続部72に第2部材38の第2前方接続部64および第2端子160の他方の端部を重ね合わせて、貫通孔62およびボルト挿通孔162にスタッドボルト70を挿通し、スタッドボルト70にナット74を締結する。これにより、第1部材36および第3部材40に対して第2部材38を接続するとともに、第2部材38および第3部材40に対して第2端子160を接続する。
【0065】
同様に、第4部材82の第4後方接続部96に第5部材84の第5後方接続部100を重ね合わせて貫通孔98にスタッドボルト94を挿通し、スタッドボルト94にナット102を締結する。また、第6部材の第6前方接続部118に第5部材84の第5前方接続部110および第2端子160の他方の端部を重ね合わせて、貫通孔108およびボルト挿通孔162にスタッドボルト116を挿通し、スタッドボルト116にナット120を締結する。これにより、第4部材82および第6部材86に対して第5部材84を接続するとともに、第5部材84および第6部材86に対して第2端子160を接続する。
【0066】
その後、第1および第4部材36,82におけるスタッドボルト46,92を各第1端子150の他方の端部における各ボルト挿通孔152に挿通して、各スタッドボルト46,92にナット154を締結する。これにより、第1および第4部材36,82に対して各第1端子150を接続する。そして、各第1端子150および各第2端子160の一方の端部を、各第1コンデンサ部品158および各第2コンデンサ部品166が実装されたプリント基板146に対してボルト156,164により固定する。この結果、実施形態1におけるコアユニット10が完成する。
【0067】
上記のように製造されたコアユニット10は、プリント基板146にボルト168を挿通して金属製筐体170におけるボス部172に締結することで、金属製筐体170に対して固定される。これにより、第1~第6部材36,38,40,82,84,86が各第1および第2端子150,160と各第1および第2コンデンサ部品158,166を介して、グランド接続(例えば、アース接続)される。
【0068】
<コアユニット10の作用効果>
ここにおいて、実施形態1では、環状のコア20に対して、第1導体部22(第1~第3部材36,38,40)と第2導体部26(第4~第6部材82,84,86)とが、相互に反対向きに巻き付けられている。それゆえ、これらコア20、第1導体部22および第2導体部26はコモンモードチョークコイルとして作用する。
【0069】
実施形態1のコアユニット10を用いた回路の具体的な一例における回路図を図7に示す。なお、図7中では、上側を第1導体部22(+ライン17a)、下側を第2導体部26(-ライン17b)として説明する。
【0070】
具体的には、電源12側から延びる+側の端子部と-側の端子部は、第1部材36における第1前方接続部44と第4部材82における第4前方接続部90に接続されている。第1部材36と第4部材82は経路の途中で分岐して、各第1端子150および第1ラインバイパスコンデンサ142(各第1コンデンサ部品158)を通じてグランドライン148(ボルト168)につながっている(図7中、C1の部分)。また、コア20(コアケース28)に挿通された第1部材36および第4部材82は、それぞれ第2部材38および第5部材84に接続されてコア20(コアケース28)の外周側を回ることとなる。これら第1部材36と第2部材38、第4部材82と第5部材84における相互に対向する部分によりコア20に巻き付くコイルが構成される(図7中、L1の部分)。
【0071】
さらに、第2部材38および第5部材84は、それぞれ第2前方接続部64および第5前方接続部110において分岐して、各第2端子160および第2ラインバイパスコンデンサ144(各第2コンデンサ部品166)を通じてグランドライン148(ボルト168)につながっている(図7中、C2の部分)。そして、第2部材38および第5部材84にそれぞれ接続された第3部材40および第6部材86は、コア20(コアケース28)の内周側を通じて後方へ延び出し、第3後方接続部80と第6後方接続部126とはそれぞれ負荷14側における+側の端子部と-側の端子部に接続されている。これら第2部材38と第3部材40、第5部材84と第6部材86における相互に対向する部分によりコア20に巻き付くコイルが構成される(図7中、L2の部分)。
【0072】
特に、実施形態1では、コモンモードノイズが生じる場合を想定しており、第1導体部22と第2導体部26とで同方向にコモンモードノイズ電流が流れることから、コア20内に挿通される第1、第3、第4、第6部材36,40,82,86においても同方向のノイズ電流が流れることとなり、図5に示されるように、足し合わされた磁束Bが発生し、コイルを構成する部分(図7中、L1およびL2の部分)において大きなインピーダンスが発生する。それゆえ、図7に示された回路においては、コンデンサとインダクタ(コイル)から構成されるCLフィルタを2つ直列に接続したような構成とされて、第1導体部22および第2導体部26においてノイズを含んだ信号(電流)が流れる場合にも、主に高周波から構成されるノイズ成分は、インダクタ(L1,L2)を通過することが抑制されて、コンデンサ(C1,C2)を通じてグランドへと逃がされる。また、主に低周波から構成される信号成分は、コンデンサ(C1,C2)を通過しにくい一方、インダクタ(L1,L2)を通過しやすいことから、電源12と負荷14との間の通電が安定して実現され得る。
【0073】
以上のような構造とされたコアユニット10によれば、コモンモードチョークコイルを構成するコア20に巻き付けられる第1導体部22が、いずれもバスバーである第1~第3部材36,38,40により構成されていることから、例えば第1導体部が電線等により構成される場合に比べて、大電流を流すことができる。そして、電源12から負荷14へと至る第1導体部22からなる経路上において、コンデンサ24(第1ラインバイパスコンデンサ142や第2ラインバイパスコンデンサ144)を介してグランド電位へと至る経路を分岐して設けた。これにより、コンデンサ24(第1ラインバイパスコンデンサ142や第2ラインバイパスコンデンサ144)およびインダクタ(L1やL2)によりローパスフィルタが構成されて、主に高周波から構成されるノイズ成分を除去することができる。
【0074】
同様に、第2導体部26が、いずれもバスバーである第4~第6部材82,84,86により構成されていることから、大電流に対応したコアユニット10を提供することができる。また、第2導体部26からなる経路上にもコンデンサ24(第1ラインバイパスコンデンサ142や第2ラインバイパスコンデンサ144)を介してグランド電位へと至る経路を分岐して設けた。これにより、第2導体部26を流れる電流においても、ノイズ成分を除去することができる。
【0075】
第1導体部22と第2導体部26の間にはスペーサ128が配置されている。これにより、第1導体部22と第2導体部26との絶縁を安定して図ることができる。特に、スペーサ128に第1、第3、第4および第6部材36,40,82,86が収容される各収容凹部130,132,136,138を設けて、コア20(コアケース28)に対して上記スペーサ128を挿通させることで、コア20に対して各部材36,40,82,86ががたつくことも防止され得る。
【0076】
コアユニット10のコンデンサ24は、第1ラインバイパスコンデンサ142と第2ラインバイパスコンデンサ144(要するに、C1とC2)を含み、且つ第1導体部22と第2導体部26とがコア20を2ターンする構成(要するに、L1とL2)とした。これにより、コンデンサとインダクタによるCLフィルタを2つ直列的に設けた構造とすることができて、ノイズの減衰効果をより確実に発揮させることができる。
【0077】
そして、これら第1ラインバイパスコンデンサ142と第2ラインバイパスコンデンサ144とをいずれもコア20に対する軸方向の一方側(前方側)に配置する構成とした。これにより、コアユニット10における構造の簡素化や小型化を図ることができる。特に、上述のようなCLを2つ直列とした構造においても、大型化を回避することができる。
【0078】
また、これら第1ラインバイパスコンデンサ142と第2ラインバイパスコンデンサ144とは共通のプリント基板146に実装されており、第1導体部22と第2導体部26とはプリント基板146を通じて共通のグランドライン148(ボルト168)に接続されている。これにより、構造の簡素化や部品点数の削減を図ることができる。
【0079】
各第2端子160の突出端部(上端部)は、第2部材38と第3部材40とのボルト締結部76および第5部材84と第6部材86とのボルト締結部122において共締めされて固定されている。これにより、さらなる構造の簡素化や部品点数の削減を図ることができる。
【0080】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2のコアユニット180について、図8から図10を用いて説明する。実施形態2のコアユニット180における基本的な構造は実施形態1と同様であるが、実施形態2では、第1ラインバイパスコンデンサ182と第2ラインバイパスコンデンサ184とが、1つの絶縁性の保持ケース186に保持されている。以下の説明において、前記実施形態と同一の部材および部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0081】
実施形態2の第1ラインバイパスコンデンサ182は、実施形態1と同様に、一対の第1コンデンサ部品158,158と、一対の第1端子188,188とを含んでおり、さらに上記各第1コンデンサ部品158をグランド電位に接続するグランドバスバー190を含んでいる。また、実施形態2の第2ラインバイパスコンデンサ184は、一対の第2コンデンサ部品166,166と、一対の第2端子192,192とを含んでおり、さらに上記グランドバスバー190を含んでいる。これら各第1端子188、各第2端子192およびグランドバスバー190は、例えばバスバーにより形成される。
【0082】
各第1端子188は、実施形態1と同様に他方の端部(上端部)においてボルト挿通孔152を有している。そして、これら各ボルト挿通孔152に対して第1および第4部材36,82から左右方向外方に突出するスタッドボルト46,92を挿通し、ナット154を締結することで、第1および第4部材36,82に対して各第1端子188の突出端部(上方端部)が接続される。上下方向に延びる各第1端子188の下端部には屈曲部194が設けられており、後方に延び出す被支持片196が形成されている。すなわち、各第1端子188は、一方の端部(一端部であり、下端部)に被支持片196を有している。各被支持片196は、各第1コンデンサ部品158の一方の端子部が挿通されるスルーホールを有している。
【0083】
各第2端子192も、実施形態1と同様に他方の端部(上端部)においてボルト挿通孔162を有している。そして、これら各ボルト挿通孔162に対して第3および第6部材40,86から左右方向外方に突出するスタッドボルト70,116を挿通し、ナット74,120を締結することで、第2、第3部材38,40および第5、第6部材84,86に対して各第2端子192の突出端部(上方端部)が接続される。上下方向に延びる各第2端子192の下端部には屈曲部198が設けられており、前方に延び出す被支持片200が形成されている。すなわち、各第2端子192は、一方の端部(一端部であり、下端部)に被支持片200を有している。各被支持片200は、各第2コンデンサ部品166の一方の端子部が挿通されるスルーホールを有している。
【0084】
グランドバスバー190は、平面視において略矩形状とされており、左右方向に延びている。グランドバスバー190の4つの各角部には、各第1コンデンサ部品158および各第2コンデンサ部品166のそれぞれの他方の端子部が挿通されるスルーホールが形成されている。また、グランドバスバー190の長さ方向(左右方向)中間部分には、前述のグランドライン148を構成するボルト168が挿通されるボルト挿通孔202が形成されている。
【0085】
<保持ケース186>
保持ケース186は、上記一対の第1コンデンサ部品158,158のそれぞれが収容される一対の第1コンデンサ部品収容部204,204と、上記一対の第1端子188,188のそれぞれが収容される一対の第1端子収容部206,206を有している。また、保持ケース186は、上記一対の第2コンデンサ部品166,166のそれぞれが収容される一対の第2コンデンサ部品収容部208,208と、上記一対の第2端子192,192のそれぞれが収容される一対の第2端子収容部210,210を有している。さらに、保持ケース186は、上記グランドバスバー190が収容されるグランドバスバー収容部212を有している。
【0086】
具体的には、保持ケース186は、水平方向(上下方向に対して直交する方向)に広がる略矩形状のベース板部214を備えており、ベース板部214における前方部分の左右方向両端部において上方に開口する略箱状の上記各第1コンデンサ部品収容部204が設けられている。また、ベース板部214における後方部分の左右方向両端部において上方に開口する略箱状の上記各第2コンデンサ部品収容部208が設けられている。
【0087】
さらに、ベース板部214における各第1コンデンサ部品収容部204よりも前方において上記各第1端子収容部206が設けられているとともに、ベース板部214における各第2コンデンサ部品収容部208よりも後方において上記各第2端子収容部210が設けられている。これら各第1端子収容部206および各第2端子収容部210は、それぞれ各第1端子188における各屈曲部194と各被支持片196および各第2端子192における各屈曲部198と各被支持片200を保持するようになっており、ベース板部214において側方(左右方向両側)に開口している。また、グランドバスバー収容部212は略矩形状とされてベース板部214の前後方向中央部分において下方に開口しており、平面視においてグランドバスバー収容部212の4つの各角部が各第1コンデンサ部品収容部204および各第2コンデンサ部品収容部208と部分的に重なっている。ベース板部214において、グランドバスバー収容部212の形成位置には、上下方向で貫通するボルト挿通孔216が形成されている。
【0088】
そして、上記各第1端子収容部206における左右方向外方の開口部から各第1端子188が挿入されることで、ベース板部214に対して各第1端子188が組み付けられる。各第1端子収容部206に各第1端子188が収容された状態では、各第1端子188における各被支持片196が各第1コンデンサ部品収容部204の下方に位置しており、各被支持片196が各第1コンデンサ部品収容部204の底面に露出している。同様に、各第2端子収容部210における左右方向外方の開口部から各第2端子192が挿入されることで、ベース板部214に対して各第2端子192が組み付けられる。各第2端子収容部210に各第2端子192が収容された状態では、各第2端子192における各被支持片200が各第2コンデンサ部品収容部208の下方に位置しており、各被支持片200が各第2コンデンサ部品収容部208の底面に露出している。
【0089】
また、グランドバスバー収容部212には、下方からグランドバスバー190が組み付けられる。上述のように、グランドバスバー収容部212の4つの各角部が各第1コンデンサ部品収容部204および各第2コンデンサ部品収容部208と部分的に重なっていることから、グランドバスバー収容部212に収容されたグランドバスバー190の4つの各角部は各第1コンデンサ部品収容部204および各第2コンデンサ部品収容部208の下方に位置している。すなわち、グランドバスバー190の4か所が、各第1コンデンサ部品収容部204および各第2コンデンサ部品収容部208のそれぞれの底面に露出している。さらに、グランドバスバー190がグランドバスバー収容部212に組み付けられることで、ベース板部214に設けられたボルト挿通孔216とグランドバスバー190に設けられたボルト挿通孔202とが上下方向で連通するようになっている。
【0090】
そして、各第1コンデンサ部品収容部204に対して上方から各第1コンデンサ部品158が挿入されて収容される。各第1コンデンサ部品158における各端子部は各第1コンデンサ部品収容部204における底部を貫通し、各第1コンデンサ部品158における一方の端子部が、各第1端子188における各被支持片196に設けられた各スルーホールに挿通される。また、各第1コンデンサ部品158における他方の端子部が、グランドバスバー190における前方部分に設けられた各スルーホールに挿通される。各スルーホールに挿通された各第1コンデンサ部品158における各端子部は下方から半田付けされて、各第1コンデンサ部品158と各第1端子188およびグランドバスバー190とが電気的に接続される。これにより、各第1コンデンサ部品収容部204に収容された各第1コンデンサ部品158が、各第1端子188とグランドバスバー190との間に直列接続される。
【0091】
同様に、各第2コンデンサ部品収容部208に対して上方から各第2コンデンサ部品166が挿入されて収容される。各第2コンデンサ部品166における各端子部は各第2コンデンサ部品収容部208における底部を貫通し、各第2コンデンサ部品166における一方の端子部が、各第2端子192における各被支持片200に設けられた各スルーホールに挿通される。また、各第2コンデンサ部品166における他方の端子部が、グランドバスバー190における後方部分に設けられた各スルーホールに挿通される。各スルーホールに挿通された各第2コンデンサ部品166における各端子部は下方から半田付けされて、各第2コンデンサ部品166と各第2端子192およびグランドバスバー190とが電気的に接続される。これにより、各第2コンデンサ部品収容部208に収容された各第2コンデンサ部品166が、各第2端子192とグランドバスバー190との間に直列接続される。
【0092】
以上のような保持ケース186を有するコアユニット180は、各ボルト挿通孔202,216に挿通されるボルト168が金属製筐体170におけるボス部172に締結されることで、金属製筐体170に対して固定される。これにより、第1、第3、第4および第6部材36,40,82,86から分岐する第1ラインバイパスコンデンサ182および第2ラインバイパスコンデンサ184がグランド接続(例えば、アース接続)されて、実施形態1と同様の回路構成とされる。
【0093】
実施形態2のコアユニット180においても、実施形態1と同様の回路構成とされることから、実施形態1と同様の効果が発揮される。特に、実施形態1では、第1ラインバイパスコンデンサ142および第2ラインバイパスコンデンサ144がプリント基板146に実装されていたのに対して、実施形態2では、第1ラインバイパスコンデンサ182および第2ラインバイパスコンデンサ184を保持ケース186により保持する構成とした。これにより、プリント基板146を採用することなく第1ラインバイパスコンデンサ182および第2ラインバイパスコンデンサ184をグランド接続することができる。また、保持ケース186により各部品を保護することができるとともに、各部品の取扱性の向上を図ることができる。
【0094】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3のコアユニット220について、図11から図13を用いて説明する。実施形態3のコアユニット220における基本的な構造は実施形態1と同様であり、図13に示される回路図のように、第1導体部22により通電路16における+ライン222aが構成されているとともに、第2導体部26により通電路16における-ライン222bが構成されている。すなわち、第1導体部22における第1前方接続部44が電源12における+側の端子部に接続されるとともに、第3後方接続部80が負荷14における+側の端子部に接続される。また、第2導体部26における第4前方接続部90が電源12における-側の端子部に接続されるとともに、第6後方接続部126が負荷14における-側の端子部に接続される。
【0095】
<コア224>
実施形態3では、コア224が、外側コア226と内側コア228の2つの部材により構成されている。すなわち、外側コア226は中央部分に前後方向に延びる貫通孔230を有する環状の部材であるとともに、貫通孔230内において略角柱状の内側コア228が配置されている。
【0096】
また、実施形態3では、コア224を収容するコアケース232が前後方向で分割可能とされており、コアケース232が、前側ケース234と後側ケース236により構成されている。すなわち、前側ケース234は後方に開口する略箱状であるとともに、後側ケース236は前方に開口する略箱形状であり、前側ケース234にコア224を収容した状態で前側ケース234と後側ケース236とを組み付けることで、コア224が収容されたコアケース232が形成される。特に、実施形態3では、前側ケース234が、外側コア226と内側コア228との径方向間に配置される内周側部分238と、外側コア226を外周側から覆う外周側部分240とを備えており、内周側部分238の中央には内側コア228が収容される収容筒部242が後方に開口して形成されている。また、内周側部分238の左右方向両側には、後述するスペーサ248(左側スペーサ250および右側スペーサ252)が挿通される左側挿通孔244および右側挿通孔246が前後方向で貫通して形成されている。
【0097】
<スペーサ248>
実施形態1では、第1、第3、第4および第6部材36,40,82,86が1つのスペーサ128に保持されていたが、実施形態3では、スペーサ248が、左側の第1および第3部材36,40を保持する左側スペーサ250と、右側の第4および第6部材82,86を保持する右側スペーサ252との2つの部材により構成されている。すなわち、左側スペーサ250が、第1部材収容凹部130と第3部材収容凹部132とを備えているとともに、右側スペーサ252が、第4部材収容凹部136と第6部材収容凹部138とを備えている。そして、第1および第3部材36,40を備える左側スペーサ250がコアケース232における左側挿通孔244に挿通されているとともに、第4および第6部材82,86を備える右側スペーサ252がコアケース232における右側挿通孔246に挿通されている。換言すれば、第1および第3部材36,40の外周側を覆うようにコア224(外側コア226および内側コア228)が配置されているとともに、第4および第6部材82,86の外周側を覆うようにコア224(外側コア226および内側コア228)が配置されている。
【0098】
<第1アクロスザラインコンデンサ254および第2アクロスザラインコンデンサ256>
実施形態3のコアユニット220においても複数のコンデンサ24が設けられており、これら複数のコンデンサ24が、電源12から負荷14へ至る通電路16において並列接続されている。具体的には、各コンデンサ24が、電源12側で+ライン222a(第1導体部22)と-ライン222b(第2導体部26)とを接続する第1アクロスザラインコンデンサ254と、より負荷14側で+ライン222a(第1導体部22)と-ライン222b(第2導体部26)とを接続する第2アクロスザラインコンデンサ256とを含んでいる。実施形態3では、これら第1アクロスザラインコンデンサ254と第2アクロスザラインコンデンサ256が、それぞれ1つのプリント基板146に実装されている。
【0099】
すなわち、第1アクロスザラインコンデンサ254は、第1部材36と第4部材82に接続されている。第1アクロスザラインコンデンサ254は、実施形態1と同様の各第1端子150を含んで構成されており、各第1端子150がプリント基板146から上方に突出している。そして、各第1端子150の突出端部(上方端部)が、第1および第4部材36,82におけるスタッドボルト46,92に対してナット154を締結することで接続されている。
【0100】
同様に、第2アクロスザラインコンデンサ256は、第3部材40と第6部材86に接続されている。第2アクロスザラインコンデンサ256は、実施形態1と同様の各第2端子160を含んで構成されており、各第2端子160がプリント基板146から上方に突出している。そして、各第2端子160の突出端部(上方端部)が、第3および第6部材40,86におけるスタッドボルト70,116に対してナット74,120を締結することで接続されている。
【0101】
<コアユニット220の作用効果>
実施形態3では、第1部材36と第4部材82は経路の途中で分岐して、第1アクロスザラインコンデンサ254につながっている(図13中、C1の部分)。また、コア224(コアケース232)に挿通された第1部材36および第4部材82は、それぞれ第2部材38および第5部材84に接続されてコア224(コアケース232)の外周側を回ることとなる。これら第1部材36と第2部材38、第4部材82と第5部材84における相互に対向する部分によりコア224に巻き付くコイルが構成される(図13中、L1の部分)。
【0102】
さらに、第2部材38および第5部材84は、それぞれ第2前方接続部64および第5前方接続部110において分岐して、第2アクロスザラインコンデンサ256につながっている(図13中、C2の部分)。そして、第2部材38および第5部材84にそれぞれ接続された第3部材40および第6部材86は、コア224(コアケース232)の内周側を通じて後方へ延び出し、第3後方接続部80と第6後方接続部126とがそれぞれ負荷14側の導電部材に接続されている。これら第2部材38と第3部材40、第5部材84と第6部材86における相互に対向する部分によりコア224に巻き付くコイルが構成される(図13中、L2の部分)。
【0103】
すなわち、例えば電源12側の+ライン222a(第1前方接続部44)から入力されたノイズを含んだ信号においては、主に高周波から構成されるノイズ成分が第1アクロスザラインコンデンサ254(C1)に流れやすく、第4前方接続部90を通じて電源12側に戻される。また、第1部材36から第2部材38へと流れたノイズを含んだ信号においては、第1部材36の周囲に位置するコア224によりノイズが除かれる。さらに、第2部材38においては分岐して第2アクロスザラインコンデンサ256(C2)が設けられており、これによりノイズ成分が電源12側に戻されるとともに、第2部材38から第3部材40へと流れたノイズを含んだ信号においては、第3部材40の周囲に位置するコア224によりノイズが除かれる。すなわち、実施形態3においても、コンデンサとインダクタ(コイル)から構成されるCLフィルタを2つ直列に接続したような構成とされる。
【0104】
特に、実施形態1では、ノーマルモードノイズが生じる場合を想定しており、図13に示された回路においては、第1導体部22と第2導体部26とで相互に反対向きにノイズ電流が流れる。すなわち、コア224内に挿通される第1および第3部材36,40においては同じ方向に電流が流れることから、第1および第3部材36,40の周囲において図12に示されるように磁束B1が発生する。一方、コア224内に挿通される第4および第6部材82,86においては、第1および第3部材36,40とは反対向きに電流が流れることから、図4および第6部材82,86の周囲において図12に示されるように磁束B2が発生する。このように、実施形態3では、相互に反対向きとされたノイズ電流におけるノイズを1つのコア224により除去することができる。
【0105】
以上のような構造とされた実施形態3のコアユニット220においても、第1~第6部材36,38,40,82,84,86をバスバーで構成して大電流に対応しつつ、CLフィルタを2つ直列接続して大幅なノイズ減衰効果を発揮するものであるから、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。
【0106】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4のコアユニット260について、図14から図16を用いて説明する。実施形態4のコアユニット260における基本的な構造は実施形態1と同様であるが、実施形態4では、第1導体部262が第1~第3部材36,38,40に加えて、第7部材264と第8部材266を備えているとともに、第2導体部268が第4~第6部材82,84,86に加えて、第9部材270と第10部材272とを備えている。
【0107】
具体的には、第1導体部262は、コア20の軸方向他方側(後方側)で第3部材40に接続されて、コア20の外周側を回って軸方向一方側(前方側)に突出する第7部材264と、コア20の軸方向一方側(前方側)で第7部材264に接続されて、第1部材36および第3部材40と非接触でコア20の貫通孔18を貫通してコア20の軸方向他方側(後方側)に突出する第8部材266と、を有している。すなわち、第7部材264は、第7前方接続部274と第7後方接続部276を備えているとともに、第8部材266は、第8前方接続部278と第8後方接続部280を備えている。そして、第3後方接続部80に対して第7後方接続部276が重ね合わされてボルト締結部282においてボルト締結されている。また、第7前方接続部274に対して第8前方接続部278が重ね合わされてボルト締結部284においてボルト締結されている。
【0108】
また、第2導体部268は、コア20の軸方向他方側(後方側)で第6部材86に接続されて、コア20の外周側を回って軸方向一方側(前方側)に突出する第9部材270と、コア20の軸方向一方側(前方側)で第9部材270に接続されて、第4部材82および第6部材86と非接触でコア20の貫通孔18を貫通してコア20の軸方向他方側に突出する第10部材272と、を有している。すなわち、第9部材270は、第9前方接続部286と第9後方接続部288を備えているとともに、第10部材272は、第10前方接続部290と第10後方接続部292を備えている。そして、第6後方接続部126に対して第9後方接続部288が重ね合わされてボルト締結部294においてボルト締結されている。また、第9前方接続部286に対して第10前方接続部290が重ね合わされてボルト締結部296においてボルト締結されている。
【0109】
そして、第1部材36および第4部材82から左右方向外方に突出するスタッドボルト46,92に対してナット154を締結することで、第1ラインバイパスコンデンサ142を構成する各第1端子150の他方の端部(上端部)が固定されている。また、第7部材264と第8部材266とをボルト固定するボルト締結部284、および第9部材2770と第10部材272とをボルト固定するボルト締結部296において、第2ラインバイパスコンデンサ144を構成する各第2端子160の他方の端部(上端部)が固定されている。
【0110】
これにより、図16に示される回路図のように、実施形態1に比してコイル部分(L1’)を追加することができて、すなわち、コイルの巻き数を増やすことができて、より大きなインピーダンスを得ることができる。
【0111】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1から実施形態4について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0112】
(1)前記実施形態では、第1導体部22,262と第2導体部26,268の両方がコア20,224に巻き付けられていたが、例えばノーマルモードノイズを想定した実施形態3においては、第1導体部のみがコアに巻き付けられていてもよい。
【0113】
(2)前記実施形態1では、第1ラインバイパスコンデンサ142および第2ラインバイパスコンデンサ144(すなわち、各第1コンデンサ部品158および各第2コンデンサ部品166)が同一のプリント基板146に実装されて同一のグランドライン148(ボルト168)からグランド接続されていたが、この態様に限定されるものではない。第1ラインバイパスコンデンサ(第1コンデンサ部品)や第2ラインバイパスコンデンサ(第2コンデンサ部品)は別個のプリント基板に実装されたり、別個のグランドラインからグランド接続されてもよい。実施形態2や実施形態4も同様である。
【0114】
(3)前記実施形態1では、第2ラインバイパスコンデンサ144を構成する各第2端子160が第2部材38における第2前方接続部64および第5部材84における第5前方接続部110に対して外側(左右方向外方)から重ね合わされてボルト締結されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、各第2端子は、第2前方接続部と第3前方接続部の間や、第5前方接続部と第6前方接続部との間に挟まれた状態でボルト固定されてもよい。すなわち、第2ラインバイパスコンデンサは、第2部材または第3部材と、第5部材または第6部材と、グランドラインに接続されてもよい。具体的には、第2ラインバイパスコンデンサを構成する第2端子の突出端部が、第2部材または第3部材と、第5部材または第6部材と接続されてもよい。実施形態2も同様である。
【0115】
また、実施形態3において、第2アクロスザラインコンデンサは、第2部材または第3部材と、第5部材または第6部材に接続されてもよい。具体的には、第2アクロスザラインコンデンサを構成する第2端子の突出端部が、第2部材または第3部材と、第5部材または第6部材に接続されていてもよい。同様に、実施形態4において、第2ラインバイパスコンデンサは、第7部材または第8部材と、第9部材または第10部材に接続されてもよい。
【0116】
(4)前記実施形態4では、第1ラインバイパスコンデンサ142が第1部材36と第4部材82に接続されるとともに、第2ラインバイパスコンデンサ144が第7部材264(または第8部材266)と第9部材270(または第10部材272)に接続されていたが、この態様に限定されるものではない。実施形態4において第1ラインバイパスコンデンサは第2部材(または第3部材)と第5部材(または第6部材)に接続されてもよいし、ラインバイパスコンデンサが3つ設けられてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 コアユニット(実施形態1)
12 電源
14 負荷
16 通電路
17a +ライン
17b -ライン
18 貫通孔
20 コア
22 第1導体部
24 コンデンサ
26 第2導体部
28 コアケース
30 外側部分
32 内側部分
34 挿通孔
36 第1部材
38 第2部材
40 第3部材
42 貫通孔
44 第1前方接続部
46,48 スタッドボルト
50 第1後方接続部
52 貫通孔
54 第2後方接続部
56 ナット
58 ボルト締結部
60 垂直壁部
62 貫通孔
64 第2前方接続部
66 垂直壁部
68 傾斜壁部
70 スタッドボルト
72 第3前方接続部
74 ナット
76 ボルト締結部
78 貫通孔
80 第3後方接続部
82 第4部材
84 第5部材
86 第6部材
88 貫通孔
90 第4前方接続部
92,94 スタッドボルト
96 第4後方接続部
98 貫通孔
100 第5後方接続部
102 ナット
104 ボルト締結部
106 垂直壁部
108 貫通孔
110 第5前方接続部
112 垂直壁部
114 傾斜壁部
116 スタッドボルト
118 第6前方接続部
120 ナット
122 ボルト締結部
124 貫通孔
126 第6後方接続部
128 スペーサ
130 第1部材収容凹部
132 第3部材収容凹部
133 底部
134 左壁部
136 第4部材収容凹部
138 第6部材収容凹部
140 右壁部
142 第1ラインバイパスコンデンサ
144 第2ラインバイパスコンデンサ
146 プリント基板
148 グランドライン
150 第1端子
152 ボルト挿通孔
154 ナット
156 ボルト
158 第1コンデンサ部品
160 第2端子
162 ボルト挿通孔
164 ボルト
166 第2コンデンサ部品
168 ボルト
170 金属製筐体
172 ボス部
180 コアユニット(実施形態2)
182 第1ラインバイパスコンデンサ
184 第2ラインバイパスコンデンサ
186 保持ケース
188 第1端子
190 グランドバスバー
192 第2端子
194 屈曲部
196 被支持片
198 屈曲部
200 被支持片
202 ボルト挿通孔
204 第1コンデンサ部品収容部
206 第1端子収容部
208 第2コンデンサ部品収容部
210 第2端子収容部
212 グランドバスバー収容部
214 ベース板部
216 ボルト挿通孔
220 コアユニット(実施形態3)
222a +ライン
222b -ライン
224 コア
226 外側コア
228 内側コア
230 貫通孔
232 コアケース
234 前側ケース
236 後側ケース
238 内周側部分
240 外周側部分
242 収容筒部
244 左側挿通孔
246 右側挿通孔
248 スペーサ
250 左側スペーサ
252 右側スペーサ
254 第1アクロスザラインコンデンサ
256 第2アクロスザラインコンデンサ
260 コアユニット(実施形態4)
262 第1導体部
264 第7部材
266 第8部材
268 第2導体部
270 第9部材
272 第10部材
274 第7前方接続部
276 第7後方接続部
278 第8前方接続部
280 第8後方接続部
282,284 ボルト締結部
286 第9前方接続部
288 第9後方接続部
290 第10前方接続部
292 第10後方接続部
294,296 ボルト締結部
B,B1,B2 磁束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16