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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012983
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】冷却用熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20250117BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250117BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/613
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116212
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】若園 幸典
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕志
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】杠 千秋
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】金属製の部材と合成樹脂製の部材とを組み合わせた冷却用熱交換器において、例えば高温環境下でも樹脂部材の変形に伴う金属プレートの歪みを防止することのできる、新規な冷却用熱交換器を提供する。
【解決手段】冷却対象12に重ね合わされる金属プレート14と、凹溝16を備えた樹脂部材18とが、相互に重ね合わされて固着されており、金属プレート14で凹溝16の開口20が覆われることによって金属プレート14と樹脂部材18の間に熱媒体が流動する冷却流路22が形成された冷却用熱交換器10であって、金属プレート14には、樹脂部材18側の表面である接合面46に開口して、且つ接合面46と反対側の表面48に突出するビード部50が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象に重ね合わされる金属プレートと、凹溝を備えた樹脂部材とが、相互に重ね合わされて固着されており、該金属プレートで該凹溝の開口が覆われることによって該金属プレートと該樹脂部材の間に熱媒体が流動する冷却流路が形成された冷却用熱交換器であって、
前記金属プレートには、前記樹脂部材側の表面である接合面に開口して、且つ該接合面と反対側の表面に突出するビード部が設けられている冷却用熱交換器。
【請求項2】
前記ビード部は、前記金属プレートにおける前記冷却流路を形成しない位置に設けられていると共に、該金属プレートと前記樹脂部材との重ね合わせ面間には接着剤層が設けられて該金属プレートと該樹脂部材とが接着剤により接合されており、該ビード部が、該金属プレートにおける該樹脂部材と接合している部分に設けられている請求項1に記載の冷却用熱交換器。
【請求項3】
前記ビード部は、前記金属プレートにおける前記冷却流路を形成している位置に設けられている請求項1又は2に記載の冷却用熱交換器。
【請求項4】
前記ビード部が、前記冷却流路の延出方向に沿って延びている請求項3に記載の冷却用熱交換器。
【請求項5】
前記金属プレートにおける前記接合面と反対側の面には、厚さ方向で変形可能な熱伝導層が設けられている請求項1又は2に記載の冷却用熱交換器。
【請求項6】
前記ビード部が、相互に延出方向の異なる第1ビード部と第2ビード部とを含んで構成されている請求項1又は2に記載の冷却用熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等に設けられて、電池パック等の冷却対象を冷却する冷却用熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電池等の発熱体を冷却するための冷却装置が提案されており、かかる冷却装置が、例えば特開2020-88108号公報(特許文献1)に挙げられている。
【0003】
特許文献1に記載の冷却装置は、冷却対象である発熱体に重ね合わされる金属製冷却パネルと冷媒を流すための樹脂製流路とを備えており、樹脂製流路に設けられた凹溝の開口が金属製冷却パネルにより覆われることによって冷媒が流動するための冷却流路が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-88108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、金属製の部材と合成樹脂製の部材とは線膨張係数の差が比較的大きく、両部材に熱が加えられた際には、金属製の部材に比して合成樹脂製の部材の方が膨出し易かった。特に、金属製冷却パネルが重量やコストの削減等を目的として、例えば薄肉のアルミニウム製の板材により構成される場合、合成樹脂製の部材の膨出変形の影響を受け易く、例えば発熱体の発熱によって、又は車両が高温環境下に晒されること等によって、合成樹脂製の部材の膨出変形と共に金属製冷却パネルが歪み、冷却装置から冷媒が漏れ出すおそれがあった。
【0006】
本発明は上述の如き事情を背景としてなされたものであって、その解決課題とするところは、金属製の部材と合成樹脂製の部材とを組み合わせた冷却用熱交換器において、例えば高温環境下でも樹脂部材の変形に伴う金属プレートの歪みを防止することのできる、新規な冷却用熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0008】
第一の態様は、冷却対象に重ね合わされる金属プレートと、凹溝を備えた樹脂部材とが、相互に重ね合わされて固着されており、該金属プレートで該凹溝の開口が覆われることによって該金属プレートと該樹脂部材の間に熱媒体が流動する冷却流路が形成された冷却用熱交換器であって、前記金属プレートには、前記樹脂部材側の表面である接合面に開口して、且つ該接合面と反対側の表面に突出するビード部が設けられているものである。
【0009】
本態様によれば、金属プレートにおいてビード部が設けられていることから、ビード部により金属プレートの補強効果が発揮されて、例えば常温から高温環境下に至る等の温度変化に起因する樹脂部材の変形に伴う金属プレートの歪みが防止される。また、金属プレートにおいて冷却対象が重ね合わされる側の面にビード部が設けられることから、冷却対象が重ね合わされる側の面の表面積を増やすことができて、熱交換(冷却)効率の向上を図ることもできる。特に、本態様に係るビード部は、例えば以下の第二や第三の態様と組み合わされることで、金属プレートの補強効果だけでなく、特別な効果を発揮し得る。
【0010】
第二の態様は、前記第一の態様に係る冷却用熱交換器において、前記ビード部は、前記金属プレートにおける前記冷却流路を形成しない位置に設けられていると共に、該金属プレートと前記樹脂部材との重ね合わせ面間には接着剤層が設けられて該金属プレートと該樹脂部材とが接着剤により接合されており、該ビード部が、該金属プレートにおける該樹脂部材と接合している部分に設けられているものである。
【0011】
本態様によれば、ビード部が金属プレートにおける冷却流路を形成しない位置に設けられていることから、ビード部が冷却流路内の熱媒体(冷媒)の流動を阻害することがなく、冷媒の流動による冷却効果とビード部による補強効果とを両立して達成することができる。特に、金属プレートにおけるビード部が、金属プレートと樹脂部材との接着剤による接合部分に設けられていることから、ビード部の内部に接着剤が充填されることにより接着剤の量を増やすことができて、金属プレートと樹脂部材との接合力を向上させることができる。このように金属プレートと樹脂部材との接合力が向上することで高温環境下における樹脂部材の膨張変形が抑制されて、ひいては金属プレートの歪みも抑制され得る。
【0012】
第三の態様は、前記第一の態様に係る冷却用熱交換器において、前記ビード部は、前記金属プレートにおける前記冷却流路を形成している位置に設けられているものである。
【0013】
本態様によれば、ビード部が金属プレートにおける冷却流路を形成している位置に設けられていることから、ビード部の内部に冷却流路を流動する熱媒体(冷媒)が充填されることにより、冷却流路内に収容させることのできる冷媒の量を増やすことができる。また、金属プレートにおいてビード部により冷却対象が重ね合わされる側の面の表面積が増えることで、冷却対象からの伝熱をより効率的に生じさせることができる。この結果、ビード部により金属プレートの歪みが防止されるだけでなく、熱交換(冷却)効率の向上を図ることもできる。
【0014】
第四の態様は、前記第三の態様に係る冷却用熱交換器において、前記ビード部が、前記冷却流路の延出方向に沿って延びているものである。
【0015】
本態様によれば、ビード部が冷却流路の延出方向に沿って延びていることから、例えばビード部が冷却流路の延出方向に沿って断続的に設けられる場合に比べて、冷却流路内において熱媒体(冷媒)がよりスムーズに流動して熱交換(冷却)効率の低下が回避される。また、例えばビード部が冷却流路を横断するように設けられる場合、冷却流路の上流側と下流側とがビード部により連通してしまい、熱交換(冷却)効率が低下するおそれがあるが、ビード部が冷却流路の延出方向に沿って延びることで、このような不具合も回避され得る。
【0016】
第五の態様は、前記第一~第四の何れか一つの態様に係る冷却用熱交換器において、前記金属プレートにおける前記接合面と反対側の面には、厚さ方向で変形可能な熱伝導層が設けられているものである。
【0017】
本態様によれば、熱伝導層が厚さ方向で変形可能とされることにより、熱伝導層が金属プレートのビード部に沿った形状に変形させられて、ビード部と熱伝導層とを略隙間なく接触させることができる。即ち、単にビード部と冷却対象とを重ね合わせるだけでは、ビード部と冷却対象との接触面積が小さく効率的な熱交換(冷却)が生じないおそれがあるが、本態様のように熱伝導層を介することで、熱交換(冷却)効率を向上させることができる。
【0018】
第六の態様は、前記第一~第五の何れか一つの態様に係る冷却用熱交換器において、前記ビード部が、相互に延出方向の異なる第1ビード部と第2ビード部とを含んで構成されているものである。
【0019】
本態様によれば、例えばビード部を、冷却流路の形成位置において冷却流路の延出方向に沿って延びる第1ビード部と、冷却流路を形成しない位置において第1ビード部の延出方向と直交する方向に延びる第2ビード部とを含んで構成することも可能であり、金属プレートの歪み防止効果だけでなく、熱交換(冷却)効率の向上効果や金属プレートと樹脂部材との接合力の向上効果を併せて発揮させることも可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高温環境下でも樹脂部材の変形に伴う金属プレートの歪みを防止することのできる、冷却用熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における冷却用熱交換器を示す斜視図
図2図1に示された冷却用熱交換器におけるII-II断面の要部を拡大して示す縦断面図であって、II-II断面をモデル的に示す図
図3図1に示された冷却用熱交換器におけるIII-III断面の要部を拡大して示す縦断面図であって、III-III断面をモデル的に示す図
図4図1に示された冷却用熱交換器における分解斜視図
図5図1に示された冷却用熱交換器を構成する金属プレートにおける斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0023】
先ず、図1~4には、本発明の一実施形態としての冷却用熱交換器10が示されている。この冷却用熱交換器10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等に設けられて、電気自動車やハイブリッド自動車等において熱を発生する電池パック等の冷却対象12(図2において二点鎖線で図示)に重ね合わされて、冷却対象12を冷却するものである。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図2中の上下方向をいう。また、冷却用熱交換器10の縦断面を示す図2図3では、分かりやすさのために、各部材の厚さ寸法が誇張して示されている場合がある。
【0024】
より詳細には、冷却用熱交換器10においては、冷却対象12に重ね合わされる金属プレート14と、凹溝16を備えた板状の樹脂部材18とが相互に重ね合わされて固着されており、金属プレート14で凹溝16の開口(上方開口部20)が覆われることによって金属プレート14と樹脂部材18の間に熱媒体(冷媒)が流動する冷却流路22が形成されている。
【0025】
金属プレート14は、熱伝導性に優れる金属により形成されることが好適であり、例えば銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)により形成される。本実施形態では、金属プレート14がアルミニウムにより形成されている。特に、本実施形態では、図5等にも示されるように、金属プレート14が一枚の略矩形板状であり、周囲の四辺は、一対の長辺24,24とこれら各長辺24を接続する一対の短辺26,26とから構成されている。金属プレート14の板厚寸法は限定されるものではないが、本実施形態では、重量やコストの削減等を目的として、比較的薄い板厚寸法とされている。
【0026】
また、金属プレート14には、重ね合わされる樹脂部材18における後述する流入部40及び流出部42に対応する位置において、金属プレート14を板厚方向で貫通する貫通孔28(図1,4,5において二点鎖線で図示)が形成されていてもよい。かかる貫通孔28は、例えば略矩形板状とされた金属プレート14の四隅のうち対角線方向で対向する2箇所(例えば、図5中の左右両側)において設けることができる。
【0027】
樹脂部材18は、硬質の合成樹脂により形成されており、例えば繊維補強された合成樹脂により形成されてもよい。樹脂部材18は、図4等にも示されるように、ある程度の厚さ寸法を有しており、金属プレート14と略対応する平面形状を有する略矩形板状とされている。即ち、樹脂部材18も一対の長辺30,30と一対の短辺32,32とを備えており、金属プレート14と樹脂部材18とは、金属プレート14における長手方向と樹脂部材18における長手方向とが揃えられて相互に重ね合わされるようになっている。
【0028】
本実施形態では、金属プレート14と樹脂部材18とが平面視において略同じ大きさで形成されており、金属プレート14と樹脂部材18とが重ね合わされる際には、金属プレート14における一対の長辺24,24と樹脂部材18における一対の長辺30,30とが相互に重ね合わされると共に、金属プレート14における一対の短辺26,26と樹脂部材18における一対の短辺32,32とが相互に重ね合わされるようになっている。
【0029】
そして、樹脂部材18には、上方に開口する(上方開口部20を有する)凹溝16が形成されている。凹溝16は、樹脂部材18を板厚方向(上下方向)で貫通しない深さ寸法で形成されており、有底の溝形状とされている。凹溝16の形状は限定されるものではないが、本実施形態の凹溝16は、樹脂部材18の長辺30と平行に延びる複数の通路34を並列的に有している。これら各通路34の並列方向において隣り合う通路34,34間には、樹脂部材18の長辺30と平行に延びる仕切部36が設けられている。そして、各通路34は、各通路34の長さ方向の両端部において、各通路34の長さ方向に直交する方向(樹脂部材18の短辺32と平行)に延びる接続通路38により接続されている。
【0030】
特に、本実施形態では、各通路34の並列方向における最も外側の各通路34は、長さ方向の一方において接続通路38を越えて延び出しており、並列方向の最も外側の各通路34において接続通路38を越えて延び出した部分により流入部40及び流出部42が形成されている。流入部40及び流出部42の位置は限定されるものではないが、本実施形態では、凹溝16における図4中の左側に流入部40が形成されていると共に、図4中の右側に流出部42が形成されている。
【0031】
また、樹脂部材18において凹溝16が形成されていない部分は、凹溝16の四方を囲む枠状部44とされている。即ち、枠状部44は、樹脂部材18における短辺32の延びる方向において最も外側の各通路34よりも外側の一対の部分44a,44aと、樹脂部材18における長辺30の延びる方向において各接続通路38よりも外側の一対の部分44b,44bを含んでいる。
【0032】
本実施形態では、各通路34よりも外側の一対の部分44a,44aの幅寸法(樹脂部材18における短辺32の延びる方向の寸法)が相互に略等しくされていると共に、各接続通路38よりも外側の一対の部分44b,44bの幅寸法(樹脂部材18における長辺30の延びる方向の寸法)の方が相互に略等しくされている。特に、本実施形態では、各通路34よりも外側の各部分44aにおける幅寸法に比して、各接続通路38よりも外側の各部分44bにおける幅寸法の方が大きくされている。なお、各通路34及び各仕切部36は、樹脂部材18の長辺30の延びる方向において比較的長い長さ寸法をもって形成されている。それ故、凹溝16は、樹脂部材18の長辺30の延びる方向を長手方向とする形状をもって形成されている。
【0033】
ここにおいて、金属プレート14には、樹脂部材18側の表面(即ち、下面)である接合面46に開口して、且つ接合面46と反対側の表面(即ち、上面48)に突出するビード部50が設けられている。本実施形態では、複数のビード部50が設けられており、複数のビード部50が、相互に延出方向の異なる第1ビード部50aと第2ビード部50bとを含んで構成されている。従って、第1ビード部50a及び第2ビード部50bは、それぞれ下方に開口する下方開口部52を有している。これら第1ビード部50a及び第2ビード部50bの断面形状は限定されるものではないが、本実施形態では、それぞれ略半円形の断面形状を有している。
【0034】
特に、本実施形態では、第1ビード部50aが金属プレート14における長辺24の延びる方向と平行に延びていると共に、第2ビード部50bが金属プレート14における短辺26の延びる方向と平行に延びている。これら第1ビード部50a及び第2ビード部50bは、例えば金属プレート14にプレス加工を施すことにより形成されており、第1ビード部50a及び第2ビード部50bが、それぞれある程度の深さ寸法(及び金属プレート14の上面48からのある程度の突出高さ寸法)をもって形成されている。
【0035】
第1ビード部50aは複数設けられており、複数の第1ビード部50aが、金属プレート14の長辺24の延びる方向の中間部分において、短辺26の延びる方向で相互に離隔して並列的に設けられている。本実施形態では、各第1ビード部50aが、金属プレート14と樹脂部材18との固着時において、凹溝16における各通路34(即ち、各仕切部36の対向間)と平面視において等しい位置に設けられている。また、各第1ビード部50aは、金属プレート14の長辺24の延びる方向で各通路34(及び仕切部36)と略等しい長さ寸法で形成されており、各第1ビード部50aがある程度の大きさの内部空間54aをもって形成されている。更に、各第1ビード部50aの最大幅寸法は、各通路34の幅寸法と略等しくされている。
【0036】
第2ビード部50bは複数設けられており、一対の第2ビード部50b,50bが金属プレート14の長辺24の延びる方向で相互に離隔して並列的に設けられている。本実施形態では、各第2ビード部50bが、金属プレート14と樹脂部材18との固着時において、平面視で凹溝16を外れた位置に設けられている。特に、本実施形態では、各第2ビード部50bが、金属プレート14において、枠状部44における各接続通路38よりも外側の部分44b,44bで、且つそれぞれ流入部40及び流出部42を外れた位置と対応する位置に設けられている。換言すれば、各第2ビード部50bは、金属プレート14における長さ方向の両端部に設けられている。各第2ビード部50bは、金属プレート14における短辺26の延びる方向である程度の長さ寸法で形成されており、各第2ビード部50bがある程度の大きさの内部空間54bをもって形成されている。
【0037】
以上のような構造とされた樹脂部材18に上方から金属プレート14が重ね合わされて、樹脂部材18と金属プレート14とが固着されている。本実施形態では、樹脂部材18と金属プレート14とが接着により固着されており、金属プレート14と樹脂部材18との重ね合わせ面間の略全面にわたって接着剤層56(図2,3参照)が形成されている。かかる接着剤層56を介して金属プレート14と樹脂部材18とが接合されることで、凹溝16の開口(上方開口部20)が金属プレート14により液密的に封止される。特に、本実施形態では、樹脂部材18における枠状部44の上面と各仕切部36の上面とが金属プレート14に重ね合わされることから、これら各上面と金属プレート14との間に接着剤層56が設けられる。即ち、樹脂部材18における各通路34及び各接続通路38の形成位置や金属プレート14における各第1ビード部50aの形成位置には、接着剤層56が設けられないようになっている。
【0038】
ここで、樹脂部材18における各通路34と金属プレート14における各第1ビード部50aとは対応する位置に形成されており、且つこれら各通路34や各第1ビード部50aの形成位置には接着剤層56が設けられないことから、樹脂部材18と金属プレート14との固着時には、図2に示されるように、各通路34の内部空間と各第1ビード部50aの内部空間54aとが上下方向で相互に重ね合わされて連通する。これにより、各通路34の上方開口部20が金属プレート14における各第1ビード部50aで覆蓋されて、トンネル状の通路が形成される。また、各接続通路38の上方開口部20が金属プレート14で覆蓋されて、トンネル状の通路が形成される。
【0039】
すなわち、各通路34の上方開口部20が覆蓋されることで樹脂部材18の短辺32方向で並列する複数のトンネル状の通路が形成されており、かかる各トンネル状の通路が、各接続通路38の上方開口部20が覆蓋されることで形成されて短辺32方向で延びるトンネル状の通路により接続されている。この結果、各トンネル状の通路が相互に連通されて、冷媒が流動する冷却流路22が構成されている。従って、冷却流路22は、全体として凹溝16において長手方向となる金属プレート14の長辺24の延びる方向に延出しており、ビード部50を構成する各第1ビード部50aは、冷却流路22の延出方向に沿って延びている。
【0040】
また、樹脂部材18において凹溝16の外周側に位置する枠状部44は、接着剤層56を介して金属プレート14に固着される。ここで、金属プレート14において、枠状部44における各接続通路38よりも外側の一対の部分44b,44bと対応する位置には、各第2ビード部50bが設けられており、図3に示されるように、各第2ビード部50bにおける下方開口部52が接着剤層56を介して樹脂部材18により覆蓋されている。これにより、各第2ビード部50bの内部空間54bは密閉された空間とされており、各第2ビード部50bの内部空間54b内には接着剤層56を構成する接着剤が充填されている。
【0041】
要するに、本実施形態では、ビード部50を構成する各第1ビード部50aが、金属プレート14における冷却流路22を形成している位置に設けられている。一方、ビード部50を構成する各第2ビード部50bは、金属プレート14における冷却流路22を形成しない位置に設けられていると共に、各第2ビード部50bが、金属プレート14における樹脂部材18と接合している部分に設けられている。
【0042】
なお、接着剤層56は、前述のように、金属プレート14と樹脂部材18との重ね合わせ面間の略全面にわたって設けられており、平面視において略矩形状の領域をもって形成される。金属プレート14と樹脂部材18との固着前において、接着剤層56は、金属プレート14の下面(接合面46)及び/又は樹脂部材18の上面に設けられてもよい。金属プレート14の下面及び/又は樹脂部材18の上面に接着剤層56を設ける方法は限定されるものではなく、例えば刷毛等による塗布やスプレー等による吹付け、硬化前の接着剤層56の材料への浸漬等、公知の方法が採用され得る。
【0043】
ここで、金属プレート14において流入部40及び流出部42と対応する位置にそれぞれ貫通孔28が形成されている場合、冷却流路22は、これら貫通孔28を通じて外部空間に連通される。かかる場合には、流入部40と流入部40に対応する位置に設けられた貫通孔28により外部から冷却流路22内へと冷媒を流入させる流入口58が構成されると共に、流出部42と流出部42に対応する位置に設けられた貫通孔28により冷却流路22から外部へ冷媒を流出させる流出口60が構成される。
【0044】
なお、冷却流路22内を流動する冷媒は限定されるものではないが、例えば従来から車両に設けられるチラー(冷却水循環システム)において利用されるチラー水が採用され得て、具体的には水やアルコール(メタノール、エタノール等)、グリコール等が採用され得る。また、冷却流路22内を流動する冷媒の冷媒源は限定されるものではないが、例えば図示しないポンプ等を含むチラーを別途設けてもよいし、既に車両に搭載されているチラーを利用してもよい。冷媒源としてポンプを含むチラーを採用することにより、冷却流路22内において冷媒を流動させることができる。
【0045】
このように構成された冷却用熱交換器10における金属プレート14において、樹脂部材18が重ね合わされる側と反対側の面(上面48)には、例えば電池パックのような通電に伴って発熱する発熱体(冷却対象12)が載置される。ここで、本実施形態の冷却用熱交換器10では、図2に示されるように、金属プレート14における接合面46と反対側の面である上面48において、厚さ方向で変形可能な熱伝導層62が設けられている。
【0046】
熱伝導層62は、例えばシート状であり、空気よりも熱伝導率の大きな合成樹脂から形成される。具体的には、シリコーン系の樹脂や非シリコーン系のアクリル系樹脂やセラミック系樹脂等が利用でき、より詳細には、熱伝導性シリコーンゴム等が挙げられる。なお、熱伝導層62は、金属プレート14の上面48上に配設される前の状態ではシート状でなくてもよく、例えばゲル状やグリース状等とされて、熱を加えたり光(例えば、紫外線)を照射すること等により硬化してシート状となるようになっていてもよい。即ち、熱伝導層62としては、公知の熱伝導性シートや熱伝導性グリース、熱伝導性ギャップフィラー等が採用され得る。
【0047】
かかる熱伝導層62が厚さ方向で変形可能であることから、熱伝導層62は、金属プレート14の上面48から上方に突出する各第1ビード部50aに沿って変形して、金属プレート14の上面48に対して略隙間なく接触した状態で配設される。なお、熱伝導層62の配設領域は限定されるものではなく、平面視において金属プレート14及び樹脂部材18と同じ形状及び大きさで設けられてもよいし、各第1ビード部50aの形成領域に設けられてもよいし、各第1ビード部50aの形成領域よりも小さい大きさで設けられてもよい。或いは、熱伝導層62は、平面視において樹脂部材18における凹溝16を外側に外れた位置に設けられてもよい。
【0048】
また、例えば金属プレート14に各貫通孔28が設けられて流入口58及び流出口60が構成される場合、金属プレート14の上面48において、流入口58に流入側チューブ64が接続されて、流入側チューブ64の一方の端部が冷却用熱交換器10の外部に延び出して図示しない冷媒源に接続される。更に、流出口60には流出側チューブ66が接続されて、流出側チューブ66の一方の端部が冷却用熱交換器10の外部に延び出して図示しない冷媒源に接続される。即ち、本実施形態では、冷却用熱交換器10において、冷媒源から流入側チューブ64を通じて流動した冷媒が、流入口58から冷却流路22内に流入して、冷却流路22内を流動した後、流出口60及び流出側チューブ66を通じて冷媒源へと戻る循環システムが構成されている。なお、これら流入側及び流出側チューブ64,66は、例えば金属プレート14の上面48上において冷却対象12を外れた位置に設けられる。
【0049】
このような構造とされた冷却用熱交換器10では、金属プレート14に電池パック等の発熱体(冷却対象12)が載置された状態で、冷却対象12が発熱することで、冷却対象12において発生した熱が金属プレート14へと伝熱される。金属プレート14へと伝えられた熱は、各冷却流路22において流動する冷媒によって冷却され(熱交換され)、冷却対象12及び金属プレート14の温度上昇が回避される。一方、各流入口58から冷却流路22内へ流入した冷媒は、冷却流路22内を流動するにつれて加温されて、各流入口58から流入したよりも高い温度で各流出口60から流出し、図示しない冷媒源へと至る。この冷媒源において冷媒が再び冷却されて、各流入口58を通じて冷却流路22内に流入する。
【0050】
すなわち、冷却対象12が発熱して各冷却流路22内で冷媒が流動することに伴って冷媒の温度が上昇することから、各冷却流路22を構成する樹脂部材18の温度も上昇する。或いは、車両が高温環境下に晒されることによって冷却用熱交換器10の温度が上昇する。このような温度変化において、金属製の部材である金属プレート14と合成樹脂製の部材である樹脂部材18では線膨張係数の差が比較的大きく、金属プレート14に比して樹脂部材18の方が大きく膨張する。これにより、従来構造の冷却用熱交換器では樹脂部材の膨張変形に伴って金属プレートに歪みが発生するおそれがあった。特に、重量やコストの低減を目的として、金属プレートが薄肉の板状とされる場合には、高温環境下において金属プレートに歪みが一層生じ易かった。
【0051】
それに対して、本実施形態の冷却用熱交換器10では、金属プレート14において、樹脂部材18側に開口すると共に、反対側(上側)の表面(上面48)に突出するビード部50が設けられている。金属プレート14において、かかるビード部50を設けることにより、ビード部50の補強効果によって、金属プレート14の歪みが防止され得る。
【0052】
特に、本実施形態では、ビード部50が、金属プレート14における冷却流路22を形成している位置に設けられる複数の第1ビード部50aと、冷却流路22を形成しない位置に設けられる複数の第2ビード部50bとを含んで構成されている。各第1ビード部50aの内部空間54aは凹溝16を構成する各通路34の内部空間と連通しており、これにより、冷却流路22の容積を各第1ビード部50aの分だけ増大させることができる。この結果、冷却流路22内を流動する冷媒の量を増加させるだけでなく、冷却流路22における内面の表面積を増加させることができて、冷媒の流動に伴う冷却(熱交換)効率の向上が図られる。
【0053】
そして、かかる各第1ビード部50aは、冷却流路22の延出方向となる金属プレート14の長辺24の延びる方向と平行に延びていることから、各第1ビード部50aを設けることに伴って冷却流路22内の冷媒の流動が阻害されることも防止され得る。
【0054】
また、金属プレート14の上面48上には熱伝導層62が設けられている。熱伝導層62は厚さ方向で変形可能であり、金属プレート14の上面48から上方に突出する各第1ビード部50a及び冷却対象12の形状に合わせて変形する。これにより、熱伝導層62と金属プレート14との接触面積及び冷却対象12と熱伝導層62との接触面積を大きく確保することができる。この結果、冷却対象12において発生する熱を効率良く熱伝導層62を介して金属プレート14に伝達させることができて、冷却(熱交換)効率の更なる向上が図られる。
【0055】
一方、各第2ビード部50bは金属プレート14と樹脂部材18とが接合している部分に設けられていることから、第2ビード部50bの内部空間54bにまで接着剤層56を構成する接着剤が充填されて、接着剤の量を各第2ビード部50bの分だけ増加させることができる。特に、第2ビード部50bが設けられることで、金属プレート14の内面(即ち、接合面46)における表面積を増大させることができて、接着剤層56による金属プレート14と樹脂部材18との接着力の向上が図られる。そして、このように金属プレート14と樹脂部材18との接着力が向上されることで、樹脂部材18の膨張変形に伴う金属プレート14の歪みを抑制することができる。特に、本実施形態では、金属プレート14及び樹脂部材18の長さ方向(各長辺24,30の延びる方向)の両端部に各第2ビード部50bが設けられていることから、樹脂部材18が長さ方向に延びるように変形することが効果的に抑制されて、これにより、金属プレート14の歪みも抑制され得る。
【0056】
また、第1ビード部50aと第2ビード部50bとを異なる方向に延出するように設けることで、上記の冷却(熱交換)効率の向上や接着力の向上効果に加えて、例えば金属プレート14が一方向だけでなく複数方向に延びる場合に良好な補強効果が発揮されて、高温環境下における樹脂部材18の膨張変形に伴う金属プレート14の歪みが一層効率的に回避され得る。
【0057】
以上、本発明における一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0058】
例えば、前記実施形態では、金属プレート14の下面と樹脂部材18の上面のそれぞれの略全面が重ね合わせ面であり、且つ接着面であったが、金属プレートと樹脂部材とは、冷却流路から冷媒が漏れないように少なくとも凹溝の周囲の部分を全周にわたって接着されていればよく、例えば金属プレートと樹脂部材との重ね合わせ面間において、接着領域の外周側に非接着領域(金属プレートと樹脂部材とが接合されない領域)が設けられてもよい。そして、前記実施形態のような冷却流路を形成する位置及び/又は接着領域に設けられるビード部に加えて、冷却流路を形成しない位置且つ非接着領域においてビード部が設けられてもよく、かかるビード部が設けられることにより金属プレートが補強されて歪み防止効果の向上が図られる。尤も、金属プレートと樹脂部材の固着方法は接着に限定されるものではなく、例えば溶着等であってもよい。金属プレートと樹脂部材とを溶着により固定する場合においても、ビード部を接合領域に設けることで、例えば樹脂部材における重ね合わせ面(上面)がビード部内に入り込むことで、金属プレートと樹脂部材の固着強度が向上され得る。
【0059】
前記実施形態では、ビード部50が複数の第1ビード部50aと複数の第2ビード部50bとを含んで構成されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、ビード部は第1ビード部のみが設けられてもよく、第1ビード部は、金属プレートにおける冷却流路を形成している位置において一つだけ設けられてもよい。かかる場合には、ビード部は冷却流路の延出方向に沿って延びていることが好ましい。また、ビード部は第2ビード部のみが設けられてもよく、第2ビード部は、金属プレートにおける冷却流路を形成しない位置で且つ金属プレートと樹脂部材とが接合している部分において一つだけ設けられてもよい。かかる場合には、ビード部の延びる方向は限定されず、例えば冷却流路の延出方向でもよいし、冷却流路の延出方向に直交する方向でもよい。なお、第1ビード部と第2ビード部とは相互に直交する方向に延出する態様に限定されるものではなく、ある程度の角度をもって交差していてもよい。また、複数の第1ビード部は長さ方向で折り返されるようにして相互に接続されていてもよいし、第1ビード部と第2ビード部とは連続して設けられていてもよい。
【0060】
前記実施形態では各第1ビード部50a及び各第2ビード部50bの断面形状が略半円形状とされていたが、ビード部の断面形状は限定されるものではなく、三角形や四角形等の多角形状でもよいし、半長円や半楕円形状でもよい。これら第1ビード部や第2ビード部はそれぞれの形状が長さ方向で異なっていてもよいし、複数の第1ビード部や第2ビード部が設けられる場合、それらは異なる形状のものを組み合わせて採用してもよい。
【0061】
前記実施形態では、各第1ビード部50a及び各第2ビード部50bがそれぞれある程度の長さにわたって連続して延びていたが、ビード部はある程度の長さにわたって断続的に形成されてもよい。なお、冷却流路内における冷媒の流動効率や、接着剤による接着強度向上の観点からは、ビード部は、ある程度の長さにわたって連続して設けられることが好ましい。
【0062】
前記実施形態では、金属プレート14に各貫通孔28が設けられて流入口58及び流出口60が上方に開口する態様を例示したが、この態様に限定されるものではない。例えば、樹脂部材において流入部及び流出部を構成する底壁の部分に貫通孔を設けて流入口及び流出口を樹脂部材の下方に開口させてもよいし、流入部及び流出部を構成する周壁の部分に貫通孔を設けて流入口及び流出口を樹脂部材の側方に開口させてもよい。
【0063】
前記実施形態では、各凹溝16が相互に並列する複数の通路34及び各通路34を接続する接続通路38を含んで構成されていたが、この態様に限定されるものではない。この凹溝の開口(上方開口部)を金属プレートで覆蓋することで冷却流路が構成されることとなるが、冷却流路の延びる方向や長さ、幅寸法や深さ寸法等の各態様は任意に設定される。尤も、冷却流路は、樹脂部材における広い領域にわたって設けられることが冷却効率(熱交換効率)の観点から好ましい。
【0064】
前記実施形態では、金属プレート14と樹脂部材18とが平面視で略同形状で且つ略同じ大きさで形成されていたが、この態様に限定されるものではない。金属プレートと樹脂部材とは平面視において相互に形状が異なっていてもよいし、大きさが異なっていてもよい。また、金属プレートと樹脂部材とが平面視で略同形状且つ略同じ大きさで形成される場合であっても、金属プレートと樹脂部材とは相互にずれた状態、即ち平面視においてこれらがそれぞれの全体ではなく、部分的に重ね合わされるようになっていてもよい。上記の何れの場合であっても、樹脂部材に設けられた凹溝の開口が金属プレートにより覆われることで冷却流路が構成される。そして、これらの重ね合わせ部分が両部材における重ね合わせ面であり、金属プレートと樹脂部材との重ね合わせ面は、金属プレートの下面における全面や樹脂部材の上面における全面に限定されるものではない。
【0065】
前記実施形態では、各第1ビード部50aが各通路34と平面視において対応する位置及び幅寸法で形成されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、第1ビード部と凹溝における通路とは相互にずれて配置されて、平面視においてそれぞれの全体ではなく、部分的に重なるようになっていてもよい。また、第1ビード部と凹溝における通路とは、例えば幅寸法が異なっていてもよく、一つの第1ビード部が複数の通路にまたがって設けられてもよいし、複数の第1ビード部が一つの通路上に設けられてもよい。なお、上記のような場合には、第1ビード部を、冷却流路の上流側と下流側とが連通しないように設けることが好ましい。これにより、冷却効率が低下することが回避され得る。
【0066】
前記実施形態では、冷却用熱交換器10が電気自動車やハイブリッド車に搭載されており、冷却対象12が電池パックとされる態様を例示したが、この態様に限定されるものではない。例えば、冷却対象である発熱体は、電池パック以外の車載部品等であってもよいし、車両以外に使用される部品であってもよく、本発明に係る冷却用熱交換器は、電気自動車やハイブリッド車以外の車両や、車両以外に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 冷却用熱交換器
12 冷却対象
14 金属プレート
16 凹溝
18 樹脂部材
20 上方開口部(開口)
22 冷却流路
24 長辺
26 短辺
28 貫通孔
30 長辺
32 短辺
34 通路
36 仕切部
38 接続通路
40 流入部
42 流出部
44 枠状部
44a 各通路よりも外側の部分
44b 各接続通路よりも外側の部分
46 接合面(金属プレートにおける樹脂部材側の表面)
48 上面(接合面と反対側の表面)
50 ビード部
50a 第1ビード部
50b 第2ビード部
52 下方開口部
54a,54b 内部空間
56 接着剤層
58 流入口
60 流出口
62 熱伝導層
64 流入側チューブ
66 流出側チューブ
図1
図2
図3
図4
図5