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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012987
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20250117BHJP
   F16L 55/07 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L55/07 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116221
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】窪田 政毅
(72)【発明者】
【氏名】牧野 芳和
(57)【要約】
【課題】弁座に滞留している異物を確実に外部に排出することができる作業装置を提供すること。
【解決手段】流体管2を密封状に外嵌する筐体3と、筐体3内を開閉可能な弁体4c(弁体)及び凹溝部4d(弁座)と、を少なくとも有し、筐体3内の穿孔機7による流体管2の穿孔に関連する作業が可能であって、筐体3は、流体管2の管軸S1に対し交差する筒状部3aを有し、筒状部3aは、凹溝部4dに対し軸方向に離れた位置にスリーブ部10を有し、スリーブ部10は、筒状部3a内に挿入される作業具としての排出装置30、撮像装置50、検出装置60等を接続可能であるとともに、排出装置30、撮像装置50、検出装置60を凹溝部4dに向けて傾斜する方向に案内する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管を密封状に外嵌する筐体と、前記筐体内を開閉可能な弁体及び弁座と、を少なくとも有し、前記筐体内の穿孔機による前記流体管の穿孔に関連する作業が可能な作業装置であって、
前記筐体は、前記流体管の管軸に対し交差する筒状部を有し、
前記筒状部は、前記弁座に対し軸方向に離れた位置にスリーブ部を有し、
前記スリーブ部は、前記筒状部内に挿入される作業具を接続可能であるとともに、該作業具を前記弁座に向けて傾斜する方向に案内することを特徴とする作業装置。
【請求項2】
前記スリーブ部は、前記筒状部の周壁に対し斜めに固定されたスリーブにて構成されることを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記筒状部は、略水平方向に延設され、
前記スリーブ部は、前記作業具を前記弁座における底部に向けて傾斜する方向に案内することを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項4】
前記スリーブ部は、前記作業具が案内される前記弁座の特定位置に対し径方向の対向側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項5】
前記スリーブ部は、前記流体管と前記弁座との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項6】
前記スリーブ部は、前記作業具を接続可能な接続部を有することを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項7】
前記スリーブ部は、前記接続部よりも内径方向に突出する雌ネジ部を有することを特徴とする請求項6に記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に外嵌された筐体内の流体管の穿孔に関連する作業が可能な作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水やガス等が流れる既設の流路を他の流路と接続する作業等を行う場合において、例えば、既設流体管に対しケースを密封状に取付け、該ケースの先端に、内部を開閉可能とする作業弁装置を取付けるとともに、該作業弁装置にカッタ及び駆動部を有する穿孔機を設置し、作業弁を開放した状態で駆動部によりカッタを進入させて、不断流状態でケース内において流体管の一部を穿孔するものがある。
【0003】
このような穿孔装置にて既設流体管の一部を穿孔した場合、作業弁装置の先端に取付けた穿孔機に替えて、穿孔の際に生じた切粉を排出するための排出機を筐体に取付け、排出機の排出管を作業弁装置及びケースの内部に挿入し、内部に散在している切粉を吸引して流体とともに外部に排出できるようにしたもの等がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/49922号(第4頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の穿孔装置にあっては、排出管は、作業弁装置及びケースに対しフレキシブル筒を介して接続されていることで、作業弁装置及びケースに対し排出管を自在に傾斜させることで、排出管の先端を内部の所望の位置に移動させることができるため、作業弁装置及びケース内に切粉が散在しても排出することが可能である。
【0006】
しかし、排出管の先端を作業弁装置及びケース内にて自在に移動させやすいが、一方で、切粉が入り込むことで弁体が損傷したり内部の閉鎖に影響が及びやすい弁座に向けて、排出管の先端を確実に移動させることが困難であるため、弁座に滞留した切粉等の異物を十分に排出することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、弁座に滞留している異物を確実に外部に排出することができる作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の作業装置は、
流体管を密封状に外嵌する筐体と、前記筐体内を開閉可能な弁体及び弁座と、を少なくとも有し、前記筐体内の穿孔機による前記流体管の穿孔に関連する作業が可能な作業装置であって、
前記筐体は、前記流体管の管軸に対し交差する筒状部を有し、
前記筒状部は、前記弁座に対し軸方向に離れた位置にスリーブ部を有し、
前記スリーブ部は、前記筒状部内に挿入される作業具を接続可能であるとともに、該作業具を前記弁座に向けて傾斜する方向に案内することを特徴としている。
この特徴によれば、筒状部において弁体による弁座の閉鎖に影響しない離れた位置から作業具を内部に挿入できるとともに、作業具をスリーブ部より挿入することで弁座に向けて略直線状に案内できるので、弁座に滞留した異物を確実に筐体外へ排出することができる。
【0009】
前記スリーブ部は、前記筒状部の周壁に対し斜めに固定されたスリーブにて構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状部にスリーブを斜めに固定するだけで、スリーブ部を容易に形成することができる。
【0010】
前記筒状部は、略水平方向に延設され、
前記スリーブ部は、前記作業具を前記弁座における底部に向けて傾斜する方向に案内することを特徴としている。
この特徴によれば、弁座の底部に沈下した切粉に向けて作業具を確実に案内することができる。
【0011】
前記スリーブ部は、前記作業具が案内される前記弁座の特定位置に対し径方向の対向側に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁座の特定位置に対するスリーブ部の離間距離を大きく取ることができるので、作業具の挿入精度を高めることができる。また筒状部に対し作業具を大きく傾斜させることができることで、弁座が凹状の場合であっても、深い部分まで作業具を近づけることができる。
【0012】
前記スリーブ部は、前記流体管と前記弁座との間に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、作業具を筒状部における弁座に向けて挿入し、更に弁座よりも分岐方向の下流側に向けて案内することができる。
【0013】
前記スリーブ部は、前記作業具を接続可能な接続部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、スリーブ部に作業具を容易に接続することができる。
【0014】
前記スリーブ部は、前記接続部よりも内径方向に突出する雌ネジ部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、接続具による作業が終了した後、雌ネジ部に止水具等を螺入して止水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】流体管の所定箇所に取付けた作業装置及び作業装置に取付けた穿孔機を示す一部破断正面図である。
図2】穿孔機による穿孔作業の実行中の作業装置を示す一部破断正面図である。
図3】スリーブ部及び作業用ボールバルブの内部構造を示す拡大断面図である。
図4】排出装置が取付けられた状態の作業装置を示す一部破断正面図である。
図5】排出装置による排出作業中の作業装置を示す一部破断正面図である。
図6図5の作業装置を示す一部破断平面図である。
図7】排出装置が取外された状態の作業装置を示す一部破断正面図である。
図8】撮像装置が取付けられた状態の作業装置を示す一部破断正面図である。
図9】検出装置が取付けられた状態の作業装置を示す一部破断正面図である。
図10】工具に作業用ボールバルブを取付けた工程を示す一部破断断面図である。
図11】スリーブに止水コマを取付けた工程を示す一部破断断面図である。
図12】止水コマによる止水確認工程を示す一部破断断面図である。
図13】工具から保持棒を取外す工程を示す一部破断断面図である。
図14】作業用ボールバルブを撤去する工程を示す一部破断断面図である。
図15】スリーブ部の止水作業が終了した状態の作業装置を示す一部破断断面図である。
図16】(a)は本発明の変形例としての作業装置を示す概略正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る作業装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
本発明の実施例に係る作業装置について、図1図7に基づいて説明する。尚、以下の説明において、図1の手前側を作業装置の前方側(正面側)、奥側を後方側(背面側)として説明する。
【0018】
図1に示されるように、本発明の実施例としての作業装置1は、流体管2を密封状に外嵌する筐体3と、筐体3内を開閉可能な仕切弁装置4と、から主に構成され、筐体3により覆われた流体管2の所定箇所を穿孔機7により穿孔する穿孔作業や、流体管2の穿孔に関連する作業、後述する切粉の排出作業や筐体3内部の目視作業など、流体管2の穿孔に応じて行う各種作業が可能な装置とされている。
【0019】
以下においては、上記作業装置1及び穿孔機7を用いて、不断流状態で、管路構成部材である既設の流体管2の所定箇所を筐体3の内部にて穿孔した後、該穿孔により筐体3の内部に散在した切粉や錆等の異物C(図2参照)を筐体3の外部に排出するまでの一連の作業工程を説明する。
【0020】
尚、流体管2内の流体は、本実施例では上水であるが、例えば、工業用水、農業用水、下水等の他、水以外の液体でも良いし、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。また、流体管2は、ダクタイル鋳鉄管であって、図1及び図2に示されるように、断面視略円形状の直管に形成されている。本実施例では、流体管2の管路方向は略水平方向に配設されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0021】
流体管2の穿孔作業を行う場合、まず、流体管2の所定箇所に、ケース5を密封状に取付ける。ケース5は、流体管2の左側に配設される第1分割体5aと、流体管2の右側に配設される第2分割体5bと、からなる。第1分割体5aは、半円管状の被覆部6aを有し、流体管2の外周面左側を密封状に被覆する。第2分割体5bは、半円管状の被覆部6bを有し、流体管2の外周面右側を密封状に被覆する。また、被覆部6bの管軸S1方向の中央には分岐口6cが貫通して形成されているとともに、分岐口6cを覆う円管状の分岐管部6dが右側方に向けて略水平に延設されており、すなわちケース5は、平面視略T字状に形成されている。分岐管部6dの開口周縁には、外径方向に突出するフランジ6eが形成されている。
【0022】
尚、ケース5の分割構造は、例えば、上下方向に分割されてもよいし、また、分割数も3分割以上の所定数に分割されてもよい。また、分割体同士は、本実施例ではボルト・ナットからなる複数の締結部材5cにより密封状態で接合されるものであるが、これに限らず、例えば、溶接接合であっても構わない。
【0023】
分岐管部6dの周壁最上部には、作業具としての排出管32(図5参照)を内部に挿入するための連通孔9が形成されるとともに、該連通孔9を覆うようにスリーブ部10が設けられている。尚、スリーブ部10の詳細については後述する。
【0024】
流体管2にケース5を取付けた後、分岐管部6dの右側の開口端部に、仕切弁装置4を密封状に接続する。仕切弁装置4は、左右方向に貫通する貫通路が内部に形成されるとともに、内周面上部に弁蓋4bとの連通口が形成された弁箱4aと、該弁箱4aに上方に接続される弁蓋4bと、弁箱4aと弁蓋4bとの間で移動可能に設けられた弁体4cと、弁体4cを受ける弁座としての凹溝部4dと、を有する。
【0025】
凹溝部4dは、弁箱4aの内周面より外径方向に凹設され、内周面の下部及び前後部に周方向に向けて延設され(図4及び図6参照)、弁体4cの下縁部及び前後縁部が嵌合可能とされている。また、凹溝部4dの開口周縁には銅製のシール部材4kが周方向に延設されており、弁体4cの銅製のシール部材(図示略)の下縁部及び前後縁部に密封状に当接するようになっている。
【0026】
また、弁箱4aの左右側の開口周縁には、外径方向に突出するフランジ4e,4fが形成されており、フランジ4eを、周方向に配置されるボルト・ナットからなる複数の締結部材61によって分岐管部6dのフランジ6eに締結することで、分岐管部6dの右側の開口端部に弁箱4aが密封状に接続される。さらに、弁蓋4bの上端には、弁蓋4b内部にて弁体4cと螺合した弁棒4gの上端部が突出し、この弁棒4gの上端部には操作ハンドル4hが設けられ、操作ハンドル4hを回転させて弁体4cを弁箱4aと弁蓋4bとの間で移動させることで筐体3の内部を開閉できるようになっている。
【0027】
このように、本実施例における筐体3は、ケース5と仕切弁装置4の弁箱4aとから構成されており、内部に貫通路が形成された第2分割体5bの分岐管部6d及び弁箱4aにより、流体管2の前後方向を向く管軸S1に対し略直交(交差)する筒状部3aが構成されている。
【0028】
次に、弁箱4aの右側の開口端部に穿孔機7を密封状に接続する。穿孔機7は、取付フランジ筒71と、流体管2を穿孔するためのカッタ72と、取付フランジ筒71内においてカッタ72を回転させるための駆動モータ74と、カッタ72を水平方向に進行・退避させるための進退機構73と、から主に構成されている。カッタ72は、流体管2よりも小径の有底筒状に形成され、その先端(図示左端)に周方向に沿って切断刃を備えたホールソー72aと、該ホールソー72aの回転軸72cと同軸に配設され切断刃よりも先方に突出したセンタードリル72bと、から構成されている。尚、カッタ72は、ケース5の分岐管部6dの開口端部と同心円状に配設され、開口端部側から分岐管部6d内に挿入され、少なくとも流体管2の管壁を貫通する位置まで進行可能となっている。
【0029】
取付フランジ筒71の左側の開口周縁には、外径方向に突出するフランジ71aが形成されており、フランジ71aを、周方向に配置されるボルト・ナットからなる複数の締結部材62によって弁箱4aのフランジ4fに締結することで、弁箱4aの右側の開口端部に穿孔機7が密封状に接続される。
【0030】
尚、ケース5の分岐管部6dの開口端部に対する仕切弁装置4の接続作業と、弁箱4aの開口端部に対する穿孔機7の接続作業とは、必ずしも上記した順序に限られず、穿孔機7の接続作業を行った後に仕切弁装置4の接続作業を行ってもよいし、これらの接続作業を同時並行に行ってもよいし、または、予め仕切弁装置4及び穿孔機7を接続した状態の第2分割体5bと、第1分割体5aとを接続しても構わない。
【0031】
(スリーブ部の構造)
次に、スリーブ部10について、図3に基づいて説明する。
【0032】
図3に示すように、第2分割体5bの分岐管部6dの周壁最上部における軸方向の略中央位置、つまり、凹溝部4dから筒状部3aの軸S2方向に離れた位置には、連通孔9が斜めに貫通して形成されている。スリーブ部10は、軸S2方向に対し斜め方向に貫通する貫通路11aを内部に有する所定長さの円管状のスリーブ11からなり、スリーブ11の下端は、分岐管部6dの外周面における連通孔9の周縁に溶接等により密封状に固定されている。
【0033】
また、スリーブ部10を構成するスリーブ11の軸S3に対し、上端開口11bは直交する一方で、下端開口11cは傾斜している。そして、スリーブ11の軸S3は、平面視において筒状部3aの軸S2に重なるように左右方向を向くとともに(図6参照)、正面視において軸S2に対し所定角度θ(例えば、θ=約45度)で右斜め下方に傾斜している。尚、所定角度θは、凹溝部4dに対するスリーブ部10の配置位置等に応じて種々に変更可能である。
【0034】
図4及び図6に示すように、スリーブ11の軸S3の延長線は、下方において筒状部3aの軸S2と交差するとともに、さらにその下方は、凹溝部4dの底部4d’における前後方向の略中央の特定位置P1まで延伸されている。この特定位置P1は、筒状部3aの周壁最上部に設けられたスリーブ部10に対し径方向の対向側である周壁最低部に設定されている。よって、後述するようにスリーブ11の軸S3に沿って挿入される排出管32の先端開口32aを特定位置P1まで案内できるようになっている。
【0035】
図3に示すように、スリーブ11の内周面の上端部には、後述する排出装置30、撮像装置50及び検出装置60といった各種装置(作業具)を接続可能な接続部としての雌ネジ部12が形成されているとともに、雌ネジ部12よりも下方のスリーブ11の内周面には、雌ネジ部12よりも小径の雌ネジ部13が内径方向に突出形成されている。
【0036】
スリーブ11の雌ネジ部12には、作業用ボールバルブ20が接続されている。作業用ボールバルブ20は、斜め上下方向に貫通する貫通路21aを内部に有する本体部21と、本体部21内に回転可能に支持された弁体としてのボール22と、ボール22を開閉操作するための操作ハンドル23と、本体部21の下端に螺挿されたニップル24と、を主に有している。ニップル24の外周面下部には雄ネジ部25が形成されており、該雄ネジ部25をスリーブ11の雌ネジ部12に螺入することで、スリーブ11の上端に作業用ボールバルブ20を密封状に接続できるようになっている。
【0037】
このように、スリーブ11の上端開口11bに作業用ボールバルブ20を接続し、作業用ボールバルブ20のボール22を開閉するだけで、スリーブ11の内部を開閉することができる。尚、図3はスリーブ部10の閉状態を示している。また、本体部21の内周面の上端部には雌ネジ部26が形成されており、後述する排出装置30、撮像装置50及び検出装置60といった各種装置(作業具)を接続可能とされている。
【0038】
次に、穿孔機7による流体管2の孔部形成工程について説明する。
【0039】
図2に示すように、まず、仕切弁装置4の弁体4cを弁蓋4b内に配置させて筐体3の内部を開状態とするとともに、作業用ボールバルブ20によりスリーブ部10を閉状態とする。次いで、筐体3の上部所定箇所に設けたエア抜き用バルブ(図示略)からエアを抜きながら、筐体3内に流体を充満させて流体管2内と略同圧の水圧をかけて漏水の有無を確認した後、筐体3内のエアが抜けたことを確認してエア抜き用バルブ(図示略)を閉鎖する。
【0040】
次いで、穿孔機7の駆動モータ74によりカッタ72を回転軸72c周りに回転させるとともに、進退機構73によりカッタ72を水平方向に進行させ、流体管2の周壁右側を不断流状態で穿孔によって孔部形成する。この穿孔により、流体管2の切粉や該流体管2の内周面から剥がれ落ちた錆等の異物Cが発生して、流体で満たされた筒状部3a内を散乱する。尚、孔部形成とは、本実施例のように流体管2のよりも小径のカッタ72等により管壁を穿孔するものでもよいし、若しくは流体管2よりも大径のカッタ等により管軸方向の一部を切断ないし分断するものであってもよい。
【0041】
カッタ72により流体管2が穿孔されると、流体管2から分断された切片2dがホールソー72a内に保持される。その後、進退機構73によりカッタ72が切片2dとともに取付フランジ筒71の内部に引き込まれる。
【0042】
図2に示すように、穿孔により生じた異物Cは、切断部付近である分岐管部6d付近に比較的多く散乱して、取付フランジ筒71の下方に設けられたドレン口(図示略)より水圧で排出するが、弁箱4aの内周面には、凹溝部4dが軸S2を横切るように周方向に延設されていることで、内周面近傍を軸S2方向に移動する異物Cが凹溝部4d内に進入しやすい。また、筒状部3a内の流体に散乱した異物Cは、時間の経過とともに重力により順次沈下して筒状部3aの底部に落下するので、凹溝部4dのうちの底部4d’に進入しやすく、また一旦底部4d’に進入した異物Cは流体の流れの影響を受け難く滞留しやすい。
【0043】
このように弁座である凹溝部4d内に異物Cが滞留すると、筐体3の内部を閉状態としたときに、弁体4cと凹溝部4dとの間に入り込んだ異物Cにより隙間が生じ、隙間から漏洩が生じる虞があるばかりか、弁体4cに異物Cが接触して損傷する虞も生じる。そこで、弁体4cにより筐体3の内部を閉状態とする前に、筐体3の内部に散在する異物Cのうち、特に凹溝部4d内に進入した異物Cを排出装置30により外部に排出する排出作業を行う。
【0044】
(異物の排出作業)
次に、異物Cの排出作業について説明する。図4に示すように、穿孔作業が終了した後、スリーブ11の上方に接続された作業用ボールバルブ20の上方に、異物Cの排出作業を行う作業具の一例である排出装置30を、接続管15を介して接続する。
【0045】
排出装置30は、支持管31と、支持管31の内部に移動可能に、かつ、密封状態で挿入された排出管32と、排出管32の上端に設けられたボールバルブ33と、支持管31に取付けられ、排出管32の上部に一端が係止されたワイヤーロープ34を巻き取るためのリール35と、排出管32を把持するためのハンドル36と、を主に有している。支持管31の下端開口周縁には外径方向に突出するフランジ31bが形成されているとともに、接続管15の上端開口周縁には外径方向に突出するフランジ15bが形成されており、これらフランジ31b,15bをボルト・ナットからなる締結部材63にて締結することにより密封状態で接続される。
【0046】
接続管15は、下部外周面に雄ネジ部(図示略)が形成されており、作業用ボールバルブ20の上部内周面に形成された雌ネジ部26に雄ネジ部(図示略)を螺入することにより、作業用ボールバルブ20の上方に密封状に接続される。よって、作業用ボールバルブ20に接続された接続管15及び該接続管15に接続された支持管31及び排出管32は、スリーブ11及び作業用ボールバルブ20の軸S3と同軸をなすように略直線状に接続されている。
【0047】
また、連通孔9、スリーブ11の内部の貫通路11a、作業用ボールバルブ20の内部の貫通路21a、接続管15の内部の貫通路15a及び支持管31の内部の貫通路31aからなる同軸の貫通路によって、排出管32を挿入可能な挿入路が構成される。このようにスリーブ部10は、作業用ボールバルブ20を同軸をなすように略直線状に接続可能な雌ネジ部12がスリーブ11の内周面に形成されていることで、この作業用ボールバルブ20を介して間接的に排出装置30を傾斜状態に支持できる。よって、排出管32は、スリーブ部10により、凹溝部4dに向けて下方に傾斜する軸S3方向に略直線状に移動可能に支持される。また、雌ネジ部12の奥側に形成されている小径の雌ネジ部13が挿入時の排出管32の外周面に近接若しくは摺接することで、排出管32が軸S3方向に案内される。尚、排出管32の外径は、雌ネジ部13の内径よりも僅かに小径に形成されているため、排出管32は僅かながら軸S3を中心に任意の方向に傾けることが可能となっている。
【0048】
排出管32の長手寸法は、後述するように筒状部3aの内部に挿入したときに先端開口32aが凹溝部4dの底部4d’の開口付近に到達可能な長さに設計されており、排出管32の外径寸法は、先端開口32aが凹溝部4dの底部4d’内に傾斜して進入可能に小径に設計されている。また、退避状態において先端開口32aは接続管15の内部に配置される。
【0049】
尚、排出管32は金属材により構成されているが、長手方向に略直線状の形状を保つ硬質なものであれば材質は任意であり、塩化ビニール製等、種々に変更可能である。また、少なくとも先端開口32aを含む先端の一部をゴム製のフレキシブル管として構成してもよく、このようにすることで、筐体3の内周面の損傷を防止できるとともに、凹溝部4dに沿って先端開口32aを移動させたりすることが可能となる。
【0050】
次に、スリーブ11及び作業用ボールバルブ20の上方に排出装置30を接続した後、図5に示すように、作業用ボールバルブ20を開状態とすることで、排出管32を作業用ボールバルブ20のボール22内を通過させることが可能となる。また、上方のボールバルブ33を開状態とすることで、連通孔9及び貫通路11a,21a,15a,31a内の流体がボールバルブ33の端部開口33aから外部に排出され、排出管32が流体により受ける圧力が軽減されるため、排出管32を筐体3の内部に向けてスムーズに挿入できる。
【0051】
そして、リール35のハンドル35aを回転操作してワイヤーロープ34を巻き上げると、排出管32の先端開口32aが、作業用ボールバルブ20の貫通路21a、スリーブ11の貫通路11a、連通孔9を通過して筐体3の筒状部3a内に進入する。
【0052】
排出管32は、該排出管32の一部が、軸S3方向に延設される連通孔9及び貫通路11a,21a,15a,31a内に図示しない環状のシール材を介し密封状に挿入されていることで、軸S3に沿って安定して移動するとともに、先端開口32aが、凹溝部4dの底部4d’における特定位置P1に向けて略直線状に案内される(図6参照)。
【0053】
そして、図5及び図6に示すように、先端開口32aが凹溝部4dの底部4d’における特定位置P1に到達すると、凹溝部4d内における特定位置P1及びその近傍に滞留している異物Cが流体とともに先端開口32aから吸引され、排出管32の内部を通過してボールバルブ33の端部開口33aから、流体とともに外部に排出される。ここで、図6に示すように、排出管32を軸S3を中心に僅かながら傾けることで、先端開口32aを凹溝部4d内の周方向に沿うように移動させ、広い領域を吸引することができる。
【0054】
次いで、異物Cの吸引及び排出を開始した後、排出した流体に混入する異物Cが無くなったら、若しくは異物Cの混入量が少なくなったら、排出管32を引き上げる。そして、排出管32の先端開口32aが接続管15の貫通路15aの内部まで引き込まれたら作業用ボールバルブ20を閉状態にする。そして、図7に示すように、接続管15を作業用ボールバルブ20から取外し、排出装置30を撤去して、異物Cの排出作業が終了する。
【0055】
(確認作業)
次に、排出装置30による異物の排出作業後に行う確認作業について説明する。図8に示すように、排出作業が終了した後、スリーブ11の上方に接続されている作業用ボールバルブ20の上方に、接続管15を介して確認作業を行う作業具の一例である撮像装置50を接続する。
【0056】
撮像装置50は、支持管51と、支持管51の内部に移動可能に、かつ、密封状態で挿入された挿入管52と、支持管51と挿入管52とに掛け渡されたチェーンブロック53と、チェーンブロック53を操作する操作ハンドル53aと、を主に有している。挿入管52の先端には、カメラ等からなる撮像部52aが取付けられている。支持管51の外周面下端部には雄ネジ部(図示略)が形成されており、作業用ボールバルブ20の雌ネジ部26に螺入することで、作業用ボールバルブ20の上方に密封状に接続される。
【0057】
作業用ボールバルブ20に接続された支持管51は、スリーブ11及び作業用ボールバルブ20の軸S3と同軸をなすように略直線状に接続される。また、連通孔9、スリーブ11の内部の貫通路11a、作業用ボールバルブ20の内部の貫通路21a、支持管51の内部の貫通路51aによって、挿入管52を挿入可能な挿入路が構成される。
【0058】
挿入管52の長手寸法は、筒状部3aの内部に挿入したときに先端の撮像部52aが凹溝部4dに到達可能な長さに設計されている。尚、到達可能な長さを達成するために、挿入管52を継足し可能に形成していてもよいし、ワイヤ状に形成してもよい。また、退避状態において撮像部52aは支持管51の内部に配置される。
【0059】
スリーブ11及び作業用ボールバルブ20の上方に撮像装置50を接続した後、図8に示すように、作業用ボールバルブ20を開状態とすることで、挿入管52をボール22内を通過させることが可能となる。
【0060】
そして、チェーンブロック53の操作ハンドル53aを操作してチェーンを巻き上げると、挿入管52の先端の撮像部52aが、作業用ボールバルブ20の貫通路21a、スリーブ11の貫通路11a、連通孔9を通過して筐体3の筒状部3a内に進入する。
【0061】
挿入管52は、該挿入管52の一部が、軸S3(図4参照)方向に延設される連通孔9及び貫通路11a,21a,51a内に挿入されていることで、軸S3に沿って安定して移動するとともに、撮像部52aが、凹溝部4dの底部4d’における特定位置P1に向けて略直線状に案内される(図6参照)。そして、撮像部52aにより凹溝部4dの底部4d’における特定位置P1及びその近傍周辺を撮影し、その映像を、撮像装置50に電気的に接続されたモニタ等の表示装置(図示略)に表示することで、異物Cが除去されているか、あるいは、残存しているか等を確認することができる。
【0062】
確認後、挿入管52を引き上げて、撮像部52aが支持管51の貫通路51aの内部まで引き込まれたら作業用ボールバルブ20を閉状態にする。そして、異物Cが十分に除去されていたら、支持管51を作業用ボールバルブ20から取外し、撮像装置50を撤去して、異物Cの排出作業が終了する。一方、異物Cが残存している場合は、作業用ボールバルブ20に排出装置30を再度接続して上記排出作業を行い、該排出作業終了後に確認作業を行う。
【0063】
また、この確認作業の終了後、図9に示すように、作業用ボールバルブ20の上方に検出装置60を密封状に接続した後、作業用ボールバルブ20を開状態として検出装置60の検出素子(図示略)を筐体3の内部の流体に接触させて、流体の濁度等を検出する検出作業を行ってもよい。このように流体の濁度を検出することで、異物Cの排出作業によって筐体3の内部が洗浄されたか否か等を確認することができる。
【0064】
本実施例では、上記確認作業または検出作業が終了した場合、以下に説明する工具100を用いて作業用ボールバルブ20を撤去し、スリーブ部10の内部に閉鎖部材としての止水コマ80を取付けてスリーブ部10の内部を閉鎖することで一連の作業を終了する。尚、作業用ボールバルブ20をそのまま残存してもよい。
【0065】
(作業用ボールバルブの撤去及びスリーブ部の止水作業)
以下、作業用ボールバルブ20の撤去及びスリーブ部10の止水作業について、図10図15に基づいて説明する。
【0066】
図10に示すように、作業用ボールバルブ20の撤去及びスリーブ部10の止水作業を行うための工具100は、第1支持部101と、該第1支持部101に対し離間する第2支持部102と、第1支持部101と第2支持部102同士の両端を連結する連結部材103,103と、第1支持部101及び第2支持部102に密封状に挿通され、軸方向に移動可能に支持された挿入ロッド104と、第2支持部102の上部に着脱可能に取付けられたカバー体105と、カバー体105の内部に連通するボールバルブ106と、を主に備える。
【0067】
第1支持部101の下端には円筒部107が突設されており、円筒部107内に止水コマ80が収容可能となっているとともに、外周面には雄ネジ部107aが形成されており、作業用ボールバルブ20の雌ネジ部26に螺入することで作業用ボールバルブ20に密封状に接続できるようになっている。
【0068】
挿入ロッド104の内部には、挿入ロッド104の内部所定箇所に上端が固定された保持棒110が配設されている。保持棒110の下端には雄ネジ部(図示略)が形成されており、該雄ネジ部(図示略)を止水コマ80の上面に形成されたネジ孔(図示略)に螺入することで、挿入ロッド104の下端に止水コマ80を保持できるようになっている。挿入ロッド104の下端内周面は六角形状に形成されている。また、挿入ロッド104の外周における第1支持部101と第2支持部102との間には、操作ハンドル111が取付けられている。
【0069】
図15の拡大図に示すように、止水コマ80は略円柱状に形成され、下部外周面には雄ネジ部81が形成されており、スリーブ11の内部に形成された雌ネジ部13に螺入することでスリーブ部10の内部を閉鎖できるようになっている。また、雄ネジ部81の上部には、雄ネジ部81よりも大径の鍔部82が環状に形成されているとともに、雄ネジ部81における鍔部82側には、ゴム材からなるOリング83が環装されている。また、上面には外周面が六角形状をなす凸部84が突設されているとともに、凸部84の上面中心には、保持棒110の下端に形成された雄ネジ部(図示略)が螺入可能なネジ孔(図示略)が形成されている。
【0070】
次に、作業用ボールバルブ20の撤去及びスリーブ部10の止水作業方法について説明する。
【0071】
まず、図10に示すように、工具100の保持棒110の下端を、止水コマ80の凸部84の上面のネジ孔(図示略)内に螺入するとともに、挿入ロッド104の下端を凸部84に嵌合して止水コマ80を取付け、止水コマ80を円筒部107内に収容する。この状態で、円筒部107の雄ネジ部107aを作業用ボールバルブ20の雌ネジ部26に螺入することで、作業用ボールバルブ20の上方に工具100を密封状に接続する。
【0072】
次いで、図11に示すように、作業用ボールバルブ20を開状態とすることで、円筒部107内に流体が進入する。そして、操作ハンドル111を動かして挿入ロッド104をスリーブ部10の内部に向けて挿入する。その後、止水コマ80がスリーブ11の内部に進入して雌ネジ部13に到達したら、操作ハンドル111の操作により、止水コマ80の凸部84に嵌合した挿入ロッド104を回転させることで、止水コマ80の雄ネジ部81がスリーブ11の雌ネジ部13に螺入される。そして、鍔部82によりOリング83が雌ネジ部13の上方の段部に押圧されるまで挿入ロッド104を回転させて締め付けることで、スリーブ部10の内部が密封状に閉鎖される。
【0073】
次いで、図12に示すように、ボールバルブ106を開状態として、止水コマ80による止水状態を確認し、漏水等が発生している場合には、挿入ロッド104による締め付けを行い、再度止水状態を確認する。
【0074】
止水コマ80による止水状態に問題が無ければ、図13に示すように、第2支持部102からカバー体105を取外し、保持棒110の上端に設けられた操作部110aを開放し、操作部110aを工具(図示略)等により操作して保持棒110を回転させて、保持棒110の下端を止水コマ80から取外すとともに、挿入ロッド104の下端を止水コマ80の凸部84から抜き出し、スリーブ部10内に止水コマ80を残したまま挿入ロッド104を上方に引き上げる。
【0075】
次いで、図14に示すように、工具100を作業用ボールバルブ20から取外した後、順に作業用ボールバルブ20をスリーブ部10から取外す。尚、工具100と作業用ボールバルブ20を一緒にスリーブ部10から取外してもよい。
【0076】
最後に、図15に示すように、外周面に雄ネジ部90aが形成された有底筒状のプラグ90をスリーブ11の上面開口に取付け、プラグ90の雄ネジ部90aをスリーブ11の雌ネジ部12に螺入することで、スリーブ11の上面開口がプラグ90により閉鎖される。これにより、作業用ボールバルブ20の撤去及びスリーブ部10の止水作業が完了する。
【0077】
その後、特に図示しないが、操作により弁体4cを弁箱4a内の閉鎖位置まで下降させて筒状部3a内を閉状態とすることで、穿孔機7を取外すことが可能となる。また、異物Cは排出作業により除去されているため、弁体4cが凹溝部4d内に嵌合する際に異物Cにより破損したり、異物Cにより漏水が発生することが抑制される。
【0078】
(作用・効果)
以上説明したように、本発明の実施例としての作業装置1にあっては、流体管2を密封状に外嵌する筐体3と、筐体3内を開閉可能な弁体4c及び凹溝部4d(弁座)と、を少なくとも有し、筐体3内の穿孔機7による流体管2の穿孔に関連する作業が可能であって、筐体3は、流体管2の管軸S1に対し交差する筒状部3aを有し、筒状部3aは、凹溝部4dに対し軸方向に離れた位置にスリーブ部10を有し、スリーブ部10は、筒状部3a内に挿入される作業具としての排出装置30、撮像装置50、検出装置60等を接続可能であるとともに、排出装置30、撮像装置50、検出装置60を凹溝部4dに向けて傾斜する方向に案内する。
【0079】
これによれば、筒状部3aにおいて弁体4cによる凹溝部4dの閉鎖に影響しない離れた位置から排出装置30等を内部に挿入できるとともに、排出装置30の排出管32等をスリーブ部10より挿入することで凹溝部4dに向けて略直線状に案内できるので、凹溝部4dに滞留した異物Cを確実に筐体3の外部に排出することができる。
【0080】
また、スリーブ部10が筒状部3aの周壁における凹溝部4dから軸S2方向に離れた位置に設けられることで、弁箱4aにおける凹溝部4dの周壁などに連通孔9等を形成しないで済むので、筐体3の開閉に支障をきたす虞がないとともに、筐体3の開口端部に穿孔機7等を接続する際にスリーブ部が邪魔になることがない。
【0081】
また、スリーブ部10は、筒状部3aの周壁に対し斜めに固定されたスリーブ11にて構成されることで、筒状部3aにスリーブ11を斜めに固定するだけで、スリーブ部10を容易に形成することができる。
【0082】
また、筒状部3aは、略水平方向に延設され、スリーブ部10は、排出装置30等を凹溝部4dにおける底部4d’に向けて傾斜する方向に案内することで、凹溝部4dの底部4d’に沈下した切粉に向けて排出装置30等を確実に案内することができる。
【0083】
また、スリーブ部10は、排出装置30等が案内される凹溝部4dの特定位置P1に対し径方向の対向側である分岐管部6dの周壁最上部に設けられていることで、凹溝部4dの特定位置P1に対するスリーブ部10の離間距離を大きく取ることができるので、排出装置30等の挿入精度を高めることができる。また、筒状部3aに対し排出装置30の排出管32を大きく傾斜させることができることで、弁座が凹溝部4dのような凹状の場合であっても、深い部分まで排出管32の先端開口32aを挿入することができる。
【0084】
尚、本実施例では、スリーブ部10は、凹溝部4dの特定位置P1に対し径方向の対向側である分岐管部6dの周壁最上部に設けられる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリーブ部は、弁座に対し軸方向に離れた位置に設けられていれば、必ずしも特定位置P1に対し径方向の対向側に配設されていなくてもよい。
【0085】
具体的には、例えば、図16(a),(b)に示すように、弁座である凹溝部4dの底部4d’における特定位置P1に対し径方向の対向側である周壁最上部から下方向に離れた分岐管部6dの下方位置に設けてもよい。このようにすることで、スリーブ部を特定位置P1に近づけて配置することができるので、作業具を特定位置P1に向けて案内しやすくなる。また、このようにスリーブ部10の筒状部3aに対する取付位置や傾斜角度等は種々に変更可能である。
【0086】
また、スリーブ部10は、流体管2と凹溝部4dとの間に設けられていることで、排出装置30を筒状部3aにおける凹溝部4dに向けて挿入し、更に凹溝部4dよりも分岐方向の下流側に向けて案内することも可能となる。
【0087】
また、図5に示すように、スリーブ部10が凹溝部4dよりも流体管2側、つまり、流体管2の穿孔箇所に近い位置に設けられるので、排出管32の先端開口32aが連通孔9から特定位置P1まで案内される際に、比較的異物Cが多い分岐管部6d内を上方から下方に向けて斜めに移動するため、分岐管部6d内に散乱する異物Cを吸引して外部に排出することができる。
【0088】
また、スリーブ部10は、排出装置30を接続可能な接続部としての雌ネジ部12を有することで、スリーブ部10に排出装置30を容易に接続することができる。
【0089】
また、スリーブ部10は、雌ネジ部12よりも内径方向に突出する雌ネジ部13を有することで、排出装置30による作業が終了した後、雌ネジ部13に止水具等を螺入して止水することができる。
【0090】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0091】
例えば、前記実施例では、ケース5の分岐管部6dと仕切弁装置4の弁箱4aとが別個に構成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ケース5の分岐管部6dと仕切弁装置4の弁箱4aとが一体化されてなる筒状体により筒状部が構成されていてもよい。また、ケース5の分岐管部6dと仕切弁装置4の弁箱4aとの間に別個の短管(図示略)等が接続されていてもよく、この場合、この短管も筐体3の筒状部3aの一部を構成する。
【0092】
また、前記実施例では、スリーブ部10は、分岐管部6dに設けられる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、筐体3の所定箇所に設けられていれば、弁箱4aに設けられていてもよいし、上記したように分岐管部6dと弁箱4aとの間に接続された短管(図示略)等に設けられていてもよい。また、スリーブ部10を筐体3の複数個所に設けてもよい。この場合、複数のスリーブ部にて排出作業を同時に行ってもよいし、複数のうち一のスリーブ部にて排出作業を行いながら他のスリーブ部にて確認作業等を同時に行ってもよい。
【0093】
また、前記実施例では、スリーブ部10は、排出管32の先端開口32aを凹溝部4dの底部4d’における特定位置P1に向けて案内する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特定位置P1は底部4d’における前後方向の中央位置に限らず、前側または後側であってもよいし、凹溝部4dの前部や後部であってもよい。
【0094】
また、前記実施例では、スリーブ部10は、分岐管部6dの外周面に固定された円筒状のスリーブ11にて構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分岐管部6dの外周面または内周面に突設された凸部等によって形成されたものであってもよい。また、スリーブ部は、スリーブ11だけでなく、作業用ボールバルブ20を含んでいてもよい。
【0095】
また、前記実施例では、筐体内を開閉可能な弁体として、筒状部3aに対し上下方向に移動可能に設けられ、下方に向けて移動することで筐体内を閉状態とする弁体4cを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁体4cを上方または一側方に向けて移動することで筐体内を閉状態とする弁体を適用してもよい。また、弁体の種別も任意であり、種々に変更可能である。
【0096】
また、前記実施例では、弁座の一例として凹溝部4dを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁座は、弁体4cの周縁部を嵌合可能な凹溝部4dのように必ずしも凹溝状に形成されていなくてもよく、弁体4cの周縁部が当接可能な平面状の弁座であってもよいし、あるいは弁体4cの周縁部が当接しやすいように内径方向に突出した段部状の弁座であってもよい。また、凹溝部4dは、筒状部3aの内壁下部及び側部に周方向に延設される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、周方向の少なくとも一部に形成されていればよく、形成箇所も任意である。
【0097】
また、前記実施例では、筐体内を開閉可能な弁体及び弁座を有する仕切弁装置4は、異物Cの排出作業や確認作業の終了後も撤去されることなく、ケース5に接続されたまま使用される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁体及び弁座を有する弁装置として、穿孔作業、異物の排出及び確認作業等を行う場合にのみ使用され、各種作業の終了後に撤去される作業弁体及び作業弁座を有する作業弁装置等を適用してもよい。
【0098】
また、前記実施例では、筐体内を開閉可能な弁体の一例として、弁箱4aと弁蓋4bとの間で移動可能に設けられた弁体4c(仕切弁)を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁座に対し弁体が接離可能に設けられたものであれば、例えば、弁箱内に設けた弁棒(図示略)を中心として回転することにより筐体内を開閉する所謂バタフライ弁等、上記仕切弁以外の弁体を適用してもよい。
【0099】
また、前記実施例では、筒状部3aは、流体管2の管軸S1に対し略直交し、側方に向けて延設される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、筒状部は、従来例のように上方に向けて延設されるものであってもよい。また、流体管の管軸に対し斜めに交差していてもよい。
【0100】
また、前記実施例では、筐体3内の穿孔機7による流体管2の穿孔に関連する作業の一例として、排出装置30による異物Cの排出作業、撮像装置50による筐体3内の確認作業、検出装置60による筐体3内の水質確認作業等を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、流体管2の穿孔前に実施する漏水確認作業等、上記以外の種々の作業具を用いた作業を含んでもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 作業装置
2 流体管
3 筐体
3a 筒状部
4 仕切弁装置
4a 弁箱(筐体、筒状部)
4b 弁蓋
4c 弁体
4d 凹溝部(弁座)
4d’ 底部
5 ケース(筐体)
5a 第1分割体
5b 第2分割体
6a,6b 被覆部
6c 分岐口
6d 分岐管部(筒状部)
7 穿孔機
9 連通孔
10 スリーブ部
11 スリーブ
11a 貫通路
11b 上端開口
11c 下端開口
12 雌ネジ部(接続部)
13 雌ネジ部
15 接続管
15a 貫通路
20 作業用ボールバルブ
21 本体部
21a 貫通路
30 排出装置(作業具)
31 支持管
31a 貫通路
32 排出管
32a 先端開口
33 ボールバルブ
50 撮像装置(作業具)
51 支持管
51a 貫通路
52 挿入管
52a 撮像部
60 検出装置(作業具)
80 止水コマ
90 プラグ
100 工具
C 異物
P1 特定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16