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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025129932
(43)【公開日】2025-09-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 89/00 20250101AFI20250829BHJP
   H10D 8/50 20250101ALI20250829BHJP
   H10D 84/80 20250101ALI20250829BHJP
   H10D 12/00 20250101ALI20250829BHJP
   H10D 30/66 20250101ALI20250829BHJP
   H10D 84/83 20250101ALI20250829BHJP
   H10D 84/40 20250101ALI20250829BHJP
   G01K 7/01 20060101ALN20250829BHJP
【FI】
H01L27/04 F
H01L29/91 L
H01L29/78 657A
H01L29/78 655Z
H01L29/78 652Z
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/06 321A
G01K7/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026916
(22)【出願日】2024-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】山下 侑佑
(72)【発明者】
【氏名】秋山 博則
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038AZ08
5F038BH04
5F038BH16
5F038CA08
5F038DT12
5F048AC06
5F048AC07
5F048AC10
5F048CC06
5F048CC18
5F048CC20
(57)【要約】
【課題】温度センスダイオードを内蔵した半導体装置において、半導体チップの面積増加を抑えながら半導体チップの最高温度を測定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体チップと、電圧測定回路と、を備えている。半導体チップは、アノードパッドと、カソードパッドと、アノードパッドとカソードパッドの間に並列接続された複数の温度センスダイオードと、を有している。電圧測定回路は、アノードパッドとカソードパッドの間に接続されており、アノードパッドとカソードパッドの間の電圧に基づいて複数の温度センスダイオードのうちの最高温度を測定するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
電圧測定回路と、を備えており、
前記半導体チップは、
アノードパッドと、
カソードパッドと、
アノードパッドとカソードパッドの間に並列接続された複数の温度センスダイオードと、を有しており、
前記電圧測定回路は、前記アノードパッドと前記カソードパッドの間に接続されており、前記アノードパッドと前記カソードパッドの間の電圧に基づいて前記複数の温度センスダイオードのうちの最高温度を測定するように構成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップは、ゲート電極、入力電極及び出力電極を有するトランジスタ、をさらに有しており、
前記トランジスタの前記ゲート電極は、前記複数の温度センスダイオードの各々のアノードとカソードのいずれか一方に電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップは、前記複数の温度センスダイオードの各々のカソードと前記トランジスタの前記出力電極の間に接続されている抵抗部、をさらに有しており、
前記トランジスタの前記ゲート電極は、前記複数の温度センスダイオードの各々のアノードに電気的に接続されている、請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体チップに温度センスダイオードを内蔵した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体チップの温度は、半導体チップの面内位置において異なる値を示す。このため、半導体チップ内の温度を把握するためには、半導体チップ内に複数の温度センスダイオードを分散して配置するのが望ましい。しかしながら、半導体チップ内に複数の温度センスダイオードを内蔵させた場合、パッドを設置するための面積の増加が懸念される。例えば、N個の温度センスダイオードを内蔵させた場合、N個の温度センスダイオードの各々のアノード及びカソードから配線を引き回し、それら配線に接続される2×N個のパッドが必要となる。このようなパッドの設置は、半導体チップの面積を増加させ、半導体チップの製造コストを増加させる要因となる。
【0005】
半導体チップに搭載されるデバイスの制御は、半導体チップの最高温度に基づいて行われることが多い。このため、半導体チップの温度測定では、半導体チップ内の最高温度を把握できれば十分なことが多い。本明細書は、温度センスダイオードを内蔵した半導体装置において、半導体チップの面積増加を抑えながら半導体チップの最高温度を測定することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する半導体装置は、半導体チップと、電圧測定回路と、を備えていてもよい。半導体チップは、アノードパッドと、カソードパッドと、アノードパッドとカソードパッドの間に並列接続された複数の温度センスダイオードと、を有していてもよい。電圧測定回路は、アノードパッドとカソードパッドの間に接続されており、アノードパッドとカソードパッドの間の電圧に基づいて複数の温度センスダイオードのうちの最高温度を計測するように構成されていてもよい。なお、電圧計測回路は、半導体チップ内に一体的に形成されていてもよい。
【0007】
上記半導体装置では、複数の温度センスダイオードが並列接続されている。このため、複数の温度センスダイオードに対して2つのパッド(即ち、アノードパッドとカソードパッド)のみが設置されているので、半導体基板の面積増加を抑えることができる。また、複数の温度センスダイオードに供給される測定電流は、複数の温度センスダイオードのうち最高温度の温度センスダイオードを主として流れる。このため、電圧測定回路で測定される測定電圧は、最高温度の温度センスダイオードの順方向電圧に基づいた値となる。このように、上記半導体装置は、半導体チップの面積増加を抑えながら半導体チップの最高温度を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の半導体装置の構成を示す図である。
図2】複数の温度センスダイオードに対する測定電流と測定電圧を説明するための図である。
図3】複数の温度センスダイオードに対する測定電流と測定電圧を説明するための図である。
図4】第2実施形態の半導体装置の構成を示す図である。
図5】第1実施形態の半導体装置の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の半導体装置1は、半導体チップ4と、ゲート駆動回路5と、電圧測定回路6と、電流源7と、を備えている。
【0010】
半導体チップ4は、ゲート電極12、入力電極14及び出力電極16を有するトランジスタ10を有している。トランジスタ10は、特に限定されるものではないが、例えば絶縁ゲートを有するトラジスタであってもよい。この例では、トランジスタ10がIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。この例に代えて、トランジスタ10はMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Eeffect Transistor)であってもよい。
【0011】
半導体チップ4はさらに、ゲートパッドGPと、入力パッドIPと、出力パッドOPと、を有している。ゲートパッドGPは、トランジスタ10のゲート電極12に電気的に接続されている。入力パッドIPは、トランジスタ10の入力電極14に電気的に接続されている。出力パッドOPは、トランジスタ10の出力電極16に電気的に接続されている。ゲート駆動回路5は、ゲートパッドGPと出力パッドOPの間に接続されており、トランジスタ10を制御するためのゲート電圧をゲートパッドGPに出力するように構成されている。
【0012】
半導体チップ4はさらに、アノードパッドAPと、カソードパッドKPと、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3と、を有している。複数の温度センスダイオードD1,D2,D3は、半導体チップ4内に分散して配置されている。この例では、3つの温度センスダイオードD1,D2,D3を例示しているが、この例に代えて、2以上の任意の個数の温度センスダイオードが設けられていてもよい。例えば、半導体チップ4を平面視したときの中心点と、半導体チップ4を平面視したときに上下左右に2分割したときの各々の領域の4つの中心点と、の計5個の温度センスダイオードが半導体チップ4内に分散して配置されていてもよい。
【0013】
複数の温度センスダイオードD1,D2,D3は、アノードパッドAPとカソードパッドKPの間に並列接続されている。複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々のアノードがアノードパッドAPに電気的に接続されており、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々のカソードがカソードパッドKPに電気的に接続されている。このように、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々は、アノードパッドAPからカソードパッドKPに向けて順方向となるように接続されている。複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々は、特に限定されるものではないが、例えばp型のポリシリコンとn型のポリシリコンのpn接合を備えたpnダイオードであってもよい。
【0014】
電圧測定回路6は、アノードパッドAPとカソードパッドKPの間に接続されており、アノードパッドAPとカソードパッドKPの間の電圧、即ち、測定電圧Vmを測定するように構成されている。電流源7は、アノードパッドAPとカソードパッドKPの間に接続されており、測定電流ImをアノードパッドAPに吐き出すように構成されている。測定電流Imは、定電流であってもよい。
【0015】
次に、図2及び図3を参照して、半導体装置1による温度測定について説明する。図2に示すように、半導体装置1では、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3に対して測定電流Imが順方向に供給され、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3のアノード・カソード間の順方向電圧が測定電圧Vmとして測定される。
【0016】
ここで、第1温度センスダイオードD1の温度が27℃、第2温度センスダイオードD2の温度が37℃、第3温度センスダイオードD3の温度が47℃の場合について説明する。よく知られているように、温度センスダイオードは、常温(即ち、27℃)の順方向電圧が600mVであり、温度変化に対して約-2mV/℃の負特性を有する。このため、第1温度センスダイオードD1の順方向電圧VT1は0.6Vであり、第2温度センスダイオードD2の順方向電圧VT2は0.58Vであり、第3温度センスダイオードD3の順方向電圧VT3は0.56Vである。
【0017】
温度センスダイオードの電圧-電流特性は、順方向電圧を境に電流が急激に変化するスイッチ的な挙動を示す。このため、図3に示すように、温度が異なる複数の温度センスダイオードD1,D2,D3に測定電流Imを流すと、測定電流Imは最も順方向電圧の低い第3温度センスダイオードD3、即ち、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3のなかで最高温度である第3温度センスダイオードD3を流れる。測定電圧Vmは、最高温度である第3温度センスダイオードD3の順方向電圧VT3となる。
【0018】
このように、並列接続された複数の温度センスダイオードD1,D2,D3に測定電流Imを供給したときの測定電圧Vmは、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3のなかで最高温度の温度センスダイオードの順方向電圧となる。複数の温度センスダイオードD1,D2,D3が半導体チップ4内に分散配置されていることから、測定電圧Vmに基づいて半導体チップ4内の最高温度を測定することが可能となる。
【0019】
半導体チップ内の最高温度を測定するためには、例えば、N個の温度センスダイオードを半導体チップ内に内蔵させ、N個の温度センスダイオードの各々のアノード及びカソードから配線を引き回し、それら配線に接続された2×N個のパッドを設置し、N個の温度センスダイオードの各々の温度を測定し、測定された温度の中から最高温度を求めることによっても半導体チップ内の最高温度を測定することが可能である。しかしながら、このような構成は、半導体チップの面積を増加させ、半導体チップの製造コストを増加させる要因となる。また、複数の温度測定回路が必要となり、回路規模が大きくなる。半導体装置1では、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3が並列接続されている。このため、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3に対して2つのパッド(即ち、アノードパッドAPとカソードパッドKP)のみが設置され、1つの電圧測定回路6によって半導体チップ4内の最高温度を測定することができる。半導体装置1は、半導体チップ4の面積増加を抑えながら半導体チップ4の最高温度を測定することが可能である。
【0020】
(第2実施形態)
図4に、第2実施形態の半導体装置2を示す。なお、第1実施形態の半導体装置1と共通する構成要素については共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
半導体装置2では、トランジスタ10のゲート電極12が、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々のアノードに電気的に接続されていることを特徴とする。さらに、半導体装置2では、ゲート駆動回路5が出力パッドOPとアノードパッドAPの間に接続されていることを特徴とする。
【0022】
半導体装置2では、アノードパッドAPがゲート電圧を入力するためのゲートパッドの機能を兼用することができる。このため、半導体装置2は、半導体チップ4の面積増加をさらに抑えることができる。
【0023】
この例に代えて、トランジスタ10のゲート電極12が複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々のカソードに電気的に接続され、ゲート駆動回路5が出力パッドOPとカソードパッドKPの間に接続されてもよい。この場合も同様に、カソードパッドKPがゲートパッドの機能を兼用することができる。
【0024】
(第2実施形態の変形例)
図5に、第2実施形態の半導体装置2の変形例を示す。半導体装置2の変形例は、電流源7が設けられていないことを特徴とする。また、半導体装置2の変形例は、抵抗部8を備えていることを特徴とする。抵抗部8は、複数の温度センスダイオードD1,D2,D3の各々のカソードとトランジスタ10の出力電極16の間に接続されている。
【0025】
半導体装置2の変形例では、ゲート駆動回路5が電流源の機能を兼用することができる。即ち、ゲート電圧がハイ(Hi)のときに複数の温度センスダイオードD1,D2,D3に測定電流Imが流れ、測定電圧Vmを測定することができる。半導体装置2の変形例は、電流源7を設ける必要がないので、より簡易な構成とすることができる。
【0026】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【0027】
(特徴1)
半導体チップと、
電圧測定回路と、を備えており、
前記半導体チップは、
アノードパッドと、
カソードパッドと、
アノードパッドとカソードパッドの間に並列接続された複数の温度センスダイオードと、を有しており、
前記電圧測定回路は、前記アノードパッドと前記カソードパッドの間の電圧に基づいて前記複数の温度センスダイオードのうちの最高温度を測定するように構成されている、半導体装置。
【0028】
(特徴2)
前記半導体チップは、ゲート電極、入力電極及び出力電極を有するトランジスタ、をさらに有しており、
前記トランジスタの前記ゲート電極は、前記複数の温度センスダイオードの各々のアノードとカソードのいずれか一方に電気的に接続されている、特徴1に記載の半導体装置。
【0029】
(特徴3)
前記半導体チップは、前記複数の温度センスダイオードの各々のカソードと前記トランジスタの前記出力電極の間に接続されている抵抗部、をさらに有しており、
前記トランジスタの前記ゲート電極は、前記複数の温度センスダイオードの各々のアノードに電気的に接続されている、特徴2に記載の半導体装置。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0031】
1:半導体装置、 4:半導体チップ、 5:ゲート駆動回路、 6:電圧測定回路、 7:電流源、 10:トランジスタ、 12:ゲート電極、 14:入力電極、 16:出力電極、 AP:アノードパッド、 D1:第1温度センスダイオード、 D2:第2温度センスダイオード、 D3:第3温度センスダイオード、 GP:ゲートパッド、 KP:カソードパッド、 OP:出力パッド
図1
図2
図3
図4
図5