(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025129976
(43)【公開日】2025-09-05
(54)【発明の名称】リアクトル、コンバータ、および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20250829BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20250829BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20250829BHJP
【FI】
H01F37/00 A
H01F37/00 C
H01F37/00 M
H01F27/24 E
H01F27/24 J
H01F27/24 K
H01F27/255
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027004
(22)【出願日】2024-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】名田 將人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸一郎
(57)【要約】
【課題】大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち、かつ低損失であるリアクトルを提供する。
【解決手段】コイルと磁性コアとを備え、磁性コアは、コイルの内部に配置されたミドルコア部と、ミドルコア部の第1端部および第2端部の各々につながるように配置される第1エンドコア部および第2エンドコア部と、を有し、コイルの外周面は、磁性コアから露出されている部分を有し、第1端部および第2端部の各々は、第1部位と、第1部位よりも比透磁率の高い第2部位と、を有し、第1エンドコア部および第2エンドコア部は、第1部位につながっている第1部位と、第2部位につながっている第2部位と、を有し、第1エンドコア部および第2エンドコア部の第2部位の比透磁率は、第1エンドコア部および第2エンドコア部の第1部位の比透磁率よりも高い、リアクトル。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
環状の平面形状を有する磁性コアと、を備え、
前記磁性コアは、
前記コイルの内部に配置されたミドルコア部と、
前記ミドルコア部の第1端部および第2端部の各々につながるように前記コイルの第1端面および第2端面の各々に向かい合って配置される第1エンドコア部および第2エンドコア部と、を有し、
前記コイルの外周面は、前記磁性コアから露出されている部分を有し、
前記第1端部および前記第2端部の各々は、
第1部位と、
前記第1部位よりも比透磁率の高い第2部位と、を有し、
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部は、
前記第1部位につながっている第1部位と、
前記第2部位につながっている第2部位と、を有し、
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の前記第2部位の比透磁率は、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の前記第1部位の比透磁率よりも高い、
リアクトル。
【請求項2】
前記第2部位の比透磁率は、50以上500以下である、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記第1部位の比透磁率は、5以上50以下である、請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記第2部位は、軟磁性粉末の圧粉成形体で構成されている、請求項3に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記第1部位は、樹脂中に軟磁性粉末が分散された複合材料の成形体で構成されている、請求項4に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の中央に設けられている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項7】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の両端に設けられている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項8】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向のいずれかの端部に設けられている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項9】
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の厚さの中央に設けられている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項10】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の中央、かつ厚さに沿った方向の中央に設けられていて、
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記コイルの軸方向からみた際、
前記ミドルコア部の前記第2部位に重なる重複部と、
前記ミドルコア部の前記第2部位に重なることなく前記重複部から前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の幅に沿った方向の外側に向かって延びる延長部と、を有し、
前記重複部の各々は、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々につながっている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項11】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の両端、かつ厚さに沿った方向の中央に設けられていて、
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記コイルの軸方向からみた際、
前記ミドルコア部の前記第2部位に重なる重複部と、
前記ミドルコア部の前記第2部位に重なることなく前記重複部から前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の幅に沿った方向の外側に向かって延びる延長部と、を有し、
前記重複部の各々は、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々につながっている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項12】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向のいずれかの端部、かつ厚さに沿った方向の中央に設けられていて、
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記コイルの軸方向からみた際、
前記ミドルコア部の前記第2部位に重なる重複部と、
前記ミドルコア部の前記第2部位に重なることなく前記重複部から前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の幅に沿った方向の外側に向かって延びる延長部と、を有し、
前記重複部の各々は、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々につながっている、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項13】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々の幅は、前記ミドルコア部の全幅に対して0.1倍以上0.9倍以下である、請求項6から請求項12のいずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項14】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々の厚さは、前記ミドルコア部の全厚さに対して0.1倍以上1.0倍以下である、請求項6から請求項12のいずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項15】
前記ミドルコア部の前記第2部位の各々の長さは、前記ミドルコア部の全長に対して0.05倍以上0.45倍以下である、請求項6から請求項12のいずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項16】
前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位の厚さは、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の全厚さに対して0.1倍以上0.9倍以下である、請求項6から請求項12いずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項17】
請求項1に記載のリアクトルを備える、
コンバータ。
【請求項18】
請求項17に記載のコンバータを備える、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リアクトル、コンバータ、および電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のリアクトルの磁性コアは、第一コア片と第二コア片とを組み合わせて構成されるコア片を備える。第一コア片は、樹脂中に軟磁性粉末が分散してなる複合材料の成形体で構成されている。第二コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体で構成されている。コア片は、金型に第二コア片を配置し、その第二コア片の周囲に第一コア片を成形することで製造される。以下では、上記複合材料の成形体で構成された部位を第1部位、上記圧粉成形体で構成された部位を第2部位と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1部位と第2部位とを組み合わせたコア片を用いて、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち、かつ低損失であるリアクトルを製造することが求められる。互いに異なる材質の第1部位と第2部位とを組み合わせたコア片では、第1部位と第2部位とが良好に接合されることが求められる。
【0005】
本開示は、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち、かつ低損失であるリアクトルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のリアクトルは、コイルと、環状の平面形状を有する磁性コアと、を備える。前記磁性コアは、前記コイルの内部に配置されたミドルコア部と、前記ミドルコア部の第1端部および第2端部の各々につながるように前記コイルの第1端面および第2端面の各々に向かい合って配置される第1エンドコア部および第2エンドコア部と、を有する。前記コイルの外周面は、前記磁性コアから露出されている部分を有する。前記第1端部および前記第2端部の各々は、第1部位と、前記第1部位よりも比透磁率の高い第2部位と、を有する。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部は、前記第1部位につながっている第1部位と、前記第2部位につながっている第2部位と、を有する。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の前記第2部位の比透磁率は、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の前記第1部位の比透磁率よりも高い。
【発明の効果】
【0007】
本開示のリアクトルは、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち、かつ低損失である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のリアクトルの概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のリアクトルを分解した状態の概略を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態2のリアクトルの概略を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2のリアクトルを分解した状態の概略を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態3のリアクトルの概略を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態3のリアクトルを分解した状態の概略を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す構成図である。
【
図13】
図13は、コンバータを備える電力変換装置の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
(1)本開示の一形態に係るリアクトルは、コイルと、環状の平面形状を有する磁性コアと、を備える。前記磁性コアは、前記コイルの内部に配置されたミドルコア部と、前記ミドルコア部の第1端部および第2端部の各々につながるように前記コイルの第1端面および第2端面の各々に向かい合って配置される第1エンドコア部および第2エンドコア部と、を有する。前記コイルの外周面は、前記磁性コアから露出されている部分を有する。前記第1端部および前記第2端部の各々は、第1部位と、前記第1部位よりも比透磁率の高い第2部位と、を有する。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部は、前記第1部位につながっている第1部位と、前記第2部位につながっている第2部位と、を有する。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の前記第2部位の比透磁率は、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の前記第1部位の比透磁率よりも高い。
【0011】
一般的に磁束は、各エンドコア部とミドルコア部との接合箇所の近くから漏れ易い。上記(1)のリアクトルでは、上記接合箇所の近くにおいて、ミドルコア部の各第2部位と、この第2部位につながる各エンドコア部の第2部位とに磁束が通り易い。その上、ミドルコア部の各第1部位と、この第1部位につながる各エンドコア部の第1部位とを通る磁束が、ミドルコア部の各第2部位と、各エンドコア部の第2部位とに引き寄せられ易い。そのため、上記(1)のリアクトルは、上記接合箇所から磁束が漏れ難い。よって、上記(1)のリアクトルは、漏れ磁束の低減の伴って損失を低減できるので、低損失である。
【0012】
上記(1)のリアクトルは、第1部位よりも比透磁率の高い第2部位を備えるものの、第2部位を備えることによる磁気飽和への影響は比較的小さいため、高いインダクタンスを保つことができる。
【0013】
ミドルコア部の各第2部位と、各エンドコア部の第2部位とがつながっているため、ミドルコア部の各第2部位と、各エンドコア部の第2部位とを一連に形成できる。また、ミドルコア部の各第1部位と、各エンドコア部の第1部位とがつながっているため、ミドルコア部の各第1部位と、各エンドコア部の第1部位とを一連に形成できる。よって、上記(1)のリアクトルは、生産性に優れる。
【0014】
(2)上記(1)のリアクトルにおいて、前記第2部位の比透磁率は、50以上500以下であってもよい。
【0015】
上記(2)のリアクトルは、第2部位に磁束を通し易いため、漏れ磁束を低減し易い。
【0016】
(3)上記(1)または上記(2)のリアクトルにおいて、前記第1部位の比透磁率は、5以上50以下であってもよい。
【0017】
上記(3)のリアクトルは、比透磁率が特定の低い範囲にある第1部位を有することで、第2部位を備えることに伴う磁気飽和が起こり難いため、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。
【0018】
(4)上記(1)から上記(3)のいずれかのリアクトルにおいて、前記第2部位は、軟磁性粉末の圧粉成形体で構成されていてもよい。
【0019】
上記(4)のリアクトルは、第2部位に磁束を通し易いため、漏れ磁束を低減し易い。
【0020】
(5)上記(1)から上記(4)のいずれかのリアクトルにおいて、前記第1部位は、樹脂中に軟磁性粉末が分散された複合材料の成形体で構成されていてもよい。
【0021】
上記(5)のリアクトルは、第2部位を備えることに伴う磁気飽和が起こり難いため、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、上記(5)のリアクトルは、製造し易い。
【0022】
(6)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の中央に設けられていてもよい。
【0023】
上記(6)のリアクトルは、ミドルコア部の各端部における幅に沿った方向の中央に磁束を通し易いため、漏れ磁束を低減し易い。
【0024】
(7)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の両端に設けられていてもよい。
【0025】
上記(7)のリアクトルは、一般的に磁束が漏れ易い上記両端に、磁束が通り易い第2部位が設けられている。そのため、上記(7)のリアクトルは、漏れ磁束を低減し易い。
【0026】
(8)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向のいずれかの端部に設けられていてもよい。
【0027】
上記(8)のリアクトルは、一般的に磁束が漏れ易い上記端部に、磁束が通り易い第2端部が設けられている。そのため、上記(8)のリアクトルは、漏れ磁束を低減し易い。
【0028】
(9)上記(1)から上記(8)のいずれかのリアクトルにおいて、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の厚さの中央に設けられていてもよい。
【0029】
上記(9)のリアクトルは、上記厚さの中央に磁束を通し易いため、漏れ磁束を低減し易い。
【0030】
(10)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の中央、かつ厚さに沿った方向の中央に設けられていてもよい。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記コイルの軸方向からみた際、前記ミドルコア部の前記第2部位に重なる重複部と、前記ミドルコア部の前記第2部位に重なることなく前記重複部から前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の幅に沿った方向の外側に向かって延びる延長部と、を有する。前記重複部の各々は、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々につながっている。
【0031】
上記(10)のリアクトルでは、各エンドコア部とミドルコア部との接合箇所の近くにおいて、ミドルコア部の上記中央に設けられた各第2部位と、この第2部位につながる各エンドコア部の重複部とに磁束が通り易い。その上、ミドルコア部の各第1部位と、この第1部位につながる各エンドコア部の第1部位とを通る磁束が、ミドルコア部の各第2部位と、各エンドコア部の重複部および延長部とに引き寄せられ易い。そのため、上記(10)のリアクトルは、上記接合箇所から磁束が漏れ難い。
【0032】
(11)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向の両端、かつ厚さに沿った方向の中央に設けられていてもよい。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記コイルの軸方向からみた際、前記ミドルコア部の前記第2部位に重なる重複部と、前記ミドルコア部の前記第2部位に重なることなく前記重複部から前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の幅に沿った方向の外側に向かって延びる延長部と、を有する。前記重複部の各々は、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々につながっている。
【0033】
上記(11)のリアクトルでは、各エンドコア部とミドルコア部との接合箇所の近くにおいて、ミドルコア部の上記両端かつ上記中央に設けられた各第2部位と、この第2部位につながる各エンドコア部の重複部とに磁束が通り易い。その上、ミドルコア部の各第1部位と、この第1部位につながる各エンドコア部の第1部位とを通る磁束が、ミドルコア部の各第2部位と、各エンドコア部の重複部および延長部とに引き寄せられ易い。そのため、上記(11)のリアクトルは、上記接合箇所から磁束が漏れ難い。
【0034】
(12)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々は、前記第1端部および前記第2端部の各々の幅に沿った方向のいずれかの端部、かつ厚さに沿った方向の中央に設けられていてもよい。前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記コイルの軸方向からみた際、前記ミドルコア部の前記第2部位に重なる重複部と、前記ミドルコア部の前記第2部位に重なることなく前記重複部から前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の幅に沿った方向の外側に向かって延びる延長部と、を有する。前記重複部の各々は、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々につながっている。
【0035】
上記(12)のリアクトルでは、各エンドコア部とミドルコア部との接合箇所の近くにおいて、ミドルコア部の上記端部かつ上記中央に設けられた各第2部位と、この第2部位につながる各エンドコア部の重複部とに磁束が通り易い。その上、ミドルコア部の各第1部位と、この第1部位につながる各エンドコア部の第1部位とを通る磁束が、ミドルコア部の各第2部位と、各エンドコア部の重複部および延長部とに引き寄せられ易い。そのため、上記(12)のリアクトルは、上記接合箇所から磁束が漏れ難い。
【0036】
(13)上記(1)から上記(12)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々の幅は、前記ミドルコア部の全幅に対して0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。
【0037】
各第2部位の幅が上記全幅に対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。各第2部位の幅が上記全幅に対して0.9倍以下であれば、ミドルコア部に占める第1部位の割合が多くなり易い。そのため、上記(13)のリアクトルは、第2部位を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1エンドコア部および第2エンドコア部の第1部位とミドルコア部の第1部位との接合領域が大きくなり易い。そのため、第1エンドコア部および第2エンドコア部とミドルコア部とが良好に接合され易い。
【0038】
(14)上記(1)から上記(13)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々の厚さは、前記ミドルコア部の全厚さに対して0.1倍以上1.0倍以下であってもよい。
【0039】
各第2部位の厚さが上記全厚さに対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。各第2部位の厚さが上記全厚さに対して1.0倍以下であれば、ミドルコア部に占める第1部位の割合が多くなり易い。そのため、上記(14)のリアクトルは、第2部位を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1エンドコア部および第2エンドコア部の第1部位とミドルコア部の第1部位との接合領域が大きくなり易い。そのため、第1エンドコア部および第2エンドコア部とミドルコア部とが良好に接合され易い。
【0040】
(15)上記(1)から上記(14)のいずれかのリアクトルにおいて、前記ミドルコア部の前記第2部位の各々の長さは、前記ミドルコア部の全長に対して0.05倍以上0.45倍以下であってもよい。
【0041】
各第2部位の長さが上記全長に対して0.05倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。各第2部位の長さが上記全長に対して0.45倍以下であれば、ミドルコア部に占める第1部位の割合が多くなり易い。そのため、上記(15)のリアクトルは、第2部位を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。
【0042】
(16)上記(1)から上記(15)のいずれかのリアクトルにおいて、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位の厚さは、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の全厚さに対して0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。
【0043】
各第2部位の厚さが上記全厚さに対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。各第2部位の厚さが上記全厚さに対して0.9倍以下であれば、第1エンドコア部および第2エンドコア部に占める第1部位の割合が多くなり易い。そのため、上記(16)のリアクトルは、第2部位を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1エンドコア部および第2エンドコア部の第1部位とミドルコア部の第1部位との接合領域が大きくなり易い。そのため、第1エンドコア部および第2エンドコア部とミドルコア部とが良好に接合され易い。
【0044】
(17)本開示の一形態に係るコンバータは、上記(1)から上記(16)のいずれかのリアクトルを備える。
【0045】
上記コンバータは、上記リアクトルを備えるため、低損失である。
【0046】
(18)本開示の一形態に係る電力変換装置は、上記(17)のコンバータを備える。
【0047】
上記電力変換装置は、上記コンバータを備えるため、低損失である。
【0048】
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。図面における各部の寸法比も実際と異なる場合がある。
【0049】
《実施形態1》
〔リアクトル〕
図1から
図5を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。リアクトル1は、
図1に示すように、コイル2と磁性コア3とを備える。コイル2は、らせん状に巻回された巻線で構成されている。磁性コア3は、環状の平面形状を有する。磁性コア3は、ミドルコア部4と、サイドコア部5と、第1エンドコア部6と、第2エンドコア部7とを有する。ミドルコア部4は、コイル2の内部に配置される。サイドコア部5は、コイル2の外部において、ミドルコア部4と並列に配置されている。第1エンドコア部6は、ミドルコア部4のおよびサイドコア部5の第1端部同士をつなぐようにコイル2の第1端面に向かい合って配置されている。第2エンドコア部7は、ミドルコア部4およびサイドコア部5の第2端部同士をつなぐようにコイル2の第2端面に向かい合って配置されている。
【0050】
実施形態1のリアクトル1の特徴の1つは、以下の要件(a)から要件(d)を満たしている点にある。
(a)コイル2の外周面は、磁性コア3から露出されている部分を有する。
(b)ミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bは、特定の比透磁率の大小関係を満たす第1部位41と第2部位42とを有する。
(c)第1エンドコア部6および第2エンドコア部7は、特定の比透磁率の大小関係を満たす第1部位61、71および第2部位62、72を有する。
(d)ミドルコア部4の各第1部位41と第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の第1部位61、71とはつながっていて、ミドルコア部4の各第2部位42と第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の第2部位62、72とはつながっている。
図1、
図2では、説明の便宜上、第2部位42、62、72にクロスハッチングが付されている。この点は、後述する実施形態2、3で参照する
図6、
図7、
図9、
図10でも同様である。
【0051】
以下の説明では、次のように定義されたX1方向、X2方向、Y1方向、Y2方向、Z1方向、およびZ2方向を用いる。
X1方向は、コイル2の軸に沿ってコイル2の第2端面から第1端面に向かう方向である。X2方向は、X1方向の反対方向である。
Y1方向は、ミドルコア部4とサイドコア部5とが並列に配置される方向に沿った方向であって、サイドコア部5からミドルコア部4に向かう方向である。Y2方向は、Y1方向の反対方向である。
Z1方向は、X1方向とY1方向の両方に直交する方向である。Z2方向は、Z1方向の反対方向である。
【0052】
リアクトル1のX1方向に沿った長さを単に長さという。
リアクトル1のY1方向に沿った長さを幅という。
リアクトル1のZ1方向に沿った長さを厚さまたは高さという。
Z2方向に磁性コア3を見た際の磁性コア3の形状が平面形状である。即ち、上述した磁性コア3が環状の平面形状を有するとは、Z2方向に磁性コア3を見た際の磁性コア3の形状が環状であることをいう。説明の便宜上、Z1方向を上、Z2方向を下、という。
【0053】
[コイル]
図1、
図2に示されるように、本例のコイル2の数は1つである。コイル2の数が1つであるリアクトル1は、コイル2の数が複数である場合に比較してコイル2が成形し易い。コイル2の数が1つであるリアクトル1は、コイル2の数が複数である場合に比較して部品点数が少ない。よって、コイル2の数が1つであるリアクトル1は生産性に優れる。コイル2の数が1つであることで、複数のコイル2をY2方向に並列に配置する場合に比較して、リアクトル1の幅が短くなり易い。複数のコイル2は、巻線がらせん状に巻回された複数の巻回部を有する。各巻回部を構成する巻線は、互いに独立していてもよいし、一連に構成されていてもよい。各巻回部を構成する巻線が互いに独立していて、各巻線同士は各巻線同士を電気的に接続する部材によって接続されていてもよい。
【0054】
コイル2の形状は、
図2に示されるように、レーストラック形状の筒状である。
図5に示されるように、X1方向からみたコイル2の外周形状はレーストラック形状である。即ち、X1方向からみたコイル2の端面形状はレーストラック形状の枠状である。
図5には、ミドルコア部4およびサイドコア部5と第1エンドコア部6との間の位置でリアクトル1を切断した状態が示されている。コイル2の形状がレーストラック形状の筒状であることで、コイル2が同じ断面積の円形筒状である場合に比較して、コイル2と平面状の設置対象との接触面積を大きくし易い。そのため、リアクトル1は、コイル2の熱を設置対象に伝え易い。設置対象は例えば冷却ベースである。その上、コイル2の外周形状がレーストラック形状であることで、コイル2の高さを低くすることができる。コイル2の形状は、扁平形状の筒状であってもよい。例えば、コイル2の形状は、コイル2の幅が高さよりも長い四角筒状であってもよい。
【0055】
コイル2の外周面は、磁性コア3から露出されている部分を有する。磁性コア3から露出されている部分とは、コイル2の外周面のうち磁性コア3に直接接触していない部分をいう。コイル2の外周面は、上面と下面と第1側面と第2側面とを有する。上面と下面とは互いに反対に向く面である。上面は、Z1方向に向く面である。下面は、Z2方向に向く面である。第1側面と第2側面とは互いに反対に向く面である。第1側面は、Y1方向に向く面である。第1側面は、上面と下面とをつないでいる。第2側面は、Y2方向に向く面である。即ち、第2側面はサイドコア部5に向かい合っている面である。第2側面は、上面と下面とをつないでいる。本例では、上面、下面、第1側面、および第2側面、即ち外周面の全面が磁性コア3から露出されている。第2側面のようにサイドコア部5と間隔を空けて向かい合っている場合も、磁性コア3から露出されている部分に含まれる。
【0056】
本例のコイル2の上面は、後述するサイドコア部5の上面、第1エンドコア部6の上面、および第2エンドコア部7の上面と実質的に面一である。本例のコイル2の下面は、サイドコア部5の下面、第1エンドコア部6の下面、および第2エンドコア部7の下面と実質的に面一である。本明細書における2つの面が実質的に面一とは、2つの面における平面度が0.4mm以下を言う。2つの面における平面度は、更に0.2mm以下、0.1mm以下、0.05mm以下でもよい。ここでいう平面度は、JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示に準拠している。
【0057】
例えば露出されたコイル2の下面が設置対象に接触すると、コイル2の熱が設置対象に直接伝えられる。本例では、上述したように、コイル2の下面とサイドコア部5の下面と第1エンドコア部6の下面と第2エンドコア部7の下面とが実質的に面一であるため、コイル2の熱だけでなく、サイドコア部5、第1エンドコア部6、および第2エンドコア部7の熱も設置対象に直接伝えられる。この点は、コイル2の上面が設置対象に接触する場合も同様である。よって、リアクトル1は、放熱性に優れる。
【0058】
コイル2を構成する巻線は、
図1、
図2に示されるように、接合部の無い一連の巻線である。巻線は、公知の巻線である。本例の巻線は、被覆平角線を用いている。被覆平角線の導体線は、銅製の平角線で構成されている。被覆平角線の絶縁被覆は、エナメルからなる。本例のコイル2は、被覆平角線がエッジワイズ巻きされてなる。本例とは異なり、コイル2は、被覆平角線がフラットワイズ巻きされて構成されていてもよい。
【0059】
図示が省略されているものの、本例の巻線の第1端部および第2端部は、同一方向に引き出されている。具体的には、巻線の第1端部および第2端部は、コイル2の第1端部および第2端部において、Y1方向に向かって引き出されている。即ち、巻線の第1端部と第2端部とは、後述するサイドコア部5から遠ざかるように引き出されている。巻線の第1端部は、コイル2の上面に沿っている。巻線の第2端部は、コイル2の下面に沿っている。巻線の第1端部の上面は、コイル2の上面と実質的に面一であり、巻線の第2端部の下面は、コイル2の下面と実質的に面一である。そのため、コイル2の下面または上面が設置対象に接触し易い。
【0060】
巻線の第1端部および第2端部は、図示が省略されているものの、絶縁被覆が剥がされて導体線が露出されている。露出された導体線には、図示しない端子部材が接続される。端子部材には図示しない外部装置が接続される。外部装置は、例えばコイル2に電力供給を行なう電源である。
【0061】
[磁性コア]
磁性コア3は、ミドルコア部4、サイドコア部5、第1エンドコア部6、および第2エンドコア部7によって閉磁路を構成する。本例の磁性コア3の平面形状は矩形環状である。
図1、
図3では説明の便宜上、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の各々とミドルコア部4との境界、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の各々とサイドコア部5との境界が二点鎖線で示されている。
図2では、説明の便宜上、ミドルコア部4の各第2部位42と、第1エンドコア部6の重複部62aおよび第2エンドコア部7の重複部72aの各々との境界が二点鎖線で示されている。
図2、
図3では説明の便宜上、第1エンドコア部6の重複部62aおよび第2エンドコア部7の重複部72aの各々と、第1エンドコア部6の延長部62bおよび第2エンドコア部7の延長部72bの各々との境界が二点鎖線で示されている。
図4では、説明の便宜上、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の各々とミドルコア部4との境界が二点鎖線で示されている。
【0062】
(ミドルコア部)
ミドルコア部4は、
図1、
図3、
図4に示されるように、コイル2の内部に配置されている部分を有する。本例のミドルコア部4の形状は、コイル2の内周輪郭形状に対応した形状である。ミドルコア部4の形状は柱状である。
図5に示されるように、X1方向から見たミドルコア部4の外周形状はレーストラック形状である。
【0063】
ミドルコア部4の幅はミドルコア部4の厚さよりも大きい。ミドルコア部4の幅とは、Y1方向に沿った長さのうち最大長さをいう。ミドルコア部4の厚さは、Z1方向に沿った長さのうち最大長さをいう。本例では、ミドルコア部4の幅はサイドコア部5の幅よりも大きい。サイドコア部5の幅とは、Y1方向に沿った長さのうち最大長さをいう。リアクトル1は、サイドコア部5よりも幅の広いミドルコア部4にコイル2が配置されていることで、サイドコア部5と同等の幅を有するミドルコア部4にコイル2が配置されているリアクトル1Xに比較して、コイル2の幅が広い。コイル2の幅とは、Y1方向に沿った長さのうち最大長さをいう。
【0064】
リアクトル1が平面状の設置対象に設置される際、コイル2の幅の広い面が設置対象に接触する。そのため、リアクトル1は、上記リアクトル1Xに比較して、コイル2と設置対象との接触面積を大きくできる。リアクトル1は、上記リアクトル1Xに比較して、コイル2の熱を設置対象に伝え易い。よって、リアクトル1は放熱性に優れる。リアクトル1は、サイドコア部5よりも幅の広いミドルコア部4にコイル2が配置されていることで、上記リアクトル1Xに比較してコイル2の断面積を大きくすることができる。そのため、リアクトル1は、上記リアクトル1Xに比較して、コイル2の数が1つでありながらインダクタンスを大きくし易い。よって、リアクトル1はインダクタンスに優れる。ミドルコア部4の厚さは、サイドコア部5、第1エンドコア部6、および第2エンドコア部7の厚さよりも小さい。
【0065】
本例のミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bは、
図3および
図4に示されるように、互いに比透磁率の異なる第1部位41と第2部位42の2種類の部位で構成されている。
図2では、説明の便宜上、ミドルコア部4の第1部位41は、第1エンドコア部6の第1部位61および第2エンドコア部7の第1部位71と離れて示されているが、実際のミドルコア部4の第1部位41は、第1部位61および第1部位71と一連に構成されている。第1端部4aは、ミドルコア部4におけるX1方向の端部である。第2端部4bは、ミドルコア部4におけるX2方向の端部である。第2部位42の比透磁率は、第1部位41よりも比透磁率が大きい。第1部位41および第2部位42の具体的な比透磁率は後述する。ミドルコア部4における第1端部4aと第2端部4bとの間の部分は、第1部位41によって構成されている。即ち、ミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bの各々の一部と、第1端部4aと第2端部4bとの間の部分とが第1部位41によって構成され、ミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bの各々のうち第1部位41を除く部分が第2部位42によって構成されている。
【0066】
各第2部位42は、ミドルコア部4の幅に沿った方向の中央、上記幅に沿った方向の両端、または上記幅に沿った方向のいずれかの端部に設けられている。上記幅に沿った方向の中央に設けられているとは、第2部位42を通るX-Y断面において、Y1方向に向かって第1部位41、第2部位42、および第1部位41の順に配置されていることをいう。ここでいう上記幅に沿った方向の中央に設けられているには、ミドルコア部4の幅の中心と第2部位42の幅の中心とが一致する場合はもちろん含まれるが、ミドルコア部4の幅の中心と第2部位42の幅の中心とが一致しない場合も含まれる。上記幅に沿った方向の両端に設けられているとは、第2部位42を通るX-Y断面において、Y1方向にむかって第2部位42、第1部位41、第2部位42の順に配置されていることをいう。上記幅に沿った方向のいずれかの端部に設けられているとは、第1の配置形態または第2の配置形態のいずれかをいう。第1の配置形態とは、第2部位42を通るX-Y断面において、Y1方向に向かって第2部位42および第1部位41の順に配置されている形態をいう。第2の配置形態とは、第2部位42を通るX-Y断面において、Y1方向に向かって第1部位41および第2部位42の順に配置されている形態をいう。
【0067】
各第2部位42の幅は、例えば、ミドルコア部4の全幅に対して0.1倍以上0.9倍以下である。即ち、各第2部位42は、ミドルコア部4の幅に沿った方向の全長にわたっていない。各第2部位の幅が上記全幅に対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。そのため、損失が低減され易い。各第2部位42の幅が上記全幅に対して0.9倍以下であれば、ミドルコア部4に占める第1部位41の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位42を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1部位61、71とミドルコア部4の第1部位41との接合領域が大きくなり易い。そのため、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7とミドルコア部4とが良好に接合され易い。各第2部位42の幅は、例えば、上記全幅に対して0.2倍以上0.8倍以下、または0.3倍以上0.7倍以下であってもよい。
【0068】
各第2部位42の厚さは、例えば、ミドルコア部4の全厚さに対して0.1倍以上1.0倍以下である。各第2部位42の厚さが上記全厚さに対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。各第2部位42の厚さが上記全厚さに対して1.0倍以下であれば、ミドルコア部4に占める第1部位41の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位42を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1部位61、71とミドルコア部4の第1部位41との接合領域が大きくなり易い。そのため、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7とミドルコア部4とが良好に接合され易い。各第2部位42の厚さは、例えば、上記全厚さに対して0.2倍以上0.9倍以下、または0.3倍以上0.8倍以下であってもよい。
【0069】
各第2部位42の厚さが上記全厚さに対して0.1倍以上1.0倍未満である場合、各第2部位42はミドルコア部4の厚さに沿った方向の全長にわたっていない。この場合、各第2部位42は、ミドルコア部4の厚さに沿った方向の中央、両端、またはいずれかの端部に設けられている。上記厚さに沿った方向の中央に設けられているとは、第2部位42を通るX-Z断面において、Z1方向に向かって第1部位41、第2部位42、および第1部位41の順に配置されていることをいう。ここでいう上記厚さに沿った方向の中央に設けられているには、ミドルコア部4の厚さの中心と第2部位42の厚さの中心とが一致する場合はもちろん含まれるが、ミドルコア部4の厚さの中心と第2部位42の厚さの中心とが一致しない場合も含まれる。上記厚さに沿った方向の両端に設けられているとは、第2部位42を通るX-Z断面において、Z1方向に向かって第2部位42、第1部位41、および第2部位42の順に配置されていることをいう。上記厚さに沿った方向のいずれかの端部に設けられているとは、第3の配置形態または第4の配置形態のいずれかをいう。第3の配置形態とは、第2部位42を通るX-Z断面において、Z1方向に向かって第2部位42および第1部位41の順に配置されている形態をいう。第4の配置形態とは、第2部位42を通るX-Z断面において、Z1方向に向かって第1部位41および第2部位42の順に配置されている形態をいう。
【0070】
各第2部位42の厚さが上記全厚さに対して1倍である場合、第2部位42はミドルコア部4の厚さに沿った方向の全長にわたっている。この場合、各第2部位42の幅は、例えば、ミドルコア部4の全幅に対して0.1倍以上0.9倍以下である。
【0071】
各第2部位42の長さは、例えば、ミドルコア部4の全長に対して0.05倍以上0.45倍以下である。各第2部位42の長さが上記全長に対して0.05倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。各第2部位42の長さが上記全長に対して0.45倍以下であれば、ミドルコア部4に占める第1部位41の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位42を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。各第2部位42の長さは、例えば、上記全長に対して0.1倍以上0.4倍以下、または0.15倍以上0.35倍以下であってもよい。
【0072】
本例の各第2部位42は、第2部位42を通るX-Y断面において、ミドルコア部4の幅に沿った方向の中央、かつ第2部位42を通るX-Z断面において、ミドルコア部4の厚さに沿った方向の中央に設けられている。即ち、本例のミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bは、第2部位42を通るX-Y断面において、Y1方向に向かって第1部位41、第2部位42、および第1部位41の順に配置されていて、第2部位42を通るX-Z断面において、Z1方向に向かって第1部位41、第2部位42、および第1部位41の順に配置されている。
【0073】
本例とは異なり、各第2部位42の厚さがミドルコア部4の全厚さの1.0倍未満であり、かつ、各第2部位42の厚さがミドルコア部4の厚さに沿った方向の中央に設けられていれば、各第2部位42はミドルコア部4の幅に沿った方向の全長にわたっていてもよい。
【0074】
(サイドコア部)
サイドコア部5は、
図1、
図3、および
図5に示されるように、コイル2が配置されることなくミドルコア部4と並列に配置されている。
図2では、説明の便宜上、サイドコア部5は第1エンドコア部6および第2エンドコア部7と離れて示されているが、実際のサイドコア部5は第1エンドコア部6および第2エンドコア部7と一連に構成されている。サイドコア部5は、単一部材で構成されている。本例のサイドコア部5は、ミドルコア部4の第1部位41と同じ材質の第1部位で構成されている。
【0075】
サイドコア部5の形状は四角柱状である。
図5に示されるように、X1方向から見たサイドコア部5の外周形状は長方形状である。
図5に示されるサイドコア部5の外周形状の四つの角部は角ばっているものの丸められていてもよい。
図1に示されるように、サイドコア部5のX1方向に沿った長さは、ミドルコア部4のX1方向に沿った長さと同じである。
【0076】
本例では、サイドコア部5の幅はサイドコア部5の厚さよりも小さい。本例とは異なり、サイドコア部5の幅は、サイドコア部5の厚さと同等でもよいし、サイドコア部5の厚さよりも大きくてもよい。本例のサイドコア部5の厚さは、ミドルコア部4の厚さよりも大きい。本例と異なり、サイドコア部5の厚さは、ミドルコア部4の厚さと同等であってもよい。本例のサイドコア部5の厚さは、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の厚さと同じである。本例と異なり、サイドコア部5の厚さは、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の厚さよりも小さくても大きくてもよい。
【0077】
(第1エンドコア部・第2エンドコア部)
第1エンドコア部6は、ミドルコア部4とサイドコア部5の第1端部同士をつないでいる。第2エンドコア部7は、ミドルコア部4とサイドコア部5の第2端部同士をつないでいる。第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の形状は、同一形状である。第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の形状は四角柱状である。
【0078】
第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の平面形状は、
図1、
図2に示されるように、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の第1端面から第2端面に向かって幅が狭くなっている台形状である。第1エンドコア部6の第1端面は、X2方向に向いている面である。第2エンドコア部7の第1端面は、X1方向に向いている面である。第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の第1端面は、ミドルコア部4およびサイドコア部5に向いている面である。第1エンドコア部6の第2端面は、X1方向に向いている面である。第2エンドコア部7の第2端面は、X2方向に向いている面である。
【0079】
本例では
図5に示されるように、X1方向から見た第2エンドコア部7の外周形状は長方形状である。第2エンドコア部7の幅は、第2エンドコア部7の厚さよりも大きい。図示が省略されているものの、X2方向から見た第1エンドコア部6の外周形状も長方形状である。第1エンドコア部6の幅は、第2エンドコア部7の幅と同じである。第1エンドコア部6の厚さは、第2エンドコア部7の厚さと同じである。即ち、第1エンドコア部6の幅は、第1エンドコア部6の厚さよりも大きい。
【0080】
第1エンドコア部6および第2エンドコア部7は、ミドルコア部4の第1部位41につながっている第1部位61、71と、ミドルコア部4の第2部位42につながっている第2部位62、72とを有する。第2部位62、72の比透磁率は、第1部位61、71の比透磁率よりも大きい。本例の第1部位61、71は第1部位41と同じ材質である。本例の第2部位62、72は第2部位42と同じ材質である。第1エンドコア部6と第2エンドコア部7とは同じ構成であるため、以下の説明は第1エンドコア部6を例に説明する。
【0081】
本例の第2部位62は、第1エンドコア部6の厚さに沿った方向の中央に設けられている。上記厚さに沿った方向の中央に設けられているとは、第2部位62を通るX-Z断面において、Z1方向に向かって第1部位61、第2部位62、および第1部位61の順に配置されていることをいう。ここでいう上記厚さに沿った方向の中央に設けられているには、第1エンドコア部6の厚さの中心と第2部位62の厚さの中心とが一致する場合はもちろん含まれるが、第1エンドコア部6の厚さの中心と第2部位62の厚さの中心とが一致しない場合も含まれる。本例では、第2部位42と第2部位62との一体物の平面形状はT字状である。
【0082】
本例の第2部位62は、
図3に示されるように、重複部62aと延長部62bとを有する。重複部62aは、
図3、
図4に示されるように、X1方向から見た際、第2部位42に重なる部位である。重複部62aは、第2部位42につながっている。重複部62aの幅および厚さは、第2部位42の幅および厚さと同じである。延長部62bは、X1方向から見た際、
図3に示されるように、第2部位42に重なることなく重複部62aからY1方向またはY2方向に向かって延びている部位である。本例の延長部62bは、重複部62aからY1方向に向かって延びる第1の延長部62bと、Y2方向に向かって延びる第2の延長部62bとを有する。本例とは異なり、延長部62bは、上記第2の延長部62bを有しておらず、第1の延長部62bのみで構成されていてもよいし、上記第1の延長部62bを有しておらず、第2の延長部62bのみで構成されていてもよい。
【0083】
第1の延長部62bは、X1方向から見た際、Y1方向の端部に位置する第1部位41にのみ重なるように設けられていてもよいし、Y1方向の端部に位置する第1部位41およびコイル2の両方に重なるように設けられていてもよい。第2の延長部62bは、X1方向から見た際、Y2方向の端部に位置する第1部位41にのみ重なるように設けられていてもよいし、Y2方向の端部に位置する第1部位41およびコイル2の両方に重なるように設けられていてもよい。また、第2の延長部62bは、X1方向から見た際、Y2方向におけるコイル2とサイドコア部5との間にまでわたって設けられていてもよいし、サイドコア部5に重なる箇所にまでわたって設けられていてもよい。
【0084】
本例の第1の延長部62bは、X1方向から見た際、Y1方向の端部に位置する第1部位41およびコイル2の両方に重なるように設けられている。本例の第2の延長部62bは、X1方向から見た際、サイドコア部5に重なる箇所にまでわたって設けられている。
【0085】
第2部位62の幅は、例えば、第1エンドコア部6の全幅に対して0.1倍以上0.9倍以下である。即ち、第2部位62は、第1エンドコア部6の幅に沿った方向の全長にわたっていない。上記全幅とは、第1エンドコア部6の幅に沿った長さの最大長さをいう。本例の上記最大長さは、上記第1端面の幅である。そのため、本例の第2部位62の幅は、第1端面の幅に対して0.1倍以上0.9倍以下である。第2部位62の幅が上記全幅に対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。第2部位62の幅が上記全幅に対して0.9倍以下であれば、第1エンドコア部6に占める第1部位61の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位62を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1部位61とミドルコア部4の第1部位41との接合領域が大きくなり易い。第2部位62の幅は、上記全幅に対して0.2倍以上0.8倍以下、または0.3倍以上0.7倍以下であってもよい。
【0086】
本例のように、第2部位62が重複部62aと延長部62bとを有する場合、重複部62aと延長部62bの合計の幅が上記範囲を満たす。重複部62aの幅および延長部62bの幅は、各々における幅に沿った長さの最大長さをいう。延長部62bの幅は、重複部62aの幅と同じでもよいし、重複部62aの幅よりも小さくても大きくてもよい。
【0087】
図4に示されるように、第2部位62の厚さは、例えば、第1エンドコア部6の全厚さに対して0.1倍以上0.9倍以下である。即ち、第2部位62は、第1エンドコア部6の厚さに沿った方向の全長にわたっていない。第2部位62の厚さが上記全厚さに対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。第2部位62の厚さが上記全厚さに対して0.9倍以下であれば、第1エンドコア部6に占める第1部位61の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位62を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。その上、第1部位61と第1部位41との接合領域が大きくなり易い。そのため、第1エンドコア部6とミドルコア部4とが良好に接合され易い。第2部位62の厚さは、上記全厚さに対して0.2倍以上0.8倍以下、または0.3倍以上0.7倍以下であってもよい。
【0088】
本例のように、第2部位62が重複部62aと延長部62bとを有する場合、重複部62aと延長部62bの各々の厚さが上記範囲を満たす。延長部62bの厚さは、重複部62aの厚さと同じでもよいし、重複部62aの厚さよりも小さくても大きくてもよい。
【0089】
図3に示されるように、第2部位62の長さは、例えば、第1エンドコア部6の全長に対して0.1倍以上1.0倍以下である。第2部位62の長さが上記全長に対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。第2部位62の長さが上記全長に対して1.0倍以下であれば、第1エンドコア部6に占める第1部位61の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位62を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。第2部位62の長さは、上記全長に対して0.2倍以上0.9倍以下、または0.3倍以上0.8倍以下であってもよい。
【0090】
本例のように、第2部位62が重複部62aと延長部62bとを有する場合、重複部62aと延長部62bの各々の長さが上記範囲を満たす。重複部62aの長さは、例えば、上記全長に対して0.1倍以上1.0倍以下である。重複部62aの長さが上記全長に対して0.1倍以上であれば、漏れ磁束が低減され易い。重複部62aの長さが上記全長に対して1.0倍以下であれば、第1エンドコア部6に占める第1部位61の割合が多くなり易い。そのため、リアクトル1は、第2部位62を備えていることに伴う磁気飽和が起こり難いので、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。重複部62aの長さは、上記全長に対して0.2倍以上0.9倍以下、または0.3倍以上0.8倍以下であってもよい。本例の重複部62aの長さは、上記全長に対して1倍である。延長部62bの長さは、重複部62aの長さと同じでもよいし、重複部62aの長さよりも短くても長くてもよい。本例の延長部62bの長さは、重複部62aの長さよりも短い。
【0091】
(第1角部から第4角部)
第1角部81は、ミドルコア部4の第1端部4aにおけるY2方向の端部と第1エンドコア部6とで構成される角部である。第2角部82は、ミドルコア部4の第2端部4bにおけるY2方向の端部と第2エンドコア部7とで構成される角部である。第3角部83は、サイドコア部5の第1端部におけるY1方向の端部と第1エンドコア部6とで構成される角部である。第4角部84は、サイドコア部5の第2端部におけるY1方向の端部と第2エンドコア部7とで構成される角部である。本例の第1角部81は第1部位41、61によって構成されている。本例の第2角部82は第1部位41、71によって構成されている。本例の第3角部83はサイドコア部5の第1部位と第1部位61とによって構成されている。本例の第4角部84はサイドコア部5の第1部位と第1部位71とによって構成されている。
【0092】
(比透磁率)
第2部位42、62、72の比透磁率は、上述したように第1部位41、61、71の比透磁率よりも大きい。上記比透磁率の大小関係を満たした上で、第1部位41、61、71の比透磁率は例えば5以上50以下であり、第2部位42、62、72の比透磁率は例えば50以上500以下である。第1部位41、61、71の比透磁率が上記上・下限を満たすことで、第2部位42、62、72を備えることに伴う磁気飽和が起こり難いため、大電流の使用環境下でも高いインダクタンスを保ち易い。第2部位42、62、72の比透磁率が上記上・下限を満たすことで、第2部位42、62、72に磁束が通り易いため、漏れ磁束が低減され易い。第1部位41、61、71の比透磁率は、10以上45以下、または15以上40以下でもよい。第2部位42、62、72の比透磁率は、55以上450以下、または60以上400以下でもよい。
【0093】
比透磁率は、次のようにして求める。第1部位41、61、71と第2部位42、62、72のそれぞれからリング状の測定試料を切り出す。各々の測定試料に1次側:300巻き、2次側:20巻きの巻線を施す。B-H初磁化曲線をH=0(Oe)以上100(Oe)以下の範囲で測定し、このB-H初磁化曲線の傾きの最大値を求め、この最大値を比透磁率とする。ここでの磁化曲線とはいわゆる直流磁化曲線である。
【0094】
(材質)
第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とは、互いに比透磁率の異なる成形体で構成されている。成形体は、圧粉成形体または複合材料の成形体のいずれかである。例えば、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが圧粉成形体で構成されていても、圧粉成形体を構成する軟磁性粉末の材質や含有量が異なれば、互いの比透磁率が異なる。また、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが複合材料の成形体で構成されていても、複合材料を構成する軟磁性粉末と樹脂の少なくとも一方の材質が異なれば、或いは、軟磁性粉末と樹脂の材質が同じであっても軟磁性粉末および樹脂の含有量が異なれば、互いの比透磁率が異なる。そのため、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが圧粉成形体で構成されていてもよいし、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが複合材料の成形体で構成されていてもよいし、第1部位41、61、71が複合材料の成形体で構成されていて、第2部位42、62、72が圧粉成形体で構成されていてもよい。本例の第1部位41、61、71は同じ複合材料の成形体で構成され、第2部位42、62、72は同じ圧粉成形体で構成されている。
【0095】
複合材料の成形体は、樹脂中の軟磁性粉末の含有割合を容易に調整できる。そのため、複合材料の成形体は、磁気特性を調整し易い。その上、複合材料の成形体は、圧粉成形体に比較して、複雑な形状でも形成し易い。複合材料の成形体中の軟磁性粉末の含有割合は、例えば20体積%以上80体積%以下である。複合材料の成形体中の樹脂の含有割合は、例えば20体積%以上80体積%以下である。これらの含有割合は、複合材料の成形体の体積を100%とする場合に対する割合である。
【0096】
圧粉成形体は、複合材料の成形体に比較して、磁性コア3に占める軟磁性粉末の割合を高くできる。そのため、圧粉成形体は、磁気特性を高め易い。磁気特性としては、比透磁率や飽和磁束密度が挙げられる。また、圧粉成形体は、複合材料の成形体に比較して、樹脂の量が少なく軟磁性粉末の量が多いため、放熱性に優れる。圧粉成形体中の軟磁性粉末の含有割合は、例えば85体積%以上99体積%以下である。この含有割合は、圧粉成形体の体積を100%とする場合に対する割合である。
【0097】
軟磁性粉末を構成する粒子は、例えば、軟磁性金属の粒子、被覆粒子、または軟磁性非金属の粒子である。被覆粒子は、軟磁性金属の粒子と、軟磁性金属の粒子の外周に設けられている絶縁被覆とを備える。軟磁性金属は、例えば、純鉄または鉄基合金である。鉄基合金は、例えば、Fe-Si合金またはFe-Ni合金である。絶縁被覆は、例えばリン酸塩である。軟磁性非金属は、例えばフェライトである。
【0098】
複合材料の成形体の樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、またはウレタン樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド樹脂、またはフッ素樹脂である。PA樹脂は、例えば、ナイロン6、ナイロン66、またはナイロン9Tである。
【0099】
複合材料の成形体はフィラーを含有していてもよい。フィラーは、例えばアルミナまたはシリカなどの非磁性粉末である。フィラーは、放熱性および電気絶縁性の向上に寄与する。
【0100】
複合材料の成形体中における軟磁性粉末の含有割合および圧粉成形体中における軟磁性粉末の含有割合は、成形体の断面における軟磁性粉末の面積割合と等価とみなす。成形体中における軟磁性粉末の含有割合は、次のようにして求める。成形体の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して観察画像を取得する。成形体の断面は、任意の断面である。SEMの倍率は、200倍以上500倍以下とする。観察画像の取得数は、10個以上とする。総断面積は、0.1cm2以上とする。1断面につき1つの観察画像を取得してもよいし、1断面につき複数の観察画像を取得してもよい。取得した各観察画像を画像処理して粒子の輪郭を抽出する。画像処理としては、例えば、二値化処理が挙げられる。各観察画像において軟磁性粒子の面積割合を算出し、その面積割合の平均値を求める。その平均値を軟磁性粉末の含有割合とみなす。
【0101】
(磁束の流れ)
磁束は、ミドルコア部4、第1エンドコア部6、サイドコア部5、第2エンドコア部7、およびミドルコア部4の順に通る。磁束は、第1端部4aと第1エンドコア部6との接合箇所の近くにおいて、第2部位42および第2部位62の重複部62aを通り易い。第1角部81が第1部位41、61によって構成されているものの、磁束は、第1角部81において、第2部位42と、重複部62aおよび第2の延長部62bとに引き寄せられ易い。第3角部83がサイドコア部5の第1部位と第1部位61とによって構成されているものの、第3角部83の近くに第1エンドコア部6の第2の延長部62bが設けられている。そのため、磁束は、第3角部83において、第2の延長部62bに引き寄せられ易い。
【0102】
第4角部84がサイドコア部5の第1部位と第1部位71とによって構成されているものの、磁束は、第4角部84において、第2部位72の第2の延長部72bに引き寄せられ易い。磁束は、第2エンドコア部7と第2端部4bとの接合箇所の近くにおいて、第2の延長部72bおよび重複部72aと第2部位42とを通り易い。第2角部82が第1部位41、71によって構成されているものの、磁束は、第2角部82において、第2の延長部72bおよび重複部72aと、第2部位42とに引き寄せられ易い。
【0103】
よって、本例のリアクトル1は、各接合箇所から磁束が漏れ難い。
【0104】
[製造方法]
本例のリアクトル1は、次の工程αおよび工程βを行うことで製造される。
【0105】
工程αは、コイル2と第1の一体物と第2の一体物とを金型に配置する。第1の一体物は、ミドルコア部4の第1端部4aの第2部位42と第1エンドコア部6の第2部位62との一体物である。第2の一体物は、ミドルコア部4の第2端部4bの第2部位42と第2エンドコア部7の第2部位72との一体物である。本例の第1の一体物および第2の一体物は、圧粉成形体である。
【0106】
工程βは、複合材料の成形体の原料を金型内のコイル2の内部および外部に充填する。金型内のコイル2の外部とは、サイドコア部5の形成空間と、第1エンドコア部6の形成空間と、第2エンドコア部7の形成空間とを含む。原料は、未固化の樹脂中に軟磁性粉末を分散した流動性の素材である。充填された上記原料の樹脂が固化すると、上述したミドルコア部4の第1部位41、サイドコア部5、第1エンドコア部6の第1部位61、および第2エンドコア部7の第1部位71が形成される。第1エンドコア部6の第1部位61および第2エンドコア部7の第1部位71とミドルコア部4の第1部位41とが一体化され、第1エンドコア部6の第1部位61および第2エンドコア部7の第1部位71とサイドコア部5とが一体化される。ミドルコア部4および第1エンドコア部6の第1部位61と第1の一体物とが一体化され、ミドルコア部4および第2エンドコア部7の第1部位71と第2の一体物とが一体化される。
【0107】
工程αおよび工程βを行うことでリアクトル1を製造できるため、上記リアクトル1は生産性に優れる。
【0108】
《実施形態2》
図6から
図8を参照して、実施形態2のリアクトル1を説明する。実施形態2のリアクトル1は、ミドルコア部4における第2部位42の配置箇所と、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7における第2部位62、72の配置箇所と、が実施形態1と相違する。以下の説明は実施形態1との相違点を中心に行い、実施形態1と同様の構成および効果の説明は省略する。この点は、後述する実施形態3でも同様である。
【0109】
(ミドルコア部)
ミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bの第2部位42は、ミドルコア部4のX-Y断面において、ミドルコア部4の幅に沿った方向の両端、かつミドルコア部4のX-Z断面において、ミドルコア部4の厚さに沿った方向の中央に設けられている。
【0110】
(第1エンドコア部・第2エンドコア部)
第1エンドコア部6と第2エンドコア部7とは同じ構成であるため、以下の説明は第1エンドコア部6を例に説明する。第1エンドコア部6の第2部位62の数は2つである。2つの第2部位62は、第1エンドコア部6の厚さの中央に設けられている。2つの第2部位62の間には、第1部位61が設けられている。この第1部位61は、ミドルコア部4の第1端部4aの第1部位41につながっている。本例では、各第2部位42と各第2部位62との一体物の平面形状はL字状である。
【0111】
2つの第2部位62のうち一方の第2部位62は、ミドルコア部4のY1方向の端部に設けられた第2部位42に重複する重複部62aと、重複部62aからY1方向に向かって延びる延長部62bとで構成されている。重複部62aの長さは、第1エンドコア部6の全長に対して1.0倍未満である。Y1方向に向かって延びる延長部62bは、
図8に示されるように、X1方向から見た際、コイル2に重なるように設けられている。Y1方向に向かって延びる延長部62bの長さは、重複部62aの長さと同じである。
【0112】
2つの第2部位62のうち残りの第2部位62は、ミドルコア部4のY2方向の端部に設けられた第2部位42に重複する重複部62aと、重複部62aからY2方向に向かって延びる延長部62bとで構成されている。重複部62aの長さは、上記全長に対して1.0倍未満である。Y2方向に向かって延びる延長部62bは、X1方向から見た際、サイドコア部5に重なる箇所にまでわたっておらず、コイル2に重なるように設けられている。Y2方向に向かって延びる延長部62bの長さは、重複部62aの長さと同じである。
【0113】
(第1角部から第4角部)
第1角部81は第2部位42、62によって構成されている。第2角部82は第2部位42、72によって構成されている。第3角部83はサイドコア部5の第1部位と第1部位61とによって構成されている。第4角部84はサイドコア部5の第1部位と第1部位71とによって構成されている。
【0114】
(磁束の流れ)
磁束は、第1端部4aと第1エンドコア部6との接合箇所の近くにおいて、第2部位42と、第2部位62の重複部62aおよび延長部62bとを通り易い。第1角部81は第2部位42、62によって構成されているため、第1角部81を通る磁束は漏れ難い。また、磁束は、上記接合箇所の近くにおいて、第2部位42と、第2部位62の重複部62aおよびその重複部62aにつながる延長部62bとを通り易い。第3角部83はサイドコア部5の第1部位と第1部位61とによって構成されており、第3角部83の近くには第3角部83を通る磁束が引き寄せられる第2部位が設けられていない。しかし、第3角部83は第1角部81に比較して磁束が漏れ難い。
【0115】
第4角部84はサイドコア部5の第1部位と第1部位71とによって構成されていて、第4角部84の近くには磁束が引き寄せられる第2部位が設けられていない。しかし、第4角部84は第2角部82に比較して磁束が漏れ難い。磁束は、第2エンドコア部7と第2端部4bとの接合箇所の近くにおいて、Y2方向に向かって延びる延長部72bおよびその延長部72bにつながる重複部72aと、その重複部72aにつながる第2部位42とを通り易い。第2角部82は第2部位42、72によって構成されているため、第2角部82を通る磁束は漏れ難い。その上、磁束は、Y1方向の端部における重複部72aと第2部位42とを通り易い。
【0116】
よって、本例のリアクトル1は、各接合箇所から磁束が漏れ難い。
【0117】
《実施形態3》
図9から
図11を参照して、実施形態3のリアクトル1を説明する。実施形態3のリアクトル1は、ミドルコア部4における第2部位42の配置箇所と、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7における第2部位62、72の配置箇所と、が実施形態1と相違する。
【0118】
(ミドルコア部)
ミドルコア部4の第1端部4aおよび第2端部4bの第2部位42は、ミドルコア部4のX-Y断面において、ミドルコア部4の幅に沿った方向のいずれかの端部、かつミドルコア部4のX-Z断面において、ミドルコア部4の厚さに沿った方向の中央に設けられている。本例では、各第2部位42は、Y1方向の端部に設けられている。
【0119】
(第1エンドコア部・第2エンドコア部)
第1エンドコア部6と第2エンドコア部7とは同じ構成であるため、以下の説明は第1エンドコア部6を例に説明する。第2部位42につながる第1エンドコア部6の第2部位62は、第1エンドコア部6の厚さの中央に設けられている。本例では、第2部位42と第2部位62との一体物の平面形状はL字状である。第2部位62は、ミドルコア部4のY1方向の端部に設けられた第2部位42に重複する重複部62aと、重複部62aからY1方向に向かって延びる延長部62bとで構成されている。重複部62aの長さは、第1エンドコア部6の全長に対して1.0倍未満である。延長部62bは、
図11に示されるように、X1方向から見た際、コイル2に重なるように設けられている。延長部62bの長さは、重複部62aの長さと同じである。
【0120】
(第1角部から第4角部)
第1角部81は第1部位41、61によって構成されている。第2角部82は第1部位41、71によって構成されている。第3角部83はサイドコア部5の第1部位と第1部位61とによって構成されている。第4角部84はサイドコア部5の第1部位と第1部位71とによって構成されている。
【0121】
(磁束の流れ)
磁束は、第1端部4aと第1エンドコア部6との接合箇所の近くにおいて、第2部位42と、第2部位62の重複部62aおよび延長部62bとを通り易い。第1角部81は第1部位41、61によって構成されているものの、磁束は、第1角部81よりも第2部位42に引き寄せられ易い。そのため、第1角部81を通る磁束は漏れ難い。第3角部83はサイドコア部5の第1部位と第1部位61とによって構成されており、第3角部83の近くには磁束が引き寄せられる第2部位が設けられていない。しかし、第3角部83は第1角部81に比較して磁束が漏れ難い。
【0122】
第4角部84はサイドコア部5の第1部位と第1部位71とによって構成されていて、第4角部84の近くには磁束が引き寄せられる第2部位が設けられていない。しかし、第4角部84は第2角部82に比較して磁束が漏れ難い。磁束は、第2エンドコア部7と第2端部4bとの接合箇所の近くにおいて、延長部72bおよび重複部72aと、第2部位42とを通り易い。第2角部82は第1部位41、71によって構成されているものの、磁束は、重複部72aおよび第2部位42に引き寄せられ易い。そのため、第2角部82を通る磁束は漏れ難い。
【0123】
よって、本例のリアクトル1は、各接合箇所から磁束が漏れ難い。
【0124】
《実施形態4》
〔コンバータ・電力変換装置〕
実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル1は、以下の通電条件を満たす用途に利用できる。最大直流電流は例えば100A以上1000A以下程度である。平均電圧は例えば100V以上1000V以下程度である。使用周波数は例えば5kHz以上100kHz以下程度である。実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル1は、代表的には電気自動車、ハイブリッド自動車、または燃料電池自動車などの車両1200に載置されるコンバータの構成部品に利用したり、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用したりすることができる。
【0125】
車両1200は、
図12に示されるように、メインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ1220とを備える。モータ1220は、代表的には3相交流モータである。モータ1220は、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジン1300を備える。
図12では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態とすることができる。
【0126】
電力変換装置1100は、コンバータ1110と、インバータ1120とを有する。コンバータ1110は、メインバッテリ1210に接続される。インバータ1120は、コンバータ1110に接続される。インバータ1120は、直流と交流との相互変換を行う。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V以上300V以下程度のメインバッテリ1210の入力電圧を400V以上700V以下程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される入力電圧をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。入力電圧は、直流電圧である。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電する。インバータ1120は、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力する。
【0127】
コンバータ1110は、
図13に示されるように、複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトル1115とを備える。コンバータ1110は、ON/OFFの繰り返しにより入力電圧の変換を行う。入力電圧の変換とは、ここでは昇降圧を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタなどのパワーデバイスが利用される。リアクトル1115は、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。リアクトル1115として、実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル1を備える。リアクトル1を備える電力変換装置1100およびコンバータ1110は、低損失である。
【0128】
車両1200は、コンバータ1110の他、給電装置用コンバータ1150と補機電源用コンバータ1160とを備える。給電装置用コンバータ1150は、メインバッテリ1210に接続されている。補機電源用コンバータ1160は、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続されている。補機電源用コンバータ1160は、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する。コンバータ1110は、代表的には、DC-DC変換を行い、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC-DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC-DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル1と同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用できる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル1などを利用することもできる。
【0129】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、第1エンドコア部および第2エンドコア部は、重複部から第1エンドコア部および第2エンドコア部の各々の厚さに沿った方向の外側に向かって延びる延長部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 リアクトル
2 コイル
3 磁性コア
4 ミドルコア部
4a 第1端部
4b 第2端部
41 第1部位
42 第2部位
5 サイドコア部
6 第1エンドコア部
61 第1部位
62 第2部位
62a 重複部
62b 延長部
7 第2エンドコア部
71 第1部位
72 第2部位
72a 重複部
72b 延長部
81 第1角部
82 第2角部
83 第3角部
84 第4角部
1100 電力変換装置
1110 コンバータ
1111 スイッチング素子
1112 駆動回路
1115 リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ
1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪
1300 エンジン
【手続補正書】
【提出日】2024-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
(9)上記(1)から上記(5)のいずれかのリアクトルにおいて、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の前記第2部位は、前記第1エンドコア部および前記第2エンドコア部の各々の厚さの中央に設けられていてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
[磁性コア]
磁性コア3は、ミドルコア部4、サイドコア部5、第1エンドコア部6、および第2エンドコア部7によって閉磁路を構成する。本例の磁性コア3の平面形状は矩形環状である。
図1、
図3では説明の便宜上、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の各々とミドルコア部4との境界、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の各々とサイドコア部5との境界が二点鎖線で示されている。
図2、図3では、説明の便宜上、ミドルコア部4の各第2部位42と、第1エンドコア部6の重複部62aおよび第2エンドコア部7の重複部72aの各々との境界が二点鎖線で示されている。
図2、
図3では、説明の便宜上、第1エンドコア部6の重複部62aおよび第2エンドコア部7の重複部72aの各々と、第1エンドコア部6の延長部62bおよび第2エンドコア部7の延長部72bの各々との境界が二点鎖線で示されている。
図4では、説明の便宜上、第1エンドコア部6および第2エンドコア部7の各々とミドルコア部4との境界が二点鎖線で示されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
(材質)
第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とは、互いに比透磁率の異なる成形体で構成されている。成形体は、圧粉成形体または複合材料の成形体のいずれかである。例えば、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが圧粉成形体で構成されていても、圧粉成形体を構成する軟磁性粉末の材質や含有割合が異なれば、互いの比透磁率が異なる。また、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが複合材料の成形体で構成されていても、複合材料を構成する軟磁性粉末と樹脂の少なくとも一方の材質が異なれば、或いは、軟磁性粉末と樹脂の材質が同じであっても軟磁性粉末および樹脂の含有割合が異なれば、互いの比透磁率が異なる。そのため、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが圧粉成形体で構成されていてもよいし、第1部位41、61、71と第2部位42、62、72とが複合材料の成形体で構成されていてもよいし、第1部位41、61、71が複合材料の成形体で構成されていて、第2部位42、62、72が圧粉成形体で構成されていてもよい。本例の第1部位41、61、71は同じ複合材料の成形体で構成され、第2部位42、62、72は同じ圧粉成形体で構成されている。