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特開2025-13003情報処理装置、学習済みモデル生成装置、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013003
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、学習済みモデル生成装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20250117BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250117BHJP
   G06N 5/04 20230101ALI20250117BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20250117BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A63B69/00 C
G06T7/00 350B
G06N5/04
G06N20/00 130
A63B71/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116251
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 一敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敦史
(72)【発明者】
【氏名】馬 家▲所▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 明哲
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA67
5L096GA30
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】スポーツが行われている最中に観測されたプレイヤーの行動からプレイヤーの行動の意図を簡易に推定する。
【解決手段】情報処理装置24は、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得する。情報処理装置24は、プレイヤーの行動情報を、行動情報が入力されるとプレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する。情報処理装置24は、プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、前記取得部により取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する出力部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、学習用のプレイヤーの行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データに基づき予め機械学習されたモデルであり、
前記学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報は、前記スポーツに知見を有する熟練者によって予め設定された情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記スポーツは、対戦型のスポーツであり、
前記学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報は、前記プレイヤーの行動の意図が攻撃的であるか又は前記プレイヤーの行動の意図が守備的であるかを表す情報であり、
前記学習済みモデルは、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図が攻撃的である度合い及び前記プレイヤーの行動の意図が守備的である度合いを出力する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記スポーツは、球技スポーツであり、
前記取得部は、ボールの位置情報を更に取得し、
前記学習済みモデルは、前記行動情報と前記ボールの位置情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記スポーツは、1つのチームに複数のプレイヤーが存在する対戦型のチームスポーツであり、
前記取得部は、1つのチームに所属している複数のプレイヤーの各々の前記行動情報を取得し、
前記生成部は、複数のプレイヤーの各々の前記行動情報を前記学習済みモデルへ入力することにより、複数のプレイヤーの各々の行動の意図を表す情報を生成する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記スポーツが行われている最中の動画から前記プレイヤーの各時刻の行動情報を取得し、
前記生成部は、前記プレイヤーの各時刻の行動情報を前記学習済みモデルへ入力することにより、前記プレイヤーの各時刻の行動の意図を表す情報を生成し、
前記出力部は、前記プレイヤーの各時刻の行動の意図を表す情報を出力する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記学習用データは、複数の異なる角度から前記学習用のプレイヤーを見た際の前記行動情報と前記学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが対応付けられたデータである、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記学習済みモデルは、前記行動情報が入力されると前記行動情報に対応する得点確率を更に出力する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得する学習用取得部と、
前記学習用取得部により取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する学習部と、
を含む学習済みモデル生成装置。
【請求項10】
スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得し、
取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成し、
生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項11】
スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得し、
取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する、
処理をコンピュータが実行する学習済みモデル生成方法。
【請求項12】
スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得し、
取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成し、
生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項13】
スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得し、
取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させるための学習済みモデル生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、学習済みモデル生成装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打球の打ち出し方向を教示することができる運動解析方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この運動解析方法は、打球の目標方向を取得する取得工程と、ゴルフクラブもしくはゴルファーの状態から打球の打ち出し方向を推定する推定工程と、目標方向と打ち出し方向とを比較し、比較情報を生成する比較情報生成工程と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-46987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人の行動が観測された場合、その行動には何らかの意図が反映されている場合があり得る。例えば、人がスポーツを行っている最中の行動には何らかの意図が反映されている場合があり得る。このため、人がスポーツを行っている最中の行動にはどのような意図があったのかを知りたい場合がある。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術は、ゴルフクラブ又はゴルファーの状態から打球の打ち出し方向を推定するのみであり、行動の意図を推定する点については考慮されていない。
【0006】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、スポーツが行われている最中に観測されたプレイヤーの行動から当該プレイヤーの行動の意図を簡易に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る情報処理装置は、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、前記取得部により取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する出力部と、を含む情報処理装置である。
【0008】
また、本開示の学習済みモデル生成装置は、スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得する学習用取得部と、前記学習用取得部により取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する学習部と、を含む学習済みモデル生成装置である。
【0009】
また、本開示の情報処理方法は、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得し、取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成し、生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、処理をコンピュータが実行する情報処理方法である。
【0010】
また、本開示の学習済みモデル生成方法は、スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得し、取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する、処理をコンピュータが実行する学習済みモデル生成方法である。
【0011】
また、本開示の情報処理プログラムは、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得し、取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成し、生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムである。
【0012】
また、本開示の学習済みモデル生成プログラムは、スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得し、取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する、処理をコンピュータに実行させるための学習済みモデル生成プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本開示の情報処理装置、学習済みモデル生成装置、方法、及びプログラムによれば、スポーツが行われている最中に観測されたプレイヤーの行動からプレイヤーの行動の意図を簡易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の概要を説明するための図である。
図2】本実施形態に係る学習済みモデル生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る学習済みモデル生成装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態における学習用データを説明するための図である。
図5】本実施形態における学習済みモデルを説明するための図である。
図6】本実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図7】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】本実施形態における学習済みモデル生成処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本実施形態における情報処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本実施例を説明するための図である。
図11】本実施例の結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法及び比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0016】
<実施形態の概要>
人の行動が観測された場合、その行動には何らかの意図が反映されている場合があり得る。このため、人がある行動をとった際に、その行動にはどのような意図があったのかを知りたい場合がある。
【0017】
そこで、本実施形態では、既知の機械学習モデルを学習させることにより、人が行動をした際に観測された情報である行動情報が入力されると当該人の行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する。そして、本実施形態では、対象となる人の行動情報を学習済みモデルへ入力することにより、当該学習済みモデルから人の行動の意図を表す情報を出力させる。これにより、人の行動から人の行動の意図を簡易に推定することができる。
【0018】
なお、本実施形態の行動情報は、人が行動をした際に観測された情報である。例えば、行動情報には、人が静止している状態の情報及び人が動いている状態の情報が含まれる。具体的には、例えば、行動情報には、人の姿勢情報、表情情報、視線情報、又は行動から生じたと考えられる各種物理量に関する情報が含まれる。行動から生じたと考えられる各種物理量に関する情報としては、例えば、音、振動、又は圧力等に関する情報が含まれる。より具体的には、例えば、各種物理量に関する情報には、人の足音、風切り音、又はそれらにより生じる空気その他媒質の振動や圧力変化等に関する情報が含まれる。また、行動情報には、人の全体から観測される情報の他、人の局所的な箇所から観測される情報も含まれる。例えば、人の手の姿勢、筋電、又は眼電位等の特定部位の情報も含まれる。
【0019】
なお、本実施形態では、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報から当該プレイヤーの行動の意図を推定する場合を例に説明する。本実施形態では行動情報の一例として姿勢情報を用いる場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、プレイヤーの表情情報、視線情報、足音に関する情報、又は風切り音に関する情報等を利用するようにしてもよい。
【0020】
図1は、本実施形態の概要を説明するための図である。図1に示されるように、本実施形態では、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報P1,P2に基づいて、そのプレイヤーの行動の意図を推定する。図1には、対戦型の球技スポーツの一例である卓球の試合が行われている最中の一場面が示されている。
【0021】
スポーツにおけるプレイヤーの意思決定は行動の選択であり、選択された行動は物理的な結果として表出される。例えば、球技スポーツにおいては、プレイヤーが操作したボールの方向及び回転が物理的な結果として表出される。
【0022】
従来のスポーツ分析では、主にプレイヤーの行動とその結果とが分析されている。例えば、球技スポーツにおいては、プレイヤーが操作したボールの方向及び回転の統計的な分析が行われている。その一方で、ボールの方向や回転はあくまでもプレイヤーの行動の結果であり、プレイヤーの意図した結果とは必ずしも一致しない。
【0023】
これに対し、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢には様々な情報が含まれていると考えられる。プレイヤーの姿勢は、プレイヤーがある行動をとっている又はある行動をとる意図があるという情報が含まれていると考えられ、この情報は各種の分析に有用である。そこで、本実施形態では、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報に基づいて、そのプレイヤーの行動の意図を推定する。
【0024】
具体的には、本実施形態では、既知の機械学習モデルを学習させることにより、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報が入力されるとプレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する。そして、本実施形態では、対象となるスポーツの試合が行われている最中のプレイヤーの姿勢情報を学習済みモデルへ入力することにより、当該学習済みモデルからプレイヤーの行動の意図を表す情報を出力させる。これにより、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢からプレイヤーの行動の意図を簡易に推定することができる。
【0025】
以下、具体的に説明する。
【0026】
[学習済みモデル生成装置]
図2は、本実施形態に係る学習済みモデル生成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示されるように、学習済みモデル生成装置10は、CPU(Central Processing Unit)42、メモリ44、記憶装置46、入出力I/F(Interface)48、記憶媒体読取装置50、及び通信I/F52を有する。各構成は、バス54を介して相互に通信可能に接続されている。
【0027】
記憶装置46には、後述する各処理を実行するための学習済みモデル生成プログラムが格納されている。CPU42は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU42は、記憶装置46からプログラムを読み出し、メモリ44を作業領域としてプログラムを実行する。CPU42は、記憶装置46に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0028】
メモリ44は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。記憶装置46は、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0029】
入出力I/F48は、データの入力及びデータの出力を行うインタフェースである。また、例えば、キーボードやマウス等の、各種の入力を行うための入力装置、及び、例えば、ディスプレイやプリンタ等の、各種の情報を出力するための出力装置が接続されてもよい。出力装置として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置として機能させてもよい。
【0030】
記憶媒体読取装置50は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。
【0031】
通信I/F52は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0032】
次に、学習済みモデル生成装置10の機能構成について説明する。図3に示されるように、学習済みモデル生成装置10は、機能的には、学習用取得部12と、学習部16とを含む。また、学習済みモデル生成装置10の所定の記憶領域には、学習用データ記憶部14と、学習済みモデル記憶部18とが設けられている。各機能構成は、CPU42が記憶装置46に記憶された各プログラムを読み出し、メモリ44に展開して実行することにより実現される。
【0033】
学習用データ記憶部14には、学習用データが格納される。本実施形態の学習用データは、スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの姿勢情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられたデータである。プレイヤーの姿勢情報は、例えば、図1に示されているようなプレイヤーの骨格を表す情報である。姿勢情報は、例えば、プレイヤーの各関節の位置情報と各関節を繋ぐ線分とによって構成される。例えば、既知の画像処理アルゴリズムを利用することにより、スポーツが行われている最中の動画データの各時刻の画像から、図1に示されているようなプレイヤーの骨格を表す情報を抽出することが可能である。
【0034】
図4は、学習用データ記憶部14に格納される学習用データの一例である。図4に示されているように、1つの学習用のプレイヤーの姿勢情報と1つの学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられて、学習用データ記憶部14に格納される。
【0035】
なお、学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報は、当該スポーツに知見を有する熟練者によって予め設定される。具体的には、熟練者は、あるスポーツが行われている最中の動画を視聴する。そして、熟練者は、動画に写るプレイヤーの各時刻の姿勢情報がどのような行動の意図であるのかを推定し、当該プレイヤーの各時刻の姿勢情報に対して当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を付加する。より詳細には、熟練者は、プレイヤーの姿勢情報が攻撃的であるのか守備的であるのかを表す情報を、当該プレイヤーの行動の意図を表す情報として設定する。
【0036】
なお、行動の意図を表す情報を設定する者は熟練者でなくともよい場合もある。例えば、複数の担当者(いわゆるアノテータ)によって行動の意図を表す情報の設定作業を行う場合には、当該行動の意図の設定に関し、一致したラベル付けができる知識が複数の担当者に共有されており、複数の担当者間で同様の品質のラベル付けが可能であればよい。
【0037】
学習済みモデル記憶部18には、後述する処理によって生成された学習済みモデルが格納される。図5は、本実施形態の学習済みモデルを説明するための図である。図5に示されているように、本実施形態の学習済みモデルは、プレイヤーの姿勢情報が入力されると当該プレイヤーの行動の意図を表す情報として、プレイヤーが攻撃的である度合いを表すスコアとプレイヤーが守備的である度合いを表すスコアとを出力する。
【0038】
プレイヤーのプレーが攻撃的であるとは、例えば、積極的に点を取りにいく状態であり、そのプレーによって得点が得られる確率が高い状態等をいう。また、プレイヤーのプレーが守備的であるとは、例えば、失点を防ぐような状態であり、そのプレーによって失点する確率が低い状態等をいう。例えば、プレイヤーが攻撃的である度合いを表すスコアが0.8であり、プレイヤーが守備的である度合いを表すスコアが0.2である場合には、当該プレイヤーの姿勢情報はより攻撃的であるということが判明する。
【0039】
例えば、球技スポーツが行われている最中のボールの位置及び速度等は、プレイヤーがある行動をとった結果として直接観測される情報である。これに対し、プレイヤーの行動の意図は、直接的には観測することができないため、当該スポーツに知見を有する熟練者が介在する必要がある。
【0040】
そこで、本実施形態では、当該スポーツに知見を有する熟練者が、プレイヤーの姿勢情報に対して当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を付加する。更に、本実施形態では、熟練者によって生成された、プレイヤーの姿勢情報と当該プレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データに基づいて学習済みモデルを生成する。この学習済みモデルは、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報が入力されると当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力するモデルである。このような学習済みモデルを生成することにより、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢からプレイヤーの行動の意図を簡易に推定することが可能となる。
【0041】
学習用取得部12は、学習用データを取得する。具体的には、学習用データ記憶部14に格納されている学習用データを読み出す。
【0042】
学習部16は、学習用取得部12により取得された学習用データに基づいて、既知の学習用モデルを機械学習させることにより、プレイヤーの姿勢情報が入力されると当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する。なお、学習用モデルとしては、例えば、既知のニューラルネットワークモデルが利用可能である。例えば、既知のニューラルネットワークモデルとしては、Multi Layer Perceptron(MLP)モデル及びLong Short Term Memory(LSTM)モデル等が利用可能である。なお、学習用モデル及び学習済みモデルを生成する際の機械学習アルゴリズムは、どのようなものであってもよい。
【0043】
そして、学習部16は、生成した学習済みモデルを学習済みモデル記憶部18へ格納する。
【0044】
[情報処理装置]
図6は、本実施形態の情報処理システム20の概略構成を表すブロック図である。図6に示されるように、情報処理システム20は、カメラ22と、情報処理装置24とを備えている。本実施形態に係る情報処理装置24は、学習済みモデル生成装置10によって生成された学習済みモデルを用いて、カメラ22によって撮像された動画の各時刻のプレイヤーの行動の意図を推定する。
【0045】
カメラ22は、スポーツが行われている最中の動画を撮像する。そして、カメラ22は、得られた動画データを情報処理装置24へ出力する。
【0046】
図7は、本実施形態に係る情報処理装置24のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示されるように、情報処理装置24は、CPU(Central Processing Unit)62、メモリ64、記憶装置66、入出力I/F(Interface)68、記憶媒体読取装置70、及び通信I/F72を有する。各構成は、バス74を介して相互に通信可能に接続されている。
【0047】
記憶装置66には、後述する各処理を実行するための制御プログラムが格納されている。CPU62は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU62は、記憶装置66からプログラムを読み出し、メモリ64を作業領域としてプログラムを実行する。CPU62は、記憶装置66に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0048】
メモリ64は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。記憶装置66は、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0049】
入出力I/F68は、データの入力及びデータの出力を行うインタフェースである。また、例えば、キーボードやマウス等の、各種の入力を行うための入力装置、及び、例えば、ディスプレイやプリンタ等の、各種の情報を出力するための出力装置が接続されてもよい。出力装置として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置として機能させてもよい。
【0050】
記憶媒体読取装置70は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。
【0051】
通信I/F72は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0052】
次に、情報処理装置24の機能構成について説明する。図7に示されるように、情報処理装置24は、機能的には、取得部28と、生成部30と、出力部32とを含む。また、情報処理装置24の所定の記憶領域には、データ記憶部26と学習済みモデル記憶部27とが設けられている。各機能構成は、CPU62が記憶装置66に記憶された各プログラムを読み出し、メモリ64に展開して実行することにより実現される。
【0053】
データ記憶部26には、カメラ22によって撮像された動画データが格納される。
【0054】
学習済みモデル記憶部27には、学習済みモデル生成装置10によって生成された学習済みモデルが格納される。
【0055】
取得部28は、対象となるスポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報を取得する。具体的には、取得部28は、データ記憶部26に格納されている動画データを読み出し、既知の画像処理アルゴリズムを用いることにより、当該動画データの各時刻に写るプレイヤーの姿勢情報を抽出する。
【0056】
生成部30は、取得部28により取得されたプレイヤーの姿勢情報を、学習済みモデル記憶部27に格納されている学習済みモデルへ入力することにより、当該姿勢情報に対応するプレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する。具体的には、生成部30は、学習済みモデル記憶部27に格納されている学習済みモデルに対して、プレイヤーの各時刻の姿勢情報を入力することにより、当該プレイヤーの各時刻の行動の意図を表す情報を生成する。学習済みモデルからは、図5に示されているような、プレイヤーが攻撃的である度合いを表すスコアとプレイヤーが守備的である度合いを表すスコアとが出力される。
【0057】
出力部32は、生成部30により生成されたプレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する。
【0058】
ユーザは、出力部32から出力されたプレイヤーの行動の意図を表す情報を確認し、動画に写る各時刻のプレイヤーがどのような行動の意図をもっていたのかを分析するなどする。
【0059】
次に、本実施形態に係る学習済みモデル生成装置の作用について説明する。
【0060】
まず、熟練者が、スポーツが行われている最中の複数の動画を視聴し、各時刻のプレイヤーの姿勢に対して当該プレイヤーの行動の意図を表す情報をラベル付けする。なお、例えば、対象のスポーツが卓球のような対戦型の球技スポーツである場合には、熟練者は、各プレイヤーの姿勢に対して行動の意図を表す情報をラベル付けする。これにより、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報と当該プレイヤーの行動の意図を表す情報が関連付けられた学習用データが生成される。
【0061】
ユーザは、熟練者によって生成された学習用データを学習済みモデル生成装置10へ入力する。学習用データが学習済みモデル生成装置10へ入力されると、その学習用データは学習用データ記憶部14へ格納される。
【0062】
そして、学習済みモデル生成装置10が所定の指示信号を受け付けると、学習済みモデル生成装置10のCPU42は記憶装置46から学習済みモデル生成プログラムを読み出して、メモリ44に展開して実行する。これにより、CPU42が学習済みモデル生成装置10の各機能構成として機能し、図8に示す学習済みモデル生成処理が実行される。
【0063】
ステップS100において、学習用取得部12は、学習用データ記憶部14に格納されている学習用データを取得する。
【0064】
ステップS102において、学習部16は、ステップS100で取得された学習用データに基づいて、既知の学習用モデルを機械学習させることにより、プレイヤーの姿勢情報が入力されると当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する。
【0065】
ステップS104において、学習部16は、ステップS102において生成された学習済みモデルを学習済みモデル記憶部18へ格納する。
【0066】
次に、本実施形態に係る情報処理システム20の作用について説明する。
【0067】
学習済みモデル生成装置10によって生成された学習済みモデルが、情報処理装置24へ入力されると、その学習済みモデルは情報処理装置24の学習済みモデル記憶部27へ格納される。
【0068】
次に、カメラ22によって対象となるスポーツの動画が撮像され、動画データが情報処理装置24へ入力される。情報処理装置24は、入力された動画データをデータ記憶部26へ格納する。
【0069】
そして、情報処理装置24が所定の指示信号を受け付けると、情報処理装置24のCPU62は記憶装置66から情報処理プログラムを読み出して、メモリ64に展開して実行する。これにより、CPU62が情報処理装置24の各機能構成として機能し、図9に示す情報処理が実行される。
【0070】
ステップS200において、取得部28は、データ記憶部26に格納されている動画データから、プレイヤーの各時刻の姿勢情報を取得する。
【0071】
ステップS202において、生成部30は、学習済みモデル記憶部27に格納されている学習済みモデルを読み出す。
【0072】
ステップS204において、生成部30は、ステップS202で読み出した学習済みモデルに対して、ステップS200で取得されたプレイヤーの姿勢情報を入力することにより、当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する。
【0073】
ステップS206において、出力部32は、ステップS204で生成された行動の意図を表す情報を結果として出力する。
【0074】
ユーザは、出力部32から出力されたプレイヤーの行動の意図を表す情報を確認し、動画に写る各時刻のプレイヤーがどのような行動の意図をもっていたのかを分析するなどする。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置は、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動情報の一例である姿勢情報を取得する。情報処理装置は、取得された姿勢情報を、姿勢情報が入力されるとプレイヤーの行動の意図を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された姿勢情報に対応するプレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する。そして、情報処理装置は、生成されたプレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する。これにより、人が行動している際に観測された情報から当該人の行動の意図を簡易に推定することができる。具体的には、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動からプレイヤーの行動の意図を簡易に推定することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る学習済みモデル生成装置は、スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの姿勢情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得する。学習済みモデル生成装置は、取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、プレイヤーの姿勢情報が入力されるとプレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する。これにより、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢からプレイヤーの行動の意図を簡易に推定するための学習用モデルを得ることができる。
【0077】
上述したように、学習済みモデルを生成する際に用いられる学習用データは、当該スポーツに知見を有する熟練者によって作成される。これにより、スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動の意図という、直接観測することができない情報をプレイヤーの姿勢情報に対して付加することが可能となり、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢からプレイヤーの行動の意図を推定することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態により得られるプレイヤーの行動の意図を表す情報を利用することにより、スポーツのプレー分析及び試合の戦略立案等が可能になる。なお、現実のスポーツのみならず、例えば、バーチャルスポーツに対しても本実施形態は適用可能であり、同様にプレー分析及び試合の戦略立案等が可能になる。例えば、攻撃的なプレーと守備的なプレーとをどのように組み合わせると試合に勝てるか、といったような分析が可能となる。
【0079】
また、プレイヤーの行動の意図を表す情報を利用することにより、プレー及び試合の評価が可能になり、プレイヤーのレベル向上に向けた分析が可能になる。このため、プレイヤーの行動の意図を表す情報は、スポーツトレーニング及びコーチング等にも利用することができる。例えば、攻撃的な練習又は守備的な練習を行う際に、きちんと練習できているか判定することも可能となる。
【0080】
また、プレイヤーの行動の意図を表す情報を利用することにより、対象となる状況における定石との一致度合い等も分析することが可能となる。また、プレイヤーの行動の意図を表す情報を利用することにより、一方のプレイヤーが有利又は不利等の状況を分析することも可能となる。
【0081】
また、プレイヤーの行動の意図を表す情報は、スポーツの解説動画のハイライト作成にも利用することが可能となる。例えば、プレイヤーの行動の意図を表す情報を利用することにより、攻撃的プレーのシーンのみをつなげた動画作成等をすることができる。
【0082】
また、例えば、プレイヤーの行動の意図を表す情報を、卓球ロボット等のロボットに利用することにより、人間であるプレイヤーの深い理解が可能になる。また、攻撃と守備とのパターン把握により、どのような場面で観衆が盛り上がるのか等を理解することができる。
【0083】
なお、本開示は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態では、スポーツが行われている最中のプレイヤーの姿勢情報から当該プレイヤーの行動の意図を推定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、その他の行動をしている最中の人から観測された行動情報から、当該人の行動の意図を推定するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、対象となるスポーツが対戦型の球技スポーツである卓球である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、スポーツであればどのようなスポーツであってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、スポーツが行われている最中の動画データからプレイヤーの姿勢情報を抽出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。プレイヤーの姿勢情報が得られるようであれば、どのような手法を用いてもよく、例えば、モーションキャプチャ又は人の動きを検知する振動検知手法等、様々な手法を採用することが可能である。
【0087】
また、上記実施形態では、プレイヤーの姿勢情報のみからプレイヤーの行動の意図を表す情報を推定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、学習済みモデルに対して、ボールの位置情報の入力が可能なように学習済みモデルを生成するようにしてもよい。ボールの位置情報は、プレイヤーの行動の意図に影響を与えていると考えられるためである。この場合には、学習済みモデルは、プレイヤーの姿勢情報とボールの位置情報が入力されると当該プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力するように構成される。このように、ボールの位置情報も学習済みモデルに学習させることにより、プレイヤーの行動の意図を表す情報を精度良く推定することが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、対象となるスポーツが1対1の卓球である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。対象となるスポーツは、1つのチームに複数のプレイヤーが存在する対戦型のチームスポーツであってもよい。例えば、卓球である場合にはダブルス卓球であってもよい。その他、1つのチームに複数のプレイヤーが存在する対戦型のチームスポーツは、サッカー、ラグビー、及び野球等であってもよい。この場合には、取得部28は、1つのチームに所属している複数のプレイヤーの各々の姿勢情報を取得し、生成部30は、複数のプレイヤーの各々の姿勢情報を学習済みモデルへ入力することにより、複数のプレイヤーの各々の行動の意図を表す情報を生成する。これにより、一人のプレイヤーの行動の意図のみならずチームの意図を表す情報も推定することが可能となる。
【0089】
また、ボールを打つなどの直接的なプレーをしていないプレイヤーの姿勢情報は、ボールを打つプレイヤーの行動の意図へ影響を与えているものと考えられる。このため、例えば、ダブルス卓球の2対2の試合において、1チームのうちの2人のプレイヤーの姿勢情報を学習済みモデルへ学習させることにより、プレイヤーの行動の意図を表す情報をより精度良く推定することが可能となる。
【0090】
また、上記実施形態の学習用データは、複数の異なる角度から学習用のプレイヤーを見た際の姿勢情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが対応付けられたデータが含まれていてもよい。ある試合が行われている最中のプレイヤーの行動の意図は、どのような角度からプレイヤーを見たとしたとしても変わらないはずである。複数の異なる角度から学習用のプレイヤーを見た際の姿勢情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが対応付けられたデータを学習用データとして用いることにより、学習用データの数を増加させることが可能となり、プレイヤーの行動の意図をより精度良く推定するための学習済みモデルを得ることができるようになる。また、同様の理由から、プレイヤーの姿勢情報を反転させたデータを学習用データに含ませても良い。
【0091】
また、上記実施形態の学習済みモデルは、プレイヤーの行動の意図を表す情報のみを出力する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プレイヤーの姿勢情報が入力されると当該プレイヤーの姿勢情報に対応する得点確率を更に出力するように学習済みモデルを構成してもよい。この場合には、各プレイヤーが攻撃的であるのか守備的であるのかといった情報と共に得点確率が出力されるため、プレイヤーの行動の意図と得点確率との関連がどのようなであるのか等の分析をすることも可能となる。また、例えば、後述する実施例のように、プレイヤーの姿勢情報が入力されると、プレイヤーの行動の意図を表す情報とプレイヤーのラベル情報とを出力するように学習済みモデルを構成してもよい。この場合には、どのプレイヤーがどのような行動の意図を有しているのか、といったことを得ることが可能となる。
【0092】
また、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0093】
また、上記実施形態では、各プログラムが記憶装置に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、USBメモリ等の記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【実施例0094】
本実施例では、卓球のシングルスを対象のスポーツとし、試合が行われている最中の動画データから各時刻のプレイヤーの姿勢情報を抽出し、その姿勢情報に基づいてプレイヤーの行動の意図を推定した。
【0095】
(1.正解ラベルの付与)
まず、5試合分の動画データの各時刻のプレイヤーの姿勢情報に対して正解ラベルを付与した。この正解ラベルは、プレイヤーの行動の意図が「攻めている(O),攻めていない(X)」(攻守ラベル)の何れであるかを表している。更に、その行動の意図の正解ラベルには、どちらのプレイヤーのラベルであるか「選手A(A),選手B(B)」(選手ラベル)も付与される。このため、これらを組み込み合わせることにより、合計4つのラベル(OA,OB,XA,XB)を用意した。
【0096】
なお、厳密には、今回の正解ラベルは「そのプレーは得点を獲得するために攻めているか(いないか)」を表している。この攻守ラベルの判断には、卓球のルールだけでなく、戦術に関して深い知識が必要であると考え、正解ラベルのアノテータとしては中学生から現在まで選手として卓球に携わっている大学生2名(男女一名ずつ)に依頼した。このため、本実施例の正解ラベルは、熟練者によって付与された。
【0097】
(2.姿勢情報の抽出)
動画データからプレイヤーの姿勢情報を抽出する際には、既知の技術を利用した。具体的には、姿勢情報を抽出するための手法として、既知のKapao(William McNally, Kanav Vats, Alexander Wong, John McPhee, "Rethinking Keypoint Representations: Modeling Keypoints and Poses as Objects for Multi-Person Human Pose Estimation",https://arxiv.org/abs/2111.08557)とDeepSort(Nicolai Wojke, Alex Bewley, Dietrich Paulus, "Simple Online and Realtime Tracking with a Deep Association Metric",https://arxiv.org/abs/1703.07402)とを利用した。
【0098】
(3.識別器の設計)
本実施例では、攻守推定を行うために、Multi Layer Perceptron(MLP)モデル及びLong Short Term Memory(LSTM)モデルベースの2つのモデルを作成した。MLPモデルとして、全結合層を2層重ねたモデル構成を採用した。なお、本実施例において入力に用いるデータセットでは、プレイヤーの行動に関し、時系列が存在している。そこで時系列を考慮するために、LSTMモデルも作成した。
【0099】
図10は、本実施例の識別器の設計の概要である。図10に示されているように、動画データの各時刻の画像フレームIMから、プレイヤーの姿勢情報の時系列データAを抽出し、MLPモデル又はLSTMモデルMへ入力する。MLPモデル又はLSTMモデルMからは、選手ラベルR1と攻守ラベルR2との組み合わせが出力される。この組み合わせである予測結果Pと正解ラベルCとの間の誤差が小さくなるように、MLPモデル又はLSTMモデルを学習させた。
【0100】
(4.実験結果)
以下の表は、本実施例の実験結果である。以下の表に示されている結果は既知のLeave one-game outを利用することにより得られた各モデルの予測精度である。5試合の平均予測精度がMLPモデルでは0.515であり、LSTMモデルでは0.536であった。また、以下の表のminは5試合のうち最も予測精度が低かった試合の予測精度であり、maxは5試合のうち最も予測精度が高かった試合の予測精度である。5試合の平均予測精度を参照すると、LSTMモデルの方が、わずかに予測精度が高いことが確認できた。
【0101】
【表1】
【0102】
また、図11は、本実施例の別の実験結果である。図11は、5試合の混同行列のヒートマップであり、男子1,2は男子の試合を表し、女子1,2は女子の試合を表し、カットマンはプレイヤーがカットマンである試合を表す。図11に示されているように、熟練者による正解ラベル(図11ではActual)とモデルによる予測結果(図11ではPredict)とは、ある程度一致していることがわかる。
【0103】
(付記)
以下、本開示の態様について付記する。
【0104】
(付記1)
スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、前記取得部により取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する出力部と、
を含む情報処理装置
【0105】
(付記2)
前記学習済みモデルは、学習用のプレイヤーの行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データに基づき予め機械学習されたモデルであり、
前記学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報は、前記スポーツに知見を有する熟練者によって予め設定された情報である、
付記1に記載の情報処理装置。
【0106】
(付記3)
前記スポーツは、対戦型のスポーツであり、
前記学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報は、前記プレイヤーの行動の意図が攻撃的であるか又は前記プレイヤーの行動の意図が守備的であるかを表す情報であり、
前記学習済みモデルは、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図が攻撃的である度合い及び前記プレイヤーの行動の意図が守備的である度合いを出力する、
付記2に記載の情報処理装置。
【0107】
(付記4)
前記スポーツは、球技スポーツであり、
前記取得部は、ボールの位置情報を更に取得し、
前記学習済みモデルは、前記行動情報と前記ボールの位置情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、
付記1~付記3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0108】
(付記5)
前記スポーツは、1つのチームに複数のプレイヤーが存在する対戦型のチームスポーツであり、
前記取得部は、1つのチームに所属している複数のプレイヤーの各々の前記行動情報を取得し、
前記生成部は、複数のプレイヤーの各々の前記行動情報を前記学習済みモデルへ入力することにより、複数のプレイヤーの各々の行動の意図を表す情報を生成する、
付記1~付記4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0109】
(付記6)
前記取得部は、前記スポーツが行われている最中の動画から前記プレイヤーの各時刻の行動情報を取得し、
前記生成部は、前記プレイヤーの各時刻の行動情報を前記学習済みモデルへ入力することにより、前記プレイヤーの各時刻の行動の意図を表す情報を生成し、
前記出力部は、前記プレイヤーの各時刻の行動の意図を表す情報を出力する、
付記1~付記5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0110】
(付記7)
前記学習用データは、複数の異なる角度から前記学習用のプレイヤーを見た際の前記行動情報と前記学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが対応付けられたデータである、
付記2に記載の情報処理装置。
【0111】
(付記8)
前記学習済みモデルは、前記行動情報が入力されると前記行動情報に対応する得点確率を更に出力する、
付記1~付記7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0112】
(付記9)
スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得する学習用取得部と、
前記学習用取得部により取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する学習部と、
を含む学習済みモデル生成装置。
【0113】
(付記10)
スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得し、
取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成し、
生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【0114】
(付記11)
スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得し、
取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する、
処理をコンピュータが実行する学習済みモデル生成方法。
【0115】
(付記12)
スポーツが行われている最中のプレイヤーの行動を表す行動情報を取得し、
取得された前記行動情報を、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルへ入力することにより、取得された前記行動情報に対応する前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を生成し、
生成された前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【0116】
(付記13)
スポーツが行われている最中の、学習用のプレイヤーの行動を表す行動情報と学習用のプレイヤーの行動の意図を表す情報とが関連付けられた学習用データを取得し、
取得された学習用データに基づいて、学習用モデルを機械学習させることにより、前記行動情報が入力されると前記プレイヤーの行動の意図を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させるための学習済みモデル生成プログラム。
【符号の説明】
【0117】
10 学習済みモデル生成装置
12 学習用取得部
14 学習用データ記憶部
16 学習部
18 学習済みモデル記憶部
24 情報処理装置
28 取得部
30 生成部
32 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11