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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013041
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】広告出稿効果推定装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20250117BHJP
【FI】
G06Q30/0242
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116317
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】503066778
【氏名又は名称】株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 猛
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来技術と比較して、容易な操作で広告出稿の効果を推定する広告出稿効果推定装置を提供する。
【解決手段】広告出稿効果推定装置100において、選択部130は、重回帰分析式及び/又は前記単回帰分析式の適合度の指標が所定の適合度以上となっている重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を選択する。パス経路生成部140は、選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が間接効果元の項目となり、目的変数が間接効果先の項目となると共に、前記選択部で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が直接効果元の項目となり、目的変数が直接効果先の項目となるように、各項目間のパス経路を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告出稿媒体毎の出稿量を示す出稿媒体別出稿量の実績値と、広告出稿媒体毎のレスポンスを示す出稿媒体別レスポンスの実績値と、出稿媒体別レスポンスの実績値を合計したレスポンス総計の実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、レスポンス総計と出稿媒体別レスポンスのうちのいずれかを目的変数とし、1又は複数の出稿媒体別出稿量を説明変数とする重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を分析処理する回帰分析処理部と、
前記重回帰分析式及び/又は前記単回帰分析式の適合度の指標が所定の適合度以上となっている重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を選択する選択部と、
前記選択部で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が間接効果元の項目となり、目的変数が間接効果先の項目となると共に、前記選択部で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が直接効果元の項目となり、目的変数が直接効果先の項目となるように、各項目間のパス経路を生成するパス経路生成部と、
前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、前記パス経路の各項目間についてパス係数を算出するパス係数算出部と、
を備えた広告出稿効果推定装置。
【請求項2】
前記回帰分析処理部は、全広告出稿媒体の数よりも少ない所定数以下に制限された数の説明変数を用いた重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を分析処理するものである、
請求項1に記載の広告出稿効果推定装置。
【請求項3】
前記回帰分析処理部、前記パス経路生成部及び前記パス係数算出部で用いられるレスポンス総計と出稿媒体別レスポンスは、季節の影響分を除去する補正処理がされている、
請求項1に記載の広告出稿効果推定装置。
【請求項4】
前記回帰分析処理部、前記パス経路生成部及び前記パス係数算出部で用いられる出稿媒体別出稿量は、残存効果を付加する補正処理がされている、
請求項1に記載の広告出稿効果推定装置。
【請求項5】
広告出稿媒体毎の出稿量の実績値と、広告出稿媒体毎のレスポンスの実績値と、レスポンスの実績値を合計したレスポンス総計の実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、広告出稿媒体毎の出稿量及びレスポンス総計を各項目とする各項目間のパス係数を出力するパス係数出力部と、
前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、各広告出稿媒体の出稿量の比率を示す出稿量比率実績値を出力する出稿量比率実績値出力部と、
出稿量比率実績値に対する出稿量比率の変更を受け付ける出稿量比率変更受付部と、
出稿量比率変更受付部で受け付けられた出稿量比率の変更内容と、パス係数を用いて、レスポンス総計の増減量若しくは増減率を出力するレスポンス総計増減出力部と、
を備えた広告出稿効果推定装置。
【請求項6】
パス係数と、出稿量比率実績値と、レスポンス総計の増減量若しくは増減率は、画面上に表示される、請求項5に記載の広告出稿効果推定装置。
【請求項7】
前記パス係数出力部及び前記レスポンス総計増減出力部で用いられるレスポンス総計は、季節の影響分を除去する補正処理がされている、
請求項5に記載の広告出稿効果推定装置。
【請求項8】
前記出稿量比率実績値出力部で用いられる各広告出稿媒体の出稿量は、残存効果を付加する補正処理がされている、
請求項5に記載の広告出稿効果推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告出稿効果推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(再公表2005-64511号公報)には、メディアプランを記憶した第1記憶手段、第2記憶手段に記憶された個々の生活者データに対し、ベイジアンネットワーク又はMTSのうちの1種又は複数種の分析エンジンを適用して、レスポンス結果に対する各出稿プランの依存性を定量化し、定量化された依存性に基づいてレスポンスに対し有効と推定される出稿プランを抽出し、有効と判定された出稿プランに合わせて第1記憶手段に記憶されたメディアプランを更新する態様が記載されている。すなわち、この特許文献1には、実績情報に基づいて回帰分析を行い、有効なメディアプランを求める旨が記載されている。
【0003】
特許文献2(特開2021-89485号公報)には、第1の利用者群の利用者の属性情報や商品に対する広告への接触に関する情報などを説明変数として用い、及び商品に対して第1の利用者群の利用者がとった行動に基づく値を目的変数として用いて機械学習を行い生成された学習済みモデルに、第2の利用者群の利用者の属性情報や商品に対する広告への接触に関する情報を入力して、第2の利用者群の利用者が商品に対して目的変数の行動をとる可能性を評価した指標値を出力し、指標値を第2の利用者群の利用者と対応づけ、指標値に基づいて、第2の利用者群の少なくとも一部の利用者に商品に対する広告を通知する態様が記載されている。すなわち、この特許文献2には、回帰分析によって利用者の広告に対する反応を予測するための学習済みモデルを生成し、このモデルを用いて指標値を求める旨が記載されている。
【0004】
特許文献3(特許7186316号公報)には、対象商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する推定装置であって、情報伝達媒体への接触度合いを特定し、情報伝達媒体の接触者を含む調査対象者からのアンケート結果に基づいて、対象商材と同種類の商材に関する接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度を算出し、対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて意識が複数設定される場合に、それぞれの段階の意識について回帰分析の重み付け係数を設定し、それぞれの段階の意識に対する訴求度と、それぞれの段階の意識について設定された重み付け係数との積を求め、接触度合いと、それぞれの段階の意識について求めた積とに基づいて、媒体ごとの効果を推定する態様が記載されている。すなわち、この特許文献3には、回帰分析を行うことによって媒体ごとの出稿効果を推定する旨が記載されている。
【0005】
特許文献4(特開2002-24692号公報)には、既に掲載され或いは配信された広告に関して、当該広告が具体的に掲載されるか又は配信された媒体を示す個別出稿媒体、広告の内容、広告費用、及び、当該広告に対するユーザの反響を示す情報をデータベースに記憶し、広告主及び/又は広告代理店からの原稿であって、広告期間及び予算を含む情報が付与された原稿に基づき、ユーザの反響を最大化するように、個別出稿媒体のうち選択されたものに対する広告期間及び予算を含む出稿計画を作成する態様が記載されている。すなわち、この特許文献4には、実績情報に基づいて媒体ごとの出稿効果を推定する旨が記載されているといる。
【0006】
特許文献5(特開2005-190340号公報)には、複数の双方向媒体に複数の広告を掲載し、複数の広告のそれぞれについて、ターゲットの反応にかかる反応パラメータを測定し、ターゲットを対象として各広告の認知にかかる認知パラメータを測定し、べき乗回帰式である関数として表される反応パラメータと認知パラメーdタとの相関関係を解析し、事前に得られた相関関係に基づいて、出稿対象の広告の効果を予測する態様が記載されている。すなわち、この特許文献5には、実績情報に基づく回帰分析を行うことによって双方向媒体の出稿効果を推定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】再公表2005-64511号公報
【特許文献2】特開2021-89485号公報
【特許文献3】特許7186316号公報
【特許文献4】特開2002-24692号公報
【特許文献5】特開2005-190340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術と比較して、容易な操作で広告出稿の効果を推定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、広告出稿媒体毎の出稿量を示す出稿媒体別出稿量の実績値と、広告出稿媒体毎のレスポンスを示す出稿媒体別レスポンスの実績値と、出稿媒体別レスポンスの実績値を合計したレスポンス総計の実績値を取得する実績値取得部と、前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、レスポンス総計と出稿媒体別レスポンスのうちのいずれかを目的変数とし、1又は複数の出稿媒体別出稿量を説明変数とする重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を分析処理する回帰分析処理部と、前記重回帰分析式及び/又は前記単回帰分析式の適合度の指標が所定の適合度以上となっている重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を選択する選択部と、前記選択部で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が間接効果元の項目となり、目的変数が間接効果先の項目となると共に、前記選択部で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が直接効果元の項目となり、目的変数が直接効果先の項目となるように、各項目間のパス経路を生成するパス経路生成部と、前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、前記パス経路の各項目間についてパス係数を算出するパス係数算出部と、を備えた広告出稿効果推定装置である。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記回帰分析処理部は、全広告出稿媒体の数よりも少ない所定数以下に制限された数の説明変数を用いた重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を分析処理するものである、広告出稿効果推定装置である。
【0011】
第3の態様は、第1の態様において、前記回帰分析処理部、前記パス経路生成部及び前記パス係数算出部で用いられるレスポンス総計と出稿媒体別レスポンスは、季節の影響分を除去する補正処理がされている、広告出稿効果推定装置である。
【0012】
第4の態様は、第1の態様において、前記回帰分析処理部、前記パス経路生成部及び前記パス係数算出部で用いられる出稿媒体別出稿量は、残存効果を付加する補正処理がされている、広告出稿効果推定装置である。
【0013】
第5の態様は、広告出稿媒体毎の出稿量の実績値と、広告出稿媒体毎のレスポンスの実績値と、レスポンスの実績値を合計したレスポンス総計の実績値を取得する実績値取得部と、
【0014】
前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、広告出稿媒体毎の出稿量及びレスポンス総計を各項目とする各項目間のパス係数を出力するパス係数出力部と、前記実績値取得部によって取得された実績値に基づいて、各広告出稿媒体の出稿量の比率を示す出稿量比率実績値を出力する出稿量比率実績値出力部と、出稿量比率実績値に対する出稿量比率の変更を受け付ける出稿量比率変更受付部と、出稿量比率変更受付部で受け付けられた出稿量比率の変更内容と、パス係数を用いて、レスポンス総計の増減量若しくは増減率を出力するレスポンス総計増減出力部と、を備えた広告出稿効果推定装置である。
【0015】
第6の態様は、第5の態様において、パス係数と、出稿量比率実績値と、レスポンス総計の増減量若しくは増減率は、画面上に表示される、広告出稿効果推定装置である。
【0016】
第7の態様は、第5の態様において、前記パス係数出力部及び前記レスポンス総計増減出力部で用いられるレスポンス総計は、季節の影響分を除去する補正処理がされている、広告出稿効果推定装置である。
【0017】
第8の態様は、第5の態様において、前記出稿量比率実績値出力部で用いられる各広告出稿媒体の出稿量は、残存効果を付加する補正処理がされている、広告出稿効果推定装置である。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様から第8の態様によれば、従来技術と比較して、容易な操作で広告出稿の効果を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態の広告出稿効果推定装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、第2実施形態の広告出稿効果推定装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態の1又は複数のパーソナルコンピュータ端末と、サーバと、各パーソナルコンピュータ端末及びサーバを通信可能に接続するネットワークの構成図である。
図4図4は、実施形態の機能構成を実現するためのハードウェア構成図である。
図5図5は、第1実施形態の広告出稿効果推定装置の機能を実現させる広告出稿効果推定のためのプログラムの処理手順をフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の広告出稿効果推定装置の機能を実現させる広告出稿効果推定のためのプログラムの処理手順をフローチャートである。
図7A図7Aは、端末の表示装置の表示画面に表示される実績値取得画面を例示する図である。
図7B図7Bは、端末の表示装置の表示画面に表示される実績値取得画面を例示する図である。
図8図8は、端末の表示装置の表示画面に表示されるパス経路画面を例示する図である。
図9図9(A)、(B)は、端末の表示装置の表示画面に表示されるパス係数画面を例示する図である。
図10図10(A)、(B)は、端末の表示装置の表示画面に表示される情報接触経路評価画面を例示する図である。
図11A図11Aは、端末の表示装置の表示画面に表示される出稿量比率変更受付画面を例示する図で出稿量比率の変更が受付けられていない初期状態を示す図である。
図11B図11Bは、端末の表示装置の表示画面に表示される出稿量比率変更受付画面を例示する図で出稿量比率の変更が受け付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
(広告出稿効果推定装置の機能構成)
【0022】
図1は、第1実施形態の広告出稿効果推定装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
第1実施形態の広告出稿効果推定装置100は、実績値取得部110と、回帰分析処理部120と、選択部130と、パス経路生成部140と、パス係数算出部150を含んで構成されている。
【0024】
図2は、第2実施形態の広告出稿効果推定装置200の機能構成を示すブロック図である。
【0025】
第2実施形態の広告出稿効果推定装置200は、実績値取得部110と、パス係数出力部160と、出稿量比率実績値出力部170と、出稿量比率変更受付部180と、レスポンス総計増減出力部190を含んで構成されている。
【0026】
図1及び図2の機能は、図3に示すように、1又は複数のパーソナルコンピュータ端末60と、サーバ70と、各パーソナルコンピュータ端末60及びサーバ70を通信可能に接続するネットワーク80の組合せで実現することができる。またパーソナルコンピュータ端末60単体でも実現することができる。
【0027】
(ハードウェア構成)
【0028】
図4は、図1及び図2に示す実施形態の機能構成を実現するためのハードウェア構成図である。パーソナルコンピュータ端末60又はサーバ70のハードウェア構成を例示する。
【0029】
図4に示すように、パーソナルコンピュータ端末60又はサーバ70は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read OnlY MemorY)62、RAM(Random Access MemorY)63、ストレージ64、入力装置66、表示装置67、通信I/F68、外部記憶装置69を備え、システムバス65を介して相互に通信可能に接続されている。
【0030】
CPU61は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、システムバス65に接続される各デバイスを制御したりする。すなわち、CPU61は、ROM62又はストレージ64からプログラムを読み出し、RAM63を作業領域としてプログラムを実行する。CPU61は、ROM62又はストレージ64に記録されているプログラムにしたがって、システムバス65に接続される各デバイスの制御及び各種の演算処理を行う。ROM62又はストレージ64には、CPU61が実行する制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output SYstem)やOS(Operating SYstem)や、本実施形態を実現するためのコンピュータで読み取りが可能で実行が可能な各種プログラム及び必要な各種データを保持している。
【0031】
ROM62は、各種制御プログラム及び各種データを格納する。RAM63は、CPU61の主メモリ、ワークエリア等として機能し作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ64は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、BIOS、OSを含む各種プログラム及び各種データを格納する。
【0032】
入力装置66は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボード、スキャナなどの読み取り装置を含み、各種の入力を行うために使用される。
【0033】
表示装置67は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示装置67は、タッチパネル方式を採用して、入力装置66として機能しても良い。
【0034】
通信インタフェース68は、他のサーバ70、端末60等の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。通信インタフェース68は、ネットワーク80と接続してデータの送受信の制御を行う。
【0035】
外部記憶装置69は、USBメモリなどの各種のメモリカード、HDD、SSDなどの着脱可能に接続される外部記憶媒体で構成されている。
【0036】
(広告出稿効果推定のためのプログラム)
【0037】
図5は、第1実施形態の広告出稿効果推定装置100の機能を実現させる広告出稿効果推定のためのプログラムPB1の処理手順をフローチャートで示している。広告出稿効果推定のためのプログラムPB1は、コンピュータに、実績値取得処理S11と、回帰分析処理S12と、選択処理S13と、パス経路生成処理S14と、パス係数算出処理S15とを実行させる。実績値取得処理S11は、実績値取得部110で行われる処理に相当する。回帰分析処理S12は、回帰分析処理部120で行われる処理に相当する。選択処理S13は、選択部130で行われる処理に相当する。パス経路生成処理S14は、パス経路生成部140で行われる処理に相当する。パス係数算出処理S15は、パス係数算出部150で行われる処理に相当する。
【0038】
図6は、第2実施形態の広告出稿効果推定装置200の機能を実現させる広告出稿効果推定のためのプログラムPB2の処理手順をフローチャートで示している。広告出稿効果推定のためのプログラムPB2は、コンピュータに、実績値取得処理S11と、パス係数出力処理S16と、出稿量比率実績値出力処理S17と、出稿量比率変更受付処理S18と、レスポンス総計増減出力処理S19とを実行させる。実績値取得処理S11は、実績値取得部110で行われる処理に相当する。パス係数出力処理S16は、パス係数出力部160で行われる処理に相当する。出稿量比率実績値出力処理S17は、出稿量比率実績値出力部170で行われる処理に相当する。出稿量比率変更受付処理S18は、出稿量比率変更受付部180で行われる処理に相当する。レスポンス総計増減出力処理S19は、レスポンス総計増減出力部190で行われる処理に相当する。
【0039】
プログラムPB1、PB2は、ROM62又はストレージ64又は外部記憶装置69に格納されている。パーソナルコンピュータ端末60又はサーバ70は、ROM62又はストレージ64又は外部記憶装置69からプログラムPB1、PB2を読み出して上記各処理を実行する。
【0040】
なお、上記各処理S11~S19をパーソナルコンピュータ端末60、サーバ70のいずれで行うかはシステム構成に応じて任意に定めることができる。例えばパーソナルコンピュータ端末60に、プログラムPB1、PB2をインストールしておき、プログラムPB1、PB2をパーソナルコンピュータ端末60単体で実行してもよい。また例えばパーソナルコンピュータ端末60からネットワーク80を介してサーバ70にアクセスすることによってプログラムPB1、PB2の処理をパーソナルコンピュータ端末60、サーバ70双方で実行してもよい。
【0041】
以下、各実施形態について説明する。
【0042】
(第1実施形態)
【0043】
第1実施形態の広告出稿効果推定装置100は、実績値取得部110と、回帰分析処理部120と、選択部130と、パス経路生成部140と、パス係数算出部150を備え、図5に示す処理手順のプログラムPB1を実行する。
【0044】
(実績値取得部110における実績値取得処理S11)
【0045】
実績値取得部110は、広告出稿媒体1、2、3、4、5、6、7、8、9毎の出稿量を示す出稿媒体別出稿量の実績値W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9と、出稿媒体別出稿量の実績値W1~W9を合計した出稿量総計の実績値W0と、広告出稿媒体毎のレスポンスを示す出稿媒体別レスポンスの実績値Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9と、出稿媒体別レスポンスの実績値Z1~Z9を合計したレスポンス総計の実績値Z0を取得する(S11)。
【0046】
図7A図7Bはそれぞれ、パーソナルコンピュータ端末(以下、端末という)10の表示装置67の表示画面に表示される実績値取得画面51A、51Bを例示する。実績値取得画面51A、51Bは、実績値取得部110の機能を備えたインターフェース画面として構成されている。例えば図7Aに示す実績値取得画面51A上で、出稿媒体別出稿量の実績値W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9と、出稿量総計の実績値W0を取得するための操作を行うことで、実績値取得画面51A上に、取得された出稿媒体別出稿量の実績値W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9と、出稿量総計の実績値W0の数値(画面上で「・・・」で示す)が年、月毎に表示される。例えば過去数年間(3年分(36カ月))の月毎の出稿媒体別出稿量の実績値W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9と、出稿量総計の実績値W0の数値がサーバ70の図示しないデータベースから読み出され、実績値取得画面51Aに表示される。なお図7A中の表内のセルにおいて「・・・」とあるのは、具体的な数値を示す。他の図面についても同様である。
【0047】
同様に図7Bに示す実績値取得画面51B上で、出稿媒体別レスポンスの実績値Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9と、レスポンス総計の実績値Z0を取得するための操作を行うことで、実績値取得画面51B上に、取得された出稿媒体別レスポンスの実績値Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9と、レスポンス総計の実績値Z0の数値(画面上で「・・・」で示す)が年、月毎に表示される。例えば過去数年間(3年分(36カ月))の月毎の出稿媒体別レスポンスの実績値Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9と、レスポンス総計の実績値Z0の数値がサーバ70の図示しないデータベースから読み出され、実績値取得画面51Bに表示される。
【0048】
ここで各広告出稿媒体1、2、3、4、5、6、7、8、9の出稿量の変数をそれぞれX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9と定義する。広告対象の商品、サービスのレスポンスの変数をY1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9と定義する。出稿量は、出稿数、出稿額を含む意味で使用する。またレスポンスは、受注量、受注数、受注額、サイト誘引数、検索数を含む意味で使用する。また、レスポンスは、クリック数、登録数など所謂コンバージョンと言われる出稿対象の利益につながるユーザの行動を設定しても良い。受注額の単位は、例えば日本円である。
【0049】
各広告出稿媒体1、2、3、4、5、7、8、9はそれぞれ、例えばテレビ、新聞、ラジオ、雑誌、チラシ、同封、リスティング広告、ディスプレイ広告、その他施策である。これらは一例であり広告出稿媒体としては広告の出稿が可能な媒体であれば任意に選択し、組合せることが可能である。例えば広告出稿媒体が新聞広告である場合には、異なる新聞社あるいは異なる地方の新聞紙面の広告を選択し、組み合わせてもよく、掲載サイズ、モノクロ広告、カラー広告など、異なる掲載形態を選択し、組み合わせてもよい。また、例えば広告出稿媒体がテレビ放送の広告である場合には、地上波テレビ放送、衛星放送、有線放送など異なる放送形態の広告を選択し、組合せてもよく、特定ないし任意のテレビCM 又はテレビ番組を選択し、組合せてもよい。また、例えば広告出稿媒体がラジオ放送の広告である場合には、例えば、任意のラジオCM 又はラジオ番組を選択し、組合せてもよい。また、例えば広告出稿媒体がインターネットの広告である場合には、例えば特定ないし任意のデジタル広告、ウェブサイト、SNS、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどの情報端末にインストールされたアプリケーションソフトウェアを選択し、組合せてもよい。また、例えば広告出稿媒体が屋外の広告である場合には、看板、デジタルサイネージ、電車、バス、自動車などの各種移動媒体における車内広告を選択し、組合せてもよい。これら新聞広告、テレビ放送の広告、ラジオ放送の広告、インターネットの広告、屋外の広告のうちいずれか一つを選択してもよく又は二以上を選択して組合せてもよい。
【0050】
出稿媒体別出稿量の実績値W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9はそれぞれ、広告出稿媒体1、2、3、4、5、6、7、8、9毎の出稿量の変数X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9に過去の出稿量を代入した値を示す。出稿媒体別レスポンスの実績値Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9はそれぞれ、広告出稿媒体1、2、3、4、5、6、7、8、9毎のレスポンスの変数Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9に過去のレスポンス数・量を代入した値を示す。レスポンス総計の実績値Z0は、レスポンス総計の変数Y0に過去のレスポンス総数・総量を代入した値を示す。
【0051】
(回帰分析処理部120における回帰分析処理S12)
【0052】
回帰分析処理部120は、実績値取得部110によって取得された実績値に基づいて、レスポンス総計と出稿媒体別レスポンスのうちのいずれかを目的変数とし、1又は複数の出稿媒体別出稿量を説明変数とする重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を分析処理する(S12)。
【0053】
例えば下記の条件で重回帰分析式及び単回帰分析式を分析処理することができる。
【0054】
条件1)各広告出稿媒体1~9のうち3つまでの任意の広告出稿媒体に対応する出稿媒体別出稿量を説明変数とし、レスポンス総計又は任意の広告出稿媒体に対応する出稿媒体別レスポンスを目的変数とするすべての組み合わせについて重回帰分析式及び単回帰分析式を求める。
【0055】
なお、重回帰分析式に用いる説明変数の数を3以下に制限しているが、重回帰分析式に用いる説明変数の数としては、全広告出稿媒体の数(9)よりも少ない任意の所定の数以下の数に制限されたものであればよい。
【0056】
重回帰分析式は、一般的にβを目的変数、α1、α2、α3を説明変数として下記(1)式で表される。
【0057】
β=b0+b1・α1+b2・α2+b3・α3・・・(1)
【0058】
単回帰分析式は、一般的にβを目的変数、α1を説明変数として下記(2)式で表される。
【0059】
β=b0+b1・α1・・・(2)
【0060】
回帰係数b0、b1、b2、b3はそれぞれ、例えば出稿媒体別出稿量実績値W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9と出稿媒体別レスポンス実績値Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9及びレスポンス総計実績値Z0のデータに最小二乗法を適用して求められる。例えば、実際に観測された目的変数の値と、重回帰分析式をあてはめて計算した推定値(理論値)との間の二乗誤差の平均が最小となる回帰係数b0、b1、b2、b3が求められる。
【0061】
例えば下記(3)式のように、広告出稿媒体4(雑誌)に対応する出稿媒体別出稿量X4と広告出稿媒体8(ディスプレイ広告)に対応する出稿媒体別出稿量X8をそれぞれ説明変数とし、広告出稿媒体1(テレビ)に対応する出稿媒体別レスポンスY1を目的変数とする重回帰分析式が求められる。
【0062】
Y1=b0+b1・X4+b2・Y8 ・・・(3)
【0063】
また例えば下記(4)式のように、広告出稿媒体1(テレビ)に対応する出稿媒体別出稿量X1と広告出稿媒体2(新聞)に対応する出稿媒体別出稿量X2と広告出稿媒体3(ラジオ)に対応する出稿媒体別出稿量X3をそれぞれ説明変数とし、レスポンス総計Y0を目的変数とする重回帰分析式が求められる。
【0064】
Y0=b0+b1・X1+b2・X2+b3・X3 ・・・(4)
【0065】
また例えば下記(5)式のように、広告出稿媒体3(ラジオ)に対応する出稿媒体別出稿量X3を説明変数とし、レスポンス総計Y0を目的変数とする単回帰分析式が求められる。
【0066】
Y0=b0+b1・X3 ・・・(5)
【0067】
(選択部130における選択処理S13)
【0068】
選択部130は、重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の適合度の指標が所定の適合度以上となっている重回帰分析式及び/又は単回帰分析式を選択する(S13)。
【0069】
ここで適合度の指標とは、回帰分析によって求められた目的変数の予測値と実際の目的変数の値との一致度合いを評価する指標であり、例えば決定係数R2を用いることができる。
【0070】
例えば回帰分析処理S12で求められた重回帰分析式及び単回帰分析式のうちで、
【0071】
決定係数R2≧0.45 ・・・(6)
【0072】
となっている重回帰分析式及び単回帰分析式が抽出され、その抽出された重回帰分析式及び単回帰分析式における説明変数に対応する広告出稿媒体が選択される。決定係数R2がしきい値0.45以上であることは、その重回帰分析式及び単回帰分析式によって目的変数の45%以上を説明変数で説明できるということを示している。なお決定係数R2は、回帰変動を全変動で割ることで求められる。適合度の指標としては、決定係数R2以外に、自由度調整済み決定係数(自由度修正済み決定係数)R2fを用いてもよく、重相関係数Rを用いてもよい。
【0073】
例えば(3)式、(4)式に示す重回帰分析式、(5)式に示す単回帰分析式が(6)式に示す条件を満たす場合には、これら(3)式、(4)式に示す重回帰分析式、(5)式に示す単回帰分析式が、パス経路生成のために選択されることになる。
【0074】
(パス経路生成部140におけるパス経路生成処理S14)
【0075】
パス経路生成部140は、選択部130で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が間接効果元の項目となり、目的変数が間接効果先の項目となると共に、選択部130で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式の説明変数が直接効果元の項目となり、目的変数が直接効果先の項目となるように、各項目間のパス経路を生成する(S14)。
【0076】
図8は、端末10の表示装置67の表示画面に表示されるパス経路画面52を例示する。
【0077】
パス経路画面52には、パス経路生成処理S14によって生成されるパス経路PAが表示される。
【0078】
図8においてパス経路PAにおけるパスを矢印「→」で示し、項目(変数)を「□」で示す。
【0079】
(3)式、(4)式に示す重回帰分析式、(5)式に示す単回帰分析式を例にとり説明する。
【0080】
(3)式(Y1=b0+b1・X4+b2・Y8)の説明変数に対応する出稿媒体別出稿量は、X4(雑誌)、X8(ディスプレイ広告)であり、目的変数に対応する出稿媒体別レスポンスは、Y1(テレビ)である。このため出稿媒体別出稿量X4(雑誌)、X8(ディスプレイ広告)を間接効果元の項目、出稿媒体別出稿量X1(テレビ)を間接効果先の項目とする間接パスP1が生成される。図8に示すようにパスの矢印「→」の始点が間接効果元の項目X4(雑誌)、X8(ディスプレイ広告)となり、パスの矢印「→」の終点が間接効果先の項目X1(テレビ)となる間接パスP1が生成される。
【0081】
同様に(4)式(Y0=b0+b1・X1+b2・X2+b3・X3)の説明変数に対応する出稿媒体別出稿量は、X1(テレビ)、X2(新聞)、X3(ラジオ)であり、目的変数にはレスポンス総計Y0が対応している。このため出稿媒体別出稿量X1(テレビ)、X2(新聞)、X3(ラジオ)を直接効果元の項目、レスポンス総計Y0を直接効果先の項目とする直接パスP2が生成される。図8に示すようにパスの矢印「→」の始点が直接効果元の項目X1(テレビ)、X2(新聞)、X3(ラジオ)となり、パスの矢印「→」の終点が直接効果先の項目Y0(レスポンス総計)となる直接パスP2が生成される。
【0082】
同様に(5)式(Y0=b0+b1・X3)の説明変数に対応する出稿媒体別出稿量は、X3(ラジオ)であり、目的変数にはレスポンス総計Y0が対応している。このため出稿媒体別出稿量X3(ラジオ)を直接効果元の項目、レスポンス総計Y0を直接効果先の項目とする直接パスP3が生成される。図8に示すようにパスの矢印「→」の始点が直接効果元の項目X3(ラジオ)となり、パスの矢印「→」の終点が直接効果先の項目Y0(レスポンス総計)となる直接パスP3が生成される。
【0083】
以下同様にして選択部130で選択された重回帰分析式及び/又は単回帰分析式に応じたパスが形成される。
【0084】
さらに本実施形態では、パス経路の項目に、未知要因Uの項目があることを仮定してパスが生成される。なお未知要因Uの項目を省略する実施も可能である。
【0085】
(パス係数算出部150におけるパス係数算出処理S15)
【0086】
パス係数算出部150は、実績値取得部110によって取得された実績値に基づいて、パス経路PAの各項目間のパスについてパス係数を算出する(S15)。
【0087】
例えば共分散構造分析(SEM)によってパス係数が算出される。パス係数は重回帰分析の標準偏回帰係数または偏回帰係数を用いてもよい。
【0088】
図9(A)、(B)は、端末10の表示装置67の表示画面に表示されるパス係数画面53を例示する。
【0089】
パス係数画面53は、パス係数表示部53Aと、パス係数詳細表示部53Bを含んでいる。
【0090】
図9(A)に示すように、パス係数表示部53Aには、各広告出稿媒体1(テレビ)、2(新聞)、3(ラジオ)、4(雑誌)、5(チラシ)、6(同封)、7(リスティング広告)、8(ディスプレイ広告)、9(その他施策)、未知要因毎Uに、直接パスのパス係数(直接効果)の数値、間接パスのパス係数(間接効果)の数値、直接パスのパス係数と間接パスのパス係数を加算したパス係数(総合効果)の数値が表示される。
【0091】
図9(B)に示すように、パス係数詳細表示部53Bには、パス経路PAの各項目間のパスにおけるパス係数の数値が表示される。図9(B)の列項目がパスの矢印「→」の始点の項目に対応し、図9(B)の行項目がパスの矢印「→」の終点の項目に対応する。
【0092】
例えば広告出稿媒体4(雑誌)の直接パスP4のパス係数(直接効果)は、EN1(-0.077)である。広告出稿媒体4(雑誌)の間接パスP5のパス係数(間接効果)は、出稿媒体別出稿量X4(雑誌)の項目から出稿媒体別出稿量X1(テレビ)の項目までの間接パスP41のパス係数がEN2(0.320)で、出稿媒体別出稿量X1(テレビ)の項目からレスポンス総計Y0の項目までの直接パスP10のパス係数がEN3(0.148)であるため、これらパス係数EN2(0.320)、EN3(0.148)を乗算した値EN4(0.047)として求めることができる。他の各広告出稿媒体の直接効果、間接効果についても同様に求められ、パス係数表示部53Aに表示される。
【0093】
図10(A)、(B)は、端末10の表示装置67の表示画面に表示される情報接触経路評価画面54を例示する。
【0094】
情報接触経路評価画面54は、影響度上位経路表示部54Aと、影響度下位経路表示部54Bを含んでいる。
【0095】
図10(A)に示すように、影響度上位経路表示部54Aには、レスポンス総計Y0の項目に至る情報接触経路のうちで影響度(直接効果又は間接効果)が高い上位(例えば上位10の経路)が表示される。
【0096】
図10(B)に示すように、影響度下位経路表示部54Bには、レスポンス総計Y0の項目に至る情報接触経路のうちで影響度(直接効果又は間接効果)が低い上位(例えば下位10の経路)が表示される。
【0097】
例えば図10(A)に示すように、出稿媒体別出稿量X4(雑誌)の項目から出稿媒体別出稿量X1(テレビ)の項目を経てレスポンス総計Y0の項目に至る情報接触経路P5の影響度(間接効果)はEN4(0.047)であり、影響度は上位5番目であると評価される。
【0098】
また図10(B)に示すように、出稿媒体別出稿量X4(雑誌)の項目からレスポンス総計Y0の項目に至る情報接触経路P4の影響度(直接効果)はEN1(-0.077)であり、影響度は下位3番目であると評価される。
【0099】
一般的にパス解析を行う場合には、パス経路の各項目(各変数)間の因果関係の仮説を立てる必要がある。しかし第1実施形態によれば、各広告出稿媒体の過去の出稿量とレスポンスの実績値を取得する操作を行うだけで、各広告出稿媒体の直接効果、間接効果及び総合効果を推定することができる。
【0100】
レスポンス総計Y0、出稿媒体別レスポンスY1~Y9には季節性があるため、季節調整を行ってもよい。
【0101】
すなわち回帰分析処理部120、パス経路生成部140及びパス係数算出部15で用いられるレスポンス総計Y0と出稿媒体別レスポンスY1~Y9に、季節の影響分を除去する補正処理を行ってもよい。
【0102】
例えばEPA (Economic Planning Agency method)法に基づく解析手法によって季節指数Siを算出し、この季節指数Siをレスポンス総計Y0、出稿媒体別レスポンスY1~Y9に乗算することによって季節の影響分を除去することができる。
【0103】
レスポンス総計Y0と出稿媒体別レスポンスY1~Y9には、出稿媒体別出稿量X1~X9そのものよりも、出稿媒体別出稿量X1~X9の残存効果の方が影響することがある。よって回帰分析処理部120、パス経路生成部140及びパス係数算出部15で用いられる出稿媒体別出稿量X1~X9に、残存効果を付加する補正処理を行ってもよい。
【0104】
広告出稿媒体m(=1、2、3、4、5、6、7、8、9)のt期の残存効果量Amtは、下記(7)式で表される。
【0105】
Amt= λ・Xmt +(1-λ)・Am(t-1) ・・・(7)
【0106】
上記(7)式においてtは、
【0107】
t=1、2、・・・、n ・・・(8)
【0108】
であり、期数を示す。またXmtは、t期の広告出稿媒体mの出稿量を示す。λは、残存率(忘却率、減衰率)を示し、下記の範囲を取る。
【0109】
0≦λ≦1 ・・・(9)
【0110】
残存率λは、例えばレスポンス総計Y0、出稿媒体別レスポンスY1~Y9と残存効果量Amtとの時系列相関が最大となるような値として算出することができる。
【0111】
残存効果を考慮した重回帰分析を行う際には、例えば上記(3)式(Y1=b0+b1・X4+b2・Y8)を、下記(3)´式、
【0112】
Y1t=b0+b1・A4t +b2・A8t ・・・(3)´
【0113】
に置き換えて重回帰分析を行えばよい。(3)´式においてY1tは、t期の広告出稿媒体1(テレビ)の出稿媒体別レスポンスを示す。単回帰分析についても同様である。
【0114】
(第2実施形態)
【0115】
第2実施形態の広告出稿効果推定装置200は、実績値取得部110と、パス係数出力部160と、出稿量比率実績値出力部170と、出稿量比率変更受付部180と、レスポンス総計増減出力部190を備え、図6に示す処理手順のプログラムPB2を実行する。
【0116】
以下、第1実施形態における処理と重複する処理については適宜説明を省略して説明する。
【0117】
(実績値取得部110における実績値取得処理S11)
【0118】
第1実施形態の実績値取得処理S11と同様の処理が実行される。
【0119】
すなわち図7A図7Bに示すように、端末10の表示装置67の表示画面上で各広告出稿媒体の過去の出稿量とレスポンスの実績値を取得するための操作が行われると、各広告出稿媒体の過去の出稿量とレスポンスの実績値が表示される。
【0120】
(パス係数出力部160におけるパス係数出力処理S16)
【0121】
パス係数出力部160は、実績値取得部110によって取得された実績値に基づいて、広告出稿媒体毎の出稿量及びレスポンス総計を各項目とする各項目間のパス係数を出力する(S16)。
【0122】
例えば第1実施形態の回帰分析処理S12と、選択処理S13と、パス経路生成処理S14と、パス係数算出処理S15と同様の処理が実行されて、広告出稿媒体毎の出稿量及びレスポンス総計を各項目とする各項目間のパス係数が算出される。算出されたパス係数は、端末10の表示装置67の表示画面に表示される。
【0123】
例えば図9(A)、(B)に示すように、端末10の表示装置67の表示画面上に、広告出稿媒体毎の出稿量及びレスポンス総計を各項目とする各項目間のパス係数が表示される。
【0124】
(出稿量比率実績値出力部170における出稿量比率実績値出力処理S17)
【0125】
出稿量比率実績値出力部170は、実績値取得部110によって取得された実績値に基づいて、各広告出稿媒体の出稿量の比率を示す出稿量比率実績値を出力する(S17)。
【0126】
図11Aは、端末10の表示装置67の表示画面に表示される出稿量比率変更受付画面55を例示する。
【0127】
出稿量比率変更受付画面55は、出稿量比率実績値表示部55Aと、出稿量比率変更受付部55Bと、レスポンス総計増減表示部55Cを含んでいる。
【0128】
出稿量比率実績値表示部55Aは、出稿量比率実績値出力部170として機能する。
【0129】
出稿量比率実績値表示部55Aには、各広告出稿媒体1(テレビ)、2(新聞)、3(ラジオ)、4(雑誌)、5(チラシ)、6(同封)、7(リスティング広告)、8(ディスプレイ広告)、9(その他施策)毎に、現在の出稿量(実績値)の比率MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、MR7、MR8、MR9が表示される。現在の出稿量(実績値)の比率MR1~MR9は、下記(7)式に示すように、例えば各広告出稿媒体1~9毎に過去3年間の出稿量の平均値M1~M9を算出し、合計出稿量M1+M2+・・・+M9に対する比率として求められる。
【0130】
MRi=100%×Mi/(M1+M2+・・・+M9) ・・・(10)
【0131】
ただしiは、各広告出稿媒体1、2、3、4、5、6、7、8、9に相当する。
【0132】
現在の出稿量(実績値)の比率MR1~MR9は、出稿量比率を変更する際の参考のために用いることができる。
【0133】
(出稿量比率変更受付部180における出稿量比率変更受付処理S18)
【0134】
出稿量比率変更受付部180は、出稿量比率実績値に対する出稿量比率の変更を受け付ける(S18)。
【0135】
出稿量比率変更受付部55Bは、出稿量比率変更受付部180として機能する。
【0136】
出稿量比率変更受付部55Bは、入力操作に応じて各広告出稿媒体1(テレビ)、2(新聞)、3(ラジオ)、4(雑誌)、5(チラシ)、6(同封)、7(リスティング広告)、8(ディスプレイ広告)、9(その他施策)毎に、出稿量比率NR1、NR2、NR3、NR4、NR5、NR6、NR7、NR8、NR9の変更を受付ける。出稿量比率変更受付部55Bは、例えば単位を%として数値をテキスト入力可能なテキストボックスで構成することができる。操作者は、出稿量比率NR1~NR9の合計が100(%)となるように、現在の出稿量(実績値)の比率MR1~MR9を参考値として現実的な変更比率(%)をテキストボックスとしての出稿量比率変更受付部55Bに入力することができる。なお操作者は、図10(A)、(B)に示す情報接触経路評価画面54を参考に出稿量比率変更値を定めることができる。
【0137】
出稿量比率変更受付部55Bには、初期値として現在の出稿量(実績値)の比率MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、MR7、MR8、MR9が参考のために表示されている。
【0138】
図11Aは、出稿量比率の変更が受付けられていない初期状態を示す。出稿量比率変更受付部55Bには、現在の出稿量(実績値)の比率MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、MR7、MR8、MR9が表示される。
【0139】
図11Bは、出稿量比率の変更が受け付けられた状態を示す。出稿量比率変更受付部55Bには、変更された出稿量比率NR1、NR2、NR3、NR4、NR5、NR6、NR7、NR8、NR9が表示される。
【0140】
(レスポンス総計増減出力部190におけるレスポンス総計増減出力処理S19)
【0141】
レスポンス総計増減出力部190は、出稿量比率変更受付部180で受け付けられた出稿量比率の変更内容と、パス係数を用いて、レスポンス総計の増減量若しくは増減率を出力する(S19)。
【0142】
レスポンス総計増減表示部55Cは、レスポンス総計増減出力部190として機能する。
【0143】
レスポンス総計増減表示部55Cは、出稿量比率変更受付部55Bで出稿量比率NR1、NR2、NR3、NR4、NR5、NR6、NR7、NR8、NR9の変更が受付けられると、出稿量比率NR1、NR2、NR3、NR4、NR5、NR6、NR7、NR8、NR9と、パス係数を用いてレスポンス総計の増減率SNが表示される。レスポンス総計の増減率SNの単位は、%であり、レスポンス総計の初期値SMを100%として、レスポンス総計の初期値SMに対する比率(%)で表される。このためレスポンス総計の増減がない場合には、レスポンス総計の増減率SNは、レスポンス総計の初期値SMと同じ100(%)となる。
【0144】
図11Aは、出稿量比率の変更が受付けられていない初期状態を示す。レスポンス総計増減表示部55Cには、現在の出稿量(実績値)の比率MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、MR7、MR8、MR9に応じたレスポンス総計の初期値SM(100%)が表示される。
【0145】
図11Bは、出稿量比率の変更が受け付けられた状態を示す。レスポンス総計増減表示部55Cには、変更された出稿量比率NR1、NR2、NR3、NR4、NR5、NR6、NR7、NR8、NR9に応じたレスポンス総計の増減率SN(例えば150%)が表示される。
【0146】
第2実施形態では、レスポンス総計の増減率を表示しているが、レスポンス総計の増減率の代わりにレスポンス総計の増減量を表示してもよい。
【0147】
第2実施形態によれば、各広告出稿媒体の過去の出稿量とレスポンスの実績値を取得する操作を行い、出稿量比率実績値に対して出稿量比率を変更する操作を行うだけで、レスポンス総計の増減率又は増減量を推定することができる。
【0148】
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、パス係数出力部160及びレスポンス総計増減出力部190で用いられるレスポンス総計Y0に、季節の影響分を除去する補正処理を行うようにしてもよい。
【0149】
また 第2実施形態においても第1実施形態と同様に、出稿量比率実績値出力部170で用いられる各広告出稿媒体の出稿量X1~X9に、残存効果を付加する補正処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0150】
100 広告出稿効果推定装置
110 実績値取得部
120 回帰分析処理部
130 選択部
140 パス経路生成部
150 パス係数算出部
200 広告出稿効果推定装置
160 パス係数出力部
170 出稿量比率実績値出力部
180 出稿量比率変更受付部
190 レスポンス総計増減出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B