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特開2025-13073吊手の鞘に熱収縮フィルムを取付ける方法と、熱収縮フィルム付き吊手の鞘
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013073
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】吊手の鞘に熱収縮フィルムを取付ける方法と、熱収縮フィルム付き吊手の鞘
(51)【国際特許分類】
   G09F 21/04 20060101AFI20250117BHJP
   B60N 3/02 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G09F21/04 N
B60N3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023125857
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000176143
【氏名又は名称】三上化工材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520421178
【氏名又は名称】株式会社ホウシン
(72)【発明者】
【氏名】三上 省吾
(72)【発明者】
【氏名】中山 宏
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088EA03
(57)【要約】
【課題】 吊手の鞘に印刷された熱収縮フィルムが取付けられるようにするとともに、熱収縮フィルムがいたずらや不注意で剥がされたり、剥がれたり、裂けないようにする。また、皺にならない熱収縮フィルムにする。
【解決手段】 熱収縮フィルム5は、鞘本体2よりも若干大きい筒形状を有する。熱収縮フィルム5を鞘本体2に被(かぶ)せた後、加熱収縮させて鞘本体2の上端面と外周側面と下端面を覆う状態で密着させた取付けをする。この後、鞘本体2の上方から上部側エンドキャップ3を被せ、鞘本体2の下方から下部側エンドキャップ4を被せて、熱収縮フィルム5の上端部と下端部を隠すように覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立ち姿勢の乗客が把持する吊手が備える筒形状の鞘(さや)の主要部になる鞘本体に所望の印刷がされた熱収縮フィルムを取付ける方法であり、
該熱収縮フィルムは、前記鞘本体よりも若干大きい筒形状を有し、
該熱収縮フィルムを前記鞘本体に被(かぶ)せた後、加熱収縮させて前記鞘本体の外面になる上端面と全側面と下端面に密着させ、
この後、
前記鞘本体の上方から該鞘本体の上端面に向けて吊手ベルト通し孔がある上部側エンドキャップを装着して前記熱収縮フィルムの前記上端部を隠し、
前記鞘本体の下方から該鞘本体の下端面に向けて吊手ベルト通し孔がある下部側エンドキャップを装着して前記熱収縮フィルムの前記下端部を隠して、
該熱収縮フィルムの上端部及び下端部から始まるいたずらや不注意な引掛かりよる破れ、裂け、剥がれを防ぐと共に、該熱収縮フィルムの位置決めを図り、皺(しわ)発生防止をする、吊手の鞘に熱収縮フィルムを取付ける方法。
【請求項2】
前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップの前記鞘本体に向けた前記各装着は、前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップに設けられている各2本の脚部を前記筒本体の対向する2壁面に沿って突入させ、更に該各2本の脚部の各先端部に形成されている各爪部を前記鞘本体の側面に形成されている計4個の小孔内に振り分けて突入係合させて行ない、
前記上部エンドキャップと前記下部エンドキャップは、前記計4個の小孔が前記熱収縮フィルムによって覆われているために前記各爪部の前記突入係合を解除させる操作ができない状態にあり、
しかも、前記各爪部は、前記各4本の脚部の先端部が、前記筒本体に装着した後に該上部エンドキャップの上方から前記筒本体を経て前記下部エンドキャップに向けて挿入した吊手ベルトの両側縁部に当接又は接近しているために、前記係止解除に向けた移動ができない状態にある、請求項1に記載の吊手の鞘に熱収縮フィルムを取付ける方法。
【請求項3】
前記筒本体に取付けられている前記熱収縮フィルムの取外し及び交換は、前記吊手ベルトを引き抜き、前記小孔を覆っている熱収縮フィルムの部分を破り、
この後、先端部が細い工具を前記各小孔の外方向から該各小孔内に突入して前記各爪を前記小孔内から前記鞘本体の内側に押出して、前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップを該鞘本体から引き抜いた状態で行う方法が採られる、請求項1又は2に記載の吊手の鞘に熱収縮フィルムを取付ける方法。
【請求項4】
立ち姿勢の乗客が手で把持する吊手の一構成部材である筒形状の鞘であり、
該鞘は、鞘本体と、該鞘本体の上方から上端部に向けて着脱可能に装着される上部側エンドキャップと、前記鞘本体の下方から下端部に向けて着脱可能に装着される下部側エンドキャップとにより構成され、
該鞘本体には、所望の印刷がされた筒形状の熱収縮フィルムが被(かぶ)せられ、この後、熱収縮フィルムを加熱収縮させて、該鞘本体の上端面と外周側面と下端面を前記熱収縮フィルムで覆って密着されており、
前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップは、いずれも前記鞘本体内に向けた各2本の並行な脚部を突出させ、該各脚部の先端に設けられた各爪を前記鞘本体の側面に形成されている計4個の小孔内に振り分けられて突入係合され、しかも前記各脚部の先端部が吊手ベルトの両側縁部に当接又は近接しているために、前記筒本体から不用意に離脱できない状態にあり、
前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップは、前記鞘本体の外面全体を覆っている前記熱収縮フィルムの上端部と下端部を隠して、該熱収縮フィルムの上端部及び下端部から始まるいたずらや不注意による破れ、裂け、剥がれを防ぐと共に、該熱収縮フィルムの位置決めを図り、皺(しわ)発生防止をする、熱収縮フィルム付き吊手の鞘。
【請求項5】
前記鞘本体の前記外周側面と前記熱収縮フィルムとの間における適所に、厚みがある装飾体が密着した状態で配設されている、請求項4に記載の熱収縮フィルム付き吊手の鞘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、立ち姿勢の乗客が把持する吊手に備えられている筒形状の鞘(さや)に所望の印刷がされた熱収縮フィルムを取付ける方法と、熱収縮フィルム付き吊手の鞘に関し、この熱収縮フィルム付き吊手の鞘には更に装飾体を密封したものも含まれる。
【背景技術】
【0002】
吊手は、立ち姿勢の乗客が把持する円形や五角形等の形状を有する手掛けと、吊手ベルト(吊手帯とも呼ばれる。)と、吊手の鞘に熱収縮フィルムを被着する方法による2部材が組付けられたものと、この2部材に加えてプラスチック製の鞘が組付けられたものとがある。
鞘は、立ち姿勢の乗客が手掛けと別になる把持する部分になり、手掛けの上部に掛け回した吊手ベルトが大きく開ないようにする部分にもなる。現在利用されている多くの吊手は鞘を備える。鞘は、縦長の長方形を有する角筒形状のものが多く普及している。
【0003】
従来から知られる鞘は、白色又は一色に着色された無地のものが多い。
【0004】
鞘に、絵柄、観光地の宣伝、大きなイベントの宣伝をする文字や絵柄等を鞘に付すと集客効果が期待でき、乗客に好印象を与える。鞘に広告を付すと、顧客の注意を引く。
鞘に直接、広告や標語等を印刷すると、広告や標語が代わる度に鞘を交換する必要があり、不経済である。
このため、鞘の側面に広告や標語等が印刷されたフィルム又はシールを貼り付ける事例が知られている。
【0005】
鞘の側面に広告が印刷されたフィルムやシールを貼り着けると、フィルムの除去や交換に手間と時間が掛かる。また、フィルムやシールを貼り付ける方法は、側面が傾斜した鞘、及び側面が緩やかに膨らんだ鞘に貼り付けたときに、皺(しわ)や捻(ね)じれが出来、見栄えの悪い鞘になる。
【0006】
鞘に広告等を表示する技術として、特許文献1に吊り革用広告物のホルダが、特許文献2に車両用吊皮における広告面の製作方法及びそれに使用する製作器具が、それぞれ開示されている。
【0007】
しかしながら特許文献1に開示の吊り革用広告物のホルダは、各部材の構造が複雑であるために組付けに時間と手間が掛かる、また、組付け後にビス止めして固定する構造であるため、美観に劣り、ビス孔に汚れが溜まって拭き取り清掃が困難になる。
【0008】
特許文献2に開示の車両用吊皮における広告面の製作方法及びそれに使用する製作器具においては、人が手で握ったときに位置決め用突起が人の掌(てのひら)を傷付けるおそれがある。また、側面被覆部の上端部と下端部が露見しているため、いたずらや不注意な行為によってこの部分から剥(は)がされたり、破られたり、裂けが生じるおそれがある。
【先行特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4-113389号公報
【特許文献2】特開平5-278525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、立ち姿勢の乗客が把持する吊手が備える筒形状の鞘(さや)に、所望の印刷がされた熱収縮フィルムを取付ける方法と、熱収縮フィルム付き吊手の鞘を提供することにより、印刷による装飾性や表示効果を高め、しかも熱収縮フィルムの取付けが容易であり、熱収縮フィルムのいたずらや不注意による剥がれや裂けが防止されるようにすることを解決課題とする。
また、熱収縮フィルムと鞘本体の間に厚みがある装飾体を密着した状態で設けることにより、乗客の注意を更に引く吊手の鞘にすることを解決課題とする。
【0011】
請求項1に対応した態様の熱収縮フィルムを取付ける方法は、次の方法が採られる。
立ち姿勢の乗客が把持する吊手が備える筒形状の鞘(さや)の主要部になる鞘本体に所望の印刷がされた熱収縮フィルムを取付ける方法であり、
該熱収縮フィルムは、前記鞘本体よりも若干大きい筒形状を有し、
該熱収縮フィルムを前記鞘本体に被(かぶ)せた後、加熱収縮させて前記鞘本体の外面になる上端面と全側面と下端面に密着させ、
この後、
前記鞘本体の上方から該鞘本体の上端面に向けて吊手ベルト通し孔がある上部側エンドキャップを装着して前記熱収縮フィルムの前記上端部を隠し、
前記鞘本体の下方から該鞘本体の下端面に向けて吊手ベルト通し孔がある下部側エンドキャップを装着して前記熱収縮フィルムの前記下端部を隠して、
該熱収縮フィルムの上端部及び下端部から始まるいたずらや不注意による破れ、裂け、剥がれを防ぐと共に、該熱収縮フィルムの位置決めを図り、皺(しわ)の発生を防ぐ。
【0012】
請求項2に対応した態様の熱収縮フィルムを取付ける方法は、更に次の方法が追加される。
前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップの前記鞘本体に向けた前記各装着は、前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップに設けられている各2本の脚部を前記筒本体の対向する2壁面に沿って突入させ、更に該各2本の脚部の各先端部に形成されている各爪部を前記鞘本体の側面に形成されている計4個の小孔内に振り分けて突入係合させて行ない、
前記上部エンドキャップと前記下部エンドキャップは、前記計4個の小孔が前記熱収縮フィルムによって覆われているために前記各爪部の前記突入係合を解除させる操作ができない状態にあり、
しかも、前記各爪部は、前記各4本の脚部の先端部が、前記筒本体に装着した後に該上部エンドキャップの上方から前記筒本体を経て前記下部エンドキャップに向けて挿入した吊手ベルトの両側縁部に当接又は接近しているために、前記係止解除に向けた移動ができない状態にある。
【0013】
請求項3に対応した態様の熱収縮フィルムを取付ける方法は、上記いずれかの方法において、更に次の方法が追加される。
前記筒本体に取付けられている前記熱収縮フィルムの取外し及び交換は、前記吊手ベルトを引き抜き、前記小孔を覆っている熱収縮フィルムの部分を破り、この後、先端部が細い工具を前記各小孔の外方向から該各小孔内に突入して前記各爪を前記小孔内から前記鞘本体の内側に押出して、前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップを該鞘本体から引き抜いた状態で行う方法が採られる。
【0014】
請求項4に対応した態様の熱収縮フィルム付き吊手の鞘は、次の構成を有する。
立ち姿勢の乗客が手で把持する吊手の一構成部材である筒形状の鞘であり、
該鞘は、鞘本体と、該鞘本体の上方から上端部に向けて着脱可能に装着される上部側エンドキャップと、前記鞘本体の下方から下端部に向けて着脱可能に装着される下部側エンドキャップとにより構成され、
該鞘本体には、所望の印刷がされた筒形状の熱収縮フィルムが被(かぶ)せられ、この後、熱収縮フィルムを加熱収縮させて、該鞘本体の上端面と外周側面と下端面を前記熱収縮フィルムで覆って密着させることが可能であり、
前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップは、いずれも前記鞘本体内に向けた各2本の並行な脚部を突出させ、該各脚部の先端に設けられた各爪を前記鞘本体の側面に形成されている計4個の小孔内に振り分けられて突入係合させているために、しかも前記各脚部の先端部が吊手ベルトの両側縁部に当接又は近接しているために、前記筒本体から不用意に離脱できない状態にあり、
前記上部側エンドキャップと前記下部側エンドキャップは、前記鞘本体の外面全体を覆っている前記熱収縮フィルムの上端部と下端部を隠して、該熱収縮フィルムの上端部及び下端部から始まるいたずらや不注意な引掛かりよる破れ、裂け、剥がれを防ぐと共に、該熱収縮フィルムの位置決めを図り、皺(しわ)発生防止をする。
【0015】
請求項5に対応した態様の熱収縮フィルム付き吊手の鞘は、請求項4に記載の熱収縮フィルム付き吊手の鞘において更に次の構成を有する。
前記鞘本体の前記外周側面と前記熱収縮フィルムとの間における適所に、厚みがある装飾体が密着した状態で配設されている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明に係る熱収縮フィルムを取付ける方法と、熱収縮フィルム付き吊手の鞘は、鞘本体の周側面に所望の印刷がされた熱収縮フィルムが加熱による熱収縮によって密着した状態で取付けられるため、簡単な操作で見栄えの良い熱収縮フィルム付き吊手の鞘にすることが出来る。
【0017】
熱収縮フィルムを熱収縮させて鞘本体に取り付ける方法は、側面が傾斜した鞘本体や側面が僅かに膨らんだ鞘本体にも皺(しわ)や捻(ねじ)れがない状態で熱収縮フィルムを取付けることができる。
【0018】
印刷内容は、模様、絵柄、文字案内、広告等が選択され、目的に見合った印刷がされた熱収縮フィルム付き吊手の鞘にすることが出来る。
【0019】
本願発明に係る熱収縮フィルム付き吊手は、鞘本体の上部面に密着している熱収縮フィルムの上端部が、上部側エンドキャップで覆われて押さえられており、熱収縮フィルムの下端部も下部エンドキャップで覆われて押さえられているため、いたずらや不用意及び不注意な行為による熱収縮フィルムの上端や下端から始まる引き剥がし行為、引き裂き行為、裂け、剥がれ等が防止される。
【0020】
本願発明に係る熱収縮フィルム付き吊手は、上部及び下部の各エンドキャップは、該各エンドキャップに設けた各2本の脚部を鞘本体の内壁に沿わせながら弾性変形させて鞘本体内に突入させ、各脚部の先端部に設けられている爪部を鞘本体の対向する側壁面に設けられている計4個の小孔内に振り分けて突入係合する構造を有するため、前記各エンドキャップが鞘本体から不用意に浮き上がったり、離脱することはない。
【0021】
本願発明に係る熱収縮フィルム付き吊手において、更に鞘本体の前記外周側面と前記熱収縮フィルムとの間における適所に、厚みがある装飾体が密着した状態で配設されたものにすると、乗客に驚きと好印象を与える。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明の好適なる実施形態を以下の図面に沿って詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a)は第1実施形態に係る熱収縮フィルム付き鞘を備えた吊手の正面図、(b)は第2実施形態に係る熱収縮フィルム付き鞘を備えた吊手の正面図。
図2】鞘の分解斜視図。
図3】(a)は貼り合わせにより筒状に形成された熱収縮フィルムの正面側から見た斜視図、(b)は同じく背面側から見た斜視図、(c)は鞘本体の斜視図。
図4】(a)はこの熱収縮フィルムを被せた鞘本体上部の正面断面図、(b)は同じく斜視図、(c)は熱収縮フィルムを加熱収縮させた後の鞘本体上部を示した正面断面図、(d)は同じく平面図、(e)は底面図。
図5】(a)は筒状に成形された熱収縮フィルムを正面側から見た斜視図、(b)は同じく背面側から見た斜視図。
図6】(a)はこの熱収縮フィルムを被せた鞘本体上部の正面断面図、(b)は同じく斜視図、(c)は熱収縮フィルムを加熱収縮させた後の鞘本体上部を示した正面断面図、(d)は同じく斜視図、(e)は底面図。
図7】熱収縮フィルムを鞘本体に被せた状態の斜視図。
図8】熱収縮フィルム付きの鞘本体に上下のエンドキャップを装着した状態の正面断面図。
図9】(a)は熱収縮フィルム付きの鞘に吊手ベルトを通した状態の正面断面図、(b)はこの一部拡大図。
図10】(a)は第1実施形態に係る鞘の正面図、(b)は熱収縮フィルムと装飾体をこの鞘に取付ける前の斜視図、(c)は取付け後の側面拡大断面図。
図11】(a)は第2実施形態に係る鞘の正面図、(b)は熱収縮フィルムと装飾体をこの鞘に取付ける前の斜視図、(c)は取付け後の側面拡大断面図。
【実施例0024】
-概要-
図1(a)は第1実施形態に係る熱収縮フィルム付き鞘2Aを備えた吊手10Aを示し、(b)は第2実施形態に係る熱収縮フィルム付き鞘2Bを備えた吊手10Bを示している。
吊手10Aと吊手10Bは、手掛11と吊手ベルト12と鞘1とが組付けられて構成されている点において共通する。図示する手掛11は丸リング形状であるが、他の形状(例えば五角形状)であってもよい。
いずれの鞘1A,1Bも、縦長の筒形状を有する鞘本体2と、鞘本体2の上端面に装着される上部側エンドキャップ3と、鞘本体2の下端面に装着される下部側エンドキャップ4とが組付けられて構成されている。図示する鞘1は、平面視において横長の長方形状を有するが、平面視において楕円形状、円形状のものを用いることも可能である。
【0025】
熱収縮フィルム5は、印刷がされた筒形状を有し、鞘本体2の外側面に被せられて加熱収縮により密着した状態で取り付けられている。
熱収縮フィルム5に印刷する内容は限定されていないが、例えば、観光地を紹介する絵柄や文字、イベントを紹介する絵柄や文字、広告、標語、模様等を挙げられる。図示する印刷模様は例示に過ぎない。
【0026】
-第1実施形態に係る鞘1A-
図2に示す第1実施形態に係る鞘1Aは、鞘本体2と、上部側エンドキャップ3と、下部側エンドキャップ4と、熱収縮フィルム5とにより構成されている。
図示する鞘本体2は縦長の長方形状を有する角筒のものが用いられている。鞘本体2の4側面2a,2b,2c,2dのうちの対向する2側面(2c,2d)の上部と下部には角形の小孔2f,2g,2h,2iが形成されている。
筒本体2の上端面2jと下端面2kは枠形の平坦面になっている。図示していないが、上端と下端の断面形状が異なる鞘を用いてもよい。
【0027】
-上部側エンドキャップ3と下部側エンドキャップ4-
図示する上部側エンドキャップ3と下部側エンドキャップ4は同じ形状のものが用いられている。
上部側エンドキャップ3は、鞘本体2の上端面2jに略合わせた形状と大きさがある枠板部3aを有し、枠板部3aの内側縁から下方に脚部3c,3eが突出し、脚部3cの先端部に外向きの爪部3dが突出し、脚部3eの先端部にも外向きの爪部3fが突出したものが用いられている。
【0028】
下部側エンドキャップ4は、鞘本体2の下端面2kに略合わせた形状と大きさがある枠板部4aを有し、枠板部4aの内側縁から下方に脚部4b,4dが突出し、脚部4bの先端部に外向きの爪部3dが突出し、脚部3eの先端部にも外向きの爪部3fが突出したものが用いられている。
【0029】
-熱収縮フィルム5-
図1(a)(b)、図3(a)(b)に示すように、熱収縮フィルム5には印刷がされている。
熱収縮フィルム5は、図3(a)(b)に示す貼り合わせ型の熱収縮フィルム5Aと、図5(a)(b)に示す筒一体型の熱収縮フィルム5Bのいずれかが用いられる。以下において熱収縮フィルム5と記載されている場合には、双方の熱収縮フィルム5A,5Bにおいて共通する内容となっている。
【0030】
図3(a)(b)に示す熱収縮フィルム5Aは、印刷の後、筒状になるように貼り合わされている。5aは貼り合わせ面である。熱収縮フィルム5の大きさは鞘本体2よりも若干大きい。熱収縮フィルム5の上下長さLは、鞘本体の上下長さHに板厚tの略2倍近くの寸法を加えた長さになっている。
印刷は熱収縮フィルム5Aの裏面又は表面にされている。表面に抗菌材料が含まれた塗料、インクで印刷することも可能である。
【0031】
-熱収縮フィルム5の取り付け-
図4(a)(b)に示すように、熱収縮フィルム5を鞘本体2に被せる際には、熱収縮フィルム5の上端部5bを鞘本体2の上端面2jから上方に突出した状態にする位置合わせを行う。図示していないが熱収縮フィルム5の下端部も同様である。
この位置合わせの後、図4(c)に示すように熱収縮フィルム5全体を加熱して熱収縮させる。この熱収縮によって図4(c)(d)(e)に示すように熱収縮フィルム5は鞘本体2の各側面と上端面2jと下端面2kに密着した状態で取付けられる。
【0032】
図5(a)(b)に示す熱収縮フィルム5Bは、筒一体成形型の熱収縮フィルムである。フィルムを筒形状に成形した製品の事例は、折り畳んだ濡れ傘に被せる使い捨て型のカバー、物干し竿の熱収縮フィルムカバー等において見られる。
熱収縮フィルム5は、貼り合わせ型の熱収縮フィルム5Aを用いてもよく、筒一体成形型の熱収縮フィルム5Bを用いてもよい。
貼り合わせ型の熱収縮フィルム5Aの表面にされる印刷は、貼り合わせ前に行うと、印刷がし易い。
筒成形型の熱収縮フィルム5Bの表面にされる印刷は、熱収縮フィルム5Bを円筒径所又は丸棒形状状のホルダの外周面に支持させた状態で、塗料を印刷に塗布した転写ロールを回転させて転写する方法で行うと、印刷がし易い(図示せず)。
【0033】
図6(a)(b)に示すように、熱収縮フィルム5を鞘本体2に向けた取り付けにおいては、熱収縮フィルム5を鞘本体2に被せ、熱収縮フィルム5の上端部5bを鞘本体2の上端面2jよりも上方に突出させる位置合わせを行う。図示していないが熱収縮フィルム5の下端部も同様に鞘本体の下端面よりも下方に突出させる高さ方向の位置合わせを行う。
【0034】
この後、図6(c)に示すように、熱収縮フィルム5全体を熱収縮させると、図6(c)、(d)、(e)に示すように、熱収縮フィルム5は鞘本体2の4側面と上端面2j及び下端面2kに密着した状態で取付けられる。
【0035】
-上部側エンドキャップ3と下部側エンドキャップ4-
この後、図7に示す状態から図8に示すように、熱収縮フィルム5を取付けた鞘本体2の上端面に上部側エンドキャップ3を装着し、筒本体2の下端面に下部側エンドキャップ4を装着する。
【0036】
上部側のエンドキャップ3を鞘本体2の上に被せる作業は、爪部3d,3fを鞘本体2の対向する筒内壁に沿わせながら鞘本体2内に押し進めて行う。このとき、脚部3c、3eの先端部は素材が持つ弾性力を伴って互いに近接する方向に一時変形する。
爪部3d,3f・・が鞘本体2の小孔2f,2g内に突入すると、上部側エンドキャップ3は、熱収縮フィルム5付きの鞘本体2に装着される。
【0037】
このようにすると、図9(b)に示すように、上部側エンドキャップ3の爪部3fが不用意に小孔2gから抜け外れようとしても、脚部3eの下端部が吊手ベルト12の側部に当接するため、抜け外れることはない。
【0038】
下部側エンドキャップ4の筒本体2の下部に向けた装着も、上部側エンドキャップ3と同様の方法で行われる。
【0039】
図8は、吊手ベルト挿入前の熱収縮フィルム5付きの鞘1を示しており、図9(a)は吊手ベルト挿入後の熱収縮フィルム5付きの鞘1を示している。
鞘本体2に上部側エンドキャップ3と下部側エンドキャップ4を装着した後、吊手ベルト12を挿入して取り付ける。
このようにすると、爪部3c、3f、4c、4eを小孔2f、2g、2h、2i内から筒内に向けて離脱させようとしても、脚部3c、3e、4b、4dの先端部が吊手ベルト12の側縁部に当接するため、爪部3c、3f、4c、4eの係止は解除されない。図9(b)参照。
上部側エンドキャップ3と下部側エンドキャップ4を鞘本体2から取り外すためには、吊手ベルト12を抜き出してから行う必要がある。
【0040】
-第2実施形態に係る鞘1B-
第2実施形態に係る鞘1Bは、図1(b)、図10図11に示されて4いる。
第2実施形態に係る鞘1Bは、鞘本体2と、上部側エンドキャップ3と、下部側エンドキャップ4と、熱収縮フィルム5と、装飾体Sとが組み合わされて構成されている。
図10(a)に示す鞘と図11(a)に示す鞘は、印刷内容と装飾体Sの形状に違いがある。
【0041】
図10(a)に示す装飾体S1は、舞子さんを形取った厚紙に印刷がされて出来ている。厚紙に代えて布製にすることも可能である。
装飾体S1は、図10(b)に示すように、鞘本体2に仮止めした状態で、熱収縮フィルム5を鞘本体2に被せ、熱収縮フィルム5を熱収縮させる方法で、図10(c)に示すように熱収縮フィルム5と鞘本体2の間に密着した状態で取付けられている。
【0042】
図11(a)に示す装飾体S2は、コーヒー缶の一部を形取った、例えばプラスチックで形成されている。プラスチックに代えてゴム(合成ゴムも対象になる。)製にすることも可能である。
装飾体S2は、図11(b)に示すように、鞘本体2に仮止めした状態で、熱収縮フィルム5を鞘本体2に被せ、熱収縮フィルム5を熱収縮させる方法で、図10(c)に示すように熱収縮フィルム5と鞘本体2の間に密着した状態で取付けられている。
【産業上の利用分野】
【0043】
本願発明は鉄道車両及び乗り合いバス内の乗客が手で把持する吊手の分野で利用される。
【符号の説明】
【0044】
1A 第1実施形態に係る鞘
1B 第2実施形態に係る鞘
2 鞘本体
3 上部側エンドキャップ
4 下部側エンドキャップ
5 熱収縮フィルム
10 吊手
S 装飾体
S1 舞子さんを形取った装飾体
S2 コーヒー缶の一部を形取った装飾体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11