(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013082
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】集束超音波処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B17/00 700
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133446
(22)【出願日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2023-0090886
(32)【優先日】2023-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516270991
【氏名又は名称】アイエムジーティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ソン,コン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ スン
(72)【発明者】
【氏名】ク,ジャ ウン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ35
4C160JJ36
4C160JJ38
(57)【要約】
【課題】集束超音波処理装置及びその方法を提供する。
【解決手段】集束超音波処理装置及びその方法が開示される。一実施形態による集束超音波処理装置は、集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサ;集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサー;及びキャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサ;を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサと、
集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサーと、
前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサと、
を含むことを特徴とする集束超音波処理装置。
【請求項2】
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値を比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項3】
プロセッサは、
キャビテーション検出値を沸騰的キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項2に記載の集束超音波処理装置。
【請求項4】
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を、沸騰的キャビテーション閾値、非熱的キャビテーション限界値、非熱的キャビテーション閾値のうち少なくとも1つと比較して、比較の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項2に記載の集束超音波処理装置。
【請求項5】
プロセッサは、
複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であることを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項6】
第1周波数区間は、熱的効果のためのfh周波数とPh周波数とを含み、
第2周波数区間は、機械的効果のためのfm周波数とPm周波数とを含むことを特徴とする請求項5に記載の集束超音波処理装置。
【請求項7】
プロセッサは、
第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認し、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上になれば、第1サイクルの次の第2サイクルでは、第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やすように制御することを特徴とする請求項5に記載の集束超音波処理装置。
【請求項8】
プロセッサは、
第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認し、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上になれば、第2サイクルの全体出力時間を減らし、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値と非熱的キャビテーション限界値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らし、
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値と非熱的キャビテーション閾値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持し、
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以下であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やすように制御することを特徴とする請求項5に記載の集束超音波処理装置。
【請求項9】
プロセッサは、
第1領域で集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認し、
第1周波数区間でのキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上であり、第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、
それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御することを特徴とする請求項5に記載の集束超音波処理装置。
【請求項10】
プロセッサは、
第1領域で集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認し、
第1周波数区間でのキャビテーション検出値または第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、
それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御することを特徴とする請求項5に記載の集束超音波処理装置。
【請求項11】
集束超音波処理装置は、
組織の特性及び治療情報を入力される入力部をさらに含み、
プロセッサは、
入力された組織の特性及び治療情報を反映してキャビテーション限界値、キャビテーション閾値、集束超音波信号の出力時間及び周波数を決定することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項12】
プロセッサは、
熱発生以前に集束超音波信号の熱的効果を最大化するための第1周波数と、熱発生以後に集束超音波信号の機械的効果を最大化するための第2周波数と、を決定することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項13】
プロセッサは、
決定された第1周波数を有した集束超音波信号を集束超音波トランスデューサを通じて出力するように制御し、
キャビテーション検出値を沸騰的キャビテーション限界値及び非熱的キャビテーション限界値のうち少なくとも1つと比較して、キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値または沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、集束超音波信号の周波数を第1周波数から第2周波数に調整した後、調整された第2周波数を有した集束超音波信号を集束超音波トランスデューサを通じて出力するように制御することを特徴とする請求項12に記載の集束超音波処理装置。
【請求項14】
集束超音波処理装置は、
組織にイメージ超音波信号を出力し、組織から反射する超音波エコー信号を受信するイメージトランスデューサをさらに含み、
プロセッサは、
受信される超音波エコー信号を信号処理して超音波映像信号を生成し、
該生成された超音波映像信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項15】
プロセッサは、
複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であり、
プロセッサは、
映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認し、
焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度限界値以上になれば、第2サイクル内の第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やすように制御することを特徴とする請求項14に記載の集束超音波処理装置。
【請求項16】
プロセッサは、
複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であり、
プロセッサは、
映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認し、
焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値以上になれば、第2サイクルの全体出力時間を減らし、
焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値と非熱的キャビテーション映像輝度限界値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らし、
焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度限界値と非熱的キャビテーション映像輝度閾値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持し、
焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度閾値以下であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やすように制御することを特徴とする請求項14に記載の集束超音波処理装置。
【請求項17】
集束超音波処理装置を利用した集束超音波処理方法において、
集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを含む第1出力条件を決定する段階と、
集束超音波トランスデューサを通じて前記決定された第1出力条件で集束超音波信号を組織に出力する段階と、
出力された集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号をキャビテーションセンサーを通じて検出する段階と、
前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション検出値を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを含む出力条件を第2出力条件に調整する段階と、
集束超音波トランスデューサを通じて前記調整された第2出力条件で集束超音波信号を組織に出力する段階と、
を含むことを特徴とする集束超音波処理方法。
【請求項18】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、
第1出力条件で第1サイクルの間に集束超音波信号を組織に出力する時、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認する段階と、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上になれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やす段階と、を含み、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であることを特徴とする請求項17に記載の集束超音波処理方法。
【請求項19】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、
第1出力条件で第1サイクルの間に集束超音波信号を組織に出力する時、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認する段階と、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上になれば、第2サイクルの第2出力条件で全体出力時間を減らす段階と、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値と非熱的キャビテーション限界値との間であれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らす段階と、
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値と非熱的キャビテーション閾値との間であれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持する段階と、
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以下であれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やす段階と、を含み、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であることを特徴とする請求項17に記載の集束超音波処理方法。
【請求項20】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、
第1領域を対象にして集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認する段階と、
第1周波数区間でのキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上であり、第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御する段階と、を含み、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であることを特徴とする請求項17に記載の集束超音波処理方法。
【請求項21】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、
第1領域を対象にして集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認する段階と、
第1周波数区間でのキャビテーション検出値または第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御する段階と、を含み、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であることを特徴とする請求項17に記載の集束超音波処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用した診断及び治療技術に係り、より詳細には、集束超音波(Focused Ultrasound:FUS)を利用したイメージスキャニング及び治療技術に関する。
【背景技術】
【0002】
癌、腫瘍、病変のような生体組織の治療に超音波信号を利用できる。超音波を利用した治療は、超音波信号を人体の病変に出力して病変を治療する方式である。一般的な外科手術や化学的な治療(Chemotherapy)方式などに比べて、超音波治療は、相対的に患者の外傷に対する損傷が少なく、非侵襲的治療(Non-invasive treatment)を実現することができる。その適用例としては、肝癌(Liver cancer)、骨肉腫(Bone sarcoma)、乳癌(Breast cancer)、膵臓癌(Pancreas cancer)、腎臓癌(Kidney cancer)、軟組織の腫瘍(Soft tissue tumor)及び骨盤腫瘍(Pelvic tumor)など多様である。
癌、腫瘍、病変のような組織の治療に集束超音波(FUS)信号を利用できる。集束超音波信号を利用した治療は、主に熱的な効果を用いて組織を熱的に焼灼する熱的焼灼術中心に開発が進められた。しかし、熱的焼灼術は、周辺組織の熱的損傷と疼痛とを誘発してしまう問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開公報第10-2023-0071056号
【特許文献2】韓国公開公報第10-2022-0156025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態によって、集束超音波組織破砕において、機械的効果を適用するにつれて、熱的効果の限界を外れてより安全かつ効果的な集束超音波処理装置及びその方法を提案する。
【0005】
さらに、集束超音波組織破砕に機械的効果を適用する時、衝撃波散乱効果を発生させず、組織を破砕することができる集束超音波処理装置及びその方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態による集束超音波処理装置は、集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサ;集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサー;及び前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサ;を含む。
【0007】
プロセッサは、キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値を比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。
【0008】
プロセッサは、キャビテーション検出値を沸騰的(boiling)キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。
【0009】
プロセッサは、キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を、沸騰的キャビテーション閾値、非熱的キャビテーション限界値、非熱的キャビテーション閾値のうち少なくとも1つと比較して、比較の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。
【0010】
プロセッサは、複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0011】
第1周波数区間は、熱的効果のためのfh周波数とPh周波数とを含み、第2周波数区間は、機械的効果のためのfm周波数とPm周波数とを含みうる。
【0012】
プロセッサは、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認し、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上になれば、第1サイクルの次の第2サイクルでは、第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やすように制御することができる。
【0013】
プロセッサは、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認し、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上になれば、第2サイクルの全体出力時間を減らし、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値と非熱的キャビテーション限界値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らし、キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値と非熱的キャビテーション閾値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持し、キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以下であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やすように制御することができる。
【0014】
プロセッサは、第1領域で集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認し、第1周波数区間でのキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上であり、第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御することができる。
【0015】
プロセッサは、第1領域で集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認し、第1周波数区間でのキャビテーション検出値または第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御することができる。
【0016】
集束超音波処理装置は、組織の特性及び治療情報を入力される入力部をさらに含み、プロセッサは、入力された組織の特性及び治療情報を反映してキャビテーション限界値、キャビテーション閾値、集束超音波信号の出力時間及び周波数を決定することができる。
【0017】
プロセッサは、熱発生以前に集束超音波信号の熱的効果を最大化するための第1周波数と、熱発生以後に集束超音波信号の機械的効果を最大化するための第2周波数と、を決定することができる。
【0018】
プロセッサは、決定された第1周波数を有した集束超音波信号を集束超音波トランスデューサを通じて出力するように制御し、キャビテーション検出値を沸騰的キャビテーション限界値及び非熱的キャビテーション限界値のうち少なくとも1つと比較して、キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値または沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、集束超音波信号の周波数を第1周波数から第2周波数に調整した後、調整された第2周波数を有した集束超音波信号を集束超音波トランスデューサを通じて出力するように制御することができる。
【0019】
集束超音波処理装置は、組織にイメージ超音波信号を出力し、組織から反射する超音波エコー信号を受信するイメージトランスデューサをさらに含み、プロセッサは、受信される超音波エコー信号を信号処理して超音波映像信号を生成し、該生成された超音波映像信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。
【0020】
プロセッサは、複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であり、プロセッサは、映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認し、焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度限界値以上になれば、第2サイクル内の第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やすように制御することができる。
【0021】
プロセッサは、複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であり、プロセッサは、映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認し、焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値以上になれば、第2サイクルの全体出力時間を減らし、焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値と非熱的キャビテーション映像輝度限界値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らし、焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度限界値と非熱的キャビテーション映像輝度閾値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持し、焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度閾値以下であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やすように制御することができる。
【0022】
他の実施形態による集束超音波処理装置を利用した集束超音波処理方法は、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを含む第1出力条件を決定する段階;集束超音波トランスデューサを通じて前記決定された第1出力条件で集束超音波信号を組織に出力する段階;出力された集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号をキャビテーションセンサーを通じて検出する段階;キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション検出値を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを含む出力条件を第2出力条件に調整する段階;及び集束超音波トランスデューサを通じて前記調整された第2出力条件で集束超音波信号を組織に出力する段階;を含む。
【0023】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、第1出力条件で第1サイクルの間に集束超音波信号を組織に出力する時、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認する段階;及びキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上になれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やす段階;を含み、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0024】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、第1出力条件で第1サイクルの間に集束超音波信号を組織に出力する時、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認する段階;キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上になれば、第2サイクルの第2出力条件で全体出力時間を減らす段階;キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値と非熱的キャビテーション限界値との間であれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らす段階;キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値と非熱的キャビテーション閾値との間であれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持する段階;及びキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以下であれば、第2サイクルの第2出力条件で第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やす段階;を含み、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0025】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、第1領域を対象にして集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認する段階;及び第1周波数区間でのキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上であり、第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御する段階;を含み、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0026】
出力条件を第2出力条件に調整する段階は、第1領域を対象にして集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認する段階;及び第1周波数区間でのキャビテーション検出値または第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御する段階;を含み、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態による集束超音波処理装置及びその方法によれば、集束超音波組織破砕において、機械的効果を適用するにつれて、熱的効果の限界を外れてより安全かつ効果的に組織を破砕することができる。
【0028】
さらに、集束超音波組織破砕に機械的効果を適用する時、キャビテーション信号と超音波映像信号とを用いて集束超音波信号の周波数または出力時間を調整して集束超音波信号の圧力及び強度を下げることによって、衝撃波散乱効果を発生させず、組織を破砕することができる。また、局所的に気泡を生成し、その気泡のサイズと持続時間とを制御して治療の正確性を高めうる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態による集束超音波処理装置の構成を示す図面である。
【
図2】本発明の一実施形態による集束超音波処理方法の流れを示す図面である。
【
図3】本発明の一実施形態によるキャビテーション検出値と比較対象となるキャビテーション限界値及びキャビテーション閾値とを示す図面である。
【
図4】本発明の一実施形態による集束超音波信号の出力時間を調整する例を説明する信号波形を示す図面である。
【
図5】本発明の一実施形態による集束超音波信号の出力時間を調整する例を説明する信号波形をより具体的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態として具現可能であり、単に、本実施形態は、本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義される。明細書の全体に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0031】
本発明の実施形態を説明するに当って、公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略し、後述する用語は、本発明の実施形態での機能を反映して定義された用語であって、これは、ユーザ、運用者の意図または慣例などによって変わりうる。したがって、その定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、次に例示する本発明の実施形態は、さまざまな他の形態に変形され、本発明の範囲が、次に詳述する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供される。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による集束超音波処理装置の構成を示す図面である。
【0034】
一実施形態による集束超音波処理装置1は、集束超音波信号の熱的効果だけではなく、集束超音波信号の物理的効果を用いて軟組織を物理的に除去することができる。「集束超音波軟組織除去技術」または「ボイリングヒストトリプシー(boiling histotripsy)」と呼ばれる当該技術は、集束超音波信号で使われる音響圧力より数十倍もの強力な圧力を使用して焦点位置で音響キャビテーション(acoustic cavitation)現象を人為的に発生させることにより、組織を物理的に破砕する技術である。
【0035】
ところで、集束超音波組織破砕技術で、焦点位置だけではなく、その周辺に2次微細気泡が同時多発的に発生する衝撃波散乱効果が起こりうる。集束超音波組織破砕技術は、組織を物理的に破砕できるという長所があるが、衝撃波散乱効果によって精度が低くなって、主要臓器及び血管に密接に位置した組織または腫瘍を除去しなければならない場合には適用しにくい。一実施形態による集束超音波処理装置1は、集束超音波組織破砕技術において、衝撃波散乱効果を発生させず、組織を破砕することができる。
【0036】
以下、
図1を参照して前述した特徴を有する集束超音波処理装置1の構成について後述する。
【0037】
図1を参照すれば、集束超音波処理装置1は、集束超音波パルス発生器10、集束超音波トランスデューサ11、診断超音波パルス発生器12、イメージトランスデューサ13、プロセッサ14、キャビテーションセンサー15、入力部16、保存部17及び出力部18を含む。
【0038】
集束超音波パルス発生器10は、パルス繰り返し周波数(pulse repetition frequency:PRF、以下、「PRF」と称する)及びデューティー(duty)を有したパルス状の駆動信号を生成して、集束超音波トランスデューサ11に伝送する。
【0039】
集束超音波トランスデューサ11は、集束超音波パルス発生器10から受信された駆動信号である電気的波形を集束超音波信号に変換させて、該変換された集束超音波信号を組織に出力する。この際、組織内で超音波エネルギー伝達を通じた局部組織の温度上昇が発生する。集束超音波信号は、高強度集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)である。
【0040】
イメージトランスデューサ13は、診断超音波パルス発生器12から受信された駆動信号である短いパルスの電気信号によって、組織内にイメージ超音波信号を出力し、組織から反射する超音波エコー信号を受信する。イメージトランスデューサ13は、次のパルスが生成される前まで超音波エコー信号を受信して、それをプロセッサ14に伝送する。
集束超音波処理装置1は、中央にイメージトランスデューサ13が位置し、周辺部に集束超音波トランスデューサ11が配列されている構造である。しかし、イメージトランスデューサ13と集束超音波トランスデューサ11との構造は、これに限定されず、多様に変形可能である。
【0041】
一実施形態による集束超音波処理装置1は、集束超音波トランスデューサ11の集束超音波を利用した治療動作を行う同時に、イメージトランスデューサ13のイメージ超音波を利用した診断イメージが得られる。
【0042】
集束超音波トランスデューサ11から出力される集束超音波信号によって、組織ではキャビテーション(cavitation)現象が発生する恐れがある。キャビテーション現象は、超音波信号が組織に触れながら組織内の圧力変化によって生じる陰圧と陽圧との作用によって小さな気泡が形成され、この気泡が最大に大きくなって爆発する過程が繰り返されながら当該組織内の細胞が破壊されることを意味する。キャビテーション現象によって気泡が音響圧力変化によって振動及び崩壊しながら衝撃を発生させることができる。ボイリングヒストトリプシー技術は、このようなキャビテーション現象によって発生する衝撃を通じて組織を破砕することができる。
【0043】
キャビテーションセンサー15は、キャビテーション現象によって発生するキャビテーション信号を組織から検出する。
【0044】
ボイリングヒストトリプシー方法によれば、組織の焦点位置だけではなく、その周辺に2次微細気泡が同時多発的に発生する衝撃波散乱効果が起こりうる。意図していない衝撃波散乱効果によって発生する気泡雲は、焦点位置以外の地点に衝撃を発生させ、所望しない組織部位を損傷させることができる。
【0045】
これにより、一実施形態による集束超音波処理装置1は、衝撃波散乱効果を発生させず、組織を破砕しようとする。例えば、プロセッサ14がキャビテーションセンサー15を通じて検出されたキャビテーション検出信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するにつれて、衝撃波散乱効果を防止することができる。プロセッサ14がキャビテーション検出信号の分析を通じて集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するにつれて、衝撃波散乱効果がないように気泡の運動変化を精密に制御することができる。
【0046】
より具体的に、プロセッサ14は、キャビテーションセンサー15を通じて検出したキャビテーション検出値と沸騰的キャビテーション限界値とを比較し、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。これについての実施形態は、
図2、
図5を参照して後述する。
【0047】
プロセッサ14は、キャビテーション信号の大きさによって集束超音波信号の第1領域に1次出力及び2次出力、第1領域から第2領域(次の組織領域)への移動及び出力、集束超音波信号の出力中断、集束超音波信号の出力時間保持などを決定することができる。これについての実施形態は、
図2、
図4を参照して後述する。
【0048】
プロセッサ14は、イメージ超音波信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。このために、プロセッサ14は、イメージトランスデューサ13から超音波エコー信号を受信して、それをデジタル信号に変換した後、映像処理を経て超音波映像信号を生成する。この際、プロセッサ14は、生成された超音波映像信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。これについての実施形態は、
図2、
図5を参照して後述する。
【0049】
出力部18は、超音波映像を出力する。保存部17は、プロセッサ14の信号分析のために必要な情報を保存するか、プロセッサ14を通じて分析された情報を保存する。
【0050】
図2は、本発明の一実施形態による集束超音波処理方法の流れを示す図面である。
【0051】
図1及び
図2を参照すれば、集束超音波処理装置1は、組織の特性及び治療情報をユーザから入力される(210)。組織の特性情報は、組織の厚さ情報を含みうる。治療情報は、治療深さ、治療範囲を含みうる。
【0052】
引き続き、集束超音波処理装置1は、組織の特性及び治療情報を反映して集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを含む第1出力条件を決定する(220)。さらに、集束超音波処理装置1は、第1出力条件を決定するための沸騰的キャビテーション閾値、沸騰的キャビテーション限界値、非熱的キャビテーション閾値、非熱的キャビテーション限界値などを設定することができる。前述した各キャビテーション値は、
図3を参照して後述する。集束超音波処理装置1は、第1出力条件を保存部17に保存することができる。
【0053】
引き続き、集束超音波処理装置1は、集束超音波トランスデューサ11を通じて決定された第1出力条件で集束超音波信号を組織に出力する(230)。
【0054】
引き続き、集束超音波処理装置1は、出力された集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号をキャビテーションセンサー15を通じて検出する(240)。
【0055】
引き続き、集束超音波処理装置1は、キャビテーションセンサー15を通じて検出されたキャビテーション検出信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを含む出力条件を第2出力条件に調整する。
【0056】
例えば、集束超音波処理装置1は、キャビテーションセンサー15を通じて検出されたキャビテーション信号を沸騰的キャビテーション限界値と比較してキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であるか否かを確認する(250)。この際、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つの出力条件を第2出力条件に調整する(260)。
【0057】
引き続き、集束超音波処理装置1は、集束超音波トランスデューサを通じて調整された第2出力条件で集束超音波信号を組織に出力する(270)。
【0058】
以下、出力条件として出力時間を調整する実施形態について後述する。
【0059】
まず、集束超音波出力区間は、複数のサイクルで構成されるが、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含む。この際、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0060】
第2出力条件への調整段階(260)で、集束超音波処理装置1は、キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値を比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。当該方法は、沸騰的条件を利用する方法と沸騰的条件を利用しない方法とに分類することができる。
【0061】
沸騰的条件を利用する方法の例を挙げると、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値を沸騰的キャビテーション限界値と比較する。この際、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。
【0062】
沸騰的条件を利用しない方法の例を挙げると、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値を、沸騰的キャビテーション閾値、非熱的キャビテーション限界値、非熱的キャビテーション閾値のうち少なくとも1つと比較して、比較の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。これについての実施形態は、
図5を参照して後述する。
【0063】
以下、出力条件として周波数を調整する実施形態について後述する。
【0064】
第1出力条件決定段階(220)で、集束超音波処理装置1は、熱発生以前に集束超音波信号の熱的効果を最大化するための第1周波数と、熱発生以後に集束超音波信号の機械的効果を最大化するための第2周波数と、を決定する。
【0065】
引き続き、第1出力条件への集束超音波信号出力段階(230)で、集束超音波処理装置1は、第1周波数の集束超音波を組織に出力する。
【0066】
引き続き、第2出力条件への調整段階(260)で、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値を、沸騰的キャビテーション限界値及び非熱的キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値及び非熱的限界値のうち少なくとも1つの限界値以上であれば、集束超音波信号の周波数を第1周波数から第2周波数に調整する。
【0067】
引き続き、第2出力条件への集束超音波信号出力段階(270)で、集束超音波処理装置1は、調整された第2周波数の集束超音波を組織に出力する。
【0068】
以下、集束超音波処理装置1が、熱発生以前に集束超音波信号の熱的効果を最大化するための第1周波数を決定する実施形態について後述する。
【0069】
組織は、周波数が大きくなるほど吸音率α(f)が増加する。
【0070】
【0071】
、ここで、α0は、1MHzである時、吸音率、fは、MHz単位の周波数。
【0072】
治療深さによって最大吸音率を示す周波数がある。
【0073】
熱発生量Q(z)は、次の通りである。
【0074】
熱発生量
【0075】
【0076】
ここで、αは、吸音率であり、zは、治療深さであり、fは、MHz単位の周波数である。
【0077】
引き続き、熱発生量Q(z)を微分すれば、次の通りである。
【0078】
【0079】
熱発生量Q(z)を微分した値を0にする最大熱発生周波数である第1周波数fは、次のように吸音率αと治療深さzとの関数である。
【0080】
【0081】
以下、集束超音波処理装置1が、熱発生以後に集束超音波信号の機械的効果を最大化するための第2周波数を決定する実施形態について後述する。
【0082】
集束超音波処理装置1は、次のように機械指数(Mechanical Index)を用いて第2周波数であるfを決定することができる。
【0083】
Mechanical Index=
【0084】
【0085】
、ここで、Prは、希薄圧力(Rarefactional Pressure)、fは、周波数。
【0086】
一方、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出信号だけではなく、超音波映像信号をさらに分析し、映像信号の分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。これについての実施形態は、
図5を参照して後述する。
【0087】
図3は、本発明の一実施形態によるキャビテーション検出値と比較対象となるキャビテーション限界値及びキャビテーション閾値とを示す図面である。
【0088】
図3を参照すれば、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値を、沸騰的キャビテーション限界値、沸騰的キャビテーション閾値、非熱的キャビテーション限界値、非熱的キャビテーション閾値とそれぞれ比較することができる。
【0089】
キャビテーション検出値との比較対象となる区間は、沸騰的キャビテーション限界値以上の(1)区間、沸騰的キャビテーション限界値と沸騰的キャビテーション閾値との間の(2)区間、沸騰的キャビテーション閾値と非熱的キャビテーション限界値との間の(3)区間、非熱的キャビテーション限界値と非熱的キャビテーション閾値との間の(4)区間、非熱的キャビテーション閾値以下の(5)区間に区分される。
【0090】
沸騰的キャビテーション限界値、沸騰的キャビテーション閾値、非熱的キャビテーション限界値、非熱的キャビテーション閾値は、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定され、ユーザによって変更可能である。
【0091】
図4は、本発明の一実施形態による集束超音波信号の出力時間を調整する例を説明する信号波形を示す図面である。
【0092】
図1及び
図4を参照すれば、集束超音波処理装置1は、キャビテーション信号の大きさによって、集束超音波信号の第1領域に1次出力及び2次出力、第1領域から第2領域(次の組織領域)への移動及び出力、集束超音波信号の出力中断、集束超音波信号の出力時間保持などを決定することができる。
【0093】
まず、集束超音波出力区間は、複数のサイクルで構成され、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と、少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間と、を含む。この際、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0094】
沸騰的条件を利用した例を挙げれば、集束超音波装置1は、第1領域を対象にして第1周波数区間でのキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上であり、第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力する。
【0095】
それ以外の場合、集束超音波装置1は、第1領域に集束超音波信号を1次出力した後、第1領域に集束超音波信号を2次出力する。当該実施形態は、沸騰的条件を組織破砕に活用する例である。
【0096】
沸騰的条件を利用しない例を挙げれば、集束超音波装置1は、第1領域を対象にして第1周波数区間でのキャビテーション検出値または第2周波数区間でのキャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力する。それ以外の場合、集束超音波装置1は、第1領域に集束超音波信号を2次出力することができる。当該実施形態は、沸騰的条件を組織破砕に活用しない例である。
【0097】
一方、集束超音波処理装置1は、第1領域を対象にして第1サイクルの間に集束超音波信号を1次出力した後、第1領域に第2サイクルの間に集束超音波信号を2次出力する時、第2サイクルの周波数または出力時間を調整することができる。
【0098】
例えば、集束超音波処理装置1は、第1サイクルで熱的効果のためのN個の第1パルスと、機械的効果のためのM個の第2パルスと、の個数で組み合わせられた集束超音波信号を構成して出力した後、第2サイクルでは、パルス個数の総和は同様に保持しながら、N、Mの個数を変更組み合わせて集束超音波信号を出力することができる。これについての敷衍説明は、
図5を参照して後述する。
【0099】
図5は、本発明の一実施形態による集束超音波信号の出力時間を調整する例を説明する信号波形をより具体的に示す図面である。
【0100】
集束超音波出力区間は、複数のサイクルで構成され、各サイクルは、少なくとも1つの第1パルス51で構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルス52で構成された第2周波数区間とを含む。この際、第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間である。
【0101】
図1及び
図5を参照すれば、集束超音波処理装置1は、超音波信号の熱的効果のための第1パルスと、機械的効果のための第2パルスと、を組み合わせて集束超音波信号を出力する。
【0102】
例えば、集束超音波処理装置1は、1サイクル当たりN(Nは、正の整数)個の第1パルス51と、M(Mは、正の整数)個の第2パルス52と、を構成し、N個の第1パルス51とM個の第2パルス52とを連結して1つのパルスを生成し、それを集束超音波トランスデューサを通じて1サイクル当たり1個ずつ出力することができる。
【0103】
第1パルス51は、長バーストパルス信号(long burst pulse signal)であり、第2パルス52は、短バーストパルス信号(short burst pulse signal)である。第1パルス51は、熱的効果のためのfh周波数とPulse Length Ph周波数とを含みうる。第2パルス52は、機械的効果のためのfm周波数とPulse Length Pm周波数とを含みうる。
【0104】
この際、集束超音波処理装置1は、多様な周波数を組み合わせることができるが、fh≠fm、Ph≠Pm組み合わせ、fh=fm、Ph≠Pm組み合わせ、fh≠fm、Ph=Pm組み合わせが可能である。
【0105】
集束超音波処理装置1は、第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認する。引き続き、集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上(
図3の(1)区間)であれば、第2サイクルでは、第1周波数区間の第1パルス51の個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス52の個数を増やして集束超音波信号を出力する。
【0106】
例えば、第1サイクルにN個の第1パルスのうち、N-a個の第1パルス51を出力した地点でキャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、集束超音波処理装置1は、第1パルス51の個数を減らしてN-a個の第1パルスを生成し、残りは、M+a個の第2パルス52を生成した後、出力する。当該方式は、沸騰的条件を利用する実施形態である。
【0107】
他の例として、沸騰的条件を利用しない実施形態を後述する。
【0108】
集束超音波処理装置1は、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値以上(
図3の(2)区間)であれば、第2サイクルの全体出力時間を減らして集束超音波信号を出力する。
【0109】
これに比べて、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値と非熱的キャビテーション限界値との間(
図3の(3)区間)であれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス51の個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス52の個数を減らして集束超音波信号を出力する。
【0110】
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値と非熱的キャビテーション閾値との間(
図3の(4)区間)であれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス51の個数と第2周波数区間の第2パルス52の個数とを保持しながら集束超音波信号を出力する。
【0111】
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以下(
図3の(5)区間)であれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス51の個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス52の個数を増やして集束超音波信号を出力する。
【0112】
これにより、集束超音波処理装置1は、局所的に気泡を生成し、その気泡のサイズと持続時間とを制御して治療の正確性を高めうる。
【0113】
一方、集束超音波処理装置1は、さらに超音波映像信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することができる。
【0114】
沸騰的条件を利用する例を挙げれば、集束超音波処理装置1は、第1サイクルの間の映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認する。この際、焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度限界値以上になれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクル内の第1周波数区間の第1パルス51の個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス52の個数を増やして集束超音波信号を出力する。
【0115】
沸騰的条件を利用しない例を挙げれば、集束超音波処理装置1は、第1サイクルの間の映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認する。この際、焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値以上になれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの全体出力時間を減らして集束超音波信号を出力する。
【0116】
これに比べて、焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値と非熱的キャビテーション映像輝度限界値との間であれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス51の個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス52の個数を減らして集束超音波信号を出力する。
【0117】
これに比べて、焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度限界値と非熱的キャビテーション映像輝度閾値との間であれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス51の個数と第2周波数区間の第2パルス52の個数とを保持して集束超音波信号を出力する。
【0118】
これに比べて、焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度閾値以下であれば、集束超音波処理装置1は、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス51の個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス52の個数を増やして集束超音波信号を出力する。
【0119】
以上、本発明について、その実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれるものと解釈しなければならない。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサと、
集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサーと、
前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサと、
を含み、
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値と比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
プロセッサは、
キャビテーション検出値を、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
プロセッサは、
複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であることを特徴とする集束超音波処理装置。
【請求項2】
第1周波数区間は、熱的効果のためのfh周波数とPh周波数とを含み、
第2周波数区間は、機械的効果のためのfm周波数とPm周波数とを含むことを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項3】
プロセッサは、
第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認し、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上になれば、第1サイクルの次の第2サイクルでは、第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やすように制御することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項4】
プロセッサは、
第1サイクルの第1周波数区間内でキャビテーション検出値を確認し、
キャビテーション検出値が、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション閾値以上になれば、第2サイクルの全体出力時間を減らし、
キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション閾値と、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション限界値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らし、
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値と、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション閾値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持し、
キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション閾値以下であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やすように制御することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項5】
プロセッサは、
第1領域で集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認し、
第1周波数区間でのキャビテーション検出値が、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション閾値以上であり、第2周波数区間でのキャビテーション検出値が、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、
それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項6】
プロセッサは、
第1領域で集束超音波信号の1次出力時に、第1サイクルの第1周波数区間でのキャビテーション検出値と第2周波数区間でのキャビテーション検出値とをそれぞれ確認し、
第1周波数区間でのキャビテーション検出値または第2周波数区間でのキャビテーション検出値が、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション閾値以上になれば、新たな第2領域に移動して集束超音波信号を出力するように制御し、
それ以外の場合には、第1領域に集束超音波信号を2次出力するように制御することを特徴とする請求項1に記載の集束超音波処理装置。
【請求項7】
集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサと、
集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサーと、
前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサと、
を含み、
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値と比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
プロセッサは、
キャビテーション検出値を、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
集束超音波処理装置は、
組織の特性及び治療情報を入力される入力部をさらに含み、
プロセッサは、
入力された組織の特性及び治療情報を反映してキャビテーション限界値、キャビテーション閾値、集束超音波信号の出力時間及び周波数を決定することを特徴とする集束超音波処理装置。
【請求項8】
集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサと、
集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサーと、
前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサと、
を含み、
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値と比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
プロセッサは、
キャビテーション検出値を、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
プロセッサは、
熱発生以前に集束超音波信号の熱的効果を最大化するための第1周波数と、熱発生以後に集束超音波信号の機械的効果を最大化するための第2周波数と、を決定することを特徴とする集束超音波処理装置。
【請求項9】
プロセッサは、
決定された第1周波数を有した集束超音波信号を集束超音波トランスデューサを通じて出力するように制御し、
キャビテーション検出値を沸騰的キャビテーション限界値及び、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション限界値のうち少なくとも1つと比較して、キャビテーション検出値が非熱的キャビテーション限界値または沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、集束超音波信号の周波数を第1周波数から第2周波数に調整した後、調整された第2周波数を有した集束超音波信号を集束超音波トランスデューサを通じて出力するように制御することを特徴とする請求項8に記載の集束超音波処理装置。
【請求項10】
集束超音波信号を組織に出力する集束超音波トランスデューサと、
集束超音波信号によって組織で発生するキャビテーション現象によるキャビテーション信号を検出するキャビテーションセンサーと、
前記キャビテーションセンサーを通じて検出されたキャビテーション信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整するプロセッサと、
を含み、
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を所定のキャビテーション閾値またはキャビテーション限界値と比較し、比較の結果によって、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
プロセッサは、
キャビテーション検出値を、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション限界値と比較して、キャビテーション検出値が沸騰的キャビテーション限界値以上であれば、キャビテーション検出値が低くなるように、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整し、
集束超音波処理装置は、
組織にイメージ超音波信号を出力し、組織から反射する超音波エコー信号を受信するイメージトランスデューサをさらに含み、
プロセッサは、
受信される超音波エコー信号を信号処理して超音波映像信号を生成し、
該生成された超音波映像信号を分析し、分析の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする集束超音波処理装置。
【請求項11】
プロセッサは、
複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であり、
プロセッサは、
映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認し、
焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度限界値以上になれば、第2サイクル内の第1周波数区間の第1パルスの個数を減らし、第2周波数区間の第2パルスの個数を増やすように制御することを特徴とする請求項10に記載の集束超音波処理装置。
【請求項12】
プロセッサは、
複数のサイクルを繰り返して集束超音波信号を出力するように制御し、
各サイクルは、少なくとも1つの第1パルスで構成された第1周波数区間と少なくとも1つの第2パルスで構成された第2周波数区間とを含み、
第1周波数区間は、熱的効果のための熱的区間であり、第2周波数区間は、機械的効果のための沸騰的区間であり、
プロセッサは、
映像信号の分析を通じて第1サイクルの第1周波数区間内で焦点部位の映像輝度値を確認し、
焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値以上になれば、第2サイクルの全体出力時間を減らし、
焦点部位の映像輝度値が沸騰的キャビテーション映像輝度値と非熱的キャビテーション映像輝度限界値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を増やし、第2周波数区間の第2パルス個数を減らし、
焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度限界値と非熱的キャビテーション映像輝度閾値との間であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数と第2周波数区間の第2パルス個数とを保持し、
焦点部位の映像輝度値が非熱的キャビテーション映像輝度閾値以下であれば、第2サイクルの第1周波数区間の第1パルス個数を減らし、第2周波数区間の第2パルス個数を増やすように制御することを特徴とする請求項10に記載の集束超音波処理装置。
【請求項13】
プロセッサは、
キャビテーションセンサーを通じて検出したキャビテーション検出値を、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された沸騰的キャビテーション閾値、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション限界値、入力された組織の特性及び治療情報を反映して予め設定された非熱的キャビテーション閾値のうち少なくとも1つと比較して、比較の結果によって、集束超音波信号の出力時間及び周波数のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の集束超音波処理装置。