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特開2025-13095情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013095
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20250117BHJP
【FI】
G06Q10/063
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177238
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2023115912の分割
【原出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】516202729
【氏名又は名称】コリニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聖
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 達樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美和子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武憲
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】ユーザのデータ分析スキルの高低に関わらず、低コストかつ短時間で、適切なデータ分析結果を得るための技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理する手段、チャットの進行を通じてユーザの分析の目的を特定する手段、分析の目的に従って、対象データセットを分析する手段、対象データセットの分析の結果を出力する手段、として機能させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理する手段、
前記チャットの進行を通じて前記ユーザの分析の目的を特定する手段、
前記分析の目的に従って、対象データセットを分析する手段、
前記対象データセットの分析の結果を出力する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記チャットの進行状態は、所定の複数のフェーズを用いて定義され、
前記コンピュータを、前記複数のフェーズのそれぞれにおいて、前記ユーザからの入力によらずに、所定の情報を提供し、または前記ユーザに所定のアクションを促すための応答を前記チャットに出力する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記チャット上でのユーザ入力およびシステム応答に基づいて、前記分析の目的に適した分析手法を予測する手段、
予測された前記分析の目的に適した分析手法の情報を出力する手段、
として機能させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、前記分析の目的に適した分析手法を予測するための判断材料が不足する場合に、前記ユーザに質問する、または所定のアクションを促すためのシステム応答を前記チャットに出力する手段、として機能させる、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、
前記ユーザによって提供されたデータセットである第1データセットを取得する手段、
前記分析の目的に基づいて、前記第1データセットの不備を検出する手段、
前記検出の結果に応じて、前記ユーザに前記第1データセットの不備の是正を促す応答を前記チャットに出力する手段、
として機能させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記ユーザによって提供されたデータセットである第1データセットを取得する手段、
前記第1データセットが予め定められた条件に合致する場合に、当該条件に対応する前処理の実施を提案する応答を前記チャットに出力する手段、
として機能させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項7】
前記出力する手段は、前記チャットを表示する領域と、前記対象データセットの分析の結果を表示する領域とを一画面で、または切替可能に表示するための情報を出力する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記対象データセットの分析の結果は、当該対象データセットの分析の結果を図示するグラフと、当該対象データセットの分析の結果に基づく示唆を表すテキストとを含む、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記示唆は、前記分析の目的に応じて選定された変数の解説、または2以上の変数間の関係の解説を示す、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、前記グラフの種別を、前記分析の目的と、前記分析に用いられた分析手法とに応じて決定する手段、として機能させる、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータを、
前記グラフにおいて重要な箇所を前記分析の目的と、前記分析に用いられた分析手法とに応じて判定する手段、
前記グラフにおいて重要と判定された箇所を示す情報を出力する手段、
として機能させる、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項12】
前記対象データセットの分析は、複数のフェーズに亘って段階的に行われ、
前記出力する手段は、前記グラフおよび前記示唆の少なくとも一方を、前記フェーズの遷移に応じて変更する、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項13】
コンピュータが、
ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理するステップと、
前記チャットの進行を通じて前記ユーザの分析の目的を特定するステップと、
前記分析の目的に従って、対象データセットを分析するステップと、
前記対象データセットの分析の結果を出力するステップと
を実行する方法
【請求項14】
ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理する手段と、
前記チャットの進行を通じて前記ユーザの分析の目的を特定する手段と、
前記分析の目的に従って、対象データセットを分析する手段と、
前記対象データセットの分析の結果を出力する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項15】
複数のコンピュータによって構成されるシステムであって、
ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理する手段と、
前記チャットの進行を通じて前記ユーザの分析の目的を特定する手段と、
前記分析の目的に従って、対象データセットを分析する手段と、
前記対象データセットの分析の結果を出力する手段と
を具備する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業が自社の取得した膨大なデータを、収集、蓄積、分析、および加工し、経営戦略のための意志決定を支援するための様々なBI(Business Intelligence)ツールが知られている。
【0003】
また、特許文献1には、共通化された設計フレームワークにより、個人の設計スキルに依存することなく、より短期間で高品質な「マネージドモデル・セルフサービスBI」を提供することを企図した技術的思想が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-175236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、企業の企画部門の担当者のような、多くの場合、高度なデータ分析スキルを持ちあわせない人物が自力でBIツールを駆使することは容易でなく、データ分析の専門家による支援が必要となるケースが多かった。専門家による支援を受けるには金銭的コストがかかるうえ分析結果を得るまでに要する時間は短くない。また、特許文献1の技術的思想も、要件定義テンプレート、および分析モデル詳細定義書に必要事項を入力することが求められるため、一定水準以上の設計・分析スキルがあることを前提としていると解される。
【0006】
本開示の目的は、ユーザのデータ分析スキルの高低に関わらず、低コストかつ短時間で、適切なデータ分析結果を得るための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理する手段、チャットの進行を通じてユーザの分析の目的を特定する手段、分析の目的に従って、対象データセットを分析する手段、対象データセットの分析の結果を出力する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態の一態様の説明図である。
図5】本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
図6】本実施形態の分析の目的の設定処理のフローチャートである。
図7】本実施形態の分析の目的の設定処理において表示される画面例を示す図である。
図8】本実施形態の分析の目的の設定処理において表示される画面例を示す図である。
図9】本実施形態の分析の目的の設定処理において表示される画面例を示す図である。
図10】本実施形態の分析処理のフローチャートである。
図11】本実施形態の分析処理において表示される画面例を示す図である。
図12】本実施形態の分析処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0012】
クライアント装置10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。クライアント装置10のユーザとして、例えば企業の企画部門の人員のような、データ分析のニーズはあるが、データ分析を遂行するための高度なスキルを多くの場合持ち合わせていない人物が想定される。ただし、クライアント装置10のユーザが、高度なスキルを持つデータ分析の専門家である場合にも、本実施形態の情報処理システム1は有用である。
【0013】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、ウェブサーバである。
【0014】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0016】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0017】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、またはデータ分析用のアプリケーション、など)のプログラム
【0018】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0019】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Gate Array)
【0020】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0021】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0022】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えばサーバ30)との間の通信を制御するように構成される。
【0023】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0024】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0026】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0027】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0028】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0029】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0030】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0031】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0032】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えばクライアント装置10)との間の通信を制御するように構成される。なお、サーバ30は、例えば大規模言語モデルに代表される自然言語モデル(以下、単に「自然言語モデル」という)またはデータ分析ツールなどの一部機能の利用のために外部システムにアクセスするように構成されてもよい。
【0033】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。図4は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0034】
図4に示すように、情報処理システム1は、主にユーザUS1とデータ分析エージェントAG2との間で行われるチャットベースで、当該ユーザUS1が必要とするデータ分析を進め、最終的に、当該分析の結果をユーザUS1に提供する。
【0035】
具体的には、サーバ30は、ユーザUS1と、データ分析エージェントAG2との間で行われる、データ分析に関するチャットの進行状態を管理する。チャットの進行状態の管理は、ユーザ指示の意図理解、当該ユーザ指示の意図とデータ分析のシナリオとに基づくシステム応答の生成、ならびに当該システム応答の出力、などを含み得る。チャットの進行状態の管理において、サーバ30は、自然言語モデルを適宜利用することができる。他方、クライアント装置10は、ユーザUS1からユーザ指示を受け付けてサーバ30へ出力したり、サーバ30から受信したシステム応答に基づいてユーザUS1に向けてUI(User Interface)を表示したりする。
【0036】
サーバ30は、チャットの進行を通じて、ユーザUS1のデータ分析の目的を特定(言語化)する。言語化された目的は、その後の分析の指針として、記憶装置31に保存され、サーバ30によって参照される。また、サーバ30は、ユーザUS1から、クライアント装置10を介して、データセットの提供を受け付ける。サーバ30は、受け付けたデータセットに基づく対象データセットを分析し、当該分析の結果を含むシステム応答をクライアント装置10に出力する。クライアント装置10は、分析の結果を示すUIをユーザUS1に向けて表示する。
【0037】
これにより、ユーザUS1は、データ分析エージェントAG2からの質問に回答したり、データ分析エージェントAG2から要求されたアクション(例えば、データセットの指定など)を行ったりするだけで、当該ユーザUS1が必要とする分析の結果(潜在的に必要としていた分析の結果を含み得る)を得ることができる。特に、ユーザUS1は、チャットを開始する前に、どのような目的で分析を行うべきか、どのような分析手法を選ぶべきか、またはどのようなデータセットを用意するべきか、などの解を事前に用意しておかなくても、チャットを通じてこれらの要素が定まり、必要な分析を行うことができる。
【0038】
(3)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。図5は、本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
【0039】
本実施形態の情報処理は、所定の開始条件の成立に応じて開始する。開始条件は、例えば、ユーザが新たな分析プロジェクトを開始すること、であってよい。
【0040】
図5に示すように、サーバ30は、データセットの取得(S100)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ユーザに分析材料となるデータセットの提供を求めるシステム応答(例えば、チャットメッセージ)を取得し、クライアント装置10へ送信する。
クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づくUIをディスプレイ21に表示する。クライアント装置10は、ユーザからデータセットの指定を受け付け、指定されたデータセットを取得する。クライアント装置10は、取得したデータセットをサーバ30へ送信する。
【0041】
ステップS100の後、サーバ30は、分析の目的の設定(S110)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ユーザの分析の目的を特定するためのチャットを開始する。サーバ30は、ユーザとデータ分析エージェントとの間のメッセージのやり取りに基づいて、ユーザの分析の目的を特定(言語化)する。サーバ30は、特定した分析の目的を記憶装置31に保存するとともに、クライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、受信した分析の目的を参照可能なUIをユーザに提供する。
なお、分析の目的の設定(S110)の詳細は後述する。
【0042】
ステップS110の後、サーバ30は、分析(S120)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS110において設定した分析の目的に従って、ステップS100において取得したデータセット、または当該データセットを加工(例えばデータクレンジングなどの前処理)したデータセットに対する分析を行う。サーバ30は、分析の結果をクライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、受信した分析の結果を示すUIをディスプレイ21に表示する。
なお、分析(S120)の詳細は後述する。
【0043】
(3-1)分析の目的の設定処理
本実施形態の分析の目的の設定処理について説明する。図6は、本実施形態の分析の目的の設定処理のフローチャートである。図7は、本実施形態の分析の目的の設定処理において表示される画面例を示す図である。図8は、本実施形態の分析の目的の設定処理において表示される画面例を示す図である。図9は、本実施形態の分析の目的の設定処理において表示される画面例を示す図である。
【0044】
図6に示すように、サーバ30は、システム応答の生成(S111)を実行する。
具体的には、サーバ30は、分析対象をユーザに問うシステム応答(メッセージ)を生成し、クライアント装置10へ送信する。
【0045】
システム応答の生成(S111)の第1例として、サーバ30は、ステップS100において取得したデータセットに含まれるデータ項目名(変数名)に基づいて、分析対象の候補を特定(抽出)し、当該候補に関する質問を含むシステム応答を生成してもよい。質問は、候補のいずれが分析対象であるかをユーザに問うてもよいし、各候補が分析対象であるか否かをユーザに問うてもよい。
【0046】
以降の説明において、特に断りの無い限り、サーバ30は、予め定められたテンプレートと、自然言語モデルとの一方または両方を用いてシステム応答を生成し得る。例えば、サーバ30は、自然言語モデルによって生成された文言を、テンプレートに挿入することで、システム応答を生成してもよい。
【0047】
システム応答の生成(S111)の第2例として、サーバ30は、ステップS100において取得したデータセットに含まれるデータ項目名に関わらず、定型的なメッセージをシステム応答として生成してもよい。
【0048】
ステップS111の後に、クライアント装置10は、画面表示(S211)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS111においてサーバ30から送信されたシステム応答を受信する。クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づく画面をディスプレイ21に表示する。かかる画面の一例を図7に示す。
【0049】
図7の画面は、オブジェクトJ20~J27を含む。
オブジェクトJ20は、チャットの進行状態(すなわち、分析プロジェクトの進行状態)を定義する複数のフェーズのうち、現在どのフェーズにあるかを表示する。図7の例では、オブジェクトJ20はチャットの進行状態が「分析の目的の設定」であることを示す。
【0050】
オブジェクトJ21は、メインUIを表示する。オブジェクトJ21は、ユーザとデータ分析エージェントとのチャット、または分析の結果、など(換言すれば、システム応答とユーザ指示)を表示する。オブジェクトJ21は、少なくとも最新のシステム応答またはユーザ指示を表示可能に構成される。さらに、オブジェクトJ21は、過去のシステム応答またはユーザ指示を、例えばスクロール操作に応じて表示可能に構成されてもよい。
【0051】
図7の例では、オブジェクトJ21は、「何について分析したいですか?」というシステム応答を表示する。さらに、図7の例では、オブジェクトJ21には、オブジェクトJ210a~J210bが配置される。
【0052】
オブジェクトJ210aは、分析対象の候補を選択するユーザ指示を受け付ける。図7の例では、オブジェクトJ210aは、ドロップダウンリストに相当するが、リストボックス、チェックボックス、またはラジオボタンなどの任意の選択系のGUI部品に代替可能である。
【0053】
オブジェクトJ210bは、オブジェクトJ210aの選択を確定するユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ210bが選択されると、クライアント装置10は、オブジェクトJ210aによって選択されている候補を特定可能な情報をサーバ30へ送信する。
【0054】
オブジェクトJ22は、ユーザ指示を受け付ける。クライアント装置10は、オブジェクトJ22によって受け付けたユーザ指示を、サーバ30へ送信する。図7の例では、オブジェクトJ22を利用することで、ユーザは分析対象を、オブジェクトJ210aの選択によらずに、直接指定することができる。
【0055】
オブジェクトJ23は、サブUIを表示する。オブジェクトJ23は、分析に用いるデータセット、分析の目的(テキスト)、分析の結果、チャットの履歴などの、分析プロジェクトの要点に関する情報を表示可能に構成される。オブジェクトJ23には、オブジェクトJ24~J27が配置される。
【0056】
オブジェクトJ24は、分析に用いるデータセットに関する情報の表示/非表示を切り替えるユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ24が選択されると、クライアント装置10は、分析に用いるデータセットに関する情報をオブジェクトJ23に展開表示し、または展開表示済みの当該情報を閉じる。分析に用いるデータセットに関する情報は、例えば以下の少なくとも1つの情報を含むことができる。
・データセットが格納されたファイルの名称
・データセットに含まれるデータ項目(変数)の名称(例えば、売上、日時、など)
・データセットに含まれるデータ項目(変数)の型(例えば、整数型、日付型、など)
・データセットに含まれるデータ項目(変数)の値の実例
【0057】
オブジェクトJ25は、分析の目的の表示/非表示を切り替えるユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ25が選択されると、クライアント装置10は、分析の目的をオブジェクトJ23に展開表示し、または展開表示済みの当該情報を閉じる。ただし、分析の目的が未設定の場合に、クライアント装置10は、例えば「未定」などの固定のテキストまたは画像を分析の目的の代わりに用いることができる。また、オプションとして、オブジェクトJ25の選択時に、分析の目的に加え、当該目的を編集するユーザ指示を受け付けるオブジェクトが展開表示されてもよい。
【0058】
オブジェクトJ26は、現在の分析プロジェクトにおいて既に実施された分析の結果の表示/非表示を切り替えるユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ26が選択されると、クライアント装置10は、分析の結果をオブジェクトJ23に展開表示し、または展開表示済みの当該情報を閉じる。ただし、分析が未実施の場合に、クライアント装置10は、例えば「なし」など固定のテキストまたは画像を分析の結果の代わりに用いることができる。また、オプションとして、オブジェクトJ26の選択時に、分析の結果に加え、当該結果の視覚的表現(例えば、グラフの書式など)を編集するユーザ指示を受け付けるオブジェクトが展開表示されてもよい。
【0059】
オブジェクトJ27は、チャット履歴の表示/非表示を切り替えるユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ27が選択されると、クライアント装置10は、チャット履歴をオブジェクトJ23に展開表示し、または展開表示済みの当該情報を閉じる。
【0060】
ステップS211の後に、クライアント装置10は、ユーザ指示の受け付け(S212)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザから分析対象を選択または指定するユーザ指示を受け付ける。図7の例では、ユーザは、オブジェクトJ210a~J210bの操作、またはオブジェクトJ22の操作により、分析対象を選択または指定することができる。クライアント装置10は、受け付けたユーザ指示をサーバ30へ送信する。
【0061】
ステップS212の後に、サーバ30は、分析対象の特定(S112)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS212においてクライアント装置10から送信されたユーザ指示を受信する。サーバ30は、受信したユーザ指示に基づいて分析対象を特定する。ここで、例えば分析対象をテキストで指定するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は当該テキストに基づくモデル入力を、自然言語モデルに与えることで、分析対象を特定してもよい。オプションとして、ユーザ指示から分析対象を特定するのに十分な情報が得られなかった場合に、サーバ30は、ステップS111~S112を再実行してもよい。
【0062】
ステップS111の後に、サーバ30は、システム応答の生成(S113)を実行する。
具体的には、サーバ30は、分析対象に対してどのような分析がしたいか(つまり、分析の方向性)をユーザに問うシステム応答(メッセージ)を生成し、クライアント装置10へ送信する。例えば、サーバ30は、事前に定義されたメッセージテンプレートに、ステップS112において特定した分析対象に対応するテキスト(当該テキストに基づいて自然言語モデルが生成したテキストを含み得る)を挿入することで、システム応答を生成してもよい。また、システム応答には、分析対象に対して採り得る分析の方向性の候補を示す情報が含まれてもよい。分析の方向性の候補を示す情報は、当該方向性を言語化したテキスト、当該方向性の概念の理解を助ける画像(例えばグラフ)、またはそれらの組み合わせを含み得る。分析の方向性の候補は、例えば、分析対象のデータ項目の型、分析対象以外のデータ項目の型、他の要素、またはそれらの組み合わせに応じて事前に定義されていてもよい。
【0063】
ステップS113の後に、クライアント装置10は、画面表示(S213)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS113においてサーバ30から送信されたシステム応答を受信する。クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づく画面をディスプレイ21に表示する。かかる画面の一例を図8に示す。
【0064】
図8の画面は、オブジェクトJ20~J27を含む。
図8の例では、オブジェクトJ21は、「分析対象は「売上」ですね。では、続いて、どのような分析がしたいかを選んで下さい。選択肢に該当するものがなければ、チャットに入力してください。」というシステム応答を表示する。さらに、図8の例では、オブジェクトJ21には、オブジェクトJ211a~J211bが配置される。
【0065】
オブジェクトJ211bは、分析の方向性の候補を選択するユーザ指示を受け付ける。図8の例では、オブジェクトJ211aは、ラジオボタンに相当するが、ドロップダウンリスト、リストボックス、またはラジオボタンなどの任意の選択系のGUI部品に代替可能である。
【0066】
オブジェクトJ211bは、オブジェクトJ211aの選択を確定するユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ211bが選択されると、クライアント装置10は、オブジェクトJ211aによって選択されている候補を特定可能な情報をサーバ30へ送信する。
【0067】
図8の例では、オブジェクトJ22を利用することで、ユーザは分析の方向性を、オブジェクトJ211aの選択によらずに、直接指定することができる。
【0068】
ステップS213の後に、クライアント装置10は、ユーザ指示の受け付け(S214)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザから分析の方向性を選択または指定するユーザ指示を受け付ける。図8の例では、ユーザは、オブジェクトJ211a~J211bの操作、またはオブジェクトJ22の操作により、分析の方向性を選択または指定することができる。クライアント装置10は、受け付けたユーザ指示をサーバ30へ送信する。
【0069】
ステップS214の後に、サーバ30は、分析の目的の特定(S114)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS214においてクライアント装置10から送信されたユーザ指示を受信する。サーバ30は、受信したユーザ指示に基づいて分析の目的(つまり、分析対象と分析の方向性の組み合わせ)を特定する。すなわち、サーバ30は、分析の目的を示すテキストを得る。ここで、例えば分析の方向性をテキストで指定するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は当該テキスト(分析対象を示すテキストをさらに含み得る)に基づくモデル入力を、自然言語モデルに与えることで、分析の目的を特定してもよい。オプションとして、ユーザ指示から分析の目的を特定するのに十分な情報が得られなかった場合に、サーバ30は、ステップS113~S114を再実行してもよい。
【0070】
ステップS114の後に、サーバ30は、システム応答の生成(S115)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS114において特定(言語化)した分析の目的を含むシステム応答を生成し、クライアント装置10へ送信する。例えば、サーバ30は、事前に定義されたメッセージテンプレートに、ステップS114において特定した分析の目的に対応するテキストを挿入することで、システム応答を生成してもよい。
【0071】
ステップS115の後に、クライアント装置10は、画面表示(S215)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS115においてサーバ30から送信されたシステム応答を受信する。クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づく画面をディスプレイ21に表示する。かかる画面の一例を図9に示す。
【0072】
図9の画面は、オブジェクトJ20~J27を含む。
図9の例では、オブジェクトJ21には、オブジェクトJ212が配置される。
【0073】
オブジェクトJ212は、ステップS114において特定した分析の目的をユーザに伝えるシステム応答を表示する。以後、かかる分析の目的は、必要に応じて、オブジェクトJ25を介して、オブジェクトJ23に展開表示可能となる。
【0074】
(3-2)分析処理
本実施形態の分析処理について説明する。図10は、本実施形態の分析処理のフローチャートである。図11は、本実施形態の分析処理において表示される画面例を示す図である。図12は、本実施形態の分析処理において表示される画面例を示す図である。
【0075】
図10に示すように、サーバ30は、適した分析手法の予測(S121)を実行する。
具体的には、サーバ30は、チャット上でのユーザ入力およびシステム応答に基づいて、ステップS110において特定した分析の目的に対して、適した分析手法を予測する。
【0076】
一例として、サーバ30は、自然言語モデルに対し、ユーザ入力により得られた情報に基づくモデル入力を与え、分析の目的に適した分析手法を推論させてもよい。分析手法は、例えば、分析対象に関する回帰(将来予測を含み得る)、分類、クラスタリング、次元削減(例えば主成分分析)、またはそれらの組み合わせであってよい。また、分析手法の特定は、説明変数として用いるデータ項目の特定を含み得る。
【0077】
別の例として、分析の目的に適した分析手法を特定し、当該分析手法から利用可能な手法を絞り込んでもよい。分析の目的に適した分析手法は、例えば事前に定義されてもよい。また、各分析手法が利用可能であるか否かは、ステップS100において取得したデータセットに含まれるデータ項目の名称もしくは型、当該データセットに含まれるデータサンプルの数、などに基づいて判定されてよい。
【0078】
適した分析手法の予測(S121)のオプションとして、分析の目的に適した分析手法を予測するための判断材料が不足する場合に、サーバ30は、ユーザに質問する、または所定のアクションを促すためのシステム応答を生成し、チャットに出力してもよい。一例として、サーバ30は、分析に関連する追加のデータセットの有無を質問したり、追加のデータセットの提供を促したりするためのシステム応答を生成してもよい。
【0079】
ステップS121の後に、サーバ30は、システム応答の生成(S122)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS121において予測した分析手法の採否を問うシステム応答(メッセージ)を生成する。一例として、かかるシステム応答は、複数の分析手法のいずれを選択(複数選択可としてもよい)するかをユーザに問うてもよいし、各分析手法を採用するか否かをユーザに問うてもよい。例えば、サーバ30は、事前に定義されたメッセージテンプレートに、ステップS121において予測した分析手法に対応するテキストを挿入することで、システム応答を生成してもよい。また、システム応答には、採り得る分析手法の候補を示す情報として、当該手法を言語化したテキスト、当該手法の概念の理解を助ける画像(例えばグラフ)、またはそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0080】
ステップS122の後に、クライアント装置10は、画面表示(S221)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS122においてサーバ30から送信されたシステム応答を受信する。クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0081】
ステップS221の後に、クライアント装置10は、ユーザ指示の受け付け(S222)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザから分析手法を選択または指定するユーザ指示を受け付ける。クライアント装置10は、受け付けたユーザ指示をサーバ30へ送信する。
【0082】
ステップS222の後に、サーバ30は、分析手法の決定(S123)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS222においてクライアント装置10から送信されたユーザ指示を受信する。サーバ30は、受信したユーザ指示に基づいて分析手法を決定する。ここで、例えば分析手法をテキストで指定するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は当該テキスト(分析対象、分析の方向性、またはそれらの組み合わせを示すテキストをさらに含み得る)に基づくモデル入力を、自然言語モデルに与えることで、分析手法を決定してもよい。オプションとして、ユーザ指示から分析手法を決定するのに十分な情報が得られなかった場合に、サーバ30は、ステップS121~S123を再実行してもよい。
【0083】
ステップS123の後に、サーバ30は、データセットの検査(S124)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS100において、または他のタイミングで、ユーザから提供されたデータセットを所定のアルゴリズムにより検査する。アルゴリズムは、ステップS123によって決定された分析手法に応じて異なるように定められてもよい。データセットの検査は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・データの不備(例えば、欠損値、外れ値、バリエーションが適切でない、粒度が合わない、またはそれらの組み合わせ)の検出
・所定の前処理の適用条件を満たすか否かの判定
【0084】
ステップS125の後に、サーバ30は、システム応答の生成(S125)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS124における検査の結果に基づくシステム応答を生成する。システム応答は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ステップS124における検査によって発見された、データセットの不備の是正(一例として、欠損値または外れ値を含むサンプルの除去)を促すシステム応答
・所定の前処理の実施を提案するシステム応答(ステップS124において所定の前処理の適用条件を満たすと判定された場合)
・ステップS124における検査によって発見された、データセットの不備を補う別のデータセットを外部ソースから探索し、当該外部ソースから発見されたデータセットの利用を提案するシステム応答
【0085】
所定の前処理は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・名寄せ
・欠損値の除外
・特徴量エンジニアリング(例えば、変数の変換、似ている(相関の高い)変数の除外)
ここで、サーバ30は、変数の型、変数間の関係性の仮説などについての推論結果を自然言語モデルから取得し、当該推論結果に基づいて前処理(特に、特徴量エンジニアリング)を行ってもよい。
【0086】
ステップS125の後に、クライアント装置10は、画面表示(S223)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS125においてサーバ30から送信されたシステム応答を受信する。クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づく画面をディスプレイ21に表示する。
【0087】
ステップS223の後に、クライアント装置10は、ユーザ指示の受け付け(S224)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS223において表示した画面に対するユーザからの応答に相当するユーザ指示を受け付ける。クライアント装置10は、受け付けたユーザ指示をサーバ30へ送信する。
【0088】
一例として、クライアント装置10は、以下の少なくとも1つのユーザ指示を受け付けることができる。
・システム応答により指摘された不備を是正する(例えば、データセットを編集する)ユーザ指示
・システム応答により指摘された不備を是正したデータセットを提供(アップロード)するユーザ指示
・システム応答により提案された前処理の実施または不実施を要求するユーザ指示
【0089】
ステップS224の後に、サーバ30は、対象データセットの取得(S126)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS224においてクライアント装置10から送信されたユーザ指示を受信する。サーバ30は、受信したユーザ指示に応じて、分析に実際に用いるデータセット(以下、「対象データセット」という)を取得する。
【0090】
対象データセットの取得(S126)の第1例として、システム応答により指摘された不備を是正するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は、ステップS124において検査されたデータセットを当該ユーザ指示に従って編集することで対象データセットを取得する。
【0091】
対象データセットの取得(S126)の第2例として、システム応答により指摘された不備を是正したデータセットを提供するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は、ユーザ指示によって提供されたデータセットを対象データセットとして取得する。或いは、サーバ30は、ユーザ指示によって提供されたデータセットに対して、データセットの検査(S124)を再実行してもよい。
【0092】
対象データセットの取得(S126)の第3例として、システム応答により提案された前処理の実施を要求するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は、ステップS124において検査されたデータセットに対して当該前処理を行うことで対象データセットを取得する。
【0093】
対象データセットの取得(S126)の第4例として、システム応答により提案された前処理の不実施を要求するユーザ指示が得られた場合に、サーバ30は、ステップS124において検査されたデータセットをそのまま対象データセットとして取得する。
【0094】
なお、ステップS124における検査によって、データセットに不備が発見されず、かつ当該データセットがいずれの前処理の適用条件も満たさないと判定された場合に、ステップS125~S126は省略可能である。すなわち、サーバ30は、ステップS124において検査されたデータセットがそのまま対象データセットとして取得し得る。
【0095】
ステップS126の後に、サーバ30は、分析(S127)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS126において取得した対象データセットに対して、ステップS123において決定した分析手法による分析を行う。
【0096】
また、サーバ30は、分析の結果を図示するグラフを生成してもよい。一例として、サーバ30は、自然言語モデルによって生成したコマンドを、データ分析ツールに与えることで、グラフを取得してもよい。分析の目的および分析手法に応じて、グラフの種別(例えば、折れ線グラフ、棒グラフ、散布図、円グラフ、バブルチャート、レーダーチャート、積み上げグラフ、箱ひげ図、など)が決定され得る。サーバ30は、分析の目的および分析手法に応じて、グラフにおいて重要な箇所を判定してもよい。
【0097】
さらに、サーバ30は、分析の結果から得られる示唆を表すテキストを生成してもよい。一例として、サーバ30は、分析の結果に基づくモデル入力を、自然言語モデルに与えることで、示唆を取得してもよい。示唆は、例えば以下の情報の少なくとも1つを含むことができる。
・目的変数、説明変数、またはそれらの組み合わせ(つまり、分析の目的に応じて選定された変数)を解説する情報(例えば、分布の広がりや代表値などの変数を要約した情報)
・目的変数と説明変数との関係(つまり、分析の結果)を解説する情報
・異なる説明変数の間の関係を解説する情報
・分析の結果の統計学的な扱いを解説する情報(例えば、分析の結果が統計学的に有意でない場合に、本分析の結果が偶然の可能性がある旨のメッセージ、または分析の結果が統計学的に有意である場合に、本分析の結果が偶然の可能性が低い(つまり、一定の信頼性がある)旨のメッセージ)
・統計学的に重要な説明変数(例えば、有意水準が最も低い説明変数、または有意な説明変数のうち相関係数の絶対値が最も大きい説明変数)を解説する情報(例えば、当該説明変数と目的変数との相関係数の値)
・外れ値を解説する情報(例えば、外れ値がどこに発生しているか、どの程度の値か、など)
・グラフにおいて重要な箇所を解説する情報
・他の分析手法による分析の実施を推奨する情報
【0098】
示唆によって扱われるトピックは、分析の目的に応じて絞り込まれてよい。具体的には、サーバ
30は、示唆によって扱われ得るトピックを、自然言語モデルを用いてスコアリングし、スコアが基準を満たすトピックについてのみ示唆を生成してもよい。
【0099】
なお、示唆は、例えば予め用意されたテンプレートに、分析の結果(数値)を挿入することで生成されてよい。テンプレートは、統計学的な専門用語またはデータ分析の専門用語を用いることなく分析の結果を記述する文章であることが好ましい。これにより、ユーザの理解を助け、示唆を具体的なビジネスアクションに落とし込めるよう支援することができる。
【0100】
ステップS127の後に、サーバ30は、システム応答の生成(S128)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS127において生成した分析の結果に基づくシステム応答を生成する。システム応答は、例えば、グラフ、グラフにおいて重要と判定された箇所、示唆、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0101】
ステップS125の後に、クライアント装置10は、画面表示(S225)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS127においてサーバ30から送信されたシステム応答を受信する。クライアント装置10は、受信したシステム応答に基づく画面をディスプレイ21に表示する。かかる画面の一例を図11および図12に示す。
【0102】
図11の画面は、オブジェクトJ20~J27を含む。
図11の例では、オブジェクトJ20はチャットの進行状態が「分析」であることを示す。
【0103】
図11の例では、オブジェクトJ21には、オブジェクトJ213a,J213a1,J213bが配置される。
【0104】
オブジェクトJ213aは、目的変数である「販売数」と説明変数である「日付」との関係を示す折れ線グラフを表示する。
オブジェクトJ213a1は、オブジェクトJ213aに示されるグラフにおける重要な箇所として、外れ値を示す情報を表示する。
【0105】
オブジェクトJ213bは、示唆を表示する。具体的には、オブジェクトJ213bは、「販売数は概ね約100~400個/日で推移しています。年末年始およびGWには外れ値的に販売数が約600個/日まで高まっています。」として、目的変数の要約に関する情報と、外れ値を解説する情報とを含む。
【0106】
図12の例では、オブジェクトJ21には、オブジェクトJ214a,J214a1,J214bが配置される。
【0107】
オブジェクトJ214aは、目的変数である「販売数」と説明変数である「近隣イベント」との関係を示す箱ひげ図を表示する。
【0108】
オブジェクトJ214a1は、オブジェクトJ214aに示されるグラフにおける重要な箇所として、ベースライン(図12の例では、近隣イベント「なし」の販売数の中央値)に対する注目する値(近隣イベント「全国」の販売数の中央値)の差を示す情報を表示する。
【0109】
オブジェクトJ214bは、示唆を表示する。具体的には、オブジェクトJ214bは、「近隣イベント「全国」がある場合、近隣イベント「なし」の場合と比較して、販売数が大きくなる傾向にある。中央値で比較した時、販売数の増加は30個/日」として、目的変数と説明変数との関係を解説する情報を含む。
【0110】
なお、サーバ30は、分析(S127)を、複数のフェーズ(例えば、集計、簡易分析、および機械学習など)に亘って段階的に行ってもよい。つまり、クライアント装置10は、ステップS225の後に、分析の結果に対するユーザ指示を受け付け、サーバ30は、さらなる分析(S127)を行い、システム応答の生成(S128)および画面表示(S225)がなされてもよい。この場合に、サーバ30は、グラフおよび示唆の少なくとも一方を、フェーズの遷移に応じて変更し得る。
【0111】
(4)小括
以上説明したように、本実施形態のサーバ30は、ユーザとの間で行われるデータ分析に関するチャットの進行状態を管理し、チャットの進行を通じてユーザの分析の目的を特定する。サーバ30は、分析の目的に従って、対象データセットを分析し、対象データセットの分析の結果を出力する。これにより、ユーザは、チャット上で与えられた質問に回答したり、チャット上で要求されたアクションを行ったりするだけで、当該ユーザが必要とする分析の結果を得ることができる。故に、従来のBIツールに多く見られたCUI(Character User Interface)またはGUI(Graphical User Interface)に抵抗があるユーザであっても、技術的・心理的ハードルを感じることなく、関心のある切り口での分析を自由に試すことができる。
【0112】
チャットの進行状態は、所定の複数のフェーズを用いて定義されてよい。サーバ30は、複数のフェーズのそれぞれにおいて、ユーザからの入力によらずに、所定の情報を提供し、またはユーザに所定のアクションを促すための応答をチャットに出力してもよい。これにより、ユーザは、チャットを開始する前に、どのような目的で分析を行うべきか、どのような分析手法を選ぶべきか、またはどのようなデータセットを用意するべきか、などの解を事前に用意しておかなくても、チャットを通じてこれらの要素が定まり、必要な分析を行うことができる。
【0113】
サーバ30は、チャット上でのユーザ入力およびシステム応答に基づいて、分析の目的に適した分析手法を予測し、予測された分析の目的に適した分析手法の情報を出力してもよい。これにより、ユーザは、分析の目的を分析設計に落とし込むスキルが十分でなくとも、意図した目的に沿った分析を行い、必要とする結果を得ることができる。
【0114】
サーバ30は、分析の目的に適した分析手法を予測するための判断材料が不足する場合に、ユーザに質問する、または所定のアクションを促すためのシステム応答をチャットに出力してもよい。これにより、ユーザが必要とする分析手法を適切に予測することができる。
【0115】
サーバ30は、ユーザによって提供されたデータセットである第1データセットを取得し、分析の目的に基づいて、第1データセットの不備を検出し、検出の結果に応じて、ユーザに第1データセットの不備の是正を促す応答をチャットに出力してもよい。これにより、ユーザによって提供されたデータセットに不備があったり、適切なデータセットが提供されていなかったりして、そのままでは精度の高い分析が得られない場合に、当該不備を是正し、より高精度な分析を行うことができる。
【0116】
サーバ30は、ユーザによって提供されたデータセットである第1データセットを取得し、第1データセットが予め定められた条件に合致する場合に、当該条件に対応する前処理の実施を提案する応答をチャットに出力してもよい。これにより、ユーザは、データクレンジングなどの前処理に関する知識が十分でなくとも、必要な前処理を選択することができる。換言すれば、前処理の工数を削減できる。
【0117】
サーバ30は、チャットを表示する領域と、対象データセットの分析の結果を表示する領域とを一画面で、または切替可能に表示するための情報を出力してもよい。これにより、ユーザは、分析の結果と、チャットとを同時に、または交互に参照し、システムに対する次の指示を検討したり、分析の結果に対する理解を深めたりすることができる。
【0118】
対象データセットの分析の結果は、当該対象データセットの分析の結果を図示するグラフと、当該対象データセットの分析の結果に基づく示唆を表すテキストとを含んでもよい。これにより、ユーザは、コマンド操作等を行うことなくグラフを確認するとともに、統計学的知識が十分でなくとも分析の結果の要点を理解することができる。つまり、ユーザが分析の結果を主観的に解釈し、客観的に正しいと示せないことを真実であるかのように捉えたり、客観的に正しいと示せることを見落としたりする事態を防止できる。
【0119】
示唆は、分析の目的に応じて選定された変数の解説、または2以上の変数間の関係の解説を示してもよい。これにより、ユーザは、分析の対象となった変数(データ項目)についての理解を深めることができる。
【0120】
サーバ30は、グラフの種別を、分析の目的と、分析に用いられた分析手法とに応じて決定してもよい。これにより、ユーザがコマンド操作等を行わずとも、分析の結果の確認に適した種別のグラフを確認することができる。
【0121】
サーバ30は、グラフにおいて重要な箇所を分析の目的と、分析に用いられた分析手法とに応じて判定し、グラフおいて重要と判定された箇所を示す情報を出力してもよい。これにより、ユーザは、グラフを適切に解釈するための背景知識が十分でなくとも、当該グラフの要点を理解することができる。
【0122】
対象データセットの分析は、複数のフェーズに亘って段階的に行われてもよい。サーバ30は、グラフおよび示唆の少なくとも一方を、フェーズの遷移に応じて変更してもよい。これにより、複雑な分析であっても、段階的に結果が提示されるので、ユーザは、分析の結果を適切に解釈するための背景知識が十分でなくとも、順を追って分析の結果の要点を理解することができる。
【0123】
(5)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10と一体化されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0124】
上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。例えば、いずれかの装置によって行われるとして説明された処理が別の装置によって行われたり、複数の装置のやり取りによって行われるとして説明された処理が単一の装置によって行われたりしてもよい。
【0125】
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。例えば、上記説明では、データセットの取得後に分析の目的を設定する例を示した。しかしながら、両者は逆の順序で行われてもよいし、並列的に行われてもよい。
【0126】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12