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  • 特開-リチウムイオン電池及びその応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013110
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池及びその応用
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20250117BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20250117BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20250117BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20250117BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20250117BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/58
H01M4/136
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M10/0568
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203487
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202310858153.9
(32)【優先日】2023-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522492196
【氏名又は名称】遠景動力技術(江蘇)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology(Jiangsu)Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.66 Shentai Road,Shengang Street,Jiangyin City,Wuxi City,Jiangsu Province,214443 China
(71)【出願人】
【識別番号】523454843
【氏名又は名称】遠景動力技術(湖北)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology (Hubei) Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】523454854
【氏名又は名称】遠景動力技術(鄂爾多斯市)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology (Ordos) Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】523454865
【氏名又は名称】遠景動力技術(河北)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology (Hebei) Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】522492200
【氏名又は名称】遠景睿泰動力技術(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Intelligent Innovation Dynamics Technology (Shanghai) Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 101,Building No.2,No.2555 Xiupu Road,Kangqiao Town,Pudong New District,Shanghai,201315 China
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】余 樂
(72)【発明者】
【氏名】劉 興偉
(72)【発明者】
【氏名】呂 文彬
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H050AA07
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050HA02
5H050HA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電解液の安定性を改善し、リチウムイオン電池のサイクル性能を向上し、高温におけるリチウムイオン電池の性能を向上することができる、リチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池は、両面面密度が35mg/cm以上であり、且つ、リン酸マンガン鉄リチウムを含む正極活物質を含む正極シート10と、負極シート20と、正極シートと負極シートとの間に配置されるセパレータ30と、正極シートと、負極シートと、セパレータとの間に充填された電解液40と、を含む。電解液は非水溶媒を含み、非水溶媒はエチレンカーボネートを含み、非水溶媒におけるエチレンカーボネートの質量割合は、10重量%~35重量%である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面面密度が35mg/cm以上であり、且つ、リン酸マンガン鉄リチウムを含む正極活物質を含む正極シートと、
負極シートと、
前記正極シートと前記負極シートとの間に配置されるセパレータと、
前記正極シートと、前記負極シートと、前記セパレータとの間に充填された電解液であって、前記電解液は非水溶媒を含み、前記非水溶媒はエチレンカーボネートを含み、前記非水溶媒における前記エチレンカーボネートの質量割合は10重量%~35重量%である前記電解液と、
を少なくとも含む、リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記リン酸マンガン鉄リチウムの分子式は、LiMnFe1-yPOであり、式中、0.95≦x≦1.05及び0.4≦y≦0.7である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記非水溶媒における前記エチレンカーボネートの質量割合は、15重量%~30重量%をである、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記電解液は、さらに正極被膜形成添加剤を含み、前記正極被膜形成添加剤は、1,3-プロパンスルトンを含み、前記電解液における前記正極被膜形成添加剤の含有量は、0.01重量%~5重量%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記電解液は、さらに負極被膜形成添加剤を含み、前記負極被膜形成添加剤は、ビニレンカーボネートを含み、前記電解液における前記負極被膜形成添加剤の含有量は、0.1重量%~10重量%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
前記非水溶媒は、さらにジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート又はジエチルカーボネートのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
前記非水溶媒は、さらにエチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを含み、前記エチレンカーボネート、前記エチルメチルカーボネート、前記ジメチルカーボネートの質量比は、(0.5-4.5):(2.75-4.75):(2.75-4.75)である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
前記電解液における前記非水溶媒の含有量は、60重量%~85重量%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
前記電解液は、リチウム塩をさらに含み、前記リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiODFP、LiODFB、LiPO又はCFSOLiのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項10】
前記電解液における前記リチウム塩の濃度は、0.1mol/L~2mol/Lである、請求項9に記載のリチウムイオン電池。
【請求項11】
請求項1に記載のリチウムイオン電池を備える電気化学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の技術分野に関し、特に、リチウムイオン電池及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気自動車や大規模エネルギー貯蔵分野におけるリチウムイオン電池の急速な発展により、リチウムイオン電池の市場規模は大幅に拡大している。特に、リン酸鉄リチウム電池は、低コストでサイクル寿命が長いという特徴から、リチウムイオン電池の開発において主流となっている。しかしながら、現在のリン酸鉄リチウム物質の比容量は理論値に近いため、リン酸鉄リチウム電池のエネルギー密度は限界に近づいている。
【0003】
リン酸マンガン鉄リチウムは、リン酸鉄リチウムの鉄の一部をマンガンで置換して得られ、これにより正極活物質のコストを上昇させることなく、リン酸マンガン鉄リチウムのエネルギー密度を高めることができる。しかしながら、リン酸マンガン鉄リチウムリチウムの導電率は低い。リチウムイオン電池では、電池の動的性能が低く、サイクル性能の低下につながる。リン酸マンガン鉄リチウム電池のサイクルにおいては、マンガンイオンの溶解により固体電解質界面(Solid Electrolyte Interphase,SEI)が破壊され、電池内の活性リチウムの消費量の増加と負極SEI膜の抵抗の増加を引き起こし、電池のサイクル寿命に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、リチウムイオン電池及びその応用を提供する。本発明によって提供されるリチウムイオン電池及びその応用を通じて、電解液の安定性を改善し、リチウムイオン電池のサイクル性能を向上し、高温におけるリチウムイオン電池の性能を向上することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、少なくとも以下の成分を含むリチウムイオン電池を提供する。
【0006】
両面面密度が35mg/cm以上であり、且つ、リン酸マンガン鉄リチウムを含む正極活物質を含む正極シートと、
【0007】
負極シートと、
【0008】
正極シートと負極シートとの間に配置されるセパレータと、
【0009】
正極シート、負極シート及びセパレータの間に充填された電解液であって、電解液は非水溶媒を含み、非水溶媒はエチレンカーボネートを含み、非水溶媒におけるエチレンカーボネートの質量割合は、10重量%~35重量%である、電解液。
【0010】
本発明の一実施形態において、リン酸マンガン鉄リチウムの分子式は、LiMnFe1-yPOであり、0.95≦x≦1.05及び0.4≦y≦0.7である。
【0011】
本発明の一実施形態において、非水溶媒におけるのエチレンカーボネートの質量割合は15重量%~30重量%である。
【0012】
本発明の一実施形態において、電解液は、さらに正極被膜形成添加剤を含み、正極被膜形成添加剤は、1,3-プロパンスルトンを含み、正極被膜形成添加剤の含有量は、電解液中に0.01重量%~5重量%である。
【0013】
本発明の一実施形態において、電解液は、負極被膜形成添加剤をさらに含み、負極被膜形成添加剤は、ビニレンカーボネートを含み、電解液における負極被膜形成添加剤の含有量は、0.1重量%~10重量%である。
【0014】
本発明の一実施形態において、非水溶媒は、さらにジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート又はジエチルカーボネートのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0015】
本発明の一実施形態において、非水溶媒は、さらにエチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを含み、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は、(0.5-4.5):(2.75-4.75):(2.75-4.75)である。
【0016】
本発明の一実施形態において、電解液における非水溶媒の含有量は、60重量%~85重量%である。
【0017】
本発明の一実施形態において、電解液は、リチウム塩をさらに含み、リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiODFP、LiODFB、LiPO又はCFSOLiのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、電解液におけるリチウム塩の濃度は、0.1mol/L~2mol/Lである。
【0019】
本発明はさらに、上述のリチウムイオン電池を備える電気化学装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
まとめると、本発明は、電解液の導電率を改善し、電解液の酸化安定性を確保し、リチウムイオン電池の動力学を強化し、サイクル性能を向上させることができるリチウムイオン電池及びその応用を提供する。電解液の酸化分解を軽減するために、正極の表面に緻密なCEIフィルムを生成することができる。負極上に緻密なSEI膜を生成さすることができる。SEI膜は、サイクル中に継続的に修復されるため、マンガンイオンの溶解によって引き起こされる負極のSEI膜への損傷が軽減され、リン酸マンガン鉄リチウム電池のサイクル寿命を効果的に向上することができる。溶媒、正極添加剤、負極添加剤の種類や含有量を制御することで、電解液の安定性が向上し、リチウムイオン電池のサイクル性能が向上し、高温におけるリチウムイオン電池の性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の実施形態又は従来技術の技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態又は関連技術の説明に必要な図面を以下に簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本開示の一部の実施形態にすぎない。当業者であれば、創造的な努力をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本発明の一実施形態におけるリチウムイオン電池の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体例を挙げて本発明の実施について説明する。当業者であれば、本明細書に開示される内容から、本開示の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本開示は、他の異なる特定の実装を通じて実装又は適用することもできる。本明細書の様々な詳細も、本開示の精神から逸脱することなく、異なる観点及び用途に基づいて様々な方法で修正又は変更することができる。
【0023】
本開示は異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されるものである。
【0024】
本開示の技術的解決策は、いくつかの実施形態及び図面を参照して以下でさらに詳細に説明される。明らかに、説明される実施形態は、本開示の実施形態のすべてではなく、一部の実施形態にすぎない。本開示の実施形態に基づいて、当業者が創作的作業を行うことなく得られる他のすべての実施形態は、本開示の保護の範囲内に含まれる。
【0025】
図1を参照されたい。本発明は、正極シート10と、負極シート20と、セパレータ30と、電解液40と、を含むリチウムイオン電池を提供する。セパレータ30は、正極シート10と負極シート20との間に位置する。電解液40は、正極シート10と、負極シート20と、セパレータ30との間に充填される。本発明は、リチウムイオン電池の種類及び形状を限定するものではない。本発明の一実施形態において、リチウムイオン電池は一次電池又は二次電池である。二次電池は、例えば、パウチ型電池、角型電池、又は円筒型電池である。本実施形態では、パウチ型の二次電池を例に挙げて説明する。
【0026】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、正極シート10は、正極集電体と、正極集電体の片面に塗布された正極活物質層とを含む。正極活物質層は、正極活物質、バインダー、導電剤などを含む。正極集電体は、例えば、ニッケル、チタン、アルミニウム、ニッケル、銀、ステンレス鋼、又はカーボンなどからなる箔体に表面処理を施したものを含む。正極集電体の形態としては、箔体の他、フィルム、メッシュ、細孔、発泡体、不織布等のいずれか1種又は複数の組み合わせを採用することができる。正極集電体の厚さは、例えば、8μm~15μmである。本実施形態において、正極集電体は、例えば、アルミニウム箔である。
【0027】
本発明の一実施形態において、正極活物質は、例えば、リン酸マンガン鉄リチウムから選択され、リン酸マンガン鉄リチウムの分子式はLiMnFe1-yPOであり、式中、0.95≦x≦1.05及び0.4≦y≦0.7である。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(Poly vinylidene Fluoride,PVDF)、ポリアミド(Polyamide,PA)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile,PAN)、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル(Polymethyl Methacrylate,PMMA)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、ポリヘキサフルオロプロピレン(Polyhexafluoropropylene)、又は重合スチレンブタジエンゴム(Polymerized Styrene Butadiene Rubber,SBR)のいずれか1種以上から選択される。導電剤は、例えば、導電性カーボンブラック(SuperP、SP)、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのいずれか1種以上から選択される。
【0028】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、正極活物質は、例えば、LiMn0.6Fe0.4POであり、バインダーは、ポリフッ化ビニリデンから選択され、導電剤は、アセチレンブラックから選択される。正極活物質とアセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンとを例えば95:3:2の重量比で混合した後、有機溶媒を加えて系統が均一になるまで撹拌して正極スラリーを得る。有機溶媒は、例えば、N-メチルピロリドン(N-Methylpyrrolidone,NMP)から選択される。正極スラリーをアルミニウム箔上に均一に塗布して乾燥させた後、乾燥したアルミニウム箔に冷間プレスなどの加工を施すことにより、正極シート10が得られる。本実施形態において、正極シートの両面面密度は、35mg/cm以上である。
【0029】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、負極シート20は、例えば、負極集電体と、負極集電体の少なくとも片面に塗布された負極活物質層とを含む。負極活物質層は、負極活物質、バインダー、導電剤、増粘剤などを含む。負極集電体は、例えば、銅箔集電体、複合銅箔集電体、カーボン集電体、発泡銅集電体、ステンレス集電体などから選択されるいずれか1種である。負極集電体の厚さは、例えば、8μm~15μmである。
【0030】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、負極活物質は、ソフトカーボン、ハードカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、ケイ素、酸化ケイ素化合物、炭化ケイ素化合物、又はチタン酸リチウムのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリヘキサフルオロプロピレン、又はスチレンブタジエンゴムのいずれか1種以上から選択される。導電剤は、例えば、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛などのいずれか1種以上から選択される。本発明の一実施形態において、負極集電体は、例えば、銅箔から選択される。負極活物質は、例えば、黒鉛から選択される。導電剤は、例えば、アセチレンブラックから選択される。バインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴムから選択される。増粘剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される。本発明の一実施形態では、黒鉛、アセチレンブラック、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを、例えば、96:2:1:1の質量比で混合し、脱イオン水を加えて十分に撹拌して、負極スラリーを得た。負極スラリーを銅箔上に均一に塗布し、乾燥、冷間プレス等の工程を経て、負極シート20を得た。
【0031】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、セパレータ30は、例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ガラス繊維フィルム、ポリエチレンフィルム、又は複合フィルムであり、セパレータの厚さは、例えば、9μm~15μmである。本実施形態では、セパレータのベースフィルムとして厚さ8μm~10μmのポリエチレンを選択し、ベースフィルム上に厚さ2μm~4μmのナノアルミナコーティングをコーティングして、セパレータ30を得た。
【0032】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、電解液40は、非水溶媒、リチウム塩、及び添加剤を少なくとも含む。正極シート10の両面面密度が35mg/cm以上の場合、電解液の導電率を向上させるために、非水溶媒は誘電率の高いエチレンカーボネート(EC)を含み、非水溶媒におけるエチレンカーボネートの質量割合は、10重量%~35重量%、又は15重量%~30重量%である。ECの含有量が少なすぎると、電解液40の高い導電率を保証できず、高密度リン酸マンガン鉄リチウム電池の動的性能を向上させることができない。ECの含有量が多すぎると、電解液40の酸化安定性が低下し、正極において不可逆的な酸化分解反応が生じて電池のサイクル特性が低下する。したがって、電解液におけるエチレンカーボネートの含有量を添加及び制御することによって、電解液の導電率を改善することができる。同時に、電解液の酸化安定性の低下を防ぐために、エチレンカーボネートの添加量を制御することもできる。
【0033】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、非水溶媒は、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピレンカーボネート(PC)又はジエチルカーボネート(DEC)のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせをさらに含む。非水溶媒は、例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートを含み、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は、(0.5~4.5):(2.75~4.75):(2.75~4.75)である。本発明の一実施形態において、電解液40における非水溶媒の質量含有率は、例えば、60%~85%である。電解液を調製する際、グローブボックス内の窒素含有量が99.999%、グローブボックス内の実際の酸素含有量が0.1ppm以下、水分含有量が0.1ppm以下である場合、電池グレードのエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートを均一に混合した後、十分に乾燥させたリチウム塩を上述した非水溶媒に加え、添加剤を加えてリチウムイオン電池の非水電解液を調製する。
【0034】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、添加剤は、正極被膜形成添加剤及び負極被膜形成添加剤をさらに含む。正極被膜形成添加剤は、1,3-プロパンスルトン(1,3-Propanesultone,PS)を含み、正極被膜形成添加剤の含有量は、電解液40中に、例えば、0.01重量%~5重量%を占め、例えば、0.1重量%~2重量%である。正極被膜形成添加剤は、正極の表面に緻密な正極-電解液界面(Catheode Electrolyte Interphase,CEI)を生成し、それにより電解液40の酸化分解を低減することができる。正極被膜形成添加剤の質量含有量が少なすぎると、正極上に緻密なCEI膜を形成して電解液40の酸化分解を防止することができない。正極被膜形成添加剤の含有量が多すぎると、過剰に厚いCEI膜が形成され、正極の界面抵抗が増加し、電池の動的性能及びサイクル寿命が低下する。したがって、正極の安定性を保証し、電解液の分解を低減し、リチウムイオン電池のサイクル特性を向上させるために、正極被膜形成添加剤の質量含有量が制御される。
【0035】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、負極被膜形成添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)を含み、負極被膜形成添加剤の含有量は、電解液40中に、0.1重量%~10重量%を占め、例えば、0.5重量%~3重量%を占め、負極に高品質のSEI膜を形成する。VCの質量含有量が少なすぎると、緻密なSEI膜が形成されず、サイクル中にSEI膜を適時に継続的に修復することができない。このような状況下では、正極から溶解したマンガンイオンが負極界面を急速に劣化させ、リチウムの損失と負極の動的性能の破壊を引き起こし、電池のサイクル寿命が急速に低下する。VCの質量百分率が高すぎると、電解液の粘度が急激に上昇し、電解液40の導電率が低下し、リチウムイオン電池の動的性能が低下する。したがって、VCの含有量を制御することにより、VCは負極上に緻密なSEI膜を形成することができ、また、SEI膜がサイクル中に継続的に修復されるため、マンガンイオンの溶解によって引き起こされる負極のSEI膜へのダメージが軽減される。EC、PS、VCを組み合わせて使用することで、リチウムイオン電池の動的性能が向上し、リン酸マンガン鉄リチウム電池のサイクル寿命を効果的に延長することができる。
【0036】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、電解液40は、さらにリチウム塩を含む。リチウム塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、ビスフルオロスルホンイミドリチウム(LiFSI)、ビストリフルオロメタンスルホンイミドリチウム(LiTFSI)、ビスオキサホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロビスシュウ酸リン酸リチウム(LiODFP)、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム(LiODFB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)又はリチウムトリフラート(LiCFSO)のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選択される。本発明の一実施形態において、電解液40におけるリチウム塩の濃度は、0.1mol/L~2mol/Lである。
【0037】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、上述した正極シート10、セパレータ30、及び負極シート20は、正極シート10と負極シート20との間にセパレータ30が位置してこれらを隔てるように順に積層され、これらを積層して、裸電池セルを得る。裸電池セルをアルミニウムプラスチックフィルムに入れ、80℃で焼いて水分を除去し、電解液40を注入して封止する。その後、封止された裸電池セルに、静置、熱間及び冷間プレス、成形、クランプ及び容量分割を行って、完成したソフトパック型リチウムイオン電池を得る。
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であり、それらの変更も全て本発明の技術的範囲に属するものである。
【0039】
実施例1
【0040】
正極シートの作製:正極活物質としてLiMn0.6Fe0.4PO、導電剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを選択し、95:3:2の質量比で混合した。正極活物質、バインダー及び導電剤を均一に混合した後、N-メチルピロリドンから選択される溶媒を加え、混合物が均一かつ透明になるまで撹拌して正極スラリーを得た。正極スラリーをアルミニウム箔上に均一に塗布し、乾燥させた後、冷間プレスして正極シートを得た。正極シートの両面面密度は38mg/cmであった。
【0041】
負極シートの作製:負極活物質として黒鉛、導電剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムを選択肢、96:2:1の質量比で混合し、脱イオン水を加えて十分に撹拌し、負極スラリーを得た。負極スラリーを銅箔上に均一に塗布し、乾燥させた後、冷間プレスして負極シートを得た。
【0042】
電解液の調製:グローブボックス内の窒素含有量が99.999%、グローブボックス内の実際の酸素含有量が0.1ppm、水分含有量が0.1ppmの条件で、非水溶媒は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、炭酸を2:4:4の質量比で構成した。電解液の全質量を100%として、六フッ化リン酸リチウムの濃度が1mol/L、PSの含有量の質量百分率が1重量%、VCの質量百分率が2重量%となるように、リチウム塩及び添加剤を添加し、電解液を得た。
【0043】
セパレータの選択:ベースフィルムとして9μmのポリエチレンを選択し、そのベースフィルム上に厚さ3μmのナノアルミナコーティングをコーティングし、セパレータを得た。
【0044】
バッテリーの作製:正極シートと負極シートとの間にセパレータが介在するように正極シート、セパレータ、負極シートを順に積層し、これらを積層して裸電池セルを得た。裸電池セルをアルミニウムプラスチックフィルムで包み、80℃で焼いて水分を除去し、電解液40を注入して封止した。その後、封止された裸電池セルに、静置、熱間及び冷間プレス、成形、クランプ及び体積分割を行って、リチウムイオン電池を得た。
【0045】
実施例2
【0046】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は0.5:4.75:4.75とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0047】
実施例3
【0048】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は1:4.5:4.5とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0049】
実施例4
【0050】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は1.5:4.25:4.25とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0051】
実施例5
【0052】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は3:3.5:3.5とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0053】
実施例6
【0054】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は3.5:3.25:3.25とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0055】
実施例7
【0056】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は4.5:2.75:2.75とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0057】
実施例8
【0058】
電解液におけるPSの質量百分率は0.005重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0059】
実施例9
【0060】
電解液におけるPSの質量百分率は0.01重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0061】
実施例10
【0062】
電解液におけるPSの質量百分率は0.1重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0063】
実施例11
【0064】
電解液におけるPSの質量百分率は3重量%とし、LiFSIの濃度は0.6 mol/Lとし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0065】
実施例12
【0066】
電解液におけるPSの質量百分率は5重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0067】
実施例13
【0068】
電解液におけるPSの質量百分率は8重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0069】
実施例14
【0070】
電解液におけるVCの質量百分率は0.05重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0071】
実施例15
【0072】
電解液におけるVCの質量百分率は0.1重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0073】
実施例16
【0074】
電解液におけるVCの質量百分率は0.5重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0075】
実施例17
【0076】
電解液におけるVCの質量百分率は3重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0077】
実施例18
【0078】
電解液におけるVCの質量百分率は10重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0079】
実施例19
【0080】
電解液におけるVCの質量百分率は15重量%とし、その他の工程は実施例1と同様とした。
【0081】
比較例1
【0082】
電解液におけるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は0:5:5とし、その他の操作は実施例1と同様とした。
【0083】
比較例2
【0084】
電解液にはPSを添加せず、その他の操作は実施例1と同様とした。
【0085】
比較例3
【0086】
電解液にはVCを添加せず、その他の操作は実施例1と同様とした。
【0087】
本発明では、実施例1~19及び比較例1~3で得られたリチウムイオン電池に、リチウムイオン電池の常温サイクルと高温サイクルにおける容量維持率の試験などの性能試験を行った。結果を表1に示す。
【0088】
本発明の一実施形態において、常温サイクルにおける容量維持率の試験は以下のように行った。リチウムイオン電池を温度25℃で1Cの定電流で4.2Vまで充電し、その後、電流が0.05C未満になるまで4.2Vの定電圧で充電した。10分間放置した後、リチウムイオン電池を1Cの定電流で2.5Vまで放電した。この状況におけるリチウムイオン電池の放電容量を試験し、その結果を1サイクル目の放電容量とした。上記のプロセスを電池に対して複数サイクル実行し、400サイクル後の電池の容量維持率を計算した。サイクル後の相対容量維持率は、次の式に従って算出した。
容量維持率(%) = (400サイクル相当の放電容量/ 1サイクル目の放電容量) × 100%
【0089】
本発明の一実施形態において、高温サイクルにおける容量維持率の試験は以下のように行った。リン酸マンガン鉄リチウム電池を温度45℃で1Cの定電流で4.2Vまで充電し、その後、電流が0.05C未満になるまで4.2Vの定電圧で充電した。10分間放置した後、リン酸マンガン鉄リチウム電池を1Cの定電流で2.5Vまで放電し、この状況におけるリン酸マンガン鉄リチウム電池の放電容量を試験し、その結果を1サイクル目の放電容量とした。上記のプロセスを電池に対して複数サイクル実行し、400サイクル後の電池の容量維持率を算出した。サイクル後の相対容量維持率は、次の式に従って算出した。
容量維持率(%) = (400サイクル相当の放電容量/ 1サイクル目の放電容量) × 100%
実施例1~19及び比較例1~3のリチウムイオン電池の性能試験結果を以下に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1を参照されたい。実施例1~19と比較例1を参照すると、電解液にエチレンカーボネートを添加し、エチレンカーボネートの量を制御することにより、常温サイクル後のリチウムイオン電池の維持率と、高温サイクル後のリチウムイオン電池の維持率が同時に向上することが分かる。すなわち、エチレンカーボネートを添加することにより、電解液の導電率が増加し、高密度リチウムイオン電池のサイクル性能が向上し、また、エチレンカーボネートの含有量を制御することにより、過剰な含有量による電解液の安定性の低下を防止することができる。実施例1~19と比較例2を比較すると、正極添加剤PSを添加することにより、正極上に緻密なCEI膜が形成され、リチウムイオン電池の動力性能及びサイクル性能が向上することが分かる。実施例1~19と比較例3を比較すると、負極添加剤VCを添加することにより、負極上に緻密なSEI膜が形成され、サイクル中にSEI膜が継続的に修復され、マンガンイオンの溶解による負極SEI膜へのダメージを軽減することができることが分かる。このようにして、リン酸マンガン鉄リチウム電池のサイクル寿命を効果的に改善することができる。
【0092】
表1を参照されたい。比較例1~7より、エチレンカーボネートの含有量が増加するにつれて、室温及び高温における容量維持率がまず増加し、その後減少することが分かる。エチレンカーボネートが非水溶媒の30重量%である場合、容量維持率が最も高くなり、ジメチルカーボネートの含有量が増加するにつれて、リチウムイオン電池の動的性能が向上することが分かる。しかし、ジメチルカーボネートの含有量が多すぎると、電解液の酸化安定性が悪くなり、急激な容量低下を引き起こす。したがって、リチウムイオン電池の性能を確保するには、エチレンカーボネートの量を制御する必要がある。
【0093】
表1を参照されたい。実施例1と実施例8~13を比較すると、正極添加剤PSの含有量が増加するにつれて、サイクル後の容量維持率がまず増加し、その後減少し、常温サイクル後の容量維持率と高温サイクル後の容量維持率が同期して変化することが分かる。PSの含有量が3重量%のとき、リチウムイオン電池の総合性能は最適となり、これは、PSの含有量が増加すると、正極上に緻密なCEIフィルムが形成され、電解液の酸化分解が防止され得ることを示している。しかし、PSの含有量が多すぎると、CEI膜が厚くなりすぎて、正極の界面抵抗が増加し、リチウムイオン電池の動的性能やサイクル寿命が低下する。
【0094】
表1を参照されたい。実施例1と実施例14~19を比較すると、負極添加剤VCの含有量が増加するにつれて、サイクル後の容量維持率がまず増加し、その後減少することが分かる。VCの含有量が0.5重量%から3重量%の間のとき、リチウムイオン電池の総合性能は最適レベルに達し、これは、VCの含有量が増加するにつれて、負極上に緻密なSEI膜が形成され、SEI膜がサイクル中に継続的に修復され、これにより、マンガンイオンの溶解による負極のSEI膜へのダメージが軽減され、リン酸マンガン鉄リチウム電池のサイクル寿命が効果的に向上することを示している。同時に、VCの含有量が多すぎたり低すぎたりした場合に発生するSEI損傷や過剰なインピーダンスなどの問題を防止することができる。すなわち、エチレンカーボネート、PS、VCを電解液に添加し、その含有量を制御することにより、リン酸マンガン鉄リチウム電池の性能を向上させ、電池のサイクル特性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
まとめると、本発明は、リチウムイオン電池及びその応用を提供する。非水溶媒の成分を選択することにより、電解液の導電性を向上させ、電解液の酸化安定性を保証し、リチウムイオン電池の動的性能を向上させ、サイクル特性を向上させることができる。正極添加剤とその含有量を制御することにより、正極の表面に緻密なCEI膜を形成して、電解液の酸化分解を低減することができる。負極添加剤とその含有量を制御することにより、負極上に緻密なSEI膜を形成し、サイクル中にSEI膜を継続的に修復することができ、これによりマンガンの溶解による負極SEI膜へのダメージを軽減し、リン酸マンガン鉄リチウム電池のサイクル寿命を効果的に改善することができる。溶媒、正極添加剤、負極添加剤の種類や含有量を制御することで、電解液の安定性を向上させ、リチウムイオン電池のサイクル性能を向上させ、高温におけるリチウムイオン電池の性能を向上させることができる。
【0096】
上記の説明は、本開示の好ましい実施形態にすぎず、使用される技術原理の説明にすぎない。当業者は、本開示に含まれる開示の範囲が、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによって形成される技術的解決策に限定されず、本発明の概念から逸脱しない範囲で、上記の技術的特徴またはその同等の特徴の任意の組み合わせによって形成される他の技術的解決策、例えば、上記の特徴を、本出願に開示される同様の機能を有する技術的特徴に置換することによって形成される技術的解決策(ただし、これに限定されない)などを含む、他の技術的解決策も包含すべきであることを理解すべきである。
【0097】
本明細書に記載された技術的特徴を除いて、残りの技術的特徴は当業者に知られている。本開示の革新的な特徴を強調するために、残りの技術的特徴についてはここでは詳細に説明しない。
【符号の説明】
【0098】
10: 正極シート
20: 負極シート
30: セパレータ
40: 電解液
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、正極シート10は、正極集電体と、正極集電体の片面に塗布された正極活物質層とを含む。正極活物質層は、正極活物質、バインダー、導電剤などを含む。正極集電体は、例えば、ニッケル、チタン、アルミニウム、、ステンレス鋼、又はカーボンなどからなる箔体に表面処理を施したものを含む。正極集電体の形態としては、箔体の他、フィルム、メッシュ、細孔、発泡体、不織布等のいずれか1種又は複数の組み合わせを採用することができる。正極集電体の厚さは、例えば、8μm~15μmである。本実施形態において、正極集電体は、例えば、アルミニウム箔である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図1を参照されたい。本発明の一実施形態において、非水溶媒は、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピレンカーボネート(PC)又はジエチルカーボネート(DEC)のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせをさらに含む。非水溶媒は、例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートを含み、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの質量比は、(0.5~4.5):(2.75~4.75):(2.75~4.75)である。本発明の一実施形態において、電解液40における非水溶媒の質量含有率は、例えば、60%~85%である。電解液を調製する際、グローブボックス内の窒素含有量が99.999%、グローブボックス内の実際の酸素含有量が0.1ppm以下、水分含有量が0.1ppm以下である場合、電池グレードのエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートを所定の質量比で均一に混合した後、十分に乾燥させたリチウム塩を上述した非水溶媒に加え、添加剤を加えてリチウムイオン電池の非水電解液を調製する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面面密度が35mg/cm以上であり、且つ、リン酸マンガン鉄リチウムを含む正極活物質を含む正極シートと、
負極シートと、
前記正極シートと前記負極シートとの間に配置されるセパレータと、
前記正極シートと、前記負極シートと、前記セパレータとの間に充填された電解液であって、前記電解液は非水溶媒を含み、前記非水溶媒はエチレンカーボネートを含み、前記非水溶媒における前記エチレンカーボネートの質量割合は10重量%~35重量%である前記電解液と、
を少なくとも含む、リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記リン酸マンガン鉄リチウムの分子式は、LiMnFe1-yPOであり、式中、0.95≦x≦1.05及び0.4≦y≦0.7である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記非水溶媒における前記エチレンカーボネートの質量割合は、15重量%~30重量%をである、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記電解液は、さらに正極被膜形成添加剤を含み、前記正極被膜形成添加剤は、1,3-プロパンスルトンを含み、前記電解液における前記正極被膜形成添加剤の含有量は、0.01重量%~5重量%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記電解液は、さらに負極被膜形成添加剤を含み、前記負極被膜形成添加剤は、ビニレンカーボネートを含み、前記電解液における前記負極被膜形成添加剤の含有量は、0.1重量%~10重量%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
前記非水溶媒は、さらにジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート又はジエチルカーボネートのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
前記非水溶媒は、さらにエチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを含み、前記エチレンカーボネート、前記エチルメチルカーボネート、前記ジメチルカーボネートの質量比は、(0.5-4.5):(2.75-4.75):(2.75-4.75)である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
前記電解液における前記非水溶媒の含有量は、60重量%~85重量%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
前記電解液は、リチウム塩をさらに含み、前記リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiODFP、LiODFB、LiPO又はCFSOLiのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項10】
前記電解液における前記リチウム塩の濃度は、0.1mol/L~2mol/Lである、請求項9に記載のリチウムイオン電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池を備える電気化学装置。
【外国語明細書】