(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013129
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】水道メータ
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20250117BHJP
G01F 1/075 20060101ALI20250117BHJP
G01F 1/58 20060101ALI20250117BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20250117BHJP
G01F 15/063 20220101ALI20250117BHJP
G08C 17/02 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G01F1/00 Y
G01F1/075
G01F1/58 Z
G01F1/66 101
G01F15/063
G08C17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010616
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2023113944
(32)【優先日】2023-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】深澤 国男
(72)【発明者】
【氏名】西浦 雅人
(72)【発明者】
【氏名】平田 吉良
【テーマコード(参考)】
2F030
2F031
2F035
2F073
【Fターム(参考)】
2F030CC02
2F030CE09
2F030CE15
2F030CG01
2F031AB11
2F031AE09
2F031AE11
2F031AF04
2F035BB00
2F035BC00
2F035DA14
2F073AA06
2F073AA07
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA26
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073DE16
2F073EE01
2F073EF09
2F073EF10
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG08
(57)【要約】
【課題】外部と通信可能で流量積算データをAルート、I0Tルート又はBルートで外部へ送信することができる水道メータを提供する。
【解決手段】流路内を流れる水の流量を電気的に計測する流量計測手段と、計測された水の流量積算データをWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)規格に準拠した無線通信又はWi-Fi(Wireless Fidelity 登録商標)規格に準拠した無線通信を介して外部に送信するとともに外部からの信号を受信する通信手段と、を備えている。通信手段は、Wi-SUN HAN(Home Area Network)又はWi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)規格に準拠した無線通信及びWi-SUN FAN(Field Area Network)規格に準拠した無線通信との間で切り替え可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内を流れる水の流量を電気的に計測する流量計測手段と、
計測された前記水の流量積算データをWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)規格に準拠した無線通信又はWi-Fi(Wireless Fidelity 登録商標)規格に準拠した無線通信を介して外部に送信するとともに外部からの信号を受信する通信手段と、を備えた、
ことを特徴とする水道メータ。
【請求項2】
前記通信手段は、Wi-SUN HAN(Home Area Network)又はWi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)規格に準拠した無線通信及びWi-SUN FAN(Field Area Network)規格に準拠した無線通信との間で切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【請求項3】
前記通信手段は、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)規格に準拠した無線通信機能を有するゲートウェイ装置又はEMS(Energy Management System)装置を介して前記流量積算データを外部に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【請求項4】
前記通信手段は、少なくとも1つの電力メータを含むマルチホップメッシュネットワークを介して前記流量積算データを外部に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【請求項5】
前記流量計測手段が、前記水の流量に応じて回転する回転体の回転速度に基づいて前記水の流量データを積算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【請求項6】
前記流量計測手段が、磁気センサから出力される信号を増幅し、波形整形し、整形された検出信号を処理して前記水の流量データを積算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【請求項7】
前記流量計測手段が、前記水の流路内に励磁コイルにより磁場を発生させ、流路の外周部の対向位置に配設した1対の電極から、水の流量に応じた起電力を発生させて前記水の流量データを積算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【請求項8】
前記流量計測手段が、前記水の流路の上下流部に1対の超音波振動子を位置をずらして配置し、両側の前記超音波振動子から相互に超音波を送受信して前記超音波の伝搬時間差から前記水の流量を積算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータに関する。
【背景技術】
【0002】
流入水によって回転する羽根車を有する下ケースと、下ケースの上に装着され、羽根車の回転に基づき流量を計測表示する指示ユニットを有する上ケースと、を備えた水道メータにおいて、指示ユニットは、上ケース内に組み込まれるユニット基板を有し、ユニット基板は、羽根車の回転を検出する回転検出部と、この回転検出部によって検出された羽根車の回転数に基づいて流量を算出する制御部と、この制御部によって算出された流量値を表示する計量表示部と、流量値を外部に向けて送信する外部出力部と、回転検出部、制御部、計量表示部及び外部出力部に電力を供給する電源部と、を備えている水道メータが知られている(特許文献1)。
【0003】
電力計測機能及びWi-SUN(登録商標)通信機能を備えたスマートメータと通信を実施する通信モジュールを備えたスマートメータ通信部と、スマートメータと通信して入手した使用電力データを出力するデータ送信部と、外部機器からスマートメータのID及びパスワードを入力するためのWi-Fi通信部と、通信を制御する通信制御部と、Wi-Fi通信部をオフ状態からオン状態へ移行させる通信操作部とを備え、通信制御部は、通信操作部の操作でオン状態に移行したWi-Fi通信部を介して外部機器から送信されたスマートメータのID及びパスワードの情報を受信したら、当該情報を登録してスマートメータとの間でWi-SUN(登録商標)通信を開始するスマートメータ通信装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-179325号公報
【特許文献2】特開2019-106599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外部とWi-SUN通信可能で流量積算データをAルート、IoTルート又はBルートで外部へ送信することができる水道メータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の水道メータは、
流路内を流れる水の流量を電気的に計測する流量計測手段と、
計測された前記水の流量積算データをWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)規格に準拠した無線通信又はWi-Fi(Wireless Fidelity 登録商標)規格に準拠した無線通信を介して外部に送信するとともに外部からの信号を受信する通信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記通信手段は、Wi-SUN HAN(Home Area Network)又はWi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)規格に準拠した無線通信及びWi-SUN FAN(Field Area Network)規格に準拠した無線通信との間で切り替え可能である、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記通信手段は、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)規格に準拠した無線通信機能を有するゲートウェイ装置又はEMS(Energy Management System)装置を介して前記流量積算データを外部に送信する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記通信手段は、少なくとも1つの電力メータを含むマルチホップメッシュネットワークを介して前記流量積算データを外部に送信する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記流量計測手段が、前記水の流量に応じて回転する回転体の回転速度に基づいて前記水の流量データを積算する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記流量計測手段が、磁気センサから出力される信号を増幅し、波形整形し、整形された検出信号を処理して前記水の流量データを積算する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記流量計測手段が、前記水の流路内に励磁コイルにより磁場を発生させ、流路の外周部の対向位置に配設した1対の電極から、水の流量に応じた起電力を発生させて前記水の流量データを積算する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の水道メータにおいて、
前記流量計測手段が、前記水の流路の上下流部に1対の超音波振動子を位置をずらして配置し、両側の前記超音波振動子から相互に超音波を送受信して前記超音波の伝搬時間差から前記水の流量を積算する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、流量積算データをWi-SUN通信又はWi-Fi通信で外部へ送信することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、Aルート、IoTルート又はBルートの2系統でWi-SUN通信プロファイルを切り替えて送信することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、流量積算データをBルートで外部に送信することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、屋外中継器を介することなく流量積算データをマルチホップで外部に送信することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、水の流量に応じて回転する回転体の回転速度に基づいて算出した水の流量積算データをクラウド装置へ送信することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、磁気センサから出力される信号を増幅し、波形整形し、整形された検出信号を処理し、算出した水の流量積算データをクラウド装置へ送信することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、水の流路内に励磁コイルにより磁場を発生させ、流路の外周部の対向位置に配設した1対の電極から、水の流量に応じた起電力を発生させて算出した水の流量積算データをクラウド装置へ送信することができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、水の流路の上下流部に1対の超音波振動子を位置をずらして配置し、両側の超音波振動子から相互に超音波を送受信して超音波の伝搬時間差から算出した水の流量積算データをクラウド装置へ送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る水道メータの全体構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る水道メータの流量計測部の一例を示す断面模式図である。
【
図3】(a)は水道メータの指示ユニットを示す平面模式図、(b)は指示ユニットにおける回転指標を利用した流量の計測を説明する図、(c)は1リットル針又は10リットル針を利用した流量の計測を説明する図である。
【
図4】(a)はBルートにおけるWi-SUN HAN、Wi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN通信を説明する図、(b)はAルート、IoTルートにおけるWi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN通信を説明する図である。
【
図5】本実施形態に係る水道メータにおける流量の計測と流量積算データの送信の処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0024】
(1)水道メータの構成
図1は本実施形態に係る水道メータ1の全体構成を示す機能ブロック図、
図2は本実施形態に係る水道メータ1の流量計測部100の一例を示す断面模式図、
図3(a)は水道メータ1の指示ユニット30を示す平面模式図、(b)は指示ユニット30における回転指標36を利用した流量の計測を説明する図、(c)は1リットル針37又は10リットル針38を利用した流量の計測を説明する図、
図4(a)はBルートにおけるWi-SUN HAN、Wi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN通信を説明する図、(b)はAルート、IoTルートにおけるWi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN通信を説明する図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る水道メータ1の全体構成と動作について説明する。
【0025】
(1.1)水道メータの全体構成
水道メータ1は、
図1に示すように、流路内を流れる水の流量を電気的に計測する流量計測手段の一例としての流量計測部100と、計測された水の流量積算データをWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)規格に準拠した無線通信を介して外部に送信するとともに外部からの信号を受信する通信手段の一例としての通信部200と、水道メータ1の各種処理に利用する情報を記憶するメータ記憶部300と、水道メータ1の動作を統括的に制御するメータ制御部400とを備え、Wi-SUN通信を利用して、電力メータとの間で通信するIoTルート又はAルートと、ゲートウェイ装置又はEMS(Energy Management System)装置との間で通信するBルートとの2系統の通信を行う。ここに、EMS(Energy Management System)としては、管理対象によりHEMS(Home Energy Management System)、MEMS(Mansion Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Management System)、CEMS(Cluster/Community Energy Management System)が挙げられる。HEMSは住宅向け、MEMSは集合住宅向け、BEMSは商用ビル向け、FEMSは工場向け、CEMSはこれらを含んだ地域全体向けとなる。
【0026】
(1.2)流量計測部
水道メータ1の流量計測部100は、
図2に示すように、両端に流入口11および流出口12が形成された下ケース10を有し、下ケース10内には、インナーケース20が収納されている。インナーケース20には、それぞれ複数の流入ノズル21と流出ノズル22が設けられ、インナーケース20の内底部の中心には羽根車支持部材23が立設されている。羽根車支持部材23には軸上部にマグネットM1を有する羽根車24が回転自在に支持されている。
【0027】
羽根車24の上方には、ガスケットG1を介して指示ユニット30が設けられている。指示ユニット30は、レジスターボックス31、下台板32、上台板33、マグネットM2が装着されたマグネット歯車34、歯車列35、回転指標36、1リットル針37、10リットル針38、数字車39、OリングS1を介して取り付けられたガラス板40から構成されている。そして、マグネット歯車34のマグネットM2と羽根車24の駆動側マグネットM1とが対向して、磁気的に結合(マグネットカップリング)されている。
【0028】
回転指標36の上面は、
図3に示すように、正多角錐面状(8面体)の光反射面36aとなっている。水道の使用時においては、一定位置から回転指標36の光反射面36aに投光された光の反射角の変化の回数を検出することによって、回転指標36の積算回転数から流量を計測することができる。
【0029】
図3(b)に示すように、回転指標36の裏面にN極とS極とを有する磁石41を取り付け、回転指標36の上方に磁気センサ42、43を配置して、回転指標36の回転に基づく磁界の変化に応じた検出信号を出力するようにしてもよい。出力された検出信号が処理されるとともに積算され、流量の積算値を計測することができる。
【0030】
また、
図3(c)に示すように、1リットル針37又は10リットル針38に磁石37a、38aを複数取り付けて、2個の磁気センサ44で1リットル針37又は10リットル針38の回転に伴って発生する90°位相がずれた信号を検知して、流量の積算量を算出してもよい。
計測された水の流量を積算した流量積算データは計測時刻と対応付けてメータ記憶部300に記憶される。
【0031】
(1.3)通信部
通信部200は、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network 登録商標)規格に準拠した無線通信機能を有する通信モジュールを有し、Wi-SUN HAN(Home Area Network)又はWi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)規格に準拠した無線通信及びWi-SUN FAN(Field Area Network)規格に準拠した無線通信との間で切り替え可能に構成されている。これにより、通信部200は、上述したAルート、IoTルートとBルートを切り替えて、電力メータ(Aルート、IoTルート)、又はゲートウェイ装置又はEMS機器(Bルート)とWi-SUN通信を実施して流量積算データを送信する。
【0032】
具体的には、通信部200は、
図4(a)に示すように、EMS(Energy Management System)装置の一例であるHEMS-GW(Home Energy Management System gateway)とWi-SUN HAN(Home Area Network)、Wi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN規格に準拠した無線通信を行って(Bルート)、メータ記憶部300から呼び出した水の流量積算データを送信する。
また、通信部200は、
図4(b)に示すように、マルチホップメッシュネットワークを形成する電力メータとWi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN(Field Area Network)規格に準拠した無線通信を行って(Aルート、IoTルート)、メータ記憶部300から呼び出した水の流量積算データを送信する。
【0033】
(1.4)メータ記憶部
メータ記憶部300は、水道メータ1の各種処理に利用する情報を記憶する。具体的には、メータ記憶部300は、例えば、流量計測部100によって計測された水の流量積算データと、計測時刻とを対応付けた計測情報を記憶する。また、メータ記憶部300は、例えば、30分間隔などの所定の時間間隔毎の水の流量積算データと、計測年月日及び計測時刻と対応付けた積算流量情報を記憶する。
【0034】
(1.5)メータ制御部
メータ制御部400は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含むプロセッサであり、水道メータ1を統括的に制御する。メータ制御部400は、流量計測部100が計測した水の流量積算データと、時刻情報とを取得し、流量積算データと時刻情報とを対応付けてメータ記憶部300に記憶させる。
また、メータ制御部400は、例えば、30分毎の流量積算データを算出し、この流量積算データと、計測年月日及び計測時刻と対応付けた積算流量情報をメータ記憶部300に記憶させる。また、メータ制御部400は、通信部200を介して、上述したAルート、IoTルートによる電力メータとの間の通信を制御するとともに、Bルートによるゲートウェイ装置又はEMS装置との間の通信を制御する。
メータ制御部400は、例えば、計測年月日、計測時刻(時、分、秒の時刻情報)、及び流量の積算量を含むプロパティ値通知の8ビット電文を、Bルートにより30分毎にゲートウェイ装置又はEMS装置に通知する。
【0035】
(2)水道メータの動作
図5は、水道メータ1における流量の計測と流量積算データの送信の処理の流れを示すフローチャート図である。
本実施形態に係る水道メータ1は、流路内を流れる水の流量を電気的に計測する計測処理と、計測された水の流量積算データをWi-SUN規格に準拠した無線通信を介して外部に送信する通信処理を実施する。
【0036】
(計測処理)
水道メータ1は、メータ制御部400が起動されると、先ず、流量積算データをクリアし、メータ制御部400のプロセッサのタイマーから年月日および日時を読み込んで処理を開始する(S101)。
【0037】
ここで、水道を使用すると、水道メータ1のインナーケース20に回転自在に支持されている羽根車24が回転し、羽根車24の回転と連動して回転指標36が回転する。この際、回転指標36の回転に応じて磁気センサ32、33が検出信号を出力する(
図4参照)。
尚、1リットル針37又は10リットル針38に磁石37a、38aが複数取り付けられている場合は、2個の磁気センサ43、43が検出信号を出力する。
【0038】
まず、磁気センサ42、43からの入力を読み込んで(S102)、磁気センサ42、43から出力される検出信号に基づいて、羽根車24が回転中かどうか判定する(S103)。
羽根車24が回転中であれば(S103;Yes)、正回転か否か(S104)を判定する。そして、羽根車24が正回転の場合(S104;Yes)は、流量を加算し(S105)、逆回転の場合(S104;No)は、流量を減算する(S106)。正回転か逆回転かは、磁気センサ42、43から出力される検出信号の位相差に基づいて判定する。
【0039】
次に、その加減算した値をメータ記憶部300に記憶して(S107)、次の通信処理を実行する。
一方、羽根車24が回転中でなければ(S103;No)、ステップS102へ戻る。
【0040】
通信処理においては、所定時間ごとに、ゲートウェイ装置又はEMS装置からの送信リクエストを受信するためタイマー割り込み処理を実行する(S108)。送信リクエストとしてのタイマー割り込みが確認されない場合(S108;No)、計測処理のステップS102へ戻る。タイマー割り込みを確認した場合(S108;Yes)、通信処理を実行する。
【0041】
(通信処理)
通信処理(S109)では、メータ記憶部300から水の流量積算データを呼び出して、Wi-SUN HAN、Wi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN規格に準拠した無線通信により、流量積算データを所定の電文方式でゲートウェイ装置又はEMS装置に送信する。
以上、Bルートの通信について説明したが、Aルート、IoTルートにおいては、Wi-SUN Enhanced HAN又はWi-SUN FAN規格に準拠した無線通信により、マルチホップメッシュネットワークを形成する電力メータに送信する。
【0042】
このように、本実施形態に係る水道メータ1によれば、水の流量積算データをWi-SUN通信を利用して、マルチホップメッシュネットワークを形成する電力メータとの間で通信するAルート、IoTルートと、ゲートウェイ装置又はEMS装置との間で通信するBルートの2系統でWi-SUN通信プロファイルを切り替えて送信することができる。
【0043】
本実施形態では、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network 登録商標)規格に準拠した無線通信機能を有する通信モジュールを有し、メータ記憶部300から呼び出した水の流量積算データを送信する通信部200を備えた水道メータについて説明したが、通信部200は、920MHzや2.4GHz等の周波数帯域の無線信号を用いた近距離無線通信の規格であって、国際規格であるIEEE802.11の規格に則るWi-Fi(Wireless Fidelity 登録商標)方式に準拠した無線通信が可能なWI-Fiモジュールで構成してもよい。Wi-Fi通信により、例えば、EMS装置や電力メータとの見通し距離が最大2.3kmの範囲で、最大3.3Mbpsのデータ転送速度で流量積算データを送信することができる。
【0044】
また、本実施形態では、回転指標36の裏面にN極とS極とを有する磁石41を取り付け、回転指標36の上方に磁気センサ42、43を配置して、回転指標36の回転に基づく磁界の変化に応じた検出信号を出力する流量計測部、1リットル針37又は10リットル針38に磁石37a、38aを複数取り付けて、2個の磁気センサ43、43で1リットル針37又は10リットル針38の回転に伴って発生する90°位相がずれた検出信号を出力する流量計測部を備えた水道メータについて説明したが、水道メータの流量計測方式はこれに限らない。
【0045】
例えば、羽根車24の軸部の先端に永久磁石が軸心位置をずらして取り付けられ、この永久磁石の磁気を磁気センサで検出して、磁気センサから出力される磁気検出信号に基づき、水の流量を計測する電子式水道メータ、水の流路内に励磁コイルにより磁場を発生させ、流路の外周部の対向位置に配設した1対の電極から、水の流量に応じた起電力を発生させるように構成され、励磁コイルの励磁用電源、及び流量に対応した起電力に基づき水の流量を算出する電磁式水道メータに本発明を適用することもできる。
【0046】
また、水の流路の上下流部に1対の超音波振動子を、位置をずらして配置し、両側の超音波振動子から相互に超音波を送受信して、その超音波の伝搬時間差から水の流量を算出する超音波式水道メータに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・水道メータ
100・・・流量計測部
10・・・下ケース、20・・・インナーケース、21・・・流入ノズル、22・・・流出ノズル、23・・・羽根車支持部材、24・・・羽根車、30・・・指示ユニット、31・・・レジスターボックス、32・・・下台板、33・・・上台板、34・・・マグネット歯車、35・・・歯車列、36・・・回転指標、37・・・1リットル針、38・・・10リットル針
200・・・通信部
300・・・メータ記憶部
400・・・メータ制御部
A・・・計量室