IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小見山家具製作所の特許一覧

特開2025-13130セキュリティドア構造体、及び、セキュリティドア構造体を有する壁状構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013130
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】セキュリティドア構造体、及び、セキュリティドア構造体を有する壁状構造体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/32 20060101AFI20250117BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20250117BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20250117BHJP
   E06B 1/52 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E06B3/32 Z
E05B47/00 L
E06B7/28 Z
E06B1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016010
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2023113373の分割
【原出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】503307453
【氏名又は名称】株式会社小見山家具製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103023
【弁理士】
【氏名又は名称】萬田 正行
(72)【発明者】
【氏名】小見山 与志夫
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2E011EF00
2E014AA02
2E014CA04
2E014CB01
(57)【要約】
【課題】隠し扉の存在が管理者以外の者に知得された場合でも、その隠し扉の開放を最大限の範囲で阻止することができるようにする。
【解決手段】外枠と、外枠の前側に開閉自在となるよう取り付けられる第1のセキュリティドアと、外枠の後側に開閉自在となるよう取り付けられる第2のセキュリティドアと、第1のセキュリティドア及び第2のセキュリティドアの少なくとも一方を、外枠に対して施錠及び解錠するための錠前装置とを備える。第1のセキュリティドアは、外枠の前面の枠形状に対応する枠形状を有するフレームと、フレームにより包囲される内側部を遮蔽すると共に、少なくとも内部空間を外側から視認自在とする機能を有する遮蔽部材とを含む。照明装置が、第1のセキュリティドアと前記第2のセキュリティドアとの間に形成される内部空間を照明する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠と、
前記外枠の前側に開閉自在となるよう取り付けられる第1のセキュリティドアと、
前記外枠の後側に開閉自在となるよう取り付けられる第2のセキュリティドアと、
前記第1のセキュリティドア及び前記第2のセキュリティドアの少なくとも一方を、前記外枠に対して施錠及び解錠するための錠前装置とを備え、
前記第1のセキュリティドアは、前記外枠の前面の枠形状に対応する枠形状を有するフレームと、前記フレームにより包囲される内側部を遮蔽すると共に、少なくとも前記内部空間を外側から視認自在とする機能を有する遮蔽部材とを含み、
更に、
前記第1のセキュリティドアと前記第2のセキュリティドアとの間に形成される内部空間を照明するための照明装置を備えることを特徴とするセキュリティドア構造体。
【請求項2】
前記錠前装置は、前記第1のセキュリティドアに設けられる第1の錠前装置を含み、
前記第1の錠前装置は、電磁式錠前装置からなり、
前記電磁式錠前装置は、前記外枠の前端に固定される電磁吸着ブロック体と、前記第1のセキュリティドアのフレームの内面において前記電磁吸着ブロック体と対向する位置に取り付けられるストライクプレートと、前記電磁吸着ブロック体の電磁吸着動作を制御するための制御装置とを有し、
前記電磁式錠前装置の制御装置は、常には、前記電磁吸着ブロック体による電磁吸着力の発生を維持すると共に、所定の検知領域内に進入した物体を非接触で検知して、前記電磁吸着ブロック体による電磁吸着力の発生を停止するものであり、
前記電磁式錠前装置の制御装置は、前記外枠の外部に設けられる閉鎖空間領域であって、前記機能性鏡板により遮蔽されて暗部としての機能を常に維持する常暗部空間領域の所定の位置に、位置変更自在に配置されることを特徴とする請求項1記載のセキュリティドア構造体。
【請求項3】
前記錠前装置は、前記第2のセキュリティドアに設けられる第2の錠前装置を含み、
前記第2の錠前装置は、機械式錠前装置からなり、
前記機械式錠前装置は、前記第2のセキュリティドアの背板の後面の所定位置に固定される棒状キー型シリンダー錠と、前記棒状キー型シリンダー錠を施錠及び解錠する棒状キーとからなり、前記棒状キー型シリンダー錠のシリンダー部の鍵穴に前記棒状キーを挿通するためのキー挿通孔を、前記第2のセキュリティドアの背板において前記シリンダー部が配置される位置に形成し、
前記照明装置は、前記外枠内の内部空間において所定の照明範囲を有すると共に、前記照明範囲の照明限界が、前記外枠の内部空間において、前記背板の前面よりも所定距離だけ前方の位置となるような光学特性に設定されていることを特徴とする請求項1記載のセキュリティドア構造体。
【請求項4】
請求項1に記載のセキュリティドア構造体を少なくとも一部に備え、建築物の部屋の室内空間において、一対の壁と当該一対の壁部分に対応する天井及び床との間に形成される空間を完全に遮蔽するよう、前記一対の壁の間に固定して配置されることを特徴とする壁状構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセキュリティドア構造体、及び、セキュリティドア構造体を有する壁状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯目的や貴重品保管目的等で、建築物の室内の特定の部屋に隣接して、当該特定の部屋から隠蔽された隠蔽空間としての秘密の部屋(「隠し部屋」又は「セキュリティルーム」と呼ばれることもある。)を設けることがある。この場合、前記特定の部屋と前記秘密の部屋とは、例えば、間仕切り壁により二分して区画される。また、その間仕切り壁には、前記特定の部屋から前記秘密の部屋に入退室するための秘密の扉(「隠し扉」又は「セキュリティドア」と呼ばれることもある。)を開閉自在に設け、当該秘密の部屋の存在を知る特定の人(例えば、当該秘密の部屋の管理者等)のみが、前記秘密の扉を介して、前記秘密の部屋に入室し、当該秘密の部屋の内部の貴重品等を管理できるようにしている。
【0003】
ここで、このような秘密の部屋及び秘密の扉に関する発明として、従来、特許文献1に記載の引き戸による間仕切り構造、又は、特許文献2に記載の建物が提案されている。
【0004】
特許文献1の間仕切り構造は、和室の壁に形成された出入口等の開口部に隣接して押入を設け、前記開口部と押入の収納口を開閉する開閉戸を、前記開口部と収納口との間を移動可能な引き違い戸で構成し、この引き違い戸を、押入の収納口と和室の開口部との両方を開閉自在に仕切る共用の戸として使用することにより、押入に隣接した壁を納戸への出入口として有効利用する(特許文献1の要約参照)。
【0005】
特許文献1によれば、この引き違い戸は、和室内からは押入を開閉する戸として見えるので、和室としての雰囲気を壊すことなく、和室に隣接させて納戸を設けることができ、また、この納戸は隠し部屋的なものとなる、とのことである(特許文献1の段落[0016]参照)。
【0006】
特許文献2の建物は、下階(発明の実施形態では、1階)と上階(発明の実施形態では、2階)とを連絡する階段と、上階(2階)において階段を挟んで位置する第1部屋(発明の実施形態では寝室)及び第2部屋(発明の実施形態では、シアタールーム)と、階段の下り口と第1部屋(寝室)及び第2部屋(シアタールーム)とに通ずる通路と、階段の下り口とは反対側に位置しており、第1部屋(寝室)と第2部屋(シアタールーム)とを連絡する書斎と、を備える(特許文献2の要約、及び、段落[0020]、「0021」、及び[0024]参照)。また、特許文献2の建物では、書斎と寝室とを繋ぐ出入口は、寝室と階段とを仕切る第1間仕切り壁に形成され、書斎とシアタールームとを繋ぐ出入口は、シアタールームと階段とを仕切る第2間仕切り壁に形成され、書斎の出入口にはそれぞれ建具が設けられている(特許文献2の段落[0024]参照)。また、特許文献2の建物では、寝室側の建具は、出入口を閉じた状態において寝室に面する第1本棚を有し、第1間仕切り壁の寝室側の面には、第2本棚が作り付けられて、建具が閉じた状態の第1本棚及び第2本棚は、全体で1つの本棚を構成するように形状や色彩が統一されている(特許文献2の段落[0025]参照)。
【0007】
特許文献2によれば、書斎と寝室及びシアタールームとの出入口に建具が設けられているため、寝室又はシアタールームを使用している使用者にとっては、建具が閉じられた状態では、書斎が見えない一方、建具が開けられると、通常は通路があると思える場所に書斎が見えるので、面白みをより強く感じることができる、とのことである(特許文献2の段落[0030]参照)。また、特許文献2によれば、寝室側の建具は、出入口を閉じた状態において寝室に面する第1本棚を有しており、出入口が開口する第1間仕切り壁の寝室側の面には、第2本棚が作り付けられているため、寝室側の建具が閉じられた状態では、第1本棚と第2本棚とが前後方向に沿って並ぶことにより、第1本棚と第2本棚の全体で一つの本棚のような構成となり、建具の存在が認識できなくなるので、書斎が隠し部屋的な感覚になり、このため、寝室を使用している使用者は、書斎の存在を感じず、また、書斎を使用するにあたり、隠し部屋に入るような高揚感を感じることができる、とのことである(特許文献2の段落[0031]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-105222号公報
【特許文献2】特開2023-10282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1に記載の間仕切り構造は、隠し部屋を提供するために、和室の壁の開口部に設ける引き違い戸を、和室内からは(隠し部屋的な納戸ではなく)押入れを開閉する戸として見えるようにすることで、隠し部屋(即ち、この場合、納戸)の存在を、和室内の人から隠すように構成されている。即ち、この場合、この引き違い戸が、いわゆる秘密の扉(即ち、隠し扉又はセキュリティドア)として機能するよう構成されている。そして、この引き違い戸が秘密の扉であることを知る者(例えば、その納戸の管理者である家人等)のみが、その引き違い戸を介して隠し部屋としての納戸に入退室できるようにしている。
【0010】
また、特許文献2に記載の建物は、隠し部屋を提供するために、(隠し部屋となる)書斎の一方に位置する寝室側の建具には、当該建具により出入口を閉じた状態において寝室に面する(即ち、寝室側に露出する)第1本棚を設けると共に、寝室と階段とを仕切る第1間仕切り壁には、寝室に面する(即ち、寝室側に露出する)第2本棚を作り付け、更に、当該(寝室側の)建具により出入口を閉じた状態で、第1本棚及び第2本棚が、全体で1つの本棚を構成するように形状や色彩を統一することで、隠し部屋(即ち、この場合、書斎)の存在を、寝室内の人から隠すように構成されている。即ち、この場合、この寝室側の建具が、いわゆる秘密の扉(即ち、隠し扉又はセキュリティドア)として機能するよう構成されている。そして、この寝室側の建具が秘密の扉であることを知る者(例えば、その建物の管理者である家人等)のみが、その寝室側の建具を介して隠し部屋としての書斎に入退室できるようにしている。
【0011】
[本発明者らの固有の知見]
本発明者らは、防犯目的や貴重品保管目的等で設ける上記のような秘密の部屋(即ち、セキュリティドア)について、鋭意研究開発を重ねた。その結果、本発明者らの知見によれば、例えば、特許文献1の間仕切り構造のように、隠し部屋としての納戸を、隠し扉としての引き違い戸により隠蔽した場合でも、隠し扉が、壁の開口部に形成された引き違い戸により構成され、扉であることには変わりない(即ち、特許文献1の間仕切り構造は、隠し扉自体を隠したりカモフラージュしたりするものではない)。したがって、その引き違い戸が隠し扉であることを知らない者(即ち、前記管理者以外の者)が、押入の収納口を開放するよう引き違い戸を開くのではなく、偶然に、或いは、間違って、納戸側の開口部(即ち、前記和室の開口部)を開放するよう引き違い戸を開いた場合、その納戸側の開口部を介して、隠し部屋としての納戸の存在が知られることになり、その引き違い戸が、隠し扉であることが知られてしまう。その結果、それ以降、(管理者以外の)その者は、その引き違い戸を介して、自由に、隠し部屋としての納戸に入退室することができる。
【0012】
また、特許文献2の建物のように、隠し部屋としての書斎を、隠し扉としての寝室側の建具(即ち、特許文献2の場合は、寝室側に開く開き戸であって、隠し部屋としての書斎側から見ると内開きの開き戸)に本棚(即ち、第1本棚)を設けた場合、その建具が開き戸であることを、寝室に入室する管理者以外の者からは隠す(即ち、カモフラージュする)ことができる。しかし、この場合でも、その建具(即ち、第1本棚によりカモフラージュした建具)が隠し扉であることを知らない者(即ち、前記管理者以外の者)が、その建具をカモフラージュする第1本棚を、偶然に、或いは、間違って、手前側に引っ張った場合、その建具(即ち、第1本棚によりカモフラージュした開き戸としての建具)が開いてしまい、その建具を設けた第1間仕切り壁の開口部を介して、隠し部屋としての書斎の存在が知られることになり、その建具(即ち、第1本棚によりカモフラージュした開き戸としての建具)が、隠し扉であることが知られてしまう。その結果、それ以降、(管理者以外の)その者は、その建具(即ち、第1本棚によりカモフラージュした開き戸としての建具)を介して、自由に、隠し部屋としての書斎に入退室することができる。
【0013】
一方、本発明者らの知見によれば、上記特許文献1又は特許文献2に開示されているような構成の隠し部屋(特許文献1の場合は前記納戸、特許文献2の場合は前記書斎)の場合でも、隠し部屋の隠し扉(特許文献1の場合は前記引き違い戸、特許文献2の場合は前記建具)に鍵及び錠からなる扉用の錠前(「ドアロック」と呼ばれることもある。)を設けることで、上記のような課題(即ち、管理者以外の者の偶然等による隠し扉の開放という課題)に対応することができる。即ち、その隠し部屋及び隠し扉の管理者のみが、その錠前の存在、及び、その錠前の錠の位置(即ち、隠し扉に対する、その錠前の錠の取付位置)を知っているようにし、かつ、その管理者のみが、その錠前の解錠方法を知っているようにしておき(即ち、その錠前の錠を解錠できる鍵構造の鍵を保有等して管理するようにしておき)、隠し部屋に入室するとき以外は、その錠前を施錠しておけば、たとえ、上記のように、管理者以外の者が、隠し扉であることを知らずに(即ち、偶然に、又は、間違って)前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具を開く動作をしたとしても、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具が開くことを阻止することができる。こうすれば、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具が開くことはなく、依然として、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具が隠し扉であることが、その管理者以外の者に知られることはないため、隠し部屋の存在を管理者以外の者に隠匿乃至隠蔽することができる。
【0014】
一方、上記のように、隠し扉に錠前を設けた場合でも、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具が隠し扉であることが、その管理者以外の者に知られることとなった場合、その管理者以外の者は、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具を開く動作をしようとすることが考えられる。しかし、その管理者以外の者が、偶然に若しくは意図せず若しくは間違い等によって、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具を開く動作をした場合でも、前記錠前により、前記引き違い戸や前記開き戸からなる建具が開くことを阻止することができる。この場合、その管理者以外の者は、その隠し扉に錠前が設置されていると推測することができるため、その錠前を解錠しようとすることが考えられる。しかし、この場合でも、管理者以外の者が、その錠前の錠の位置(即ち、隠し扉に対する、その錠前の錠の取付位置)を知らない場合や、(その錠前の錠の位置を知っている場合でも)その錠前の解錠方法を知らない場合(即ち、その錠前の錠を解錠できる鍵構造の鍵を保有等して管理していない場合)、その錠を解錠することができず、結果として、隠し扉を解錠して開き、隠し部屋に入退室することはできない。
【0015】
しかし、上記のように、隠し扉に錠前を設ける場合でも、最悪のケースを想定して、隠し部屋に通じる隠し扉の存在を最大限の範囲で隠匿し、かつ、隠し扉の存在が管理者以外の者に知得された場合でも、その隠し扉の開放を最大限の範囲で阻止できるようにすることが、隠し部屋(又は隠し扉)のセキュリティの面からは望ましい。また、従来の隠し部屋の隠し扉は、隠し扉を設置する壁や間仕切りとの関係において、隠し扉自体の機能(即ち、隠し部屋を隠匿乃至隠蔽する機能)以外の機能性や、隠し扉を含む壁や間仕切りの全体の美的デザイン(即ち、壁や間仕切り全体の意匠性)や、隠し扉自体の美的デザイン(即ち、隠し扉の意匠性)については、何ら検討又は考慮していない。よって、本発明者らは、これらの点を複合的に検討し、鋭意の調査研究を重ねた結果、本発明を想到し、本発明を完成するに至った。
【0016】
[本発明の課題]
そこで、本発明は、最悪のケースを想定して、隠し部屋に通じる隠し扉の存在を最大限の範囲で隠匿し、かつ、隠し扉の存在が管理者以外の者に知得された場合でも、その隠し扉の開放を最大限の範囲で阻止することができ、セキュリティルーム又はセキュリティドアとしてのセキュリティを最大限向上し、更に、セキュリティドア自体の機能(即ち、セキュリティルームを隠匿乃至隠蔽する機能)以外の機能性や、セキュリティドアを含む壁錠構造体や間仕切り構造体の全体の美的デザイン(即ち、壁構造体や間仕切り構造体全体の意匠性)や、セキュリティドア自体の美的デザイン(即ち、隠し扉の意匠性)を向上したセキュリティドア構造体、及び、セキュリティドア構造体を有する壁状構造体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の観点に係るセキュリティドア構造体は、外枠と、前記外枠の前側に開閉自在となるよう取り付けられる第1のセキュリティドアと、前記外枠の後側に開閉自在となるよう取り付けられる第2のセキュリティドアと、前記第1のセキュリティドア及び前記第2のセキュリティドアの少なくとも一方を、前記外枠に対して施錠及び解錠するための錠前装置とを備る。前記第1のセキュリティドアは、前記外枠の前面の枠形状に対応する枠形状を有するフレームと、前記フレームにより包囲される内側部を遮蔽すると共に、少なくとも前記内部空間を外側から視認自在とする機能を有する遮蔽部材とを含む。セキュリティドア構造体は、更に、前記第1のセキュリティドアと前記第2のセキュリティドアとの間に形成される内部空間を照明するための照明装置を備える。
【0018】
本発明の第2の観点に係るセキュリティドア構造体は、更に、前記錠前装置が、前記第1のセキュリティドアに設けられる第1の錠前装置を含み、前記第1の錠前装置が、電磁式錠前装置からなる。前記電磁式錠前装置は、前記外枠の前端に固定される電磁吸着ブロック体と、前記第1のセキュリティドアのフレームの内面において前記電磁吸着ブロック体と対向する位置に取り付けられるストライクプレートと、前記電磁吸着ブロック体の電磁吸着動作を制御するための制御装置とを有する。前記電磁式錠前装置の制御装置は、常には、前記電磁吸着ブロック体による電磁吸着力の発生を維持すると共に、所定の検知領域内に進入した物体を非接触で検知して、前記電磁吸着ブロック体による電磁吸着力の発生を停止するものである。前記電磁式錠前装置の制御装置は、前記外枠の外部に設けられる閉鎖空間領域であって、前記機能性鏡板により遮蔽されて暗部としての機能を常に維持する常暗部空間領域の所定の位置に、位置変更自在に配置される。
【0019】
本発明の第3の観点に係るセキュリティドア構造体は、更に、前記錠前装置が、前記第2のセキュリティドアに設けられる第2の錠前装置を含み、前記第2の錠前装置が、機械式錠前装置からなる。前記機械式錠前装置は、前記第2のセキュリティドアの背板の後面の所定位置に固定される棒状キー型シリンダー錠と、前記棒状キー型シリンダー錠を施錠及び解錠する棒状キーとからなり、前記棒状キー型シリンダー錠のシリンダー部の鍵穴に前記棒状キーを挿通するためのキー挿通孔を、前記第2のセキュリティドアの背板において前記シリンダー部が配置される位置に形成している。前記照明装置は、前記外枠内の内部空間において所定の照明範囲を有すると共に、前記照明範囲の照明限界が、前記外枠の内部空間において、前記背板の前面よりも所定距離だけ前方の位置となるような光学特性に設定されている。
【0020】
本発明の第4の観点に係る壁状構造体は、上記セキュリティ構造体を少なくとも一部に備え、建築物の部屋の室内空間において、一対の壁と当該一対の壁部分に対応する天井及び床との間に形成される空間を完全に遮蔽するよう、前記一対の壁の間に固定して配置される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るセキュリティドア構造体、及び、セキュリティドア構造体を有する壁状構造体は、最悪のケースを想定して、隠し部屋に通じる隠し扉の存在を最大限の範囲で隠匿し、かつ、隠し扉の存在が管理者以外の者に知得された場合でも、その隠し扉の開放を最大限の範囲で阻止することができ、セキュリティルーム又はセキュリティドアとしてのセキュリティを最大限向上し、更に、セキュリティドア自体の機能(即ち、セキュリティルームを隠匿乃至隠蔽する機能)以外の機能性や、セキュリティドアを含む壁錠構造体や間仕切り構造体の全体の美的デザイン(即ち、壁構造体や間仕切り構造体全体の意匠性)や、セキュリティドア自体の美的デザイン(即ち、隠し扉の意匠性)を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す平面図であり、建築物の所定の部屋の内部(即ち、室内空間)に壁状構造体を配置した状態を概略的に示す平面図(上面図)である。
図2図2は本発明の実施の形態1に係る(壁状構造体の一部を構成する)セキュリティドア構造体(セキュリティドアユニット)の全体を示す平面図である。
図3図3は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の上板を便宜上省略して図示し、上面から見た内部構造を示す平面図(上面図)であり、要部を拡大して示す。
図4図4は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の上板を便宜上省略して図示し、上面から見た内部構造を示す平面図(上面図)であり、前扉を開いた状態を仮想線で示す。
図5図5は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の上板を便宜上省略して図示し、上面から見た内部構造を示す平面図(上面図)であり、前扉を開いた状態を仮想線で示すと共に、後扉を開いた状態を仮想線で示す。
図6図6は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の上板を便宜上省略して図示し、上面から見た内部構造を示す平面図(上面図)であり、前扉を開いた状態を仮想線で示すと共に、要部を拡大して示す。
図7図7は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の上板を便宜上省略して図示し、上面から見た内部構造を示す平面図(上面図)であり、LEDライン照明具による照明範囲及び照明限界を示す。
図8図8は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す左側面図であり、建築物の所定の部屋の内部(即ち、室内空間)に壁状構造体を配置した状態を概略的に示す左側面図である。
図9図9は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す右側面図であり、建築物の所定の部屋の内部(即ち、室内空間)に壁状構造体を配置した状態を概略的に示す右側面図である。
図10図10は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体のセキュリティドア構造体の全体を示す左側面図である。
図11図11は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の左板を便宜上省略して図示し、左側から見た内部構造を示す左側面図であり、要部を拡大して示す。
図12図12は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の左板を便宜上省略して図示し、左側から見た内部構造を示す左側面図であり、LEDライン照明具による照明範囲及び照明限界を示す。
図13図13は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の左板を便宜上省略して図示し、左側から見た内部構造を示す左側面図であり、非接触センサによる検知範囲(感知範囲)及び検知限界(感知限界)を示す。
図14図14は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体、ワードローブ構造体、及びキャビネット構造体の全ての照明をオフにした状態(消灯状態)で、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示す。
図15図15は本発明の実施の形態1に係る(壁状構造体の一部を構成する)セキュリティドア構造体(セキュリティドアユニット)の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオフ動作すると共に、セキュリティドア構造体の右側のディスプレイ構造体の扉を便宜上省略して図示し、ディスプレイ構造体の内部空間の第1の収容部及び制御ボックスを図示する。
図16図16は本発明の実施の形態1に係る(壁状構造体の一部を構成する)セキュリティドア構造体(セキュリティドアユニット)の全体を示す正面図であり、ディスプレイ構造体の内部空間の常暗部空間領域における制御ボックスの位置並びに検知範囲を図示する。
図17図17は本発明の実施の形態1に係る(壁状構造体の一部を構成する)セキュリティドア構造体(セキュリティドアユニット)の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作すると共に、セキュリティドア構造体の右側のディスプレイ構造体の扉を便宜上省略して図示し、ディスプレイ構造体の内部空間の第1の収容部及び制御ボックスを図示する。
図18図18は本発明の実施の形態1に係る(壁状構造体の一部を構成する)セキュリティドア構造体(セキュリティドアユニット)の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作すると共に、セキュリティドア構造体の右側のディスプレイ構造体の扉を便宜上省略して図示し、ディスプレイ構造体の内部空間の第1の収容部及び制御ボックスを図示し、かつ、要部を拡大して示す。
図19図19は本発明の実施の形態1に係る(壁状構造体の一部を構成する)セキュリティドア構造体(セキュリティドアユニット)の全体を示す背面図であり、ディスプレイ構造体の内部空間の第1の収容部及び制御ボックスを背面側から図示し、かつ、要部を拡大して示す。
図20図20は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体及びキャビネット構造体の照明をオフ動作した状態(消灯状態)で、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示す。
図21図21は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオフ動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオフ動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示す。
図22図22は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第1の例を示す。
図23図23は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第2の例を示す。
図24図24は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第3の例を示す。
図25図25は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第4の例を示す。
図26図26は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第5の例を示す。
図27図27は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第6の例を示す。
図28図28は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第7の例を示す。
図29図29は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオン動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオン動作し、キャビネット構造体の照明をオン動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフにした状態(非映像状態)を示すと共に、電磁式錠前装置の制御ボックスの配置位置の第8の例を示す。
図30図30は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオフ動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオフ動作し、キャビネット構造体の照明をオフ動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオン動作した状態(映像状態)を示す。
図31図31は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体の全体を示す正面図であり、セキュリティドア構造体の内部照明をオフ動作し、ワードローブ構造体の内部照明をオフ動作し、キャビネット構造体の照明をオフ動作し、かつ、ディスプレイ構造体のディスプレイをオフ動作した状態(非映像状態)を示し、かつ、ディスプレイ構造体の扉を全開した状態を示す。
図32図32は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体のディスプレイ構造体部分を、第1の収納部の図示を便宜上省略して示す左側面図であり、ディスプレイ構造体の扉を全開した状態を示す。
図33図33は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体のディスプレイ構造体部分を示す右側面図であり、ディスプレイ構造体の扉を全開した状態を示す。
図34図34は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体のディスプレイ構造体部分を示す左側面図であり、ディスプレイ構造体の扉を全閉した状態を示す。
図35図35は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体のディスプレイ構造体部分を示す右側面図であり、ディスプレイ構造体の扉を全閉した状態を示す。
図36図36は本発明の実施の形態1に係るセキュリティドア構造体の機能性鏡板の積層構造を側面視で概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0024】
{実施の形態1}
本発明の実施の形態1に係る壁状構造体(即ち、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体)を、図1図36を参照して説明する。なお、本発明に係る「セキュリティドアを備える壁状構造体」は、本発明の説明において、「セキュリティドアを備える間仕切り構造体」又は「セキュリティドアを備える間仕切り壁構造体」と称することもある。
【0025】
図1は本発明の実施の形態1に係る壁状構造体(セキュリティドアを備える壁状構造体)の全体を示す平面図であり、建築物の所定の部屋の内部に壁状構造体を配置した状態を概略的に示す平面図(上面図)である。
【0026】
[壁状構造体の設置態様]
図1に示すように、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、建築物の所定の部屋の内部(即ち、室内空間)に、当該室内空間を第1の室内空間S1及び第2の室内空間S2に区画するよう、後付け工事等により固定して設置される。ここで、室内空間は、通常は、直線状の4つの壁により四方を囲まれた平面矩形状の室内空間となる。したがって、セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、通常は、平面矩形状の室内空間の四方の壁のうち、互いに対向する一対の壁の間の全体(全幅及び全高)にわたって、当該一対の壁の間を完全に閉塞するよう、即ち、当該一対の壁と、当該一対の壁部分の天井及び床とにより形成される正面から見て矩形状の面を完全に遮蔽するよう、当該一対の壁の間に後付け工事等により固定して設置される。実施の形態1では、図1に示すように、部屋の室内空間は、前壁W1、後壁W2、左壁W3、及び右壁W4(並びに、図8及びず9に示す天井(天井壁)CL及び床(床壁)FL)により区画形成されており、セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、平面矩形状の室内空間の四方の壁(即ち、前壁W1、後壁W2、左壁W3、及び右壁W4)のうち、互いに対向する一対の壁としての左壁W3及び右壁W4の間の空間の全体(全幅及び全高)にわたって、当該左壁W3及び右壁W4の間を完全に閉塞するよう、即ち、当該左壁W3及び右壁W4と、(当該左壁W3及び右壁W4部分の)天井CL及び床FLとにより形成される正面から見て矩形状の面を完全に遮蔽するよう、当該左壁W3及び右壁W4の間に後付け工事等により固定して設置される。なお、前記前壁には前記部屋の室内空間に入退室するための開閉自在なドアWDが設けられている。
【0027】
[壁状構造体の設置態様(別例)]
ここで、建築物の部屋の室内空間を形成するには、特殊な場合も含め、少なくとも3以上の壁を隣接して配置及び接続する必要がある。よって、建築物の部屋の室内空間が、例えば、3つの壁からなる平面三角形状の空間となったり、5つの壁からなる平面五画形状の空間となったり、6つの壁からなる平面六角形状の空間となったり、8つの壁からなる平面八角形状の空間となったりすることも想定されるが、本発明に係るセキュリティドアを備える壁状構造体は、これらの(平面矩形状以外の形状の)室内空間にも対応できるよう構成される。即ち、本発明に係るセキュリティドアを備える壁状構造体は、平面矩形状以外の平面形状の室内空間の(3つ以上の所定複数の)壁のうち、互いに対向する一対の壁(例えば、平面六角形状の室内空間の場合、互いに対向する互いに平行となる一対の壁)又は互いに隣接する一対の壁(例えば、平面三角形状や平面六角形状の室内空間の場合、互いに隣接する一対の壁)の間の空間の全体(全幅及び全高)にわたって、当該一対の壁の間を完全に閉塞するよう、即ち、当該一対の壁と、当該一対の壁部分の天井CL及び床FLとにより形成される正面から見て矩形状の面を完全に遮蔽するよう、当該一対の壁の間に後付け工事等により固定して設置される。
【0028】
[壁状構造体の構成要素(平面視)]
図1に示すように、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、第1のユニット構造体としてのセキュリティドア構造体SS(本発明の説明において、「セキュリティドアユニット」と称することもある。)と、第2のユニット構造体としてのディスプレイ構造体DS(本発明の説明において、「ディスプレイユニット」と称することもある。)と、第3のユニット構造体としてのワードローブ構造体RS(本発明の説明において、「ワードローブユニット」と称することもある。)と、第4のユニット構造体としてのキャビネット構造体CS(本発明の説明において、「キャビネットユニット」と称することもある。)とを備えている。セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、図1に示すように、セキュリティドア構造体SSと、ディスプレイ構造体DSと、ワードローブ構造体RSと、キャビネット構造体CSとを、左から順に一列に(一直線上に)隙間なく並ぶよう、一体的に組立てて(又は組付けて)、全体として一体の壁状構造体を構成するようにしている。
【0029】
<壁状構造体のフレーム構造>
ここで、セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、前記一体の壁状構造体となるよう、その外形輪郭部分に対応して、断面矩形状の直線棒状の金属製フレーム(例えば、アルミフレーム)を組立てることにより、当該壁状構造体の外枠を形成し、その外枠の内部空間において、前記セキュリティドア構造体SSに対応する部位、前記ディスプレイ構造体DSに対応する部位、前記ワードローブ構造体RSに対応する部位、及び前記キャビネット構造体CSに対応する部位に、それぞれ、セキュリティドア構造体SSと、ディスプレイ構造体DSと、ワードローブ構造体RSと、キャビネット構造体CSとを、左から順に一列に(一直線上に)隙間なく並ぶよう組付けて構成することもできる。例えば、図33図36に示すように、セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、前記一体の壁状構造体となるよう、その外形輪郭部分に対応して、断面矩形状の直線棒状の金属製フレーム(例えば、アルミフレーム)MFを組立てることにより、当該壁状構造体の外枠を形成することができる。
【0030】
[壁状構造体の構成要素(正面視)]
図14に示すように、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、前記セキュリティドア構造体SSの上側と、前記ディスプレイ構造体DSの上側及び下側と、前記ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの上側とに、それぞれ、(前方に開閉自在な扉付きの収納ボックスからなる)第1の収納ボックスB1、第2の収納ボックスB2、第3の収納ボックスB3、及び第4の収納ボックスB4を配設備している。
【0031】
即ち、第1の収納ボックスB1は、前記セキュリティドア構造体SSの上側に密接配置され、セキュリティドア構造体SSの幅寸法(左右寸法)と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、セキュリティドア構造体SSの奥行き寸法と同一の奥行き寸法を有する立方体箱状に形成されている。
【0032】
また、第2の収納ボックスB2は、前記ディスプレイ構造体DSの上側に密接配置され、ディスプレイ構造体DSの幅寸法(左右寸法)と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、ディスプレイ構造体DSの奥行き寸法と同一の奥行き寸法を有する立方体箱状に形成されている。図14の例では、第2の収納ボックスB2は、上下2段で、左右6段の、合計12個の第2の収納ボックスB2として構成され、第2の収納ボックスB2の全体で、前記ディスプレイ構造体DSの上側に密接配置され、ディスプレイ構造体DSの幅寸法(左右寸法)と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、ディスプレイ構造体DSの奥行き寸法と同一の奥行き寸法を有する立方体箱状となるよう(即ち、当該立方体箱状の空間を、上下2段で、左右6段の、合計12個の小空間に分割するよう)に形成されている。前記(合計12個の小ボックスからなる)第2の収納ボックスB2の前記所定の高さ寸法は、前記ディスプレイ構造体DSの上端位置から、前記セキュリティドア構造体SSの上側の第1の収納ボックスB1の上端位置までの距離と同一の寸法に設定され、第2の収納ボックスB2の上端が、セキュリティドア構造体SSの上側の第1の収納ボックスB1の上端と面一となるようにしている。
【0033】
また、第3の収納ボックスB3は、前記ディスプレイ構造体DSの下側に密接配置され、ディスプレイ構造体DSの幅寸法(左右寸法)と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、ディスプレイ構造体DSの奥行き寸法と同一の奥行き寸法を有する立方体箱状に形成されている。図14の例では、第3の収納ボックスB3は、上下1段で、左右6段の、合計6個の第3の収納ボックスB3として構成され、第3の収納ボックスB3の全体で、前記ディスプレイ構造体DSの下側に密接配置され、ディスプレイ構造体DSの幅寸法(左右寸法)と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、ディスプレイ構造体DSの奥行き寸法と同一の奥行き寸法を有する立方体箱状となるよう(即ち、当該立方体箱状の空間を、上下1段で、左右6段の、合計6個の小空間に分割するよう)に形成されている。前記(合計6個の小ボックスからなる)第3の収納ボックスB3の前記所定の高さ寸法は、前記ディスプレイ構造体DSの下端位置から、前記セキュリティドア構造体SSの下端位置までの距離と同一の寸法に設定され、第3の収納ボックスB3の下端が、セキュリティドア構造体SSの下端と面一となるようにしている。
【0034】
また、第4の収納ボックスB4は、前記ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの上側に密接配置され、ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの幅寸法(左右寸法)の合計寸法と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、ディスプレイ構造体DSと同一の奥行き寸法を有する立方体箱状に形成されている。図14の例では、第4の収納ボックスB4は、上下2段で、左右1段の、合計2個の第4の収納ボックスB4として構成され、第4の収納ボックスB4の全体で、前記ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの上側に密接配置され、ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの幅寸法(左右寸法)の合計寸法と同一の幅寸法(左右寸法)及び所定の高さ寸法を有すると共に、ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの奥行き寸法と同一の奥行き寸法を有する立方体箱状となるよう(即ち、当該立方体箱状の空間を、上下2段で、左右1段の、合計2個の小空間に分割するよう)に形成されている。前記(合計2個の小ボックスからなる)第4の収納ボックスB4の前記所定の高さ寸法は、前記ワードローブ構造体RS及びキャビネット構造体CSの上端位置から、前記セキュリティドア構造体SSの上側の第1の収納ボックスB1の上端位置までの距離と同一の寸法に設定され、第4の収納ボックスB4の上端が、セキュリティドア構造体SSの上側の第1の収納ボックスB1の上端と面一となるようにしている。
【0035】
[壁状構造体の外形輪郭]
このように、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、その全体の外形輪郭のうち、上端輪郭を構成する第1の収納ボックスB1の上端と第2の収納ボックスB2の上端と第4の収納ボックスB4の上端とが、全て面一となるように構成されている。また、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、その全体の外形輪郭のうち、下端輪郭を構成するセキュリティドア構造体SSの下端と第3の収納ボックスB3の下端とワードローブ構造体RSの下端とキャビネット構造体CSの下端とが、全て面一となるように構成されている。また、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、その全体の外形輪郭のうち、左端輪郭を構成する第1の収納ボックスB1の左端とセキュリティドア構造体SSの左端とが、全て面一となるように構成されている。また、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、その全体の外形輪郭のうち、右端輪郭を構成する第4の収納ボックスB4の右端とキャビネット構造体CSの右端とが、全て面一となるように構成されている。即ち、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、その全体の外形輪郭を構成する各構成要素の外端が、全て面一となるように構成され、その全体の外形輪郭が、完全な矩形状に形成されている。これにより、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、その全体の外形輪郭が、前記左壁W3及び右壁W4と、(当該左壁W3及び右壁W4部分の)天井CL及び床FLとにより形成される正面から見て矩形状の面を完全に遮蔽する(当該面の外形輪郭と同一の)矩形状(横長長方形状)となるよう形成されている。
【0036】
[壁状構造体による室内空間の区画]
図1に示すように、実施の形態1では、セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、平面矩形状の室内空間において、左壁W3及び右壁W4の間の空間の全体(全幅及び全高)にわたって、当該左壁W3及び右壁W4の間を完全に閉塞するよう、即ち、当該左壁W3及び右壁W4と、(当該左壁W3及び右壁W4部分の)天井CL及び床FLとにより形成される正面から見て矩形状の面を完全に遮蔽するよう、当該左壁W3及び右壁W4の間に後付け工事等により固定して設置される。したがって、前記室内空間は、セキュリティドアを備える壁状構造体WSにより、室内空間の前側(即ち、前壁W1に近い側)に位置する第1の空間S1と、室内空間の後側(即ち、後壁W2に近い側)に位置する第2の空間S2とに区画される。そして、実施の形態1では、前記第2の空間S2が、セキュリティドアを備える壁状構造体WSにより、第1の空間S1から完全に隠蔽(又は遮蔽)され、本実施の形態のセキュリティルームを構成する。即ち、ある建築物において、ある特定の部屋に、実施の形態1に係るセキュリティドアを備える壁状構造体WSを設ける場合、当該建築物の管理者(例えば、当該建築物の住人のうち最上位の地位にある者、例えば、いわゆる家長に相当する人物)のみが、その事実を知っているようにしておき、その他の者にはその事実を知らせないように秘匿する。こうすると、その特定の部屋において、壁状構造体WSが通常の壁(通常の部屋の後壁に相当する壁)ではなく、その奥にセキュリティルームを形成するための壁であることは、当該管理者のみが知っていることになる。よって、(セキュリティドアを備える壁状構造体WSを設ける)特定の部屋に入室する管理者以外の者は、その特定の部屋の室内空間の前側(即ち、前壁W1に近い側)に位置する第1の空間S1のみが室内空間の全体であると認識し(即ち、第1の空間S1を全室内空間と誤認し)、当該第1の空間S1の後側に、壁状構造体WSを挟んで、セキュリティルームとなる第2の空間S2が存在することは、全く認識することができない。
【0037】
特に、セキュリティドアを備える壁状構造体WSは、上記のように、左壁W3及び右壁W4と、(当該左壁W3及び右壁W4部分の)天井CL及び床FLとにより形成される正面から見て矩形状の面を完全に遮蔽するよう、当該左壁W3及び右壁W4の間に固定して設置されている。よって、このようなセキュリティドアを備える壁状構造体WSは、管理者以外の者から見ると、前記特定の部屋の後壁(詳細には、セキュリティドア構造体SS、ディスプレイ構造体DS、ワードローブ構造体RS、キャビネット構造体CS、第1の収納ボックスB1、第2の収納ボックスB2、第3の収納ボックスB3、及び第4の収納ボックスB4が一体に組付けられた後壁)として認識することができない。よって、その特定の部屋に入室する管理者以外の者は、その特定の部屋の室内空間の前側に位置する第1の空間S1のみが室内空間の全体であると認識し、当該第1の空間S1の後側に、壁状構造体WSを挟んで、セキュリティルームとなる第2の空間S2が存在することは、全く認識することができない。
【0038】
[壁状構造体のフレーム構造]
まず、壁状構造体WSのフレーム構造について説明する。図32図35に示すように、壁状構造体WSは、壁状構造体WSの全体の枠組構造を形成するための枠組構造用の全構造体用枠(全構造体用フレーム)100を有している。全体構造用枠100は、例えば、アルミフレーム等の金属材料性フレームからなる。また、全体構造用枠100は、外枠部101を有する。更に、全体構造用枠100は、ディスプレイ構造体DSの内部空間において、ディスプレイ112を支持するための支持フレーム102を有する。支持フレーム102は、例えば、ディスプレイ112の後面をボルト止め等により締結固定して支持するものであり、全構造体用枠100のディスプレイ112に対応する部分に、垂直方向に延びるよう固定される。図21図31の例では、3本の支持フレーム102が設けられているが、2本又は4本以上の支持フレーム102を設けることもできる。
【0039】
[セキュリティドア構造体以外の構造体]
次に、セキュリティドア構造体SS以外の構造体(即ち、ディスプレイ構造体DS、ワードローブ構造体RS、及びキャビネット構造体CS)について、図1図14図20図31、及び、図32図35を参照して説明する。
【0040】
セキュリティドア構造体SS以外の構造体である、ディスプレイ構造体DS、ワードローブ構造体RS、及びキャビネット構造体CSは、それぞれ、枠板状の外枠や骨組みフレーム状の外枠を有し、その内部に所定の収納物や収容物を収納又は収容するための内部空間を有している。また、ディスプレイ構造体DS、ワードローブ構造体RS、及びキャビネット構造体CSは、それぞれ、内部空間の前側に、所定の開口部を有しており、その開口部に、開き戸からなる扉を外開きとなるよう開閉自在に取り付けている。
【0041】
[ディスプレイ構造体]
ディスプレイ構造体DSは、図32及び図33に示すように、内部空間の前側(第1の空間S1側)に設けられる開口部115に、外開きの開き戸からなる扉110を装着している。扉110は、上端が丁番で開閉自在となるように装着され、下端を上方に持ち上げることで上方に回動して開口部115を開放し、下端を下方に押し下げることで下方に回動して開口部115を閉じるようになっている。なお、扉110には、開閉動作を補助するダンパを設けることもできる。このディスプレイ構造体DSの扉110は、後述するセキュリティ構造体SSの前扉20のフレームと同様のフレーム(即ち、後述する前扉20のフレーム21と同様のフレーム)と、セキュリティ構造体SSの前扉20の機能性鏡板22と同様の機能性鏡板111とから構成される。また、ディスプレイ構造体DSの内部空間の所定位置(例えば、中央領域)には、ディスプレイ112が、支持フレーム102等を介して固定されている。この固定状態で、ディスプレイ112のスクリーン面(画面の表面)は、閉じた状態の前記扉110の機能性鏡板の裏面に密接配置される。なお、ディスプレイ112は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機エレックトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)等から構成することができる。
【0042】
また、ディスプレイ構造体DSには、前記支持フレーム102の上端を連結固定する上側フレーム(上枠)113が設けられている。なお、上側フレーム113は、骨組み状のフレームとすることもできるが、平板状の支持板とすることもでき、或いは、前記第2の収納ボックスB2の下側の小ボックスの下板により構成することもできる。また、ディスプレイ構造体DSには、前記支持フレーム102の下端を連結固定する下側フレーム(下枠)114が設けられている。なお、下側フレーム114は、骨組み状のフレームとすることもできるが、平板状の支持板とすることもでき、或いは、前記第3の収納ボックスB3の小ボックスの上板により構成することもできる。
【0043】
ディスプレイ構造体DSの内部空間において、ディスプレイ112の配置領域の左右両側には、それぞれ、第1の収納部120及び第2の収納部130が設けられる。
【0044】
第1の収納部120は、ディスプレイ構造体DSの左端側、即ち、セキュリティドア構造体SSの近傍位置に配置される。また、第1の収納部120は、枠体(フレーム)121と、棚板122とを有する。なお、第1の収納部120の枠体121の上端部は、第2の収納ボックスB2の下側の小ボックスの下板により構成することもできる。また、第1の収納部120の棚板122は、図21図23及び図30及び図31に示すように、一段とすることもできるが、図24図29に示すように、二段とすることもでき、或いは、三段以上とすることもできる。第1の収納部120の棚板122及び底板は、後述するセキュリティドア構造体SSの制御ボックス80の支持板として使用することができる。
【0045】
一方、第2の収納部130は、ディスプレイ構造体DSの右端側、即ち、セキュリティドア構造体SSから離間した位置(及び、ワードローブ構造体RSに近接した位置)に配置される。また、第2の収納部130は、枠体(フレーム)131を有する。なお、第2の収納部130の枠体131の上端部は、第2の収納ボックスB2の下側の小ボックスの下板により構成することもできる。図28及び図29に示すように、第2の収納部130の枠体131に、第1の収納部120の棚板122と同様の棚板を設けてもよい。この場合、棚板は、一段とすることもできるが、二段とすることもでき、或いは、三段以上とすることもできる。また、第2の収納部130の底板及び棚板は、後述するセキュリティドア構造体SSの制御ボックス80の支持板として使用することができる。
【0046】
[ワードローブ構造体]
ワードローブ構造体RSは、内部空間の前側(第1の空間S1側)に設けられる開口部に、外開きの開き戸からなる扉140を装着している。扉140は、左端が丁番で開閉自在となるように装着され、右端(例えば、右端縁部に取り付けた取っ手)を前方に引っ張ることで前方に回動して開口部を開放し、右端を後方に押すことで後方に回動して開口部を閉じるようになっている。このワードローブ構造体RSの扉140は、後述するセキュリティ構造体SSの前扉20のフレームと同様のフレーム(即ち、後述する前扉20のフレーム21と同様のフレーム)と、セキュリティ構造体SSの前扉20の機能性鏡板22と同様の機能性鏡板141とから構成される。
【0047】
[キャビネット構造体]
キャビネット構造体CSは、内部空間の前側(第1の空間S1側)に設けられる開口部に、外開きの開き戸からなる扉150を装着している。扉150は、右端が丁番で開閉自在となるように装着され、左端(例えば、左端縁部に取り付けた取っ手)を前方に引っ張ることで前方に回動して開口部を開放し、左端を後方に押すことで後方に回動して開口部を閉じるようになっている。このキャビネット構造体CSの扉150は、後述するセキュリティ構造体SSの前扉20のフレームと同様のフレーム(即ち、後述する前扉20のフレーム21と同様のフレーム)と、セキュリティ構造体SSの前扉20の機能性鏡板22と同様の機能性鏡板151とから構成される。
【0048】
[セキュリティドア構造体]
次に、セキュリティドア構造体SSについて、図2図8及び図9図13を参照して、詳細に説明する。
【0049】
<セキュリティドア構造体の全体構成>
図2に示すように、セキュリティドア構造体SSは、外枠10、第1のセキュリティドアとしての前扉20、及び、第2のセキュリティドアとしての後扉30を備える。
【0050】
<外枠>
外枠10は、上板(「上枠」と称することもある。)11、下板(「底板」又は「沓摺」と称することもある)12、左板(「左縦枠」と称することもある。)13、及び、右板(「右縦枠」と称することもある)14からなる。外枠10は]、上板11及び下板12及び左板13及び右板14を互いに長さ方向端縁部で固定的に接合することで、正面から見て所定の矩形枠状(例えば、上下に長い長方形枠状)となるよう形成されている。上板11、下板12、左板13、及び右板14は、木質材等の所定の材料により、それぞれ、所定の長さ寸法で所定の幅寸法を有する所定肉厚の長方形平板状となるよう形成されている。
【0051】
ここで、前記外枠10を前記所定の矩形枠状の構成とするためには、上板11、下板12、左板13、及び右板14の接合態様は、外枠10を前記所定の矩形枠状となる限りにおいて、種々の接合態様とすることができる。例えば、その一例として、図2図7の平面視、及び、図10図13の側面視に示されるように、上板11と左板13及び右板14とは、同一の幅寸法(前後寸法乃至奥行き寸法)を有している。一方、下板12は、上板11と左板13及び右板14の幅寸法(前後寸法乃至奥行き寸法)より所定寸法だけ小さい幅寸法(前後寸法乃至奥行き寸法)を有している。そして、外枠10は、左板13及び右板14を、(それぞれの外側面間の距離が)前記上板11の長さ寸法と同一距離となるように互いに離間し、上下方向に垂直に延びるよう互いに平行に配置して、上板11の長さ方向両端部を左板13及び右板14の上端面に載置し、上板11の長さ方向両端縁部の下面を左板13及び右板の上端面にそれぞれ固着すると共に、下板12の長さ方向両端面(右端面及び左端面)を左板13及び右板14の下端縁部の内側面にそれぞれ固着することにより、前記所定の矩形枠状となるように形成することができる。即ち、この場合、下板12は、前記上板11の下面に固着された左板13及び右板14の下端部の内側面間の距離と同一の長さ寸法を有している。また、この場合、下板12は、前記上板11並びに左板13及び右板14の奥行き寸法より所定寸法だけ小さな奥行き寸法を有するため、外枠10においては、下板12の後方に、前記所定寸法と同一寸法の間隙部(下板12が存在しない部分)が形成される。
【0052】
或いは、外枠10を前記所定の矩形枠状の構成とするためには、以下のような構成とすることもできる。例えば、この場合、上板11と左板13及び右板14とは、同一の幅寸法(前後寸法乃至奥行き寸法)を有している。一方、下板12は、上板11と左板13及び右板14の幅寸法(前後寸法乃至奥行き寸法)より所定寸法だけ小さい幅寸法(前後寸法乃至奥行き寸法)を有している。そして、外枠10は、左板13及び右板14を、(それぞれの内側面間の距離が)前記上板11の長さ寸法と同一距離となるように互いに離間し、上下方向に垂直に延びるよう互いに平行に配置して、その状態の左板13及び右板14の上端縁部の内側面に、上板11の長さ方向両端面(右端面及び左端面)をそれぞれ固着すると共に、下板12の長さ方向両端面(右端面及び左端面)を左板13及び右板14の下端縁部の内側面にそれぞれ固着することにより、前記所定の矩形枠状となるように形成することができる。
【0053】
<前扉>
図2図7に示すように、第1の隠し扉(又は第1のセキュリティドア)としての前扉20は、外枠10の前端(正確には、左側板13の前端縁部)に、スライド丁番25を介して、外枠10に対して外開きとなるよう(正確には、上板11、下板12、左側板13、及び右側板14のそれぞれの前端面から構成される外枠10の前端面に密接した閉状態と、当該前端面から当該前端面に対する傾斜角度を増加しつつ前方へと離間する開状態との間で)開閉自在となるように取り付けられている。
【0054】
詳細には、前扉20は、図3図11図13、及び、図15図17に示すように、フレーム21と、機能性鏡板22とからなる。フレーム21は、図15図17に示すように、前記外枠10の前面(前端の露出面)の形状と同一の所定の矩形枠状となるように、アルミニウム等の金属材料等からなるフレーム材により、一体形成されている。即ち、フレーム21の枠形状は、上板11の前端面、下板12の前端面、左板13の前端面、及び、右板14の前端面により構成される、外枠10の前記矩形枠状と同一形状となるよう形成されている。よって、フレーム21の外形寸法(外周輪郭となる外周縁の矩形状の寸法)は、外枠10の外形寸法(外周輪郭となる外周縁の矩形状の寸法)と同一となる。即ち、フレーム21の高さ寸法(長さ寸法)は、外枠10の高さ寸法(長さ寸法)と同一であり、フレーム21の左右寸法(幅寸法)は、外枠10の左右寸法(幅寸法)と同一である。これにより、前扉20を外枠10の前端に取り付けた状態で、前扉20を外枠10に対して完全に閉じた状態とすると、図2図7及び図10図13及び図15図17に示すように、フレーム21の後面が外枠10の前面に完全に整合した状態で密接するようになっている。即ち、このとき、フレーム21の外周縁(外側縁)と外枠10の外周縁(外側縁)が完全に一致し、フレーム21の内周縁(内側縁)と外枠10の内周縁(内側縁)が完全に一致する。なお、セキュリティドア構造体SSは、前記壁状構造体WSにおいてセキュリティドア構造体SSを配置する部位に設けられる正面視で所定の矩形状(上下に延びる長方形状)をなす開口部に密に嵌合して固定される外形寸法及び外形形状を有しているため、前扉20もこの開口部に密に嵌合して固定される外形寸法及び外形形状を有している。また、外枠10も、同様に、この開口部に密に嵌合して固定される外形寸法及び外形形状を有している。
【0055】
<機能性鏡板の構造>
前扉20において、フレーム21の前面には、前記機能性鏡板22が、接着等により一体的に固着されている。機能性鏡板22は、フレーム21の外形形状(外周輪郭形状)と同一の所定の矩形平板状となるよう形成されている。即ち、機能性鏡板22の寸法は、フレーム21の外形寸法と同一となる。即ち、機能性鏡板22の高さ寸法(長さ寸法)は、フレーム21の高さ寸法(長さ寸法)と同一であり、機能性鏡板22の左右寸法(幅寸法)は、フレーム21の左右寸法(幅寸法)と同一である。即ち、このとき、機能性鏡板の外周縁(外側縁)とフレーム21の外周縁(外側縁)とが完全に一致する。これにより、前扉20は、機能性鏡板22が、フレーム21を外部となる前方から完全に遮蔽するようになっている。
【0056】
<機能性鏡板の機能1>
機能性鏡板22は、少なくとも、通常のマジックミラー、ミラーガラス、又は、ハーフミラーと同様の機能を有し、その厚さ方向の両側(前面乃至表面側と後面乃至裏面側)において、機能性鏡板22への入射光量が相違する場合、その厚さ方向の一側である明るい側(機能性鏡板22への入射光量の多い側)から機能性鏡板22を視認すると、機能性鏡板22が通常の鏡(ミラー)として視認される(即ち、当該厚さ方向一側からは、機能性鏡板22が、明るい側の景色や人物等を反射する鏡となる)一方で、その厚さ方向の他側である暗い側(機能性鏡板22への入射光量の少ない側)から機能性鏡板22を視認すると、機能性鏡板22が透明ガラス(若しくは少なくとも半透明ガラス)として視認される(即ち、当該厚さ方向他側からは、機能性鏡板22が、明るい側の景色や人物等を透過する透明ガラス乃至半透明ガラスとなる)ものである。例えば、機能性鏡板22は、フレーム21に固着されて前扉20を構成した場合において、その厚さ方向一側(例えば、前扉20の表面側)の入射光量が多い場合(例えば、前記壁状構造体WSを前記特定の部屋の室内空間に配置して、室内空間を第1の空間S1と第2の空間S2とに区画した場合において、第1の空間S1の照明器具をオンにして、第1の空間S1から機能性鏡板22への入射光量を前記照明器による大きな入射光量とする一方で、セキュリティドア構造体SSにおいて前扉10の後方にある外枠10内の空間内の光量が、前記照明器具による入射光量より少ない光量、或いは、ゼロである場合)、機能性鏡板22の厚さ方向の一側である明るい側(即ち、機能性鏡板22への入射光量の多い側である前扉10の外側となる第1の空間S1側)から機能性鏡板22を視認すると、機能性鏡板22が通常の鏡(ミラー)として視認される(即ち、当該厚さ方向一側からは、機能性鏡板22が、第1の空間S1内の景色や人物等を反射する鏡となる)一方で、その厚さ方向の他側である暗い側(機能性鏡板22への入射光量の少ない側である前扉10の内側となる外枠10の内部空間側)から機能性鏡板22を視認すると、機能性鏡板22が透明ガラス(若しくは少なくとも半透明ガラス)として視認される(即ち、当該厚さ方向他側からは、機能性鏡板22が、第1の空案S1側の景色や人物等を透過する透明ガラス乃至半透明ガラスとなる)。これにより、例えば、前記壁状構造体WSを前記特定の部屋の室内空間に配置して、室内空間を第1の空間S1と第2の空間S2とに区画した場合において、第1の空間S1の照明器具をオンにする一方で、セキュリティドア構造体SSにおいて前扉10の後方にある外枠10内の空間内の光量を、例えば、ゼロの光量とした場合、機能性鏡板22は、通常の鏡として機能し、その表面には、第1の空間S1内の景色や人物等を反射するが、前扉10の後方にある外枠10内の空間内の像(外枠内に露出する部材や部分等)を外部(第1の空間S1側)に透過することは全くない。
【0057】
<前扉の外観偽装(鏡としての機能による偽装)>
前扉20は、第1の空間S1からの入射光量があるときは(典型的には、第1の空間S1内に昼間の外光が入射したり、夜間において照明器具からの照明光が入射したりするときは)、上記のように、機能性鏡板22が、通常の鏡と全く同一の反射機能(像の反射による像の反転表示機能)を実現し、通常の鏡として視認されるため、第1の空間S1に入室した人は、前扉20を通常の鏡としてしか認識しない。特に、前扉20は、フレーム21の全体を機能性鏡板22により完全に遮蔽するため、前扉20の前面が、機能性鏡板22による鏡として、第1の空間S1に入室した人に認識される。即ち、前扉20は、機能性鏡板22により、第1の空間S1に入室した人に対して、前扉20が扉であるとの認識を妨げ、前扉20が通常の鏡であると誤認させる外観偽装機能を実現する。
【0058】
<機能性鏡板の機能2>
また、機能性鏡板22は、通常のハーフミラーの機能に加えて、例えば、タッチセンサ機能や、電磁波透過機能(即ち、非接触センサ等の電磁波を遮断乃至妨害することなく円滑に透過する機能)を備えることが好ましく、実施の形態1のセキュリティドア構造体SSの前扉20の機能性鏡板22は、それらの機能を追加的に備えている。例えば、図36に示すように、機能性鏡板22は、所定厚みの透明基板(例えば、所定厚みの透明ガラス基板乃至保護用ガラス板、又は、所定厚みの透明ガラス層)22aの裏面に、タッチセンサ層(例えば、静電容量型タッチセンサ層)22bと、半透明反射膜乃至半透過反射膜としての誘電体層22cとを、積層形成した機能層追加型の多層構造の機能性鏡板22として形成することができる。この場合、前記タッチセンサ層22bが、(タッチセンサ層22bに電気的に接続した制御回路等を介して)前記タッチセンサ機能を提供する。また、前記誘電体層22cは、即ち、非接触センサ等の電磁波を遮断乃至妨害することなく円滑に透過する機能である、電磁波透過機能を提供する。
【0059】
<機能性鏡板の誘電体層>
この場合、機能性鏡板22の誘電体層22cは、例えば、誘電体多層膜型の誘電体層22cとすることができる。この誘電体多層膜型の誘電体層22cは、高屈折率層(例えば、高屈折率ポリマ層)及び低屈折率層(例えば、低屈折率ポリマ層)を順次交互に重ね合わせた多層構造を有し、当該多層構造を可視光線が透過したときに、高屈折率ポリマ層と低屈折率ポリマ層との界面において、可視光線の一部を反射光線として反射すると共に、他部を透過光線として透過する。ここで、通常のマジックミラーやハーフミラーのように、板ガラス又はアクリル等の有機ガラスに、反射膜をごく薄く形成して半透明にする場合において、半透明反射膜乃至半透過反射膜として、錫や銀等からなる金属膜をめっき又は蒸着により形成した場合、その半透明反射膜乃至半透過反射膜は、金属からなるため、非接触センサ等の電磁波と干渉して、当該電磁波を遮断したり妨害したりする。しかし、前記機能性鏡板22は、その半透明反射膜乃至半透過反射膜となる誘電体層22cga、誘電体からなるため、非接触センサ等の電磁波と干渉することはなく、当該電磁波を遮断したり妨害したりすることはなく、当該電磁波を円滑に透過して、所期の非接触センサとしての機能の実現を良好に行えるようにする。なお、誘電体多層膜型の誘電体層22cとする場合において、前記高屈折率層の誘電体材料としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化ジルコン、窒化ケイ素等を使用することができ、低屈折率層の誘電体材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム等を使用することができる。また、誘電体多層膜型の誘電体層22cの厚み寸法、層数(高屈折率層と低屈折率層との積層数)、材質については、機能性鏡板22に要求される光学特性や物理特性等に応じて適宜設計することができる。
【0060】
<後扉>
図2図7に示すように、第2の隠し扉(又は第2のセキュリティドア)としての後扉30は、外枠10の後端側(正確には、左側板13の後端から前方へ所定寸法だけ離間した後側の所定位置)に、隠し丁番35を介して、外枠10に対して内開きとなるよう(正確には、下板12の後端面に密接した閉状態と、当該後端面から当該後端面に対する傾斜角度を増加しつつ後方へと離間する開状態との間で)開閉自在となるように取り付けられている。後扉30は、前扉20と協働して、本実施の形態のセキュリティドア構造SSにおける複合セキュリティドア構造を構成している。また、後扉30は、前扉20のセキュリティが破られた場合のファイルセーフ用セキュリティドアとして機能する。
【0061】
詳細には、後扉30は、図2図4図7図10図13、及び、図15図19に示すように、背板31と、複数枚(図示の例では4枚)の棚板32とからなる。背板31は、図19に示すように、前記外枠10の後面側において、上板11の下面と左板13及び右板14のそれぞれの内面とにより形成される開口形状と同一の所定の矩形平板状となるように、木質材等からなる板材により形成されている。即ち、背板31の外形形状(外周縁の全体形状)は、外枠10における上板11の下面と左板13の内側面と右板14の内側面とにより構成される矩形状と同一形状となるよう形成されている。よって、背板31の外形寸法(外周輪郭となる外周縁の矩形状の寸法)は、外枠10における上板11の下面と左板13の内側面と右板14の内側面とにより構成される矩形の寸法と同一となる。即ち、背板31の高さ寸法(長さ寸法)は、外枠10における上板11の下面と左板13の内側面と右板14の内側面とにより構成される矩形の高さ寸法(長さ寸法)と同一であり、背板31の左右寸法(幅寸法)は、外枠10における上板11の下面と左板13の内側面と右板14の内側面とにより構成される矩形の左右寸法(幅寸法)と同一である。これにより、後扉30を外枠10の後端側に取り付けた状態で、後扉30を外枠10に対して完全に閉じた状態とすると、図2図7及び図10図13及び図15図19に示すように、背板31の外周面(上側面及び左右の側面)が、外枠10の対応する後側の位置における上板11の下面と左板13の内側面と右板14の内側面とに略密接(即ち、若干の隙間を置いて密接)した状態となるようになっている。このとき、背板31の下端は、外枠10の下端(即ち、左板13及び右板14の下端、及び、下板12の下面)と完全に一致する。また、このとき、背板31の前面の下端縁部(下板12の後端面に対応する部位)は、下板12の後端面に密接して、それ以上の前方への回動を阻止され、これにより、下板12(正確には、下板12の後端面)が、後扉30の過度な閉動作を防止する機能を発揮する。
【0062】
<前扉による後扉の隠蔽乃至遮蔽機能>
上記のように、前扉20は、第1の空間S1からの入射光量があるときは(典型的には、第1の空間S1内に昼間の外光が入射したり、夜間において照明器具からの照明光が入射したりするときは)、機能性鏡板22が、通常の鏡と全く同一の反射機能(像の反射による像の反転表示機能)を実現し、通常の鏡として視認されるため、第1の空間S1に入室した人は、前扉20を通常の鏡としてしか認識しない。特に、前扉20は、フレーム21の全体を機能性鏡板22により完全に遮蔽するため、前扉20の前面が、機能性鏡板22による鏡として、第1の空間S1に入室した人に認識される。即ち、前扉20は、機能性鏡板22により、第1の空間S1に入室した人に対して、通常の扉としての認識を妨げ、通常の鏡であると誤認させる外観偽装機能を実現する。同時に、前扉20は、このように機能性鏡板22が通常の鏡として機能することにより、前扉20の後側に配置されるセキュリティドア構造体SSの部材や部分を完全に遮蔽乃至隠蔽するため、第1の空間S1に入室した人が、外枠10の内部にある後扉30の背板31や棚32を視認することを完全に阻止する。即ち、前扉20は、機能性鏡板22により、第1の空間S1に入室した人に対して、後扉30の視認を完全に阻止し、後扉30の存在を完全に隠蔽又は遮蔽する隠蔽乃至遮蔽機能を実現する。
【0063】
<内部照明(内照式飾り棚としての機能の提供>
図3図7図11図13図18、及び図19に示すように、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31よりも前方の空間における、左板13の内側面及び右板14の内側面の所定位置には、それぞれ、内照用(内照式)の照明具乃至照明装置の一例として、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42が、対をなすよう固定的に配設されている。詳細には、LEDライン照明具41は、左板13の内側面において、左板13の前端に近接する位置であって左板13の前端から所定距離だけ後方に離間した位置に、左板13に埋設して(好ましくは、要求に応じて取り外して交換可能となるよう)固定的に(即ち、使用状態では位置ずれしないように)取り付けられている。また、LEDライン照明具42は、右板14の内側面において、右板14の前端に近接する位置であって右板14の前端から所定距離だけ後方に離間した位置に、右板14に埋設して(好ましくは、要求に応じて取り外して交換可能となるよう)固定的に(即ち、使用状態では位置ずれしないように)取り付けられている。LEDライン照明具41の左板13の前端からの離間距離と、LEDライン照明具42の右板14の前端からの離間距離とは、同一距離となるように設定されている。
【0064】
LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からなる照明具は、(所定の電気的乃至電子的制御装置を介して)光量を増減調製する調光機能(光量調節機能)を備えることができる。また、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からなる照明具は、照明色を変更する調色機能を備えることもできる。
【0065】
図14に示すように、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を、外部の制御装置(例えば、遠隔操作用の照明用コントローラ)により、オン動作すると(即ち、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を点灯して照明状態とすると)、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31よりも前方の空間が、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からの照明光により照明される。これにより、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31から前方に突出する棚32が、その照明光の光量及び照明範囲に応じた態様で照明される。また、この照明状態では、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からの照明光による所定の光量の光が、前扉20の機能性鏡板22の後側から前方に放射されて、機能性鏡板20に当該所定の光量の光として入射し、機能性鏡板20を当該所定の光量の光として透過する。
【0066】
<内部照明のオフ状態での機能>
ここで、上記のように、前記壁状構造体WSを前記特定の部屋の室内空間に配置して、室内空間を第1の空間S1と第2の空間S2とに区画した場合において、第1の空間S1の照明器具をオンにする一方で、セキュリティドア構造体SSにおいて前扉10の後方にある外枠10内の空間内の光量をゼロの光量とした場合、即ち、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を、外部の制御装置によりオフ動作した場合(即ち、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を消灯して非照明状態とした場合)、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31よりも前方の空間は、非照明空間(即ち、その空間の光量がゼロとなる真暗空間)となる。この場合、前記LED機能性鏡板22は、通常の鏡として機能し、その表面には、第1の空間S1内の景色や人物等を反射するが、前扉10の後方にある外枠10内の空間内の像(外枠内に露出する部材や部分等)を外部(第1の空間S1側)に透過することは全くない。したがって、前扉20は、第1の空間S1からの入射光量があるときでも(典型的には、第1の空間S1内に昼間の外光が入射したり、夜間において照明器具からの照明光が入射したりするときは)、上記のように、機能性鏡板22が、通常の鏡と全く同一の反射機能(像の反射による像の反転表示機能)を実現し、通常の鏡として視認されるため、第1の空間S1に入室した人は、前扉20を通常の鏡としてしか認識しない。
【0067】
<内部照明のオン状態での内照式飾り棚機能>
一方、前記壁状構造体WSを前記特定の部屋の室内空間に配置して、室内空間を第1の空間S1と第2の空間S2とに区画した場合において、第1の空間S1の照明器具をオンにする一方で、セキュリティドア構造体SSにおいて前扉10の後方にある外枠10内の空間内の光量を所定の光量(例えば、第1の空間S1からの光量と同等又は第1の空間S1からの光量を超える光量)とした場合、即ち、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を、外部の制御装置によりオン動作した場合(即ち、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を点灯して照明状態とした場合)、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31よりも前方の空間は、照明空間(即ち、その空間の光量がLEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からの光量に応じた明空間)となる。この場合、前記機能性鏡板22は、通常の鏡としては機能せず(即ち、その表面に、第1の空間S1内の景色や人物等を反射するのではなく)、前扉10の後方にある外枠10内の空間内の像(外枠内に露出する部材や部分等)としての棚32等を、外部(第1の空間S1側)に透過する。したがって、この場合、前扉20は、第1の空間S1からの入射光量があるときでも(典型的には、第1の空間S1内に昼間の外光が入射したり、夜間において照明器具からの照明光が入射したりするときでも)、機能性鏡板22が、通常の鏡と全く同一の反射機能(像の反射による像の反転表示機能)を実現することはなく、通常の鏡としては視認されず、機能性鏡板22の後方にある棚31等を、第1の空間S1に入室した人に視認させる。即ち、このとき、前扉20は、通常の光透過ガラス(透明ガラス又は有色透明ガラス又は半透明ガラス)として機能する。即ち、このとき、セキュリティドア構造体SSは、外枠10の内部において背板31の前方の空間により、棚31を内照式飾り棚として外部の人に視認させる、内照式飾り棚機能を提供する。
【0068】
<内部照明のオン状態での前扉のフレームの非視認性維持>
しかし、このときでも、上記のように、前扉20のフレーム21は、機能性鏡板22により前面の全体を遮蔽されており、また、前扉20のフレーム21は、前記LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からの照明光を全く透過しないため(即ち、非光透過性の材料からなるため)、前扉20のフレーム21が、外部の人に視認されることはない。
【0069】
<後扉の外観偽装1(内照式飾り棚としての機能による外観偽装)>
後扉30の背板31の前面には、複数枚(図示の例では4枚)の棚板32が、所定感覚又は一定間隔を上下において、互いに平行となるような配置態様で、背板31から前方に水平に延びるよう(螺子止め、ビス止め、接着等により)固定されている。棚板32の枚数及び配置位置乃至配置間隔(棚板32の相互の離間距離)は、適宜設定することができる。例えば、図示の例では、合計4枚の棚板32が、背板31の上端と下端との間に、等間隔(正確には、背板31の上端と下端との間の距離を約5等分した一定間隔)で配置されているが、棚板31の枚数を3枚又は5枚以上とすることもでき、また、いずれかの棚板31の相互の離間距離を(一定間隔ではなく)異なる間隔に設定することもできる。
【0070】
上記の通り、後扉30の背板31の前面には、棚板32が、背板31から前方に水平に延びるよう固定されているため、後扉30は、外枠10と協働して、外枠10の内部における棚状の家具又は外枠10と一体の棚状の家具(典型的には、家具としての飾り棚)の外観を呈することになる。また、上記のように、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を、外部の制御装置によりオン動作した場合、セキュリティドア構造体SSは、外枠10の内部において背板31の前方の空間により、棚31を内照式飾り棚として外部の人に視認させる、内照式飾り棚機能を提供する。したがって、このように、後扉30の機能性鏡板22が、通常の光透過型ガラスと同様の光透過機能を実現したときでも、第1の空間S1に入室した人は、前扉20の機能性鏡板22を通して視認する棚板31等を、内照式飾り棚として認識する。即ち、後扉30は、内照式飾り棚として認識されることにより、第1の空間S1に入室した人に対して、後扉30が扉であるとの認識を妨げ、後扉30の棚板32が内照式飾り棚であると誤認させる外観偽装機能を実現する。
【0071】
<後扉の外観偽装2(隠し丁番による偽装)>
また、後扉30は、背板31を隠し丁番35を介して左板13に開閉自在となるよう連結ことで、扉としての開閉機能を実現しているため、通常の丁番(スライド丁番等)のように、丁番が外部から視認されることはない。したがって、上記の内照式飾り棚であると誤認させる外観偽装機能に加え、後扉30の背板31及び棚板32がLEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の照明光により照明されたときでも、第1の空間S1に入室した人は、後扉30が扉であると認識することはなく、内照式飾り棚であると誤認することになり、この隠し丁番35は、後扉30の追加的な外観偽装を提供することになる。
【0072】
<前扉用の錠前装置(第1の錠前装置)>
第1のセキュリティドアとしての前記前扉20用の錠前装置(乃至ドアロック装置)として、実施の形態1のセキュリティドア構造体SSは、後述する所定の構成の電磁式錠前装置を使用する。即ち、実施の形態1に係るセキュリティドア構造体SSは、第1のセキュリティドアとしての前記前扉20用の第1の錠前装置として、後述する所定の構成の電磁式錠前装置を使用することを特徴とする。
【0073】
<従来の電気式錠前装置>
ここで、錠前装置として、いわゆる電気式錠前装置(一般には「電気錠」と呼ばれる。)が提案されており、かかる電気式錠前装置は、錠の施錠及び解錠用の鍵(キー)を所持することなく、リモコン装置やセンサー(タッチセンサ、非接触センサ)等によって、自動でドアを開閉することが可能な錠前装置である。かかる電気式錠前装置は、一般に、電気錠本体、操作部材乃至操作部、制御部材乃至制御部の3つの構成要素から構成される。電気錠本体は、通常の錠前と同様に扉やドアに取り付けられて、(例えば、ドア側に取り付けた電気錠本体のデッドボルトを、ドア枠の対応する位置に取り付けたストライクの内部に進入させて嵌合し)扉やドアの施錠を行うと共に、(例えば、ドア側に取り付けた電気錠本体のデッドボルトを、ドア枠の対応する位置に取り付けたストライクの内部から退避させて)扉やドアの解錠を行うものである。前記操作部材乃至操作部は、電気錠本体に対応する鍵(例えば、カードタイプのキー)を当該電気錠本体に近づけたり、所定の暗唱番号を入力したりすることで、ドアを施錠したり解錠したりするものである。前記制御部材乃至制御部は、前記操作部材乃至操作部の捜査により前記電気錠本体を作動(即ち、施錠動作及び解錠動作)させるための指令信号を生成及び送信するものである。
【0074】
電気式錠前装置としては、様々な種類の電気式錠前装置が提案されている。代表的な電気式錠前装置としては、暗証番号型電気式錠前装置、リモコン型電気式錠前装置、カード型電気式錠前装置、指紋認証型電気式錠前装置、タッチキー型電気式錠前装置等が提供されている。暗証番号型電気式錠前装置は、ドアの側方(例えば、ドアのドア枠への取り付け側端部とは反対側の開放側端部の近傍位置)に暗証番号入力用の操作盤を設置し、当該操作盤に(使用者のみが知る)暗証番号を入力することで、ドアを解錠することができるよう構成されている。リモコン型電気式錠前装置は、(通常の鍵に代替する)リモコン装置を使用してドアを解錠するものであり、リモコン装置に設けた所定のキーボタンを押すことで、ドアを解錠することができる。カード型電気式錠前装置は、(通常の鍵に代替する)カードキーを使用してドアを解錠するものであり、ドアの側方(例えば、ドアのドア枠への取り付け側端部とは反対側の開放側端部の近傍位置)にカードキー用の操作盤を設置し、当該操作盤にカードキーとしての磁気カードを挿通したり、カードキーとしてのICカードをかざしたりすることで、ドアを解錠することができる。指紋認証型電気式錠前装置は、ドアの側方(例えば、ドアのドア枠への取り付け側端部とは反対側の開放側端部の近傍位置)に指紋認証用の操作盤を設置し、当該操作盤に使用者が自身の指を接触させることで、予め登録した使用者の指紋を読み取って、使用者本人であるかどうかを確認し、ドアを解錠することができる。タッチキー型電気式錠前装置は、ドアの側方(例えば、ドアのドア枠への取り付け側端部とは反対側の開放側端部の近傍位置)にタッチセンサを有する操作盤を設置し、当該操作盤に掌等を接触させることで、ドアを解錠することができる。
【0075】
しかし、これらの暗証番号型電気式錠前装置、リモコン型電気式錠前装置、カード型電気式錠前装置、指紋認証型電気式錠前装置、タッチキー型電気式錠前装置は、いずれも、電気錠本体のケース(状ケース)の内部に組み込んだソレノイドやモーターによって、デッドボルトを突出動作及び退避動作させることで(そして、そのデッドボルトを相手側のストライクに進入嵌合させたりストライクから退避させたりすることで)、ドアの施錠及び解錠を行う構造となっているため、そのための構造(電気的構造及び機械的構造)が複雑化し、かつ、ある程度大型化することになる。また、これらの電気式錠前装置の場合、前記複雑かつ大型な構成の電気錠本体は、ドア側に取り付けて設置される。したがって、これらの電気式錠前装置の場合、ドアの開放側端部に電気錠本体が大きく露出するため、ドアに電気式錠前装置を設置したことは、ドアを視認する人(使用者以外の他人)であっても、容易に認識することができる。加えて、これらの電気式錠前装置の場合、上記のように、ドアの側方(例えば、ドアのドア枠への取り付け側端部とは反対側の開放側端部の近傍位置)に上記のような操作盤を設置する必要がある。したがって、これらの電気式錠前装置の場合、ドアの開放側端部の側方に操作盤が大きく露出するため、ドアに電気式錠前装置を設置したことは、ドアを視認する人(使用者以外の他人)であっても、容易に認識することができる。
【0076】
その結果、これらの電気式錠前装置は、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSを含む本発明のセキュリティドア構造体の錠前装置としては使用することが不適切である。本実施の形態のセキュリティドア構造体SSを含む本発明のセキュリティドア構造体の場合、そのセキュリティドア構造体の管理者のみが、セキュリティドアの存在(例えば、前扉20がセキュリティドアであること)を知っているようにすることが必須であり、管理者以外の者は、セキュリティドアの存在を容易に認識できないようにすることが必須である。
【0077】
<前扉用の電磁式錠前装置(第1のセキュリティ用錠前装置)>
上記の従来の電気式錠前装置が有する課題に着目して、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSは、第1のセキュリティドアとしての前記前扉20用の錠前装置(乃至ドアロック装置)として、所定の構成の電磁式錠前装置を使用する。即ち、実施の形態1に係るセキュリティドア構造体SSは、第1のセキュリティドアとしての前記前扉20用の第1の錠前装置として、後述する所定の構成の電磁式錠前装置を使用することを特徴とする。この電磁式錠前装置は、図2図7(特に、図3の拡大図)、図11の拡大図、及び図18に示す構成の電磁錠本体50と、図13図15図19に示す制御ボックス80とを備える。
【0078】
<前扉用の電磁式錠前装置の電磁錠本体>
電磁式錠前装置の電磁錠本体50は、電磁錠の電磁吸着部材を構成する電磁吸着ブロック体51と、電磁錠の電磁被吸着部材を構成するストライクプレート52とからなる。
【0079】
<電磁錠本体の電磁吸着ブロック体>
電磁錠本体50の電磁吸着ブロック体51は、全体として、所定の左右寸法(長さ寸法)と、所定の高さ寸法(幅寸法)と、所定の奥行き寸法(厚み寸法)とを有する横長(即ち、左右方向に延びる)直方体状のブロック形状を有している。電磁吸着ブロック体51は、電磁石を埋設するとともに、その前面に、前記電磁石の電磁吸着面を露出している。電磁吸着ブロック体51は、図3に示すように、前記外枠10の上板11の前端部における右端部に形成された収容凹部内に埋設又は収容して配置され、その後面(後側面)を所定の固定手段(螺子止め、ボルト止め等)により当該収容凹部の底面(奥側の面)に固定することで、収容凹部内の所定位置に固定されている。
【0080】
前記上板11の収容凹部は、上板11の前端部に配置されるが、このとき、収容凹部の右端は、上板11の右端部において上板11と右板14とが互いにい直交する角位置(コーナー位置)に配置され、かつ、収容凹部が、その右端から左方へと上板11に沿って所定寸法だけ延びる直方体の凹部状に形成されている。即ち、上板11の収容凹部は、所定の左右寸法(長さ寸法)と、所定の高さ寸法(幅寸法)と、所定の奥行き寸法(厚み寸法)とを有する横長(即ち、左右方向に延びる)直方体状の凹部形状を有している。そして、上板11の収容凹部の寸法は、その左右寸法が前記電磁吸着ブロック体51の左右寸法と同一となり、その高さ寸法が前記電磁吸着ブロック体51の高さ寸法と同一となるように設定されている。
【0081】
また、上板11の収容凹部の奥行き寸法は、前記電磁吸着ブロック体51の奥行き寸法(厚み寸法)より所定寸法だけ大きな寸法に設定されている。即ち、上板11の収容凹部の奥行き寸法は、前記電磁吸着ブロック体51の奥行き寸法(厚み寸法)より、前記ストライクプレート52の厚み寸法と同一寸法だけ大きな寸法となるように設定されている。これにより、上枠11の収容凹部に電磁吸着ブロック体51を固定配置した状態で、電磁吸着ブロック体51の前面と上枠11の前面(即ち、収容凹部の前端)との間には、前記所定寸法と同一の厚み寸法(即ち、ストライクプレート52の厚み寸法と同一の厚み寸法)を有する間隙(即ち、直方体状の凹部空間)が形成される。
【0082】
よって、上板11の収容凹部に電磁吸着ブロック体51を収容して固定した状態では、電磁吸着ブロック体51は、その全体が、上板11の収容凹部内に完全に収容されて、上板11の収容凹部から外側に(例えば、右側は前側に)露出することなく、かつ、電磁吸着ブロック体51の前面(前側の電磁吸着面)は、上板11の収容凹部の前端から奥側に所定距離だけ(即ち、上板11の収容凹部の奥行き寸法から電磁吸着ブロック体51の奥行き寸法を減算した距離だけ)退避した位置に配置されている。即ち、電磁吸着ブロック体51の前面(前側の電磁吸着面)は、上板11の収容凹部の前端から奥側に所定距離だけ(即ち、前記ストライクプレート52の厚み寸法と同一寸法だけ)退避した位置に配置されている。
【0083】
また、上板11の収容凹部に電磁吸着ブロック体51を収容して固定した状態では、電磁吸着ブロック体51は、その右端位置が、前記外枠10の上板11の右端位置(即ち、上板11の右端面の位置)と一致することになり、よって、(上板11の右端面に上端部の内側面が)右板14の内側面(左側面)収容凹部内に完全に収容されて、上板11の収容凹部から外側に(例えば、右側は前側に)露出することなく、かつ、電磁吸着ブロック体51の前面(前側の電磁吸着面)は、上板11の収容凹部の前端から奥側に所定距離だけ(即ち、上板11の収容凹部の奥行き寸法から電磁吸着ブロック体51の奥行き寸法を減算した距離だけ)退避した位置に配置されている。即ち、電磁吸着ブロック体51の前面(前側の電磁吸着面)は、上板11の収容凹部の前端から奥側に所定距離だけ(即ち、前記ストライクプレート52の厚み寸法と同一寸法だけ)退避した位置に配置されている。
【0084】
<電磁錠本体のストライクプレート>
電磁錠本体50のストライクプレート51は、全体として、所定の左右寸法(長さ寸法)と、所定の高さ寸法(幅寸法)と、所定の奥行き寸法(厚み寸法)とを有する横長(即ち、左右方向に延びる)の長方形平板形状を有している。ストライクプレート51は、前記前扉20のフレーム21の上枠部分(フレーム21の上端側において左右方向に水平に延びる帯板状の部分)の右端側部分の所定位置に配置され、その前面(前側面)を所定の固定手段(螺子止め、ボルト止め等)により、当該フレーム21の上枠部分の後面(後側面)に固定することで、当該フレーム21の上枠部分の所定位置に固定されている。ストライクプレート52の寸法は、その左右寸法が前記電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部の左右寸法と同一となり、その高さ寸法が前記電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部の高さ寸法と同一となるように設定されている。また、ストライクプレート52の奥行き寸法(厚み寸法)は、(上枠11の収容凹部に電磁吸着ブロック体51を固定配置した状態で形成される)電磁吸着ブロック体51の前面と上枠11の前面(即ち、収容凹部の前端)との間の凹部空間の厚み寸法(即ち、奥行き寸法)と同一の奥行き寸法(厚み寸法)に設定されている。
【0085】
また、ストライクプレート51は、前扉20のフレーム21の上枠部分の右端側部分の所定位置において、前記外枠10の上板11内の電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部と整合する位置に固定して配置されている。即ち、図2図4に示すように、セキュリティドア構造体SSにおいて、前扉20を外枠10に対して完全な閉状態(閉位置)としたとき、フレーム21の上枠部分のストライクプレート51の後面(即ち、電磁吸着プレート51に対向する表面乃至露出面)が、外枠10の上板11の収容凹部内の電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部と完全に整合して密着するようになっている。また、このとき、フレーム21の上枠部分のストライクプレート51は、外枠10の上板11の収容凹部内において電磁吸着ブロック体51の前面と上枠11の前面(即ち、収容凹部の前端)との間に形成される、ストライクプレート52の厚み寸法と同一の厚み寸法を有する間隙(直方体状の凹部空間)内に完全に収容された状態で、上板11の収容凹部内の電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部と完全に整合して密着するようになっている。
【0086】
<電磁錠本体の構成>
上記のように、電磁式錠前装置の電磁錠本体50は、従来の電気錠のような施錠及び解錠のための電気部品や機械部品(ソレノイド、モーター、デッドボルト、デッドボルトと嵌合する凹部を有するストライク、トロヨケ等)を含むことなく構成されている。
【0087】
<前扉のフレーム及び外枠の収容凹部による電磁錠本体の隠蔽機能>
上記のように、セキュリティドア構造体SSにおいて、前扉20を外枠10に対して完全な閉状態(閉位置)としたとき、電磁吸着ブロック体51は、前記外枠10の上板11の収容凹部内に完全に収容されて、上板11の収容凹部から外側に露出することがない。また、この前扉20の閉状態では、外枠10の上板11の収容凹部内の電磁吸着ブロック体51は、外枠10の前方で上板11の前端面に密接する前扉20のフレーム21の上枠部分により、完全にセキュリティドア構造体SSの外部から(即ち、セキュリティドア構造体SSから見た第1の空間S1側にいる人物から)完全に隠蔽乃至隠匿された状態にある。加えて、フレーム21の上枠部分のストライクプレート51は、外枠10の上板11の収容凹部内において電磁吸着ブロック体51の前面と上枠11の前面との間に形成される、ストライクプレート52の厚み寸法と同一の厚み寸法を有する間隙(直方体状の凹部空間)内に完全に収容された状態で、上板11の収容凹部内の電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部と完全に整合して密着する。したがって、セキュリティドア構造体SSを配置した部屋の室内空間(即ち、第1の空間S1)に入室した人は、前扉20を介して、電磁錠本体50を視認することは全く不可能となり、前扉20のフレーム21及び外枠10の収容凹部が、電磁錠本体50の隠蔽機能を発揮する。外枠10の内部を内照用の照明具であるLEDライン照明具41及びLEDライン照明具42により照明して明るくし、外枠10の内部の棚板32等が、前扉20の機能性鏡板22を介して(正確には、機能性鏡板22の外周縁部、即ち、フレーム21が存在する部分を除く中央側の主要部分からなる光透過部分を介して)室内空間S1内の人物により視認される場合も、同様に、上記電気錠隠蔽機能が発揮される。
【0088】
<電磁錠本体の電磁吸着動作(施錠動作)及び電磁吸着解除動作(解錠動作)>
電磁錠本体50の電磁吸着ブロック体51によるストライクプレート52の電磁吸着動作(施錠動作)、及び、電磁錠本体50の電磁吸着ブロック体51によるストライクプレート52の電磁吸着解除動作(解錠動作)は、以下のような構成により実現される。
【0089】
<電気式錠前装置の非接触センサ(非接触検知部)>
図13図18(特に、図13の側面視、並びに、図15図18の正面視)に示すように、電磁式錠前装置は、前記電磁錠本体50の解錠動作を指令及び実行するための制御ボックス80を備えている。詳細には、制御装置としての制御ボックス80は、所定の筐体形状を有するケース81と、ケース81の内部に配設される非接触センサとしてのマイクロ波センサからなる非接触検知部82とを備えている。ケース81は、例えば、所定の高さ寸法、所定の幅寸法、及び所定の奥行き寸法を有する、直方体箱状の収容ケースとして構成することができる。また、非接触検知部82は、ケース81の内部空間に、(図示は省略するが)電源回路及び制御基盤等の各種の電気的構成要素(以下、「制御ユニット」という。)を内装し、この制御ユニットにより、電磁式錠前装置に対して各種の制御処理を実現するようになっている。即ち、制御ボックス80の制御ユニットは、ケース81の内部において非接触検知部82に電気的に接続されると共に、ケース81の外部に引き出される有線通信媒体としての信号ケーブルを介して、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部に電気的に接続されている。
【0090】
そして、制御ボックス80の制御ユニットは、非接触検知部82に所定の電力を供給して非接触検知部82の検知動作を実現したり、非接触検知部82の検知信号を受信して非接触検知部82の検知動作に応じた処理を実現したり(即ち、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部をオフ動作用の電気信号を電磁吸着ブロック体51に送信して、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部の電磁吸着駆動状態を解除したり)、(非接触検知部82からの検知信号の入力がないときは、常時、)前記電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部をオン動作したり(即ち、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部を電磁吸着駆動して電磁吸着力を発生させたり)、(非接触検知部82からの検知信号の入力があったときのみ、所定の駆動時間だけ、)前記電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部をオフ動作したり(即ち、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部の電磁吸着駆動状態を解除して電磁吸着部の電磁吸着力を消去したり)、(非接触検知部82からの検知信号の入力を受けた後に前記所定の駆動時間が経過したときに、)前記電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部を再度オン動作したり(即ち、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部を再度電磁吸着駆動して、非接触検知部82からの検知信号の次の入力があるまでは電磁吸着力を発生させたり)するようになっている。
【0091】
なお、制御ボックス80の制御ユニットは、電力線(電線ケーブル)等により外部電源(AC電源等)に電気的に接続されて、或いは、内部に設けた内部電源に電気的に接続されて、上記の各種の制御動作を実現する。一方、制御ボックス80の制御ユニットは、例えば、停電等により外部電源(AC電源等)からの電力供給が停止したときは、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部への電磁吸着駆動信号の送信(即ち、電磁吸着用の電力供給)を停止し、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部による電磁吸着力の発生が停止し、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部によるストライクプレート52の電磁吸着が解除されるようになっている。或いは、制御ボックス80の制御ユニットは、例えば、停電等により外部電源(AC電源等)からの電力供給が停止したときでも、無停電電源装置(UPS)等の非常電源装置により、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部への電磁吸着駆動信号の送信(即ち、電磁吸着用の電力供給)を継続し、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部による電磁吸着力の発生を継続して、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部によるストライクプレート52の電磁吸着を継続するように構成することもできる。この場合、制御ボックス80の制御ユニットは、上記のように、非接触検知部82からの検知信号の入力があったときに、所定の駆動時間だけ、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部をオフ動作する制御(即ち、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部の電磁吸着駆動状態を解除して電磁吸着部の電磁吸着力を消去する制御)を実現することもできる。
【0092】
上記のように、制御ボックス80は、非接触検知部82が、所定の検知領域(検知エリア)内に進入した人の掌等の物体をマイクロ波の反射により検知しないときは、前記制御ユニットが、前記電磁錠本体50の電磁吸着ブロック体51に所定の電力を供給して、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部に電磁吸着力を発生する動作(電磁吸着動作)を実現するようになっている。
【0093】
一方、制御ボックス80は、非接触検知部82が、所定の検知領域(検知エリア)内に進入した人の手などの物体をマイクロ波の反射により検知して、その検知信号を発生すると、その非接触検知部82の検知信号が、前記電磁吸着動作制御ユニットに入力され、前記制御ユニットが、前記電磁錠本体50の電磁吸着ブロック体51への所定の電力の供給を停止して、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部による電磁吸着力の発生を停止する動作(電磁吸着停止動作乃至電磁吸着解除動作)を実現するようになっている。
【0094】
<制御ボックスによる前扉の施錠・解錠制御>
この制御ボックス80による電磁吸着ブロック体51の電磁吸着動作のオン動作及びオフ動作を、非接触センサ82による物体検知動作に応じて制御ユニットにより制御することで、(電磁吸着ブロック体51を固定した)外枠10に対する(ストライクプレート52を固定した)前扉20の施錠動作及び施錠状態、並びに、解錠動作及び解錠状態を、制御することができる。
【0095】
<制御ボックスの施錠制御による前扉の扉機能の秘匿>
即ち、セキュリティドア構造体SSの通常使用モードであるセキュリティ状態の維持モードでは、セキュリティドア構造体SSを設置する室内空間において、第1の空間S1に入室する人のうち、(セキュリティドア構造体SSの存在を知っている)管理者以外の人は、前扉20がセキュリティドア(第1のセキュリティドア)であることを認識できないように、電磁錠前装置の電磁吸着ブロック体51が、制御ボックス80からの電力供給により、電磁吸着部の電磁吸着力を発生及び維持し、対向乃至対面して密接するストライクプレート52を、電磁吸着部の所定の電磁吸着力(例えば、90kgf~200kgfの電磁吸着力)により電磁吸着する状態を維持している。したがって、前扉20に対して、例えば、意図せずに前扉20を開く方向の引っ張り力を加えたとしても、前扉20は、その引っ張り力に抗して、前記電磁吸着力によって外枠10への密接状態(即ち、閉状態)を維持し、前扉20が意図せずに開くことはない。即ち、制御ボックス80を使用した上記のような電磁錠前装置の施錠状態の維持により、管理者以外の人に対して、前扉20の扉機能を秘匿することができる(即ち、前扉20が扉であることを隠すことができる)。
【0096】
<制御ボックスの解錠制御による前扉の扉機能の実現>
一方、セキュリティドア構造体SSの非常使用モードであるセキュリティ状態の停止モードでは、セキュリティドア構造体SSを設置する室内空間において、第1の空間S1に入室する人のうち、(セキュリティドア構造体SSの存在を知っている)管理者のみが、前扉20がセキュリティドア(第1のセキュリティドア)であることを認識している。よって、管理者は、セキュリティドア構造体SSの後方のセキュリティルーム(第2の空間S2)に入室したいときは、制御ボックス80の前方の空間(図示の例では、ディスプレイ構造体SSの内部空間において、ディスプレイ112の左側の第1の収納部120の前方の空間)に、自身の掌をかざすことで、前扉20を解錠することができる。即ち、このとき、電磁錠前装置の非接触検知部82が、管理者の掌を検知して、検知信号を制御ユニットに送信し、制御ユニットが、(それまで供給していた)電磁吸着ブロック体51への電力の供給を停止するため、電磁吸着ブロック体51の電磁吸着部の電磁吸着力が消失する。その結果、電磁吸着部に対向乃至対面して密接するストライクプレート52が、電磁吸着部からの電磁吸着力を受けることなく、電磁吸着部から離脱することができるようjになり、管理者は、前扉20を前方に開いて開放することができる。
【0097】
<前扉の開動作補助機構(押出しピン装置)>
更に、図3中の上側の拡大図に示すように、外枠10の上板11において、前記電磁吸着ブロック体51の左側の所定距離(例えば、電磁吸着ブロック体51の長さ寸法と同様の距離)を置いた所定位置(即ち、上板11の収容凹部から左側に所定距離を置いた所定位置)には、その幅方向中央位置に、押出しピン装置60が配設されている。押出しピン装置60は、押出しピン61と、前記押出しピン61に対して、その長さ方向(正確委は、前方)への押圧力を加える付勢部材の一例としての押圧ばね62とを有している。押圧ばね及び押出しピン61は、外枠10の上板11において、収容凹部から左側に所定距離を置いた前記所定位置に設けられた、断面円形で所定の深さを有する有底の凹部内に、押圧ばね及び押出しピン61の順で収容して内装されている。そして、外枠10に対して前扉20を閉じたドア閉状態では、前扉20のフレーム21の上枠部分の内面のストライクプレート52が、外枠10の上板11の収容凹部内の電磁吸着ブロック体52の電磁吸着部の吸着面に密接すると共に、押出しピン装置60の押出しピン61の先端が、前扉20のフレーム21の上枠部分の対応する位置の内面に当接している。このとき、上記のように、電磁吸着ブロック体51によるストライクプレート52への電磁吸着力が作用している状態では(即ち、電磁錠前装置の施錠状態では)、電磁吸着ブロック体51によるストライクプレート52への電磁吸着力によって、前扉20のフレーム21の上枠部分の対応する位置の内面が、押出しピン61(正確には、押出しピン61の先端)を、押圧ばねの押圧力に抗して押圧して、押出しピン61を、外枠10の上板11における押出しピン装置60の収容凹部内に完全に没入させている。
【0098】
一方、上記のように、非接触検知部82が、管理者の掌を検知して、電磁吸着ブロック体51によるストライクプレート52の電磁吸着が解除されると、図3中の下側の拡大図に示すように、電磁吸着ブロック体51によるストライクプレート52への電磁吸着力が消失した状態となり(即ち、電磁錠前装置が解錠状態となり)、押出しピン61(正確には、押出しピン61の先端)が、押圧ばねの押圧力により、前扉20のフレーム21の上枠部分の対応する位置の内面を押圧し、押出しピン61が、外枠10の上板11における押出しピン装置60の収容凹部内から所定寸法突出する。したがって、外枠10の上板11における押出しピン装置60の収容凹部内から所定寸法突出する押出しピン61により、前扉20のフレーム21の上枠部分の対応する位置の内面が押圧されて、前扉20が、少なくとも、押出しピン61の突出量に対応する量だけ開放する。よって、管理者は、押出しピン61の突出量に対応する量だけ開いた前扉20の右端に指等を引っかけて前方(即ち、前扉20を更に開放する方向)に引っ張ることで、例えば、図4中に仮想線で示すように、前扉20を所望量だけ開放することができ、全開状態とすることもできる。
【0099】
<非接触センサの検知範囲乃至検知限界(常非検知部の存在)>
前記非接触検知部82は、非接触センサとしてのマイクロ波センサ(乃至マイクロ波センサスイッチ)から構成され、図13の側面視及び図16の正面視に仮想線(一点鎖線)で示すような、所定の検知領域(「検知範囲」又は「検知エリア」又は「感知領域」又は「感知範囲」又は「感知エリア」と称することもある。)DAを有している。即ち、制御ボックス80の非接触検知部82は、マイクロ波を前方に向かって常時照射し、前方の空間に進入する物体(例えば、人の掌等)を検知して、検知信号を発生し、その検知信号を前記制御ユニットに送信するが、このとき、非接触検知部82が照射するマイクロ波による物体の検知乃至検出は、所定の空間範囲内(即ち、所定の空間領域内)でのみ有効となる。この非接触検知部82の検知領域DAは、例えば、図13及び図16に示すように、非接触検知部82の前方の空間の上下方向に延びる所定の高さ寸法DA1を有すると共に、図16に示すように、非接触検知部82の前方の空間の左右方向に延びる所定の幅寸法DA2を有する検知領域となる。また、非接触検知部82の検知領域DAは、非接触検知部82の前方の空間の前後方向に延びる所定の長さ寸法を有するが、この前後方向における検知領域DAは、長さ寸法は、非接触検知部82の前面(マイクロ波放射面)から所定の距離(例えば、10cm程度の距離)までは非検知領域となり、それより更に前方の前後方向において、所定の距離(例えば、50~60cm程度の距離)となるように設定される。なお、この非接触検知部82の検知領域DAは、前記制御ユニットにより、所定の範囲に設定することができる。
【0100】
換言すれば、非接触センサ82の検知領域DAは、所定の空間範囲乃至所定の空間領域に限定され、所定の検知限界が存在することになる。特に、非接触センサの検知領域DAは、非接触センサ82の前方の空間においては、前記高さ寸法DA1及び幅寸法DA2の空間範囲内に限定されることになり、かかる高さ寸法DA1及び幅寸法DA2の空間範囲外の範囲は、非接触センサ82による検知が不可能な領域(以下、「非検知領域」という。)となる。例えば、非接触検知部82の検知領域DAより外側となる空間範囲(即ち、前記高さ寸法DA1及び幅寸法DA2の空間範囲の範囲外の空間)においては、人の掌等の物体が進入又は接近したとしても、非接触センサ82がその物体を検出することはなく、非接触センサ82から制御ボックス80の制御ユニットに検知信号が入力されることもなく、結果として、制御ボックス80の制御ユニットにより電磁吸着ブロック体51の電磁吸着動作が停止されることもない。
【0101】
<常暗部空間領域内の非接触センサ検知領域の自在変更(前扉解錠動作の困難化)>
上記のように非接触センサ82の検知領域が一定の空間領域に限定されている制御ボックス80は、本実施の形態の壁状構造体WSの内部空間において、(例えば、セキュリティドア構造体SSに隣接するディスプレイ構造体DSの内部空間、ディスプレイ構造体DSに隣接するワードローブ構造体RSの内部空間、ワードローブ構造体RSに隣接するキャビネット構造体CSの内部空間のいずれかの空間)のうち、前記外枠10の外部に設けられる閉鎖空間領域であって、前記内部空間において、照明具による照明やディスプレイによる映像映写が行われた場合でも、暗部としての機能を常に維持する空間領域(以下、「常暗部空間領域」という。)において、管理者が選択した所望の位置の空間領域に配置して設置される。
【0102】
例えば、制御ボックス80は、図22に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第1の収納部120の棚板122の上で、かつ、棚板122の左側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、図23に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第1の収納部120の棚板122の上で、かつ、棚板122の右側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、図24に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第1の収納部120の棚板122の下側に設けた別の棚板の上で、かつ、その棚板の左側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、図25に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第1の収納部120の棚板122の下側に設けた別の棚板の上で、かつ、その棚板の右側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、図26に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第1の収納部120の底板の上で、かつ、その底板の左側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、図27に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第1の収納部120の底板の上で、かつ、その底板の右側の位置に配置することができる。
【0103】
或いは、制御ボックス80は、図28に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第2の収納部130の底板の上で、かつ、その底板の左側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、ディスプレイ構造体DSの内部空間の第2の収納部130に設けた棚板(例えば、二段の棚板)のいずれかの棚板の上で、かつ、その棚板の右側又は左側の位置に配置することができる。或いは、制御ボックス80は、図29に示すように、ディスプレイ構造体DSの内部空間におけるディスプレイ112の上側の空間において、ディスプレイ112の上側に左右方向に延びるよう設けられた棚板の上で、かつ、その棚板の任意の位置(例えば、左側の位置)に配置することができる。
【0104】
ここで、上記の各構造体の内部空間において、制御ボックス80が配置される空間領域の部位は、上記のように、当該内部空間に照明具による照明が行われた場合でも、暗部空間としての機能を維持する常暗部空間領域である。ここで、常暗部空間領域は、各構造体の内部空間の照明光の照明範囲外に位置し、照明光が届くことがない空間領域であれば、任意の区間領域により構成することができる、典型的には、ディスプレイ構造体D2の内部空間において、前記ディスプレイ112の周囲の空間領域を、常暗部空間領域として使用することができる。即ち、ディスプレイ構造体D2の内部空間において、前記ディスプレイ112の周囲の空間領域は、ディスプレイ112がオフ状態で、ディスプレイ112の画面乃至スクリーン面から映像(即ち、映像光)が出射していないときは、当然、ディスプレイ構造体D2の内部空間の全体が、暗部空間の状態(即ち、ディスプレイ構造体DSの内部空間には、全く光が存在しない状態)となるが、ディスプレイ112がオン動作されてオン状態となり、ディスプレイ112の画面乃至スクリーン面から映像(即ち、映像光)が出射したときでも、そのディスプレイ112の画面からの出射光は、その前方の直近位置又は略密接位置にある前記機能性鏡板111から外部(即ち、第1の空間S1)に向かって出射するのみで、ディスプレイ構造体D2の内部空間において、特に、ディスプレイ112の外周にある空間領域には全く入射することがない。即ち、ディスプレイ構造体D2の内部空間において、特に、ディスプレイ112の外周にある空間領域は、全て、常に、前記暗部空間の状態(即ち、ディスプレイ構造体DSの内部空間には、全く光が存在しない状態)を維持するため、前記常暗部空間領域として使用することができる。
【0105】
したがって、非接触センサ82の検知領域が一定の空間領域に限定されている制御ボックス80を、特に、ディスプレイ構造体DSの内部空間において、ディスプレイ112の外周の空間領域の任意の位置(即ち、当該空間領域の全領域のどこでも所望の位置)に配置すれば、当該制御ボックス80は、前記常暗部空間領域に配置されることになり、当該ディスプレイ構造体DSにおいて、(ディスプレイがオフ状態のときのみならず)ディスプレイ112がオン状態にあるときでも、制御ボックス80は、常に、暗部としての機能を常時維持する空間領域である常暗部空間領域に配置されることになり、管理者が、当該制御ボックス80の配置位置を、かかる大きな常暗部空間領域から選択した所望の位置に配置して設置することで、管理者以外の者は、(たとえ、前扉20がセキュリティドアであるとの情報を得て、かつ、前扉20を開くためには、非接触センサの前方の検知範囲内に掌等をかざせばよいことを知得した場合でも、当該管理者以外の者は、その非接触センサがどの位置にあるか(即ち、制御ボックス80がどの位置に配置されているか)、広大な領域から探し出す必要がある。
【0106】
即ち、ディスプレイ構造体DSの常暗部空間領域のいずれかの位置に制御ボックス80を配置した場合、管理者以外の者は、(ディスプレイ構造体DSの内部空間のいずれかの位置に、非接触センサが配置されていると知得したとしても)ディスプレイ構造体DSにおいて、制御ボックス80が、常暗部空間領域のどの位置に配置されているかについて決定するには、ディスプレイ構造体DSの前方の広大な面積の領域において、非接触検知部82の検知領域DAを正確に特定する必要があるが、この検知領域DAは、上記のように、狭い範囲の領域であるため(即ち、前記所定の小さな高さ寸法DA1と所定の小さな幅寸法DA2とにより検知範囲の外縁が規定される狭い範囲の領域であるため)、非接触検知部82の検知領域DAを正確に特定するためには、例えば、ディスプレイ構造体DSの前方の広大な面積の領域を、前記非接触検知部82の検知領域DA(即ち、所定の小さな高さ寸法DA1と所定の小さな幅寸法DA2とにより検知範囲の外縁が規定される狭い範囲の領域)に相当する面積の小さな領域に区画して把握し、その把握した小さな領域ごとに、掌をかざして、非接触センサが反応するか否かを試す必要がある。しかし、かかる方法では、ディスプレイ構造体DSの前方の広大な面積の領域を区画して得られる小さな領域の数が膨大な数となり、実際上、管理者以外の者が、ディスプレイ構造体DSの前方の広大な面積の領域において、非接触センサとしての非接触検知部82が配置されている位置(正確には、非接触検知部82の検知領域DA)を正確に特定することは非常に困難であり、このように、非接触センサとしての非接触検知部82の配置位置(即ち、検知領域DAの位置)を、広大な常暗部空間領域内において管理者が自在に変更して選択できるようにしたことで、管理者以外の者(非接触検知部82の配置位置、即ち、検知領域DAの位置を知らない者)が、前記前扉20の解錠動作を行うことが非常に困難になるようにしている。
【0107】
<後扉の棚位置による非接触センサの検知領域の秘匿的位置決め機能>
更に、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、前記後扉30の複数枚の棚板32のうち、いずれかの棚板32を、(例えば、ディスプレイ構造体DSの第1の収容部120に収容配置した)制御ボックス80の高さ位置(上下方向位置)を特定するためのマーカー(目印)として使用することができる。即ち、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、前記後扉30の複数枚の棚板32のうち、いずれかの棚板32が、(例えば、ディスプレイ構造体DSの第1の収容部120に収容配置した)制御ボックス80の高さ位置(上下方向位置)を特定するためのマーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)として機能する。例えば、図15図19に示すように、制御ボックス80を、ディスプレイ構造体DSの第1の収容部120の棚板122の上(例えば、その棚板122の左側の位置)に収容配置した場合、後扉30の棚板32のうち、上から2番目の棚板32が、マーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)として機能し、そのマーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)により、ディスプレイ構造体DSの内部空間において、そのマーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)の右側の直近位置に、制御ボックス80が配置されていると、管理者は容易に特定することができる。したがって、上記のように特定の狭い検知領域DAを有して、検知のためには非接触検知部82の前方の検知領域DA内に正確に掌をかざす必要がある場合でも、管理者は、前記マーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)により、制御ボックス80の位置(即ち、非接触検知部82の位置及びその検知領域DAの範囲)を容易に特定することができ、前扉20の解錠動作を容易かつ迅速かつ正確に実行することができる。
【0108】
なお、かかるマーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)は、上から2番目の棚板32に限らず、ディスプレイ構造体DSの内部空間において制御ボックス80が配置される高さ位置に対応する高さ位置の棚板32であれば、任意の段の棚板32とすることができる。例えば、制御ボックス80を、ディスプレイ構造体DSの第1の収容部120の上板の上に配置する場合、後扉30の一番上の棚板32を、マーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)として使用することができる。
【0109】
また、後扉30は、上記のように、LEDライン照明具の点灯時には、内照式飾り棚として外部から視認及び認識され、棚板32には、通常、壺等の骨董品や写真立当の装飾目的の物品が載置される。したがって、管理者は、上から何番目の棚板32が、マーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)であるかを忘れた場合でも、マーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)に載置する物品の種類等を記憶しておくことにより、容易に、マーカー(目印)用の位置確認用棚板32(PS)がいずれの棚板32であるかを思い出すことができる。或いは、管理者は、かかる特定の物品を置いた棚板32が、制御ボックス80の高さ位置を特定する棚板であると容易に認識することができ、その物品を目視してその物品の高さ位置に相当する高さ位置のディスプレイ構造体DSの前方の空間領域に掌をかざすことで、迅速かつ容易かつ正確に、前扉20の解錠動作を行うことができる。即ち、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、後扉30の棚板32自体のみならず、棚板32に載置して飾られる物品自体も、制御ボックス80の高さ位置特定用の意マーカー(目印)として使用することができる。
【0110】
<後扉用の錠前装置(第2の錠前装置)>
第2のセキュリティドアとしての前記後扉30用の錠前装置(乃至ドアロック装置)として、実施の形態1のセキュリティドア構造体SSは、所定の構成の機械式錠前装置70を使用する。即ち、実施の形態1に係るセキュリティドア構造体SSは、第2のセキュリティドアとしての前記後扉30用の第2の錠前装置として、所定の構成の機械式錠前装置70を使用することを特徴とする。この機械式錠前装置70は、図2図7(特に、図6の拡大図)、図11の拡大図、図12図13図18の拡大図、及び、図19の拡大図に示す構成の機械式錠前装置を使用している。即ち、この機械式錠前装置70は、錠としての棒状キーにより施錠及び解錠されるタイプのシリンダー錠(即ち、錠ケース(錠本体)71、シリンダー部(シリンダー)72、及びデッドボルト73からなるシリンダー錠、以下、「棒状キー型シリンダー錠」と称することがある。)と、鍵(キー)としての棒状キー(図示略)と、ストライク(受け座乃至受け部)75とを備える。棒状キーは、図示は省略するが、手指により把持するための把持部(例えば、略楕円板状の把持部)と、把持部から所定長さで突出する円柱状のキー部とからなり、キー部の外周面に施錠及び解錠用の所定のキーパターンを刻設したものである。
【0111】
この機械式錠前装置70は、第2のセキュリティドアとしての後扉30用の錠前装置としてのアナログ錠前装置である。実施の形態1のセキュリティドア構造体SSでは、上下一対の機械式錠前装置70が、後扉30の背板31の背面の右端近傍位置の上端近傍位置及び下端近傍位置に、それぞれ、固定して設けられる。
【0112】
錠ケース71は、棒状キー型シリンダー錠の錠構造(錠構成部品)を内蔵した筐体状の部材であって、平面矩形状乃至正方形状の箱状をなしている。下側の機械式錠前装置70の場合、錠ケース71は、後扉30の背板31の下端部において、外枠10の下板12の上面よりも上側の所定位置に螺子止めやビス止め等によって固定して配置される。詳細には、錠ケース71は、その下端が、下板12の上面と面一となるよう(正確には、錠ケース71の下端が、下板12の上面と干渉しない程度の若干の間隙をおいて、下板12の上面と略面一となるよう)、背板31の背面(後面)の下端部の所定位置に装着される。また、錠ケース71は、その右端が、右板14の内側面と面一となるよう(正確には、錠ケース71の右端が、右板14の内側面と干渉しない程度の若干の間隙をおいて、右板14の内側面と略面一となるよう)、背板31の背面(後面)の下端部の所定位置に装着される。
【0113】
一方、上側の機械式錠前装置70の場合、錠ケース71は、後扉30の背板31の上端部において、外枠10の上板11の下面よりも下側の所定位置に螺子止めやビス止め等によって固定して配置される。詳細には、錠ケース71は、その上端が、上板11の下面と面一となるよう(正確には、錠ケース71の上端が、上板11の下面と干渉しない程度の若干の間隙をおいて、上板11の下面と略面一となるよう)、或いは、その上端が、上板11の下面から若干の距離を射て、背板31の背面(後面)の上端部の所定位置に装着される。また、錠ケース71は、その右端が、右板14の内側面と面一となるよう(正確には、錠ケース71の右端が、右板14の内側面と干渉しない程度の若干の間隙をおいて、右板14の内側面と略面一となるよう)、背板31の背面(後面)の上端部の所定位置に装着される。
【0114】
前記シリンダー部72は、錠ケース71の前面の中央部から前方に突出するよう一体的に設けられる円筒状の部材であり、棒状キーを差し込むための鍵穴を中心部に貫通形成している。シリンダー部72は、錠ケース71の裏面(錠ケース71の背面)から、背板31の内部に埋設して設けられている。また、背板31において、シリンダー部72の中央の鍵穴に整合する位置には、棒状キーの外径(例えば、5~6mmの外径)より若干大きな小径(例えば、8mm)の直径を有する円形の棒状キー挿通用のキー挿通孔74が、シリンダー部72の鍵穴と同軸状となるように形成されている。
【0115】
下側の機械式錠前装置70の場合、キー挿通孔74は、図18中の拡大図に示すように、その前端の円形開口のみが、背板31の前面における対応する位置(背板31の下端部の右端側の位置)で露出している。
【0116】
上側の機械式錠前装置70の場合、キー挿通孔74は、その前端の円形開口のみが、背板31の前面における対応する位置(背板31の上端部の右端側の位置)で露出している。
【0117】
棒状キーをシリンダー部72の鍵穴に差し込んで、所定方向(典型的には、時計回り方向)に回動することで、棒状キーにより、シリンダー部72及び錠ケース71内の施錠機構が作動し、錠ケース71の右側面(右端面)から、デッドボルト73が突出するようになっている。また、棒状キーをシリンダー部72の鍵穴に差し込んで、前記所定方向(典型的には、反時計回り方向)に回動することで、棒状キーにより、シリンダー部72及び錠ケース71内の解錠機構が作動し、錠ケース71の右側面(右端面)から突出するデッドボルト73が、錠ケース71の内部に没入するようになっている。
【0118】
下側の機械式錠前装置70の場合、ストライク75は、右板14の下端部の内側面において、錠ケース71の右側面と対向する部位乃至領域に形成した凹部内に埋設して固定されている。
【0119】
上側の機械式錠前装置70の場合、ストライク75は、右板14の上端部の内側面において、錠ケース71の右側面と対向する部位乃至領域に形成した凹部内に埋設して固定されている。
【0120】
そして、上記のように、シリンダー部72に棒状キーを差し込んで施錠動作することで、図18及び図19の拡大図に示すように、デッドボルト73が、錠ケース71の右側面から突出して、右板14の凹部内のストライク75に嵌合し、後扉30を外枠10に対して施錠するようになっている。一方、上記のように、シリンダー部72に棒状キーを差し込んで解錠動作することで、デッドボルト73が、右板14のストライク75から退避し、錠ケース71に没入して、後扉30を外枠10に対して解錠するようになっている。この解錠状態では、図5中に仮想線で示すように、後扉30の前側のいずれかの部位(例えば、棚板32の前端)を後方に押すことで、後扉30を外枠10に対して開放することができ、管理者が、後扉30の後方の第2の空間S2(セキュリティルーム)に入室することができる。また、この解錠状態では、図5中に実線で示すように、後扉30の後側の部位(例えば、背板31)を前方に押すことで、後扉30を外枠10に対して閉じることができる。
【0121】
<背板の前面の機械式錠前装置の露出部の視認困難性>
上記のように、下側の機械式錠前装置70の場合、キー挿通孔74は、図18中の拡大図に示すように、その前端の円形開口のみが、背板31の前面における対応する位置(背板31の下端部の右端側の位置)で露出している。また、上側の機械式錠前装置70の場合、キー挿通孔74は、その前端の円形開口のみが、背板31の前面における対応する位置(背板31の上端部の右端側の位置)で露出している。したがって、後扉30の背板の前面に非常に小さな直径で露出する上記のような円形開口は、それ自体、非常に視認することが困難となる。
【0122】
上記のように、実施の形態1のセキュリティドア構造体SSでは、図14に示すように、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42をオン動作すると、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31よりも前方の空間が、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からの照明光により照明される。これにより、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31から前方に突出する棚32が、その照明光の光量及び照明範囲に応じた態様で照明される。また、この照明状態では、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42からの照明光による所定の光量の光が、前扉20の機能性鏡板22の後側から前方に放射されて、機能性鏡板20に当該所定の光量の光として入射し、機能性鏡板20を当該所定の光量の光として透過する。
【0123】
<内部照明のオン状態での内照式飾り棚機能>
即ち、前記壁状構造体WSを前記特定の部屋の室内空間に配置して、室内空間を第1の空間S1と第2の空間S2とに区画した場合において、第1の空間S1の照明器具をオンにする一方で、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42を点灯して照明状態とした場合、外枠10の内部空間において、後扉30の背板31よりも前方の空間は、照明空間となる。このとき、セキュリティドア構造体SSは、外枠10の内部において背板31の前方の空間により、棚31を内照式飾り棚として外部の人に視認させる、内照式飾り棚機能を提供する。
【0124】
<LEDライン照明具の非照明範囲によるキー挿通孔秘匿機能>
ここで、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の両者の照明による照明範囲は、図7中の平面視における仮想線、及び、図12中の側面視における仮想線で示すように、所定の範囲のみを照明する照明範囲LAとなる。また、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の両者の照明による照明範囲LAは、外枠10の内部空間において、その後側における照明範囲LAの限界位置乃至限界境界である照明限界LA1を有する。そして、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の光学特性は、前記照明範囲LAの照明限界LA1が、外枠10の内部空間において、背板31の前面よりも所定距離だけ前方の位置となるような光学特性に設定されている。よって、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の両者の照明による照明範囲LAは、外枠10の内部空間において、前記照明限界LA1よりも後方の領域に至ることはなく、たとえ、一部の照明光が照明限界LA1よりも後方の領域に至ることがあるとしても、その光量は、通常の視力を有する人が目視により確認できるような光量とはならない。よって、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、外枠10の内部空間において、前記照明限界LA1よりも後方の領域は、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の両者の照明による照明光が到達不可能な、非照明範囲NLAとなる。
【0125】
したがって、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、上記の後扉30の機械式錠前装置70の一部の構成であるキー挿通孔74の前端の小径の円形の開口が、外枠10の内部空間において、背板31の上端部及び下端部の右端部に露出するが、外枠10の内部空間において、前記照明限界LA1よりも後方の領域は、LEDライン照明具41及びLEDライン照明具42の両者の照明による照明光が到達不可能な、非照明範囲NLAとなるため、通常の視力を有する人が、そのキー挿通孔74を目視により確認することは非常に困難であり、本実施の形態のセキュリティドア構造体SSは、LEDライン照明具41,42の非照明範囲NLAによるキー挿通孔秘匿機能を発揮する。
【0126】
<電磁式錠前装置のタッチセンサ>
本実施の形態のセキュリティドア構造体SSでは、上記のように、管理者が、後扉30を開いて第2の空間S2(セキュリティルーム)に入室したときに、誤って、或いは、意図せずに、前扉20が閉じてしまい、電磁式錠前装置が施錠動作して、前扉20が施錠状態となった場合を想定し、そのような場合に、第2の空間S2(セキュリティルーム)内の管理者が、第2の空間S2(セキュリティルーム)内から前扉20を解錠操作できるよう、第2の空間S2(セキュリティルーム)の壁内面(即ち、壁状構造体WSの背面、乃至、ディスプレイ構造体DSの背面)の所定位置には、図19に示すように、電磁式錠前装置を解錠動作するためのタッチスイッチ91が配設されている。
【0127】
<本発明の別例>
本発明のセキュリティドア構造体は、実施の形態1のように、外枠の内部空間において、第2のセキュリティドアとなる後扉を、背板及び棚板からなる内照式の飾り棚として構成する以外に、外枠の内部空間において、第2のセキュリティドアとなる後扉を、実施の形態1で示した前記ワードローブ構造体RSの背板により構成したり(この場合も、ワードローブ構造体RSの扉が、フレームと機能性鏡板とからなり、第1のセキュリティドアとして機能する。)、第2のセキュリティドアとなる後扉を、実施の形態1で示した前記キャビネット構造体CSの背板により構成したり(この場合も、キャビネット構造体CSの扉が、フレームと機能性鏡板とからなり、第1のセキュリティドアとして機能する。)、外枠の内部空間において、第2のセキュリティドアとなる後扉を、背板を有する別の家具構造体の背板により構成したり(この場合も、その家具構造体の前面の開口部の扉が、フレームと機能性鏡板とからなり、第1のセキュリティドアとして機能する。)することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、セキュリティドア、セキュリティルームを有する構造体、及び、その類似製品の用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
S1:(室内空間の)第1の空間
S2:(室内空間の)第2の空間(セキュリティルーム)
W1:(室内空間の)前壁
W2:(室内空間の)後壁
W3:(室内空間の)左壁
W4:(室内空間の)右壁
WD:(部屋の前壁の)ドア
CL:(室内空間の)天井(天井壁)
FL:(室内空間の)床(床壁)
WS:(セキュリティドアを備える)壁状構造体
SS:セキュリティドア構造体
DS:ディスプレイ構造体
RS:ワードローブ構造体
CS:キャビネット構造体
B1:第1の収納ボックス
B2:第2の収納ボックス
B3:第3の収納ボックス
B4:第4の収納ボックス
10:(セキュリティドア構造体の)外枠
11:(セキュリティドア構造体の外枠の)上板(上枠)
12:(セキュリティドア構造体の外枠の)下板(底板又は沓摺)
13:(セキュリティドア構造体の外枠の)左板(左縦枠)
14:(セキュリティドア構造体の外枠の)右板(右縦枠)
20:(セキュリティドア構造体の)前扉(第1のセキュリティドア)
21:(第1のセキュリティドアの)フレーム
22:(第1のセキュリティドアの)機能性鏡板
22a:(機能性鏡板の)透明ガラス基板
22b:(機能性鏡板の)タッチセンサ層
22c:(機能性鏡板の)誘電体層
25:スライド丁番
30:(セキュリティドア構造体の)後扉(第2のセキュリティドア)
31:(第2のセキュリティドアの)背板
32:(第2のセキュリティドアの)棚板
32(PS):位置確認用棚板
35:隠し丁番
41:(外枠の左板に埋設される照明器具としての)LEDライン照明具
42:(外枠の右板に埋設される照明器具としての)LEDライン照明具
50:(第1のセキュリティドア用の電磁式錠前装置の)電磁錠本体
51:電磁吸着ブロック体
52:ストライクプレート
60:押出しピン装置
61:押出しピン
62:押圧ばね
70:(第2のセキュリティドア用の)機械式錠前装置
71:錠ケース(錠本体)
72:シリンダー部
73:デッドボルト
74:キー挿通孔
75:ストライク
80:制御ボックス
81:(制御ボックスの)ケース
82:(制御ボックスの)非接触検知部
100:全構造体用枠(全構造体用フレーム)
101:外枠部
102:支持フレーム
110:(ディスプレイ構造体の)扉
111:(ディスプレイ構造体の扉の)機能性鏡板)
112:ディスプレイ
113:上側フレーム(上枠)
114:下側フレーム(下枠)
115:(ディスプレイ構造体の)開口部
116:(第2の収納ボックスB2の上側の小ボックスの)下板
120:第1の収納部
121:(第1の収納部の)枠体(フレーム)
122:(第1の収納部の)棚板
130:第2の収納部
131:(第2の収納部の)枠体(フレーム)
140:(ワードローブ構造体の)扉
141:(ワードローブ構造体の扉の)機能性鏡板
150:(キャビネット構造体の)扉
151:(キャビネット構造体の扉の)機能性鏡板
LA:(LEDライン照明具の)照明範囲
LA1:(LEDライン照明具の)照明限界
NLA:非照明領域
DA:(電磁錠の解錠制御用の制御ボックスの)検知範囲
DA1:(電磁錠の解錠制御用の制御ボックスの)検知範囲の高さ寸法
DA2:(電磁錠の解錠制御用の制御ボックスの)検知範囲の幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36