(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001314
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】型枠セット及び施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 17/02 20060101AFI20241225BHJP
E04G 17/12 20060101ALI20241225BHJP
E04G 17/04 20060101ALI20241225BHJP
E04G 17/065 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
E04G17/02 B
E04G17/12
E04G17/04 B
E04G17/065 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100825
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】山内 誠
(72)【発明者】
【氏名】平尾 昂之
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150BA52
2E150CA11
2E150EA01
2E150EC13
2E150FA22
2E150GA03
2E150GB03
2E150HC00
2E150HG01
2E150HG03
2E150MA02X
2E150MA12X
2E150MA47X
(57)【要約】
【課題】施工性を向上させること。
【解決手段】型枠セットは、コンクリートが打設される打設空間SPを形成する。この型枠セットは、打設空間SPの一方の側面を形成する第1の型枠パネル2と、打設空間SPの対向する他方の側面をそれぞれ形成する2つの第2の型枠パネル3と、2つの第2の型枠パネル3を上下に並べた状態で連結する連結材5と、打設空間SPを横断し、第1の型枠パネル2及び2つの第2の型枠パネル3同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータ6とを備える。セパレータ6と連結材5とには、セパレータ6と連結材5との間を仮固定するための係合構造100が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セットであって、
前記打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、
前記打設空間の対向する他方の側面をそれぞれ形成する2つの第2の型枠パネルと、
前記2つの第2の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する連結材と、
前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記2つの第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータとを備え、
前記セパレータと前記連結材とには、
前記セパレータと前記連結材との間を仮固定するための係合構造が設けられている
ことを特徴とする型枠セット。
【請求項2】
前記係合構造は、
前記連結材に設けられ、前記打設空間に向けて突出して前記セパレータの一部が載置されるヒレ部と、
前記セパレータと前記ヒレ部との一方に設けられ、上下方向に沿って窪む凹部と、
前記セパレータと前記ヒレ部との他方に設けられ、前記凹部に挿入される係合突起とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠セット。
【請求項3】
前記第2の型枠パネルは、
長辺同士が隣接するように組まれた短冊状の複数の板片を有し、
前記板片は、
隣接するものの前記長辺同士が回転可能に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠セット。
【請求項4】
前記連結材には、
前記2つの第2の型枠パネルの一方の上端が挿入される第1の溝部と、
前記2つの第2の型枠パネルの他方の下端が挿入される第2の溝部とが設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の型枠セット。
【請求項5】
前記打設空間の外側から端太材とともに前記2つの第2の型枠パネル側の強度を保持する保持具をさらに備え、
前記連結材には、
前記保持具が取り付けられる取付部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠セット。
【請求項6】
前記取付部は、
水平方向に沿って延在する蟻溝であり、
前記蟻溝は、
前記保持具の一部が挿通される挿通凹部と、前記挿通凹部の側面から互いに近接する方向にそれぞれ突出し、前記挿通凹部の開口方向への前記保持具の抜けを防止する一対の突出片とを有する
ことを特徴とする請求項5に記載の型枠セット。
【請求項7】
前記第1の型枠パネルは、
2つ設けられ、
前記連結材は、
前記2つの第1の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する第1の連結材と、
前記2つの第2の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する第2の連結材とを備え、
前記係合構造は、
前記セパレータと前記第1の連結材とに設けられ、前記セパレータと前記第1の連結材との間を仮固定するための第1の係合構造と、
前記セパレータと前記第2の連結材とに設けられ、前記セパレータと前記第2の連結材との間を仮固定するための第2の係合構造とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠セット。
【請求項8】
コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルを設置する第1の型枠パネル設置工程と、
前記打設空間の他方の側面の下側を形成する第2の下側型枠パネルを設置する第2の下側型枠パネル設置工程と、
前記第2の下側型枠パネルに連結材を設置する連結材設置工程と、
前記打設空間の他方の側面の上側を形成する第2の上側型枠パネルを前記連結材にて前記第2の下側型枠パネルの上側に連結する第2の上側型枠パネル設置工程と、
前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネルと前記第2の下側型枠パネル及び前記第2の上側型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを前記連結材に係合させて前記連結材に仮固定するセパレータ設置工程とを備え、
前記第2の上側型枠パネル設置工程は、
前記セパレータ設置工程の後に実施される
ことを特徴とする施工方法。
【請求項9】
コンクリートが打設される打設空間の一方の側面の下側を形成する第1の下側型枠パネルを設置する第1の下側型枠パネル設置工程と、
前記第1の下側型枠パネルに第1の連結材を設置する第1の連結材設置工程と、
前記打設空間の一方の側面の上側を形成する第1の上側型枠パネルを前記第1の連結材にて前記第1の下側型枠パネルの上側に連結する第1の上側型枠パネル設置工程と、
前記打設空間の他方の側面の下側を形成する第2の下側型枠パネルを設置する第2の下側型枠パネル設置工程と、
前記第2の下側型枠パネルに第2の連結材を設置する第2の連結材設置工程と、
前記打設空間の他方の側面の上側を形成する第2の上側型枠パネルを前記第2の連結材にて前記第2の下側型枠パネルの上側に連結する第2の上側型枠パネル設置工程と、
前記打設空間を横断し、前記第1の下側型枠パネル及び前記第1の上側型枠パネルと前記第2の下側型枠パネル及び前記第2の上側型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを前記第1の連結材及び前記第2の連結材にそれぞれ係合させて前記第1の連結材及び前記第2の連結材にそれぞれ仮固定するセパレータ設置工程とを備え、
前記第1の上側型枠パネル設置工程及び前記第2の上側型枠パネル設置工程の少なくともいずれか一方の工程は、
前記セパレータ設置工程の後に実施される
ことを特徴とする施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セット及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の基礎の施工時には、型枠セットによって、コンクリートが打設される打設空間を形成する。このような型枠セットは、一般的に、以下に示す第1,第2の型枠パネルと、セパレータとを備える。
第1,第2の型枠パネルは、打設空間の互いに対向する各側面をそれぞれ形成する。
セパレータは、打設空間を横断し、第1,第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定する。
【0003】
また、基礎高さが比較的に高い基礎の施工において、当該基礎高さに対応させた型枠セットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の型枠セットでは、第1の型枠パネルを上下に段積みし、当該2つの第1の型枠パネル同士をボルト締め等により一体に接合して1つの型枠パネルとして扱う。また、第2の型枠パネルも同様に上下に段積みし、当該2つの第2の型枠パネル同士をボルト締め等により一体に接合して1つの型枠パネルとして扱う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基礎高さが比較的に高い基礎の施工時には、上下一体に接合された2つの型枠パネルの高さが高いため、当該2つの型枠パネルの上から打設空間に手を差し込んでセパレータを取り付ける作業が難しいものとなり、施工性を向上させることが難しい。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、施工性を向上させることができる型枠セット及び施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る型枠セットは、コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セットであって、前記打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面をそれぞれ形成する2つの第2の型枠パネルと、前記2つの第2の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する連結材と、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記2つの第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータとを備え、前記セパレータと前記連結材とには、前記セパレータと前記連結材との間を仮固定するための係合構造が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る施工方法は、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルを設置する第1の型枠パネル設置工程と、前記打設空間の他方の側面の下側を形成する第2の下側型枠パネルを設置する第2の下側型枠パネル設置工程と、前記第2の下側型枠パネルに連結材を設置する連結材設置工程と、前記打設空間の他方の側面の上側を形成する第2の上側型枠パネルを前記連結材にて前記第2の下側型枠パネルの上側に連結する第2の上側型枠パネル設置工程と、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネルと前記第2の下側型枠パネル及び前記第2の上側型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを前記連結材に係合させて前記連結材に仮固定するセパレータ設置工程とを備え、前記第2の上側型枠パネル設置工程は、前記セパレータ設置工程の後に実施されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る施工方法は、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面の下側を形成する第1の下側型枠パネルを設置する第1の下側型枠パネル設置工程と、前記第1の下側型枠パネルに第1の連結材を設置する第1の連結材設置工程と、前記打設空間の一方の側面の上側を形成する第1の上側型枠パネルを前記第1の連結材にて前記第1の下側型枠パネルの上側に連結する第1の上側型枠パネル設置工程と、前記打設空間の他方の側面の下側を形成する第2の下側型枠パネルを設置する第2の下側型枠パネル設置工程と、前記第2の下側型枠パネルに第2の連結材を設置する第2の連結材設置工程と、前記打設空間の他方の側面の上側を形成する第2の上側型枠パネルを前記第2の連結材にて前記第2の下側型枠パネルの上側に連結する第2の上側型枠パネル設置工程と、前記打設空間を横断し、前記第1の下側型枠パネル及び前記第1の上側型枠パネルと前記第2の下側型枠パネル及び前記第2の上側型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを前記第1の連結材及び前記第2の連結材にそれぞれ係合させて前記第1の連結材及び前記第2の連結材にそれぞれ仮固定するセパレータ設置工程とを備え、前記第1の上側型枠パネル設置工程及び前記第2の上側型枠パネル設置工程の少なくともいずれか一方の工程は、前記セパレータ設置工程の後に実施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る型枠セット及び施工方法によれば、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る型枠セットを示す図である。
【
図2】第2の型枠パネルの構成を説明する図である。
【
図3】第2の型枠パネルの構成を説明する図である。
【
図10】実施の形態の変形例1を説明する図である。
【
図11】実施の形態の変形例1を説明する図である。
【
図12】実施の形態の変形例1を説明する図である。
【
図13】実施の形態の変形例1を説明する図である。
【
図14】実施の形態の変形例1を説明する図である。
【
図15】実施の形態の変形例1を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0013】
〔型枠セットの概略構成〕
図1は、実施の形態に係る型枠セット1を示す図である。具体的に、
図1は、コンクリートが打設される打設空間SPにおける一対の側面の対向する方向に直交する水平方向に沿う方向から型枠セット1を見た図である。なお、
図1では、住宅の基礎の施工時において、型枠セット1が組み立てられ、コンクリートが打設された後の状態を示している。
型枠セット1は、住宅等の基礎の施工に用いられる。ここで、基礎としては、戸建て住宅等のべた基礎や布基礎等を例示することができる。また、本実施の形態では、当該基礎は、基礎高さが約1500mm程度と比較的に高い基礎である。この型枠セット1は、第1の型枠パネル2と、第2の型枠パネル3と、型枠治具4と、連結材5とを備える。
【0014】
第1の型枠パネル2は、コンクリートが打設される打設空間SPの一方の側面を形成する型枠パネルである。本実施の形態では、第1の型枠パネル2は、鋼製の板体、樹脂製の板体、または木製の合板(コンパネ)等の平板状のパネルであり、打設空間SPの外周面を形成する。当該打設空間SPの外周面は、複数の第1の型枠パネル2の表面が鉛直方向に平行となる姿勢で水平方向に連なる状態で配設されることで形成される。なお、本実施の形態では、上述したように基礎高さが約1500mmと高いものであるが、2つの第1の型枠パネル2を上下に並べることなく、上下方向には1つのみの第1の型枠パネル2を用いる。
【0015】
図2及び
図3は、第2の型枠パネル3の構成を説明する図である。具体的に、
図2は、第2の型枠パネル3の斜視図である。
図3は、第2の型枠パネル3における板片31同士の連結構造を示す拡大斜視図である。
第2の型枠パネル3は、打設空間SPの対向する他方の側面を形成する型枠パネルである。本実施の形態では、上述したように基礎高さが約1500mmと高いものであり、2つの第2の型枠パネル3を上下に並べることで当該基礎高さに対応させている。また、本実施の形態では、第2の型枠パネル3は、波形状の断面が打設空間SPにおける一対の側面の対向する方向に直交する水平方向に連続するパネルであり、打設空間SPの内周面を形成する。また、第2の型枠パネル3は、長辺311同士が隣接するように組まれた短冊状の複数の板片31によって構成されている。すなわち、第2の型枠パネル3は、所謂スラット構造であり、隣接する板片31の長辺311同士が当該長辺311に沿う方向を基準として回転可能に連結されている。
【0016】
板片31は、例えば、鋼板をプレス加工したものである。
具体的に、板片31は、一対の長辺311に沿って鉤手部311a,311bを有している。そして、隣接する板片31同士は、鉤手部311aと鉤手部311bとが係合して回転可能に連結される。これら鉤手部311a,311bは、それぞれ略360°程度の円弧による薄形状となっている。ここで、一方の長辺311に沿った鉤手部311aは、他方の長辺311に沿った鉤手部311bよりもやや小さい。すなわち、鉤手部311a,311bは、大きさの違いによって互いに係合可能に構成されている。
【0017】
また、板片31は、平面部312と、当該平面部312の両端から当該平面部312の一方の面312a側にそれぞれ傾斜し、端縁がそれぞれ長辺311となる一対の斜面部313を有する。ここで、平面部312の中央には、長尺方向に沿った直線状の屈曲筋314が形成されている。
【0018】
さらに、板片31の一方の長辺311の端部には、鉤手部311aのない欠損部315が形成されている。また、板片31の他方の長辺311の端部において、欠損部315を介して外部に露出する鉤手部311bの端部は、当該鉤手部311bを加締めた抜止部316を有する。そして、隣接する板片31同士は、抜止部316が鉤手部311aの端面に当接することにより、当該板片31同士の変位が制限され、連結した状態が維持される。この抜止部316は、ペンチ等の工具によって容易に形成することができる。また、抜止部316は、同様の工具により元の鉤手部311bの形状に戻すこと、または、切り取ることも可能である。すなわち、抜止部316を元の鉤手部311bの形状に戻す、または、切り取ることにより、隣接する板片31を離脱させ、必要に応じて第2の型枠パネル3を短くすることができる。さらに、鉤手部311a,311b同士を係合させて抜止部316を形成することにより、必要に応じて第2の型枠パネル3を長くすることができる。これらの作業は、施工現場において、簡易な工具によって容易に行うことができる。
【0019】
以上説明した第2の型枠パネル3は、鉤手部311a,311bが大きい角度範囲に亘る円弧の渦形状同士が係合していることから、概念的には2本のポールが同心状に存在しているのと同様である。このため、第2の型枠パネル3は、高強度であって反り難く、コンクリート打設時に作用する内圧に耐え得る。また、板片31は、平面部312、及び当該平面部312の両端から長辺311までの一対の斜面部313を有する台形断面となっており、さらに曲がり難くなっている。さらに、板片31は、平面部312に長尺方向に沿った直線状の屈曲筋314が形成されていることから、一層、高強度となっている。
【0020】
また、第2の型枠パネル3は、複数の板片31から構成されており、隣接する板片31の長辺311同士が回転可能に連結されていることから、ロール状に巻き取っておくことで保管及び搬送が可能である。また、ロール状態から巻き出しながら第2の型枠パネル3を設置する施工が可能となり、施工性が向上する。
【0021】
型枠治具4は、第1の型枠パネル2と上下に並ぶ2つの第2の型枠パネル3との間の幅を特定の幅に設定するとともに、型枠セット1の強度を保持する。なお、型枠治具4の詳細な構成については、後述する「型枠治具の構成」において説明する。
【0022】
連結材5は、2つの第2の型枠パネル3を上下に並べた状態で連結する。なお、連結材5の詳細な構成については、後述する「連結材の構成」において説明する。
【0023】
〔型枠治具の構成〕
図4は、型枠治具4の構成を説明する図である。具体的に、
図4は、
図1の一部を拡大した図である。
型枠治具4は、セパレータ6と、第1,第2の保持具7,8とを備える。
【0024】
セパレータ6は、打設空間SPを横断し、第1の型枠パネル2と上下に並ぶ2つの第2の型枠パネル3との間の幅を特定の幅に設定する。このセパレータ6は、棒状部材61と、係合部材62とを備える。
【0025】
棒状部材61は、第1の型枠パネル2の表裏を貫通する貫通孔H1に挿通される。この棒状部材61は、円柱状の一対の棒状部611,612が直線状に並ぶように連結部613によって連結された構成を有する。本実施の形態では、連結部613は、Pコンによって構成されている。
【0026】
係合部材62は、棒状部材61(棒状部611)と接続するとともに、連結材5に係合する。この係合部材62は、立上げ片621と、固定部622と、平面部623と、係合突起624とを備える。
【0027】
立上げ片621は、平面視矩形状の平板によって構成されている。この立上げ片621には、表裏を貫通する挿通孔621aが形成されている。
【0028】
固定部622は、立上げ片621と棒状部611とを接続(固定)する。本実施の形態では、固定部622は、ナットによって構成されている。そして、固定部622は、挿通孔621aに棒状部611の一端が挿通され、当該一端の外周面に形成されたネジ溝(図示略)に固定されることで、立上げ片621と当該棒状部611とを接続する。
【0029】
平面部623は、立上げ片621における外縁(セパレータ6を使用する状態では上端)から当該立上げ片621の一方の面621b側に略90°屈曲して突出した平板形状を有する。当該一方の面621bは、セパレータ6を使用する状態では、第2の型枠パネル3側に向く面である。
【0030】
係合突起624は、平面部623の突端から当該平面部623の一方の面623a側に略90°屈曲して突出した突起であり、連結材5に係合する部分である。当該一方の面623aは、セパレータ6を使用する状態では、下方に向く面である。
【0031】
第1の保持具7は、第1の型枠パネル2の貫通孔H1を介して当該第1の型枠パネル2における打設空間SPとは反対の面側に突出したセパレータ6(棒状部612)に接続する。そして、第1の保持具7は、2本の端太材9とともに型枠セット1における第1の型枠パネル2側の強度を保持する。この第1の保持具7は、ネジ棒71と、押え具72と、固定ナット73とを備える。
【0032】
ネジ棒71は、円柱形状を有し、棒状部612の一端に接続する。より具体的に、ネジ棒71の一端には、ネジ孔(図示略)が形成されている。そして、当該ネジ孔に棒状部612の一端の外周面に形成されたネジ溝を螺合することで、ネジ棒71は、棒状部612の一端に接続する。
【0033】
押え具72は、2本の端太材9を第1の型枠パネル2に対して押さえる。この押え具72には、ネジ棒71が挿通される挿通孔721が形成されている。そして、押え具72は、挿通孔721にネジ棒71が挿通された状態で当該ネジ棒71に組み付けられる。また、押え具72において、第1の型枠パネル2側の面には、2本の端太材9の外形形状にそれぞれ応じた一対の当接面722が形成されている。
【0034】
固定ナット73は、ネジ棒71の外周面に形成されたネジ溝(図示略)に螺合する。そして、固定ナット73を締め付けることで、押え具72と第1の型枠パネル2との間で2本の端太材9を固定する。
【0035】
第2の保持具8は、連結材5に接続し、本発明に係る保持具に相当する。そして、第2の保持具8は、2本の端太材9とともに型枠セット1における第2の型枠パネル3側の強度を保持する。この第2の保持具8は、ネジ棒81と、押え具82と、固定ナット83と、棒状部材84とを備える。なお、ネジ棒81、押え具82、及び固定ナット83は、上述した第1の保持具7におけるネジ棒71、押え具72、及び固定ナット73と同様の構成である。すなわち、押え具82には、挿通孔721と同様の挿通孔821と、一対の当接面722と同様の一対の当接面822とが形成されている。
【0036】
棒状部材84は、円柱形状を有し、連結材5に接続する。より具体的には、棒状部材84の一端の外周面には、ネジ溝(図示略)が形成されている。そして、当該ネジ溝をネジ棒81の一端に形成されたネジ孔(図示略)に螺合することで、棒状部材84は、ネジ棒81の一端に接続する。また、棒状部材84の他端には、ナット841が溶接によって固定されている。そして、棒状部材84は、ナット841によって連結材5に接続する。
【0037】
〔連結材の構成〕
図5は、連結材5の構成を説明する図である。具体的に、
図5は、
図4の一部を拡大した図である。
連結材5は、アルミニウム等の金属製の押出形材によって構成され、全長に亘って略同一の断面形状を有する。この連結材5は、打設空間SPを構成する他方の側面において、当該打設空間SPの一対の側面に対向する方向に直交する水平方向の全長と略同一の全長を有する。この連結材5は、基部51と、第1の溝部52と、第2の溝部53と、ヒレ部54とを備える。
【0038】
基部51は、第1の側壁部511と、一対の第2の側壁部512と、一対の突出片513と、溝形成部514とを備える。
第1の側壁部511は、上下方向に延在する平板形状を有する。
一対の第2の側壁部512は、第1の側壁部511の上下端から当該第1の側壁部511に略90°屈曲してそれぞれ突出し、互いに対向するように延在する。
一対の突出片513は、一対の第2の側壁部512の突端から互いに近接する方向にそれぞれ突出した部分である。
溝形成部514は、一対の第2の側壁部512において、第1の側壁部511と一対の突出片513との間の位置で当該一対の第2の側壁部512同士を接続するように延在した部分である。
【0039】
そして、一対の第2の側壁部512及び溝形成部514によって、本発明に係る挿通凹部515に相当する。また、一対の突出片513は、挿通凹部515に挿通された第2の保持具8の一部を当該挿通凹部515の開口方向(
図5中、右側)への当該第2の保持具8の抜けを防止する。このため、挿通凹部515と、一対の突出片513とは、本発明に係る蟻溝516に相当する。また、当該蟻溝516は、本発明に係る取付部に相当する。
【0040】
第1の溝部52は、一対の第2の側壁部512のうち、連結材5を使用する状態において下側に位置する第2の側壁部512から下側にそれぞれ突出する一対のヒレ部521を有する。そして、第1の溝部52は、当該第2の側壁部512と一対のヒレ部521とによって構成される略U字状の溝であり、上下に並ぶ2つの第2の型枠パネル3のうち、下側に位置する第2の型枠パネル3の上端が挿入される。
【0041】
第2の溝部53は、一対の第2の側壁部512のうち、連結材5を使用する状態において上側に位置する第2の側壁部512から上側にそれぞれ突出する一対のヒレ部531を有する。そして、第2の溝部53は、当該第2の側壁部512と一対のヒレ部531とによって構成される略U字状の溝であり、上下に並ぶ2つの第2の型枠パネル3のうち、上側に位置する第2の型枠パネル3の下端が挿入される。
【0042】
ヒレ部54は、第1の側壁部511から一対の第2の側壁部512とは反対側に突出した部分である。このヒレ部54には、下方に向けて窪み、係合突起624が挿入される凹部541が設けられている。すなわち、凹部541は、係合突起624と係合する部分である。そして、ヒレ部54と、凹部541と、係合突起624とは、本発明に係る係合構造100に相当する。
【0043】
〔施工方法〕
次に、上述した型枠セット1を用いた基礎の施工方法について説明する。
図6ないし
図9は、施工方法を示す図である。
先ず、作業者は、予め捨てコンクリート上に取り付けた型枠保持具200における第1のパネル保持部210に第1の型枠パネル2を設置する(第1の型枠パネル設置工程(
図6)。
【0044】
次に、作業者は、第1の型枠パネル2の貫通孔H1に打設空間SP側からセパレータ6における棒状部材61(棒状部612)を挿通するとともに、当該棒状部612の一端に第1の保持具7を接続する(
図6)。また、作業者は、セパレータ6を避けつつ、打設空間SPに鉄筋300を設置する(
図6)。
【0045】
次に、作業者は、型枠保持具200における第2のパネル保持部220に取り付けた下枠レール230上に第2の型枠パネル3を設置する(第2の下側型枠パネル設置工程(
図7)。以下、当該第2の型枠パネル3を第2の下側型枠パネル3Dと記載する。
【0046】
次に、作業者は、ヒレ部54が打設空間SP内に位置する姿勢で第2の下側型枠パネル3Dの上端に第1の溝部52を挿入して連結材5を設置する(連結材設置工程(
図7))。また、作業者は、平面部623をヒレ部54に載置するとともに係合突起624を凹部541に挿入してセパレータ6を連結材5に仮固定する(セパレータ設置工程(
図7))。さらに、作業者は、平面部623及びヒレ部54同士をネジ等の固定具SC1にて固定する。これにより、セパレータ6は、連結材5に固定される。また、作業者は、一対のヒレ部521と第2の下側型枠パネル3Dの上端側とをビス等の固定具SC2にて固定する。
以上のようにセパレータ6が固定されることで、第2の下側型枠パネル3Dは、第1の型枠パネル2に対して特定の幅だけ離間した状態で当該第1の型枠パネル2に対向する。
【0047】
次に、作業者は、第2の溝部53に第2の型枠パネル3の下端を挿入して当該第2の型枠パネル3を第2の下側型枠パネル3Dの上側に連結する(第2の上側型枠パネル設置工程(
図8)。以下、当該第2の型枠パネル3を第2の上側型枠パネル3Uと記載する。また、作業者は、第1の型枠パネル2の上端と第2の上側型枠パネル3Uの上端との間を上端保持具400によって接続する(
図8)。
【0048】
次に、作業者は、打設空間SPの外側から第2の保持具8(ナット841)を蟻溝516に挿入することで連結材5に接続する。また、作業者は、第1の型枠パネル2と押え具72との間に端太材9を取り付け、第2の下側型枠パネル3D及び第2の上側型枠パネル3Uと押え具82との間に端太材9を取り付ける。(
図9)。
【0049】
以上の工程の後、打設空間SPにコンクリートを打設する。
【0050】
なお、作業者は、コンクリートが硬化した後、以下の脱型作業を行う。
すなわち、作業者は、端太材9の取り外し、セパレータ6(棒状部612)からの第1の保持具7の取り外し、第1の型枠パネル2の取り外し、棒状部611からの連結部613(棒状部612を含む)の取り外し、及び連結材5からの第2の保持具8の取り外しを順次、行う。
【0051】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態において、本発明に係る係合構造は、上述した実施の形態で説明した係合構造100に限らず、セパレータ6と連結部5とを仮固定することができれば、その他の係合構造を採用しても構わない。
【0052】
上述した実施の形態では、第2の型枠パネル3として、波形状の断面が連続するパネルを採用していたが、これに限らず、第1の型枠パネル2と同様の平板状のパネルを採用しても構わない。すなわち、第1,第2の型枠パネル2,3の双方を平板状のパネルによって構成しても構わない。
【0053】
上述した実施の形態において、以下に示す変形例1を採用しても構わない。
図10ないし
図15は、実施の形態の変形例1を説明する図である。具体的に、
図10は、
図1に対応した図である。
図11及び
図12は、
図10の一部をそれぞれ拡大した図である。
図13ないし
図15は、本変形例1の施工方法を示す図である。
上述した実施の形態において、
図10ないし
図12に示した本変形例1の構成を採用しても構わない。以下では、説明の便宜上、本変形例1に係る型枠セット1を型枠セット1Aと記載する。
【0054】
本変形例1に係る型枠セット1Aは、例えば中通り部の基礎の施工に用いられる。この型枠セット1Aでは、上述した実施の形態で説明した第1の型枠パネル2は、上述した実施の形態で説明した第2の型枠パネル3と同様の構成を有し、波形状の断面が連続するパネルによって構成されている。また、本変形例1では、約1500mmの基礎高さに対応させるために、2つの第1の型枠パネル2を上下に並べている。なお、以下では、説明の便宜上、下側に配設される第1の型枠パネル2を第1の下側型枠パネル2Dと記載し、上側に配設される第1の型枠パネル2を第1の上側型枠パネル2Uと記載する。さらに、型枠セット1Aでは、第2の下側型枠パネル3D及び第2の上側型枠パネル3Uを連結する連結材5と同様の構成の連結材5を用いて、第1の下側型枠パネル2D及び第1の上側型枠パネル2Uを連結する。以下では、説明の便宜上、第1の下側型枠パネル2D及び第1の上側型枠パネル2Uを連結する連結材5を第1の連結材5Aと記載し、第2の下側型枠パネル3D及び第2の上側型枠パネル3Uを連結する連結材5を第2の連結材5Bと記載する。また、型枠セット1Aでは、第1の保持具7として、第2の保持具8と同様の構成を用いる。以下では、説明の便宜上、本変形例1に係る第1の保持具7を第1の保持具8Aと記載し、本変形例1に係る第2の保持具8を第2の保持具8Bと記載する。さらに、型枠セット1Aでは、セパレータ6の構成を変更している。以下では、説明の便宜上、本変形例1に係るセパレータ6をセパレータ6Aと記載する。
【0055】
セパレータ6Aは、上述した実施の形態で説明したセパレータ6に対して、連結部613及び棒状部612が省略され、係合部材62と同様の構成の係合部材62がさらに追加されている。なお、以下では、説明の便宜上、棒状部611の一端に接続された係合部材62を第1の係合部材62Aと記載し、当該棒状部611の他端に接続された係合部材62を第2の係合部材62Bと記載する。そして、第1の連結材5Aにおけるヒレ部54及び凹部541と、第1の係合部材62Aにおける係合突起624とは、本発明に係る第1の係合構造100Aに相当する。また、第2の連結材5Bにおけるヒレ部54及び凹部541と、第2の係合部材62Bにおける係合突起624とは、本発明に係る第2の係合構造100Bに相当する。
【0056】
そして、上述した型枠セット1Aを用いた基礎の施工方法は、以下の通りである。
先ず、作業者は、予め捨てコンクリート上に取り付けた型枠保持具200Aにおける第1のパネル保持部240に取り付けた下枠レール250上に第1の下側型枠パネル2Dを設置する(第1の下側型枠パネル設置工程(
図13))。
【0057】
次に、作業者は、ヒレ部54が打設空間SP内に位置する姿勢で第1の下側型枠パネル2Dの上端に第1の溝部52を挿入して第1の連結材5Aを設置する(第1の連結材設置工程(
図13))。
【0058】
次に、作業者は、型枠保持具200Aにおける第2のパネル保持部260に取り付けた下枠レール270上に第2の下側型枠パネル3Dを設置する(第2の下側型枠パネル設置工程(
図13))。
【0059】
次に、作業者は、ヒレ部54が打設空間SP内に位置する姿勢で第2の下側型枠パネル3Dの上端に第1の溝部52を挿入して第2の連結材5Bを設置する(第2の連結材設置工程(
図13))。
【0060】
次に、作業者は、第1の係合部材62Aにおける平面部623を第1の連結材5Aにおけるヒレ部54に載置するとともに当該第1の係合部材62Aにおける係合突起624を当該第1の連結材5Aにおける凹部541に挿入してセパレータ6Aを当該第1の連結材5Aに仮固定する。また、作業者は、第2の係合部材62Bにおける平面部623を第2の連結材5Bにおけるヒレ部54に載置するとともに第2の係合部材62Bにおける係合突起624を第2の連結材5Bにおける凹部541に挿入してセパレータ6Aを当該第2の連結材5Bに仮固定する(セパレータ設置工程(
図13))。さらに、作業者は、セパレータ6Aを避けつつ、打設空間SPに鉄筋300を設置する。また、作業者は、第1の係合部材62Aにおける平面部623と第1の連結材5Aのヒレ部54とをネジ等の固定具SC3にて固定する。さらに、作業者は、第2の係合部材62Bにおける平面部623と第2の連結材5Bのヒレ部54とをネジ等の固定具SC4にて固定する。これにより、セパレータ6Aは、第1,第2の連結材5A,5Bに固定される。また、作業者は、第1の連結材5Aにおける一対のヒレ部521と第1の下側型枠パネル2Dの上端側とをビス等の固定具SC5にて固定する。また、作業者は、第2の連結材5Bにおける一対のヒレ部521と第2の下側型枠パネル3Dの上端側とをビス等の固定具SC6にて固定する。
以上のようにセパレータ6Aが固定されることで、第1の下側型枠パネル2D及び第2の下側型枠パネル3D同士は、特定の幅だけ離間した状態で対向する。
【0061】
次に、作業者は、第1の連結材5Aにおける第2の溝部53に第1の上側型枠パネル2Uの下端を挿入して当該第1の上側型枠パネル2Uを第1の下側型枠パネル2Dの上側に連結する(第1の上側型枠パネル設置工程(
図14))。
【0062】
次に、作業者は、第2の連結材5Bにおける第2の溝部53に第2の上側型枠パネル3Uの下端を挿入して当該第2の上側型枠パネル3Uを第2の下側型枠パネル3Dの上側に連結する(第2の上側型枠パネル設置工程(
図14))。また、作業者は、第1の上側型枠パネル2Uの上端と第2の上側型枠パネル3Uの上端との間を上端保持具400Aによって接続する(
図14)。
【0063】
次に、作業者は、打設空間SPの外側から第1の保持具8A(ナット841)を第1の連結材5Aにおける蟻溝516に挿入することで当該第1の連結材5Aに接続する(
図15)。また、作業者は、打設空間SPの外側から第2の保持具8B(ナット841)を第2の連結材5Bにおける蟻溝516に挿入することで当該第2の連結材5Bに接続する(
図15)。さらに、作業者は、第1の下側型枠パネル2D及び第1の上側型枠パネル2Uと第1の保持具8Aにおける押え具82との間に端太材9を取り付け、第2の下側型枠パネル3D及び第2の上側型枠パネル3Uと第2の保持具8Bにおける押え具82との間に端太材9を取り付ける。(
図15)。
【0064】
以上の工程の後、打設空間SPにコンクリートを打設する。
【0065】
なお、作業者は、コンクリートが硬化した後、以下の脱型作業を行う。
すなわち、作業者は、端太材9の取り外し、及び第1,第2の連結材5A,5Bからの第1,第2の保持具8A,8Bの取り外しを順次、行う。
【0066】
本発明に係る型枠セットは、コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セットであって、前記打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面をそれぞれ形成する2つの第2の型枠パネルと、前記2つの第2の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する連結材と、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記2つの第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータとを備え、前記セパレータと前記連結材とには、前記セパレータと前記連結材との間を仮固定するための係合構造が設けられていることを特徴とする。
【0067】
本発明では、第2の型枠パネルは、2つ設けられている。また、2つの第2の型枠パネルは、連結材によって上下に並べた状態で連結される。そして、セパレータと連結材には、当該セパレータと当該連結材との間を仮固定するための係合構造が設けられている。
このため、例えば基礎高さの高い基礎の施工時には、2つの第2の型枠パネルのうち打設空間の他方の空間の下側を形成する第2の下側型枠パネルのみが設置された状態で、当該第2の下側型枠パネルに設置した連結材に対して、セパレータを仮固定することができる。すなわち、2つの第2の型枠パネルが連結材にて連結された状態で、当該2つの第2の型枠パネルの上から打設空間に手を差し込んでセパレータを取り付ける作業を行う必要がなく、施工性を向上させることができる。
【0068】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記係合構造は、前記連結材に設けられ、前記打設空間に向けて突出して前記セパレータの一部が載置されるヒレ部と、前記セパレータと前記ヒレ部との一方に設けられ、上下方向に沿って窪む凹部と、前記セパレータと前記ヒレ部との他方に設けられ、前記凹部に挿入される係合突起とを備えることを特徴とする。
本発明では、係合構造は、上述したヒレ部、凹部、及び係合突起を備える。このため、ヒレ部上にセパレータの一部を載置させ、係合突起を凹部に挿入するだけで、連結材に対して当該セパレータを容易に仮固定することができ、施工性をさらに向上させることができる。
【0069】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第2の型枠パネルは、長辺同士が隣接するように組まれた短冊状の複数の板片を有し、前記板片は、隣接するものの前記長辺同士が回転可能に接続されていることを特徴とする。
本発明では、第2の型枠パネルが上述したように構成されているため、当該第2の型枠パネルをロール状に巻き取っておくことで保管及び搬送が可能である。また、ロール状態から巻き出しながら第2の型枠パネルを設置する施工が可能となり、施工性をさらに向上させることができる。
【0070】
ところで、例えば比較的に高い基礎高さに対応させて上述したようなロール状態となる第2の型枠パネルを構成した場合には、当該第2の型枠パネルの重量も大きくなり、搬送し難いものとなる。また、高さが高くなるため、ロール状態から巻き出しながら当該第2の型枠パネルを設置する作業も難しく、施工性が悪くなってしまう。
本発明では、ロール状態となる第2の型枠パネルを2つ用いるため、1つずつのロール状態となる第2の型枠パネルの重量が軽くなり、搬送し易いものとなる。また、1つずつの第2の型枠パネルの高さが低くなるため、ロール状態から巻き出しながら当該第2の型枠パネルを設置する作業も容易となり、施工性を向上させることができる。
【0071】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記連結材には、前記2つの第2の型枠パネルの一方の上端が挿入される第1の溝部と、前記2つの第2の型枠パネルの他方の下端が挿入される第2の溝部とが設けられていることを特徴とする。
本発明では、連結材には、上述した第1,第2の溝部が設けられている。このため、第1,第2の溝部をロール状態となる第2の型枠パネルのレールとして用いることができ、当該レールを別途、不要とし、当該第2の型枠パネルを容易に設置することができる。
【0072】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記打設空間の外側から端太材とともに前記2つの第2の型枠パネル側の強度を保持する保持具をさらに備え、前記連結材には、前記保持具が取り付けられる取付部が設けられていることを特徴とする。
本発明では、連結材には、上述した取付部が設けられている。このため、保持具が取り付けられる部材を別途、不要とし、当該保持具と端太材とを用いて、2つの第2の型枠パネル側の強度を良好に保持することができる。
【0073】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記取付部は、水平方向に沿って延在する蟻溝であり、前記蟻溝は、前記保持具の一部が挿通される挿通凹部と、前記挿通凹部の側面から互いに近接する方向にそれぞれ突出し、前記挿通凹部の開口方向への前記保持具の抜けを防止する一対の突出片とを有することを特徴とする。
本発明では、取付部は、上述した蟻溝である。このため、用いる保持具の個数を自由に選択することができる。
【0074】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第1の型枠パネルは、2つ設けられ、前記連結材は、前記2つの第1の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する第1の連結材と、前記2つの第2の型枠パネルを上下に並べた状態で連結する第2の連結材とを備え、前記係合構造は、前記セパレータと前記第1の連結材とに設けられ、前記セパレータと前記第1の連結材との間を仮固定するための第1の係合構造と、前記セパレータと前記第2の連結材とに設けられ、前記セパレータと前記第2の連結材との間を仮固定するための第2の係合構造とを備えることを特徴とする。
本発明では、第1の型枠パネルは、2つ設けられている。また、連結材は、上述した第1,第2の連結材を備える。そして、係合構造は、上述した第1,第2の係合構造を備える。このため、例えば中通り部の基礎を施工する際に、本発明に係る型枠セットを用いて施工性を向上させることができる。
【0075】
本発明に係る施工方法は、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルを設置する第1の型枠パネル設置工程と、前記打設空間の他方の側面の下側を形成する第2の下側型枠パネルを設置する第2の下側型枠パネル設置工程と、前記第2の下側型枠パネルに連結材を設置する連結材設置工程と、前記打設空間の他方の側面の上側を形成する第2の上側型枠パネルを前記連結材にて前記第2の下側型枠パネルの上側に連結する第2の上側型枠パネル設置工程と、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネルと前記第2の下側型枠パネル及び前記第2の上側型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを前記連結材に係合させて前記連結材に仮固定するセパレータ設置工程とを備え、前記第2の上側型枠パネル設置工程は、前記セパレータ設置工程の後に実施されることを特徴とする。
本発明に係る施工方法は、上述した型枠セットを用いた施工方法であるため、上述した型枠セットと同様の作用及び効果を奏する。
【0076】
本発明に係る施工方法は、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面の下側を形成する第1の下側型枠パネルを設置する第1の下側型枠パネル設置工程と、前記第1の下側型枠パネルに第1の連結材を設置する第1の連結材設置工程と、前記打設空間の一方の側面の上側を形成する第1の上側型枠パネルを前記第1の連結材にて前記第1の下側型枠パネルの上側に連結する第1の上側型枠パネル設置工程と、前記打設空間の他方の側面の下側を形成する第2の下側型枠パネルを設置する第2の下側型枠パネル設置工程と、前記第2の下側型枠パネルに第2の連結材を設置する第2の連結材設置工程と、前記打設空間の他方の側面の上側を形成する第2の上側型枠パネルを前記第2の連結材にて前記第2の下側型枠パネルの上側に連結する第2の上側型枠パネル設置工程と、前記打設空間を横断し、前記第1の下側型枠パネル及び前記第1の上側型枠パネルと前記第2の下側型枠パネル及び前記第2の上側型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを前記第1の連結材及び前記第2の連結材にそれぞれ係合させて前記第1の連結材及び前記第2の連結材にそれぞれ仮固定するセパレータ設置工程とを備え、前記第1の上側型枠パネル設置工程及び前記第2の上側型枠パネル設置工程の少なくともいずれか一方の工程は、前記セパレータ設置工程の後に実施されることを特徴とする。
本発明に係る施工方法は、上述した型枠セットを用いた施工方法であるため、上述した型枠セットと同様の作用及び効果を奏する。
【符号の説明】
【0077】
1,1A 型枠セット、2 第1の型枠パネル、2D 第1の下側型枠パネル、2U 第1の上側型枠パネル、3 第2の型枠パネル、3D 第2の下側型枠パネル、3U 第2の上側型枠パネル、5 連結材、5A 第1の連結材、5B 第2の連結材、6,6A セパレータ、8,8B 第2の保持具、9 端太材、31 板片、52 第1の溝部、53 第2の溝部、54 ヒレ部、100 係合構造、100A 第1の係合構造、100B 第2の係合構造、 311 長辺、513 突出片、515 挿通凹部、516 蟻溝、541 凹部、624 係合突起、SP 打設空間