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特開2025-13172ビーム補強部材およびこれを有するビーム補強構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013172
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ビーム補強部材およびこれを有するビーム補強構造
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/08 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
E04C3/08
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024081799
(22)【出願日】2024-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2023-0091190
(32)【優先日】2023-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ホジュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、 ジナン
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FB02
2E163FB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビーム補強部材の製作時に板材の損失を減らしつつ、構造的強度を確保できるビーム補強部材およびこれを有するビーム補強構造を提供する。
【解決手段】ビーム10のホール13を補強するビーム補強部材20はホールの中心を通る水平線を基準として上部でホールの周囲に接合される三日月状の第1補強部材30および水平線を基準として下部でホールの周囲に接合される三日月状の第2補強部材40を含み、第1補強部材と第2補強部材は互いに離隔する。
【効果】切断加工で三日月状のビーム補強部材を製作することにより、材料の損失を減らしながらもビームの構造的強度を確保することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム(beam)のホールを補強するビーム補強部材であって、
前記ホールの中心を基準として互いに対向する第1補強部材および第2補強部材を含み、
前記第1補強部材および前記第2補強部材はそれぞれ円弧状の外周部および円弧状の内周部を含むものの、前記ビーム補強部材の円周方向に沿って前記外周部と前記内周部の間の半径方向の間隔は少なくとも一部が変化する、ビーム補強部材。
【請求項2】
前記第1補強部材および前記第2補強部材はそれぞれ前記外周部の端部と前記内周部の端部を連結する側部を含む、請求項1に記載のビーム補強部材。
【請求項3】
前記外周部と前記内周部の半径は同一である、請求項2に記載のビーム補強部材。
【請求項4】
前記内周部の中央地点は前記ホールの中心を通る垂直線上に位置する、請求項2に記載のビーム補強部材。
【請求項5】
前記内周部の中央地点は前記ホールと接する、請求項2に記載のビーム補強部材。
【請求項6】
前記第1補強部材の前記側部から前記第1補強部材の前記外周部最上端までの高さは前記第1補強部材の半径より小さく、
前記第2補強部材の前記側部から前記第2補強部材の前記外周部の最下端までの高さは前記第2補強部材の半径より小さい、請求項2に記載のビーム補強部材。
【請求項7】
前記内周部と前記ホールの間の水平方向の間隔は前記内周部の端部で最大である、請求項2に記載のビーム補強部材。
【請求項8】
前記第1補強部材と前記第2補強部材は前記ホールの中心を通る仮想線を基準として対称である、請求項1に記載のビーム補強部材。
【請求項9】
前記第1補強部材と前記第2補強部材はそれぞれ前記ホールの中心を通る垂直線を基準として対称である、請求項1に記載のビーム補強部材。
【請求項10】
前記第1補強部材と前記第2補強部材は前記ビームより降伏強度が相対的に高い、請求項1に記載のビーム補強部材。
【請求項11】
前記ホールの中心から遠ざかるほど前記外周部と前記内周部の間の半径方向の間隔は大きくなる、請求項1に記載のビーム補強部材。
【請求項12】
前記外周部、前記側部および前記内周部の少なくとも一部は前記ビームに溶接接合される、請求項2に記載のビーム補強部材。
【請求項13】
前記内周部は前記側部と隣接した一部の部位のみが溶接接合される、請求項12に記載のビーム補強部材。
【請求項14】
ビーム補強構造であって、
ビームのウェブに貫通形成されたホールと、
前記ビームを補強するように前記ホールの周囲に結合され、前記ホールの中心を通る水平線を基準として上下に離隔して配置された第1補強部材および第2補強部材を含むビーム補強部材と
を含み、
前記第1補強部材および前記第2補強部材はそれぞれ円弧状の外周部および円弧状の内周部を含むものの、前記ビーム補強部材の円周方向に沿って前記外周部と前記内周部の間の半径方向の間隔は変化する、ビーム補強構造。
【請求項15】
前記ビーム補強部材は前記外周部と前記内周部の直径は同一であり、前記外周部と前記内周部の端部を連結する直線形態の側部をさらに含む、請求項14に記載のビーム補強構造。
【請求項16】
前記ビーム補強部材の前記内周部の中央地点は前記ホールに接するように配置される、請求項14に記載のビーム補強構造。
【請求項17】
前記ビーム補強部材は前記ホールの中心を通る垂直線を基準として対称である、請求項14に記載のビーム補強構造。
【請求項18】
前記ビーム補強部材は前記外周部、前記側部および前記側部と隣接した前記内周部の一部の部位のみが前記ビームに接合される、請求項15に記載のビーム補強構造。
【請求項19】
前記ホールは前記ウェブの高さ方向の中央に対して偏心した位置に配置される、請求項14に記載のビーム補強構造。
【請求項20】
前記ホールは複数個を含む、請求項14に記載のビーム補強構造。
【請求項21】
前記ビーム補強部材は前記複数個のホールに接する内接円の外側に配置される、請求項20に記載のビーム補強構造。
【請求項22】
前記複数個のホールは互いに離隔した第1円形ホールおよび第2円形ホールを含み、
前記第1補強部材の内周部の中央地点は前記第1円形ホールと接し、前記第2補強部材の内周部の中央地点は前記第2円形ホールと接する、請求項20に記載のビーム補強構造。
【請求項23】
前記ビーム補強部材の厚さ(Tr)は前記ウェブの厚さ(Tw)の2倍であり、数学式1によって計算された比率が1.3~1.7を満足する、請求項14に記載のビーム補強構造。
[数学式1]
比率=2R/D
ここで、Dはホールの直径、Rはホールの中心からビーム補強部材の外周までの距離。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はビームのホールを補強するビーム補強部材およびこれを有するビーム補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に建築物では階高などの制約で鉄骨ビーム(梁)のウェブに開口部を形成して設備管を貫通させなければならない場合がたびたび発生する。
【0003】
このため鉄骨ビームの耐力が減少するため、これを補完するために別途の補強材を設置することになる。鉄骨ビームを補強する方法は、大きく板材で補強する方法とリング形態の特殊製品を補強する方法とに分けることができる。
【0004】
構造力学的な観点では、円形開口部の縁に沿ってリング形態で補強した方が損失されたせん断耐力と曲げ耐力を同時に増加させるのにおいて効率的である。また、設計的な観点においても合理的であり、手軽な設計に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5786060号公報(2015.07.31登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一側面は、ビーム補強部材の製作時に板材の損失を減らしつつ、構造的強度を確保できるビーム補強部材およびこれを有するビーム補強構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施例によると、ビーム(beam)のホールを補強するビーム補強部材において、
前記ホールの中心を基準として互いに対向する第1補強部材および第2補強部材を含み、
前記第1補強部材および前記第2補強部材はそれぞれ円弧状の外周部および円弧状の内周部を含むものの、前記ビーム補強部材の円周方向に沿って前記外周部と前記内周部の間の半径方向の間隔は少なくとも一部が変化するビーム補強部材を提供することができる。
【0008】
前記第1補強部材および前記第2補強部材はそれぞれ外周部、内周部および前記外周部の端部と前記内周部の端部を連結する側部を含む。
【0009】
前記外周部と前記内周部の半径は同一であり得る。
【0010】
前記内周部の中央地点は前記ホールの中心を通る垂直線上に位置し得る。
【0011】
前記内周部の中央地点は前記ホールと接することができる。
【0012】
前記第1補強部材の前記側部から前記第1補強部材の前記外周部最上端までの高さは前記第1補強部材の半径より小さく、前記第2補強部材の前記側部から前記第2補強部材の前記外周部の最下端までの高さは前記第2補強部材の半径より小さくてもよい。
【0013】
前記内周部と前記ホールの間の水平方向の間隔は前記内周部の端部で最大であり得る。
【0014】
前記第1補強部材と前記第2補強部材は前記水平線を基準として対称であり得る。
【0015】
前記第1補強部材と前記第2補強部材はそれぞれ前記ホールの中心を通る垂直線を基準として対称であり得る。
【0016】
前記第1補強部材と前記第2補強部材は前記ビームより降伏強度が相対的に高くてもよい。
【0017】
前記ホールの中心から遠ざかるほど前記外周部と前記内周部の間の半径方向の間隔は大きくなり得る。
【0018】
前記外周部、前記側部および前記内周部の少なくとも一部は前記ウェブに溶接接合され得る。
【0019】
前記内周部は前記側部と隣接した一部の部位のみが溶接接合され得る。
【0020】
他の側面で本開示の一実施例によると、ビームのウェブに貫通形成されたホールおよび前記ビームを補強するように前記ホールの周囲に結合され、前記ホールの中心を通る水平線を基準として上下に離隔して配置された第1補強部材および第2補強部材を含むビーム補強部材を含み、前記第1補強部材および前記第2補強部材はそれぞれ円弧状の外周部および円弧状の内周部を含むものの、前記ビーム補強部材の円周方向に沿って前記外周部と前記内周部の間の半径方向の間隔は変化するビーム補強構造を提供することができる。
【0021】
前記ビーム補強部材は前記外周部と前記内周部の直径は同一であり、前記外周部と前記内周部の端部を連結する直線形態の側部をさらに含む。
【0022】
前記ビーム補強部材の前記内周部の中央地点は前記ホールに接するように配置され得る。
【0023】
前記ビーム補強部材は前記ホールの中心を通る垂直線を基準として対称であり得る。
【0024】
前記ビーム補強部材は前記外周部、前記側部および前記側部と隣接した前記内周部の一部の部位のみが前記ビームに接合され得る。
【0025】
前記ホールは前記ウェブの高さ方向の中央に対して偏心した位置に配置され得る。
【0026】
前記ホールは複数個を含むことができる。
【0027】
前記ビーム補強部材は前記複数個のホールに接する内接円の外側に配置され得る。
【0028】
前記複数個のホールは互いに離隔した第1円形ホールおよび第2円形ホールを含み、前記第1補強部材の内周部の中央地点は前記第1円形ホールと接し、前記第2補強部材の内周部の中央地点は前記第2円形ホールと接することができる。
【0029】
前記ビーム補強部材の厚さTrは前記ウェブの厚さTwの2倍であり、数学式1によって計算された比率が1.3~1.7を満足するビーム補強構造。
【0030】
[数学式1]
比率=2R/D
ここで、Dはホールの直径、Rはホールの中心からビーム補強部材の外周まで距離。
【発明の効果】
【0031】
本開示の実施例によると、切断加工で三日月状のビーム補強部材を製作することにより、材料の損失を減らしながらもビームの構造的強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示の一実施例に係るビーム補強構造の斜視図である。
図2】本開示の一実施例に係るビームの円形ホールに設置されたビーム補強部材を図示した図面である。
図3】本開示の一実施例に係るビームの円形ホールに設置されたビーム補強部材の断面図である。
図4】本開示の一実施例に係る円形ホールとビーム補強部材の関係を図示した図面である。
図5】本開示の一実施例に係る切断加工によって製作されるビーム補強部材を図示した図面である。
図6】本開示の一実施例に係るビーム補強部材の適用範囲を概略的に図示した図面である。
図7】本開示の一実施例に係るビームの構造性能の分析結果を図示したグラフである。
図8】本開示の一実施例に係るビーム補強部材が設置されたビーム補強構造を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書に記載された実施例は本発明の最も好ましい実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物または変形例も本発明の権利範囲に含まれるものと理解されるべきである。
【0034】
また、本開示の各図面で提示された同じ参照番号または符号は実質的に同じ機能を遂行する部品または構成要素を示す。
【0035】
また、本開示で使った用語は実施例を説明するために使われたものであって、開示を制限および/または限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本開示で、「含む」または「有する」などの用語は開示上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しない。
【0036】
また、本開示で使った「第1」、「第2」等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはせず、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本開示の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。「および/または」という用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0037】
また、本開示で「同一(identical)」の意味は互いに属性が類似しているか一定範囲(range)内で類似していることを含む。また、同一は「実質的同一」を意味する。実質的に同一という意味は、製造上での誤差範囲内に該当する数値または基準数値に対して意味を有さない範囲内での差に該当する数値は「同一である」の範囲に含まれるものと理解されるべきである
【0038】
また、「~部」、「~器」、「~ブロック」、「~部材」、「~モジュール」等の用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し得る。例えば、前記用語はFPGA(field-programmable gate array)/ ASIC(application specific integrated circuit)など少なくとも一つのハードウェア、メモリに保存された少なくとも一つのソフトウェアまたはプロセッサによって処理される少なくとも一つのプロセスを意味し得る。
【0039】
単数の表現は文脈上明白に例外がない限り、複数の表現を含む。
【0040】
一方、下記の説明で使われた用語「前方」、「後方」、「左側」、「右側」、「上部」および「下部」等は図面を基準として定義したものであり、この用語によって各構成要素の形状および位置が制限されるものではない。
【0041】
以下では、本開示に係る好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図1は、本開示の一実施例に係るビーム補強構造の斜視図である。図2は、本開示の一実施例に係るビームの円形ホールに設置されたビーム補強部材を図示した図面である。図3は、本開示の一実施例に係るビームの円形ホールに設置されたビーム補強部材の断面図である。図4は、本開示の一実施例に係る円形ホールとビーム補強部材の関係を図示した図面である。図5は、本開示の一実施例に係る切断加工によって製作されるビーム補強部材を図示したものである。
【0043】
図1図5を参照すると、本開示の一実施例に係るビーム補強部材20はビーム10のウェブ11に貫通形成されたホール13を補強するための部材である。
【0044】
ビーム10はウェブ11の上部および下部にフランジ12を有するH形鋼を含むことができる。ビーム10のウェブ11には配管などを貫通させるためのホール13が形成され得る。ウェブ11に形成されたホール13は配管などの配置構造により多様な形状で形成され得る。例として、ホール13は楕円形、円形または多角形形状などを含むことができる。以下では、ホール13が円形ホールである場合について説明するが、これに制限されるものではない。
【0045】
ビーム補強部材20は円形ホール13の周囲でウェブ11に接合され得る。
【0046】
ビーム補強部材20はビーム10より相対的に高い降伏強度を有することができる。
【0047】
ビーム補強部材20は鋼板を切断する切断加工を通じて製作され得る。切断加工はガス切断またはレーザー切断などを含むことができる。これを通じて、ビーム補強部材20の製作のための特別な設備なしに容易に製作が可能であり、円形ホール13の大きさに応じて補強する程度も柔軟に調節することができる。また、鋳造や鍛造対比低費用でビーム補強部材20の製作が可能であり得る。
【0048】
ビーム補強部材20は図5(a)に図示された通り、鋼板15を切断加工によって切断することによって三日月状で製作され得る。このような形状は、ビーム補強部材20の製作時に切断加工によって捨てられるロス鋼板を顕著に減らすことができる。例として、図5(b)に図示された通り、同じ大きさを有する鋼板15で分節されたリング状の部材16で製作する場合には捨てられるロス鋼板は顕著に増加し得る。
【0049】
ビーム補強部材20は第1補強部材30と第2補強部材40を含む。
【0050】
第1補強部材30と第2補強部材40は円形ホール13の中心を基準として互いに対向し得る.例として、第1補強部材30は円形ホール13の中心を通る仮想線HLを基準としていずれか一方に位置し得、第2補強部材40は円形ホール13の中心を通る仮想線HLを基準として他の一方に位置し得る。ここで、仮想線HLはビーム10の水平延長方向、すなわち円形ホール13の中心を通る水平線を図示するが、これに制限されるものではない。また、ビーム補強部材20は円形ホール13の中心を基準として互いに対向する3個以上の補強部材を含むことができる。以下では、ビーム補強部材20が円形ホール13の中心を通る水平線HLを基準として互いに対向する二つの補強部材である場合について説明する。
【0051】
第1補強部材30は円形ホール13の中心を通る水平線HLを基準として上部に位置し得、第2補強部材40は円形ホール13の中心を通る水平線HLを基準として下部に位置し得る。
【0052】
第1補強部材30と第2補強部材40は円形ホール13の中心を通る水平線HLを基準として上下に対称となり得る。
【0053】
第1補強部材30と第2補強部材40は水平線HLを基準として所定間隔離隔され得る。
【0054】
第1補強部材30と第2補強部材40の離隔距離dはビーム補強部材20の厚さTrより相対的に大きく設けられ得る。
【0055】
例として、第1補強部材30と第2補強部材40の隔離距離はビーム補強部材20厚さTrの1.5倍以上で設けられ得る。これはビーム補強部材20をウェブ11に接合時に溶接部分の空間を確保して作業性を向上させることができる。
【0056】
ビーム補強部材20の厚さTrはウェブ11の厚さTwより相対的に厚くてもよい。例として、ビーム補強部材20の厚さTrはウェブ11の厚さTwより2倍以上であり得る。
【0057】
第1補強部材30と第2補強部材40は円形ホール13の中心を通る垂直線VLを基準として左右対称であり得る。
【0058】
第1補強部材30と第2補強部材40は同一の形状で構成され得る。第1補強部材30と第2補強部材40はそれぞれ外周部31、41、内周部32、42および側部33、43を含むことができる。
【0059】
外周部31、41と内周部32、42は円弧状で形成され得る。図4に図示された通り、外周部31、41と内周部32、42は同じ半径Rを有することができる。
【0060】
側部33、43は外周部31、41の端部と内周部32、42の端部を連結する直線形態で形成され得る。側部33、43は円形ホール13の中心を通る水平線HLと平行であり得る。
【0061】
ビーム補強部材20がビーム10のウェブ11に接合時、内周部32、42の中央地点32a、42aは円形ホール13の中心を通る垂直線VL上に位置し得る。
【0062】
ビーム補強部材20がビーム10のウェブ11に接合時、内周部32、42の中央地点32a、42aは円形ホール13と接することができる。一例として、第1補強部材30の内周部32は円形ホール13の上端と接することができ、第2補強部材40の内周部42は円形ホール13の下端と接することができる。
【0063】
上部および第2補強部材30、40の高さHは上部および第2補強部材30、40の半径Rより小さくてもよい。第1補強部材30の高さHは第1補強部材30の側部33から第1補強部材30の外周部31の最上端までの距離と定義され得、第2補強部材40の高さHは第2補強部材40の側部43から第2補強部材40の外周部41の最下端までの距離と定義され得る。
【0064】
第1補強部材30と第2補強部材40は、それぞれビーム補強部材20の円周方向に沿って外周部31、41と内周部32、42の間の半径方向の間隔hrは変化することができる。
【0065】
第1補強部材30は第1補強部材30の最上端から側部33側に行くほど外周部31と内周部32の間の半径方向の間隔hrが減少し得る。第1補強部材30は垂直線VL上で外周部31と内周部32の間の半径方向の間隔hrが最大であり得る。
【0066】
第2補強部材40は第2補強部材40の最下端から側部43側に行くほど外周部41と内周部42の間の半径方向の間隔hrが減少し得る。第2補強部材40は垂直線VL上で外周部41と内周部42の間の半径方向の間隔hrが最大であり得る。
【0067】
第1補強部材30と第2補強部材40の間隔hrは水平線HLから遠ざかるほど大きくなり得る。
【0068】
第1補強部材30の内周部32と円形ホール13の間の水平方向の間隔Sは第1補強部材30の内周部32の端部で最大であり得る。ここで、内周部32の端部は第1補強部材30の側部33と内周部32とが会う角と定義され得る。
【0069】
第2補強部材40の内周部42と円形ホール13の間の水平方向の間隔Sは第2補強部材40の内周部42の端部で最大であり得る。ここで、内周部42の端部は第2補強部材40の側部43と内周部42とが会う角と定義され得る。
【0070】
ビーム補強部材20はビーム10のウェブ11に溶接によって接合され得る。
【0071】
ビーム補強部材20は第1補強部材30と第2補強部材40の周り方向に沿って溶接され得る。ビーム補強部材20はすみ肉溶接によってウェブ11に接合され得る。
【0072】
ウェブ11に接合されるビーム補強部材20の溶接部50は図2に図示された通り、外周部31、41、側部33、43および側部33、43と隣接した内周部32、42の一部の部位のみで構成され得る。例として、第1補強部材30は外周部31と側部33の周りに沿って溶接した後、側部33と隣接した内周部32の一部区間を溶接して仕上げることができ、第2補強部材40は外周部41と側部43の周りに沿って溶接した後、側部43と隣接した内周部42の一部区間を溶接して仕上げることができる。ここで、内周部32、42の溶接された一部区間は少なくとも側部33、43の長さの2倍以上であり得る。本開示のビーム補強部材20は内周部32、42の一部区間のみを溶接してもビーム補強部材20により補強されるビーム10の構造的性能を確保可能でありながら、ビーム補強部材20の溶接部位を最小化して施工性を向上させることができる。また、第1補強部材30と第2補強部材40に分割されたビーム補強部材20は補強のためにビーム10に施工する場合、容易に持ち上げることができるため施工性が向上し得る。
【0073】
図6は、本開示の一実施例に係るビーム補強部材の適用範囲を概略的に図示したものである。
【0074】
図6を参照すると、ビーム補強部材20は目標とする補強性能に応じてウェブ11でビーム補強部材20が占める面積範囲(陰影部分)を調節することができる。
【0075】
一例として、ビーム補強部材20の厚さTrがウェブ11の厚さTwの2倍であるとする時、図6(a)のように、2R/D=1.7であれば円形ホールがないビーム水準の補強効果を発揮することができる。また、図6(b)のように、2R/D=1.5であれば中間水準の補強効果を発揮でき、図6(c)のように、2R/D=1.3であれば最小限の補強効果を発揮することができる。すなわち、ビーム補強部材20の厚さTrがウェブ11の厚さTwの2倍であり、円形ホールの直径Dに対するビーム補強部材の直径2Rの比率が1.3~1.7を満足することができる、ここで、Dは円形ホールの直径であり、Rは円形ホールの中心からビーム補強部材の外周までの距離である。
【0076】
図7は、本開示の一実施例に係るビームの構造性能の分析結果を図示したグラフである。
【0077】
図7を参照すると、(a)はウェブに貫通形成された円形ホールがないビームの作用トルクに対するせん断力を測定した時の実験結果であり、(b)はウェブに貫通形成された円形ホールに補強がないビームの作用トルクに対するせん断力を測定した時の実験結果であり、(c)はウェブに貫通形成された円形ホールに完全なリング状の補強部材が設置されたビームの作用トルクに対するせん断力を測定した時の実験結果であり、(d)はウェブに貫通形成された円形ホールに上下に分節されたリング状の補強部材が設置されたビームの作用トルクに対するせん断力を測定した時の実験結果であり、(e)はウェブに貫通形成された円形ホールに本開示の三日月状の補強部材が設置されたビームの作用トルクに対するせん断力を測定した時の実験結果である。
【0078】
図7に図示された通り、三日月状の補強部材が設置されたビーム(e)の場合、完全なリング状の補強部材(c)、図5(b)に図示された上下に分節されたリング状の補強部材(d)よりは構造性能が若干劣位であるが、完全なリング状の補強部材および上下に分節されたリング状の補強部材に比べて三日月状によって補強のために使われた部材量自体が少ないので、補強量対比性能は飛び切り優秀であることが分かる。これを通じて、ビームの補強のために必要な材料を減らしながらも、設計時に要求される構造的強度を確保できるようになる。
【0079】
図8は、本開示の一実施例に係るビーム補強部材が設置されたビーム補強構造を図示したものである。
【0080】
図8(a)を参照すると、ビーム10に貫通形成された円形ホール13はウェブ11の高さ方向の中央に対して偏心した位置に配置され得、ビーム補強部材20は偏心した位置に配置された円形ホール13を補強するように設置され得る。
【0081】
図8(b)を参照すると、ビーム10に貫通形成された円形ホールは互いに異なる直径を有する第1円形ホール13aと第2円形ホール13bを含むことができる。この場合、ビーム補強部材20は互いに異なる直径の第1、2円形ホール13a、13bにそれぞれ対応する大きさで設置され得る。
【0082】
図8(c)を参照すると、ビーム10に貫通形成された円形ホールは上下に配置された上部円形ホール13cと下部円形ホール13dを含むことができ、ビーム補強部材20は上部円形ホール13cと下部円形ホール13dに接する内接円60を円形ホールと見なして内接円60の外側に設置され得る。この時、第1補強部材30の内周部の中央地点32aは上部円形ホール13cと接し、第2補強部材40の内周部の中央地点42aは下部円形ホール13dと接することができる。
【0083】
特定実施例によって前記のような本発明の技術的思想を説明したが、本発明の権利範囲はこのような実施例に限定されるものではない。特許請求の範囲に明示された本発明の技術的思想としての要旨を逸脱しない範囲内で、当分野で通常の知識を有する者によって修正または変形可能な多様な実施例も本発明の権利範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0084】
10:ビーム
11:ウェブ、
13:円形ホール
20:ビーム補強部材、
30:第1補強部材
40:第2補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】