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  • 特開-水性プライマー組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013180
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】水性プライマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 163/00 20060101AFI20250117BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20250117BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20250117BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20250117BHJP
【FI】
C09D163/00
C09D5/00 D
C09D133/00
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086552
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2023114516
(32)【優先日】2023-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】平林 利香
(72)【発明者】
【氏名】浅田 智也
(72)【発明者】
【氏名】飛田 圭之
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG141
4J038CH191
4J038DB062
4J038JC32
4J038MA10
4J038NA12
4J038PB05
4J038PC02
(57)【要約】
【課題】 優れた接着性を有するとともに、耐水性の向上と、貯蔵安定性の向上が可能である、水性プライマー組成物を提供する。
【解決手段】 水性媒体中に分散している有機重合体を含む水性プライマー組成物であって、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体;(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む、水性プライマー組成物である。この水性プライマー組成物は、シーリング材用として、好適に使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に分散している有機重合体を含む水性プライマー組成物であって、
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体
(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂
を含む、水性プライマー組成物
【請求項2】
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体の一部は、エピクロロヒドリンとアミノ基に基づく、4級アンモニウム基を含む、請求項1記載の水性プライマー組成物。
【請求項3】
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体の一部は、更に、反応性シリル基を含有する、請求項1又は2に記載の水性プライマー組成物。
【請求項4】
シランカップリング剤を更に含有し、該シランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の水性プライマー組成物。
【請求項5】
(C)酸で中和されている、請求項1又は2に記載の水性プライマー組成物。
【請求項6】
シーリング材と被着体との間に使用される、請求項1又は2に記載のシーリング材用水性プライマー組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の水性プライマー組成物を、被着体に塗布して、プライマー層を形成すること、
プライマー層の上に、シーリング材を塗布すること
を含む、水性プライマー組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性プライマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築用シーリング材を、例えば、アルミニウム、モルタルなどの被着体に接着させるために、一般に、予めプライマーを被着体に塗布後、シーリング材を塗布することが行われている。プライマーを塗布することで、被着体とシーリング材との間の接着力が向上されている。そのようなプライマーは、有機溶剤を含むことが多い。建築現場で、有機溶剤を含むプライマーを使用すると、プライマーの有機溶剤の臭気がすること、有機溶剤は、引火性があること、作業者の安全性などの問題を生じ得る。したがって、有機溶剤を含まない、プライマーの開発が求められている。そのような水性プライマーとして、特許文献1及び2が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7-122034号公報
【特許文献2】国際公開第2014/0580123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水性プライマーの問題点として、被着体とのぬれ性に劣り、被着体とシーリング材との間の接着性に劣るという問題がある。特許文献1~2は、いずれも、そのような問題の改良を行っているが、更なる向上が求められている。
更に、水性プライマーの問題として、耐水性の向上と貯蔵安定性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体と、(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む、水性プライマー組成物は、優れた接着性を有するとともに、耐水性の向上と、貯蔵安定性の向上が可能であることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0006】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.水性媒体中に分散している有機重合体を含む水性プライマー組成物であって、
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体
(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂
を含む、水性プライマー組成物
2.(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体の一部は、エピクロロヒドリンとアミノ基に基づく、4級アンモニウム基を含む、上記1記載の水性プライマー組成物。
3.(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体の一部は、更に、反応性シリル基を含有する、上記1又は2に記載の水性プライマー組成物。
4.シランカップリング剤を更に含有し、該シランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を含む、上記1~3のいずれか1つに記載の水性プライマー組成物。
5.(C)酸で中和されている、上記1~4のいずれか1つに記載の水性プライマー組成物。
6.シーリング材と被着体との間に使用される、上記1~5のいずれか1つに記載のシーリング材用水性プライマー組成物。
7.上記1~6のいずれか1つに記載の水性プライマー組成物を、被着体に塗布して、プライマーの層を形成すること、
プライマー層の上に、シーリング材を塗布すること
を含む、水性プライマー組成物の使用方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体と、(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含み、優れた接着性を有するとともに、耐水性の向上と、貯蔵安定性の向上が可能である。よって、本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、建築用被着体に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、水性プライマー組成物の簡易接着性を評価するための試験体を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、一の要旨において、水性媒体中に分散している有機重合体を含む水性プライマー組成物を開示し、その水性プライマー組成物は、
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体、及び
(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂
を含む。
【0010】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、水性媒体中に分散している有機重合体を含む。
水性媒体とは、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得ることができる限り、特に制限されることはないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、上水などのいわゆる水と、水と混和しうる分散媒または溶媒を含む。
有機重合体とは、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体、及び(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含み、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得ることができる限り、他の有機重合体を含むことができる。
有機重合体は、水性媒体に分散しているが、液相でもよく、固相でもよく、液相と固相の組み合わせでもよい。従って、本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、「エマルジョン」と「サスペンジョン」の両方の概念を含む。
【0011】
本明細書において、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体((A)共重合体ともいう)とは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種を重合して得られ、カチオン性基を有する重合体を含む共重合体であり、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
本明細書では、アクリル酸及びメタクリル酸を、総称して、(メタ)アクリル酸ともいう。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを、総称して、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリレートともいう。
【0012】
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルは、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り特に制限されることはないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレートを例示することができる。
【0013】
カチオン性基として、例えば、3級アミノ基に基づく4級アンモニウム基を例示することができる。そのような3級アミノ基として、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジ(t-ブチル)アミノ基、ジイソヘキシルアミノ基、ジ(t-ブチル)アミノ基等のジアルキルアミノ基;ピリジニル基(ピリジン基)、2-メチルピリジニル基等のピリジニル基を例示することができる。
【0014】
(A)共重合体に、上述の3級アミノ基を導入する方法は、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得ることができる限り特に制限されることはないが、例えば、3級アミノ基を有する単量体を、上述のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と共重合する方法を例示することができる。
3級アミノ基を有する単量体として、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジヘキシルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ(t-ブチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ(t-ブチル)アミノヘキシル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;ビニルピリジン、2-メチルビニルピリジン等のビニルピリジン;ジメチルアミノビニルエーテル等のN,N-ジメチルアミノアルキルビニルエーテル;N,N-ジメチルアミノエチルアルキルアミド等を、例示することができる。
【0015】
3級アミノ基に基づく4級アンモニウム基として、3級アミノ基と、例えば、エピクロロヒドリンに基づく、4級アンモニウム基を例示することができる。3級アミノ基とエピクロロヒドリンに基づく、4級アンモニウム基がより好ましい。
エピクロロヒドリンは、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重体(水性媒体を含まない)の100質量部当たり、例えば、0.1~15質量部であってよく、1~12質量部であってよく、2~10質量部であってよい。
【0016】
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体の一部は、更に、反応性シリル基を含むことができる。
本明細書において、反応性シリル基とは、水が存在すると、加水分解して、シラノール基を生じ、更にシラノール基同士が反応して、シロキサン結合を生じ得る基をいい、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り特に制限されることはない。
反応性シリル基として、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、トリイソブトキシシリル基、トリs-ブトキシシリル基、トリt-ブトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、メチルジプロポキシシリル基、メチルジブトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、エチルジプロポキシシリル基、エチルジブトキシシリル基、プロピルジメトキシシリル基、プロピルジエトキシシリル基、プロピルジプロポキシシリル基、プロピルジブトキシシリル基などのアルキルジアルコキシシリル基;これらに対応するジアルキル(モノ)アルコキシシリル基;等を例示できる。
トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、ジエトキシシリル基(メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基など)、ジプロポキシシリル基(メチルジプロポキシシリル基、エチルジプロポキシシリル基など)が好ましい。
【0017】
(A)共重合体に、上述の反応性シリル基を導入する方法は、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得ることができる限り特に制限されることはないが、例えば、反応性シリル基を有する単量体を、上述のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と共重合する方法を例示することができる。
反応性シリル基を有する単量体として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン等を例示でき、これらを1種単独又は組み合わせて使用することができる。
【0018】
(A)共重合体は、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り、上述の単量体以外の他の単量体が重合されていてもよい。
そのような単量体として、例えば、下記の単量体を例示することができる。
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα-オレフィン;
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のα,β-不飽和モノもしくはジカルボン酸;
アクリルアミド、メタクリルアミド等のα,β-不飽和モノもしくはジカルボン酸のアミド;
N-メチロール化アミド;
エチレングリコールエステル;
マレイン酸ジアルキル、フマール酸ジアルキル、イタコン酸ジアルキル等のジアルキルエステル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等のビニルエステル;
スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;
メチルビニルエーテル等のビニルエーテル;
ブタジエン等のジエン
【0019】
(A)共重合体は、(C)酸で中和されていてよい。
酸は、(A)共重合体のカチオン性基に基づいて、水性プライマー組成物が示し得る塩基性を中和することができ、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得ることができる限り、特に制限されることはない。
酸として、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸等の有機酸や、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸等を例示することができ、有機酸が好ましく、ギ酸、酢酸等がより好ましい。(C)酸で中和すると、成膜時の粒子間距離が縮まり、より均一な膜を形成するという有利な効果を奏し得る。
【0020】
(A)共重合体は、水性媒体に分散していてよく、その粒子径は、例えば、10~900nmであり、12~500nmであることが好ましく、15~450nmであることがより好ましく、17~400nmであることが更に好ましく、20~300nmであることが更により好ましい。(A)共重合体の粒子径は、10~900nmである場合、被着体への浸透性、ぬれ性、親和性が良好となる傾向が見られ、接着性が向上する傾向が見られる。
尚、(A)共重合体の粒子径は、濃厚系粒径アナライザー「FPAR-1000」(大塚電子(株)社の分析器)によって25℃で測定することができる。
【0021】
(A)共重合体のTg(ガラス転移温度)は、例えば、-50~100℃であり、-20~80℃であることが好ましく、-10~60℃であることがより好ましく、0~45℃であることが更に好ましい。(A)共重合体のTgは、-50~100℃である場合、接着性により優れる。
尚、(A)共重合体のTgは、「Reogel E4000」((株)ユービーエム社製の動的粘弾性測定装置)を使用し、測定開始温度10℃、測定終了温度170℃、昇温速度4℃/分、ステップ温度1℃、周波数1Hzの条件で行う動的粘弾性試験によって測定することができる。
【0022】
(A)共重合体のMFT(Minimum Film-forming Temperature:最低造膜温度)は、例えば、0~60℃であり、0~40℃であることが好ましく、0~20℃であることがより好ましく、0~5℃であることが更に好ましい。(A)共重合体のMFTは、0~60℃である場合、低温下での造膜性により優れる。
尚、(A)共重合体のMFTは、最低造膜温度計(Rhopoint instrument社製:MFFTB90)によって測定することができる。
【0023】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を除く)あたり、例えば、10~90質量部の(A)共重合体を含んでよく、20~70質量部の(A)共重合体を含むことが好ましく、25~60質量部の(A)共重合体を含むことがより好ましく、30~45質量部の(A)共重合体を含むことがより好ましい。
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を除く)あたり、10~90質量部の(A)共重合体を含む場合、モルタルに対する接着性により優れる。
【0024】
(A)共重合体として、市販品を使用することができる。それらの市販品として、例えば、大成ファインケミカル株式会社製のUW-600(商品名)、大成ファインケミカル株式会社製の3KW-3000(商品名)、ヘンケルジャパン株式会社製のKD-20(商品名)、東亜合成株式会社製のアロンNW-400(商品名)、東亜合成株式会社製のアロンA-3611A(商品名)、東亜合成株式会社製のアロンNW-7060(商品名)、楠本化成株式会社製のNeocrylXK-12(商品名)、楠本化成株式会社製のNeocrylXK-16(商品名)、BASFジャパン株式会社製のACRONAL YS-800ap(商品名)等を例示することができる。
【0025】
本明細書において、(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、ビスフェノール骨格を有し、存在するエポキシ基によって、架橋ネットワーク化を生ずることで、硬化させることが可能な熱硬化性樹脂をいい、一般にエポキシ樹脂と呼ばれており、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等であってよい。
【0026】
(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂であり、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールA、ビスフェノールADのジグリシジルエーテル、などを例示することができる。
【0027】
ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、200~5000g/eqであることが好ましく、300~2500g/eqであることがより好ましく、700~1500g/eqであることが更に好ましく、500~1100g/eqであることが更により好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、200~5000g/eqである場合、アクリル電着塗装アルミへの接着性および多孔質部材への耐水接着性により優れる。
尚、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K7236の電位差滴定法に準じて測定することができる。該測定には、市販の電位差滴定装置(例えば、京都電子工業株式会社製のAT-610)によって測定することができる。
【0028】
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、水性媒体に分散していてよい。ビスフェノール型エポキシ樹脂が、水性媒体に分散している場合、本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、水性媒体中に分散している有機重合体及びビスフェノール型エポキシ樹脂を含む。ビスフェノール型エポキシ樹脂の粒子径は、100~1000nmであることが好ましく、150~800nmであることがより好ましく、200~700nmであることが更に好ましく、300~600nmであることが更により好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂の粒子径は、100~1000nmである場合、多孔質部材への耐水接着性により優れる。
尚、ビスフェノール型エポキシ樹脂の粒子径は、濃厚系粒径アナライザー「FPAR-1000」(大塚電子(株)社の分析器)によって測定することができる。
【0029】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を除く)あたり、例えば、10~90質量部の(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含んでよく、20~80質量部の(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが好ましく、30~70質量部の(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、30~75質量部の(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが更に好ましく、50~70質量部の(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を除く)あたり、10~90質量部の(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む場合、塗膜の硬度および耐水性により優れる。
【0030】
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、市販品を使用することができる。それらの市販品として、例えば、株式会社ADEKA製のEM-101-50(商品名)、三菱ケミカル株式会社製のjERW2821R70(商品名)等を例示することができる。
【0031】
(A)共重合体と(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂との比((A)/(B))(質量比)は、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り特に制限されることはないが、例えば、80/20~20/80であり、70/30~25/75であることが好ましく、65/35~30/70であることがより好ましく、55/45~35/65であることが更に好ましい。
(A)共重合体と(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂との比((A)/(B))(質量比)は、80/20~20/80である場合、打継ぎ接着性に優れる。
【0032】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、シランカップリング剤を更に含むことができる。本明細書において、シランカップリング剤とは、Siを含む化合物であって、有機化合物と反応する部位と、無機化合物と反応する部位の、両方を有する化合物であり、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得ることができる限り、特に制限されることはない。シランカップリング剤として、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤、エポキシ基を有するシランカップリング剤、水酸基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を有するシランカップリング剤、エチレン性二重結合を有するシランカップリング剤、等を例示することができるが、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
シランカップリング剤のSiを含む基(シリル基)は、トリメトシキ、メチルジメトキシ、トリエトキシもしくはメチルジエトキシを含むことが好ましい。
【0033】
シランカップリング剤として、より具体的には、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤を例示することができる。
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を含む場合、耐久後の接着性に優れるという有利な効果を奏し得る。
【0034】
シランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤の反応物を含むことがより好ましい。アミノ基を有するシランカップリング剤とエポキシ基を有するシランカップリング剤との反応物は、混合して適宜加熱することで得ることができる。その反応物は、分子中に2個以上のアルコキシ基、NH基およびOH基を含有する化合物(アミノ基を有するシランカップリング剤に該当する)を含むことがより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤の反応比率(アミノ基を有するシランカップリング剤/エポキシ基を有するシランカップリング剤)は、特に限定はないが、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤の重量比が、1/1~5/1でありえ、1/1~4/1であることが好ましく、2/1~3.5/1であることがより好ましく、3/1であることが特に好ましい。
シランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤の反応物を含む場合、接着性と貯蔵安定性両方により優れる。
【0035】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を除く)に対して、0.1~5質量部のシランカップリング剤を含むことが好ましく、0.5~3質量部のシランカップリング剤を含むことがより好ましく、0.8~2質量部のシランカップリング剤を含むことが更に好ましい。
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を除く)に対して、0.1~5質量部のシランカップリング剤を含み、アミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を含む場合、耐久後の接着性に、より優れるという有利な効果を奏し得る。
【0036】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を含む)に対して、例えば、50~90質量部の水性媒体を含んでよく、60~85質量部の水性媒体を含むことが好ましく、65~80質量部の水性媒体を含むことがより好ましい。
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、100質量部の水性プライマー組成物(水性媒体を含む)に対して、50~90質量部の水性媒体を含む場合、作業性に、より優れるという有利な効果を奏し得る。
【0037】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、上述した成分以外に、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り、必要に応じて、添加剤を更に含むことができる。添加剤として、例えば、充填剤、顔料、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、難燃剤、触媒、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、造膜助剤等を例示することができる。本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り、これらの添加剤の量は、適宜選択することができ、特に制限されることはない。
【0038】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物の製造方法は、本発明が目的とする水性プライマー組成物を得られる限り特に制限されることはない。例えば、上述した成分を混合することによって製造する方法を例示することができる。
【0039】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、種々の被着体に適用することができる。適用することができる限り、特に被着体は制限されることはない。本発明の実施形態の水性プライマー組成物を適用できる被着体として、例えば、ガラス;アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、鉄、亜鉛鋼板、銅、ステンレスなどの金属;モルタル、石材などの多孔質部材;フッ素電着、アクリル電着、フッ素塗装、ウレタン塗装、アクリルウレタン塗装などの塗装された部材;シリコーン系、変成シリコーン系、ウレタン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系などのシーリング材の硬化物;塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂;NBR、EPDMなどのゴム類;等を例示できる。
【0040】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、そのような被着体に適用されて、プライマー層を形成することができる。そして、そのプライマー層の上に、シーリング材が適用されることができる。
従って、本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、シーリング材と被着体との間に使用されることができ、シーリング材用水性プライマー組成物として、好適に使用することができる。
【0041】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、例えば、建築用又は自動車用シーリング材に用いられるプライマーとして、好適に使用することができる。
本発明の実施形態の水性プライマー組成物の使用方法として、例えば、上述した被着体に本発明の実施形態の水性プライマー組成物を塗布し、任意で乾燥して、プライマー層を形成すること;プライマー層の上にシーリング材組成物を塗布した後、水性プライマー組成物およびシーリング材組成物を乾燥させて硬化させて、シーリング材層を形成すること、を含む方法を、例示することができる。
【0042】
本発明が目的とするシーリング材層を形成することができる限り、使用されるシーリング材は、特に制限されることはなく、従来公知のシーリング材、好ましくは、建築用シーリング材を用いることができる。具体的には、例えば、シリコーン系シーリング材、変成シリコーン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材等を例示できる。ポリウレタン系シーリング材、特に、建築用ポリウレタン系シーリング材を好適に用いることができる。
【0043】
本発明は、好ましい要旨において、新たな水性プライマー組成物の使用方法を提供し、その方法は、本発明の実施形態の水性プライマー組成物を、被着体に塗布して、プライマー層を形成すること、及びプライマー層の上に、シーリング材を塗布すること、を含む。
【実施例0044】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、水を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
【0045】
本実施例で使用した成分を以下に示す。
(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体
(a1)コアシェル型アクリルスチレンエマルジョン(大成ファインケミカル株式会社製のUW-600(商品名))。固形分を34質量%含み、粒径は60nm、コアのTgは20℃、シェルのTgは20℃、MFTは4℃、アクリルスチレン重合体の他に、ギ酸、エピクロロヒドリンとアミノ基に基づく4級アンモニウム基およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含み、ポリマー成分を含めて互いの成分と反応したものも含む。固形分は、(A)共重合体に実質的に対応すると考えられるので、(A)共重合体の含有量と考えられる。
(a2)コアシェル型アクリルスチレンエマルジョン(大成ファインケミカル株式会社製の3KW-3000(商品名))。固形分を28.5質量%含む。粒径は300nm、コアのTgは20℃、シェルのTgは20℃、MFTは4℃、アクリルスチレン重合体の他に、ギ酸、エピクロロヒドリンとアミノ基に基づく4級アンモニウム基およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含み、ポリマー成分を含めて互いの成分と反応したものも含む。
(a3)アクリルシリコンディスパージョン(ヘンケルジャパン社製のKD-20(商品名))。固形分を20質量%含み、粒径は20nm、Tgは42℃、MFTは0℃、反応性シリル基、及び造膜助剤を含む。
【0046】
(B)エポキシ樹脂
(b1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製のEM-101-50(商品名))。固形分を46質量%含み、粒径は400nm、エポキシ当量は、1075g/eqであり、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びベンジルアルコールを含む。
【0047】
(E)シランカップリング剤
(e1)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製のKBM-403(商品名))。3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(e2)アミノシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製のKBM-603(商品名))。N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
(e3)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製のKBM-403(商品名))とアミノシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製のKBM-603(商品名))の反応物。(e3)は、次のように合成した。3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403)25gとN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603)75gを50℃で72時間、加熱混合して、(e3)を合成した。
【0048】
(F)その他
(f1)消泡剤(共栄社化学株式会社製のSB630(商品名))。有機変性ポリシロキサンと特殊ポリマーのエマルジョン。固形分を25質量%含む。
(f2)造膜助剤(日本乳化剤株式会社製のEHG(商品名))。エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル。
(f3)水
【0049】
(A)から(F)の成分を、表1及び2に示す割合(質量部)で配合し、実施例1~9及び比較例1~2の水性プライマー組成物を製造した。
本明細書において固形分とは、JIS K 6828-1(合成樹脂エマルジョン-第1部:不揮発分の求め方)に準じ、105℃3時間の試験条件で測定した場合の不揮発分をいう。
上述の水性プライマー組成物の各々について、簡易接着性(モルタルへの接着性(耐水性)、打継ぎ接着性(養生後)、アクリル電着塗装アルミへの接着性(耐水性))、貯蔵安定性を、下記の方法で測定し、評価した。結果を表1及び2に示す。
【0050】
簡易接着性(モルタルへの接着性(耐水性)、打継ぎ接着性(養生後)、アクリル電着塗装アルミへの接着性(耐水性))
簡易接着性は、2017年版建築用シーリング材ハンドブック(日本シーリング材工業会発行)に準じて評価した。
所定の被着体(下記に記載の被着体1~3)の表面をトルエンで清掃後、所定のプライマー(実施例又は比較例の水性プライマー)を塗布し、常温で60分以上乾燥した。
上述の被着体と、15倍独立発泡ポリエチレン製バックアップ材を用い、図1に示す、試験体(幅10mm、厚さ8mm、長さ150mm)を作製した。試験体に、MS2500NBタイプ(サンスター技研株式会社製の2成分形変成シリコーン系シーリング材)またはPU9000typeNB(サンスター技研株式会社製の2成分形ポリウレタン系シーリング材)を打設した。これを、23℃で1週間、引き続き50℃で1週間養生した。さらに耐水性評価の場合、上述の養生後、23℃の水に1週間浸漬後、24時間静置した。その後、2017年版建築用シーリング材ハンドブック(日本シーリング材工業会発行)の6.2.1(2)の簡易接着性試験に準じて、180度方向にシーリング材を引っ張って、剥離した箇所の接着状態を目視で観察した。
【0051】
被着体1:モルタル(JIS R 5210に規定する普通ポルトランドセメントを用いて、JIS R 5201の10.4に準じて調製したもの、株式会社エンジニアリングテストサービス製)(モルタルへの接着性(耐水性)評価に使用)
被着体2:ペンギンシールPU9000typeNB(サンスター技研株式会社製の2成分形ポリウレタン系シーリング材)(打継ぎ接着性(養生後)評価に使用)
被着体3:アクリル電着塗装アルミ(株式会社LIXIL製アクリル電着塗装アルミサッシ、オータムブラウン)(アクリル電着塗装アルミへの接着性(耐水性)評価に使用)
評価基準は、下記の通りである。
○:全体が、凝集破壊(CF, Cohesive Failure)であり、一部が薄層凝集破壊(TCF, Thin Cohesion Failure)が混在している場合を含む。
○/△:全体的に、凝集破壊(CF, Cohesive Failure)と薄層凝集破壊(TCF, Thin layer Cohesive Failure)が混在している。
△:全体が、TCFである。
×:界面破壊(AF、Adhesive Failure)が認められる。
【0052】
貯蔵安定性
各々の水性プライマー組成物を製造後、50℃で1週間貯蔵した。その後、BM形粘度計、スピンドルNo.3を用いて、回転速度30rpmにて20℃で、粘度を測定した。
評価基準は、下記の通りである。
○:4000mPa・s以下である。
△:4000mPa・sを超えるが、塗布可能である。
×:ゲル化して、塗布不能である。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
実施例1~9の水性プライマー組成物は、いずれも×がなく、優れた接着性と貯蔵安定性を示す。
比較例1~2の水性プライマー組成物は、×があり、接着性と貯蔵安定性のいずれかに劣る。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、(A)カチオン性アクリル重合体を含む共重合体と、(B)ビスフェノール型エポキシ樹脂を含み、優れた接着性を有するとともに、耐水性の向上と、貯蔵安定性の向上が可能である。よって、本発明の実施形態の水性プライマー組成物は、建築用被着体に好適に使用することができる。
図1