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特開2025-1322X線診断装置、及び、X線診断装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001322
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】X線診断装置、及び、X線診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241225BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100837
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横浜 立
(72)【発明者】
【氏名】平澤 正志
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋
(72)【発明者】
【氏名】今川 和夫
(72)【発明者】
【氏名】篠田 勝明
(72)【発明者】
【氏名】弓座 久育
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093EC03
4C093EC16
4C093EC28
4C093EC33
4C093FA54
4C093FA55
(57)【要約】
【課題】X線診断装置において、撮像装置の移動経路を再現できるようにすること。
【解決手段】実施形態に係るX線診断装置は、記憶部と、記憶制御部と、移動制御部とを備える。記憶制御部は、撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路であって、ユーザの操作に応じて前記撮像装置が移動することによって生成された移動経路を記憶部に記憶させる。移動制御部は、記憶された移動経路の逆順に撮像装置を移動させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路であって、ユーザの操作に応じて前記撮像装置が移動することによって生成された前記移動経路を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
記憶された前記移動経路の逆順に前記撮像装置を移動させる移動制御部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記ユーザの操作により前記撮像装置の逆順移動の指示が継続されているときに、前記撮像装置を逆順に移動させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記ユーザの操作は、当該ユーザが前記複数の可動軸を手動で設定する手動操作である、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記ユーザの操作は、オートポジショニングの指示に応じた前記撮像装置の複数回の移動の間に行われる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記ユーザの操作は、予め登録された前記可動軸の動作設定を読出して実行させるオートポジショニングに係る操作である、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記撮像装置の複数の可動軸には、X線アンギオ装置のCアームの複数の可動軸、及び、寝台の複数の可動軸が含まれる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記撮像装置の複数の可動軸には、前記X線アンギオ装置と組み合わされて移動するX線CT装置の前記寝台に対する移動軸がさらに含まれる、
請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記移動制御部は、
正方向である前記移動経路を逆方向に再現するように前記撮像装置を移動させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記記憶制御部は、
所定時間毎に前記撮像装置の前記複数の可動軸の動きの組み合わせを前記移動経路として前記記憶部に記憶させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項10】
記憶された前記撮像装置の前記移動経路上の1つの位置であって、前記ユーザから指定された位置を当該撮像装置の停止位置として受け付ける受付部をさらに備え、
前記移動制御部は、
前記ユーザからの開始指示に応じて、前記移動経路上の任意の位置から前記停止位置まで、前記撮像装置を自動で移動させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項11】
表示部と、
記憶された前記移動経路上の各位置に対応する前記撮像装置の疑似画像を動画として表示部に表示させる表示制御部と、
をさらに備える、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、
前記動画の任意のフレームに対応する位置を、前記撮像装置の停止位置として前記ユーザが指定することができる操作部を前記表示部にさらに表示させ、
前記移動制御部は、
前記撮像装置が指定された前記停止位置に至るまで当該撮像装置を移動させる、
請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記記憶制御部は、
(a)前記撮像装置が所定時間以上停止したとき、(b)X線が曝射されたとき、または、(c)指定した速度以下で所定時間以上移動したときにおける、前記移動経路上の特定位置を前記記憶部にさらに記憶させ、
前記表示制御部は、
前記動画上で、前記特定位置を前記表示部にさらに表示させる、
請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記記憶制御部は、
前記移動経路を第1経路とするとき、前記第1経路の逆順に前記撮像装置が移動しているときに、当該逆順の移動経路を第2経路として前記記憶部にさらに記憶させ、
前記移動制御部は、
前記第2経路の逆順に前記撮像装置をさらに移動させることができる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記移動制御部は、
前記ユーザの選択により、前記記憶部に記憶された前記移動経路に代えて、現在位置から目的位置までの最短経路に沿って前記撮像装置を移動させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項16】
X線診断装置の制御方法であって、
撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路であって、ユーザの操作に応じて前記撮像装置が移動することによって生成された前記移動経路を記憶部に記憶させ、
記憶された前記移動経路の逆順に前記撮像装置を移動させる、
X線診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置、及び、X線診断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置には、オートポジショニングと呼ばれる技術がある。オートポジショニングは、スイッチの入力がある間、Cアーム又は寝台を、事前に登録された任意の位置に自動で動作(例えば、Cアームの各軸を中心とする回転移動、天井レールに沿った平行移動等)させることを可能にする。
【0003】
Cアームのオートポジショニングを用いて、ユーザが所望する動作を行う場合、事前に所望の動作位置を登録する処理を行う必要があり、手技中の手間が増えてしまう。また、動作した先の位置の登録処理を行っておらず、ユーザが手動で動作させた場合には、Cアーム又は寝台の位置を動作前に戻す必要が生じたとしても、複雑なユーザ操作が必要になる。
【0004】
また、オートポジショニングでは、現在位置から指定した位置への動作を再現することは可能であっても、Cアームが動作する経路は複数存在し得る。しかし、オートポジショニングでは、Cアームが動作する経路を取得していない。従って、技師等のユーザが手動で任意に移動させたCアームの動作経路を一意に再現することはほぼ不可能であり、使用者が予期していない動作を行う可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-088380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、X線診断装置において、撮像装置の移動経路を再現できるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限らない。後述する各実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線診断装置は、記憶部と、記憶制御部と、移動制御部とを備える。記憶制御部は、撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路であって、ユーザの操作に応じて前記撮像装置が移動することによって生成された移動経路を記憶部に記憶させる。移動制御部は、記憶された移動経路の逆順に撮像装置を移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るX線診断装置の構成を示すブロック図。
図2図2は、X線診断装置の外観を示す斜視図。
図3図3は、第1実施形態に係る手動で移動する撮像装置の移動経路を記録する処理の例を示すフローチャート。
図4図4は、第1実施形態に係るCアームの回転移動及び平行移動を示す図。
図5図5は、第1実施形態に係る移動経路の概念を示す図。
図6図6は、第1実施形態に係るX線診断装置の再現及び記録処理の例を示すフローチャート。
図7図7は、第2実施形態に係るCアームの回転移動及び平行移動を示す図。
図8図8は、第2実施形態に係るモデル図の例を示す模式図。
図9図9は、第3実施形態に係るモデル図の例を示す模式図。
図10図10は、第3実施形態に係るモデル図の例を示す模式図。
図11図11は、第4実施形態に係るX線診断装置の構成を示すブロック図。
図12図12は、X線診断装置の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、X線診断装置、及び、X線診断装置の制御方法の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線診断装置1の構成を示すブロック図である。図2は、X線診断装置1の外観を示す斜視図である。X線診断装置1は、X線アンギオ装置10、寝台装置50、及び、コンソール装置70を備えている。
【0011】
X線アンギオ装置10は、高電圧発生装置11、X線発生部12、X線検出器13、Cアーム14、状態検出器141、及び、Cアーム駆動装置142を備えている。
【0012】
高電圧発生装置11は、X線管の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰
極の間に印加する高電圧を発生させてX線管へ出力する。X線発生部12は、被検体Pに対してX線を照射するX線管と、照射X線量を減衰又は低減させる機能を有するROI(Region Of Interest)フィルタ及びX線絞りを備えている。
【0013】
X線管は、X線を発生する。具体的には、X線管は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管である。X線管は、高圧ケーブルを介して高電圧発生装置11に接続されている。陰極と陽極との間には、高電圧発生装置11により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。高電圧発生装置11からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突することによりX線が発生される。
【0014】
ROIフィルタは、X線管とX線絞りとの間に位置し、銅やアルミニウム等の金属板で構成される。ROIフィルタは少なくとも一部、例えば中央部に開口領域を有し、開口領域外のX線を減衰させる。このため、ROIフィルタは、開口領域のX線通過領域ではX線を全透過させ、それ以外の領域のX線を減衰して透過させる。
【0015】
X線絞りは、X線管とX線検出器13の間に位置し、金属板としての鉛板で構成される。X線絞りは、開口領域外のX線を遮蔽することにより、X線管が発生したX線を、被検体Pの関心領域にのみ照射されるように絞り込む。
【0016】
X線検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する。このようなX線検出器13としては、X線を直接電荷に変換するものと、光に変換した後、電荷に変換するものとが使用可能である。ここでは前者を例に説明するが、後者であっても構わない。すなわち、X線検出器13は、例えば、被検体Pを透過したX線を電荷に変換して蓄積する平面状のFPD(Flat Panel Detector)と、このFPDに蓄積された電荷を読み出すための駆動パルスを生成するゲートドライバとを備えている。蓄積された電荷はゲートドライバが供給する駆動パルスによって順次読み出される。
【0017】
X線検出器13の後段には、図示しない投影データ生成回路及び投影データ記憶回路を
備える。投影データ生成回路は、デジタル変換されたパラレル信号を時系列的なシリアル信号に変換し、当該シリアル信号を時系列的な投影データとして投影データ記憶回路に供給する。投影データ記憶回路は、投影データ生成回路から供給される時系列的な投影データを順次保存して2次元投影データを生成する。この2次元投影データは、メモリ71に保存される。
【0018】
Cアーム14は、X線発生部12とX線検出器13とを被検体P及び天板53を挟んで
対向するように保持することで、天板53上の被検体PのX線撮影を行うことができる構
成を有する。Cアーム14は、撮像装置の一例である。図2では、Cアーム14は天板53に接近している。
【0019】
Cアーム14は、天板53に垂直なY方向と、天板53の長軸方向に沿ったZ方向との両方に直交するX方向の軸を中心に回転可能に保持部14aに保持されている。また、Cアーム14は、Z方向の軸を中心とした略円弧形状を有し、略円弧形状に沿ってスライド動作可能に保持部14aに保持されている。すなわち、Cアーム14は、Z方向の軸を回転中心としたスライド動作を行うことができる。また、Cアーム14は、保持部14aを中心としてX方向の軸を中心とした回転動作をすることができる。スライド動作と回転動作との組み合わせにより、様々な角度方向からX線画像を観察することを可能とする。さらに、Cアーム14は、Y方向の軸を中心に回転することができ、これにより、例えば、上述のスライド動作の回転中心軸をX方向とすることができる。
【0020】
図1に戻り、Cアーム14は、レールr2下の支持アーム14b、X方向の軸、Y方向の軸及びZ方向の軸に係る動作を実現するための複数の動力源が該当する適当な箇所に備えられている。これらの動力源は、Cアーム駆動装置142を構成する。Cアーム駆動装置142は、駆動制御機能742からの駆動信号を読み込んで、Cアーム14にスライド運動、回転運動、及び、直線運動を行わせる。さらに、Cアーム14には、その角度又は姿勢や位置を検出する状態検出器141が備えられている。状態検出器141は、例えばCアーム14の回転角や移動量を検出するポテンショメータや、位置検出センサであるエンコーダ等で構成される。
【0021】
寝台装置50は、被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台51と、寝台駆動装置
52と、天板53と、支持フレーム54とを備えている。
【0022】
基台51は、床面に設置され、支持フレーム54を鉛直方向(Y方向)に移動可能に支
持する筐体である。
【0023】
寝台駆動装置52は、寝台装置50の筐体内に収容され、被検体Pが載置された天板53を天板53の長手方向(Z方向)に移動するモータ又はアクチュエータを含んでいる。寝台駆動装置52は、駆動制御機能742からの駆動信号を読み込んで、天板53を床面に対して水平方向や垂直方向に移動させる。同様に、寝台駆動装置52は、駆動制御機能742からの駆動信号を読み込んで、天板53を天板53の短軸方向を中心にしてチルトさせる。寝台駆動装置52は、支持フレーム54をチルトさせることにより、天板53をチルトさせてもよい。Cアーム14又は天板53が移動することにより、被検体Pに対する撮影軸の位置関係が変化する。なお、寝台駆動装置52は、天板53に加え、支持フレーム54を天板53の長手方向に移動してもよい。
【0024】
天板53は、支持フレーム54の上面に設けられ、被検体Pが載置される板である。
支持フレーム54は、被検体Pが載置される天板53を移動可能に支持する。詳しくは、支持フレーム54は、基台51の上部に設けられ、天板53をその長手方向に沿ってスライド可能に支持する。
【0025】
コンソール装置70は、メモリ71、ディスプレイ72、入力インタフェース73及び
処理回路74を備えている。
【0026】
メモリ71は、HDD(Hard Disk Drive)など電気的情報を記録するメモリ本体と、それらメモリ本体に付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路とを備えている。メモリ71は、例えば、処理回路74に実行されるプログラムと、DAS38から受けた検出データと、処理回路74により生成された医用画像と、処理回路74の処理に用いるデータ、各種テーブル、処理途中のデータ、処理後のデータとが記憶される。医用画像としては、例えば、CT画像、3D-CT画像、3Dアンギオ画像、2Dアンギオ画像、重畳画像、加工画像等がある。メモリ71は、記憶部の一例である。
【0027】
ディスプレイ72は、医用画像等の各種の情報を表示する。ディスプレイ72は、例えば、処理回路74によって生成された医用画像や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ72は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ72は、X線CT装置30に設けられてもよい。また、ディスプレイ72は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置70本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ72は、表示部の一例である。
【0028】
入力インタフェース73は、被検体情報の入力、X線条件の設定、各種コマンド信号の
入力等を行う。被検体情報は、例えば、被検体ID、被検体名、生年月日、年齢、身長、体重、性別、検査部位等を含んでいる。入力インタフェース73は、例えば、Cアーム14の移動指示、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース73は、処理回路74に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、処理回路74に出力する。なお、入力インタフェース73は、X線CT装置30に設けられてもよい。また、入力インタフェース73は、コンソール装置70本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0029】
処理回路74は、メモリ71内のプログラムを呼び出して実行することにより、プログラムに対応するシステム制御機能741、駆動制御機能742、撮影制御機能743、画像処理機能744、記憶制御機能745、表示制御機能746、及び、指定受付機能747を実現するプロセッサである。なお、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路74を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。
【0030】
システム制御機能741は、例えば、入力インタフェース73から入力された操作者に
よるコマンド信号、及び、各種初期設定条件等の情報を一旦記憶した後、これらの情報を処理回路74の各処理機能に送信する機能を含む。
【0031】
駆動制御機能742は、例えば、入力インタフェース73から入力されたX線CT装置30、Cアーム14及び天板53の駆動に関する情報を用いて、CT制御装置35、Cアーム駆動装置142及び寝台駆動装置52の制御を行う機能を含む。駆動制御機能742は、例えば、メモリ71に記憶された移動経路の逆順に撮像装置を移動させる機能を含む。移動経路は、撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路であって、ユーザの操作に応じて当該撮像装置が移動することによって生成された移動経路である。
【0032】
撮像装置には、Cアーム14、X線CT装置30、及び、天板53が含まれる。撮像装置の複数の可動軸には、X線アンギオ装置10のCアーム14の複数の可動軸、及び、天板53の複数の可動軸が含まれる。撮像装置の複数の可動軸には、X線アンギオ装置10と組み合わされて移動するX線CT装置30の天板53に対する移動軸がさらに含まれる。天板53は、寝台の一例である。さらに、駆動制御機能742は、正方向である移動経路を逆方向に再現するように撮像装置を移動させる機能を含む。
【0033】
駆動制御機能742は、例えば、X線アンギオ装置10の平行移動や回転移動、X線CT装置30の平行移動、回転移動、チルト、及び、寝台装置50の平行移動やチルト等を制御する。駆動制御機能742は、天板53をチルトさせることに加え、当該天板53の高さを変更させるようにしてもよい。天板53のチルト及び高さの変更は、並列に実行してもよく、直列に実行してもよい。また、駆動制御機能742は、設定された干渉領域に基づいて、X線アンギオ装置10と被検体Pとの接触を避けるように干渉制御を行う。
【0034】
撮影制御機能743は、例えば、システム制御機能741からの情報を読み込んで、高電圧発生装置11における管電圧、管電流、照射時間等のX線条件の制御を行う機能を含む。X線条件は、管電流と照射時間の積(mAs)を含んでもよい。
【0035】
画像処理機能744は、CT撮像については、例えば、メモリ71内の検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する機能を含む。
【0036】
記憶制御機能745は、撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路であって、ユーザの操作に応じて当該撮像装置が移動することによって生成された移動経路をメモリ71に記憶させる機能を含む。ユーザの操作は、当該ユーザが撮像装置の複数の可動軸を手動で設定する手動操作であってもよい。ユーザの操作は、オートポジショニングの指示に応じた撮像装置の複数回の移動の間に行われてもよい。ユーザの操作は、予め登録された撮像装置の可動軸の動作設定を読出して実行させるオートポジショニングに係る操作であってもよい。
【0037】
表示制御機能746は、例えば、システム制御機能741からの信号を読み込んで、メモリ71から所望の医用画像データを取得してディスプレイ72に表示する制御等を行う機能を含む。また、表示制御機能746は、メモリ71に記憶された移動経路上の各位置に対応する撮像装置の疑似画像を動画としてディスプレイ72に表示させる機能を含む。
【0038】
指定受付機能747は、メモリ71に記憶された撮像装置の移動経路上の1つの位置であって、ユーザから指定された位置を当該撮像装置の停止位置として受け付ける機能を含む。
【0039】
第1実施形態に係るX線診断装置1は、大別すると、手動で移動される撮像装置の移動経路を記録する処理と、記録された移動経路をX線診断装置1の制御によって再現しながら撮像装置を移動させる処理の2つの処理を有している。
図3は、このうち、手動で移動する撮像装置の移動経路を記録する処理の例を示すフローチャートである。図4(A)は、第1実施形態に係るCアーム14の回転移動を示す図である。図4(B)は、第1実施形態に係るCアーム14の平行移動を示す図である。図5は、第1実施形態に係る移動経路の概念を示す図であり、特に、撮像装置の複数の可動軸の動きの組み合わせで規定される移動経路を説明するための図である。
【0040】
本記録処理は、ユーザの手動操作によって撮像装置が移動する移動経路を記録する処理である。本記録処理は、主としてコンソール装置70の処理回路74によって実行される。なお、ユーザの手動操作は、予め撮像装置の位置や駆動内容が定められたオートポジションにより撮像装置が移動しているときを除いて行われる。すなわち、本記録処理は、各オートポジショニングの合間に、ユーザが撮像装置を自由に動かし、入力操作により自由に設定変更する場合に適用される。以下、撮像装置がCアーム14である場合を例として、説明する。なお、天井吊り型のCアーム14を例示しているが、床置き型のCアームや天井吊り型のΩアームでも同様に適用可能である。
【0041】
ステップS1で、処理回路74の記憶制御機能745は、Cアーム14の現在位置(すなわち、操作開始位置)を第1経路の開始位置としてメモリ71に記憶させる。現在位置は、Cアーム14における複数の可動軸の角度や位置の組合せであり、例えば、FILO(First In Last Out)構造のスタック形式にてメモリ71に記憶される。
【0042】
ステップS2で、ユーザは、X線アンギオ装置10のCアーム14のマニュアル操作を開始する。これにより、Cアーム14は、回転移動又は平行移動を開始する。例えば、図4(A)に示すように、Cアーム14は、位置(1)から位置(2)まで回転移動してもよい。図4(B)に示すように、Cアーム14は、位置(1)から位置(2)、(3)を経由して位置(3)まで平行移動してもよい。また、Cアーム14は、回転移動と平行移動とを組み合わせた移動を行ってもよい。
【0043】
ステップS3で、処理回路74の駆動制御機能742は、Cアーム14が停止しているか否かを判定する。駆動制御機能742は、例えば、X線アンギオ装置10の状態検出器141からCアーム14の回転角、移動量、及び、位置の検出値を取得し、それらの検出値に基づいて上記の判定を行う。Cアーム14が停止している場合(ステップS3のYES)、処理回路74は、ステップS6に進む。Cアーム14が停止していない場合(ステップS3のNO)、処理回路74は、ステップS4に進む。
【0044】
ステップS4で、処理回路74は、以前にCアーム14の位置を記録した時点から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、その前後の位置からCアーム14の移動経路が一意に再現可能な比較的短い時間(例えば、1~2秒)である。所定時間が経過している場合(ステップS4のYES)、処理回路74は、ステップS5に進む。所定時間が経過していない場合(ステップS4のNO)、処理回路74は、ステップS3に戻る。
【0045】
ステップS5で、処理回路74の記憶制御機能745は、Cアーム14の現在位置を第1経路の中間位置(例えば、(1)-1、(1)-2、(1)-3、・・・)としてメモリ71に記憶させる。すなわち、記憶制御機能745は、ユーザの手動操作に応じてCアーム14が移動しているときに、図5の左図に示すように、所定時間毎にCアーム14の複数の可動軸の動きの組み合わせを移動経路としてメモリ71に記憶させる。可動軸の動きは、例えば、所定時間の前後における可動軸1~4の回転角度や移動位置の変化である。所定時間毎にCアーム14の位置を記録することにより、Cアーム14の移動経路を一意に特定することができる。
【0046】
逆に言えば、Cアーム14の位置(1)から所定時間以上経過してから位置(2)を記録しても、位置(1)と位置(2)との間の移動経路は一意に特定できない。図5の右図に示すように、例えば、Cアーム14が移動するときの開始位置(1)と終了位置(2)を記録しただけでは、実際の移動経路Cを特定することはできず、移動経路A、B又は移動経路D、E、F、G上の移動が可能性としてあり得る。そこで、図5の移動経路Cが示すように、記憶制御機能745は、所定時間(例えばΔT)毎にCアーム14の位置を記録する。その後、処理回路74は、ステップS3に戻る。
【0047】
ステップS6で、処理回路74の記憶制御機能745は、Cアーム14の現在位置(すなわち、操作停止位置)を第1経路の終了位置としてメモリ71に記憶させる。
【0048】
なお、図4(A)に示すように、Cアーム14が所定時間未満にて位置(1)から位置(2)まで回転移動した場合、図3の記録処理は、ステップS3及びS4を繰り返した後、ステップS5に進むことなく、ステップS6に進む。また、位置(2)以降の位置(3)、(4)、・・・といった任意の位置への移動を追加した場合にも、位置(1)から位置(2)までの記録処理と同様の処理が行われる。
【0049】
図6は、第1実施形態に係るX線診断装置1の再現及び記録処理の例を示すフローチャートである。本再現及び記録処理は、記録した移動経路の逆順に撮像装置を移動させると共に、当該逆順の移動経路を記録する処理である。本再現及び記録処理は、主としてコンソール装置70の処理回路74によって実行される。以下、撮像装置がCアーム14である場合を例として、説明する。
【0050】
概要としては、図3の記録処理にて記録したCアーム14の移動経路を第1経路とするとき、駆動制御機能742は、第1経路の逆順にCアーム14を移動させる。第1経路の逆順にCアーム14を移動しているときに、記憶制御機能745は、当該逆順の移動経路を第2経路としてメモリ71にさらに記憶させる。これにより、駆動制御機能742は、第2経路の逆順にCアーム14をさらに移動させることができる。以下、詳細に説明する。
【0051】
ステップS11で、処理回路74の記憶制御機能745は、Cアーム14の現在位置を第2経路の開始位置(すなわち、再現開始位置)としてメモリ71に記憶させる。
【0052】
ステップS12で、ユーザによるコンソール装置70の入力インタフェース73への移動入力があるか否かを判定する。移動開始を入力する入力インタフェース73には、例えば、スイッチタイプと、レバータイプとがある。スイッチタイプでは、ユーザによる入力がある間、駆動制御機能742は、Cアーム駆動装置142に所定速度でのCアーム14の再現移動を行わせる。レバータイプでは、ユーザによる入力がある間、駆動制御機能742は、Cアーム駆動装置142に所定速度を速度の上限値として、レバーの傾斜角に応じた速度でのCアーム14の再現移動を行わせる。所定速度とは、例えば、通常のマニュアル操作時におけるCアーム14の移動速度である。換言すれば、駆動制御機能742は、ユーザの操作によりCアーム14の逆順移動の指示が継続されているときに、Cアーム14を逆順に移動させる。
【0053】
入力インタフェース73への移動入力がある場合(ステップS12のYES)、処理回路74は、ステップS13に進む。入力インタフェース73への移動入力がない場合(ステップS12のNO)、処理回路74は、ステップS12を繰り返す。
【0054】
ステップS13で、処理回路74の駆動制御機能742は、メモリ71に記憶された第1経路から次の位置を読み出し、Cアーム駆動装置142に当該位置へのCアーム14の移動を開始させる。第1経路の各位置は、例えば、FILO構造のスタック形式でメモリ71に記憶されているので、新しく記憶された順に読み出される。
【0055】
これにより、Cアーム14は、回転移動又は平行移動を開始する。例えば、図4(A)に示すように、Cアーム14は、位置(2)から位置(1)まで回転移動してもよい。図4(B)に示すように、Cアーム14は、位置(4)から位置(3)、(2)を経由して位置(1)まで平行移動してもよい。また、Cアーム14は、逐次可動軸を変えて、回転移動と平行移動とを組み合わせた複雑な移動を行ってもよい。
なお、ユーザによる入力がある間、メモリ71に次の位置のデータが記憶されている限り、駆動制御機能742は、Cアーム14を再現移動させる。ユーザがスイッチ又はレバーを離すと、Cアーム14は停止する。
【0056】
ステップS14で、処理回路74の駆動制御機能742は、Cアーム14が次の位置に到達したか否かを判定する。Cアーム14が次の位置に到達している場合(ステップS14のYES)、処理回路74は、ステップS18に進む。Cアーム14が次の位置に到達していない場合(ステップS14のNO)、処理回路74は、ステップS15に進む。
【0057】
ステップS15で、ユーザによるコンソール装置70の入力インタフェース73への移動入力があるか否かを判定する。入力インタフェース73への移動入力がある場合(ステップS15のYES)、処理回路74は、ステップS16へ進む。入力インタフェース73への移動入力がない場合(ステップS15のNO)、処理回路74は、ステップS19へ進む。
【0058】
ステップS16で、処理回路74は、以前にCアーム14の位置を記録した時点から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過している場合(ステップS16のYES)、処理回路74は、ステップS17に進む。所定時間が経過していない場合(ステップS16のNO)、処理回路74は、ステップS15に戻る。
【0059】
ステップS17で、処理回路74の記憶制御機能745は、Cアーム14の現在位置を第2経路の中間位置としてメモリ71に記憶させる。その後、処理回路74は、ステップS15に戻る。
【0060】
ステップS18で、処理回路74の駆動制御機能742は、Cアーム14が第1経路の終了位置に到達したか否かを判定する。Cアーム14が第1経路の終了位置に到達している場合(ステップS18のYES)、処理回路74は、ステップS19に進む。Cアーム14が第1経路の終了位置に到達していない場合(ステップS18のNO)、処理回路74は、ステップS14に戻る。
【0061】
ステップS19で、処理回路74の記憶制御機能745は、Cアーム14の現在位置を第2経路の終了位置(すなわち、再現終了位置)としてメモリ71に記憶させる。その後、処理回路74は、一連の処理を終了する。
なお、メモリ71のうち、移動経路の記録に用いられる記憶領域の容量に応じて、移動経路の各位置は上書きされる。第1経路だけでなく、直近の第2経路も記録することにより、直前に戻す、1つ前に戻すといったニーズに応えることができる。また、再現時に途中で止めることもあり、第1経路と、第2経路とが全く同じとは限らないので、第2経路を記録する意義はある。
【0062】
上記によれば、ユーザによる入力がある間、Cアーム14は、第1経路の最新の記録位置から順に一つ前の記録位置へと連続的に移動し、最古の記録位置まで移動する。これにより、第1経路の再現が可能になる。また、ユーザは、Cアーム14の移動経路を記録するための手間が要らず、自動で所望の位置にCアーム14を移動させることができる。そして、Cアーム14の移動経路を再現することにより、ユーザビリティの向上を図り、複雑な操作の自動化を可能にする。
【0063】
なお、第1経路の逆順に移動しているCアーム14の任意の停止位置にて別スイッチの長押し(又は、設定変更等によるスイッチ操作、レバーの逆方向入力等)により、第1経路の正方向を再現することができる。例えば、図4(B)では、Cアーム14は、位置(4)から位置(1)までの間の何れかの位置に停止した後、位置(4)まで再度移動可能である。
【0064】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る再現処理では、ユーザがCアーム14の停止状態として記録された位置を終了位置に指定することにより、駆動制御機能742は、当該位置を終了位置とするCアーム14の移動を再現する。すなわち、指定受付機能747は、第1実施形態に係る記録処理によりメモリ71に記憶されたCアーム14の移動経路上の1つの位置であって、ユーザから指定された位置をCアーム14の停止位置として受け付ける。そして、駆動制御機能742は、ユーザからの開始指示に応じて、Cアーム14の移動経路上の任意の位置から停止位置まで、Cアーム14を自動で移動させる。停止位置の指定には、例えば、位置の順番を示す数値を入力する。
【0065】
図7(A)は、第2実施形態に係るCアーム14の回転移動を示す図である。図7(B)は、第2実施形態に係るCアーム14の平行移動を示す図である。
【0066】
記録処理が行われる条件には、Cアーム14の停止状態による位置(位置(1)、位置(2)、・・・)の記録と、Cアーム14の移動時間による位置の記録(位置(1)-1、位置(1)-2、・・・、位置(2)-1、位置(2)-2、・・・)とが含まれる。このとき、停止状態による位置の記録では、最古の記録位置から順に1、2、3、・・・として順番が保存される。その順番は、Cアーム14の移動の度に更新される。その順番を指定することにより、Cアーム14の終了位置の設定が可能になる。
【0067】
例えば、図7(A)に示すように、Cアーム14が位置(3)にあるとき、停止位置として、位置(1)又は(2)が指定可能である。また、図7(B)に示すように、Cアーム14が位置(4)にあるとき、停止位置として、位置(1)又は(2)が指定可能である。なお、図7(B)におけるCアーム14の位置(3)は、移動時間による位置として記録されたものなので、停止位置としては指定できない。
【0068】
停止位置を指定した再現処理は、以下のように行われる。ユーザは、コンソール装置70の入力インタフェース73に数値入力(例えば、「1」の入力で位置(1)の指定)を行い、動作開始入力によって移動が開始される。Cアーム14は、ユーザ入力がある間のみ移動し、指定した位置に到達したときに自動で停止する。なお、ユーザは、入力インタフェース73の代わりに、コンソール装置70と通信可能なタブレット端末やスマートフォンに数値の入力や動作開始入力を行ってもよい。
【0069】
ユーザは、Cアーム14をマニュアル操作した後なので、少なくとも移動経路の開始位置(1)と終了位置(2)を認識していると考えられる。そして、移動経路の中間位置((1)-1、(1)-2、・・・等)は所定時間ごとに記録されるので、ユーザは、順番に対応する、Cアーム14の位置を感覚的に把握していると考えられる。ただし、Cアーム14の精確な中間位置を把握するのは難しいことが想定される。
【0070】
図8は、第2実施形態に係るモデル図の例を示す模式図である。コンソール装置70に位置の順番を示す数値が入力されるのと同時に、表示制御機能746は、図8に示すように、当該数値に対応するCアーム14の位置を示すモデル図をディスプレイ72に表示させてもよい。
【0071】
これにより、入力された数値に対応するCアーム14の位置を示すモデル図が表示されるので、ユーザは、直感ではなく、実際の停止位置を確認した上で、動作開始を入力することができる。なお、表示制御機能746は、ディスプレイ72の代わりに、コンソール装置70と通信可能なタブレット端末やスマートフォンにモデル図を表示させてもよい。
【0072】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るX線診断装置1は、第1実施形態に係る記録処理において記録されたCアーム14の位置を、連続化した動画であるモデル図に表示する。そして、シークバー721により当該動画を表示変更可能とし、任意の位置のモデル図をディスプレイ72に表示させる。その状態で、コンソール装置70からの動作開始入力に応じて、当該動画の位置を終了位置とするCアーム14の移動を再現する。シークバー721は、操作部の一例である。
【0073】
換言すれば、表示制御機能746は、動画の任意のフレームに対応する位置を、Cアーム14の停止位置としてユーザが指定することができるシークバー721をディスプレイ72にさらに表示させる。駆動制御機能742は、Cアーム14が指定された停止位置に至るまでCアーム14を移動させる。ただし、ユーザが停止位置として指定できるのは、移動経路として記録された位置である。従って、移動経路の中間位置((1)-1、(1)-2、・・・等)は指定可能であるが、例えば、位置(1)-1と位置(1)-2との間の位置は指定できない。
【0074】
図9は、第3実施形態に係るモデル図の例を示す模式図である。図9に示すように、ユーザがディスプレイ72の下側に表示されたシークバー721を左右に操作することにより、同じくディスプレイ72に表示されたCアーム14の動画の表示位置が変更される。ユーザが動画の所望位置を表示することにより、当該所望位置が再現移動におけるCアーム14の終了位置に設定される。
【0075】
このとき、ユーザは、Cアーム14の移動経路として、以下の2つの何れかを選択することが可能である。
【0076】
(1)移動経路再現ルート
第1実施形態にて示したように、メモリ71に記録された移動経路を順に通過することにより、移動経路を再現するように、Cアーム14を移動させる。
【0077】
(2)最短距離移動ルート
Cアーム14の現在位置から目標位置までの最短距離のルートにて、Cアーム14を移動させる。すなわち、駆動制御機能742は、ユーザの選択により、メモリ71に記憶された移動経路に代えて、現在位置から目標位置までの最短経路に沿ってCアーム14を移動させる。例えば、移動経路が現在位置から南へ距離Lだけ進み、その後東へ同じ距離Lだけ進んで目標位置に至るルートである場合、当該移動経路に代わる最短経路は、現在位置から南東へ進んで直接的に目標位置に至るルートである。
これにより、ルートは問わず、Cアーム14を特定の位置に戻したいというニーズに応えることができる。また、最短距離移動ルートは、Cアーム14が過去に通過したことのないルートであるが、安全を確保した上で、最短時間のルートを選択することができる。
【0078】
図10は、第3実施形態に係るモデル図の例を示す模式図である。図9に示した表示形態に追加して、表示制御機能746は、動画上の、「Cアーム14の停止が所定時間以上(図10の(1))」、「曝射スイッチON(図10の(2))」、及び、「指定した速度以下で所定時間以上操作(図10の(3))」の位置を自動で表示させてもよい。各位置は、色や形状により識別可能に表示されてもよい。
【0079】
図10に示すように、表示制御機能746は、例えば、シークバー721上に3個のポイントを表示させる。そのとき、ユーザが何れかのポイントを選択すると、表示制御機能746は、ディスプレイ72において、動画のうち当該ポイントに対応する位置の画像をピンポイントで表示させる。
【0080】
換言すれば、記憶制御機能745は、(a)Cアーム14が所定時間以上停止したとき、(b)X線が曝射されたとき、又は、(c)指定した速度以下で所定時間以上移動したときにおける、移動経路上の特定位置をメモリ71にさらに記憶させる。表示制御機能746は、動画上で上記特定位置をディスプレイ72にさらに表示させる。
【0081】
「指定した速度以下で任意の時間以上操作」の位置を記録することにより、ユーザは重要な部分の撮影時はCアーム14をゆっくり動かすと考えられるので、そのような撮影時のCアーム14の位置を残すことができる。また、ユーザがCアーム14の移動を再現させたいであろう位置を記録することができる。
【0082】
なお、記憶制御機能745は、指定した速度以下の速度でCアーム14を動かした後の最終位置を記録してもよい。また、記憶制御機能745は、指定した速度以下の速度でCアーム14を動かしている範囲を記録してもよい。そのとき、記憶制御機能745は、所定値以下の速度になった時点で、その開始位置を記録してもよい。
【0083】
〔第4実施形態〕
第1~第3実施形態では、撮像装置がCアーム14である場合について説明したが、X線CT装置30や寝台装置50に関しても、第1~第3実施形態を適用可能である。すなわち、Cアーム14と合わせて、X線CT装置30や天板53を組み合わせて移動させた場合に関しても、同様に位置の記録処理、及び、再現及び記録処理が行われる。
【0084】
図11は、第4実施形態に係るX線診断装置1aの構成を示すブロック図である。図12は、X線診断装置1aの外観を示す斜視図である。X線診断装置1aは、X線アンギオ装置10、X線CT装置30、寝台装置50、及び、コンソール装置70を備えている。X線CT装置30以外の装置は、第1実施形態と同様である。
【0085】
X線CT装置30は、X線管31、X線検出器32、回転フレーム33、X線高電圧装置34、CT制御装置35、ウェッジ36、コリメータ37及びDAS38を有する。なお、寝台装置50との関係を示す観点から、複数台のX線CT装置30を図11に示したが、実施形態のX線CT装置30は1台である。
【0086】
X線管31は、X線を発生する。具体的には、X線管3は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管である。X線管31は高圧ケーブルを介してX線高電圧装置34に接続されている。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置34により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。X線高電圧装置34からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突することによりX線が発生する。
【0087】
X線検出器32は、X線管31から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS38に出力する。X線検出器32は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器32は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器32は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。
【0088】
シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。
グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機
能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2
次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。
光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤーチューブ:PMT)等の光センサを有する。
【0089】
なお、X線検出器32は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0090】
回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とをZ方向の軸を中心に回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム33は、X線CT装置30に収容され、開口30aを介して互いに対向配置されたX線管31とX線検出器32とを支持する。回転フレーム33は、固定フレーム(図示せず)にZ方向の軸を中心に回転可能に支持される。CT制御装置35により回転フレーム33がZ方向の軸を中心に回転することにより、X線管31とX線検出器32とをZ方向の軸を中心に回転させる。回転フレーム33は、CT制御装置35の駆動機構からの動力を受けてZ方向の軸を中心に一定の角速度で回転する。回転フレーム33の開口には、画像視野(FOV)が設定される。
【0091】
X線高電圧装置34は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管31に印加する高電圧及びX線管31に供給するフィラメント電流を発生する高電圧発生装
置と、X線管31が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置34は、X線CT装置30内の回転フレーム33に設けられてもよいし、X線CT装置30内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0092】
CT制御装置35は、コンソール装置70の処理回路74の撮影制御機能733に従って、X線CT撮像を実行するためにX線高電圧装置34やDAS38を制御する。CT制御装置35は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。また、CT制御装置35は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されてもよい。
【0093】
CT制御装置35は、コンソール装置70又はX線CT装置30に取り付けられた、後述する入力インタフェース73からの入力信号を受けて、X線CT装置30及び寝台装置50の動作制御を行う機能を有する。例えば、CT制御装置35は、入力信号を受けて回転フレーム33を回転させる制御、X線CT装置30をチルトさせる制御、及び、寝台装置50及び天板53を動作させる制御を行う。なお、X線CT装置30をチルトさせる制御は、X線CT装置30に取り付けられた入力インタフェース73によって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、CT制御装置35がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム33を回転させることによって実現される。なお、CT制御装置35はX線CT装置30に設けられてもよいし、コンソール装置70に設けられても構わない。
【0094】
ウェッジ36は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ36は、X線管31から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ36としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)等のアルミニウム等の金属板が用いられる。
【0095】
コリメータ37は、ウェッジ36を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ3
7は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成される
スリットの形態を調節する。
【0096】
DAS(Data Acquisition System)38は、X線検出器32から出力された入射チャ
ネルに関する情報をビュー期間ごとに受けることにより、当該ビュー期間に亘るX線の線
量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。DAS38は、例えば、検出データを生成可能な回路素子を搭載したASICにより実現される。検出データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール装置70に伝送される。
【0097】
なお、X線CT装置30は、X線発生部とX線検出部とが一体として被検体の周囲を回
転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素
子が固定され、X線発生部のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4
世代CT)等の様々なタイプがあり、いずれのタイプでも一実施形態へ適用可能である。
【0098】
図12(A)では、Cアーム14は天板53に接近し、一方、X線CT装置30は天板53から離れている。図12(B)では、Cアーム14は天板53から離れて奥に収まっており、一方、X線CT装置30は天板53に接近している。
【0099】
具体的には、Cアーム14は、図12に示すように、天板53の長軸方向又は短軸方向に沿って天井に設けられた複数のレールr2下を平行移動可能であり、また、図示しない移動機構により、天板53の長軸方向及び短軸方向に沿ってレールr2間を平行移動可能となっている。また、Cアーム14は、保持部14aを介して支持アーム14bに支持されている。支持アーム14bは、略円弧形状を有し、レールr2に対する移動機構に基端が取り付けられている。
【0100】
Cアーム14と合わせて、X線CT装置30及び天板53を移動させる場合は、図5の左図に対応するメモリ71には、所定時間毎に、X線CT装置30の移動位置や天板53の角度が、Cアーム14の角度や移動位置と共に記憶される。換言すれば、隣接する2本の時間軸に挟まれた時間帯ごとに、撮像装置の複数の可動軸の動きが記録される。
【0101】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線診断装置において、撮像装置の移動経路を再現することができる。
【0102】
なお、駆動制御機能742は、移動制御部の一例である。記憶制御機能745、記憶制御部の一例である。表示制御機能746は、表示制御部の一例である。指定受付機能747は、受付部の一例である。
【0103】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1…X線診断装置
10…X線アンギオ装置
14…Cアーム
30…X線CT装置
53…天板
71…メモリ
72…ディスプレイ
721…シークバー
742…駆動制御機能
745…記憶制御機能
746…表示制御機能
747…指定受付機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12