(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013238
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】スクリードの調高フィードバック制御を備える道路舗装機
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108666
(22)【出願日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】23185510
(32)【優先日】2023-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヴァイザー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シュトゥンプ
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BD12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スクリードのアタック角を可能な限り一定に維持し、舗装品質を改善することを目的とする。
【解決手段】道路舗装機であって:牽引車両;少なくとも1つの牽引アーム4;少なくとも1つの牽引アーム4を介して牽引車両の牽引点5に取り付けられたスクリードアセンブリ3;牽引点5の位置、特に高さを調整する調高シリンダ;スクリードアセンブリ3の接地圧を調整するスクリード昇降シリンダ;スクリードアセンブリ3のスクリード高を判定する第1の計測装置;スクリードアセンブリ3のアタック角14を判定する第2の計測装置;並びに、調高シリンダ及びスクリード昇降シリンダを制御するフィードバック制御装置を備える道路舗装機に関する。さらに、スクリードアセンブリ3の位置をフィードバック制御する方法、並びに、スクリードアセンブリ3のアタック角14及びスクリード高をフィードバック制御するためのフィードバック制御装置の使用に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路舗装機(1)であって:
牽引車両(2);
少なくとも1つの牽引アーム(4);
前記少なくとも1つの牽引アーム(4)を介して前記牽引車両(2)の牽引点(5)に取り付けられたスクリードアセンブリ(3);及び
前記牽引点(5)の位置、特に高さを調整する調高シリンダ(8);
前記スクリードアセンブリ(3)の接地圧を調整するスクリード昇降シリンダ(10);
前記スクリードアセンブリ(3)のスクリード高(55)を判定する第1の計測装置(59);
前記スクリードアセンブリ(3)のアタック角(14)を判定する第2の計測装置(61);並びに
前記調高シリンダ(8)及び前記スクリード昇降シリンダ(10)を制御するフィードバック制御装置(50)
を備える、道路舗装機(1)。
【請求項2】
前記フィードバック制御装置(50)は、前記スクリード高(55)の制御偏差に基づいて前記調高シリンダ(8)を制御する第1のコントローラ(60)と、前記アタック角(14)の制御偏差に基づいて前記スクリード昇降シリンダ(10)を制御する第2のコントローラ(62)とを有する、請求項1に記載の道路舗装機。
【請求項3】
前記フィードバック制御装置(50)は、前記スクリード高(55)の制御偏差に基づいて前記調高シリンダ(8)を制御する第1のコントローラ(60)と、前記スクリード高(55)の制御偏差に基づいて前記スクリード昇降シリンダ(10)を制御する第2のコントローラ(62)とを有する、請求項1に記載の道路舗装機。
【請求項4】
前記フィードバック制御装置(55)は、前記スクリード高(55)の制御偏差及び前記アタック角(14)の制御偏差に基づいて前記調高シリンダ(8)及び前記スクリード昇降シリンダ(10)を制御する多変数コントローラ(63)を有する、請求項1に記載の道路舗装機。
【請求項5】
前記第2の計測装置(61)は、前記スクリードアセンブリ(3)に配置された第1の傾斜センサ及び前記牽引車両(2)に配置された第2の傾斜センサを有し、
前記第1の傾斜センサは、水平面に対する前記スクリードアセンブリ(3)の傾斜角度を判定し、
前記第2の傾斜センサは、前記水平面に対する前記牽引車両(2)の傾斜角度を判定し、
前記第2の計測装置は、前記スクリードアセンブリ(3)の前記傾斜角度及び前記牽引車両(2)の前記傾斜角度から、前記スクリードアセンブリ(3)の前記アタック角(14)を判定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の道路舗装機。
【請求項6】
前記第2の計測装置(61)は、前記牽引車両(2)の前記牽引点(5)に配置された回転角センサを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の道路舗装機。
【請求項7】
前記スクリードアセンブリ(3)はベーススクリード(11)及び少なくとも1つの延長部(12)を有し、前記延長部(12)は、前記道路舗装機(1)の舗装方向(100)において前記ベーススクリード(11)から少なくとも部分的にオフセットして配置されており、並びに、前記ベーススクリード(11)及び前記延長部(12)は同じアタック角(14)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の道路舗装機。
【請求項8】
道路舗装機(1)の牽引点(5)に取り付けられたスクリードアセンブリ(3)の位置をフィードバック制御する方法であって:
前記スクリードアセンブリ(3)のスクリード高(55)を判定するステップ;
前記スクリードアセンブリ(3)のアタック角(14)を判定するステップ;
前記判定されたスクリード高(55)に基づいて、前記牽引点(5)の位置、特に高さを調整するステップ;及び
前記判定されたアタック角(14)に基づいて前記スクリードアセンブリ(3)の接地圧を調整するステップを含む、方法。
【請求項9】
前記牽引点(5)の前記位置、特に前記高さの調整、及び、前記接地圧の調整は、前記道路舗装機(1)の操作中に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記牽引点(5)の前記位置、特に前記高さの調整、及び、前記接地圧の調整は、自動的に、特にフィードバック制御装置(50)によって行われる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記判定されたスクリード高(55)及び前記判定されたアタック角(14)が前記道路舗装機(1)のフィードバック制御装置(50)にフィードされ、前記フィードバック制御装置(50)は、前記スクリード高(55)の制御及び前記アタック角(14)の制御のために、多変数コントローラ(63)、又は、2つの個別のコントローラ(60,61)を有する、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記牽引点(5)の前記位置、特に前記高さの調整は、追加的に、前記判定されたアタック角(14)に基づき、前記スクリードアセンブリ(3)の前記接地圧の調整は、追加的に、前記判定されたスクリード高(55)に基づく、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記牽引点(5)の前記位置、特に前記高さの調整は調高シリンダ(8)により行われ、前記スクリードアセンブリ(3)の前記接地圧の調整はスクリード昇降シリンダ(10)により行われる、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
道路舗装機(1)のスクリードアセンブリ(3)のアタック角(14)のフィードバック制御、及び、前記スクリードアセンブリ(3)のスクリード高(55)のフィードバック制御のためのフィードバック制御装置(50)の使用。
【請求項15】
前記フィードバック制御装置(50)は多変数コントローラ(63)を有し、前記多変数コントローラ(63)は、前記スクリードアセンブリ(3)の前記アタック角(14)のフィードバック制御、及び、前記スクリードアセンブリ(3)の前記スクリード高(55)のフィードバック制御に用いられ、又は、前記フィードバック制御装置(50)は、第1のコントローラ(60)及び第2のコントローラ(62)を有し、前記第1のコントローラ(60)は前記スクリードアセンブリ(3)の前記スクリード高(55)のフィードバック制御に用いられ、前記第2のコントローラ(62)は、前記スクリードアセンブリ(3)の前記アタック角(14)のフィードバック制御に用いられる、請求項14に記載のフィードバック制御装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が、道路舗装機の技術分野に関する。特に、本発明は、舗装材料を締固めるスクリードを備える道路舗装機、及び、このような道路舗装機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10 2021 107 447 A1号明細書から、スクリードのアタック角の変化を判定する方法が公知である。独国特許出願公開第19 647 150 A1は、スクリードのスクリード高を制御する方法を示す。欧州特許第2 366 831 B1号明細書から、舗装厚及びアスファルト舗装材料の品質を制御する方法が公知である。
【0003】
従来技術から公知である調高フィードバック制御において、スクリードのスクリード高は調高シリンダの補助により検出及び調整される。舗装の最中、スクリード昇降シリンダは通常、浮いた位置にある。静的な締固めを行うために、一定の圧力がスクリード昇降シリンダのロッド側で設定され得る。スクリードの下側は路盤に対して傾斜している。この傾斜はアタック角と称され、とりわけスクリード昇降シリンダによって、開始時には所定の値に調整される。アタック角は、舗装結果の品質、特に、舗装材料の締固め、及び、結果的な表面外観に影響を及ぼす。従って、操作中にアタック角は一定であることが有利である。
【0004】
スクリード高の変化、道路舗装機の敷設速度の変化、及び/又は、舗装材料の変更は、スクリードのアタック角の変化をもたらし得る。過大又は過小なアタック角は劣った舗装結果をもたらし得る。延長スクリードを備える道路舗装機では特に、望ましくないアタック角では、ベーススクリードと延長部との間でスクリード高が異なることとなり、道路の交差方向で不均一となってしまう場合がある。
【0005】
従来技術から公知であるシステムにおいては、調高シリンダを調整することによりスクリード高のみが連続的に調整されている。しかしながら、これはアタック角が一定ではなく、調高シリンダの現在の位置、並びに、舗装材料の特性及び他の環境条件に起因することになることを意味する。アタック角は、調高シリンダの位置及び層厚によって幾何学的に定義される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、操作中にスクリードのアタック角を可能な限り一定に維持し、これにより、舗装品質を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に係る道路舗装機、請求項8に係るスクリードアセンブリの位置をフィードバック制御する方法、又は、請求項14に係るフィードバック制御装置の使用により解決される。
【0008】
本発明により、舗装結果は著しく向上し得る。スクリードアセンブリのアタック角を連続的に確認及び調整することにより、舗装された材料の長手方向における均一性が向上され得る。延長スクリードを使用する場合、舗装された材料の横断方向における均一性もまた本発明により向上され得る。加えて、締固め結果が一定のアタック角により向上され得る。アタック角の人手による監視又は手動による調整が不要であるために、プロセスの信頼性もまた本発明で高くなり得る。システムは舗装材料における変化に自動的に反応し得、これにより舗装に係る誤差が低減される。
【0009】
本発明の第1の態様は、牽引車両、少なくとも1つの牽引アーム、スクリードアセンブリ、調高シリンダ、スクリード昇降シリンダ、第1の計測装置、第2の計測装置、及び、フィードバック制御装置を備える道路舗装機に関する。スクリードアセンブリは、少なくとも1つの牽引アームを介して牽引車両の牽引点に取り付けられる。調高シリンダは牽引点の位置、特に高さを調整する。スクリード昇降シリンダはスクリードアセンブリの接地圧を調整する。接地圧は、スクリードアセンブリが、特にその自重により舗装材料に加える圧力を指す。スクリードアセンブリの接地圧は、スクリードアセンブリの自重、及び、スクリード昇降シリンダ由来の力によりもたらされ得る。スクリード昇降シリンダ由来の力は、荷重の印加又は荷重の除去の効果を有し得る。第1の計測装置はスクリードアセンブリのスクリード高を判定する。第2の計測装置はスクリードアセンブリのアタック角を判定する。フィードバック制御装置は調高シリンダ及びスクリード昇降シリンダを制御する。
【0010】
スクリードアセンブリは、牽引車両と共に道路舗装機を構成し得る。スクリードアセンブリは牽引車両に取り付けられていてもよい。スクリードアセンブリは、舗装方向において牽引車両の後ろで牽引されるよう構成されていてもよい。スクリードアセンブリは、舗装材料、特にアスファルト舗装材料を路盤上に締固めるよう構成されていてもよい。スクリードアセンブリは、舗装材料、特にアスファルト舗装材料を路盤上で平らにするよう構成されていてもよい。
【0011】
交差方向は、水平面において、舗装方向と直角に延びる方向として定義される。舗装方向は、道路舗装機が舗装中に移動する方向である。横方向又は幅方向は交差方向に平行な方向であり得る。
【0012】
スクリードアセンブリは、ベーススクリードと、少なくとも1つの延長部、好ましくは2つの延長部とを備えていてもよい。ベーススクリードはまた、本発明の文脈においてメインスクリードとして称される。延長部はまた、本発明の文脈において二次スクリードとして称される。延長部は、交差方向において、ベーススクリードの左右に横方向に配置されていてもよい。延長部は、舗装方向においてベーススクリードの後ろに配置されていてもよい。或いは、延長部は、舗装方向においてベーススクリードの前方に配置されていてもよい。
【0013】
ベーススクリードは、舗装材料と接触するベーススクリード平坦化シートを備えていてもよい。延長部は、平坦化シート支持部及び延長部平坦化シートを備えていてもよい。延長部平坦化シートは、舗装材料と接触するよう構成されていてもよい。延長部平坦化シートは、傾動軸について傾動可能に平坦化シート支持部に取り付けられていてもよい。スクリードアセンブリは高さ調整装置を備えていてもよい。スクリードアセンブリは傾動装置を備えていてもよい。高さ調整装置は、延長部をベーススクリードに対して上下させ得る。高さ調整装置は、平坦化シート支持部をベーススクリードに対して上下させ得る。傾動装置は、傾動軸を中心とする延長部平坦化シートの傾動角度を変更するよう構成されていてもよい。傾動軸は交差方向に延在し得る。傾動軸は水平方向に延在し得る。
【0014】
スクリードアセンブリのスクリード高は、スクリードアセンブリの後方縁部、特にスクリードアセンブリの平坦化シートの後方縁部と、例えば路盤上における基準点との間における垂直距離を示し得る。ベーススクリードのスクリード高は、ベーススクリードの後方縁部、特にベーススクリード平坦化シートの後方縁部と、例えば路盤上における基準点との間における垂直距離を示し得る。延長部のスクリード高は、延長部の後方縁部、特に延長部平坦化シートの後方縁部と、例えば路盤上における基準点との間における垂直距離を示し得る。後方縁部という用語は、舗装方向におけるベーススクリード又は延長部のもっとも後方の縁部を指す。後方縁部の高さ又はスクリード高は、舗装材料の敷設高を決定する。
【0015】
スクリードアセンブリのアタック角は、路盤の傾斜に対するスクリードアセンブリの傾斜、特にスクリードアセンブリの平坦化シートの傾斜を示し得る。水平な路盤の場合、スクリードアセンブリのアタック角は、平坦化シートの絶対傾斜に相当する。「絶対傾斜」という用語は、傾斜が、水平面に対して判定されることを示す。傾斜した路盤の場合、アタック角は、平坦化シートの絶対傾斜と路盤の絶対傾斜との間の差異に相当する。
【0016】
ベーススクリードのアタック角は、路盤の傾斜に対するベーススクリードの傾斜、特にベーススクリード平坦化シートの傾斜を示し得る。延長部のアタック角は、路盤の傾斜に対する延長部の傾斜、特に延長部平坦化シートの傾斜を示し得る。
【0017】
スクリードアセンブリは、少なくとも1つの牽引アームを介して道路舗装機の牽引点、特に道路舗装機の牽引車両の牽引点に回転可能に取り付けられていてもよい。スクリードアセンブリは、2本の牽引アームを介して道路舗装機の牽引点、特に牽引車両の牽引点に取り付けられていてもよい。牽引アームは、牽引車両の側部に配置されていてもよい。1本の牽引アームが、牽引車両の側部の各々に配置されていてもよい。牽引点の高さは、調高シリンダを用いて調整され得る。道路舗装機は、2本の牽引アーム及び2つの調高シリンダを有していてもよい。各調高シリンダは牽引アームに割り当てられ得る。調高シリンダは、それぞれの牽引アームに接続され得る。調高シリンダと牽引アームとは、直接的に、又は、中間部材を介して接続され得る。調高シリンダ及び牽引アームは、道路舗装機の交差方向に対して横方向に配置され得る。道路舗装機は牽引アーム及び調高シリンダを両側に有し得る。本出願中下記において調高シリンダに関して記載されている特徴は、明示的に言及されていない場合においても、両方の調高シリンダにも関連する。
【0018】
スクリードアセンブリ、特にベーススクリードは、スクリード昇降シリンダにより牽引車両に接続されていてもよい。スクリードアセンブリ、特にベーススクリードは、2つのスクリード昇降シリンダにより牽引車両に接続されていてもよい。1つ又は複数のスクリード昇降シリンダは、スクリードアセンブリを垂直に上下させるために使用され得る。1つ又は複数のスクリード昇降シリンダは、舗装材料に対するスクリードアセンブリの接地圧の調整に使用され得る。スクリード昇降シリンダに関して下記に記載されている特徴は、明示的に言及されていない場合においても、両方のスクリード昇降シリンダにも適用される。
【0019】
スクリード昇降シリンダは、スクリードアセンブリ又はベーススクリードに直接接続されていてもよい。スクリード昇降シリンダは、スクリードアセンブリ又はベーススクリードに間接的に接続されていてもよい。スクリード昇降シリンダは、牽引アーム、特に牽引アームの後方領域に取り付けられていてもよい。
【0020】
道路舗装機は材料ホッパーを有し得る。材料ホッパーは舗装材料を収容し得る。材料ホッパーは舗装方向においてスクリードアセンブリの前方に配置され得る。
【0021】
道路舗装機は制御装置を有し得る。制御装置はスクリード昇降シリンダを制御し得る。制御装置は調高シリンダを制御し得る。制御装置はスクリード昇降シリンダ及び調高シリンダを制御し得る。制御装置はフィードバック制御装置の一部であり得る。
【0022】
フィードバック制御装置は第1のコントローラを有し得る。第1のコントローラは、1つ又は複数の調高シリンダをスクリード高の制御偏差に基づいて制御し得る。スクリード高の制御偏差は、スクリード高の目標値、例えば所望の敷設高と、スクリード高の実際の値との差異である。スクリード高の制御偏差は、スクリード高の目標値と、第1の計測装置により判定される実際のスクリード高とから判定され得る。スクリード高の目標値は、使用者による手動の入力によって特定され得る。スクリード高の目標値は、特に舗装材料に応じて制御システムによって特定又は示唆され得る。スクリード高の目標値は、過去の建築作業で記録された値に基づいて判定され得る。スクリード高の目標値は、道路工事計画から導出され得る。スクリード高の目標値は手動で入力され得る。目標値は、デジタル計画データから直接取得されてもよい。
【0023】
フィードバック制御装置は第2のコントローラを有し得る。第2のコントローラは、1つ又は複数のスクリード昇降シリンダをアタック角の制御偏差に基づいて制御し得る。アタック角の制御偏差は、アタック角の目標値、例えば所望のアタック角と、アタック角の実際の値との差異である。アタック角の制御偏差は、アタック角の所望の値と、第2の計測装置により判定された実際のアタック角とから判定され得る。第2のコントローラは、判定された実際のアタック角に基づいて、スクリード昇降シリンダにおける必要な圧力を算出し得る。アタック角の目標値は、使用者による手動の入力によって特定され得る。アタック角の目標値は、特に舗装材料に応じて制御システムによって特定又は示唆され得る。アタック角の目標値は、過去の建築作業で記録された値に基づいて判定され得る。アタック角の目標値は、延長部の高さ設定に適合するよう選択され得る。これにより良好な締固めの調整が可能となり、良好な舗装パターンがもたらされ得る。
【0024】
フィードバック制御装置は第1のコントローラを有し得る。第1のコントローラは、スクリード高の制御偏差に基づいて調高シリンダを制御し得る。フィードバック制御装置は第2のコントローラを有し得る。第2のコントローラは、スクリード高の制御偏差にも基づいてスクリード昇降シリンダを制御し得る。
【0025】
第1のコントローラは、SISOコントローラ(単入力単出力コントローラ)、例えばPコントローラ(比例コントローラ)、PIコントローラ(比例積分コントローラ)又はPIDコントローラ(比例積分微分コントローラ)であり得る。第1のコントローラは、ロバストコントローラ、例えばH-インフィニティコントローラであり得る。第2のコントローラは、SISOコントローラ、例えばP-コントローラ、PI-コントローラ又はPID-コントローラであり得る。第2のコントローラは、ロバストコントローラ、例えばH-インフィニティコントローラであり得る。
【0026】
フィードバック制御装置は多変数コントローラを有し得る。多変数コントローラは、スクリード高の制御偏差及びアタック角の制御偏差に基づいて、調高シリンダ及びスクリード昇降シリンダを制御し得る。両方のフィードバック制御可変要素である、アタック角及びスクリード高は、1つのコントローラ、多変数コントローラで制御し得る。これにより、2つの制御される可変要素(アタック角及びスクリード高)と、2つの実際の可変要素(調高シリンダ及びスクリード昇降シリンダ)との間における相互作用を考慮することが可能となる。多変数コントローラはまた、MIMOコントローラ(多入力多出力コントローラ)とも称され得る。多変数コントローラは、H-インフィニティコントローラ、LQコントローラ又はLQGコントローラであり得る。
【0027】
従来技術において公知であるシステムにおいて、現在の敷設速度は通常フィードバック制御に含まれる。本発明に係るフィードバック制御装置では、この必要はない。フィードバック制御装置、特に多変数コントローラは、アタック角及びスクリード高以外の他の制御可変要素を出力しないよう適合されていてもよい。フィードバック制御装置、特に多変数コントローラは、単にアタック角及びスクリード高に基づいて、特に、目標/実際のアタック角の比較及び目標/実際のスクリード高の比較に基づいて、スクリード昇降シリンダ及び調高シリンダを制御し得る。フィードバック制御装置、特に多変数コントローラは、第1の計測装置及び第2の計測装置からの計測値のみに基づいてスクリード昇降シリンダ及び調高シリンダを制御し得る。フィードバック制御装置、特に多変数コントローラは、敷設速度を考慮せずにスクリード昇降シリンダ及び調高シリンダを制御し得る。フィードバック制御装置は、敷設速度に応じて制御パラメータを選択し得る。フィードバック制御装置は、敷設速度に応じてスクリード昇降シリンダ及び調高シリンダを制御し得る。フィードバック制御装置は、高い敷設速度では大きなコントローラ増幅を適用し、及び、低い敷設速度では小さいコントローラ増幅を適用し得る。高い、低い、大きい、及び、小さいといった用語は、相互に関連して理解されるべきである。
【0028】
第1の計測装置は、距離計、例えばレーザ距離計、機械的プローブ又は音響距離計であり得る。
【0029】
第2の計測装置は第1の傾斜センサを有し得る。第2の計測装置は第2の傾斜センサを有し得る。第2の計測装置は、第1の傾斜センサ及び第2の傾斜センサを有し得る。第1の傾斜センサはスクリードアセンブリに配置され得る。第2の傾斜センサは牽引車両に配置され得る。
【0030】
第1の傾斜センサは、水平面に対するスクリードアセンブリの傾斜角度を判定し得る。第2の傾斜センサは、水平面に対する牽引車両の傾斜角度を判定し得る。第2の計測装置は、スクリードアセンブリの傾斜角度及び牽引車両の傾斜角度からスクリードアセンブリのアタック角を判定し得る。
【0031】
第1の傾斜センサは、水平面に対するベーススクリードの傾斜角度を判定し得る。第1の傾斜センサは、水平面に対する延長部の傾斜角度を判定し得る。牽引車両の傾斜角度は路盤の傾斜に相当し得る。或いは、路盤の傾斜又は牽引車両の傾斜角度は、デジタル地形モデルから判定され得る。牽引車両における第2の傾斜センサは、この場合必須ではない。傾斜角度は、第1の傾斜センサの計測された傾斜角度及び地形モデルから判定された路盤の傾斜に基づいて算出され得る。数々の第1の傾斜センサーは、スクリードアセンブリの傾斜角度が、数々の点、例えば2つの延長部で判定及び制御されるよう取り付けられていてもよい。複数の第2の傾斜センサーが、牽引車両の傾斜角度が第2の傾斜センサーの平均値から判定されるよう取り付けられていてもよい。
【0032】
第2の計測装置は、ベーススクリード又は延長部に取り付けられた傾斜センサを有し得る。傾斜センサは、水平面に対するベーススクリード又は延長部の傾斜角度を判定するよう構成されていてもよい。道路舗装機の制御装置は、デジタル地形モデルに基づいて路盤傾斜を判定し得る。制御装置は、ベーススクリードの判定された傾斜角度及び路盤傾斜に基づいてベーススクリードのアタック角を判定し得る。制御装置は、延長部の判定された傾斜角度及び路盤傾斜に基づいて延長部のアタック角を判定し得る。
【0033】
第2の計測装置は回転角センサを有し得る。回転角センサは牽引車両の牽引点に配置され得る。回転角センサは、牽引車両の傾斜に対する牽引アームの傾斜を計測し得る。スクリードアセンブリは、牽引アームに堅固に接続されていてもよい。スクリードアセンブリのアタック角が次いで、牽引アームの傾斜を介して判定され得る。牽引点で計測された回転角度はアタック角に相当し得る。
【0034】
第2の計測装置は、牽引車両の側部に取り付けられた第1の牽引アームにおける第1の回転角センサと、牽引車両の他の側部に取り付けられた第2の牽引アームにおける第2の回転角センサとを有し得る。スクリードアセンブリのアタック角は次いで、第1及び第2の回転角センサーの平均値に基づいて判定され得る。
【0035】
フィードバック制御装置及び/又は制御装置は、環境的な影響をフィルタリングするよう構成されていてもよい。フィードバック制御装置及び/又は制御装置は、振動及び/又は温度の変動による影響をフィルタリングするよう構成されていてもよい。カルマンフィルタ又は状態観測器などの高度な信号処理法をこの目的のために使用し得る。
【0036】
スクリードアセンブリは、ベーススクリード及び少なくとも1つの延長部を有し得る。延長部は、道路舗装機の舗装方向においてベーススクリードから少なくとも部分的にオフセットして配置され得る。延長部は、道路舗装機の舗装方向において、少なくとも部分的にベーススクリードの前方又は後ろに配置され得る。延長部は、道路舗装機の舗装方向において、完全にベーススクリードの前方又は後ろに配置され得る。ベーススクリード及び延長部は、同一のアタック角を有し得る。延長部は、ベーススクリードに隣接して、交差方向に対して横方向に配置され得る。スクリードアセンブリは2つの延長部を有し得る。延長部は、交差方向に対してベーススクリードの両側に配置され得る。延長部は、スクリードアセンブリの幅を変更し得るよう横方向に収縮可能及び延長可能とされていてもよい。スクリードアセンブリの幅は、交差方向におけるスクリードアセンブリの延長に相当する。延長部は、ベーススクリードに対して垂直オフセットを有し得る。垂直オフセットは高さ調整装置により調整され得る。ベーススクリード及び延長部の幾何学的配置のため、垂直オフセットは一定のアタック角についてのみ最適である。アタック角が変わると、垂直オフセットを調整しなければならない。そうでなければ、ベーススクリード及び延長部はスクリード高が異なることとなる。これにより、敷設層に延長部の跡が残り、交差方向における不均一が生じ得る。スクリードアセンブリはまた、ベーススクリードのみからなり、延長部を有していなくてもよい。
【0037】
スクリード昇降シリンダはピストン側に圧力制御装置を有し得る。スクリード昇降シリンダは、スクリードアセンブリに係る荷重の除去又は荷重の印加が可能となるよう適合されていてもよい。これにより、過小及び過大なアタック角の両方が補正可能となる。フィードバック制御装置は、アタック角が過小及び過大である場合にこれを調整し得る。
【0038】
本発明の第2の態様は、道路舗装機のスクリードアセンブリの位置をフィードバック制御する方法に関する。スクリードアセンブリは、特に少なくとも1つの牽引アームによって道路舗装機の牽引点に取り付けられている。この方法は、スクリードアセンブリのスクリード高を判定するステップ、及び、スクリードアセンブリのアタック角を判定するステップを含む。この方法はさらに、牽引点の位置、特に高さを判定されたスクリード高に基づいて調整するステップを含む。この方法はさらに、判定されたアタック角に基づいてスクリードアセンブリの接地圧を調整するステップを含む。
【0039】
牽引点の位置の調整は、牽引点の高さ、垂直方向位置の調整を含み得る。
【0040】
スクリード高を判定するステップは連続的に行われていてもよい。アタック角を判定するステップは連続的に行われていてもよい。スクリード高を判定するステップは、アタック角を判定するステップと同時に行われてもよい。スクリード高及び/又はアタック角を判定するステップは、規則的な間隔で行われてもよい。
【0041】
牽引点の位置を調整するステップは連続的に行われてもよい。接地圧を調整するステップは連続的に行われてもよい。牽引点の位置を調整するステップは、接地圧を調整するステップと同時に行われてもよい。牽引点の位置を調整するステップ及び/又は接地圧を調整するステップは規則的な間隔で行われてもよい。
【0042】
牽引点の位置を調整するステップは、接地圧を調整するステップよりも後に行われてもよい。例えば、スクリード高を先ず判定し、これに基づいて牽引点の位置を調整してもよい。次いで、アタック角を判定し、これに基づいて接地圧を調整してもよい。次いで、スクリード高を再度調整すると共に、牽引点の位置を調整してもよい。この反復的なプロセスは連続的に繰り返されてもよい。
【0043】
牽引点の位置、特に高さを調整するステップは、道路舗装機の操作中、特に舗装材料の敷設中に行われてもよい。接地圧を調整するステップは、道路舗装機の操作中、特に舗装材料の敷設中に行われてもよい。牽引点の位置、特に高さを調整するステップ及び接地圧を調整するステップは、道路舗装機の操作中、特に舗装材料の敷設中に行われてもよい。舗装材料の敷設中、道路舗装機は舗装方向に移動する。
【0044】
牽引点の位置、特に高さを調整するステップは、特にフィードバック制御装置又は制御装置により自動的に行われてもよい。接地圧を調整するステップは、特にフィードバック制御装置又は制御装置により自動的に行われてもよい。牽引点の位置、特に高さを調整するステップ及び制御装置を調整するステップは、特にフィードバック制御装置又は制御装置により自動的に行われてもよい。
【0045】
判定されたスクリード高は、フィードバック制御装置又は制御装置にフィードされ得る。判定されたアタック角はフィードバック制御装置又は制御装置にフィードされ得る。判定されたスクリード高及び判定されたアタック角はフィードバック制御装置又は制御装置にフィードされ得る。
【0046】
フィードバック制御装置は、スクリード高及びアタック角をフィードバック制御するための共通の多変数コントローラを有し得る。多変数コントローラは、H-インフィニティコントローラ、LQコントローラ(線形二次コントローラ)又はLQGコントローラであり得る。
【0047】
フィードバック制御装置は2つの個別のコントローラを有し得る。フィードバック制御装置は、スクリード高をフィードバック制御するための第1のコントローラを有し得る。フィードバック制御装置は、アタック角をフィードバック制御するための第2のコントローラを有し得る。
【0048】
牽引点の位置、特に高さを調整するステップは、追加的に判定されたアタック角に基づいていてもよい。スクリードアセンブリの接地圧を調整するステップは、追加的に、判定されたスクリード高に基づいていてもよい。
【0049】
牽引点の位置、特に高さを調整するステップは、調高シリンダ、特に2つの調高シリンダにより行われてもよい。調高シリンダは、道路舗装機の牽引車両及び牽引点に取り付けられていてもよい。牽引点の位置は、調高シリンダを伸縮させることにより変更し得る。スクリードアセンブリは、牽引アーム、特に2本の牽引アームにより牽引点に取り付けられていてもよい。スクリードアセンブリのスクリード高はそれ故、調高シリンダ又は調高シリンダを伸縮させることにより変更し得る。
【0050】
スクリードアセンブリの接地圧の調整は、スクリード昇降シリンダ、特に2つのスクリード昇降シリンダにより行われてもよい。スクリード昇降シリンダは、スリードアセンブリ及び道路舗装機の牽引車両に取り付けられていてもよい。スクリードアセンブリにおける圧力は、スクリード昇降シリンダを伸縮させることにより変動し得る。圧力制御バルブを、スクリード昇降シリンダにおける圧力を調整、特に調節するために使用し得る。スクリード昇降シリンダはロッド側及びピストン側を有し得る。圧力制御バルブは、スクリード昇降シリンダのロッド側における圧力を調整、特に調節するために使用し得る。スクリード昇降シリンダは、スクリードアセンブリにおける圧力を変動させるために使用し得る。スクリードアセンブリにおける圧力は圧力制御バルブを用いて変動され得る。スクリード昇降シリンダは、スクリードアセンブリについて荷重を除去及び/又は追加的に印加するよう適合されていてもよい。スクリードアセンブリのアタック角は、1つ又は複数のスクリード昇降シリンダを伸縮させることにより調整され得る。より高い接地圧はより大きなアタック角をもたらし得る。より低い接地圧はより小さなアタック角をもたらし得る。
【0051】
スクリード昇降シリンダはピストン側に圧力制御メカニズムを有し得る。ピストン側の圧力制御メカニズムはアタック角を大きくするために使用され得る。
【0052】
本発明の第3の態様は、道路舗装機のスクリードアセンブリのアタック角のフィードバック制御、及び、スクリードアセンブリのスクリード高のフィードバック制御のためのフィードバック制御装置の使用に関する。
【0053】
フィードバック制御装置は、道路舗装機の操作中、特に舗装材料の敷設中におけるアタック角及びスクリード高のフィードバック制御を行うよう適合されていてもよい。フィードバック制御は自動的に行われてもよい。フィードバック制御は連続的に行われてもよい。フィードバック制御は規則的な間隔で行われてもよい。
【0054】
フィードバック制御装置は、スクリード高を判定する第1の計測装置からの計測値、及び、アタック角を判定する第2の計測装置からの計測値を受信すると共に処理し得る。フィードバック制御装置は、スクリード高及びアタック角の送信された計測値に基づいてフィードバック制御を行い得る。
【0055】
フィードバック制御装置は、調高シリンダ、特に2つの調高シリンダを制御し得る。調高シリンダは、スクリードアセンブリに接続された牽引アームの位置、特に高さを変更し得る。フィードバック制御装置は、調高シリンダを制御することによりスクリード高を変更し得る。
【0056】
フィードバック制御装置は、スクリード昇降シリンダ、特に2つのスクリード昇降シリンダを制御し得る。スクリード昇降シリンダは、舗装材料におけるスクリードアセンブリの接地圧を変更し得る。接地圧は、スクリードアセンブリのアタック角を調整するために使用し得る。フィードバック制御装置は、スクリード昇降シリンダ、特にスクリード昇降シリンダを制御することにより、スクリードアセンブリの接地圧を変更し得る。フィードバック制御装置は、スクリード昇降シリンダ、特にスクリード昇降シリンダを制御することによりスクリードアセンブリのアタック角を変更し得る。
【0057】
フィードバック制御装置は多変数コントローラを有し得る。多変数コントローラは、スクリードアセンブリのアタック角をフィードバック制御するため、及び、スクリードアセンブリのスクリード高をフィードバック制御するために使用され得る。多変数コントローラは、判定されたアタック角及び判定されたスクリード高を入力パラメータとして使用し得る。多変数コントローラは、調高シリンダ、特に調高シリンダ及びスクリード昇降シリンダ、特にスクリード昇降シリンダを、特に判定されたスクリード高及び判定されたアタック角に基づいて制御し得る。
【0058】
フィードバック制御装置は、第1のコントローラ及び第2のコントローラを有し得る。第1のコントローラは、スクリードアセンブリのスクリード高をフィードバック制御するために使用され得る。第2のコントローラは、スクリードアセンブリのアタック角をフィードバック制御するために使用され得る。第1のコントローラは、調高シリンダ、特に調高シリンダを制御するために使用され得る。第2のコントローラは、スクリード昇降シリンダ、特にスクリード昇降シリンダを制御するために使用され得る。
【0059】
本発明の第1の態様に係る道路舗装機は、本発明の第2の態様に係る方法の方法ステップを用いて使用され得る。本発明の第2の態様に係る方法は、本発明の第1の態様に係る道路舗装機で行われ得る。本発明の第3の態様に係るフィードバック制御装置の使用は、本発明の第1の態様に係る道路舗装機で、及び/又は、本発明の第2の態様に係る方法の方法ステップを用いて行われ得る。
【0060】
「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」という表記は、特定の要素又はコンポーネントの単なる決定として理解されるべきであり、必ずしも前記コンポーネント又は要素の特定の順番を意味するものではない。例えば、第2のコンポーネントの存在は、必ずしも第1のコンポーネントの存在を意味するとは限らず、逆もまた同様である。
【0061】
本発明を、実施形態を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るスクリードアセンブリを備える道路舗装機の概略側面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るスクリードアセンブリを備える道路舗装機の概略上面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る第1の敷設状況におけるスクリードアセンブリ及び牽引アームの概略側面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る第2の敷設状況におけるスクリードアセンブリ及び牽引アームの概略側面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る第3の敷設状況におけるスクリードアセンブリ及び牽引アームの概略側面図を示す。
【
図6】
図6は、スクリードアセンブリの位置をフィードバック制御するための、従来技術において公知であるフィードバック制御回路を示す。
【
図7】
図7は、本発明の例示的実施形態に係るスクリードアセンブリの位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御回路を示す。
【
図8】
図8は、本発明の例示的実施形態に係るスクリードアセンブリの位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御回路を示す。
【
図9】
図9は、本発明の例示的実施形態に係るスクリードアセンブリの位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、本発明の実施形態に係る道路舗装機1を示す。道路舗装機1は牽引車両2及びスクリードアセンブリ3を備える。スクリードアセンブリ3は、道路舗装機1においてそれぞれ横方向に延在する2本の牽引アーム4により、牽引車両2に接続されている。牽引アーム4は、牽引点5において牽引車両2に回動可能に接続されている。スクリードアセンブリ3は、舗装方向100に対して牽引車両2の後方に配置されており、牽引アーム4により牽引車両2の後方に牽引されている。舗装材料を収容する材料ホッパー6が道路舗装機1の前方領域に配置されている。舗装材料は、牽引車両2の材料輸送装置によって舗装方向100後方に輸送されて、スクリードアセンブリ3に供給される。スクリードアセンブリ3の前方において舗装方向100に直交して舗装材料を分配する交差方向分配装置7が、牽引車両2の後方領域に設けられていてもよい。
【0064】
調高シリンダ8が、道路舗装機1の側面にそれぞれ配置されている。調高シリンダ8はそれぞれ、中間部材9を介して牽引アーム4に接続されている。牽引点5の位置、特に高さが、調高シリンダ8を用いて調整され得る。2つのスクリード昇降シリンダ10が道路舗装機2の後方領域に配置されている。スクリード昇降シリンダ10は、それぞれの牽引アーム4の後方領域に取り付けられている。或いは、スクリード昇降シリンダ10はまた、スクリードアセンブリ3に直接接続されていてもよい。スクリード昇降シリンダ10は、スクリードアセンブリ3の位置、特に高さ、及び、接地圧を調整するために用いられ得る。
【0065】
図2は、本発明の実施形態に係る道路舗装機1の上面図を示す。牽引アーム4は牽引車両2の側部に配置されている。スクリードアセンブリ3は、ベーススクリード11と、2つの延長部12とを備える。延長部12は、舗装方向100においてベーススクリード11の後ろに配置されている。或いは、延長部12は、舗装方向100においてベーススクリード11の前方に配置されていてもよい。延長部12は、ベーススクリード11に交差方向200に隣接して、横方向に配置されている。延長部12は、スクリードアセンブリ3の幅が変化するよう、交差方向200に収縮及び伸長され得る。スクリードアセンブリ3の幅は、交差方向200におけるスクリードアセンブリ3の延長である。スクリードアセンブリの幅は、延長部に拡幅部を組み付けることにより広くし得る。
【0066】
図3は、第1の敷設状況における、平坦な路盤13上のスクリードアセンブリ3及び牽引アーム4の概略側面図を示す。延長部12は、舗装方向100においてベーススクリード11の後ろに配置されている。延長部12及びベーススクリード11は同一のアタック角14を有する。破線は仕上がった舗装材料の所望の敷設高15を表す。ベーススクリード11及び延長部12は垂直方向にオフセットして配置されている。ベーススクリード11と延長部12との間の垂直オフセット16は、延長部高18がベーススクリード高17に相当するよう調整される。これは通常、敷設前に手動により調整される。
【0067】
図4は第2の敷設状況におけるスクリードアセンブリ3及び牽引アーム4を示す。
図3と比して、牽引点5がより高い。これによりアタック角14が大きくなっている。ベーススクリード11及び延長部12のアタック角14は未だ同等である。
図4から分かるとおり、ベーススクリード高17は所望の敷設高15に相当する。延長部12が舗装方向100においてベーススクリード11の後ろに配置されているために、延長部12の後方縁部はベーススクリード11の後方縁部よりもさらに下がっている。従って、延長部高18はベーススクリード高17よりも小さい。これにより、交差方向において仕上がった舗装材料が不均一となってしまう。
【0068】
図5は、第3の敷設状況におけるスクリードアセンブリ3及び牽引アーム4を示す。路盤13は路盤傾斜19を有する。
図5においてはベーススクリード11のみが示されている。調高シリンダ8は牽引アーム4の前方領域に取り付けられており、牽引点5の位置を調整する。スクリード昇降シリンダ10は牽引アーム4の後方領域に取り付けられており、舗装材料に対するスクリードアセンブリ3の接地圧を調整する。
図5に示すスクリードアセンブリ3の位置において、ベーススクリード高17は所望の敷設高15に相当している。ベーススクリード11は絶対ベーススクリード傾斜20を有する。絶対ベーススクリード傾斜20は、水平面に対するベーススクリード11の傾斜である。ベーススクリード11のアタック角14は、絶対ベーススクリード傾斜20から路盤傾斜19を減じることで算出される。
【0069】
図6は、スクリードアセンブリ3の位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御装置50を備える従来技術から公知であるフィードバック制御回路を示す。スクリード移行挙動51は、スクリード昇降シリンダ圧52、路盤高53及び調高シリンダ位置54による影響を受ける。スクリード昇降シリンダ圧52及び路盤高53は外部入力パラメータである。他の入力パラメータは所望の敷設高15である。スクリード高55及びアタック角14は、スクリード昇降シリンダ圧52、路盤高53及び調高シリンダ位置54に応じて確定される。スクリード高55は計測装置56により計測されて、コントローラ57に送信される。コントローラ57は所望の敷設高15と計測されたスクリード高55とを比較し、必要に応じて、調高シリンダ位置54を変化させる。コントローラ57はスクリード高55の変化にのみ反応する。そしてアタック角14の変化には反応しない。
【0070】
図7は、スクリードアセンブリ3の位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御装置50を備える、本発明の例示的実施形態に係る制御回路を示す。
図6に示すとおり、スクリード移行挙動51は、スクリード昇降シリンダ圧52、路盤高53及び調高シリンダ位置54による影響を受ける。
図6に示す制御回路と比して、路盤高53のみが外部入力パラメータである。所望の敷設高15及び所望のアタック角58は目標値として特定される。敷設高15に対する目標値、及び/又は、アタック角58に対する目標値は、使用者による手動の入力によって特定され得る。敷設高15に対する目標値、及び/又は、アタック角58に対する目標値は、特に舗装材料に応じて制御システムによって特定又は示唆され得る。敷設高15に対する目標値、及び/又は、アタック角58に対する目標値は、過去の建築作業で記録された値に基づいて判定され得る。スクリードアセンブリ3のスクリード高55及びアタック角14は、スクリード昇降シリンダ圧52、路盤高53及び調高シリンダ位置54に基づいて調整される。スクリードアセンブリ3のスクリード高55は第1の計測装置59により計測されると共に、第1のコントローラ60に送信される。第1のコントローラ60は所望の敷設高15と計測されたスクリード高55とを比較し、必要に応じて、調高シリンダ位置54を変更する。スクリードアセンブリ3のアタック角14は第2の計測装置61により計測されると共に、第2のコントローラ62に送信される。第2のコントローラ62は所望のアタック角58と計測されたアタック角14とを比較し、必要に応じて、スクリード昇降シリンダ圧52を変更する。第1のコントローラ60はスクリード高55の変更に応答すると共に、第2のコントローラ62はアタック角14の変更に応答する。
【0071】
図8は、スクリードアセンブリ3の位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御装置50を備える本発明のさらなる例示的実施形態に係る制御回路を示す。
図7に示す制御回路と比して、
図8中の制御回路は第1の計測装置59のみを有する。第1の計測装置59はスクリードアセンブリ3のスクリード高55を計測すると共に、これを第1のコントローラ60及び第2のコントローラ62に送信する。第1のコントローラ60は所望の敷設高15と計測されたスクリード高55とを比較し、必要に応じて、調高シリンダ位置54を変更する。第2のコントローラ62は所望の敷設高15と計測されたスクリード高55とを比較し、必要に応じて、スクリード昇降シリンダ圧52を変更する。
【0072】
図9は、スクリードアセンブリ3の位置をフィードバック制御するためのフィードバック制御装置50を備える、本発明のさらなる例示的実施形態に係る制御回路を示す。
図7に示す制御回路と比して、
図9中の制御回路は多変数コントローラ63を有する。第1の計測装置59はスクリードアセンブリ3のスクリード高55を計測すると共に、これを多変数コントローラ63に送信する。第2の計測装置61はスクリードアセンブリ3のアタック角14を計測すると共に、これを多変数コントローラ63に送信する。多変数コントローラ63は所望の敷設高15と計測されたスクリード高55とを比較し、これを用いてスクリード高の制御偏差を算出する。多変数コントローラ63は所望のアタック角58と計測されたアタック角14とを比較し、これを用いてアタック角の制御偏差を算出する。スクリード高の制御偏差及びアタック角の制御偏差に基づいて、多変数コントローラ63は、必要に応じて、スクリード昇降シリンダ圧52及び調高シリンダ位置54を変更する。多変数コントローラ63は、MIMOコントローラ(多入力多出力コントローラ)であり得る。
【外国語明細書】