(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013255
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】作業システム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20250117BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20250117BHJP
E02F 3/84 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E02F3/43
E02F9/22
E02F3/84 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110260
(22)【出願日】2024-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2023115937
(32)【優先日】2023-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】野田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宗正 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】宮嵜 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】大野 洋平
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003AC10
2D003BA03
2D003BB04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】作業対象物が堆積した堆積体から偏りを取り除くことが可能な作業システムを提供する。
【解決手段】作業を行うアタッチメント30を備える作業機械20と、スクラップ70が堆積したスクラップ70の山75を撮像する撮像装置と、撮像装置の撮像結果に基づいて、スクラップ70の山75の形状情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した形状情報に基づいて、アタッチメント30の作業位置を決定する決定手段と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業を行うアタッチメントを備える作業機械と、
作業対象物が堆積した堆積体を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記堆積体の形状情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記形状情報に基づいて、前記アタッチメントの作業位置を決定する決定手段と、を有することを特徴とする作業システム。
【請求項2】
前記堆積体に前記作業対象物を供給する供給手段を有することを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項3】
前記堆積体を収容する容器を有することを特徴とする請求項2に記載の作業システム。
【請求項4】
前記決定手段は、前記形状情報が所定情報を含む場合に、前記所定情報に対応する部分を前記作業位置として決定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業システム。
【請求項5】
前記所定情報は、前記堆積体の最も高い部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項6】
前記所定情報は、前記堆積体の所定高さ以上の部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項7】
前記所定情報は、前記堆積体の斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項8】
前記所定情報は、前記堆積体の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項9】
前記所定情報は、前記堆積体が所定範囲からはみ出している部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項10】
前記堆積体に前記作業対象物を供給する供給手段を有し、
前記所定情報は、前記供給手段から前記作業対象物が供給される部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項11】
前記堆積体を収容する容器を有し、
前記所定情報は、前記作業対象物が前記容器からはみ出している部分であることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項12】
前記作業機械は自動運転され、
前記アタッチメントの動作を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記形状情報が前記所定情報を含むようになったことを、前記作業を開始させる条件とすることを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項13】
前記制御手段は、前記形状情報が前記所定情報を含まないようになったことを、前記作業を終了させる条件とすることを特徴とする請求項12に記載の作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械を備えた作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサを用いてスクラップ山の高さ分布を演算する演算装置が開示されている。スクラップ山の高さ分布を検出することで、リフティングマグネットを備えたクレーンを自動運転することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スクラップピットなどの容器内に外部からスクラップ(作業対象物)が供給されるような場合、容器内のスクラップの山に偏りが生じる。このような場合に、作業機械で容器内のスクラップを万遍なく移動させていたのでは、スクラップが容器から溢れる恐れがある。そこで、適切な作業位置で作業を行うことで、スクラップが堆積した堆積体から偏りを取り除くことが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、作業対象物が堆積した堆積体から偏りを取り除くことが可能な作業システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業を行うアタッチメントを備える作業機械と、作業対象物が堆積した堆積体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像結果に基づいて、前記堆積体の形状情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記形状情報に基づいて、前記アタッチメントの作業位置を決定する決定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、堆積体の形状情報に基づいて、アタッチメントの作業位置が決定される。よって、堆積体の形状情報に基づくことなく、アタッチメントの作業位置が決定される場合に比べて、堆積体のうち作業位置として適切な部分を、アタッチメントの作業位置として決定することができる。適切な作業位置でアタッチメントが作業を行うことで、堆積体から偏りを取り除くことができる。例えば、堆積体の最も高い部分を、アタッチメントの作業位置として決定することができる。この場合、最も高い部分の作業対象物を取り除くようにアタッチメントが作業を行うことで、堆積体の高さを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】容器の側面断面図であり、スクラップの山の最も高い部分を取り除く作業を示す図である。
【
図6】容器の側面断面図であり、スクラップの山の麓の部分を取り除く作業を示す図である。
【
図10】作業処理の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(作業システムの構成)
本実施形態による作業システム1は、作業システム1の上面図である
図1に示すように、作業機械20を備えている。作業機械20は、作業を行うアタッチメント30を備える。本実施形態において、作業機械20は自動運転される。
【0011】
作業機械20の側面図である
図2に示すように、作業機械20は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械20は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0012】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0013】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、リフティングマグネット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。リフティングマグネット33は、アタッチメント30の先端部である先端アタッチメントであり、上部旋回体22の前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。リフティングマグネット33は、電磁力でスクラップ(作業対象物)などの金属を吸着する。
【0014】
なお、先端アタッチメントは、リフティングマグネット33に限定されず、バケットなどであってもよい。バケットは、土砂の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う。
【0015】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。なお、シリンダ40は、電動シリンダであってもよい。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、マグネットシリンダ43と、を備える。
【0016】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0017】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0018】
マグネットシリンダ43は、アーム32に対してリフティングマグネット33を回動させる。マグネットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。マグネットシリンダ43の先端部は、リフティングマグネット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0019】
また、作業機械20は、旋回角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0020】
旋回角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。旋回角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0021】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、マグネット傾斜角センサ63と、を備える。
【0022】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0023】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
マグネット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、リフティングマグネット33の姿勢を検出する。マグネット傾斜角センサ63は、水平線に対するリフティングマグネット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、マグネット傾斜角センサ63は、マグネット連結ピン(リフティングマグネット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、マグネットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
また、作業機械20は、撮像装置27を有している。撮像装置27は、キャブ23の上に設けられている。本実施形態において、撮像装置27はLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)である。撮像装置27は、キャブ23の前方にスキャン範囲が位置するように走査方向が固定されている。なお、撮像装置27は、アタッチメント30(特にブーム31)や上部旋回体22に設けられていてもよい。
【0026】
撮像装置27は、容器2内のスクラップ70の山75を撮像する(
図1参照)。スクラップ70の山75は、スクラップ70が堆積した堆積体の一例である。撮像装置27は、撮像装置27が取り付けられている位置からスクラップ70の山75のスクラップ70の各々までの距離を示す点群データ(三次元点群)を取得する。撮像装置27が取得した点群データから、スクラップ70の山75の形状が特定される。
【0027】
なお、撮像装置27はLiDARに限定されず、TOF(Time of flight)センサや、ステレオカメラなどであってもよい。
【0028】
なお、作業機械20は、例えば、クレーンでもよい。
図3を参照し、吊荷(図示せず)の巻上および巻下を行うクレーンである作業機械20Aについて説明する。なお、
図2を参照して説明した油圧ショベルの作業機械20と共通する構成については説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、作業機械20Aは、下部走行体21Aと上部旋回体22Aとを備えた機械本体24Aを有している。下部本体は、固定面(例えば地面など)に対して固定された構造物でもよく、走行面(例えば地面など)を走行可能でもよい。クレーンは、固定式クレーンでもよく、移動式クレーンでもよい。上部旋回体22Aは、下部走行体21Aの上部に旋回装置25Aを介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22Aには、ブーム31Aなどが取り付けられる。
【0030】
ブーム31Aは、上部旋回体22Aに起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。ブーム31Aは、例えばラチス構造を有するラチスブームでもよい。ブーム31Aがラチス構造を有する場合、ブーム31Aは、複数のパイプを備える。ブーム31Aがラチス構造を有する場合、ブーム31Aの長手方向から見たブーム31Aの断面形状は、四角形である。ブーム31Aは、ブーム31Aの長手方向に分解可能である。ブーム31Aは、下部ブーム31A1と、中間ブーム31A2と、上部ブーム31A3と、を備える。下部ブーム31A1は、ブーム31Aの基端部(上部旋回体22A側の端部)に配置される。中間ブーム31A2は、下部ブーム31A1の先端部(上部旋回体22A側とは反対側の端部)に連結される。上部ブーム31A3は、中間ブーム31A2の先端部に連結され、ブーム31Aの先端部に配置される。上部ブーム31A3は、略六面体状の部材(ブームヘッド、タワーキャップ)でもよく、ブーム31Aの軸方向に長い部材でもよい。
【0031】
なお、ブーム31Aは、箱型構造(中空構造)を有してもよい。ブーム31Aは、伸縮可能な伸縮ブームでもよい。ブーム31Aが箱型構造を有する場合、ブーム31Aの長手方向から見たブーム31Aの断面形状は、多角形(さらに詳しくは内部が空洞の多角形)または略多角形でもよく、その他の形状でもよい。具体的には例えば、ブーム31Aの断面形状は、四角形(例えば長方形など)でもよく、六角形(例えば四角形の下部の2つの角が面取りされたような形状)でもよく、これらに近い形状でもよい。例えば、ブーム31Aの断面形状は、ラウンド型または略ラウンド型でもよい。ラウンド型とは、U字状と、U字状の左右の上端どうしを接続する左右に延びる直線と、で構成された形状である。
【0032】
ブーム起伏装置32Aは、上部旋回体22Aに対してブーム31Aを起伏させる装置である。ブーム起伏装置32Aは、ガントリ32A1と、ブームガイライン32A2と、ブーム起伏ロープ32A3と、を備える。ガントリ32A1は、上部旋回体22Aに取り付けられるコンプレッションメンバ32A1aと、コンプレッションメンバ32A1aの先端部と上部旋回体22Aの後端部とに接続されるテンションメンバ32A1bと、を備える。ブームガイライン32A2およびブーム起伏ロープ32A3は、コンプレッションメンバ32A1aの先端部とブーム31Aの先端部とに接続される。図示しないウインチが、ブーム起伏ロープ32A3を巻き取りおよび繰り出しすると、上部旋回体22Aに対してブーム31Aが起伏する。なお、ブーム起伏装置32Aの構成は、様々に変更可能である。例えば、ガントリ32A1に代えてマストが設けられてもよい。この場合、マストは、上部旋回体22Aに起伏可能に取り付けられ、コンプレッションメンバ32A1aと同様の位置に配置される。ブームガイライン32A2は、マストの先端部とブーム31Aの先端部とに接続される。ブーム起伏ロープ32A3は、マストの先端部に設けられたシーブと、上部旋回体22Aの後端部に設けられたシーブと、に掛けられる。そして、図示しないウインチがブーム起伏ロープ32A3を、巻き取りおよび繰り出しすることで、マストが上部旋回体22Aに対して起伏する結果、ブーム31Aが上部旋回体22Aに対して起伏する。また、作業機械20Aは、複数のマストを備えてもよく、ガントリ32A1とマストとを備えてもよい。
【0033】
ジブ33Aは、ブーム31Aに起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。ジブ33Aは、例えばラチス構造を有するラチスジブでもよい。ジブ33Aがラチス構造を有する場合、ジブ33Aは、複数のパイプを備える。ジブ33Aがラチス構造を有する場合、ジブ33Aの長手方向から見たジブ33Aの断面形状は、四角形である。なお、ジブ33Aは、箱型構造(中空構造)を有してもよい。ジブ33Aは、伸縮可能な伸縮ジブでもよい。ジブ33Aが箱型構造を有する場合のジブ33Aの長手方向から見たジブ33Aの断面形状の例は、ブーム31Aが箱型構造を有する場合のブーム31Aの長手方向から見たブーム31Aの断面形状の例と同様である。
【0034】
ジブ起伏装置34Aは、ブーム31Aに対してジブ33Aを起伏させる装置である。ジブ起伏装置34Aは、ストラット34A1(リアストラット34A1a、フロントストラット34A1b)と、ジブガイライン34A2と、ストラットガイライン34A3と、ジブ起伏ロープ34A4と、を備える。ストラット34A1(リアストラット34A1a、フロントストラット34A1b)は、上部ブーム31A3に回転可能に取り付けられる。ジブガイライン34A2は、フロントストラット34A1bの先端部とジブ33Aの先端部とに接続される。ストラットガイライン34A3は、リアストラット34A1aの先端部と、例えばブーム31Aと、に接続される。ジブ起伏ロープ34A4は、リアストラット34A1aのシーブと、フロントストラット34A1bのシーブとに掛けられる。図示しないウインチが、ジブ起伏ロープ34A4を、巻き取りおよび繰り出しすると、リアストラット34A1aとフロントストラット34A1bとの間隔が変わる結果、ジブ33Aがブーム31Aに対して起伏する。なお、ジブ起伏装置34Aの構成は、様々に変更可能である。例えば、フロントストラット34A1bとリアストラット34A1aとが互いに固定されたストラット34A1が設けられてもよい。ジブ33A起伏用の図示しないウインチが、ジブ起伏ロープ34A4を、巻き取りおよび繰り出しすると、ブーム31Aに対してストラット34A1が回転する結果、ブーム31Aに対してジブ33Aが起伏してもよい。また、ストラット34A1は1本のみ設けられてもよい。
【0035】
アタッチメント巻上装置35Aは、作業対象物を保持するためのアタッチメント30Aの巻き上げおよび巻き下げ(昇降)を行う装置である。アタッチメント巻上装置35Aは、アタッチメント30Aと、ポイントシーブ35A1と、巻上ロープ35A2と、を備える。ポイントシーブ35A1は、ジブ33Aの先端部に設けられる。アタッチメント30Aは、ポイントシーブ35A1から巻上ロープ35A2を介して吊り下げられる。アタッチメント30Aは、例えば、フックであり、吊荷を掛けることが可能である。巻上ロープ35A2は、ポイントシーブ35A1に掛けられる。巻上ロープ35A2は、アタッチメント30Aに取り付けられる。巻上ロープ35A2は、例えばアタッチメント30Aに設けられた図示しないシーブに掛けられてもよいし、アタッチメント30Aに固定されてもよい。図示しないウインチが、巻上ロープ35A2を巻き取りおよび繰り出しすると、アタッチメント30Aが巻き上げおよび巻き下げされる。
【0036】
なお、図示しないが、アタッチメント巻上装置35Aと同様の構成が、ブーム31Aの先端部(上部ブーム31A3)に設けられてもよい。また、この場合、作業機械20Aは、ジブ33A、ジブ起伏装置34A、および、ジブ33Aに取り付けられるアタッチメント巻上装置35Aが無い構成でもよい。
【0037】
また、アタッチメント30Aは、フックに限定されない。アタッチメント30Aは、巻上ロープ35A2に吊られた状態で作業対象物を保持可能であればく、例えば、リフティングマグネットでもよいし、グラブバケットでもよい。
【0038】
図1に戻って、作業システム1は、容器2と、供給手段3と、を有している。容器2は、例えばコンクリート製や鉄板製である。容器2は、例えば、スクラップピットである。容器2は、作業対象物としてのスクラップ70が堆積した堆積体を収容している。なお、作業対象物が堆積される領域は、スクラップピット等の容器2内の領域に限定されない。作業対象物は、所定範囲の領域2A(
図9参照)に堆積されればよい。例えば、所定範囲の領域2Aは、走査方向が固定された撮像装置27が撮像するスキャン範囲であってもよい。また、例えば、所定範囲の領域2Aは、作業システム1が実際の作業現場に対応する地図データ上に設定された範囲であってもよい。また、例えば、所定範囲の領域2Aは、作業現場において目印(コーン等)で示される範囲であってもよい。
【0039】
また、本実施形態において、作業対象物は、スクラップ70であるがこれに限定されない。作業対象物は、土状、粒状、チップ状、粉状などの粉粒体であってもよく、粉粒体が袋に入れられたもの(例えば、土砂が入れられた土嚢袋)であってもよい。また、本実施形態において、堆積体は、スクラップ70の山75であるが、堆積体の形状は、山状に限定されない。例えは、堆積体は、所定範囲の領域2A(
図9参照)に配置されている1以上の土嚢袋であってもよい。また、例えは、堆積体は、複数であってもよい。
【0040】
供給手段3は、ベルトコンベアなどであり、容器2内にスクラップ70などの作業対象物を供給する。具体的に、本実施形態では、供給手段3は、容器2内のスクラップ70の山75にスクラップ70を供給する。なお、供給手段3は、リフティングマグネットを備えた別の作業機械であってもよい。例えば、供給手段3は、ベルトコンベアであってもよいし、ショベルであってもよいし、クレーンであってもよい。また、供給手段3は、複数であってもよい。具体的に、例えば、供給手段3は、複数のベルトコンベアであってもよい。
【0041】
容器2内には、吸着エリア2aと、放出エリア2bとが設けられている。吸着エリア2a内には、スクラップ70の山75が設けられている。自動運転される作業機械20は、リフティングマグネット33でスクラップ70を吸着することで、スクラップ70の山75からスクラップ70の一部を取り出し、放出エリア2b内に放出することを自動で繰り返す。
【0042】
吸着エリア2aおよび放出エリア2bは、ティーチングによって設定されてもよいし、寸法入力によって設定されてもよい。また、容器2の外壁から離隔する距離を数値入力することによって、吸着エリア2aおよび放出エリア2bがそれぞれ設定されてもよい。
【0043】
(作業システムの機能構成)
作業システム1の機能構成図である
図4に示すように、作業機械20は、コントローラ11と、記憶装置13と、を有している。
【0044】
コントローラ11には、旋回角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、マグネット傾斜角センサ63が検出した、リフティングマグネット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0045】
コントローラ(制御手段)11は、アタッチメント30の動作を制御する。コントローラ11は、所定の自動運転動作を行うように、旋回装置25およびアタッチメント30を自動で動作させる。具体的には、コントローラ11は、
図1に示すように、リフティングマグネット33が吸着エリア2a内に位置するように上部旋回体22を旋回させ、リフティングマグネット33でスクラップ70を吸着させた後に、リフティングマグネット33が放出エリア2b内に位置するように上部旋回体22を旋回させ、リフティングマグネット33が保持するスクラップ70を放出エリア2b内に放出することを繰り返すように、旋回装置25およびアタッチメント30を自動で動作させる。
【0046】
なお、コントローラ(制御手段)11が作業機械20A(
図3参照)を制御する場合、コントローラ11は、所定の自動運転動作を行うように、以下のような動作を作業機械20Aに行わせる。例えば、コントローラ11は、旋回装置25Aを制御し、上部旋回体22Aを旋回させる。例えば、コントローラ11は、ブーム起伏装置32Aを制御し、ブーム31Aを起伏させる。例えば、コントローラ11は、ジブ起伏装置34Aを制御し、ジブ33Aを起伏させる。例えば、コントローラ11は、アタッチメント巻上装置35を制御し、アタッチメント30Aの巻き上げ動作および巻き下げ動作を行わせる。例えば、コントローラ11は、アタッチメント30Aを制御し、アタッチメント30Aに作業対象物の保持動作および解放動作を行わせる。コントローラ11は、これらの動作を1つずつ順次に制御してもよいし、これらの動作を並列に制御してもよい。
【0047】
図4に戻って、コントローラ(取得手段)11は、撮像装置27の撮像結果に基づいて、スクラップ70の山75の形状情報を取得する。記憶装置13は、コントローラ(取得手段)11が取得した形状情報を記憶する。
【0048】
コントローラ(決定手段)11は、自身が取得した形状情報に基づいて、アタッチメント30の作業位置を決定する。コントローラ(決定手段)11は、形状情報が所定情報を含む場合に、所定情報に対応する部分を作業位置として決定する。なお、作業位置は、作業機械20の先端アタッチメントの種別や、作業機械20Aのアタッチメント30Aの種別に応じて、調整されてもよい。例えば、作業機械20Aのアタッチメント30Aがフックである場合には、作業員が作業対象物(例えば、土嚢袋)をフックに掛ける必要がある。従って、作業位置が作業対象物よりも下方に調整されてもよい。また、形状情報に、所定情報が複数含まれる場合、以下のように作業位置が決定されてもよい。例えば、供給手段3または供給手段3の作業範囲に最も近い所定情報に対応する部分が、作業位置にされてもよい。また、例えば、供給手段3または供給手段3の作業範囲に最も遠い所定情報に対応する部分が、作業位置にされてもよい。また、例えば、放出エリア2b(
図1参照)に一番近い所定情報が、作業位置とされてもよい。
【0049】
容器2の側面断面図である
図5に示すように、所定情報は、例えば、スクラップ70の山75の最も高い部分である。この場合、スクラップ70の山75の最も高い部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。その結果、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0050】
なお、この場合、コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分にリフティングマグネット33を当接させることで、最も高い部分のスクラップ70を崩す作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これにより、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。また、コントローラ11は、スクラップ70の山75の麓の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これにより、スクラップ70の山75を崩すことができる。その結果、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0051】
なお、コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせた後に、この部分の周囲の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせてよい。これにより、スクラップ70の山75の高さをさらに低くすることができる。
【0052】
また、
図5に示すように、所定情報は、例えば、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分である。この場合、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。コントローラ11は、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70の山75の高さを所定高さ未満にすることができる。その結果、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0053】
なお、この場合、コントローラ11は、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分にリフティングマグネット33を当接させることで、所定高さ以上の部分のスクラップ70を崩す作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これにより、スクラップ70の山75の高さを所定高さ未満にすることができる。また、コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これにより、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。そして、最も高い部分を取り除いていけば、スクラップ70の山75の高さを所定高さ未満にすることができる。また、コントローラ11は、スクラップ70の山75の麓の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これにより、スクラップ70の山75を崩すことができる。その結果、スクラップ70の山75の高さを所定高さ未満にすることができる。
【0054】
なお、コントローラ11は、作業機械20Aを制御して、堆積体の最も高い部分や所定高さ以上の部分をアタッチメント30Aの作業位置とする動作をクレーンである作業機械20A(
図3参照)に行わせてもよい。具体的に、例えば、コントローラ11は、ブーム31Aを旋回させる。そして、コントローラ11は、ブーム31Aおよび/またはジブ33Aを起伏させる。そして、コントローラ11は、アタッチメント30Aを巻き下げてアタッチメント30Aを作業位置まで移動させる。コントローラ11は、アタッチメント30Aをさらに巻き下げて、スクラップ70の山75の最も高い部分にアタッチメント30A(例えば、リフティングマグネット)を当接させてもよい。また、コントローラ11は、アタッチメント30Aを作動させて山75の最も高い部分や山75の所定高さ以上の部分を取り除く作業を行ってもよい。具体的に、例えば、コントローラ11は、作業位置にあるリフティングマグネットの磁力をオンして上記のような部分を取り除いてもよい。また、具体的に、例えば、コントローラ11は、作業位置にある開状態のグラブバケットを閉状態にして上記のような部分を取り除いてもよい。このように、コントローラ11は、作業機械20Aを制御する場合、作業位置の上方からアプローチすることができる。なお、コントローラ11は、上記のような旋回、起伏および巻き下げ動作のうちの複数動作を同時に制御してもよい。
【0055】
また、容器2の側面断面図である
図6に示すように、所定情報は、例えば、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分である。この場合、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。コントローラ11は、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度を所定角度未満にすることができる。よって、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0056】
また、
図6に示すように、所定情報は、例えば、スクラップ70の山75の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分である。この場合、スクラップ70の山75の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。コントローラ11は、この部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70の山75を崩すことができる。その結果、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度を所定角度未満にすることができる。よって、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0057】
なお、
図6に示す場合、コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分にリフティングマグネット33を当接させることで、最も高い部分のスクラップ70を崩す作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これによっても、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度を所定角度未満にすることができる。
【0058】
また、容器2の上面図である
図7に示すように、所定情報は、例えば、スクラップ70の山75が吸着エリア(所定範囲)2aからはみ出している部分である。この場合、スクラップ70の山75が吸着エリア2aからはみ出している部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。コントローラ11は、吸着エリア2aからはみ出している部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70の山75の範囲を吸着エリア2a内に収めることができる。その結果、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0059】
なお、この場合、コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせてもよい。また、コントローラ11は、スクラップ70の山75の最も高い部分にリフティングマグネット33を当接させることで、最も高い部分のスクラップ70を崩す作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これらによれば、吸着エリア2aからはみ出している部分のスクラップ70を吸着エリア2aの内側に移動させることができる場合がある。この場合、スクラップ70の山75の範囲を吸着エリア2a内に収めることができる。また、コントローラ11は、スクラップ70の山75の麓の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせてもよい。これにより、スクラップ70の山75を崩すことができる。その結果、吸着エリア2aからはみ出している部分のスクラップ70を吸着エリア2a内に収めることができる場合がある。
【0060】
また、所定情報は、供給手段3からスクラップ70が供給される部分である。本実施形態では、
図1に示すように、容器2内にスクラップ70の山75が収容されており、供給手段3からスクラップ70の山75にスクラップ70が供給される。供給手段3からスクラップ70が供給され続けると、スクラップ70が容器2から溢れる。所定情報が上記の場合、供給手段3からスクラップ70が供給される部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。
【0061】
通常、供給手段3からスクラップ70が供給される部分は、他の部分よりも高くなる。コントローラ11は、スクラップ70が供給される部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。その結果、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0062】
また、
図7に示すように、所定情報は、例えば、スクラップ70が容器2からはみ出している部分である。本実施形態では、
図7に示すように、容器2内にスクラップ70の山75が収容されており、供給手段3(
図1参照)からスクラップ70の山75にスクラップ70が供給される。供給手段3からスクラップ70が供給され続けると、スクラップ70が容器2から溢れる。所定情報が上記の場合、スクラップ70が容器2からはみ出している部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。コントローラ11は、容器2からはみ出している部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる。これにより、スクラップ70を容器2内に収めることができる。その結果、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0063】
以上のように、スクラップ70の山75の形状情報に基づいて、アタッチメント30の作業位置が決定される。よって、スクラップ70の山75の形状情報に基づくことなく、アタッチメント30の作業位置が決定される場合に比べて、スクラップ70の山75のうち作業位置として適切な部分を、アタッチメント30の作業位置として決定することができる。適切な作業位置でアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。
【0064】
また、スクラップ70の山75にスクラップ70が供給される。そのため、スクラップ70の供給に伴って、スクラップ70の山75の形状が変化する。山75の形状が変化した場合でも、形状が変化した後の山75の形状情報に基づいて、適切な作業位置を決定することができる。通常、スクラップ70の山75において、スクラップ70が供給される部分の高さが最も高くなる。例えば、スクラップ70が供給される部分を、アタッチメント30の作業位置として決定した場合には、スクラップ70が供給される部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0065】
また、スクラップ70の山75を収容する容器2を有する。スクラップ70の山75にスクラップ70が供給され続けると、スクラップ70が容器2から溢れる。そこで、適切な作業位置でアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70が容器2から溢れるのを抑制することができる。
【0066】
また、形状情報が所定情報を含む場合に、所定情報に対応する部分が作業位置として決定される。例えば、所定情報が、スクラップ70の山75の最も高い部分であれば、この部分がアタッチメント30の作業位置として決定される。この場合、最も高い部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0067】
ここで、コントローラ(制御手段)11は、形状情報が所定情報を含むようになったことを、アタッチメント30による作業を開始させる条件とする。また、コントローラ(制御手段)11は、形状情報が所定情報を含まないようになったことを、アタッチメント30による作業を終了させる条件とする。
【0068】
図5に示す場合、例えば、スクラップ70の山75に所定高さ以上の部分があることが、アタッチメント30による作業を開始させる条件となり、スクラップ70の山75に所定高さ以上の部分がないことが、アタッチメント30による作業を終了させる条件となる。
【0069】
また、
図6に示す場合、スクラップ70の山75の麓に斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分があることが、アタッチメント30による作業を開始させる条件となり、スクラップ70の山75の麓に斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分がないことが、アタッチメント30による作業を終了させる条件となる。
【0070】
また、
図7に示す場合、スクラップ70の山75に吸着エリア2aからはみ出している部分があることが、アタッチメント30による作業を開始させる条件となり、スクラップ70の山75に吸着エリア2aからはみ出している部分がないことが、アタッチメント30による作業を終了させる条件となる。
【0071】
また、
図1に示すように、供給手段3からスクラップ70の山75にスクラップ70が供給される場合、供給手段3からスクラップ70が供給される部分があることが、アタッチメント30による作業を開始させる条件となり、供給手段3からスクラップ70が供給される部分がないことが、アタッチメント30による作業を終了させる条件となる。
【0072】
このように、形状情報が所定情報を含むようになったことが、アタッチメント30による作業を開始させる条件である。この条件が成立した場合に、アタッチメント30による作業を開始させることで、作業機械20の外部から作業の開始を別途指示する必要がない。よって、作業機械20の作業の開始を指示する人員を削減することができる。
【0073】
また、形状情報が所定情報を含まないようになったことが、アタッチメント30による作業を終了させる条件である。この条件が成立した場合に、アタッチメント30による作業を終了させることで、作業機械20の外部から作業の終了を別途指示する必要がない。よって、作業機械20の作業の終了を指示する人員を削減することができる。
【0074】
(作業システムの動作)
次に、作業処理のフローチャートである
図8を参照して、作業システム1の動作を説明する。
【0075】
まず、コントローラ11は、スクラップ70の山75の形状情報を取得する(ステップS1)。次に、コントローラ11は、
図5に示すように、スクラップ70の山75に所定高さ以上の部分があるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、スクラップ70の山75に所定高さ以上の部分があると判定した場合には(S2:YES)、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を開始させる(ステップS3)。
【0076】
コントローラ11は、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分を抽出する(ステップS4)。コントローラ11は、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる(ステップS5)。スクラップ70の山75から取り出されたスクラップ70は、放出エリア2b内に放出される。その後、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を終了させて(ステップS6)、ステップS1に戻る。
【0077】
ステップS2において、スクラップ70の山75に所定高さ以上の部分がないと判定した場合には(S2:NO)、コントローラ11は、
図6に示すように、スクラップ70の山75の麓に斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分があるか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において、スクラップ70の山75の麓に斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分があると判定した場合には(S7:YES)、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を開始させる(ステップS8)。
【0078】
コントローラ11は、スクラップ70の山75の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分を抽出する(ステップS9)。コントローラ11は、スクラップ70の山75の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる(ステップS10)。スクラップ70の山75から取り出されたスクラップ70は、放出エリア2b内に放出される。その後、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を終了させて(ステップS11)、ステップS1に戻る。
【0079】
ステップS7において、スクラップ70の山75の麓に斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分がないと判定した場合には(S7:NO)、コントローラ11は、
図7に示すように、スクラップ70の山75に吸着エリア2aからはみ出している部分があるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、スクラップ70の山75に吸着エリア2aからはみ出している部分があると判定した場合には(S12:YES)、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を開始させる(ステップS13)。
【0080】
コントローラ11は、スクラップ70の山75が吸着エリア2aからはみ出している部分を抽出する(ステップS14)。コントローラ11は、スクラップ70の山75が吸着エリア2aからはみ出している部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる(ステップS15)。スクラップ70の山75から取り出されたスクラップ70は、放出エリア2b内に放出される。その後、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を終了させて(ステップS16)、ステップS1に戻る。
【0081】
ステップS12において、スクラップ70の山75に吸着エリア2aからはみ出している部分がないと判定した場合には(S12:NO)、コントローラ11は、
図1に示すように、スクラップ70の山75にスクラップ70が供給される部分があるか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17において、スクラップ70の山75にスクラップ70が供給される部分がないと判定した場合には(S17:NO)、コントローラ11は、ステップS1に戻る。一方、ステップS17において、スクラップ70の山75にスクラップ70が供給される部分があると判定した場合には(S17:YES)、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を開始させる(ステップS18)。
【0082】
コントローラ11は、スクラップ70の山75にスクラップ70が供給される部分を抽出する(ステップS19)。コントローラ11は、スクラップ70が供給される部分のスクラップ70を取り除く作業をアタッチメント30に行わせる(ステップS20)。スクラップ70の山75から取り出されたスクラップ70は、放出エリア2b内に放出される。その後、コントローラ11は、アタッチメント30による作業を終了させて(ステップS21)、ステップS1に戻る。
【0083】
なお、上記のフローでは、ステップS2がステップS7に優先され、ステップS7がステップS12に優先され、ステップS12がステップS17に優先されているが、これらの優先順位はこれに限定されない。
【0084】
なお、上記の実施形態では、作業対象物であるスクラップ70が堆積された山75に対する作業について説明したがこれに限定されない。以下、作業機械20A(
図3参照)が、作業対象物としての土嚢袋70Aに対して作業を行う場合の作業システム1Aについて説明する。
【0085】
図9に示すように、作業システム1Aにおいて、供給手段3は、ショベルである。ショベルは、所定範囲の領域2Aに配置された開状態の土嚢袋70A1に対して土砂を投入する作業を行う。例えば、所定範囲の領域2Aは、作業現場においてコーンで示された領域である。供給手段3は、自動で動作されてもよく、自動で動作されなくてもよい。土砂が投入された開状態の土嚢袋70A1は、作業員によって開口部が封止され閉状態の土嚢袋70A2にされる。所定情報は、閉状態の土嚢袋70A2である。閉状態の土嚢袋70A2に対応する部分が、作業機械20Aのアタッチメント30A(本変形例ではフック)の作業位置として決定される。
【0086】
作業機械20Aのコントローラ11は、作業位置として決定した閉状態の土嚢袋70A2にアタッチメント30Aを移動させる。閉状態の土嚢袋70A2は、作業員によって、アタッチメント30Aに保持状態(フックに掛けられた状態)にされる。作業機械20Aのコントローラ11は、保持状態の土嚢袋70A2を、図示しない解放エリアまで運搬する。なお、解放エリアは、所定範囲の領域2Aの範囲内であってもよいし、所定範囲の領域2Aの範囲外であってもよい。
【0087】
図10を参照して、上記のような作業機械20Aの動作に関連する作業システム1の動作を説明する。
【0088】
まず、コントローラ11は、所定範囲の領域2Aに配置された土嚢袋70A群(堆積体)の形状情報を取得する(ステップS101)。次に、コントローラ11は、土嚢袋70A群に、閉状態の土嚢袋70A2(所定情報)が存在するか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102において、土嚢袋70A群に土嚢袋70A2が存在しないと判定した場合には(S102:NO)、コントローラ11は、処理をステップS101に戻す。
【0089】
一方、ステップS102において、土嚢袋70A群に閉状態の土嚢袋70A2が存在すると判定した場合(S102:YES)、コントローラ11は、作業位置を特定する(ステップS103)。例えば、コントローラ11は、土嚢袋70A群に閉状態の土嚢袋70A2を複数検出した場合、いずれか1つの閉状態の土嚢袋70A2に対応する部分を作業位置に特定する。なお、作業位置の特定条件として、作業位置の周囲や、作業位置までのアタッチメント30Aの経路に、障害物(例えば作業員などの人)が存在しないことを加えてもよい。
【0090】
コントローラ11は、特定した作業位置に、アタッチメント30Aを移動させるよう作業機械20Aを制御する(ステップS104)。なお、コントローラ11は、アタッチメント30Aの移動中に、作業位置の周囲や、作業位置までのアタッチメント30Aの経路に、障害物(例えば作業員などの人)を検出してもよい。障害物を検出した場合、コントローラ11は、アタッチメント30Aの移動を停止してもよい。また、作業員などの人を検出した場合、コントローラ11は、警告ブザーを吹鳴させるなどの警告を行ってもよい。
【0091】
そして、コントローラ11は、アタッチメント30Aに閉状態の土嚢袋70A2が保持されたか否かを判定する(ステップS105)。この判定は、例えば、外部信号に基づいて行われてもよい。外部信号は、閉状態の土嚢袋70A2を形成した作業員の持つデバイス(タブレット等)から発信されてもよい。ステップS105において、閉状態の土嚢袋70A2が保持されていないと判定された場合(S105:NO)、コントローラ11は、再度ステップS105へ処理を移行する。一方、閉状態の土嚢袋70A2が保持されたと判定された場合(S105:YES)、コントローラ11は、保持状態の土嚢袋70A2を、解放エリアまで運搬させるよう作業機械20Aを制御する(ステップS106)。
【0092】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業システム1によれば、
図5に示すように、スクラップ70の山75の形状情報に基づいて、アタッチメント30の作業位置が決定される。よって、スクラップ70の山75の形状情報に基づくことなく、アタッチメント30の作業位置が決定される場合に比べて、スクラップ70の山75のうち作業位置として適切な部分を、アタッチメント30の作業位置として決定することができる。適切な作業位置でアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75から偏りを取り除くことができる。例えば、スクラップ70の山75の最も高い部分を、アタッチメント30の作業位置として決定することができる。この場合、最も高い部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0093】
また、
図1に示すように、スクラップ70の山75にスクラップ70が供給される。そのため、スクラップ70の供給に伴って、スクラップ70の山75の形状が変化する。山75の形状が変化した場合でも、形状が変化した後の山75の形状情報に基づいて、適切な作業位置を決定することができる。通常、スクラップ70の山75において、スクラップ70が供給される部分の高さが最も高くなる。例えば、スクラップ70が供給される部分を、アタッチメント30の作業位置として決定した場合には、スクラップ70が供給される部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0094】
また、
図1に示すように、スクラップ70の山75を収容する容器2を有する。スクラップ70の山75にスクラップ70が供給され続けると、スクラップ70が容器2から溢れる。そこで、適切な作業位置でアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70が容器2から溢れるのを抑制することができる。
【0095】
また、
図5~
図7に示すように、形状情報が所定情報を含む場合に、所定情報に対応する部分が作業位置として決定される。例えば、所定情報が、スクラップ70の山75の最も高い部分であれば、この部分がアタッチメント30の作業位置として決定される。この場合、最も高い部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0096】
また、
図5に示すように、所定情報は、スクラップ70の山75の最も高い部分である。この場合、スクラップ70の山75の最も高い部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、スクラップ70の山75の最も高い部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0097】
また、
図5に示すように、所定情報は、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分である。この場合、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、スクラップ70の山75の所定高さ以上の部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを所定高さ未満にすることができる。
【0098】
また、
図6に示すように、所定情報は、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分である。この場合、スクラップ70の山75の傾斜角度が所定角度以上の部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、スクラップ70の山75の傾斜角度が所定角度以上の部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度を所定角度未満にすることができる。
【0099】
また、
図6に示すように、所定情報は、スクラップ70の山75の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分である。この場合、スクラップ70の山75の麓の部分であって斜面の傾斜角度が所定角度以上の部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、この部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75を崩すことができる。その結果、スクラップ70の山75の斜面の傾斜角度を所定角度未満にすることができる。
【0100】
また、
図7に示すように、所定情報は、スクラップ70の山75が吸着エリア2aからはみ出している部分である。この場合、スクラップ70の山75が吸着エリア2aからはみ出している部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、吸着エリア2aからはみ出している部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の範囲を吸着エリア2a内に収めることができる。
【0101】
また、
図1に示すように、所定情報は、供給手段3からスクラップ70が供給される部分である。この場合、供給手段3からスクラップ70が供給される部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、スクラップ70が供給される部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70の山75の高さを低くすることができる。
【0102】
また、
図7に示すように、所定情報は、スクラップ70が容器2からはみ出している部分である。この場合、スクラップ70が容器2からはみ出している部分が、アタッチメント30の作業位置として決定される。例えば、容器2からはみ出している部分のスクラップ70を取り除くようにアタッチメント30が作業を行うことで、スクラップ70を容器2内に収めることができる。
【0103】
また、
図8に示すように、形状情報が所定情報を含むようになったことが、アタッチメント30による作業を開始させる条件である。この条件が成立した場合に、アタッチメント30による作業を開始させることで、作業機械20の外部から作業の開始を別途指示する必要がない。よって、作業機械20の作業の開始を指示する人員を削減することができる。
【0104】
また、
図8に示すように、形状情報が所定情報を含まないようになったことが、アタッチメント30による作業を終了させる条件である。この条件が成立した場合に、アタッチメント30による作業を終了させることで、作業機械20の外部から作業の終了を別途指示する必要がない。よって、作業機械20の作業の終了を指示する人員を削減することができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0106】
例えば、作業機械20のコントローラ11は、スクラップ70の山75の形状情報を取得し、アタッチメント30の作業位置を決定しているが、これらは、携帯端末や、図示しないサーバが行ってもよい。携帯端末は、作業現場の作業者が携帯する。携帯端末やサーバは、作業機械20のコントローラ11と通信を行う。
【0107】
また、作業機械20が自動運転される場合について説明したが、作業機械20は自動運転されなくてもよい。カメラが撮像したスクラップ70の山75の映像を、キャブ23内に設けられたディスプレイに表示させるとともに、スクラップ70の山75の映像にアタッチメント30の作業位置を重畳表示させることで、アタッチメント30の作業位置をオペレータに指示してもよい。また、上部旋回体22に設けられたレーザ装置からスクラップ70の山75にレーザを照射することで、アタッチメント30の作業位置をオペレータに指示してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 作業システム
2 容器
2a 吸着エリア(所定範囲)
2b 放出エリア
3 供給手段
11 コントローラ(取得手段、決定手段、制御手段)
13 記憶装置
20 作業機械
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
27 撮像装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 リフティングマグネット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 マグネットシリンダ
52 旋回角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 マグネット傾斜角センサ
70 スクラップ(作業対象物)
75 山(堆積体)