(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013268
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20250117BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/316 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111090
(22)【出願日】2024-07-10
(31)【優先権主張番号】202310871695.X
(32)【優先日】2023-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チアンミン チー
(72)【発明者】
【氏名】ハイウェイ リー
(72)【発明者】
【氏名】シンチャオ シア
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA08
5F045AA20
5F045AB32
5F045AC11
5F045AC15
5F045AC18
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AD12
5F045AD13
5F045AD14
5F045AD15
5F045AD16
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB02
5F045DP02
5F045DP28
5F045EH18
5F045EK11
5F045EM06
5F045EM10
5F058BA06
5F058BC02
5F058BF54
5F058BF55
5F058BF56
5F058BF60
5F058BF62
5F058BF73
(57)【要約】
【課題】本発明は、低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法を提供する。
【解決手段】該方法は、前記低圧熱処理装置のプロセスチャンバ内に設置された圧力センサにより、前記プロセスチャンバ内のプロセスガスの圧力を1~20Torrに制御することと、流量制御により、前記低圧熱処理装置のトレイ底面に向けて搬送されるサイクロンガスの流量を0.5~1.5L/minに制御し、かつ精度を±0.2L/min以内に制御することと、前記トレイが前記トレイ上面にある半導体ワークとともに回転するように前記サイクロンガスの流量を調節することと、を含む。本発明による気流制御方法によれば、サイクロンガスの流量を正確に制御することにより、トレイがその上の半導体ワークとともに安定して回転できるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法であって、
前記低圧熱処理装置のプロセスチャンバ内に設置された圧力センサにより、前記プロセスチャンバ内のプロセスガスの圧力を1~20Torrに制御することと、
流量制御により、前記低圧熱処理装置のトレイ底面に向けて搬送されるサイクロンガスの流量を0.5~1.5L/minに制御し、かつ精度を±0.2L/min以内に制御することと、
前記トレイが前記トレイ上面にある半導体ワークとともに回転するように前記サイクロンガスの流量を調節することと、を含む、
気流制御方法。
【請求項2】
前記サイクロンガスは窒素、または酸素、または水素と酸素の混合ガスである、
請求項1に記載の気流制御方法。
【請求項3】
前記サイクロンガスは水素と酸素の混合ガスであり、かつ前記プロセスガスと同じ組成を有する、
請求項1に記載の気流制御方法。
【請求項4】
前記サイクロンガス中の水素ガスの流量比は33%以下であり、かつゼロではない、
請求項3に記載の気流制御方法。
【請求項5】
前記低圧熱処理装置は遠隔プラズマ酸化処理装置であり、前記プロセスチャンバ内の圧力は圧力センサにより1~8Torrの範囲内に制御され、前記サイクロンガスの流量は流量制御器により0.5~1L/minの範囲内に制御され、精度は±0.1L/min以内に制御される、
請求項1に記載の気流制御方法。
【請求項6】
前記低圧熱処理装置は低圧ラジカル酸化処理装置であり、前記プロセスチャンバ内の圧力は圧力センサにより5~15Torrの範囲内に制御され、前記サイクロンガスの流量は流量制御器により0.5~1.5L/minの範囲内に制御され、精度は±0.2L/min以内に制御される、
請求項1に記載の気流制御方法。
【請求項7】
前記半導体ワークの回転速度は40~100回転/分である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の気流制御方法。
【請求項8】
前記半導体ワークの回転速度は60回転/分である、
請求項7に記載の気流制御方法。
【請求項9】
前記プロセスガスの総流量が1~60slmである、
請求項1から6のいずれか1項に記載の気流制御方法。
【請求項10】
前記低圧熱処理装置のトレイ底面に向けて搬送されるサイクロンガスは、時計周り方向及び反時計周り方向の一方又は両方に向けて搬送される前記サイクロンガスを含む、
請求項1に記載の気流制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造分野に関し、特に低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急速熱アニール装置はウェーハ製造に必要な工程である。アニールプロセスの温度は通常200~1250℃であり、アニールプロセスの時間は通常数十秒であり、ウェーハ全体における各領域の温度の均一性は極めて重要であり、実際の応用において、加熱ランプ機能の微小な違い、ウェーハとランプの平行度の違い、反応チャンバ内部の局所的な差異などによりウェーハの局所的な温度の不均一を招きやすい。そのため、ウェーハ全体のアニール温度の均一性に達するために、アニール装置はプロセスの過程で回転する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は低圧環境下で、熱処理装置のトレイがエアフロートサイクロン操作を行うための気流制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法を提供し、該方法は、
前記低圧熱処理装置のプロセスチャンバ内に設置された圧力センサにより、前記プロセスチャンバ内のプロセスガスの圧力を1~20Torrに制御することと、
流量制御により、前記低圧熱処理装置のトレイ底面に向けて搬送されるサイクロンガスの流量を0.5~1.5L/minに制御し、かつ精度を±0.2L/min以内に制御することと、
前記トレイが前記トレイ上面にある半導体ワークとともに回転するように前記サイクロンガスの流量を調節することと、を含む。
【0005】
本発明による気流制御方法によれば、サイクロンガスの流量を正確に制御することにより、トレイがその上の半導体ワークとともに安定して回転できるようにする。
【0006】
ここに記載された内容は、本発明の実施例のキーポイント又は重要な特徴を記述することを意図せず、また、本発明の範囲を制限することに用いられないことを理解すべきである。本発明の他の特徴については、下記の明細書を通して理解を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は、本方案をより良く理解するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による低圧熱処理装置のプロセスチャンバ内部のエアフロートサイクロンシステム構造の側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による低圧熱処理装置のプロセスチャンバ内部のエアフロートサイクロンシステム構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の例示的な実施例を説明し、説明において理解を助けるために本開示の実施例の様々な詳細を含めるが、これらは単に例示的なものとみなされるべきである。したがって、当業者は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載された実施例に様々な変更及び修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、以下の説明では、周知の機能及び構造の説明は、明確化及び簡潔化のために省略されている。
【0010】
現在のアニール装置は常圧プロセスであり、ウェーハ回転ではウェーハを浮遊させるためにガスを用いており、ガスがウェーハトレイを回転させる方法でウェーハをプロセス中に回転させる。ウェーハトレイの回転ガスに対して、プロセス中にリアルタイムのデータ収集、フィードバック、調整を行い、ウェーハの回転安定性の要求に達するために閉ループの制御を行う。
【0011】
低圧アニール装置、例えば遠隔プラズマ酸化装置(RPO)、または低圧ラジカル酸化装置(LP)については、高温アニール装置に属し、低圧アニールプロセスについては、とても高い温度均一性が必要である一方で、プロセス均一度の要求を満たすためにプロセス中にウェーハが回転する必要があるため、低圧条件(1~20Torr)でウェーハが回転する方法を開発する必要がある。
【0012】
本発明は低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法を提供し、サイクロンガスの流量を正確に制御することによってサイクロンエアフロート部材の動作を制御する。
【0013】
1つの具体的な実施形態によれば、低圧熱処理装置のエアフロートサイクロン操作に用いられる気流制御方法を提供し、
前記低圧熱処理装置のプロセスチャンバ内に設置された圧力センサにより、前記プロセスチャンバ内のプロセスガスの圧力を1~20Torrに制御することと、
流量制御により、前記低圧熱処理装置のトレイ底面に向けて搬送されるサイクロンガスの流量を0.5~1.5L/minに制御し、かつ制御精度を±0.2L/min以内に制御することと、
前記トレイが前記トレイ上面にある半導体ワークとともに回転するように前記サイクロンガスの流量を調節することと、のステップを含む。
【0014】
1つの実施例によれば、上記サイクロンガスは、窒素、酸素、または水素と酸素の混合ガスであってもよい。好ましくは、サイクロンガスが水素と酸素との混合ガスである場合、水素の流量比は33%以下であり、かつゼロではなく、酸素の流量比は67%以上100%未満である。
【0015】
低圧熱処理プロセスにおいて、プロセスチャンバ内の低圧力のために、上記プロセスガスは、酸素ラジカルの形成を促進し、酸素ラジカルの保持時間を延長するために水素を含むことができる。一実施例によれば、プロセスガスは、例えば、水素と酸素と混合ガスであってもよく、より好ましくは、水素の流量比は33%以下(例えば、25%以下、20%以下、18%以下、10%以下、5%以下)であり、かつゼロではなく、酸素の流量比は67%以上(例えば75%以上、80%以上、87%以上、95%以上)であり、100%未満である。安全性の観点から、プロセスガス中の水素成分は、プロセスチャンバ内の圧力が20Torr以下の時に導入する必要がある。
【0016】
上記サイクロンガスは、余分なガスの導入を回避するために、プロセスガスと同じ組成を有することが好ましい。
【0017】
一実施例によれば、低圧熱処理装置が遠隔プラズマ酸化処理装置である場合、プロセスチャンバ内の圧力は圧力センサによって1~8Torr(例えば、3Torr、5Torr、6Torr、7Torr)の範囲内に制御され、前記サイクロンガスの流量は流量制御器によって0.5~1L/minの範囲内(例えば、0.6L/min、0.7L/min、0.8L/min、0.9L/min)に制御され、制御精度は±0.1L/min以内である。
【0018】
別の実施例によれば、低圧熱処理装置が低圧ラジカル酸化処理装置である場合、プロセスチャンバ内の圧力は圧力センサによって5~15Torrの範囲内に制御され、前記サイクロンガスの流量は流量制御器によって0.5~1.5L/minの範囲内に制御され、制御精度は±0.2L/min以内に制御される。
【0019】
さらに、上記プロセスガスの総流量は1~60slmの範囲内であり、好ましくは5~50slm、例えば16slm、20slm、30slm、45slmである。
【0020】
上記プロセスガス及びサイクロンガスの各条件のもとで、半導体ワークの回転速度は40~100回転/分、好ましくは60回転/分であることができる。
【0021】
一実施例によれば、本発明の気流制御方法では、前記低圧熱処理装置のトレイ底面に向けて搬送されるサイクロンガスは、エアフロート回転を加速または減速させるために、時計周り方向及び反時計周り方向のうちの一方または両方に向けて搬送されるサイクロンガスを含む。
【0022】
上記プロセスガスとエアフロートガスの流量及び圧力は、上記範囲及び精度を満たす必要があり、プロセスガスの流量が大きすぎると、プロセスチャンバ内の圧力が高すぎて、安全上の危険性がある一方、流量が低すぎると、プロセスチャンバ内のガス量が少なすぎて、プロセス均一性が低下することがある。エアフロートガスの流量が高すぎるとエアフロートサイクロンシステムの運転安定性が低下し、低すぎるとトレイやウェーハを効率的に回転させることが困難になる。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、本発明の低圧熱処理装置に用いられるエアフロートサイクロンシステムは、トレイ3と、オプションとして、トレイの上面に位置し、ウェーハ1の裏面を支持するための複数の支持針2と、エアフロートガスの管路4と、エアフロートガスの出口5(3つ以上を含むことができる)と、加速エアフロートガス管路6と、加速エアフロートガス出口7と、減速エアフロートガス管路8と、減速エアフロートガス出口9とを含むことができる。
【0024】
エアフロートガスは管路4を通って出口5からトレイ底面に吐出され、トレイの浮遊と回転を促すことができ、加速エアフロートガスは管路6を通って出口7から吐出され、トレイの順方向(または第1方向と称する)回転を加速させ、減速エアフロートガスは管路8を通って出口9から吐出され、トレイを逆方向(または第1方向とは反対の第2方向と称する)に回転させることで、順方向回転の速度を低下させる。
【0025】
上記エアフロートサイクロンシステムは、それぞれエアフロートガスの導入管路上に位置する、エアフロートガスの吸入流量を制御するためのエアフロートガスの制御弁と、トレイ及びウェーハの運動状態を検出するための検出素子とを含む。
【0026】
上記エアフロートサイクロンシステムの作用の下で、トレイは浮遊と回転運動を行うことができ、その上のウェーハをトレイに同期して運動させ、常にトレイの上面に密着した状態を保つことができる。トレイの浮遊、回転、運動停止により、ウェーハは同じ浮遊、回転、運動停止を行う。すなわち、全体の運動過程において、トレイはウェーハと相対的に静止した状態を保つ。
【0027】
以上から、常圧装置(760Torr)はエアフロートサイクロンによるウェーハ回転方法を利用しており、エアフロートサイクロンのウェーハ回転方法は、プロセス要求を満たすことができると共に、プロセス安定性の要求を満たすことができる。具体的には、常圧装置のサイクロンガスの流量は通常8~15L/minの範囲内であり、サイクロンガスは通常窒素ガスまたは酸素を採用し、圧力がかなり大きいため、サイクロンガスは水素を用いることができない。プロセスチャンバ内の圧力は760Torrであり、圧力制御を行う必要はなく、圧力センサを設置する必要もない。
【0028】
常圧装置(760Torr)に比べ、低圧装置(1~20Torr)はプロセスチャンバ内のガス量が少ないため、プロセスチャンバ内の圧力が大幅に低下する。そのため、回転運動時にトレイ及びウェーハの安定した回転と安定特性を維持することは大きな挑戦である。本発明の方法はプロセスチャンバ内の圧力とサイクロンガスの圧力及び組成を同時に制御することにより、低圧環境下でトレイ及びウェーハが共に安定して回転することを保障することができる。
【0029】
ステップを並べ替えたり、追加したり、削除したりして、上記のプロセスのさまざまな形式を使用できることを理解されたい。例えば、本開示に記載の各ステップは、本開示で開示される技術的解決手段の所望の結果が達成できる限り、並行して、順次に、又は異なる順序で実行することができるが、ここでは制限はない。
【0030】
上記の具体的な実施形態は、本開示の保護範囲を限定するものではない。設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ及び置換が可能であることは、当業者には理解され得る。本開示の要旨内で行われたあらゆる修正、同等の置換や改良等は、すべて本開示の保護範囲に含まれるものとする。