(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013282
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】R波のリアルタイム検出及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61M 60/515 20210101AFI20250117BHJP
A61M 60/139 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/497 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/295 20210101ALN20250117BHJP
A61M 60/161 20210101ALN20250117BHJP
A61M 60/569 20210101ALN20250117BHJP
【FI】
A61M60/515
A61M60/139
A61M60/497
A61M60/295
A61M60/161
A61M60/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】51
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024111410
(22)【出願日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】18/222,255
(32)【優先日】2023-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516064091
【氏名又は名称】ニューパルスシーブイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】アイヴァース ダグラス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ギリダラン グルプラサド アナパトゥール
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD09
4C077HH10
4C077HH20
4C077JJ08
4C077JJ19
4C077JJ28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】心臓補助デバイスを作動させるための駆動ユニットシステムが開示される。
【解決手段】駆動ユニットシステムは、患者の心臓の受信された心電図(ECG)信号に関連するR波の推測的検出と、R波の保守的検出を行うR波検出モジュールを含んでもよい。駆動ユニットシステムは、心臓補助デバイスに結合され、推測的検出と保守的検出に基づいて心臓補助デバイスを作動させ得る駆動ユニットを含む。心臓補助デバイスは、カウンターパルセーションデバイスであっても、大動脈内バルーンポンプであってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助デバイスを作動させるための駆動ユニットシステムであって、前記駆動ユニットシステムは、
R波検出モジュールであって、
患者の心臓の受信心電図(ECG)信号に関連するR波の推測的検出を行い、
前記ECG信号に関連する前記R波の保守的検出を行う
ように動作可能である、R波検出モジュールと、
前記心臓補助デバイスに動作可能に結合可能な駆動ユニットであって、前記推測的検出及び前記保守的検出に基づいて前記心臓補助デバイスを動作させるように動作可能である、駆動ユニットと、
を備える、駆動ユニットシステム。
【請求項2】
前記心臓補助デバイスは、カウンターパルセーションデバイスである、請求項1に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項3】
前記駆動ユニットは、前記推測的検出に基づいて、補助なし大動脈血圧に対して大動脈血圧を低下させ、前記保守的検出に基づいて、補助なし大動脈血圧に対して大動脈血圧を上昇させるように動作可能である、請求項2に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項4】
前記駆動ユニットは、収縮トリガに基づいて大動脈血圧を低下させるように動作可能であり、前記収縮トリガは、前記推測的検出に基づく、請求項2に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項5】
前記心臓補助デバイスは、大動脈内バルーンポンプである、請求項3に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項6】
前記駆動ユニットは、前記推測的検出に基づいて前記大動脈内バルーンポンプを収縮させ、前記保守的検出に基づいて前記大動脈内バルーンポンプを膨張させるように動作可能である、請求項5に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項7】
前記収縮トリガは、前記R波の前記推測的検出及び予測R-R時間間隔の満了のうちの最初に発生したものである、請求項4に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項8】
前記予測R-R時間間隔の前記満了は、直前のR波の最も直前の保守的検出の時間から測定される、請求項7に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記フィルタリング処理済みECG信号に基づいて前記予測R-R時間間隔を生成するように動作可能であるR-R時間間隔モジュールをさらに備える、請求項7に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項10】
前記R-R時間間隔モジュールは、R波の複数の保守的検出に基づいて前記予測R-R時間間隔を生成するように動作可能である、請求項9に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項11】
前記予測R-R時間間隔は、
複数の前記保守的検出の間の時間の平均と、
複数の前記保守的検出の間の時間の中央値と
のうちの1つである、請求項10に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項12】
前記R-R時間間隔モジュールは、
複数のウィンドウに分割された前記フィルタリング処理済みECG信号の少なくとも一部を受信し、
各ウィンドウについて、各ウィンドウ内の前記フィルタリング処理済みECG信号の最大値に関連する時間を検出する
ように動作可能であり、
前記予測R-R時間間隔は、複数の前記最大値に関連する複数の検出された前記時間のうちの1つ以上に基づく、請求項9に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項13】
前記予測R-R時間間隔は、
複数の検出された前記時間のうちの1つ以上の平均と、
複数の検出された前記時間のうちの1つ以上の中央値と
のうちの1つである、請求項12に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項14】
前記駆動ユニットシステムは、受信された前記ECG信号をフィルタリング処理済みECG信号に変換するように動作可能なフィルタモジュールをさらに備える、請求項4に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項15】
前記フィルタモジュールは、R波に関連付けられていない周波数をフィルタ除去する、請求項14に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項16】
前記フィルタリング処理済みECG信号は、前記ECG信号の平滑化バージョンの導関数の絶対値に近似する、請求項14に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項17】
前記フィルタモジュールは、バンドパスフィルタを備える、請求項14に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項18】
前記フィルタモジュールは、重み付けフィルタを備える、請求項14に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項19】
前記フィルタモジュールは、ウェーブレットフィルタを備える、請求項14に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項20】
前記ウェーブレットフィルタは、
前記ECG信号の少なくとも一部を複数の離散周波数信号に分解し、
前記分解された信号のうちの1つ以上に基づいて信号をアグリゲートする
ように動作可能である、請求項19に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項21】
前記分解された信号のうちの前記1つ以上は、R波と関連付けられる周波数を有する、請求項20に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項22】
前記ウェーブレットフィルタは、離散ウェーブレット変換モジュール及びアグリゲータモジュールを備える、請求項19に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項23】
前記離散ウェーブレット変換モジュールは、複数のレベルでウェーブレット変換関数を使用して前記ECG信号の離散ウェーブレット多段階分解を実行し、それによって、そのような各レベルでウェーブレット近似(a)及び詳細(d)係数を生成するように動作可能であり、
前記アグリゲータモジュールは、1つ以上の係数をアグリゲートすることによってアグリゲートされた信号を生成するように動作可能である、請求項22に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項24】
前記レベルのうちの少なくとも1つ以上は、R波と関連付けられる周波数と関連付けられる、請求項23に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項25】
前記フィルタモジュールは、前記アグリゲートされた信号及び前記分解された信号のうちの前記1つ以上のうちの1つの絶対値をとることによって、前記フィルタリング処理済みECG信号を生成するように動作可能な絶対値モジュールを備える、請求項20に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項26】
ウェーブレットフィルタは、Haarウェーブレット関数を適用するように構成される、請求項18に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項27】
前記ウェーブレットフィルタは、symlet4ウェーブレット関数を適用するように構成される、請求項18に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項28】
前記R波検出モジュールは、
前記フィルタリング処理済みECG信号に基づいて前記推測的検出を行い、
前記フィルタリング処理済みECG信号に基づいて前記保守的検出を行う
ように動作可能である、請求項14に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項29】
前記R波検出モジュールは、さらに、前記フィルタリング処理済みECG信号の現在値を決定するように動作可能であり、
前記R波検出モジュールは、前記フィルタリング処理済みECG信号の現在値が第一のR波検出閾値を超えると判定することによって前記推測的検出を行うように動作可能であり、
前記R波検出モジュールは、前記フィルタリング処理済みECG信号の現在値が第二のR波検出閾値を超えると判定することによって前記保守的検出を行うように動作可能であり、
前記第二のR波検出閾値は、前記第一のR波検出閾値よりも大きい、請求項18に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項30】
前記第一及び第二のR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値に基づく、請求項29に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項31】
前記システムは、前記フィルタリング処理済みECG信号におけるフィルタリング処理済みECG最大値に基づいて前記予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成するように動作可能な最大フィルタリング処理済みECG値モジュールをさらに備える、請求項30に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項32】
前記最大フィルタリング処理済みECG値モジュールは、前記予測フィルタリング処理済みECG最大値を、
複数のウィンドウに分割された前記フィルタリング処理済みECG信号の少なくとも一部を受信することと、
各ウィンドウについて、各ウィンドウ内の前記フィルタリング処理済みECG信号の最大値を検出することによって、
生成するように動作可能である、請求項30に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項33】
前記予測フィルタリング処理済みECG最大値は、
1つ以上の検出された前記最大値の平均と、
1つ以上の検出された前記最大値の中央値と、
1つ以上の検出された前記最大値の最小値と、
1つ以上の検出された前記最大値の最大値と
のうちの1つである、請求項32に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項34】
前記第一のR波検出閾値は、前記予測フィルタリング処理済みECG最大値の第一のパーセンテージであり、
前記第二のR波検出閾値は、前記予測フィルタリング処理済みECG最大値の第二のパーセンテージであり、
前記第二のパーセンテージは、前記第一のパーセンテージよりも大きい、請求項30に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項35】
前記第一及び第二のR波検出閾値は、前記予測フィルタリング処理済みECG最大値及び周囲ノイズ値に基づく、請求項30に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項36】
前記システムは、前記フィルタリング処理済みECG信号に基づいて前記周囲ノイズ値を生成するように動作可能なノイズ推定器モジュールをさらに備える、請求項35に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項37】
前記ノイズ推定器モジュールは、
複数のウィンドウに分割された前記フィルタリング処理済みECG信号の少なくとも一部を受信し、
各ウィンドウについて、各ウィンドウ内の前記フィルタリング処理済みECG信号の最大値を検出することによって、前記周囲ノイズ値を生成する
ように動作可能である、請求項36に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項38】
前記周囲ノイズ値は、
1つ以上の検出された前記最大値の平均と、
1つ以上の検出された前記最大値の中央値と、
1つ以上の検出された前記最大値の最小値と、
のうちの1つである、請求項37に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項39】
前記駆動ユニットは、予測QS2タイミング間隔に基づいて前気バルーンポンプを膨張させるように動作可能である、請求項4に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項40】
前記予測QS2時間間隔は、経験的に取得される、請求項39に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項41】
前記予測QS2時間間隔は、前記患者に固有である、請求項39に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項42】
前記駆動ユニットシステムは、前記駆動ユニットに関連付けられた圧力センサを介して取得された圧力データに基づいて予測QS2時間間隔を生成するように動作可能なQS2時間間隔モジュールをさらに備える、請求項41に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項43】
前記予測QS2時間間隔は、部分的に膨張したバルーンポンプの収縮期中の血液の排出によって引き起こされる圧力変化に基づく、請求項42に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項44】
前記駆動ユニットは、前記保守的検出及び前記予測QS2時間間隔に基づいて前記バルーンを膨張させるように動作可能である、請求項39に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項45】
前記駆動ユニットは、前記収縮トリガの約100~120msにおいて前記バルーンポンプを50%収縮させ、前記収縮トリガの約140~180msにおいて前記バルーンポンプを完全に収縮させるように動作可能である、請求項4に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項46】
前記駆動ユニットは、ベローズを備える、請求項1に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項47】
大動脈内バルーンポンプをさらに備える、請求項5に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項48】
前記心臓補助デバイスは、カウンターパルセーションモダリティで操作される心室補助デバイス(VAD)である、請求項1に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項49】
前記駆動ユニットは、前記推測的検出に基づいて大動脈血圧を低下させ、前記保守的検出に基づいて大動脈血圧を上昇させるように動作可能である、請求項48に記載の駆動ユニットシステム。
【請求項50】
前記心臓補助デバイスは、コパルセーションモダリティで操作される心室補助デバイス(VAD)である、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項51】
前記駆動ユニットは、前記保守的検出に基づいて、補助なし大動脈血圧に対して大動脈血圧を上昇させるように動作可能である、請求項50に記載の駆動ユニットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療デバイスに関し、より具体的には、生理学的測定に基づく心臓補助デバイス(CAD)の動作に関するシステム及び方法に関する。米国における約570万人の成人は、米国疾病管理予防センターのウェブサイトによると、心不全を有する。毎年、国内で約10万人が進行性心不全と診断され、例えば、CADを介した何らかの機械的支持を必要とする。場合によっては、CADは、心室補助、カウンターパルセーション療法、又はコパルセーション療法を実施してもよい。一般的な用語では、カウンターパルセーションは、補助なし(すなわち、カウンターパルセーションなし)拡張期大動脈血圧に対して拡張期の大動脈血圧(すなわち、拡張期大動脈圧)を上昇させることによって、及び補助なし(すなわち、カウンターパルセーションなし)収縮期大動脈血圧(すなわち、収縮期大動脈血圧)に対して収縮期の大動脈血圧(すなわち、収縮期大動脈血圧)を低下させることによって、循環を補助し、心臓の仕事を減少させる心室補助技術である。その部分に関して、コパルセーションは、補助なし収縮期大動脈血圧と比較して収縮期大動脈血圧を上昇させる心室補助技術である。
【背景技術】
【0002】
心機能不全を治療するために、異なるレベルの侵襲性で異なるレベルの補助を送達することができる多数のCADがある。例示的なCADは、カウンターパルセーションデバイス(すなわち、カウンターパルセーションモダリティに特有であり、血管系に埋め込まれるデバイス)及び心室に少なくとも部分的に埋め込まれる心室補助デバイス(VAD)を含む。
【0003】
カウンターパルセーションデバイスは、大動脈内バルーンポンプ、パッチデバイス、カフデバイス、及び大血管に吻合された他のポンプデバイスを含む。大動脈内バルーンポンプ(IABP)は、大動脈の内側、典型的には近位下行大動脈内に位置付けられてもよい。バルーンポンプ(典型的には、容量が25~50ミリリットル)は、左心室の収縮と同期して膨張及び収縮されてもよく、それによって、カウンターパルセーション療法を実施する。IABPは、拡張期中に膨張させられてもよく、それによって、補助なし拡張期大動脈血圧に対して拡張期大動脈血圧を上昇させ、上行大動脈及び大動脈弓内の血液を冠状動脈の中へ駆動し、酸素を心筋に供給する。IABPは、左心室が収縮するにつれて、収縮期中に収縮させられてもよく、それによって、補助なし収縮期大動脈血圧と比較して収縮期大動脈血圧を低下させ、後負荷(すなわち、血液を大動脈に押し込むために心臓に必要とされる努力)を減少させる。
【0004】
他のカウンターパルセーションデバイスも同様に動作する。例えば、パッチデバイスは、概して、下行胸部大動脈上に埋め込まれる。長手方向の切開を行ってもよく、パッチデバイスを下行胸部大動脈の外側面に縫合してもよい。パッチデバイスは、外部圧縮機によって動力供給される細長い膨張可能な弁なしポリウレタンパッチを含んでもよい。パッチは、左心室の収縮と同時に膨張及び収縮されてもよく、それによって、バルーンポンプに関して上記で説明される様式と同様に、カウンターパルセーション療法を実施する。パッチデバイスの例には、Kantrowitz CardioVadがある。
【0005】
同様に、カフデバイスは、上行大動脈の周囲に巻き付けられてもよく、血管の外壁に対して位置付けられる膜(例えば、バルーン)を有してもよい。膜の正圧及び負圧は、カウンターパルセーションを促進する。カフデバイスの例には、Sunshine C-Pulse(登録商標)心臓補助システムがある。
【0006】
血液ポンプデバイスは、前胸部の胸筋の下のポケットに埋め込まれ、鎖骨下動脈に吻合された血管グラフトに取り付けられてもよい。血液ポンプデバイスは、収縮期に血液を充填し(それによって、補助なし収縮期大動脈血圧と比較して収縮期大動脈血圧を低下させる)、拡張期に空にする(それによって、補助なし拡張期大動脈血圧と比較して拡張期大動脈血圧を上昇させる)リザーバを含んでもよい。このような血液ポンプデバイスの例には、Symphony Counter Pulsation Device(CPD)がある。心臓外科手術中の生命維持のためのいわゆる傍大動脈血液ポンプ及び使い捨て血液ポンプ(例えば、PulseCath iVAC又はPUCAポンプ)を含む他の血液ポンプデバイスが存在する。両方とも、Symphony CPDと同様に動作する。傍大動脈血液ポンプは、下行大動脈に吻合され、PulseCath iVAC又はPUCAポンプは、収縮期に左心室から血液を吸引し(補助なし収縮期大動脈血圧に対する収縮期大動脈血圧の低下)、拡張期に大動脈に血液を押し戻す(補助なし拡張期大動脈血圧に対する拡張期大動脈血圧の上昇)ように動作するポンプに接続された二方向値を含むカテーテルからなる。
【0007】
特に、いくつかのカウンターパルセーションデバイスは、心室に埋め込まれた場合、コパルセーションデバイスとして機能するように構成又は再構成されてもよい。上述のように、コパルセーションにおいて、デバイスは、収縮期中に大動脈血圧を(補助なし大動脈血圧に対して)上昇させるように動作する。
【0008】
VADは、血液をポンピングすることによって心臓循環を補助するCADである。概して、血液は、左心室から、ポンプの中へ、次いで、大動脈の中へ、身体の上へ、及び/又は右心室の外へ、ポンプの中へ、次いで、肺動脈の中へ、及び肺の上へ引き出され、酸素を取り込む。VADポンプは、外部又は傍皮質であることも、あるいは移植されることもできる(例えば、開心手術を介して左心室及び/又は右心室に接続されるか、又はカテーテルを使用して定位置に配置される)。VADは、概して、拍動流又は連続流として特徴付けられる。連続流VADは、CF-VADと呼ばれることがあり、通常、インペラ又はロータによって駆動される。一部のVADは、VADが心臓周期に同期される場合、カウンターパルセーション又はコパルセーションモダリティで動作することができる。VADが心臓周期に同期していない場合、VADは、非同期的に動作すると言うことができる。
【0009】
現在のVADは、CorWave左心室補助デバイス(LVAD)、Abbot HeartMate 3 LVAD、Abbot HeartMate 2 LVAD、Medtronic HeartWare HVAD、Abiomed Impella(登録商標)ポンプ、及びEVAHEART(登録商標)2 LVADを含む。CorWave LVADは、波膜を使用するが、他の特定されたVADは、CF-VADである。一部のCF-VADは、可変磁場を有する弁レス軸方向ポンプ(すなわち、いわゆる軸方向流ポンプ)を使用して、回転軸と平行に流れる連続的な流出を生成するインペラを回転させる。他のVADは、非接触軸受を有するインペラの磁気又は流体力学的浮上及び回転軸に垂直に向けられた流出を有する遠心ポンプ(すなわち、いわゆる遠心ポンプ)を使用する。Abiomed Impellaポンプは、カテーテルベースの微小軸回転ポンプを有するVADの一例である。これは、患者の大腿動脈に挿入され、次いで左心室に案内される。インペラは、血液を左心室から上行大動脈に引き込む。Abiomed Impellaを例として考えると、このVADは、収縮期中により高いrpmでロータを駆動し、拡張期中により低いrpmでロータを駆動することによって、コパルセーションで展開することができる。その結果、収縮期大動脈血圧は、補助なし収縮期大動脈血圧と比較して上昇する。Abiomed Impellaは、また、拡張期中により高いrpmでロータを駆動し、収縮期中により低いrpmでロータを駆動することによって、カウンターパルセーションで展開してもよい。カウンターパルセーションデバイスと同様に、この結果、(補助なし拡張期大動脈血圧と比較して)拡張期大動脈血圧が上昇し、(補助なし収縮期大動脈血圧と比較して)収縮期大動脈血圧が低下する。
【発明の概要】
【0010】
コパルセーション又はカウンターパルセーションモダリティで動作するCADでは、本来の心臓と同期したタイミングが必要である。そのような同期を提供することができるタイミングアルゴリズム及びデバイスを提供する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面は、いくつかの実施形態を示し、説明とともに、開示される原理を説明するのに役立つ。しかしながら、当業者なら、図示された実施例の特定の詳細の全てを伴わなくても、実施形態を実施できることを理解するであろう。同様に、当業者なら、本技術が、種々の実施例の関連説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために具体的に図示されない、周知の構造又は機能を含んでもよいことを、理解するであろう。
【0012】
【
図1】患者の血管系内に埋め込まれ、本技術の実施形態に従って構成された例示的な血管内循環支援システムを示す。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態に従う心電図(ECG)信号における例示的なQRS群を示す。
【
図3】本技術のいくつかの実施形態に従う例示的なウィガーズ図を示す。
【
図4】本技術のいくつかの実施形態に従う駆動ユニットシステムの例示的な概略図を示す。
【
図5A】本技術のいくつかの実施形態に従うウェーブレットフィルタの例示的な概略図を示す。
【
図5B】本技術のいくつかの実施形態に従う例示的なマザーHaarウェーブレット関数を示す。
【
図5C】本技術のいくつかの実施形態に従う例示的なマザーsymlet4ウェーブレット関数を示す。
【
図5D】本技術のいくつかの実施形態に従って、
図4の駆動ユニットシステムによって受信される例示的なECG信号を示す。
【
図5E】本技術のいくつかの実施形態に従って、
図5BのHaarマザーウェーブレット関数を使用して
図5DのECG信号を分解することによって得られる例示的な複数の離散周波数信号のプロットを示す。
【
図5F】本技術のいくつかの実施形態に従って、例示的なフィルタリング処理済みECG信号及びその対応するECG信号のプロットを示す。
【
図6A】本技術のいくつかの実施形態に従うPVCを含む例示的なECG信号のプロットを示す。
【
図6B】本技術のいくつかの実施形態に従って、
図6AのECG信号に関連する例示的なフィルタリング処理済みECG信号のプロットを示す。
【
図7】本技術のいくつかの実施形態に従って、複数のR波検出閾値を横断する例示的フィルタリング処理済みECG信号の一部分のプロットを示す。
【
図8A】本技術のいくつかの実施形態に従う例示的なECG信号のプロットを示す。
【
図8B】
図8AのECG信号に関連する例示的なフィルタリング処理済みECG信号のプロットを示し、この例示的プロットは、さらに、本技術のいくつかの実施形態に従う複数のR波検出閾値及び複数の交差を描写する。
【
図9】
図6Bの例示的なフィルタリング処理済みECG信号を、本技術のいくつかの実施形態に従って、例示的な予測フィルタリング処理済みECG最大値を決定するために使用され得る各ウィンドウ内のフィルタリング処理済みECG最大値を検出することが可能な例示的なウィンドウ処理技法とともに示す。
【
図10A】本技術のいくつかの実施形態に従って、
図4の駆動ユニットシステムによって受信される例示的なノイズのあるECG信号を示す。
【
図10B】本技術のいくつかの実施形態に従って、
図10AのノイズのあるECG信号に対応する例示的なフィルタリング処理済みECG信号を示す。
【
図10C】本技術のいくつかの実施形態に従って、
図10Bの例示的なフィルタリング処理済みECG信号の拡大セグメントと、例示的なノイズバイアスを確認するためのウィンドウ処理技法とを示す。
【
図10D】
図10Bの例示的なフィルタリング処理済みECG信号の拡大セグメントのプロットであり、本技術のいくつかの実施形態に従って、例示的な予測フィルタリング処理済みECG最大値を決定するために使用され得る各ウィンドウ内のフィルタリング処理済みECG最大値を検出することが可能な例示的なウィンドウ処理技法とともに示す。
【
図10E】
図10Bの例示的フィルタリング処理済みECG信号の拡大セグメントのプロットであり、このプロットは、本発明のいくつかの実施形態に従って、周囲ノイズ値と、予測フィルタリング処理済みECG最大値と、単一の推測的及び保守的R波検出閾値とを示す。
【
図11】本技術のいくつかの実施形態に従う
図4の駆動ユニットシステムを使用するための例示的方法を示す。
【
図12】本技術のいくつかの実施形態に従う
図4の駆動ユニットシステムの状態図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
コパルセーション又はカウンターパルセーションモダリティで動作するCADは、効率的かつ最適な動作のために心電図(ECG)信号を処理することができる。ECG信号処理及びCAD動作の最も重要な部分の1つは、QRS群の解釈及びその特性の取得である。QRS群は、典型的なECGに見られるグラフィカルな偏向の3つの組合せの名称である。成人では、QRS群は、通常0.06~0.10秒続き、子供では、また身体活動中に、QRS群は、より短くてもよい。3つの偏向は、Q波、R波、S波である。これらの波は、急速に連続して発生し、全てが全てのリードに現れるわけではなく、単一の事象を反映し、したがって、通常、一緒に考慮される。典型的なECG信号では、Q波はP波の直後の任意の下方偏向であり、R波は上方偏向として続き、S波はQ波の後の任意の下方偏向である。T波はS波に続き、場合によっては、追加のU波がT波に続く。いくつかのECG信号では、Q波は上方偏向であり、R波は下方偏向として続き、S波は上方偏向である。
【0014】
R波は、この群の最も重要なセクションの1つであり、心調律異常の診断でも、心拍変動(HRV)の決定でも重要な役割を有する。カウンターパルセーションCAD(例えば、カウンターパルセーションデバイス及びカウンターパルセーションモダリティで動作するCAD)及びコパルセーションCAD(例えば、コパルセーションモダリティで動作するCAD)に関して、R波は、収縮期及び/又は拡張期を決定/検出するための重要なマーカとして使用されてもよい。IABPに関して、R波は、80~150msだけ心室収縮に先行してもよく、心室が血液を排出し始めるときにバルーンが大動脈内で閉塞しないように、バルーンの急速収縮を開始するための重要なマーカである。QRS群を検出するための伝統的なシステムは、微分法、デジタルフィルタ、ニューラルネットワーク、フィルタバンク、隠れマルコフモデル、遺伝的アルゴリズム、及び最大事後(MAP)推定器を含む。これらの方法は、ノイズに非常に敏感であり、概してECG信号におけるR波の正しいタイミングを検出する際に誤りを引き起こす。その結果、大動脈内バルーンポンプのための従来のシステム及び方法は、バルーンポンプの膨張及び/又は収縮の時間を予測することができないという欠点がある。同様の問題は、コパルセーション及びカウンターパルセーションモダリティで動作するものを含む他のCADにも存在する。
【0015】
R波の発生及びタイミングを正確に検出するための従来のアプローチの欠点を考慮すると、より正確で、信頼性があり、効率的であり、コパルセーション又はカウンターパルセーションモダリティで動作するCADを含むCADの安全性及び有効性を改善するR波検出の技術が実用的に必要とされている。
【0016】
以下において、本明細書に記載される技術は、IABP及びカウンターパルセーションに関連して記載される。開示される技術は、カウンターパルセーションに特に有用であり得るが、他のCAD(例えば、コパルセーションモダリティにおける動作のためのCAD、カウンターパルセーションモダリティにおける動作のためのCAD)、ペースメーカー、心臓モニタ、除細動器、心拍モニタ、スマートウォッチ、アスレチックアクセサリ等を含む様々な他の技術及びデバイスへの用途を有し得る。カウンターパルセーションへの言及は、この段落で特定されるCAD及びデバイスのためのコパルセーション及び他の治療モダリティへの言及を含むものとする。
【0017】
いくつかの実施形態は、図面を参照して以下でより詳細に論じられる。本明細書に記載されるものに加えて、他の実施形態も本技術の範囲内である。さらに、当業者なら、本技術の実施形態が、本明細書に図示又は説明されるものに加えて、構成、構成要素、及び/又は手順を有し得ることも、これらの及び他の実施形態が、本技術から逸脱することなく、本明細書に図示又は説明される構成、構成要素、及び/又は手順のいくつかを伴わずに実装され得ることを理解するであろう。この説明を通して、「1つの実施形態」、「実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「第nの実施形態」、又は「いくつかの実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、支持構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、そのような用語の使用は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。例えば、本明細書で説明される特徴は、1つ以上の実施形態では、任意の好適な様式で組み合わせてもよいことが明示的に想定される。
【0018】
(血管内循環支援システム構成要素)
図1は、患者の血管系内に埋め込まれた例示的な血管内循環支援システム100を示す。システム100は、心不全に罹患している患者の大動脈に移植可能な大動脈内バルーンポンプ110を含んでもよい。システム100は、さらに、第一の駆動ライン120(「内部駆動ライン」とも呼ばれる)と、動脈インターフェースデバイス又はストッパデバイス130と、第二の駆動ライン140と、皮膚又は患者インターフェースデバイス190と、チューブ172と、駆動ユニット150と、センサ160とを含んでもよい。システム100は、埋め込まれると、心不全に罹患している患者にカウンターパルセーション療法を提供することができる。いくつかの実施形態では、血管内循環支援システム100は、米国特許出願第16/876,110号で説明される特徴と概ね類似する特定の特徴を有してもよく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
バルーンポンプ110は、拡張可能部材であっても、バルーンであっても、あるいは気体又は液体で充填されることに応答してサイズ及び/又は形状を変化させ得る又は他の要素であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、バルーンポンプ110は、生体適合性の非血栓形成性エラストマー材料(例えば、Biospan(登録商標)-S)から構成されるバルーンである。バルーンポンプ110は、また他の好適な材料から作製されてもよい。バルーンポンプ110は、少なくとも、概して収縮される第一の状態と、概して膨張される第二の状態との間で移行されてもよい。バルーンポンプ110は、第一の(例えば、収縮した)状態にあるときの第一の容積と、第二の(例えば、膨張した)状態にあるときに、第一の容積よりも大きい第二の容積とを有してもよい。したがって、バルーンポンプ110は、第一の状態と第二の状態との間で繰り返し移行することによって、カウンターパルセーション療法を提供することができる。バルーンポンプ110を第一の状態と第二の状態との間で移行させるために、駆動ユニット150は、流体(気体又は液体、例えば空気)を、第一の駆動ライン120、第二の駆動ライン140、及びチューブ172を介してバルーンポンプ110の内部容積に導いてもよい。バルーンポンプ110は、腎動脈等の大動脈から分岐する動脈の遮断を低減及び/又は防止するようにサイズ決定及び/又は成形されてもよい。いくつかの実施形態では、バルーンポンプ110は、バルーン以外に又はバルーンに加えて拡張可能なエンドエフェクタを含む。いくつかの実施形態では、バルーンポンプ110は、米国特許第8,066,628号、第8,323,174号、及び第8,326,421号及び米国特許出願第17/944,130号、第17/944,127号、及び第17/944,125号で説明される特徴に概ね類似する特定の特徴を有してもよく、これらの開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
第一の駆動ライン120は、膨張ガスをバルーンポンプ110に送達するために、管腔が貫通する細長い構造であってもよい。第一の駆動ライン120は、患者の血管系(例えば、大動脈と腋窩動脈又は鎖骨下動脈との間にある)内に少なくとも部分的に配置することができる。システム100が埋め込まれた後、第一の駆動ライン120は、バルーンポンプ110に結合され、患者の血管系内(例えば、下行大動脈内)に配置される第一の端部(例えば、遠位端部分)と、第二の駆動ライン140に結合され、患者の血管系の外部に配置される第二の端部(例えば、近位端部分)とを有してもよい。第一の駆動ライン120は、例えば、腋窩動脈、鎖骨下動脈、又は別の好適な血管内の動脈切開において、患者の血管系から出てもよい。
【0021】
第二の駆動ライン140は、また管腔が貫通する細長い構造であってもよい。第二の駆動ライン140は、少なくとも部分的に皮下であるが、患者の脈管構造の外部に配置されてもよい。システム100が埋め込まれた後、第二の駆動ライン140は、第一の駆動ライン120に結合された第一の端部(例えば、遠位端部分)と、患者インターフェースデバイス190に結合された第二の端部(例えば、近位端部分)とを有してもよい。第一の駆動ライン120及び第二の駆動ライン140は、同じ又は異なる材料から作製されてもよく、同じ又は異なる寸法(例えば、長さ、外径、内径等)を有してもよい。いくつかの実施形態では、第二の駆動ライン140は、患者が動くときに第一の駆動ライン120に伝達され得る長手方向のひずみを低減するための吸収機構を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、吸収機構は、長手方向の力に応答して圧縮することができる湾曲領域(例えば、「S」字形又は他の蛇行曲線である)であり、それによって、長手方向の力がシステム100の血管内部分(例えば、第一の駆動ライン120及び/又はバルーンポンプ110)に伝達されるのを低減及び/又は防止する。
【0022】
第一の駆動ライン120は、任意の好適な技法を使用して第二の駆動ライン140に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の駆動ライン120は、少なくとも部分的に第二の駆動ライン140に挿入され(又はその逆)、圧縮リングを使用してそこに固定される。いくつかの実施形態では、第一の駆動ライン120は、第二の駆動ライン140に縫合、接着、縫合、又は別様に固定される。いくつかの実施形態では、第一の駆動ライン120は、前述の技法の組合せを介して、及び/又は他の好適な取り付け技法を介して、第二の駆動ライン140に取り付けられる。接続機構にかかわらず、第一の駆動ライン120が第二の駆動ライン140に結合されるとき、第一の駆動ライン120の管腔は、第二の駆動ライン140の管腔を通って流れるガスが第一の駆動ライン120の管腔を通っても流れるように、第二の駆動ライン140の管腔に流体接続されてもよい。第一及び第二の駆動ラインとして説明されるが、いくつかの実施形態では、第一の駆動ライン120及び第二の駆動ライン140は、単一の一体構成要素(すなわち、単一の駆動ライン)であってもよい。
【0023】
上述のように、第一の駆動ライン120は、膨張ガスをバルーンポンプ110に送達するようにバルーンポンプに結合されてもよい。例えば、第一の駆動ライン120の第一の端部は、第一の駆動ライン120を通って延在する管腔がバルーンポンプ110の内部と流体連通するように、バルーンポンプ110に接続されてもよい。したがって、第一の駆動ライン120の管腔を通ってバルーンポンプ110に向かって流れるガスは、バルーンポンプ110に流れ込み、バルーンポンプ110を第一の状態から第二の状態(例えば、バルーンポンプ110を膨張させる)に遷移させることができる。第一の駆動ライン120は、また、バルーンポンプ110が第二の状態と第一の状態(例えば、バルーンポンプ110が収縮するとき)との間で遷移するときに、バルーンポンプ110からガスを受け取ってもよい。
【0024】
動脈インターフェースデバイス又はストッパデバイス130は、第一の駆動ライン120が血管系(例えば、鎖骨下動脈又は腋窩動脈にある)を出る動脈切開において、長期(例えば、約3ヶ月超、約6ヶ月超、約12ヶ月超等)にわたって、止血を提供してもよい。ストッパデバイス130は、ストッパデバイス130を所望の向き又は位置に固定するために使用され得る複数の固定要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ストッパデバイス130は、米国特許第7,892,162号に記載される特徴と概ね類似する特定の特徴を含んでもよく、その開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、ストッパデバイス130は、縫合リング(例えば、機械的支持を提供するために動脈に縫合されたポリエステルベロアパッチ)と、グラフト(例えば、内腔を画定し、動脈アクセスを提供するために縫合リング及び動脈に縫合されたポリエステル織物)と、ストッパ要素(例えば、第一の駆動ライン120を受容する管腔を有する止血を提供するために、グラフトの管腔に挿入されたシリコーンプラグ)とを含んでもよい。
【0025】
患者インターフェースデバイス190は、外部駆動ユニット150が埋め込まれたバルーンポンプ110の動作を駆動することを可能にする経皮デバイスであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、患者インターフェースデバイス190は、第二の駆動ライン140のための安定した及び/又は確実な出口部位を提供し、第二の駆動ライン140を駆動ユニット150に直接接続することを可能にする。他の実施形態では、第二の駆動ライン140は、患者インターフェースデバイス190の内側に面する部分に結合してもよく、駆動ユニット150は、チューブ172を介して患者インターフェースデバイス190の外側に面する部分に結合してもよい。チューブ172は、チューブ、ホース、及び/又管腔が貫通する細長い構造を有する他の導管であってもよい。例えば、チューブ172は、管腔が貫通する空気チューブと、患者インターフェースデバイス190と駆動ユニット150との間のシリアル通信のための1つ以上の電気導管とを備えてもよい。そのような実施形態では、患者インターフェースデバイス190は、拡張可能部材110への送達のために、駆動ユニット150から(例えば、チューブ172を介して)受け取ったガスを第二の駆動ライン140に導いてもよい。いくつかの実施形態では、患者インターフェースデバイス190は、米国特許第10,137,230号で説明される特徴に概ね類似する特定の特徴を有してもよく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
駆動ユニット150は、第一の駆動ライン120、第二の駆動ライン140、及びチューブ172を介して、バルーンポンプ110に出入りするガス流を生成することができる。例えば、駆動ユニット150は、正圧を生成して、第一の駆動ライン120、第二の駆動ライン140及びチューブ172を介してガスをバルーンポンプ110内に加速させてもよく、それによって、バルーンポンプ110を膨張させる。駆動ユニット150は、また負圧を誘発して、第一の駆動ライン120、第二の駆動ライン140、及びチューブ172を介してバルーンポンプ110からガスを引き出してもよく、それによって、バルーンポンプ110を収縮させる。駆動ユニット150は、いくつかの異なる機構を通して、バルーンポンプ110に出入りするガス流を誘発してもよい。例えば、駆動ユニット150は、ベローズ、ブロワ、コンプレッサ、加速器、又は他の同様の特徴を利用して、ガス流をバルーンポンプ110に出入りさせてもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニット150は、バルーンポンプ110に押し込まれる空気の容積を制御して、バルーンポンプ110の過膨張を回避することができる。例えば、空気流を生成するためにベローズを利用する実施形態では、ベローズによって生成される空気流の容積(例えば、ベローズの容積)は、バルーンポンプ110の内部容積に整合されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニット150は、駆動ユニット150を取り囲む環境からの周囲空気(例えば、「室内空気」)を使用して、システム100の動作を駆動する。理論に束縛されるものではないが、周囲空気の使用は、内部気体又は流体供給(例えば、ヘリウムタンク)に依存する駆動ユニットに対して、駆動ユニット150のサイズ、重量、及び/又はコストを低減することが期待される。例えば、いくつかの実施形態では、駆動ユニット150は、約2.2kg以下の重量であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、駆動ユニット150は、携帯可能/歩行型であってもよい。他の実施形態では、駆動ユニット150は、ヘリウムタンク(図示せず)等のガス又は流体供給部に動作可能に結合されても、あるいは他の方法で含んでもよい。駆動ライン140又はチューブ172は、システム100が能動的に使用されていないとき、患者インターフェースデバイス190の近くで切断されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニット150は、米国特許出願第17/878,632号で説明される特徴と概ね類似する特定の特徴を有してもよく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
センサ160は、患者の生来の心臓リズムに関連する1つ以上の生理学的パラメータを感知して、システム100の動作を心周期と同期さてもよい。具体的には、1つ以上の感知された生理学的パラメータを使用して、駆動ユニット150の動作を患者の自然心拍と自動的に同期させて、心周期中の適切な時間にバルーンポンプ110を確実に膨張及び収縮させるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、センサ160は、リアルタイムで1つ以上の生理学的パラメータを感知してもよい。
図1に示すように、センサ160は、ワイヤ162を介して患者インターフェースデバイス190に結合してもよい。ワイヤ162は、心臓内、皮下、皮上、又は前述の任意の組合せであってもよい。患者インターフェースデバイス190は、有線又は無線接続を介して、センサデータ(例えば、センサ160から受信したデータである)を駆動ユニット150に中継してもよい。他の実施形態では、センサ160は、有線又は無線接続を介して、駆動ユニット150に接続されてもよく、患者インターフェースデバイス190を使用することなく、センサデータを駆動ユニット150に直接伝送することができる。センサ160は、埋め込みセンサ、外部センサ、又は前述の任意の組合せであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、センサ160は、例えば、左心室が収縮又は弛緩しているときを判定するように、心臓又は他の適切な組織に、及び/又はそれに近接して位置付けられる埋込双極電極であってもよい。センサ160は、心臓の電気信号(例えば、ECG信号として処理され、モニタ又はプリンタ上に表示され得る信号)、バルーンポンプ110に近接する(例えば、バルーンポンプ100の近位端に近接する)圧力に関連する圧力情報、周囲ノイズ情報(例えば、胸筋に関連するノイズ、システム100からの電子ノイズ、又は患者に関連又は近接する他のデバイス(図示せず)からの電子ノイズ等)、心周期中に心臓によって生じるノイズ(例えば、心音図信号として処理され、モニタ又はプリンタ上に表示され得る情報)、他の圧力信号等のうちの1つ以上を駆動ユニット150に送達してもよい。いくつかの実施形態では、センサ160は、電子音トランスデューサ、圧力トランスデューサ、圧電トランスデューサ、又は生理学的パラメータ測定を行うのに適した他のトランスデューサもしくはセンサである。
図1は3つのセンサ160を示しているが、システム100は、任意の特定の実施形態において感知されているものの性質に応じて、センサ160を3つより少なく組み込んでも、あるいは多く組み込んでもよい。
【0028】
システム100は、患者が歩行可能なままであることを依然として可能にしながら、心臓機能及び血流の慢性サポートを提供してもよい。典型的な心室補助デバイスは、駆動ラインのための大腿骨アクセス及び/又は大型の静止外部制御ユニットへの接続を必要とするので、治療期間中、患者を仰臥位で病院ベッドに拘束する。対照的に、システム100は、腋窩/鎖骨下へのアクセスを提供するので、患者が比較的妨げられずに動き回ることを可能にし得る。さらに、システム100によって提供される治療レベルを、患者のニーズに適合するように調整してもよい。例えば、バルーンポンプ110によって提供される容積変位及び支持比(例えば、1:1、1:2、1:3支持)を調整して、提供される支持を変化させてもよい。理論に束縛されるものではないが、経時的に容積変位を徐々に減少させることによって、心臓への負荷を制御してもよく、これは、場合によっては、心臓回復に有益なことがある。さらに、従来の循環支援システムとは異なり、システム100をオフにして、例えば、システム100を取り外す前に、又は別の適切な理由で、支援なしに心臓の要求に対処する患者の能力を評価してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、バルーンポンプ110は、比較的長期間(例えば、1日に23時間)にわたって、収縮状態で大動脈内に留まるように設計される。これは、再活性化により非活性状態で形成された血栓が大量に噴出する可能性があるため、約15分以上オフにした場合は取り外す必要があることの多い従来のデバイスとは、正反対である。
【0029】
(心周期信号)
図2は、例示的なECG信号202を示す。ECG信号202は、センサ160によって感知されてもよい。ECG信号202は、P波204、Q波206、R波208、S波210、及びT波212を含んでもよい。Q波206、R波208、及びS波210は、QRS群214を構成してもよい。
【0030】
図3は、例示的な心周期の例示的なウィガーズ
図300を示す。図のx軸は時間をプロットし、心位相(左心室収縮期302及び左心室拡張期304)に細分され、図のy軸は血圧(大動脈圧306、心房圧308、及び心室圧310)、心室容積312、ECG信号202、及び心音図信号314をプロットする。ウィガーズ
図300は、また、とりわけ、S1心音324、S2心音326、及びS3心音328に加えて、僧帽弁316の閉鎖、大動脈弁318の開放、大動脈弁320の閉鎖(すなわち、重拍切痕)、及び僧帽弁322の開放のための心臓タイミングを示す。R波208は、左心室収縮期302の開始を表し、重拍切痕320又はS2心音326は、左心室拡張期304の開始を表す。
【0031】
(駆動ユニットシステム)
図4は、本技術のいくつかの実施形態による駆動ユニットシステム400の例示的な概略図を示す。駆動ユニットシステム400は、R波検出モジュール402及び駆動ユニット404を含んでもよい。R波検出モジュール402は、受信されたECG信号(センサ160によって測定され、センサデータ401として受信される)に関連する1つ以上のR波を検出することができる。動作時、駆動ユニット404は、チューブ172、第二の駆動ライン140、及び第一の駆動ライン120を介して大動脈内バルーンポンプ110に結合されてもよく、バルーンポンプ110は、
図1に概して描写されるように、患者の心臓の近傍に設置されている。患者は、ヒトであっても、他の動物であってもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニットシステム400は、バルーンポンプ110を含んでもよい。駆動ユニット404は、R波の検出に基づいてバルーンポンプ110を膨張及び収縮させてもよい。したがって、バルーンポンプ110は、カウンターパルセーションを実行することができる。
【0032】
(フィルタリング処理済みECG信号)
いくつかの実施形態では、駆動ユニットシステム400は、フィルタモジュール406を含む。フィルタモジュール406は、受信されたECG信号をフィルタリング処理済みECG信号に変換し得、ECG信号は、ECG信号に含まれるR波を強調し、及び/又はR波の一部ではない他の周波数及び波の全て又はいくつかを減衰させる。例えば、フィルタモジュール406は、R波208を画定するか又はそうでなければそれに寄与すると予想される周波数以外のECG信号内の全ての周波数をフィルタ除去することができる。そのような予期される周波数は、経験的に決定され、設定として(例えば、臨床医によって)使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタモジュール406は、7.8125Hz~15.625Hz帯域の周波数以外の周波数をフィルタ除去する。他の実施形態では、フィルタモジュール406は、15.625Hz~31.25Hz帯域の周波数以外の周波数をフィルタ除去する。さらに他の実施形態では、フィルタモジュール406は、7.8125Hz~31.25Hz帯域の周波数以外の周波数をフィルタ除去する。いくつかの実施形態では、フィルタモジュールの出力は、受信されたECG信号の平滑化されたバージョンの導関数の絶対値を近似する。いくつかの実施形態では、フィルタモジュール406は、バンドパスフィルタ、重み付けフィルタ、又はウェーブレットフィルタとして実装されてもよい。
【0033】
図5Aは、ウェーブレットフィルタ502の概略図を示す。
図5Bは、ウェーブレットフィルタ502によって採用され得る例示的なマザーHaarウェーブレット関数512を示す。
図5Cは、ウェーブレットフィルタ502によって採用され得る例示的なマザーsymlet4ウェーブレット関数516を示す。
図5Dは、駆動ユニットシステム400によって受信され得る例示的なECG信号を示し、
図5Eは、Haarウェーブレット関数(例えば、関数512)を使用してECG信号518を分解するウェーブレットフィルタ502によって得られた例示的な複数の離散周波数信号のプロット520を示す。
図5Fは、例示的なフィルタリング処理済みECG信号524及びその対応するECG信号522のプロットを示す。
【0034】
図5A~
図5Fを参照すると、フィルタモジュール406は、ウェーブレットフィルタ502として実装されてもよい。ウェーブレットフィルタ502は、離散ウェーブレット変換モジュール504と、周波数セレクタモジュール506と、アグリゲータモジュール508と、絶対値モジュール510とを含んでもよい。離散ウェーブレット変換モジュール504は、受信されたECG信号(例えば、ECG信号518)の少なくとも一部を複数の離散周波数信号(例えば、分解から生成された係数に対応するプロット520に示される離散周波数信号)に分解することができ、各離散周波数信号は、例えば、マザーHaarウェーブレット(Psi)関数512又はマザーSymlet4ウェーブレット(Psi)関数516等の1つ以上のウェーブレット変換関数を使用して異なる周波数帯域に関連付けられる。
【0035】
分解は、複数のレベルで行われる多段階分解であってもよく、複数のレベルは、各レベルでウェーブレット近似(a)及び詳細(d)係数を生成する。例えば、
図5Bを参照すると、レベル1(d1)に関連する詳細(d)係数514は、250~500Hzのサブバンド中にあってもよく、レベル2(d2)に関連付けられた詳細係数514は、125~250Hzのサブバンドに関連付けられてもよく、レベル3(d3)に関連付けられた詳細係数514は、62.5~125Hzサブバンドに関連付けられてもよくレベル4(d4)に関連付けられた詳細係数514は、31.25~62.5Hzサブバンドに関連付けられてもよく、レベル5(d5)に関連付けられた詳細係数514は、15.625~31.25Hzサブバンドに関連付けられてもよく、レベル6(d6)に関連付けられた詳細係数514は、7.8125-15.625Hzサブバンドに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、分解は、R波を定義するか、又はそうでなければR波に寄与することが予測される周波数又は周波数帯域と関連付けられる離散周波数信号のみを生成されることがある。
【0036】
アグリゲータモジュール508は、分解された離散周波数信号の1つ以上をアグリゲートすることができる。いくつかの実施形態では、周波数セレクタモジュール506は、R波(例えば、d6及びd5係数に関連付けられる7.8125Hz~15.625Hz及び15.625Hz~31.25Hz帯域の周波数)を定義するか又はそうでなければそれに寄与することが予想される周波数又は周波数帯域を識別するように構成され得る。例えば、複数の離散周波数信号が生成される実施形態では、周波数セレクタモジュール506は、アグリゲータモジュール508によってアグリゲートされ得る1つ以上の離散周波数信号を識別及び選択してもよい。他の実施形態では、周波数セレクタモジュール506は、ウェーブレットフィルタ502を同調させて、R波を定義するか又はそうでなければR波に寄与すると予想される周波数又は周波数帯域に関連する離散周波数信号のみを生成することができ、アグリゲータモジュール508は、生成された分解離散周波数信号の全てをアグリゲートしてもよい。アグリゲートされた信号は、フィルタリング処理済みECG信号であってもよい。いくつかの実施形態では、絶対値モジュール510を使用して、フィルタリング処理済みECG信号が確実に正であるようにしてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ウェーブレットフィルタ502は、1つ以上の係数又は分解された離散周波数信号を使用して信号を構築又は再構築する逆離散ウェーブレットモジュールを含む。そのような実施形態では、逆離散ウェーブレットモジュールの出力は、フィルタリング処理済みECG信号であってもよい。いくつかの実施形態では、絶対値モジュール510を使用して、フィルタリング処理済みECG信号が確実に正であるようにしてもよい。
【0038】
図5Fを参照すると、例示的なECG信号522が、そのフィルタリング処理済みECG信号524と並んで示されている。フィルタリング処理済みECG信号524は、QRS群212におけるQからRへの立ち上がり及びRからSへの立ち下がりに対応する2つのピーク524A及び524Bを有してもよい。ピーク524A及び524Bは、両方とも、絶対値モジュール510の動作に起因して正であってもよい。絶対値モジュール510が省略される実施形態では、ピーク524A及びピーク524Bは、反対符号であり、フィルタリング処理済み信号の形状は、プロット520内の分解された信号の形状に類似してもよい。
【0039】
図6Aは、本技術のいくつかの実施形態に従って、複数の早期心室収縮(PVC)604を含む例示的なECG信号602のプロット600を示す。
図6Bは、
図6AのECG信号602に関連する例示的なフィルタリング処理済みECG信号608のプロット606を示す。より大きいピーク608Aは、ECG信号602中のQRS群212に関連付けられてもよく、より小さいピーク608Bは、PVC604に関連付けらてもよい。
【0040】
(R波検出)
いくつかの実施形態では、R波検出モジュール402は、フィルタリング処理済みECG信号による1つ以上のR波検出閾値の「交差」を検出することによって、受信されたECG信号に関連するR波を検出するように構成されてもよい。絶対値モジュール510を使用しないいくつかの実施形態では、実施形態は、正及び負のR波検出閾値を採用してもよく、フィルタリング処理済みECG信号(例えば、信号524)の電流値がいずれかのR波検出閾値を横切るとき(例えば、フィルタリング処理済みECG信号の電流値が正のR波検出閾値より大きくなるように変化するとき、又は負のR波検出値よりも小さくなるように変化するとき)、「交差」が生じる。絶対値モジュール510が採用される実施形態では、フィルタリング処理済みECG信号は、正であってもよく、フィルタリング処理済みECG信号の現在値がR波検出閾値を上回るように変化するとき、「交差」が生じてもよい。
【0041】
図7は、単一のQRS群と、複数のR波検出閾値704、706、708と、そのようなR波検出閾値704、706、708に対するフィルタリング処理済みECG信号702の複数の交差710,712,及び714とを強調する例示的なフィルタリング処理済みECG信号702の一部分のプロット700を示す。R波検出閾値704、706、708は、カウンターパルセーションをサポートする任意の適切な値であってもよい。いくつかの実施形態では、R波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、R波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値のパーセンテージを表してもよい。例えば、R波検出閾値704は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約40%であってもよく、R波検出閾値706は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約10%であってもよく、R波検出閾値708は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約60%であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、単一のR波検出閾値、例えば、名目R波検出閾値704が、R波を検出するために使用される。名目R波検出閾値704は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約40%に設定されてもよい。そのような実施形態では、フィルタリング処理済みECG信号702による単一名目R波検出閾値704の交差710は、R波の「名目検出(nominal detection)」と見なされてもよく、バルーンポンプ101の収縮は、そのような名目検出に基づいてもよい。具体的には、収縮は、以下で論議されるように、収縮トリガに基づいてもよい。交差710が検出(又は名目検出)されると、駆動ユニット404は、即座にバルーンポンプ101の収縮を引き起こしてもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニット404は、バルーンポンプ110を、単一交差710の約100~120msにおいて少なくとも50%収縮させ、単一交差710の約140~250msにおいて完全に収縮させてもよい。膨張は、また(以下で説明されるように)同じ交差710に基づいてもよい。
【0043】
このような単一名目R波検出閾値、例えば名目R波検出閾値704を使用し、単一交差710を検出(すなわち、名目検出)すると、心房細動(a-fib)及びPVC等の不整脈心臓パターンをサポートする際に、又はECGに(例えば、胸筋活動又は他のノイズ干渉に起因して)ノイズが多い場合に、課題が生じる可能性がある。例えば、
図6A及び
図6Bを参照すると、単一名目R波検出閾値704が高すぎる値に設定されていると、R波の検出を遅延させる可能性、又はR波(例えば、PVC604に関連付けられたR波608B)を「見逃す」又は検出しない可能性があり、その結果、そのように見逃されたR波に関連付けられた収縮期中の排出が、妨げられる可能性がある。そのような場合、R波を見逃すリスクを負うよりも誤検出のリスクを負う方が良いことがある。同様に、単一名目R波検出閾値704が低すぎる値に設定されていると、例えば、ノイズの多いECG信号(例えば、以下で論じられる
図10AのノイズのあるECG信号1002)によって引き起こされる誤検出が生じ、膨張があまりにも早くトリガされ得、排出も妨げられる可能性がある。そのような場合、R波を誤検出するよりもR波を見逃す方が良いことがある。
【0044】
また、2つのR波検出閾値を用いてR波を検出してもよい。例えば、第一の又は比較的低いR波検出閾値及び第二の又は比較的高いR波検出閾値が採用されてもよく、そのような値は、単一名目R波検出閾値に対するものである。第一又は低い方のR波検出閾値のフィルタリング処理済みECG信号による交差は、R波の「推測的検出(speculative detection)」と見なすことができ、したがって、第一又は低い方のR波検出閾値は、「推測的R波検出閾値」と見なすことができる。同様に、第二又は高い方のR波検出閾値のフィルタリング処理済みECG信号の交差は、R波の「保守的検出(conservative detection)」と見なすことができ、したがって、第二又は高い方のR波検出閾値は、「保守的R波検出閾値」と見なすことができる。
【0045】
デュアルR波検出閾値がR波検出を行うために使用されるそのような実施形態では、推測的検出は、収縮のみと関連付けられることがある。推測的検出時に、駆動ユニット404は、バルーンポンプ101の収縮を迅速に引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、駆動ユニット404は、バルーンポンプ110を、約100~120msの推測的検出で少なくとも50%収縮させ、約140~180msの推測的検出で完全に収縮させることができる。保守的検出は、以下で説明するように、膨張と関連付けられてもよい。
【0046】
例えば、
図7では、第一の又は推測的R波検出閾値706は、単一名目R波検出閾値704未満であり得る。
図7の例では、第一のR波検出閾値706は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約10%である。推測的検出は、交差712において、すなわち、フィルタリング処理済みECG信号702が第一のR波検出閾値706と交差するときに生じ得る。単一名目R波検出閾値704と比較して、同じECG信号に対して、低い方のR波検出閾値706を使用すると、R波を検出しない(すなわち、見逃す)リスクを低減し得るが、その理由は、推測的検出(すなわち、交差710と比較して交差712)は、「早い」(例えば、10~25ms早い)からである。この時間的に早い推測的検出によって、バルーンポンプ110が過度に長く(すなわち、LV収縮期302の初期段階中に)膨張し続ける可能性が低くなる。
【0047】
第二の又は保守的なR波検出閾値708は、R波の誤検出のリスクを低減するために、単一名目R波検出閾値704よりも大きくてもよい。
図7の例では、第二のR波検出閾値708は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約60%である。保守的検出は、交差714において、すなわち、フィルタリング処理済みECG信号702が第二のR波検出閾値708と交差するときに生じ得る。単一のR波検出閾値704と比較して、同じECG信号に対して、高い(又は値が大きい)方のR波検出閾値708を使用すると、R波の誤検出のリスクを低減し得、保守的検出(すなわち、交差710と比較して交差714)は、時間的に後で生じ得る。この時間的に後の保守的検出によって、早期に(例えば、LV収縮期の後期段階中に)膨張する可能性が低くなる。
【0048】
累積的に、単一名目R波検出閾値704の代わりに値706及び708等のデュアルR波検出閾値を使用すると、大多数の場合において、比較的低い推測的R波検出閾値704に起因してR波が検出され、バルーンポンプ110が時間内に収縮することを意味する。しかしながら、比較的大きい保守的R波閾値708が交差されない場合、おそらく、唯一の欠点は、未検出のR波によって開始される心周期が、膨張した血液ポンプ110によってサポートされないことである。デュアル閾値の実施形態の利点は、R波の検出が名目検出より10~20ms早く起こり得ることであり、これによって、バルーンをより早く収縮することが可能になり、心室駆出中のその閉塞の可能性を最小限に抑えられる。
【0049】
図8Aは、本技術のいくつかの実施形態による例示的なECG信号802のプロット800を示す。
図8Bは、ECG信号802に関連する例示的なフィルタリング処理済みECG信号806のプロット804を示す。プロット804は、さらに、複数のR波検出閾値808及び810、812、ならびにフィルタリング処理済みECG信号806によるそのような値の関連する交差(814A~D、815A~D及び816A~D)を描写する。R波検出閾値808は、上述され、単一閾値実施形態と関連する、いわゆる「単一名目R波検出閾値」であってもよい。単一名目R波検出閾値808は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約40%に設定され得る。R波検出閾値810及び812は、上述され、デュアル閾値の実施形態に関連する、いわゆる「第一及び第二のR波検出閾値」又は「推測的及び保守的R波閾値」であってもよい。第一及び第二のR波検出閾値は、それぞれ、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約10%及び60%に設定されてもよい。いくつかの実施形態では、単一名目R波検出閾値(デュアルR波検出閾値の使用と比較する)の使用は、遅延検出を引き起こし得る。例えば、
図8Aでは、交差814Cが交差815Cのかなり後に発生するので、検出は第三のR波に対して遅れることがある。
【0050】
(予測フィルタリング処理済みECG最大値)
図4及び
図9を参照すると、駆動ユニットシステム400は、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408を含んでもよく、ECG最大値モジュール408は、フィルタリング処理済みECG信号又はその1つ以上の部分における1つ以上の実際の最大値に基づいて予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成する。いくつかの実施形態では、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、ウィンドウ処理技法を適用して、予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成する。
図9は、本技術のいくつかの実施形態に従って、フィルタリング処理済みECG最大値904A~Eを検出することが可能な例示的なウィンドウ処理技法とともに、プロット606(すなわち、
図6からの例示的なフィルタリング処理済みECG信号608)を示す。フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、フィルタリング処理済みECG信号608の少なくとも1つの部分902を受信することができ、その部分は、複数のサブ部分又はウィンドウ902A~Eに分割される。他の実施形態では、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、部分902及びウィンドウ902A~Eを生成することができる。いくつかの実施形態では、部分902は、長さが7.5秒であり、各ウィンドウ902A~Eは、長さが1.5秒である。他のサイズ及びより多い又はより少ないウィンドウの使用が企図される。例えば、
図10Dに関連して説明されるように、部分は、長さが3秒であってもよく、2つの1.5秒のウィンドウを有してもよい。そのような実施形態では、使用するウィンドウの数を減らすことで、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408が患者のECGの変化で、より敏感に応答することが可能になる。いくつかの実施形態では、部分のサイズと、ウィンドウの数及びサイズとは、少なくともいくつかのウィンドウがR波と関連付けられるピークを確実に含むように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、部分のサイズと、ウィンドウの数及びサイズとは、ウィンドウの少なくとも半分又はウィンドウの大部分(すなわち、半分超)がR波と関連付けられるピークを確実に含むように選択されてもよい。
【0051】
図9に戻ると、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、各ウィンドウ902A~Eにおいてフィルタリング処理済みECG信号608の最大値904A~Eを検出することができる。フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、次いで、検出されたフィルタリング処理済みECG最大値904A~Eのうちの1つ以上に基づいて、予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成することができる。例えば、予測フィルタリング処理済みECG最大値は、検出されたフィルタリング処理済みECG最大値904A~Eのうちの1つ以上の平均値、中央値、最小値、又は最大値であってもよい。
【0052】
フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、継続的に、周期的に(例えば、学習状態の間に)、又は前述のものの任意の組合せで、予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成してもよい。フィルタリング処理済みECG信号904は、現在のもの、又は履歴のもの、あるいはフィルタリング処理済みECG信号904の現在と履歴の両方の何らかの組合せであってもよい。
【0053】
上述のR波検出閾値(単一/名目、第一の/推測的、及び第二の/保守的)は、予測フィルタリング処理済みECG最大値に基づいてもよい。例えば、R波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値のパーセンテージであってもよい。第一の又は推測的なR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の第一のパーセンテージであってもよく、第二の又は保守的なR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の第二のパーセンテージであってもよい。第二のパーセンテージは、第一のパーセンテージよりも大きくてもよい。一実施形態では、第一のR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約7%と約30%との間であり、第二のR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の約30%と約60%との間である。本開示の目的のために、用語「約」は、他の数のパーセンテージ又は数の範囲に関して、パーセンテージが2パーセンテージポイントまで変化し得ることを意味する。したがって、前述の文では、第一のR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の5~9%と28~34%との間であってもよい。同様に、第二のR波検出閾値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値の28~32%と58~62%との間であってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、駆動ユニットシステム400は、GUI410を含み、臨床医は、デバイス設定としてR波検出閾値を調整して、カスタマイズし、各患者に対してカウンターパルセーションをより効率的にすることができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、患者に関連する現在又は過去のECG信号の観察に基づいて、所望の設定を選択してもよい。R波検出モジュール402は、デフォルト設定に基づいて、及び/又はGUI410からの入力に基づいて、第一及び第二のR波検出閾値又は単一のR波閾値を生成してもよい。例えば:
(a)PVCが少ない患者(例えば、ECGのR波の5%以下がPVCである場合)及び心房細動の既往がなく、洞調律が正常である患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約15%であり、第二のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約50%であるようにシステム設定を調整することができ、
(b)a-fib又は頻繁なPVC(例えば、ECGのR波の少なくとも20%がPVC)の患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約7%であり、第二のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約60%であるようにシステム設定を調整することができ、
(c)P波又はT波の振幅がR波と同様であり(例えば、1つ以上のP波又はT波の振幅が、5秒等の所定の時間ウィンドウ内でR波の最大振幅の約90%であり)、不整脈がない患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約30%であり、第二のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約60%であるようにシステム設定を調整することができ、
(d)R波振幅の変動が大きい(例えば、5秒等の所定の時間ウィンドウ内でR波の間で最大振幅に50%以上の変化(増加又は減少)がある)患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約10%であり、第二のR波検出閾値が予測フィルタリング処理済みECG最大値の約30%であるようにシステム設定を調整することができる。
【0055】
特定の実施形態では、駆動ユニットシステム400は、ノイズ(例えば、上述のようにR波検出に干渉し得るノイズ)の存在を示すノイズデータを生成するように動作可能なノイズ推定器モジュール412を含む。そのようなノイズの発生源は、胸筋活動及び/又は患者の近傍の電気回路であってもよい。ノイズ推定器モジュール412は、センサ160(例えば、電子サウンドトランスデューサセンサ)からの情報、データ、又は信号に基づいて、ノイズデータを生成してもよい。R波検出モジュール402は、生成されたノイズデータに基づいて、第一の/推測的、第二の/保守的、又は単一/名目のR波検出閾値を調整してもよい。例えば、R波検出モジュール402は、任意のノイズの持続時間にわたって、R波検出閾値のいずれか又は全てを調整(例えば、増加)してもよい。他の実施形態では、R波検出モジュール402は、予測フィルタリング処理済みECG最大値及びノイズデータに基づいて、第一、第二、又は単一のR波検出閾値を生成してもよい。
【0056】
他の実施形態では、ノイズ推定器モジュール412は、フィルタリング処理済みECG信号に基づいてノイズデータを生成することができる。例えば、ノイズ推定器モジュール412は、フィルタリング処理済みECG信号に基づいて、周囲ノイズ値を生成するためにウィンドウ処理技法を採用してもよい。ウィンドウ処理技法は、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408に関して上述したウィンドウ処理技法と同様であってもよい。
【0057】
10Aは、例示的な「ノイズが多い」ECG信号1002のプロット1000を示す。
図10Bは、対応するフィルタリング処理済みECG信号1004のプロット1003を示す。フィルタリング処理済みECG信号1004は、上述のように、フィルタモジュール406を使用して生成されてもよい。
図10Cは、フィルタリング処理済みECG信号1004の第一のセグメント1006の拡大図であり、
図10D及び
図10Eは、フィルタリング処理済みECG信号1004の第二のセグメント1007の拡大図である。
【0058】
図10A~
図10Eを参照すると、ノイズ推定器モジュール412は、複数の下位部分又はウィンドウ1008A~Gを有するフィルタリング処理済みECG信号1002の部分1008を取得することができる。あるいは、ノイズ推定器モジュール412は、部分1008及び関連するウィンドウ1008A~Gを生成してもよい。部分1008は、長さ420msであってもよく、複数のウィンドウ1008A~Gは、それぞれ長さ60msの7つのウィンドウを含んでもよい。部分のサイズならびにウィンドウの数及びサイズは、変動してもよい。いくつかの実施形態では、部分のサイズならびにウィンドウの数及びサイズは、少なくともいくつかのウィンドウがR波と関連するピークを確実に含まないように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、部分のサイズならびにウィンドウの数及びサイズは、ウィンドウの少なくとも半分又はウィンドウの大部分(すなわち、半分超)がR波と関連しないピークを確実に含むように選択されてもよい。例えば、420msのサイズの部分を選択し、各々が60msの長さである7つのウィンドウを使用することによって、200bpmまでの心拍数に対して、3つ以下の下位部分又はウィンドウがR波に関連するピークを含むと想定される。
【0059】
図10Cを参照すると、各ウィンドウ1008A~Dについて、ノイズ推定器モジュール412は、フィルタリング処理済みECG最大値1010A~Gを検出することができる。ノイズ推定器モジュール412は、検出された最大値1010A~Gのうちの1つ以上の関数として周囲ノイズ値を生成してもよい。例えば、周囲ノイズ値は、そのように検出された最大値1010A~Gの平均、中央値、又は最小値であってもよい。
図10Cに示す例では、ノイズ推定器モジュール412は、周囲ノイズ値が7つの検出された最大値1010A~Gの中央値となるように構成されている。この図のデータを使用すると、
図10Cの周囲ノイズ値は、最大値101Dに対応する。
【0060】
ノイズ推定器モジュール412は、継続的に、周期的に(例えば、学習状態の間に)、又は前述のものの任意の組合せで周囲ノイズ値を生成してもよい。周囲ノイズ値を生成するために使用されるフィルタリング処理済みECG信号は、現在又は履歴、あるいは現在及び履歴フィルタリング処理済みECG信号の両方の何らかの組合せであってもよい。
【0061】
フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成するために、フィルタリング処理済みECG信号1004の同じ部分又は別の部分に対してそれ自体のウィンドウ処理技法を実行することができる。例えば、フィルタリング処理済みECG信号1004のセグメント1007の拡大プロットを示す
図10Dに関して、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、部分1008及びウィンドウ1008A~1008Bに基づいて、予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成してもよい。一実施形態では、部分1008の長さは3秒であり、各ウィンドウ1008A~Bの長さは1.5秒である。予測フィルタリング処理済みECG最大値は、ウィンドウ1008A~B内の最大値のうちの1つ以上に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、予測フィルタリング処理済みECG最大値は、検出された最大値の平均、最小値、又は最大値であってもよい。
図10Dに示す例では、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408は、予測フィルタリング処理済みECG最大値が検出された最大値の最小値であるように構成される。この図のデータを使用すると、
図10Cの予測フィルタリング処理済みECG最大値は、検出された最大値1114Bに対応する。
【0062】
いくつかの実施形態では、R波検出モジュール402は、予測フィルタリング処理済みECG最大値及び周囲ノイズ値1012に基づいて、1つ以上のR波検出閾値を生成することができる。いくつかの実施形態では、周囲ノイズ値は、バイアスとして働く。いくつかの実施形態では、R波検出閾値は、(1)周囲ノイズ値と、(2)予測フィルタリング処理済みECG最大値1016と周囲ノイズ閾値1012との間の加重差の積との合計であってもよい。式形式において、R波検出閾値は、式1.0のように設定され、式中、「RDTV」はR波検出閾値であり、「ANV」は周囲ノイズ値であり、「n」は重み付け係数であり、「PMV」は予測フィルタリング処理済みECG最大値である。
RDTV=ANV+{n・(PMV-ANV)}(式1.0)
【0063】
重み付け係数(すなわち、式1.0における「n」)は、単一/名目R波検出閾値を使用してR波を検出する実施形態では、約40%であってもよい。あるいは、デュアルR波検出閾値を使用する実施形態では、第一の/推測的R波検出閾値に対する重み付け係数は、約7~30%の間であってもよく、第二の/保守的R波検出閾値に対する重み付け係数は、約30~60%の間であってもよい。
【0064】
駆動ユニットシステム400がGUI410を含む実施形態では、臨床医は、R波検出閾値をデバイス設定として調整して、カスタマイズし、各患者に対してカウンターパルセーションをより効率的にすることができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、患者に関連する現在又は過去のECG信号の観察に基づいて所望の設定を選択してもよい。R波検出モジュール402は、デフォルト設定に基づいて、及び/又はGUI410からの入力に基づいて、第一及び第二のR波検出閾値又は単一のR波閾値を生成してもよい。例えば:
(a)PVCが少ない患者(例えば、ECGのR波の5%以下がPVCである場合)及び心房細動の既往がなく、洞調律が正常である患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値に対する重み付け係数が約15%であり、第二のR波検出閾値に対する重み付け係数が約50%であるようにシステム設定を調整してもよく、
(b)a-fib又は頻繁なPVC(例えば、ECGのR波の少なくとも20%がPVC)の患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値に対する重み付け係数が約7%であり、第二のR波検出閾値に対する重み付け係数が約60%であるようにシステム設定を調整してもよく、
(c)P波又はT波の振幅がR波と同様であり(例えば、1つ以上のP波又はT波の振幅が、5秒等の所定の時間ウィンドウ内でR波の最大振幅の約90%であり)、不整脈がない患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値に対する重み付け係数が約30%であり、第二のR波検出閾値に対する重み付け係数が約60%であるように、システム設定を調整してもよく、
(d)R波振幅の変動が大きい(例えば、5秒等の所定の時間ウィンドウ内でR波の間で最大振幅に50%以上の変化(増加又は減少)がある)患者の場合、臨床医は、第一のR波検出閾値に対する重み付け係数が約10%であり、第二のR波検出閾値に対する重み付け係数が約30%であるようにシステム設定を調整してもよい。
【0065】
図10Eは、例示的な周囲ノイズ値1012(
図10Cで決定される)、予測フィルタリング処理済みECG最大値1016(
図10Dで決定される)、ならびに例示的な第一、単一及び第二のR波検出閾値1018、1020、及び1022それぞれに対するフィルタリング処理済みECG信号1004の拡大セグメント1007を示す。単一のR波検出閾値1020は40%の重み付け係数に基づき、第一のR波検出閾値1018は7%の重み付け係数に基づき、第二のR波検出閾値1022は60%の重み付け係数に基づく。
【0066】
(収縮トリガ)
上述のように、バルーンの収縮は、収縮トリガに基づいてもよい。収縮トリガは、単一/名目検出(例えば、単一のR波検出閾値がある実施形態において)、あるいは推測的検出(例えば、デュアルR波検出閾値がある実施形態において)のいずれかに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、収縮トリガは、単一検出又は推測的検出である。他の実施形態では、収縮トリガは、(1)単一検出又は推測的検出(実施形態に基づく)、及び(2)予測R-R時間間隔の満了のうちの最初に発生したものである。予測R-R時間間隔は、R波が「予想される」又は「検出されると予測される」時間を表してもよい。単一のR波検出閾値がある実施形態では、予測R-R時間間隔は、最後の(例えば、最も直前の)単一/名目検出、例えば、検出710から測定されてもよい。2つのR波検出閾値がある実施形態では、予測R-R時間間隔は、最後の(例えば、最も直前の)保守的検出、例えば、保守的検出714から測定されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、駆動ユニットシステム400は、(例えば、フィルタモジュール406からの)フィルタリング処理済みECG信号に基づいて予測R-R時間間隔を生成するR-R間隔モジュール414を含む。例えば、
図8Bを参照すると、予測R-R時間間隔は、単一/名目検出814A~Dの間の時間又は保守的検出816A~Dの間の時間に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、予測R-R時間間隔は、複数のそのような過去の検出の間の時間の平均又は中央値である。
【0068】
他の実施形態では、R-R間隔モジュール414は、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408と同様に動作する(又は同じモジュールの一部である)が、各フィルタリング処理済みECG最大値904A~Eの時間を検出することに関連する機能を追加する。予測R-R時間間隔は、そのような検出された時間の関数であってもよい。例えば、予測R-R時間間隔は、そのような検出された時間の平均又は中央値であってもよい。
【0069】
収縮トリガが、(1)検出(単一/名目又は保守的)、及び(2)予測R-R時間間隔の満了のうちの最初に発生したものである実施形態において、後者の構成要素は、技術がR波を見逃した場合に、バルーンポンプ110を確実に収縮させる。
【0070】
(膨張)
駆動ユニット404は、単一/名目検出(例えば、検出710又は検出814A~Dのいずれか)に基づいて、又は保守的検出(例えば、検出714又は検出816A~Dのいずれか)に基づいて、バルーンポンプ110を膨張させてもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニット404は、適用可能な検出の時間及び予測QS2タイミング間隔に基づいて、バルーンポンプ110を膨張させる。
図3に示すように、QS2タイミング間隔330は、Q波206の開始からS2心音326までの時間間隔である。予測QS2タイミング間隔は、実際のQSタイミング間隔330に近似してもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニット404は、検出(例えば、単一検出又は保守的検出)+予測QS2時間間隔に等しい、又はほぼ等しい時間にバルーンポンプ110を膨張させる。
【0071】
いくつかの実施形態では、予測QS2タイミング間隔は、科学的研究に基づいて経験的に得られる。他の実施形態では、予測QS2タイミング間隔は、患者に固有である。例えば、予測QS2時間間隔は、S2心音326及び各そのような検出の時間を検出することができる心音計システム(図示せず)を使用して取得されてもよい。他の実施形態では、
図4を参照すると、駆動ユニットシステム400は、センサ160によって感知された圧力データに基づいて予測QS2タイミング間隔を生成するQS2時間間隔モジュール416を含んでもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニットシステム400は、カウンターパルセーションを休止し、駆動ユニット404は、1つ以上の心周期の間、バルーンポンプ110を部分的に膨張させる。特定の実施形態では、バルーンポンプ110は、その容積の約50%まで膨張させられる。LV収縮期(すなわち、駆出)302の間、バルーンポンプ110は、部分的に膨張したままであり、駆動ユニット404内に位置する圧力センサは、収縮期の間、バルーンポンプ110の圧縮によって引き起こされる圧力の変化を感知する。駆動ユニット404は、QS2時間間隔モジュール416に圧力情報を通信し、QS2時間間隔モジュールは、そのような圧力情報から重拍切痕320を間接的に検出してもよい。1つ以上の重拍切痕320の検出の時間に基づいて、QS2時間間隔モジュール416は、R波208の検出から予測重拍切痕までの時間を表す予測QS2タイミング間隔を生成してもよい。特定の実施形態では、予測QS2タイミング間隔は、1つ以上のR波検出(例えば、R波検出モジュール402によって判定されるような)及び1つ以上の重拍切痕検出(QS2時間間隔モジュール416によって判定されるような)の時間に基づく。例えば、予測QS2タイミング間隔は、1つ以上のR波検出の発生と1つ以上の重拍切痕検出の発生との間の時間差の平均又は中央値であってもよい。
【0072】
図11は、本技術のいくつかの実施形態に従って、
図4の駆動ユニットシステム400を使用するための例示的方法1100を示す。方法1100は、ブロック1102を含んでもよく、そこで、受信されたフィルタリング処理済みECG信号を生成してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタリング処理済みECG信号をフィルタモジュール406によって生成してもよい。いくつかの実施形態では、方法1100は、ブロック1101を含んでもよく、そこで、フィルタリング処理済みECG信号の絶対値を取得する。いくつかの実施形態では、フィルタリング処理済みECG信号の絶対値を、絶対値モジュール510によって取得してもよい。方法1100は、またブロック1103を含んでもよく、そこで、予測R-R時間間隔を生成又は取得する。いくつかの実施形態では、予測R-R時間間隔は、R-R時間間隔モジュール414によって生成又は取得してもよい。方法1100は、またブロック1105を含んでもよく、そこで、予測フィルタリング処理済みECG最大値を生成又は取得する。いくつかの実施形態では、予測フィルタリング処理済みECG最大値を、フィルタリング処理済みECG最大値モジュール408によって生成又は取得する。方法1100は、またブロック1107を含んでもよく、そこで、周囲ノイズ値を生成又は取得する。いくつかの実施形態では、周囲ノイズ値を、ノイズ推定器モジュール412によって生成又は取得する。方法1100は、またブロック1109を含んでもよく、そこで、予測QS2時間間隔を生成又は取得してもよい。いくつかの実施形態では、予測QS2時間間隔を、QS2時間間隔モジュール416によって生成又は取得してもよい。方法1100は、ブロック1111及び1113を含んでもよく、そこで、第一及び第二のR波検出値をそれぞれ生成又は取得する。いくつかの実施形態では、第一及び第二のR波検出値を、R波検出モジュール402によって生成又は取得する。いくつかの実施形態では、第一及び第二のR波検出値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値に基づく。いくつかの実施形態では、第一及び第二のR波検出値は、予測フィルタリング処理済みECG最大値及び周囲ノイズ値に基づく。
【0073】
方法1100は、R波の推測的検出が行われるブロック1104と、R波の保守的検出が行われる1106とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、推測的及び保守的検出は、R波検出モジュール402によって行ってもよい。方法1100は、ブロック1115を含んでもよく、そこで、フィルタリング処理済みECG信号が第一のR波閾値及び/又は第二のR波閾値を超過又は交差するかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、この判定は、R波検出モジュール402によって行ってもよい。
【0074】
方法1110は、ブロック1108を含んでもよく、そこで、収縮トリガに基づいてバルーンポンプ110を収縮させてもよい。いくつかの実施形態では、収縮は、駆動ユニット404によって引き起こされる。方法1110は、ブロック1107を含んでもよく、そこで、収縮は、推測的検出及び予測R-T時間間隔の満了のうち最初に発生したものに基づく。いくつかの実施形態では、そのような収縮は、駆動ユニット404によって引き起こされる。
【0075】
最後に、方法1100は、ブロック1110を含んでもよく、そこで、保守的検出に基づいてバルーンポンプ110を膨張させてもよい。いくつかの実施形態では、膨張は、駆動ユニット404によって引き起こされる。方法1100は、ブロック1119を含んでもよく、そこで、保守的検出及び予測QS2タイミング間隔に基づいてバルーンポンプ110を膨張させる。いくつかの実施形態では、そのような膨張は、駆動ユニット404によって引き起こされる。
【0076】
図12は、本技術のいくつかの実施形態に従って、駆動ユニットシステム400の例示的な状態
図1200を示す。状態
図1200は、3つの状態、すなわち、初期化状態1202、学習状態1204及び検出状態1206を含んでもよい。初期化状態1202の間、ECG信号及びセンサデータを初期化して、受信してもよい。学習状態1204は、方法ブロック1102、1101、1103、1105、1107、1109、1111及び1113に関連付けられてもよい。検出状態1206は、方法ブロック1104、1106、1115、1108、1117、1110、及び1119に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、検出状態1206は、全ての方法ブロック(例えば、パラメータ及び値が連続的に更新され得る場合)に関連付けられてもよい。
【0077】
本明細書に説明される技術及び技法は、カウンターパルセーションデバイスを含むが、それに限定されない、CADによって使用するためのR波の効率的かつ効果的な検出を提供する。デュアルR波検出閾値を採用すると、本技術は、R波の見逃し(それによって、バルーンポンプ110が過度に長く膨張したままになる可能性を低減)と誤検出(それによって、バルーンポンプ110があまりにも早く膨張し、収縮期の排出が妨げられる可能性を低減)の両方を最小限に抑える。前述の技術について、特にカウンターパルセーションデバイスを参照して説明してきたが、この技術を、コパルセーションモダリティ又はカウンターパルセーションモダリティで動作する他のCADに容易に適用してもよい。例えば、上記では、拡張期の間のIABPの膨張及び収縮期の間のIABPの収縮について言及したが、当業者なら、IABPの膨張が大動脈血圧を上昇させ、収縮が大動脈血圧を低下させることを容易に理解するであろう。したがって、前述の技術は、心臓と同期して大動脈血圧を上昇又は低下させるように動作するコパルセーション及びカウンターパルセーションモダリティで動作するCADを含む、任意の様式のCADに適用されてもよい。例えば、前述の技術は、コパルセーション及びモダリティで動作するVADを使用して、大動脈血圧をいつ上昇させるべきか(すなわち、収縮期中)、及び大動脈血圧をいつ低下させるべきか(すなわち、拡張期中)を決定してもよい。
【0078】
本明細書で使用する際、「モジュール」とは、回路、集積回路、ハードウェアプロセッサ、処理デバイス、トランジスタ、非一時的メモリ、ストレージデバイス、非一時的コンピュータ可読媒体、組合せ論理回路、あるいは所望の動作又は機能を提供することができる上記の任意の組合せの任意の単一又は集合を意味することがある。例えば、「モジュール」は、1つ以上の非一時的メモリ、ストレージデバイス、又は非一時的コンピュータ可読媒体からの命令を実行するハードウェアプロセッサの形態をとっても、あるいは専用集積回路の形態をとってもよい。「非一時的メモリ」、「非一時的コンピュータ可読媒体」、及び「ストレージデバイス」とは、任意の適切な内部又は外部の非一時的、揮発性又は不揮発性のメモリデバイス、メモリチップ、又はシステムメモリ、フレームバッファメモリ、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、レジスタ、ラッチ等であるがこれらに限定されないストレージデバイス又はチップ、あるいは上記のいずれかの組合せを意味することがある。「ハードウェアプロセッサ」とは、1つ以上の専用又は非専用のハードウェアマイクロプロセッサ、ハードウェアマイクロコントローラ、ハードウェアシーケンサ、ハードウェアマイクロシーケンサ、デジタル信号ハードウェアプロセッサ、ハードウェア処理エンジン、ハードウェアアクセラレータ、特定用途向け回路(ASIC)、ハードウェア状態機械、プログラマブル論理アレイ、データ又は情報を処理することができる任意の集積回路、ディスクリート回路等、又はそれらの任意の適切な組合せを意味することがある。「処理デバイス」とは、情報(例えば、バイナリデータの形態の情報、又は任意の適切なメディア信号によって運ばれる/表される情報等)を処理する(例えば、様々な動作を実行する)ことができる任意の数の物理的デバイスを意味することがある。例えば、処理デバイスは、実行可能命令を実行することが可能なハードウェアプロセッサ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、サーバ(例えば、ファイルサーバ、ウェブサーバ、プログラムサーバ、又は任意の他のサーバ)、任意の他のコンピュータ等、あるいは上記の任意の組合せであってもよい。処理デバイスの例は、特定のタスクを実行するようにプログラム又は構成されたトランジスタを備える1つ以上の集積回路を含むデバイスであってもよい。「実行可能命令」とは、ソフトウェア、ファームウェア、プログラム、命令を意味することも、あるいは好適なハードウェアプロセッサによって処理されることが可能な任意の他の好適な命令もしくはコマンドを意味することもある。
【0079】
例示的な実施形態について、本明細書で説明してきたが、その範囲は、本開示に基づいて当業者によって理解されるような同等の要素、修正、省略、組合せ(例えば、種々の実施形態にわたる態様の組合せ)、適合及び/又は変更を有する、ありとあらゆる実施形態を含む。例えば、例示的なシステムに示された構成要素の数及び向きを修正してもよい。
【0080】
当業者なら、
図11に示される方法が様々な方式で変更され得ることを理解するであろう。例えば、行為の順序を並べ替えてもよく、いくつかの行為を並行して実行してもよく、図示された行為を省略してもよく、あるいは他の行為を含んでもよく、図示された行為をサブ行為に分割しても、複数の図示された行為を単一の行為等に組み合わせてもよい。
【0081】
当業者なら、上述の機能を様々な方法で容易に適合又は拡張できることを理解するであろう。前述の説明は、特定の実施形態を参照することによってなされたが、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそこに列挙される要素によってのみ定義される。
【外国語明細書】