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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013288
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】案内機構体付きデュアルポッド
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20250117BHJP
   B65D 85/38 20060101ALI20250117BHJP
   G03F 1/66 20120101ALI20250117BHJP
【FI】
H01L21/68 U
B65D85/38
G03F1/66
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111853
(22)【出願日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】63/525,991
(32)【優先日】2023-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】薛 新民
(72)【発明者】
【氏名】陳 品丞
【テーマコード(参考)】
2H195
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BE12
3E096AA01
3E096BA30
3E096BB03
3E096CA02
3E096CB02
3E096DA03
3E096DA17
3E096DA23
3E096DA25
3E096DB06
3E096DC02
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096EA06Y
3E096EA07Y
3E096FA09
3E096GA03
3E096GA11
3E096GA13
5F131AA10
5F131AA12
5F131BA13
5F131CA12
5F131DA05
5F131DA09
5F131GA12
5F131GA24
5F131GA32
5F131GA52
5F131GA68
5F131GA69
5F131GA83
5F131GA87
5F131GA99
(57)【要約】
【課題】EUVリソグラフィープロセスにおいて、レチクル移送デュアルポッドの閉鎖時、内側ポッドのベースに対する蓋の運動を抑制し、汚染粒子の発生を減少させる。
【解決手段】本発明は、内側ポッド(40)および外側ポッド(30)を含むデュアルポッド(3)を提供する。内側ポッドは、内側ポッドの相対的外側に設けられた少なくとも1つの係合部分(すなわちハンドル(411)に設けられた切欠き)を有する。外側ポッドは、内側ポッドを受け入れる収容空間を画定する。外側ポッドは、外側ポッドの相対的内側に設けられた少なくとも1つの案内機構体(313)を有し、案内機構体は、外側ポッド内における内側ポッドのオフセット運動が制限されるよう係合部分によって案内されてこの係合部分のところに拘束される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルポッドであって、
内側ポッドを含み、前記内側ポッドの相対的外側には、少なくとも1つの係合部分が設けられ、
前記内側ポッドを受け入れる収容空間を画定する外側ポッドを含み、前記外側ポッドの相対的内側には、少なくとも1つの案内機構体が設けられ、前記案内機構体は、前記外側ポッド内における前記内側ポッドのオフセット運動が制限されるよう前記係合部分によって案内されて前記係合部分のところに拘束されるようになっている、デュアルポッド。
【請求項2】
前記案内機構体は、案内部分および前記案内部分に結合された連結部分を含み、前記連結部分は、前記外側ポッドの内側に連結され、前記案内部分は、前記外側ポッドの前記内側から離れている状態で前記内側ポッドの前記係合部分に当接する、請求項1記載のデュアルポッド。
【請求項3】
前記案内部分は、可撓性であり、前記係合部分は、切欠きであり、前記案内部分は、対応関係をなして、前記切欠きに加わる力に従って変形し、そしてそれに応じて、前記切欠きによって案内されて前記切欠きのところに拘束される、請求項2記載のデュアルポッド。
【請求項4】
前記案内部分と前記外側ポッドの前記内側との間には、ストローク距離を備えた隙間が設けられ、前記隙間は、前記案内部分が前記内側ポッドの前記係合部分に可撓的に当接するようにするための許容差としての役目を果たす、請求項2記載のデュアルポッド。
【請求項5】
前記案内部分は、対をなす第1の案内リブと第2の案内リブからなり、前記第1の案内リブと第2の案内リブは、前記案内リブが差し込まれる前記切欠きの開き度が変化するにつれて一致して弾性的に変形し、その結果、前記第1の案内リブと第2の案内リブは、前記切欠きの中に嵌め込まれて拘束されるようになっている、請求項3記載のデュアルポッド。
【請求項6】
前記切欠きは、切欠きエッジ幅を有し、前記案内部分の幅は、前記切欠きエッジ幅よりも小さい、請求項3記載のデュアルポッド。
【請求項7】
前記内側ポッドは、互いに接合されていて、レチクルを受け入れる収容空間を画定するベースと蓋を有し、
前記外側ポッドは、互いに接合されていて、前記収容空間を画定するドアとハウジングを有し、
前記内側ポッドが外力によって軸線に対してオフセットして偏向するのを阻止するよう前記蓋の垂直方向が前記案内機構体によって拘束されるとともに、前記蓋の水平方向が前記案内機構体によって拘束される、請求項1記載のデュアルポッド。
【請求項8】
前記蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、前記係合部分は、前記フランジの外側に設けられ、前記案内機構体は、位置が前記フランジに一致し、前記案内機構体は、前記係合部分によって案内されて前記係合部分のところに拘束される、請求項7記載のデュアルポッド。
【請求項9】
前記蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、前記係合部分は、前記フランジの外側に設けられ、前記案内機構体は、前記フランジに当接する傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記フランジの垂直方向および少なくとも水平方向が前記傾斜面によって拘束されるよう前記ハウジングの頂部分から前記ハウジングの内壁に向かって延びている、請求項7記載のデュアルポッド。
【請求項10】
前記傾斜面と前記前記蓋の上面は、0.01°から89.9°までの範囲にある夾角をなす、請求項9記載のデュアルポッド。
【請求項11】
前記蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、前記係合部分は、前記フランジの外側に設けられ、前記案内機構体は、前記フランジに当接する傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記ドアの内側頂部分から上方に突き出るよう形成され、その結果、前記フランジの垂直方向および少なくとも水平方向は、前記傾斜面によって拘束されるようになっている、請求項7記載のデュアルポッド。
【請求項12】
前記蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、前記係合部分は、前記フランジの外側に設けられ、前記案内機構体は、平行に配置された少なくとも2つの案内リブを有し、前記2つの案内リブは、前記ドアの内側頂部分から上方に突き出るよう形成され、前記2つの案内リブは、前記拘束を達成するよう前記係合部分の内側に弾力的に当接する、請求項7記載のデュアルポッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチクル移送ポッド、特にデュアルポッド、より具体的には内側ポッド用の案内機構体付きデュアルポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の極端紫外線(EUV)リソグラフィープロセスでは、レチクルがEUVレチクル移送ポッド(EUV POD)によって保護される必要がある。図1に示す模式図を参照すると、EUVレチクル移送ポッドは、外側ポッド(30)および内側ポッド(40)を含むデュアルポッド(1)である。レチクルは、内側ポッド(20)内に受け入れられ、内側ポッド(20)は、外側ポッド(40)内に受け入れられる。外側ポッド(10)は、主要構成要素として、ハウジング(11)およびドア(12)を有し、これらは、収容空間を画定するよう互いに接合される。内側ポッド(20)は、主要構成要素として、蓋(21)およびベース(22)を有し、これらは、収容空間を画定するよう互いに接合される。
【0003】
デュアルポッド(1)がいったん閉鎖されると、ドア(12)の上方に向いた表面に設けられているキネマチック結合要素(121)が内側ポッド(20)のベース(22)に接合されてこのベースを拘束し、その結果、ベース(22)の水平運動(すなわち、図2のX軸、Y軸およびC軸に沿う運動)が制限されるようになっている。ハウジング(11)の内側に設けられた多数の押圧部品(111)が内側ポッド(20)の蓋(21)の上面に圧接して下向きの圧力を加え、その結果、内側ポッド(20)の蓋(21)とベース(22)が嵌まり合って蓋(21)の垂直運動(すなわち、図2のZ軸、A軸およびB軸に沿う運動)を制限し、さらに、内側ポッド(20)を保持する目的を達成する。
【0004】
しかしながら、押圧部品(111)は、Z軸に一方向の下向きの圧力のみを与えるが、水平運動(すなわち、図2の細線によって指示されたX軸、Y軸およびC軸に沿う運動)に対して内側ポッド(20)の蓋(21)を拘束することができない。したがって、デュアルポッド(1)が移送中に外力を受けると、内側ポッド(20)の蓋(21)は、この蓋(21)とベース(22)との接触領域が互いに擦れて粒子を生じさせ、それにより汚染の恐れを招くような仕方でベース(22)に対する水平運動、例えば、X軸またはY軸方向の運動あるいはC軸回りの偏向を生じさせる。
【0005】
図3では、蓋(21)とベース(22)が嵌まり合うと、蓋(21)の片面に設けられた拘束部材(211)が例えばY軸に沿う蓋(21)とベース(22)の水平運動を0.2mm~0.4mmに制限することができるが、この程度の運動では、粒子の発生を阻止することができないままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かくして、関連業界に関し、デュアルポッドを閉鎖するとき、ベースに対する内側ポッドの蓋の運動を抑制する解決策が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一目的は、デュアルポッドであって、デュアルポッドが内側ポッドを含み、内側ポッドの相対的外側には、少なくとも1つの係合部分が設けられ、デュアルポッドが内側ポッドを受け入れる収容空間を画定する外側ポッドをさらに含み、外側ポッドの相対的内側には、少なくとも1つの案内機構体が設けられ、案内機構体は、外側ポッド内における内側ポッドのオフセット運動が制限されるよう係合部分によって案内されて係合部分のところに拘束されるようになっていることを特徴とするデュアルポッドを提供することにある。
【0008】
特定の実施形態では、案内機構体は、案内部分および案内部分に結合された連結部分を含む。連結部分は、外側ポッドの内側に連結され、案内部分は、外側ポッドの内側から離れている状態で内側ポッドの係合部分に当接する。
【0009】
特定の実施形態では、案内部分は、可撓性である。係合部分は、切欠きであり、案内部分は、対応関係をなして、切欠きに加わる力に従って変形し、そしてそれに応じて、切欠きによって案内されて切欠きのところに拘束される。
【0010】
特定の実施形態では、案内部分と外側ポッドの内側との間には、ストローク距離を備えた隙間が設けられる。隙間は、案内部分が内側ポッドの係合部分に可撓的に当接するようにするための許容差としての役目を果たす。
【0011】
特定の実施形態では、案内部分は、対をなす第1の案内リブと第2の案内リブを含む。第1の案内リブと第2の案内リブは、案内リブが差し込まれる切欠きの開き度が変化するにつれて一致して弾性的に変形し、その結果、第1の案内リブと第2の案内リブは、切欠き内に嵌め込まれて拘束されるようになっている。
【0012】
特定の実施形態では、切欠きは、切欠きエッジ幅を有し、案内部分の幅は、切欠きエッジ幅よりも小さい。
【0013】
特定の実施形態では、内側ポッドは、互いに接合されていて、レチクルを受け入れる収容空間を画定するベースと蓋を有し、外側ポッドは、互いに接合されていて、収容空間を画定するドアとハウジングを有する。内側ポッドが外力によって軸線に対してオフセットして偏向するのを阻止するよう蓋の垂直方向が案内機構体によって拘束されるとともに、蓋の水平方向が案内機構体によって拘束される。
【0014】
特定の実施形態では、蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、係合部分は、フランジの外側に設けられ、案内機構体は、位置がフランジに一致し、案内機構体は、係合部分によって案内されて係合部分のところに拘束される。
【0015】
特定の実施形態では、蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、係合部分は、フランジの外側に設けられ、案内機構体は、フランジに当接する傾斜面を有し、傾斜面は、フランジの垂直方向および少なくとも水平方向が傾斜面によって拘束されるようハウジングの頂部分からハウジングの内壁に向かって延びている。
【0016】
特定の実施形態では、傾斜面と蓋の上面は、0.01°から89.9°までの範囲にある夾角をなす。
【0017】
特定の実施形態では、蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、係合部分は、フランジの外側に設けられ、案内機構体は、フランジに当接する傾斜面を有し、傾斜面は、フランジの垂直方向および少なくとも水平方向が傾斜面によって拘束されるようドアの内側頂部分から上方に突き出ている。
【0018】
特定の実施形態では、蓋の2つの互いに反対側の面の各々には、フランジが設けられ、係合部分は、フランジの外側に設けられ、案内機構体は、平行に配置された少なくとも2つの案内リブを有し、2つの案内リブは、ドアの内側頂部分から上方に突き出るよう形成され、2つの案内リブは、拘束を達成するよう係合部分の内側に弾力的に当接する。
【0019】
本発明を良好に理解するため、以下において図面および本文説明を参照する。非限定的かつ非網羅的な実施形態について以下、図面を参照して説明する。注目されるべきこととして、図中の部品は、必ずしもこれらの実際のサイズに合わせて描かれているわけではなく、構造および原理の説明に焦点を当てるよう記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来型デュアルポッドの模式図である。
図2】従来型蓋の6本の運動軸線を示す図である。
図3】従来型蓋がベースと嵌合したときの部分的な構造を示す図である。
図4】本発明のデュアルポッドの平面図である。
図5図4のA-A線矢視断面構造図である。
図6】本発明の蓋の6本の運動軸線を示す図である。
図7】本発明のデュアルポッドのもう1つの部分断面構造図である。
図8】本発明の蓋の部分的構造を示す図である。
図9図5の部分拡大図である。
図10図4のB-B線矢視断面構造図である。
図11】切欠きに対する第1の案内リブと第2の案内リブの関係を示すもう1つの部分拡大図である。
図12A】第1の案内リブおよび第2の案内リブの切欠き接触状態を示す略図である。
図12B】第1の案内リブおよび第2の案内リブの切欠き接触状態を示す略図である。
図13】本発明の別の実施形態としてのデュアルポッドの略図である。
図14】本発明の別の実施形態としてのデュアルポッドの略図である。
図15】本発明の別の実施形態としてのデュアルポッドの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をより良く説明するため、以下の添付の図面を参照して特定の実施例および実施形態を説明する。しかしながら、本願の要旨は、種々の互いに異なる形態で具体的に実施でき、本願の要旨の及ぶ構成またはかかる要旨によって提供される構成は、本願の説明と明細書に開示される任意の例示の特定の実施形態には限定されず、例示の特定の実施形態は、説明上のものに過ぎないことが理解されるべきである。同様に、本発明は、適用されまたは有効範囲とされる要旨の妥当なかつ広い範囲を提供することを目的とする。さらに、添付の図面および本発明の実施例は、縮尺通りには描かれておらず、実際の相対的寸法に一致するようにはなっていない。
【0022】
一貫性および良好な理解を達成する目的で、これら例示の添付図面には同一の特徴が記号および参照番号で示されている(ただし、幾つかの実施例ではそのように表示されてはいない)。しかしながら、互いに異なる実施形態における特徴は、他の観点では異なっている場合があり、かかる特徴は、添付の図面に示された特徴に狭く限定されるべきではない。本明細書および添付の図面中の例えば「第1」や「第2」という用語は、互いに異なる物体を区別するために用いられているのであって、任意特定の順序を記載しているものと解されるべきではない。
【0023】
図4は、本発明のデュアルポッド(3)の平面図である。図5は、図4のA-A線矢視断面構造図であり、線A-Aは、X軸に沿うデュアルポッド(3)の中心線である。デュアルポッド(3)は、外側ポッド(30)および内側ポッド(40)を含む。外側ポッド(30)は、主要構成要素として、ハウジング(31)およびドア(32)を有し、これら2つは、内側ポッド(40)を受け入れる空間を画定するよう互いに接合されている。ハウジング(31)は、基本構成要素として、天井またはシーリング(311)およびシーリング(311)から下方に延びる壁(312)を有する。ハウジング(31)およびドア(32)の各々は、多くの要素を含む。例えば、ハウジング31は、外側に設けられた1対のハンドルを有し、ドア(32)は、作動可能なラッチ組立体を有し、このラッチ組立体の細部は、本願では省かれている。ハウジング(31)およびドア(32)の要素は、成形可能な材料を特定の構造に形成するよう成形によって形成されるのがよい。
【0024】
内側ポッド(40)は、主要構成要素として、蓋(41)およびベース(42)を有し、これら2つは、レチクル(図面では省かれている)、例えばEUVレチクルを受け入れる空間を画定するよう互いに接合されている。蓋(41)およびベース(42)の各々は、多数の要素を有する。例えば、蓋(41)の頂部分にはガス交換手段および濾過手段ならびにハウジング(31)の内側と嵌合関係をなすことができる多数の接触部分が設けられ、ベース(42)の内側には、レチクルを支持してこれを拘束する多数の支持部材が設けられている。
【0025】
内側ポッド(40)を外側ポッド(30)内に収容するため、まず最初に、内側ポッド(40)をドア(32)の内側に設けられた多数の支持部材(33)、例えば一般的に知られているキネマチック結合ピン上に配置し、そしてドア(32)を覆うようハウジング(31)を配置する。この場合、ハウジング(31)の内側に設けられたホールドダウン機構体が内側ポッド(40)の蓋(41)の対応の接触部分に当接し、その結果、内側ポッド(40)のZ軸、B軸およびX軸が図6に示すように拘束されるようになっている。
【0026】
図4のA-A線に沿って取ったデュアルポッド(3)の断面構造を示す図5を参照すると、本発明のハウジング(31)の内側には1対の案内機構体(313)が設けられている。案内機構体(313)は、ハウジング(31)がドア(32)を覆うと、内側ポッド(40)の蓋(41)のフランジ(すなわち、ハンドル411)に当接してハウジング(31)とドア(32)との間の蓋(41)の水平運動および回転運動を制限し、より具体的には、例えば、図6に示すX軸およびY軸回りの運動および回転を制限するよう構成されている。本発明では、フランジへの案内機構体(313)の当接位置が定められることはない。例えば、かかる位置は、機構体の要件に応じて調節でき、案内機構体(313)は、図13のハンドル(411)の中央部または2つの端部に当接することができる。案内機構体(313)は、実質的に、シーリング(311)と内壁(312)の合体箇所のところに配置され、この案内機構体は、ハウジング(31)から内側に向かって突き出る。より具体的に説明すると、案内機構体(313)の一部分は、ハウジング(31)のシーリング(311)に連結され、案内機構体(313)のもう1つの部分は、ハウジング(31)の内壁(312)に連結される。
【0027】
この実施形態では、1対の案内機構体(313)は、線A-Aに対応したハウジング(31)の内側に設けられている。他の考えられる実施形態では、案内機構体(313)は、シーリング(311)または内壁(312)に設けられる。案内機構体(313)とハウジング(31)は、それぞれ、互いに異なる材料で作られ、案内機構体(313)は、弾性または可撓性の高い比較的軟質で柔軟性のある材料で作られるのがよく、案内機構体(313)を形成する材料は、プラスチック、ゴム、シリコーン、金属またはこれらの組み合わせであり、したがって、その結果、案内機構体(313)は、外力を受けて変形することができるようになっている。案内機構体(313)は、成形によってハウジング(31)との一体品として形成できまたは埋め込み射出成形法によってハウジング(31)と不均質に接合できる。
【0028】
さらに、案内機構体(313)は、ハウジング(31)がドア(32)を覆うと、特に内側ポッド(40)の蓋(41)上に形成されている係合部分(以下において説明する)と係合するよう構成されている。係合部分と案内機構体(313)の嵌まり合いにより、カバー(41)が受けた外力によって受けた際に水平に動きまたは回転することがよりいっそう生じにくくなっている。
【0029】
図6は、内側ポッド(40)に特に蓋(41)に対する方向上の拘束状態を示している。図2(従来構成例では、Z軸、A軸およびB軸だけが制限される)と比較すると、図6における6本の軸線の全てついて作用効果が得られる。1対の案内機構体(313)は、図2には示されていない拘束、すなわち図2のX軸、Y軸およびC軸を補完し、その結果、蓋(41)のほぼあらゆる方向が拘束され、それゆえ蓋(41)がベース(42)に対して摺動するのを効果的に阻止するようになっている。かかる構造設計に起因して、案内機構体(313)は、Z軸方向にさえ制限を提供することができる。
【0030】
図7は、本発明のデュアルポッド(3)のもう1つの部分断面構造を示している。図8は、蓋(41)の部分構造を示している。図9は、図5の部分拡大図を示している。本発明の内側ポッド(40)の蓋(41)は、1対の係合部分を有するよう構成されている。具体的に説明すると、図5に示すように、カバー(41)の2つの反対側の側部には1対のハンドル(411)が設けられ、ハンドル(411)は、これら2つの反対側の側部から外方に延びている。ハンドル(411)は、本機械の蓋開放手段と嵌合関係をなすよう設計されている。図13の蓋(41)の平面図は、1対のハンドル(411)をさらに示し、これらハンドル(411)の各々は、2つの端部を有する。この実施形態では、係合部分は、図8に示すように、ハンドル(411)に形成された切欠き(412)である。切欠き(412)は、漸変幅(開き度)を有し、その最大幅は、切欠きエッジ幅(W)である。図8に示すように、ハンドル(411)のエッジ(413)およびもう1つのエッジ(413)は、形成された切欠き(412)に起因して不連続であるように見える。他の実施形態では、切欠き(412)の部分は、ハンドル(411)の中央位置には制限されない。
【0031】
図7に示すように、この実施形態では、案内機構体(313)は、第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)を含み、この案内機構体は、切欠き(412)に係合することによって蓋(41)のハンドル(411)に当接する。第1の案内リブ(313A)と第2の案内リブ(313B)は、相互に対称な構造体である。第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)は、切欠き(412)と嵌合関係をなすよう形作られており、その結果、第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)は、切欠き(412)のエッジに同時に当接することができるようになっている。さらに、第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)は、これらが入れられる切欠き(412)の幅(開き度)が変化するにつれて一致して弾性的に変形し、その結果、第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)は、切欠き(412)の中に嵌り込んで拘束されるようになっている。
【0032】
図9を参照すると第1の案内リブ(313A)は、傾斜面(51)を有し、傾斜面(51)は、実質的に、シーリング(311)から内壁(312)に向かって延びている。第1の案内リブ(313A)が切欠き(412)のエッジと接触状態にあるとき、第1の案内リブ(313A)は、-Z方向(+Z方向とは逆の方向)および-Y方向(+Y方向とは逆の方向)に力を及ぼし、それにより蓋(41)をベース(42)の中心に向かって動かす。蓋(41)の傾斜面(51)と上面は、0.01°から89.9°までの範囲にわたる夾角をなす。同様に、図9は、第2の案内リブ(313B)を記載していないが、第2の案内リブ(313B)もまた、第1の案内リブ(313A)の傾斜面と一致した傾斜面(51)を有する。図9は、案内機構体(313)の第1の案内リブ(313A)が案内部分(61)および連結部分(62)を有している状態をさらに示している。案内部分(61)は、歯状構造体であり、連結部分(62)は、ハウジング(31)の内側への連結のためのものである。案内部分(61)は、切欠き(412)に当接したときに力を受け取り、それに対応して、弾性的に変形し、それにより案内部分(61)を切欠き(412)によって案内し、そしてこの切欠きのところに拘束することができる。好ましくは、案内部分(61)の機械的厚さは、弾性および可撓性という性質を示すよう小さく、連結部分(62)の機械的厚さは、良好な機械的強度を得るよう大きい。案内部分(61)と内壁(312)との間には隙間(52)が形成され、その結果、案内部分(61)と外側ポッド(30)の内側(すなわち、内壁312)との間にはストローク距離(すなわち、許容差)が得られるようになっており、それゆえ案内部分(61)が変形すると、水平方向にバッファが得られるようになっている。例えば、案内部分(61)が蓋(41)を拘束するために+Y方向に向かって動くと、隙間(52)は、許容差を提供する。他の考えられる実施形態では、隙間(52)はまた、同一の機能を達成するための他の材料または機構体で満たされてもよい。
【0033】
図10は、図4のB-B線に沿って取った断面構造を示すとともに、図10は、1対の案内機構体(313)のうちの一方とハンドル(411)との関係を明示している。図11は、もう1つの部分拡大図であり、この図11は、切欠き(412)に対する第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)の関係を明示している。図12Aおよび図12Bは、第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)と切欠き(412)の接触状態の略図を示している。切欠き(412)との第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)の嵌合が行われない場合、第1の案内リブ(313A)と第2の案内リブ(313B)との間には第1の案内幅(W′)が生じ、第1の案内幅(W′)は、切欠きエッジ幅(W)よりも小さい。切欠き(412)と第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)の嵌合が行われると、第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)は、切欠き(412)の一端に向かって動き、第1の案内リブ(313A)と第2の案内リブ(313B)は、第1の案内幅(W′)よりも小さい第2の案内幅(W″)を生じさせるよう互いに近接状態になる。第1の案内幅(W′)と第2の案内幅(W″)は、主として、2つの案内部分(61)相互間の関係であり、連結部分(62)は基本的には、比較的不十分な弾性または可撓性を示し、かかる連結部分は、2つの案内部分相互間の幅を容易には変えることができない。第1の案内リブ(313A)および第2の案内リブ(313B)が切欠き(412)から離れると、第1の案内リブ(313A)と第2の案内リブ(313B)は、互いに近接した状態から所定の状態に戻り、すなわち、2つの案内部分(61)相互間には、第1の案内幅(W′)が生じる。
【0034】
図13図14および図15は、本発明のもう1つの実施形態としてのデュアルポッドを示しており、この実施形態のハウジングは、外されて図示されていない。上述の実施形態との相違点は、この実施形態の1対の案内機構体(313′)がドア(32)の内側頂部分または上方に向いた表面に設けられ、そして上方に突き出るよう構成されており、その結果、内側ポッド(40)がドア(32)上に配置されると案内機構体(313′)が内側ポッド(40)の蓋(41)のフランジに当接し、それによりC軸方向における蓋(41)の回転を制限するようになっていることにある。
【0035】
この実施例では、案内機構体(313′)は、同様に、傾斜面(51′)を有し、傾斜面(51′)は、蓋(41)のフランジ構造体、すなわちハンドル(411)に容易に接触するようドア(32)の内側頂部分または上方に向いた表面から上方に延びている。蓋(41)のエッジが傾斜面(51′)にいったん接触すると、傾斜面(51′)によって提供される力は、蓋(41)を-Z方向(+Z方向とは逆の方向)、Y軸方向およびC軸方向に制限する。この場合、蓋(41)の+Z方向は、依然として、ハウジング(31)のホールドダウン機構体によって制限できる。同様に、ハンドル(411)は、案内機構体(313′)と嵌まり合う係合部分、例えば上述の切欠き(412)を有すよう形成されるのがよい。案内機構体(313′)の案内部分、すなわち端部分は、第1の案内リブ(313A′)および第2の案内リブ(313B′)を有するのがよく、これら案内リブは、図11および図12を参照して上述したような切欠き(412)との相互作用関係を有する。案内機構体(313′)の全体的構造および形状は、第1の案内ルブ(313A′)とハウジング(31)の内側との間に、かつ第2の案内リブ(313B′)とハウジング(31)の内側との間には隙間が同様に保たれるように適当に構成されるのがよく、この場合、隙間は、バッファ空間としての役目を果たす。
【0036】
結論として、本発明は、少なくとも、内側に設けられた1対の案内機構体を有する外側ポッドを含むデュアルポッドを提供し、案内機構体の設計は、特に、内側ポッドの蓋の片面またはフランジ構造体に当接するためのものである。かくして、外側ポッドの収容または移送中、蓋の水平運動(すなわち、X軸およびY軸に沿う)および回転運動(すなわち、C軸回り)は、さらに抑制でき、それゆえ、蓋と内側ポッドのベースとの間の摩擦、それゆえ汚染粒子の発生を減少させるのに役立つ。
【0037】
しかしながら、理解されるべきこととして、本発明の特定の実施形態は、例示目的のためであり、種々の改造は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲および精神から逸脱することなく、実施できる。さらに、かかる改造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれる。したがって、本開示の明細書に提供されている特定の実施形態は、本発明を限定するものと解されるべきではなく、本発明の本質的な範囲および精神は、添付の特許請求の範囲に開示されている。
【符号の説明】
【0038】
1,3 デュアルポッド
10,30 外側ポッド
20,40 内側ポッド
31 ハウジング
32 ドア
33 支持部材
42 ベース
51 傾斜面
52 隙間
311 シーリング(天井)
312 壁
313 案内機構体
411 ハンドル
412 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15