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特開2025-13303携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法
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  • 特開-携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013303
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 17/00 20060101AFI20250117BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20250117BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20250117BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H01Q17/00
H05K9/00 M
H05K9/00 W
H01Q7/00
H01P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024112585
(22)【出願日】2024-07-12
(31)【優先権主張番号】202310857473 .2
(32)【優先日】2023-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524266700
【氏名又は名称】蘇州▲ブォ▼韜新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】劉 忠慶
(72)【発明者】
【氏名】許 兆選
【テーマコード(参考)】
5E321
5J020
【Fターム(参考)】
5E321BB32
5E321BB53
5E321BB60
5E321GG11
5E321GH10
5J020EA02
5J020EA04
5J020EA07
5J020EA09
(57)【要約】
【課題】 携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 前記携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体と、電磁波吸収材層と、金属底板とを備え、前記金属底板上に電磁波吸収材層が設けられ、前記電磁波吸収材層上にNFCアンテナ本体が設けられ、前記電磁波吸収材層は電磁波吸収材からなるフィルム又はシートであり、前記電磁波吸収材は電磁波吸収粉末及び高分子エラストマーを含み、前記電磁波吸収粉末は二次元シート状構造であり、高分子エラストマー内に平らに敷き詰められ、前記電磁波吸収粉末、高分子エラストマーの質量比は10~20:1~5である。本発明の携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法は、NFCアンテナ本体と金属底板との間に電磁波吸収材層を設け、電磁波吸収材層は厚さが薄く、軽量、強力な磁気シールド性能を備え、NFCアンテナに対する金属の干渉を効果的に遮蔽し、NFCアンテナの信号品質を保証できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話用NFCアンテナであって、NFCアンテナ本体(1)と、電磁波吸収材層(2)と、金属底板(3)とを備え、前記金属底板(3)上に前記電磁波吸収材層(2)が設けられ、前記電磁波吸収材層(2)上に前記NFCアンテナ本体(1)が設けられ、前記電磁波吸収材層(2)は電磁波吸収材からなるフィルム又はシートであり、前記電磁波吸収材は電磁波吸収粉末及び高分子エラストマーを含み、前記電磁波吸収粉末は軟磁性合金又は軟磁性複合材料で、且つ二次元シート状構造であり、前記高分子エラストマー内に平らに敷き詰められ、前記電磁波吸収粉末、前記高分子エラストマーの質量比は10~20:1~5であり、前記軟磁性複合材料は、内側から外側に軟磁性合金、Al層、アモルファスカーボン層を含む二次元シート状多層構造であることを特徴とする、携帯電話用NFCアンテナ。
【請求項2】
前記電磁波吸収粉末の粉末厚さが、0.5~1.5μmで、粒子径D50範囲が30~100μmであることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話用NFCアンテナ。
【請求項3】
前記軟磁性合金は、鉄・ケイ素・アルミニウム軟磁性合金、鉄・ケイ素軟磁性合金、鉄・ニッケル軟磁性合金、鉄・ニッケル・モリブデン軟磁性合金、鉄・アルミニウム軟磁性合金、鉄・ケイ素・アルミニウム・ニッケル軟磁性合金、鉄クロム軟磁性合金、鉄・コバルト軟磁性合金のうちから少なくとも1つが選択されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話用NFCアンテナ。
【請求項4】
前記NFCアンテナ本体(1)のアンテナコイルのインダクタンス値は、1.6~2.0μHであることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話用NFCアンテナ。
【請求項5】
前記電磁波吸収材は、二次元シート状構造の前記電磁波吸収粉末を積層し、平らに敷き詰めてからなり、前記電磁波吸収粉末間に前記高分子エラストマーを介在して遮断することで、前記電磁波吸収粉末の導通が形成されないことを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話用NFCアンテナ。
【請求項6】
前記高分子エラストマーは、ポリウレタン、アクリル酸、有機ケイ素、エポキシ樹脂のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話用NFCアンテナ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法であって、
かさ密度0.2~0.7g/cm、タップ密度0.6~2.0g/cmの電磁波吸収粉末、高分子エラストマーを均一に混合して原料混合物を得る原料調合工程S1と、
前記原料混合物を攪拌機内に添加し、次に溶媒、助剤成分を加え、前記溶媒と前記原料混合物と前記助剤成分の質量比40~80:10~50:0.5~2により混合し、均一になるまで十分に撹拌し、粘度1500~2000mPa・sのスラリーを製造するスラリー撹拌工程S2と、
前記スラリーを保護フィルム上に塗布し、スクレーパーで前記保護フィルム表面に均一に広げ、前記塗布の温度を50~120℃、速度を0.5~4m/分に設定し、乾燥後、乾燥フィルムを得るスラリー塗布工程S3と、
乾燥後の前記乾燥フィルムをラミネータに入れ、温度を150~180℃で、圧力を10~20Mpaに設定し、緻密にして電磁波吸収材を形成する乾燥フィルムラミネート工程S4と、
ラミネートされた前記電磁波吸収材を設計要件に従い切断して、必要なサイズ及び形状を得る型抜き工程S5と
を含むことを特徴とする、携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法。
【請求項8】
前記S2における前記溶媒は、メチルイソプロピルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、DMFのいずれかであることと、前記助剤成分は分散剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項7に記載の携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法。
【請求項9】
前記電磁波吸収粉末は、軟磁性複合材料であり、その調製方法は、
ギ酸アンモニウム溶液、軟磁性合金粉末、硫酸アルミニウムを混合し、10~3分間超音波分散させて混合溶液を得、前記混合溶液を75~85℃の水浴で加熱させ、その温度で保持し1~2時間撹拌しながら反応させ、エタノールで複数回洗浄して磁気分離した後、40~50℃のオーブンで1~3日間乾燥させ、その後350~450℃で2時間アニールし、Al層で被覆された軟磁性合金粉末を得る工程S1と、
前記Al層で被覆された前記軟磁性合金粉末を石英ボートに平らに敷き詰め、次にCVD回転管状炉内に入れ、ガス流量50~100mL/分のアルゴン保護雰囲気下で、3~6℃/分で400℃まで昇温した後、20~30mL/分の流速でアセチレンガスを導入して0.5~1時間反応させ、反応終了後、アセチレンガスを止めて25℃までゆっくり冷却し、取り出して前記軟磁性複合材料を得る工程S2と
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナの技術分野に関し、特に、携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話用NFCアンテナは、近距離無線通信技術(NFC)を用いて他の機器との通信を実現する受動アンテナである。NFCアンテナは、一般的に導体コイルと磁気シールド材とからなるコイルアンテナを用いる。携帯電話用NFCアンテナは通常、NFCアンテナ本体と、金属底板とを備え、金属は無線電波を反射及び吸収し、金属底板はNFC信号に干渉するため、信号の品質が低下していた。したがって従来技術では、携帯電話用NFCアンテナに磁気シールド材を組み合わせて金属干渉を抑制する。
【0003】
従来技術では、磁気シールド材の多くは、フェライト(金属酸化物)又はアモルファス、ナノ結晶(軟磁性合金)を用いる。特許文献1では、アンテナ組立体はFPC基板と、導線と、フェライトシートとを備え、使用する際には、まず導線をFPC基板の上端のエッチングされた溝内に入れ、次にフェライトシートをFPC基板の上端に置き、最後にフェライトシートを熱圧着して、製品の製造を完了する小型NFCアンテナが開示されている。特許文献2では、PCB基板と、金属底板と、軟磁性層と、NFCアンテナ本体とを備え、前記PCB基板上に前記金属底板が設けられ、前記金属底板上に前記軟磁性層が設けられ、前記軟磁性層上に前記NFCアンテナ本体が設けられるNFCアンテナ及びタグが開示されている。
【0004】
現在、携帯電話機のNFCアンテナ用の磁気シールド材としてフェライト(金属酸化物)を用いる場合の問題点は、フェライト(金属酸化物)が比較的重く、携帯電話機の重量と体積を増加させることである。製造方法は、焼結方法を用いており、温度は1100℃以上であり、歩留まりが低く、フェライトの型抜きには屑が含まれているため、上下にフィルムで覆うこと及び縁取りが必要であり、コストが比較的高くなる。
【0005】
現在、携帯電話用NFCアンテナ用の磁気シールド材としてアモルファス、ナノ結晶(軟磁性合金)を用いる場合の問題点は、典型的な磁気損失吸収材料である軟磁性合金は、高い飽和磁化、良好な温度安定性、及び低コストなどの利点を持っているが、複素誘電率が大きく、インピーダンスマッチングが悪いため、5G通信の電磁波吸収材の性能要件を満たすことが難しいことであった。
【0006】
これ故に、本発明の目的は、厚さが薄く、軽量、強力な磁気シールド性能を備え、NFCアンテナに対する金属の干渉を効果的に遮蔽し、NFCアンテナの信号品質を保証でき、携帯電話NFCアンテナ用の新たな電波吸収材を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特願第CN202320076225.X号公報
【特許文献2】中国特願第CN202221616567.8号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の欠点を克服するため、本発明の目的は、NFCアンテナ本体と金属底板との間に厚さが薄く、軽量、強力な磁気シールド性能を備え、NFCアンテナに対する金属の干渉を効果的に遮蔽し、NFCアンテナの信号品質を保証できる電磁波吸収材層を設け、電磁波吸収粉末を平らに敷き詰める方法で高分子エラストマーと混合することで、均一な粒度分布を形成し、さまざまな形状の電磁波吸収材に加工しやすく、高い透磁率及び良好なインピーダンス整合性、電磁波吸収の安定性及び高い信頼性を実現する携帯電話用NFCアンテナ及びその電磁波吸収材の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、以下の技術的手段により達成される。
【0010】
携帯電話用NFCアンテナであって、NFCアンテナ本体と、電磁波吸収材層と、金属底板とを備え、前記金属底板上に電磁波吸収材層が設けられ、前記電磁波吸収材層上にNFCアンテナ本体が設けられ、前記電磁波吸収材層は電磁波吸収材からなるフィルム又はシートであり、前記電磁波吸収材は電磁波吸収粉末及び高分子エラストマーを含み、前記電磁波吸収粉末は軟磁性合金又は軟磁性複合材料で、且つ二次元シート状構造であり、高分子エラストマー内に平らに敷き詰められ、前記電磁波吸収粉末、高分子エラストマーの質量比は10~20:1~5である。
【0011】
現在、「磁気シールド材」の多くは、フェライト(金属酸化物)又はアモルファス、ナノ結晶(軟磁性合金)を用いるが、本発明で用いられる電磁波吸収材は高分子エラストマーに平らに敷き詰められた二次元シート状構造の電磁波吸収粉末であり、電磁波吸収粉末は高い飽和磁気誘導強度と低い保磁力を備えており、電磁干渉と磁場干渉を効果的に隔離でき、電磁波吸収材層の磁気シールド性能を向上させることができる。フェライトに比べると、前記電磁波吸収材は比重が小さいため、アンテナ構造全体の重量を大幅に軽減し、機器全体の重量比を増大することができる。アモルファス、ナノ結晶に比べると、本発明は、電磁波吸収粉末を平らに敷き詰める方法で高分子エラストマーと混合することで、均一な粒度分布を形成し、さまざまな形状の電磁波吸収材に加工しやすく、高分子エラストマーは電磁波吸収材内において充填剤と結合剤の作用を働かせ、電磁波吸収粉末を電磁波吸収材内に均一に分散させて、磁気シールド効果を向上させることができる以外に、電磁波吸収粉末を高分子エラストマーと緊密に結合させ、電磁波吸収材の力学的強度と安定性を上げることもできる。
【0012】
また、上記携帯電話用NFCアンテナにおいて、前記電磁波吸収粉末の粉末厚さが、0.5~1.5μmで、粒子径D50範囲が30~100μmである。
【0013】
また、上記携帯電話用NFCアンテナにおいて、前記軟磁性合金は、鉄・ケイ素・アルミニウム軟磁性合金、鉄・ケイ素軟磁性合金、鉄・ニッケル軟磁性合金、鉄・ニッケル・モリブデン軟磁性合金、鉄・アルミニウム軟磁性合金、鉄・ケイ素・アルミニウム・ニッケル軟磁性合金、鉄クロム軟磁性合金、鉄・コバルト軟磁性合金のうちから少なくとも1つが選択される。
【0014】
好ましくは、前記軟磁性合金は、センダスト合金としても知られる鉄・ケイ素・アルミニウム軟磁性合金であり、主成分はFe9.6‐Si5.4‐Alである。
【0015】
また、上記携帯電話用NFCアンテナにおいて、前記軟磁性複合材料は、内側から外側に軟磁性合金、Al層、アモルファスカーボン層を含む二次元シート状多層構造である。
【0016】
前記軟磁性複合材料は、二次元シート状多層構造を用いており、軟磁性合金とアモルファスカーボン層との間にAl層が設けられ、軟磁性複合材料の表面でのカーボンナノ材料の生成を防ぐだけではなく、多重散乱、反射メカニズムを導入して、マイクロ波吸収特性を向上させると同時に、この多層構造はバリア保護の作用を働かせ、軟磁性複合材料の耐食性を向上させることもできる。
【0017】
また、上記携帯電話用NFCアンテナにおいて、前記NFCアンテナ本体のアンテナコイルのインダクタンス値は、1.6~2.0μHである。
【0018】
NFCアンテナ本体のアンテナコイルのインダクタンス値を1.6~2.0μHに設けることにより、キャパシタンスのマッチングがより実現しやすくなる。
【0019】
好ましくは、前記金属底板は、アルミ、銅、ステンレス鋼材料を含むが、これらに限定されない。
【0020】
また、上記携帯電話用NFCアンテナにおいて、前記電磁波吸収材は、二次元シート状構造の電磁波吸収粉末を積層し、平らに敷き詰めてなり、前記電磁波吸収粉末間に高分子エラストマーを介在して遮断することで、電磁波吸収粉末の導通が形成されない。
【0021】
業界の通信周波数は、13.56MHzであり、前記電磁波吸収材の構造設計により、13.56MHzの周波数に適したものとなり、電磁波吸収粉末が導通すると合金フレークが形成され、13.56MHzでの透磁率が非常に低くなり、1MHzでは 50%以下に減衰する。
【0022】
また、上記携帯電話用NFCアンテナにおいて、前記高分子エラストマーは、ポリウレタン、アクリル酸、有機ケイ素、エポキシ樹脂のうちの少なくとも1つである。
【0023】
好ましくは、前記高分子エラストマーは、ポリウレタンである。
【0024】
本発明は、次の工程S1~S5を含む、前記携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法にも関し、
S1原料調合:かさ密度0.2~0.7g/cm、タップ密度0.6~2.0g/cmの電磁波吸収粉末、高分子エラストマーを均一に混合して原料混合物を得る工程、
S2スラリー撹拌:前記原料混合物を攪拌機内に添加し、次に溶媒、助剤成分を加え、溶媒と原料混合物と助剤成分の質量比40~80:10~50:0.5~2により混合し、均一になるまで十分に撹拌し、粘度1500~2000mPa・sのスラリーを製造する工程、
S3スラリー塗布:前記スラリーを保護フィルム上に塗布し、スクレーパーで保護フィルム表面に均一に広げ、前記塗布の温度を50~120℃、速度を0.5~4m/分に設定し、乾燥後、乾燥フィルムを得る工程、
S4乾燥フィルムラミネート:乾燥後の乾燥フィルムをラミネータに入れ、温度を150~180℃で、圧力を10~20Mpaに設定し、緻密にして電磁波吸収材を形成する工程、及び
S5型抜き:ラミネートされた電磁波吸収材を設計要件に従い切断して、必要なサイズ及び形状を得る工程。
【0025】
従来技術において、金属干渉を防ぐために携帯電話用NFCアンテナに用いられるフェライト(金属酸化物)の調製方法は、焼結方法を用いており、温度は1100℃以上であり、歩留まりが低く、フェライトの型抜きには屑が含まれているため、上下にフィルムで覆うこと及び縁取りが必要である。
【0026】
本発明の前記携帯電話用NFCアンテナ的電磁波吸収材の調製方法は、コストがより低く,特に透磁率150、厚さ0.08mmの電磁波吸収材の場合、コストを20%削減できる。
【0027】
上記調製方法で製造される電磁波吸収材は、柔軟な製品であり、フェライト等に比べて多様な形状の設計が可能であり、屑が落ちず、縁取り及び両面被覆の必要がなく、工程とコストを削減できる。上記電磁波吸収材の調製方法は、簡単で、大規模に調製することができ、電磁波吸収材の分野において幅広い応用シナリオを有する。
【0028】
なお、従来の圧延、流延等の製造方法に比べ、電磁波吸収材の粒子と高分子エラストマーとの間の相容性により、それらの内部に一定の欠陥及び隙間が存在する可能性があり、本発明はホットプレス成形の乾燥フィルムラミネート方法を用い、均一な粒度分布の電磁波吸収材を形成するのに役立つ。
【0029】
好ましくは、前記保護フィルムは、PETフィルムである。
【0030】
上記電磁波吸収材の調製方法は、簡単で、大規模に調製することができ、幅広い応用シナリオを有する。
【0031】
また、上記携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法において、前記S2における前記溶媒は、メチルイソプロピルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、DMFのいずれかであることと、前記助剤成分は分散剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤のうちの少なくとも1つである。
【0032】
好ましくは、前記溶媒は、メチルイソプロピルケトンであり、前記助剤成分としては、分散剤BYK‐110、消泡剤BYK‐141、レベリング剤BYK‐330、SDBSが挙げられる。メチルイソプロピルケトンは、高分子エラストマー及び助剤を効果的に溶解し、均一に分散させることができ、助剤は高分子エラストマーと電磁波吸収粉末との接触を促進し、スラリーの相容性を向上し、粘度及び流動性を調整し、スラリー塗工性を向上させ、且つスラリーの安定性を高めることができる。
【0033】
また、上記携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法において、前記電磁波吸収粉末は、軟磁性複合材料であり、その調製方法は次の工程S1~S2を含み、
S1:ギ酸アンモニウム溶液、軟磁性合金粉末、硫酸アルミニウムを混合し、10~3分間超音波分散させて混合溶液を得、前記混合溶液を75~85℃の水浴で加熱させ、その温度で保持し1~2時間撹拌しながら反応させ、エタノールで複数回洗浄して磁気分離した後、40~50℃のオーブンで1~3日間乾燥させ、その後350~450℃で2時間アニールし、Al層で被覆された軟磁性合金粉末を得る工程、及び
S2:Al層で被覆された軟磁性合金粉末を石英ボートに平らに敷き詰め、次にCVD回転管状炉内に入れ、ガス流量50~100mL/分のアルゴン保護雰囲気下で、3~6℃/分で400℃まで昇温した後、20~30mL/分の流速でアセチレンガスを導入して0.5~1時間反応させ、反応終了後、アセチレンガスを止めて25℃までゆっくり冷却し、取り出して軟磁性複合材料を得る工程。
【0034】
まずゾルゲル法により軟磁性合金粉末の表面にAl層を被覆し、次にCCDV法により軟磁性合金の表面にアモルファスカーボン層を導入し、高抵抗のアモルファスカーボン層は磁性金属の誘電率を低減し、吸収材料と自由空間との間で良好なインピーダンス整合を実現し、マイクロ波吸収特性と耐食性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0035】
従来技術に比べると、本発明は以下の有利な効果を有し、
(1) 本発明により開示される携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体と金属底板との間に電磁波吸収材層を設け、電磁波吸収材層は厚さが薄く、軽量、強力な磁気シールド性能を備え、NFCアンテナに対する金属の干渉を効果的に遮蔽し、NFCアンテナの信号品質を保証でき、
(2) 本発明により開示される携帯電話用NFCアンテナは、電磁波吸収粉末を平らに敷き詰める方法で高分子エラストマーと混合することで、均一な粒度分布を形成し、さまざまな形状の電磁波吸収材に加工しやすく、高分子エラストマーは電磁波吸収材内において充填剤と結合剤の作用を働かせ、電磁波吸収粉末を電磁波吸収材内に均一に分散させて、磁気シールド効果を向上させることができる以外に、電磁波吸収粉末を高分子エラストマーと緊密に結合させ、電磁波吸収材の力学的強度と安定性を上げることもでき、高い透磁率及び良好なインピーダンス整合性、電磁波吸収の安定性及び高い信頼性を実現し、
(3) 本発明により開示される携帯電話用NFCアンテナの軟磁性複合材料は、二次元シート状多層構造を用いており、軟磁性合金とアモルファスカーボン層との間にAl層が設けられ、軟磁性複合材料の表面でのカーボンナノ材料の生成を防ぐだけではなく、多重散乱、反射メカニズムを導入して、マイクロ波吸収特性を向上させると同時に、この多層構造は遮蔽保護の作用を働かせ、軟磁性複合材料の耐食性を向上させることもでき、
(4) 本発明により開示される携帯電話用NFCアンテナの電磁波吸収材の調製方法は、フェライトよりも低コストであり、上記調製方法で製造される電磁波吸収材は、柔軟な製品であり、多様な形状の設計が可能であり、屑が落ちず、縁取り及び両面被覆の必要がなく、工程とコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る携帯電話用NFCアンテナの概略構成図である。
図2】本発明に係る携帯電話用NFCアンテナの軟磁性複合材料の断面図である。
図3】本発明の実施例1に係る電磁波吸収材の断面SEM像である。
図4】本発明の実施例2に係る電磁波吸収材の断面SEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施例1、実施例2、比較例1、実施例3、実施例4及び具体的試験データ、図1図4を参照しつつ本発明の実施例中の技術的手段を明確かつ詳細に説明するが、説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例でないことは言うまでもない。本発明中の実施例に基づいて、当業者は創造性の活動をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0038】
以下の実施例1、実施例2は、電磁波吸収材を提供したものであり、実施例1、実施例2で用いられた原料はいずれも工業で一般的に使用される市販の原材料である。
【0039】
(実施例1)
実施例1の電磁波吸収材は、軟磁性合金及び高分子エラストマーを含み、軟磁性合金にはセンダスト合金を、高分子エラストマーにはポリウレタンを用い、調整方法は次の工程を有し、
S1原料調合:センダスト合金粉末、ポリウレタンを均一に混合して、センダスト合金粉末とポリウレタンの質量比が85:15の原料混合物を得る工程、
S2スラリー撹拌:前記原料混合物を攪拌機に添加し、次にメチルイソプロピルケトン、分散剤BYK‐110、消泡剤BYK‐141、レベリング剤BYK‐330、SDBSを加え、原料混合物、メチルイソプロピルケトン、分散剤BYK‐110、消泡剤BYK‐141、レベリング剤BYK‐330、SDBSの質量比100:150:1:0.8:0.5:0.3:0.3により混合し、均一になるまで十分に撹拌し、スラリーを製造する工程、
S3スラリー塗布:前記スラリーを保護フィルム上に塗布し、スクレーパーで保護フィルム表面に均一に広げ、前記塗布の温度を100℃、速度を1m/分に設定し、乾燥後、乾燥フィルムを得る工程、
S4乾燥フィルムラミネート:乾燥後の乾燥フィルムをラミネータに入れ、温度を160℃で、圧力を15Mpaに設定し、緻密にして電磁波吸収材を形成する工程、及び
S5型抜き:ラミネートされた電磁波吸収材を設計要件に従い切断して、必要なサイズ及び形状を得る工程。
【0040】
(実施例2)
実施例2の電磁波吸収材は、軟磁性複合材料及び高分子エラストマーを含み、高分子エラストマーにはポリウレタンを用い、調整方法は次の工程を有し、
S1軟磁性複合材料の調製:1Lあたりの脱イオン水溶液に12.612gのギ酸アンモニウム粉末を加え、分散後にギ酸溶液を加えてpHを4.4に調整して、ギ酸アンモニウム溶液を得、ギ酸アンモニウム溶液、軟磁性合金粉末、硫酸アルミニウムを質量比506:6:3で混合し、15分間超音波分散して混合溶液を得、この混合溶液を水浴で75℃に加熱し、その温度で保持し1.5時間撹拌しながら反応させ、エタノールで複数回洗浄して磁気分離した後、45℃のオーブンで23日間乾燥させ、その後380℃で2時間アニールし、Al層で被覆された軟磁性合金粉末を得、Al層で被覆された軟磁性合金粉末を石英ボートに平らに敷き詰め、次にCVD回転管状炉内に入れ、ガス流量50~100mL/分のアルゴン保護雰囲気下で、5℃/分で400℃まで昇温した後、25mL/分の流速でアセチレンガスを導入して1時間反応させ、アモルファスカーボン層を生成し、反応終了後、アセチレンガスを止めて25℃までゆっくり冷却し、取り出して軟磁性複合材料を得る工程。図2に示すように、軟磁性複合材料は、内側から外側に軟磁性合金a、Al層b、アモルファスカーボン層cを含み、
S2原料調合:軟磁性複合材料、ポリウレタンを均一に混合して、軟磁性複合材料とポリウレタンの質量比が88:12の原料混合物を得る工程、
S3スラリー撹拌:前記原料混合物を攪拌機に添加し、次にメチルイソプロピルケトン、分散剤BYK‐110、消泡剤BYK‐141、レベリング剤BYK‐330、SDBSを加え、原料混合物、メチルイソプロピルケトン、分散剤BYK‐110、消泡剤BYK‐141、レベリング剤BYK‐330、SDBSの質量比100:145:0.8:0.8:0.6:0.4:0.3により混合し、均一になるまで十分に撹拌し、スラリーを製造する工程、
S4スラリー塗布:前記スラリーを保護フィルム上に塗布し、スクレーパーで保護フィルム表面に均一に広げ、前記塗布の温度を105℃、速度を1m/分に設定する工程、
S5乾燥フィルムラミネート:乾燥後の乾燥フィルムをラミネータに入れ、温度を165℃で、圧力を15Mpaに設定し、急速に乾燥させて電磁波吸収材を形成する工程、及び
S6型抜き:ラミネートされた電磁波吸収材を設計要件に従い切断して、必要なサイズ及び形状を得る工程。
【0041】
電磁波吸収特性の測定:実施例1のセンダスト合金、実施例2の軟磁性複合材料の電磁パラメータを測定し、測定機器はベクトルアナライザであり、測定の周波数帯域は0.5~18GHzであった。
【0042】
測定の際、実施例1のセンダスト合金、実施例2の軟磁性複合材料を同軸リングにして測定し、すなわち、パラフィンと実施例1のセンダスト合金、実施例2の軟磁性複合材料を質量比1:1で均一になるまで充分混合し、厚さ2.5mm程度、内径3.0mm程度、外径7.0mm程度の同軸リングを作製した。
【0043】
電磁波吸収特性の測定結果:一般的に言えば、RL<‐10dBの場合、該材料は有効な電磁波吸収帯域幅を有すると考えられる。0.5~18.0GHzの周波数範囲において、実施例1のセンダスト合金のRL値は0.2GHz未満の帯域幅で、‐10dB未満であり、これは実施例1のセンダスト合金が実用化に大きな限界があることを示している。実施例2の軟磁性複合材料は、6.8GHzでの場合、‐23.9dBのRLminを有し、有効な電磁波吸収帯域幅は3.4GHzに達することができた。
【0044】
上述の電磁波吸収特性の測定結果は、まずAlをゾルゲル法で被覆し、次にアモルファスカーボン層をCCDV法で被覆して合成した軟磁性複合材料の二次元シート状多層構造は、二次元シート状単層構造の実施例1のセンダスト合金と比較して、最小マイクロ波損失値RLmin及び有効帯域幅などが明らかに向上し、電磁波吸収粉末の電磁波吸収特性が大幅に向上したことを示している。
【0045】
SEM特性評価:実施例1、実施例2の電磁波吸収材についてSEM特性評価を実施する。図3図4から、実施例1、実施例2の電磁波吸収材は、いずれも二次元シート状構造の電磁波吸収粉末を積層し、平らに敷き詰めてなり、前記電磁波吸収粉末間に高分子エラストマーを介在して遮断することで、電磁波吸収粉末の導通が形成されないことが分かる。実施例1、実施例2の電磁波吸収材中の電磁波吸収粉末の表面は、滑らかで、形状は不規則で薄片状であり、ゾルゲル法とCCVD法で被覆された軟磁性複合材料の包み込み効果が良好で、基本的な形状の安定性を維持させることができることを示している。
【0046】
透磁率、インダクタンス値の測定:GB/T32596を参照して、実施例1、実施例2の電磁波吸収材について透磁率、インダクタンス値の測定を実施し、厚さはそれぞれ0.1mm或いは0.08mmであり、測定結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から、厚さが0.08mm程度の場合、実施例1、実施例2の透磁率は、それぞれ221.4、220.5、インダクタンス値はそれぞれ368μH、353μHであり、厚さが0.1mm程度の場合、実施例1、実施例2の透磁率はそれぞれ151.2、150.7、インダクタンス値はそれぞれ365μH、352μHであることが分かる。
【0049】
耐食性の測定:電気化学腐食分析法を用いて電気化学的腐食パラメータを計算し、測位装置は電気化学ワークステーションであり、測定プロセスはいずれも3電極システムを使用し、参照電極は塩化銀電極で、補助電極は白金電極で、銅箔上にサンプル1~4を設置して作用電極を作製し、測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2から、実施例1の電磁波吸収材は、電磁波吸収粉末としてセンダスト合金を用い、その自然腐食電位Ecorrはそれぞれ‐0.31V、‐0.33Vで、腐食電流密度icorrはそれぞれ5.12×10‐6A/cm、5.12×10‐6A/cmで、分極抵抗Rpはそれぞれ1.75×10Ω/cm、1.97×10Ω/cmで、腐食速度CRはそれぞれ1.87×10‐12m/s、2.03×10‐12m/sであることが分かる。実施例2の電磁波吸収材は、電磁波吸収粉末としてAl層、アモルファスカーボン層で被覆されたセンダスト合金を用い、その自然腐食電位Ecorrは‐0.05V、‐0.04Vに増加し、腐食電流密度icorrは1.12×10‐6A/cm、1.08×10‐6A/cmに低下し、分極抵抗Rpは9.74×10Ω/cm、19.82×10Ω/cmに増加し、腐食速度CRは2.98×10‐13m/s、3.01×10‐13m/sに低下し、実施例2の電磁波吸収材はより優れた耐食性を有し、様々な環境においてより優れた寿命を有することができることを示している。
【0052】
以下の比較例1、実施例3、実施例4、実施例4、実施例5は、携帯電話用NFCアンテナを提供したものである。比較例1、実施例3、実施例4、実施例4、実施例5で用いた材料は、工業で一般的に使用されている市販の原材料であった。
【0053】
(比較例1)
比較例1の携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体1と、金属底板3とを備え、NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値は1.7μH、センシング距離は3.67mmであり、金属底板3は厚さ0.05mmのアルミ箔材(電池外装材の模擬)を用い、NFCアンテナ本体1と金属底板3とを組み立てることにより、比較例1の携帯電話用NFCアンテナを得た。
【0054】
(実施例3)
図1に示すように、実施例3の携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体1と、電磁波吸収材層2と、金属底板3とを備え、NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値は1.7μH、センシング距離は3.67mmであり、電磁波吸収材層2は実施例1の電磁波吸収材で作られ、厚さは0.08mm程度であり、金属底板3は厚さ0.05mmのアルミ箔材を用い、NFCアンテナ本体1、電磁波吸収材層2、金属底板3を順に組み立てることにより、実施例3の携帯電話用NFCアンテナを得た。
【0055】
(実施例4)
図1に示すように、実施例4の携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体1と、電磁波吸収材層2と、金属底板3とを備え、NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値は1.7μH、センシング距離は3.67mmであり、電磁波吸収材層2は実施例1の電磁波吸収材で作られ、厚さは0.1mm程度であり、金属底板3は厚さ0.05mmのアルミ箔材を用い、NFCアンテナ本体1、電磁波吸収材層2、金属底板3を順に組み立てることにより、実施例4の携帯電話用NFCアンテナを得た。
【0056】
(実施例5)
図1に示すように、実施例5の携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体1と、電磁波吸収材層2と、金属底板3とを備え、NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値は1.7μH、センシング距離は3.67mmであり、電磁波吸収材層2は実施例2の電磁波吸収材で作られ、厚さは0.08mm程度であり、金属底板3は厚さ0.05mmのアルミ箔材を用い、NFCアンテナ本体1、電磁波吸収材層2、金属底板3を順に組み立てることにより、実施例5の携帯電話用NFCアンテナを得た。
【0057】
(実施例6)
図1に示すように、実施例6の携帯電話用NFCアンテナは、NFCアンテナ本体1と、電磁波吸収材層2と、金属底板3とを備え、NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値は1.7μH、センシング距離は3.67mmであり、電磁波吸収材層2は実施例2の電磁波吸収材で作られ、厚さは0.1mm程度であり、金属底板3は厚さ0.05mmのアルミ箔材を用い、NFCアンテナ本体1、電磁波吸収材層2、金属底板3を順に組み立てることにより、実施例6の携帯電話用NFCアンテナを得た。
【0058】
アンテナテスト:ISO/IEC14443を参照し、デジタルブリッジはLCR100kHzを用い、テスト結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値は、1.7μH、センシング距離は3.67mmであり、表3から分かるように、NFCアンテナ本体1と金属底板3を組み立て(比較例1)、金属が無線電波を反射及び吸収するため、金属底板3はNFC信号に干渉し、インダクタンス値は1.58μHに低下し、センシング距離は1.01mmに低下した。
【0061】
NFCアンテナ本体1と金属底板3との間に電磁波吸収材層2を設け(実施例3~5)、実施例3~5はいずれもNFCアンテナ本体1に対する金属底板3の干渉を効果的に隔離することで、NFCアンテナ本体1の信号品質を向上させることができる。実施例2の電磁波吸収材を用いた実施例5、実施例6のインダクタンス値は、それぞれ1.71μH、1.73μHであり、NFCアンテナ本体1のコイルインダクタンス値に近く、センシング距離はそれぞれ3.56mm、3.52mmであり、NFCアンテナ本体1のセンシング距離に近いことは、実施例5、実施例6の方がNFCアンテナ本体1と金属底板3との整合性が良く、より優れた磁気シールド、電磁波吸収効果を有することを示している。
【0062】
本発明の具体的な用途は非常に多く、上記は本発明の好ましい実施形態にすぎない。上記の実施例は、本発明を解釈することだけに使われており、本発明の保護範囲を限定する意図で用いられるものではないことに留意されたい。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなくいくつかの改良を加えることができ、これらの改良も本発明の保護範囲とみなされるべきである。
【符号の説明】
【0063】
1 NFCアンテナ本体
2 電磁波吸収材層
3 金属底板
a 軟磁性合金
b Al
c アモルファスカーボン層
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】