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特開2025-13362軟組織の修復、再構築、および再生用複合スキャフォールド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013362
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】軟組織の修復、再構築、および再生用複合スキャフォールド
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/40 20060101AFI20250117BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20250117BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20250117BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20250117BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61L27/40
A61L27/18
A61L27/24
A61L27/56
A61L27/58
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024179825
(22)【出願日】2024-10-15
(62)【分割の表示】P 2021569257の分割
【原出願日】2020-02-07
(31)【優先権主張番号】62/802,391
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/970,620
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521353377
【氏名又は名称】バイオレッツ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOREZ,INC.
【住所又は居所原語表記】#14,470 James Street,New Haven,Connecticut 06513,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッコ,ケビン,エー.
(72)【発明者】
【氏名】モハンラジャ,バーヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】オット,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ベンディゴ,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】コメンダ,ジェイコブ,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アロンソン,マーク,セオドア
(72)【発明者】
【氏名】カーター,アンドリュー,ジェイムズ
(57)【要約】
【課題】
開示される複合スキャフォールドは、張力下でその三次元形状を実質的に維持する高度に多孔性で柔軟な構造体を提供する。
【解決手段】
第1にスキャフォールドの機械的特性を介し、続いて、スキャフォールドが吸収されるにつれ新たに再生された機能的組織を介して、修復または再構築の機械的補強を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから15.0m/グラムの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項2】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.6m/グラムから1.2m/グラムの間である、請求項1に記載の複合スキャフォールド。
【請求項3】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.7m/グラムから1.0m/グラムの間である、請求項1に記載の複合スキャフォールド。
【請求項4】
前記空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、請求項1に記載の複合スキャフォールド。
【請求項5】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項6】
前記空隙の容積が約3.5cm/グラムから7.0cm/グラムの間である、請求項5に記載の複合スキャフォールド。
【請求項7】
前記空隙の容積が約4.0cm/グラムから5.0cm/グラムの間である、請求項5に記載の複合スキャフォールド。
【請求項8】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項5に記載の複合スキャフォールド。
【請求項9】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記空隙容積が、前記複合スキャフォールドの測定可能な容積の約75%から98%の間である、
前記スキャフォールド。
【請求項10】
前記空隙容積が、前記複合スキャフォールドの測定可能な容積の約80%から90%の間である、請求項9に記載の複合スキャフォールド。
【請求項11】
前記空隙容積が、前記複合スキャフォールドの測定可能な容積の約80%から85%の間である、請求項9に記載の複合スキャフォールド。
【請求項12】
約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間の表面積を有する、請求項9に記載の複合スキャフォールド。
【請求項13】
容積および表面積を有する複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドが、約1200ミリダルシーから3000ミリダルシーの間の透過率を有する、
前記スキャフォールド。
【請求項14】
約1400ミリダルシーから2600ミリダルシーの間の透過率を有する、請求項13に記載の複合スキャフォールド。
【請求項15】
約1500ミリダルシーから2200ミリダルシーの間の透過率を有する、請求項13に記載の複合スキャフォールド。
【請求項16】
前記空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、請求項13に記載の複合スキャフォールド。
【請求項17】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項13に記載の複合スキャフォールド。
【請求項18】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記多数の相互接続された細孔は、1μm/μmから50μm/μm程度の屈曲度を有し、ここで前記屈曲度は、前記微多孔マトリクスの第1の端部と第2の端部との間の直線距離に対する実際の流路長の比率を定義する、
前記スキャフォールド。
【請求項19】
前記多数の相互接続された細孔が、5μm/μmから30μm/μm程度の屈曲度を有する、請求項18に記載の複合スキャフォールド。
【請求項20】
前記多数の相互接続された細孔が、6μm/μmから20μm/μm程度の屈曲度を有する、請求項18に記載の複合スキャフォールド。
【請求項21】
測定可能な容積を占有する複合スキャフォールドであって、
表面積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積は、約5,000cm/cmから16,000cm/cmの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項22】
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約7,000cm/cmから14,000cm/cmの間である、請求項21に記載の複合スキャフォールド。
【請求項23】
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約9,000cm/cmから12,000cm/cmの間である、請求項21に記載の複合スキャフォールド。
【請求項24】
複合スキャフォールドであって、
内部空間を定義する支持構造体、および
前記支持構造体の前記内部空間内に配置された微多孔マトリクスを含み、
前記微多孔マトリクスは、約10μmから100μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を含む、
前記スキャフォールド。
【請求項25】
前記微多孔マトリクスが、約12μmから70μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を含む、請求項24に記載の複合スキャフォールド。
【請求項26】
前記微多孔マトリクスが、約20μmから40μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を含む、請求項24に記載の複合スキャフォールド。
【請求項27】
複合スキャフォールドであって、
内部空間を定義する支持構造体、および
前記支持構造体の前記内部空間内に配置された微多孔マトリクスを含み、
前記微多孔マトリクスは、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有し、
前記空隙の少なくとも約60%が、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む、
前記スキャフォールド。
【請求項28】
前記空隙の少なくとも約70%が、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む、請求項27に記載の複合スキャフォールド。
【請求項29】
前記空隙の少なくとも約80%が、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む、請求項27に記載の複合スキャフォールド。
【請求項30】
約20%から125%の間の引張破壊点での伸張を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項31】
約5%から50%の間の降伏点での伸張を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項32】
2.5N/mmから25N/mm程度の剛性を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項33】
0.2から0.7程度の終局ひずみを有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項34】
2.5MPaから30MPa程度の終局強度を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項35】
2.5MPaから30MPa程度の終局応力を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項36】
請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールドであって、2.5MPaから70MPa程度の弾性率を有し、弾性率は、応力を前記空隙を含む前記複合スキャフォールドの断面積のひずみで除したものと定義する、前記スキャフォールド。
【請求項37】
請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールドであって、150MPaから600MPa程度の弾性率を有し、弾性率は、応力を前記空隙を除いた前記複合スキャフォールドを構成するバルク材料のひずみで除したものと定義する、前記スキャフォールド。
【請求項38】
5mmから50mm程度の終局荷重変位を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項39】
1mmから8mmの程度の降伏変位を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項40】
20Nから70N程度の降伏力を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項41】
2.5N/mmから25N/mm程度の剛性を有し得る、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項42】
20%から70%程度の終局ひずみを有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項43】
100Nから200N程度の終局荷重を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項44】
前記複合スキャフォールドの表面積が水銀圧入法を使用して測定される、請求項1~3および8のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項45】
前記複合スキャフォールドの表面積が、径がほぼ1μm以上の細孔の表面積を含む、請求項44に記載の複合スキャフォールド。
【請求項46】
前記空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、請求項18に記載の複合スキャフォールド。
【請求項47】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項18に記載の複合スキャフォールド。
【請求項48】
前記空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、請求項27に記載の複合スキャフォールド。
【請求項49】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項27に記載の複合スキャフォールド。
【請求項50】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項27に記載の複合スキャフォールド。
【請求項51】
測定可能な容積を占有する複合スキャフォールドであって、
表面積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約5,000cm/cmから16,000cm/cmの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項52】
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約7,000cm/cmから14,000cm/cmの間である、請求項51に記載の複合スキャフォールド。
【請求項53】
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約9,000cm/cmから12,000cm/cmの間である、請求項51に記載の複合スキャフォールド。
【請求項54】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから15m/グラムの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項55】
前記複合スキャフォールドの表面積がガス吸着法を使用して測定される、請求項54に記載の複合スキャフォールド。
【請求項56】
前記複合スキャフォールドの表面積がクリプトンガス吸着法を使用して測定される、請求項55に記載の複合スキャフォールド。
【請求項57】
前記複合スキャフォールドの表面積が、径がほぼ1μm以下の細孔の表面積を含む、請求項54に記載の複合スキャフォールド。
【請求項58】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの容積を表す測定可能な乾燥容積値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約0%から10%の間で変化する、
前記スキャフォールド。
【請求項59】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約2%から7%の間で変化する、請求項58に記載の複合スキャフォールド。
【請求項60】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約4%から6%の間で変化する、請求項58に記載の複合スキャフォールド。
【請求項61】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの乾燥長さ値が約0%から3%の間で変化する、請求項58に記載の複合スキャフォールド。
【請求項62】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの乾燥長さ値が約0%から2%の間で変化する、請求項58に記載の複合スキャフォールド。
【請求項63】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な乾燥長さ値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約0%から3%の間未満で変化する、
前記スキャフォールド。
【請求項64】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約0%から2%の間で変化する、請求項63に記載の複合スキャフォールド。
【請求項65】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約500%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約1%未満で変化する、請求項63に記載の複合スキャフォールド。
【請求項66】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約2%から7%の間で変化する、請求項63に記載の複合スキャフォールド。
【請求項67】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約4%から6%の間で変化する、請求項63に記載の複合スキャフォールド。
【請求項68】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な断面プロファイル値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約0%から3%の間で変化する、
前記スキャフォールド。
【請求項69】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約0%から2%の間で変化する、請求項68に記載の複合スキャフォールド。
【請求項70】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約500%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約1%未満で変化する、請求項68に記載の複合スキャフォールド。
【請求項71】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約0%から2%の間で増加する、請求項68に記載の複合スキャフォールド。
【請求項72】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約500%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約1%未満で増加する、請求項68に記載の複合スキャフォールド。
【請求項73】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドの最小寸法は、約1mm以上の厚さ寸法であり、および
前記複合スキャフォールドは、前記複合スキャフォールドの測定した湿潤厚みが、前記複合スキャフォールドの測定した乾燥厚みとの比較において、10%以下の変化が測定可能な膨潤プロファイルを有する、
前記スキャフォールド。
【請求項74】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値を有し、
前記微多孔マトリクスが、前記複合スキャフォールドの乾燥重量値の約6%未満である、
前記スキャフォールド。
【請求項75】
スキャフォールドであって、
その第1および第2の端部により定義される長さ寸法と、空間により区切られた第1および第2の外層により定義される、前記長さ寸法に垂直な厚み寸法とを有する三次元支持構造体、および
前記空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素を含み、
前記支持構造体の前記厚み寸法が、前記長さ寸法の約5%伸張時に約10%未満の変化をする、
前記スキャフォールド。
【請求項76】
スキャフォールドであって、
その第1および第2の端部により定義される長さ寸法と、空間により区切られた第1および第2の外層により少なくとも部分的に定義される、前記長さ寸法に垂直な断面積とを有する三次元支持構造体、および
前記空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素を含み、
前記断面積が、前記長さ寸法の約13%伸張時に約35%未満の変化をする、
前記スキャフォールド。
【請求項77】
スキャフォールドであって、
その第1および第2の端部により定義される長さ寸法と、第1および第2の外層により少なくとも部分的に定義される、前記長さ寸法に垂直な幅寸法とを有する三次元支持構造体、
空間により区切られ、前記長さ寸法と前記幅寸法に垂直な厚み寸法をさらに定義する、前記第1および第2の外層、および
前記空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素を含み、
前記幅寸法が、前記長さ寸法の約13%伸張時に約5%未満の変化をする、
前記スキャフォールド。
【請求項78】
スキャフォールド構造体であって、以下:
その第1および第2のそれぞれの端部により定義される長さ寸法を有し、それらの間の内部空間を定義する第1および第2の外層、
ここで、前記第1および第2の外層のそれぞれは、それぞれの長さ寸法に実質的に平行に延在する複数の相互接続されたウェールを含む、
前記内部空間を通り、それぞれの前記長さ寸法に実質的に垂直に延在し、前記複数のウェールの1つに近接する前記第1および第2の外層のそれぞれに取り付けられる複数のスペーサー要素、ここで、前記複数のスペーサー要素は、前記第1および第2の外層の前記それぞれの長さ寸法に沿って延在する複数のチャネルに内部空間を少なくとも部分的に分割する、
を含む、前記構造体。
【請求項79】
第1および第2の外層のそれぞれは、対応する数のウェールを有し、前記複数のスペーサー要素は、前記第1および第2の外層のそれぞれの対応するウェールに取り付けられる、請求項78に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項80】
前記複数のスペーサー要素がスペーサーヤーンを含む、請求項78に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項81】
前記第1または第2の外層のウェールに沿ったスペーサー要素間の距離が、約100μmから2500μmの間である、請求項78に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項82】
前記第1または第2の外層のウェール間の距離が、約200μmから5000μmの間である、請求項78に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項83】
前記複数のスペーサー要素が、前記第1および第2の外層との間に延在する約100μmから5000μmの間の長さを有する、請求項78に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項84】
前記第1および第2の外層のうちの1つの前記ウェールが、ピラーステッチおよび軸方向のレイインヤーンを含む、請求項78に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項85】
スキャフォールドが、約20%から125%の間の引張破壊点での伸張を有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項86】
スキャフォールドが、約5%から50%の間の降伏点での伸張を有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項87】
スキャフォールドが、2.5N/mmから25N/mm程度の剛性を有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項88】
スキャフォールドが、20%から70%程度の終局ひずみを有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項89】
スキャフォールドが、2.5MPaから30MPa程度の終局応力を有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項90】
スキャフォールドが、2.5MPaから30MPa程度の降伏応力を有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項91】
請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体であって、前記スキャフォールドが2.5MPaから70MPa程度の弾性率を有し、弾性率は、応力を前記空隙を含む前記スキャフォールドの断面積のひずみで除したものと定義する、前記構造体。
【請求項92】
請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体であって、前記スキャフォールドが150MPaから600MPa程度の弾性率を有し、弾性率は、応力を前記空隙を除いた前記スキャフォールドを構成するバルク材料のひずみで除したものと定義する、前記構造体。
【請求項93】
スキャフォールドが、2.5N/mmから250N/mm程度の剛性を有し得る、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項94】
スキャフォールドが、20%から70%程度の終局ひずみを有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項95】
スキャフォールドが、0.07グラム力(grams-force)/デニールから1.10グラム力(grams-force)/デニール程度の引張強さを有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体。
【請求項96】
0.3グラム力(grams-force)/デニールから2グラム力(grams-force)/デニール程度の破壊点での引張強さを有する、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
【請求項97】
スキャフォールドの少なくとも一部が親水性溶液でコーティングされている、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
【請求項98】
前記親水性溶液がポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項97に記載のスキャフォールド。
【請求項99】
三次元構造体に編成されたモノフィラメント、マルチフィラメント、または加工ヤーン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項97に記載のスキャフォールド。
【請求項100】
生体吸収性ポリマー、天然ポリマー、および/または添加剤の任意の組み合わせを含む、請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
【請求項101】
ホモポリマー、コポリマー、または以下:ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ(プロピレンフマル酸、トリメチレンカーボネート、ポリ(グリセロールセバシン酸)、ポリ(グリコネート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)およびポリウレタンのいずれかのポリマーブレンドのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項100に記載のスキャフォールド。
【請求項102】
請求項75~84のいずれか一項に記載のスキャフォールド構造体であって、前記複合スキャフォールドが3mmから3000mm程度の断面積を有し得て、前記断面積は、前記スキャフォールドの長さに対して垂直な点での前記スキャフォールドの2次元形状の面積を定義し、5%の伸張率において、前記断面積が約10%未満の変化をする、前記構造体。
【請求項103】
スキャフォールドであって、
その第1および第2の端部により定義される長さ寸法と、空間により区切られた第1および第2の外層により定義される、前記長さ寸法に垂直な厚み寸法とを有する三次元支持構造体、および
前記空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素を含み、
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、500cm/cmから7,000cm/cm程度である、
前記スキャフォールド。
【請求項104】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドが、0.05g/ccから0.75g/cc程度の密度を有し、前記密度は、前記複合スキャフォールドの単位容積あたりの質量として定義される、
前記スキャフォールド。
【請求項105】
0.10g/ccから0.50g/cc程度の密度を有する、請求項104に記載の複合スキャフォールド。
【請求項106】
0.15g/ccから0.25g/cc程度の密度を有する、請求項104に記載の複合スキャフォールド。
【請求項107】
複合スキャフォールドであって、
その第1および第2の端部により定義される長さ寸法を有し、内部空間により区切られた第1および第2の外層により定義される、三次元支持構造体と、
前記空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素と、
前記内部空間に配置され、前記支持構造体の第1の端部と第2の端部との間の空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスとを含む、
前記スキャフォールド。
【請求項108】
前記空隙の少なくとも約60%が、少なくとも10μm以上の径寸法を有する細孔を含む、請求項107に記載の複合スキャフォールド。
【請求項109】
空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、請求項107に記載の複合スキャフォールド。
【請求項110】
3mmから250mm程度の断面積を有し得て、13%のひずみ率において、前記断面積が約17%未満の変化をする、請求項104~109のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項111】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項107に記載の複合スキャフォールド。
【請求項112】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記複合スキャフォールドは、外側部により定義される実質的に長方形の断面を有し、
外側部の1つに近接する複数の前記相互接続された細孔が、1つの外側部に配向される最大の寸法を有する、
前記スキャフォールド。
【請求項113】
前記複数の相互接続された細孔が、1つの外側部に対して45°から135°程度に配向された最大寸法を有する、請求項112に記載の複合スキャフォールド。
【請求項114】
前記複数の相互接続された細孔が、1つの外側部に対して60°から120°程度に配向された最大寸法を有する、請求項112に記載の複合スキャフォールド。
【請求項115】
前記複数の相互接続された細孔が、1つの外側部に対して75°から105°程度に配向された最大寸法を有する、請求項112に記載の複合スキャフォールド。
【請求項116】
約0.2から1.25の間の終局ひずみを有する、請求項104~112のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項117】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項118】
前記空隙の容積が約3.5cm/グラムから7.0cm/グラムの間である、請求項117に記載の複合スキャフォールド。
【請求項119】
前記空隙の容積が約4.0cm/グラムから5.0cm/グラムの間である、請求項117に記載の複合スキャフォールド。
【請求項120】
2.5MPaから30MPa程度の終局応力を有する、請求項104~112のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項121】
2.5MPaから30MPa程度の降伏応力を有する、請求項104~112のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項122】
請求項104~112のいずれか一項に記載の複合スキャフォールドであって、前記複合スキャフォールドは2.5MPaから70MPa程度の弾性率を有し、弾性率は、前記複合スキャフォールドおよび前記空隙を含む材料の断面積を使用して計算される、前記スキャフォールド。
【請求項123】
請求項104~112のいずれか一項に記載の複合スキャフォールドであって、前記複合スキャフォールドは150MPaから600MPa程度の弾性率を有し、弾性率は、前記複合スキャフォールドを含む材料のみの断面積を使用して計算される、前記スキャフォールド。
【請求項124】
前記微多孔マトリクスを支持する前記構造体が三次元織物構造体を含む、請求項104~119のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項125】
前記微多孔マトリクスが、スポンジ、フォーム、または加工繊維または加工ヤーンのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項104~119のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項126】
前記微多孔マトリクスが、凍結乾燥スポンジ、連続気泡押出フォーム、粒子浸出スポンジのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項125に記載の複合スキャフォールド。
【請求項127】
前記微多孔マトリクスが、編成、製織、凍結乾燥、粒子浸出、連続気泡押出し、溶液流延、固体発泡、および架橋のいずれかによる、前記スキャフォールド内に配置されたスポンジ、フォーム、または加工繊維または加工ヤーンのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項125に記載の複合スキャフォールド。
【請求項128】
前記微多孔マトリクスがコラーゲンおよびヒドロゲルのうちの1つを含む、請求項104~119のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項129】
三次元構造体に編成されたモノフィラメント、マルチフィラメント、または加工ヤーン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項104~119のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項130】
合成生体吸収性ポリマー、天然ポリマー、および/または添加剤の任意の組み合わせを含む、請求項104~119のいずれか一項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項131】
ホモポリマー、コポリマー、または以下:ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ(プロピレンフマル酸、トリメチレンカーボネート、ポリ(グリセロールセバシン酸)、ポリ(グリコネート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)およびポリウレタンのいずれかのポリマーブレンドのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項130に記載の複合スキャフォールド。
【請求項132】
測定可能な容積を占有する複合スキャフォールドであって、
表面積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および
前記微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約5,000cm/cmから16,000cm/cmの間である、
前記スキャフォールド。
【請求項133】
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約7,000cm/cmから14,000cm/cmの間である、請求項132に記載の複合スキャフォールド。
【請求項134】
前記空隙の測定可能な容積に対する表面積が、約9,000cm/cmから12,000cm/cmの間である、請求項132に記載の複合スキャフォールド。
【請求項135】
複合スキャフォールドを用いた靭帯または腱の損傷修復方法であって、
A)複合スキャフォールドを提供すること、ここで、前記複合スキャフォールドは、
i)それらの間の内部空間を定義するために間隔を置いて配置された第1および第2の層、および内部空間を通って延在し第1および第2の層に取り付けられた複数のスペーサー要素、および
ii)前記内部空間内に配置された多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス
を含む、および
B)前記複合スキャフォールドにその長さ寸法に沿って予張力をかけること、
C)前記複合スキャフォールドを同種移植または自家移植の腱、あるいは、損傷または裂傷した、靭帯または腱に取り付けること
を含む、前記方法。
【請求項136】
複合スキャフォールドを製作する方法であって、
A)その第1の端部と第2の端部との間の長さ寸法に沿って延在する三次元支持構造体を構築し、前記支持構造体内に内部表面を定義すること、および
B)前記内部表面内に微多孔マトリクスを形成すること、ここで、前記微多孔マトリクスは、前記支持構造体の外面と流体連通する多数の相互接続された細孔を有する、
を含み、
複数の相互接続された細孔は、前記支持構造体の寸法特性に対して配向されている、
前記方法。
【請求項137】
前記複数の相互接続された細孔が、前記支持構造体の外面から前記内部空間に向け放射状に内側に配向されている、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記複数の相互接続された細孔が、前記支持構造体の長さ寸法に向け配向されている、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
前記支持構造体が外部プロファイルを有し、B)が、
B1)前記支持構造体を、前記支持構造体の外部プロファイルを少なくとも部分的に模倣する断面プロファイルを有する溶液で満たされた型に配置すること、および
B2)前記型の温度を変更して、前記支持構造体の前記内部空間内で溶液の結晶化を引き起こすこと
を含む、請求項136に記載の方法。
【請求項140】
C)前記支持構造体を親水性物質で少なくとも部分的に覆うこと
をさらに含む、請求項136に記載の方法。
【請求項141】
A)が、
A1)それらの間の内部空間を定義するために間隔を置いて配置されているが、前記内部空間を通って延在する複数のスペーサー要素により一緒に取り付けられている第1および第2の層を含むスキャフォールドを編成すること
を含む、請求項136に記載の方法。
【請求項142】
前記三次元支持構造体を親水性物質で少なくとも部分的に覆うことが、前記内部空間内に微多孔マトリクスを配置する前に生じる、請求項140に記載の方法。
【請求項143】
前記親水性物質が少なくとも部分的にポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項140に記載の方法。
【請求項144】
前記微多孔マトリクスが、コラーゲンおよびヒドロゲルのうちの1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項145】
前記支持構造体が、合成生体吸収性ポリマー、天然ポリマー、および/または添加剤の任意の組み合わせを含むスキャフォールドを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項146】
前記スキャフォールドが、三次元構造に編成されたモノフィラメント、マルチフィラメント、またはマルチフィラメントと加工ヤーン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記微多孔マトリクスが、スポンジ、フォーム、または加工繊維または加工ヤーンのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項148】
前記微多孔マトリクスが、凍結乾燥スポンジ、連続気泡押出フォーム、粒子浸出スポンジのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項149】
B)が、凍結乾燥、粒子浸出、連続気泡押出し、溶液流延、固体発泡、および架橋のいずれかにより微多孔マトリクスを形成することを含む、請求項136に記載の生体模倣スキャフォールド。
【請求項150】
複合スキャフォールドであって、
内部空間を定義し、その第1の端部と第2の端部との間の長さ寸法に沿って延在する外部プロファイルを有する支持構造体と、
前記支持構造体の外部に開口する多数の相互接続された細孔を有する前記内部空間内に配置された微多孔マトリクスとを含み、
複数の相互接続された細孔が、前記支持構造体の寸法特性に対して配向されている、
前記スキャフォールド。
【請求項151】
前記複数の相互接続された細孔が、前記支持構造体の外面から前記内部空間に向け放射状に内側に配向されている、請求項150に記載の複合スキャフォールド。
【請求項152】
前記複数の相互接続された細孔が、前記支持構造体の長さ寸法に向け配向されている、請求項150に記載の複合スキャフォールド。
【請求項153】
前記支持構造体が、実質的に長方形形状の断面外部プロファイルを有する、請求項150に記載の複合スキャフォールド。
【請求項154】
前記支持構造体が、実質的に円形形状の断面外部プロファイルを有する、請求項150に記載の複合スキャフォールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本開示は、軟組織の修復および再構築、より具体的には、新たな組織の再生を促進しながら、軟組織の損傷または欠陥を安定化するために有用な複合スキャフォールドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
組織工学用途、および外科的修復および再構築で使用するための生物学的および合成のスキャフォールドは既知であるが、細胞内殖のための多孔性、細胞移動および増殖のための生物学的マトリクスおよび表面積、有意な細胞外マトリクス沈着と組織再構築のための相互接続された空隙の容積と寸法、機械的負荷の下での崩壊または圧縮に抵抗しながら機能的組織の成熟を促進するための複合的な機械的特性と局所組織との前記機械的負荷の分配、および、機能的組織の再生を促進しながら完全な治癒を通して組織修復を支持する生体吸収のタイムラインなど、十分に最適な組み合わせを提供できるものはほとんどない。
【0003】
ヘルニアメッシュなどの一部のスキャフォールドは、外科的修復を完了するに十分な機械的特性を有するが、行動特性に欠け、膝、足首、肘、および手の軟組織、および非筋骨格軟組織の治癒と再生に最適ではない。これらのスキャフォールドの多くは、恒久的な合成ポリマー製であり、急性または慢性の有害な炎症、痛み、または合併症を誘発する可能性がある。さらに、多くのメッシュ状のスキャフォールドは本質的に二次元的であり、細胞内殖のための表面積が不十分であり、バルク組織の再生のための空隙容積が不十分であるため、機能的組織の再生を促さない。逆に、軟組織の修復および再構築のためのほとんどの生物学的スキャフォールドは、同種または異種の原料から収集され処理されたバルク組織に由来し、バルク構造、組織源、および処理方法の任意の組み合わせのために、治癒が遅いか不完全な場合が多い。コラーゲンゲルやスポンジなど、まったく新しい構造に再構築され高度に処理された生物学的材料は、組織の内殖に適した多孔性をもって製造可能であるが、靭帯や腱の修復に使用するための崩壊に対する適切な強度と耐性に欠ける。
【0004】
繊維で構成される市販のスキャフォールドの多くは、適切な機械的特性を有するが、編成、製織、編組、および、電界紡糸、空紡糸、メルトブロー等のような不織法などの既存の製造プロセスに由来する構造の欠点のため、機能的組織の再生には不十分であり、これは、繊維が、糸状体および/または繊維束の間の空間が不十分(不十分な多孔性または空隙容積または密度、例えば典型的な電界紡糸織物)であるか、または、有意な組織再生のための表面積、空隙の容積および寸法が少なすぎる(例えば典型的な平面ワープニット織物または編組、または繊維束)ためか、または、適切な空隙容積が作成されても、細胞状および生体関連の程度で隣接していないか、構造に張力がかかると崩壊するかのいずれか、が原因である。
【0005】
従って、靭帯組織を修復または再生するスキャフォールドおよび方法が必要となる。
複合物である、すなわち天然の腱および靭帯の機械的特性を模倣するスキャフォールドもまた必要となる。
負荷または張力下でその形状を実質的に維持しながら、細胞浸潤および組織内殖のための適切な多孔性および相互接続された空隙容積を提供するスキャフォールドがさらに必要となる。
スキャフォールドの吸収後に機械的負荷に耐えることが可能な機能的組織の再生を促進しつつ、数週間または数か月にわたる治癒を支持する、一定期間にわたり生体吸収性であるスキャフォールドがまたさらに必要となる。
スキャフォールドの合成ポリマー密度を最小化し、表面積対容積比を最大化し、それにより異物反応を制限し、組織再生を改善するスキャフォールドもまた必要となる。
【0006】
様々な処置に合わせて長さ、幅、および高さが調整可能であるスキャフォールドもさらにまた必要となる。
スキャフォールド材料が完全に吸収された後の十分な強度および厚みの組織を、生体吸収性スキャフォールドが再生することもまた必要となる。
腱または靭帯組織の内殖を促進するために、スキャフォールドから間隔をあけて細胞増殖を促進することができる第2の支持マトリクスを提供するスキャフォールドもさらにまた必要となる。
組織再生、および/または外科的処理および移植を改善するために、このスキャフォールドが、可変的な寸法、密度、多孔性、材料組成、繊維タイプ、および表面特性の設計領域を有することもまた必要となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の概要
修復および治癒する腱または靭帯に機械的補強を提供する、靭帯または腱の修復のための複合スキャフォールドを開示する。実施形態において、複合スキャフォールドは、空隙容積を定義する支持構造体を含む。多孔質材料またはヒドロゲルが、支持構造体の空隙容積内に配置される。支持構造体は、多孔質材料/ヒドロゲルを強化および支持し、スキャフォールドの引張強度を高め、スキャフォールドが伸ばされるとき、または伸張力を受けるときに圧縮に抵抗する。多孔質材料/ヒドロゲルは、適切な細胞外マトリクスの沈着および新たな機能的組織再生を可能にする多孔性、および空隙容積を有する。実施形態において、空隙容積は、スキャフォールドの長軸に沿って連続または本質的に連続しており、これにより、スキャフォールドが機械的負荷または張力を受ける際の著しい崩壊、圧縮または過度の拡張から保護されつつ、細胞がデバイス内で完全に移動し、スキャフォールドの軸方向に配向して新たな組織が形成される。必要に応じて、スキャフォールドの全部または一部を、血液、骨髄液、多血小板血漿、自家細胞または同種異系細胞などの生体液で水和して、免疫応答を調節または管理し、治癒および組織再生をさらに促進および加速し得る。
【0008】
開示する複合スキャフォールドは、細胞の増殖および移動のための大きな表面積だけでなく、組織内殖、細胞外マトリクス沈着、および機能的組織への生体力学的再構築モデルを可能にするに十分に大きな相互接続された空隙を持つ。さらに、スキャフォールドは、張力下で高度に多孔性の構造を維持する能力を持ち、例えば、外科的処置中およびそれによる移植後の崩壊に抵抗し、生理学的負荷の下でスキャフォールド全体にわたり細胞浸潤および新たな組織内殖の能力を維持する。これらの負荷は、デバイスの複合的な機械的特性により、デバイスと局所組織の間で機械的に分配され、すなわちデバイスは、近位組織、修復組織、または天然の組織の応力遮蔽、およびスキャフォールド自体の内部の新生組織の発生を防止する。さらに、これらの複合的な機械的特性は、スキャフォールド内の細胞の機械生物学的情報伝達を促進して、耐荷重性で指向性の細胞外マトリクスおよび結合組織を識別し形成する。開示する複合スキャフォールドは、様々な異なる織物および複合的製造方法を使用して製造することができ、単一の製造技術に限定されない。
【0009】
開示する複合スキャフォールドは、張力下でその三次元形状を実質的に維持する高度に多孔性で柔軟な構造体を提供し、スキャフォールドの機械的特性を介し、続いて、スキャフォールドが吸収されるにつれ新たに再生された機能的組織を介して、修復または再構築第一の機械的補強を提供する。
【0010】
開示するスキャフォールドは、異なる機械的特性を持つ別個の領域を有し、固定または特異な組織再生を促進し得る。実施形態において、複合スキャフォールドは、生物学的「バンドエイド」を作成するために、移植前に細胞、生物学的吸引液または生物活性剤で含浸され得る。他の実施形態において、生体誘導性スキャフォールドは、一時的な前培養期間の間、自家由来、同種異系由来、または異種由来の細胞を播種され、細胞がスキャフォールド内でコラーゲンに富む細胞外マトリクスを作り上げることを可能とする。次に、スキャフォールドを処理、および/または脱細胞化し、後で移植可能な、または「そのまま」移植し得る繊維強化組織スキャフォールドの状態にする。開示するスキャフォールドは、様々な現在利用可能な固定方法、例えば、縫合糸、縫合糸アンカー、鋲、ステープルなどと互換性があり得る。
【0011】
開示する複合スキャフォールドは、スキャフォールド内で組織繊維を互いに離して配置するメカニズムを提供し、ポリマーまたは対応する炎症により破壊されないより高品質の組織の内殖のための場所を提供する。微多孔マトリクスは、そのような空間を維持することを援助し、細胞が成長するためのより大きな表面を可能とするための安定器として機能し、スキャフォールドの主要繊維がまだ強度を保持しながら組織が成熟できる。微多孔マトリクスが支持構造体よりも速い速度で吸収される場合、組織が生体内に新たに作成された容積内で再生および再構築できるように微多孔マトリクスの質量が完全に喪失される可能性があるが、一方で、主要な支持構造体は強度を保持し、細胞を最初に構造体に侵入させカプセル化させるが、経時的に機能的組織も作成する。さらに、コラーゲンなどの第2のマトリクスを作成するために天然材料が使用される場合、スキャフォールドの燃焼が減少し、支持構造体を含む合成繊維のいずれとも接触していないのに、スキャフォールドへの細胞内殖をさらに促進し得る。
【0012】
本開示の一態様によれば、複合スキャフォールドは、機械的および構造的完全性をなお維持しながら、スキャフォールドの表面積対容積比を最大化するために互いに一体的に形成され得る第1のマトリクス、および任意の第2のマトリクスを含む。実施形態によれば、第1のマトリクスは、内部空間またはそれらの間の空隙を定義する間隔を置いて配置された第1および第2の支持層を含む三次元織物構造体を実装し得る。多くのスペーサー要素が第1の支持層と第2の支持層との間に延在して、支持層を離して維持する。第1および第2の支持層は、異なる形状、繊維、または材料組成を有し得る。第1および第2の支持層、およびスペーサー要素は、合成生体吸収性ポリマー、天然ポリマー、および/または添加剤の任意の組み合わせで形成される、マルチフィラメント繊維またはモノフィラメント繊維、またはそれらの任意の組み合わせの、多層ニット面または織面を含む三次元織物として実装され得る。第2のマトリクスは、第1の支持マトリクスの第1の支持層と第2の支持層との間で近接する空隙内に配置される。第2のマトリクスは、スポンジ、フォーム、フェルト、加工繊維または加工ヤーン、コラーゲンまたは組織由来材料のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む低密度、高表面積の材料を実装し得る。複合スキャフォールドの第1および第2のマトリクスは、同じまたは異なる構造体、組成、および生体吸収特性を有し、機能的組織の最適な再生を促進し得る。
【0013】
一実施形態において、複合スキャフォールドは、約1mm以上の最小厚みを有し得る。スキャフォールドの厚みは、スキャフォールドが利用される特定の用途に応じて、その長さに沿って均一であり得るか、または、反復または非反復の方法で変わり得る。他の実施形態では、開示する複合スキャフォールドは、スキャフォールドが利用される特定の用途に応じて、約2mmから1000mmの間の長さ寸法を有し得る。開示するスキャフォールドは、様々な増分長で製造され得るか、または、医師が必要に応じて、または特定の処置に応じて、切断またはカスタマイズされ得る長さで製造され得る。
本開示の一態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および、微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、複合スキャフォールドの表面積が約0.6m/グラムから1.2m/グラムの間である。
【0014】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および、微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、空隙の容積は、約3.5cm/グラムから7cm/グラムの間である。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス含み、空隙容積は、生体模倣スキャフォールドの測定可能な容積の約80%から90%の間である。
【0015】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス含み、スキャフォールドは約1400から2600ミリダルシーの間の透過率を有する。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス含み、多数の相互接続された細孔は、5μm/μmから45μm/μm程度の屈曲度を有し、ここで屈曲度は、微多孔マトリクスの第1の端部と第2の端部との間の直線距離に対する実際の流路長の比率を定義する。
【0016】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、支持構造体容積に対する空隙表面積が約7,000cm/cmから14,000cm/cmの間である。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、内部空間を定義する支持構造体と、支持構造体の内部空間内に配置された微多孔マトリクスとを含み、微多孔マトリクスは、約12μmから50μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を含む。
【0017】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、内部空間を定義する支持構造体と、支持構造体の内部空間内に配置された微多孔マトリクスとを含み、微多孔マトリクスは、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有し、空隙の少なくとも約60%は、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、この生体模倣スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある生体模倣スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある生体模倣スキャフォールドの容積を表す測定可能な乾燥容積値を有し、生体模倣スキャフォールドの重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、生体模倣スキャフォールドの乾燥容積値が約0%から10%の間で変化する。
【0018】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な乾燥長さ値を有し、複合スキャフォールドの重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、複合スキャフォールドの乾燥長さ値が約0%から3%の間未満で変化する。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、この複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な断面プロファイル値を有し、複合スキャフォールドの重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、複合スキャフォールドの断面プロファイル値が約0%から10%の間で変化する。
【0019】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、複合スキャフォールドの最小寸法は、約1mm以上の厚み寸法であり、複合スキャフォールドは、複合スキャフォールドの測定した湿潤厚みが、複合スキャフォールドの測定した乾燥厚みとの比較において、10%以下の変化が測定可能な膨潤プロファイルを有する。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、この複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値を有し、微多孔マトリクスが、複合スキャフォールドの乾燥重量値の約6%未満である。
【0020】
本開示の別の態様によれば、スキャフォールドは、以下を含む:支持構造体の第1および第2の端部の間を延在する長さ寸法を有する三次元支持構造体、ここで、支持構造体は、長さ寸法に垂直な厚み寸法を定義するそれらの間の間隔を置いて離れて配置された第1および第2の外層を含む、およびその間の分離を維持するために第1の外層と第2の外層を接続する複数のスペーサー要素、ここで、支持構造体の厚み寸法は、長さ寸法の約13%伸張時に約35%未満の変化をする。
本開示の別の態様によれば、スキャフォールドは、以下を含む:支持構造体の第1および第2の端部の間を延在する長さ寸法を有し、長さ寸法に垂直な断面積を定義する三次元支持構造体、ここで、支持構造体は、それらの間に内部空間容積を定義するために間隔をおいて配置された第1および第2の外層を含む、および第1および第2の層の間の内部空間容積を通って延在し、第1および第2の層の分離を維持するためにそれらの間に取り付けられる複数のスペーサー要素、ここで、断面積は、長さ寸法の約13%伸張時に約5%未満の変化をする。
【0021】
本開示の別の態様によれば、スキャフォールドは、以下を含む:支持構造体の第1および第2の端部の間を延在する長さ寸法を有し、長さ寸法に垂直な幅寸法を定義する三次元支持構造体、ここで、この支持構造体は、長さ寸法と幅寸法に垂直な厚み寸法を定義するそれらの間の間隔を置いて離れて配置された第1および第2の外層を含む、およびその間の分離を維持するために第1の外層と第2の外層を接続する複数のスペーサー要素、ここで、支持構造体の幅寸法は、長さ寸法の約13%伸張時に約5%未満の変化をする。
【0022】
本開示の別の態様によれば、スキャフォールド構造体は、以下を含む:その第1および第2のそれぞれの端部により定義される長さ寸法を有し、それらの間の内部空間を定義する第1および第2の外層、ここで、第1および第2の外層のそれぞれは、それぞれの長さ寸法に実質的に平行に延在する複数の相互接続されたウェールを含む;内部空間を通り、それぞれの長さ寸法に実質的に垂直に延在し、複数のウェールの1つに近接する第1および第2の外層のそれぞれに取り付けられる複数のスペーサー要素、ここで、複数のスペーサー要素は、第1および第2の外層のそれぞれの長さ寸法に沿って延在する複数のチャネルに内部空間を少なくとも部分的に分割する。
【0023】
本開示の別の態様によれば、測定可能な容積を有する複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスを含み、複合スキャフォールドは、0.05g/ccから0.75g/cc程度の密度を有し、密度は、複合スキャフォールドの単位容積あたりの質量として定義される。
本開示の別の態様によれば、測定可能な容積を有する複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、複合スキャフォールドは、160,000:1から190,000:1程度の容積に対する総表面積の比を有し、この比は、空隙を除いた複合スキャフォールドの容積に対するスキャフォールドの表面積を定義する。
【0024】
本開示の別の態様によれば、スキャフォールドは、支持構造体の第1の端部と第2の端部との間の軸に沿って延在する三次元支持構造体を含み、支持構造体は、それらの間に内部空間容積を定義するために間隔をおいて配置された第1および第2の層、および、第1および第2の層の間の内部空間容積を通って延在し、第1および第2の層の分離を維持するためにそれらの間に取り付けられ、軸に垂直な断面を定義する複数のスペーサー要素を含み、スキャフォールドはさらに、内部空間内の、支持構造体の第1の端部と第2の端部との間の空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスとを含み、空隙の少なくとも約60%は、少なくとも10μm以上の径寸法を有する細孔を含み、空隙の容積は、約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である。
【0025】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および、微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、複合スキャフォールドは、外側部により定義される実質的に長方形の断面を有し、複数の相互接続された細孔が外側部の1つに開口し、1つの外側部に対して配向される最大の寸法を有する。一実施形態では、複数の相互接続された細孔は、1つの外側部に対して45°から135°程度に配向された最大寸法を有する。
本開示の別の態様によれば、スキャフォールドは、その第1および第2の端部により定義される長さ寸法、および空間により区切られた第1および第2の外層により定義される長さ寸法に垂直な厚み寸法とを有する三次元支持構造体、および、空間を通って延在し、第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素を含み、空隙の測定可能な容積に対する表面積は、約500cm/cmから7,000cm/cm程度である。
【0026】
本開示の別の態様によれば、測定可能な容積を占有する複合スキャフォールドは、表面積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および、微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、空隙の測定可能な容積に対する表面積は、約5,000cm/cmから16,000cm/cmの間である。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口し、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクス、および、微多孔マトリクスを支持する構造体を含み、ここで、複合スキャフォールドの表面積は約0.3m/グラムから15m/グラムの間である。
【0027】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドを用いた靭帯または腱の損傷修復方法は、
A)複合スキャフォールドを提供すること、
ここで、複合スキャフォールドは、
i)それらの間の内部空間を定義するために間隔を置いて配置された第1および第2の層、および内部空間を通って延在し第1および第2の層に取り付けられた複数のスペーサー要素、および
ii)内部空間内に配置された多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスを含む、および
B)複合スキャフォールドにその長さ寸法に沿って予張力をかけること、
C)複合スキャフォールドを同種移植または自家移植の腱、あるいは、損傷または裂傷した、靭帯または腱に取り付けることを含む。
【0028】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドを用いた靭帯または腱の損傷修復方法は、
A)複合スキャフォールドを提供すること、
ここで、複合スキャフォールドは、
i)それらの間の内部空間を定義するために間隔を置いて配置された第1および第2の層、および内部空間を通って延在し第1および第2の層に取り付けられた複数のスペーサー要素、および
ii)内部空間内に配置された多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスを含む、および
B)複合スキャフォールドにその長さ寸法に沿って予張力をかけること、
C)複合スキャフォールドを同種移植または自家移植の腱、あるいは、損傷または裂傷した、靭帯または腱に取り付けることを含む。
【0029】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドを製作する方法は、
A)その第1の端部と第2の端部との間の長さ寸法に沿って延在する三次元支持構造体を構築し、支持構造体内に内部表面を定義すること、および
B)内部表面内に微多孔マトリクスを形成すること、ここで、微多孔マトリクスは、支持構造体の外面と流体連通する多数の相互接続された細孔を有する、
を含み、複数の相互接続された細孔は、支持構造体の寸法特性に対して配向される。実施形態において、複数の相互接続された細孔は、支持構造体の外面から内部空間に向け放射状に内側に配向される。実施形態において、複数の相互接続された細孔は、支持構造体の長さ寸法に向け配向される。
【0030】
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、内部空間を定義し、その第1の端部と第2の端部との間の長さ寸法に沿って延在する外部プロファイルを有する支持構造体と、支持構造体の外部に開口する多数の相互接続された細孔を有する内部空間内に配置された微多孔マトリクスとを含み、複数の相互接続された細孔は、支持構造体の寸法特性に対して配向される。
本開示の別の態様によれば、複合スキャフォールドは、微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する微多孔マトリクスと、微多孔マトリクスを支持する構造体とを含み、複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値を有し、微多孔マトリクスは、複合スキャフォールドの乾燥重量値の約6%未満である。
【0031】
実施形態において、第2の支持マトリクス、例えば、スポンジは、質量損失または分子量損失のいずれかに基づいて、第1の支持マトリクスよりも約2~12倍の間で速く分解する。複合スキャフォールドは、移植後少なくとも約2週間は50%以上の強度保持性と、移植後約6か月から12か月、またはそれ以上の間に100%の質量損失の質量損失を持つ分解プロファイルを有し得る。
実施形態において、その中に配置されるマトリクスがより多孔性なることと比較して、支持マトリクスのより高い密度または質量が、開示するスキャフォールドの一次構造およびバルク構造に提供される。より具体的には、第1および第2の支持マトリクスは、互いに対して異なる密度または質量要素を有する。一実施形態において、第1の支持マトリクス、例えば、織物は、第2の支持マトリクス、例えば、スポンジの質量または密度の1倍以上である測定可能な質量または密度を有する。
【0032】
開示する実施形態において、微多孔マトリクスの細孔構造体は、スキャフォールドの寸法全体にわたり細胞の付着、増殖、および内殖を促進するように設計される。実施形態において、デバイスの面、第2のマトリクス、または細孔構造体は、特定の方向への細胞移動を促進するように、または、結合組織などの整列組織の形成を促進するような構造に設計することが可能である。他の実施形態において、デバイスの表面は、特定の解剖学的位置での使用を反映するために、物理的または化学的特性が互いに異なり得て、すなわち、一方は骨との結合を促進するが、他方は腱との結合を促進するとか、一方は腹壁の再生を促進するが他方は内臓の癒着を防ぐ。
【0033】
実施形態において、本明細書に開示する複合スキャフォールドは、既存の市販の入手可能なデバイスと比較して、測定可能な程度に高い、表面積対容積比を提供し、複合スキャフォールド内のより迅速かつより大量の細胞浸潤および組織内殖を促進する。より具体的には、主に第1の支持マトリクス、例えば織物、に基づいて、デバイスの容積に対する繊維の表面積の比は、スキャフォールドのデニール、ポリマーの密度および寸法を使用して計算され、10倍以上である。
【0034】
実施形態において、スキャフォールドは、狭くなり、縫合糸のような寸法に変化するか、または改造(例えば、縫われた、または結ばれた)されて、本明細書に記載の処置で使用される従来の縫合糸に取り付ける端部を有し得る。他の実施形態において、第1の支持マトリクス、例えば織物は、熱硬化されるか、縫い取られるか、または他の材料で含浸されて改造される端部または縁部を有し、より良い操作、既存組織とのより良い結合を促進し、圧力、張力、またはせん断力下においてスキャフォールドの寸法の狂いをさらに削減し得る。他の実施形態において、任意の材料のモノフィラメントまたはマルチフィラメント縫合糸は、スキャフォールドを縦に通過し、両端を出て、スキャフォールドに取り付けられるか、固定され得る。
【0035】
他の実施形態において、スキャフォールドの選定されたセクションは、ランダムにまたは固定頻度で繰り返され、例えば第1の支持マトリクスの織物パターンの変化により、織物の密度を増加したり減少することにより、スキャフォールドの密度を増加したり減少し得る。さらに他の実施形態において、このような繰り返し領域は、スキャフォールドの外面の平滑度または粗度を変更することによりスキャフォールドの表面仕上げを変更して、移植された時にスキャフォールドの受容性を高めるように選択し得る。
一実施形態において、複合スキャフォールドは、本明細書に記載の第1または第2の支持マトリクスのいずれかと同じまたは異なり得て、本明細書に記載の複合スキャフォールドの任意の特性を有し得る単一の三次元支持マトリクスのみを含む。
【0036】
スキャフォールドが、同種移植または自家移植の腱に取り付けられ、損傷した靭帯または腱と取り替えるために使用される、または、スキャフォールドが、損傷または裂傷した、靭帯または腱を増強するために使用される、靭帯または腱損傷の治療方法も開示する。使用方法は、その性能を高めるための解決手法を含むスキャフォールドの準備、スキャフォールドに予張力をかけること、および/または大腿骨端を固定すること、および脛骨管内の腱および移植片に独立した張力をかけ固定することを含み得る。
使用時、複合スキャフォールドは、縫合糸修復、単独の修復または再構築、または組織移植片を使用して固定目的の再構築などの強化を含む、多岐にわたる医療処置で利用し得る。複合スキャフォールドを使用した修復または再構築の強化は、膝、足首、肩、腰、肘、足、および手、および非筋骨格軟組織に適用し得る。
【0037】
本開示の別の態様によれば、移植片調製テーブルは、移植処置の前または最中の組織、例えば腱または靭帯、と複合スキャフォールドとに独立した張力をかけることを可能にする、表面および固定メカニズムを提供する。
本開示の別の態様によれば、固定デバイスは、組織、例えば腱または靭帯、と複合スキャフォールドがホイップステッチする必要なしに互いに取り付けられることを可能とする。このようなデバイスは、移植片および腱を通過する脚を備えたクリップを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面の説明
本発明の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて行う以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得て、ここで、同様の参照番号は、同様の構造要素を示す。
図1A図1Aは、本開示による複合スキャフォールドの概念図である。
図1B図1Bは、本開示による複合スキャフォールドの写真である。
図1C図1Cは、本開示による複合スキャフォールドの写真である。
【0039】
図2A図2Aは、本開示による複合スキャフォールドの外層に使用可能な織物パターンの概念図である。
図2B図2Bは、本開示による複合スキャフォールドの外層に使用可能な代替編みパターンの概念図である。
図2C図2Cは、本開示による図2A~Bの外層を含むヤーン要素パターンの概念図である。
図2D図2Dは、本開示による、ACLおよびローターカフ(rotor cuff)処置に有用な一対の複合スキャフォールドの繊維パターンの斜視の概念図である。
【0040】
図3A図3Aは、本開示による図2Aのパターンにより作製された少なくとも1つの外層を有する複合スキャフォールドの平面視の写真である。
図3B図3Bは、図3Aの複合スキャフォールドの側面視の写真である。
図4A図4Aは、本開示による図2Aのパターンにより作製された少なくとも1つの外層を有する複合スキャフォールドの平面視のSEM写真である。
図4B図4Bは、図4Aの複合スキャフォールドの側面視のSEM写真である。
図4C図4Cは、図4Aの軸4A-4Aに沿って見た、図4Aの複合スキャフォールドの斜視断面視のSEM写真である。
【0041】
図5A図5Aは、本開示による複合スキャフォールドを作製するに有用な型の斜視である。
図5B-C】図5B~Cは、本開示による複合スキャフォールドを作製するに有用な別の型のそれぞれ平面視および側面視である。
図5D図5Dに、本開示による、凍結乾燥プロセス中の温度、時間、および圧力の関係をグラフで示す。
【0042】
図6A図6A~Cは、本開示による、線A-Aに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの矢状断面視のSEM写真である。
図6B図6A~Cは、本開示による、線A-Aに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの矢状断面視のSEM写真である。
図6C図6A~Cは、本開示による、線A-Aに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの矢状断面視のSEM写真である。
図6D図6Dは、本開示による、線B-Bに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの冠状断面視のSEM写真である。
図6E図6Eは、本開示による、線B-Bに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの横断面視のSEM写真である。
図6F図6Fは、本開示による、線A-Aに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの矢状断面視のSEM写真である。
図6G図6Gは、本開示による、線B-Bに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの冠状断面視のSEM写真である。
図6H図6Hは、本開示による、線B-Bに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの横断面視のSEM写真である。
図6I図6Iは、本開示による、線A-Aに沿って撮影された、図1Cの複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの矢状断面視のSEM写真である。
【0043】
図7A図7Aは、本開示による複合マトリクスの繊維支持構造体に取り付けられた典型的な微多孔マトリクスのSEM写真である。
図7B図7Bは、本開示による複合マトリクスの繊維支持構造体に取り付けられた典型的な微多孔マトリクスのSEM写真である。
図7C図7Cは、本開示による複合スキャフォールドの典型的な微多孔マトリクスの外面のSEM写真である。
【0044】
図8図8に、本開示による、細孔径に対する累積総細孔表面積の関係を定義する試験データをグラフで示す。
図9図9に、本開示による、数種の複合スキャフォールドサンプル、ならびに織物のみの支持構造体についての細孔径に対する累積総細孔容積の関係をグラフで示す。
図10図10に、本開示による、数種の複合スキャフォールドサンプル、ならびに織物のみの支持構造体についての水銀圧力に関する複合スキャフォールドの関係をグラフで示す。
【0045】
図11図11に、本開示による、対数微分容積に対する細孔径の分布の関係をグラフで示す。
図12図12に、本開示による、単独の腱および複合スキャフォールドで増強された腱の両方について、荷重対伸張の関係をグラフで示す。
図13A図13Aは、本開示による、支持マトリクスに関連する多孔性マトリクスを示す、図1Cの複合スキャフォールドの断面顕微鏡視である。
図13B図13Bは、血液で水和された図1Cの複合スキャフォールドの断面顕微鏡視であり、本開示により、赤血球がコラーゲンスポンジ多孔質マトリクスにどのように完全に浸潤するかを示す。
【0046】
図14図14は、本開示による、MPFL修復または再構築のための複合スキャフォールドの写真である。
図15図15に、本開示による、製造の様々な段階における円形織物構造の概念的な経過イメージを示す。
図16図16に、開示する複合体が、本開示により、増強されたACL修復、安定化、または再構築のためにどのように利用され得るかを概念的に示す。
図17図17に、本開示により測定された、細孔のパーセンテージに対する細孔径の分布の関係をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の詳細な説明
これより、システムおよび方法の実施形態を図面を参照して詳細に説明するが、いくつかの図面のそれぞれにおいて、同様の参照番号は同一の、または対応する要素を示す。この説明全体を通して、「実施形態において」という句およびこの句の変形は、一般に、説明する特定の特徴、構造体、システム、または方法が、開示する技術の少なくとも1つの反復を含むことを意味すると理解されたい。このような句は、説明する特定の特徴、構造体、システム、または方法が、実施形態を実施可能な最良の、または唯一の方法のいずれかであることを意味するように読んだり解釈すべきではない。むしろ、このような句は、説明する技術が実装可能である方法の一例を意味すると読むべきであるが、そうするための唯一の方法である必要はないさらに、「上」、「下」、「側」、「下方」および「上方」等の方向を示す単語、ならびに三次元空間における特定の軸に関する参照は、単に、相互の要素位置の説明を助けるために使用される。方向を示す言葉は、絶対的な方向、つまり、「上部」の部分が常に上になければならない等、を説明するために使用されていない。
【0048】
図1A~6Dを参照すると、複合スキャフォールド10は、互いに一体的に形成されて、スキャフォールドの表面積対容積比および表面積対重量比を最大化する複合スキャフォールド10を形成する第1の三次元支持マトリクス、および第2のマトリクスを含む。図1Aを参照すると、実施形態において、第1のマトリクスは、その間に内部空隙16を定義するために間隔を置いて配置された第1の外層12および第2の外層14を含む支持構造体5が実装され得る。複数のスペーサー要素18は、第1の外層12と第2の外層14との間に延在し、層の分離を維持する。実施形態において、層12、14、およびスペーサー要素18のそれぞれは、それぞれが異なる形状、繊維、または材料組成を有する3次元織物構造体として実装され得る。例えば、外層12、14、およびスペーサー要素18のいずれかは、マルチフィラメント繊維、および/またはモノフィラメント繊維の織物で実装され得る。支持層12および14は、多層ニット面を含む実質的に平面の三次元織物として実装され得て、スペーサー要素18は、層12および14の平面に垂直な「Z」方向に相互接続ヤーンで実装され得て、崩壊を防ぐための支持体を提供する。
【0049】
支持構造体5は、成長する新生組織に機械的支持体を提供し、新しい組織形成を意図された領域が、患者の動作および活動中に維持されるように圧縮に対する耐性を提供することを意図する。このように、支持構造体5は、その長軸において伸張強度、および「Z方向」において圧縮に抵抗する剛性を提供する。
実施形態において、支持構造体5は、30~150デニールのマルチフィラメント繊維、30~150デニールのモノフィラメント繊維、または30~150デニールの複合ヤーンのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ、例えば、マルチフィラメント繊維とモノフィラメント繊維の組み合わせ、から形成され得て、任意で、抗接着性材料でコーティングされ得る。スキャフォールド10の未完成の縁部は、熱硬化または縫い取りを含むがこれらに限定されない方法を使用して、密封または固定され得る。一実施形態では、支持構造体5は、1.25g/ccのポリマー密度を持つ75デニール/30フィラメントのポリ-L-乳酸(PLLA)から製造される。以下に説明するように、ヤーンを撚り繊維ヤーンの上に編んで、レイインとして使用するためのより高い剛性のヤーンを提供し得る。
【0050】
実施形態において、支持構造体5の外層12および14の一方または両方は、図2Aおよび2Cに示すように、二重ヤーンを使用する経編みオープンピラーステッチ22が実装され得て、その結果図3Aに示す織物層となる。図2Aおよび3Aから分かるように、外層は、図2Aに示すように、単一の緯糸レイイン26ヤーンにより接続され、ピラー構造に挿入される二重の0°ストレートレイインヤーン24を両側に有する一連のウェールを含む。第1の外層12および第2の外層14のパターンは、同じであり得て、異なりもし得る。実施形態において、両方の外層12および14は、層12および14のそれぞれにおいて同様の対応するウェールを接続するスペーサー要素18を持つ同じ数のウェールを有し得る。実施形態において、外層12および14は、層12および14のそれぞれにおいてウェールを接続するスペーサー要素18を持つ異なる数のウェールを有し得る。
【0051】
本明細書で使用するウェールは、布内に縦方向に存する「ループの列」である。各ウェールは、単繊維または強度を増すために二重繊維にし得るが、その結果、嵩が増す。ウェールの数、またはウェールあたりのヤーンの数を増加することにより、布の終極引張強度が増加する。ウェールの数を調整することにより、布の幅を変えることが可能であり、これにより、同じ織物設計を、例えば幅5mmのACL増強用などの幅の狭い用途に、例えば幅23mmの回旋腱板用などの中程度の幅の用途に、例えば幅200mmのヘルニア用などの非常に幅の広い用途に適用できる。終極引張強度、伸張に対する耐性、および初期剛性を増加する方法は、布の技術面に0°ストレートレイインヤーンを追加することで実現可能である。これらのレイインヤーンは、直線的に各ウェールに組み込まれる。
【0052】
スキャフォールド10を製造するために使用される機械は、カールマイヤー社のダブルニードルバー経編機である。これらの機械はコンピュータ制御されており、多くのパラメータを変更して織物の特性に変化を及ぼすことができる。主な変数には、ウェールの数、ウェールあたりのヤーンの数、ウェールへのインレイヤーンの追加、インレイヤーン設計、およびインレイあたりのヤーンの数が含まれる。引張荷重下で伸びる布の能力は、例えば、3つのウェールごとよりもむしろ、2つのウェールごとに一緒に編成することにより影響を受ける可能性がある。
【0053】
図3Bおよび4Bを参照すると、スペーサー要素18は、層12および14を接続し、崩壊を防止するための支持を提供する、層12および14が存在する平面に垂直な「Z」方向の複数のヤーンで実装され得る。実施形態において、外層12および14のそれぞれは、同じ数のウェールを有し得て、スペーサー要素18は、層12および14のそれぞれにおいて対応するウェールを接続し得る。他の実施形態において、スペーサー要素18は、層12および14の異なるウェール間で斜めに交差し得る。スペーサー要素18は、モノフィラメント、マルチフィラメント、またはマルチフィラメントおよび/または加工されたヤーンを含み得る。
【0054】
層12および14の一方または両方は、図2Bに示す織物パターンを使用して実装され得る。層12および14に適した他の織物パターンには、フルトリコット、ロックニット、およびクイーンズコード、シングルアトラス、ジャージー、リバースジャージー、ミランドインターロック、ミラノ、ハーフミラノなどが含まれ得る。経編表面設計のバリエーションを利用して、層12および14の寸法、密度、および、表面設計、ウェールの数、ウェールあたりのヤーンの数、ウェールへのインレイヤーンの追加、インレイヤーン設計、インレイあたりのヤーン数、品質の延長または減少(機械パラメータ)、またはギャップの延長または減少(機械パラメータ)のいずれかを含む機械的特性を調整することができる。
【0055】
経編の代替方法は、ホールガーメント編機などのVベッド編機を使用するか、ダブルレピア織機またはフライショット織機を使用して織り3Dスペーサー布を生成することである。
ニットパネルの間に引き糸を追加すると、張力が分散され、引き糸が取り外されるまで、製造プロセス中に裂けたり引っ掛かったりすることなく、パネルが一緒に保たれる。これらの引き糸は、機械的に除去するか、洗浄プロセスで溶解することが可能である。
例示的な実施形態において、3次元織物を実装された支持構造体番号5は、以下の図1に示すような物理的パラメータを有し得る。
【表1】
【0056】
上記の物理的値を有し、複数のスペーサー要素18が延在する、第1および第2の外層、それぞれ12および14との間の空隙を定義するスキャフォールドは、約500cm/cmから7,000cm/cmの間の測定可能な空隙表面積対容積比を有するように計算され得る。
【0057】
スキャフォールドを製造した後、織物を洗い流して清浄し、使用され得た仕上げ剤を取り除き得る。洗い流す方法は、水、溶媒および水溶媒混合物の使用を含むことが可能である。布は拘束された状態でも拘束されていない状態でも洗浄し得る。布はまた、薬剤で処理し、例えばその親水性に影響を与えるなど、その表面特性を改造し得る。これには、ポリエチレングリコールを含むさまざまな薬剤が使用可能である。表面はまた、フィブリンなどの薬剤により、細胞接着を改善するために処理され得る。スキャフォールドの一部が骨領域と接触するように配置されることが意図される場合、繊維の表面は、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、または生物活性ガラスまたは骨形成タンパク質などの成長因子、および脱灰骨基質でコーティングされ得る。
【0058】
実施形態において、複合スキャフォールド10、または層12および14またはスペーサー要素18を含むその任意の部分は、合成生体吸収性ポリマー、天然ポリマー、および/または添加剤の任意の組み合わせを含み得る。複合スキャフォールドの一部として使用するに適する合成生体吸収性ポリマーには、ホモポリマー、コポリマー、または以下:ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ(プロピレンフマル酸、トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリセロールセバシン酸)、ポリ(グリコネート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)およびポリウレタンのいずれかのポリマーブレンド、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。複合スキャフォールドの一部として使用するに適する天然ポリマーには、絹、コラーゲン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、および羊膜由来のマトリクスが含まれ得る。
【0059】
複合スキャフォールド寸法
実施形態において、複合スキャフォールド10は、約0.5mmから5mmの間、さらにより好ましくは約1mmから3mmの間の厚み、すなわち、より長い長さおよび幅寸法とは対照的なスキャフォールドの垂直な高さ寸法を有し得る。さらにより好ましくは、スキャフォールドは、約1mm以上の最小厚みを有し得る。実施形態において、スキャフォールド10の厚みは、スキャフォールドが利用される特定の用途に応じて、その長さに沿って均一であり得るか、または、反復または非反復の方法で変わり得る。
【0060】
実施形態において、開示する複合スキャフォールド10は、スキャフォールドが利用される特定の用途に応じて、約2mmから1000mmの間の幅寸法を有し得る。実施形態において、開示するスキャフォールドの幅は、スキャフォールドが利用される特定の用途に応じて、均一であり得るか、または、反復または非反復の方法で変わり得る。例えば、スキャフォールド10は、端部を有し得て、スキャフォールドの幅が狭くなり、縫合糸のような寸法に寸法的に変化するか、または本明細書に記載の処置で使用される従来の縫合糸に取り付けるように改造される。
【0061】
実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、再び、スキャフォールドが利用される特定の用途に応じて、約2から1000mmの間、さらにより好ましくは約10インチ以上の長さ寸法を有し得る。実施形態において、開示するスキャフォールドは、様々な増分長で製造され得るか、または、医師が必要に応じて、切断またはカスタマイズし得る長さで製造され得る。図4Bは、長さ寸法を有し、複数のスペーサー要素18により分離された一対の外層12および14から形成され得る複合スキャフォールド10の側面視のSEM写真である。図4Bの写真は、Philips/FEI XL30 ESEM走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影され、画像上の1mmの縮尺凡例、および、スペーサーヤーン間の長さ寸法の軸に沿った距離が参照線1~23で示されている。表1に、平均距離とともに各参照線とそれぞれの距離値をマイクロメートルで示す。表1から分かるように、スペーサーヤーン間の長さ寸法の軸に沿った平均距離は、200μmから300μm程度である。
【0062】
【表2】
【0063】
図4Cは、図4Aの複合スキャフォールドの斜視断面視のSEM写真である。図4Cの写真は、SEMで撮影され、画像上の1mmの縮尺凡例、および、スペーサーヤーン間の長さ寸法の軸に垂直な幅軸に沿った距離が参照線1~17で示されている。表2に、平均距離とともに各参照線とそれぞれの距離値をマイクロメートルで示す。表2からわかるように、スペーサーヤーン間の幅軸に沿った平均距離は、約300μmから400μmの間(軸に沿って)である。
【0064】
【表3】
【0065】
開示する複合スキャフォールド10において、スペーサー要素18、例えば、スペーサーヤーン、間のそれぞれの距離は、外層12と14との間の空隙を通って延在する一連の実質的に平行な、同様なサイズのチャネルを作成する。これらのチャネルは、本明細書に記載される通り、微多孔マトリクス15が形成され得る支持構造体の内部に空間を提供する。重要なことに、これらのチャネルは、スキャフォールドの2つの端部の間に連続したチャネルが存在するように、デバイスの軸に沿って形成される。新生組織による置換に際し、新生組織はデバイスの軸に沿って頑丈であり、従って耐荷重性であり、よって機能的組織である。
【0066】
支持構造体添加剤
前述の材料のいずれかから作られた複合スキャフォールド10は、添加剤と組み合わせて、細胞成長の再生を促進することを含む、スキャフォールドの様々な特性を高め得る。複合スキャフォールドの一部としての使用に適したこのような添加剤には、播種細胞、生物学的吸引液、および生物活性剤を含む生物製剤が含まれ得る。複合スキャフォールドの一部としての使用に適した播種細胞には、脂肪由来幹細胞、間葉系幹細胞、および人工多能性幹細胞、あるいはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。複合スキャフォールドの一部としての使用に適した生物学的吸引液には、全血、多血小板血漿および骨髄穿刺濃縮液、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0067】
複合スキャフォールド10の一部としての使用に適した生物活性剤には、成長因子、細胞外マトリクス分子およびペプチド、治療薬、ならびに骨誘導剤または骨伝導剤、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得て、微多孔マトリクス15の形成前またはその後に、支持構造体5に添加され得る。
複合スキャフォールドの一部としての使用に適した成長因子には、形質転換増殖因子βスーパーファミリー(例えば、形質転換増殖因子β、骨形成タンパク質)、インスリン由来成長因子、血小板由来成長因子、表皮成長因子、インターロイキン1-受容体拮抗薬、線維芽細胞成長因子および血管内皮成長因子、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0068】
複合スキャフォールドの一部としての使用に適した細胞外マトリクス分子およびペプチドには、テネイシン-C、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、およびヘパラン硫酸)、フィブリン、トロンビン、小さなロイシンリッチペプチド(例えば、デコリンおよびビグリカン)、フィブロネクチン、エラスチンおよびアルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)ペプチド、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0069】
複合スキャフォールドの一部としての使用に適した治療薬には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、ナブメトン、ナプロキセン、およびジクロフェナク)、ステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチゾン、およびヒドロコルチゾン)、抗生物質または抗菌剤、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
複合スキャフォールドの一部としての使用に適した骨誘導剤または骨伝導剤には、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、および生物活性ガラス、あるいはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0070】
微多孔マトリクス
任意の微多孔マトリクス15を、複合スキャフォールド10の内部空隙16内に形成し得る。微多孔マトリクス15は、支持構造体5により支持および保持され、細胞が定着し、増殖するための支持体を提供する。微多孔マトリクス15は、吸収性または分解性であり、新生組織により迅速に置換されるように設計される。本明細書に記載の材料から作製された微多孔マトリクスは、それ自体では、引張強度および圧縮に対する耐性の両方の点で、使用可能な機械的強度特性を有さないであろう。
【0071】
実施形態において、その第1の端部と第2の端部との間の長さ寸法に沿って延在する三次元支持構造体を構築し、支持構造体内に内部表面を定義すること、内部表面内に微多孔マトリクスを形成すること、ここで、微多孔マトリクスは、支持構造体の外面と流体連通する多数の相互接続された細孔60を有する、を含む複合スキャフォールドを作製する方法を開示する。微多孔マトリクスは、複数の相互接続された細孔60が、支持構造体の寸法特性に対して配向されるように形成される。例えば、複合マトリクスの外面に最も近いそれらの細孔は、支持構造体の最も近い外面に対して、実質的に垂直に、または放射状に内側に延在するように配向され得る。さらに、複数の相互接続された細孔60の他のものは、スペーサー要素18、例えば、外層12と14を分離するスペーサーヤーン、の配向を模倣する方法で、支持構造体の長さ寸法に向けて配向され得る。
【0072】
実施形態において、微多孔マトリクス15は、スポンジ、フォーム、または加工繊維または加工ヤーンのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせなどの高表面積材料で実装され得る。微多孔マトリクス15の製造方法には、凍結乾燥、粒子浸出、連続気泡押出し、溶液流延、固体発泡、および架橋のいずれかが含まれ得る。一実施形態において、微多孔マトリクスとして有用なスポンジ/フォームには、凍結乾燥スポンジ、連続気泡押出フォームおよび粒子浸出スポンジのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0073】
微多孔15に実装するに適する材料は、ウシ1型コラーゲンを含むコラーゲンである。コラーゲンの代わりに、またはコラーゲンに加えて、多孔質マトリクス15に使用可能な他の材料には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリカプロラクトン(PCL)、またはポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)、またはそれらの組み合わせを主原料とするヒドロゲルが含まれる。コラーゲン溶液は、スキャフォールドを保持する型を使用して支持構造体5に浸透させることが可能である。第2のスキャフォールドの材料はまた、カプセル化する方法で支持構造体5の外面をコーティングし得る。織物およびコラーゲン溶液と共に、型を、温度制御された棚を使用して型の内容物を非常に低い温度、例えば-55℃まで、に凍結する凍結乾燥機としても知られる棚式凍結乾燥機に入れ、コラーゲン溶液内に結晶構造が形成され、支持構造体5の内部空隙16を占めるコラーゲン構造体内に相互接続された細孔のマトリクスが形成される。凍結乾燥チャンバ内を真空引きし、棚の温度を徐々に上げて、凍結した溶媒にエネルギーを供給し、昇華のプロセスを引き起こす。昇華した溶媒は別個の凝縮器に収集され、燃焼から完全に取り除かれる。加温と真空の時間の後、高度に多孔性で低密度のコラーゲンマトリクスが織物内に形成される。
【0074】
微多孔マトリクス15内のコラーゲンの多孔性は、このプロセス中に多くの方向で影響を受ける可能性がある。バルク多孔性は、コラーゲン溶液の重量パーセントを減少または増加させることにより、それぞれ増加または減少させることが可能である。細孔径は、型内の凍結速度を変えることで調整可能である。凍結速度を上げると平均径が小さくなり、凍結速度を下げると平均径が大きくなる。
【0075】
細孔の総表面積は細孔径に関連しており、例えば、多数の小さな細孔は、少数の大きな細孔よりも大きな表面積を有するので、凍結速度が上がると、平均細孔径は小さくなり、そのため、総表面積が増加し、その一方、凍結速度が下がると、平均径が大きくなり、そのため、微多孔マトリクスの総表面積が減少する。図5Dは、凍結プロセス中の温度、圧力、および時間の関係を示すグラフである。
【0076】
デルリン、アルミニウム、ステンレス鋼、またはその他の材料を含む型材料を変更することにより、熱伝導が異なり、凍結する時のコラーゲン溶液の結晶化が変化することにより、異なる微多孔マトリクス構造をもたらす可能性がある。例えば、精密部品製造に使用される熱可塑性プラスチックであるデルリン製の型は、熱の伝達がより遅く、コラーゲン溶液内により大きな細孔径が形成される。逆に、アルミニウムで形成された型は非常に迅速に熱を伝導し、結果として、比較的小さな径の細孔を持つ微多孔マトリクスとなる。ステンレス鋼製の型は、アルミニウムよりもゆっくりと熱を伝導し、アルミニウム型で生成されたものよりも大きな細孔となるが、デルリン型で生成されたものよりは小さくなる。
【0077】
さらに、型の底面と穴の底の間で金型の厚みを調整することにより、熱伝導速度を増減すると同様の効果があり、異なる微多孔マトリクスの構造となる可能性がある。実施形態において、つまり、図5Aおよび5Bに示す型はステンレス鋼から製作され、以下の表2に記載する穴寸法を有し、ここで、寸法5x260mmの列は、図5Aに示す型50を参照し、寸法23x30mmの列は、図5Bに示す型57を参照する。型50は、複数の長方形の穴52を定義し、その端部で固定可能なピン55を持つクランプ54を有する。型57は、長方形の穴59の配列およびスロー穴53を含む。
【0078】
【表4】
【0079】
図5Aに示す型は、デルリン製のエンドクリップを利用しており、これは、型本体に固定可能であり、凍結プロセス中に織物スキャフォールドをクランプするために使用し得る。
例示的な実施形態において、型50の穴52は、実質的に長方形の断面形状を有する。他の断面形状を利用して、その中に微多孔マトリクスを形成するプロセス中に、支持構造体5の表面積間の接触を最大化し得る。具体的には、Dの形状、Uの形状、Oの形状、またはCの形状のいずれかを有するスキャフォールドを凍結中に利用して、スキャフォールドの形状の表面積を最大化し、さらに、凍結プロセス中に微多孔マトリクスの細孔の配向を促進し得る。具体的には、円筒形または管状の形状を有する支持構造体5の場合、水平または垂直に配向されているかどうかにかかわらず、筒状の型が、凍結プロセス中に利用され得る。
【0080】
スキャフォールドの寸法に対する細孔の通りは、型の表面との接触を介して作ることが可能である。図6D~E、6G~Hの断面SEM写真に示すように、微多孔マトリクス15内の細孔は、型との接触面に垂直に型表面に近接して形成されることがわかる。
実施形態において、出願人は、細孔が型との接触面に対して近位に45°から135°の間で配向され得ることを発見した。実施形態において、図5Aに示すものと同様の型を用いて、相当な数の細孔が、型内部との接触面に垂直に、支持構造体5の中心に向かい配向する。このような配向は、複合スキャフォールド10への細胞の内殖をさらに迅速に促進する。
【0081】
代替の型設計では、上述と同様の穴を利用するが、しっかりと形作られた気密性のある上蓋が追加される。射出成形と同様に、吸引、または圧力、またはその他の手段を使用して、一方の端からコラーゲン溶液を型に充填し、もう一方の端で閉じ込められたガスを放出して、射出プロセス中にさらにコラーゲン繊維の通りを出し得る。
さらなる代替の型設計では、織物をその側面に配置する穴を使用して、織物の面が型の底面に垂直になるようにする。さらなる代替の型設計では、「U」字形の断面プロファイルまたは他形状の穴を使用し得て、これにより、特定のタイプの移植により適した形状の申し分ないスキャフォールドが作成される。
織物支持構造体の空隙内に微多孔マトリクスを作成するために使用し得る様々な製造方法があり、塩類浸出、ガス押し出し、および高圧または吸引、およびガスのいずれかを使用する他の方法が含まれる。
【0082】
微多孔マトリクスの吸収および機械的特性は、架橋によりさらに改造され得る。一般的に、架橋に使用される材料は潜在的な細胞毒性を有するため、より低い濃度が使用可能なことは非常に有益である。支持構造体5の使用により、微多孔マトリクス15が低濃度の架橋を利用することが可能になることは、開示する手順の利点である。乾燥した高多孔性で低密度のコラーゲン微多孔マトリクスで充填された3D織物を、型の穴から取り出し、ワイヤーラックなどの透過性棚の密閉チャンバに置く。ホルムアルデヒドとエタノールの溶液をトレイに注ぎ、このトレイをスキャフォールドのラックの下に置き、チャンバのドアを密閉する。トレイはチャンバの基本寸法(LxW)を完全に包含し、溶液からの蒸気を使用して3D織物内のコラーゲンを架橋する。設定時間後、トレイを取り出し、製品を清浄な乾燥空気、またはその代わりに窒素などの別のガスがチャンバ内外にポンプで送られるエアレーションチャンバに移動し、これにより、架橋プロセスが効果的に停止する。チャンバ内での時間を増やす、エタノール溶液中のホルムアルデヒドの濃度を上げる、または通気を減らすことにより、コラーゲンの架橋を増加することが可能である。同様に、チャンバ内の時間を減らす、エタノール溶液中のホルムアルデヒドの濃度を下げることにより、架橋を減少することが可能である。
【0083】
あるいは、化学架橋剤をコラーゲン溶液に添加し得る。これらの薬剤には、グルタルアルデヒド、ゲニピン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、EDC/N-ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)などの様々な濃度のアルデヒドが含まれるが、これらに限定されない。さらなる架橋の代替モードは、光化学的に活性化された架橋の形で出て来得て、これは、架橋開始剤の有無にかかわらず、架橋プロセスを誘発するためのUVまたは可視光の使用を含み得る。
【0084】
複合スキャフォールド機械的特性
本明細書に開示する複合スキャフォールド10の機械的特性は、縫合糸修復、単独の修復または再構築、または組織移植片を使用して固定目的の再構築などの強化を含む幅広い医療処置での使用に最適化された複合スキャフォールドをもたらす。本明細書の説明、ならびに実施例1、2および3により作製された複合スキャフォールド10は、20mm/minのクロスヘッド速度でMark-10引張試験機を使用して引張試験され、結果を表3に載せる。
【0085】
【表5】
【0086】
複合スキャフォールド10、具体的には、支持構造体5の利点は、本明細書に開示する通り、伸張時の圧縮に抵抗するその能力である。実施形態において、上記の表3の値から分かるように、支持構造体5を含む三次元織物の幅、高さ、および断面積は、相当な力による圧縮に抵抗する。特に、断面積が約9.92mm、厚み(高さ)が約2.17mm、幅が約4.57mmの支持構造体5の場合、支持構造体5をその長さ軸に沿って35Nの力で伸張すると、支持構造体5の長さ寸法の約13%の伸張を引き起こす。実施形態において、支持構造体の厚み寸法は、長さ寸法の約13%伸張時に約31%未満の変化をする。実施形態において、断面積は、長さ寸法の約13%伸張時に約35%未満の変化をする。
実施形態において、支持構造体の幅寸法が、長さ寸法の約13%伸張時に約5%未満の変化をする。
【0087】
実施形態において、本明細書に開示する三次元織物スキャフォールドで実装される支持構造体5の長さは、約30%から125%の間の長さ寸法の伸張のパーセンテージで終極荷重を有し得る。実施形態において、スキャフォールドは、約5%から15%の間の長さ寸法の伸張のパーセンテージで降伏を有し得る。実施形態において、スキャフォールドは、約0.073グラム力(grams-force)/デニールから1.102グラム力(grams-force)/デニールの間の引張強さを有し得る。実施形態において、スキャフォールドは、2.5N/mmから25N/mm程度の剛性を有し得て、剛性は、負荷された力に反応してスキャフォールドが変形に抵抗する程度を定義する。実施形態において、スキャフォールドは、20%から70%程度の破壊点ひずみを有し得る。実施形態において、スキャフォールドは、0.3グラム力(grams-force)/デニールから2グラム力(grams-force)/デニール程度の破壊点引張強さを有し得る。
【0088】
例示的な実施形態において、幅5mm、および長さ40mmで、かつ約1mmの厚みを有する三次元織物スキャフォールドで実装された、つまり本明細書に開示する支持構造体5は、5mmから50mm程度の終局変位を有し得て、終局変位は、それを超えると生体模倣スキャフォールドが機能しなくなる生体模倣スキャフォールドに負荷される荷重の量での変位の変化を定義する。このような試験は、40mmの標点距離で、American Society for Testing and Materials(ASTM)により定められた基準により行われる。例示する実施形態において、スキャフォールドは、1mmから8mm程度の降伏変位を有し得て、降伏変位は、生体模倣スキャフォールドが変形し始める変位における変化を定義する。例示する実施形態において、スキャフォールドは、20Nから70N程度の降伏力を有し得て、降伏力は、生体模倣スキャフォールドが変形し始める力を定義する。例示する実施形態において、スキャフォールドは、2.5N/mmから25N/mm程度の剛性を有し得て、剛性は、負荷された力に反応して生体模倣スキャフォールドが変形に抵抗する程度を定義する。例示的な実施形態において、スキャフォールドは、20%から70%程度の終局ひずみを有し得て、終局ひずみは、応力による生体模倣スキャフォールドの変形を定義する。例示する実施形態において、スキャフォールドは、100Nから200N程度の終極荷重を有し得て、終極荷重は、それを超えるとスキャフォールドが機能しなくなる生体模倣スキャフォールドに負荷される荷重の量として定義される。例示的な実施形態において、スキャフォールドは、2.5MPaから20MPa程度の終極強度を有し得て、終極強度は、生体模倣スキャフォールドを伸張する傾向にある荷重に耐える生体模倣スキャフォールドの耐久力として定義される。例示的な実施形態において、スキャフォールドは、2.5MPaから20MPa程度の終極応力を有し得て、終極応力は、その最大値を超えると構造体が機能しなくなる構造体が抵抗できる応力の最大値として定義される。例示する実施形態において、スキャフォールドは、2.5MPaから70MPa程度の弾性率を有し得て、弾性率は、空隙を含む生体模倣スキャフォールドの剛性の大きさを定義する。例示的な実施形態において、スキャフォールドは、150MPaから600MPa程度の弾性率を有し得て、弾性率は、空隙を含まない生体模倣スキャフォールドの剛性の大きさを定義し、ここで弾性率は、複合スキャフォールド含む材料のみの断面積を使用して計算される。
【0089】
実施形態によれば、本明細書に開示される複合スキャフォールドは、スキャフォールドの要素の時差分解速度により、より大量の再生組織に対してより大きな支持体を提供する。より具体的には、スキャフォールド10の第1および第2の支持マトリクス5および15は、異なる分解速度を有する。一実施形態において、第2の支持マトリクス15、例えば、スポンジは、質量損失または分子量損失に基づいて、第1の支持構造体5よりも2~12倍速く分解する。例えば、第2の支持マトリクスを含むスポンジは、移植後3~6か月までに質量損失を有する可能性があるが、第1の支持マトリクスを含む織物は、移植後12か月で質量損失を有する可能性がある。分解速度のこのような違いにより、スキャフォールド10の内部空隙により促進されるかなりの組織内殖が、より長い期間、織物の布により支持され続けることが可能になる。示す通り、材料分解のパラメータは、質量の損失または分子量損失を介して測定し得る。一実施形態において、複合スキャフォールドは、移植後少なくとも約4週間は50%以上の強度保持性と、移植後約6か月から12か月の間に100%質量損失の質量損失の分解プロファイルを有し得る。
【0090】
実施形態によれば、本明細書に開示する複合スキャフォールドは、移植されると、有用性、およびより良い性能を高める特徴を有し得る。実施形態において、スキャフォールド10は、狭くなり、縫合糸のような寸法に変化するか、または改造(例えば、縫われる、または結ばれる)されて、本明細書に記載の処置で使用される従来の縫合糸に取り付ける端部を有し得る。実施形態において、支持構造体5、例えば織物は、熱硬化されるか、縫い取られるか、または他の材料で含浸されて改造される端部または縁部を有し、より良い操作、既存組織とのより良い結合を促進し、圧力、張力、またはせん断力下においてスキャフォールド10の寸法の狂いをさらに削減し得る。実施形態において、スキャフォールド10の選定されたセクションは、ランダムのまたは一定の速度で繰り返され、例えば第1の支持構造体5の織物パターンの変化により、織物の密度を増加したり減少することにより、スキャフォールドの密度を増加したり減少し得る。実施形態において、このような繰り返し領域は、スキャフォールドの外面の凍結乾燥、平滑度または粗度のパラメータを変更することによりスキャフォールドの表面仕上げを変更して、移植された時にスキャフォールドの受容性を高めるように選択し得る。
【0091】
実施形態において、図2Dに示す通り、スペーサー要素18は、スキャフォールド10の内部空間16の一部、例えば、中空ルーメン、のみに配置され得る。他の実施形態において、スペーサー要素18は、スキャフォールド10の層12と14との間の内部空間16内に、規則的または不規則的繰り返し配置パターンのいずれかを有し得る。他の実施形態において、スペーサー要素18自体は、フェルトなどの織物、または、組織または組織由来の材料で、または本明細書で他に説明するように実装され得る。
【0092】
実施形態によれば、複合スキャフォールドはまた、一時的な前培養期間の間、細胞を播種して、細胞がスポンジおよび織物要素上にコラーゲンに富む細胞外マトリクスを作り上げることを可能にすることができる。次に、スキャフォールドを任意で脱細胞化して、織物構造体上に天然の細胞外マトリクスタンパク質を有するマトリクステンプレートを残し、その後、生体内で腱または靭帯を修復するためにスキャフォールドを移植することが可能である。
【0093】
スキャフォールド細孔特性
実施例1および2、および本明細書に記載のプロセスにより製造された複合スキャフォールドの多くのサンプル、を試験して、以下に説明するような様々な挙動特性を決定した。各サンプル複合スキャフォールド内の微多孔マトリクスは、微多孔マトリクスおよび複合スキャフォールドの外面に開口する多数の相互接続された細孔を有する。微多孔マトリクス内、および、よって、複合スキャフォールド内の細孔の様々な特性は、水銀圧入法(MIP)、またはガス吸着方により測定可能である。水銀は非湿潤性の液体であり、多孔質構造体に能動的に充填しない。しかしながら、MIPを使用して圧力を加えることにより、水銀を微多孔マトリクスの細孔に押し込むことができ、圧力をより高くすると水銀がより小さな細孔に入ることが可能となる。加える圧力を段階的に増加しつつ水銀の容積を正確に監視することにより、細孔径(直径)および細孔容積を正確に測定することが可能である。細孔径と容積の測定値は、一般的に、微多孔マトリクスおよび複合スキャフォールドの多くの特性を決定するために使用可能である。
【0094】
表面積
開示する複合スキャフォールドの重要な特性は、スキャフォールドの単位重量あたりのスキャフォールド表面積の比である。開示する複合スキャフォールドは、3D織物支持構造体により支持された微多孔マトリクス内の多数の相互接続された細孔により、細胞移動およびその後の新生組織の発生が起こり得る大きな表面積を有する。相互接続された細孔と複合スキャフォールドの外部の総表面積は、単なる幾何学的寸法および画像の数量化ではなく、MIPを使用してより正確に測定可能である。表面積は、以下の式を使用して細孔が球体であると仮定することにより、MIPを介して測定された細孔の既知の直径から計算し得る。
【数1】
【0095】
従って、表面積パラメータは、複合スキャフォールド面積の単位重量あたりの複合スキャフォールドの表面積の量を表し、グラムあたりの平方メートル(m/g)で測定可能である。図8は、いくつかの複合スキャフォールドサンプルならびに支持構造体5を含む3D織物のみを含むサンプルについて、マイクロメートルで測定した、細孔径に対する累積総細孔表面積の関係を示す試験データのグラフ80である。図8のサンプルにおいて、3D織物支持構造体5は、単独であるか、または微多孔マトリクス15で充填されているかにかかわらず、PLLA繊維を含んでいた。すべてのサンプルは、本明細書に記載の方法および実施例1および2により製造された。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間の範囲の重量単位あたりの表面積を有し得る。開示する複合スキャフォールドは、約0.6m/グラムから1.2m/グラムの間の範囲の重量単位あたりの表面積を有し得る。開示する複合スキャフォールドは、約0.71m/グラムから1.0m/グラムの間の重量単位あたりの表面積を有し得る。
【0096】
相互接続された細孔と複合スキャフォールドの外部の総表面積はまた、単なる幾何学的寸法および画像の数量化ではなく、クリプトンガスによるなどの、ガス吸着法を使用してより正確に測定可能である。以下の表は、5mm幅および40mm長さを有する2つのサンプルを示す。複合スキャフォールドの表面積は、1μm未満の直径を有する細孔をクリプトンガス吸着法で測定した場合、約0.3m/グラムから15m/グラムの間である。
【表6】
【0097】
総細孔容積
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、部分的には、微多孔マトリクス内の空隙を集合的に定義する細孔の数、径、配向、および相互接続性による大容積の空隙である。このような大総細孔容積は、より迅速な血液吸収、細胞移動、およびその後の新生組織の発生を促進する。微多孔マトリクス内の空隙を集合的に形成する細孔の総容積は、MIPプロセス中の水銀容積の変化を監視することにより、MIPを使用して直接測定し得る。したがって、複合スキャフォールドの細孔容積パラメータは、複合スキャフォールドの単位重量あたりの総累積空隙容積、例えばcm/g、を表す。図9は、いくつかの複合スキャフォールドサンプルならびに織物のみの支持構造体について、マイクロメートルで測定された細孔直径に対する、グラムあたりの立方センチメートルで測定可能な累積総細孔容積の関係を示すグラフ90である。図9のサンプルにおいて、織物支持構造体は、単独であるか、または微多孔マトリクスで充填されているかにかかわらず、PLLA繊維を含む。すべてのサンプルは、本明細書に記載の方法により製造された。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約3.0m/グラムから9.0m/グラムの間の範囲の総細孔容積を有し得る。開示する複合スキャフォールドは、約3.5m/グラムから7.0m/グラムの間の範囲の容積を有し得る。開示する複合スキャフォールドは、約4.0m/グラムから5.0m/グラムの間の範囲の総細孔容積を有し得る。
【0098】
多孔性
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、多孔性であり、これは、複合スキャフォールド自体の測定可能な容積のパーセンテージとしての微多孔マトリクス内の空隙容積の測定値である。このような計算は、MIP中に行われる測定値を使用して実行し得る。MIPプロセス中、水銀容積を監視することにより、サンプルの占有容積と同様に、各サンプルの質量がわかる。MIP中の最低加圧力では、スキャフォールドに充填されている水銀はないはずなので、複合スキャフォールドの容積密度が計算可能である。MIP中に加えられる圧力が高くなると、複合スキャフォールドはほぼ完全な水銀充填物になるはずである。従って、スキャフォールドの骨格密度は以下のように計算可能である。
多孔性=100*1-(低圧での密度/高圧での密度)
【0099】
このようにして、複合スキャフォールドの測定可能な容積は、幾何学的に計算されるのではなく、相対密度により計算される。図10は、いくつかの複合スキャフォールドサンプルならびに織物のみの支持構造体について、マイクロメートルで測定された、ポンド/平方インチ(絶対圧)、すなわち真空中、で測定された水銀圧力に関する、グラム/立方センチメートルでの複合スキャフォールド密度の関係のグラフ100である。図10のサンプルにおいて、織物支持構造体は、単独であるか、または微多孔マトリクスで充填されているかにかかわらず、PLLA繊維を含む。すべてのサンプルは、本明細書に記載の方法により製造された。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約75%から98%の間の範囲の多孔性を有し得る。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約80%から90%の間の範囲の多孔性を有し得る。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約80%から85%の間の範囲の多孔性を有し得る。
【0100】
透過率
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、細胞移動およびその後の新生組織発生のプロセスを加速するために、移植中および移植後の両方で、流体、特に血液のより迅速な吸収を促進する微多孔マトリクスの透過率である。織物支持構造体内の微多孔構造体、例えば、コラーゲンは、コラーゲンスポンジ自体の透過率の約200%の透過率を持つコラーゲンスポンジのみと比較して、より均一で明確な細孔構造体を促進する。これは、少なくとも部分的に、相互接続された細孔のより均一で明確な構造体による。再現性のある透過率値は、以下に示すKatz-Thompson式を使用して、水銀圧入法(MIP)データから計算可能である。
【数2】
ここで:
k(mD):空気透過率
Pt(psia):Hgが細孔を通って流れ始める圧力
Dc(μm):Ptに対応する直径(Dc=180/Pt)
Dmax(μm):油圧コンダクタンスが最大になる直径
油圧コンダクタンス:流体が多孔質材料を流れる容易さの尺度
φ:MIPデータからの多孔性(繊維中の浸透不可な空隙を減じる)
S(Dmax):径Dmax以上の接続された細孔空間の割合/Dmaxにおいて満たされた総多孔性の割合
【0101】
上記Katz-Thompson式を使用して透過率を計算する方法の説明は、J.Geophysics.Eng.(2013)のestimating permeability using median poor - throat radius obtained from Mercury intrusion precocityというタイトルのGoaとHuによる出版物に記載されている。このようにして、MIP中に収集されたデータから再現可能な透過率値が計算可能である。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約1200から3000ミリダルシーの間の範囲の透過率を有し得る。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約1400から2600ミリダルシーの間の範囲の多孔性を有し得る。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約1600から2000ミリダルシーの間の範囲の多孔性を有し得る。
【0102】
総表面積/スキャフォールド容積
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、総表面積/スキャフォールド容積の比である。所与のサンプルごとの表面積はMIPから決定できる。骨格密度は、多孔性パラメータを参照して上記に説明したように計算可能である。表面積は、サンプル重量単位あたりの平方メートルの単位(m/g)で報告され、サンプル質量で乗ずることによりメートル3乗に変換できる。スキャフォールド容積は、サンプル質量を骨格密度で除したものに等しい。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約5,000cm/cmから16,000cm/cmの間のスキャフォールド容積に対する空隙表面積を有し得る。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約7,000cm/cmから14,000cm/cmの間のスキャフォールド容積に対する空隙表面積を有し得る。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、約9,000cm/cmから12,000cm/cmの間のスキャフォールド容積に対する空隙表面積を有し得る。
【0103】
細孔径
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、マイクロメートルで測定される、微多孔マトリクス15の空隙内の相互接続された細孔のメディアン細孔径である。微多孔マトリクスを持つ細孔は、移植後の微多孔マトリクスの再吸収に先立ち、細胞増殖および新生組織の形成を遅らせるほど大きくはないが、細胞浸潤を可能にするに十分な大きさでなければならない。本開示によれば、所与の直径のいくつかの細孔は、MIP中に所与の圧力で侵入容積を観察することにより効果的に測定される。このことから、メディアン細孔径と細孔径分布は、両方報告される。図12は、グラムあたりの立方センチメートルで測定される対数微分容積に対するマイクロメートルで測定される細孔直径の分布の関係をグラフで示すグラフ120である。実施形態において、微多孔マトリクスは、約10μmから70μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を有し得る。実施形態において、微多孔マトリクスは、約12μmから50μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を有し得る。実施形態において、微多孔マトリクスは、約20μmから35μmの間のメディアン細孔径を有する複数の相互接続された細孔を有し得る。
【0104】
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、マイクロメートルで測定される、複合スキャフォールドの微多孔マトリクスの空隙内の細孔径の分布である。累積細孔容積はMIPから決定できる。空隙に対する特定の径を超える細孔の部分寄与率は、所与の細孔径における累積空隙を総空隙で除したものとして計算可能である。微多孔マトリクスの空隙内の細孔径の分布も図12に示す。図12からわかるように、微多孔マトリクス内の集合的な空隙の大部分は、10μmを超える径パラメータを有する細孔を含む。実施形態において、微多孔マトリクスは、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有し、空隙の少なくとも約99%は、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む。実施形態において、微多孔マトリクスは、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有し、空隙の少なくとも約95%は、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む。実施形態において、微多孔マトリクスは、空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有し、空隙の少なくとも約80%は、10μm以上の径寸法を有する細孔を含む。
【0105】
膨潤および吸収性
実施形態によれば、本明細書に開示する複合スキャフォールドは、ある程度高い吸収能力、例えば、水性媒体を吸収可能なること、または吸湿性を提供し、スキャフォールド内のより迅速かつより大量の生物学的液体および/または細胞の吸収を促進する。具体的には、複合スキャフォールドの吸収能力は、以下の式から測定可能である。
%吸収=(サンプル湿潤質量-サンプル乾燥質量)/サンプル乾燥質量*100
【0106】
実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にあるスキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および、実質的に乾燥状態にあるスキャフォールドの容積を表す測定可能な乾燥容積値を有し、スキャフォールドの重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、スキャフォールドの乾燥容積値が約0%から10%の間で変化する。複合スキャフォールドのパーセント容積変化は、以下の式から測定可能である。
%容積変化=(サンプル湿潤容積-サンプル乾燥容積)/サンプル乾燥容積*100
【0107】
実施形態によれば、本明細書に開示する複合スキャフォールドは、例えば、増加した吸収液による寸法変化に抵抗する、減少した膨潤プロファイルを提供する。具体的には、複合スキャフォールドのパーセント膨潤変化は、以下の式から測定可能である。
%膨潤=(サンプル湿潤質量-サンプル乾燥質量)/(サンプル湿潤質量)*100
【0108】
実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な乾燥長さ値を有し、複合スキャフォールドの重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、複合スキャフォールドの乾燥長さ値が約0%から3%の間未満で変化する。複合スキャフォールドのパーセント長さ変化は、以下の式から測定可能である。
%長さ変化=(サンプル湿潤長さ-サンプル乾燥長さ)/サンプル乾燥長さ*100
【0109】
実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および、実質的に乾燥状態にある複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な断面プロファイル値を有し、複合スキャフォールドの重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、複合スキャフォールドの断面プロファイル値が約0%から10%の間で変化する。複合スキャフォールドのパーセント断面プロファイル変化は、以下の式から測定可能である。
%断面プロファイル変化=((サンプル湿潤幅*サンプル湿潤高さ)-(サンプル乾燥幅*サンプル乾燥高さ))/(サンプル乾燥幅*サンプル乾燥高さ)*100
【0110】
その他の関連する式は以下の通りである。
%密度湿潤=((サンプル湿潤重量/サンプル湿潤容積)/(サンプル乾燥重量/サンプル乾燥容積)*100
%厚み変化=(サンプル湿潤高さ-サンプル乾燥高さ)/サンプル乾燥高さ*100
%重量湿潤=サンプル湿潤重量/サンプル乾燥重量*100
サンプル容積充填の%=(サンプル湿潤質量-サンプル乾燥質量)/(サンプル乾燥容積)
【0111】
複合スキャフォールドデバイスは、製造プロセス全体にわたり計量され、織物のみの質量、PEG400でコーティング後の質量、およびコラーゲン溶液の添加およびその後の凍結乾燥後の質量の両方を得る。各デバイスのコラーゲン微多孔マトリクスの質量は、以下のように計算可能である。
質量コラーゲン=質量スキャフォールド-質量織物+PEG400
【0112】
次に、複合スキャフォールドデバイス全体と比較したコラーゲンの%乾燥重量は、以下のように計算可能である。
【数3】
【0113】
スキャフォールド密度のカテゴリ
複合スキャフォールドの他の重要な特性は、スキャフォールドの密度である。実施形態によれば、その中に配置されるより多孔性のマトリクスと比較して、支持マトリクスのより高い密度または質量を有する本明細書に開示する複合スキャフォールドが、開示するスキャフォールドの一次構造体およびバルク構造体を提供する。より具体的には、スキャフォールド10の第1および第2の支持マトリクス5および15は、互いに対して異なる密度または質量要素を有する。一実施形態において、第1の支持構造体5、例えば、織物は、第2の支持マトリクス15、例えば、スポンジの質量または密度の1倍以上、より好ましくは、第2の支持マトリクス15の質量または密度の2~5倍の間である測定可能な質量または密度を有する。実施形態において、開示する複合スキャフォールドは、0.5g/cm未満、具体的には約0.05g/cmから0.3g/cmの間の最大スキャフォールド密度を有し得る。
【0114】
製造方法
本開示により複合スキャフォールドを製造する方法は、以下の通りである。高多孔性コラーゲンマトリクスで満たされた3次元PLLA織物から作られた、ACL修復または増強のための幅5mm、高さ3mm、長さ260mmの複合スキャフォールドを以下の通り製造する。支持構造体を含む三次元(3D)織物は、説明した経編技術により図2Aに示すダブルピラーパターンを使用して製造する。その結果、構造体は、それぞれ6ウェールの上層と下層を有する。上層と下層の対応するウェールは、例えば、外層12および14のX-Y平面に垂直なZ方向に空隙を通り延在する一連の編成された間隔をあけたヤーンにより相互接続され、層12および14を相互接続する。3D織物は、幅5mm、高さ3mmの連続長織物として受けられ、DIとIPAの溶液中で超音波で洗い流し、例えば、洗浄し、粒子およびヤーンのスピン仕上げを取り除く。洗浄の間に溶液を交換しつつ、多くの洗浄が行われる。洗浄液の温度は、室温または最大40℃であり得る。次に、3D織物を風乾し、長さに切断する。
【0115】
親水性溶液でコーティングする前に3D織物を準備する代替方法は、連続した長さの織物を、幅出し機としても知られるフレームまたは縫合糸ラックの周りに適度な張力で、重ねることなく巻き付けることを含む。次に、巻きつけたフレームを蒸留水とイソプロピルアルコールの溶液に沈め、超音波またはシェーカーバスで洗浄して攪拌する。洗浄の間に溶液を交換しつつ、多くの洗浄が行われ得る。洗浄液の温度は、室温または最大40℃であり得る。次に、3D織物を張力下において、ラック上で風乾する。次に、織物を、張力下で、ラック上で長さに切断し、均一な長さにする。縫合糸ラックを利用し、張力下で洗浄し、張力下で乾燥することにより、織物はヒートセットされ、しわが減り、上下の織物面を相対して保ち、編成構造体を締めて、結果として荷重状態での最終織物の伸張が少なくなる。
【0116】
次に、洗い流し長さに切断した3D織物を、ポリエチレングリコール(PEG)とエタノールの溶液に沈め、親水性を増加する。エタノール中のPEGの濃度は、3D織物上のPEGの重量パーセントが結果として制御されるように具体的に制御される。次に、3D織物を風乾する。親水性溶液でコーティングする前に3D織物を準備する代替方法は、洗い流した後、長さに切断する前にPEGとエタノールの溶液に3D織物を沈めることを含む。さらなる代替方法は、洗い流した後、切断する前、フレーム上に巻き付ける時に、PEGとエタノールの溶液に3D織物を沈めることを含む上記のステップで、各代替案の多くの組み合わせを利用し、同じ結果を達成し得る。
【0117】
次に、低モル濃度の酢酸を使用して0.6重量%のコラーゲン溶液を作り、粉末状のタイプ1ウシコラーゲンを混ぜ合わせ、真空処理して閉じ込められた気泡を除去する。塩酸などの別の低モル濃度の酸を使用して、コラーゲン溶液を作り得る。さらに、例えば、遠心分離機で溶液を回転させることによる代替プロセスにより、閉じ込められた気泡を除去し得る。
異なる重量パーセントのコラーゲン溶液を使用可能である。コラーゲンの重量パーセントを増加すると、マトリクス中のコラーゲンの量が増加する。コラーゲンの重量パーセントを減少すると、マトリクス中のコラーゲンの量が減少する。このような変更により、本明細書に記載の凍結乾燥プロセスを利用する場合、最終的なコラーゲンマトリクス密度、構造体特性、および多孔性に影響を与えるであろう。
【0118】
図5Bに示すステンレス鋼の型57を使用して、コラーゲン溶液の3D織物への充填を案内し、次のステップである凍結乾燥を通し、コラーゲンスポンジマトリクス構造体を作成する。型の穴を少量のコラーゲン溶液で満たす。次に、3D織物の定尺ものを型に配置し、3D織物が穴の底に平行に面し、各端部にクランプを使用して3D織物を固定し、動きを防ぐ。これらのクランプは、次のステップである凍結乾燥において、製品処理と縫合糸取り付けに使用される、多孔性コラーゲンマトリクスのない平らな領域を各端部に作成するという付加的利点を有する。
【0119】
次に、追加のコラーゲン溶液を織物が入った穴に充填し、織物をコラーゲン溶液に完全に沈める。次に、織物とコラーゲン溶液が入った型を真空処理し、3D織物内部の残りの空気を取り除き、織物に溶液を完全に充填する。織物とコラーゲン溶液の入った型を棚式凍結乾燥機に入れ、約2時間かけて温度を-55℃まで下げる。乾燥した高多孔性で低密度のコラーゲンマトリクスで充填された織物を、型の穴から取り出し、ワイヤーラック上の密閉チャンバに置く。ホルムアルデヒドとエタノールの溶液をトレイに注ぎ、トレイを製品のラックの下に置き、チャンバのドアを密閉する。溶液からの蒸気が、織物内のコラーゲンを架橋する。約2時間後、トレイを取り出し、製品を清浄な乾燥空気がチャンバ内外にポンプで送られるエアレーションチャンバに移動し、これにより、架橋プロセスが効果的に停止する。加温と真空の時間の後、高度に多孔性で低密度のコラーゲンマトリクスが3D織物内に形成される。
【0120】
高多孔性コラーゲンマトリクスで満たされた3次元PLLA織物から作られた、回旋腱板修復または増強のための幅23mm、高さ3mm、長さ30mmの複合スキャフォールドを以下の通り製造する。高多孔性コラーゲンマトリクスで満たされた3次元PLLA織物から作られた、ACL修復または増強のための幅5mm、高さ3mm、長さ260mmの複合スキャフォールドを以下で説明する通りに製造する。支持構造体を含む三次元(3D)織物は、説明した経編技術により図2Aに示すダブルピラーパターンを使用して製造する。その結果、構造体は、それぞれ25ウェールの上層と下層を有する。上層と下層の対応するウェールは、Z方向に空隙を通り延在する一連の編成された間隔をあけたヤーンにより相互接続され、層を相互接続する。
【0121】
3D織物は、幅5mm、高さ3mmの連続長織物として受けられ、DIとIPAの溶液中で超音波で洗い流し、例えば、洗浄し、粒子およびヤーンのスピン仕上げを取り除く。洗浄の間に溶液を交換しつつ、多くの洗浄が行われる。洗浄液の温度は、室温または最大40℃であり得る。次に、3D織物を風乾し、長さに切断する。次に、洗い流し長さに切断した3D織物を、PEGとエタノールの溶液に沈め、親水性を増加する。エタノール中のPEGの濃度は、3D織物上のPEGの重量パーセントが結果として制御されるように具体的に制御される。次に、3D織物を風乾する。
次に、低モル濃度の酢酸を使用して0.6重量%のコラーゲン溶液を作り、粉末状のタイプ1ウシコラーゲンを混ぜ合わせ、真空処理して閉じ込められた気泡を除去する。
【0122】
図5Bに示すステンレス鋼の型を使用して、コラーゲン溶液の3D織物への充填を案内し、次のステップである凍結乾燥を通し、コラーゲンスポンジマトリクス構造体を作成する。型の穴を少量のコラーゲン溶液で満たす。次に、3D織物の定尺ものを型に配置し、3D織物が穴の底に平行に面し、各端部にクランプを使用して3D織物を固定し、動きを防ぐ。これらのクランプは、次のステップである凍結乾燥において、製品処理と縫合糸取り付けに使用される、多孔性コラーゲンマトリクスのない平らな領域を各端部に作成するという付加的利点を有する。
【0123】
次に、追加のコラーゲン溶液を織物が入った穴に充填し、織物をコラーゲン溶液に完全に沈める。次に、織物とコラーゲン溶液が入った型を真空処理し、3D織物内部の残りの空気を取り除き、織物に溶液を完全に充填する。織物とコラーゲン溶液の入った型を棚式凍結乾燥機に入れ、2時間かけて温度を-55℃まで下げる。凍結乾燥チャンバ内を真空引きし、棚の温度を徐々に上げて、凍結した溶媒にエネルギーを供給し、昇華のプロセスを引き起こす。昇華した溶媒を別個の凝縮器に集め、炎症から完全に取り除く。加温と真空の時間の後、高度に多孔性で低密度のコラーゲンマトリクスが3D織物内に形成される。
【0124】
型の設計により、スキャフォールド全体がコラーゲンゲルにカプセル化されるようになり得て、これは、より生体適合性のあるコラーゲンゲルを用いて、織物スキャフォールド要素から身体を保護するという利点を有し得る。
【0125】
医療処置
本明細書に記載の複合スキャフォールドは、縫合糸修復、単独の修復または再構築、または組織移植片を使用して固定目的の再構築などの強化を含む、多岐にわたる医療処置で利用し得る。複合スキャフォールドを使用する修復または再構築の強化は、膝、足首、肩、肘、および手、および非筋骨格軟組織に適用し得る。膝には、ACL(前十字靭帯)、PCL(後十字靭帯)、LCL(外側側副靭帯)、MCL(内側側副靭帯)、MPFL(内側膝蓋大腿靭帯)、ALL(前外側靭帯)、および後外側角損傷(外側側副靭帯、膝窩腱、popliteofibular ligament)のいずれかが含まれ得る。足首には、ATFL(前距腓靭帯)およびCFL(踵腓靭帯)のいずれかが含まれ得る。肩、肘、および手には、ローターカフ(rotor cuff)(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、および小円筋腱)、肩鎖靭帯、UCL(内側側副靭帯)、および屈筋腱のいずれかが含まれ得る。非筋骨格軟組織には、胸、腹壁、骨盤底のいずれかが含まれ得る。本明細書に記載の複合スキャフォールドは、縫合糸、縫合糸アンカー、鋲、およびステープルを含む、永久的、かつ再吸収可能な材料の固定に利用し得る。
【0126】
本明細書に開示する複合スキャフォールドの物理的寸法および生体力学的特性は、縫合糸修復、単独の修復または再構築、または組織移植片を使用して固定目的の再構築などの強化を含む、多岐にわたる医療処置での使用のために最適化される。複合スキャフォールドを使用する修復または再構築の強化は、膝、足首、肩、肘、および手、および非筋骨格軟組織に適用し得る。このような物理的特性は、ヘルニアメッシュや整形外科用縫合テープなどの市販製品の特性とはある程度異なり、上述の処置により適する。例えば、整形外科用縫合テープが存在し、3次元的存在として測定可能であるが、手術に関連するどの点から見ても、腱または靭帯の特性を高める、または模倣するために必要な組織の容積を再生する価値がほとんどない事実上2次元的である。幅広い用途を有し、スキャフォールドと見なすことができる生体吸収性材料で構築された外科用メッシュおよびパッチの場合、材料が完全に吸収された後で形成される結果として生じる組織面は、非常に薄く弱い可能性があり、これは、スキャフォールド内の細胞内殖のための厚み、および/または適切な細孔径の十分な空隙容積の不足によるものである。そのため、ポリマーの分解後に、より厚く、より強い組織面を再生するに十分な厚みの組織スキャフォールドを作成する必要があることは明らかである。
【0127】
例示的な実施形態において、以下の図12および表4は、いくつかのサンプルに関し、開示する複合スキャフォールドにより増強された腱が、腱単独よりも、一貫して強く、同様の伸張に関し大きな力を扱うことができることを示している。
【表7】
【0128】
開示する複合スキャフォールドの別の代替形態は、経編または緯編であるかどうかにかかわらず、自家移植、同種移植、または修復された腱または靭帯に関し「シース」として使用可能な、管状スペーサーを利用することである。これを作成する1つの方法は、図14に示す通り、平らなスペーサー布を用い、縫製、熱溶着、またはその他の手段で反対側の縁部を取り付けてチューブを作成することである。あるいは、カスタマイズされた円形編み物を使用して、連結継目のない管状スペーサー布を編むことが可能である。管状スペーサーを作る別の代替方法は、3D円形織りプリフォームの方法で構造体を織ることであり、方法と構造体を図15に示す。
【0129】
多孔質マトリクスを保持する構造体として織物要素を製造する代替方法は、弾性または非弾性材料から構造体を3D印刷し、次に多孔質マトリクスを充填することである。
あるいは、構造体とマトリクスの両方を、1つまたは多くの材料から、別個であるが結合された存在として、または、強度、多孔性、および圧縮に対する耐性の両方を提供する単一の存在として、3D印刷することが可能である。
【0130】
実施形態において、スキャフォールドは、強度を提供するための織物の外皮、および、圧縮に対する耐性を提供するための3D印刷された内側支持構造体とを持つ複合構造体を含む。このようなスキャフォールドは、長方形または管状のいずれかの形状であり得る。編組は、管状構造体を製造する費用効果の高い方法として使用し得る。3D印刷された内部支持構造体インサートの上に編むことにより、組織内殖に必要な連続スペースが提供される。外部編組構造体に縦方向に編組したポリマー繊維を提供して、スキャフォールドの引張特性をさらに調節し得る。
【0131】
実施例
実施例1 - 織物スキャフォールドの製造
スキャフォールド布の製造に使用するために、75デニール/30フィラメントのポリ-L-乳酸(PLLA)ヤーンを生産した。布を生産するためのカールマイヤー社のダブルニードルバー機で使用するためにワープビームを生産した。その幅にわたり6ウェールズの5mm幅の布、および、27ウェールズの23mm幅の布を、つまり、22ゲージのニードルベッドを使用して、生産した。2つの表面層をスペーサーヤーンによりZ方向に離して、2mm厚みの布を作成した。布を脱イオン水とイソプロピルアルコールの混合液で超音波バスにて洗い流し、乾燥した。
【0132】
実施例2 - ACL増強/修復デバイスの製造
0.6%コラーゲン溶液(重量)を、低モル濃度酢酸と粉末状のタイプ1ウシコラーゲンを使用して作った。この溶液を混ぜ合わせ、真空処理して閉じ込められた気泡を除去した。図5Aに示す通りのステンレス鋼の型、その穴を少量のコラーゲン溶液で満たした。26cm長さ、5mm幅のサンプルで、実施例1からの織物スキャフォールドを、織物面が穴の底に平行になるように型に配置し、各端部にクランプを使用して織物を固定し、動きを防いだ。追加のコラーゲン溶液を織物が入った穴に充填し、織物をコラーゲン溶液に完全に沈めた。織物とコラーゲン溶液が入った型を真空処理し、織物内部の残りの空気を取り除き、織物に溶液を完全に充填した。
【0133】
次に、型をSP Scientific AdVantage Plus凍結乾燥機に入れ、サンプルを凍結乾燥し、凍結乾燥プロセスは、凍結乾燥機の内部を室温から-55℃まで2時間かけた。乾燥した高多孔性で低密度のコラーゲンマトリクスで充填された織物を、型の穴から取り出し、ワイヤーラック上の密閉チャンバに置いた。ホルムアルデヒドとエタノールの溶液をトレイに注ぎ、トレイを製品のラックの下に置き、チャンバのドアを密閉した。溶液からの蒸気が、織物内のコラーゲンを架橋する。2時間後、トレイを取り出し、製品を清浄な乾燥空気がチャンバ内外にポンプで送られるエアレーションチャンバに移動し、これにより、架橋プロセスが効果的に停止した。最終的なデバイスは、ACLの増強または修復での使用に適した。
【0134】
実施例3 - 回旋腱板増強/修復デバイスの製造
実施例2の方法論に従って、しかし代わりに図5Bの型を使用して、23mm幅の布を収容するのに適した型を使用して、実施例1からの50mm×23mmの布片を含浸した。最終的なデバイスは、回旋腱板の増強または修復での使用に適した。
【0135】
実施例4 - マトリクス材料の製造
0.6%コラーゲン溶液(重量)を、低モル濃度酢酸と粉末状のタイプ1ウシコラーゲンを使用して作った。この溶液を混ぜ合わせ、真空処理して閉じ込められた気泡を除去した。次に、溶液を実施例2および3と同様に凍結乾燥した。
【0136】
実施例5 - 腱増強のデモンストレーション
豚の深指屈筋を地元の畜殺場から入手した。実施例1の複合スキャフォールドデバイスを組織上で二重にし、一端を#2縫合糸でホイップステッチした。引張試験機を使用して、移植片調製テーブルを模倣した。引張試験機の上部グリップジョーに、ホイップステッチした端部を固定した。複合スキャフォールドの両端部に適切な力で荷重をかけ、下部グリップジョーを固定することで、予張をかけた。この構築物を、3.75mm伸張とゼロに戻すことを繰り返した。性能データを以下の表3に示し、複合スキャフォールドの予張がスキャフォールドにより提供される補強を制御する能力を証明した。
【0137】
【表8】
【0138】
本明細書に記載の複合スキャフォールドのサイズは、意図される用途に応じて変化し得るが、スキャフォールドは、異なる軟組織のサイズおよび用途に採用するために、最大1000mmの長さ、および3mm~1000mmの幅を有し得ることが図られる。さらに、幅は、スキャフォールドの端部で縫合糸幅に向かい、テーパーになり得る。
【0139】
本開示は、図面と併せて読むべき以下の説明を通して、より完全に理解されるであろう。この説明において、同様の番号は、本開示の様々な実施形態内の同様の要素を参照する。当業者は、本明細書に記載の方法、装置、およびシステムが単なる例示であり、本開示の精神および範囲から逸脱することなく変更を加えることが可能であることを容易に理解するであろう。用語「含む」(comprise)、「含む」(include)、および/または、それぞれの複数形は開放形式であり、記載された部分を含み、記載されていない追加の部分をも含むことが可能である。用語「および/または」(and/or)は開放形式であり、記載された部分の1つ以上、および記載された部分の組み合わせが含まれる。
【0140】
本明細書の様々な場所で、値はグループで、または範囲で開示される。説明には、このようなグループおよび範囲の要素の個々の副結合、およびこのようなグループまたは範囲の様々な終点の任意の組み合わせが含まれることを具体的に意図する。例えば、0~40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、および40を個別に開示することを具体的に意図し、1~20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20を個別に開示することを具体的に意図する。実数は、少なくとも小数点以下3桁までの値を含み、同様に包括的であることを意図する。
前述の説明は、説明のために提示した。これは網羅的ではなく、開示した明確な形態または実施形態に限定されない。改造および適合は、開示する実施形態の仕様および実施を考慮することから、当業者には明らかであろう。
【0141】
本明細書で使用される場合、「1つ」(“a”and“an”)は、「1つ以上」を意味する。同様に、用語「複数」の使用は、それが所与の文脈において明白でない限り、必ずしも「複数」を意味するものではない。「および」または「または」などの語は、具体的に明記されない限り、「および/または」を意味する。さらに、本開示を研究することから多数の改造および変形が容易に生じるので、本開示を、図示および説明した通りの厳格な構造および操作に限定することは望ましくなく、従って、開示の範囲内のすべての適切な改造および同等物は再区分され得る。
【0142】
本開示のいくつかの実施形態を図に示したが、本開示は当技術分野が許す限り広い範囲であり、明細書も同様に読まれることを意図するので、本開示をそれに限定することは意図しない。上述の実施形態の任意の組み合わせも想定され、添付の特許請求の範囲内である。さらに、例示的な実施形態が本明細書に説明されているが、任意の、およびすべての実施形態の範囲には、本開示に基づいて当業者により理解されるであろう、同等の要素、改造、省略、組み合わせ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)、適合、および/または変更が含まれる。特許請求の制限は、特許請求で使用される言語に基づいて広く解釈されるべきであり、本出願に説明される例に限定されない。例は非排他的であると解釈されるべきである。さらに、開示する方法のステップは、ステップの並べ替え、および/またはステップの挿入または削除を含む、任意の方法で改造し得る。従って、明細書および実施例は例示としてのみ見なすことを意図しており、真の範囲および精神は、以下の特許請求およびそれらの同等物の全範囲により示されている。
【0143】
本開示のいくつかの実施形態を図に示したが、本開示は当技術分野が許す限り広い範囲であり、明細書も同様に読まれることを意図するので、本開示をそれに限定することは意図しない。上述の実施形態の任意の組み合わせも想定され、添付の特許請求の範囲内である。従って、上述の説明は、限定的として解釈されるべきではなく、単に具体的な実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲および精神の範囲内で、他の改造を想像するであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B-C】
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合スキャフォールドであって、
第1の材料を含み、且つ微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な容積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を定義する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサーヤーンとを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記複数のスペーサーヤーンは第1の材料とは異なる第2の材料を含む、
を含み、
前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置され、
前記複合スキャフォールドの1グラム当たりの前記微多孔マトリクスの空隙の容積が約3.0cm/グラムから9.0cm/グラムの間である、
前記複合スキャフォールド。
【請求項2】
前記複合スキャフォールドの1グラム当たりの前記微多孔マトリクスの空隙の容積が約3.5cm/グラムから7.0cm/グラムの間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項3】
前記複合スキャフォールドの1グラム当たりの前記微多孔マトリクスの空隙の容積が約4.0cm/グラムから5.0cm/グラムの間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項4】
前記複合スキャフォールドの表面積が約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項5】
複合スキャフォールドであって、
第1の材料を含み、且つ微多孔マトリクスの外面に開口し、測定可能な空隙容積を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を定義する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサーヤーンとを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記複数のスペーサーヤーンは第1の材料とは異なる第2の材料を含む、
を含み、
前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置され、
前記微多孔マトリクスの測定可能な空隙容積が、前記複合スキャフォールドの測定可能な容積の約75%から98%の間である、
前記複合スキャフォールド。
【請求項6】
前記微多孔マトリクスの測定可能な空隙容積が、前記複合スキャフォールドの測定可能な容積の約80%から90%の間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項7】
前記微多孔マトリクスの測定可能な空隙容積が、前記複合スキャフォールドの測定可能な容積の約80%から85%の間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項8】
約0.3m/グラムから1.5m/グラムの間の表面積を有する、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項9】
測定可能な容積を占有する複合スキャフォールドであって、
第1の材料を含み、且つ空隙表面積を有する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を定義する微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサーヤーンとを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記複数のスペーサーヤーンは第1の材料とは異なる第2の材料を含む、
を含み、
前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置され、
前記複合スキャフォールドの測定可能な容積に対する前記空隙表面積は、約5,000cm/cmから16,000cm/cmの間である、
前記複合スキャフォールド。
【請求項10】
前記複合スキャフォールドの測定可能な容積に対する前記空隙表面積が、約7,000cm/cmから14,000cm/cmの間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項11】
前記複合スキャフォールドの測定可能な容積に対する前記空隙表面積が、約9,000cm/cmから12,000cm/cmの間である、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項12】
.5N/mmから25N/mm程度の剛性を有し得る、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項13】
0%から70%程度の終局ひずみを有する、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項14】
100Nから200N程度の終局荷重を有する、請求項に記載の複合スキャフォールド。
【請求項15】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素とを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置される、
を含み、
前記複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの容積を表す測定可能な乾燥容積値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約0%から10%の間で変化する、
前記複合スキャフォールド。
【請求項16】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約2%から7%の間で変化する、請求項15に記載の複合スキャフォールド。
【請求項17】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約4%から6%の間で変化する、請求項15に記載の複合スキャフォールド。
【請求項18】
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な乾燥長さ値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約0%から3%の間で変化する、請求項15に記載の複合スキャフォールド。
【請求項19】
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な乾燥長さ値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約0%から2%の間で変化する、請求項15に記載の複合スキャフォールド。
【請求項20】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素とを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置される、
を含み、
前記複合スキャフォールドは、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な乾燥長さ値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約200%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約0%から3%の間未満で変化する、
前記複合スキャフォールド。
【請求項21】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約0%から2%の間で変化する、請求項20に記載の複合スキャフォールド。
【請求項22】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約500%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥長さ値が約1%未満で変化する、請求項20に記載の複合スキャフォールド。
【請求項23】
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの容積を表す測定可能な乾燥容積値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約2%から7%の間で変化する、請求項20に記載の複合スキャフォールド。
【請求項24】
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの容積を表す測定可能な乾燥容積値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記乾燥容積値が約4%から6%の間で変化する、請求項20に記載の複合スキャフォールド。
【請求項25】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素とを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置される、
を含み、
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値、および実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの寸法パラメータを表す測定可能な断面プロファイル値を有し、
前記複合スキャフォールドの前記重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約0%から3%の間で変化する、
前記複合スキャフォールド。
【請求項26】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約0%から2%の間で変化する、請求項25に記載の複合スキャフォールド。
【請求項27】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約500%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約1%未満で変化する、請求項25に記載の複合スキャフォールド。
【請求項28】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約300%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約0%から2%の間で増加する、請求項25に記載の複合スキャフォールド。
【請求項29】
前記複合スキャフォールドの前記乾燥重量値が流体吸収により約500%から600%の間で増加することにより、前記複合スキャフォールドの前記断面プロファイル値が約1%未満で増加する、請求項25に記載の複合スキャフォールド。
【請求項30】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素とを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置される、
を含み、
前記複合スキャフォールドの最小寸法は、約1mm以上の厚さ寸法であり、および
前記複合スキャフォールドは、前記複合スキャフォールドの測定した湿潤厚みが、前記複合スキャフォールドの測定した乾燥厚みとの比較において、10%以下の変化が測定可能な膨潤プロファイルを有する、
前記複合スキャフォールド。
【請求項31】
複合スキャフォールドであって、
微多孔マトリクスの外面に開口する空隙を集合的に定義する多数の相互接続された細孔を有する前記微多孔マトリクス、および
内部空間により区切られた第1および第2の外層と、前記内部空間を通って延在し、前記第1の外層と前記第2の外層を接続する複数のスペーサー要素とを含む、前記微多孔マトリクスを支持する構造体、ここで前記微多孔マトリクスが前記内部空間内に配置される、
を含み、
前記複合スキャフォールドが、実質的に乾燥状態にある前記複合スキャフォールドの重量を表す測定可能な乾燥重量値を有し、
前記微多孔マトリクスが、前記複合スキャフォールドの乾燥重量値の約6%未満である、
前記複合スキャフォールド。
【外国語明細書】