(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013470
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6557 20140101AFI20250117BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20250117BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250117BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20250117BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20250117BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20250117BHJP
H01M 10/623 20140101ALI20250117BHJP
H01M 10/6235 20140101ALI20250117BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250117BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M50/209
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/647
H01M10/623
H01M10/6235
H01M10/625
H01M50/289 101
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024193047
(22)【出願日】2024-11-01
(62)【分割の表示】P 2022529895の分割
【原出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 占宇
(72)【発明者】
【氏名】侯 ▲躍▼攀
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(57)【要約】
【課題】電池10、電力消費機器、電池の製造方法300及び機器400を提供する。
【解決手段】該電池10は、第1方向xに沿って配列された複数の電池セル20と、前記第1方向xに沿って延在し、且つ前記複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁2111に接続される熱管理部材101であって、前記熱管理部材101は第2方向yに沿って対向して設けられた一対の熱伝導板1011及び前記一対の熱伝導板1011の間に位置する流路1012を含み、前記流路1012は流体を収納して前記電池セル20の温度を調整することに用いられ、前記第2方向yは前記第1壁2111に垂直である、熱管理部材101と、を含み、前記第2方向yにおいて、前記熱伝導板1011の厚さDと前記流路1012のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。本願の実施例の技術案は、電池の性能を向上させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
第1方向に沿って配列された複数の電池セルと、
前記第1方向に沿って延在し、且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続される熱管理部材であって、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材は、第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び前記一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、前記流路は流体を収納して前記電池セルの温度を調整することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直である、熱管理部材と、を含み、
前記熱管理部材の前記第2方向におけるサイズWと前記第1壁の面積Aは0.03mm-1≦W/A*1000≦2mm-1を満たすことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第2方向において、前記熱伝導板の厚さDと前記流路のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記熱伝導板の厚さDと前記流路のサイズHは0.05≦D/H≦15を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記熱管理部材の前記第2方向におけるサイズWは0.3~100mmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記熱伝導板の厚さDは0.1~25mmであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記流路のサイズHは0.1~50mmであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記熱管理部材は前記一対の熱伝導板の間に設けられたリブをさらに含み、前記リブ及び前記一対の熱伝導板は前記流路を形成することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記リブと前記熱伝導板がなす夾角は鋭角であることを特徴とする請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記リブの厚さXは(-0.0005*F+0.4738)mm以上であり、ここでFは前記リブの材料の引張強度であることを特徴とする請求項7又は8に記載の電池。
【請求項10】
前記電池セルは、前記第2方向に対向して設けられた2つの前記第1壁と、前記第1方向に対向して設けられた2つの第2壁とを含み、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セルの前記第2壁は対向することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記電池は、前記第1方向に沿って配列された複数列の複数の前記電池セルと、複数の前記熱管理部材とを含み、複数列の前記電池セルと複数の前記熱管理部材は前記第2方向に交互に設けられることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記熱管理部材は前記第1壁に接着されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
電気エネルギーを提供するための請求項1~12のいずれか1項に記載の電池を含むことを特徴とする電力消費機器。
【請求項14】
電池の製造方法であって、
第1方向に沿って配列された複数の電池セルを提供するステップと、
前記第1方向に沿って延在し、且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続される熱管理部材を提供するステップであって、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材は、第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び前記一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、前記流路は流体を収納して前記電池セルの温度を調整することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直である、ステップと、を含み、
前記熱管理部材の前記第2方向におけるサイズWと前記第1壁の面積Aは0.03mm-1≦W/A*1000≦2mm-1を満たすことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項15】
電池の製造機器であって、
第1方向に沿って配列された複数の電池セルを提供するための第1提供モジュールと、 前記第1方向に沿って延在し、且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続される熱管理部材を提供するための第2提供モジュールであって、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材は、第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び前記一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、前記流路は流体を収納して前記電池セルの温度を調整することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直である、第2提供モジュールと、を含み、
前記熱管理部材の前記第2方向におけるサイズWと前記第1壁の面積Aは0.03mm-1≦W/A*1000≦2mm-1を満たすことを特徴とする電池の製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染が深刻になっていることに伴って、新エネルギー産業はますます注目されている。新エネルギー産業では、電池技術はその発展に関連する重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池のエネルギー密度は電池の性能における重要なパラメータの1つであるが、電池のエネルギー密度を向上させる時に、電池の他の性能パラメータを考慮する必要がある。従って、如何に電池の性能を向上させるかは、電池技術において急いで解決すべき技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器を提供し、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0005】
第1態様は、電池を提供し、第1方向に沿って配列された複数の電池セルと、前記第1方向に沿って延在し、且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続される熱管理部材であって、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材は、第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び前記一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、前記流路は流体を収納して前記電池セルの温度を調整することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直である、熱管理部材と、を含み、前記第2方向において、前記熱伝導板の厚さDと前記流路のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。
【0006】
本願の実施例では、電池には、熱管理部材は、第1方向に沿って配列された1列の複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積が最大の第1壁に接続されるように設けられ、熱管理部材は、第1壁に垂直な第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、第2方向において、熱伝導板の厚さDと流路のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。このように、電池の筐体の中央部にビームなどの構造を設ける必要がなくなり、電池の内部スペースの利用率を最大限に高めることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させ、それと同時に、上記熱管理部材を利用することにより電池の熱管理を確保することもできる。従って、本願の実施例の技術案は、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0007】
可能な実現形態では、前記熱伝導板の厚さDと前記流路のサイズHは0.05≦D/H≦15を満たし、よりさらに0.1≦D/H≦1を満たし、それによりスペース、強度及び熱管理をより良好に考慮し、電池の性能をさらに向上させる。
【0008】
可能な実現形態では、前記熱管理部材の前記第2方向におけるサイズWは0.3~100mmである。Wが大きすぎるとスペースが多く占有し、Wが小さすぎると強度が低すぎ又は流路が狭すぎて熱管理性能に影響を与える。従って、熱管理部材の合計厚さWが0.3~100mmである場合、スペース、強度及び熱管理を考慮し、電池の性能を確保することができる。
【0009】
可能な実現形態では、前記熱伝導板の厚さDは0.1~25mmである。熱伝導板の厚さDが大きすぎると、スペースが多く占有し、且つ熱管理部材が電池セルの必要な膨張スペースをタイムリーに明け渡すことができず、Dが小さすぎると強度が低くなりすぎる。従って、熱伝導板の厚さDが0.1~25mmである場合、スペース、強度及び電池セルの膨張需要を考慮し、電池の性能を確保することができる。
【0010】
可能な実現形態では、前記流路のサイズHは0.1~50mmである。このように、スペース、強度及び熱管理性能を考慮し、電池の性能を確保することができる。
【0011】
可能な実現形態では、前記熱管理部材の前記第2方向におけるサイズWと前記第1壁の面積Aは0.03mm-1≦W/A*1000≦2mm-1を満たす。このように、強度及び熱管理性能の需要を同時に考慮し、電池の性能を確保することができる。
【0012】
可能な実現形態では、前記熱管理部材は前記一対の熱伝導板の間に設けられたリブをさらに含み、前記リブ及び前記一対の熱伝導板は前記流路を形成する。前記リブは熱管理部材の強度を向上させることができる。
【0013】
可能な実現形態では、前記リブと前記熱伝導板がなす夾角は鋭角である。このように、第2方向において、熱管理部材は大きな圧縮スペースを有し、それにより電池セルのために大きな膨張スペースを提供することができる。
【0014】
可能な実現形態では、前記リブの厚さXは(-0.0005*F+0.4738)mm以上であり、ここでFは前記リブの材料の引張強度である。熱管理部材の応力需要を満たすために、強度の高い材料が選択され、内部リブの厚さXを薄くすることができ、それによりスペースを節約し、エネルギー密度を向上させる。
【0015】
可能な実現形態では、前記電池セルは、前記第2方向に対向して設けられた2つの前記第1壁と、前記第1方向に対向して設けられた2つの第2壁とを含み、前記第1方向において、隣接する2つの前記電池セルの前記第2壁は対向する。このように、大面積の第1壁を熱管理部材に接続することは、電池セルの熱交換に有利であり、電池の性能を確保する。
【0016】
可能な実現形態では、前記電池は、前記第1方向に沿って配列された複数列の複数の前記電池セルと、複数の前記熱管理部材とを含み、複数列の前記電池セルと複数の前記熱管理部材は前記第2方向に交互に設けられる。
【0017】
このように、複数列の電池セル及び複数の熱管理部材は互いに接続されて一体化され、筐体内に収納され、各列の電池セルを効果的に熱管理できるだけでなく、電池全体の構造強度を確保でき、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0018】
可能な実現形態では、前記熱管理部材は前記第1壁に接着される。
【0019】
第2態様は、電力消費機器を提供し、電気エネルギーを提供するための上記第1態様又は第1態様の任意の可能な実現形態における電池を含む。
【0020】
第3態様は、電池の製造方法を提供し、第1方向に沿って配列された複数の電池セルを提供するステップと、前記第1方向に沿って延在し、且つ前記複数の電池セルのうちの各電池セルの第1壁に接続される熱管理部材を提供するステップであって、前記第1壁は前記電池セルの表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材は、第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び前記一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、前記流路は流体を収納して前記電池セルの温度を調整することに用いられ、前記第2方向は前記第1壁に垂直である、ステップと、を含み、前記第2方向において、前記熱伝導板の厚さDと前記流路のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。
【0021】
第4態様は、電池の製造機器を提供し、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む。
【0022】
本願の実施例の技術案では、電池には、熱管理部材は、第1方向に沿って配列された1列の複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積が最大の第1壁に接続されるように設けられ、熱管理部材は、第1壁に垂直な第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、第2方向において、熱伝導板の厚さDと流路のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。このように、電池の筐体の中央部にビームなどの構造を設ける必要がなくなり、電池の内部スペースの利用率を最大限に高めることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させ、それと同時に、上記熱管理部材を利用することにより電池の熱管理を確保することもできる。従って、本願の実施例の技術案は、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0023】
図面の簡単な説明
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずに、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】本願の一実施例に係る電池セルの模式図である。
【
図5】本願の一実施例に係る1列の電池セル及び熱管理部材の分解図である。
【
図6】本願の一実施例に係る1列の電池セル及び熱管理部材の平面模式図である。
【
図7】
図6におけるA-Aに沿った断面模式図である。
【
図9】本願の一実施例に係る電池の製造方法の概略フローチャートである。
【
図10】本願の一実施例に係る電池の製造機器の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面では、図面は実際の縮尺で描かれていない。
【0026】
発明を実施するための形態
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するためのものであり、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0027】
本願の説明では、説明する必要があるように、特に説明されない限り、使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が理解できる一般的な意味を有し、使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではなく、本願の明細書、特許請求の範囲、及び上記図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するものであり、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が示した方位又は位置関係は、本願を容易に説明し及び説明を簡略化させるためのものに過ぎず、示した装置又は素子が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限しないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、相対的な重要性を指示又は暗示するものではなく、説明するためのものに過ぎない。「垂直」は厳密には垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密には平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0028】
本願で言及されている「実施例」は、実施例を組み合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な位置に現れる該語句は必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的に独立した又は代替の実施例でもない。当業者は、本願で説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的又は暗黙的に理解できる。
【0029】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも図示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明では、説明する必要があるように、特に明確に規定及び限定されない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0030】
本願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在し得ることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本願における「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0031】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、円筒体、扁平状、直方体又は他の形状などであってもよく、同様に、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、一般的にパッケージ方式に応じて、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、同様に、本願の実施例はこれを限定しない。
【0032】
本願の実施例に係る電池は、より高い電圧及び容量を供給するように1つ又は複数のセルを備える単一の物理モジュールである。例えば、本願に係る電池は、電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に悪影響を与えることを回避できる。
【0033】
電池セルは、電極組立体と、電解液とを含み、電極組立体は、正極板、負極板及びセパレータからなる。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間に移動することにより動作する。正極板は、正極集電体と、正極活物質層とを含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布されている集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして機能する。リチウムイオン電池を例とし、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と、負極活物質層とを含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして機能する。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコンなどであってもよい。溶断が発生せずに高電流が流れることを確保するために、正極タブは複数であり且つ一体に積層され、負極タブは複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質はポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)などであってもよい。また、電極組立体は、巻回構造であってもよく、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0034】
様々な電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、複数の電池セル同士は直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは直列接続と並列接続の組み合わせを指す。選択可能に、複数の電池セルをまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを形成し、次に複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を形成することができる。つまり、複数の電池セルは電池を直接形成してもよく、まず電池モジュールを形成し、次に電池モジュールが電池を形成してもよい。電池はさらに電力消費機器に設けられ、電力消費機器に電気エネルギーを提供する。
【0035】
電池技術の発展は、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レート、安全性などの様々な設計要素を同時に考慮する必要がある。電池の内部スペースが一定の場合、電池の内部スペースの利用率を高めることは、電池のエネルギー密度を向上させるための効果的な手段である。しかし、電池の内部スペースの利用率を高めるとともに、熱管理などの電池の他のパラメータを考慮する必要がある。
【0036】
これに鑑みて、本願の実施例は技術案を提供し、電池には、熱管理部材は、第1方向に沿って配列された1列の複数の電池セルのうちの各電池セルの表面積が最大の第1壁に接続されるように設けられ、熱管理部材は、第1壁に垂直な第2方向に沿って対向して設けられた一対の熱伝導板及び一対の熱伝導板の間に位置する流路を含み、第2方向において、熱伝導板の厚さDと流路のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。このように、電池の筐体の中央部にビームなどの構造を設ける必要がなくなり、電池の内部スペースの利用率を最大限に高めることができ、それにより電池のエネルギー密度を向上させ、それと同時に、上記熱管理部材を利用することにより電池の熱管理を確保することもできる。従って、本願の実施例の技術案は、電池のエネルギー密度を向上させるとともに電池の熱管理を確保することができ、それにより電池の性能を向上させることができる。
【0037】
本願の実施例で説明される技術案は、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電気自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船舶及び宇宙機などの電池を使用する様々な装置に適用でき、例えば、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0038】
理解されるように、本願の実施例で説明される技術案は、上記説明された機器に適用できるだけでなく、電池を使用する全ての機器に適用でき、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0039】
例えば、
図1に示すように、本願の一実施例に係る車両1の構造模式図であり、車両1はガソリン車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設けられてもよく、コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10が設けられてもよい。電池10は車両1の給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の操作電源として機能でき、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源として機能できるだけでなく、車両1の駆動電源として機能でき、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供する。
【0040】
様々な電力使用需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを含んでもよい。例えば、
図2に示すように、本願の一実施例に係る電池10の構造模式図であり、電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池10は筐体11をさらに含んでもよく、筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体11内に収納される。例えば、複数の電池セル20は互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせられた後に、筐体11内に配置される。
【0041】
選択可能に、電池10は他の構造をさらに含んでもよく、ここで詳細な説明を省略する。例えば、該電池10はバス部材をさらに含んでもよく、バス部材は、複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することにより電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定することができる。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに、導電機構を介して筐体を通過して導出することができる。選択可能に、導電機構はバス部材に属してもよい。
【0042】
様々な電力需要に応じて、電池セル20の数は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は、直列接続、並列接続又は直並列接続されて大容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ化して設けてもよく、各グループの電池セル20は電池モジュールを形成する。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設定することができる。電池は複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは、直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することができる。
【0043】
図3に示すように、本願の一実施例に係る電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は、1つ又は複数の電極組立体22と、ハウジング211と、蓋板212とを含む。ハウジング211と蓋板212はケーシング又は電池ボックス21を形成する。ハウジング211の壁及び蓋板212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれ、直方体形の電池セル20の場合、ハウジング211の壁は底壁及び4つの側壁を含む。ハウジング211は1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた後の形状に応じて決められ、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円筒体であってもよく、且つハウジング211の1つの面には、1つ又は複数の電極組立体22をハウジング211内に容易に配置することができる開口部がある。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211の1つの面は開口面であり、すなわち該平面は壁体を有さずにハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211が中空の円筒体である場合、ハウジング211の端面は開口面であり、すなわち該端面は壁体を有さずにハウジング211の内外を連通させる。蓋板212は開口部を覆い且つハウジング211に接続されることで、電極組立体22を配置する密閉キャビティが形成される。ハウジング211内に電解
液などの電解質が充填される。
【0044】
該電池セル20は2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214
は蓋板212に設けられてもよい。蓋板212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214は蓋板212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正電極端子214a及び負電極端子214bである。各電極端子214にはそれぞれ接続部材23が対して設けられ、接続部材23は、集電部材23とも呼ばれ、蓋板212と電極組立体22との間に位置し、電極組立体22と電極端子214の電気的接続を実現することに用いられる。
【0045】
図3に示すように、各電極組立体22は第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極組立体22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体22の第2タブ222aは別の接続部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは別の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0046】
該電池セル20においては、実際の使用需要に応じて、電極組立体22は1つ又は複数設けられてもよく、
図3に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極組立体22が設けられる。
【0047】
電池セル20にリリーフ機構213がさらに設けられてもよい。リリーフ機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0048】
リリーフ機構213は様々な可能なリリーフ構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。例えば、リリーフ機構213は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値になった時に溶融できるように構成される感温リリーフ機構であってもよく、及び/又は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20の内部空気圧が閾値になった時に破裂できるように構成される感圧リリーフ機構であってもよい。
【0049】
図4は本願の一実施例に係る電池10の構造模式図を示す。
【0050】
電池10は、第1方向xに沿って配列された複数の電池セル20と、熱管理部材101とを含む。
【0051】
第1方向xは電池10における1列の電池セル20の配列方向である。つまり、電池10における1列の電池セル20はx方向に沿って配列される。
【0052】
図5は1列の電池セル20及び熱管理部材101の分解図を示し、
図6は1列の電池セル20及び熱管理部材101の平面模式図であり、
図7は
図6におけるA-Aに沿った断面模式図であり、
図8は
図7におけるB部分の拡大図である。
【0053】
熱管理部材101は第1方向xに沿って延在し、且つ複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁2111に接続され、第1壁2111は電池セル20の表面積が最大の壁である。
【0054】
電池セル20は複数の壁を含んでもよく、電池セル20のうち表面積が最大の第1壁2111は熱管理部材101に接続される。つまり、電池セル20の第1壁2111は熱管理部材101に対向し、すなわち、電池セル20の第1壁2111は第1方向xに平行である。
【0055】
図7及び
図8に示すように、熱管理部材101は、第2方向yに沿って対向して設けられた一対の熱伝導板1011及び該一対の熱伝導板1011の間に位置する流路1012を含み、流路1012は流体を収納して電池セル20の温度を調整することに用いられ、第2方向yは第1壁2111に垂直である。
【0056】
熱管理部材101は流体を収納して複数の電池セル20の温度を調整することに用いられる。流体は液体又はガスであってもよく、温度の調整とは、複数の電池セル20を加熱又は冷却することを指す。電池セル20を降温させる場合、流路1012は冷却媒体を収納して複数の電池セル20の温度を調整することができ、このとき、熱管理部材101は冷却部材又は冷却板などと呼ばれてもよく、収納された流体は冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと呼ばれてもよい。また、熱管理部材101は加熱に用いられてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。選択可能に、流体は循環的に流れるものであってもよく、これにより、より優れた温度調整効果を達成する。選択可能に、流体は水、水とグリコールの混合液、冷却剤又は空気などであってもよい。選択可能に、熱管理部材101の第1方向xにおける両端に集電体102及び管路103が設けられ、管路103は流体を輸送することに用いられ、集電体102は流体を収集することに用いられる。
【0057】
第2方向yにおいて、熱伝導板1011の厚さDと流路1012のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。
【0058】
本願の実施例では、電池10には、熱管理部材101は、第1方向xに沿って配列された1列の複数の電池セル20のうちの各電池セル20の表面積が最大の第1壁2111に接続されるように設けられる。このように、電池10の筐体11の中央部にビームなどの構造を設ける必要がなくなり、電池10の内部スペースの利用率を最大限に高めることができ、それにより電池10のエネルギー密度を向上させる。
【0059】
それに対応し、電池10の性能を確保するために、熱管理部材101は強度及び熱管理性能の需要を考慮する必要がある。
【0060】
本願の実施例では、第2方向yにおける熱伝導板1011の厚さDと流路1012のサイズHが0.01≦D/H≦25を満たす場合、強度及び熱管理性能の需要を同時に考慮することができる。
【0061】
具体的には、流路1012のサイズHが大きい場合、流路1012中の流体の流動抵抗が低くなり、熱管理部材101の単位時間あたりの熱交換量を増加させることができ、熱伝導板1011の厚さDが大きい場合、熱管理部材101の強度が高くなる。D/Hが0.01未満の場合、流路1012のサイズHが十分に大きいが、占有したスペースが大きすぎ、又は熱管理部材101のスペースが一定である場合、熱伝導板1011の厚さDが
薄すぎて、強度が不十分になる可能性があり、例えば、電池10の振動衝撃の要件を満たすことができず、ひいては最初に組み立てられる時に熱管理部材101が押しつぶされる状況が発生する。D/H≧25の場合、熱伝導板1011の厚さDが十分に厚いが、熱管理部材101のスペースが一定である場合、流路1012のサイズHが小さすぎ、流路1012中の流体の流動抵抗が大きくなり、熱交換性能が低くなり又は使用プロセスで流路1012が詰まる可能性があり、それと同時に、熱伝導板1011の肉厚が厚すぎるため、電池セル20の膨張によって生成された力は、電池セル20の必要な膨張スペースに対応する熱管理部材101への押しつぶし力を満たすことができず、すなわち熱管理部材101は電池セル20の必要な膨張スペースをタイムリーに明け渡すことができず、これにより、電池セル20の容量低減が速くなる。従って、熱伝導板1011の厚さDと流路1012のサイズHが0.01≦D/H≦25を満たす場合、強度及び熱管理性能の需要を同時に考慮し、電池10の性能を確保することができる。
【0062】
本願の実施例では、電池10には、熱管理部材101は、第1方向xに沿って配列された1列の複数の電池セル20のうちの各電池セル20の表面積が最大の第1壁2111に接続されるように設けられ、熱管理部材101は、第1壁2111に垂直な第2方向y対向して設けられた一対の熱伝導板1011及び一対の熱伝導板1011の間に位置する流路1012を含み、第2方向yにおいて、熱伝導板1011の厚さDと流路1012のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。このように、電池10の筐体11の中央部にビームなどの構造を設ける必要がなくなり、電池10の内部スペースの利用率を最大限に高めることができ、それにより電池10のエネルギー密度を向上させ、それと同時に、上記熱管理部材101を利用することにより電池10の熱管理を確保することもできる。従って、本願の実施例の技術案は、電池10のエネルギー密度を向上させるとともに電池10の熱管理を確保することができ、それにより電池10の性能を向上させることができる。
【0063】
選択可能に、0.01≦D/H≦0.1の場合、流体は固液相変化材料又は液体作動媒体を用いてもよく、熱管理部材101は、外層が外皮としてフィルム状の材質で作られ、内部が補強のための骨格構造で充填され、該技術案は、強度の要件が低い場合又は熱管理部材101の圧縮性能の要件が高い場合に用いることができる。
【0064】
選択可能に、0.1≦D/H≦1の範囲の場合、熱管理部材101の内部は、流体作動媒体の対流熱交換又は気液相変化冷却方法を用い、熱交換媒体として液体作動媒体を用い、これにより、熱管理部材101の熱交換性能を確保する。
【0065】
選択可能に、1≦D/H≦25の場合、熱管理部材101は気液相変化冷却方法を用いることができ、内部の隙間を調整することにより、全体圧力を高め、作動媒体が熱管理部材101の内部に液体の形態で存在することを確保し、これにより、圧力損失に起因する気体と液体の2種の状態の共存現象の発生を防止し、熱交換性能を提供し、それと同時に、熱伝導板1011の厚さDが十分に厚いため、加熱時に内部作動媒体の気化圧力が高くなることに起因する熱管理部材101の破裂を防止することができる。
【0066】
選択可能に、本願の一実施例では、熱伝導板1011の厚さDと流路1012のサイズHはさらに0.05≦D/H≦15を満たし、よりさらに0.1≦D/H≦1を満たし、これにより、スペース、強度及び熱管理をより良好に考慮し、電池10の性能をさらに向上させる。
【0067】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101の第2方向yにおけるサイズWは0.3~100mmである。
【0068】
Wは熱管理部材101の合計厚さであり、すなわちW=2*D+Hである。Wが大きすぎるとスペースが多く占有し、Wが小さすぎると強度が低くなりすぎ又は流路1012が狭すぎて熱管理性能に影響を与える。従って、熱管理部材101の合計厚さWが0.3~100mmである場合、スペース、強度及び熱管理を考慮し、電池10の性能を確保することができる。
【0069】
選択可能に、本願の一実施例では、熱伝導板1011の厚さDは0.1~25mmである。
【0070】
熱伝導板1011の厚さDが大きすぎると、スペースが多く占有し、且つ熱管理部材101が電池セル20の必要な膨張スペースをタイムリーに明け渡すことができず、Dが小さすぎると強度が低くなりすぎる。従って、熱伝導板1011の厚さDが0.1~25mmである場合、スペース、強度及び電池セル20の膨張需要を考慮し、電池10の性能を確保することができる。
【0071】
選択可能に、本願の一実施例では、流路1012のサイズHは0.1~50mmである。
【0072】
具体的には、流路1012のサイズHは、応用プロセス中の詰まりを回避するために、少なくとも内部に現れる可能性がある不純物粒子のサイズよりも大きい必要があり、且つ流路1012のサイズHが小さすぎると、流路1012中の流体の流動抵抗が高くなり、熱交換性能が低くなるため、流路1012のサイズHは0.1mm以上である。流路1012のサイズHが大きすぎると、スペースが多く占有し又は強度が不十分である。従って、流路1012のサイズHが0.1~50mmである場合、スペース、強度及び熱管理性能を考慮し、電池10の性能を確保することができる。
【0073】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101の第2方向yにおけるサイズWと第1壁2111の面積Aは0.03mm-1≦W/A*1000≦2mm-1を満たす。
【0074】
WとAは上記条件を満たし、電池セル20の熱交換性能の需要及びサイズスペースの要件を満たすことができる。具体的には、電池セル20の第1壁2111の面積Aが大きい場合、冷却面積が大きくなり、熱管理部材101から電池セル20の表面への熱伝導抵抗を低減させることができ、熱管理部材101の合計厚さWが大きい場合、強度を向上させることができる。W/A*1000が0.03mm-1未満の場合、電池セル20の第1壁2111の面積Aが十分に大きいが、熱管理部材101が薄すぎて、強度が不十分になり、その結果、熱管理部材101が使用中に損傷又は亀裂する問題が発生する可能性がある。W/A*1000が2よりも大きい場合、熱管理部材101が十分に厚いが、電池セル20の第1壁2111の面積Aが小さすぎ、熱管理部材101が電池セル20に供給できる冷却面が不十分になり、電池セル20の放熱需要を満たすことができないリスクが存在する。従って、熱管理部材101の合計厚さWと第1壁2111の面積Aが0.03mm-1≦W/A*1000≦2mm-1を満たす場合、強度及び熱管理性能の需要を同時に考慮し、電池10の性能を確保することができる。
【0075】
選択可能に、本願の一実施例では、
図8に示すように、熱管理部材101は一対の熱伝導板1011の間に設けられたリブ1013をさらに含んでもよく、リブ1013及び該一対の熱伝導板1011は流路1012を形成する。リブ1013はさらに熱管理部材101の強度を向上させることができる。リブ1013の数は流路1012及び強度の需要に応じて設定されてもよい。
図8に示すように、リブ1013は熱伝導板1011に垂直であってもよく、この場合、熱管理部材101は大きな圧力を受けることができる。選択可能に、リブ1013は、C字形、波形又は十字形などの異形であってもよく、膨張を効果的に吸収することができるとともに、乱流を増加させ、熱交換効果を向上させることができる。
【0076】
選択可能に、本願の一実施例では、リブ1013と熱伝導板1011がなす夾角は鋭角であってもよい。つまり、リブ1013は熱伝導板1011に垂直ではなく、この場合、第2方向yにおいて、熱管理部材101は大きな圧縮スペースを有し、それにより電池セル20のために大きな膨張スペースを提供することができる。
【0077】
選択可能に、本願の一実施例では、リブ1013の厚さXは(-0.0005*F+0.4738)mm以上であり、ここでFはリブ1013の材料の引張強度であり、単位はMPaである。つまり、リブ1013の最小厚さXは(-0.0005*F+0.4738)mmであってもよい。
【0078】
リブ1013の厚さXはその材料の引張強度に関連する。上記関係式に基づき、熱管理部材101の応力需要を満たすために、強度の高い材料が選択され、内部リブ1013の厚さXを薄くすることができ、それによりスペースを節約し、エネルギー密度を向上させる。選択可能に、リブ1013の厚さXは0.2mm~1mmであってもよい。
【0079】
選択可能に、本願の一実施例では、電池セル20は、第2方向yに対向して設けられた2つの第1壁2111と、第1方向xに対向して設けられた2つの第2壁2112とを含み、第1方向xにおいて、隣接する2つの電池セル20の第2壁2112は対向する。つまり、角形電池セル20の場合、その大側面である第1壁2111は熱管理部材101に接続され、その小側面である第2壁2112は隣接する電池セル20の第2壁2112に接続され、これにより、第1方向xに1列に配列される。このように、大面積の第1壁2111を熱管理部材101に接続することは、電池セル20の熱交換に有利であり、電池10の性能を確保する。
【0080】
選択可能に、本願の一実施例では、電池10は、第1方向xに沿って配列された複数列の複数の電池セル20と、複数の熱管理部材101とを含み、複数列の電池セル20と複数の熱管理部材101は第2方向yに交互に設けられる。つまり、複数列の電池セル20と複数の熱管理部材101は熱管理部材101、電池セル20列、熱管理部材101…、又は、電池セル20列、熱管理部材101、電池セル20列…に応じて設けられてもよい。このように、複数列の電池セル20と複数の熱管理部材101は互いに接続されて一体化され、筐体11内に収納され、各列の電池セル20を効果的に熱管理できるだけでなく、電池10全体の構造強度を確保でき、それにより電池10の性能を向上させることができる。
【0081】
選択可能に、本願の一実施例では、電池10は複数の電池モジュールを含んでもよい。電池モジュールは、第1方向xに沿って配列された少なくとも1列の複数の電池セル20と、少なくとも1つの熱管理部材101を含み、且つ少なくとも1列の電池セル20と少なくとも1つの熱管理部材101は第2方向yに交互に設けられる。つまり、各電池モジュールに対して、そのうちの電池セル20列と熱管理部材101は第2方向yに交互に設けられ、複数の電池モジュールは筐体11内に収納されて、電池10を形成する。選択可能に、複数の電池モジュールは第2方向yに沿って配列され、隣接する電池モジュールの間に隙間がある。
【0082】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材101は第1壁2111に接着される。つまり、熱管理部材101と電池セル20とは、接着によって固定接続されてもよく、例えば、構造用接着剤を介して接着されるが、本願の実施例はこれを限定しない。
【0083】
選択可能に、電池セル20は筐体11に接着して固定されてもよい。選択可能に、各列の電池セル20のうち隣接する電池セル20の間は接着されてもよく、例えば、隣接する2つの電池セル20の第2壁2112は構造用接着剤を介して接着されるが、本願の実施例はこれを限定しない。各列の電池セル20のうち隣接する電池セル20の間の接着固定によってさらに電池セル20の固定効果を向上させることができる。
【0084】
理解されるように、本願の各実施例における関連部分は互いに参照すればよく、簡潔にするために詳細な説明を省略する。
【0085】
本願の一実施例はさらに電力消費機器を提供し、該電力消費機器は、上記実施例における電池10を含んでもよい。選択可能に、該電力消費機器は車両1、船舶又は宇宙機などであってもよいが、本願の実施例はこれを限定しない。
【0086】
以上、本願の実施例の電池10及び電力消費機器が説明されており、以下、本願の実施例の電池の製造方法及び機器を説明し、ここで詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0087】
図9は本願の一実施例に係る電池の製造方法300の概略フローチャートを示す。
図9に示すように、該方法300は以下を含んでもよい。
【0088】
ステップ310、第1方向xに沿って配列された複数の電池セル20を提供する。
【0089】
ステップ320、熱管理部材101を提供し、前記熱管理部材101は前記第1方向xに沿って延在し、且つ前記複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁2111に接続され、前記第1壁2111は前記電池セル20の表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材101は、第2方向yに沿って対向して設けられた一対の熱伝導板1011及び前記一対の熱伝導板1011の間に位置する流路1012を含み、前記流路1012は流体を収納して前記電池セル20の温度を調整することに用いられ、前記第2方向yは前記第1壁2111に垂直であり、前記第2方向yにおいて、前記熱伝導板1011の厚さDと前記流路1012のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。
【0090】
図10は本願の一実施例に係る電池の製造機器400の概略ブロック図を示す。
図10に示すように、電池の製造機器400は、第1提供モジュール410と、第2提供モジュール420とを含んでもよい。
【0091】
第1提供モジュール410は、第1方向xに沿って配列された複数の電池セル20を提供することに用いられる。
【0092】
第2提供モジュール420は、熱管理部材101を提供することに用いられ、前記熱管理部材101は前記第1方向xに沿って延在し、且つ前記複数の電池セル20のうちの各電池セル20の第1壁2111に接続され、前記第1壁2111は前記電池セル20の表面積が最大の壁であり、前記熱管理部材101は、第2方向yに沿って対向して設けられた一対の熱伝導板1011及び前記一対の熱伝導板1011の間に位置する流路1012を含み、前記流路1012は流体を収納して前記電池セル20の温度を調整することに用いられ、前記第2方向yは前記第1壁2111に垂直であり、前記第2方向yにおいて、前記熱伝導板1011の厚さDと前記流路1012のサイズHは0.01≦D/H≦25を満たす。
【0093】
以下、本願の実施例が説明されているが、以下に説明される実施例は例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものとして理解できない。実施例では具体的な技術又は条件が明記されていない場合、本分野の文献に記載されている技術又は条件、あるいは製品の取扱書に従って行われる。
【0094】
図面に示される電池セル20及び熱管理部材101を用いて、加熱レート及び熱管理部材の変形力のシミュレーションテストを行い、テスト結果は表1に示された。表1では、L2は電池セル20の第1方向xにおけるサイズであり、L3は電池セル20の第2方向yにおけるサイズであり、L1は電池セル20の第1壁2111の第3方向zにおけるサイズであり、第3方向は第1方向x及び第2方向yに垂直であった。
【0095】
【0096】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、様々な改良を行うことができ、且つその中の部材を同等物で置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に係る各技術的特徴は全て任意に組み合わせることができる。本願は本明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に属する全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0097】
1 車両
10 電池
11 筐体
20 電池セル
21 ケーシング
22 電極組立体
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
101 熱管理部材
102 集電体
103 管路
211 ハウジング
212 蓋板
213 リリーフ機構
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
221 第1タブ
222 第2タブ
400 電池の製造機器
410 第1提供モジュール
420 第2提供モジュール
1011 熱伝導板
1012 流路
1013 リブ
2111 第1壁
2112 第2壁
【外国語明細書】