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特開2025-135135車両サービス管理装置、車両サービス管理方法および車両サービス管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025135135
(43)【公開日】2025-09-18
(54)【発明の名称】車両サービス管理装置、車両サービス管理方法および車両サービス管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250910BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250910BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250910BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J7/00 Y
H02J7/00 302C
H02J7/00 302B
H02J1/00 306B
H02J1/00 306L
B60R16/02 660M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032771
(22)【出願日】2024-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】北川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 雄爾
(72)【発明者】
【氏名】芦邉 健太郎
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165BB09
5G165BB10
5G165DA01
5G165DA02
5G165EA02
5G165FA01
5G165GA03
5G165GA04
5G165GA06
5G165GA09
5G165HA09
5G165JA09
5G165KA01
5G165LA03
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA14
5G503DA15
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】車両の停車中または駐車中において実行中のサービスを適切なタイミングで起動する。
【解決手段】車両に搭載される車両サービス管理装置であって、前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視する監視部と、前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得する取得部と、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量、および前記取得部によって取得された前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する判断処理を行う判断部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両サービス管理装置であって、
前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視する監視部と、
前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得する取得部と、
前記監視部によって監視された前記バッテリ容量、および前記取得部によって取得された前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う判断部とを備える、車両サービス管理装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記起動判断処理において、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量が前記取得部によって取得された前記起動容量に所定のマージン値を加算した値以上である場合、前記起動について肯定的な判断を行う、請求項1に記載の車両サービス管理装置。
【請求項3】
前記車両には、複数の車載装置が搭載され、
前記車両サービス管理装置は、さらに、
前記判断部によって前記起動判断処理において前記起動について肯定的な判断が行われた場合、前記複数の車載装置のうち、前記対象サービスに対応する前記車載装置であるサービス対応装置を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記サービス対応装置の動作を開始させる制御部とを備える、請求項1または請求項2に記載の車両サービス管理装置。
【請求項4】
前記取得部は、さらに、前記対象サービスの提供を維持するために要する前記バッテリの容量である維持容量を取得し、
前記判断部は、前記取得部によって取得された前記維持容量にさらに基づいて、前記起動判断処理を行う、請求項1または請求項2に記載の車両サービス管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記対象サービスの提供時間に基づく前記維持容量を取得する、請求項4に記載の車両サービス管理装置。
【請求項6】
前記取得部は、さらに、前記対象サービスと前記起動容量との対応関係を示す対応情報を取得し、
前記取得部は、取得した前記対応情報に基づいて、前記対象サービスに対応する前記起動容量を取得する、請求項1または請求項2に記載の車両サービス管理装置。
【請求項7】
前記車両サービス管理装置は、さらに、
前記監視部によって監視された前記バッテリ容量に基づいて、前記対応情報における、前記監視部が前記バッテリ容量を監視する際に起動された前記対象サービスに対応する前記起動容量を更新する更新部を備える、請求項6に記載の車両サービス管理装置。
【請求項8】
前記監視部は、さらに、前記バッテリの、劣化に関する状態を監視し、
前記車両サービス管理装置は、さらに、
前記監視部によって監視された前記状態が所定条件を満たす場合、所定の通知を行う通知部を備える、請求項1または請求項2に記載の車両サービス管理装置。
【請求項9】
車両に搭載される車両サービス管理装置における車両サービス管理方法であって、
前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視するステップと、
前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得するステップと、
監視した前記バッテリ容量、および取得した前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行うステップとを含む、車両サービス管理方法。
【請求項10】
車両に搭載される車両サービス管理装置において用いられる車両サービス管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視する監視部と、
前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得する取得部と、
前記監視部によって監視された前記バッテリ容量、および前記取得部によって取得された前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う判断部、
として機能させるための、車両サービス管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両サービス管理装置、車両サービス管理方法および車両サービス管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において故障が発生した場合、車載装置への電力供給を停止する技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2019-055667号公報)には、以下のような車載電子制御装置が開示されている。すなわち、車載電子制御装置は、車載バッテリから主電源開閉素子と前段定電圧回路及び後段定電圧回路を介して制御電圧が給電される演算制御部に対し、車載バッテリから第1逆流阻止ダイオード又は第2逆流阻止ダイオードを経て充電される停電補助コンデンサと退避電源開閉素子を介して得られる退避電源電圧を電源として、退避定電圧回路を介して制御電圧が給電され、電源線に地絡異常が発生しても後段定電圧回路内の出力トランジスタによって逆流阻止されて、停電補助コンデンサの逆流放電が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-055667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、車両の停車中または駐車中において周辺監視等のサービスが提供される場合がある。この場合、当該サービスに対応する車載装置は、たとえば、車両のバッテリにより供給される電力を用いて動作する。
【0005】
ここで、上記サービスを起動する際に、バッテリから当該サービスに対応する車載装置への電力供給が停止すると、サービスが正常に終了せず、当該車載装置においてハングアップまたは故障等の不具合が発生する可能性がある。サービスを適切なタイミングで起動することが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、サービスを適切なタイミングで起動することが可能な車両サービス管理装置、車両サービス管理方法および車両サービス管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両サービス管理装置は、車両に搭載される車両サービス管理装置であって、前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視する監視部と、前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得する取得部と、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量、および前記取得部によって取得された前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う判断部とを備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車両サービス管理装置として実現され得るだけでなく、車両サービス管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、車両サービス管理装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、サービスを適切なタイミングで起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車両サービス装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置が保存する対応テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置による更新後の対応テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置が起動判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置が起動判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置が起動判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける車両サービス管理装置および車載装置の処理のシーケンスの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車両サービス管理装置の構成の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車両サービス管理装置による更新後の対応テーブルの一例を示す図である。
図12図12は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車両サービス管理装置による更新後の対応テーブルの他の例を示す図である。
図13図13は、本開示の実施の形態の変形例2に係る車両サービス管理装置が保存する対応テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置は、車両に搭載される車両サービス管理装置であって、前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視する監視部と、前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得する取得部と、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量、および前記取得部によって取得された前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う判断部とを備える。
【0012】
このような構成により、車両の停車中または駐車中においてサービスを起動する場合、バッテリの残容量およびサービスの起動に要するバッテリの容量からサービスの起動に関する判断を行うことができるため、サービスの起動が失敗することを抑制することができる。したがって、車両の停車中または駐車中においてサービスを適切なタイミングで起動することができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記判断部は、前記起動判断処理において、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量が前記取得部によって取得された前記起動容量に所定のマージン値を加算した値以上である場合、前記起動について肯定的な判断を行ってもよい。
【0014】
このような構成により、たとえば、バッテリの残容量に余裕がある状態において、サービスを起動すると判断することができるため、当該サービスの起動が失敗する可能性を低減することができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、前記車両には、複数の車載装置が搭載され、前記車両サービス管理装置は、さらに、前記判断部によって前記起動判断処理において前記起動について肯定的な判断が行われた場合、前記複数の車載装置のうち、前記対象サービスに対応する前記車載装置であるサービス対応装置を特定する特定部と、前記特定部によって特定された前記サービス対応装置の動作を開始させる制御部とを備えてもよい。
【0016】
このような構成により、起動対象のサービスに対応する車載装置の動作を開始させることができるため、当該サービスの起動をより確実に行うことができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記取得部は、さらに、前記対象サービスの提供を維持するために要する前記バッテリの容量である維持容量を取得してもよく、前記判断部は、前記取得部によって取得された前記維持容量にさらに基づいて、前記起動判断処理を行ってもよい。
【0018】
このような構成により、バッテリの残容量およびサービスの起動に要するバッテリの容量に加えて、サービスの起動後に当該サービスを継続して提供するために要するバッテリの容量を用いて当該サービスの起動に関する判断を行うことができるため、提供中のサービスが意図しないタイミングで停止することを抑制することができる。
【0019】
(5)上記(4)において、前記取得部は、前記対象サービスの提供時間に基づく前記維持容量を取得してもよい。
【0020】
このような構成により、サービスの提供を所定時間継続するために必要な維持容量を用いて起動判断処理を行うことができるため、提供中のサービスが意図しないタイミングで停止することをより確実に抑制することができる。
【0021】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記取得部は、さらに、前記対象サービスと前記起動容量との対応関係を示す対応情報を取得してもよく、前記取得部は、取得した前記対応情報に基づいて、前記対象サービスに対応する前記起動容量を取得してもよい。
【0022】
このような構成により、対応情報を用いて、起動判断処理において用いる起動容量を容易に取得することができる。
【0023】
(7)上記(6)において、前記車両サービス管理装置は、さらに、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量に基づいて、前記対応情報における、前記監視部が前記バッテリ容量を監視する際に起動された前記対象サービスに対応する前記起動容量を更新する更新部を備えてもよい。
【0024】
たとえば、対象サービスの起動に必要なバッテリの容量は、バッテリの劣化等の影響によって変化する可能性がある。上記のように、対象サービスを起動する際のバッテリの残容量の監視結果に応じて、容量情報における当該対象サービスに対応する起動容量を更新する構成により、バッテリの状態に応じた適切な起動容量を用いて起動判断処理を行うことができるため、対象サービスの起動に関する判断をより正確に行うことができる。
【0025】
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記監視部は、さらに、前記バッテリの、劣化に関する状態を監視してもよく、前記車両サービス管理装置は、さらに、前記監視部によって監視された前記状態が所定条件を満たす場合、所定の通知を行う通知部を備えてもよい。
【0026】
このような構成により、たとえば、車両のユーザにおいて、バッテリの状態が異常であることをサービスの起動前に認識することができるため、バッテリの交換等のメンテナンスを行うことができる。
【0027】
(9)本開示の実施の形態に係る車両サービス管理方法は、車両に搭載される車両サービス管理装置における車両サービス管理方法であって、前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視するステップと、前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得するステップと、監視した前記バッテリ容量、および取得した前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行うステップとを含む。
【0028】
このような方法により、車両の停車中または駐車中においてサービスを起動する場合、バッテリの残容量およびサービスの起動に要するバッテリの容量からサービスの起動に関する判断を行うことができるため、サービスの起動が失敗することを抑制することができる。したがって、車両の停車中または駐車中においてサービスを適切なタイミングで起動することができる。
【0029】
(10)本開示の実施の形態に係る車両サービス管理プログラムは、車両に搭載される車両サービス管理装置において用いられる車両サービス管理プログラムであって、コンピュータを、前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視する監視部と、前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得する取得部と、前記監視部によって監視された前記バッテリ容量、および前記取得部によって取得された前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う判断部、として機能させるためのプログラムである。
【0030】
このような構成により、車両の停車中または駐車中においてサービスを起動する場合、バッテリの残容量およびサービスの起動に要するバッテリの容量からサービスの起動に関する判断を行うことができるため、サービスの起動が失敗することを抑制することができる。したがって、車両の停車中または駐車中においてサービスを適切なタイミングで起動することができる。
【0031】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0032】
[車載システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。図1を参照して、車載システム301は、車両サービス管理装置101と、1または複数の車載装置202と、電源部51と、リレー71とを備える。図1では、一例として、車載システム301が複数の車載装置202を備える場合を示している。車載システム301は、車両1に搭載される。
【0033】
車載装置202は、たとえば車載ECU(Electronic Control Unit)である。具体的には、車載装置202は、TCU(Telematics Communication Unit)、エンジンECU、ボディ制御ECU、自動運転ECU、顔認証用ECU、およびドアロック用ECU等である。なお、車載装置202は、車載ECUに限らず、OTA(Over The Air)マスタ、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラ等であってもよい。
【0034】
車両サービス管理装置101および複数の車載装置202は、車載ネットワーク401を構成する。複数の車載装置202は、たとえば、CAN(Controller Area Network)の規格に従うCANバス2を介して車両サービス管理装置101と接続されている。
【0035】
車載装置202である車載装置202A,202Bは、CANバス2であるCANバス2Aを介して車両サービス管理装置101と接続されている。車載装置202である車載装置202C,202Dは、CANバス2であるCANバス2Bを介して車両サービス管理装置101と接続されている。
【0036】
たとえば、車両サービス管理装置101および各車載装置202は、車両1が行う自動運転を補助するための情報、およびエンターテイメントに用いる情報等の各種情報と、データの種別等を示すCAN-ID(Identifer)とを含むCANフレームを、他の車載装置202または車両サービス管理装置101へ送信する。
【0037】
車両サービス管理装置101および各車載装置202は、互いに通信を行うことにより、車両1において各種のサービス、すなわちアプリケーションを提供する。
【0038】
車両1では、車両1のヘッドライトの点灯タイミングを制御する点灯制御サービス、車両1の周辺を監視する周辺監視サービス、および車載ネットワーク401において用いられる各種ソフトウェアをOTAにより更新するソフトウェア更新サービス等が提供される。点灯制御サービスは、たとえば車両1が走行中である状態において提供されるサービスである。周辺監視サービスおよびソフトウェア更新サービスは、たとえば車両1が停車中または駐車中である対象状態において提供されるサービス(以下、「対象サービス」とも称する。)である。
【0039】
(ウェイクアップモードおよびスリープモード)
車載装置202は、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し、また、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する。車載装置202は、ウェイクアップモードにおいて、車載システム301における他の装置と通信を行い、スリープモードにおいて、車載システム301における他の装置との通信を停止する。ここで、スリープモードとは、車載装置202の一部の機能の停止、または車載装置202におけるクロック周波数の低下等により、ウェイクアップモードよりも消費電力が小さい状態である。たとえば、車載装置202は、自己の動作モードがスリープモードである場合、CANフレームを受信することは可能である。
【0040】
たとえば、車載装置202において、当該車載装置202をスリープモードへ遷移するための条件であるスリープ条件と、当該車載装置202をウェイクアップモードへ遷移するための条件であるウェイクアップ条件とが予め設定されている。
【0041】
スリープ条件は、車両1が駐車すること、車両1が停車すること、および車両1がイグニッションオフになること等である。また、ウェイクアップ条件は、車両1が走行を開始すること、および車両1がイグニッションオンになること等である。
【0042】
車載装置202は、ウェイクアップモードにおいて、たとえば、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)(登録商標)に従うNM(Network Management)メッセージが格納されたCANフレーム(以下、「NMフレーム」とも称する。)を車載システム301における各装置へ送信する。具体的には、各車載装置202は、たとえば、ウェイクアップモードにおいて、死活監視のために、NMフレームを各装置へブロードキャストする。
【0043】
一方、車載装置202は、自己の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードへ遷移した場合、NMフレームの送信を停止する。
【0044】
(電源部)
電源部51は、車両1において電力を供給する。電源部51は、電源線4を介して車両サービス管理装置101と接続されている。電源部51は、電源線4を介して車両サービス管理装置101に電力を供給する。
【0045】
電源部51は、電源線5を介して各車載装置202と接続されている。電源部51は、電源線5を介して各車載装置202に電力を供給する。
【0046】
より詳細には、電源部51は、たとえば、電源線5である電源線5Aを介して、CANバス2Aに接続された各車載装置202と接続されている。CANバス2Aに接続された各車載装置202は、電源部51により供給される電力を用いて動作する。
【0047】
また、電源部51は、たとえば、電源線5である電源線5Bを介して、CANバス2Bに接続された各車載装置202と接続されている。CANバス2Bに接続された各車載装置202は、電源部51により供給される電力を用いて動作する。
【0048】
電源部51は、たとえば、メインバッテリ61と、サブバッテリ62とを含む。車載システム301において、各装置への電力供給源は、車両1の状態等に応じて、メインバッテリ61またはサブバッテリ62に切り替えられる。
【0049】
より詳細には、たとえば、メインバッテリ61は、車両1の走行中において車載システム301における各装置に電力を供給する。また、たとえば、メインバッテリ61は、車両1の停車中または駐車中において、サブバッテリ62の容量(以下、「サブバッテリ容量」とも称する。)が所定の閾値Th1未満である場合、当該各装置に電力を供給する。サブバッテリ62は、車両1の停車中または駐車中において、サブバッテリ容量が閾値Th1以上である場合、当該各装置に電力を供給する。
【0050】
具体的には、たとえば、リレー71は、車載システム301における各装置への電力供給源をメインバッテリ61またはサブバッテリ62に切り替えるための機器である。車載システム301は、たとえば、リレーであるリレー71A,71Bを備える。
【0051】
リレー71Aは、メインバッテリ61と各車載装置202との間に接続されている。リレー71Bは、サブバッテリ62と各車載装置202との間に接続されている。
【0052】
リレー71A,71Bは、車載システム301における図示しないリレー制御装置による制御に従い、オン状態およびオフ状態を切り替える。
【0053】
たとえば、車両1のイグニッション電源がオンされた場合、リレー71Aの状態はオン状態であり、リレー71Bの状態はオフ状態である。また、たとえば、イグニッション電源がオフされ、かつサブバッテリ容量が閾値Th1未満である場合、リレー71Aの状態はオン状態であり、リレー71Bの状態はオフ状態である。また、たとえば、イグニッション電源がオフされ、かつサブバッテリ容量が閾値Th1より大きい場合、リレー71Aの状態はオフ状態であり、リレー71Bの状態はオン状態である。
【0054】
なお、車載システム301では、2つのCANバス2が設けられる構成に限らず、1つまたは3つ以上のCANバス2が設けられる構成であってもよい。
【0055】
また、車両サービス管理装置101および車載装置202は、CANの規格に従った通信の代わりに、または当該通信に加えて、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、イーサネット(登録商標)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oritend System Transport)(登録商標)、LIN(Local Interconnect Network)およびCXPI(Clock Extention Peripheral Interface)(登録商標)等の通信プロトコルに従った通信を行う構成であってもよい。
【0056】
[課題の説明]
車両1の停車中または駐車中において提供される対象サービスを起動する際に、メインバッテリ61の容量およびサブバッテリ62の容量の少なくともいずれか一方が低下している場合、対象サービスの起動が失敗する可能性がある。この場合、対象サービスが正常に終了しないため、以降の対象サービスの提供に悪影響を与える可能性がある。
【0057】
そこで、本開示の実施の形態に係る車載システム301では、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0058】
[車両サービス管理装置]
図2は、本開示の実施の形態に係る車両サービス装置の構成の一例を示す図である。図2を参照して、車両サービス管理装置101は、通信部11と、処理部12と、記憶部13とを備える。処理部12は、管理部21と、監視部22と、通知部23と、取得部24と、特定部25と、制御部26と、電力計測部27と、更新部28とを含む。通信部11および処理部12の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部13は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。管理部21は、判断部の一例である。
【0059】
(状態判断処理)
管理部21は、車両1について対象状態であるか否かを判断する状態判断処理を定期的または不定期に行う。より詳細には、たとえば、管理部21は、状態判断処理において、車両1のイグニッション電源の出力電圧を監視する。
【0060】
具体的には、たとえば、管理部21は、車両1のイグニッション電源の出力電圧を計測し、計測した電圧値V1が所定の閾値Th2未満である場合、車両1が駐車中、すなわち対象状態であると判断する。
【0061】
管理部21は、車両1について対象状態であると判断した場合、車両1の状態が対象状態である旨を示す判断結果情報を監視部22および取得部24へ出力する。車両1の状態が対象状態である場合、各車載装置202は、スリープ条件が成立したと判断し、スリープモードへ遷移する。
【0062】
一方、管理部21は、計測した電圧値V1が閾値Th2以上である場合、車両1の状態が対象状態でないと判断する。
【0063】
(監視部)
たとえば、監視部22は、対象状態において、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の各々の、劣化に関する状態を監視する。
【0064】
より詳細には、たとえば、監視部22は、管理部21から判断結果情報を受けると、メインバッテリ61の出力電圧、およびサブバッテリ62の出力電圧を計測する。
【0065】
たとえば、監視部22は、計測したメインバッテリ61の電圧値Vaが所定の閾値Th11以上である場合、メインバッテリ61の状態が正常であると判断する。一方、監視部22は、計測した電圧値Vaが閾値Th11未満である場合、メインバッテリ61が劣化していると判断する。
【0066】
また、たとえば、監視部22は、計測したサブバッテリ62の電圧値Vbが所定の閾値Th12以上である場合、サブバッテリ62の状態が正常であると判断する。一方、監視部22は、計測した電圧値Vbが閾値Th12未満である場合、サブバッテリ62が劣化していると判断する。
【0067】
監視部22は、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の少なくともいずれか一方が劣化していると判断すると、劣化していると判断したバッテリを示すバッテリ劣化情報を管理部21および通知部23へ出力する。
【0068】
なお、監視部22は、メインバッテリ61の出力電圧の計測結果に限らず、メインバッテリ61の出力電流の計測結果に基づいて、メインバッテリ61の、劣化に関する状態を判断する構成であってもよい。また、監視部22は、サブバッテリ62の出力電圧の計測結果に限らず、サブバッテリ62の出力電流の計測結果に基づいて、サブバッテリ62の、劣化に関する状態を判断する構成であってもよい。
【0069】
監視部22は、対象状態において、メインバッテリ61の容量(以下、「メインバッテリ容量」とも称する。)およびサブバッテリ62の容量(以下、「サブバッテリ容量」とも称する。)を監視する。メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量は、バッテリの残量を意味する。
【0070】
より詳細には、たとえば、監視部22は、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の両方が正常であると判断すると、メインバッテリ61の出力電流を計測する。また、監視部22は、メインバッテリ61の満充電時からの経過時間T2を計測する。そして、監視部22は、計測したメインバッテリ61の電流値に経過時間T2を乗算した値をメインバッテリ61の使用容量として算出する。
【0071】
また、たとえば、監視部22は、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の両方が正常であると判断すると、サブバッテリ62の出力電流を計測する。また、監視部22は、サブバッテリ62の満充電時からの経過時間T3を計測する。そして、監視部22は、計測したサブバッテリ62の電流値に経過時間T3を乗算した値をサブバッテリ62の使用容量として算出する。
【0072】
記憶部13は、たとえば、メインバッテリ61の満充電時における容量、およびサブバッテリ62の満充電時における容量を記憶する。
【0073】
監視部22は、メインバッテリ61の使用容量を算出すると、記憶部13に保存されているメインバッテリ61の満充電時における容量から、当該使用容量を減算した値をメインバッテリ容量として算出する。
【0074】
また、監視部22は、サブバッテリ62の使用容量を算出すると、記憶部13に保存されているサブバッテリ62の満充電時における容量から、当該使用容量を減算した値をサブバッテリ容量として算出する。
【0075】
そして、監視部22は、算出したメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を示す算出結果情報P1を管理部21へ出力する。
【0076】
(通知部)
たとえば、通知部23は、監視部22によって監視された上記状態、すなわちメインバッテリ61の、劣化に関する状態が所定条件(以下、「条件K1」とも称する。)を満たす場合、所定の通知を行う。また、たとえば、通知部23は、監視部22によって監視された上記状態、すなわちサブバッテリ62の、劣化に関する状態が所定条件(以下、「条件K2」とも称する。)を満たす場合、所定の通知を行う。たとえば、条件K1および条件K2は、それぞれメインバッテリ61の電圧値Vaが閾値Th11未満であること、およびサブバッテリ62の電圧値Vbが閾値Th12未満であることである。
【0077】
より詳細には、たとえば、通知部23は、監視部22からバッテリ劣化情報を受けると、バッテリ劣化情報を通信部11経由で図示しないナビゲーション装置へ送信する。
【0078】
たとえば、ナビゲーション装置は、車両サービス管理装置101からバッテリ劣化情報を受信すると、受信したバッテリ劣化情報に基づく通知処理を行う。具体的には、たとえば、ナビゲーション装置は、バッテリ劣化情報の示す内容を、自己の表示部に表示する。なお、ナビゲーション装置は、バッテリ劣化情報の示す内容を自己の表示部に表示する以外の方法、たとえば音声により車両1の搭乗者へ通知する構成であってもよい。
【0079】
(取得部)
<起動容量および維持容量の取得>
取得部24は、対象サービスの起動に要する、メインバッテリ61の容量またはサブバッテリ62の容量(以下、「起動容量」とも称する。)を取得する。
【0080】
図3は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置が保存する対応テーブルの一例を示す図である。
【0081】
図3を参照して、たとえば、記憶部13は、対象サービスと起動容量との対応関係E1を示す対応テーブルTb1を記憶する。対応テーブルTb1は、たとえば、車両1の出荷時に、車両1の製造事業者によって記憶部13に登録される。対応テーブルTb1は、対応情報の一例である。図3に示す「サービス対応装置」、「維持容量」および「起動優先度」については後述する。
【0082】
図3に示す対応テーブルTb1において、周辺監視サービスに対応する起動容量C1は、「AAA」ミリアンペアアワーである。ソフトウェア更新サービスに対応する起動容量C2は、「BBB」ミリアンペアアワーである。
【0083】
たとえば、取得部24は、さらに、対象サービスの提供を維持するために要する、メインバッテリ61の容量またはサブバッテリ62の容量(以下、「維持容量」とも称する。)を取得する。
【0084】
具体的には、たとえば、維持容量は、対象サービスの提供を所定時間継続するために要する、メインバッテリ61の容量またはサブバッテリ62の容量である。
【0085】
たとえば、記憶部13における対応テーブルTb1は、対応関係E1に加えて、対象サービスと維持容量との対応関係E2を示す。
【0086】
図3に示す対応テーブルTb1において、周辺監視サービスに対応する維持容量M1は、「CCC」ミリアンペアアワーであり、ソフトウェア更新サービスに対応する維持容量M2は、「DDD」ミリアンペアアワーである。
【0087】
たとえば、取得部24は、管理部21から判断結果情報を受けると、記憶部13から対応テーブルTb1を取得する。そして、取得部24は、取得した対応テーブルTb1に基づいて、対象サービスに対応する起動容量を取得する。また、取得部24は、取得した対応テーブルTb1に基づいて、対象サービスに対応し、対象サービスの提供時間tsの長さに基づく維持容量を取得する。対象サービスの提供時間tsは、当該対象サービスを提供するために必要な最小時間である。
【0088】
具体的には、たとえば、取得部24は、管理部21から判断結果情報を受けると、記憶部13における対応テーブルTb1を読み出す。そして、取得部24は、対応テーブルTb1を参照することにより、周辺監視サービスに対応する起動容量C1および維持容量M1、ならびにソフトウェア更新サービスに対応する起動容量C2および維持容量M2を特定する。対応テーブルTb1に登録されている、維持容量M1および維持容量M2は、それぞれ周辺監視サービスの提供時間およびソフトウェア更新サービスの提供時間に基づく維持容量である。
【0089】
取得部24は、起動容量C1,C2および維持容量M1,M2を特定すると、起動容量C1,C2および維持容量M1,M2を示す容量情報を管理部21へ出力する。
【0090】
(起動判断処理)
管理部21は、監視部22によって監視されたメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量、ならびに取得部24によって取得された起動容量および維持容量に基づいて、対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う。
【0091】
より詳細には、たとえば、管理部21は、取得部24から容量情報を受けると、当該容量情報の示す、起動容量C1、起動容量C2、維持容量M1および維持容量M2を合計した合計値Wに所定のマージン値Nを加算した値(以下、「基準値A」との称する。)を算出する。そして、管理部21は、算出した基準値Aを用いて、対象サービスを起動するか否かを判断する。
【0092】
たとえば、管理部21は、起動判断処理において、監視部22によって監視された、メインバッテリ容量またはサブバッテリ容量が基準値A以上である場合、対象サービスの起動について肯定的な判断を行う。
【0093】
より詳細には、たとえば、管理部21は、監視部22から受けた算出結果情報P1、および取得部24から受けた容量情報に基づいて、メインバッテリ容量またはサブバッテリ容量が基準値A以上であるか否かを確認する容量確認処理を行う。
【0094】
具体的には、たとえば、管理部21は、容量確認処理において、監視部22から受けた算出結果情報P1の示すサブバッテリ容量が基準値A以上であるか否か、および算出結果情報P1の示すメインバッテリ容量が基準値A以上であるか否をこの順に確認する。
【0095】
たとえば、管理部21は、監視部22から受けた算出結果情報P1の示すサブバッテリ容量が基準値A以上である場合、対象サービスを起動すると判断する。一方、管理部21は、当該サブバッテリ容量が基準値A未満である場合、算出結果情報P1の示すメインバッテリ容量が基準値A以上であるか否かを確認する。
【0096】
そして、管理部21は、監視部22から受けた算出結果情報P1の示すメインバッテリ容量が基準値A以上である場合、対象サービスを起動すると判断する。一方、管理部21は、当該メインバッテリ容量が基準値A未満である場合、対象サービスを起動させないと判断する。
【0097】
管理部21は、対象サービスを起動すると判断すると、起動する対象サービスの種別、すなわち周辺監視サービスおよびソフトウェア更新サービスを示す起動サービス情報を特定部25へ出力する。
【0098】
また、管理部21は、対象サービスを起動すると判断すると、算出結果情報P1の示すメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量の合計値B1を算出する。そして、管理部21は、算出した合計値B1を示す容量合計情報L1を記憶部13に保存する。
【0099】
(特定部)
たとえば、特定部25は、管理部21による起動判断処理において、対象サービスの起動について肯定的な判断が行われた場合、対象サービスに対応する車載装置202(以下、「サービス対応装置」とも称する。)を特定する。
【0100】
たとえば、記憶部13における対応テーブルTb1は、上記対応関係E1,E2に加えて、対象サービスとサービス対応装置との対応関係E3を示す。
【0101】
図3に示す対応テーブルTb1において、周辺監視サービスに対応するサービス対応装置(以下、「サービス対応装置S1」とも称する。)は、車載装置202A,202Bである。ソフトウェア更新サービスに対応するサービス対応装置(以下、「サービス対応装置S2」とも称する。)は、車載装置202C,202Dである。
【0102】
特定部25は、管理部21から起動サービス情報を受けると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、当該起動サービス情報の示す対象サービス、に対応するサービス対応装置を特定する。本実施の形態では、特定部25は、周辺監視サービスに対応するサービス対応装置S1、およびソフトウェア更新サービスに対応するサービス対応装置S2を特定する。
【0103】
そして、特定部25は、特定したサービス対応装置と、当該対象サービス対応装置に対応する対象サービスとを示す装置情報Dを制御部26へ出力する。
【0104】
(制御部)
たとえば、制御部26は、特定部25によって特定されたサービス対応装置の動作を開始させる動作開始制御を行う。
【0105】
より詳細には、たとえば、制御部26は、特定部25から受けた装置情報Dが複数の対象サービスを示す場合、優先度の高い対象サービスから順に動作開始制御を行う。
【0106】
たとえば、記憶部13における対応テーブルTb1は、対応関係E1からE3に加えて、対象サービスと動作開始制御の優先度(以下、「開始優先度」とも称する。)との対応関係E4を示す。
【0107】
図3に示す対応テーブルTb1において、周辺監視サービスの開始優先度は高く、ソフトウェア更新サービスの開始優先度は低い。
【0108】
再び図2を参照して、制御部26は、特定部25から受けた装置情報Dが複数の対象サービスを示す場合、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、各対象サービスの開始優先度を確認する。
【0109】
そして、制御部26は、確認した開始優先度に従って動作開始制御を行う。具体的には、たとえば、制御部26は、各対象サービスに対応する開始優先度を確認すると、開始優先度が最も高い対象サービスに対応するサービス対応装置をウェイクアップモードへ遷移させる制御を行う。
【0110】
本実施の形態では、周辺監視サービスが最も開始優先度の高い対象サービスである。そのため、制御部26は、周辺監視サービスに対応するサービス対応装置S1をウェイクアップモードへ遷移させる。
【0111】
たとえば、記憶部13は、車載装置202とCAN-IDとの対応関係を示すCANテーブルを記憶する。
【0112】
制御部26は、各対象サービスに対応する開始優先度を確認すると、記憶部13におけるCANテーブルを参照することにより、特定部25から受けた装置情報Dの示す複数のサービス対応装置のうちのサービス対応装置S1に対応するCAN-IDを特定する。具体的には、制御部26は、車載装置202Aに対応するCAN-ID、および車載装置202Bに対応するCAN-IDを特定する。
【0113】
そして、制御部26は、特定したCAN-IDと、ウェイクアップ要求とを含むCANフレーム(以下、「ウェイクアップ要求フレーム」とも称する。)を作成して通信部11へ出力する。
【0114】
記憶部13は、CAN-IDと、CANフレームの送信先が接続されているCANバス(以下、「送信先バス」とも称する。)との対応関係を示すルーティングテーブルを記憶する。
【0115】
通信部11は、制御部26からウェイクアップ要求フレームを受けると、記憶部13におけるルーティングテーブルを参照することにより、ウェイクアップ要求フレームに含まれるCAN-ID、に対応する送信先バスを特定する。そして、通信部11は、ウェイクアップ要求フレームを、特定した送信先バス経由でサービス対応装置S1へ送信する。
【0116】
サービス対応装置は、車両サービス管理装置101からウェイクアップ要求フレームを受信すると、受信したウェイクアップ要求フレームに自己のCAN-IDが含まれているか否かを確認する。
【0117】
対象状態において、スリープモードで動作するサービス対応装置は、自己のCAN-IDを含まないCANフレームを破棄する。一方、スリープモードで動作するサービス対応装置は、自己のCAN-IDを含むウェイクアップ要求フレームを受信した場合、当該サービス対応装置に設けられた図示しない電源IC(Integrated Circuitry)を起動し、ウェイクアップモードへ遷移する。これにより、サービス対応装置は、電源ICの出力電圧を用いて、車載システム301における他の装置との通信を行うことにより、対象サービスを実行する。なお、複数のサービス対応装置間において、あるサービス対応装置がウェイクアップモードへ遷移するために要する時間と、他のサービス対応装置がウェイクアップモードへ遷移するために要する時間との間には時間差が生じている場合がある。
【0118】
サービス対応装置S1、すなわち車載装置202A,202Bは、自己のCAN-IDを含むウェイクアップ要求フレームを車両サービス管理装置101から受信してウェイクアップモードへ遷移すると、ウェイクアップモードへ遷移した旨を示す遷移完了フレームを車両サービス管理装置101へ送信する。
【0119】
なお、車両サービス管理装置101は、車載装置202Aおよび車載装置202Bを所定の順番に従って、ウェイクアップモードへ遷移させる構成であってもよい。
【0120】
次に、制御部26は、ウェイクアップ要求フレームをサービス対応装置S1へ送信すると、開始優先度が2番目に高い対象サービスに対応するサービス対応装置、すなわちソフトウェア更新サービスに対応するサービス対応装置S2をウェイクアップモードへ遷移させる。ここでは、制御部26は、サービス対応装置S1に対する動作開始制御と同様に、ウェイクアップ要求フレームを通信部11および送信先バス経由でサービス対応装置S2へ送信する。
【0121】
サービス対応装置S2,すなわち車載装置202C,202Dは、自己のCAN-IDを含むウェイクアップ要求フレームを車両サービス管理装置101から受信してウェイクアップモードへ遷移すると、サービス対応装置S1と同様に、遷移完了フレームを車両サービス管理装置101へ送信する。
【0122】
なお、車両サービス管理装置101は、車載装置202Cおよび車載装置202Dを所定の順番に従って、ウェイクアップモードへ遷移させる構成であってもよい。
【0123】
(対応テーブルの更新)
<起動容量の更新>
たとえば、監視部22は、通信部11経由でサービス対応装置S1から遷移完了フレームを受信すると、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を算出する。そして、監視部22は、算出結果を示す算出結果情報P2を更新部28へ出力する。当該算出結果は、周辺監視サービスが起動した後の最新の、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を示す。
【0124】
また、たとえば、監視部22は、通信部11経由でサービス対応装置S2から遷移完了フレームを受信すると、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を算出する。そして、監視部22は、算出結果を示す算出結果情報P3を更新部28へ出力する。当該算出結果は、ソフトウェア更新サービスが起動した後の最新の、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を示す。
【0125】
たとえば、更新部28は、監視部22によって監視されたメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量に基づいて、対応テーブルTb1における、監視部22がメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を監視する際に起動された対象サービスに対応する起動容量を更新する。
【0126】
より詳細には、たとえば、更新部28は、監視部22から算出結果情報P2を受けると、算出結果情報P2の示すメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量の合計値B2を算出する。そして、更新部28は、記憶部13に保存されている容量合計情報L1の示す合計値B1から、算出した合計値B2を減算した値を、周辺監視サービスを起動するために実際に要した起動容量C11として算出する。
【0127】
更新部28は、起動容量C11を算出すると、記憶部13に保存されている容量合計情報L1を削除し、かつ算出した合計値B2を示す容量合計情報L2を記憶部13に保存する。
【0128】
また、更新部28は、起動容量C11を算出すると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、起動容量C11と、対応テーブルTb1の示す、周辺監視サービスに対応する起動容量C1とが同じであるか否かを確認する。
【0129】
更新部28は、起動容量C11と起動容量C1とが同じである場合、対応テーブルTb1における対応関係E1、具体的には周辺監視サービスの起動容量を更新しないと判断する。
【0130】
一方、更新部28は、起動容量C11と起動容量C1とが異なる場合、対応テーブルTb1における、周辺監視サービスの起動容量を更新すると判断する。そして、更新部28は、対応テーブルTb1において、起動容量C11を周辺監視サービスと対応付けて登録する。
【0131】
更新部28は、監視部22から算出結果情報P3を受けると、算出結果情報P3の示すメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量の合計値B3を算出する。そして、更新部28は、記憶部13に保存されている容量合計情報L2の示す合計値B2から、算出した合計値B3を減算した値を、ソフトウェア更新サービスを起動するために実際に要した起動容量C12として算出する。
【0132】
更新部28は、起動容量C12を算出すると、記憶部13に保存されている容量合計情報L2を削除する。
【0133】
また、更新部28は、起動容量C12を算出すると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、起動容量C12と、対応テーブルTb1の示す、ソフトウェア更新サービスに対応する起動容量C2とが同じであるか否かを確認する。
【0134】
更新部28は、起動容量C12と起動容量C2とが同じである場合、対応テーブルTb1における対応関係E1、具体的にはソフトウェア更新サービスの起動容量を更新しないと判断する。
【0135】
一方、更新部28は、起動容量C12と起動容量C2とが異なる場合、対応テーブルTb1における、ソフトウェア更新サービスの起動容量を更新すると判断する。そして、更新部28は、対応テーブルTb1において、起動容量C12をソフトウェア更新サービスと対応付けて登録する。
【0136】
図4は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置による更新後の対応テーブルの一例を示す図である。
【0137】
図4を参照して、更新後の対応テーブルTb1では、図3に示す対応テーブルTb1と比べて、周辺監視サービスに対応する起動容量が「EEE」ミリアンペアアワーに変更されている。
【0138】
<消費電力の計測>
再び図2を参照して、たとえば、電力計測部27は、各サービス対応装置の消費電力を計測する計測処理を行う。
【0139】
より詳細には、電力計測部27は、対象状態において、たとえば定期的に、各サービス対応装置に接続される電源線5を通して流れる電流を計測する。
【0140】
また、電力計測部27は、対象状態において、たとえば定期的に、各サービス対応装置に接続される電源線5の電圧を計測する。たとえば、電力計測部27は、当該電源線5を通して流れる電流の計測タイミングと同じタイミングで当該電圧を計測する。
【0141】
そして、電力計測部27は、計測した電流値および電圧値を用いて、計測時刻における各サービス対応装置の消費電力を算出し、算出結果を示す電力算出情報K11を記憶部13に保存する。
【0142】
また、たとえば、電力計測部27は、対象状態となってから所定時間T11経過するごとに、各サービス対応装置の消費電力の統計値を算出する。
【0143】
具体的には、たとえば、電力計測部27は、記憶部13に所定時間T11の間に蓄積された電力算出情報K11を用いて、サービス対応装置ごとに、消費電力の平均値Fを算出する。そして、電力計測部27は、算出結果、すなわち各サービス対応装置の消費電力の平均値を示す電力統計情報K21を更新部28へ出力する。
【0144】
<維持容量の更新>
たとえば、更新部28は、電力計測部27によって計測されたサービス対応装置の消費電力の統計値に基づいて、対応テーブルTb1における、電力計測部27が計測処理を行う際に提供中であった対象サービスに対応する維持容量を更新する。
【0145】
より詳細には、たとえば、更新部28は、電力計測部27から電力統計情報K21を受けると、電力統計情報K21を用いて、対象サービスごとに、当該対象サービスの提供を実際に維持するために要する維持容量を算出する。
【0146】
具体的には、たとえば、更新部28は、電力計測部27から電力統計情報を受けると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、当該電力統計情報の示すサービス対応装置ごとに、当該サービス対応装置に対応する対象サービスを確認する。
【0147】
そして、更新部28は、確認した対象サービスごとに、当該対象サービスに対応する1または複数のサービス対応装置の平均値Fの合計値Gを算出する。本実施の形態では、各対象サービスは、複数のサービス対応装置により提供される。そのため、以下では、更新部28が、対象サービスごとに、当該対象サービスに対応する複数のサービス対応装置の平均値Fの合計値Gを算出する例について説明する。
【0148】
具体的には、たとえば、更新部28は、電力計測部27から受けた電力統計情報の示す複数の平均値Fのうち、対象サービスが同じである複数のサービス対応装置の平均値Fを合計することにより、合計値Gを算出する。
【0149】
たとえば、記憶部13は、対象サービスごとに、当該対象サービスの提供時間tsを記憶する。
【0150】
更新部28は、合計値Gを算出すると、記憶部13に保存されている複数の提供時間tsのうち、当該合計値Gに対応する対象サービスの提供時間tsを確認する。そして、更新部28は、対象サービスごとに、算出した合計値Gと、確認した提供時間tsとを乗算することにより、当該対象サービスの提供を維持するために実際に要した維持容量を算出する。以下の説明では、周辺監視サービスの提供を維持するために実際に要した維持容量、およびソフトウェア更新サービスの提供を維持するために実際に要した維持容量を、それぞれ維持容量M11および維持容量M12とも称する。
【0151】
更新部28は、維持容量M11,M12を算出すると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、維持容量M11と、対応テーブルTb1の示す、周辺監視サービスに対応する維持容量M1とが同じであるか否かを確認する。また、更新部28は、維持容量M12と、対応テーブルTb1の示す、ソフトウェア更新サービスに対応する維持容量M2とが同じであるか否かを確認する。
【0152】
更新部28は、維持容量M11と維持容量M1とが同じであり、かつ維持容量M12と維持容量M2とが同じである場合、対応テーブルTb1における対応関係E2を更新しないと判断する。
【0153】
一方、更新部28は、維持容量M11と維持容量M1とが異なる場合、対応テーブルTb1における対応関係E2、具体的には周辺監視サービスの維持容量を更新すると判断する。そして、更新部28は、対応テーブルTb1において、維持容量M11を周辺監視サービスと対応付けて登録する。
【0154】
また、更新部28は、維持容量M12と維持容量M2とが異なる場合、対応テーブルTb1における対応関係E2、具体的にはソフトウェア更新サービスの維持容量を更新すると判断する。そして、更新部28は、対応テーブルTb1において、維持容量M12をソフトウェア更新サービスと対応付けて登録する。
【0155】
図4に示す更新後の対応テーブルTb1では、図3に示す対応テーブルTb1と比べて、周辺監視サービスに対応する維持容量が「FFF」ミリアンペアアワーに変更されている。
【0156】
[動作の流れ]
次に、本開示の実施の形態に係る車載システム301における車両サービス管理装置101および車載装置202の動作の流れについて図面を用いて説明する。
【0157】
図5図6および図7は、本開示の実施の形態に係る車両サービス管理装置が起動判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0158】
図5図6および図7を参照して、まず、車両サービス管理装置101は、車両1について対象状態であるか否かを判断し(ステップST101)、対象状態であると判断した場合(ステップST101においてYES)、メインバッテリ61の出力電圧を計測する(ステップST102)。
【0159】
次に、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ62の出力電圧を計測する(ステップST103)。なお、ステップST102およびステップST103は、順番を入れ替えて実行してもよいし、並行して実行してもよい。
【0160】
次に、車両サービス管理装置101は、計測したメインバッテリ61の電圧値Vaが閾値Th11未満であるか否かを確認する(ステップST104)。
【0161】
そして、車両サービス管理装置101は、電圧値Vaが閾値Th11未満である場合(ステップST104においてYES)、メインバッテリ61が劣化していると判断する(ステップST105)。
【0162】
次に、車両サービス管理装置101は、メインバッテリ61が劣化している旨を示すバッテリ劣化情報をナビゲーション装置へ送信し(ステップST106)、車両1について対象状態であるか否かの判断を再び行う(ステップST101)。
【0163】
一方、車両サービス管理装置101は、電圧値Vaが閾値Th11以上である場合(ステップST104においてNO)、メインバッテリ61が正常であると判断する(ステップST107)。
【0164】
次に、車両サービス管理装置101は、計測したサブバッテリ62の電圧値Vbが閾値Th12未満であるか否かを確認する(ステップST108)。
【0165】
そして、車両サービス管理装置101は、電圧値Vbが閾値Th12未満である場合(ステップST108においてYES)、サブバッテリ62が劣化していると判断する(ステップST109)。
【0166】
次に、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ62が劣化している旨を示すバッテリ劣化情報をナビゲーション装置へ送信し(ステップST106)、車両1について対象状態であるか否かの判断を再び行う(ステップST101)。
【0167】
一方、車両サービス管理装置101は、電圧値Vbが閾値Th12以上である場合(ステップST108においてNO)、サブバッテリ62が正常であると判断する(ステップST110)。
【0168】
次に、車両サービス管理装置101は、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を算出する(ステップST111)。
【0169】
次に、車両サービス管理装置101は、対象サービスの起動に要する起動容量、および対象サービスの提供を維持するために要する維持容量を取得する。たとえば、上述したように、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1を用いて、周辺監視サービスに対応する起動容量C1および維持容量M1、ならびにソフトウェア更新サービスに対応する起動容量C2および維持容量M2を取得する(ステップST112)。
【0170】
次に、車両サービス管理装置101は、取得した、起動容量C1、起動容量C2、維持容量M1および維持容量M2の合計値にマージン値Nを加算することにより、基準値Aを算出する(ステップST113)。
【0171】
次に、車両サービス管理装置101は、算出したサブバッテリ容量が基準値A以上であるか否かを確認する(ステップST114)。
【0172】
そして、車両サービス管理装置101は、算出したサブバッテリ容量が基準値A以上である場合(ステップST114においてYES)、対象サービスを起動すると判断する(ステップST115)。
【0173】
次に、車両サービス管理装置101は、対象サービスに対応するサービス対応装置を特定する。たとえば、上述したように、車両サービス管理装置101は、記憶部13に保存されている対応テーブルTb1を用いてサービス対応装置を特定する(ステップST116)。
【0174】
次に、車両サービス管理装置101は、特定したサービス対応装置をウェイクアップモードへ遷移させるためのウェイクアップ要求フレームを当該サービス対応装置へ送信する(ステップST117)。
【0175】
次に、車両サービス管理装置101は、サービス対応装置からの遷移完了フレームの受信を待ち受ける(ステップST118においてNO)。
【0176】
そして、車両サービス管理装置101は、サービス対応装置から遷移完了フレームを受信すると(ステップST118においてYES)、対象サービスを起動するために要した実際の起動容量を算出する(ステップST119)。
【0177】
次に、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における、対象サービスと起動容量との対応関係E1を更新するか否かを判断する。たとえば、上述したように、車両サービス管理装置101は、対象サービスごとに、算出した実際の起動容量と、対応テーブルTb1の示す起動容量とが同じあるか否かを確認する(ステップST120)。
【0178】
そして、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における対応関係E1を更新すると判断した場合(ステップST120においてYES)、対応関係E1を更新する。たとえば、上述したように、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1において、算出した実際の起動容量を対象サービスと対応付けて登録する(ステップST121)。
【0179】
次に、車両サービス管理装置101は、各サービス対応装置の消費電力を計測する計測処理を行う(ステップST122)。
【0180】
次に、車両サービス管理装置101は、サービス対応装置の消費電力の計測結果、および記憶部13に保存されている、対象サービスの提供時間tsを用いて、対象サービスの提供を維持するために要した実際の維持容量を算出する(ステップST123)。
【0181】
次に、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における、対象サービスと維持容量との対応関係E2を更新するか否かを判断する。たとえば、車両サービス管理装置101は、対象サービスごとに、算出した実際の維持容量と、対応テーブルTb1の示す維持容量とが同じあるか否かを確認する(ステップST124)。
【0182】
そして、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における対応関係E2を更新すると判断した場合(ステップST124においてYES)、対応関係E2を更新する。たとえば、上述したように、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1において、算出した実際の維持容量を対象サービスと対応付けて登録し(ステップST125)、車両1について対象状態であるか否かの判断を再び行う(ステップST101)。
【0183】
一方、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ容量が基準値A未満である場合(ステップST114においてNO)、メインバッテリ容量が基準値A以上であるか否かを確認する(ステップST126)。
【0184】
そして、車両サービス管理装置101は、メインバッテリ容量が基準値A以上である場合(ステップST126においてYES)、対象サービスを起動すると判断する(ステップST115)。
【0185】
一方、車両サービス管理装置101は、メインバッテリ容量が基準値A未満である場合(ステップST126においてNO)、対象サービスを起動しないと判断し(ステップST127)、車両1について対象状態であるか否かの判断を再び行う(ステップST101)。
【0186】
また、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における対応関係E1を更新しないと判断した場合(ステップST120においてNO)、各サービス対応装置の消費電力を計測する計測処理を行う(ステップST122)。
【0187】
また、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における対応関係E2を更新しないと判断した場合(ステップST124においてNO)、車両1について対象状態であるか否かの判断を再び行う(ステップST101)。
【0188】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける車両サービス管理装置および車載装置の処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0189】
図8を参照して、まず、車両サービス管理装置101は、車両1について対象状態であると判断する(ステップST201)。
【0190】
次に、車両サービス管理装置101は、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の各々の、劣化に関する状態を監視する。ここでは、車両サービス管理装置101が、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の両方が正常であることを確認したとする(ステップST202)。
【0191】
次に、車両サービス管理装置101は、対象サービスの起動に要する起動容量、および対象サービスの提供を維持するために要する維持容量を取得する。たとえば、上述したように、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1を用いて、起動容量C1,C2および維持容量M1,M2を取得する(ステップST203)。
【0192】
次に、車両サービス管理装置101は、取得した、起動容量C1、起動容量C2、維持容量M1および維持容量M2の合計値にマージン値Nを加算することにより、基準値Aを算出する(ステップST204)。
【0193】
次に、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ容量が基準値A以上であるか否かを確認する。ここでは、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ容量が基準値A以上であることを確認したとする(ステップST205)。
【0194】
次に、車両サービス管理装置101は、対象サービスを起動すると判断し、対応テーブルTb1を用いてサービス対応装置を特定する。ここでは、車両サービス管理装置101が、サービス対応装置として、車載装置202A,202Bを特定したとする(ステップST206)。
【0195】
次に、車両サービス管理装置101は、ウェイクアップ要求フレームを車載装置202A,202Bへ送信する(ステップST207およびステップST208)。
【0196】
次に、車載装置202Aおよび車載装置202Bは、車両サービス管理装置101からウェイクアップ要求フレームを受信すると、ウェイクアップモードへ遷移する(ステップST209およびステップST210)。
【0197】
次に、車載装置202Aおよび車載装置202Bは、ウェイクアップモードへ遷移した旨を示す遷移完了フレームを車両サービス管理装置101へ送信する(ステップST211およびステップST212)。
【0198】
次に、車両サービス管理装置101は、車載装置202A,202Bから遷移完了フレームを受信すると、対象サービスを起動するために要した実際の起動容量を算出する(ステップST213)。
【0199】
次に、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における、対象サービスと起動容量との対応関係E1を更新するか否かを判断する。ここでは、車両サービス管理装置101は、対応関係E1を更新すると判断したとする(ステップST214)。
【0200】
次に、車両サービス管理装置101は、車載装置202Aおよび車載装置202Bの各々の消費電力を計測する(ステップST215)。
【0201】
次に、車両サービス管理装置101は、車載装置202Aおよび車載装置202Bの各々の消費電力の計測結果を用いて、対象サービスの提供を維持するために要した実際の維持容量を算出する(ステップST216)。
【0202】
次に、車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における、対象サービスと維持容量との対応関係E2を更新するか否かを判断する。ここでは、車両サービス管理装置101は、対応関係E2を更新すると判断したとする(ステップST217)。
【0203】
なお、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、対象サービスを起動するか否かを起動判断処理において判断する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、対象サービスを起動するか否かを判断する代わりに、対象サービスの起動が成功する確率を算出する構成であってもよい。この場合、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ容量と基準値Aとの差、またはメインバッテリ容量と基準値Aとの差に基づいて、当該確率を算出する。そして、車両サービス管理装置101は、当該確率の算出結果が所定の閾値以上である場合、上記動作開始制御を行う。
【0204】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、起動判断処理において、サブバッテリ容量またはメインバッテリ容量が基準値A以上である場合、対象サービスの起動について肯定的な判断を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、サブバッテリ容量およびメインバッテリ容量の合計値が基準値A以上である場合、対象サービスの起動について肯定的な判断を行う構成であってもよい。
【0205】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、起動容量C1、起動容量C2、維持容量M1および維持容量M2の合計値Wにマージン値Nを加算した基準値Aを用いて起動判断処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、基準値Aの代わりに、合計値Wを起動判断処理の基準として用いる構成であってもよい。この場合、車両サービス管理装置101は、サブバッテリ容量またはメインバッテリ容量が合計値W以上である場合、対象サービスの起動について肯定的な判断を行う。
【0206】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、起動容量C1,C2および維持容量M1,M2に基づいて、起動判断処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、維持容量M1,M2を用いずに、起動容量C1,C2に基づいて、起動判断処理を行う構成であってもよい。
【0207】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、対象サービスの提供時間tsに基づく維持容量を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、対象サービスの提供時間tsとは異なる他のパラメータに基づく維持容量を取得する構成であってもよい。
【0208】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、起動判断処理において、対象サービスの起動について肯定的な判断を行った場合、サービス対応装置を特定し、当該サービス対応装置の動作を開始させる処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、対象サービスの起動について肯定的な判断を行った場合、たとえば、判断結果を車両1のユーザへ通知する構成であってもよい。
【0209】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、起動判断処理において、対象サービスと起動容量との対応関係E1を示す対応テーブルTb1を用いて、起動容量を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、起動判断処理において、たとえば所定の演算式を用いて、起動容量を算出する構成であってもよい。
【0210】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、起動判断処理において、対象サービスと維持容量との対応関係E2を示す対応テーブルTb1を用いて、維持容量を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、起動判断処理において、たとえば所定の演算式を用いて、維持容量を算出する構成であってもよい。
【0211】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、監視したメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量に基づいて、対応テーブルTb1における、対象サービスと起動容量との対応関係E1を更新する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における対応関係E1を更新しない構成であってもよい。
【0212】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、サービス対応装置の消費電力の統計値に基づいて、対応テーブルTb1における、対象サービスと維持容量との対応関係E2を更新する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、対応テーブルTb1における対応関係E2を更新しない構成であってもよい。
【0213】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、車両サービス管理装置101は、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の各々の、劣化に関する状態を監視し、監視結果が所定条件を満たす場合、バッテリ劣化情報を車両1のユーザへ通知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車両サービス管理装置101は、メインバッテリ61およびサブバッテリ62の各々の、劣化に関する状態を監視しない構成であってもよい。
【0214】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、電源部51は、2つのバッテリ、すなわちメインバッテリ61およびサブバッテリ62を含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。電源部51は、1つまたは3つ以上のバッテリを含む構成であってもよい。
【0215】
[変形例1]
図9は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車載システムの構成の一例を示す図である。図9を参照して、車載システム302は、図1に示す車載システム301と比べて、さらに、車載装置202である車載装置202Eを備える。車載装置202Eは、CANバス2Bを介して車両サービス管理装置101と接続されている。また、車載装置202Eは、電源線5Bを介して電源部51と接続されている。
【0216】
以下、車載ネットワーク401に新たに追加される車載装置202を「新規装置」とも称し、新規装置を含む車載ネットワーク401を「新規ネットワーク」とも称する。
【0217】
図10は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車両サービス管理装置の構成の一例を示す図である。図10を参照して、車両サービス管理装置101Aは、通信部11と、処理部12Aと、記憶部13とを備える。通信部11および処理部12Aの一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部13は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0218】
(追加検知部)
処理部12Aは、図2に示す処理部12と比べて、さらに、追加検知部29を含む。追加検知部29は、車載ネットワーク401への車載装置202の追加を検知する。変形例1では、追加検知部29は、車載装置202Eの車載ネットワーク401への追加を検知する。
【0219】
より詳細には、たとえば、車載装置202Eは、CANバス2Bに接続されると、車載ネットワーク401における通信接続を要求するためのCANフレーム(以下、「接続要求フレーム」とも称する。)を車両サービス管理装置101へ送信する。
【0220】
車両サービス管理装置101において、追加検知部29は、車載装置202Eから接続要求フレームを通信部11経由で受信すると、当該接続要求フレームに含まれる認証用IDおよび認証用パスワードを用いて、車載装置202Eの認証処理を行う。
【0221】
追加検知部29は、車載装置202Eの認証に成功すると、認証が成功した旨、および車載装置202Eに対応するサービスの種別の通知を要求する種別要求情報を通信部11およびCANバス2B経由で車載装置202Eへ送信する。
【0222】
車載装置202Eは、車両サービス管理装置101から種別要求情報を受信すると、受信した種別要求情報に対する応答として、自己に対応するサービスの種別を示すサービス情報を車両サービス管理装置101へ送信する。変形例1では、車載装置202Eは、たとえば、自己に対応するサービスの種別としてソフトウェア更新サービスを示すサービス情報を車両サービス管理装置101へ送信する。
【0223】
車両サービス管理装置101において、追加検知部29は、車載装置202Eからのサービス情報を通信部11経由で受信すると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、受信したサービス情報の示すサービスの種別が対応テーブルTb1に登録されているか否かを確認する。
【0224】
そして、追加検知部29は、サービス情報の示すサービスが対応テーブルTb1に登録されている場合、車載ネットワーク401に追加された車載装置202Eと、当該サービスの種別とを示す装置追加情報を更新部28へ出力する。
【0225】
なお、追加検知部29は、たとえば定期的に、追加機能部を検知するための探索メッセージを通信部11経由でブロードキャストする構成であってもよい。この場合、追加機能部は、当該探索メッセージを受信し、受信した探索メッセージに対する応答として接続要求情報を送信する。
【0226】
(対応テーブルの更新)
更新部28は、追加検知部29から装置追加情報を受けると、図3に示す対応テーブルTb1における対象サービスとサービス対応装置との対応関係E3を更新する。
【0227】
より詳細には、たとえば、更新部28は、追加検知部29から装置追加情報を受けると、記憶部13における対応テーブルTb1を読み出す。そして、更新部28は、対応テーブルTb1において、当該装置追加情報の示すサービスの種別と同じ種別の対象サービス、すなわちソフトウェア更新サービスに対応するサービス対応装置として、当該装置追加情報の示す車載装置202Eを新たに登録する。
【0228】
図11は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車両サービス管理装置による更新後の対応テーブルの一例を示す図である。
【0229】
図11を参照して、更新後の対応テーブルTb1では、図3に示す対応テーブルTb1と比べて、「ソフトウェア更新サービス」に対応するサービス対応装置として、「車載装置202E」が新たに登録されている。
【0230】
<対応関係E1の更新>
再び図10を参照して、監視部22は、ソフトウェア更新サービスに対応するサービス対装置、すなわち車載装置202C,202D,202Eの各々から上記遷移完了フレームを受信すると、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を算出する。そして、監視部22は、算出結果を示す算出結果情報P20を更新部28へ出力する。当該算出結果は、ソフトウェア更新サービスを起動後の最新の、メインバッテリ容量およびサブバッテリ容量を示す。
【0231】
更新部28は、監視部22から算出結果情報P20を受けると、算出結果情報P20の示すメインバッテリ容量およびサブバッテリ容量の合計値B30を算出する。そして、更新部28は、記憶部13に保存されている容量合計情報L2の示す合計値B2から、算出した合計値B30を減算した値を、ソフトウェア更新サービスを起動するために実際に要した起動容量C22として算出する。
【0232】
更新部28は、起動容量C22を算出すると、記憶部13に保存されている容量合計情報L2を削除する。
【0233】
また、更新部28は、起動容量C22を算出すると、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、起動容量C22と、対応テーブルTb1の示す、ソフトウェア更新サービスに対応する起動容量C2とが同じであるか否かを確認する。
【0234】
ここでは、起動容量C22と起動容量C2とが異なるとする。この場合、更新部28は、対応テーブルTb1における対応関係E1、具体的にはソフトウェア更新サービスの起動容量を更新すると判断する。
【0235】
図12は、本開示の実施の形態の変形例1に係る車両サービス管理装置による更新後の対応テーブルの他の例を示す図である。
【0236】
図12を参照して、更新後の対応テーブルTb1では、図11に示す対応テーブルTb1と比べて、ソフトウェア更新サービスに対応する起動容量が「GGG」ミリアンペアアワーに変更されている。
【0237】
<対応関係E2の更新>
再び図2を参照して、電力計測部27は、対象状態において、たとえば定期的に、新規ネットワークにおける各サービス対応装置の消費電力を算出し、算出結果を示す電力算出情報K12を記憶部13に保存する。
【0238】
また、たとえば、電力計測部27は、記憶部13に所定時間T11の間に蓄積された電力算出情報K12を用いて、新規ネットワークにおけるサービス対応装置ごとに、消費電力の平均値Fを算出する。そして、電力計測部27は、算出結果を示す電力統計情報K22を更新部28へ出力する。
【0239】
更新部28は、電力計測部27から電力統計情報K22を受けると、電力統計情報K22と、および記憶部13に保存されている、対象サービスの提供時間tsとを用いて、上述のように、対象サービスごとに実際の維持容量を算出する。
【0240】
そして、更新部28は、記憶部13における対応テーブルTb1を参照することにより、対象サービスごとに、算出した実際の維持容量と、対応テーブルTb1の示す、当該対象サービスに対応する維持容量とが同じであるか否かを確認する。
【0241】
ここでは、ソフトウェア更新サービスの実際の維持容量M22と、対応テーブルTb1の示す、ソフトウェア更新サービスに対応する維持容量M2とが異なるとする。この場合、更新部28は、対応テーブルTb1における対応関係E2、具体的にはソフトウェア更新サービスの維持容量を更新すると判断する。
【0242】
図12に示す更新後の対応テーブルTb1では、図11に示す対応テーブルTb1と比べて、ソフトウェア更新サービスに対応する維持容量が「HHH」ミリアンペアアワーに変更されている。
【0243】
[変形例2]
車両サービス管理装置101において、管理部21は、車両1のユーザによって所定の操作が行われた場合、起動判断処理において、対象サービスを起動すると判断する構成であってもよい。
【0244】
より詳細には、たとえば、ユーザは、所望のサービスの開始を指示するための操作を、車両1に設けられたナビゲーション装置に対して行う。
【0245】
具体的には、たとえば、ユーザは、車両1における省電力機能を向上させるためのサービス(以下、「省電力サービス」とも称する。)の開始を指示するための操作を、ナビゲーション装置に対して行う。ナビゲーション装置は、ユーザからの当該操作を受け付けると、受け付けた操作の内容に基づいて、省電力サービスを開始すべき旨を示すサービス開始情報を車両サービス管理装置101へ送信する。
【0246】
図13は、本開示の実施の形態の変形例2に係る車両サービス管理装置が保存する対応テーブルの一例を示す図である。
【0247】
図13を参照して、対応テーブルTb2は、図3に示す対応テーブルTb1と比べて、対応関係E1,E2,E3,E4に加えて、起動フラグを含む。起動フラグは、対象サービスを起動するか否かを示す。
【0248】
対応テーブルTb2において、起動フラグ「1」は、省電力サービスの実行時において起動する対象サービスを示す。起動フラグ「0」は、省電力サービスの実行時において起動しない対象サービスを示す。
【0249】
図13に示す対応テーブルTb2において、周辺監視サービスの起動フラグは「1」である。ソフトウェア更新サービスの起動フラグは「0」である。
【0250】
管理部21は、ナビゲーション装置からサービス開始情報を受信し、かつ起動判断処理において、サブバッテリ容量またはメインバッテリ容量が基準値A以上であることを確認した場合、記憶部13における対応テーブルTb2を参照することにより、起動フラグ「1」の周辺監視サービスを起動させて、起動フラグ「0」のソフトウェア更新サービスを起動させないと判断する。
【0251】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0252】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0253】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車両に搭載される車両サービス管理装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記車両が停車中または駐車中である対象状態において、前記車両に設けられるバッテリの容量であるバッテリ容量を監視し、
前記車両において提供されるサービスの起動に要する前記バッテリの容量である起動容量であって、前記対象状態において提供される前記サービスである対象サービスの起動に要する前記起動容量を取得し、
監視した前記バッテリ容量、および取得した前記起動容量に基づいて、前記対象サービスの起動を判断する起動判断処理を行う、車両サービス管理装置。
【符号の説明】
【0254】
1 車両
2,2A,2B CANバス
4,5,5A,5B,5C,5D,5E 電源線
11 通信部
12,12A 処理部
13 記憶部
21 管理部
22 監視部
23 通知部
24 取得部
25 特定部
26 制御部
27 電力計測部
28 更新部
29 追加検知部
51 電源部
61 メインバッテリ
62 サブバッテリ
71,71A,71B リレー
101,101A 車両サービス管理装置
202,202A,202B,202C,202D,202E 車載機器
301,302 車載システム
401 車載ネットワーク
Tb1,Tb2 対応テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13