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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013534
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】コラゲナーゼ産生の改良された方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/46 20060101AFI20250117BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20250117BHJP
   C12N 9/50 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
A61K38/46
A61P19/02
A61P3/00
A61K38/46 ZNA
A61P43/00 111
C12N9/50 ZNA
C12N9/50
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024194504
(22)【出願日】2024-11-06
(62)【分割の表示】P 2022190666の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】62/477,846
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519316092
【氏名又は名称】エンド ベンチャーズ アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】シェイファー,クリスティン,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーバウム,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジアドシュ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】シャナフェルト,ダニエル
(57)【要約】
【課題】コラゲナーゼ産生の改良された方法を提供すること。
【解決手段】単離され、かつ精製されたコラゲナーゼを含む薬物製品であって、中性プロテアーゼを本質的に含まない、薬物製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離され、かつ精製されたコラゲナーゼを含む薬物製品であって、中性プロテアーゼを本質的に含まない、薬物製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年3月28日に出願された米国特許仮出願第62/477,846号の優先権を主張し、これは、法により許容される最大範囲までその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コラゲナーゼ産生およびコラゲナーゼ製品の分野、特にコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼII組成物の再現性、純度、および安定性の改良に関し、組成物は、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)により測定された場合に少なくとも95面積%純粋であり、かつ中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【背景技術】
【0003】
C.ヒストリチクムの発酵から高度に純粋な(少なくとも95%純粋な)コラゲナーゼを製造するためのプロセスが、特許文献1で以前に記載されている。コラゲナーゼIおよびIIは、哺乳動物中に最も豊富にある構造タンパク質であるコラーゲンを分解する酵素である。これらの酵素は、さまざまなコラーゲン介在疾患、例えば、デュプイトラン拘縮、ペロニー病、脂肪腫、および癒着性関節包炎の治療のために使用される。特許文献2および特許文献3は、デュプイトラン病の治療におけるコラゲナーゼ調製物の使用を開示している。特許文献4は、ペロニー病の治療におけるコラゲナーゼ調製物の使用を開示している。特許文献5および特許文献6は、脂肪腫の治療におけるコラゲナーゼの使用を開示している。特許文献7は、癒着性関節包炎の治療におけるコラゲナーゼの使用を開示している。特許文献8および特許文献9は、セルライトを治療するためのコラゲナーゼの使用を開示している。
【0004】
コラゲナーゼの主な供給源は、C.ヒストリチクムの発酵からである。C.ヒストリチクムコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む注射用製剤は、商標名XIAFLEX(登録商標)の下で販売されており、デュプイトラン拘縮およびペロニー病の治療のために米国食品医薬品局から認可されている。注射用製剤は、欧州および他の国では、XIAPEX(登録商標)と呼ばれている。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについてのアミノ酸配列は、それぞれcolGおよびcolH遺伝子によりコードされている。colGについてのアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号D87215および非特許文献1に記載されており、colHについてのアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号D29981および非特許文献2に記載されている。コラゲナーゼAUXIは、約113kDaの分子量を有するおおよそ1000個のアミノ酸からなる単一ポリペプチド鎖を有する。コラゲナーゼAUXIIも、約112kDaの分子量を有するおおよそ1000個のアミノ酸からなる単一ポリペプチド鎖を有する。
【0005】
コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、金属プロテアーゼであり、その活性のために固く結合した亜鉛および緩く結合したカルシウムを必要とする(非特許文献3)。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの両方は、コラーゲンのすべての型に対して幅広い特異性を有する(非特許文献4)。これらのコラゲナーゼは、生理的条件下でコラーゲンの三重らせん領域を加水分解することにより、コラーゲンを消化する(非特許文献4)。各コラゲナーゼは異なる特異性を示すが(すなわち、各々は切断のために異なる好ましいアミノ酸配列を有する)、併せて、それらはコラーゲンに対して相乗的な活性を有する(非特許文献5;非特許文献6)。
【0006】
療法において使用するためのコラゲナーゼは、哺乳動物、真菌類、および細菌供給源を含むさまざまな供給源から得られる場合がある。粗コラゲナーゼの1つの一般的供給源は、細菌の発酵プロセスから、具体的には、クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)(C.ヒストリチクム)の発酵からである。C.ヒストリチクムから得られた粗コラゲナーゼは、多数のクロマトグラフィー技法のいずれかを用いて精製され得る。しかし、さまざまな毒素を含む、コラゲナーゼ以外の多くの他の酵素が、発酵液の中へと分泌される。
【0007】
特許文献10で以前に記載されているように、コラゲナーゼを産生する発酵中のこれらの毒素の機能を調査するために、C.ヒストリチクム004株から分泌された毒素のゲノム配列決定および分析を実施した。調査した毒素は、アルファ毒素(致死因子)、ベータ毒素(I型およびII型コラゲナーゼ)、ガンマ毒素(クロストリパイン)、デルタ毒素(中性プロテアーゼ)、イプシロン毒素(酸素不安定性ヘモリジン)であった。ゲノム配列分析に基づいて、コラゲナーゼおよびクロストリパインのみが、004株の機能的毒素であると考えられた。他の毒素は、C.ヒストリチクムタンパク質と各モデルタンパク質との間の必須アミノ酸配列の差異に基づいて、非機能的であると考えられた。
【0008】
中性プロテアーゼ(NP)とも知られているデルタ毒素は、C.ヒストリチクムからの金属プロテアーゼである。中性プロテアーゼは、金属プロテアーゼのM4ファミリーのメンバーであり、MEROPSペプチダーゼデータベースによれば、中性プロテアーゼは、共通配列モチーフ、基質特異性、およびコファクター要件を含む、M4ファミリーと構造的類似性を有する。テルモリシンは、M4ファミリーのうち、最も研究され、かつ理解されている酵素である。この研究に関連して、バチルス・サーモプロテオリティカス(Bacillus thermoproteolyticus)からのテルモリシンが以前クローニングされ、かつ配列決定され、そしてその情報は、GenBankにアクセッション番号CAA54291として登録された。テルモリシンは、34.6kDaの成熟酵素分子量を有する亜鉛金属プロテアーゼである。テルモリシンおよびM4ペプチドファミリーのすべてのメンバーは、シグナルペプチド、プロ配列、および成熟配列から構成される。
【0009】
テルモリシンが細胞により産生される場合、これは、成熟酵素配列の前にあるタンパク質プロ配列がテルモリシンを阻害するため、不活性酵素(プロ酵素)として開始する。プロ配列は、分泌されたプロ酵素の大きさの3分の2を表し、一方で成熟酵素は、3分の1を表す。テルモリシン中のプロ配列は、自己触媒的に切断され、その目的とする環境において成熟酵素の活性化をもたらす。テルモリシン分泌ストラテジーは、中性プロテアーゼと共有され、C.ヒストリチクム中性プロテアーゼがまた不活性プロテアーゼとして開始することを結論付けるための根拠であった。同様に、その成熟形態でのC.ヒストリチクム中性プロテアーゼは、Herber(特許文献10)および非特許文献7において記載されているように、テルモリシンと同様の分子量を有する。
【0010】
その合成、分泌、活性化、および基質特異性におけるテルモリシンの類似性により、テルモリシンは、C.ヒストリチクム004株からの中性プロテアーゼのためのモデルとなる。テルモリシンと中性プロテアーゼとの間のこれらの特質は、共有された構造的特徴に基づいて類似しているが、2つの酵素の間には、配列差異が存在する。本発明に関連して、Herber(特許文献10)における、デルタ毒素の以前のゲノム分析およびテルモリシンに対するホモロジー比較は、中性プロテアーゼは成長培地中に分泌された可能性があるが、自己触媒部位における異なるコンセンサス配列に起因して活性でなかったことを結論付けた。
【0011】
テルモリシン(およびすべての中性プロテアーゼ)の特色的な特徴は、それが作用することのできる広範囲のタンパク質である。医薬、特に体内に注射される医薬中の非特異的プロテアーゼの存在は、それらが、微量で存在する場合でさえも、標的としない体内の酵素、細胞、および組織を不都合にも分解するために、問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7,811,560号
【特許文献2】米国特許第6,086,872号
【特許文献3】米国特許第5,589,171号
【特許文献4】米国特許第6,022,539号
【特許文献5】米国特許第6,958,150号
【特許文献6】米国特許第7,842,673号
【特許文献7】米国特許出願公報第2006/020448A1号
【特許文献8】米国特許出願公報第2014/0335072号
【特許文献9】米国特許出願公報第2016/0279046号
【特許文献10】米国特許出願公報第2015/0010532号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Matsushita et al.(1999),Journal of Bacteriology181(3):923-933
【非特許文献2】Yoshihara et al.(1994)、Journal of Bacteriology176(21):6489-6496
【非特許文献3】Eddie L.Angleton and H.E.Van Wart,Biochemistry1988,27,7406-7412
【非特許文献4】Steinbrink,D;Bond,M and Van Wart,H;(1985),JBC,260p2771-2776
【非特許文献5】Mandl,I.,(1964),Biochemistry,3:p.1737-1741
【非特許文献6】Vos-Scheperkeuter,G H,(1997),Cell Transplantation,6:p.403-412
【非特許文献7】Maeda et al.,Cloning a neutral protease of Clostridium histolyticum,determining its substrate specificity,and designing a specific substrate,Appl.Microbiol.Biotech.,99:10489-99(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
コラゲナーゼを作製するための以前のプロセスは、時に、非定型コラゲナーゼの分解をもたらすことがある。コラゲナーゼの効率的かつ効果的な商業的製造のために、毒素を含まない高度に純粋なコラゲナーゼの再現性のある製造が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、コラゲナーゼIおよびII産物から検出可能な量の中性プロテアーゼを除去する、コラゲナーゼ製造のための改良されたプロセスを提供する。本開示は、医学的使用のための以前のコラゲナーゼ組成物と比べて分解を受けにくく、かつより純粋なコラゲナーゼ産物を提供する。一実施形態では、製造プロセス中のC.ヒストリチクムからの非定型コラゲナーゼIおよびII分解の原因を同定するために、調査を実施した。C.ヒストリチクムからの中性プロテアーゼは、その活性のある成熟形態で、C.ヒストリチクムの発酵液中に存在することが見出された。さらに、この中性プロテアーゼは、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIに対して高度に活性があり、かつ両コラゲナーゼの有意な分解を引き起こす場合がある。精製プロセスの間にそれが継続して存在することにより、両コラゲナーゼも分解される場合がある。
【0016】
以前は不活性であると考えられていた中性プロテアーゼは、予想に反して、より多い量の1つ以上の金属(例えば、ニッケルおよび亜鉛)の存在下で、広範囲にわたってより活性となる。この金属媒介活性は、百万分率レベルのかかる金属の存在下でのコラゲナーゼ製造プロセス中に、高いレベルのコラゲナーゼ産物断片を産生し、プロセスの少なくともイオン交換(IEX)クロマトグラフィー工程において純度不良を引き起こす。
【0017】
本発明はまた、製造プロセスから中性プロテアーゼを単離するための方法、それをプロセスから除去するための方法、および製造プロセスにわたってその存在を判定するための方法も提供する。さらに、本発明は、高度に精製されたコラゲナーゼの改良された再現性および安定性を提供し、中性プロテアーゼを本質的に含まない(すなわち、検出可能な限界を下回る)コラゲナーゼIおよびII産物を提供し、また中性プロテアーゼを本質的に含まないより安全かつより純粋なコラゲナーゼ組成物を提供する。
【0018】
製造再現性は、発酵および精製プロセスの間、金属を制御することにより改良される。驚くべきことに、C.ヒストリチクムからのコラゲナーゼIおよびIIの精製の間のある金属の存在または不在がコラゲナーゼ産物の純度に影響することが見出された。一実施形態では、約80ppm以上の亜鉛レベル、または約1ppm以上のニッケルレベルは、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)により測定された場合に高いレベルでのコラゲナーゼI産物およびコラゲナーゼII産物不純物を生じ、薬物製品のためには許容されないレベルの不純物をもたらす。
【0019】
別の実施形態では、亜鉛レベルが約2.75ppmより高く、かつ約80ppm未満である場合、コラゲナーゼは断片に分解されない。また、精製プロセスの少なくとも1工程において、ニッケルレベルが約0.4ppmより高く、かつ約1ppm未満である場合、コラゲナーゼは断片に分解されない。さらに、薬物精製プロセスを制御して、約3ppm以下の亜鉛レベル、または約0.5ppm以下のニッケルレベルを維持することは、高い純度でのコラゲナーゼ産物の製造の信頼性および再現性を改良する。高いレベルのコラゲナーゼ分解を引き起こさない微量の金属亜鉛およびニッケル(または他の金属)を伴うコラゲナーゼ製造プロセスを稼働することにより、以前のプロセスと比較して著しく改良された信頼性および再現性がもたらされる。
【0020】
ある実施形態では、コラゲナーゼ製造プロセスの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)工程のためのバッファー中に、ニッケルまたは亜鉛が存在する場合、中性プロテアーゼは、積極的にコラゲナーゼIおよびIIをより小さな断片へと分解し、そして低い純度(SDS-PAGEにより測定された場合に95%未満の純度)のコラゲナーゼ産物をもたらす。いくつかの実施形態では、ニッケル(約0.4ppm~約1ppmの量の)および亜鉛(約2.8ppm~84ppmの量の)は、HICおよびタンジェンシャルフロー濾過(TFF)ユニット操作において、中性プロテアーゼ特異的活性を増幅せず、IEXユニット操作において有意に増大した産物断片不純物を引き起こさない。一実施形態では、ニッケルまたは亜鉛レベルについてのコラゲナーゼ製造プロセスの制御は、高い純度のコラゲナーゼIおよびII産物を得るために重要である。
【0021】
コラゲナーゼ組成物が中性プロテアーゼを本質的に含まないように、コラゲナーゼ製造プロセスから中性プロテアーゼを排除するか、または少なくともそれを低減することにより、産物の安全性が改良され、かつ中性プロテアーゼによる産物中のコラゲナーゼの分解が阻止される。コラゲナーゼ組成物は、製造プロセスにおいて少なくとも1つの中性プロテアーゼ排除工程を付加することにより、改良される。コラゲナーゼ産物の製造からの中性プロテアーゼの低減または排除は、以下の排除工程のうちの1つ以上により達成され得る:(a)SDS PAGEゲルもしくはHPLCにより測定された場合に、約90%未満のコラゲナーゼIもしくはII含量を有し、かつ約7%超の含量の任意の単一の不純物を有する任意の画分を除外すること;(b)SDS PAGEゲルもしくはザイモグラフィーにより測定された場合に、検出可能なレベルの中性プロテアーゼを有する任意の画分を除外すること;または(c)過剰なレベルの中性プロテアーゼを含有すると計算された任意の画分を除外すること。各々は、個別に、または組み合わせて使用され得る。
【0022】
より具体的には、排除工程は、コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼII画分をプールする前に、コラゲナーゼを分離カラムまたはフィルター(または他の分離媒体)を通過させた後に収集され、かつSDS-PAGEまたはザイモグラフィーアッセイにより試験された場合に検出可能なレベルの中性プロテアーゼを含有する画分を拒絶することも含んでもよい。ある実施形態では、画分は、それらが有意な量のコラゲナーゼを含有していても、拒絶されてもよい。排除はまた、SDS PAGEゲルまたはHPLCにより測定された場合に、約90%未満のコラゲナーゼIまたはII含量および約7%超の含量の任意の単一の不純物を有する任意のコラゲナーゼIまたはII画分を拒絶または廃棄することも必要としてもよい。排除工程は、コラゲナーゼI画分がコラゲナーゼI産物のためにプールされるための制御のために、プロセス中で産生された推定量のコラゲナーゼIIの使用を含んでもよい。これらの工程のいずれもが、中性プロテアーゼを本質的に含まないコラゲナーゼIおよびII産物を産生するために、コラゲナーゼ製造プロセスにおいて使用することができる。
【0023】
中性プロテアーゼ排除の一実施形態は、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)画分の純度に対してプロセス制御を実施し、ここで、各画分は、純度および最も豊富にある不純物の両方について分析され、そして各画分は、画分を順方向でプロセスするために、この基準を満たす必要がある(プール、薬物製品、および薬学的製剤としての使用のために許容される)。この実施形態では、IEX工程のコラゲナーゼIピークの末端における中性プロテアーゼ溶離の位置的な性質は、SDS-PAGE、濃度測定を伴うSDS-PAGE、またはザイモグラフィー(濃度測定を伴うもしくは伴わない)アッセイによる検出可能な限界の中性プロテアーゼを示す画分(複数可)を自動的に拒絶することにより、中性プロテアーゼの除去のための効果的な機構を提供する。別の実施形態では、プールされたコラゲナーゼIのおおよその量が、プロセスにより産生されたコラゲナーゼIIのおおよその量に適合するまで、コラゲナーゼIピーク画分のみをプールすることと併せて、IEX溶離から収集されたコラゲナーゼI画分のピーク画分は、所望の純度および不純物基準を満たす画分に基づいて、順方向でプロセスされる。この制御ストラテジーは、コラゲナーゼIピークのさらなる末端画分の排除をもたらし、これによりプールされたコラゲナーゼIの画分は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【0024】
本方法はさらに、本開示に従って薬学的製剤を調製するための方法、および本発明のコラゲナーゼ組成物を用いてコラーゲン介在疾患を患っている患者を治療するための方法を提供する。例えば、有効量のコラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはその組み合わせを投与することによってコラーゲン介在疾患を治療する方法が検討されている。一実施形態では、本開示は、コラーゲン介在症状の治療(例えば、セルライト)を必要とする患者におけるコラーゲン介在症状を治療する方法に関し、この方法は、患者に有効量のコラゲナーゼ組成物を投与する工程を含み、コラゲナーゼ組成物は、約0.6:1.4のコラゲナーゼI対コラゲナーゼII~約1.4:0.6のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIの質量比で組み合わされたコラゲナーゼI産物およびコラゲナーゼII産物を含み、この組成物は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。さらに、本開示は、より安定かつより安全な薬学的製剤を提供する。
【0025】
本組成物および方法等のさらなる実施形態は、以下の説明、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかとなるだろう。前述および後述の説明から理解できるように、本明細書に記載されるありとあらゆる特徴、およびかかる特徴の2つ以上のありとあらゆる組み合わせは、かかる組み合わせに含まれる特徴が互いに矛盾しない限り、本開示の範囲内に含まれる。さらに、任意の特徴または特徴の組み合わせは、任意の実施形態または態様から特異的に除外されてもよい。さらなる態様および実施形態は、添付の実施例および図面と併せて考慮される場合に特に、以下の説明および特許請求の範囲において示される。
【0026】
カラー図面への参照
本出願ファイルは、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。カラー図面を伴う本出願公報のコピーは、請求に応じ、かつ所定の費用の支払いをすることで、特許庁より提供される。
【0027】
即ち、本発明の要旨は以下のものに関する。
項1
単離され、かつ精製されたコラゲナーゼを含む薬物製品であって、中性プロテアーゼを本質的に含まない、薬物製品。
項2
前記製品が、前記製品1mgあたり約100ng未満の中性プロテアーゼを含む、項1に記載の薬物製品。
項3
前記製品が、前記製品1mgあたり約75ng未満の中性プロテアーゼを含む、項1に記載の薬物製品。
項4
前記製品が、前記製品1mgあたり約50ng未満の中性プロテアーゼを含む、項1に記載の薬物製品。
項5
前記製品が、前記製品1mgあたり約25ng未満の中性プロテアーゼを含む、項1に記載の薬物製品。
項6
前記コラゲナーゼが、C.ヒストリチクム由来のコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む、項1に記載の薬物製品。
項7
前記コラゲナーゼが、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIのうちの少なくとも1つである、項1に記載の薬物製品。
項8
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、おおよそ1:1の比で存在する、項7に記載の薬物製品。
項9
C.ヒストリチクムから得られたか、またはそれに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIであって、中性プロテアーゼを本質的に含まない、コラゲナーゼI。
項10
前記コラゲナーゼIが、検出可能な量の中性プロテアーゼを含まない、項9に記載のコラゲナーゼI。
項11
前記コラゲナーゼIが、前記コラゲナーゼIの1mgあたり約1000ng未満の中性プロテアーゼを含む、項9に記載のコラゲナーゼI。
項12
前記コラゲナーゼIが、前記コラゲナーゼIの1mgあたり約500ng未満の中性プロテアーゼを含む、項9に記載のコラゲナーゼI。
項13
C.ヒストリチクムから得られたか、またはそれに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを単離し、かつ精製するための方法であって、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの精製の間、金属レベルを制御することを含む、方法。
項14
前記プロセスが、低レベルの、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、および鉛からなる群より選択される金属に曝露される、項13に記載の方法。
項15
前記ニッケルが、約2.0ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項16
前記ニッケルが、約1.2ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項17
前記ニッケルが、約1.0ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項18
前記ニッケルが、約0.5ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項19
前記ニッケルが、約0.9ppm未満、約0.8ppm未満、約0.7ppm未満、約0.6ppm未満、約0.5ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満、約0.1ppm未満、約0.09ppm未満、約0.08ppm未満、約0.07ppm未満、約0.06ppm未満、約0.05ppm未満、約0.04ppm未満、約0.03ppm未満、約0.02ppm未満、または約0.01ppm未満からなる群より選択される量で存在する、項14に記載の方法。
項20
前記亜鉛が、約80ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項21
前記亜鉛が、約50ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項22
前記亜鉛が、約25ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項23
前記亜鉛が、約10ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項24
前記亜鉛が、約5ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項25
前記亜鉛が、約3ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項26
前記亜鉛が、約1ppm未満の量で存在する、項14に記載の方法。
項27
単離され、かつ精製されたコラゲナーゼを作製するための方法であって、金属含量を制御および制限するプロセスにおいて前記コラゲナーゼを調製することを含み、かつ前記プロセスが、中性プロテアーゼからコラゲナーゼの複数の高度に純粋な画分を分離するための排除工程を含む、方法。
項28
前記コラゲナーゼがコラゲナーゼIであり、かつ前記排除工程が、コラゲナーゼIの画分を分離する、項27に記載の方法。
項29
前記コラゲナーゼがコラゲナーゼIIであり、かつ前記排除工程が、コラゲナーゼIIの画分を分離する、項27に記載の方法。
項30
前記コラゲナーゼがコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含み、かつ前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの高度に純粋な画分が混合され、また得られた混合物が混合物1mgあたり50ng未満の中性プロテアーゼを有する、項27に記載の方法。
項31
前記プロセスが、低レベルの、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、および鉛からなる群より選択される金属に制限されている、項27に記載の方法。
項32
前記金属がニッケルであり、かつ前記金属が約2.0ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項33
前記金属がニッケルであり、かつ前記金属が約1.2ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項34
前記金属がニッケルであり、かつ前記金属が約1.0ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項35
前記金属がニッケルであり、かつ前記金属が約0.5ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項36
前記金属がニッケルであり、かつ前記金属が約0.9ppm未満、約0.8ppm未満、約0.7ppm未満、約0.6ppm未満、約0.5ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満、約0.1ppm未満、約0.09ppm未満、約0.08ppm未満、約0.07ppm未満、約0.06ppm未満、約0.05ppm未満、約0.04ppm未満、約0.03ppm未満、約0.02ppm未満、または約0.01ppm未満からなる群より選択される量で存在する、項31に記載の方法。
項37
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約80ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項38
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約50ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項39
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約25ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項40
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約10ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項41
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約5ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項42
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約3ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項43
前記金属が亜鉛であり、かつ前記金属が約1ppm未満の量で存在する、項31に記載の方法。
項44
前記排除工程が、SDS-PAGEゲル上で各画分を試験することと、前記ゲル上に検出可能な量の中性プロテアーゼを含まない画分のみをプールすることと、を含む、項31に記載の方法。
項45
C.ヒストリチクムから得られたか、またはそれに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIを作製する方法であって、(a)コラゲナーゼIの複数の高度に純粋な画分を中性プロテアーゼから分離することと、(b)前記コラゲナーゼIの高度に純粋な画分をコラゲナーゼI薬物原料中にプールすることと、を含む、方法。
項46
前記分離工程が、ザイモグラフィーを用いて中性プロテアーゼの存在について各画分を試験することを含み、かつ前記プール工程が、ザイモグラフィーゲル上に検出可能な量の中性プロテアーゼを含まないコラゲナーゼIを含有する画分のみをプールする、項45に記載の方法。
項47
前記コラゲナーゼI薬物原料が中性プロテアーゼを本質的に含まない、項45に記載の方法。
項48
前記コラゲナーゼI薬物原料が、薬物原料1mgあたり100ng未満の中性プロテアーゼを含む、項45に記載の方法。
項49
前記コラゲナーゼI薬物原料が、薬物原料1mgあたり75ng未満の中性プロテアーゼを含む、項45に記載の方法。
項50
前記コラゲナーゼI薬物原料が、薬物原料1mgあたり50ng未満の中性プロテアーゼを含む、項45に記載の方法。
項51
前記コラゲナーゼI薬物原料が、薬物原料1mgあたり25ng未満の中性プロテアーゼを含む、項45に記載の方法。
項52
前記コラゲナーゼI薬物原料が、薬物原料1mgあたり20ng未満の中性プロテアーゼを含む、項45に記載の方法。
項53
前記コラゲナーゼI薬物原料が、薬物原料1mgあたり10ng未満の中性プロテアーゼを含む、項45に記載の方法。
項54
C.ヒストリチクムから得られたか、またはそれに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIを産生するためのプロセスであって、
a.C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、
b.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵液を回収する工程と、
c.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程であって、
i.前記粗発酵液をアニオン交換フィルターで濾過する工程、
ii.約80ppm未満の亜鉛および約1.2ppm未満のニッケルを含む硫酸アンモニウムを用いて、工程(c)(i)からの濾液を沈殿させる工程、
iii.工程(c)(ii)からの沈殿産物を再懸濁する工程、
iv.工程(c)(iii)からの再懸濁液を疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供する工程、
v.イオン交換クロマトグラフィーを用いて、前記工程(c)(iv)の濾液から前記コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとを分離する工程、および
vi.前記工程(c)(v)の濾液を画分で収集する工程、を含む、精製する工程と、
d.工程(c)(vi)からの各画分中の収集されたコラゲナーゼIIの総量を推定する工程と、
e.工程(c)(vi)からの各画分中の収集されたコラゲナーゼIの量を推定する工程と、
f.プールされたコラゲナーゼIの量が工程(d)で推定された前記コラゲナーゼIIの量とほぼ同じになるまで、前記画分中のコラゲナーゼIのピークから前記画分中のコラゲナーゼIの末尾に向かってコラゲナーゼIを含有する画分をプールする工程と、を含む、プロセス。
項55
前記硫酸アンモニウムが、約80ppm未満の亜鉛および約1.2ppm未満のニッケルを含む、項54に記載のプロセス。
項56
C.ヒストリチクムから得られたか、またはそれに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIを産生するためのプロセスであって、
a.C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、
b.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵液を回収する工程と、
c.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程であって、
i.前記粗発酵液をアニオン交換フィルターで濾過する工程、
ii.遷移金属を実質的に含まない硫酸アンモニウムを用いて、工程(i)からの濾液を沈殿させる工程、
iii.工程(ii)からの沈殿産物を再懸濁する工程、
iv.工程(iii)からの再懸濁液を疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供する工程、
v.イオン交換クロマトグラフィーを用いて、前記工程(iv)の濾液から前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを分離する工程、ならびに
vi.前記工程(v)の濾液を画分で収集する工程、を含む、精製する工程と、
d.中性プロテアーゼからコラゲナーゼIの複数の高度に純粋な画分を分離する工程と、
e.前記コラゲナーゼIの高度に純粋な画分をプールする工程と、を含む、プロセス。
項57
前記分離工程(d)が、SDS-PAGEゲル上で各画分を試験することを含み、かつ前記プール工程(e)が、前記ゲル上に検出可能な量の中性プロテアーゼを含まないコラゲナーゼIを含有する画分のみをプールする、項17に記載のプロセス。
項58
それぞれC.ヒストリチクムコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからそれぞれ得られたか、またはそれに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなる薬物製品を作製するためのプロセスであって、前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、約1対1の質量比を有し、かつ前記薬物製品が、逆相高速液体クロマトグラフィーにより判定された場合に少なくとも95面積%純粋であり、
a.C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、
b.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵液を回収する工程と、
c.濾過およびカラムクロマトグラフィーを介して粗回収液からコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程であって、約80ppm未満の亜鉛レベルおよび約1.2ppm未満のニッケルレベルを有する硫酸アンモニウム溶液を用いて前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを処理することを含む、精製する工程と、を含む、プロセス。
項59
前記プロセスが、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、および鉛からなる群より選択される、低レベルの金属に制限される、項58に記載の方法。
項60
前記ニッケルが、約2.0ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項61
前記ニッケルが、約1.2ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項62
前記ニッケルが、約1.0ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項63
前記ニッケルが、約0.5ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項64
前記ニッケルが、約0.9ppm未満、約0.8ppm未満、約0.7ppm未満、約0.6ppm未満、約0.5ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満、約0.1ppm未満、約0.09ppm未満、約0.08ppm未満、約0.07ppm未満、約0.06ppm未満、約0.05ppm未満、約0.04ppm未満、約0.03ppm未満、約0.02ppm未満、または約0.01ppm未満からなる群より選択される量で存在する、項59に記載の方法。
項65
前記亜鉛が、約80ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項66
前記亜鉛が、約50ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項67
前記亜鉛が、約25ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項68
前記亜鉛が、約10ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項69
前記亜鉛が、約5ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項70
前記亜鉛が、約3ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項71
前記亜鉛が、約1ppm未満の量で存在する、項59に記載の方法。
項72
C.ヒストリチクムから得られた中性プロテアーゼを製造するための方法であって、
a.C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、
b.中性プロテアーゼを含む粗発酵液を回収する工程と、
c.アニオン交換フィルターおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用して中性プロテアーゼを精製して、前記中性プロテアーゼを得る工程と、を含む、方法。
項73
工程(c)の前に硫酸アンモニウムを添加する工程をさらに含む、項72に記載の方法。
項74
前記硫酸アンモニウムが、約0.8M~約1.2Mである、項73に記載の方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、コラゲナーゼ産生の改良された方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
前述の実施形態の特徴は、添付の図面への参照と併せて、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、より容易に理解されるだろう。
図1】AUX-I/AUX-IIバンドについての応答の直線性を示すプロットの一例である。これは、1.125マイクログラム~1.875マイクログラムの最小限の範囲にわたる既知の参照標準のマイクログラムに対する微量のコラゲナーゼのプロットであり、98%より大きなR値を有する。
図2】Bio-Rad Quantity Oneソフトウェアにより作製された注釈付きの画像報告の一例である。レーン1は、既知の分子量のバンドを伴う分子量標準を含有する。レーン2は、適切なAUX中間体参照標準を含有する。残りのレーンは、各IEX画分からの試料を含有する。主な産物のバンドは各レーンの上部のバンドであり、より下部にあるさらなるバンドの各々は不純物を表す。
図3】AUX-I33kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図4】AUX-I45kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図5】AUX-I55kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図6】AUX-I80kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図7】AUX-I90kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図8】AUX-I96kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図9】AUX-II25kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図10】AUX-II38kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図11】AUX-II50kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図12】AUX-II60kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図13】AUX-II80kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図14】AUX-II90kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図15】AUX-II92kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図16】AUX-II96kD不純物についての画分毎の不純物発生の頻度ならびに画分毎の不純物のパーセント相対量の平均および範囲を示す。
図17】IEX画分あたりのタンパク質の典型的なグラムを示す。
図18】IEX画分あたりの90kD不純物の典型的な推定グラムを示す。
図19】AUXピークあたりのタンパク質のグラムに対する90kD不純物の推定グラムを示す。
図20】AUX-I不純物についての管理図を示す。
図21A-21B】AUX-II不純物についての管理図を示す。
図22】亜鉛スパイキング研究(DEV-25C)からの制御実行中の、IEXカラム後のAUX-II画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-IIピークは、6つの画分で収集された。このゲルは、AUX-II画分の典型的な純度および産物に関連する不純物の典型的なパターンを示す。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼII レーン3:画分#1-94.9%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#2-98.1%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#3-98.4%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#4-97.3%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#5-96.3%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#6-89.9%純度(1.5μg/レーン) レーン9:ブランク レーン10:コラゲナーゼI レーン11:コラゲナーゼIピークの画分#16(1.5μg/レーン)
図23】亜鉛スパイキング研究(実行DEV-25C)における制御実行中の、IEXカラム後のAUX-I画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-Iピークは、10個の画分で収集された。このゲルは、AUX-I画分の典型的な純度および産物に関連する不純物の典型的なパターンを示す。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼI レーン3:画分#7-87.7%純度 レーン4:画分#8-86.5%純度 レーン5:画分#9-92.0%純度 レーン6:画分#10-95.8%純度 レーン7:画分#11-97.8%純度 レーン8:画分#12-97.1%純度 レーン9:画分#13-97.0%純度 レーン10:画分#14-96.8%純度 レーン11:画分#15-96.5%純度
図24】亜鉛が84ppmにスパイクされた亜鉛スパイキング研究(実行DEV-25B)からの、IEXカラム後のAUX-II画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-IIピークは、8つの画分で収集された。このゲルは、不純物の数および強度における増大を伴い、かつAUX-II画分の純度における減少を伴う、亜鉛の存在により引き起こされる分解パターンを示す。このゲルでは、AUX-II画分のうちのいずれもが、プールのための純度基準を満たさない。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼII レーン3:画分#1-66.4%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#2-75.5%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#3-79.5%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#4-76.7%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#5-72.1%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#6-63.9%純度(1.5μg/レーン) レーン9:画分#7-52.9%純度(1.5μg/レーン) レーン10:画分#8-45.0%純度(1.5μg/レーン)
図25】亜鉛が84ppmにスパイクされた亜鉛スパイキング研究(実行DEV-25B)からの、IEXカラム後のAUX-I画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-Iピークは、10個の画分で収集された。このゲルは、不純物の数および強度における増大を伴い、かつAUX-I画分の純度における減少を伴う、亜鉛の存在により引き起こされる分解パターンを示す。このゲルでは、AUX-I画分のうちのいずれもが、プールのための純度基準を満たさない。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼI レーン3:画分#9-54.9%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#10-50.9%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#11-56.2%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#12-65.2%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#13-70.4%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#14-70.0%純度(1.5μg/レーン) レーン9:画分#15-67.5%純度(1.5μg/レーン) レーン10:画分#16-62.4%純度(1.5μg/レーン) レーン11:画分#17-58.8%純度(1.5μg/レーン) レーン12:画分#18-52.6%純度(1.5μg/レーン)
図26】ニッケルスパイキング研究(実行DEV-25A)における制御実行からの、IEXカラム後のAUX-II画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-IIピークは、6つの画分で収集された。このゲルは、AUX-I画分の典型的な純度および産物に関連する不純物の典型的なパターンを示す。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼII レーン3:画分#1-95.9%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#2-97.1%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#3-99.1%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#4-98.2%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#5-96.9%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#6-92.3%純度(1.5μg/レーン) レーン9:ブランク レーン10:コラゲナーゼI レーン11:コラゲナーゼIピークからの画分#16(1.5μg/レーン)
図27】ニッケルスパイキング研究(実行DEV-25A)における制御実行からの、IEXカラム後のAUX-I画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-Iピークは、10個の画分で収集された。このゲルは、AUX-II画分の典型的な純度および産物に関連する不純物の典型的なパターンを示す。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼI レーン3:画分#7-85.6%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#8-85.2%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#9-90.7%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#10-95.5%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#11-96.6%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#12-97.0%純度(1.5μg/レーン) レーン9:画分#13-96.6%純度(1.5μg/レーン) レーン10:画分#14-96.8%純度(1.5μg/レーン) レーン11:画分#15-96.8%純度(1.5μg/レーン)
図28】ニッケルが1.2ppmにスパイクされたニッケルスパイキング研究(実行DEV-25D)からの、IEXカラム後のAUX-II画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-IIピークは、7つの画分で収集された。このゲルは、不純物の数および強度における増大を伴い、AUX-II画分の純度における減少を伴う、ニッケルの存在により引き起こされる分解パターンを示す。このゲルでは、AUX-II画分のうちのいずれもが、純度についてのプール基準を満たさない。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼII レーン3:画分#1-74.8%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#2-81.8%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#3-84.6%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#4-85.6%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#5-83.0%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#6-72.3%純度(1.5μg/レーン) レーン9:画分#7-64.9%純度(1.5μg/レーン) レーン10:ブランク レーン11:コラゲナーゼI レーン12:コラゲナーゼIピークからの画分#8-62.7%純度(1.5μg/レーン)
図29】ニッケルが1.2ppmにスパイクされたニッケルスパイキング研究(実行DEV-25D)からの、IEXカラム後のAUX-I画分中の不純物を示す、SDS-PAGEクマシー染色ゲルである。IEXカラムからのAUX-Iピークは、10個の画分で収集された。このゲルは、不純物の数および強度における増大を伴い、AUX-I画分の純度における減少を伴う、ニッケルの存在により引き起こされる分解パターンを示す。このゲルでは、AUX-I画分のうちのいずれもが、純度についてのプール基準を満たさない。 レーン1:分子量マーカー レーン2:コラゲナーゼI レーン3:画分#9-60.3%純度(1.5μg/レーン) レーン4:画分#10-67.6%純度(1.5μg/レーン) レーン5:画分#11-81.6%純度(1.5μg/レーン) レーン6:画分#12-84.7%純度(1.5μg/レーン) レーン7:画分#13-84.1%純度(1.5μg/レーン) レーン8:画分#14-82.6%純度(1.5μg/レーン) レーン9:画分#15-82.0%純度(1.5μg/レーン) レーン10:画分#16-72.4%純度(1.5μg/レーン) レーン11:画分#17-68.6%純度(1.5μg/レーン)
図30】Q-セファロース高速(Q-HP)クロマトグラムと、クマシー染色を伴うSDS-PAGEゲル画像である。ロード、ならびにマージしたAUX IおよびAUX IIのプールした画分が示される。Q HPクロマトグラムは、IEXクロマトグラフィーカラムを用いた、HICクロマトグラフィー工程の廃水流からの中性プロテアーゼの精製を表す。ゲル画像は、IEXロードおよび精製にわたって収集された画分を示す。勾配の最後における中性プロテアーゼ溶離は、画分3において観察される。すべての不純物のN末端は、Edman分解および精製された産物断片を用いる液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)により判定される。テルモリシンをモデルプロテアーゼとして使用して、切断末端が、http://expasy.org.のタンパク質分析プログラムPeptide Cutterにおけるテルモリシン切断部位と適合するかどうかを判定した。すべての場合において、切断末端は、テルモリシン切断についてヒットした。Edman分解およびLC-MSにより、精製された中性プロテアーゼを配列決定し、現プロセスの中性プロテアーゼN末端を同定した。これは、プロセスの単離された中性プロテアーゼが機能的である(活性がある)かを確認するために、分解研究のためにも用いた。
図31】C.ヒストリチクム(CCH)中性プロテアーゼ(δ-毒素、CHL_2576)の推定されたゲノム配列である。青色強調部は、Edman分解試験により同定されるような、C.ヒストリチクム004株からの成熟中性プロテアーゼのN末端を識別し、青色で強調される。緑色強調部は、Lys-C/トリプシンLC-質量分析により検出されるような、C.ヒストリチクムからの成熟中性プロテアーゼのセクションを識別する。
図32】SchechterおよびBergerのプロテアーゼ下位部位(subsite)命名法を記載する。
図33】2つの酵素の間の完全なホモロジーを示す、nprAおよびコラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCHと略される)中性プロテアーゼ(CLH_2576)の配列アライメントである。
図34】C.ヒストリチクム(CCH)プロセス内産物ストリームの12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーPAGE画像である:ロット100808からのMustang-Q濾液(MQF)、HICロード、HIC溶離液、およびAUX-IIプール。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。ロット100808を産生した製造プロセスは、高レベルの不純物を産生し、また古いプロセス制御方法を用いた。この画像では、中性プロテアーゼ活性は、MQF、HICロード、およびHIC溶離液において観察されたが、AUX-IIプールでは観察されない。HIC溶離液試料中で観察された低いシグナルは、HIC工程において生じる中性プロテアーゼの主なクリアランスを示す。 レーン1:+コントロール(テルモリシン)、1ng レーン2:分子量参照 レーン3:ブランク レーン4:MQF Dev-25A、2μg レーン5:ブランク レーン6:HICロード Dev-13、3μg レーン7:ブランク レーン8:ブランク レーン9:HIC溶離液 Dev-25A、4μg レーン10:ブランク レーン11:Aux IIプール1000808、10μg レーン12:ブランク
図35】C.ヒストリチクム(CCH)プロセス内産物ストリーム:高い亜鉛およびニッケル含量を伴うHICバッファーによる影響を受けたロットからの、第1のタンジェンシャルフローフィルター(TFF-1)濃縮液、AUX-Iプール、AUX-I中間体、AUX-II中間体、薬物製品の、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーPAGE画像である。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。この場合、中性プロテアーゼは、TFF-1濃縮液、ならびに低レベルのAUX-Iおよび薬物製品中で観察されたが、AUX-II中では観察されなかった。これらのデータは、AUX-Iで溶離するIEX工程にわたる産物からの中性プロテアーゼ分離を実証している。 レーン1:+コントロール(テルモリシン)、1ng レーン2:分子量参照 レーン3:ブランク レーン4:TFF-1濃縮液10000808、10μg レーン5:ブランク レーン6:AUX-Iプール10000808、10μg レーン7:ブランク レーン8:AUX-I中間体10000808、10μg レーン9:ブランク レーン10:AUX-II中間体10000808、10μg レーン11:ブランク レーン12:薬物原料10000808、10μg
図36】ロット1000414AUX-II画分のコラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCH)IEX画分保留液の12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーPAGE画像である。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。これらの画分は、プロセスにおいて活性のある中性プロテアーゼが見出される前に産生された製造ロットからのものである。中性プロテアーゼは、AUX-II画分のいずれにおいても検出されなかった。 レーン1:+コントロール(テルモリシン)、1ng レーン2:分子量参照 レーン3:AUX-II画分1 1000414、6.4μg レーン4:AUX-II画分2 1000414、14.4μg レーン5:AUX-II画分3 1000414、10μg レーン6:AUX-II画分4 1000414、10μg レーン7:AUX-II画分5 1000414、10μg レーン8:AUX-II画分6 1000414、11.2μg レーン9:AUX-II画分7 1000414、6.2μg レーン10:AUX-II画分8 1000414、5.8μg
図37】ロット1000414AUX-I画分のコラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCH)IEX画分保留液の12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーPAGE画像である。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。これらの画分は、プロセスにおいて活性のある中性プロテアーゼが見出される前に産生された製造ロットからのものである。中性プロテアーゼは、この方法を用いるAUX-I画分のいずれにおいても検出されなかった。 レーン1:分子量参照 レーン2:AUX-I画分9 1000414、8.8μg レーン3:AUX-I画分10 1000414、10μg レーン4:AUX-I画分11 1000414、10μg レーン5:AUX-I画分12 1000414、10μg レーン6:AUX-I画分13 1000414、10μg レーン7:AUX-I画分14 1000414、10μg レーン8:AUX-I画分15 1000414、10μg レーン9:AUX-I画分16 1000414、14μg レーン10:AUX-I画分17 1000414、10μg
図38】ロット1000414AUX-II画分1、7およびAUX-I画分8、17のコラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCH)IEX画分保留液の12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーPAGE画像である。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。ロット1000414を産生した製造プロセスは、低レベルの不純物をもたらし、古いプロセス制御方法を用いた。このゲル上で、画分は、元々のゲル(図16および図17)においてよりも高い濃度で実行された。中性プロテアーゼは、AUX-Iピークの最後の画分(画分17)においてのみ検出され、これは、ピークの末端での溶離におけるその位置的性質を実証している。 レーン1:+コントロール(テルモリシン)、1ng レーン2:分子量参照 レーン3:AUX-II画分1 1000414 Tris-Gly、10μg レーン4:AUX-II画分1 1000414 LDS、10μg レーン5:AUX-II画分7 1000414 Tris-Gly、9.3μg レーン6:AUX-II画分7 1000414 LDS、9.3μg レーン7:AUX-I画分8 1000414 Tris-Gly、6.5μg レーン8:AUX-I画分8 1000414 LDS、6.5μg レーン9:AUX-I画分17 1000414 Tris-Gly、11μg レーン10:AUX-I画分17 1000414 LDS、11μg Tris-GlyおよびLDSは、SDS-PAGEのための2つのバッファー系である。一方の系が他方に優れるかを評価するために、このゲルを実行した。違いは認められなかった。
図39】ロット001138AUX-I末尾画分17、18、19のコラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCH)IEX画分保留液の12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーPAGE画像である。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。このゲルは、AUX-Iピークの末端からの拒絶された画分を示す。3つの拒絶された画分の各々は、検出可能な中性プロテアーゼを含有した。画分17および18は、プロセス内プール基準に合格したが、1:1の産物標的プールストラテジーに基づいて拒絶された。これは、AUX-Iおよび薬物製品から残留中性プロテアーゼを除去するプロセス制御を実証する。 レーン1:TFF-1濃縮液Dev-25A、34μg レーン2:分子量参照 レーン3:ブランク レーン4:AUX-I画分7 Dev-25A、4.5μg レーン5:ブランク レーン6:AUX-I画分17 Dev-25A、5μg レーン7:ブランク レーン8:AUX-I画分17 001138、14.8μg レーン9:ブランク レーン10:AUX-I画分18 001138、10.3μg レーン11:ブランク レーン12:AUX-I画分19 001138、8.1μg
図40A-40B】コラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCH)製造プロセス、ロット0010987の12%のTris-Glycine Novex(登録商標)カゼインザイモグラフィーSDS-PAGEゲル画像である。使用したゲルは、12%のTris-Glycine Novex(登録商標)ザイモグラムカゼインゲルである。このゲルは、AUX-Iピークの末端からの拒絶された画分を示す。3つの拒絶された画分の各々が、検出可能な中性プロテアーゼを含有した。画分17および18は、プロセス内プール基準に合格したが、1:1の産物標的プールストラテジーに基づいて拒絶された。これは、AUX-Iおよび薬物製品から残留中性プロテアーゼを除去するプロセス制御を実証する。図40Aは、プロセスにわたってのAUX-Iについての精製の状態を示す。図40Bは、プロセスにわたってのAUX-IIについての精製の状態を示す。 図40A レーン1:陽性対照(TL) レーン2:分子量参照 レーン3:なし レーン4:Mustang Q濾液、2.1μgロード レーン5:なし レーン6:HIC溶離液、4.9μgロード レーン7:なし レーン8:AUX-Iプール、10μgロード レーン9:なし レーン10:AUX-I中間体、10μgロード レーン11:なし レーン12:アッセイブランク 図40B レーン1:陽性対照(TL) レーン2:分子量参照 レーン3:なし レーン4:TFF-1濃度、10μgロード レーン5:なし レーン6:AUX-IIプール、10μgロード レーン7:なし レーン8:AUX-II中間体、10μgロード レーン9:なし レーン10:バルク薬物原料(薬物製品)、10μgロード レーン11:なし レーン12:アッセイブランク
図41】コラゲナーゼI画分およびコラゲナーゼIIの収集、ならびに純度基準を満たすかに基づく、それらのフォワードプロセシングを示す。
図42】各AUX溶離ピーク中の総タンパク質の量に対するAUX-I産物のパーセント純度を提供する。
図43】各AUX溶離ピーク中の総タンパク質の量に対するAUX-II産物のパーセント純度を提供する。
図44】AUX-I90kDa不純物の管理図を表す。図42で見られるAUX-I溶離ピークのパーセント純度レベルにおける減少は、高いレベルのAUX-I90kDa不純物に主に起因する。
図45】AUX-II96kDa不純物の管理図を表す。図43で見られるAUX-II溶離ピークのパーセント純度レベルにおける減少は、高いレベルのAUX-II96kDa不純物に主に起因する。
図46A-46D】さまざまなAUXピークおよびバンドについての産物ピーク中の推定パーセントを提供する。これらの図により提供されるデータは、偏差3797に関連する是正措置および予防措置の実施後にIEX画分不純物を評価するための統計的分析において使用された。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここでさまざまな態様および実施形態が本明細書で十分に説明される。しかしこれらの態様および実施形態は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、限定として解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が完全かつ完璧であり、当業者に対して本主題の範囲を十分に伝えるものとして提供される。本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、上記または下記に関わらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
I.定義
別段に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての用語および語句は、相反することが明確に示されるか、またはそれらの用語もしくは語句が用いられる文脈から明白である場合を除き、それらの用語および語句が当該技術分野において獲得した意味を含む。本明細書で記載されるものと同様または等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、ここでは特定の方法および材料が記載される。
【0032】
別段に述べない限り、個別の数値の使用は、「約」または「おおよそ」という単語に先行されているかのように、近似値として述べられる。同様に、本出願で特定されるさまざまな範囲の数値は、別段に明白に示されない限り、述べられた範囲内の最小値および最大値が両方とも「約」または「おおよそ」という単語に先行されているかのように、近似値として述べられる。このように、範囲内にある値と実質的に同じ結果に到達するために、述べられた範囲を上回るおよび下回る変形形態を用いることが可能である。本明細書で使用されるように、数値を参照する場合の用語「約」および「おおよそ」は、本開示の主題が最も密接に関連する技術分野または問題となる範囲もしくは要素に関する技術分野の当業者に対して、明瞭かつ通常の意味を有する。厳格な数値境界から広がる量は、多くの因子に依存する。例えば、考慮され得る因子のいくつかは、要素の重要性、および/または特許請求される主題の性能に対して所与の量の変形形態が有することになる効果、ならびに当業者に公知の他の考慮すべき事項を含む。本明細書で使用される場合、異なる数値について異なる量の有効桁を使用することは、単語「約」または「おおよそ」の使用がどのように特定の数値または範囲を広げるように作用するかを限定することを意味しない。したがって、一般的事項として、「約」または「おおよそ」は、数値を広げる。また、範囲の開示も、最小値および最大値の間のすべての値を含む連続的な範囲に加えて、用語「約」または「おおよそ」の使用により付与される広げられた範囲として意図される。結果として、本明細書では、数値の範囲の列挙は、単に、範囲内にある各々の別々の値を個別に参照するための簡略的な方法として役立つことが意図され、各々の別々の値は、それが本明細書で個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「コラゲナーゼ」は、標準コラゲナーゼアッセイにおいてコラゲナーゼ活性を示す1つ以上のタンパク質、例えば、コラゲナーゼIおよび/またはコラゲナーゼIIを含むことを意味する。コラゲナーゼ組成物は、時にAUXIおよびAUXIIと呼ばれる2つの微生物コラゲナーゼのうちの少なくとも1つを含み得る。用語「コラゲナーゼI」、「ABCI」、「AUXI」、「AUX-I」、「コラゲナーゼAUXI」、および「コラゲナーゼABCI」は、同じアミノ酸配列を有する同じ酵素を意味し、互換的に使用することができる。同様に、用語「コラゲナーゼII」、「ABCII」、「AUXII」、「AUX-II」、「コラゲナーゼAUXII」、および「コラゲナーゼABCII」は、同じ酵素を指し、同じく互換的に使用することができる。これらのコラゲナーゼは、細菌細胞により分泌される。ある態様では、コラゲナーゼは、クロマトグラフィー方法によりC.ヒストリチクム培養上清から単離され、かつ精製される。他の態様では、コラゲナーゼは、組換え的に単離され、かつ精製され、かつ/または哺乳動物、真菌、および細菌供給源を含むさまざまな供給源から得られる。両コラゲナーゼは、特別なプロテアーゼであり、同じEC番号(E.C3.4.24.3)を共有する。他の態様では、コラゲナーゼ組成物は、コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIを含む。別の実施形態では、コラゲナーゼ組成物は、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの両方を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「コラーゲン介在症状」は、コラーゲンに関わるいずれかの疾患または病気を意味する。本明細書で記載される組成物および方法により治療され得るコラーゲン介在症状の例は、デュプイトラン病;ペロニー病;フローズンショルダー(癒着性関節包炎)、ケロイド;肥厚性瘢痕;炎症性ざ瘡から生じるものなどの憂鬱な瘢痕;手術後癒着;尋常性ざ瘡;脂肪腫、ならびに外観を損なう症状、例えば、しわ、セルライト、および新生物繊維症を含むが、これらに限定されない。
【0035】
語句「コラゲナーゼI産物」は、発酵から精製されたコラゲナーゼIを意味し、精製工程からのコラゲナーゼIの溶離は画分中に収集され、かつこれらの画分のうち任意の数が一緒にプールされる。
【0036】
語句「コラゲナーゼII産物」は、発酵から精製されたコラゲナーゼIIを意味し、精製工程からのコラゲナーゼIIの溶離は画分中に収集され、かつこれらの画分のうち任意の数が一緒にプールされる。
【0037】
語句クロストリジウム・ヒストリチクム「に由来する」は、C.ヒストリチクムを起源とするコラゲナーゼを意味する。これは、C.ヒストリチクムの発酵および組換えコラゲナーゼを有する他の生物を用いる発酵から得られたコラゲナーゼの両方を包含する。
【0038】
用語「薬物原料」、「薬物製品」、または「コラゲナーゼ組成物」は互換的に使用することができ、いかなる任意選択の凍結乾燥も行う前の、コラゲナーゼI組成物、コラゲナーゼII組成物、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方の組成物を指すことが理解される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「中性プロテアーゼを本質的に含まない」は、使用される特定の検出アッセイ(例えば、SDS PAGE、ザイモグラフィー、HPLC等)の検出可能な限界を下回ることを意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「順方向でプロセスされた」は、最終的なコラゲナーゼI薬物原料またはコラゲナーゼII薬物原料を作製するためのプールするのに用いられる高度に精製されたコラゲナーゼIまたはIIの画分を意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「高度に精製された」または「高い純度」または「高度に純粋な」コラゲナーゼIもしくはII、またはコラゲナーゼIとIIとの組み合わせは、逆相HPLC(RP-HPLC)により測定された場合に少なくとも95面積%純粋、または少なくとも96面積%純粋、または少なくとも97面積%純粋、または少なくとも98面積%純粋、または少なくとも99面積%純粋、または約100面積%純粋であるコラゲナーゼを意味する。さらに明確にするために、これは、RP-HPLCにより測定された場合に少なくとも95面積%~約100面積%の純度についてのすべての数値を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「最も豊富にある不純物」は、濃度測定を伴うもしくは伴わないSDS-PAGEゲルにより測定された場合に、または別の許容される方法により測定された場合に、所与の工程(例えば、IEX後)において最も高い存在を有するコラゲナーゼ断片を意味する。コラゲナーゼ断片は、精製プロセスにわたって見出される場合があり、任意の大きさであってもよいが、最も頻繁には、コラゲナーゼI断片については約33kDa、45kDa、55kDa、80kDa、または90kDa、そしてコラゲナーゼII断片については、約25kDa、38kDa、50kDa、60kDa、80kDa、90kDa、92kDa、92kDa、または96kDaの分子量にて見出される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「中性プロテアーゼ排除」または「中性プロテアーゼ排除工程」は、コラゲナーゼ濾液が分離カラムまたはフィルターを通過した後の、製造の間に収集された画分の除去または拒絶を意味する。
【0044】
「任意選択の」または「任意選択により」は、続いて記載される要素、成分、または状況が、生じても、生じなくてもよいことを意味し、これによりこの記載は、要素、成分、または状況が生じる場合、およびそれらが生じない場合を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」または「賦形剤」は、非毒性、不活性の固体、半固体、または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、または製剤化補助剤を意味する。薬学的に許容される担体として役立つことのできる材料のいくつかの例は、糖、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、およびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース;粉末トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;グリコール、例えば、プロピレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル、およびラウリル酸エチル;寒天;緩衝化剤、例えば、水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱性物質除去蒸留水;等張性食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸バッファー溶液、ならびに他の非毒性相容性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムであり、それだけでなく着色剤、放出剤、コーティング剤、着香剤、保存剤、および抗酸化剤も、製剤化担当者の判断に従って、組成物中に存在することができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「精製された画分」は、未分解コラゲナーゼIがSDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に少なくとも90%の純度を有し、かつ最も豊富にある分解コラゲナーゼIもしくはIIの不純物が7.5%以下であることを意味する。コラゲナーゼ製造プロセス工程からのコラゲナーゼII画分について「精製された画分」として適格とするために、未分解コラゲナーゼIIは、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に少なくとも90%の純度を有し、かつ最も豊富にある分解コラゲナーゼIもしくはIIの不純物は7.5%以下である。例えば、精製されたコラゲナーゼI画分は、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に、少なくとも約90%または約91.2%の未分解AUX-Iを有してもよく、かつ最も豊富にある分解AUX-IまたはAUX-II不純物は、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に、約5%または約5.8%以下である。第2の例として、AUX-II画分を精製された画分として適格とするために、画分は、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に、少なくとも約90%または約91.2%の純度の未分解AUX-IIを有してもよく、かつ最も豊富にある分解AUX-IまたはAUX-II不純物は、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に、約5%または約5.8%以下の純度である。
【0047】
用語「対象」または「患者」は、本明細書では互換的に用いられ、ヒトまたは他の哺乳動物を指す。
【0048】
II.導入
コラゲナーゼは、当業者に周知であるさまざまな発酵方法により産生することができる。C.ヒストリチクムから得られた粗コラゲナーゼは、色素リガンドアフィニティクロマトグラフィー、ヘパリンアフィニティクロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および金属キレート化クロマトグラフィーを含むさまざまな方法により以前から精製されてきた。粗製および部分的に精製されたコラゲナーゼは、Sigma Aldrich(SIAL-Millipore)およびAdvance Biofactures Corp.、Lynbrook、N.Yを含む、多くの供給元から市販されている。C.ヒストリチクムから得られる粗コラゲナーゼの発酵および精製方法はまた、米国特許第7,811,560号にも記載されている。
【0049】
以下で詳述されるように、本発明は、(a)精製の間の金属含量を制御することと、(b)最終的なコラゲナーゼ製品、例えば、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼII薬物原料から中性プロテアーゼを低減または排除することと、を含むことによる、コラゲナーゼ製品を製造するための改良された方法を提供する。本開示は、供給源に関わらず、コラゲナーゼの製造および使用に対して、一般的に適用可能である。これは、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびIIに限定することを意図しない。
【0050】
III.コラゲナーゼの改良された製造
高度に純粋なコラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼIおよびII薬物原料)を製造する本発明の方法の一般的な一態様では、方法は、(1)少なくともコラゲナーゼ(複数可)および中性プロテアーゼを液体発酵培地の中へと分泌する細菌を発酵させる工程と、(2)培地からコラゲナーゼを精製する工程(任意選択で高塩組成物での処理を含む)と、(3)互いからコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとを分離する工程と、(4)コラゲナーゼI部分およびコラゲナーゼII部分の一方または両方から中性プロテアーゼを低減または排除して、それらが中性プロテアーゼを本質的に含まないようにする工程と、(5)中性プロテアーゼの除去後の高度に純粋なコラゲナーゼ薬物原料を産生する工程と、を含む。任意選択で、薬学的に許容される賦形剤をかかる薬物原料に添加して、本明細書のいずれかの箇所に記載されているような薬学的製剤を形成する。
【0051】
A.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIなどのコラゲナーゼを作製するための発酵。
本開示は、コラゲナーゼを発酵培地の中へと分泌する任意の細菌の発酵を包含する。かかる発酵の例としては、アクチノマヅラ・マヅレ(Actinomadura madurae)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ヒストリチクム、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、スタフィロコッカスspp.(Staphylococcus spp.)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)からのものが挙げられる。このリストは網羅的なものではなく、当業者に周知であるコラゲナーゼを分泌する他の細菌生物も使用することができる。例えば、米国特許第7,811,560号を参照されたい。C.ヒストリチクムにより分泌されるタンパク質は、I型およびII型コラゲナーゼ、およびさまざまな毒素(例えば、中性プロテアーゼ、クロストリパイン、アエロリジン様ヘモリジン、および酸素不安定性ヘモリジン)を含む。
【0052】
発酵培地は、コラゲナーゼがその中へと分泌される任意の培地であり得る。発酵培地は、炭素源、窒素源、塩、微量栄養素、および水を含んでもよい。炭素源は、限定はされないが、糖または他の炭化水素を含み得る。窒素源は、限定はされないが、大豆食品などの食品を含んでもよく、または酵母抽出物などの抽出物を含んでもよく、またはペプトンもしくはトリプトンなどの消化前ポリペプチドを含んでもよい。ペプトンは、動物由来(ウシ由来培地またはブタ由来培地など)であってもよい。ペプトンは、動物以外の供給源由来(野菜由来、または他の植物由来など)であってもよい。
【0053】
B.コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの精製
一般的な精製技法は、フィルター、クロマトグラフィー、および沈殿を含むが、これら限定されない。当該技術分野において周知であるように、C.ヒストリチクムからのコラゲナーゼIおよびIIの精製のある特定の態様を実施することができる。例えば、米国特許第7,811,560号を参照されたい。
【0054】
コラゲナーゼ精製プロセスはさらに、以下の工程のうちの少なくとも1つを含む:(1)少なくとも第1のアニオン交換工程、HIC工程、および第1のバッファー交換工程において亜鉛および/またはニッケル濃度を制御する工程;(2)アニオン交換工程のいずれかからAUX-Iの後方の画分を廃棄する工程;(3)コラゲナーゼIIからコラゲナーゼIを分離した後、ピーク画分からプールしたコラゲナーゼIの量が、製造プロセスからのコラゲナーゼIIの量とおおよそ等しくなるまで、コラゲナーゼIのみのピーク画分をプールする工程;ならびに(4)コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方のプール工程についての純度基準を設定する工程。これらの工程の使用は、中性プロテアーゼを本質的に含まないコラゲナーゼI産物を産生する。同様に、コラゲナーゼII産物は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【0055】
培地からのコラゲナーゼおよび毒素の濾過は、デプスフィルター、遠心分離、マイクロ濾過、タンジェンシャルフロー濾過、珪藻土濾床、および真空濾過の使用によるなどの多数の方法により達成することができる。一実施形態では、濾過は、デプスフィルター、続いて、0.2ミクロン滅菌グレードフィルターを用いて実施される。
【0056】
一実施形態では、精製プロセスは、デプスフィルター(例えば、Millipore Millistak HC POD)、続いて、アニオン交換濾過(例えば、Mustang Qフィルター)、続いて、濾過(例えば、0.45μフィルター)、および濾液を約0.8M~1.2Mの濃度の高塩組成物(例えば、硫酸アンモニウム)に曝露することによる濾液の調整、続いて、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム(例えば、フェニルSFF low-sub)、続いて、バッファー交換(例えば、タンジェンシャルフロー濾過もしくは透析)、続いて、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、QセファロースHPアニオン交換カラム)、続いて、バッファー交換(例えば、タンジェンシャルフロー濾過もしくは透析)を通して、発酵したC.ヒストリチクム(例えば、プロテオーゼペプトンなどのブタ由来培地)からコラゲナーゼを回収することを含み得る。さらに、ロイペプチンが、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程に付加され、イオン交換工程にわたって維持されてもよい。
【0057】
高塩組成物は、溶解性に基づきタンパク質の分離を可能とするものである。Hofmeister系列(離液系列)からの塩が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物からなる群より選択される溶液である。高塩組成物は、さまざまな濃度で使用することができる。例えば、硫酸アンモニウムは、約0.8M~約1.2M、または約0.9M~約1.1M、または約1Mの範囲の濃度で使用されてもよい。
【0058】
高塩組成物が金属汚染物質を含まない、または金属含量が低いことは有利である。いくつかの実施形態では、高塩組成物は、以下の仕様のうち1つ以上を満たす。
【表1】
【0059】
別の実施形態では、高塩組成物は、約85ppm、または80ppm、または75ppm、または70ppm、または65ppm、または60ppm、または55ppm、または50ppm、または45ppm、または40ppm、または35ppm、または30ppm、または25ppm、または20ppm、または15ppm、または10ppm、または9ppm、または8ppm、または7ppm、または6ppm、または5ppm、または4ppm、または3ppm、または2ppm、または1ppm未満の量で存在する亜鉛を有してもよい。ニッケルは、高塩組成物中に、約1.5ppm、または1.4ppm、または1.3ppm、または1.2ppm、または1.1ppm、または1.0ppm、または0.9ppm、または0.8ppm、または0.7ppm、または0.6ppm、または0.5ppm、または0.4ppm、または0.3ppm、または0.2ppm、または0.1ppm未満の量で存在してもよい。
【0060】
原材料の金属含量は、認定販売元から超高純度の原材料を入手することにより制御され得る。一態様では、ニッケル濃度は約1.2ppm未満であり、もしくは亜鉛濃度は約84.4ppm未満であるか、またはニッケル濃度は約1.2ppm未満であり、かつ亜鉛濃度は約84.4ppm未満である。他の態様では、ニッケル濃度、亜鉛濃度、またはニッケルおよび亜鉛の両方の濃度が、約0.1ppm未満である。
【0061】
一実施形態では、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、単離され、かつ精製され、そして精製プロセスは、金属レベルを制御する。さらなる一実施形態では、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、単離され、かつ精製され、精製プロセスは、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、鉛、またはそれらの組み合わせのレベルを制御する。
【0062】
さらなる一実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの単離および精製の方法に関し、精製プロセスは、ニッケルおよび/または亜鉛レベルを制御する。
【0063】
本発明の一実施形態では、コラゲナーゼIおよび/またはIIのための製造プロセスならびに薬物製品の形成の間のニッケル濃度は、約100ppm未満、または約75ppm未満、または約50ppm未満、または約40ppm未満、または約30ppm未満、または約20ppm未満、または約10ppm未満、または約5ppm未満、または約3.0ppm未満、または約2.9ppm未満、または約2.8ppm未満、または約2.7ppm未満、または約2.6ppm未満、または約2.5ppm未満、または約2.4ppm未満、または約2.3ppm未満、または約2.2ppm未満、または約2.1ppm未満、または約2.0ppm未満、または約1.9ppm未満、または約1.8ppm未満、または約1.7ppm未満、または約1.6ppm未満、または約1.5ppm未満、または約1.4ppm未満、または約1.3ppm未満、または約1.2ppm未満、または約1.1ppm未満、または約1.0ppm未満、または約0.9ppm未満、または約0.8ppm未満、または約0.7ppm未満、または約0.6ppm未満、または約0.5ppm未満、または約0.4ppm未満、または約0.3ppm未満、または約0.2ppm未満、または約0.1ppm未満、または約0.09ppm未満、または約0.08ppm未満、または約0.07ppm未満、または約0.06ppm未満、または約0.05ppm未満、または約0.04ppm未満、または約0.03ppm未満、または約0.02ppm未満、または約0.01ppm未満である。
【0064】
本発明の別の実施形態では、コラゲナーゼIおよび/またはIIのための製造プロセスならびに薬物製品の形成の間の亜鉛濃度は、約1000ppm未満、または約950ppm未満、または約900ppm未満、または約850ppm未満、または約800ppm未満、または約750ppm未満、または約700ppm未満、または約650ppm未満、または約600ppm未満、または約550ppm未満、または約500ppm未満、または約450ppm未満、または約400ppm未満、または約350ppm未満、または約300ppm未満、または約250ppm未満、または約200ppm未満、または約150ppm未満、または約125ppm未満、または約100ppm未満、または約95ppm未満、または約90ppm未満、または約85ppm未満、または約84ppm未満、または約80ppm未満、または約75ppm未満、または約70ppm未満、または約65ppm未満、または約60ppm未満、または約55ppm未満、または約50ppm未満、または約45ppm未満、または約40ppm未満、または約35ppm未満、または約30ppm未満、または約25ppm未満、または約20ppm未満、または約15ppm未満、または約10ppm未満、または約9ppm未満、または約8ppm未満、または約7ppm未満、または約6ppm未満、または約5ppm未満、または約4ppm未満、または約3ppm未満、または約2ppm未満、または約1ppm未満、または約0.9ppm未満、または約0.8ppm未満、または約0.7ppm未満、または約0.6ppm未満、または約0.5ppm未満、または約0.4ppm未満、または約0.3ppm未満、または約0.2ppm未満、または約0.1ppm未満である。
【0065】
C.コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの分離
コラゲナーゼIとIIとを、当業者に周知の任意の技法により分離することができる。例えば、コラゲナーゼIとIIとを、イオン交換クロマトグラフィーを用いて互いから分離することができる。イオン交換クロマトグラフィーの1つの型は、アニオン交換カラム、例えば、Q-セファロースカラムであってもよい。
【0066】
D.中性プロテアーゼの低減または排除
一般的な一態様では、複数のコラゲナーゼが存在する場合には、コラゲナーゼを互いに分離した後に、中性プロテアーゼを排除する工程が生じる。コラゲナーゼは、溶離工程の間にイオン交換クロマトグラフィーを用いて分離される。コラゲナーゼの溶離は一般的に複数のピークで生じ、ここで、コラゲナーゼIは、1つのピーク中にあり、コラゲナーゼIIは、第2のピーク中にある。各ピークは、各溶離ピークの経時的な画分として収集され得る。
【0067】
コラゲナーゼI産物およびコラゲナーゼII産物からの中性プロテアーゼの低減または排除は、以下の排除工程のうちの1つ以上により達成され得る:(a)SDS PAGEゲルもしくはHPLCにより測定された場合に、約90%未満のコラゲナーゼIもしくはII含量を有し、かつ約5%以上の含量の任意の単一の不純物を有する任意の画分を除外すること;(b)SDS PAGEゲルもしくはザイモグラフィーにより測定された場合に、検出可能なレベルの中性プロテアーゼを有する任意の画分を除外すること;または(c)過剰なレベルの中性プロテアーゼを含有すると計算された任意の画分を除外すること。各々は以下で説明されており、個別に、または組み合わせて使用され得る。
【0068】
画分のサイズは限定されないが、例示的な産業用サイズの画分は、約200mL、または300mL、または400mL、または500mL、または600mL、または700mL、または800mL、または900mL、または1000mL、または1100mL、または1200mL、または1300mL、または1400mL、または1500mL、または1600mL、または1700mL、または1800mL未満、またはそれ以上未満であり得る。
【0069】
画分あたりのコラゲナーゼの量は限定されないが、例示的な産業用サイズの画分は、約0.1g/L~約5g/L、またはそれ以上、例えば、約0.2g/L、または0.5g/L、または0.8g/L、または1.1g/L、または1.4g/L、または1.7g/L、または2.0g/L、または2.3g/L、または2.6g/L、または2.9g/L、または3.2g/L、または3.5g/L、または3.8g/L、または4.1g/L、または4.4g/L、または4.7g/L、または5.0g/L、または6g/L、または7g/L、または8g/L、または9g/L、または10g/L、またはそれ以上のいずれのタンパク質濃度を含み得る。
【0070】
コラゲナーゼのパーセント純度は、当業者に公知の任意の方法を用いて、各画分について判定され得る。1つの例示的な方法は、SDS-PAGE、またはSDS-PAGEおよび濃度測定を用いる純度測定である。濃度測定ソフトウェアは、ゲル上のSDS-PAGEバンドを強度量に変換する任意のソフトウェアであり得る。かかるソフトウェアの一例は、Quantity One(登録商標)である。SDS-PAGEゲルは、任意の数のレーンを有してもよく、一般的なレーンの数は、10レーンまたは15レーンを含む。各レーンについてのウェルサイズは異なってもよいが、一般的なウェルサイズは、15~50マイクロリットルを保持する。一般に、ウェル中に適合するタンパク質の任意の量をロードすることができるが、目的の産物の分析に十分な典型的な量は、約0.5~約5マイクログラムのタンパク質のうちの任意のものである。
【0071】
画分中の中性プロテアーゼの存在についてのアッセイも実施され得る。当業者に公知の、画分中の中性プロテアーゼの存在を判定するための任意の方法が用いられ得る。例示的な方法は、先に述べたような、SDS-PAGE、または濃度測定を伴うSDS-PAGEを含む。他の例示的な方法は、カゼインザイモグラフィー、または濃度測定を伴うカゼインザイモグラフィーを含む。カゼインザイモグラフィーは、中性プロテアーゼが作用することができるが、コラゲナーゼが作用することのできないゲル中に埋め込まれた牛乳カゼインを典型的に用いる、SDS-PAGEゲルである。したがって、中性プロテアーゼを含有するザイモグラフィーゲル中のバンドは、コラゲナーゼまたは他の不純物を含有するバンドとは異なる色として出現する。一般に、本開示に関連するザイモグラフィーアッセイについての検出限界(LOD)は、濃度測定ソフトウェアを用いると約0.5ngのタンパク質であり、視覚的には約0.2~0.3ngである。しかし、使用される方法そのものに依存して、より少量が検出される場合がある。
【0072】
一般に、不純物について試験する場合、目的の一次産物(複数可)を分析するために使用したものより多い量のタンパク質がウェルの中へとロードされる。不純物は、目的の一次産物のために使用したのと同じ量のタンパク質を用いて検出される場合があるが、目的の一次産物を分析または検出するためにウェル中にロードされた量の少なくとも約2または3または4または5または6または7または8または9または10または12または15または20倍以上の量のロードを必要とし得る。これは特に、目的の産物の純度が増大するにつれ、当てはまる。一般に、本開示に関連する中性プロテアーゼを検出するためにウェルの中へとロードされたタンパク質の量は、約1マイクログラム~約100マイクログラム、例えば、約5マイクログラム、8マイクログラム、または10マイクログラム、または12マイクログラム、または15マイクログラム、または20マイクログラム、または30マイクログラム、または50マイクログラム、または75マイクログラム、またはそれ以上である。
【0073】
ある特定の態様では、本開示は、中性プロテアーゼを低減または排除するために3つの異なる方法を提供する。
【0074】
1.排除ストラテジー1
このストラテジーに従って、純度について選択された仕様を満たさない画分は除外され、かつさらなる順方向のプロセスからは排除される。各画分は、SDS-PAGEまたは濃度測定を伴うSDS-PAGEを用いてアッセイされ、ゲル上のレーン中の各バンドは、レーン上部のウェルの中へとロードされた総タンパク質のパーセントに対応する。バンドは、コラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼIIに対応してもよく、またはコラゲナーゼもしくは他のタンパク質(例えば、中性プロテアーゼ)の断片の形態の不純物に対応してもよい。それぞれコラゲナーゼI産物もしくはコラゲナーゼII産物を作製するためのプール工程のために許容されるレベルのコラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼIIは、SDS-PAGEにより測定された場合に、少なくとも80面積%である。
【0075】
別の実施形態では、コラゲナーゼI産物を作製するためのプール工程のために許容されるレベルのコラゲナーゼIは、SDS-PAGEにより測定された場合に、少なくとも約81%、または82%、または83%、または84%、または85%、または86%、または87%、または88%、または88.5%、または89.0%、または89.5%、または90%、または90.5%、または91%、または91.5%、または92%、または92.5%、または93%、または93.5%、または94%、または94.5%、または95%、または95.5%、または96%、または96.5%、または97%、または97.5%、または98%、または98.5%、または99%、または99.5%、または100面積%である。
【0076】
一実施形態では、コラゲナーゼII産物を作製するためのプール工程のために許容されるレベルのコラゲナーゼIIは、SDS-PAGEにより測定された場合に、少なくとも約81%、または82%、または83%、または84%、または85%、または86%、または87%、または88%、または88.5%、または89.0%、または89.5%、または90%、または90.5%、または91%、または91.5%、または92%、または92.5%、または93%、または93.5%、または94%、または94.5%、または95%、または95.5%、または96%、または96.5%、または97%、または97.5%、または98%、または98.5%、または99%、または99.5%、または100面積%である。
【0077】
一実施形態では、コラゲナーゼI薬物原料についての許容されるレベルの最も豊富にある不純物(コラゲナーゼIIから精製され、かつ分離された後であるが、それがコラゲナーゼIIと混合される前)は、SDS-PAGEにより測定された場合に、コラゲナーゼI薬物原料の、約20%、または19%、または18%、または17%、または16%、または15%、または14%、または13%、または12%、または11%、または10%、または9%、または8%、または7%、または6%、または5%、または4%、または3%、または2%、または1%、または0.75%、または0.5%、または0.25%、または0.1%(w/w)未満である。最も豊富にある不純物の量は、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定されてもよい。
【0078】
別の実施形態では、コラゲナーゼII薬物原料についての許容されるレベルの最も豊富にある不純物(コラゲナーゼIから精製され、かつ分離された後であるが、それがコラゲナーゼIと混合される前)は、SDS-PAGEにより測定された場合に、薬物原料の、約20%、または19%、または18%、または17%、または16%、または15%、または14%、または13%、または12%、または11%、または10%、または9%、または8%、または7%、または6%、または5%、または4%、または3%、または2%、または1%、または0.75%、または0.5%、または0.25%、または0.1%(w/w)未満である。最も豊富にある不純物の量は、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定されてもよい。
【0079】
さらに、混合したコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼII薬物原料についての許容されるレベルの最も豊富にある不純物は、SDS-PAGEにより測定された場合に、薬物原料の、約5%、または4%、または3%、または2%、または1%、または0.75%、または0.5%、または0.25%、または0.1%(w/w)未満である。最も豊富にある不純物の量は、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定されてもよい。
【0080】
さらに、ある特定の実施形態では、選択された画分が、コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼII産物の中へと一旦プールされると、このようなプールされた画分の全体的な純度は、RP-HPLCにより測定された場合に、少なくとも約95%、または96%、または97%、または98%、または99%、または100%である。別の実施形態では、このようなプールされた画分の全体的な純度は、RP-HPLCにより測定された場合に、約80%~100%である。
【0081】
2.排除ストラテジー2
このストラテジーに従って、画分は、それが、SDS-PAGE、濃度測定を伴うSDS-PAGE、カゼインザイモグラフィー、濃度測定を伴うカゼインザイモグラフィー、またはそれらの組み合わせにより測定された場合に、検出可能なレベルの中性プロテアーゼを有する場合、さらなるプロセシング(フォワードプロセシング)から拒絶される。各画分中のタンパク質の濃度は、当業者に公知の任意の方法により判定される。ゲルの各ウェルは、任意の量のタンパク質を用いてロードすることができる。いくつかの実施形態では、ロードされたタンパク質の量は、約0.1マイクログラム~約100マイクログラム、例えば、約90、80、70、60、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1マイクログラムである。ゲル上に検出可能なレベルの中性プロテアーゼを含有するいずれの画分は、プールされることを拒絶される。
【0082】
3.排除ストラテジー3
このストラテジーに従って、コラゲナーゼI画分は、溶離ピークに対する画分の位置およびプールされた推定量のコラゲナーゼIIに基づいて、プールされる。言い換えると、コラゲナーゼIIの溶離ピークは、コラゲナーゼI画分をプールすることを可能にするための識別子として使用される。
【0083】
プールされるコラゲナーゼIの画分は、コラゲナーゼI溶離ピークの任意の画分(複数可)からのものとすることができる。複数の画分がプールされる場合、画分は、連続的な画分であっても、非連続的な画分であってもよい。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼI画分の溶離ピーク最大から開始して、ピークの両サイド上を末端へ向かって均一に移動する画分が、プールされる。別の実施形態では、コラゲナーゼI純度、または最も豊富にある不純物、またはその両方についての特定の純度基準を満たす第1の画分から開始して、次いで、コラゲナーゼI溶離ピーク最大へ向かって移動する画分が、プールされる。いくつかの実施形態では、検出可能なレベルの中性プロテアーゼ(当業者に公知の任意の技法により測定された場合)を含有していない任意の画分から開始して、コラゲナーゼI溶離ピークの開始へ向かって移動する画分が、収集される。
【0084】
プールされるコラゲナーゼIの量は、推定されたコラゲナーゼII(総コラゲナーゼII溶離ピーク、プールされたコラゲナーゼII量、またはそれ以外のもの)の量とは異なってもよい。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼIIの推定量は、コラゲナーゼIの推定量の約2倍であってもよく、またはコラゲナーゼIの推定量の約1.5倍であってもよく、またはコラゲナーゼIの推定量の約3倍であってもよい。任意の特定の比、例えば、約1:1.2のコラゲナーゼI対コラゲナーゼII、または約1:1.1、または1:1.3、または1:1.4、またはそれ以上のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIなどが機能することになる。
【0085】
例えば、ストラテジーは、(a)上述した純度要件に合格する画分中に含有された溶離したおおよその量のコラゲナーゼIIを計算すること、および(b)(a)で計算されたコラゲナーゼIIの量に対するコラゲナーゼIのおおよそ1:1の質量比を作り出すコラゲナーゼIIのおおよその量を超えるコラゲナーゼI溶離ピークからの末尾画分を廃棄することを含み、コラゲナーゼI画分のプールは、コラゲナーゼI溶離ピーク末尾の最初の通過画分について開始し、そして最終的なコラゲナーゼI画分に向かって移動する。この方法により産生されるコラゲナーゼ組成物は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【0086】
別の実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを製造するプロセスに関し、このプロセスは、(a)クロマトグラフィーを用いてコラゲナーゼIIからコラゲナーゼIを分離する工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについて別々に工程(a)から溶離画分を収集する工程と、(c)濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約91.8%未満のコラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼIIを有するか、濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約5.8%超の任意の単一の不純物を有する任意の画分を廃棄する工程と、(d)(c)の純度要件に合格する画分中に含有された溶離したコラゲナーゼIIのおおよその量を計算する工程と、(d)で計算されたコラゲナーゼIIの量に対するコラゲナーゼIのおおよそ1:1の質量比を作り出すおおよその量のコラゲナーゼIIを超えるコラゲナーゼI溶離ピークからの末尾画分を廃棄する工程であって、末尾コラゲナーゼI画分の廃棄が、コラゲナーゼI溶離ピークの末尾あたりから開始して、ピーク最大に向かって移動する、廃棄する工程、を含む。この方法により産生されるコラゲナーゼ組成物は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【0087】
E.中性プロテアーゼの除去後の、薬物製品および製剤の最終化
中性プロテアーゼ排除工程の後で、かつそれがコラゲナーゼIIと混合される前のコラゲナーゼI薬物原料は、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼI薬物原料1mgあたり約50ng未満の中性プロテアーゼを有し得る。あるいは、これは、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼI薬物原料1mgあたり、約40ng、または30ng、または20ng、または10ng、または5ng、または1ng未満、またはそれより少ない中性プロテアーゼを有し得る。
【0088】
別の態様では、中性プロテアーゼ排除工程の後で、かつそれがコラゲナーゼIと混合される前のコラゲナーゼII薬物原料は、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼII薬物原料1mgあたり約50ng未満の中性プロテアーゼを有し得る。あるいは、これは、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼII薬物原料1mgあたり、約40ng、または30ng、または20ng、または10ng、または5ng、または1ng未満、またはそれより少ない中性プロテアーゼを有し得る。
【0089】
さらに、最終的な混合されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼII薬物原料は、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼIおよびII薬物原料1mgあたり約50ng未満の中性プロテアーゼを有し得る。あるいは、これは、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼIおよびII薬物原料1mgあたり、約40ng、または35ngもしくは30ng、または25ng、または20ng、または15ng、または10ng、または5ng、または4ng、または3ng、または2ng、または1ng未満、またはそれより少ない中性プロテアーゼを有し得る。
【0090】
別の実施形態では、コラゲナーゼ薬物原料は、濃度測定を伴うまたは伴わないカゼインザイモグラフィーにより測定された場合に、コラゲナーゼ1mgあたり、約1000ng、または750ng、または500ng、または250ng、または100ng、または75ng、または50ng、または40ng、または35ngもしくは30ng、または25ng、または20ng、または15ng、または10ng、または5ng、または4ng、または3ng、または2ng、または1ng未満、またはそれより少ない中性プロテアーゼを有する。
【0091】
一例では、存在する中性プロテアーゼの量は、約5マイクログラム~約20マイクログラムのコラゲナーゼを有するウェル中の中性プロテアーゼの測定された量と比較することにより、判定される。例えば、ザイモグラフィー試験方法のための試料は、試料1uLあたり0.5ugのAUX-Iで調製され、SDS-PAGEゲル上に20uLでロードされる。これは、ゲル上で10ugのAUX-Iロードを生じる。ザイモグラフィー試験方法は、0.5ngの中性プロテアーゼの検出限界を有する。したがって、検出限界は、10ugのAUX-Iあたり0.5ngのNPである。
【数1】
【0092】
別の実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼ組成物に関し、コラゲナーゼ組成物は、コラゲナーゼI産物およびコラゲナーゼII産物を含み、コラゲナーゼ産物は、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)により測定された場合に少なくとも95面積%純粋であり、またコラゲナーゼI産物は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【0093】
いくつかの実施形態では、コラゲナーゼ組成物または薬学的製剤は、おおよそ1対1のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIの質量比を有する。しかし、他の質量比のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIが企図される。質量比は、約1:10~約10:1のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIのいずれかの範囲であり得る。好ましくは、質量比は、約1:3~約3:1のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIである。より好ましくは、質量比は、約0.9:1~約1:1.4のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIである。例えば、質量比は、約1:1、または1:1.5、または1.5:1、または2.4:1、1:2.1、または1:1.3、または1:1.4、または1.4:1、または1.3:1のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIであり得る。一態様では、コラゲナーゼI対コラゲナーゼIIの質量比は、約1:1である。一実施形態では、コラゲナーゼ濃縮液は、1.528の消衰係数を有する。
【0094】
さらに、本発明は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含むコラゲナーゼ組成物を提供し、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、約0.9:1~約1:1.4のコラゲナーゼI対コラゲナーゼIIの質量比(例えば、約1:1)を有し、コラゲナーゼ組成物は、RP-HPLCにより測定された場合に少なくとも90面積%の純度、またはRP-HPLCにより測定された場合に少なくとも約95面積%、もしくはRP-HPLCにより測定された場合に少なくとも97面積%、またはRP-HPLCにより測定された場合に少なくとも98面積%の純度、またはRP-HPLCにより測定された場合に少なくとも99面積%の純度を有する。
【0095】
本発明の薬学的製剤は、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に製剤化された治療有効量の本発明のコラゲナーゼ組成物を含む。
【0096】
別の実施形態では、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、もしくはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方の製造プロセスの間に制御され、薬物製品の形成は、コラゲナーゼ産物について約88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のプロセス再現性をもたらし、またはRP-HPLC(逆相高圧液体クロマトグラフィー)により測定された場合に少なくとも約95面積%、少なくとも約96面積%、少なくとも約97面積%、少なくとも約98面積%、少なくとも約99面積%、もしくは100面積%のコラゲナーゼI産物もしくはコラゲナーゼIIの産物純度をもたらす。
【0097】
一実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの単離および精製のための方法に関し、ニッケルレベルおよび亜鉛レベルは、約95%超純粋なコラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼIIの改良されたプロセス再現性をもたらすコラゲナーゼ精製プロセスの間、制御される。
【0098】
一例では、精製プロセスは、フィルター(例えば、Millipore Millistak HC POD)を通して、続いて、コラゲナーゼのHICカラムに対する結合を促進するために、硫酸アンモニウム濃度(例えば、60%飽和の硫酸アンモニウムでの)を用いてMustang Q濾液を1Mに調整して、次いで、硫酸アンモニウム中に沈殿したコラゲナーゼを再懸濁または溶解し、続いて、アニオンイオン交換クロマトグラフィー(例えば、Mustang Qカラムを用いる)、続いて、濾過(例えば、0.45μフィルター)、続いて、バッファー交換(例えば、透析もしくはタンジェンシャルフロー濾過)、次いで、濾液を疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム(例えば、Q-セファロース)にわたって実行し、続いて、ロイペプチンを添加し、続いて、バッファー交換により、発酵したC.ヒストリチクム(例えば、ブタ由来培地(好ましくは、プロテオーゼペプトン))培地からコラゲナーゼを回収することを含む。
【0099】
別の例では、精製プロセスは、デプスフィルター(例えば、Millipore Millistak HC POD)を通して、続いて、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、Mustang Q濾過)、続いて、塩(好ましくは、硫酸アンモニウム)を添加して、約0.8M~約1.2M(例えば、約1Mの硫酸アンモニウム)の濃度にし、続いて、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム(例えば、フェニルセファロース)、続いて、バッファー交換(例えば、TFFを用いて硫酸アンモニウムを除去する)、続いて、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、Q-セファロースカラムを用いる)、続いて、AUX-IおよびAUX-IIについて別々にアニオン交換クロマトグラフィーから濾液の画分を収集し、次いで、AUX-Iの画分を共にプールし、AUX-IIの画分を共にプールして、発酵したC.ヒストリチクム(例えば、野菜由来培地中で発酵した)からコラゲナーゼを回収することを含む。ロイペプチンが、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程、第1のバッファー交換工程、および第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程において精製プロセスに添加されてもよい。
【0100】
本方法による精製プロセスの一例は、フィルター(例えば、Millipore Millistak HC POD)を通して、続いて、少なくとも1つの0.2ミクロンフィルターを通して濾過し、続いて、流出液が約0.8M~約1.2Mの硫酸アンモニウム濃度に調整されているアニオン交換クロマトグラフィー(例えば、Mustang Q濾過)、続いて、疎水性相互作用(HIC)カラム(例えば、フェニルセファロース)、続いて、バッファー交換(例えば、TFFを用いて硫酸アンモニウムを除去する)、続いて、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、Q-セファロース)、続いて、AUX-IおよびAUX-IIについて別々にアニオン交換クロマトグラフィーから溶離液の画分を収集し、次いで、AUX-Iの画分を共にプールし、AUX-IIの画分を共にプールし、続いて、薬学的製剤バッファーの中へと(例えば、タンジェンシャルフロー濾過を用いてpH8にて10mMのTris、60mMのスクロースの中へと)バッファー交換して、発酵したC.ヒストリチクムからコラゲナーゼを回収することを含む。任意選択でロイペプチンが、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程、第1のバッファー交換工程、および第2のイオン交換クロマトグラフィー工程において精製プロセスに添加されてもよい。
【0101】
本発明のある特定の実施形態では、コラゲナーゼ精製手順は、a)イオン交換クロマトグラフィーを用いて、好ましくは、アニオン交換カプセルフィルター(例えば、MUSTANG Q)を用いて、粗回収液を濾過する工程と、b)好ましくは、約1Mの最終的な濃度へと硫酸アンモニウムを添加する工程と、c)好ましくは、0.45μmのフィルターを通して粗回収液を濾過する工程と、d)濾液を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、好ましくは、フェニルセファロース6FF(low sub)カラムを通して供する工程と、e)好ましくは、HIC後溶離産物に対して約0.2mMの最終的な濃度へと、ロイペプチンを溶離液に添加する工程と、f)好ましくは、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)によるバッファー交換を用いて、硫酸アンモニウムを除去し、ロイペプチンを維持する工程と、g)好ましくは、0.45μmのフィルターを通して、工程(f)の混合物を濾過する工程と、h)イオン交換クロマトグラフィーを用いて、好ましくは、Q-セファロース高速(Q HP)カラムを用いてコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとを分離する工程と、i)中性プロテアーゼ排除工程を実施する工程と、を含む。任意選択で、j)工程(i)の後、好ましくは、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについて別々にTFF濃度を調製し、かつ製剤化することにより、コラゲナーゼIおよびIIのバッファー交換を別々に実施する工程であって、TFFが10および/または30KのMWCO(分子量カットオフ)のPESまたはRC-ポリエーテルスルホンまた再生セルロースフィルターメンブレンを伴うタンジェンシャルフローフィルターである(TFFは、選択したタンパク質を保持および濃縮し、タンパク質を1つのバッファー溶液から別のものへと交換する手段を提供する)、工程と、k)好ましくは、0.2μmの濾過系を通して、バッファー交換したコラゲナーゼIおよびIIを別々に濾過する工程と、を含む、さらなる工程が実施され得る。
【0102】
本方法の一実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法を含み、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.2ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約1ppm未満となるように、プロセスにおいて制御され、そしてこれらの金属濃度は、約90%超のプロセス再現性をもたらし、またコラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約95面積%超の純度を達成する。本方法の別の実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの製造プロセス中の亜鉛およびニッケルレベルをモニタリングすることを含み、これらの金属濃度が約95%超純粋なコラゲナーゼ組成物の約95%超のプロセス再現性をもたらすように、製造プロセスの間のニッケルの濃度は約0.2ppm未満に維持され、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度は約1ppm未満に維持される。
【0103】
本開示は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法をさらに含み、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.2ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約1ppm未満となり、これらの金属濃度が、約95%超純粋なコラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を達成する、約90%超のプロセス再現性をもたらすように、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、プロセスにおいてモニターされ、かつ/または制御される。本方法の別の実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方の製造プロセスにおける亜鉛およびニッケルレベルのモニタリングを含み、これらの金属濃度が、約95%超のプロセス再現性、およびコラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約95面積%超の純度をもたらすように、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.2ppm未満に維持され、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約1ppm未満に維持される。
【0104】
本方法のさらなる一実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法を含み、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.5ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約10ppm未満となり、そしてこれらの金属濃度が、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約95面積%超の純度を達成する、約90%超のプロセス再現性をもたらすように、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、プロセスにおいてモニターおよび/または制御される。本方法のさらなる別の実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法を含み、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.5ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約10ppm未満となり、そしてこれらの金属濃度が、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約95面積%超の純度を達成する、約95%超のプロセス再現性をもたらすように、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、プロセスにおいてモニターされ、かつ/または制御される。
【0105】
本方法のさらなる一実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法を含み、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.5ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約10ppm未満となるように、プロセスにおいて制御され、これらの金属濃度は、RP-HPLCにより測定された場合に約95面積%超の純粋なコラゲナーゼ組成物を達成する、約95%超のプロセス再現性をもたらす。
【0106】
本方法のさらなる別の実施形態は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法を含み、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.5ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約10ppm未満となるように、プロセスにおいて制御され、これらの金属濃度は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約95面積%超の純度を達成する、約95%超のプロセス再現性をもたらす。
【0107】
コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法がさらに開示され、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.5ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約10ppm未満となるように、プロセスにおいて制御され、これらの金属濃度は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約97面積%超の純度を達成する、約90%超のプロセス再現性をもたらす。
【0108】
本開示は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方を製造するための方法をさらに企図し、亜鉛および/またはニッケルの濃度は、製造プロセスの間のニッケルの濃度が約0.5ppm未満となり、かつ/または製造プロセスの間の亜鉛の濃度が約10ppm未満となるように、プロセスにおいて制御され、これらの金属濃度は、コラゲナーゼ、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方についてRP-HPLCにより測定された場合に約97面積%超の純度を達成する、約95%超のプロセス再現性をもたらす。
【0109】
別の実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの製造プロセスに関し、このプロセスは、(a)クロマトグラフィーを用いてコラゲナーゼIIからコラゲナーゼIを分離する工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについて別々に工程(a)からの溶離画分を収集する工程と、(c)SDS-PAGE、SDS-PAGEおよび濃度測定、またはザイモグラフィーを用いて中性プロテアーゼについて各画分をアッセイする工程と、(d)濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約91.8%未満のコラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIを有するか、濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約5.8%超の任意の単一の不純物を有するか、または(c)において試験された場合に検出可能なレベル中性プロテアーゼを示す、任意の画分を廃棄する工程と、(e)コラゲナーゼI産物について合格したコラゲナーゼIの画分のみをプールし、コラゲナーゼII産物について合格したコラゲナーゼIIの画分のみをプールする工程であって、プールされたコラゲナーゼI産物またはコラゲナーゼII産物が、RP-HPLCにより測定された場合に少なくとも95面積%純粋である、工程と、を含む。この方法により生成されるコラゲナーゼ組成物は、本質的に中性プロテアーゼを含まない。
【0110】
別の実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを製造するプロセスに関し、このプロセスは、(a)クロマトグラフィーを用いてコラゲナーゼIIからコラゲナーゼIを分離する工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについて別々に工程(a)からの溶離画分を収集する工程と、(c)濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約91.8%未満のコラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼIIを有する、濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約5.8%超の任意の単一の不純物を有する任意の画分を廃棄する工程と、(d)(c)の純度要件を合格する画分中に含有された溶離したコラゲナーゼIIのおおよその量を計算する工程と、(d)で計算されたコラゲナーゼII量に対するコラゲナーゼIのおおよそ1:1の質量比を作り出すコラゲナーゼIのおおよその量を超えるコラゲナーゼI溶離ピークからの末尾画分を廃棄する工程であって、コラゲナーゼI画分のプールが、コラゲナーゼI溶離ピーク末尾の第1に通過する画分あたりから開始して、最終的なコラゲナーゼI画分に向かって移動する、廃棄する工程と、を含む。この方法により生成されるコラゲナーゼ組成物は、本質的に中性プロテアーゼを含まない。
【0111】
本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを製造するプロセスに関し、このプロセスは、(a)クロマトグラフィーを用いてコラゲナーゼIIからコラゲナーゼIを分離する工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについて別々に工程(a)からの溶離画分を収集する工程と、(c)濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約91.8%未満のコラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼII、濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約5.8%超の任意の単一の不純物を有する任意の画分を廃棄する工程と、(d)(c)の純度要件に合格する画分中に含有された溶離したコラゲナーゼIIのおおよその量を計算する工程と、(d)で計算されたコラゲナーゼII量に対するコラゲナーゼIのおおよそ1:1の質量比を作り出すおおよそのコラゲナーゼIの量を超えるコラゲナーゼI溶離ピークからの末尾画分を廃棄する工程であって、末尾コラゲナーゼI画分の廃棄が、コラゲナーゼI溶離ピークの末尾あたりから開始して、ピーク最大に向かって移動する、工程と、を含む。この方法により生成されるコラゲナーゼ組成物は、本質的に中性プロテアーゼを含まない。
【0112】
本開示は、C.ヒストリチクムに由来するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの製造プロセスに関し、(a)中性プロテアーゼは、製造プロセスの間にコラゲナーゼI産物から本質的に排除され、かつ(b)ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、鉛、またはそれらの組み合わせの濃度は、製造プロセスの間、制御される。
【0113】
別の実施形態では、本開示は、(a)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過することと、(b)硫酸アンモニウムを工程(a)の濾液に添加することと、(c)工程(b)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供することと、(d)ロイペプチンを工程(c)の溶離液に添加することと、(e)工程(d)の混合物から硫酸アンモニウムを除去することと、(f)工程(e)の混合物を濾過することと、(g)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(f)の混合物中のコラゲナーゼIとIIとを分離することと、を含む、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製するための方法に関し、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、鉛、またはそれらの組み合わせの濃度は、精製プロセスの間、制御される。
【0114】
さらなる一実施形態では、本開示は、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製するための方法に関し、(a)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過することと、(b)硫酸アンモニウムを工程(a)の濾液に添加することと、(c)工程(b)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供することと、(d)ロイペプチンを工程(c)の溶離液に添加することと、(e)工程(d)の混合物から硫酸アンモニウムを除去することと、(f)工程(e)の混合物を濾過することと、(g)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(f)の混合物中のコラゲナーゼIとIIとを分離することと、を含み、ニッケルの濃度または亜鉛の濃度は、精製プロセスの間、制御される。
【0115】
本開示はまた、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製するための方法にも関し、(a)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過することと、(b)硫酸アンモニウムを工程(a)の濾液に添加することと、(c)工程(b)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供することと、(d)ロイペプチンを工程(c)の溶離液に添加することと、(e)工程(d)の混合物から硫酸アンモニウムを除去することと、(f)工程(e)の混合物を濾過することと、(g)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(f)の混合物中のコラゲナーゼIとIIとを分離することと、(h)工程(g)の溶離液からのコラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIから中性プロテアーゼを除去することと、を含む。
【0116】
さらに、本開示は、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製するための方法に関し、(a)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過することと、(b)硫酸アンモニウムを工程(a)の濾液に添加することと、(c)工程(b)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供することと、(d)ロイペプチンを工程(c)の溶離液に添加することと、(e)工程(d)の混合物から硫酸アンモニウムを除去することと、(f)工程(e)の混合物を濾過することと、(g)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(f)の混合物中のコラゲナーゼIとIIとを分離することと、を含み、ニッケルレベルおよび亜鉛レベルは、コラゲナーゼ精製プロセスの間、制御される。
【0117】
別の実施形態では、本開示は、C.ヒストリチクムに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなる薬物製品を産生するためのプロセスに関し、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、約1対1の質量比を有し、薬物製品は、逆相高速液体クロマトグラフィーにより測定された場合に少なくとも95面積%純粋であり、プロセスは、以下の(a)C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵液を回収する工程と、(c)濾過およびカラムクロマトグラフィーを介して粗回収液からコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程であって、(i)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過する工程と、(ii)硫酸アンモニウムを工程(i)の濾液に添加する工程と、(iii)工程(ii)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供する工程と、(iv)ロイペプチンを工程(iii)の溶離液に添加する工程と、(v)工程(iv)の混合物から硫酸アンモニウムを除去する工程と、(vi)工程(v)の混合物を濾過する工程と、(vii)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(vi)の混合物中のコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとを分離する工程と、を含む、工程と、(d)工程(c)からの精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを約1対1の比で組み合わせる工程と、を含み、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ヒ素、カルシウム、カドミウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、鉛、またはそれらの組み合わせの濃度は製造プロセスの間制御される。
【0118】
さらに、本開示は、C.ヒストリチクムに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなる薬物製品を産生するためのプロセスに関し、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、約1対1の質量比を有し、かつ薬物製品は、逆相高速液体クロマトグラフィーにより測定された場合に少なくとも95面積%純粋であり、プロセスは、(a)C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵液を回収する工程と、(c)濾過およびカラムクロマトグラフィーを介して粗回収液からコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程であって、(i)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過する工程と、(ii)硫酸アンモニウムを工程(i)の濾液に添加する工程と、(iii)工程(ii)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供する工程と、(iv)ロイペプチンを工程(iii)の溶離液に添加する工程と、(v)工程(iv)の混合物から硫酸アンモニウムを除去する工程と、(vi)工程(v)の混合物を濾過する工程と、(vii)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(vi)の混合物中のコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとを分離する工程と、を含む、工程と、(d)工程(c)からの精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを約1対1の比で組み合わせる工程であって、ニッケルレベル、亜鉛レベル、または亜鉛およびニッケルレベルが製造プロセスの間制御される、工程と、を含む。
【0119】
本開示は、C.ヒストリチクムに由来する単離され、かつ精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなる薬物製品を産生するためのプロセスに関し、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、約1対1の質量比を有し、かつ薬物製品は、逆相高速液体クロマトグラフィーにより測定された場合に少なくとも95面積%純粋であり、プロセスは、(a)C.ヒストリチクムを発酵させる工程と、(b)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵液を回収する工程と、(c)濾過およびカラムクロマトグラフィーを介して粗回収液からコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程であって、(i)アニオン交換フィルターを通して、C.ヒストリチクムからの発酵液を濾過する工程と、(ii)硫酸アンモニウムを工程(i)の濾液に添加する工程と、(iii)工程(ii)の濾液を、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに供する工程と、(iv)ロイペプチンを工程(iii)の溶離液に添加する工程と、(v)工程(iv)の混合物から硫酸アンモニウムを除去する工程と、(vi)工程(v)の混合物を濾過する工程と、(vii)イオン交換クロマトグラフィーを用いて工程(vi)の混合物中のコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとを分離する工程であって、分離工程がさらに、(a)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIについて別々に(vii)からの溶離画分を収集することと、(b)SDS-PAGEまたはザイモグラフィーを用いて中性プロテアーゼについて各画分をアッセイすることと、(c)濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約91.8%未満のコラゲナーゼIもしくはコラゲナーゼIIを有するか、濃度測定分析を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に画分中のタンパク質の総量の約5.8%超の任意の単一の不純物を有するか、または(b)において試験された場合に検出可能なレベルの中性プロテアーゼを示す、任意の画分を廃棄することと、をさらに含む、工程と、(d)コラゲナーゼI産物について合格したコラゲナーゼIの画分のみをプールし、かつコラゲナーゼII産物について合格したコラゲナーゼIIの画分のみをプールする工程と、を含む。この方法により生成されるコラゲナーゼ組成物は、本質的に中性プロテアーゼを含まない。
【実施例0120】
以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を実証するために含まれる。しかし、当業者であれば、本開示に照らして、開示される特定の実施形態に修正を加えることができ、かつ本発明の精神および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果をなお得ることができること、を理解するはずである。したがって、示されるすべての事項は、例示として解釈されるものであり、限定を意味するものではない。
【0121】
実施例1-最適化されたSDS-PAGE方法により分析された場合の、IEX画分不純物のカテゴリー分類および傾向
表1に示されるように、C.ヒストリチクムから得られた製造されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの13個の異なるロットから、IEX画分を試験した。ロットの各々においてIEX溶離液から収集した各コラゲナーゼ画分をSDS-PAGEゲル上で実行し、そしてBio-Radデンシトメーターおよび添付の濃度測定分析ソフトウェアを用いるゲル濃度測定を用いて分析した。各ロットの各画分について、未分解コラゲナーゼIまたはIIのパーセント純度、および各可視不純物(コラゲナーゼ断片またはそれ以外)のパーセントを判定した。
【表2】
【0122】
ソフトウェアにより報告される分子量の値を用いて、かつ分子量マーカーレーン中に位置する既知の分子量バンドの縦方向の位置に対して不純物の縦方向の位置を比較することにより、不純物は、4つの主なカテゴリー(90kD、80kD、55kD、および40kD)に階層化される。カテゴリーに適合しない不純物は、「その他」として分類した。ゲル濃度測定を利用するSDS-PAGE方法は、現在のSDS-PAGE方法を単独で用いる場合よりも多くの不純物バンドを解析することができる。
【0123】
A.ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動および濃度測定によるコラゲナーゼC.ヒストリチクムイオン交換クロマトグラフィー画分中のメジャーおよびマイナーバンドの定量化
この方法は、4~12%のNuPAGEゲル(MESバッファー)およびコロイド状クマシー染色を使用するドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を用いて、コラゲナーゼC.ヒストリチクムイオン交換クロマトグラフィー画分の純度および不純物を判定する。この方法は、メジャーバンド(パーセントAUX-I、AUX-II、またはその両方)および産物断片もしくは他の不純物のマイナーバンド(パーセントマイナーバンド)の相対的定量化を可能にするゲルの濃度測定分析を使用する。
【0124】
一般に、SDS-PAGEのためにゲルのウェルの中へとロードされたコラゲナーゼの量は、濃度測定ソフトウェアを用いて見られるバンドの強度に対して直線的である。例えば、コラゲナーゼバンドについての応答の直線性は、>0.98のR値を伴う1.123~1.875μg(標的の75%~125%)のコラゲナーゼにわたって、既知の参照標準のμgに対してコラゲナーゼをプロットすることで実証することが可能である。典型的な直線プロットの一例が図1に示される。
【0125】
分析される試料のために参照標準が使用されるべきである。例えば、IEX工程からのAUX-Iの溶離画分を分析するためにAUX-I中間体参照標準を使用することができる。ゲルのための最終的な試料(C2=0.15mgのタンパク質/mL)を産生するために必要とされる参照標準および試料の量は、以下の式により計算される:C=C
=試験される試料の初期濃度(mg/mL)
=初期濃度における必要とされる試料の容量(μL)
2=1mg/mL(最終的な試料調製物の濃度)
2=最終的な試料調製物の容量(μL)
【0126】
B.不純物カテゴリー分類
i.不純物分類に対するアプローチ
画分不純物は、濃度測定を伴うSDS-PAGEを用いて画分の試料を分析することからもたらされるゲルの分析に基づいて判定することができる。各ゲルをデンシトメーター上に置き、デンシトメーター(例えば、Bio-Radデンシトメーター)を用いて、ゲル画像をスキャンして、デンシトメーターソフトウェア(例えば、Bio-Rad Quantity Oneソフトウェア)の中へと入れる。分析者は、ソフトウェアがゲルレーンおよび適切なバンドを正確に識別したことを確認する。ソフトウェアは、図2に示される代表的な画像のような、注釈付きの画像報告を作り出す。
【0127】
図2では、レーン1は、既知の分子量のバンドを伴う分子量標準を含有する。レーン2は、適切なAUX中間体参照標準を含有する。残りのレーンは、各IEX画分からの試料を含有する。主な産物のバンドは各レーンの上部のバンドであり、より下部にあるさらなるバンドの各々は不純物を表す。
【0128】
IEX画分において観察された不純物の傾向分析は、重要なプロセス性能情報を提供することができる。不純物は、傾向分析を成功させるために、ロット毎の分子量に基づいて一貫してカテゴリー分けされるべきである。濃度測定ソフトウェアは、各不純物について明白な分子量を報告し得るが、報告された明白な分子量に基づくカテゴリーは、ゲル画像中にいくつかの通常のバリエーションを有し、近接のバンドと組み合わされたバリエーションは、曖昧かつ重複した分類範囲につながる可能性がある。代わりに、AUX-IおよびAUX-II不純物についての推奨される分子量カテゴリーは、既知の分子量レーン中のバンドの縦方向の位置に対して画分不純物の縦方向(y軸)の位置を視覚的に比較することに基づくことができる。
【0129】
総数128個のAUX-I画分および99個のAUX-II画分を分析した。13バッチのうち3つ以上で現れた不純物を、カテゴリーに割り当てた。各カテゴリーの説明を以下に提供する。
【0130】
ii.不純物分類の結果
AUX-I
AUX-I画分不純物カテゴリーは、33kD、45kD、55kD、80kD、90kD、および96kDを含む。各不純物カテゴリーの説明を、図3図8に提供する。各図は、以下を含む:
・第1のパネル:所与の不純物が、評価に含まれた13個のロットの各画分において観察された、パーセント頻度。
・第2のパネル:画分番号ごとの所与の不純物についての相対量(パーセントとして報告される)の平均(ドット)および範囲(エラーバー)。
・第3のパネル:分子量標準に対するバンドの視覚的な縦方向の位置についての説明。
・第4のパネル:ソフトウェアにより所与のバンドについて報告された明白な分子量の範囲。
【0131】
AUX-II
AUX-II画分不純物カテゴリーは、25kD、38kD、50kD、60kD、80kD、90kD、92kD、および96kDを含む。各不純物の説明を、図9図16に提供する。図パネルは、AUX-Iについて説明したものと同じである。
【0132】
分析した877個の不純物バンドのうち、3つのバンドは、上記カテゴリーに対して適切ではなく、「その他」として分類された。これらの不純物の詳細は、表2に含まれる。
【表3】
【0133】
C.不純物傾向
i.不純物傾向に対するアプローチ
不純物をカテゴリー分けした後、それらを傾向付けして、プロセス性能をモニターすることができる。異なるタンパク質濃度において複数の不純物、複数のIEX画分が存在し、かつ結果が相対量として報告されるために、画分不純物傾向は複雑である可能性がある。しかし、下記のように、AUXピークあたりの総タンパク質に対する目的の不純物のパーセントとして画分不純物を報告することにより、傾向を単純化することができる。
【0134】
各IEX画分中のタンパク質の量は、画分容量とUVA280による画分タンパク質濃度を乗算することにより、判定することができる。得られた値は、画分あたりのタンパク質のグラムである。画分あたりのタンパク質のグラムの典型的なプロファイルを図17に提供する。
【0135】
記載されたようなSDS-PAGEおよび濃度測定方法を利用することにより、各SDS-PAGEゲル画分レーン中で検出された総タンパク質に対するパーセントとしてのIEX画分不純物をもたらす。同量のタンパク質(1.5μgのタンパク質/レーン)を各画分レーンにロードする。したがって、各画分中の各不純物のグラムは、不純物パーセンテージを小数に変換して(100で割る)、次いで、画分あたりのタンパク質のグラムを乗算することにより、推定することができる。例えば、図18は、AUX-IおよびAUX-IIの両方の画分において一般的に観察される、グラム単位で表される、90kD不純物の典型的なプロファイルを示す。
【0136】
各AUX I、AUX II、または不純物についてのタンパク質のグラムは、画分毎に計算することができる。あるいは、画分あたりのタンパク質および目的の不純物のグラムを、AUXピーク毎に合計することができる。この数学的演算を視覚的に表現したものが図19で提供される。
【0137】
次いで、AUXピークあたりのタンパク質の量に対する目的の不純物のパーセントは、目的の不純物のグラムをタンパク質の総AUXピークグラムで除算し、次いで、得られた数値を100倍して、値をパーセンテージに変換することにより、計算することができる。AUXピークあたりの総タンパク質に対する目的の不純物のパーセントとして表される最終的な値に到達するための方程式を以下に要約する:
【数2】
式中、
[タンパク質]i,jは、第jの不純物を含有する第iの画分のタンパク質濃度である。
i,jは、第jの不純物を含有する第iの画分のリットル単位の容量である。
不純物値i,jは、第iの画分中の第jの不純物のパーセント不純物である。
[タンパク質]は、UVA280による第iの画分のタンパク質濃度である。
は、第iの画分のリットル単位の容量である。
Lは、1リットルである。
【0138】
上記方程式を用いて、検出された不純物の各々の量を傾向付けて、プロセス性能を評価することができる。上記方程式はまた、順方向でプロセスされた画分のみにおける目的の不純物の相対量を表すために容易に修正することもできる。
【0139】
さまざまな方法を用いて傾向付けを実施することができる。1つの方法は、個々の値についてのシューハート管理図を用いる。個々についてのシューハート管理図は、ルーチンの変動に起因する結果(管理図限界内)と、例外的な変動に起因する結果(管理限界を超える)とを区別するために使用される、統計的ツールである。プロセス変動性を推定するために、2つの連続的な観察の移動範囲を用いて、管理限界を計算する。管理図中の緑色の水平線は、平均結果を表す。赤色の水平線は、上方および下方管理限界を表し、以下のように計算される:
【数3】
である。
【0140】
個々の値についてのシューハート管理図を用いて生み出された限界は、産物の品質を示すことを意図しない。したがって、管理限界の外側にある結果は、品質の影響を自動的に指し示すものではなく、すべての利用可能なデータの文脈から全体論的に評価される必要があることになる。
【0141】
ii.不純物傾向結果
個々についてのシューハート管理図を用いて、表1に列挙したロットの不純物を傾向付けした。AUX-I不純物は図20において傾向付けされ、AUX-II不純物は図21Aおよび21Bにおいて傾向付けされた。ロットは、製造場所により特徴付けされる。各管理図について、異なるx軸スケールを用いた。この報告書において提示される評価に基づく推奨される不純物カテゴリーは、表3に含まれる。
【表4】
【0142】
IEX画分不純物の傾向は、重要なプロセス性能情報を提供することができる。AUXピークあたりの総タンパク質に対する目的の不純物のパーセントとして不純物を報告することは、不純物傾向付けを単純化するために、推奨される。
【0143】
実施例2-精製プロセス中の金属
A.コラゲナーゼIおよびII産物の製造における異常な不純物レベル
コラゲナーゼIおよびII産物の純度における実質的な減少が、通常の製造プロセスの間に生じた。製造プロセスのイオン交換クロマトグラフィー(IEX)工程後に見られる不純物の同一性を判定することを含む分析を実施した。コラゲナーゼI産物は、約113kDaの分子量(MW)を有し、またコラゲナーゼII産物は、約112kDaのMWを有する。コラゲナーゼのルーチンの製造の間、IEX工程から明らかに、高レベルの不純物が不可解にも生じた。これらの高レベルの不純物は、最適化されたSDS-PAGEゲル上の、40kDa、50kDa、55kDa、80kDa、90kDa、および96kDaにおいて出現した。
【0144】
B.不純物産物の増大の潜在的な原因
次いで、高レベルの不純物の原因を調査した。C.ヒストリチクムは、コラゲナーゼ(AUX-IおよびAUX-II)に加えて、2つのプロテアーゼ、クロストリパインおよび中性プロテアーゼを産生する。両方のプロテアーゼは、活性のために金属コファクターを必要とする。カルシウムは、クロストリパインのためのコファクターであり、活性のために必要とされる。カルシウムはまた、中性プロテアーゼのためのコファクターであるが、構造安定性のためのみに必要とされる。カルシウムが中性プロテアーゼの結合部位から除かれると、酵素は自己触媒により分解される。亜鉛は、中性プロテアーゼのためのコファクターであり、中性プロテアーゼ活性のために必要とされる。
【0145】
製造プロセスストリームにおける広範な産物分解は、製造実行中の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ユニット操作後に、初めて検出された。調査したHICプロセスバッファー原材料は、硫酸アンモニウム(AS)、Tris-塩基(トロメタミン、または「Tris」)、および約37%の濃縮された塩酸(HCl)を含んだ。調査は、原材料中の金属成分の判定を含んだ。イオン結合プラズマ質量分析(ICP-MS)は、その感受性およびそれが検出および定量可能である金属の幅広いパネルのために、金属含量を測定するために選択された。ICP-MSは、カルシウムおよび亜鉛を含む34の金属イオンを測定するために十億分率(ppb)の感受性を有する。
【0146】
ICP-MSにより試験された微量金属は、カルシウム、ニッケル、および亜鉛のレベルに関して上記原材料の各々について、以下に提示される。これらの特定の金属レベルは、Trisロット(表7)およびHClロット(表8)と比較して、試験した硫酸アンモニウムのいくつかのロット(表4~6)において顕著により高い濃度で見出された。Tris-塩基および濃縮HClは、検出された低レベルの亜鉛、カルシウム、およびニッケル金属、ならびにプロセスバッファー中で使用されたそれらの比較的低い濃度に基づいて、さらなる試験から除外された。
【0147】
i.硫酸アンモニウム試験:
【表5】
【0148】
低レベルの不純物(SDS-PAGEにより測定された場合に約5面積%以下の)を産生した硫酸アンモニウムロットのカルシウムレベルは、高レベルの不純物(SDS-PAGEにより測定される場合に5面積%より多い)を引き起こした硫酸アンモニウムのロットよりも高かったので、カルシウムは不純物の原因として、除外された。これらのデータは、製造実行中で観察された不純物へのコラゲナーゼIおよびII分解の潜在的な原因としてカルシウム汚染を除外した。コラゲナーゼ製造中に高レベルの不純物を産生した試験した硫酸アンモニウムのロットには、増大したレベルの亜鉛およびニッケルの存在を有した。これらのデータは、ニッケル汚染と観察された産物分解との間の可能性のある関連性を示唆した。両方のロットは相当量の高レベルのニッケルを含有していたので、製造プロセスに対する亜鉛の影響は、これらのデータからは明確ではなかった。亜鉛およびニッケルイオンレベルの潜在的な影響を、以下にさらに考察されるスパイキング研究において探求した。
【0149】
硫酸アンモニウムの歴史的なロットも調査した。
【表6】
【表7】
【0150】
5つの歴史的な硫酸アンモニウムロットについてのカルシウムレベル(表5)は、240~870ppbの範囲であった。さらに、いずれの高められたカルシウムレベルも、製造プロセスの異常において見られた高レベルの不純物を産生しなかった。亜鉛含量は、約130~2980ppbの範囲であった。歴史的なロットのニッケル含量は、約140~180ppbの範囲であった。それぞれ約1150ppbおよび約1020ppbである、高レベルの産物不純物を産生した2つの硫酸アンモニウムロットのニッケル含量とこれらのデータとを比較すると、ニッケル汚染への耐性は低い。硫酸アンモニウムロット間のニッケルにおける相対的差異は、6~8倍であるが、この差異は、歴史的な硫酸アンモニウムロット内で10倍を超えて変動した亜鉛などの他の金属よりもはるかに低い。また、Avantor硫酸アンモニウムロット99428の低い亜鉛含量(250ppb)は、製造プロセスにおいて見られた高レベルの不純物は、高度にニッケルに感受性があったことを示唆している。要するに、調査は、精製プロセスの産物はプロセスにおいてニッケルレベルおよび亜鉛レベルの両方に感受性があったが、プロセスにおける亜鉛への耐性がニッケルへの耐性よりも高いことを実証した。
【0151】
EMD-Millipore硫酸アンモニウムロット中のカルシウムレベル(表6)は、試験した硫酸アンモニウムロットに関連する偏差よりも低く、歴史的な硫酸アンモニウムロットのカルシウムレベル(表5)に匹敵した。EMD-Millipore硫酸アンモニウムロット中の亜鉛イオンレベルは、概して、試験したAvantorロットよりも低かった(表3)。ニッケルイオンレベルは、試験した4つの開発硫酸アンモニウムロットEMD-Milliporeについて、100ppbの定量限界(LOQ)未満であった。
【0152】
ii.Tris試験:
Tris-塩基の2つのロットは、高レベルの不純物を生じた製造プロセスの前、およびそのプロセスを通して、商業生産において使用された原材料(Avantorロット61712)と、実験室スケールの調査的研究のために使用された開発材料(Fisherロット126928)と、を表す。表7において示されるように、Tris-塩基は、バッチ間で匹敵するレベルのカルシウムおよびニッケルを含有した。2つのロット間での顕著な差異は、亜鉛含量であった。開発材料の亜鉛含量は、LOQ、100ppb未満であった。高レベルの不純物および低レベルの不純物を産生する製造プロセス中に存在するニッケルおよび亜鉛のレベルが非常に類似していたので、Trisは、コラゲナーゼ分解に寄与する原材料であるとはみなされなかった。
【表8】
【0153】
iii.HCl試験:
両方のHClロットは、高レベルの不純物を生じた製造プロセスの間に用いられた原材料であった。表8は、カルシウムレベルが、ASロット中で検出されたレベルに匹敵するものであり、一方、亜鉛およびニッケル含量はLOQ(100ppb)未満であったことを示す。高レベルの不純物および低レベルの不純物を産生する製造プロセスについて存在するニッケルおよび亜鉛のレベルが非常に類似しており、かつ検出可能限界を下回るものであったので、HClは、コラゲナーゼ分解に寄与する原材料とはみなされなかった。
【表9】
【0154】
C.亜鉛およびニッケルスパイキング研究
本質的に亜鉛またはニッケルを含まないことが知られている2つの異なる硫酸アンモニウムロット(Fisherロット1476214A、表4、およびEMDロットAMO556316、表5)を用いて、実験室スケールの精製研究を実施して、硫酸アンモニウムロットに関連する偏差において検出された相対濃度での亜鉛またはニッケルの存在が、高レベルの不純物を産生した製造プロセスにおいて観察された産物の分解に関与しているかどうかを判定した。硫酸アンモニウムFisherロット1476214Aを用いる実験室スケールでの初期調査的研究は、典型的な数の通過AUX-IおよびAUX-II画分を産生し、このAUX-IおよびAUX-II画分のほぼすべては、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に少なくとも91.2%の未分解AUX-I/AUX-II純度を有し、かつ最も豊富にある分解されたAUX-IまたはAUX-II不純物は、SDS-PAGEゲル濃度測定により測定された場合に5.8%以下である。EMD硫酸アンモニウムロットの試験は、LOQ未満(<100ppb)の亜鉛およびニッケル含量を示した。
【0155】
研究のためにこれらの硫酸アンモニウムロットを使用して、開始材料として、高レベルの不純物を産生した製造プロセスからの以前は凍結していた、解凍Mustang Q濾液(MQF)を用いて、規格(qualified)HICおよびIEXスモールスケールモデルからなる制御実行を実施した。MQFは、HIC、TFF、およびIEX工程を通して処理された。クロマトグラフィー工程のための有効なロード範囲の中間点で、HICおよびIEX工程の両方をロードした。HIC工程については10℃、IEX工程については4℃に設定したクロマトグラフィーキャビネットを用いる冷蔵条件下で、すべてのユニット操作を実施した。IEX画分は、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより分析した。プールのために先に進んだ画分は、91.2%以上の純度での未分解コラゲナーゼIまたはII、および5.8%以下の最も豊富にある分解されたコラゲナーゼIまたはII不純物を必要とした。
【0156】
亜鉛スパイキング研究は、Fisherロット1476214Aからの硫酸アンモニウムを利用した。この研究は、EMDロットAM0556316からの硫酸アンモニウムを利用するニッケルスパイキング研究に先行した。両方の硫酸アンモニウムロットは、100ppbレベル未満の亜鉛およびニッケルを有すると判定された。
【0157】
亜鉛スパイキング研究において、Fisherロット1476214Aからの硫酸アンモニウムは、ZnClでスパイクされ、HICバッファー中の亜鉛濃度を約84ppmに上昇させた。亜鉛でスパイクされたバッファーを用いて処理された材料からのIEX画分結果は、プロセスバッファーにさらなる亜鉛を添加されずに処理された材料からもたらされたIEX画分結果と比較された。ニッケルスパイキング研究のために、EMDロットAM0556316からの硫酸アンモニウムを、NiClで約1.2ppmにスパイクした。研究は以下で別々に考察される。
【0158】
i.亜鉛スパイキング研究:
制御実行、DEV-25Cは、IEX画分のSDS-PAGE分析により測定された場合に、典型的な結果を生じた。亜鉛スパイクしたバッファーを用いて実施したDEV-25Bは、AUX-IおよびAUX-IIの有意な分解をもたらした。
【0159】
制御実行、DEV-25CについてのIEX SDS-PAGE画像を、図22および23に提示する。これらの図についての濃度測定データは、以下の表9および10にて集計される。AUX-IIピークは、6つの画分からなり、そのうち、1~5の画分がプール基準を満たした。最後の画分は、プール基準を満たさなかったが、これは、典型的なプロセス性能と一致する(図22および表9を参照されたい)。AUX-Iピークは、10個の画分(画分7~16)からなり、そのうち、9~15の画分がプール基準を満たした。AUX-I画分がプール基準を満たすためには、画分は、未分解AUX-Iが少なくとも91.2%の純度であり、かつ最も豊富にある分解されたAUX-IまたはAUX-II不純物が5.8%以下の純度である必要があった。同様に、AUX-II画分がプール基準を満たすためには、画分は、未分解AUX-Iが少なくとも91.2%の純度であり、かつ最も豊富にある分解されたAUX-IまたはAUX-II不純物が5.8%以下の純度である必要があった。これらの特定の要件の下、初めの2つのAUX-I画分(画分7および8)ならびに最後のAUX-I画分(16)は、プール基準を満たさなかった(図23および表10を参照されたい)。画分は、精製されているAUX-IまたはAUX-IIのピークを表すので、画分にわたってのベル型の純度曲線は、通常である。
【表10】
【表11】
【0160】
対照的に、84ppmの亜鉛スパイクランDEV-25Bから産生されたIEX画分のSDS-PAGE/濃度測定分析は、<5.8%の最大許容限界(%、最も豊富にある不純物)を十分に超えるコラゲナーゼ不純物断片を含有した。AUX-IまたはAUX-II画分のいずれもが、プール基準を満たさなかった(図24および25、表11および12)。この研究は、Avantorロット70339からの硫酸アンモニウムにおいて見出されるレベルまでのHICバッファーの亜鉛汚染が、製造プロセスにおいて観察され、かつ高レベルの不純物を産生したような、コラゲナーゼ分解を促進することを示す。
【表12】
【表13】
【0161】
ii.ニッケルスパイキング研究:
制御実行、DEV-25AについてのIEX SDS-PAGE画像を、図26および27にて提示する。これらの図についての濃度測定データは、以下の表13および14にて集計される。AUX-IIピークは、6つの画分からなる。すべての画分は、プール基準を満たした(図26および表13を参照されたい)。AUX-Iピークは、10個の画分からなり、そのうち、9~15の画分がプール基準を満たした。初めの3つのAUX-I画分(画分7~9)および最後のAUX-I画分(画分16)は、プール基準を満たさなかった(図27および表14を参照されたい)。この場合も、画分は精製されるAUX-IまたはAUX-IIのピークを表すので、画分にわたってのベル型の純度曲線は、通常である。
【表14】
【表15】
【0162】
対照的に、ニッケルでスパイクした実行4では、HICバッファーは、1.2ppmの塩化ニッケルを含有した。HICバッファー中の1.2ppmでのニッケルの存在は、高レベルの不純物を産生する製造プロセスにおいて経験されるものに匹敵する、AUX-IおよびAUX-II画分中に産物断片を産生した。AUX-IまたはAUX-II画分のいずれもが、プール基準を満たさなかった(図28および29、表15および16)。これらの結果は、硫酸アンモニウムロット中の1.2ppmでのニッケル汚染が、異常な製造プロセスから見られる高レベルの不純物と一致する、コラゲナーゼ分解を促進することを実証している。
【表16】
【表17】
【0163】
D.HIC CIP水洗浄からの中性プロテアーゼの単離および同定
本発明の以前には、コラゲナーゼIまたはIIの断片形態での不純物は、コラゲナーゼ精製プロセスの間のクロストリパイン分解、既知宿主細胞汚染の結果であると考えられていた。クロストリパインは、コラゲナーゼIおよびIIを断片へと切断すると考えられており、これは、C.ヒストリチクム発酵において、ならびにコラゲナーゼ精製プロセスの間、存在し、かつ活性があることが知られていた。Herber(米国特許出願公報第2015/0010532号)における以前のホモロジーモデリングおよびゲノム配列分析により、中性プロテアーゼ(別の切断酵素)が発酵の間に分泌されるが、これは、プロ配列領域のC末端部と成熟タンパク質のN末端部の間にある自己触媒領域における著しい変異に起因して、非機能的であった、ということが予測された。
【0164】
ルーチンの製造プロセスにおける不純物の増大したレベルは、さらなる調査を必要とした。この調査は、不純物が、C.ヒストリチクムからの中性プロテアーゼにより産生されたコラゲナーゼI(AUX-I)およびコラゲナーゼII(AUX-II)の断片であったことを判定した。AUX-IおよびAUX-IIのアミノ酸配列を、バイオインフォマティクスリソースポータルExPASy.orgのPeptide Cutterプログラムにおいて用いて、クロストリパインおよびテルモリシン切断ルールを用いて、理論的タンパク質切断部位リストを産出した。テルモリシンは、それがM4ファミリーのハロタイプ中にあるために、C.ヒストリチクムからの中性プロテアーゼについてのモデルプロテアーゼとして選択された。AUX-IおよびAUX-II配列におけるクロストリパインおよびテルモリシンにより産生された切断部位の調査は、IEX画分中に含有された特徴付けられたルーチンの産物断片(40kDa、50kDa、55kDa、80kDa、90kDa、および96kDa)の大部分について、末端切断部位の肯定的な適合をもたらした。主な産物断片およびそれらのそれぞれの切断酵素の特徴付けを以下の表17に要約する:
【表18】
【0165】
IEX画分からのIEX画分不純物カテゴリーの完全なリストは、実施例1の表3に記載されている。不純物は、表3に記録された分子量(MW)のうちのいずれか1つで生じ得る。しかし、最も一般的な不純物は、AUX-Iについては45kDa、55kDa、80kDa、および90kDaで、またAUX-IIについては38kDa、50kDa、60kDa、80kDa、および90kDaで、生じる。時々、表3で特定されたもの以外の分子量での不純物が生じる場合がある(表3では「その他」として表される)。
【0166】
C.ヒストリチクムから精製された中性プロテアーゼを産生するために、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)工程の定置洗浄(CIP)廃水流から中性プロテアーゼを精製する方法が開発された。HIC CIP水洗浄流出水の2リットル画分をピークにわたって手動で収集した。ピーク最大値を含有する画分を容量で10倍に濃縮し、その後、10mMのTris、3mMのCaCl、pH8.0、5℃の6ダイアフィルトレーション容量(diavolume)を用いてバッファー交換した。この操作は、単一の0.1mのPellicon(登録商標)5kDa公称分子量カットオフタンジェンシャルフローフィルターを用いて行った。濃縮されたバッファー交換された洗浄水を、10mMのTris、3mMのCaCl、pH8.0で平衡化したQセファロース高速(Q HP)カラムにロードした。平衡バッファーをロードした後、0~50%のバッファーB(10mMのTris、3mMのCaCl、360mMのNaCl、pH8.0)からの25カラム容量の勾配を用いる前に、カラムを洗浄した。2つのクラスターは、カラムから溶離したピークを合わせたものであり、かつ自動化画分化により収集された。クマシー染色を用いるSDS-PAGE分析は、検出可能な限界内に他のタンパク質種を含まない、34kDaのタンパク質が、第2のピーククラスター内に溶離したことを示した(図30、ゲルレーン3)。ピーク最大試料を、20mMのリン酸カリウムへとバッファー交換し、-70℃で凍結貯蔵した。
【0167】
この廃水流、HIC定置洗浄(CIP)手順の水洗浄工程は、0.5MのNaOHでカラムをフラッシングしてCIPを開始する前にHICユニット操作を完了した後、HICカラムを注射用水(WFI)でフラッシングすることにより産生される。水洗浄は、HICカラムからの中性プロテアーゼの溶離を引き起こした。廃水流からの中性プロテアーゼの単離は成功し、HICプロセス廃水流中であるにも関わらず、コラゲナーゼ製造プロセス中において酵素の存在を確認した。単離された中性プロテアーゼは、34kDaの明白な分子量を有した。
【0168】
80kDaの断片は、潜在的な切断部位のP2’位にあるプロリン残基に起因して、Peptide Cutterプログラムを用いるいずれのプロテアーゼ切断ルールにも適合しない、唯一の特徴付けられた断片であった。しかし、プロセス単離された中性プロテアーゼまたは市販バージョンのC.ヒストリチクム中性プロテアーゼ(Servaからの)のいずれかとAUX-Iを混合することにより、80kDaの断片は、再度作製された。さらに、MEROPSデータベースを用いる80kDaの断片についての切断部位の評価は、テルモリシンがThr-693-Gly694ペプチド結合を切断してAUX-Iから80kDaの断片を作製することが可能であることを明らかにした。したがって、コラゲナーゼ産物の製造中に典型的に出現する5つすべてのAUX-IおよびAUX-II産物断片は、中性プロテアーゼのタンパク質分解性切断産物である。製造条件下では、50kDaおよび96kDaの不純物は、クロストリパイン分解からの切断産物でもある可能性がある。
【0169】
AUX-II画分中に存在する特徴付けされていない96kDaの断片は、理論的には、クロストリパインおよび中性プロテアーゼの両方について、複数の切断部位、N末端およびC末端の両方に適合した。96kDaの断片は、AUX-IIを中性プロテアーゼに曝露することにより再度作製された。このin-silico分析および中性プロテアーゼ消化研究は、中性プロテアーゼが、C.ヒストリチクム発酵および/または精製における産物断片の形成に関与する酵素であることを暗示している。
【0170】
上述したように、コラゲナーゼ製造プロセスから単離された中性プロテアーゼは、34kDaの明らかな分子量を有した。これは、中性プロテアーゼのプロ配列が、自己活性化または別の宿主酵素のいずれかにより切断されたことを示し、中性プロテアーゼがC.ヒストリチクム製造プロセスにおいて活性であることを示唆している。
【0171】
次に、プロ配列がそれ自身自己切断して、活性かつ成熟中性プロテアーゼを産生するかどうかを判定するために、これを行うことは不可能であるように推測されたが、調査を実施した。中性プロテアーゼのN末端の識別は、テルモリシンについてのコンセンサス配列要件とC.ヒストリチクム中性プロテアーゼのN末端に隣接する配列とを比較することにより、プロ酵素の自己触媒適格性を評価するための主要なデータを提供することになる。続いて精製された中性プロテアーゼをN末端識別に供し、Gln220残基を酵素のN末端として識別した。このN末端は、2015年にMaedaらによって、最近公開されたC.ヒストリチクム中性プロテアーゼのN末端と適合する。
【0172】
さらに、クロストリパインではなく中性プロテアーゼが、コラゲナーゼ製造プロセスの間に観察されたルーチンのコラゲナーゼ断片のすべてを産生するタンパク質分解性酵素であることが見出された。AUX-I/AUX-II消化研究におけるHIC CIP水洗浄からの単離された中性プロテアーゼの使用は、SDS-PAGE分析により測定された場合にルーチンの断片の明白な分子量と一貫する産物断片を産生した。これらの消化研究は、上記したような製造プロセスから単離された中性プロテアーゼを用いた。
【0173】
E.C.ヒストリチクム中性プロテアーゼN末端の識別
用いたN末端識別方法は、直交性であり、Edman分解配列決定およびLys-C/トリプシンでの消化後のLC-MS/MSによるN末端識別である。両方の試験のための試料は、同じ精製実行から調製され、中性プロテアーゼ溶離ピークの異なる画分を表した。Edman分解分析は、中性プロテアーゼのN末端領域の以下の5つの残基:Gln220-Ala224を同定した。LC-MS/MS消化分析は、分析中2つのペプチド:Gln220Ala-Arg227およびGly228-Lys236として検出された、中性プロテアーゼのN末端領域のより大きなストレッチを同定した。同定されたアミノ酸は、図31で強調されている。
【0174】
中性プロテアーゼの識別されたN末端を用いて、プロ酵素のヘキサペプチドコンセンサス配列領域を調べた。コンセンサス配列は、成熟酵素のN末端およびそれに続く2つの残基と組み合わされた、テルモリシンのプロ配列のC末端の3つの残基に対応する。テルモリシンについては、コンセンサス配列は、Val230LysSerIleTherGly236である。Ile233は、テルモリシンのN末端である。コンセンサス配列を記載するために、Schechter&Bergerのプロテアーゼ下位部位命名法が用いられる(図32を参照されたい)。テルモリシンの自己触媒のために必要とされるアミノ酸特徴は、P3位にある非極性残基(Gly、Ala、Ile、Leu、またはVal)、P1位にある極性残基またはプロリン(Ser、His、Glu、P)、およびΡ1’位にある非極性残基である。テルモリシンのコンセンサス配列のインスペクションは、それが3つすべての要件を満たすことを示す。
【0175】
C.ヒストリチクム中性プロテアーゼの識別されたN末端(Gln220)を用いると、理論的コンセンサス配列は、Lys217SerCysGlnAlaThr222である。このヘキサペプチド領域は、Cys219が極性残基であること以外は、自己触媒のための下位部位特徴のいずれにも従わない。しかし、それは、規則において適当な残基として記載されていない。文献を参照しても、システインの構造的特徴がP1部位の適当な残基からそれを除外するかどうかは不明であり、それについては研究者による研究はされていなかった。テルモリシンの自己触媒配列の規則に基づくと、C.ヒストリチクム中性プロテアーゼは、自己触媒成分とはならないはずである。
【0176】
C.ヒストリチクムATTC19401中性プロテアーゼの完全な遺伝子産物の配列(分泌配列、プロ配列、および成熟配列)は、Maeda et al.2015により最近公開された。活性中性プロテアーゼを生じる中性プロテアーゼ基質特異性の研究を可能とするために、遺伝子産物をクローニングし、発現させた。組換え中性プロテアーゼ(nprA)およびC.ヒストリチクム中性プロテアーゼ遺伝子産物配列の配列アライメントは、結果として100%のホモロジーをもたらした(図33を参照されたい)。したがって、コラゲナーゼC.ヒストリチクム(CCH)製造プロセス中の中性プロテアーゼは、自己触媒能を有し、成長培地中でプロ配列を自己切断して機能的成熟酵素となる不活性プロ酵素前駆体として分泌され、CCH発酵の典型的な特徴であることが、判定された。
【0177】
F.製造プロセス中の中性プロテアーゼの存在の調査
調査を実施して、活性中性プロテアーゼが異常な製造プロセス実行に特有のものであるか、またはプロセスのルーチンの特徴であるかを判定した。製造プロセス中のコラゲナーゼ断片パターンを分析した。異常な製造プロセス実行中のAUX-IおよびAUX-II IEX画分の分解パターンは、典型的な製造プロセス実行での典型的な断片の相対的分子量に一貫するが、はるかに高レベルである。クロストリパインおよび中性プロテアーゼ切断ルールに対して、各々の特徴付けられた産物断片の切断部位を評価することで、中性プロテアーゼが、不純物として識別された産物断片を産生することが示唆された。CIP廃水流を含むHICユニット操作全体のSDS-PAGE分析を行って、おおよそ34kDaのタンパク質バンドが、プロセスストリームの両方に存在するかどうかを判定した。CIP方法の水洗浄部分は、SDS-PAGE評価によるこの明白な分子量と一貫するバンドを含有した。HIC水洗浄試料はまた、分析的スパイキング研究においてAUX-IおよびAUX-IIを分解する(異常な製造プロセス実行において観察されたパターンに類似する)ことを示した。
【0178】
コラゲナーゼ製造プロセスにおけるこれらの工程の他にも、残留中性プロテアーゼは、HIC溶離液およびTFF-1濃縮液産物ストリーム中でも見出された。IEX画分、AUX-IおよびAUX-II IEXプール、AUX-I中間体、AUX-II中間体、および薬物製品の調査により、中性プロテアーゼが、それがAUX-Iピーク末尾と共に溶離されるIEXユニット操作の末尾AUX-I画分に隔離されていることが明らかになった。これらの画分は、SDS-PAGE/濃度測定分析のプロセス内純度限界を満たさない画分に起因して、産物ストリームから排除され得る。
【0179】
実施例3-プロセス制御
中性プロテアーゼ活性は、3つの製造プロセス実行のMustang Q濾液、HIC溶離液、およびタンジェンシャルフロー濾過(TFF)濃縮液プロセス試料内で見出された。ルーチンの製造実行のIEX AUX-I画分を中性プロテアーゼザイモグラフィー活性アッセイにおいて試験し、プロテアーゼは、これらの試料の末尾画分中で活性を示した。これらのデータは、HICカラムから共に溶離する残留中性プロテアーゼが、IEXカラムから溶離する末尾AUX-I画分中に隔離されることを示唆している。末尾画分の大部分は、SDS-PAGE濃度測定画分試験のプロセス内純度限界を満たさず、したがって、AUX-I中間体を産生するためにプールされない。しかし、少量の中性プロテアーゼを含有する画分を順方向でプロセスしないことを確実にする、さらなる手順制御を実施した。さらなる手順は、フォワードプロセシングからさらなるAUX-I末尾画分を拒絶するように作用する。ザイモグラフィー活性分析により示唆される、中性プロテアーゼ溶離の明白な位置的性質は、これらの手順が、薬物製品を製剤化する前に産物ストリームから中性プロテアーゼを排除するように作用することを示す。これらのプロセス制御は、以下で考察される。
【0180】
ザイモグラフィーは、SDS-PAGEゲル内で共重合した基質(カゼイン)、およびゲルからSDSを除去する際に再生するある特定の酵素の能力を利用する、電気泳動に基づく酵素活性アッセイである。SDS除去後、再生した酵素を一定時間インキュベートさせておき、共重合したカゼイン基質を分解させる。活性がクマシー染色により検出され、ここで、酵素の明白な分子量に対応する分解されたカゼイン領域は、染色を吸収しない白色ゾーンとして現れる。ゲルの残りの部分は、ゲル中に含有されたカゼインと複合体化するクマシー色素により青色に染色される。カゼインは、C.ヒストリチクム中性プロテアーゼによるタンパク質分解攻撃に感受性があるが、C.ヒストリチクムクロストリパインまたはコラゲナーゼには感受性のない、牛乳タンパク質である。したがって、このPAGEに基づく活性アッセイは、活性のある中性プロテアーゼの存在について製造産物ストリームをスクリーニングするための能力を提供した。
【0181】
アッセイは、Mustang Q濾液、HIC溶離液、TFF-1濃縮液、および最後のIEX AUX-I末尾画分中の中性プロテアーゼシグナルを実証した。中性プロテアーゼは、HIC工程において主に除去されるが、カラムに強力に結合されたままであり、カラム洗浄プロセスの水洗浄中に溶離する。微量の中性プロテアーゼは、HICカラムからコラゲナーゼと共に精製され、IEXカラムに結合する。この微量の中性プロテアーゼは、最後のAUX-I画分中の産物収集の末端にあるカラムから脱着し始める。中性プロテアーゼは、コラゲナーゼIIからコラゲナーゼIを分離し、溶離液ピークにわたって画分中のそれぞれの溶離液を収集した後、以下の排除工程:(1)プールされ得るコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、またはコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIとの両方の画分に対して改良された基準限界を組み込む工程と、(2)SDS-PAGEまたはザイモグラフィー電気泳動により試験された場合に検出可能なレベルの中性プロテアーゼを含有する画分を拒絶する、改良された画分プールストラテジーを組み込む工程と、(3)AUX-IおよびAUX-II精製画分の約1:1(等しい収量)のプールストラテジーを組み込む工程と、のうちの少なくとも1つを実施することにより除去することができる。ここで、ザイモグラフィーデータおよびIEXプロセス制御が考察される。
【0182】
A.プールの改良-カゼインザイモグラフィー電気泳動の場合に中性プロテアーゼを含まない画分のみを収集する
Mustang Q濾液、HIC溶離液、TFF-1濃縮液、AUX-IおよびAUX-II中間体、および薬物製品の実験室スケール実行の試料をザイモグラフィー電気泳動により試験した。データは、図34および35で提示される。これらの試料は、2つの異なる実行(Dev-13およびDev25A)からのものであった。ザイモグラフィー画像は、濃度測定によりスキャンされ、中性プロテアーゼバンドをいくつかの試料型として強調するのを補助するために用いた注釈付き画像は、低い中性プロテアーゼシグナルを示した。バンド可視化を補助するために、ゲルの反転画像を用いて、典型的なクマシーゲル画像(青色染色されたタンパク質分解性バンド)を産生した。中性プロテアーゼは、MQF、HICロード、およびHIC溶離液などの初期プロセス試料中で検出された(図34を参照されたい)。中性プロテアーゼバンドは、MQFおよびHICロード試料中、約34kDaの明白な分子量にて容易に観察される。これらの3つの試料型について総タンパク質ロードは、2μg(MQF)、3μg(HICロード)、および4μg(HIC溶離液)から増大しているが、HIC溶離液中性プロテアーゼ応答は実質的により低いことに注目されたい。HIC溶離液試料中の中性プロテアーゼバンドは、かすかではあったが、濃度測定ソフトウェアの「選択したバンド」の特徴を用いて強調を要求するのには十分であった。これは、HIC工程にわたる中性プロテアーゼの有意なクリアランスを実証する。
【0183】
TFF-1濃縮液、AUX-IおよびAUX-IIプール、中間体、および薬物製品について、10μgの総タンパク質のより高いロード質量を用いて、これらの試料中の潜在的な中性プロテアーゼシグナルを増幅した。TFF-1濃縮液(Dev-25A)試料は、約34kDaにおいて拡散したバンドを産生するのに十分な濃度で中性プロテアーゼを含有した。AUX-Iプール、AUX-I中間体、および薬物製品は、濃度測定ソフトウェアにより強調され、かつレーン6、8、および12で観察可能である、検出可能な中性プロテアーゼを含有した(図35を参照されたい)。34kDaのバンドはゲル中で可視的であった。しかし、得られた画像は、バンドを明確に見るための十分な忠実性を伴うものではなかった。AUX-II中間体は、検出可能な中性プロテアーゼを含有しなかったし、その前駆体AUX-IIプールも同様だった(図34)。これらのデータは、中性プロテアーゼが、IEX工程にわたって産物から分離され、AUX-IプールおよびAUX-I中間体でも明らかなように、AUX-Iピーク中で共に溶離することを実証している。これらのデータはまた、ザイモグラフィーにより測定される場合に検出可能なレベルの中性プロテアーゼを含有する任意の画分は拒絶され、かつプール工程に含まないようにするべきであることも実証している。
【0184】
典型的な製造プロセスからのAUX-IおよびAUX-II溶離液ピークのIEX画分をカゼインザイモグラフィーアッセイで実行して、中性プロテアーゼが画分中で検出可能であるかどうか、またそれが特異的な位置に含有されているかどうかを判定した。図36および37は、アッセイからのゲル画像を含有した。AUX-IIの画分のいずれもが、この方法により検出可能な濃度で中性プロテアーゼを含有しなかった。選択した試料をより高い濃度で実行し、IEX画分中の中性プロテアーゼの存在を排除した(図38を参照されたい)。
【0185】
この典型的な製造実行の最後のAUX-I画分(17)において、低い中性プロテアーゼシグナルが検出された。IEXカラムからの中性プロテアーゼ溶離のこの位置的な性質は、図38(レーン9、10)および39(レーン8、10、および12)で図示されている。この場合も、この検出は、残留中性プロテアーゼ(HICまたはTFF-1工程において排除されなかった)が、AUX-Iピーク収集の最後にIEXカラムから部分的に放出することを示唆している。その製造実行のAUX-Iピーク末尾における中性プロテアーゼ汚染の位置的性質、および古い製造方法にはAUX-Iプール中に最後のAUX-I画分が含まれていることから、図35において見られる、製造実行のAUX-Iプール、AUX-I中間体、および薬物製品中で検出された中性プロテアーゼの存在が説明される。したがって、カゼインザイモグラフィーアッセイにより測定された場合に検出可能なレベルの中性プロテアーゼをまったく含有しないプール画分は、中性プロテアーゼを本質的に含まないコラゲナーゼ組成物を産生し得る。
【0186】
本発明は、自動拒絶の特徴も含み得る。本発明以前では、これらのAUX-I画分は、AUX-Iプールを作製するために通過したAUX-I画分を混合する間に、手動的に拒絶された。少なくとも最後の2つのAUX-I画分の自動拒絶は、残留中性プロテアーゼはこれらの画分中に通常共に溶離するために、残留中性プロテアーゼがAUX-I中間体に進入するのを阻止する。
【0187】
次の段落で記載するように、改良されたIEXプールストラテジーの実施により、AUX-I画分およびAUX-II画分のプールの間の末端部汚染が除去される。
【0188】
B.プールの改良-SDS-PAGEにより測定された場合に最小純度限界を満たす画分の収集
コラゲナーゼ、AUX-IおよびAUX-IIは、まずAUX-II溶離、続いて、AUX-Iを用いる勾配溶離の間、不連続のピークとしてIEXカラムから溶離する。ピークを約1リットルのアリコートにて手動画分化により収集する。濃度測定を伴うSDS-PAGEを用いて、これらの画分を純度について試験する。連続したAUX-IまたはAUX-II画分は、コラゲナーゼI産物またはコラゲナーゼII産物を作製するためのプールのために利用可能である。歴史的に、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に少なくとも88.5面積%純粋であり、かつ濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に10面積%超の単一の不純物を有しないAUX-IまたはAUX-IIの画分は、コラゲナーゼI産物またはコラゲナーゼII産物を産生するためにプールされた。これらの限界を満たさなかった画分は、順方向でプロセスされず、したがって、産物ストリームから排除された。
【0189】
通過画分のための基準を改良することは、コラゲナーゼ組成物の全体的な純度を改良するだけでなく、AUX-I末尾から中性プロテアーゼをさらに排除するのにも役立つ。AUX-IおよびAUX-II画分が、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に少なくとも91.2面積%のAUX-IまたはAUX-IIの純度を有し、かつ最も多量にある単一の不純物が、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に5.8面積%以下である場合に、通過画分のための限界を引き上げることにより中性プロテアーゼを除去することができる。
【0190】
調査の一部として、歴史的なバッチデータに基づいてAUX-IおよびAUX-II画分をプールするための計画した偏差を実施した。AUX-I画分12~16およびAUX-II画分2~5をプールし、順方向でプロセスして、薬物原料(バルク薬物原料またはBDSと呼ばれることもある)を作製した。薬物製品の放出試験は、SDS-PAGEによるより高い限界の仕様外(OOS)純度と、逆相HPLC(RP-HPLC)による傾向外(OOT)純度とをもたらし、IEX画分のより低い純度を確認した。この計画された偏差は、図35において提示されるデータをもたらした。製造実行からのAUX-Iプール、AUX-I中間体、および薬物製品中で検出された中性プロテアーゼは、計画された偏差によりプールされた末尾AUX-I画分(16)により寄与された。ザイモグラフィー電気泳動アッセイに対する検出の限界は、約0.5ngの中性プロテアーゼである。図35におけるバンドは、実際のカゼインザイモグラフィーゲル自体の上で可視的であったが、0.5ngの限界よりわずかに低く-10マイクログラムのロード量のコラゲナーゼ組成物を用いておおよそ0.2~0.3ngの中性プロテアーゼであった。
【0191】
C.プールの改良-過剰なAUX-I収量を最小限にするためのAUX-II収量の適合
本発明はまた、通過AUX-II画分をプールし、かつ通過AUX-I画分をプールして、プール工程において約1:1の質量比のAUX-I対AUX-IIのプールを産生することにより産生される、理論的なグラム量のAUX-IIを評価することを含み得る。例えば、プールされたAUX-Iの量は、AUX-IIのグラムの1.3倍であり得る。任意の過剰なAUX-IまたはAUX-IIは、バルク薬物原料(コラゲナーゼ組成物)の製造後に、廃棄することができる。これは典型的には、AUX-Iプールから排除されるべき初期プロセス内限界を満たした、1つ以上の末尾AUX-I画分をもたらす。この実施は、製造プロセス中で中性プロテアーゼを排除するための二次的なプロセス制御である。
【0192】
一例として、プールされたコラゲナーゼIのおおよその量が、プロセスにより産生されたコラゲナーゼIIのおおよその量に適合するまで、コラゲナーゼIピーク画分のみをプールすることと併せて、IEX溶離から収集されたコラゲナーゼI画分のピーク画分は、所望の純度および不純物基準を満たす画分に基づいて、順方向でプロセスされる。第1に、AUX-II画分が収集され、最終末尾画分を排除した後に、プロセスからの総AUX-IIの理論的な量を計算することができる。第2に、各画分中のAUX-Iの理論的量を判定する。次いで、濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に少なくとも91.2面積%の純度を含有し、かつ濃度測定を伴うSDS-PAGEにより測定された場合に約5.8%超の単一の不純物を含有しない第1のAUX-I画分から開始して、プールされたAUX-Iの量が、AUX-IIについて計算された総量の約1.3倍となるまで、AUX-Iについて連続的な画分をプールする。この方法により生成されるコラゲナーゼ組成物は、本質的に中性プロテアーゼを含まない。
【0193】
この制御ストラテジーは、コラゲナーゼIピークのさらなる末端画分の排除をもたらし、結果として、プールされたコラゲナーゼIの画分は、中性プロテアーゼを本質的に含まない。
【0194】
実施例4-プロセスからの中性プロテアーゼのクリアランス
ニッケルまたは亜鉛に起因する固有の中性プロテアーゼ活性の増幅が、IEX画分のより高い不純物レベルをもたらす、上述の小規模なスパイキング研究により実証された。重要なことには、中性プロテアーゼクリアランス研究は、研究(ロット0011338)中に含まれた3つのHIC溶離液のうちの1つのみで検出可能な中性プロテアーゼ活性を見出し、一方で、3つのすべてのロットは、TFF-1濃縮液試料中に検出可能な中性プロテアーゼ活性を含有した。典型的なHIC溶離液およびTFF-1濃縮液中に存在する微量レベルは、IEX画分中の高められた産物断片を促進しないが、それでも製造プロセス実行は、高レベルの不純物を産生し、小規模なスパイキング研究実行は、HIC溶離液、TFF-1濃縮液、およびIEX画分中に存在する増大された断片を含有した。これらの結果は、ニッケルおよび亜鉛イオンがHICおよびTFF-1ユニット操作において中性プロテアーゼ特異的活性を増幅し、IEXユニット操作中に増大した産物断片不純物を引き起こすことを示唆している。
【0195】
中性プロテアーゼクリアランス研究を実施して、これが、薬物製品を作製する前のコラゲナーゼ製造プロセスの産物ストリームから効果的に排除されるかを確認した。この研究は、以下の2つの最近開発された中性プロテアーゼ活性に基づく試験方法を用いて、下流プロセスの産物ストリーム保留試料を試験することにより、3つの歴史的な薬物製品ロットに対して行われた:(1)SDS-PAGEまたはザイモグラフィーアッセイにより測定された場合に検出可能なレベルの中性プロテアーゼを含有する、イオン交換工程からのAUX I溶離画分を、AUX-Iプール工程から拒絶すること、および(2)イオン交換工程からプールされたおおよそ1:1の質量比のAUXIIに基づきAUXIの最大ピーク画分をプールすること。この研究において試験した産物ストリームを以下の表19中に列挙する。製造産物ストリーム中の中性プロテアーゼ活性の検出のための試験方法は、蛍光に基づくマイクロプレートアッセイおよびSDS-PAGEザイモグラフィー方法である。これらの試験方法の各々からのデータは、以下で別々に考察される。
【表19】
【0196】
A.蛍光マイクロプレート中性プロテアーゼ活性アッセイ
半定量的蛍光活性アッセイを用いて、表19で列挙された試料型を試験した。このアッセイは、使用のために好適には純粋ではなかった中性プロテアーゼの唯一の市販供給源として、テルモリシン(TL)の市販の調製物を標準曲線のために利用する。アッセイのための定量限界(LOQ)は、0.0625AU/mL(0.01866AU/mgのTL)である。Mustang Q濾液のみが、定量化可能なレベルの中性プロテアーゼ活性を含有した。さらに下流のすべての試料型は、アッセイのLOQ未満であった。試験した3つの製造ロットについてのデータは、以下の表20に提示される。
【表20】
【0197】
B.ザイモグラフィーアッセイ
中性プロテアーゼ活性についてのザイモグラフィーアッセイは、すべてのMustang Q濾液試料、HIC溶離液(ロット0011338)のうちの1つのロット、およびすべてのTFF-1濃縮液試料において、肯定的な中性プロテアーゼバンド検出をもたらした。TFF-1濃縮液の下流の試料型はいずれも中性プロテアーゼ活性を示さない。C.ヒストリチクムロット0009749、0010987、および0011338からのデータは、以下の表21に提示される。ロット0010987のザイモグラフィーゲル画像は、図40に提示される。画像は、反転クマシー染色表示であり、低振幅のシグナル検出、例えば、中性プロテアーゼバンドを可能にするための改良されたコントラストを提供する。
【表21】
【0198】
中性プロテアーゼクリアランス研究は、マイクロプレートアッセイにおけるMustang Q濾液試料後の検出可能な活性の欠失、およびザイモグラフィーアッセイにより評価された場合にHIC溶離液試料(ロット0011338)の1つにおいて存在する低レベルの活性により明らかであるように、中性プロテアーゼが主としてHICクロマトグラフィー工程にてクリアランスされることを実証する。ザイモグラフィーアッセイは、3つすべてのTFF-1濃縮液試料中の低い中性プロテアーゼ活性を明らかにし、中性プロテアーゼが、溶離工程の間にHICカラムから部分的に放出され、一方で、酵素の大部分は依然としてカラムに結合したままであることを確認した。それぞれのTFF-1濃縮液中で検出された低い活性を伴う、2つのHIC溶離液試料中の中性プロテアーゼ活性の欠失は、このユニット操作中のダイアフィルトレーション開始前に生じる6倍濃度に起因する。TFF-1濃縮液中に存在する残留中性プロテアーゼは、中性プロテアーゼがAUX-I末尾画分と共に部分的に共溶離するIEXユニット操作の間に産物ストリームから排除される(図39を参照されたい)。IEX画分純度プロセス限界および手順制御(等価質量の中間体を標的とする、最後の2つのAUX-I画分の自動拒絶)は、AUX-I中間体および薬物製品を産生する前の製造プロセスから残留中性プロテアーゼを除去するAUX-Iプールから末尾AUX-I画分を除外する。
【0199】
実施例5-微量の中性プロテアーゼの排除効果
実施例4において示されるように、コラゲナーゼピークの末尾末端にあるより少ないA280コラゲナーゼピーク画分をプールすることは、すべてではないにしても、大部分の微量の中性プロテアーゼも除去し、その結果、AUX Iのプール画分により作製されたコラゲナーゼI産物は、本質的に中性プロテアーゼを含まない。各コラゲナーゼのIEX精製工程後に、プールされた溶離画分の定量的評価を実施し、改良された製造プロセスの効果を以前の製造プロセスと比較した。
【0200】
IEX画分において観察された相対的純度および不純物レベルの傾向分析は、重要なプロセス性能情報を提供する。かかる1つの方法を実施例1にて記載する。この実施例では、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを以下のロットから試験した:
【表22】
【0201】
表22に列挙した各製造実行のために、AUX IおよびAUX II溶離画分を、実施例1において記載されるように、産物の純度および不純物のパーセンテージについて測定した。各画分中の不純物のパーセンテージは、断片あたりを基準としたものだけでなく、総不純物を基準としたものとの両方に対して測定された。
【0202】
各AUX IまたはAUX II溶離ピーク中の総タンパク質の量に対して、非定型硫酸アンモニウムロットにより影響されたパーセント純度および各不純物のパーセントを、コンピュータープログラムであるControl Charts for Individualsを用いてプロットした。Control Charts for Individualsは、ルーチンの変動に起因する結果(管理図限界内)と、例外的な変動に起因する結果(管理図限界を超える)とを区別するために使用される、統計的ツールである。プロセス変動性を推定するために、2つの連続的な観察物の移動範囲を用いて、管理限界を計算する。管理図中の緑色の水平線は、平均結果を表す。赤色の水平線は、
【数4】
、として計算された上方および下方管理図限界を表す。
【0203】
各AUX溶離ピーク中の総タンパク質の量に対するAUX-IおよびAUX-II産物のパーセント純度は、図42および図43において提供される。図42および図43で見られるAUX-IおよびAUX-II溶離ピークのパーセント純度レベルにおける減少は、図44および図45にそれぞれ示されるように、高いレベルのAUX-I90kDaおよびAUX-II96kDa不純物に主に起因する。
【0204】
典型的な製造実行におけるAUX IおよびAUX II産物ピークパーセンテージについての生データは、図46Aおよび46Bに示され、AUXIおよびAUX IIの主な不純物パーセンテージについての対応する生データは、図46B~46Dにおいて示される。主な不純物は、上流製造プロセス中の中性プロテアーゼ存在に起因する、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからの90kDaおよび96kDaの分解産物である。
【0205】
図46A~46Dにおいて示されるように、以前のプロセシング方法を用いて精製されたコラゲナーゼIについての生データは、94.5%+/-1.0%の平均純度を有する。改良されたプロセシング方法を用いて精製されたコラゲナーゼIについての生データは、95.8%+/-1.0%の改善された平均純度を有する。AUX Iプールについての0.3%の統計的に有意な改良は、改良された製造方法を用いることにより中性プロテアーゼを本質的に含まないコラゲナーゼI産物が産生される、さらなる証拠となる。驚くことではないが、中性プロテアーゼはAUX IIを伴うイオン交換カラムから溶離しないので、コラゲナーゼII(AUX-II)の純度は依然として変化しない。改良されたプロセスを用いたとしても、中性プロテアーゼは、改良されたプロセス中でさえ精製のより初期工程において依然として存在するために、精製産物中の90kDaおよび96kDaのコラゲナーゼ不純物ピークの長引く存在は、予期されないものではない。
【0206】
上記の本方法の実施形態は、単なる例示を意図しており、さまざまな変形形態および修正形態が当業者には明らかであろう。すべてのかかる変形形態および修正形態は、添付の特許請求の範囲のいずれかにおいて定義されるような本発明の範囲内にあることが意図される。
図1
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図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40A
図40B
図41
図42
図43
図44
図45
図46A
図46B
図46C
図46D
【配列表】
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