IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 静岡製機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-防汚カバー 図1
  • 特開-防汚カバー 図2
  • 特開-防汚カバー 図3
  • 特開-防汚カバー 図4
  • 特開-防汚カバー 図5
  • 特開-防汚カバー 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013660
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】防汚カバー
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20250117BHJP
   F24H 3/04 20220101ALI20250117BHJP
【FI】
F24H9/02 302Z
F24H3/04 301
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024197390
(22)【出願日】2024-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000197344
【氏名又は名称】静岡製機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 守
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康紘
(57)【要約】
【課題】建設現場等で主に使用される熱風式ヒーターに装着され、塵埃や粘着物の堆積を防ぎ、使用後の清掃や整備作業を容易にすることが可能な防汚カバーを提供する。
【解決手段】防汚カバー1は、円筒軸方向を水平方向に一致させた円筒形状を呈する燃焼筒部110を有するヒーター100に装着され、難燃性素材で形成された燃焼筒部カバー10と、燃焼筒部カバー10をヒーター100に装着するためのカバー装着部30とを具備し、燃焼筒部カバー10は、燃焼筒部110の筒部外表面114に沿って変形可能な可撓性を備え、筒部外表面114の少なくとも一部を被覆し、かつ燃焼筒部110を外部から視認可能な透明シート素材で形成される。さらに、防汚カバー1は、ヒーター100の燃料タンク部120のタンク外表面121の少なくとも一部を被覆し、かつ燃料タンク部120を外部から視認可能な透明シート素材で形成された燃料タンク部カバー20を具備する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒軸方向を水平方向に一致させた円筒形状を呈する燃焼筒部を有する熱風式ヒーターに装着される防汚カバーであって、
難燃性素材で形成された燃焼筒部カバーと、
前記燃焼筒部カバーを前記熱風式ヒーターに装着するためのカバー装着部と
を具備し、
前記燃焼筒部カバーは、
前記燃焼筒部の筒部外表面に沿って変形可能な可撓性を備え、前記筒部外表面の少なくとも一部を被覆し、かつ前記燃焼筒部を外部から視認可能な透明シート素材で形成された防汚カバー。
【請求項2】
前記熱風式ヒーターは、
燃料を貯留する燃料タンク部と、
前記燃料タンク部の上面に立設され、前記燃焼筒部を下方から支持する燃焼筒部支持部と
を更に有し、
前記燃料タンク部のタンク外表面の少なくとも一部を被覆し、かつ前記燃料タンク部を外部から視認可能な透明シート素材で形成された燃料タンク部カバーを更に具備する請求項1に記載の防汚カバー。
【請求項3】
前記燃焼筒部カバー及び前記燃料タンク部カバーは、
互いに独立して形成される請求項2に記載の防汚カバー。
【請求項4】
前記燃料タンク部カバーは、
前記燃焼筒部支持部に相当する位置に刳抜部が設けられたドーナツ形状を呈し、
前記燃料タンク部カバーの外周の一部及び前記刳抜部の間を連通する連通部を更に有する請求項2または3に記載の防汚カバー。
【請求項5】
前記燃料タンク部カバーは、
前記燃料タンク部の一方の側面側を被覆する第一燃料タンク部カバーと、
前記第一燃料タンク部カバーと独立し、分離可能に形成され、前記燃料タンク部の他方の側面側を被覆する第二燃料タンク部カバーと
をさらに有する請求項2または3に記載の防汚カバー。
【請求項6】
前記燃焼筒部カバー及び前記燃料タンク部カバーは、
シート状に加工されたPET樹脂シートを用いて形成される請求項2または3に記載の防汚カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚カバーに関する。さらに詳しくは、建設現場や工事現場等の塵埃や粘着物(コンクリート、ペンキ、接着剤、泥等)が多く発生する場所で使用される熱風式ヒーターに装着可能な防汚カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場や工事現場等の各種作業現場において、施工後の塗装を乾燥させる乾燥作業や使用した接着剤を硬化させる硬化作業やコンクリートの凍結防止や養生にかかる作業が実施されている。
【0003】
これらの作業のために、高温の熱風を送風し、乾燥や硬化を促進させたり、打設後のコンクリートの温度低下を抑えたりする目的で、赤外線ヒーターや熱風式ヒーター等の業務用熱機器が使用されている。特に、大きな熱出力を維持することができ、また長時間にわたって熱風を連続的に送風することが可能な熱風式ヒーターが作業現場等において多く用いられている。
【0004】
熱風式ヒーターは、一般に灯油を燃料として使用し、バーナーによって発生させた熱風を回転するファンによって送出し、建設現場等の屋内或いは屋外の空間を暖める。熱風式ヒーターは、業務用として使用される建設機械の一種であり、例えば、工事を実際に行う施工業者が直接保有している場合や、或いは工事期間内だけ熱風式ヒーターを取り扱うレンタル会社からレンタルし、使用する場合がある。
【0005】
熱風式ヒーターの使用される建設現場や工事現場等では、作業時に多くの粉塵や粘着物が発生し、塵埃や粘着物が大量に堆積することがある。そのため、熱風式ヒーターを含む建設機械は、当該塵埃や粘着物に晒される。したがって、使用後の熱風式ヒーターには、ヒーター外表面に多くの塵埃や粘着物が堆積或いは付着することがある。
【0006】
そのため、使用後の熱風式ヒーターは、堆積或いは付着した塵埃や粘着物を除去する作業が必要となる。特に、熱風式ヒーターの場合、周囲の空気を吸い込んで熱風を発生させるため、塵埃の堆積や粘着物の付着が多くなる傾向にある。
【0007】
上記のレンタル会社では、顧客から返却された使用後の熱風式ヒーターに対して、清掃や整備作業を実施した上で、改めて他の貸与先にレンタルを行っている。
【0008】
したがって、熱風式ヒーターは、使用後の塵埃や粘着物の除去や整備に特に多くの時間を要することがある。また、塵埃や粘着物の堆積量等は、それぞれの建設現場や使用状況に応じて一定ではなく、例えば、通常の清掃等の作業では対応することができず、熱風式ヒーターの内部の分解清掃等が必要となることがあった。
【0009】
したがって、これらの清掃や整備等に要するコストが嵩んだり、或いは整備期間中は熱風式ヒーターの使用が制限される。そのため、施工業者では、施工計画の再調整が必要となることがあった。一方、建設機械のレンタル会社は、レンタル先から回収後に、次のレタル先に提供するまでに時間を要する可能性があり、熱風式ヒーターのレンタルの回転率が低下するおそれがあった。
【0010】
そこで、熱風式ヒーター等の建設機械などの各種機械に対して塵埃の堆積等を防ぐ目的で予めカバーを取り付けることが提案されている。例えば、焼却炉の再燃焼室の昇温のために使用される灯油バーナーユニットにおいて、焼却炉内の煤塵や燃焼灰などの塵埃や雨水を避ける目的で、灯油バーナーユニットを防塵カバーで覆って使用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平07-243624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の防塵カバーでは、熱風式ヒーターに対する塵埃の堆積等を十分に防ぐことができない可能性があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、建設現場等で主に使用される熱風式ヒーターに装着され、塵埃や粘着物の堆積を防ぎ、使用後の清掃や整備作業を容易にすることが可能な防汚カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、以下に示す防汚カバーが提供される。
【0015】
[1] 円筒軸方向を水平方向に一致させた円筒形状を呈する燃焼筒部を有する熱風式ヒーターに装着される防汚カバーであって、難燃性素材で形成された燃焼筒部カバーと、前記燃焼筒部カバーを前記熱風式ヒーターに装着するためのカバー装着部とを具備し、前記燃焼筒部カバーは、前記燃焼筒部の筒部外表面に沿って変形可能な可撓性を備え、前記筒部外表面の少なくとも一部を被覆し、かつ前記燃焼筒部を外部から視認可能な透明シート素材で形成された防汚カバー。
【0016】
[2] 前記熱風式ヒーターは、燃料を貯留する燃料タンク部と、前記燃料タンク部の上面に立設され、前記燃焼筒部を下方から支持する燃焼筒部支持部とを更に有し、前記燃料タンク部のタンク外表面の少なくとも一部を被覆し、かつ前記燃料タンク部を外部から視認可能な透明シート素材で形成された燃料タンク部カバーを更に具備する前記[1]に記載の防汚カバー。
【0017】
[3] 前記燃焼筒部カバー及び前記燃料タンク部カバーは、互いに独立して形成される前記[2]に記載の防汚カバー。
【0018】
[4] 前記燃料タンク部カバーは、前記燃焼筒部支持部に相当する位置に刳抜部が設けられたドーナツ形状を呈し、前記燃料タンク部カバーの外周の一部及び前記刳抜部の間を連通する連通部を更に有する前記[2]または[3]記載の防汚カバー。
【0019】
[5] 前記燃料タンク部カバーは、前記燃料タンク部の一方の側面側を被覆する第一燃料タンク部カバーと、前記第一燃料タンク部カバーと独立し、分離可能に形成され、前記燃料タンク部の他方の側面側を被覆する第二燃料タンク部カバーとを更に有する前記[2]または[3]に記載の防汚カバー。
【0020】
[6] 前記燃焼筒部カバー及び前記燃料タンク部カバーは、シート状に加工されたPET樹脂シートを用いて形成される前記[2]または[3]に記載の防汚カバー。
【発明の効果】
【0021】
本発明の防汚カバーは、熱風式ヒーターへの塵埃や粘着物の堆積や付着を防ぎ、使用後の清掃や整備作業を容易にすることができる。特に、防汚カバーを交換することで、速やかに熱風式ヒーターの使用が可能となる。特に、建設機械を取り扱うレンタル会社では、清掃及び整備作業を短時間で完了することができ、レンタル対象の熱風式ヒーターの貸し出しを効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】防汚カバーを構成する燃焼筒部カバーの概略構成を示す展開図である。
図2】防汚カバーを構成する燃料タンク部カバーの概略構成を示す展開図である。
図3】ヒーターの概略構成及び防汚カバーの装着の一例を模式的に示す説明図である。
図4】ヒーターの概略構成及び防汚カバーの装着の一例を模式的に示す説明図である。
図5】本発明の防汚カバーを構成する燃料タンク部カバーの別例構成を示す展開図である。
図6】本発明の防汚カバーを構成する燃料タンク部カバーの別例構成を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための防汚カバーの形態について図面を用いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0024】
図1は、防汚カバー1を構成する燃焼筒部カバー10の概略構成を示す展開図であり、図2は、防汚カバー1を構成する燃料タンク部カバー20の概略構成を示す展開図である。また、図3及び図4は、ヒーター100の概略構成及び防汚カバー1の装着の一例を模式的に示す説明図である。
【0025】
本実施形態の防汚カバー1は、熱風式ヒーター100(以下、「ヒーター100」と称す。)を装着対象とする。防汚カバー1は、当該ヒーター100の外表面の少なくとも一部を被覆することで、塵埃や粘着物の堆積又は付着を防止することができる。防汚カバー1は、難燃性素材で形成された燃焼筒部カバー10と、燃焼筒部カバー10をヒーター100に装着するためのカバー装着部30とを主に具備する。
【0026】
ここで、燃焼筒部カバー10は、ヒーター100の燃焼筒部110の筒部外表面114に沿って変形可能な可撓性を備え、筒部外表面114の少なくとも一部を被覆し、かつ燃焼筒部110を外部から視認可能な透明シート素材で形成されている。
【0027】
すなわち、本実施形態の防汚カバー1を構成する燃焼筒部カバー10は、「難燃性」、「可撓性」及び「透明性」を有する素材が原材料として採用される。
【0028】
防汚カバー1を構成する燃焼筒部カバー10は、ヒーター100によって発生した熱により高温になった筒部外表面114を被覆しても耐えることのできる耐熱性を有し、燃えることのない難燃性素材をシート状に加工して形成することができる。
【0029】
例えば、本実施形態の防汚カバー1において、燃焼筒部カバー10は、PET樹脂シートを原材料として形成されたものが使用される。PET樹脂シートは、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)を平板状(シート状)に成形加工したものであり、周知のものである。PET樹脂自体は、連続耐熱温度が150℃以上であり、かつ熱変形温度が240℃であることが一般に知られている。
【0030】
さらにPET樹脂は、高結晶性状のものであり、透明性に優れた素材であることが知られている。すなわち、PET樹脂シートは、良好な透過性を有している。
【0031】
加えて、PET樹脂シートは、各種シート厚に成形加工することが可能であり、ある程度の応力に対して容易に変形可能な可撓性を十分に備えている。そのため、本実施形態の防汚カバー1を構成する燃焼筒部カバー10として求められる「難燃性」、「可撓性」及び「透明性」の全ての要件を満たしており、好適に使用することができる。
【0032】
なお、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニリデンフロライド樹脂及びポリテトラフルオロエチレン樹脂等が周知の難燃性を有する樹脂として知られている。さらに可撓性や透明性についても多くの樹脂素材が周知のものであるため、これらを本発明の防汚カバーに適宜採用することができる。
【0033】
防汚カバー1は、燃焼筒部カバー10及びカバー装着部30の構成に加え、燃料タンク部カバー20を更に具備するものであってもよい。燃料タンク部カバー20は、ヒーター100を構成する燃料タンク部120のタンク外表面121の少なくとも一部を被覆し、かつ当該燃料タンク部120を外部から視認可能な透明シート素材で形成することができる。
【0034】
すなわち、本実施形態の防汚カバー1を構成する燃料タンク部カバー20は、「透明性」を有する素材が原材料として採用される。なお、燃料タンク部カバー20は、上述した燃焼筒部カバー10と同様に、「難燃性」及び「可撓性」を有する素材を原料として採用するものであっても構わない。
【0035】
本発明の防汚カバーは、上記の燃料タンク部カバー20を必須の構成とするものではない。塵埃や粘着物の発生が少ない建設現場等での使用の場合などは、燃料タンク部カバー20の構成を省略してもよい。
【0036】
加えて、本実施形態の防汚カバー1は、燃焼筒部カバー10及び燃料タンク部カバー20をそれぞれ独立して形成するものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、防汚カバーは、燃焼筒部カバー10及び燃料タンク部カバー20を一体的に構成したものでもよい。
【0037】
燃焼筒部カバー10は、図1に示すように、展開状態では、所定の厚さのシート状を呈し、被覆対象となる燃焼筒部110の立体形状に応じて組み立て可能に、略矩形状にカットして構成される。同様に、燃料タンク部カバー20は、図2に示すように、展開状態では、所定の厚さのシート状を呈し、被覆対象の燃料タンク部120の立体形状に応じて組み立て可能に、所定形状にカットして構成される。
【0038】
ヒーター100は、燃焼筒部110と、燃料タンク部120と、燃焼筒部支持部130とを主に具備する。燃焼筒部110は、円筒軸方向を水平方向に一致させて設置される。燃料タンク部120のタンク部上面122に燃焼筒部支持部130が立設され、燃焼筒部110を下方から支持する。ここで、円筒軸方向は、図3における紙面手前方向から紙面奥行き方向、若しくは図4における紙面左右方向に相当する。
【0039】
燃焼筒部110は、円筒形状の筒部本体111の内部で発生させた熱風を送出可能なものであり、円筒軸方向の一端側(図4の紙面左側)に熱風送出口112が設けられている。一方、円筒軸方向の他端側(図4の紙面右側)に燃焼のための外気を取り込むための外気取込口113が設けられている。
【0040】
外気の取り込み及び熱風の送出は、始めに筒部本体111の内部に設けられたファン(図示しない)を回転させる。これにより、外気取込口113及び熱風送出口112の間に気流の流れが発生する。さらに、燃焼筒部110は、外気取込口113から取り込んだ酸素を含む外気(空気)と、燃料タンク部120から供給された燃料(灯油)とを好適な混合比で調整し、内部に設けられたバーナー(図示しない)で燃焼させる。
【0041】
これにより、熱気が発生し、ファンによって熱風送出口112から高温の熱風を送出することができる。
【0042】
なお、図3及び図4に示すように、燃焼筒部110は、円筒軸方向を水平方向に一致させた位置を標準位置としている。しかしながら、燃焼筒部110は、燃焼筒部支持部130に下方から支持されるとともに、支持軸(図示しない)に回動可能に軸支されている。そのため、熱風送出口112の送出方向を当該支持軸を回転軸として上方向及び下方向のそれぞれ数十度の範囲で傾けて変化させることができる。
【0043】
すなわち、熱風送出口112から送出される熱風の水平方向に対する角度(送出角度、吐出角度)を調整することができる。かかる機能によって、塗料等の乾燥作業や接着剤の硬化作業又はコンクリートの養生作業等において、熱風を適切な範囲や方向に送出することができる。これにより、各種作業の効率化が図られる。
【0044】
ヒーター100を構成する燃料タンク部120は、略直方体形状を呈し、内部にバーナーによる燃焼の際の燃料となる灯油を貯留することができる。なお、燃料タンク部120の容量は、特に限定されるものではないが、例えば、50リットル程度とすることができる。これにより、ヒーター100の連続稼働が可能となり、例えば、一昼夜の間、熱風を送出し続けることができる。
【0045】
燃料タンク部120のタンク部上面122には、既に説明した燃焼筒部支持部130が立設されている。さらに、タンク部上面122には、灯油を燃料タンク部120の内部に注入するための燃料注入口123が設けられている。燃料注入口123の上端には、略円盤状を呈する燃料キャップ部124が取り付けられている。これにより、燃料タンク部120の内部の空間に灯油を閉塞した状態で貯留することができる。
【0046】
さらにヒーター100は、その他の構成として、ヒーター100の後方側(図4における紙面右側)の燃料タンク部120のタンク部下面125に取付けされた車軸部126と、車軸部126の両端に装着された一対の車輪部127とを有している。かかる構成を採用することで、車輪部127の回転に従ってヒーター100の水平方向の移動を容易にすることができる。
【0047】
また、ヒーター100は、車軸部126及び車輪部127の取付け位置と相対する位置(図4における紙面左側)に、設置面と設置可能な支持脚部140が設けられている。すなわち、ヒーター100を建設現場等に設置した場合、車輪部127及び支持脚部140によって、燃料タンク部120及びその上部に支持された燃焼筒部110を略水平を保った状態で支えることができる。この場合、燃料タンク部120のタンク部下面125は、設置面から浮いた状態となる。これにより、ヒーター100の使用時、或いは保管時において、設置状態を安定させることができる。
【0048】
一方、ヒーター100の移動は、支持脚部140側、換言すれば、燃焼筒部110の熱風送出口112側を僅かに持ち上げ、支持脚部140を設置面から離間させる。これにより、ヒーター100は、車輪部127によって支持されることとなり、ヒーター100の自由な移動が可能となる。
【0049】
加えて、ヒーター100は、燃料タンク部120の上側及び燃焼筒部110の周囲を囲むように設けられたフレーム部150を具備している。ヒーター100の全体の剛性を高めることができ、かつ、使用時に作業者が高温の燃焼筒部110を誤って触れることがないように防ぐことができる。
【0050】
本実施形態の防汚カバー1を構成する燃焼筒部カバー10は、既に説明した通り、燃焼筒部110の筒部外表面114を被覆可能なものであり、かつ筒部外表面114の曲面形状に沿って変形可能な可撓性を有している。
【0051】
燃焼筒部カバー10の具体的形状は、図1に示すように、一対の長辺部11a,11b及び一対の短辺部12a,12bによって形成された略矩形状を呈している。さらに、長辺部11a,11b及び短辺部12a,12bがそれぞれ交差する隅部13a,13b,13c,13dは、所定のR形状によって面取りが施されている。これにより、燃焼筒部110に燃焼筒部カバー10を装着する際に、尖った隅部13a等によって作業者を痛めることがない。
【0052】
加えて、略矩形状の一方の長辺部11aには、中央付近が長方形状に突出した突出片部14が設けられている。なお、他方の長辺部11bには当該突出片部14のような構成は形成されていない。これにより、燃焼筒部110への装着方向(前後方向)を容易に認識することができる。さらに突出片部14の位置を筒部本体111の上端に合わせることにより装着位置の確認を行うことができる。突出片部14の隅部も面取りが施されている。
【0053】
燃焼筒部カバー10は、応力に対して変形可能な可撓性を有している。そのため、円筒形状の燃焼筒部110(筒部本体111)の筒部外表面114の曲面形状に沿って変形させながら装着することができる。
【0054】
燃焼筒部カバー10の燃焼筒部110の装着は、始めに図1に示された展開状態の略矩形状の燃焼筒部カバー10の長辺部11a,11bを筒部本体111の前後位置(図4における紙面左右方向)の位置に合わせる。その後、燃焼筒部カバー10を筒部本体111に上側から巻き付けるようにして筒部外表面114を被覆する(図3参照)。これにより、燃焼筒部カバー10が燃焼筒部110に装着される。なお、図3は、燃焼筒部カバー10の装着の一例を模式的に示したものであり、実際の装着はこの限りではない。
【0055】
カバー装着部30は、特に限定されるものではなく周知のものを採用することができる。例えば、燃焼筒部カバー10の互いの短辺部12a,12b同士を重ね合わせて筒部本体111に密着させた状態でネジ止め等を行うもの、或いは燃焼筒部カバー10の短辺部12a,12bの近傍に磁石を配置し、磁力によって固定するものが挙げられる。なお、固定に使用するものとしては面ファスナーやホック、ボタン等を使用することもできる。本実施形態の防汚カバー1において、燃焼筒部カバー10は、ネジ止めによって固定されている。
【0056】
なお、図3及び図4において、筒部本体111の全周を燃焼筒部カバー10で被覆したものを示したが、本発明の防汚カバーは、これに限定されるものではない。例えば、燃焼筒部カバー10の短辺部12a,12bを前述した燃焼筒部支持部130、燃料タンク部120或いはフレーム部150に固定してもよい。
【0057】
この場合、燃焼筒部110の少なくとも一部の筒部外表面114、より具体的に説明すると、燃焼筒部110の少なくとも上半分側(図3における紙面上方向)の筒部外表面114に沿って湾曲し、変形した状態での被覆が可能となる。
【0058】
燃料タンク部カバー20は、図2に示すように、タンク部上面122を被覆するための矩形状のカバー上面21と、カバー上面21の各辺から延設された四つの矩形状のカバー側面22a,22b,22c,22dとを具備して主に構成されている。さらに、カバー側面22aのカバー側面22c,22dとそれぞれ対向する辺には、隅部が面取りされた凸形状の凸片部23a,23bが設けられている。同様に、カバー側面22bのカバー側面22c,22dとそれぞれ対向する辺にも凸片部23c,23dが設けられている。さらに、凸片部23a等と相対するカバー側面22c,22dの位置に直線状の挿込部24a,24b,24c,24dがそれぞれ設けられている。
【0059】
なお、図2は、燃料タンク部カバー20の展開図であり、図中二点鎖線は山折り線である。そのため、カバー上面21に対してそれぞれカバー側面22a,22b,22c,22dを直角に折り曲げることにより、カバー側面22a等の辺同士が一致する。さらに、凸片部23a等を変形さながら挿込部24a等に挿入することにより、カバー側面22a等の辺同士が一致して箱形形状に組み立てされる。すなわち、燃料タンク部カバー20は、組み立て時において下方が開口した箱形形状を呈する。
【0060】
組み立てられた燃料タンク部カバー20を、燃料タンク部120の上から被せることにより、図4に示すように、燃料タンク部120の上部を被覆することができる。
【0061】
本実施形態の防汚カバー1を構成する燃料タンク部カバー20のカバー上面21は、略中央付近に正方形状の刳抜部25が設けられている。すなわち、燃料タンク部カバー20は、図2の展開図において、中央部分が刳り抜かれたドーナツ形状を呈している。加えて、燃料タンク部カバー20は、外周の一部(図2において、カバー側面22dの外辺に相当)と、刳抜部25との間を連通する連通部26をさらに有している。連通部26は、展開状態の燃料タンク部カバー20に対する切込みであり、当該連通部26を境界として、カバー側面22c及びカバー上面21の一部が離れることができる。
【0062】
これにより、燃料タンク部カバー20を燃料タンク部120に装着しようとする場合、連通部26を拡げながら、正方形状の刳抜部25を燃焼筒部支持部130に嵌め込むことができる。その結果、燃焼筒部支持部130に燃焼筒部110が支持された状態であっても燃料タンク部カバー20を装着することができる。
【0063】
燃料タンク部カバー20は、刳抜部25の周辺にさらに円形状の円形刳抜部27a,27bがそれぞれ設けられている。一方の円形刳抜部27aは、燃料タンク部120の燃料注入口123及び燃料キャップ部124の位置と一致している。
【0064】
そのため、燃料タンク部カバー20を燃料タンク部120に被せた場合、燃料注入口123等が干渉することがない。他方の円形刳抜部27bについて同様に、燃料タンク部120のタンク部上面122から突設された部位との干渉を避けることができる。
【0065】
以上説明した通り、本実施形態の防汚カバー1は、ヒーター100の燃焼筒部110及び燃料タンク部120をそれぞれ独立して被覆することができる。燃焼筒部カバー10及び燃料タンク部カバー20は、それぞれ難燃性、可撓性及び透明性を有する素材であるため、ヒーター100の使用時であっても燃えることがなく、十分な耐熱性を備える。
【0066】
加えて、可撓性及び透明性によって、ヒーター100の形状に応じて適宜変形して筒部外表面114及びタンク外表面121を被覆することができる。さらに防汚カバー1全体が透明シート素材で形成されているため、ヒーター100の外部からの視認性を損なうことがない。
【0067】
また、建設現場等での使用後は、防汚カバー1を取り外すことにより、ヒーター100の外表面をきれいな状態に保つことができる。そのため、従来の清掃や整備作業を簡略化することができる。これにより、ヒーター100を効率的に稼働させることができる。
【0068】
本発明の防汚カバーは、下記の図5及び図6に示す別例構成の燃料タンク部カバー40を用いてもよい。図5及び図6は、本発明の防汚カバーを構成する燃料タンク部カバー40の別例構成を示す展開図である。ここで、燃料タンク部カバー40の基本的な構成は、既に説明したため、一部の構成については図示の省略または同一符号を付し、詳細な説明は省略する。以下の説明において、ヒーター100等の構成は、図3及び図4に示したものと同一符号を用いる。
【0069】
別例構成の燃料タンク部カバー40は、第一燃料タンク部カバー41と、第一燃料タンク部カバー41と独立し、分離可能に形成された第二燃料タンク部カバー42とを有する。ここで、第一燃料タンク部カバー41は、燃料タンク部120の一方の側面側(例えば、図4における紙面左側)を被覆し、第二燃料タンク部カバー42は、燃料タンク部120の他方の側面側(例えば、図4における紙面右側)を被覆することができる。
【0070】
第一燃料タンク部カバー41は、第二燃料タンク部カバー42に相対するカバー辺41aに第一凹部43を有し、第二燃料タンク部カバー42は、第一燃料タンク部カバー41の第一凹部43に相対するカバー辺42aに第二凹部44を有している。第一燃料タンク部カバー41及び第二燃料タンク部カバー42を互いに近接させ、一部を重ね合わせることにより、第一凹部43及び第二凹部44によって正方形状の刳抜部45を形成することができる(図6のハッチング部参照)。
【0071】
これにより、タンク部上面122に立設された燃焼筒部支持部130を避けて燃料タンク部カバー40を装着することができる。すなわち、先に説明した図2の燃料タンク部カバー20における連通部26の構成を省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の防汚カバーは、熱風式ヒーターへの塵埃や粘着物の堆積或いは付着を防止することができる。
【符号の説明】
【0073】
1:防汚カバー
10:燃焼筒部カバー
11a,11b:長辺部
12a,12b:短辺部
13a,13b,13c,13d:隅部
14:突出片部
20:燃料タンク部カバー
21:カバー上面
22a,22b,22c,22d:カバー側面
23a,23b,23c,23d:凸片部
24a,24b,24c,24d:挿込部
25,45:刳抜部
26:連通部
27a,27b:円形刳抜部
30:カバー装着部
40:燃料タンク部カバー
41:第一燃料タンク部カバー
41a,42a:カバー辺
42:第二燃料タンク部カバー
43:第一凹部
44:第二凹部
100:ヒーター(熱風式ヒーター)
110:燃焼筒部
111:筒部本体
112:熱風送出口
113:外気取込口
114:筒部外表面
120:燃料タンク部
121:タンク外表面
122:タンク部上面
123:燃料注入口
124:燃料キャップ部
125:タンク部下面
126:車軸部
127:車輪部
130:燃焼筒部支持部
140:支持脚部
150:フレーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6