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▶ 井藤漢方製薬株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013664
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】口腔ケア用錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20250117BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20250117BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/365
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/73
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024197503
(22)【出願日】2024-11-12
(62)【分割の表示】P 2023066181の分割
【原出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】397016873
【氏名又は名称】井藤漢方製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 敬三
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 潤子
(57)【要約】
【課題】保存安定性を高めることができる口腔ケア用錠剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る口腔ケア用錠剤は、発泡剤と、結合剤とを含み、前記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤と、結合剤とを含み、
前記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含む、口腔ケア用錠剤。
【請求項2】
前記発泡剤が、炭酸水素ナトリウムを含む、請求項1に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項3】
前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤が、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸、又はトリグリセリドによりコーティングされているクエン酸を含む、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項4】
前記発泡剤100重量%中、前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量が、10重量%以上60重量%以下である、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項5】
前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤が、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸を含み、
前記発泡剤100重量%中、前記クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸の含有量が、10重量%以上60重量%以下である、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項6】
前記発泡剤の含有量の、前記結合剤の含有量に対する重量比が、1.0以上10.0以下である、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項7】
前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量の、前記結合剤の含有量に対する重量比が、0.2以上4.0以下である、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項8】
洗浄剤を含む、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項9】
研磨剤を含む、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【請求項10】
歯磨剤又は洗口剤である、請求項1又は2に記載の口腔ケア用錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤を含む口腔ケア用錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口臭、虫歯及び歯周病等の予防のために歯磨剤が用いられている。歯磨剤としては練状歯磨剤が一般的に広く用いられている。
【0003】
練状歯磨剤には、洗浄効果を向上させるために発泡剤が添加されることがある。このような練状歯磨剤として、下記の特許文献1には、非水系口腔用組成物用基材、重曹(炭酸塩)、及び有機酸を含む口腔用組成物が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、(A)重炭酸塩及び/又はセスキ炭酸塩を15~40質量%含有する第1組成物と、(B)有機酸を1~20質量%含有する第2組成物とを含む発泡性歯磨剤が開示されている。該発泡性歯磨剤は、使用時に上記第1組成物と上記第2組成物とを接触させて発泡させるため、保管時は両者が接触しないよう隔壁のある特殊な容器に充填されて保管されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-302429号公報
【特許文献2】特開2016-113428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような歯磨剤では、長期間保管した場合には、歯磨剤の原材料中の微量な水分に有機酸及び炭酸塩が溶解して反応し、炭酸ガスが発生することがある。すなわち、特許文献1のような従来の歯磨剤をチューブ等の密封容器に充填して長期間保管した場合には、該密封容器が炭酸ガスによって膨張(パフィング)することがある。
【0007】
また特許文献2のような歯磨剤では、特殊なチューブが必要となるため、製造コストがかかるという課題がある。
【0008】
さらに、近年、外出先で手軽に口腔ケアをする需要が増大しており、口腔ケア用錠剤の開発が進んでいる。ここで、固形の歯磨剤では、練状歯磨剤に比べて、歯磨剤中の発泡剤が水分とより反応しやすいという性質があるため、発泡剤を含む従来の練状歯磨剤を固形化した場合には、保管時に発泡剤が反応してガスが発生し、パッケージが膨張(パフィング)して、破裂することがある。また、パフィングが起こると、発泡剤の一部が分解されているため、使用時の泡立ちが不十分となる。結果として、十分な洗浄効果、及び感覚的又は視覚的な満足感が得られないことがある。従来の口腔ケア用錠剤では、発泡剤を含む場合には、保存安定性を高めることは困難である。
【0009】
本発明の目的は、保存安定性を高めることができる口腔ケア用錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、発泡剤と、結合剤とを含み、前記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含む、口腔ケア用錠剤が提供される。
【0011】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、前記発泡剤が、炭酸水素ナトリウムを含む。
【0012】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤が、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸、又はトリグリセリドによりコーティングされているクエン酸を含む。
【0013】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、前記発泡剤100重量%中、前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量が、10重量%以上60重量%以下である。
【0014】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤が、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸を含み、前記発泡剤100重量%中、前記クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸の含有量が、10重量%以上60重量%以下である。
【0015】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、前記発泡剤の含有量の、前記結合剤の含有量に対する重量比が、1.0以上10.0以下である。
【0016】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、前記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量の、前記結合剤の含有量に対する重量比が、0.2以上4.0以下である。
【0017】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、口腔ケア用錠剤は、洗浄剤を含む。
【0018】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、口腔ケア用錠剤は、研磨剤を含む。
【0019】
本発明に係る口腔ケア用錠剤のある特定の局面では、口腔ケア用錠剤は、歯磨剤又は洗口剤である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る口腔ケア用錠剤は、発泡剤と、結合剤とを含み、上記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含む。本発明に係る口腔ケア用錠剤では、上記の構成が備えられているので、保存安定性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0022】
(口腔ケア用錠剤)
本発明に係る口腔ケア用錠剤は、発泡剤と、結合剤とを含む。本発明に係る口腔ケア用錠剤では、上記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含む。本発明に係る口腔ケア用錠剤は、口腔ケアに用いられる錠剤である。本発明に係る口腔ケア用錠剤は、口腔をケアするための製剤である。
【0023】
一般に、発泡剤を含む従来の練状歯磨剤を単に固めただけの錠剤では、保管時に発泡剤が反応してガスが発生し、パッケージが膨張(パフィング)して、破裂することがある。また、パフィングが起こると、発泡剤の一部が分解されているため、使用時の泡立ちが不十分となる。結果として、十分な洗浄効果、及び感覚的又は視覚的な満足感が得られないことがある。また、歯磨剤が潮解性を有する成分や吸湿性を有する成分を含む場合には、打錠成型時に成分が金型に貼りつく等の打錠障害が起こりやすくなるという課題がある。さらに、歯磨剤が潮解性を有する成分や吸湿性を有する成分を含む場合には、錠剤が保管時に溶解して再度固まることにより、噛み砕けないほど硬くなることや、錠剤の保管時に結晶の粒径が大きくなり錠剤の内側から崩壊して、粉戻りすることがある。すなわち、従来の口腔ケア用錠剤では、保存安定性を高めることは困難である。
【0024】
本発明者らは、鋭意検討の結果、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を用いることにより、上記の課題を解決することができることを見出した。
【0025】
本発明に係る口腔ケア用錠剤では、保存安定性を高めることができる。結果として、口腔ケア用錠剤が長期間保管された場合にも、パッケージのパフィングを抑制することができ、使用時の泡立ちに優れ、十分な洗浄効果、及び感覚的又は視覚的な満足感を得ることができる。
【0026】
また、本発明に係る口腔ケア用錠剤は、錠剤状(固形)であるため、コンパクトかつ軽量であるので、携帯性に優れる。また、本発明に係る口腔ケア用錠剤は、錠剤状(固形)であるため、一定量を服用しやすく、衛生的である。
【0027】
本発明に係る口腔ケア用錠剤は、口腔ケアに用いられる。具体的に、上記口腔ケア用錠剤は、歯磨き又は洗口に用いられることが好ましい。上記口腔ケア用錠剤は、歯磨剤又は洗口剤(マウスウォッシュ)として好適に用いられる。上記口腔ケア用錠剤は、歯磨剤又は洗口剤(マウスウォッシュ)であることが好ましい。上記口腔ケア用錠剤が歯磨剤である場合には、上記口腔ケア用錠剤では、歯垢の除去、歯に付着した汚れの除去、歯石の沈着の予防、口腔内の洗浄、口臭予防、虫歯予防、及び歯のホワイトニング等の効果が発揮される。上記口腔ケア用錠剤が洗口剤(マウスウォッシュ)である場合には、上記口腔ケア用錠剤では、口腔内の洗浄、及び口臭予防等の効果が発揮される。
【0028】
上記口腔ケア用錠剤は、咀嚼して用いられることが好ましい。上記口腔ケア用錠剤が歯磨剤として用いられる場合には、上記口腔ケア用錠剤は、咀嚼した後に歯ブラシを用いてブラッシングして、水で口腔内をすすぐことにより、用いられることが好ましい。上記口腔ケア用錠剤が洗口剤(マウスウォッシュ)として用いられる場合には、上記口腔ケア用錠剤は、咀嚼した後に水で口腔内をすすぐことにより、用いられることが好ましい。
【0029】
上記口腔ケア用錠剤の形状は、特に限定されない。上記口腔ケア用錠剤の形状としては、タブレット状、球状、粒状、ペレット状、円盤状、直方体状、ドーナツ状、及び棒形状等が挙げられる。取り扱い性を高め、発泡による洗浄作用をより一層高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤の形状は、タブレット状、又は球状であることが好ましく、タブレット状であることがより好ましい。
【0030】
上記口腔ケア用錠剤の大きさは、特に限定されない。上記口腔ケア用錠剤の平面積は、好ましくは10mm以上、より好ましくは80mm以上、さらに好ましくは100mm以上であり、好ましくは2000mm以下、より好ましくは1000mm以下である。上記口腔ケア用錠剤の平面積が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記口腔ケア用錠剤を良好に包装することができ、かつ良好に発泡させることができる。なお、上記口腔ケア用錠剤がタブレット状である場合に、タブレット状の口腔ケア用錠剤の直径の一例は、12mmである。
【0031】
上記口腔ケア用錠剤の厚みは、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上であり、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは9.0mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。上記口腔ケア用錠剤の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記口腔ケア用錠剤を良好に包装することができ、かつ良好に発泡させることができる。
【0032】
取り扱い性を高め、発泡による洗浄作用をより一層高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤の1個当たりの重量は、好ましくは50mg以上、より好ましくは100mg以上、さらに好ましくは300mg以上であり、好ましくは5000mg以下、より好ましくは3000mg以下、さらに好ましくは2000mg以下である。
【0033】
上記口腔ケア用錠剤の硬度は、好ましくは0.8kgf以上、より好ましくは1.0kgf以上、さらに好ましくは1.5kgf以上であり、好ましくは15.0kgf以下、より好ましくは10.0kgf以下、さらに好ましくは7.0kgf以下である。上記口腔ケア用錠剤の硬度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記口腔ケア用錠剤を良好に包装することができ、良好に発泡させることができ、割れ及び欠けを防ぐことができ、かつ、容易に噛み砕くことができる。
【0034】
上記口腔ケア用錠剤の硬度は、硬度計を用いて、測定することができる。上記硬度計としては、例えば、藤原製作所製「木屋式硬度計」等が挙げられる。
【0035】
上記口腔ケア用錠剤の保管方法は、特に限定されない。上記口腔ケア用錠剤は、包装容器(パッケージ)内で保管されることが好ましい。上記口腔ケア用錠剤は、1個ずつ包装容器内に収納されていてもよく、複数個まとめて包装容器内に収納されていてもよい。上記包装容器の材質としては、紙、樹脂及び金属等が挙げられる。上記口腔ケア用錠剤は、紙により包装されてもよく、樹脂により包装されてもよく、金属により包装されてもよい。上記金属としては、アルミニウム及びステンレス等が挙げられる。保存安定性を高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤は、密封して保管されることが好ましい。上記包装容器は、パウチ容器又はボトル容器であることが好ましい。密封性に優れることから、上記包装容器は、パウチ容器であることが好ましい。取り出し性に優れることから、上記包装容器は、ボトル容器であることが好ましい。
【0036】
以下、上記口腔ケア用錠剤に含まれる各成分を説明する。
【0037】
(発泡剤)
上記口腔ケア用錠剤は、発泡剤を含む。上記口腔ケア用錠剤は、発泡剤を含むので、口腔内で唾液(水分)と混合された際に発泡し、口腔内に付着した汚れ(沈着物)を気泡により洗浄することができる。
【0038】
上記口腔ケア用錠剤では、上記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含む。上記口腔ケア用錠剤では、上記発泡剤が、コーティング剤によりコーティングされている発泡剤を含むので、保存安定性を高めることができる。結果として、口腔ケア用錠剤が長期間保管された場合にも、パッケージのパフィングを抑制することができ、使用時の泡立ちに優れ、十分な洗浄効果、及び感覚的又は視覚的な満足感を得ることができる。
【0039】
上記発泡剤は、特に限定されない。上記発泡剤としては、炭酸化合物、及び酸化合物(有機酸又は無機酸)等が挙げられる。上記発泡剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、炭酸化合物を含むことが好ましく、酸化合物を含むことが好ましく、炭酸化合物と、酸化合物とを含むことがより好ましい。発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、炭酸化合物と酸化合物との混合物を含むことが好ましい。
【0041】
上記炭酸化合物としては、炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸塩と炭酸水素塩との複塩等が挙げられる。上記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。上記炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、及び炭酸水素カルシウム等が挙げられる。炭酸塩と炭酸水素塩との複塩としては、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。上記炭酸化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
発泡性を良好にする観点からは、上記炭酸化合物は、炭酸塩を含むことが好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム又は炭酸水素ナトリウムを含むことがより好ましく、炭酸水素ナトリウムを含むことがさらに好ましい。発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、炭酸水素ナトリウムを含むことが好ましい。口腔ケア用錠剤を歯磨剤として使用したときに研磨性を高める観点からは、上記発泡剤は、炭酸カルシウムを含むことが好ましい。炭酸カルシウムを含む口腔ケア用錠剤において、炭酸カルシウムは、発泡剤及び研磨剤として作用する。
【0043】
上記酸化合物は、有機酸であってもよく、無機酸であってもよい。上記有機酸としては、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルコン酸、コハク酸、アスコルビン酸、マロン酸、及びサリチル酸等が挙げられる。上記無機酸としては、リン酸、ホウ酸、及びスルファミン酸等が挙げられる。上記酸化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
発泡性を良好にする観点からは、上記酸化合物は、有機酸を含むことが好ましく、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、又はコハク酸を含むことがより好ましく、クエン酸を含むことがさらに好ましい。
【0045】
発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム又は炭酸水素ナトリウムを含み、かつ上記発泡剤は、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、又はコハク酸を含むことが好ましい。発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、炭酸水素ナトリウムと、クエン酸とを含むことが特に好ましい。発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、炭酸水素ナトリウムと、クエン酸との混合物を含むことが特に好ましい。
【0046】
上記口腔ケア用錠剤が1種の発泡剤を含む場合には、上記発泡剤がコーティング剤によりコーティングされている。上記口腔ケア用錠剤が2種以上の発泡剤を含む場合には、少なくとも1種の上記発泡剤がコーティング剤によりコーティングされている。
【0047】
上記口腔ケア用錠剤では、炭酸化合物がコーティング剤によりコーティングされていてもよく、酸化合物がコーティング剤によりコーティングされていてもよく、炭酸化合物及び酸化合物がコーティング剤によりコーティングされていてもよい。上記口腔ケア用錠剤では、炭酸ナトリウムがコーティング剤によりコーティングされていてもよく、炭酸カルシウムがコーティング剤によりコーティングされていてもよく、炭酸水素ナトリウムがコーティング剤によりコーティングされていてもよい。上記口腔ケア用錠剤では、クエン酸がコーティング剤によりコーティングされていてもよく、酒石酸がコーティング剤によりコーティングされていてもよく、フマル酸がコーティング剤によりコーティングされていてもよく、リンゴ酸がコーティング剤によりコーティングされていてもよく、コハク酸がコーティング剤によりコーティングされていてもよい。
【0048】
上記コーティング剤としては、クエン酸カルシウム、トリグリセリド、乳糖、セラック、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、及びプルランが挙げられる。上記コーティング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記トリグリセリドとしては、水添ナタネ種子油等が挙げられる。製剤性を良好にする観点からは、上記コーティング剤は、クエン酸カルシウム、又はトリグリセリドを含むことが好ましく、クエン酸カルシウムを含むことがより好ましい。
【0049】
発泡性を良好にする観点からは、上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤は、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸、又はトリグリセリドによりコーティングされているクエン酸を含むことが好ましく、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸を含むことがより好ましい。発泡性を良好にする観点からは、上記発泡剤は、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸、又はトリグリセリドによりコーティングされているクエン酸を含むことが好ましく、クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸を含むことがより好ましい。発泡性を良好にする観点からは、クエン酸はクエン酸カルシウム又はトリグリセリドによりコーティングされていることが好ましい。
【0050】
上記発泡剤は、炭酸化合物と、コーティング剤によりコーティングされている酸化合物とを含むことが好ましい。すなわち、上記発泡剤は、コーティング剤によりコーティングされていない炭酸化合物と、コーティング剤によりコーティングされている酸化合物とを含むことが好ましい。この場合には、打錠性を良好にすることができ、口腔ケア用錠剤を咀嚼したときに速やかに発泡することができるので、口腔内の泡を吐き出すだけで、又は少ない水で口腔内を濯ぐだけで、口腔をケアすることができる。
【0051】
上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記発泡剤の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記発泡剤の含有量が上記下限以上であると、洗浄作用をより一層高めることができる。上記発泡剤の含有量が上記上限以下であると、パッケージのパフィングを防ぎ、保存安定性をより一層高めることができる。なお、上記口腔ケア用錠剤が2種以上の発泡剤を含む場合には、上記発泡剤の含有量は、発泡剤の合計の含有量を表す(以下同様)。
【0052】
洗浄作用をより一層高め、口腔ケア用錠剤を歯磨剤として使用したときに研磨性を高める観点からは、上記発泡剤が炭酸カルシウムを含む場合に、上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記炭酸カルシウムの含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
【0053】
洗浄作用をより一層高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤100重量%中、炭酸カルシウム以外の発泡剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上であり、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。
【0054】
洗浄作用をより一層高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤100重量%中、炭酸化合物の含有量は、好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。
【0055】
洗浄作用をより一層高める観点からは、上記発泡剤100重量%中、上記炭酸化合物の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
【0056】
洗浄作用をより一層高める観点からは、上記発泡剤において、上記炭酸化合物100重量部に対して、上記酸化合物(有機酸又は無機酸)の含有量は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、さらに好ましくは20重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは80重量部以下である。
【0057】
上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量が上記下限以上であると、パッケージのパフィングを防ぎ、保存安定性をより一層高め、洗浄作用をより一層高めることができる。上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量が上記上限以下であると、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0058】
上記発泡剤100重量%中、上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量が上記下限以上であると、パッケージのパフィングを防ぎ、保存安定性をより一層高めることができる。上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量が上記上限以下であると、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0059】
上記発泡剤100重量%中、上記クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。上記クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸の含有量が上記下限以上であると、パッケージのパフィングを防ぎ、保存安定性をより一層高めることができる。上記クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸の含有量が上記上限以下であると、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0060】
上記発泡剤100重量%中、上記トリグリセリドによりコーティングされているクエン酸の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。上記トリグリセリドによりコーティングされているクエン酸の含有量が上記下限以上であると、パッケージのパフィングを防ぎ、保存安定性をより一層高めることができる。上記トリグリセリドによりコーティングされているクエン酸の含有量が上記上限以下であると、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0061】
(結合剤)
上記口腔ケア用錠剤は、結合剤を含む。上記口腔ケア用錠剤は、結合剤を含むので、口腔ケア用錠剤の打錠性を高めることができ、所望の硬度及び厚みを有する口腔ケア用錠剤を容易に製造することができる。
【0062】
上記結合剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、カーボワックス、ノニオン界面活性剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロース、ゼラチン、クレー、乳糖、ソルビトール、グルコース、及びキシリトール等が挙げられる。上記結合剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0063】
口腔ケア用錠剤の打錠性を高める観点からは、上記結合剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、セルロース、又はヒドロキシプロピルセルロースを含むことが好ましく、ポリエチレングリコール、又はセルロースを含むことがより好ましい。
【0064】
口腔ケア用錠剤の打錠性を高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記結合剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0065】
口腔ケア用錠剤の打錠性を高める観点からは、上記発泡剤の含有量の、上記結合剤の含有量に対する重量比(上記発泡剤の含有量/上記結合剤の含有量)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.5以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
【0066】
口腔ケア用錠剤の打錠性を高める観点からは、上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量の、上記結合剤の含有量に対する重量比(上記コーティング剤によりコーティングされている発泡剤の含有量/上記結合剤の含有量)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上であり、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下である。
【0067】
(洗浄剤)
上記口腔ケア用錠剤は、洗浄剤を含むことが好ましい。上記口腔ケア用錠剤が、洗浄剤を含む場合には、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0068】
上記洗浄剤としては、界面活性剤、ソープナッツエキスパウダー、及びサポニン等が挙げられる。上記洗浄剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
上記界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
上記カチオン系界面活性剤としては、アルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、及び脂肪酸アミドアミン塩等が挙げられる。
【0071】
上記アニオン系界面活性剤としては、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン等の高級脂肪酸塩(高級脂肪酸石鹸);ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα-オレフィン(C14-16)スルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、及びセチルリン酸ジエタノールアミン等のモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム等のアシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等のアシルグルタミン酸塩;アシルアスパラギン酸塩;アシルタウリン塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等のアシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、及びベヘニルグリコール酢酸カリウム等のアルキルエーテルグリコール酢酸塩などが挙げられる。
【0072】
上記非イオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。
【0073】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
【0074】
上記ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
【0075】
上記グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステルであってもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
【0076】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、及びジアラキン酸グリセリル等が挙げられる。
【0077】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル等の上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0078】
上記グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。
【0079】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、及びポリオキシプロピレンオレイルエーテル等が挙げられる。
【0080】
上記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0081】
上記両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、及びN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型両性界面活性剤;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩;N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。
【0082】
洗浄作用をより一層高める観点からは、上記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤を含むことが好ましく、アルキル硫酸塩、α-オレフィン(C14-16)スルホン酸塩、又はアシルアミノ酸塩を含むことがより好ましく、アルキル硫酸塩を含むことがさらに好ましく、アルキル硫酸エステル塩を含むことが特に好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムを含むことが最も好ましい。上記α-オレフィン(C14-16)スルホン酸塩は、テトラデセンスルホン酸ナトリウム(C14)を含むことが特に好ましい。上記アシルアミノ酸塩におけるアシル基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは12以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。上記アシルアミノ酸塩は、アシルグルタミン酸塩、アシルアスパラギン酸塩、アシルサルコシン塩、又はアシルタウリン塩を含むことが好ましい。上記アシルアミノ酸塩は、酸性アシルアミノ酸塩を含むことが好ましく、アシルグルタミン酸塩、又はアシルアスパラギン酸塩を含むことがより好ましく、アシルグルタミン酸塩を含むことが特に好ましい。上記アシルグルタミン酸塩は、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、ラウロイルグルタミン酸塩、ラウロイルアスパラギン酸塩、ラウロイルサルコシン塩、又はラウロイルメチルタウリン塩を含むことが好ましく、ラウロイルグルタミン酸塩を含むことがより好ましく、ラウロイルグルタミン酸ナトリウムを含むことがさらに好ましい。上記α-オレフィン(C14-16)スルホン酸塩及び上記アシルアミノ酸塩は、アルカリ金属塩を含むことが好ましく、ナトリウム塩を含むことがより好ましい。上記した好ましい形態によって、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0083】
上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記洗浄剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。上記洗浄剤の含有量が、上記下限以上であると、洗浄作用をより一層高めることができる。上記洗浄剤の含有量が、上記上限以下であると、上記口腔ケア用錠剤の水への溶解性を高めることができる。なお、上記口腔ケア用錠剤が2種以上の洗浄剤を含む場合には、上記洗浄剤の含有量は、洗浄剤の合計の含有量を表す。
【0084】
上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記アニオン系界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。上記アニオン系界面活性剤の含有量が、上記下限以上であると、洗浄作用をより一層高めることができる。上記アニオン系界面活性剤の含有量が、上記上限以下であると、上記口腔ケア用錠剤の水への溶解性を高めることができる。
【0085】
上記発泡剤100重量部に対して、上記洗浄剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは2重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは25重量部以下である。上記洗浄剤の含有量が、上記下限以上であると、洗浄作用をより一層高めることができる。上記洗浄剤の含有量が、上記上限以下であると、上記口腔ケア用錠剤の水への溶解性を高めることができる。
【0086】
(研磨剤)
上記口腔ケア用錠剤は、研磨剤を含むことが好ましい。上記口腔ケア用錠剤が、研磨剤を含む場合には、研磨性を高め、洗浄作用をより一層高めることができる。
【0087】
上記研磨剤としては、カルシウム含有研磨剤、シリカ研磨剤、カーボネート研磨剤、ホスフェート研磨剤、アルミナ研磨剤、及びその他の研磨剤等が挙げられる。上記研磨剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0088】
上記カルシウム含有研磨剤としては、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、オルトリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム、及びカルシウムヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
【0089】
上記カーボネート研磨剤としては、炭酸カルシウム、及び炭酸ストロンチウム等が挙げられる。
【0090】
上記ホスフェート研磨剤としては、リン酸カルシウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、オルトリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリホスフェート、及びピロホスフェート等が挙げられる。
【0091】
上記シリカ研磨剤としては、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及び含水シリカ等が挙げられる。
【0092】
上記アルミナ研磨剤としては、多結晶アルミナ、焼成アルミナ、溶融アルミナ、湿式粉砕アルミナ、及び水和アルミナ等が挙げられる。
【0093】
上記その他の研磨剤としては、珪藻土、硫酸バリウム、ウォラストナイト、パーライト、ポリメチルメタクリレート粒子、及びトスパール等が挙げられる。
【0094】
上記口腔ケア用錠剤が研磨剤を含む場合に、上記口腔ケア用錠剤は、上記研磨剤として、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウム以外の研磨剤を含む。研磨性を高める観点からは、上記研磨剤は、炭酸カルシウム、又はシリカを含むことが好ましく、炭酸カルシウムを含むことがより好ましい。上記口腔ケア用錠剤は、任意に炭酸カルシウムを含む。上記口腔ケア用錠剤は、炭酸カルシウムを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0095】
研磨性を高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤100重量%中、上記研磨剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。なお、上記口腔ケア用錠剤が炭酸カルシウムを含む場合には、上記発泡剤の含有量及び上記研磨剤の含有量のそれぞれに、炭酸カルシウムの含有量が含まれる。
【0096】
研磨性を高める観点からは、上記口腔ケア用錠剤100重量%中、炭酸カルシウム以外の研磨剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、好ましくは37重量%以下、より好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
【0097】
(他の成分)
上記口腔ケア用錠剤は、必要に応じて、例えば、滑沢剤、流動改善剤、再付着防止剤、消臭剤、甘味料、香料、着色剤、キレート剤、pH調整剤、酵素、発泡安定化剤、保存剤、抗菌・殺菌剤、防腐剤、増量剤、賦形剤、崩壊剤、増粘剤、固結防止剤、及び比重調整剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0098】
上記滑沢剤としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、カオリン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸スクロース、及びステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。上記滑沢剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0099】
上記流動改善剤としては、ヒュームドシリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム、及びシリカ等が挙げられる。上記流動改善剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0100】
洗浄作用をより一層高め、口腔内に汚れが再付着することを防止する観点からは、上記口腔ケア用錠剤は、再付着防止剤を含むことが好ましい。
【0101】
上記再付着防止剤としては、ポリリン酸ナトリウム、及びメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。上記再付着防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0102】
洗浄作用をより一層高め、口腔内に汚れが再付着することを防止する観点からは、上記再付着防止剤は、ポリリン酸ナトリウム、又はメタリン酸ナトリウムを含むことが好ましい。
【0103】
上記消臭剤としては、塩化亜鉛、銅クロロフィリンナトリウム、コーヒー生豆抽出物、ゴボウパウダー、茶葉エキス、ゲッケイジュ葉エキス、カキタンニン、シソ種子エキス、及びマスチック樹脂油等が挙げられる。上記消臭剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0104】
上記甘味料としては、エリスリトール、ソルビトール、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、スクラロース及びペリラルチン等が挙げられる。上記甘味料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0105】
上記香料としては、メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、サリチル酸、スペアミント、ペパーミント、精油、及びハッカ油等が挙げられる。上記香料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0106】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0107】
口腔ケア用錠剤の調製に用いる以下の材料を用意した。
【0108】
発泡剤:
クエン酸カルシウムによりコーティングされているクエン酸(磐田化学工業社製「クエン酸CI」)
トリグリセリド(水添ナタネ種子油)によりコーティングされているクエン酸(日油社製「クエン酸MC-80R」)
炭酸水素ナトリウム(トクヤマ社製「重炭酸ナトリウム」)
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製「コロカルソーWB」)
クエン酸(昭和化工社製「クエン酸無水FG」)
【0109】
結合剤:
ポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG-6000P」)
セルロース(日本製紙社製「KCフロックW-200G」)
【0110】
洗浄剤:
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム(味の素社製「アミソフトLS-11」)
【0111】
滑沢剤:
ショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ社製「リョートーシュガーエステルB-370F」)
【0112】
流動改善剤:
シリカ(エボニック・ジャパン社製「カープレックスCS-500」)
【0113】
消臭剤:
カキタンニン(富士化学工業社製「カキタンニンT」)
【0114】
甘味料:
ソルビトール(物産フードサイエンス社製「ソルビトールFP50M」)
【0115】
香料:
メントール
【0116】
(実施例1~8、及び比較例1~4)
下記の表1~3に示す成分を下記の表1~3に示す配合量で混合し、直径12mmの金型を用いて30kNで打錠成型することにより、1個当たり0.5gのタブレット状の口腔ケア用錠剤を得た。
【0117】
(評価)
(1)保存安定性
(1-1)パフィングの有無
得られた口腔ケア用錠剤10個を、体積40cmのアルミニウム製パウチに入れて密封した試験体を3個作製し、各試験体をそれぞれ25℃、40℃、及び50℃で1か月間保管した。保管後の各試験体について、パフィングの有無を、以下の基準で判定した。なお、保管後のアルミニウム製パウチの体積が、保管前のアルミニウム製パウチの体積の1.5倍以上となっていることを、パフィングしているとする。
【0118】
[パフィングの有無の判定基準]
○:25℃、40℃及び50℃の全ての試験体でパフィングしていない
×:25℃、40℃及び50℃のいずれかの試験体でパフィングしている
【0119】
(1-2)発泡量
得られた口腔ケア用錠剤10個を、体積40cmのアルミニウム製パウチに入れて密封した試験体を作製し、25℃で1か月間保管した。保管後、アルミニウム製パウチから口腔ケア用錠剤を取り出して、1個を口に含み約10秒で噛み砕き、口腔内での泡立ち(発泡量)について判定した。口腔ケア用錠剤の発泡量について、以下の基準で判定した。
【0120】
[発泡量の判定基準]
○○:全量を噛み砕くまで発泡が持続した
○:全量を噛み砕く前に発泡が終了した
×:全量を噛み砕いても泡立ちがほとんどなかった
【0121】
口腔ケア用錠剤の組成及び結果を下記の表1~3に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】